(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040995
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】データドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/15 20200101AFI20230315BHJP
G06F 30/27 20200101ALI20230315BHJP
G06F 111/10 20200101ALN20230315BHJP
【FI】
G06F30/15
G06F30/27
G06F111:10
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022076591
(22)【出願日】2022-05-06
(31)【優先権主張番号】202111058760.4
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522178957
【氏名又は名称】南京工程学院
【氏名又は名称原語表記】Nanjing Institute Of Technology
【住所又は居所原語表記】No.1, Hongjing Avenue, Jiangning Science Park, Nanjing City,Jiangsu Province,China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】朱志瑩
(72)【発明者】
【氏名】孫玉坤
(72)【発明者】
【氏名】李▲シン▼雅
(72)【発明者】
【氏名】張巍
(72)【発明者】
【氏名】朱海浪
(72)【発明者】
【氏名】▲ツゥン▼冰玉
(72)【発明者】
【氏名】倪▲イュ▼恵
(72)【発明者】
【氏名】▲チ▼光▲シン▼
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA05
5B146DC03
5B146DJ01
5B146DL08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】データドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法を提供する。
【解決手段】方法は、オンラインモデルにおいて磁気サスペンションフライホイールローターシステムの運動方程式に従って磁気サスペンションフライホイールローターシステムの入力と出力の間の伝達関数行列を計算し、伝達関数行列に従って周波数応答伝達関数行列と留数行列を計算し、周波数ドメインにおいて留数行列と不減衰固有振動数、モード減衰比との関係及び留数行列とモード形状行列の関係を計算し、最小二乗複素周波数ドメイン方法を用いて周波数応答伝達関数行列とモード形状行列の関係を取得し、モードパラメーターを識別する。方法はさらに、オフラインモデルにおいて磁気サスペンションフライホイールローターシステムの機構モデルを構築し、データドリブンと機構モデルの組合せに基づいてエクストリームラーニングマシンモデルを構築する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法であって、
S1、オンラインモデルにおいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの運動方程式により、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの入力と出力との間の伝達関数行列を計算するステップと、
S2、ステップS1で得られた伝達関数行列に従って周波数応答伝達関数行列を計算し、ステップS1の伝達関数行列に従って留数行列を取得し、周波数ドメインにおいて、留数行列と不減衰固有振動数、モード減衰比との間の関係、および留数行列とモード形状行列との間の関係を計算するステップと、
S3、ステップS2で得られた周波数応答伝達関数行列、留数行列と不減衰固有振動数、モード減衰比との間の関係、および留数行列とモード形状行列との間の関係に基づいて、最小二乗複素周波数ドメイン方法により、周波数応答伝達関数行列とモード形状行列との関係を求め、モードパラメーターを識別するステップと、
S4、オフラインモデルにおいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの機構モデルを構築し、オフラインモデルとオンラインモデルとを組み合わせてサンプルデータを取得し、データドリブンと機構モデルとの組合せに基づいて、エクストリームラーニングマシンモデルを構築し、前記エクストリームラーニングマシンモデルが道路状況を識別するために用いられるステップとを含む、ことを特徴とするデータドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法。
【請求項2】
前記ステップS1は、
S11、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの運動方程式を計算するステップであって、運動方程式の入力が磁気サスペンションフライホイールローターシステムのN次元加速度、速度および変位応答ベクトルであり、出力が磁気サスペンションフライホイールローターシステムのN次元振動力ベクトルである、ステップと、
S12、ステップS11における磁気サスペンションフライホイールローターシステムの運動方程式をラプラス変換するステップと、
S13、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの入力と出力との間の伝達関数行列を計算するステップとを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のデータドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法。
【請求項3】
【請求項4】
前記ステップS2は、
S21、フーリエ変換に従って、伝達関数行列を周波数応答伝達関数行列に変換し、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの周波数ドメイン出力と入力の関係を導き出し、
S22、ステップS1で取得した伝達関数行列の特性方程式を計算し、特性根を求め、前記特性根は、不減衰固有振動数、モード減衰比を表しており、
S23、ステップS21に計算された特性方程式と特性根を組み合わせ、伝達関数行列の留数行列を計算し、留数行列と、不減衰固有振動数、モード減衰比との間の関係を取得し、
S24、磁気サスペンションフライホイールローターシステムのモード形状ベクトルに基づき、留数行列とモード形状行列の関係を取得する、ことを特徴とする請求項1に記載のデータドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法。
【請求項5】
【請求項6】
前記ステップS3は、
S31、モード形状行列の加重直交条件の計算式を取得し、
S32、周波数応答伝達関数行列、留数行列と不減衰固有振動数、モード減衰比の関係、留数行列とモード形状行列の関係、およびモード形状行列の加重直交条件計算式と組み合わせて、最小二乗複素周波数ドメイン方法を用いて、周波数応答伝達関数行列とモード形状行列の関係を取得し、
S33、複素周波数ドメインにおける周波数応答伝達関数行列の表現式を取得し、周波数応答伝達関数行列
に従って異なる周波数の値を取得し、十分な次元の連立方程式を形成し、
に対して、拡張コンパニオン行列を取得し、拡張コンパニオン行列の極点を計算して、モードパラメーターの減衰を伴う固有周波数
、モード減衰比
を取得し、オンラインモデルにおいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの実際の入力出力値に基づいて実際測定された周波数応答伝達関数行列を取得し、モードパラメーターのモード形状行列を計算する、ことを特徴とする請求項1に記載のデータドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法。
【請求項7】
【請求項8】
前記ステップS4は、
S41、オフラインモデルにおいて、軸方向分割相磁気サスペンションフライホイールローターに基づいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの機構モデルを構築し、
S42、オフラインモデルとオンラインモデルを組み合わせて、サンプルデータを取得し、前記サンプルデータは、オンラインモデルの信号値低下、失効データ、およびオフラインモデルのサスペンション応力データを含み、信号値低下および失効データは、オンラインモデルのセンサーが検出した応力信号および振動信号を含み、サスペンション応力データが機構モデルによって収集され、
S43、サンプルデータを組み合わせてデータドリブンとし、データドリブンと機構モデルの組合せに基づいて、エクストリームラーニングマシンモデルを構築し、前記エクストリームラーニングマシンモデルが道路状況を識別するために用いられる、ことを特徴とする請求項1に記載のデータドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法。
【請求項9】
S42、オフラインモデルとオンラインモデルを組み合わせてサンプルデータを取得し、前記サンプルデータは、オンラインモデルの信号値低下、失効データ、およびオフラインモデルのサスペンション応力データを含み、信号値低下および失効データは、オンラインモデルのセンサーが検出した応力信号および振動信号を含み、サスペンション応力データが機構モデルによって収集され、
S43、サンプルデータを組み合わせてデータドリブンとし、データドリブンと機構モデルの組合せに基づいて、エクストリームラーニングマシンモデルを構築し、前記エクストリームラーニングマシンモデルが道路状況を識別するために用いられ、エクストリームラーニングマシンモデルは、
【請求項10】
前記サンプルデータは、磁気サスペンションローターフライホイールシステムのサスペンション応力、平均路力、加速比、減速比、均一速度比、アイドル比、平均速度、平均運行速度、最大速度、最小速度、最大加速度、最大減速度、速度標準偏差、加速度標準偏差、累積走行距離、平均加速度、平均減速度を含む、ことを特徴とする請求項9に記載のデータドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気浮上モーターの技術分野に関し、特に、データドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年登場した磁気サスペンションベアリングレスモーターは、磁気ベアリングとスイッチドリラクタンスモーターの2つの利点を兼ね備えており、システム構造の簡素化、臨界速度と信頼性の向上などで、磁気サスペンションフライホイールモーターとして、フライホイールの分野に適用しており、国内外の学者も広範囲にわたる研究を行い、径方向相分割構造と軸方向相分割構造を次々と開発した。軸方向相分割構造は、モーター/発電機能を実現するとともに、磁気軸受を追加することなく、軸方向に分散されたサスペンション巻線の径方向4自由度のサスペンションを実現できる。そのため、システム統合と臨界速度が大幅に向上し、フライホイールのサスペンションの支持とエネルギー変換システムに非常に適している。
【0003】
新型の磁気サスペンション支持技術は急速に発展しており、高性能支持技術として、航空、エネルギー、国防、電力、宇宙科学などで重要な応用価値がある。それによって支持される回転システムは、高速、高精度、柔軟性などに開発されており、磁気サスペンション支持システムの構造的動的特性の分析は、開発プロセスにおいて非常に重要である。磁気軸受ローターシステムの動的特性、特にモード周波数、モード形状、減衰などの構造システムのモードパラメーターの研究は、磁気軸受ローターシステムの構造安定性に対して重要である。
【0004】
車載フライホイールは、可動体に搭載・作動する磁気サスペンション式エネルギー貯蔵フライホイールであり、走行状態の違いや路面の凹凸による全方向への振動などがフライホイールローターの安定運転に影響を与える。しかし、車載フライホイールモデルに関する従来技術がなく、システムの安定性を確保するために、走行状態をリアルタイムに検出することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の欠点を解決するために、本発明の目的は、データドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法を提供することである。機構モデルとデータドリブンの組合せに基づく方法は、エクストリームラーニングマシンアルゴリズムを用いてサンプルデータをトレーニングさせ、フライホイールシステムのサスペンション応力、平均路力、加速比、減速比、均一速度比、アイドル比、平均速度、平均運行速度、最大速度、最小速度、最大加速度、最大減速度、速度標準偏差、加速度標準偏差、累積走行距離、平均加速度、平均減速度をトレーニングしてエクストリームラーニングマシンモデルを構築し、道路状況の識別に有利であり、出力道路状況の正確度を向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術案を採用している。
【0007】
データドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法であって、S1、オンラインモデルにおいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの運動方程式により、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの入力と出力との間の伝達関数行列を計算するステップと、S2、ステップS1で得られた伝達関数行列に従って周波数応答伝達関数行列を計算し、ステップS1の伝達関数行列に従って留数行列を取得し、周波数ドメインにおいて、留数行列と不減衰固有振動数、モード減衰比との間の関係、および留数行列とモード形状行列との間の関係を計算するステップと、S3、ステップS2で得られた周波数応答伝達関数行列、留数行列と不減衰固有振動数、モード減衰比との間の関係、および留数行列とモード形状行列との間の関係に基づいて、最小二乗複素周波数ドメイン方法により、周波数応答伝達関数行列とモード形状行列との関係を求め、モードパラメーターを識別するステップと、S4、オフラインモデルにおいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの機構モデルを構築し、オフラインモデルとオンラインモデルとを組み合わせてサンプルデータを取得し、データドリブンと機構モデルとの組合せに基づいて、エクストリームラーニングマシンモデルを構築し、前記エクストリームラーニングマシンモデルが道路状況を識別するために用いられるステップとを含む、データドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法。
【0008】
好ましくは、前記ステップS1は、S11、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの運動方程式を計算するステップであって、運動方程式の入力が磁気サスペンションフライホイールローターシステムのN次元加速度、速度および変位応答ベクトルであり、出力が磁気サスペンションフライホイールローターシステムのN次元振動力ベクトルである、ステップと、S12、ステップS11における磁気サスペンションフライホイールローターシステムの運動方程式をラプラス変換するステップと、S13、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの入力と出力との間の伝達関数行列を計算するステップとを含む。
【0009】
【0010】
好ましくは、前記ステップS2は、S21、フーリエ変換に従って、伝達関数行列を周波数応答伝達関数行列に変換し、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの周波数ドメイン出力と入力の関係を導き出し、S22、ステップS1で取得した伝達関数行列の特性方程式を計算し、特性根を求め、前記特性根は、不減衰固有振動数、モード減衰比を表しており、S23、ステップS21に計算された特性方程式と特性根を組み合わせ、伝達関数行列の留数行列を計算し、留数行列と、不減衰固有振動数、モード減衰比との間の関係を取得し、S24、磁気サスペンションフライホイールローターシステムのモード形状ベクトルに基づき、留数行列とモード形状行列の関係を取得する。
【0011】
好ましくは、前記ステップS2の計算は、S21、ラプラス式において、とし、フーリエ変換に従って、伝達関数行列を周波数応答伝達関数行列に変換し、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの周波数ドメイン出力と入力の関係
【0012】
好ましくは、前記ステップS3は、S31、モード形状行列の加重直交条件の計算式を取得し、S32、周波数応答伝達関数行列、留数行列と不減衰固有振動数、モード減衰比の関係、留数行列とモード形状行列の関係、およびモード形状行列の加重直交条件計算式と組み合わせて、最小二乗複素周波数ドメイン方法を用いて、周波数応答伝達関数行列とモード形状行列の関係を取得し、S33、複素周波数ドメインにおける周波数応答伝達関数行列の表現式を取得し、周波数応答伝達関数行列
に従って異なる周波数の値を取得し、十分な次元の連立方程式を形成し、
に対して、拡張コンパニオン行列を取得し、拡張コンパニオン行列の極点を計算して、モードパラメーターの減衰を伴う固有周波数
、モード減衰比
を取得し、オンラインモデルにおいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの実際の入力出力値に基づいて実際測定された周波数応答伝達関数行列を取得し、モードパラメーターのモード形状行列を計算する。
【0013】
【0014】
好ましくは、前記ステップS4は、S41、オフラインモデルにおいて、軸方向分割相磁気サスペンションフライホイールローターに基づいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの機構モデルを構築し、S42、オフラインモデルとオンラインモデルを組み合わせて、サンプルデータを取得し、前記サンプルデータは、オンラインモデルの信号値低下、失効データ、およびオフラインモデルのサスペンション応力データを含み、信号値低下および失効データは、オンラインモデルのセンサーが検出した応力信号および振動信号を含み、サスペンション応力データが機構モデルによって収集され、S43、サンプルデータを組み合わせてデータドリブンとし、データドリブンと機構モデルの組合せに基づいて、エクストリームラーニングマシンモデルを構築し、前記エクストリームラーニングマシンモデルが道路状況を識別するために用いられる。
【0015】
【0016】
好ましくは、前記サンプルデータは、磁気サスペンションローターフライホイールシステムのサスペンション応力、平均路力、加速比、減速比、均一速度比、アイドル比、平均速度、平均運行速度、最大速度、最小速度、最大加速度、最大減速度、速度標準偏差、加速度標準偏差、累積走行距離、平均加速度、平均減速度を含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、機構モデルとデータドリブンの組合せに基づく方法であり、エクストリームラーニングマシンアルゴリズムを用いてサンプルデータをトレーニングさせ、フライホイールシステムのサスペンション応力、平均路力、加速比、減速比、均一速度比、アイドル比、平均速度、平均運行速度、最大速度、最小速度、最大加速度、最大減速度、速度標準偏差、加速度標準偏差、累積走行距離、平均加速度、平均減速度をトレーニングして、エクストリームラーニングマシンモデルを構築する。本発明は、道路状況の識別に有利であり、出力道路状況の正確度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】実施形態における軸方向分割相磁気サスペンションフライホイールモーターローター座標系の概念図である。
【
図4】本発明の実施形態における機械的組立図の断面図である。
【
図5】本発明の実施形態におけるエクストリームラーニングマシンELMの構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明をより詳しく理解するために、以下、図面及び実施形態を参照しながら、本発明について説明する。
【0020】
本発明によって提供される、データドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリング方法は、
図1及び
図2に示すように、以下のステップを含む。
【0021】
(S1):オンラインモデルにおいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの運動方程式により、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの入力と出力との間の伝達関数行列を計算する。
【0022】
(S2):ステップS1における伝達関数行列に従って周波数応答伝達関数行列を計算し、ステップS1の伝達関数行列に従って留数行列を取得し、周波数ドメインにおいて、留数行列と不減衰固有振動数、モード減衰比との関係、及び留数行列とモード形状行列との間の関係を計算する。
【0023】
(S3):ステップS2で得られた周波数応答伝達関数行列、留数行列と不減衰固有振動数、モード減衰比との関係、および留数行列とモード形状行列の間の関係に基づいて、最小二乗複素周波数ドメイン方法により、周波数応答伝達関数行列とモード形状行列との間の関係を求め、モードパラメーターを識別する。
【0024】
(S4):オフラインモデルにおいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの機構モデルを構築し、オフラインモデルとオンラインモデルとを組み合わせて、サンプルデータを取得し、データドリブンと機構モデルの組合せに基づいて、エクストリームラーニングマシンモデルを構築する。前記エクストリームラーニングマシンモデルは、道路状況を識別するために用いられる
【0025】
[実施形態]
ステップ一:オンラインモデルは、フライホイールシステム動力学モデル、センサー、収集された応力信号と振動点信号、特徴抽出およびマッピング、モーダルパラメーターモジュール、運転状態、およびエクストリームラーニングマシンモデルを含む。フライホイールシステム動力学モデルでは、磁気サスペンションフライホイールシステムの運動方程式は、
【0026】
磁気サスペンションフライホイールローターシステムの初期状態が零であり、式(1)をラプラス変換すると、
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
ここで、
が磁気サスペンションフライホイールローターシステムの周波数応答関数行列であり、
は、それぞれ、磁気サスペンションフライホイールローターシステム周波数ドメインでの入力および出力である。
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
留数行列と磁気サスペンションフライホイールローターシステムのモード形状ベクトルとの間の関係式は、
【0038】
【0039】
ステップ三:最小二乗複素周波数ドメイン方法(least-squares complex frequency-domain method)を用いて、周波数応答伝達関数行列とモード形状行列の関係を取得する。
【0040】
モード形状行列の加重直交(weighted orthogonalization)条件により、
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
最後に、モード形状行列を求める。オンラインモデルにおいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの実際の入力出力値に従って、実測の周波数応答伝達関数行列を取得し、モードパラメーターのモード形状行列を計算する。本実施形態では、オンラインモデルにおけるセンサーが収集された応力信号および振動点信号に基づいて、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの実際の入力・出力として、モード形状行列を計算することができる。
【0051】
実際測定された周波数応答関数に基づいて、関数方程式をフィッティングし、モード形状行列を求める。実際測定された周波数応答関数は、
【0052】
ステップ四:オフラインモデルにおいて、軸方向分割相(Axial Split Phase)磁気サスペンションフライホイールのローターに従って、磁気サスペンションフライホイールローターシステムの機構モデルを構築する。オフラインモデルとオンラインモデルを組み合せることで、サンプルデータを取得する。前記サンプルデータは、オンラインモデルの信号値低下、失効データ、およびオフラインモデルのサスペンション応力データを含み、信号値低下および失効データは、オンラインモデルのセンサーが検出した応力信号および振動信号を含み、サスペンション応力データは、機構モデルにより取得できる。サンプルデータと組み合わせてデータドリブンとし、データドリブンと機構モデルの組合せに基づいて、エクストリームラーニングマシンモデルを構築する。前記エクストリームラーニングマシンモデルは、道路状況を識別するために用いられる。
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
軸方向分割相磁気サスペンションフライホイールモーターのサスペンション応力モデルは、機構モデルであり、
【0060】
【0061】
サンプルデータは、オンラインモデルでの信号値低下、失効データ、オフラインモデルでのサスペンション応力データを含み、信号値低下および失効データは、オンラインモデルでセンサーが検出した応力信号および振動信号を含み、サスペンション応力データは、機構モデルによって収集されることができる。サスペンション応力データは、0.1Sの時間間隔でサンプリングされ、合計時間が100msであり、1000本サンプルセットを取得する。サンプルデータは、磁気サスペンションローターフライホイールシステムのサスペンション応力、平均路力、加速比、減速比、均一速度比、アイドル比、平均速度、平均運行速度、最大速度、最小速度、最大加速度、最大減速度、速度標準偏差、加速度標準偏差、累積走行距離、平均加速度、平均減速度を含む。ELM構造図は、
図5に示されている。ELMアルゴリズムには、N個のトレーニングサンプルペア
【0062】
【0063】
Cが正則化パラメーターであり、汎化能力(generalization ability)と予測精度のバランスを取るために使用される。粒子群最適化アルゴリズムによって最適解
を取得し、出力モデル
に代入すると、エクストリームラーニングマシンモデルを得る。モードパラメーターと組み合わせて、モード分類データベースを形成し、データドリブンと機構モデルの組合せに基づく車載フライホイール動的モデリングを完成する。
【0064】
本発明は、機構モデルとデータドリブンを組み合せる方法に基づいており、エクストリームラーニングマシンアルゴリズムを用いて、サンプルデータをトレーニングさせ、フライホイールシステムのサスペンション応力、平均路力、加速比、減速比、均一速度比、アイドル比、平均速度、平均運行速度、最大速度、最小速度、最大加速度、最大減速度、速度標準偏差、加速度標準偏差、累積走行距離、平均加速度、平均減速度をトレーニングして、エクストリームラーニングマシンモデルを構築する。これは、道路状況を識別することに有利であり、出力道路状況の正確度を向上させるのに役立つ。
【0065】
最後に、上記内容は、本発明の好ましい実施形態にすぎないことに留意されたい。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改良および修正を行うことができるが、これらの改良および修正は、いずれも本願の特許請求の範囲に含まれている。
【外国語明細書】