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特開2023-4098払出制御装置、薬品払出システム及び薬品払出プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004098
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】払出制御装置、薬品払出システム及び薬品払出プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
A61J3/00 310E
A61J3/00 310F
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105598
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】宮川 知也
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ06
4C047JJ12
4C047JJ25
4C047JJ27
4C047JJ28
4C047JJ31
4C047KK02
4C047KK18
4C047KK25
4C047KK32
(57)【要約】
【課題】薬品の払い出しの遅れが生じにくい払出制御装置、薬品払出システム及び薬品払出プログラムを提供する。
【解決手段】払出制御装置1は、割当処理部111と、駆動処理部112と、通知処理部113と、を備える。前記割当処理部111は、装着部に装着された状態の薬品カセットに薬品情報を割り当てる。前記駆動処理部112は、前記薬品情報を割当済みの前記薬品カセットが装着されている前記装着部を駆動させて当該薬品カセットから薬品を払い出させる。前記通知処理部113は、未割当の前記薬品情報が存在し、かつ前記装着部に未割当の前記薬品カセットが装着されていない場合に、通知情報の通知を行う。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着部に装着された状態の薬品カセットに薬品情報を割り当てる割当処理部と、
前記薬品情報を割当済みの前記薬品カセットが装着されている前記装着部を駆動させて当該薬品カセットから薬品を払い出させる駆動処理部と、
未割当の前記薬品情報が存在し、かつ前記装着部に未割当の前記薬品カセットが装着されていない場合に、通知情報の通知を行う通知処理部と、を備える、
払出制御装置。
【請求項2】
前記割当処理部は、未割当の前記薬品情報が存在する場合に、駆動中でない前記装着部に未割当の前記薬品カセットが装着されると、当該薬品カセットに前記薬品情報を割り当てる、
請求項1に記載の払出制御装置。
【請求項3】
前記装着部の駆動中に当該装着部からの前記薬品カセットの取り外しを制限するロック処理部を更に備える、
請求項1又は2に記載の払出制御装置。
【請求項4】
前記装着部は複数設けられており、
前記通知情報は、前記複数の前記装着部のうちのいずれの装着部に、前記未割当の前記薬品カセットを装着すべきかの指示を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の払出制御装置。
【請求項5】
前記通知情報は、前記装着部に装着されている前記薬品カセットの取り外しを促す指示を含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の払出制御装置。
【請求項6】
前記通知処理部は、前記装着部に装着されている前記薬品カセットへの前記薬品情報の割り当てが完了したときに、更に未割当の前記薬品情報が存在していれば、前記通知情報の通知を行う、
請求項1~5のいずれか1項に記載の払出制御装置。
【請求項7】
前記割当処理部は、前記薬品情報を含む処方データに関する処方関連情報を前記薬品カセットに更に割り当てる、
請求項1~6のいずれか1項に記載の払出制御装置。
【請求項8】
前記薬品カセットは、割り当てられた情報を表示する表示部を有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の払出制御装置。
【請求項9】
前記薬品情報を割当済みで、かつ当該薬品情報に対応する薬品が投入された前記薬品カセットが前記装着部に装着されている状態で、当該薬品カセットにおける薬品の払出経路の高さ及び幅の少なくとも一方を、当該薬品カセットに割り当てられている前記薬品情報に対応する駆動条件に従って調整する調整処理部を更に備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の払出制御装置。
【請求項10】
前記装着部は複数設けられており、
前記通知処理部は、前記複数の前記装着部のうちの一部の装着部が駆動中である状態において、未割当の前記薬品情報が存在し、かつ駆動中でない前記装着部に未割当の前記薬品カセットが装着されていない場合に、前記通知情報の通知を行う、
請求項1~9のいずれか1項に記載の払出制御装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の払出制御装置と、
前記装着部を含む払出装置と、を備える、
薬品払出システム。
【請求項12】
装着部に装着された状態の薬品カセットに薬品情報を割り当てる割当ステップと、
前記薬品情報を割当済みの前記薬品カセットが装着されている前記装着部を駆動させて当該薬品カセットから薬品を払い出させる駆動ステップと、
未割当の前記薬品情報が存在し、かつ前記装着部に未割当の前記薬品カセットが装着されていない場合に、通知情報の通知を行う通知ステップと、
をコンピューターに実行させるための薬品払出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬品カセットからの薬品の払い出しに係る制御を行う払出制御装置、薬品払出システム及び薬品払出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、任意の種類の薬品を払出可能な複数の薬品カセットを備えた薬品払出システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。関連技術に係る薬品払出システムでは、処方データ等により払出対象の薬品情報が入力された場合に前記薬品を前記薬品カセットのいずれかに割り当て、前記薬品カセットを前記薬品カセットに割り当てられた前記薬品情報に対応して予め設定された駆動条件に従って駆動させ、前記薬品カセットから薬品を払い出させる。これにより、任意の種類の薬品を払い出すためのユーザーの作業が軽減される。
【0003】
また、前記薬品カセット(可変カセット)は、装着部に着脱可能に構成されている。前記装着部は、前記薬品カセットに設けられたRFIDタグに対してRFIDの無線通信技術を利用して情報を読み書きする情報読取手段であるRFIDリーダライタを備えている。前記薬品払出システムは、前記払出対象の薬品情報を未割当の前記薬品カセットに割り当てる。具体的には、前記薬品払出システムは、前記RFIDリーダライタを制御することにより、前記薬品カセットの前記RFIDタグに前記薬品カセットに割り当てられた前記薬品情報を記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】再表2014/112221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記関連技術に係る前記薬品払出システムでは、例えば、前記薬品情報を割り当てるべき未割当の前記薬品カセットがある場合、ユーザーは、当該薬品カセットを前記装着部に装着する必要がある。そのため、ユーザーが前記薬品カセットを前記装着部に装着するタイミングが遅れると、当該薬品カセットへの前記薬品情報の割り当てが遅れ、結果的に、当該薬品カセットからの薬品の払い出しの遅れにつながることがある。
【0006】
本発明の目的は、薬品の払い出しの遅れが生じにくい払出制御装置、薬品払出システム及び薬品払出プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の局面に係る払出制御装置は、割当処理部と、駆動処理部と、通知処理部と、を備える。前記割当処理部は、装着部に装着された状態の薬品カセットに薬品情報を割り当てる。前記駆動処理部は、前記薬品情報を割当済みの前記薬品カセットが装着されている前記装着部を駆動させて当該薬品カセットから薬品を払い出させる。前記通知処理部は、未割当の前記薬品情報が存在し、かつ前記装着部に未割当の前記薬品カセットが装着されていない場合に、通知情報の通知を行う。
【0008】
本発明の他の局面に係る薬品払出システムは、前記払出制御装置と、前記装着部を含む払出装置と、を備える。
【0009】
本発明の他の局面に係る薬品払出プログラムは、装着部に装着された状態の薬品カセットに薬品情報を割り当てる割当ステップと、前記薬品情報を割当済みの前記薬品カセットが装着されている前記装着部を駆動させて当該薬品カセットから薬品を払い出させる駆動ステップと、未割当の前記薬品情報が存在し、かつ前記装着部に未割当の前記薬品カセットが装着されていない場合に、通知情報の通知を行う通知ステップと、をコンピューターに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、薬品の払い出しの遅れが生じにくい払出制御装置、薬品払出システム及び薬品払出プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムの外観図である。
図2図2は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムのシステム構成を示すブロック図である。
図3図3は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムの固定カセットの構成を説明するための斜視図である。
図4図4は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムの可変カセットの構成を説明するための斜視図である。
図5図5は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムの可変カセットの構成を説明するための斜視図である。
図6図6は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムの可変カセットの構成を説明するための斜視図である。
図7図7は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムの可変カセット用の装着部の構成を説明するための斜視図である。
図8図8は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムの手撒きユニットの構成を説明するための概略図である。
図9図9は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムで使用される割り当て情報及び駆動対応情報の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムで実行される薬品払出方法の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図11図11は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムで実行される薬品払出方法の第1具体例を説明するための概念図である。
図12図12は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムで実行される薬品払出方法の第2具体例を説明するための概念図である。
図13図13は、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システムで実行される分包処理の手順の一例を説明するためのフローチャートである。
図14図14は、本発明の第2実施形態に係る薬品払出システムの外観図である。
図15図15は、本発明の第2実施形態に係る薬品払出システムの断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、下記の実施形態で説明する構成及び処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることも可能である。
【0013】
<第1実施形態>
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る薬品払出システム100の概略構成について説明する。
【0014】
前記薬品払出システム100は、薬品カセットからの薬品の払い出しに用いられる。本実施形態に係る前記薬品払出システム100は、薬品払出データに基づいて、薬品の払い出しから分包までを実行する。前記薬品払出システム100のユーザーは、例えば病院又は薬局などの医療機関における薬剤師又は医師などである。本実施形態では一例として、前記薬品払出システム100は、病院で用いられ、当該病院の薬剤師が前記薬品払出システム100のユーザーであることとする。
【0015】
図1及び図2に示すように、前記薬品払出システム100は、払出制御装置1、錠剤供給ユニット2、散薬供給ユニット3、手撒きユニット4、分包ユニット5、制御ユニット6、及びバーコードリーダー7などを備えている。前記錠剤供給ユニット2は、装着部221を含む払出装置の一例である。
【0016】
前記払出制御装置1、前記錠剤供給ユニット2、前記散薬供給ユニット3、前記手撒きユニット4、前記分包ユニット5、及び前記制御ユニット6は内部バスN1などによって接続されている。さらに、前記払出制御装置1及び前記バーコードリーダー7は、無線LAN(Local Area Network)又はBluetooth(登録商標)などの通信規格に従って無線通信可能である。
【0017】
そして、前記薬品払出システム100は、前記払出制御装置1及び前記制御ユニット6によって制御され、前記薬品払出データに基づいて、前記錠剤供給ユニット2、前記散薬供給ユニット3、及び前記手撒きユニット4のいずれか一つ又は複数から薬品を払い出し、前記分包ユニット5により服用時期などの分包単位で分包紙に分包する分包動作を実行する。なお、前記分包動作は、一の前記薬品払出データに基づいて前記薬品払出システム100で一度実行され、当該分包動作では、当該薬品払出データに示されている一種類又は複数種類の薬品が払い出される。
【0018】
本実施形態では、前記薬品払出データが、一人の患者に対応する処方箋の内容を示す処方データである場合を例に挙げて説明する。前記処方データには、患者に関する情報、及び当該患者に処方される薬品の種類、用量、用法などの薬品に関する情報が含まれる。また、前記薬品払出データは、前記薬品払出システム100における一度の前記分包動作に対応するデータである。他の実施形態として、前記薬品払出データは、一人の患者に対応する処方箋の内容に基づいて前記薬品払出システム100に入力される調剤用のデータであってもよい。
【0019】
[錠剤供給ユニット2]
前記錠剤供給ユニット2は、予め定められた特定種類の錠剤を1錠(単位量)ごとに払出可能な複数の固定カセット21と、駆動条件の変更により任意の種類の錠剤を1錠(単位量)ごとに払出可能な複数の可変カセット22とを備える。前記固定カセット21及び前記可変カセット22により払出可能な前記錠剤には、円盤状、球状、又はカプセル状などの各種形態の固形薬品が含まれる。本実施形態では、前記可変カセット22が、「薬品カセット」の一例である場合を例に挙げて説明する。
【0020】
具体的に、図1に示す例では、前記固定カセット21が縦6台×横9台の合計54台設けられ、その下方に前記可変カセット22が縦1台×横4台の合計4台設けられている。厳密には、前記錠剤供給ユニット2は、前記固定カセット21用の装着部211を複数(ここでは54個)備え、前記可変カセット22用の装着部221を複数(ここでは4個)備えている。なお、他の実施形態として、前記錠剤供給ユニット2が、前記固定カセット21を有さず、前記薬品カセットである前記可変カセット22のみを有していてもよい。
【0021】
前記固定カセット21各々は、前記錠剤供給ユニット2に設けられた前記装着部211各々に装着可能に構成されている。ここで、1つの前記装着部211には、1つの前記固定カセット21が取り外し可能に装着されるため、前記錠剤供給ユニット2には最大で(前記固定カセット21用の)前記装着部211と同数の前記固定カセット21を同時に装着可能である。なお、他の実施形態として、前記固定カセット21各々が前記装着部211に対して引き出し可能であり、当該固定カセット21が前記装着部211から離脱しない構成であってもよい。また、前記固定カセット21の一部が前記装着部211に設けられており、当該固定カセット21の他の部分が前記装着部211に取り外し可能に装着されてもよい。
【0022】
前記装着部211各々は、前記固定カセット21を個別に駆動させる第1駆動部23(図2参照)を備えている。前記第1駆動部23各々は、駆動モーター231及びRFIDリーダライタ232を備える。前記駆動モーター231は、前記固定カセット21の駆動機構に駆動力を供給する。
【0023】
前記RFIDリーダライタ232は、前記固定カセット21に設けられたRFIDタグに対してRFID(Radio Frequency Identification)の無線通信技術を利用して情報を読み書きする情報読取手段である。なお、前記RFIDタグ及び前記RFIDリーダライタ232の設置箇所は、前記固定カセット21が前記装着部211に装着された状態で前記RFIDリーダライタ232による(前記固定カセット21の)前記RFIDタグの情報の読み書きが可能な範囲で相対的に定められていればよい。
【0024】
前記RFIDタグは、前記固定カセット21各々を識別するためのカセット識別情報などが記憶される不揮発性の記録媒体であり、前記カセット識別情報は前記薬品払出システム100の初期設定などにおいて前記払出制御装置1により書き込まれる。また、前記固定カセット21には、当該固定カセット21に対応する前記カセット識別情報が予め記憶された読み取り専用のRFIDタグが設けられていてもよい。
【0025】
前記薬品カセットとしての前記可変カセット22各々は、前記錠剤供給ユニット2に設けられた前記装着部221各々に装着可能に構成されている。ここで、1つの前記装着部221には、1つの前記可変カセット22(前記薬品カセット)が取り外し可能に装着されるため、前記錠剤供給ユニット2には最大で(前記可変カセット22用の)前記装着部221と同数の前記可変カセット22を同時に装着可能である。なお、他の実施形態として、前記可変カセット22の一部が前記装着部221に設けられており、当該可変カセット22の他の部分が前記装着部221に取り外し可能に装着されてもよい。
【0026】
前記装着部221各々は、前記可変カセット22を個別に駆動させる第2駆動部24(図2参照)を備えている。前記第2駆動部24各々は、駆動モーター241~244及びRFIDリーダライタ245を備える。前記駆動モーター241~244は、前記可変カセット22の駆動機構に駆動力を供給する。
【0027】
前記RFIDリーダライタ245(図7参照)は、前記可変カセット22に設けられたRFIDタグ26(図6参照)に対してRFIDの無線通信技術を利用して情報を読み書きする情報読取手段である。なお、前記RFIDタグ26及び前記RFIDリーダライタ245の設置箇所は、前記可変カセット22が前記装着部221に装着された状態で前記RFIDリーダライタ245による前記RFIDタグ26の情報の読み書きが可能な範囲で相対的に定められていればよい。
【0028】
前記RFIDタグ26は、前記可変カセット22各々を識別するためのカセット識別情報、及び後述の薬品払出方法において前記可変カセット22に割り当てられた錠剤の薬品情報などが記録される不揮発性の記録媒体である。
【0029】
前記薬品情報は、錠剤(薬品)の種類を識別可能な情報であって、例えば薬品名、薬ID、JANコード、RSSコード、QRコード(登録商標)などである。なお、前記JANコード及び前記RSSコードは、一次元コード(バーコード、GS1コード)で表現される数値又は文字の情報であり、前記QRコード(登録商標)は、二次元コードで示される数値又は文字の情報である。
【0030】
なお、前記可変カセット22の数と前記装着部221の数とは一致していなくてもよい。例えば、ユーザーが、前記装着部221の数よりも多い数の前記可変カセット22から任意の前記可変カセット22を選択して前記装着部221に装着可能であることが考えられる。この点は、前記固定カセット21及び前記装着部211についても同様である。
【0031】
[固定カセット21]
ここで、図3を参照しつつ、前記固定カセット21の構造の一例について説明する。なお、ここで説明する前記固定カセット21の構造は一例に過ぎず、同様の機能を有するものであれば他の構造であってもよい。なお、図3は、前記固定カセット21の上部を覆うカバー部材を省略した図である。
【0032】
前記固定カセット21各々では、収容される錠剤の種類が予め定められている。そのため、例えば前記固定カセット21各々の前面には、前記固定カセット21に収容される錠剤の薬品情報が予め記載されている。
【0033】
図3に示すように、前記固定カセット21は、複数の錠剤が収容される錠剤収容部212、及び剤前記錠剤収容部212に収容された錠剤を個別に排出する錠剤排出部213を備えている。前記錠剤排出部213は、前記錠剤収容部212の略中央部に形成された凹部に設けられており、前記錠剤収容部212内の錠剤は前記錠剤排出部213に向けて順次下降する。
【0034】
前記錠剤排出部213は、前記固定カセット21の筐体で回転可能に支持されたローター214と、前記ローター214の外周を覆う内壁214Aとを備えている。前記ローター214は、前記固定カセット21が前記装着部211に装着されたときに、各種のギアなどの駆動伝達系を介して前記第1駆動部23の前記駆動モーター231に連結される。また、前記ローター214の外周面には、予め定められた配置間隔でリブ215及びリブ216が形成されている。これにより、前記ローター214の外周には、前記リブ215、前記リブ216、及び前記内壁214Aによって囲まれた間隙217が間欠的に形成されている。前記間隙217の幅は、前記固定カセット21に収容される錠剤として予め定められた錠剤の種類に応じて定められており、前記錠剤の1錠分の幅に相当する。
【0035】
また、前記リブ215及び前記リブ216の間には前記ローター214の外周面全体に亘る間隙218が形成されている。ここで、前記リブ215及び前記リブ216各々の上端の高さは、前記固定カセット21に収容される錠剤として予め定められた錠剤の種類に応じて定められている。具体的に、図3に示す前記リブ215の上端の高さは前記錠剤の3錠分の高さに相当するものであり、前記ローター214の前記間隙217各々には前記錠剤が3錠ずつ挿入される。また、前記リブ216の上端の高さは、前記錠剤の1錠分の高さに相当する。
【0036】
一方、前記内壁214Aには、前記ローター214から錠剤を排出するための排出口219が形成されており、前記排出口219には前記間隙218に挿入される仕切板220が設けられている。これにより、前記排出口219では、前記間隙217に挿入されている3錠の錠剤のうち、上の2錠は前記仕切板220によって落下が規制され、下の1錠のみが排出される。したがって、前記固定カセット21では、前記駆動モーター231によって前記ローター214が駆動されることにより、前記錠剤収容部212に収容された錠剤が1錠単位で払い出される。
【0037】
[可変カセット22]
次に、図4図7を参照しつつ、前記薬品カセットとしての前記可変カセット22の構造の一例について説明する。なお、ここで説明する前記可変カセット22の構造は一例に過ぎず、任意の錠剤を1錠ずつ払い出すことが可能なものであれば他の構造であってもよい。例えば、特表2010-535683号公報又は特開2010-115493号公報には、前記可変カセット22の他の例が開示されている。また、前記可変カセット22が、螺旋状の内面を有する円筒状部材であって、当該円筒状部材が傾斜した状態で回転することにより前記円筒状部材内に収容されている錠剤が螺旋状の内面に沿って上部に移動して順に払い出される構成であってもよい。
【0038】
図4図6に示すように、前記可変カセット22は、複数の錠剤(薬品)が収容される錠剤収容部222と、前記錠剤収容部222から錠剤を払い出す第1回転体223及び第2回転体224とを備えている。なお、図4図6は、前記可変カセット22の上部を覆うカバー部材を省略した図である。また、前記可変カセット22は、予め定められた単位量ごとに錠剤(薬品)を払い出すことが可能であればよく、例えば1錠単位ではなく複数錠ごとの払い出しが可能な構成であってもよい。
【0039】
前記第1回転体223は、前記錠剤収容部222の底面を構成する円盤状の部材である。前記第1回転体223の回転軸は鉛直方向に対して予め定められた所定角度だけ傾斜しており、前記第1回転体223の上面が水平面に対して前記所定角度だけ傾斜している。また、前記第1回転体223の上面には放射状のリブ223Aが所定間隔ごとに形成されている。そして、前記第1回転体223は、前記可変カセット22の筐体によって回転可能に支持されており、駆動ギア223B(図5参照)に連結されている。
【0040】
前記第2回転体224は、平面視で前記第1回転体223の周囲に配置された中空環状の部材であって、前記錠剤収容部222の錠剤を払出口225に搬送して前記払出口225から払い出す搬送部材の一例である。また、前記第1回転体223の上端部は、前記第2回転体224と同一水平面上に位置している。そして、前記第2回転体224は、前記可変カセット22の筐体によって回転可能に支持されており、駆動ギア224A(図6参照)が外周面に形成されている。
【0041】
一方、図7に示すように、前記装着部221は、駆動ギア221A、及び駆動ギア221Bを備える。前記装着部221に前記可変カセット22が装着されたときに、前記駆動ギア221Aは前記第1回転体223の前記駆動ギア223Bに連結され、前記駆動ギア221Bは前記第2回転体224の前記駆動ギア224Aに連結される。前記駆動ギア221Aは、前記第2駆動部24の前記駆動モーター241に連結されており、前記駆動ギア221Bは、前記第2駆動部24の前記駆動モーター242に連結されている。
【0042】
さらに、図4及び図5に示すように、前記可変カセット22は、前記第2回転体224により前記払出口225まで搬送される前記錠剤の払出経路上に配置された高さ規制部材226及び幅規制部材227を備えている。
【0043】
前記高さ規制部材226は、前記第2回転体224により前記払出口225まで搬送可能な錠剤(薬品)の高さ方向のサイズを規制し、前記幅規制部材227は、前記第2回転体224により前記払出口225まで搬送可能な錠剤(薬品)の幅方向のサイズを規制する。これにより、前記可変カセット22では、前記第2回転体224に載置された錠剤のうち前記高さ規制部材226により規制される高さh1及び前記幅規制部材227により規制される幅w1に収まる錠剤のみが前記払出口225から払い出される。したがって、前記可変カセット22では、前記高さh1及び前記幅w1が前記錠剤収容部222に収容される錠剤の1錠分の高さ及び幅以上であって少なくとも2錠分の高さ及び幅より小さい場合に、その錠剤を1錠単位で払い出すことが可能である。より詳細に、前記可変カセット22では、前記第2回転体224上に錠剤の重心が存在する場合に当該錠剤が前記第2回転体224上に残る可能性があるため、前記幅規制部材227によって規制される幅w1が、当該錠剤の0.5錠分の幅以上であって当該錠剤の1.5錠分の幅よりも小さく設定されることが考えられる。
【0044】
そして、前記可変カセット22は、前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1を変更するための高さ調整部226Aと、前記幅規制部材227により規制される前記幅w1を変更するための幅調整部227Aとを備えている。前記幅調整部227Aの外周面には、前記幅規制部材227に形成された長穴227Bの内周面に形成されたラック(ギア)に噛合されたピニオンギアが形成されている。
【0045】
前記高さ調整部226Aは、前記可変カセット22の筐体によって回転可能に支持されており、駆動ギア226B(図6参照)に連結されている。前記高さ調整部226Aは、前記駆動ギア226Bが回転駆動されることにより前記高さ規制部材226の下端部の位置を上下に移動させ、前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1を変更する。
【0046】
前記幅調整部227Aは、前記可変カセット22の筐体によって回転可能に支持されており、駆動ギア227C(図6参照)に連結されている。前記幅調整部227Aは、前記駆動ギア227Cが回転駆動されることにより前記幅規制部材227の前記錠剤収容部222側への突出量を変更し、前記幅規制部材227により規制される前記幅w1を変更する。具体的に、前記幅規制部材227の前記錠剤収容部222側への突出量は、前記駆動ギア227Cの回転により前記幅調整部227A及び前記長穴227B各々が矢印R3方向(図4参照)に相対的に移動することによって変更される。
【0047】
一方、図7に示すように、前記装着部221は、駆動ギア221C、及び駆動ギア221Dを備えている。前記装着部221に前記可変カセット22が装着されたときに、前記駆動ギア221Cは前記駆動ギア226Bに連結され、前記駆動ギア221Dは前記駆動ギア227Cに連結される。前記駆動ギア221Cは、前記第2駆動部24の前記駆動モーター243に連結されており、前記駆動ギア221Dは、前記第2駆動部24の前記駆動モーター244に連結されている。これにより、前記高さ規制部材226及び前記幅規制部材227は、前記駆動モーター243,244によって駆動可能である。
【0048】
なお、図6及び図7に示すように、前記可変カセット22及び前記装着部221は、前記可変カセット22が前記装着部221に装着されたときに連結される駆動ギア228A及び駆動ギア228Bを備えている。前記駆動ギア228Aは、前記第1回転体223を上下方向に昇降させる昇降機構に連結されており、前記駆動ギア228Bは駆動モーターに連結されている。これにより、前記駆動モーターが駆動されると、前記駆動ギア228Bから前記駆動ギア228Aに駆動力が伝達され、前記昇降機構により前記第1回転体223が昇降可能である。したがって、前記薬品払出システム100では、前記第1回転体223を昇降させることにより、前記錠剤収容部222内の容積を変更することが可能であり、前記錠剤収容部222内に収容可能な薬品量(錠剤数)を任意に調節することが可能である。そのため、前記可変カセット22は、収容される錠剤数が少ない用途、及び収容される錠剤数が多い用途の両方で使用可能である。
【0049】
そして、前記可変カセット22では、前記第1回転体223が回転方向R1(図4及び図5参照)に回転されると、前記錠剤収容部222の錠剤が前記第1回転体223から前記第2回転体224に排出される。また、前記可変カセット22では、前記第2回転体224が回転方向R2(図4及び図5参照)に回転されると、前記第2回転体224上の錠剤が前記払出口225に向けて搬送される。
【0050】
ただし、前記第2回転体224により搬送される錠剤のうち高さ方向に積み重なった錠剤は前記高さ規制部材226に接触して前記錠剤収容部222に戻される。また、前記第2回転体224により搬送される錠剤のうち幅方向に並んで搬送されている錠剤は前記幅規制部材227に接触して前記錠剤収容部222に戻される。
【0051】
これにより、前記可変カセット22では、前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1及び前記幅規制部材227により規制される前記幅w1に対応するサイズの錠剤は、前記第2回転体224上の周方向に1錠ずつ並んだ状態で前記払出口225まで搬送される。そのため、前記可変カセット22では、前記錠剤収容部222に収容された錠剤を1錠単位で払い出すことが可能であり、前記錠剤の払出量を制御することが可能である。
【0052】
そして、前記可変カセット22では、前記高さ規制部材226により規制される前記高さh1及び前記幅規制部材227により規制される前記幅w1が変更可能であるため、任意の種類の錠剤を1錠単位で払い出すことが可能である。
【0053】
すなわち、前記薬品カセットとしての前記可変カセット22においては、前記第2回転体224上に形成される薬品(錠剤)の払出経路の前記高さh1及び前記幅w1の少なくとも一方が、調整(調節)可能である。本実施形態では、前記払出制御装置1が、前記装着部221の前記駆動モーター243,244を制御することによって、当該装着部221に装着されている前記可変カセット22における払出経路の前記高さh1及び前記幅w1の少なくとも一方を調整する「キャリブレーション」を行う。つまり、前記払出制御装置1は、前記装着部221に前記可変カセット22が装着された状態において、前記駆動モーター243を制御することで前記払出経路の前記高さh1を調整し、前記駆動モーター244を制御することで前記払出経路の前記幅w1を調整する。
【0054】
詳しくは後述するが、前記払出制御装置1は、前記薬品カセット(前記可変カセット22)に割り当てられている前記薬品情報に対応する駆動条件に従って、当該薬品カセットにおける前記払出経路の前記高さh1及び前記幅w1の少なくとも一方を調整する。なお、本実施形態に係る前記薬品払出システム100は、前記キャリブレーションにおいて前記払出経路の前記高さh1及び前記幅w1のいずれも調整可能であるが、これに限らず、前記払出経路の前記高さh1及び前記幅w1の少なくとも一方を調整できればよい。
【0055】
また、前記可変カセット22の前記払出口225には、例えば透過型又は反射型の光学式センサー225A(図2参照)が設けられている。前記光学式センサー225Aは、前記払出口225を通過する錠剤を検知する。そのため、前記制御ユニット6においては、前記光学式センサー225Aの検知結果に基づいて、前記可変カセット22から払い出される薬品(錠剤)の排出数をカウント可能となる。したがって、前記制御ユニット6は、前記光学式センサー225Aを用いてカウントした薬品の排出数に基づいて、前記可変カセット22の駆動を制御し、指定された払出量(処方量)の薬品を前記可変カセット22から払い出すことが可能である。
【0056】
また、前記可変カセット22各々には、図1及び図4に示すように、表示内容が変更可能な表示部25が設けられている。ここに、前記表示部25は、通電により表示内容が書き込まれると、その後は無通電状態でも前記表示内容の表示が維持される電子ペーパーである。
【0057】
具体的に、前記可変カセット22及び前記装着部221各々には前記可変カセット22が前記装着部221に装着されたときに接続される接点式のコネクタが設けられている。ここで、前記可変カセット22側の前記コネクタには前記表示部25が接続されており、前記装着部221側の前記コネクタには前記払出制御装置1が接続されている。そして、前記可変カセット22が前記装着部221に装着されると、前記表示部25及び前記払出制御装置1が前記コネクタによって電気的に接続される。これにより、前記払出制御装置1は、前記表示部25各々の表示を変更することが可能になる。なお、前記表示部25は、電子ペーパーに限らず、液晶ディスプレイ等の他の表示手段であってもよい。また、前記表示部25は、前記可変カセット22各々に対応して前記可変カセット22が装着される前記装着部221に設けられることも考えられる。
【0058】
さらに、前記可変カセット22各々には、図6に示すように、各種の情報を記憶する前記RFIDタグ26が内蔵されている。前記RFIDタグ26は、前記RFIDリーダライタ245による記憶情報の書き換えが可能な不揮発性の記録媒体であって、前述したように前記可変カセット22各々のカセット識別情報、及び前記可変カセット22各々に割り当てられた前記薬品情報などの記憶に用いられる。前記RFIDタグ26は、前記可変カセット22各々に設けられる制御基板に搭載されたものであり、前記制御基板は前記払出制御装置1からの制御信号に従って前記可変カセット22の前記表示部25の表示を変更する機能も有している。なお、前記制御基板には、前記コネクタを介して供給される電力、前記制御基板に搭載された電池などの蓄電部から供給される電力、又は前記RFIDリーダライタ245から前記RFIDタグ26へ供給される電力により駆動する電気回路が搭載されている。
【0059】
また、前記装着部221と前記薬品カセット(前記可変カセット22)との間の通信手段は、RFIDの無線通信技術に限らず、その他の近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)、若しくは光通信などの非接触通信、又は前記コネクタを介した有線通信などであってもよい。例えば、前記装着部221と前記可変カセット22とが有線通信を行う場合には、前記可変カセット22各々は、前記RFIDタグ26に代えて、前記払出制御装置1が前記コネクタを介して情報を読み書きすることのできるEEPROM(登録商標)等の他の記録媒体を有することも他の実施形態として考えられる。
【0060】
[散薬供給ユニット3]
図1に示すように、前記散薬供給ユニット3は、二つの投入部31,32を備えており、前記投入部31、32各々に投入された散薬を、前記払出制御装置1により予め設定される服用時期などの分包単位で前記分包ユニット5に供給する。
【0061】
具体的に、前記散薬供給ユニット3は、前記投入部31に投入された散薬を円盤上に均等に展開して前記分包単位に相当する所定角度ごとに掻き出す払出部、及び前記投入部32に投入された散薬を円盤上に均等に展開して前記分包単位に相当する所定角度ごとに掻き出す払出部の二組の払出部を備えている。なお、前記散薬供給ユニット3に投入される散薬は、患者に処方する処方薬の総量として予め秤量装置を用いて計量されたものである。前記散薬供給ユニット3では、前記払出部により前記円盤上に展開された散薬を掻き出す最小の角度に限度があり、当該散薬供給ユニット3への一度の散薬の投入により当該散薬供給ユニット3から払い出し可能な最大分包数には上限がある。また、前記散薬供給ユニット3の構造はここで説明したものに限らず、投入される散薬を予め設定された分包数に分割して払い出し可能なものであればよい。
【0062】
[手撒きユニット4]
前記手撒きユニット4は、予め設定された服用時期などの分包単位で錠剤が投入されるマス411(図8参照)が複数並設された手撒き収容部41と、前記マス411各々に収容された前記錠剤を前記マス411ごとに前記分包ユニット5に払い出す手撒き払出部とを備える。例えば、前記手撒きユニット4は、前記薬品払出データに示された払出錠数が少ない錠剤、又は、1錠未満の半錠などの錠剤の払い出しに用いられる。
【0063】
前記手撒き収容部41では、図8に示されるように、複数の前記マス411が、縦方向及び横方向にマトリクス状で配置されている。なお、前記マス411の並設方向は、縦方向又は横方向のいずれか一方のみであってもよく、千鳥状に並設されていてもよい。
【0064】
前記手撒き払出部は、例えば前記手撒き収容部41の前記マス411の底面を個別に開閉することにより前記マス411に収容された錠剤を払い出すことが可能な構成が考えられる。なお、前記手撒きユニット4は、前記固定カセット21に予め収容されていない任意の錠剤を払い出す際に利用可能である。前記薬品払出システム100では、前記固定カセット21に収容されていない錠剤は、前記可変カセット22又は前記手撒きユニット4を利用して払い出すことが可能である。
【0065】
ところで、前記マス411各々への錠剤の投入作業の作業効率は、前記可変カセット22の前記錠剤収容部222に纏めて複数の錠剤を投入する場合に比べて悪くなる。特に、前記マス411各々は隣接して配置されており、前記マス411各々のサイズは少なくとも前記可変カセット22の前記錠剤収容部222よりも小さい。そのため、錠剤のサイズが小さい場合には、特に錠剤の前記マス411各々への投入作業の作業効率が前記錠剤収容部222への投入作業に比べて悪くなる。また、前記手撒きユニット4では、当該手撒きユニット4への一度の錠剤の投入により当該手撒きユニット4から払い出し可能な最大分包数が前記マス411の数で制限される。
【0066】
[分包ユニット5]
前記分包ユニット5は、前記薬品払出データに基づいて前記薬品払出システム100を制御し、前記錠剤供給ユニット2、前記散薬供給ユニット3、及び前記手撒きユニット4から供給された一又は複数種類の薬品を服用時期などの分包単位で一つの分包紙に分包する分包動作を実行する。例えば、前記分包ユニット5は、透明又は半透明のロール状の薬包シートにより前記分包単位で薬品を包装して溶着等により封止する。これにより、前記分包単位で薬品が収容された前記薬包シートが前記分包ユニット5から排出される。前記分包ユニット5は、前記散薬供給ユニット3から払い出される散薬と、前記錠剤供給ユニット2又は前記手撒きユニット4から払い出される錠剤とを同じ分包紙で包装することも可能である。
【0067】
なお、前記分包ユニット5では、前記錠剤供給ユニット2又は前記手撒きユニット4から供給される錠剤のみが前記分包紙で包装されること、又は、前記散薬供給ユニット3から供給された散薬のみが前記分包紙で包装されることもある。また、前記分包ユニット5には、前記分包紙に情報を印刷する印刷部が設けられており、前記分包紙の表面には、前記印刷部によって患者の氏名、服用時期、処方薬、又は処方量などの処方情報が印刷可能である。
【0068】
[制御ユニット6]
前記制御ユニット6は、図2に示すように、制御部61及び記憶部62を備え、前記錠剤供給ユニット2、前記散薬供給ユニット3、前記手撒きユニット4、及び前記分包ユニット5などを制御することにより前記薬品払出システム100に分包動作を実行させる。なお、前記制御ユニット6は、前記薬品払出システム100に内蔵されている。
【0069】
前記制御部61は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びEEPROM(登録商標)などを有する制御手段である。前記制御部61は、前記ROM、前記EEPROM(登録商標)又は前記記憶部62などの記憶手段に予め記憶された各種のプログラムに従った各種の処理を前記CPUによって実行する。
【0070】
前記記憶部62は、各種のデータを記憶するハードディスク装置又はSSD(Solid State Drive)などの記憶手段である。具体的に、前記記憶部62には、前記制御部61等のコンピューターに種々の処理を実行させるためのプログラムが予め記憶されている。そして、前記制御部61は、前記プログラムに従って各種の処理を実行することにより、前記固定カセット21、前記可変カセット22、前記散薬供給ユニット3、又は前記手撒きユニット4等から薬品を払い出して分包することが可能である。
【0071】
[バーコードリーダー7]
前記バーコードリーダー7は、薬品を識別するコードを読み取るものであり、薬局の薬品棚などに設けられた錠剤の収容容器(箱又は瓶など)又はPTP(Press Through Pack)シートなどに記載されたJANコード、RSSコード、又はQRコード(登録商標)などのコード情報を読み取り可能なPDA(Personal Digital Assistant)などのコード読取部である。
【0072】
なお、前記バーコードリーダー7は、例えば薬剤師などが薬品のピッキングに使用するピッキング補助装置などであってもよい。前記ピッキング補助装置は、薬剤師等が処方箋に従って薬品棚から薬品を取り出して手動で調剤する際に用いられ、例えば、前記収容容器に記載されたJANコードから薬品を読み取って、その読み取られた薬品と薬品払出データとの照合を行う。また、前記バーコードリーダー7は、処方箋に記載されたバーコードなどの読み取りに用いられてもよい。
【0073】
そして、前記バーコードリーダー7により読み取られた情報は、前記バーコードリーダー7から無線通信により前記払出制御装置1に入力される。なお、前記バーコードリーダー7が前記払出制御装置1に有線接続されることも考えられる。また、薬局内に前記薬品払出システム100が複数台設けられる場合には、前記薬品払出システム100各々に予め対応付けられた前記バーコードリーダー7が個別に設けられる。
【0074】
[払出制御装置1]
前記払出制御装置1は、前記薬品払出システム100を統括的に制御するコンピューターである。図1及び図2に示すように、前記払出制御装置1は、制御部11、記憶部12、モニター13、操作部14、及び通信IF15等を備える。
【0075】
前記制御部11は、前記制御部61と同様に、CPU、RAM、ROM及びEEPROM(登録商標)などを有し、前記ROM、前記EEPROM(登録商標)又は前記記憶部12などの記憶手段に記憶された各種のプログラムに従った各種の処理を前記CPUによって実行する。なお、前記CPUは、各種の処理を実行する1以上のプロセッサーであり、前記RAM及び前記EEPROM(登録商標)は、前記CPUによって実行される各種の処理の一時記憶メモリー(作業領域)として利用される。
【0076】
前記記憶部12は、前記記憶部62と同様に、各種のデータを記憶するハードディスク装置又はSSDなどの記憶手段であって、前記制御部11等のコンピューターに後述の薬品払出方法を実行させるための薬品払出プログラムが予め記憶されている。
【0077】
また、前記記憶部12には、例えば医薬品マスター、患者マスター、カセットマスター、及び薬局マスターなどの各種のデータベースも記憶されている。なお、前記制御部11は、例えばコンピューター読み取り可能な非一時的記録媒体から読み取られたデータに基づいて、前記記憶部12に記憶されている前記各種のデータベースを更新することが可能である。また、前記制御部11は、前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記各種のデータベースの内容を変更することも可能である。
【0078】
前記医薬品マスターには、薬ID、薬品名、JANコード(又はRSSコード)、薬瓶コード、区分(剤形:散薬、錠剤、水剤、外用薬など)、錠剤のサイズ(高さ及び幅など)、比重、薬品種(普通薬、毒薬、麻薬、劇薬、抗精神薬、治療薬など)、配合変化、賦形薬品、注意事項などの医薬品各々に関する情報が含まれる。前記患者マスターには、患者ID、氏名、性別、年齢、既往歴、処方薬履歴、家族情報、診療科、病棟、及び病室などの患者に関する情報が含まれる。前記薬局マスターには、薬局名、薬剤師の氏名、薬剤師のIDなどの薬局に関する情報が含まれる。また、前記カセットマスターは、前記装着部211に装着された前記固定カセット21各々のカセット識別情報と前記固定カセット21各々に割り当てられた前記薬品情報との対応関係を示す情報である。前記カセットマスターは、例えば前記薬品払出システム100の初期設定における前記操作部14のユーザー操作に応じて前記制御部11によって登録される。
【0079】
さらに、前記記憶部12には、前記可変カセット22と前記薬品情報との割当状態を示す割当情報121、及び前記薬品情報と前記可変カセット22の駆動条件との対応関係を示す駆動対応情報122が記憶されている。前記割当情報121及び前記駆動対応情報122は、前記制御部11によって実行される後述の薬品払出方法で用いられる。
【0080】
なお、前記薬品払出プログラムは、例えばCD、DVD、又は半導体メモリーなどのコンピューター読み取り可能な非一時的記録媒体に記録されており、ディスクドライブなどの読取装置によって前記記録媒体から読み取られて前記記憶部12にインストールされる。
【0081】
また、前記薬品払出システム100が、前記制御ユニット6を有しておらず、前記払出制御装置1が前記制御ユニット6としても機能することが考えられる。具体的には、前記制御部11が、前記薬品払出プログラムに従って、前記薬品払出システム100を機能させる一連の処理を全て実行することが考えられる。
【0082】
前記モニター13は、前記制御部11からの制御指示に従って各種の情報及び操作画面を表示する液晶ディスプレイ等の表示手段である。例えば、前記モニター13には、薬品払出データの入力画面、薬品払出データの選択画面、及び可変カセット22の選択画面などの各種情報が表示される。
【0083】
前記操作部14は、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウス及びタッチパネル等の操作手段であり、ユーザー操作に対応する操作信号を前記制御部11に入力する。前記操作部14は、例えば前記モニター13に表示された前記入力画面における薬品払出データの入力操作、前記選択画面における薬品払出データの選択操作、前記選択画面における可変カセット22の選択操作、及び前記薬品払出データの分包開始を要求する薬品払出データの発行操作などの各種操作入力を受け付けるタッチパネルである。
【0084】
前記通信IF15は、前記薬品払出システム100をLAN等の通信網N3に接続するための通信インターフェースであって、前記通信網N3を介して接続された処方入力端末200などの上位システムとの間でデータ通信を実行する。なお、前記処方入力端末200は、例えば病院及び老健施設などに配置される電子カルテシステム、院内又は院外の薬局に配置される調剤管理システムなどである。また、前記通信IF15は、前記バーコードリーダー7等の各種の無線通信機器との間で無線データ通信を行う無線通信カードなどの無線通信インターフェースも備えている。
【0085】
そして、前記通信IF15は、前記処方入力端末200から処方データを薬品払出データとして取得し、前記薬品払出データを前記制御部11に入力する。例えば、前記通信IF15は、前記処方入力端末200に設けられた記憶手段の所定の記憶領域に薬品払出データが記憶されたか否かを監視しており、前記所定の記憶領域に前記薬品払出データが記憶された場合に、前記薬品払出データを前記所定の記憶領域から読み出す。もちろん、前記通信IF15は、前記処方入力端末200から能動的に送信される前記薬品払出データを受信してもよい。
【0086】
ところで、前記払出制御装置1の前記制御部11は、図1に示すように、割当処理部111、駆動処理部112、及び通知処理部113を含む。また、本実施形態では、前記制御部11は、前記割当処理部111、前記駆動処理部112、及び前記通知処理部113に加えて、ロック処理部114、及び調整処理部115を更に含む。具体的に、前記制御部11は、前記薬品払出プログラムに従って後述の薬品払出方法に係る各種の処理を実行することにより、前記割当処理部111、前記駆動処理部112、前記通知処理部113、前記ロック処理部114、及び前記調整処理部115などの各種の処理部として機能する。すなわち、本実施形態では、前記制御部11が前記払出制御装置1の主要機能を具現化する。言い換えれば、本実施形態に係る前記払出制御装置1は、前記制御部11さえ備えていればよく、前記記憶部12、前記モニター13、前記操作部14、及び前記通信IF15などは、構成要素に含まなくてもよい。なお、前記制御部11は、複数のプロセッサーを備え、当該複数のプロセッサーのいずれかが前記各種の処理部として機能してもよい。また、前記各種の処理部の一部又は全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの電子回路(集積回路)で構成されていてもよい。
【0087】
その他、前記制御部11は、表示処理部、及び受付処理部などの機能を有する。前記表示処理部は、種々の画面を前記モニター13に表示させることで、前記ユーザーに対する情報の提示を行う。前記表示処理部が表示させる画面の一例として、前記可変カセット22を選択するためのカセット選択画面などがある。前記カセット選択画面では、例えば、前記可変カセット22各々を選択するための複数の選択領域が、前記薬品払出システム100における前記可変カセット22各々の配列と同じ配列で表示される。前記受付処理部は、前記操作部14に対する前記ユーザーによる種々の操作を受け付ける。前記受付処理部が受け付ける操作の一例として、前記カセット選択画面における前記選択領域の選択操作などがある。
【0088】
また、前記制御部11の機能の一部又は全部が前記制御ユニット6の前記制御部61に設けられることも他の実施形態として考えられる。例えば、前記制御ユニット6に、前記薬品払出プログラムの一部又は全部がインストールされており、前記制御ユニット6の前記制御部61が、後述の薬品払出方法に係る各種の処理を実行することも考えられる。この場合、前記制御部61が前記払出制御装置1の主要機能を具現化する。さらに、前記薬品払出システム100において、前記払出制御装置1及び前記制御ユニット6が協働して後述の薬品払出方法に係る各種の処理を実行することも考えられる。
【0089】
前記割当処理部111は、前記装着部221に装着された状態の前記薬品カセット(前記可変カセット22)に前記薬品情報を割り当てる割当処理(割当ステップ)を実行する。前記割当処理部111は、前記薬品払出データ(前記処方データ)が前記処方入力端末200から前記払出制御装置1に入力された場合に、前記薬品払出データに含まれる前記薬品情報のうち前記可変カセット22から払い出しを行うべき薬品の薬品情報、つまり払出対象の薬品情報を、前記可変カセット22に割り当てる。前記割当処理部111は、前記払出対象の前記薬品情報を前記可変カセット22の前記RFIDタグ26に書き込むことをもって、当該薬品情報を当該可変カセット22に割り当てる。具体的には、前記割当処理部111は、前記薬品情報が未だ割り当てれられていない、つまり「未割当」の前記可変カセット22が前記装着部221に装着されている状態で、当該装着部221にて前記可変カセット22に対する前記薬品情報の割り当て(書き込み)を行う。このとき、前記割当処理部111は、前記装着部221の前記RFIDリーダライタ245を制御して、前記可変カセット22の前記RFIDタグ26に前記薬品情報を書き込ませることにより、前記薬品情報の割り当てを行う。
【0090】
ここで、前記割当処理部111は、前記受付処理部で受け付けられた前記選択領域に対応する前記可変カセット22に、前記払出対象の前記薬品情報を割り当てることが可能である。また、前記割当処理部111は、前記払出対象の前記薬品情報を、自動的に、前記可変カセット22又は前記手撒きユニット4のいずれかに割り当てることも可能である。
【0091】
前記駆動処理部112は、前記薬品情報を割当済みの前記薬品カセット(前記可変カセット22)が装着されている前記装着部221を駆動させて当該薬品カセット(前記可変カセット22)から薬品を払い出させる駆動処理(駆動ステップ)を実行する。具体的に、前記駆動処理部112は、前記可変カセット22が装着されている前記装着部221の前記第2駆動部24における前記駆動モーター241を駆動させて前記第1回転体223を回転駆動させ、前記駆動モーター242を駆動させて前記第2回転体224を回転駆動させる。これにより、前記装着部221に装着されている前記可変カセット22が駆動され、当該可変カセット22から薬品(錠剤)の払い出しが行われる。
【0092】
前記通知処理部113は、未割当の前記薬品情報が存在し、かつ前記装着部221に未割当の前記薬品カセットが装着されていない場合に、通知情報の通知を行う通知処理(通知ステップ)を実行する。さらに、本実施形態では、前記装着部221は複数設けられている。前記通知処理部113は、前記複数の前記装着部221のうちの一部の装着部221が駆動中である状態において、未割当の前記薬品情報が存在し、かつ駆動中でない前記装着部に未割当の前記薬品カセットが装着されていない場合に、前記通知情報の通知を行う。すなわち、前記通知処理部113は、所定の通知条件を満たす場合に、前記通知情報の通知を行う。前記通知条件は、第1条件、第2条件、及び第3条件を含む。前記第1条件は、前記薬品払出データに含まれる前記薬品情報のうち前記可変カセット22からの払出対象であるにもかかわらず、いずれの前記可変カセット22にも未だ割り当てられていない「未割当」の前記薬品情報が存在すること、である。前記第2条件は、前記錠剤供給ユニット2に含まれる前記複数の前記装着部221の中に、薬品を払い出すために前記駆動処理部112によって駆動されていない、つまり「駆動中でない」前記装着部221が存在すること、である。前記第3条件は、駆動中でない前記装着部221に、前記薬品情報が未だ割り当てれられていない「未割当」の前記可変カセット22が装着されていないこと、である。前記第1条件、前記第2条件、及び前記第3条件を全て満たす場合に、前記通知処理部113は前記通知条件を満たすと判断して前記通知情報の通知を行う。ただし、前記通知条件が、前記第1条件、前記第2条件、及び前記第3条件を全て含むことは必須ではなく、例えば、第2条件を含まなくてもよい。
【0093】
本実施形態では一例として、前記通知処理部113は、前記モニター13に前記通知情報を表示させることで、前記通知情報を前記ユーザーに対して通知する。ただし、前記通知処理に係る「通知」の態様は、前記モニター13での表示に限らず、例えば、前記モニター13以外での表示、音声出力、印刷、データ出力、他装置への送信、データベースへの書き込み、及びメモリーへの書き込み等を含んでもよい。例えば、前記通知処理部113は、前記通知条件を満たす場合に、LED等の表示灯の点灯状態(点灯/消灯、発光色、又は点滅パターンなど)による表示により通知を行ってもよい。また、前記通知処理部113は、例えばユーザー端末などの、前記薬品払出システム100以外の装置に、前記通知情報を出力してもよい。また、前記通知処理部113は、例えば前記通知情報の印刷により、前記通知情報を通知してもよい。
【0094】
前記調整処理部115は、前記薬品情報を割当済みで、かつ当該薬品情報に対応する薬品(錠剤)が投入された前記薬品カセット(前記可変カセット22)が前記装着部221に装着されている状態で、前記キャリブレーションを行う調整処理(調整ステップ)を実行する。前記キャリブレーションでは、前記調整処理部115は、前記薬品カセットにおける薬品の前記払出経路の前記高さh1及び前記幅w1の少なくとも一方を、当該薬品カセットに割り当てられている前記薬品情報に対応する前記駆動条件に従って調整する。具体的に、前記調整処理部115は、前記装着部221に前記可変カセット22が装着された状態において、前記駆動モーター243を制御することで前記払出経路の前記高さh1を調整し、前記駆動モーター244を制御することで前記払出経路の前記幅w1を調整する。
【0095】
前記ロック処理部114は、前記装着部221の駆動中に当該装着部221からの前記薬品カセット(前記可変カセット22)の取り外しを制限するロック処理(ロックステップ)を実行する。具体的に、前記薬品払出システム100では、前記装着部221各々に、前記可変カセット22各々の取り外しを制限可能なカセットロック部が設けられており、前記ロック処理部114は前記カセットロック部を制御する。ここでいう「制限」には、前記可変カセット22の取り外しが完全に禁止される態様だけでなく、無理やり取り外すことはできるものの容易には前記可変カセット22が取り外せなくなる態様も含む。前記カセットロック部は、前記可変カセット22の取り外しを制限する「ロック状態」と、制限しない「解除状態」との2つの状態を切替可能に構成されている。
【0096】
一例として、前記カセットロック部は、前記装着部221に設けられた電磁石装置を含み、前記ロック状態では、前記電磁石装置に通電して、前記可変カセット22に設けられた磁性体に吸引力を作用させ、前記可変カセット22の取り外しを制限する。他の例として、前記カセットロック部は、ソレノイド又はモーターなどの駆動部と、前記駆動部によって駆動される引掛部とを含み、前記ロック状態では、前記引掛部を駆動して前記前記可変カセット22の孔等に引掛けて、前記可変カセット22の取り外しを制限する。
【0097】
前記ロック処理部114は、少なくとも前記駆動処理部112により前記装着部221が駆動されている間、当該装着部221の前記カセットロック部の状態を前記ロック状態にすることで、当該装着部221からの前記可変カセット22の取り外しを制限する。一例として、前記ロック処理部114は、前記装着部221の駆動が開始すると前記カセットロック部の状態を前記解除状態から前記ロック状態に切り替え、前記装着部221の駆動が終了すると前記カセットロック部の状態を前記ロック状態から前記解除状態に切り替える。さらに、前記ロック処理部114は、前記調整処理部115により前記装着部221にて前記キャリブレーションが行われている間も、当該装着部221の前記カセットロック部の状態を前記ロック状態にすることで、当該装着部221からの前記可変カセット22の取り外しを制限する。一例として、前記ロック処理部114は、前記キャリブレーションが開始すると前記カセットロック部の状態を前記解除状態から前記ロック状態に切り替え、前記キャリブレーションが終了すると前記カセットロック部の状態を前記ロック状態から前記解除状態に切り替える。
【0098】
以下、前記割当情報121、及び前記駆動対応情報122について詳しく説明する。図9は、前記割当情報121、及び前記駆動対応情報122の一例を示す図である。
【0099】
前記割当情報121では、前記可変カセット22各々に現在割り当てられている錠剤の種類を識別可能な薬IDが前記薬品情報として記憶されている。つまり、前記割当情報121は、前記薬品カセット(前記可変カセット22)と、これに割り当てられている前記薬品情報との組み合わせを表す情報である。もちろん、前記薬IDに代えて薬品名称、又はJANコード(又はRSSコード)などの薬品情報が記憶されていてもよい。また、ここでは4つの前記装着部221にそれぞれ装着可能な6つの前記薬品カセット(前記可変カセット22)に、カセット番号「C1」~「C6」が前記カセット識別情報として予め設定されているものとする。前記カセット識別情報は、前記可変カセット22各々の前記RFIDタグ26にも記憶されている。つまり、例えばカセット番号「C1」の前記可変カセット22の前記RFIDタグ26には、前記カセット識別情報であるカセット番号「C1」と、当該可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報としての薬ID「M1」とが記憶される。
【0100】
前記割当情報121において、現在、薬品情報が割り当てられていない前記可変カセット22には「未割当」の状態である旨が登録されている。具体的に、図9の例では、前記可変カセット22のうちカセット番号「C1」には薬ID「M1」の薬品情報、カセット番号「C3」には薬ID「M2」の薬品情報が割り当てられており、カセット番号「C2」、「C4」、「C5」及び「C6」には、未だ薬品情報が割り当てられていない「未割当」の状態にある。
【0101】
また、前記駆動対応情報122においては、前記薬品情報ごとに対応して予め設定される前記駆動条件が登録されている。つまり、前記駆動対応情報122は、前記薬品情報と、これに対応する前記駆動条件との組み合わせを表す情報である。前記駆動条件には、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを開始する前の前記可変カセット22の調整(キャリブレーション)に関する事前駆動条件の他、前記可変カセット22からの錠剤の払い出し中の駆動制御に関する駆動中条件、及び前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを停止する際の駆動制御に関する駆動停止時条件が含まれる。
【0102】
具体的に、図9に示す前記駆動対応情報122の例では、薬IDが「M1」、「M2」、「M3」、「M4」である薬品の前記薬品情報ごとに対応する前記駆動条件として、「払出経路の高さ」、「払出経路の幅」、「払出速度」、「第1スローダウン」、「第2スローダウン」、及び「逆回転動作」の各項目に関する情報が記憶されている。なお、前記駆動条件は一例に過ぎず、例えば前記可変カセット22が振動により錠剤を1錠ごとに払い出すものである場合にはその振動の振動周波数又は振幅などが前記駆動条件として定められていることが考えられる。
【0103】
前記「払出経路の高さ」及び前記「払出経路の幅」の項目は、前記事前駆動条件の一例であって、前記可変カセット22の前記第2回転体224により錠剤を1錠ずつ前記払出口225から払い出すことが可能な値として設定される前記高さh1及び前記幅w1の値である。
【0104】
前記「払出速度」の項目は、前記駆動中条件の一例であって、前記可変カセット22から錠剤を払い出す際の前記第2回転体224の回転速度として薬品情報ごとに適した回転速度である。例えば、前記錠剤のサイズが小さければ、前記駆動モーター242の回転速度が速い場合、前記駆動モーター242が停止するまでの間に前記錠剤が余分に払い出されやすい。一方、前記錠剤のサイズが大きければ、前記駆動モーター242の回転速度が速くても、前記駆動モーター242が停止するまでの間に前記錠剤が余分に払い出されない。そのため、例えば前記駆動条件として設定されている錠剤の払出速度、つまり前記第2回転体224による錠剤の搬送速度が前記錠剤のサイズによって異なることが考えられる。具体的には、前記錠剤のサイズが大きい場合の前記払出速度は前記錠剤のサイズが小さい場合の前記払出速度に比べて速い値に設定されていることが考えられる。なお、前記第2回転体224の回転速度だけでなく、前記第1回転体223の回転速度も前記駆動条件として設定されることも考えられる。
【0105】
前記「第1スローダウン」及び前記「第2スローダウン」の項目は、前記駆動停止時条件の一例であって、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを停止する際に前記第2回転体224の回転速度を徐々に減速するスローダウンの実行タイミングに関する情報である。前記第1スローダウンは、前記第2回転体224の回転速度を予め定められた第1回転速度まで減速するタイミングを規定する。また、前記第2スローダウンは、前記第2回転体224の回転速度を前記第1回転速度から更に遅い第2回転速度まで減速するタイミングを規定する。例えば、前記可変カセット22に収容されている錠剤の形状が丸みを帯びており転がりやすい場合には、前記第2回転体224の駆動を停止させた後に錠剤が転がって払い出されるおそれがある。そのため、例えば球形などの転がりやすい形状の錠剤については前記第1スローダウン及び前記第2スローダウン各々の開始タイミングが早めに設定される。本実施形態において、前記第1スローダウン及び前記第2スローダウンの開始タイミングは、前記可変カセット22から払い出される錠剤数の残りの錠数によって設定される。これにより、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しの停止時に錠剤が余分に払い出されることが防止される。他方、前記第2回転体224の駆動が停止された場合に転がりにくい形状の錠剤については前記第1スローダウン及び前記第2スローダウンの開始タイミングが遅く設定されるため、不要な前記スローダウンによる払い出し時間の遅延が抑制される。
【0106】
また、前記「逆回転動作」の項目は、前記駆動停止時条件の一例であって、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを停止する際に前記第2回転体224による錠剤の搬送方向を逆方向に切り替える逆回転動作の実行の有無に関する情報である。例えば、前記第2回転体224の駆動を停止させるだけでは、前記第2回転体224上に残存した錠剤が転がって余分に払い出されるおそれがある球形などの転がりやすい形状の錠剤については前記逆回転動作が「有」に設定される。これにより、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しの停止時に錠剤が余分に払い出されることが防止される。なお、前記第2回転体224の駆動が停止された場合に転がりにくい形状の錠剤については前記逆回転動作が「無」に設定され、不要な前記逆回転動作は実行されない。
【0107】
なお、図9に示す前記割当情報121のデータ構造は単なる一例に過ぎず、前記割当情報121は、例えば前記医薬品マスターの一つの項目として前記記憶部12に記憶されたものであってもよい。この場合、前記医薬品マスターでは、薬品各々に対応付けて、当該薬品に割り当てられた前記可変カセット22の前記カセット識別情報が記憶される。また、図9に示す前記駆動対応情報122のデータ構造は単なる一例に過ぎず、前記駆動対応情報122で定められた前記駆動条件は、例えば前記医薬品マスターの一つの項目として前記記憶部12に記憶されたものであってもよい。
【0108】
[薬品払出方法]
以下、図10を参照しつつ、前記払出制御装置1の前記制御部11によって実行される前記薬品払出方法の一例について説明する。前記制御部11は、前記薬品払出プログラムを実行させるための予め設定された特定の開始操作が前記操作部14に対して行われた場合に、前記薬品払出方法に係る各種の処理を実行する。また、前記薬品払出方法は、当該薬品払出方法の実行中であっても前記操作部14に対する特定の終了操作に応じて終了することがある。ここに、前記制御部11が実行する処理手順(ステップ)をステップS1、S2、・・・と称する。なお、本発明は、前記制御部11のようなコンピューターによって前記薬品払出方法の一部又は全部の処理を実行する、方法(薬品払出方法)の発明として捉えてもよい。
【0109】
<ステップS1>
まず、ステップS1において、前記制御部11は、薬品払出データの発行要求があったか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、予め登録された薬品払出データを発行するための発行操作が前記操作部14に対して行われた場合に前記薬品払出データの発行要求が行われたと判断する。前記薬品払出データは、前記処方入力端末200等の上位システムから取得され、又は前記操作部14に対するユーザー操作により登録されて、前記記憶部12に記憶された処方データである。
【0110】
ここで、前記制御部11は、前記薬品払出データの発行要求がない場合(S1:No)、処理を前記ステップS1に戻す。一方、前記制御部11は、前記薬品払出データの発行要求があったと判断すると(S1:Yes)、処理をステップS2に移行させる。なお、前記制御部11が、前記処方入力端末200等の上位システムから前記薬品払出データを受信した場合に、前記発行操作を要することなく前記薬品払出データの発行要求があったと判断して処理を前記ステップS2に移行させてもよい。
【0111】
<ステップS2>
次に、前記ステップS2において、前記制御部11は、前記薬品払出データにより払出対象の錠剤を示す薬品情報として入力された全ての薬品情報に前記固定カセット21が対応するか否かを判断する。具体的に、前記制御部11は、前記記憶部12に記憶されている前記カセットマスターに基づいて、いずれの前記固定カセット21にもない錠剤が、処方薬として前記薬品払出データに含まれているか否かを判断する。なお、前記カセットマスターは、前記装着部211各々に設けられた前記RFIDリーダライタ232などの読取装置によって、前記固定カセット21各々に設けられたRFIDタグから読み取られる薬品情報に基づいて前記制御部11によって更新される。また、前記制御部11は、前記カセットマスターを編集するための編集画面を前記モニター13に表示させ、前記編集画面における前記操作部14のユーザー操作に応じて前記カセットマスターを更新することも可能である。
【0112】
ここで、前記払出対象の薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在しないと判断された場合(S2:No)、つまり前記薬品払出データに含まれた処方薬に、いずれの前記固定カセット21にも収容されていない種類の錠剤が含まれている場合、前記制御部11は処理をステップS3に移行させる。いずれの前記固定カセット21にも収容されていない種類の錠剤は、その錠剤の払出元として、前記可変カセット22又は前記手撒きユニット4を割り当てる必要のある錠剤である。以下、前記可変カセット22又は前記手撒きユニット4を割り当てる必要のある種類の薬品(錠剤)を「割当対象薬品」と称することがある。
【0113】
一方、全ての前記払出対象の薬品情報に対応する前記固定カセット21が存在すると判断した場合(S2:Yes)、つまり前記薬品払出データに含まれた処方薬に含まれる全ての種類の錠剤がいずれかの前記固定カセット21に収容されている場合、前記制御部11は処理をステップS11に移行させる。この場合、前記ステップS11において分包動作を開始するための分包開始操作がなされると、前記固定カセット21各々を用いて分包動作を実行するための処理が実行される。
【0114】
なお、前記薬品払出システム100が、前記固定カセット21を具備しない構成では、前記ステップS2の処理を省略し、前記制御部11が、前記ステップS1で前記薬品払出データの発行要求があったと判断された場合に処理を前記ステップS3に移行させることも可能である。
【0115】
<ステップS3>
前記ステップS3において、前記制御部11は、前記薬品払出データに示される払出対象の錠剤のうち前記割当対象薬品の薬品情報の割当先、つまり前記割当対象薬品の払出元が前記可変カセット22であるか否かを判断する。前記割当対象薬品が前記薬品払出データに複数含まれている場合、前記制御部11は、これら複数の前記割当対象薬品各々の薬品情報について、前記可変カセット22に割り当てるか否かを判断することになる。本実施形態では一例として、前記制御部11が、前記割当対象薬品ごとに払出元を前記可変カセット22と前記手撒きユニット4とから選択させる画面を前記モニター13に表示させ、前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記割当対象薬品の払出元を前記可変カセット22と前記手撒きユニット4とから選択する。なお、例えば前記割当対象薬品が、前記可変カセット22での払い出しが適切でない形状の薬品、払出量が規定値よりも少ない薬品、又は前記可変カセット22内に有色の粉末が付着する可能性の高い薬品である等の特定の条件を満たす場合に、前記制御部11は、当該割当対象薬品の払出元を自動的に前記手撒きユニット4と判断してもよい。
【0116】
ここで、前記割当対象薬品の薬品情報の割当先が前記可変カセット22であると判断された場合(S3:Yes)、つまり前記割当対象薬品の払出元が前記可変カセット22である場合、前記制御部11は処理をステップS4に移行させる。一方、前記割当対象薬品の薬品情報の割当先が前記可変カセット22でないと判断された場合(S3:No)、つまり前記割当対象薬品の払出元が前記手撒きユニット4である場合、前記制御部11は処理をステップS10に移行させる。
【0117】
<ステップS4>
前記ステップS4において、前記制御部11は、前記錠剤供給ユニット2に含まれる前記複数の前記装着部221の中に、薬品を払い出すために前記駆動処理部112によって駆動されていない、つまり非駆動中の前記装着部221が存在するか否かを判断する。つまり、前記制御部11は、前記ステップS4にて、前記通知処理部113が前記通知情報の通知(ステップS6)を行うための前記通知条件の1つである前記第2条件を満たすか否かを判断する。また、本実施形態では、前記調整処理部115により前記キャリブレーションを実行中の前記装着部221についても「駆動中」に含めることとする。さらに、前記払い出しを行う前記可変カセット22が装着されて前記カセットロック部の状態が前記ロック状態にある前記装着部221、つまり後述のステップS12でロックされてステップS147でロックが解除されるまでの状態にある前記装着部221についても、「駆動中」に含めることとする。
【0118】
ここで、前記非駆動中の前記装着部221が存在すると判断された場合(S4:Yes)、つまり前記複数の前記装着部221の中に、前記駆動処理部112によって駆動されておらず、かつ前記調整処理部115による前記キャリブレーションが実行されていない前記装着部221がある場合、前記制御部11は前記第2条件を満たすと判断して処理をステップS5に移行させる。一方、前記非駆動中の前記装着部221が存在しないと判断された場合(S4:No)、つまり前記複数の前記装着部221がいずれも、前記駆動処理部112によって駆動されているか、又は前記調整処理部115による前記キャリブレーションの実行中である場合、前記制御部11は前記第2条件を満たさないと判断して処理を前記ステップS4に戻す。すなわち、全ての前記装着部221が前記キャリブレーション(S13)、又は後述する分包処理(S14)中の払出処理の実行中であれば、いずれかの前記装着部221において、当該キャリブレーション、又は当該払出処理が終了するまで、前記制御部11は前記ステップS4で待機する。
【0119】
<ステップS5>
前記ステップS5において、前記制御部11は、前記ステップS4にて存在することが確認された非駆動中の前記装着部221に、前記薬品情報を未割当の前記可変カセット22が装着されているか否かを判断する。一例として、前記制御部11は、前記装着部221の前記RFIDリーダライタ245が前記可変カセット22の前記RFIDタグ26から読み出した前記カセット識別情報を、前記割当情報121と照合することにより、当該装着部221に未割当の前記可変カセット22が装着されているか否かを判断する。このとき、読み出した前記カセット識別情報について前記割当情報121にて「未割当」が対応付けられている場合、前記制御部11は、前記装着部221に未割当の前記可変カセット22が装着されていると判断する。さらに、前記制御部11は、未割当か否かにかかわらず、そもそも前記装着部221に前記可変カセット22が装着されているか否かについても、前記装着部221の前記RFIDリーダライタ245を用いて判断する。前記RFIDリーダライタ245が、何かしらの情報を前記可変カセット22の前記RFIDタグ26から読み出すことができた場合、つまり前記RFIDタグ26との通信に成功した場合に、前記制御部11は、前記装着部221に前記可変カセット22が装着されていると判断する。
【0120】
つまり、前記制御部11は、前記ステップS5にて、前記通知処理部113が前記通知情報の通知(ステップS6)を行うための前記通知条件の1つである前記第3条件を満たすか否かを判断する。前記装着部221に対する前記可変カセット22の装着は、ユーザーが手動で行う。例えば非駆動中の前記装着部221に、前記薬品情報を割当済みの前記可変カセット22が装着されている場合には、ユーザーは、前記装着部221に装着されている前記可変カセット22を未割当の前記可変カセット22と入れ替えることにより、前記装着部221に未割当の前記可変カセット22を装着する。
【0121】
ここで、非駆動中の前記装着部221に未割当の前記可変カセット22が装着されていないと判断された場合(S5:No)、つまり非駆動中の前記装着部221に対してユーザーによって未割当の前記可変カセット22が装着されていない場合、前記制御部11は前記第3条件を満たすと判断して処理をステップS6に移行させる。非駆動中の前記装着部221に、前記薬品情報を割当済みの前記可変カセット22が装着されている場合も、未割当の前記可変カセット22が装着されていないので、前記ステップS5では「No」と判断される。一方、非駆動中の前記装着部221に未割当の前記可変カセット22が装着されていると判断された場合(S5:Yes)、つまり非駆動中の前記装着部221に対して既にユーザーによって未割当の前記可変カセット22が装着されている場合、前記制御部11は前記第3条件を満たさないと判断して処理をステップS7に移行させる。
【0122】
<ステップS6>
前記ステップS6において、前記制御部11の前記通知処理部113は、前記装着部221への未割当の前記可変カセット22の装着を促す前記通知情報の通知を行う(通知ステップ)。具体的に、前記通知処理部113は、前記第1条件、前記第2条件及び前記第3条件を含む前記通知条件を満たす場合に、前記モニター13に前記通知情報を表示させることで、前記通知情報を前記ユーザーに対して通知する。ここで、前記ステップS6は、前記ステップS3で「Yes」、前記ステップS4で「Yes」、かつ前記ステップS5で「No」と判断された場合に実行されるのであって、前記ステップS4で「Yes」と判断されていることから前記第2条件を満たしており、前記ステップS5で「No」と判断されていることから前記第3条件を満たしている。さらに、前記ステップS3で「Yes」と判断されていることから、前記薬品払出データに含まれる前記薬品情報のうち前記可変カセット22からの払出対象であるにもかかわらず、いずれの前記可変カセット22にも未だ割り当てられていない「未割当」の前記薬品情報が存在する前記第1条件を満たしている。
【0123】
要するに、非駆動中の前記装着部221を用いて未割当の前記可変カセット22に前記薬品情報を割り当てるべき状況において、当該装着部221にいずれの前記可変カセット22も装着されていない、又は前記薬品情報を割当済みの前記可変カセット22が装着されている場合に、前記通知処理部113は、前記通知情報の通知を行う。これにより、ユーザーに対して、非駆動中の前記装着部221への未割当の前記可変カセット22の装着を促す旨の通知がされる。したがって、前記通知情報の通知を受けたユーザーにおいては、非駆動中の前記装着部221へ未割当の前記可変カセット22を装着する操作を行うべきことの「気付き」が与えられる。結果的に、ユーザーが前記薬品カセット(前記可変カセット22)を前記装着部221に装着するタイミングの遅れが生じにくくなり、当該可変カセット22への前記薬品情報の割り当ての遅れ、ひいては当該可変カセット22からの薬品の払い出しの遅れが生じにくくなる。
【0124】
ここにおいて、本実施形態では、前記装着部221は複数設けられており、前記通知情報は、前記複数の前記装着部221のうちのいずれの前記装着部221に、前記未割当の前記薬品カセット(前記可変カセット22)を装着すべきかの指示を含む。つまり、前記通知処理部113は、前記ステップS5にて未割当の前記可変カセット22が装着されていないことが確認された非駆動中の前記装着部221を、装着対象として特定する情報を含めて、前記通知情報を前記モニター13に表示させる。具体的に、前記通知処理部113は、例えば前記装着対象としての前記装着部221の位置を、前記モニター13上に表示させる。これにより、ユーザーにおいては、前記通知情報に従って、前記可変カセット22を装着すべき前記装着部221を容易に特定することができる。なお、いずれの前記装着部221に前記可変カセット22を装着すべきかの指示は、上記の例に限らず、例えば前記装着対象の前記装着部221に設けられているLEDを点灯させるなどの手段により実現されてもよい。
【0125】
また、本実施形態では、前記通知情報は、前記装着部221に装着されている前記薬品カセット(前記可変カセット22)の取り外しを促す指示を含む。つまり、前記通知処理部113は、前記ステップS5にて未割当の前記可変カセット22が装着されていないことが確認された非駆動中の前記装着部221に、前記薬品情報を割当済みの前記可変カセット22が装着されている場合に、当該可変カセット22の取り外しをユーザーに促す情報を含めて、前記通知情報を前記モニター13に表示させる。具体的に、前記通知処理部113は、例えば「カセットを取り外してください」などの文字列を、前記モニター13上に表示させる。これにより、ユーザーにおいては、前記通知情報に従って、前記薬品情報を割当済みの前記可変カセット22を取り外すことができる。
【0126】
前記通知情報の通知後、前記制御部11は処理を前記ステップS5に戻す。前記通知情報の通知を受けたユーザーは、非駆動中の前記装着部221に未割当の前記可変カセット22を装着することが促されるので、次の前記ステップS5においては、非駆動中の前記装着部221に未割当の前記可変カセット22が装着されていると判断され(S5:Yes)、前記ステップS7に移行しやすくなる。ただし、依然として非駆動中の前記装着部221に未割当の前記可変カセット22が装着されていなければ、次の前記ステップS5においても、非駆動中の前記装着部221に未割当の前記可変カセット22が装着されていないと判断され(S5:No)、前記ステップS6が繰り返し実行される。
【0127】
なお、前記ステップS6においては、前記通知処理部113が前記通知情報の通知を行えばよく、前記通知情報の内容は、上述した内容に限らない。例えば、前記通知情報は、前記装着部221への未割当の前記可変カセット22の装着を促す内容でなくてもよく、単に前記通知条件を満たすことを表すLEDなどの簡易的な表示であってもよい。
【0128】
<ステップS7>
前記ステップS7において、前記制御部11の前記割当処理部111は、前記装着部221に装着された状態の前記薬品カセット(前記可変カセット22)に前記薬品情報を割り当てる。このとき、前記割当処理部111は、前記ステップS5にて未割当の前記可変カセット22が装着されていることが確認された非駆動中の前記装着部221を用いて、前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当てを行う。このように、前記割当処理部111は、前記装着部221に装着された状態の前記薬品カセット(前記可変カセット22)に前記薬品情報を割り当てる割当ステップを実行する。
【0129】
具体的に、前記割当処理部111は、前記ステップS5にて未割当の前記可変カセット22が装着されていることが確認された非駆動中の前記装着部221の前記RFIDリーダライタ245に、未割当の前記可変カセット22の前記RFIDタグ26への前記薬品情報の書き込みを行わせる。これにより、未割当の前記可変カセット22には、前記割当対象薬品の前記薬品情報が割り当てられる。このとき、前記割当処理部111は、前記薬品情報を割り当てる前記可変カセット22を決定すると、その割当結果に応じて前記割当情報121の内容を更新する。
【0130】
このように、本実施形態では、前記割当処理部111は、未割当の前記薬品情報が存在する場合に(S2:No、かつS3:Yes)、駆動中でない前記装着部221に未割当の前記薬品カセット(前記可変カセット22)が装着されると(S5:Yes)、当該薬品カセットに前記薬品情報を割り当てる。要するに、前記可変カセット22に前記薬品情報を割り当てるべき状況において、非駆動中の前記装着部221に未割当の前記可変カセット22が装着されると、それをトリガーにして、前記割当処理部111は、自動的に前記薬品情報の割り当てを実行する。したがって、ユーザーにおいては、非駆動中の前記装着部221に未割当の前記可変カセット22を装着するだけで、別途操作をしなくとも、当該可変カセット22への前記薬品情報の割り当てを実行せることができる。
【0131】
ここで、前記割当処理部111は、前記処方データ(前記薬品払出データ)ごとに、前記薬品情報の割り当てを実行する。そのため、例えば薬品払出データ「A」に含まれる薬品と薬品払出データ「B」に含まれる薬品とが同じであっても、前記薬品払出データ「A」による薬品の払い出しに使用される前記可変カセット22と、前記薬品払出データ「B」による薬品の払い出しに使用される前記可変カセット22との各々に、前記割当処理部111は、当該薬品の前記薬品情報を個別に割り当てる。
【0132】
また、前記割当処理部111は、前記薬品情報を含む前記処方データ(前記薬品払出データ)に関する処方関連情報を前記薬品カセットに更に割り当てる。本実施形態では、前記割当処理部111は、前記薬品情報と共に、前記薬品情報が示す錠剤の払出量、患者名、割当日時、担当薬剤師名、及び処方箋の識別情報などの各種の情報を前記薬品払出データに基づいて、前記可変カセット22に割り当てる。ここで、少なくとも前記処方箋の識別情報は、前記薬品情報を含む前記処方データ(前記薬品払出データ)を特定する情報に該当し、前記処方関連情報の一例である。つまり、前記割当処理部111は、前記薬品情報だけでなく、少なくとも前記薬品払出データを識別可能な前記処方関連情報についても、未割当の前記可変カセット22の前記RFIDタグ26に書き込まれる。このように、前記処方関連情報についても前記可変カセット22に割り当てられることにより、前記可変カセット22に割り当てられている情報から、前記処方データ(前記薬品払出データ)を特定することが可能となる。
【0133】
本実施形態では、前記割当処理部111は、前記装着部221に装着された状態の前記薬品カセット(前記可変カセット22)に前記薬品情報を割り当てるので、前記装着部221に未割当の前記可変カセット22が装着されていれば、ユーザーは特に何もしなくても前記薬品情報を割り当てることができる。しかも、前記装着部221と前記薬品カセット(前記可変カセット22)との間の通信手段は、RFIDなどの近距離無線通信であるので、前記薬品払出システム100が導入されている医療機関内で前記薬品払出システム100から無線通信用の電波が周囲に放射されることを抑制しつつ、前記薬品情報の割り当てが可能である。
【0134】
なお、前記割当処理部111は、前記可変カセット22の前記RFIDタグ26に前記薬品情報等を記録せずに、前記可変カセット22への前記薬品情報等の割り当てを行ってもよい。具体的に、前記RFIDタグ26に前記カセット識別情報が予め記録されており、前記RFIDリーダライタ232が前記RFIDタグ26から読み取った前記カセット識別情報と、前記割当情報121とに基づいて、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報等を認識することが可能である。
【0135】
<ステップS8>
ステップS8において、前記制御部11の前記割当処理部111は、前記ステップS7にて前記薬品情報を割り当てた前記可変カセット22の前記表示部25に、当該可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報、及び前記処方関連情報等を表示させる。つまり、前記薬品カセット(前記可変カセット22)は、割り当てられた情報(前記薬品情報及び前記処方関連情報を含む)を表示する前記表示部25を有する。具体的に、前記割当処理部111は、非駆動中の前記装着部221の前記RFIDリーダライタ245と前記可変カセット22の前記RFIDタグ26との通信により、前記表示部25としての電子ペーパーの表示内容を更新し、前記薬品情報等を前記表示部25に表示させる。
【0136】
例えば、前記表示部25には、前記可変カセット22に割り当てられた前記薬品情報として、錠剤の薬品名称(薬ID)である「A錠剤(M1)」、払出量である「15錠」、及びJANコード(バーコード)等、並びに処方箋の識別情報などが表示される。なお、前記表示部25に表示される情報はこれらに限らず、例えば患者氏名、割当日時、又は割当担当者などの各種の情報を含んでもよい。この構成によれば、ユーザーにおいては、前記可変カセット22に割り当てられている前記薬品情報、つまり前記可変カセット22に投入するべき薬品の前記薬品情報を、前記表示部25の表示にて確認することができ、当該可変カセット22に薬品(錠剤)を投入する作業が容易になる。
【0137】
ここで、前記表示部25は電子ペーパーであるため、前記ステップS8で前記薬品情報が表示された後、前記可変カセット22が前記装着部221から取り外されても、前記表示部25の表示状態(表示内容)は維持される。そのため、ユーザーは、例えば前記可変カセット22を薬品棚などに移動させても、前記表示部25の表示により前記可変カセット22に投入するべき前記薬品情報を確認することができる。したがって、前記可変カセット22への錠剤投入時におけるユーザーの人為的ミスを抑制することができる。
【0138】
なお、前記制御部11は、前記ステップS7で前記薬品情報の割り当てを開始してから、前記ステップS8で前記表示部25の表示内容の更新が完了するまでの間、前記装着部221の前記カセットロック部の状態を前記ロック状態にすることで、当該装着部221からの前記可変カセット22の取り外しを制限してもよい。
【0139】
<ステップS9>
次に、ステップS9において、前記制御部11の前記通知処理部113は、前記可変カセット22に割り当てるべき全ての前記薬品情報の割り当てが完了したか否かを判断する。ここで、全ての前記薬品情報の割り当てが完了していると判断された場合(S9:Yes)、つまり前記ステップS3にて割当先が前記可変カセット22であると判断された前記薬品情報の全てについて、前記可変カセット22への割り当てが完了している場合、前記制御部11は処理を前記ステップS11に移行させる。一方、全ての前記薬品情報の割り当てが完了していないと判断された場合(S9:No)、つまり未割当の前記薬品情報が1つでも存在する場合、前記制御部11は処理を前記ステップS4に戻す。そのため、未割当の前記薬品情報が存在している限り、前記制御部11は、前記ステップS4~前記ステップS8に係る処理を繰り返し実行することで、前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当てを行う。
【0140】
ところで、前記ステップS9を経て、前記ステップS5で「No」と判断される場合には、前記ステップS9の段階において、前記第1条件を満たしている。すなわち、この場合、前記ステップS9で全ての前記薬品情報の割り当てが完了していないと判断されていることから、前記薬品払出データに含まれる前記薬品情報のうち前記可変カセット22からの払出対象であるにもかかわらず、いずれの前記可変カセット22にも未だ割り当てられていない「未割当」の前記薬品情報が存在する、という前記第1条件を満たしている。したがって、前記ステップS9を経た場合にも、前記ステップS6においては、前記通知処理部113は、前記第1条件、前記第2条件及び前記第3条件を含む前記通知条件を満たす場合に、前記通知情報の通知を行うことになる。
【0141】
上記より、前記通知処理部113は、前記装着部221に装着されている前記薬品カセット(前記可変カセット22)への前記薬品情報の割り当てが完了したときに、更に未割当の前記薬品情報が存在していれば、前記通知情報の通知を行う。要するに、前記ステップS7にて、前記装着部221に装着されている前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当てが完了した状態で、更に前記可変カセット22へ割り当てるべき未割当の前記薬品情報が存在している場合(S9:No)、前記通知処理部113は、前記通知条件を満たすことで更なる前記通知情報の通知を行う。
【0142】
これにより、例えば前記ステップS7で前記薬品情報の割り当てが完了した前記可変カセット22が、前記装着部221に装着されたままになっていることで、非駆動中の前記装着部221に未割当の前記可変カセット22が装着されていないと判断される場合(S5:No)、前記通知情報の通知が行われる(S6)。したがって、ユーザーにおいては、非駆動中の前記装着部221に装着されたままになっている前記可変カセット22について、前記薬品情報の割り当てが完了していることの「気付き」が与えられる。結果的に、ユーザーが未割当の前記薬品カセット(前記可変カセット22)を前記装着部221に装着するタイミングの遅れが生じにくくなり、当該可変カセット22への前記薬品情報の割り当ての遅れ、ひいては当該可変カセット22からの薬品の払い出しの遅れが生じにくくなる。
【0143】
<ステップS10>
前記ステップS10では、前記制御部11は、前記手撒きユニット4への前記薬品情報の割り当てを行う。このとき、前記制御部11は、前記ステップS3にて払出元が前記手撒きユニット4であると判断された(S3:No)前記割当対象薬品の前記薬品情報を、前記手撒きユニット4に割り当てる。ここで、前記割当対象薬品のうち前記可変カセット22に割り当てられなかった錠剤が複数存在する場合には、その複数の錠剤の薬品情報が前記手撒きユニット4に割り当てられることになる。前記手撒きユニット4に薬品情報を割り当てる場合には、前記制御部11は、例えば前記手撒きユニット4を使用すべき旨、つまり前記手撒きユニット4に前記割当対象薬品を投入すべき旨を、前記モニター13に表示させる。前記手撒きユニット4への前記薬品情報の割り当て(S10)が完了すると、前記制御部11は処理を前記ステップS11に移行させる。
【0144】
<ステップS11>
前記ステップS11においては、前記制御部11は、分包動作を開始するための分包開始操作がなされたか否かを判断する。ここで、前記分包開始操作は、前記薬品情報が割り当てられた前記可変カセット22への薬品(錠剤)の投入(充填)完了の操作を含む。すなわち、前記ステップS7にて前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当てが行われた場合には、前記ステップS11において、前記制御部11は、当該可変カセット22に対する錠剤の充填(投入)が完了した旨を示す充填完了操作が前記操作部14に対して行われたか否かを判断する。
【0145】
具体的に、ユーザーは、前記ステップS7で前記薬品情報が前記可変カセット22に割り当てられ、前記可変カセット22の前記表示部25に前記薬品情報が表示されると、前記可変カセット22を前記装着部221から取り外す。そして、ユーザーは、前記可変カセット22に、前記薬品払出データに対応する処方箋、又は前記表示部25に表示された前記薬品情報を参照しながら必要な錠数の錠剤を投入する。その後、ユーザーは、錠剤が充填された前記可変カセット22を、前記錠剤供給ユニット2の前記装着部221に装着し、前記操作部14に対して前記充填完了操作を行う。このとき、錠剤が充填された前記可変カセット22が装着される前記装着部221は、当該可変カセット22への前記薬品情報の割り当てに用いられた前記装着部221と同じであってもよいし別であってもよい。
【0146】
いずれにしても、前記制御部11は、前記装着部221各々に装着された前記可変カセット22の前記RFIDタグ26から前記可変カセット22のカセット識別情報を読み出し、前記装着部221各々に現在装着されている前記可変カセット22を特定する。これにより、前記制御部11は、前記装着部221各々に装着された前記可変カセット22を特定することができるため、ユーザーは前記可変カセット22各々を任意の前記装着部221に装着することが可能である。例えば、前記可変カセット22が、当該可変カセット22への前記薬品情報の割り当てに用いられた前記装着部221とは別の前記装着部221に装着された場合でも、前記制御部11は、前記可変カセット22が装着された前記装着部221を判断することができる。
【0147】
また、前記装着部221に、前記可変カセット22の取り外しを検知する着脱検知センサーが設けられており、前記制御部11が、前記着脱検知センサーの検知結果に基づいて前記可変カセット22への錠剤の充填が行われていない旨を報知してもよい。すなわち、前記制御部11は、前記可変カセット22に前記薬品情報が割り当てられてから前記充填完了操作がなされるまでの間に、一度も前記可変カセット22の取り外しが検知されていない状態で前記充填完了操作が行われた場合にエラーをユーザーに報知する。なお、前記報知は、例えば前記モニター13又は音声出力等によって行われる。
【0148】
前記薬品払出データに含まれる全ての処方薬について、前記固定カセット21、前記可変カセット22、及び前記手撒きユニット4等への充填が完了し、前記分包開始操作がなされると(S11:Yes)、前記制御部11は処理をステップS12に移行させる。一方、前記分包開始操作がなされなければ(S11:No)、前記制御部11は処理を前記ステップS1に戻し、新たな薬品払出データの発行要求を待つ。この場合、前記薬品払出システム100は、既に前記薬品情報の割り当てが完了した前記薬品払出データに関しては、前記分包開始操作がなされれば直ちに分包処理(S14)を開始できる状態で、新たな薬品払出データに従って、前記薬品情報の割り当てを行うことができる。
【0149】
ここで、本実施形態では、前記ステップS1から前記ステップS10までの処理により、前記薬品払出データ(前記処方データ)に基づいて、前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当てが行われる。そのため、前記分包開始操作がなされず(S11:No)、新たな前記薬品払出データに従って前記薬品情報の割り当てが行われることで、前記分包動作に先立って、複数の前記薬品払出データに基づく前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当てを行うことが可能である。よって、ユーザーにおいては、前記分包動作に先立って、複数の前記薬品払出データの薬品の払い出しに使用される前記可変カセット22について、薬品を充填して準備することが可能となる。
【0150】
つまり、1つの前記薬品払出データによる前記分包動作が開始も終了もしていない状況で、当該1つの前記薬品払出データを含む複数の前記薬品払出データについて、前記分包動作に必要な前記可変カセット22を先に準備することが可能である。このように複数の前記薬品払出データについて前記可変カセット22の準備が完了した状態では、前記分包動作を開始するに当たり、当該複数の前記薬品払出データのいずれについて前記分包動作を開始するのかを、指定する必要がある。前記分包動作を開始する前記薬品払出データは、前記ステップS11において、例えば、前記ステップS1で前記薬品払出データが発行された順など、所定のルールに従って前記制御部11が指定してもよいし、ユーザーが指定してもよい。
【0151】
なお、前記ステップS11では、前記制御部11は、前記充填完了操作に加えて又は代えて、前記分包開始操作が前記操作部14に対して行われたか否かを判断してもよい。
【0152】
<ステップS12>
前記ステップS12においては、前記制御部11の前記ロック処理部114は、少なくとも払い出しを行う前記可変カセット22が装着されている前記装着部221からの前記可変カセット22の取り外しを制限する(ロックステップ)。具体的に、前記ロック処理部114は、払い出しを行う前記可変カセット22が装着されている前記装着部221の前記カセットロック部の状態を、前記解除状態から前記ロック状態に切り替える。
【0153】
ここで、前記駆動処理部112が前記駆動処理により駆動させる前記装着部221は、前記薬品情報を割当済みの前記薬品カセット(前記可変カセット22)が装着されている前記装着部221である。そのため、前記薬品情報を未割当の前記可変カセット22が装着されている前記装着部221については、前記ロック処理部114により前記カセットロック部が前記ロック状態とされることはない。したがって、前記薬品情報が割り当てられていない前記可変カセット22については、前記装着部221から自由に取り外すことが可能である。なお、前記ロック処理部114は、払い出しを行う前記固定カセット21についても同様に、前記装着部211からの取り外しを制限する。
【0154】
<ステップS13>
次のステップS13においては、前記制御部11の前記調整処理部115は、前記薬品情報に対応する錠剤が投入(充填)された状態で前記装着部221に装着されている前記薬品カセット(前記可変カセット22)について、前記駆動条件の設定を行う。このとき、前記調整処理部115は、前記可変カセット22に割り当てられている前記薬品情報に対応する前記駆動条件に従って、前記駆動条件の設定を行う。例えば前記事前駆動条件が前記駆動条件に含まれている場合には、前記調整処理部115は、前記可変カセット22における薬品の前記払出経路の前記高さh1及び前記幅w1の少なくとも一方を、当該可変カセット22に割り当てられている前記薬品情報に対応する前記駆動条件(前記事前駆動条件)に従って調整する前記キャリブレーションを行う。
【0155】
前記駆動条件の設定後、前記制御部11は薬品の払い出しを含む分包処理を実行するステップS14に処理を移行させる。言い換えれば、前記キャリブレーションを含む前記駆動条件の設定は、前記可変カセット22から薬品が実際に払い出される前記分包処理の直前に行われる。したがって、例えば前記キャリブレーションにより調整された前記払出経路の前記高さh1及び前記幅w1等が、前記装着部221に対する前記可変カセット22の着脱に際して狂うことが抑制され、前記駆動条件の信頼性の向上を図ることができる。
【0156】
なお、前記可変カセット22における前記払出経路の前記高さh1及び前記幅w1を前記駆動条件に従って変更するタイミングは、前記分包処理の直前に限らず、例えば前記薬品情報の割当直後、つまり前記ステップS7と前記ステップS8との間などでもよい。また、前記駆動条件に前記事前駆動条件が含まれておらず、前記可変カセット22の前記高さ調整部226A及び前記幅調整部227Aを手動で作動させて前記払出経路の前記高さh1及び前記幅w1を任意に調整可能であってもよい。この場合、ユーザーは、前記可変カセット22の前記払出経路の前記高さh1及び前記幅w1を調整した後、前記可変カセット22を前記錠剤供給ユニット2の前記装着部221に装着する。
【0157】
<ステップS14>
前記ステップS14では、前記制御部11は、前記分包処理を実行する。前記分包処理では、前記薬品払出システム100は、前記薬品払出データに示される処方薬の払い出し及び分包を行う。前記分包処理の詳細については後述する。前記分包処理の実行開始後、前記制御部11は処理を前記ステップS1に戻し、新たな薬品払出データの発行要求を待つ。
【0158】
これにより、前記制御部11は、先(N番目)の前記薬品払出データの前記分包処理の開始後には、前記ステップS1から前記ステップS10までの処理により、次(N+1番目)の前記薬品払出データの前記分包動作に使用する前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当てを行うことが可能である。つまり、先の前記薬品払出データの前記分包動作中に、次以降の前記薬品払出データの前記分包動作に使用する前記可変カセット22を確定することができる。よって、ユーザーにおいては、先(N番目)の前記薬品払出データの前記分包動作と並行して、次(N+1番目)以降の前記薬品払出データの前記分包動作に使用する薬品を前記可変カセット22に充填するところまで準備でき、作業効率の向上を図ることが可能である。
【0159】
ただし、前記ステップS11の時点で、既に複数の前記薬品払出データについて前記可変カセット22の準備が完了している場合、前記制御部11は、先(N番目)の前記薬品払出データの前記分包処理を終えると、次(N+1番目)の前記薬品払出データの前記分包処理を開始することが好ましい。これにより、複数の前記薬品払出データについての薬品の払い出し(前記分包動作)を、比較的短時間で終えることが可能となる。さらに、先の前記薬品払出データの前記分包処理を終えた後、次の前記薬品払出データの前記分包処理に使用する前記可変カセット22が全て前記装着部221に装着されていない場合に、前記制御部11は、前記分包処理を開始できない旨をユーザーに報知することが好ましい。なお、前記報知は、例えば前記モニター13又は音声出力等によって行われる。
【0160】
なお、上記のフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。後述する図13のフローチャートについても同様である。
【0161】
[具体例]
以下に、図11及び図12を参照しつつ、前記薬品払出方法の具体例(運用例)について説明する。なお、以下に参照する図11及び図12は、前記錠剤供給ユニット2における「A」、「B」、「C」、「D」の4つの前記装着部221各々の状態を模式的に表す概略図である。図11及び図12においては、前記装着部221各々の時系列に沿って変化する各変化を「ST1」、「ST2」、・・・として示している。ここで、「非駆動」は、前記装着部221に前記可変カセット22が装着されているか否かによらず、薬品を払い出すために前記駆動処理部112により駆動されておらず、かつ前記調整処理部115により前記キャリブレーションが実行されていない状態を意味する。
【0162】
また、以下に説明する第1具体例(図11)及び第2具体例(図12)では、いずれも前記薬品払出データとして、薬品ID「M1」、「M2」及び「M3」を処方薬に含む第1処方データと、薬品ID「M4」及び「M5」を処方薬に含む第2処方データとが発行(図10のステップS1参照)される場合を想定する。つまり、前記薬品払出システム100は、前記第1処方データに係る薬品の払い出し及び分包と、前記第2処方データに係る薬品の払い出し及び分包とを行う。この場合に、前記薬品払出システム100は、前記装着部221の数(4つ)を上回る5種類の薬品(「M1」~「M5」)の払い出しを前記可変カセット22より行う。
【0163】
[第1具体例]
前記第1具体例では、図11に示すように、ユーザーは、まず「A」の前記装着部221にカセット番号「C1」の前記可変カセット22、「B」の前記装着部221にカセット番号「C2」の前記可変カセット22、「C」の前記装着部221にカセット番号「C3」の前記可変カセット22をそれぞれ装着する。そして、状態ST1において、前記薬品払出システム100は、「A」の前記装着部221にて「C1」の前記可変カセット22に「M1」の薬品情報、「B」の前記装着部221にて「C2」の前記可変カセット22に「M2」の薬品情報、「C」の前記装着部221にて「C3」の前記可変カセット22に「M3」の薬品情報をそれぞれ割り当てる。
【0164】
次に、状態ST2において、前記薬品払出システム100は、「A」の前記装着部221にて「C1」の前記可変カセット22より「M1」の薬品、「B」の前記装着部221にて「C2」の前記可変カセット22より「M2」の薬品、「C」の前記装着部221にて「C3」の前記可変カセット22より「M3」の薬品をそれぞれ払い出す。これにより、前記第1処方データに係る薬品の払い出し及び分包が完了する。
【0165】
次に、ユーザーは、「A」の前記装着部221にカセット番号「C4」の前記可変カセット22、「B」の前記装着部221にカセット番号「C5」の前記可変カセット22をそれぞれ装着する。そして、状態ST3において、前記薬品払出システム100は、「A」の前記装着部221にて「C4」の前記可変カセット22に「M4」の薬品情報、「B」の前記装着部221にて「C5」の前記可変カセット22に「M5」の薬品情報をそれぞれ割り当てる。
【0166】
次に、状態ST4において、前記薬品払出システム100は、「A」の前記装着部221にて「C4」の前記可変カセット22より「M4」の薬品、「B」の前記装着部221にて「C5」の前記可変カセット22より「M5」の薬品をそれぞれ払い出す。これにより、前記第2処方データに係る薬品の払い出し及び分包が完了する。
【0167】
つまり、前記第1具体例においては、前記状態ST1,ST2では「D」の前記装着部221が「非駆動」で空いているにも関わらず、前記薬品払出システム100は、前記第2処方データに係る薬品(「M4」及び「M5」)の前記薬品情報の割り当てが可能なだけの前記装着部221が空くまでは前記第2処方データに係る前記薬品情報の割り当てを行わない。そのため、前記薬品払出システム100は、前記第1処方データに係る薬品の払い出し及び分包が完了するまで待機した上で、前記第2処方データに係る前記薬品情報の割り当てを開始することになり、空いている前記装着部221を有効利用できずに前記第2処方データに係る薬品の払い出し及び分包が完了するまでに時間を要する。
【0168】
なお、前記第1具体例において、前記状態ST2から前記状態ST3にかけて、「A」、「B」の前記装着部221に装着されている前記可変カセット22を入れ替えることは必須ではない。例えば、前記状態ST2後に(残薬があれば回収した上で)、前記薬品払出システム100は、「A」の前記装着部221に装着されている「C1」の前記可変カセット22に「M4」の薬品情報、「B」の前記装着部221に装着されている「C2」の前記可変カセット22に「M5」の薬品情報をそれぞれ割り当ててもよい。
【0169】
[第2具体例]
前記第2具体例では、図12に示すように、ユーザーは、まず「A」の前記装着部221にカセット番号「C1」の前記可変カセット22、「B」の前記装着部221にカセット番号「C2」の前記可変カセット22、「C」の前記装着部221にカセット番号「C3」の前記可変カセット22、「D」の前記装着部221にカセット番号「C4」の前記可変カセット22をそれぞれ装着する。そして、状態ST11において、前記薬品払出システム100は、「A」の前記装着部221にて「C1」の前記可変カセット22に「M1」の薬品情報、「B」の前記装着部221にて「C2」の前記可変カセット22に「M2」の薬品情報、「C」の前記装着部221にて「C3」の前記可変カセット22に「M3」の薬品情報、「D」の前記装着部221にて「C4」の前記可変カセット22に「M4」の薬品情報をそれぞれ割り当てる。
【0170】
次に、状態ST12において、前記薬品払出システム100は、「A」の前記装着部221にて「C1」の前記可変カセット22より「M1」の薬品、「B」の前記装着部221にて「C2」の前記可変カセット22より「M2」の薬品、「C」の前記装着部221にて「C3」の前記可変カセット22より「M3」の薬品をそれぞれ払い出す。ここで、ユーザーは、前記状態ST11から前記状態ST12にかけて、「M4」の薬品情報が割り当てられた「C4」の前記可変カセット22を「D」の前記装着部221より取り外し、未割当の「C5」の前記可変カセット22を「D」の前記装着部221に新たに装着する。つまり、「D」の前記装着部221に装着されている前記可変カセット22が、「C4」から「C5」に入れ替えられる。これにより、前記状態ST12では、前記薬品払出システム100は、「D」の前記装着部221にて「C5」の前記可変カセット22に「M5」の薬品情報を割り当てる。
【0171】
すなわち、本実施形態に係る前記薬品払出システム100は、前記装着部221への未割当の前記可変カセット22の装着を促す前記通知情報の通知を行うので、「C4」の前記可変カセット22への「M4」の薬品情報の割り当てが完了した時点で、前記通知情報が通知される。これにより、前記通知情報の通知を受けたユーザーは、「D」の前記装着部221に装着されている前記可変カセット22を「C4」から「C5」に入れ替えることで、「C5」の前記可変カセット22に「M5」の薬品情報を割当可能な状態とすることができる。
【0172】
前記状態ST12において、前記第1処方データに係る薬品の払い出し及び分包が完了すると、次に、ユーザーは、「A」の前記装着部221にカセット番号「C4」の前記可変カセット22を装着する。ここで、カセット番号「C4」の前記可変カセット22には、既に「M4」の薬品情報が割り当てられている。そのため、ユーザーにおいては、例えば前記表示部25に表示されている前記薬品情報、及び前記処方関連情報等を確認することで、前記第2処方データに係る薬品の払い出しに必要な前記可変カセット22を正しく装着しやすくなる。
【0173】
そして、状態ST13において、前記薬品払出システム100は、「A」の前記装着部221にて「C4」の前記可変カセット22より「M4」の薬品、「D」の前記装着部221にて「C5」の前記可変カセット22より「M5」の薬品をそれぞれ払い出す。これにより、前記第2処方データに係る薬品の払い出し及び分包が完了する。
【0174】
つまり、前記第2具体例においては、前記状態ST11,ST12で「D」の前記装着部221も有効利用することで、前記第2処方データに係る薬品(「M4」及び「M5」)の前記薬品情報の割り当てが行われる。そのため、前記薬品払出システム100は、前記第1処方データに係る薬品の払い出し及び分包が完了するまで待機せずとも、前記第2処方データに係る前記薬品情報の割り当てを開始でき、前記第2処方データに係る薬品の払い出し及び分包が完了するまでの時間を短縮できる。
【0175】
[分包処理]
以下、図13を参照しつつ、前記薬品払出システム100の前記制御部11又は前記制御部61によって実行される前記分包処理(図10のS14)の一例について説明する。ここに、前記制御部11又は前記制御部61が実行する処理手順(ステップ)をステップS141、S142、・・・と称する。図13に示す前記分包処理は、前記可変カセット22からの薬品(錠剤)の払い出しに着目しており、前記可変カセット22各々について同様の処理が実行される。
【0176】
<ステップS141>
まず、ステップS141において、前記制御部11の前記駆動処理部112は、前記駆動条件に従って、前記可変カセット22が装着されている前記装着部221の前記第2駆動部24における前記駆動モーター241を駆動させて前記第1回転体223を回転駆動させ、前記駆動モーター242を駆動させて前記第2回転体224を回転駆動させる。これにより、前記装着部221に装着されている前記可変カセット22が駆動され、当該可変カセット22から薬品(錠剤)を払い出す払出処理が実行される。このとき、前記制御部11は、前記固定カセット21が装着されている前記装着部211、前記散薬供給ユニット3、前記手撒きユニット4、及び前記分包ユニット5の制御も行い、払い出される薬品を前記分包ユニット5により服用時期などの分包単位で分包する分包動作を実行する。
【0177】
ここで、前記制御部11は、前記事前駆動条件(前記高さh1及び前記幅w1)以外の前記駆動条件の特定を行う。具体的に、前記制御部11は、前記可変カセット22に割り当てられている前記薬品情報に対応する前記駆動条件に従って前記駆動条件を特定し、特定された前記駆動条件に従って払出処理を実行する。例えば、前記制御部11は、前記駆動中条件の一例である前記払出速度、並びに前記駆動停止時条件の一例である前記第1スローダウン、前記第2スローダウン、及び前記逆回転動作等の項目について、前記可変カセット22に割り当てられている前記薬品情報に対応する前記駆動条件に従って特定する。
【0178】
なお、前記制御部11が、前記可変カセット22各々のカセット識別情報及び前記可変カセット22各々に対応する前記駆動条件の設定内容を前記モニター13に表示し、前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記駆動条件の設定内容を変更してもよい。これにより、ユーザーの任意の操作入力により前記可変カセット22から錠剤を払い出す際の前記可変カセット22の駆動条件を変更することが可能である。また、ユーザーは前記モニター13を参照することにより前記払出対象の薬品情報に対応する前記駆動条件の設定内容を確認することができる。
【0179】
<ステップS142>
ステップS142において、前記制御部11の前記駆動処理部112は、前記可変カセット22から払い出される薬品の分包が完了したか否かを判断する。例えば前記可変カセット22から、予め設定された払出量の薬品(錠剤)の払い出しが完了すると、前記制御部11は、分包が完了したと判断し(S142:Yes)、処理をステップS143に移行させる。一方、前記可変カセット22から、予め設定された払出量の薬品(錠剤)の払い出しが完了していなければ、前記駆動処理部112は分包が完了していないと判断し(S142:No)、処理を前記ステップS141に戻す。
【0180】
<ステップS143>
前記ステップS143において、前記制御部11は、払い出しが完了した前記可変カセット22の前記表示部25に払出完了の表示を行う。一例として、前記制御部11は、前記表示部25に前記薬品情報を表示させたまま、前記表示部25に、払出完了を示す文字列又はマークを表示させる。これにより、ユーザーに対して、前記表示部25が設けられた前記可変カセット22の前記錠剤の払い出しが完了している旨を通知することができる。なお、前記払出完了の他の表示例として、前記表示部25の前記薬品情報の表示の消去、又は表示色の反転等がある。
【0181】
<ステップS144>
次に、ステップS144において、前記制御部11は、前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当てを解消する。具体的に、前記制御部11は、前記可変カセット22の前記RFIDタグ26に記録されている前記薬品情報を消去し、かつ前記割当情報121を更新する。前記薬品情報の割り当てが解消された前記可変カセット22は「未割当」の状態となる。また、前記薬品情報と共に前記可変カセット22に割り当てられた前記処方関連情報についても、前記ステップS144で割り当てが解消される。
【0182】
このように、前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当ては、予め設定された割当解消条件を満たした場合に解消され、当該可変カセット22が未割当の状態となる。前記割当解消条件は、本実施形態では、前記可変カセット22を用いた前記薬品払出データに基づく分包動作が完了すること(S142:Yes)である。ただし、この例に限らず、前記割当解消条件は、例えば前記分包動作が完了した後に前記可変カセット22の前記装着部221からの取り外しが検出されること、又はユーザー操作によって前記可変カセット22への前記薬品情報の割り当てを強制的に解消するための操作が行われること等を含んでもよい。
【0183】
<ステップS145>
ステップS145において、前記制御部11は、残薬回収要求の有無を判断する。ユーザーによって前記可変カセット22に投入された錠数が払出量と同数である場合、前記分包動作が完了すると、前記分包動作で使用された前記可変カセット22各々には錠剤は残存していないはずである。ただし、ユーザーにより余分な錠数の錠剤が前記可変カセット22に投入された場合には、前記可変カセット22が次に使用される場合にその残存した錠剤が払い出される。そのため、前記可変カセット22内に錠剤が残存している場合にはその錠剤(残薬)を回収しておく必要がある。そこで、残薬を回収する必要がある場合に前記残薬回収要求を発生させることで、前記制御部11は、残薬の回収の要否を判断する。
【0184】
前記残薬回収要求は、例えば前記可変カセット22に投入された錠数が払出量を超える場合、又は前記操作部14に対するユーザー操作に応じて残薬の回収が必要と指定される場合に発生する。前記制御部11は、前記残薬回収要求が有ると判断した場合(S145:Yes)、処理をステップS146に移行させる。前記制御部11は、前記残薬回収要求が無いと判断した場合(S145:No)、前記ステップS146をスキップして処理をステップS147に移行させる。
【0185】
<ステップS146>
前記ステップS146において、前記制御部11は、前記分包動作で使用した前記可変カセット22から残薬を排出させる残薬回収処理を実行する。具体的に、前記制御部61は、予め設定された所定時間だけ前記可変カセット22の前記第1回転体223及び前記第2回転体224を駆動させて前記可変カセット22から前記錠剤を払い出すことで、前記残薬回収処理を実行する。このとき、前記制御部61は、前記可変カセット22から払い出される前記錠剤の排出先を、前記分包ユニット5から、前記薬品払出システム100内に設けられた薬品排出トレイに変更してもよい。これにより、前記可変カセット22に錠剤が残存している場合には、その錠剤を前記薬品払出トレイに排出させることができ、前記可変カセット22内における錠剤の残留を防止することができる。
【0186】
また、前記制御部61は、前記残薬回収処理が完了すると、前記可変カセット22からの錠剤の回収が完了した旨を、前記可変カセット22の前記表示部25又は前記モニター13に表示させてもよい。前記可変カセット22からの前記錠剤の回収が完了した旨を表示するだけであれば、その旨を点灯方法又は点灯色で表示可能なLEDなどの簡易的な表示手段を用いてもよい。
【0187】
なお、前記残薬回収処理において、前記薬品排出トレイに排出するのではなく、前記可変カセット22内に残存した前記錠剤が前記分包ユニット5により分包紙に包装した状態で排出されてもよい。
【0188】
<ステップS147>
次に、ステップS147において、前記制御部11の前記ロック処理部114は、前記装着部221からの前記可変カセット22の取り外しの制限(ロック)を解除し、前記分包処理に係る一連の処理を終了する。具体的に、前記ロック処理部114は、前記可変カセット22が装着されている前記装着部221の前記カセットロック部の状態を、前記ロック状態から前記解除状態に切り替える。
【0189】
[他の機能]
以下、前記薬品払出システム100が備える各種の機能について説明する。なお、ここで説明する各種の機能は、前記薬品払出システム100が備える機能であればよく、前記制御部11に代えて前記制御部61によって具現される機能、又は前記制御部11と前記制御部61との協働により具現される機能であってもよい。
【0190】
[払出元変更機能]
前述したように、前記薬品払出システム100では、前記薬品払出データに含まれた処方薬に、いずれの前記固定カセット21にも収容されていない種類の錠剤が含まれている場合、当該薬品(錠剤)は前記割当対象薬品として、その錠剤の払出元に前記可変カセット22又は前記手撒きユニット4を割り当てる。ここで、前記割当対象薬品の払出元は、基本的には前記ステップS3(図10参照)において、前記可変カセット22と前記手撒きユニット4とから選択される。
【0191】
本実施形態に係る前記払出制御装置1は、前記ステップS3以降であっても、前記割当対象薬品の払出元を前記可変カセット22と前記手撒きユニット4とで相互に変更する「払出元変更機能」を有する。本実施形態では、例えば前記制御部11から前記制御ユニット6の前記制御部61に前記分包処理のための指示(分包開始指示)が出された以降であっても、前記制御部11は、前記割当対象薬品の払出元を変更可能である。一例として、ある前記割当対象薬品の払出元として前記可変カセット22が選択され(S3:Yes)、前記ステップS4~S9(図10参照)の処理を経て前記ステップS11(図10参照)で前記分包開始操作がなされた後、前記分包処理に係る前記ステップS14(図10参照)が実際に開始するまでの間に、前記制御部11は、当該割当対象薬品の払出元を前記手撒きユニット4に変更可能である。この場合、前記制御部11は、前記ステップS11以降に、前記割当対象薬品の薬品情報の割当先を、前記可変カセット22から前記手撒きユニット4に変更する。反対に、前記制御部11は、前記ステップS11以降に、前記割当対象薬品の薬品情報の割当先を、前記手撒きユニット4から前記可変カセット22に変更することも可能である。
【0192】
具体的に、前記制御部11は、前記ステップS3以降でも、前記モニター13に表示される分包進捗画面上で、前記操作部14に対するユーザー操作に応じて前記割当対象薬品の払出元を変更可能とする。つまり、ユーザーは、前記分包進捗画面上で、例えば前記可変カセット22に割り当てられている前記割当対象薬品を指定し、当該割当対象薬品の払出元の変更を指示する変更操作を前記操作部14に対して行うことで、当該割当対象薬品の割当先が前記可変カセット22から前記手撒きユニット4に変更される。ここで、ユーザーは、複数の前記割当対象薬品を指定することにより、当該複数の前記割当対象薬品について払出元を一括して変更することも可能である。
【0193】
さらに、前記制御部11は、前記可変カセット22と前記手撒きユニット4との少なくとも一方の現在の使用状況等に基づいて、前記割当対象薬品の払出元の変更を案内する案内情報を通知してもよい。一例として、ある前記割当対象薬品の払出元として前記可変カセット22が選択されたものの、前記可変カセット22(又は前記装着部221)に空きがない場合に、前記制御部11は、当該割当対象薬品の払出元を前記手撒きユニット4へ変更するか否かをユーザーに問い合わせる旨の情報を、前記案内情報としてユーザーに通知する。ここで、前記制御部11は、前記手撒きユニット4の使用状況を加味してもよく、前記手撒きユニット4に空きがなければ、前記割当対象薬品の払出元を前記手撒きユニット4へ変更するか否かの問い合わせを行わない。
【0194】
なお、前記制御部11が、前記割当対象薬品の払出元、つまり前記割当対象薬品の薬品情報の割当先を変更するタイミングは、前記ステップS3で前記可変カセット22又は前記手撒きユニット4が選択された以降、前記分包処理に係る前記ステップS14が実際に開始するまでの間のいずれでもよい。例えば、前記ステップS4~S9のいずれかのタイミングで、前記制御部11が、前記割当対象薬品の払出元を前記可変カセット22から前記手撒きユニット4に変更してもよい。
【0195】
また、前記制御部11は、前記可変カセット22と前記手撒きユニット4との少なくとも一方の現在の使用状況等に基づいて、前記割当対象薬品の払出元の変更を自動的に行ってもよい。一例として、ある前記割当対象薬品の払出元として前記可変カセット22が選択されたものの、前記可変カセット22(又は前記装着部221)に空きがない場合に、前記制御部11は、当該割当対象薬品の払出元を前記手撒きユニット4へ自動的に変更する。ここで、前記制御部11は、前記手撒きユニット4の使用状況を加味してもよく、前記手撒きユニット4に空きがなければ、前記割当対象薬品の払出元の変更を行わない。
【0196】
[変形例]
前記薬品払出システム100に含まれる複数の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。反対に、上記実施形態において、複数の筐体に分散している複数の構成要素(前記制御部11及び前記制御部61など)が、1つの筐体に集約して設けられていてもよい。
【0197】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る薬品払出システム100Aは、図14に示すように、残薬を回収するための構成が第1実施形態に係る前記薬品払出システム100と相違する。第1実施形態と同様の構成及び処理については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
【0198】
本実施形態では、前記錠剤供給ユニット2は、前記固定カセット21(図1参照)に代えて、薬品収容容器27を備える。つまり、前記錠剤供給ユニット2は、前記固定カセット21用の前記装着部211(図1参照)に代えて、前記薬品収容容器27用の装着部271を備える。具体的に、図14に示す例では、横並びで4台設けられた前記可変カセット22各々の上方に、前記薬品収容容器27用の前記装着部271が縦方向に5つずつ設けられている。これにより、前記薬品収容容器27は、前記可変カセット22各々の上方に複数(ここでは5つ)ずつ縦方向に並べて配置可能である。なお、前記錠剤供給ユニット2は、前記薬品収容容器27に加えて前記固定カセット21を備えてもよい。
【0199】
また、本実施形態では、前記錠剤供給ユニット2は、前記装着部271とは別に前記薬品収容容器27を装着可能な回収部28を備える。具体的に、図14に示す例では、横並びで4台設けられた前記可変カセット22各々の下方に、前記回収部28が1つずつ設けられている。これにより、前記薬品収容容器27は、前記可変カセット22各々の下方にも1つずつ配置可能である。
【0200】
前記薬品収容容器27は、複数種類の錠剤(薬品)に共通で用いられる容器である。前記薬品収容容器27各々には、前記複数種類の錠剤のうちのいずれか1種類の錠剤が、多数収容可能である。前記薬品収容容器27には、前記可変カセット22と同様に、収容されている薬品の薬品情報が割り当てられている。そして、前記薬品収容容器27が前記装着部271に装着された状態で、当該薬品収容容器27は、収容されている錠剤を(少量ずつ)下方の前記可変カセット22に投入可能である。
【0201】
一例として、カセット番号「C1」の前記可変カセット22の上方に配置された5つの前記薬品収容容器27各々には、薬品ID「M1」の錠剤が収容され、カセット番号「C2」の前記可変カセット22の上方に配置された5つの前記薬品収容容器27各々には、薬品ID「M2」の錠剤が収容される。この場合に、「M1」の錠剤を収容した前記薬品収容容器27各々は、「C1」の前記可変カセット22に対して、「M1」の錠剤を少量ずつ投入(充填)可能である。同様に、「M2」の錠剤を収容した前記薬品収容容器27各々は、「C2」の前記可変カセット22に対して、「M2」の錠剤を少量ずつ投入(充填)可能である。
【0202】
具体的に、図15に示すように、前記装着部271の奥には投入経路272が設けられており、前記錠剤供給ユニット2は、前記装着部271に装着されている前記薬品収容容器27を駆動することにより、当該薬品収容容器27内の薬品(錠剤)を前記投入経路272に排出させる。前記投入経路272は、前記装着部271の下方に位置する前記可変カセット22の前記錠剤収容部222(図4参照)に通じており、前記薬品収容容器27から排出される薬品は、前記投入経路272を通して前記可変カセット22に投入される。前記可変カセット22は、前記薬品収容容器27から投入された薬品(錠剤)を、1錠ずつ前記分包ユニット5に払い出す。図15は、前記錠剤供給ユニット2の断面を模式的に表す概略図である。
【0203】
ここで、前記薬品収容容器27から前記可変カセット22に錠剤を少量(数錠程度)ずつ投入する手段として、例えば前記装着部271から前記薬品収容容器27に振動を与えたり、前記薬品収容容器27を傾けたりする手段がある。また、前記可変カセット22から払い出される錠剤は、例えば図15の「払出処理時」中に破線矢印で示すように、前記回収部28の底面に形成されている孔281等を通して前記分包ユニット5に投入される。
【0204】
ところで、本実施形態に係る前記薬品払出システム100Aでは、前記薬品収容容器27を、前記可変カセット22からの残薬の回収に用いる。すなわち、前記薬品払出システム100Aは、前記残薬回収要求が有れば(図13のステップS145:Yes)、前記分包動作で使用した前記可変カセット22から残薬を排出させる残薬回収処理を実行する(図13のステップS146)。この場合において、前記可変カセット22から残薬を前記薬品収容容器27に排出させることで、前記薬品収容容器27にて残薬を回収する。
【0205】
具体的に、前記分包処理において前記可変カセット22から薬品(錠剤)の払い出しを行う前記払出処理(図13のステップS141)時においては、図15の左側に示すように、前記薬品収容容器27は前記装着部271に装着されている。この状態では、前記薬品収容容器27から前記可変カセット22に薬品を投入可能である。一方、前記分包動作が完了して、前記可変カセット22から残薬を回収する前記残薬回収時においては、図15の右側に示すように、前記薬品収容容器27は前記回収部28に装着される。この状態では、前記可変カセット22から払い出される残薬を前記回収部28に装着されている前記薬品収容容器27にて回収可能である。すなわち、残薬を回収するに際しては、ユーザーは、前記薬品収容容器27を、前記装着部271から取り外して前記回収部28に装着することで、当該薬品収容容器27での残薬の回収を可能とする。一例として、前記薬品収容容器27の上面には、残薬を取り込むための取込口273が形成されている。そのため、前記可変カセット22から払い出される残薬は、例えば図15の「残薬回収処理時」中に破線矢印で示すように、前記取込口273を通して前記薬品収容容器27に回収される。
【0206】
ここにおいて、本実施形態では、前記払出制御装置1は、前記残薬回収処理に際し、前記回収部28に、正しい前記薬品収容容器27が装着されているか否かを判断する。つまり、前記払出制御装置1は、前記回収部28に前記薬品収容容器27が装着されていること、かつ当該薬品収容容器27が正しいことを確認した上で、前記残薬回収処理を実行する。残薬を排出する前記可変カセット22に割り当てられている薬品情報と、前記薬品収容容器27に割り当てられている薬品情報とが一致する場合に、前記回収部28に装着されている前記薬品収容容器27が正しいと判断する。そして、前記回収部28に、正しい前記薬品収容容器27が装着されていると判断して初めて、前記払出制御装置1は、前記残薬回収処理を開始する。一例として、前記薬品収容容器27には薬品情報を示すバーコードなどの識別コードが付されており、前記回収部28に設けられているバーコードリーダー等のコード読取部が当該識別コードを読み取ることで、当該薬品収容容器27に割り当てられている薬品情報が特定される。前記払出制御装置1は、前記回収部28のコード読取部が読み取った前記識別コードが示す薬品情報と、前記可変カセット22に割り当てられている薬品情報とが一致する場合に、前記回収部28に装着されている前記薬品収容容器27が正しいと判断する。
【0207】
また、前記払出制御装置1は、前記可変カセット22の上方の前記装着部271に前記薬品収容容器27が装着されていると、前記回収部28に前記薬品収容容器27が装着されていても、当該可変カセット22についての前記残薬回収処理を開始しない。前記装着部271に前記薬品収容容器27が装着されているか否かは、例えば前記装着部271に設けられたバーコードリーダー等のコード読取部が、前記薬品収容容器27に付された前記識別コードを読み取れるか否かで判断可能である。本実施形態では一例として、前記可変カセット22の上方には複数(ここでは5つ)の前記装着部271があるため、これら複数の前記装着部271の1つでも前記薬品収容容器27が装着されている場合、前記払出制御装置1は、当該可変カセット22についての前記残薬回収処理の開始を禁止する。これにより、例えば次の前記薬品払出データに従って、前記回収部28に装着されている前記薬品収容容器27とは別の薬品(錠剤)が収容された前記薬品収容容器27が前記装着部271に装着された状態で、前記残薬回収処理が行われることを抑制できる。そのため、前記装着部271に装着された前記薬品収容容器27から、前記可変カセット22を介して、前記回収部28に装着された前記薬品収容容器27に薬品が落下し、前記回収部28に装着された前記薬品収容容器27に異種の薬品が混入することを回避しやすい。なお、前記払出制御装置1は、複数の前記装着部271の全てに前記薬品収容容器27が装着されているときのみ、前記可変カセット22についての前記残薬回収処理の開始を禁止してもよい。
【0208】
また、前記払出制御装置1は、前記可変カセット22について前記残薬回収処理中には、当該可変カセット22の上方の前記装着部271への前記薬品収容容器27の装着を禁止する。具体的に、前記払出制御装置1は、前記装着部271に設けられた禁止手段を制御することで、前記残薬回収処理中の前記可変カセット22の上方には、前記薬品収容容器27を装着できないようにする。例えば、前記払出制御装置1は、前記可変カセット22について前記残薬回収処理中には、当該可変カセット22の上方の前記装着部271の前記禁止手段としてのシャッターを閉じることで、当該装着部271への前記薬品収容容器27の装着を禁止する。これにより、前記装着部271に装着された前記薬品収容容器27から、前記可変カセット22を介して、前記回収部28に装着された前記薬品収容容器27に薬品が落下し、前記回収部28に装着された前記薬品収容容器27に異種の薬品が混入することを回避しやすい。
【0209】
また、前記払出制御装置1は、前記可変カセット22の下方の前記回収部28に前記薬品収容容器27が装着されている場合、当該可変カセット22についての前記分包処理を実行させない。前記回収部28に前記薬品収容容器27が装着されているか否かは、例えば前記回収部28に設けられたバーコードリーダー等のコード読取部が、前記薬品収容容器27に付された前記識別コードを読み取れるか否かで判断可能である。つまり、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを伴う前記分包処理は、当該可変カセット22の残薬を回収するための前記回収部28に前記薬品収容容器27が存在する状態では、実行が禁止される。これにより、前記分包動作によって前記可変カセット22から払い出される錠剤が、誤って前記回収部28に装着されている前記薬品収容容器27に混入することを回避できる。
【0210】
さらに、前記払出制御装置1は、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを伴う前記分包処理を開始するに際して、当該可変カセット22の下方の前記回収部28に前記薬品収容容器27が装着されている場合、ユーザーに向けて警告を出す。具体的に、前記払出制御装置1は、前記回収部28に前記薬品収容容器27が装着されている旨を、例えば前記モニター13の表示、又は音声出力等の手段によってユーザーに警告する。これにより、ユーザーにおいては、前記回収部28から前記薬品収容容器27を取り外すべきことの気付きが与えられる。
【0211】
また、前記払出制御装置1は、前記可変カセット22からの錠剤の払い出しを伴う前記分包処理の実行中には、当該可変カセット22の下方の前記回収部28への前記薬品収容容器27の装着を禁止する。具体的に、前記払出制御装置1は、前記回収部28に設けられた禁止手段を制御することで、前記分包処理中の前記可変カセット22の下方には、前記薬品収容容器27を装着できないようにする。例えば、前記払出制御装置1は、前記可変カセット22について前記分包処理中には、当該可変カセット22の下方の前記回収部28の前記禁止手段としてのシャッターを閉じることで、当該回収部28への前記薬品収容容器27の装着を禁止する。これにより、前記分包動作によって前記可変カセット22から払い出される錠剤が、誤って前記回収部28に装着されている前記薬品収容容器27に混入することを回避できる。
【0212】
また、前記払出制御装置1は、1つの前記可変カセット22の上方の前記装着部271と下方の前記回収部28との両方に、前記薬品収容容器27が装着されると、エラー報知を行う。具体的に、前記払出制御装置1は、前記装着部271と前記回収部28との両方に前記薬品収容容器27が装着されている旨を、例えば前記モニター13の表示、又は音声出力等の手段によってユーザーに報知する。これにより、ユーザーにおいては、前記装着部271又は前記回収部28から前記薬品収容容器27を取り外すべきことの気付きが与えられる。
【0213】
前記第2実施形態の変形例として、前記薬品払出システム100Aは、前記装着部271が前記錠剤供給ユニット2ではなく、前記可変カセット22の上部に直接的に設けられ、前記回収部28が前記錠剤供給ユニット2ではなく、前記可変カセット22の下部に直接的に設けられていてもよい。この構成によれば、前記薬品収容容器27が前記可変カセット22の上部(前記装着部271)に直接的に取り付けられ、この状態で、前記薬品収容容器27から前記可変カセット22への薬品(錠剤)の投入が可能となる。また、前記薬品収容容器27が前記可変カセット22の下部(前記回収部28)に直接的に取り付けられ、この状態で、前記可変カセット22から前記薬品収容容器27への残薬の回収が可能となる。つまり、前記薬品収容容器27を、前記可変カセット22に対して、上側又は下側のいずれに組み合わせるかによって、前記可変カセット22への薬品の投入と、残薬の回収とに、前記薬品収容容器27を利用できる。なお、前記薬品払出システム100Aは、前記装着部271と前記回収部28とのいずれか一方のみが前記可変カセット22に直接的に設けられていてもよい。
【0214】
前記第2実施形態の別の変形例として、前記薬品払出システム100Aは、前記残薬回収処理に際して、前記可変カセット22(又は前記錠剤収容部222等の前記可変カセット22の一部)が、前記錠剤供給ユニット2から取外可能に構成されてもよい。この場合、前記残薬回収処理に際して、ユーザーは、前記可変カセット22又はその一部を取り外し、前記可変カセット22の前記錠剤収容部222に手で直接的にアクセスして、残薬を回収することができる。なお、前記可変カセット22又はその一部は、前記錠剤供給ユニット2から完全に取り外されなくてもよく、例えば前記錠剤供給ユニット2の前記装着部221から露出するように引き出されてもよい。
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