(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040984
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】RNAの編集方法及びRNAを編集するためのキット
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20230315BHJP
C07K 14/11 20060101ALI20230315BHJP
C12N 9/12 20060101ALN20230315BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20230315BHJP
C12N 15/44 20060101ALN20230315BHJP
【FI】
C12N15/09 100
C07K14/11
C12N9/12 ZNA
C07K19/00
C12N15/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022006682
(22)【出願日】2022-01-19
(31)【優先権主張番号】P 2021148146
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトの掲載日 2022年1月3日 ウェブサイトのアドレス https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acssynbio.1c00332
(71)【出願人】
【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 慎治
【テーマコード(参考)】
4B050
4H045
【Fターム(参考)】
4B050CC02
4B050DD20
4B050LL01
4B050LL10
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA01
4H045DA89
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】標的RNAの任意の位置に任意の塩基配列のRNAを挿入する方法を提供すること。
【解決手段】標的RNAに対し、
ガイドRNA(gRNA)、
該gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRNA依存性RNA合成酵素(融合RdRp)及び
テンプレートRNAを添加する工程を含む、RNAの編集方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的RNAに対し、
ガイドRNA(gRNA)、
該gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRNA依存性RNA合成酵素(融合RdRp)及び
テンプレートRNAを添加する工程を含む、RNAの編集方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、核タンパク質(NP)を添加する工程をさらに含み、RNAの編集がインビトロ又はインビボで行われる、方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法であって、非構造タンパク質(NS)及び/又はマトリックスタンパク質(M)を添加する工程をさらに含み、前記RNA依存性RNA合成酵素(RdRp)が、オルソミクソ科ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)由来である、方法。
【請求項4】
gRNAと、該gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRdRpと、テンプレートRNAとを標的RNAと反応させる工程を含む、RNAの編集方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記反応工程が、インビトロ又はインビボで、核タンパク質(NP)の存在下に行われる、方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の方法であって、前記反応工程が、非構造タンパク質(NS)及び/又はマトリックスタンパク質(M)の存在下に行われ、前記RNA依存性RNA合成酵素(RdRp)が、オルソミクソ科ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)由来である、方法。
【請求項7】
前記融合RdRpが、Capスナッチング機能を有するRdRpに対し前記タンパク質を融合したものであり、かつ融合前のRdRpが有しているCapスナッチング機能は融合RdRpにおいて抑制されているか又は失われている、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質がλn、Cas13、L7Ae、MS2 coat protein (MCP)、Human hairpin-binding protein U1A(TBP6.7)、Human histone stem loop binding protein(SLBP)、Double-stranded RNA binding protein(dsRBD)、dsRBD2、dsRBD3、dsRBD4又はdsRBD5である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRNA依存性RNA合成酵素(融合RdRp)、該融合RdRpを発現するベクター又は該融合RdRpをコードするmRNAを含む、標的RNAを編集するためのキット。
【請求項10】
gRNA、gRNAを発現(転写)するベクター、テンプレートRNA及びテンプレートRNAを発現(転写)するベクターからなる群より選択される少なくとも一種をさらに含む、請求項9に記載のキット。
【請求項11】
請求項9又は10に記載のキットであって、核タンパク質(NP)、該NPを発現するベクター又は該NPをコードするmRNAをさらに含む、標的RNAをインビトロ又はインビボで編集するためのキット。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載のキットであって、該キットが、
非構造タンパク質(NS)、NSを発現するベクターもしくは該NSをコードするmRNA、及び/又は
マトリックスタンパク質(M)、Mを発現するベクターもしくは該MをコードするmRNA
を含み、前記RNA依存性RNA合成酵素(RdRp)が、オルソミクソ科ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)由来である、キット。
【請求項13】
前記融合RdRpが、Capスナッチング機能を有するRdRpに対し前記タンパク質を融合したものであり、かつ融合前のRdRpが有しているCapスナッチング機能は融合RdRpにおいて抑制されているか又は失われている、請求項9~12のいずれか一項に記載のキット。
【請求項14】
前記gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質がλn、Cas13、L7Ae、MS2 coat protein (MCP)、Human hairpin-binding protein U1A(TBP6.7)、Human histone stem loop binding protein(SLBP)、Double-stranded RNA binding protein(dsRBD)、dsRBD2、dsRBD3、dsRBD4又はdsRBD5である、請求項9~13のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RNAの編集方法及びRNAを編集するためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
RNA編集はゲノム編集と異なりゲノムDNAの塩基配列を改変することなく遺伝情報を編集できる技術である。この特徴を活かせばリスクの少ない遺伝子治療の実現が期待されるため、ここ数年大きな注目を集めている。しかし、現存のRNA編集技術は、ADARやAPOBEC1といったRNAの塩基を脱アミノ化する酵素を用い、AからG(もしくはCからU)へ1塩基を決められた塩基へと編集することしかできない。そのため、遺伝子の点変異が原因のごく限られた遺伝子疾患の治療にしか対応できない。遺伝子の大幅な変異や欠損も含めあらゆる遺伝子疾患を治療できる編集自由度の高いRNA編集技術が求められている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Nature, Vol 578, 6, February 2020, p25-27
【非特許文献2】Science, 2018, 358, p1019-1027
【非特許文献3】Nat. Biotechnol. 2019, 37, 1059-1069.
【非特許文献4】Nat. Biotechnol. 2019, 37, 133-138.
【非特許文献5】Science, 2019, 365, p382-386.
【非特許文献6】Scientific Reports, 2020. 10:17304
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、標的RNAの任意の位置に任意の塩基配列のRNAを挿入する方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる状況の下、本発明者は、種々の試行錯誤を重ねた結果、標的RNAに結合するガイドRNAに含まれる特定のモチーフに結合するようRNA依存性RNA合成酵素を改変し、当該改変したRNA依存性RNA合成酵素とガイドRNAとを用いることにより、標的RNAを所望の場所から編集し得ることを見出した。本発明はかかる新規の知見に基づくものである。従って、本発明は以下の項を提供する:
【0006】
項1.標的RNAに対し、
ガイドRNA(gRNA)、
該gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRNA依存性RNA合成酵素(融合RdRp)及び
テンプレートRNAを添加する工程を含む、RNAの編集方法。
【0007】
項2.項1に記載の方法であって、核タンパク質(NP)を添加する工程をさらに含み、RNAの編集がインビトロ又はインビボで行われる、方法。
【0008】
項3.項1又は2に記載の方法であって、非構造タンパク質(NS)及び/又はマトリックスタンパク質(M)を添加する工程をさらに含み、前記RNA依存性RNA合成酵素(RdRp)が、オルソミクソ科ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)由来である、方法。
【0009】
項4.ヌクレオシド三リン酸(NTP)を添加する工程をさらに含む、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【0010】
項5.融合RdRpの添加が、融合RdRpタンパク質の添加、融合RdRpを発現するベクターの添加または融合RdRpをコードするmRNAの添加により行われる、項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【0011】
項6.gRNAの添加がgRNA自体の添加又はgRNAを発現(転写)するベクターの添加により行われる、項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【0012】
項7.テンプレートRNAの添加がテンプレートRNA自体の添加又はテンプレートRNAを発現(転写)するベクターの添加により行われる、項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【0013】
項8.ベクターがプラスミドベクター、ウイルスベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、人工染色体ベクター又はバイナリーベクターである、項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【0014】
項9.前記gRNA、前記融合RdRp及びテンプレートRNAが、微生物、植物もしくはその細胞、動物もしくはその細胞に添加される、項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【0015】
項10.gRNAと、該gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRdRpと、テンプレートRNAとを標的RNAと反応させる工程を含む、RNAの編集方法。
【0016】
項11.項10に記載の方法であって、前記反応工程が、インビトロ又はインビボで、核タンパク質(NP)の存在下に行われる、方法。
【0017】
項12.項10又は11に記載の方法であって、前記反応工程が、非構造タンパク質(NS)及び/又はマトリックスタンパク質(M)の存在下に行われ、前記RNA依存性RNA合成酵素(RdRp)が、オルソミクソ科ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)由来である、方法。
【0018】
項13.前記反応工程がNTPの存在下に行われる、項10又は12に記載の方法。
【0019】
項14.インビトロ又はインビボで行われる、項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【0020】
項15.標的RNAが培養細胞中又は試験管中に存在する、項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【0021】
項16.gRNAに含まれる所定のRNAモチーフが、ステムループ構造である、項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【0022】
項17.gRNAに含まれる所定のRNAモチーフが、BoxB配列、CRISPR RNA(crRNA)、k-turn(BoxC/D)配列、MS2ステムループ配列、Double-strand RNA(dsRNA)、HIV trans-activation response(TAR)heapin配列又はHuman histone stem loop binding protein(SLBP)結合配列である、項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【0023】
項18.前記融合RdRpが、Capスナッチング機能を有するRdRpに対し前記タンパク質を融合したものであり、かつ融合前のRdRpが有しているCapスナッチング機能は融合RdRpにおいて抑制されているか又は失われている、項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【0024】
項19.前記融合RdRpが、融合前のRdRpの少なくとも一部を欠損し、及び/又は該融合前のRdRpに変異を導入しつつ前記タンパク質を融合したものである、項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【0025】
項20.前記RdRpがオルソミクソ科又はブニヤウイルス目のウイルス由来である、項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【0026】
項21.前記RdRpがインフルエンザウイルス、ブニヤウイルス、ハンターンウイルス、シンノンブルウイルス、トゥーラオルソハンタウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ジュグベウイルス、アカバネウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ジャーミストロンウイルス、ラクロスウイルス、Leanyerウイルス、シュマレンベルクウイルス、Snowshoe hareウイルス、プンタトロウイルス、リフトバレー熱ウイルス、Sandfly fever sicilianウイルス、Toscanaウイルス、Uukuniemiウイルス、トマト黄化えそウイルス、ライスストライプテヌイウイルス、トウモロコシストライプテヌイウイルス、Tacaribeウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、Pichindeウイルス、ラッサマンマレナウイルス、Machupo mammarenaウイルス、重症熱性血小板症候群ウイルス、ブーマラウイルス、アンデスウイルス又はナイロウイルス由来である、項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【0027】
項22.インフルエンザウイルスがA型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、又はD型インフルエンザウイルスである、項21に記載の方法。
【0028】
項23.前記gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質がλn、Cas13、L7Ae、MS2 coat protein (MCP)、Human hairpin-binding protein U1A(TBP6.7)、Human histone stem loop binding protein(SLBP)、Double-stranded RNA binding protein(dsRBD)、dsRBD2、dsRBD3、dsRBD4又はdsRBD5である、項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【0029】
項24.前記gRNAが、前記標的RNAにおける編集箇所の近傍に結合する、項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【0030】
項25.前記融合RdRpが、標的RNAを所定の位置で切断する機能を有する、項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【0031】
項26.前記融合RdRpが、標的RNAにおける前記切断をした位置を起点にして、テンプレートRNAに対応した伸長反応を行う機能を有する、項25に記載の方法。
【0032】
項27.前記所定の位置が標的RNAにおけるgRNAが結合する位置の近傍にある、項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【0033】
項28.前記融合RdRpが、PAサブユニット、PB1サブユニットおよびPB2サブユニットを有する、項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【0034】
項29.gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRNA依存性RNA合成酵素(融合RdRp)、該融合RdRpを発現するベクター又は該融合RdRpをコードするmRNAを含む、標的RNAを編集するためのキット。
【0035】
項30.gRNA、gRNAを発現(転写)するベクター、テンプレートRNA及びテンプレートRNAを発現(転写)するベクターからなる群より選択される少なくとも一種をさらに含む、項29に記載のキット。
【0036】
項31.項29又は30に記載のキットであって、核タンパク質(NP)、該NPを発現するベクター又は該NPをコードするmRNAをさらに含む、標的RNAをインビトロ又はインビボで編集するためのキット。
【0037】
項32.項29~31のいずれか一項に記載のキットであって、該キットが、
非構造タンパク質(NS)、NSを発現するベクターもしくは該NSをコードするmRNA、及び/又は
マトリックスタンパク質(M)、Mを発現するベクターもしくは該MをコードするmRNA
を含み、前記RNA依存性RNA合成酵素(RdRp)が、オルソミクソ科ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)由来である、キット。
【0038】
項33.NTPをさらに含む、項29~32のいずれか一項に記載のキット。
【0039】
項34.gRNAに含まれる所定のRNAモチーフが、ステムループ構造である、項29~33のいずれか一項に記載のキット。
【0040】
項35.gRNAに含まれる所定のRNAモチーフが、BoxB配列、crRNA、k-turn配列、MS2ステムループ配列、dsRNA、TAR配列又はSLBP結合配列である、項29~34のいずれか一項に記載のキット。
【0041】
項36.前記融合RdRpが、Capスナッチング機能を有するRdRpに対し前記タンパク質を融合したものであり、かつ融合前のRdRpが有しているCapスナッチング機能は融合RdRpにおいて抑制されているか又は失われている、項29~35のいずれか一項に記載のキット。
【0042】
項37.前記融合RdRpが、融合前のRdRpの少なくとも一部を欠損し、及び/又は該融合前のRdRpに変異を導入しつつ前記タンパク質を融合したものである、項29~36のいずれか一項に記載のキット。
【0043】
項38.前記RdRpがオルソミクソ科又はブニヤウイルス目のウイルス由来である、項29~37のいずれか一項に記載のキット。
【0044】
項39.前記RdRpがインフルエンザウイルス、ブニヤウイルス、ハンターンウイルス、シンノンブルウイルス、トゥーラオルソハンタウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ジュグベウイルス、アカバネウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ジャーミストロンウイルス、ラクロスウイルス、Leanyerウイルス、シュマレンベルクウイルス、Snowshoe hareウイルス、プンタトロウイルス、リフトバレー熱ウイルス、Sandfly fever sicilianウイルス、Toscanaウイルス、Uukuniemiウイルス、トマト黄化えそウイルス、ライスストライプテヌイウイルス、トウモロコシストライプテヌイウイルス、Tacaribeウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、Pichindeウイルス、ラッサマンマレナウイルス、Machupo mammarenaウイルス、重症熱性血小板症候群ウイルス、ブーマラウイルス、アンデスウイルス又はナイロウイルス由来である、項29~38のいずれか一項に記載のキット。
【0045】
項40.インフルエンザウイルスがA型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、又はD型インフルエンザウイルスである、項39に記載のキット。
【0046】
項41.前記gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質がλn、Cas13、L7Ae、MS2 coat protein (MCP)、Human hairpin-binding protein U1A(TBP6.7)、Human histone stem loop binding protein(SLBP)、Double-stranded RNA binding protein(dsRBD)、dsRBD2、dsRBD3、dsRBD4又はdsRBD5である、項29~40のいずれか一項に記載のキット。
【0047】
項42.前記gRNAが、前記標的RNAにおける編集箇所の近傍に結合する、項29~41のいずれか一項に記載のキット。
【0048】
項43.前記融合RdRpが、標的RNAを所定の位置で切断する機能を有する、項29~42のいずれか一項に記載のキット。
【0049】
項44.前記融合RdRpが、標的RNAにおける前記切断をした位置を起点にして、テンプレートRNAに対応した伸長反応を行う機能を有する、項43に記載のキット。
【0050】
項45.前記所定の位置が標的RNAにおけるgRNAが結合する位置の近傍にある、項29~44のいずれか一項に記載のキット。
【0051】
項46.前記融合RdRpが、PAサブユニット、PB1サブユニットおよびPB2サブユニットを有する、項29~45のいずれか一項に記載のキット。
【0052】
項47.項1~28のいずれか一項に記載の方法に用いるための、項29~46のいずれか一項に記載のキット。
【0053】
項48.前記PAサブユニット、PB1サブユニット、PB2サブユニット、NP、NS及びMからなる群より選択される少なくとも1種におけるアミノ酸配列が、これらのペプチドの天然のアミノ酸配列に対し1又は複数個(例えば、1~600個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてなるものである、項2~9、11~28のいずれか一項に記載の方法又は項31~47のいずれか一項に記載のキット。
【0054】
項49.前記融合RdRpに含まれる前記PAサブユニット、PB1サブユニット、PB2サブユニット、NP、NS及びMのアミノ酸配列が変異(アミノ酸の欠失、置換、付加等)を有してもよく、これらのペプチドの天然のアミノ酸配列に対して少なくとも40%(好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%)の配列同一性を有する、項2~9、11~28のいずれか一項に記載の方法又は項31~47のいずれか一項に記載のキット。
【発明の効果】
【0055】
本発明によれば、任意の位置で標的RNAの塩基配列を、任意の塩基配列に改変する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】実施例(1)における各種PB2変異体のドメイン構造と抽出後の各種RdRpのSDS-PAGE結果を
図1に示す。
【
図2】実施例(2)において使用したRNAの配列および切断反応後のPAGE結果を
図2に示す。
【
図3】実施例(3)において使用したRNAの配列および伸長反応後のPAGE結果を
図3に示す。
【
図4】実施例(4)において使用したRNAの配列および編集反応後のPAGE結果を
図4に示す。
【
図5-1】細胞内でmCeruleanのmRNAをmScarletのmRNAに編集する模式図、実施例(5)において使用したPB2変異体のドメイン構造を
図5-1に示す。
【
図5-2】実施例(5)において使用したRNA配列及び蛍光画像を
図5-2に示す。
【
図5-3】実施例(5)における蛍光画像を
図5-3に示す。
【
図5-4】実施例(5)における蛍光画像を
図5-4に示す。
【
図6-1】実施例(6)において使用したPB2変異体のドメイン構造、使用したRNA配列及び蛍光画像を
図6-1に示す。
【
図6-2】実施例(6)における蛍光画像を
図6-2に示す。
【
図7-1】実施例(7)において使用したPB2変異体のドメイン構造、使用したRNA配列を
図7-1に示す。
【
図7-2】実施例(7)における蛍光画像を
図7-2に示す。
【
図7-3】実施例(7)における蛍光画像を
図7-3に示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明において、用語「遺伝子」には、特に言及しない限り、タンパク質、tRNA、rRNA等の一次構造を規定している構造遺伝子だけでなく、プロモーター、オペレーター等の特定の制御機能を有する核酸上の領域も包含される。従って、本発明において「遺伝子」とは、特に言及しない限り、調節領域、コード領域、エクソン、及びイントロンを区別することなく示すものとする。また、「構造遺伝子」には、元のDNA配列にサイレント変異が施されたサイレントDNAも包含される。また、本発明においては、遺伝子発現に干渉するsiRNA等の核酸分子も「遺伝子」に包含される。
【0058】
本明細書中において、「核酸」は、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドと同義であって、DNA、RNA、DNA-RNAハイブリッドのいずれであってもよい。また、これらは2本鎖であっても1本鎖であってもよく、ある配列を有する核酸分子といった場合、特に言及しない限り、これに相補的な配列を有する核酸分子(またはヌクレオチド、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド)も包括的に意味するものとする。また、これらの核酸分子は環状でも直鎖状であってもよく、また合成及び生物由来のいずれであってもよい。
【0059】
本発明において、「タンパク質(タンパク)」及び「ペプチド」は、オリゴペプチド及びポリペプチドを含む意味で用いられる。また、本明細書において、「タンパク質」及び「ペプチド」は、特に言及しない限り、糖鎖などによって修飾されているタンパク質及び非修飾のタンパク質の両方を包含するものとする。このことは、タンパク質であることが明記されていないタンパク質についても同様である。また、本発明において用いられるタンパク質(タンパク)、ペプチド等を例示するために、アミノ酸配列を挙げて説明をするが、そうでないことが明示されない限り、各アミノ酸配列は、本発明の効果が得られる範囲で、1個又は複数個のアミノ酸が変異(付加、削除及び/又は置換)されてもよい。
【0060】
RNAの編集方法
本発明は、標的RNAに対し、
ガイドRNA(gRNA)、
該gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRNA依存性RNA合成酵素(融合RdRp)及び
テンプレートRNAを添加する工程を含む、RNAの編集方法
を提供する。
【0061】
標的RNAとしては特に限定されないが、ガイドRNAが結合しやすいように、一定以上の長さを有するものが好ましい。例えば、標的RNAの長さとしては、例えば、20塩基以上、好ましくは40塩基以上、より好ましくは50塩基以上のものを用いることができる。また、標的RNAの長さの上限は特に限定されないが、例えば、10000塩基以下、8000塩基以下、3000塩基以下等のものが挙げられる。後述するように、本発明の典型的な実施形態においては融合RdRpが、標的RNAを所定の位置(例えば、標的RNAにおけるgRNAが結合する位置の近傍、より具体的には、例えば、標的RNAにおけるgRNAが結合する範囲の3’側の端から2~40塩基(好ましくは6~20塩基)離れた位置)で切断する。従って、典型的な実施形態において、標的RNAは、融合RdRpにより認識、切断され得る塩基配列を含む。融合RdRpにより認識、切断され得る塩基配列としては、例えば、A型インフルエンザウイルスのRNA依存性RNA合成酵素(RdRp)のPAサブユニットにより切断されうる塩基配列AG、CG、UG、GG、CA、UA、GA、AA、UU、CU、GU、AU等;ToscanaウイルスのRdRpにより切断されうる塩基配列GC、UC、AA、GA、UU、UA,CC、AU、CU等が挙げられる。本発明においては、標的RNAは、培養細胞中に存在していてもよいし、培養細胞中に存在する以外の態様で試験管中に存在してもよい。また、標的RNAは、生体内に存在していてもよい。従って、本発明のいくつかの実施形態においては、前記gRNA、前記融合RdRp及びテンプレートRNAは、標的RNAを含む、微生物、植物もしくはその細胞、動物もしくはその細胞等に添加され得る。また、反応系が溶液系である場合、反応開始時における標的RNAの量は特に限定されないが、例えば、反応系中の濃度として、1pM~1mM、好ましくは100pM~100μM、より好ましくは100nM~10μM等が挙げられる。
【0062】
ガイドRNA(gRNA)としては、後述する融合RdRpが結合するRNAモチーフを有し、かつ標的RNAに結合するものであれば特に限定されない。gRNAに含まれる所定のRNAモチーフとしては、ステムループ構造等が挙げられる。より具体的には、gRNAに含まれる所定のRNAモチーフとしては、BoxB配列、crRNA、k-turn配列、MS2ステムループ配列、dsRNA、TAR配列又はSLBP結合配列等が挙げられる。gRNAは、標的RNAの所望の位置に結合するように、標的RNAの一部の塩基配列に対して相補的な塩基配列を有することが好ましい。かかる実施形態において、標的RNAの一部の塩基配列に対して相補的な塩基配列の長さは限定されないが、例えば、10~100塩基、好ましくは15~80塩基、より好ましくは20~50塩基の範囲で設計できる。また、gRNA自体の長さは限定されず、例えば、25塩基以上、好ましくは30塩基以上、より好ましくは35塩基以上のものを用いることができる。また、gRNAの長さの上限も特に限定されないが、例えば、115塩基以下、95塩基以下、90塩基以下等のものが挙げられる。gRNAの使用量は特に限定されないが、溶液系の場合、反応系中の濃度としては、1pM~1mM、好ましくは100pM~100μM、より好ましくは100nM~10μM等が挙げられる。また、本発明において、反応系にgRNAを添加する工程は、gRNA自体を添加する方法だけでなく、gRNAを発現(転写)するベクターの添加等により行ってもよい。gRNAを発現(転写)するベクターとしては、プラスミドベクター、ウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター等)、コスミドベクター、フォスミドベクター、人工染色体ベクター、バイナリーベクター等が挙げられる。これらのベクターにgRNAまたはそれをコードするDNAを組み込んだものを使用することができる。
【0063】
また、本工程においてはgRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRNA依存性RNA合成酵素を用いる。本発明において「gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRNA依存性RNA合成酵素」を、単に融合RdRpと示すことがある。
【0064】
融合RdRpに含まれる「gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質」としては、上記RNAモチーフに特異的に結合するものであれば特に限定されないが、例えば、λn、Cas13、L7Ae、MS2 coat protein (MCP)、Human hairpin-binding protein U1A(TBP6.7)、Human histone stem loop binding protein(SLBP)、Double-stranded RNA binding protein(dsRBD)、dsRBD2、dsRBD3、dsRBD4、dsRBD5等が挙げられる。λnタンパク質としては、NCBIアクセッションNo.M29653で示されるもの等が挙げられる。より具体的には、λnタンパク質としては、例えば、配列番号1で表されるアミノ酸配列を有するものが挙げられる。λnタンパク質は、BoxBに特異的に結合する。また、λnタンパク質としては、配列番号1で表されるアミノ酸配列から1個又は数個(例えば、1~4個、1~2個、1個等)のアミノ酸を付加、削除及び/又は置換してなるアミノ酸配列を有するものであってもよい。Cas13タンパク質としては、Cas13a、Cas13b、Cas13c、Cas13d、Cas13X、Cas13Y等が挙げられ、Cas13b等が好ましい。より具体的には、NCBIアクセッションNo.WP_044065294で示されるもの等が挙げられる。また、Cas13タンパク質としては、切断活性を不活性化した変異体(inactivated Cas13,dCas13)であることが好ましい。かかる変異体としては、配列番号8で表されるアミノ酸配列を有するもの等が挙げられる。また、配列番号8で表されるアミノ酸配列から複数個(例えば、1~500個、1~200個、1~50個、1~20個、1個等)のアミノ酸を付加、削除及び/又は置換してなるアミノ酸配列を有するものであってもよい。Cas13タンパク質は、crRNAに特異的に結合する。L7Aeタンパク質としては、NCBIアクセッションNo.WP_010878267で示されるもの等が挙げられる。また、L7Aeタンパク質は、配列番号7で表されるアミノ酸配列を有するもの、又は配列番号7で表されるアミノ酸配列から1個又複数個(例えば、1~50個、1~20個、1~5個、1個等)のアミノ酸を付加、削除及び/又は置換してなるアミノ酸配列を有するものであってもよい。L7Aeタンパク質は、Box C/Dに特異的に結合する。MCPタンパク質としては、NCBIアクセッションNo.YP_009640125で示されるもの等が挙げられる。また、MCPタンパク質としては、NCBIアクセッションNo.YP_009640125に示されるMCPタンパク質のアミノ酸配列から1個又複数個(例えば、1~50個、1~20個、1~5個、1個等)のアミノ酸を付加、削除及び/又は置換してなるアミノ酸配列を有するものであってもよい。MCPタンパク質は、MS2に特異的に結合する。
【0065】
本発明において、RNA依存性RNA合成酵素を単にRdRpと示すこともある。本発明の典型的な実施形態において、前記融合RdRpは、RdRpに由来するPAサブユニット、PB1サブユニットおよびPB2サブユニットを有するもの等が挙げられる。本発明において、RdRp及び融合RdRpにおけるPAサブユニット、PB1サブユニットおよびPB2サブユニットは、一般のアミノ酸配列として結合していてもよいし、これら3つのサブユニットが非共有結合的に集合し、複合体化していてもよい。また、RdRpとしては、オルソミクソ科ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、ブニヤウイルス等に由来するものが挙げられる。より具体的には、RdRpとしては、インフルエンザウイルス、ブニヤウイルス、ハンターンウイルス、シンノンブルウイルス、トゥーラオルソハンタウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ジュグベウイルス、アカバネウイルス、ブニヤムウェラウイルス、ジャーミストロンウイルス、ラクロスウイルス、Leanyerウイルス、シュマレンベルクウイルス、Snowshoe hareウイルス、プンタトロウイルス、リフトバレー熱ウイルス、Sandfly fever sicilianウイルス、Toscanaウイルス、Uukuniemiウイルス、トマト黄化えそウイルス、ライスストライプテヌイウイルス、トウモロコシストライプテヌイウイルス、Tacaribeウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、Pichindeウイルス、ラッサマンマレナウイルス、Machupo mammarenaウイルス、重症熱性血小板症候群ウイルス、ブーマラウイルス、アンデスウイルス、ナイロウイルス等のウイルスに由来するものが挙げられる。インフルエンザウイルスとしては、A型インフルエンザウイルス、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、D型インフルエンザウイルス等が挙げられる。本発明のより具体的な一実施形態において、例えば、インフルエンザウイルスに由来するRdRpとしては、NCBIアクセッションNo.AF389115で示されるアミノ酸配列(PB2)、NCBIアクセッションNo.AF389116(PB1)で示されるアミノ酸配列及びNCBIアクセッションNo.AF389117(PA)で示されるアミノ酸配列を有するものが挙げられる。インフルエンザウイルスに由来するRdRpとしては、より具体的には、配列番号2で表されるPAのアミノ酸配列、配列番号3で表されるPB1のアミノ酸配列及び配列番号4で表されるPB2のアミノ酸配列を有するものが挙げられる。また、融合RdRpに含まれる前記PAサブユニット、PB1サブユニット、PB2サブユニットのアミノ酸配列は、変異を有してもよい。例えば、配列番号2で表されるPAのアミノ酸配列のアミノ酸配列に対して少なくとも40%(好ましくは少なくとも50%、より好ましくは70%、より好ましくは90%、さらに好ましくは95%)の配列同一性を有するものを使用することができる。また、配列番号3で表されるPB1のアミノ酸配列に対しても少なくとも40%(好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%)の配列同一性を有するものを使用することができる。そして配列番号4で表されるPB2のアミノ酸配列に対しても少なくとも40%(好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも95%)の配列同一性を有するものを使用することができる。その際、配列番号4で表されるPB2のアミノ酸配列における1~245位のアミノ酸のアミノ酸配列は保存され(変異を有する場合も、例えば、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有す)ることが好ましい。また別の実施形態において、配列番号4で表されるPB2のアミノ酸配列に対し変異を有する場合、配列番号4で表されるPB2のアミノ酸配列における1~245位及び537~759位のアミノ酸のアミノ酸配列は保存され(変異を有する場合も、例えば、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有す)ることが好ましい。 本発明においては、前記融合RdRpが、Capスナッチング機能を有するRdRpに対し前記タンパク質(gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質)を融合したものであることが好ましい。また、好ましい実施形態において、前記融合RdRpは、融合前のRdRpの少なくとも一部(例えば、該融合前のRdRpが本来有しているCapスナッチング機能を有するサブユニットの少なくとも一部)を欠損し、及び/又は該融合前のRdRpに変異を導入しつつ前記タンパク質を融合したものである(従って、融合前のRdRpが本来有しているCapスナッチング機能が、融合RdRpにおいて抑制されているか又は失われている)ことが好ましい。融合前のRdRpが本来有しているCapスナッチング機能が抑制又は失われていることにより、前記タンパク質の機能により標的RNAの所望の位置に融合RdRpを結合させ、それにより、標的RNAの所望の位置からRNA編集を行うことができる。
【0066】
「gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質」と「RNA依存性RNA合成酵素」とを融合したタンパク質を調製する方法は特に限定されず、例えば、後述する実施例に記載の方法により行うことができる。
【0067】
また、本発明において、反応系に融合RdRpを添加する工程は、融合RdRpタンパク質を添加する方法だけでなく、融合RdRpを発現するベクターの添加、融合RdRpをコードするmRNAの添加等により行ってもよい。融合RdRpを発現するベクターとしては、プラスミドベクター、ウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター等)、コスミドベクター、フォスミドベクター、人工染色体ベクター、バイナリーベクター等が挙げられる。これらのベクターに融合RdRpの遺伝子を組み込んだものを使用することができる。反応系への融合RdRpを発現するベクターの添加、融合RdRpをコードするmRNAの添加等を行う方法には、宿主細胞等を当該ベクター、当該mRNA等でトランスフェクトし、宿主細胞等に融合RdRpを発現させてもよい。宿主細胞としては、例えば、HEK293T細胞、HEK293細胞、Vero細胞、HeLa細胞、CHO細胞等が挙げられる。当該宿主細胞を用いる実施形態において、反応溶液中の当該宿主細胞の量は限定されないが、例えば、0.5~10x105cells/mL、好ましくは1~8x105cells/mL、より好ましくは2~5x105cells/mLの範囲で適宜設定できる。
【0068】
テンプレートRNAとしては、融合RdRpにより切断された標的RNAの当該切断部位以降に配置したい塩基配列の相補配列を有するものであれば特に限定されない。テンプレートRNAの長さは限定されず、例えば、20塩基以上、好ましくは30塩基以上、より好ましくは40塩基以上のものを用いることができる。また、テンプレートRNAの長さの上限も特に限定されないが、例えば、10000塩基以下、5000塩基以下、3000塩基以下等のものが挙げられる。テンプレートRNAは、例えば、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼおよびSP6 RNAポリメラーゼによるインビトロ転写反応で調製することができる。反応開始時における反応系中のテンプレートRNAの量は特に限定されないが、例えば、溶液系の場合、反応系中の濃度として、1pM~1mM、好ましくは100pM~100μM、より好ましくは100nM~10μM等が挙げられる。また、本発明において、反応系にテンプレートRNAを添加する工程は、テンプレートRNA自体を添加する方法だけでなく、テンプレートRNAを発現(転写)するベクターの添加等により行ってもよい。テンプレートRNAを発現(転写)するベクターとしては、プラスミドベクター、ウイルスベクター(例えば、アデノ随伴ウイルスベクター、アデノウイルスベクター、レンチウイルスベクター等)、コスミドベクター、フォスミドベクター、人工染色体ベクター、バイナリーベクター等が挙げられる。これらのベクターにテンプレートRNA又はこれをコードするDNAを組み込んだものを使用することができる。
【0069】
本発明の一実施形態において、標的RNAに対するgRNA、融合RdRp及びテンプレートRNAを添加する工程は、培地中(典型的には液体培地中)で行うことが好ましい。培地としては、特に限定されないが、例えば、DMEM培地、EMEM培地、RPMI 1640培地、各種昆虫細胞用培地培地等を用いることができる。培地のpHとしては特に限定されないが、例えば、8~6、好ましくは7.5~6.5の範囲で適宜設定できる。本工程を行う温度も特に限定されないが、例えば、20~50℃、好ましくは25~40℃の範囲で適宜設定できる。
【0070】
本発明の方法において、標的RNAに対するgRNA、融合RdRp及びテンプレートRNAを添加する工程の後、インキュベーションを行ってもよい。インキュベーションは静置により行ってもよいし、攪拌をしてもよい。インキュベーションを行う場合、その時間は特に限定されないが、例えば、1~168時間、好ましくは2~96時間の範囲で適宜設定できる。インビトロの場合、インキュベーションの時間は、例えば、10~0.5時間が好ましく、6~2時間がより好ましい。インビボの場合、インキュベーションの時間は、例えば、200~10時間が好ましく、100~20時間がより好ましい。インキュベーションを行う場合、その温度も特に限定されないが、例えば、20~50℃、好ましくは25~40℃の範囲で適宜設定できる。
【0071】
本発明の方法により、gRNAと、該gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRdRpと、テンプレートRNAと、標的RNAとの反応が生じる。具体的には、典型的な実施形態において、標的RNAにgRNAが結合し、当該gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに結合することにより融合RdRpがgRNAに結合し、そして、融合RdRpが標的RNAを切断した上で、標的RNAにおける前記切断をした位置を起点にして、テンプレートRNAに対応した伸長反応が生じる。それにより、標的RNAの所望の位置からテンプレートRNAに対応する塩基配列を有するRNAが伸張されてなるRNAを調製することができる。
【0072】
本発明の方法は、ヌクレオシド三リン酸(NTP)を添加する工程をさらに含んでいてもよい。本発明の方法において、NTPは、RNA合成の原料等として使用される。
【0073】
本発明の方法は、インビトロ及びインビボのいずれでも行うことができる。本発明において、試験管内に細胞、生体組織(生体から摘出したもの、培養により生成したもの等を含む)等を配置し、当該細胞、生体組織等が有する標的RNAに対しRNA編集を行う方法は、インビボに包含される。
【0074】
また、好ましい実施形態において、本発明の方法は、核タンパク質(NP)を添加する工程をさらに含んでいてもよい。NPとしては、例えば、NCBIアクセッションNo.AF389119等で示されるもの等が挙げられる。NPのアミノ酸配列は、変異を有してもよく、例えば、天然のアミノ酸配列に対し1又は複数個(例えば、1~99個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてなるものを使用することができる。好ましい実施形態において、例えば、天然のアミノ酸配列に対して少なくとも60%(好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%)の配列同一性を有するものを使用することができる。また、当該実施形態においては、NPをRdRpと融合した上でさらにNPを添加する工程をふくんでもよい。当該実施形態においてNPの使用量は限定されないが、例えば、溶液系の場合、反応系中の濃度として、1pM~1mM、好ましくは100pM~100μM、より好ましくは100nM~10μM等が挙げられる。NPを用いる実施形態は、インビボでRNA編集を行う場合に特に好ましい。
【0075】
また、好ましい実施形態において、本発明の方法は、非構造タンパク質(NS)を添加する工程をさらに含んでいてもよい。NSとしては、例えば、NCBIアクセッションNo.AF389122等で示されるもの等が挙げられる。NSのアミノ酸配列は、変異を有してもよく、例えば、天然のアミノ酸配列に対し1又は複数個(例えば、1~99個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてなるものを使用することができる。好ましい実施形態において、例えば、天然のアミノ酸配列に対して少なくとも90%(好ましくは少なくとも95%)の配列同一性を有するものを使用することができる。当該実施形態においてNSの使用量は限定されないが、例えば、溶液系の場合、反応系中の濃度として、1pM~1mM、好ましくは100pM~100μM、より好ましくは100nM~10μM等が挙げられる。また、好ましい実施形態において、本発明の方法は、マトリックスタンパク質(M)を添加する工程をさらに含んでいてもよい。マトリックスタンパク質(M)としては、例えば、NCBIアクセッションNo.AF389121等で示されるもの等が挙げられる。マトリックスタンパク質(M)のアミノ酸配列は、変異を有してもよく、例えば、天然のアミノ酸配列に対し1又は複数個(例えば、1~99個)のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されてなるものを使用することができる。好ましい実施形態において、上記天然のアミノ酸配列に対して少なくとも90%(好ましくは少なくとも95%)の配列同一性を有するものを使用することができる。当該実施形態においてマトリックスタンパク質(M)の使用量は限定されないが、例えば、溶液系の場合、反応系中の濃度として、1pM~1mM、好ましくは100pM~100μM、より好ましくは100nM~10μM等が挙げられる。これらの実施形態において、非構造タンパク質(NS)とマトリックスタンパク質(M)とをそれぞれ単独に使用しても2種類を組み合わせてもよい。本発明のうち非構造タンパク質(NS)及び/又はマトリックスタンパク質(M)を用いる実施形態は、前記RNA依存性RNA合成酵素(RdRp)が、オルソミクソ科ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)由来である場合に特に好ましい。
【0076】
キット
別の実施形態において、本発明は、gRNAに含まれる所定のRNAモチーフに特異的に結合するタンパク質を融合したRNA依存性RNA合成酵素(融合RdRp)、該融合RdRpを発現するベクター又は該融合RdRpをコードするmRNAを含む、標的RNAを編集するためのキットを提供する。本発明のキットは、前述したRNAの編集方法に用いることができる。gRNA、融合RdRp等の用語の意味するところは、前述の通りである。
【0077】
また、本発明のキットは、gRNA、gRNAを発現(転写)するベクター、テンプレートRNA及びテンプレートRNAを発現(転写)するベクターからなる群より選択される少なくとも一種をさらに含んでいてもよい。また、本発明のキットは、核タンパク質(NP)、該NPを発現するベクター又は該NPをコードするmRNAをさらに含んでいてもよい。核タンパク質(NP)、該NPを発現するベクター又は該NPをコードするmRNAを含むキットは、標的RNAをインビボで編集するために用いる場合、特に好ましい。好ましい実施形態において、本発明のキットは、
非構造タンパク質(NS)、NSを発現するベクターもしくは該NSをコードするmRNA、及び/又は
マトリックスタンパク質(M)、Mを発現するベクターもしくは該MをコードするmRNA
を含んでもよい。かかる実施形態においては、前記RNA依存性RNA合成酵素(RdRp)が、オルソミクソ科ウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)由来であることが好ましい。また、本発明のキットはNTPをさらに含んでもよい。本発明のキットは、さらに、シリンジ、反応容器、本発明のキットを使用するための説明書等を備えていてもよい。
【0078】
以下に実施例及び比較例を用いて本発明の特定の実施形態を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【実施例0079】
(1)リコンビナントRdRpの作製
A型インフルエンザウイルスのPA, PB1およびPB2をシームレスクローニング法によりpcDNA3ベクターにサブクローニングし、pcDNA3-PA, pcDNA3-PB1およびpcDNA-PB2を作製した。pcDNA-PB2についてはドメインを削除した5種類の変異体を作製した。cap結合ドメインを含む変異体にはF404Aのアミノ酸変異を入れcap結合能を抑制した。また各種PB2のC末端に配列番号5に示すλn配列とTAPタグ配列を付加した。8μgのpcDNA3-PA, 8μgのpcDNA3-PB1および8μgのpcDNA-PB2を2 mLのOptiMEM培地中でトランスフェクション試薬Transporter 5と混合し20分間室温で静置した後、HEK293T細胞を培養中のDMEM培地(抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン)および10% FBS含有)に添加しトランスフェクションした。トランスフェクションから48時間後、HEK293T細胞をlysisバッファー (50 mM Tris-HCl, pH 8.0, 200 mM NaCl, 0.5% Nonidet P-40, 1 mM DTT, 1 mM PMSF, 25% glycerol and 1 x protease inhibitor cocktail)で溶解しIgG Sepharose 6 Fast Flowを用いRdRpを抽出した。各種PB2変異体のドメイン構造と抽出後の各種RdRpのSDS-PAGE結果を
図1に示す。
【0080】
(2)in vitroでの切断反応
(1)で作製した各種RdRpを用いin vitroでtarget RNAの切断反応を行った。反応溶液(0.5 μMの蛍光ラベルしたtarget RNA, 0.5 μMのBox B 配列を含むgRNA (もしくは gRNA mut), 0.5 μMのtemplate RNA, 0.1 μMのRdRp, 2 U/μlのRNaseインヒビター)を反応用バッファー(50 mM HEPES, pH 7.5, 150 mM NaCl, 1 mM DTT, 5 mM MgCl2,)中で30 ℃、2 時間反応させた。各種RdRpがtarget RNAをAGの後で切断することを確認した。使用したRNAの配列および切断反応後のPAGE結果を
図2に示す。
【0081】
(3)in vitroでの伸長反応
(1)で作製した各種RdRpを用いin vitroで切断後のtarget RNAに相当するprimer RNAの伸長反応を行った。反応溶液((0.5 μMの蛍光ラベルしたprimer RNA, 0.5 μMのBox B 配列を含むgRNA (もしくは gRNA mut), 0.5 μMのtemplate RNA, 0.1 μMのRdRp, 2 U/μlのRNaseインヒビター, 1 mM のNTPs)を反応用バッファー(50 mM HEPES, pH 7.5, 150 mM NaCl, 1 mM DTT, 5 mM MgCl2,)中で30 ℃、2 時間反応させた。各種RdRpがprimer RNAの3’末端からtemplate RNAを鋳型に新生RNAを伸長することを確認した。使用したRNAの配列および伸長反応後のPAGE結果を
図3に示す。
【0082】
(4)in vitroでのRNA編集
(1)で作製したPB2(480)変異体を含むRdRpを用いin vitroでtarget RNAの編集を行った。反応溶液(1 μMの蛍光ラベルしたtarget RNA, 1 μMのBox B 配列を含むgRNA (もしくは gRNA mut), 1 μMのtemplate RNA, 0.25 μMのRdRp, 2 U/μlのRNaseインヒビター, 1 mM のNTPs)を反応用バッファー(50 mM HEPES, pH 7.5, 150 mM NaCl, 1 mM DTT, 5 mM MgCl2,)中で30 ℃、4 時間反応させた。PB2(480)変異体を含むRdRpがtarget RNAを切断し、切断後の3’末端からtemplate RNAを鋳型に新生RNAを伸長することを確認した。使用したRNAの配列および編集反応後のPAGE結果を
図4に示す。
【0083】
(5)λn-Box Bの相互作用を利用したin vivo(細胞内)でのRNA編集
青色蛍光タンパク質mCeruleanのmRNAを赤色蛍光タンパク質mScarletのmRNAに書き換えるRNA編集を細胞内で行った。編集が起これば赤色蛍光が観察される(
図5)。A型インフルエンザウイルスのNP(配列番号6)をシームレスクローニング法によりpcDNA3ベクターにサブクローニングし、pcDNA3-NPを作製した。Box B配列を含むgRNA配列をシームレスクローニング法によりphU6ベクターのU6プロモーターの下流に挿入し、gRNAを発現するphU6-λn-gRNAを作製した。mScarletをシームレスクローニング法によりpPOLIベクターのRNAポリメラーゼIプロモーターの下流に挿入し、mScarletのRNA(template RNA)を発現するpPOLI-mScarletを作製した。mCeruleanをシームレスクローニング法によりpcDNA3ベクターにサブクローニングし、mCeruleanのmRNA(target RNA)を発現するpcDNA3-mCeruleanを作製した。本実験にはPB2(679)-λn、PB2(679)-λnからcap結合ドメインを削除したPB2(679-dCBD)-λn 1、PB2(679-dCBD)-λn 2、cap結合ドメインをλnに置換したPB2(320-λn-480)、の4種のPB2を用いた(
図5のドメイン構造を参照)。PB2(679)-λnにおいてはcapとの結合能を抑制するためE361AおよびF404Aのアミノ酸変異を入れた。各種PB2変異体のプラスミドはシームレスクローニング法で作製した。モル比が以下のようになるよう7種のプラスミド(トータル 4.8 μg)を400 μLのOptiMEM培地中でトランスフェクション試薬と混合した。pcDNA3-PA: 1, pcDNA3-PB1: 1, pcDNA3-PB2: 1, pcDNA3-NP: 1, pcDNA3-mCerulean: 0.25, pPOLI-mScarlet: 1, phU6-λn-gRNA: 40。混合溶液を20分間室温で静置した後、HEK293T細胞を培養中のDMEM培地(抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン)および10% FBS含有)に添加しトランスフェクションした。トランスフェクションから48時間後、共焦点レーザー顕微鏡でmScarletの赤色蛍光を観察した。RNA編集が起こり赤色蛍光を発する細胞を確認した。蛍光画像を
図5に示す。
【0084】
(6)L7Ae-Box C/Dの相互作用を利用したin vivo(細胞内)でのRNA編集
(5)と同様の青色蛍光タンパク質mCeruleanのmRNAを赤色蛍光タンパク質mScarletのmRNAに書き換えるRNA編集をL7Ae-Box C/Dの相互作用を利用して細胞内で行った。Box C/D配列を含むgRNA配列をシームレスクローニング法によりphU6ベクターのU6プロモーターの下流に挿入し、gRNAを発現するphU6-L7Ae-gRNAを作製した。本実験にはcap結合ドメインをL7Aeに置換したPB2(245-L7Ae-527)、PB2(318-L7Ae-494)の2種のPB2を用いた(
図6のドメイン構造を参照)。各種PB2変異体のプラスミドはシームレスクローニング法で作製した。L7Aeのアミノ酸配列を配列番号7に示す。モル比が以下のようになるよう7種のプラスミド(トータル 4.8 μg)を400 μLのOptiMEM培地中でトランスフェクション試薬と混合した。pcDNA3-PA: 1, pcDNA3-PB1: 1, pcDNA3-PB2: 1, pcDNA3-NP: 1, pcDNA3-mCerulean: 0.25, pPOLI-mScarlet: 1, phU6-L7Ae-gRNA: 40。混合溶液を20分間室温で静置した後、HEK293T細胞を培養中のDMEM培地(抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン)および10% FBS含有)に添加しトランスフェクションした。トランスフェクションから24時間後、共焦点レーザー顕微鏡でmScarletの赤色蛍光を観察した。RNA編集が起こり赤色蛍光を発する細胞を確認した。蛍光画像を
図6に示す。
【0085】
(7)dCas13b-crRNAの相互作用を利用したin vivo(細胞内)でのRNA編集
(5)と同様の青色蛍光タンパク質mCeruleanのmRNAを赤色蛍光タンパク質mScarletのmRNAに書き換えるRNA編集をdCas13b-crRNAの相互作用を利用して細胞内で行った。crRNA配列を含むgRNA配列をシームレスクローニング法によりphU6ベクターのU6プロモーターの下流に挿入し、gRNAを発現するphU6-crRNAを作製した。本実験にはPB2(679)-dCas13b、PB2(679)-dCas13bからcap結合ドメインを削除したPB2(679-dCBD)-dCas13b 1、PB2(679-dCBD)-dCas13b 2の3種のPB2を用いた(
図7のドメイン構造を参照)。PB2(679)-dCas13bにおいてはcapとの結合能を抑制するためE361AおよびF404Aのアミノ酸変異を入れた。各種PB2変異体のプラスミドはシームレスクローニング法で作製した。dCas13b のアミノ酸配列を配列番号8に示す。モル比が以下のようになるよう7種のプラスミド(トータル 4.8 μg)を400 μLのOptiMEM培地中でトランスフェクション試薬と混合した。pcDNA3-PA: 1, pcDNA3-PB1: 1, pcDNA3-PB2: 1, pcDNA3-NP: 1, pcDNA3-mCerulean: 0.25, pPOLI-mScarlet: 1, phU6-crRNA: 40。混合溶液を20分間室温で静置した後、HEK293T細胞を培養中のDMEM培地(抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン)および10% FBS含有)に添加しトランスフェクションした。トランスフェクションから48時間後、共焦点レーザー顕微鏡でmScarletの赤色蛍光を観察した。RNA編集が起こり赤色蛍光を発する細胞を確認した。蛍光画像を
図7に示す。