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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023040997
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】駆動装置、車両
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/16 20060101AFI20230315BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
H02K5/16 A
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022104915
(22)【出願日】2022-06-29
(31)【優先権主張番号】P 2021147375
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】青野 真郷
(72)【発明者】
【氏名】重松 晃二
(72)【発明者】
【氏名】小山 崇宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 優太
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA12
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC04
5H605CC05
5H605CC06
5H605CC08
5H605CC10
5H605EB10
5H605EB30
5H605EC20
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電食をより効果的に抑制又は防止することを目的とする。
【解決手段】駆動装置100のモータシャフト1は、軸方向に延びる第1回転軸J1に沿って延びる。モータシャフト1の軸方向一方D1側には、ギヤ部3が接続される。ハウジング筒部は、軸方向に延びて径方向内側面にステータ22を保持する。第1蓋部は、ハウジング筒部の軸方向他方端部に取り付けられる。モータシャフト1を回転可能に支持するモータベアリング4311,4211,4221,4611の第1ベアリングは、第1蓋部に配置される転がり軸受であって、ロータ21よりも軸方向他方においてモータシャフト1を回転可能に支持する。モータシャフト1と第1蓋部とは、第1ベアリングにより電気的に絶縁される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる第1回転軸に沿って延びて前記第1回転軸を中心として回転可能なモータシャフトと、
前記モータシャフトとともに回転可能なロータと、
前記ロータよりも径方向外方に配置されるステータと、
前記モータシャフトの軸方向一方側に接続されるギヤ部と、
前記ロータ、前記ステータ、及び前記ギヤ部を収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
軸方向に延びて内側面に前記ステータを保持するハウジング筒部と、
前記ハウジング筒部の軸方向他方端部に取り付けられる第1蓋部と、
前記ハウジング筒部よりも軸方向一方に配置されて前記第1回転軸と交差する方向に広がる第2蓋部と、
前記モータシャフトを回転可能に支持するモータベアリングと、
を有し、
前記モータベアリングは、
前記第1蓋部に配置される転がり軸受であって、前記ロータよりも軸方向他方において前記モータシャフトを回転可能に支持する第1ベアリングと、
前記第2蓋部に配置され、前記ロータよりも軸方向一方において前記モータシャフトを回転可能に支持する第2ベアリングと、
を有し、
前記モータシャフトと前記第1蓋部とは、第1ベアリングにより電気的に絶縁される、駆動装置。
【請求項2】
前記モータシャフトは、
前記ロータを保持する第1シャフトと、
前記第1シャフトの軸方向一方端部に接続されて前記ギヤ部が接続される第2シャフトと、
を有する、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第2蓋部は、前記ハウジング筒部の軸方向一方端部に配置されて前記ハウジング筒部の軸方向一方端部を覆う側板部であって、
前記第2モータベアリングは、前記側板部に配置される転がり軸受であって、前記ロータよりも軸方向一方において前記モータシャフトを回転可能に支持し、
前記モータシャフトと前記側板部とは、前記第2ベアリングにより電気的に絶縁される、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第1ベアリングにおける電気抵抗は、前記第2ベアリングにおける電気抵抗よりも大きい、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記モータベアリングは、
同心円状に配置される一対の軌道輪と、
前記一対の軌道輪間において転がり可能に配置される転動体と、
を有し、
前記一対の軌道輪は、内側軌道輪と、前記内側軌道輪よりも径方向外方に配置される外側軌道輪と、を含み、
前記転動体の少なくとも表面、前記転動体と対向する前記内側軌道輪の第1対向面、及び、前記転動体と対向する前記外側軌道輪の第2対向面のうちの少なくともいずれかは、電気絶縁性を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記転動体は、セラミックボールである、請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第1モータベアリングの前記第1対向面は、電気絶縁性を有し、
前記第2モータベアリングの前記転動体は、セラミックボールである、請求項5に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記ハウジングは、前記モータベアリングを保持するモータベアリングホルダをさらに有し、
前記モータベアリングは、前記外側軌道輪と前記モータベアリングホルダとの間に配置される第1絶縁部材をさらに有し、
前記外側軌道輪は、前記第1絶縁部材を介して前記モータベアリングホルダに固定される、請求項5に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記モータベアリングは、前記内側軌道輪と前記モータシャフトとの間に配置される第2絶縁部材をさらに有し、
前記内側軌道輪は、前記第2絶縁部材を介して前記モータシャフトに固定される、請求項5に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記モータベアリングを潤滑する流体を前記モータベアリングに供給する流体流路をさらに備える、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記ギヤ部は、
前記モータシャフトの軸方向一方側において前記モータシャフトの径方向外側面に固定される第1ギヤと、
軸方向に延びる第2回転軸に沿って延びて前記第2回転軸を中心として回転可能な中間シャフトと、
前記中間シャフトの径方向外側面に固定されて前記第1ギヤと噛み合う第2ギヤと、
前記中間シャフトの径方向外側面に固定される第3ギヤと、
前記第3ギヤと噛み合う第4ギヤを有して、前記第4ギヤのトルクを駆動シャフトに出力する差動装置と、
有し、
前記ハウジングは、前記駆動シャフトの軸方向両端を回転可能に支持する駆動ベアリングをさらに有し、
前記第1ベアリングは、玉軸受であり、
前記駆動ベアリングは、ころ軸受であり、
前記駆動ベアリングの電気抵抗は、前記第1ベアリングよりも低い、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記ハウジングは、前記中間シャフトの軸方向両端を回転可能に支持する中間ベアリングをさらに有し、
前記中間ベアリングは、前記第1ベアリングよりも電気抵抗が低い、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項13】
前記ハウジングを外部の物体に接地するアース接続部をさらに備える、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項14】
前記ハウジングは、前記ステータに駆動電流を供給するインバータを収容するインバータハウジングをさらに有し、
前記アース接続部は、前記インバータハウジングに配置される、請求項13に記載の駆動装置。
【請求項15】
前記モータシャフトは、軸方向に延びる筒状であり、
前記駆動シャフトは、前記モータシャフトの内部に挿通される、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項16】
請求項1に記載の駆動装置を備える、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モータのモータシャフトを除電する技術が知られている。たとえば、モータシャフトの径方向外側面には、除電装置としての電荷放散組立体が接する。これにより、モータシャフトの軸電圧がアースされる(たとえば特開2005-124391号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-124391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モータシャフトに導電経路を形成しただけではモータシャフトの電荷を十分には放出できない虞がある。特に、電気自動車に搭載される駆動装置では、ロータ、ステータ、及びギヤ部がハウジングに収容され、このハウジング内で生じる電位変動の制御が重要となる。たとえば、ステータの駆動電流に対するインバータの制御によってモータシャフト内に電位変動が生じることで、電食が発生し易い。電食は、転がり軸受の外輪及び内輪の内周面が波状に損傷する現象である。電食は、シャフトから転がり軸受に流れた電流が転がりベアリング内で放電することにより発生する。そのため、電食の抑制及び防止は重要な課題となっている。
【0005】
本発明は、電食をより効果的に抑制又は防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的な駆動装置は、モータシャフトと、ロータと、ステータと、ギヤ部と、ハウジングと、を備える。前記モータシャフトは、軸方向に延びる第1回転軸に沿って延びて前記第1回転軸を中心として回転可能である。前記ロータは、前記モータシャフトとともに回転可能である。前記ステータは、前記ロータよりも径方向外方に配置される。前記ギヤ部は、前記モータシャフトの軸方向一方側に接続される。前記ハウジングは、前記ロータ、前記ステータ、及び前記ギヤ部を収容する。前記ハウジングは、ハウジング筒部と、第1蓋部と、第2蓋部と、モータベアリングと、を有する。前記ハウジング筒部は、軸方向に延びて径方向内側面に前記ステータを保持する。前記第1蓋部は、前記ハウジング筒部の軸方向他方端部に取り付けられる。前記第2蓋部は、前記ハウジング筒部よりも軸方向一方に配置されて前記第1回転軸と交差する方向に広がる。前記モータベアリングは、前記モータシャフトを回転可能に支持する。前記モータベアリングは、第1ベアリングと、第2ベアリングと、を有する。前記第1ベアリングは、前記第1蓋部に配置される転がり軸受であって、前記ロータよりも軸方向他方において前記モータシャフトを回転可能に支持する。前記第2ベアリングは、前記第2蓋部に配置され、前記ロータよりも軸方向一方において前記モータシャフトを回転可能に支持する。前記モータシャフトと前記第1蓋部とは、第1ベアリングにより電気的に絶縁される。
【0007】
本発明の例示的な車両は、上記の駆動装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の例示的な駆動装置、車両によれば、電食をより効果的に抑制又は防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、駆動装置の構成例を示す概念図である。
図2図2は、実施形態における駆動装置の除電経路を例示する概念図である。
図3図3は、駆動装置を搭載する車両の一例を示す概略図である。
図4A図4Aは、モータベアリングの構成例を示す断面図である。
図4B図4Bは、モータベアリングの構成の第1変形例を示す断面図である。
図4C図4Cは、モータベアリングの構成の第2変形例を示す断面図である。
図5図5は、第1駆動ベアリング及び第2駆動ベアリングの構成例を示す断面図である。
図6図6は、第1中間ベアリング及び第2中間ベアリングの構成例を示す断面図である。
図7図7は、変形例に係る駆動装置の概略的な構成図である。
図8図8は、変形例における駆動装置の除電経路を例示する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して例示的な実施形態を説明する。
【0011】
本明細書において、モータ2の第1回転軸J1と平行な方向を駆動装置100の「軸方向」とする。軸方向について、図1に示す通り、ギヤ部3側を軸方向一方D1とし、モータ2側を軸方向他方D2とする。また、第1回転軸J1などの所定の軸と直交する径方向を単に「径方向」と称し、第1回転軸J1などの所定の軸を中心とする周方向を単に「周方向」と称する。
【0012】
また、本明細書において、方位、線、及び面のうちのいずれかと他のいずれかとの位置関係において、「平行」は、両者がどこまで延長しても全く交わらない状態のみならず、実質的に平行である状態を含む。また、「垂直」は、両者が互いに90度で交わる状態のみならず、実質的に垂直である状態を含む。つまり、「平行」及び「垂直」はそれぞれ、両者の位置関係に本発明の主旨を逸脱しない程度の角度ずれがある状態を含む。
【0013】
また、本明細書において、「環状」は、第1回転軸J1などの所定の軸を中心とする周方向の全域に渡って切れ目の無く連続的に一繋がりとなる形状のほか、所定の軸を中心とする全域の一部に1以上の切れ目を有する形状を含む。また、所定の軸を中心として、所定の軸と交差する曲面において閉曲線を描く形状も含む。
【0014】
また、本明細書において、所定の方向に「延びる」は、その延びる方向が厳密に所定の方向に延びる構成に加えて、実質的に所定の方向に延びる構成を含む。つまり、所定の方向に「延びる」は、所定の方向から本発明の主旨を逸脱しない程度に方向のずれがある構成を含む。所定の方向に「広がる」も同様である。
【0015】
<1.実施形態>
図1は、駆動装置100の構成例を示す概念図である。図2は、実施形態における駆動装置100の除電経路を例示する概念図である。図3は、駆動装置100を搭載する車両300の一例を示す概略図である。なお、図1及び図2は、あくまで概念図であり、各部の配置及び寸法は、実際の駆動装置100と厳密に同じであるとは限らない。また、図2では、矢印付きの太い実線が除電経路を示す。図3は、車両300を概念的に図示している。
【0016】
駆動装置100は、本実施形態では図3に示すように、少なくともモータを動力源とする車両300に搭載される。車両300は、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)、又は電気自動車(EV)である。車両300は、駆動装置100を備える。車両300では、駆動装置100のモータシャフト1(特に後述するロータシャフト11)を支持する後述のモータベアリング4311,4211,4221,4611(特に第1ロータベアリング4311)での電食の発生をより効果的に抑制又は防止できる。図3において、駆動装置100は、車両300の前輪を駆動する。但し、図3の例示に限定されず、駆動装置100は、少なくともいずれかの車輪を駆動すればよい。また、車両300は、バッテリ200をさらに有する。バッテリ200は、駆動装置100に供給するための電力を蓄積する。
【0017】
図1から図3に示すように、駆動装置100は、モータシャフト1と、モータ2と、ギヤ部3と、ハウジング4と、流体循環部5と、アース接続部6と、を備える。
【0018】
<1-1.モータシャフト1>
モータシャフト1は、第1回転軸J1に沿って軸方向に延びる。第1回転軸J1は、軸方向に延びる。前述の如く、駆動装置100は、モータシャフト1を備える。モータシャフト1は、第1回転軸J1を中心として回転可能である。モータシャフト1は、図1に示すように、第1ロータベアリング4311及び第2ロータベアリング4211と第1ギヤベアリング4221及び第2ギヤベアリング4611とを介して、ハウジング4により回転可能に支持される。
【0019】
なお、以下では、第1ロータベアリング4311及び第2ロータベアリング4211を「ロータベアリング4211,4311」と総称することがある。ロータベアリング4211,4311は、ロータシャフト11を回転可能に支持する。ハウジング4は、ロータベアリング4211,4311を有する。
【0020】
また、第1ギヤベアリング4221及び第2ギヤベアリング4611を「ギヤベアリング4221,4611」と総称することがある。ギヤベアリング4221,4611は、ロータベアリング4211,4311とともに、モータシャフト1を回転可能に支持する。ハウジング4は、ギヤベアリング4221,4611を有する。
【0021】
さらに、第1ロータベアリング4311、第2ロータベアリング4211、第1ギヤベアリング4221、及び第2ギヤベアリング4611を「モータベアリング4311,4211,4221,4611」と総称することがある。モータベアリング4311,4211,4221,4611は、モータシャフト1を回転可能に支持する。ハウジング4は、モータベアリング4311,4211,4221,4611を有する。
【0022】
モータシャフト1は、軸方向に延びる筒状である。モータシャフト1は、導電性を有し、本実施形態では金属製である。モータシャフト1の内側には、流体Fが流れる。なお、モータシャフト1の内側を含む流体Fの流路は、本発明の「流体流路」の一例である。駆動装置100は、この流体Fをさらに備える。なお、流体Fは、本実施形態では、ギヤ部3及び駆動装置100のベアリングなどを潤滑する潤滑液であり、たとえばATF(automatic transmission fluid)である。また、流体Fは、モータ2などを冷却する冷媒としても利用される。モータシャフト1の回転に応じて、モータシャフト1の内側を流れる流体Fを後述するシャフト貫通孔111を通じてモータ2、第1ロータベアリング4311、及び第2ロータベアリング4211などに供給することができる。従って、流体Fによって、ステータ22(特に後述するコイルエンド2221)及び上述のロータベアリング4211,4311などを冷却できる。
【0023】
モータシャフト1は、ロータシャフト11と、ギヤシャフト12と、を有する。ロータシャフト11は、本発明の「第1シャフト」の一例であり、ロータ21を保持する。ギヤシャフト12は、本発明の「第2シャフト」の一例であり、ロータシャフト11の軸方向一方D1側の端部に接続される。ギヤシャフト12には、ギヤ部3が接続される。ロータシャフト11及びギヤシャフト12は、軸方向に延びる筒状であり、第1回転軸J1に沿って延びる。
【0024】
本実施形態では、両者は、スプライン嵌合される。ロータシャフト11及びギヤシャフト12をスプライン嵌合した場合、駆動装置100が力行状態及び回生状態である際に、ギヤシャフト12側に形成された外歯と、ロータシャフト11側に形成された内歯とが接触する。
【0025】
なお、この例示に限定されず、ロータシャフト11及びギヤシャフト12は、雄ねじ及び雌ねじを用いたねじカップリングにより連結されてもよいし、圧入及び溶接等の固定方法にて接合されてもよい。圧入、溶接等の固定方法を採用する場合、軸方向に延びる凹部及び凸部を組み合わせるセレーションを採用してもよい。このような構成とすることで、回転を確実に伝達することが可能である。但し、本実施形態の例示に限定されず、モータシャフト1は、単一の部材であってもよい。
【0026】
ロータシャフト11の軸方向両端部には、ロータベアリング4211,4311が配置される。ロータベアリング4211,4311は、ロータシャフト11の軸方向両端部を回転可能に支持する。
【0027】
モータベアリング4311,4211,4221,4611は、第1ロータベアリング4311を有する。第1ロータベアリング4311は、本発明の「第1ベアリング」の一例である。第1ロータベアリング4311は、後述するハウジング蓋部43に配置される転がり軸受であって、ロータ21よりも軸方向他方D2においてモータシャフト1を回転可能に支持する。第1ロータベアリング4311は、後述の如く、絶縁部(後述する図4Aから図4C参照)を有する。これにより、モータシャフト1(つまりロータシャフト11)とハウジング蓋部43とは、第1ロータベアリング4311により電気的に絶縁される。
【0028】
図1などに示すように、第1ハウジング筒部41及びハウジング蓋部43は、別部材である。そのため、これらを含むハウジング4とモータシャフト1とを組み立てる際の累積公差により、モータシャフト1の軸方向他方D2側の端部が第1回転軸J1を中心として振れ回ることがある。これにより、モータシャフト1の軸方向他方D2側の転がり軸受(つまり第1ロータベアリング4311)内では、潤滑用オイルなどの流体Fに偏りが生じ易くなって、第1回転軸J1回りの向きで流体Fの局所的な偏りによる増減が生じる虞がある。
【0029】
また、モータベアリング4311,4211,4221,4611には、クーラユニット53で冷却された流体Fが供給される。ここで、第1ロータベアリング4311は、ハウジング蓋部43に配置されるため、駆動装置100の外部に近い。さらに、第1ロータベアリング4311には、他のモータベアリング4211,4221,4611に供給される流体Fと比べて、ステータ22及びギヤ部3などの熱源によって温度上昇した流体Fが供給され難い。そのため、第1ロータベアリング4311内の流体Fは、温度の低さに応じて増粘し易い。従って、第1ロータベアリング4311では、第1回転軸J1回りの向きで流体Fの局所的な増減が、さらに生じ易い。
【0030】
一般的に、転がり軸受では、一対の軌道輪(たとえば図4Aから図6参照)間の潤滑オイルなどの流体Fが多いほど、一対の軌道輪間での電位差が高くなる。そのため、流体Fが多い箇所では、その電位差が、絶縁破壊電圧を越え易い。
【0031】
従って、第1ロータベアリング4311では、他のモータベアリング4211、4221,4611よりも電食が発生し易い。
【0032】
よって、第1ロータベアリング4311での電気的な絶縁によって、モータシャフト1(特にロータシャフト11)の軸方向他方D2側の端部とハウジング蓋部43とを電気的に絶縁できる。従って、最も電食が発生し易い第1ロータベアリング4311の電食を抑制又は防止できる。つまり、電食をより効果的に抑制又は防止することができる。
【0033】
また、ロータシャフト11の軸方向一方D1側の端部にギヤシャフト12を接続することにより、上述の累積公差は、さらに大きくなり易い。そのため、ロータシャフト11の軸方向他方D2側の端部における振れ回りが大きくなり易く、第1ロータベアリング4311内での流体Fの局所的な増減もさらに発生し易い。このような構成であっても、第1ロータベアリング4311によってロータシャフト11とハウジング蓋部43とが電気的に絶縁されるので、第1ロータベアリング4311の電食を抑制又は防止できる。
【0034】
なお、駆動装置100は、後述するように、流体流路をさらに備える。流体流路は、ロータベアリング4211,4311を潤滑する流体Fをロータベアリング4211,4311に供給する。たとえば本実施形態では、流体流路は、後述する受け皿部465,流路464、及びモータシャフト1の内部、シャフト貫通孔111,及びロータ貫通孔2111で構成される流路を含む。また、流体流路は、流体循環部5を含む。こうすれば、ロータベアリング4211,4311において、潤滑用の流体Fの減少又は枯渇を抑制又は防止できるので、ロータベアリング4211,4311の焼き付きなどを抑制又は防止できる。
【0035】
また、モータベアリング4311,4211,4221,4611は、第2ロータベアリング4211を有する。第2ロータベアリング4211は、本発明の「第2ベアリング」の一例である。第2ロータベアリング4211は、ハウジング4の後述する側板部42に配置される転がり軸受であって、ロータ21よりも軸方向一方D1においてモータシャフト1を回転可能に支持する。詳細には、第2ロータベアリング4211は、ロータシャフト11の軸方向一方D1側の端部を回転可能に支持する。第2ロータベアリング4211は、後述の如く、絶縁部を有する。モータシャフト1と側板部42とは、第2ロータベアリング4211により電気的に絶縁される。こうすれば、第2ロータベアリング4211により、モータシャフト1(特にロータシャフト11の軸方向一方D1側の端部)と側板部42とを電気的に絶縁できるので、第2ロータベアリング4211の電食を抑制又は防止できる。
【0036】
また、モータシャフト1の軸方向一方D1側では、電位変動により発生する電荷がギヤ部3などに流れて分散する。そのため、第2ロータベアリング4211での電食の発生し易さ及びその程度は、第1ロータベアリング4311よりも低い。従って、第1ロータベアリング4311における電気抵抗は、第2ロータベアリング4211における電気抵抗よりも大きい。このように構成することで、電食が発生し易い第1ロータベアリング4311での電食をより効果的に抑制又は防止できる。但し、この例示は、第1ロータベアリング4311における電気抵抗が第2ロータベアリング4211における電気抵抗以下である構成を排除しない。
【0037】
また、ギヤシャフト12の軸方向両端部には、ギヤベアリング4221,4611が配置される。ギヤベアリング4221,4611は、ギヤシャフト12の軸方向両端部を回転可能に支持する。
【0038】
次に、モータシャフト1は、シャフト貫通孔111を有する。シャフト貫通孔111は、ロータシャフト11に配置され、筒状のロータシャフト11を径方向に貫通する。シャフト貫通孔111の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。モータシャフト1が回転する際、その内部の流体Fは遠心力によって、シャフト貫通孔111を通じてロータシャフト11の外部に流出する。本実施形態では図1に示すように、シャフト貫通孔111は、ロータ21の軸方向一方D1側の端部よりも軸方向他方D2、且つ、ロータ21の軸方向他方D2側の端部よりも軸方向一方D1に配置される。シャフト貫通孔111は、後述するロータ貫通孔2111と繋がる。但し、図1の例示に限定されず、シャフト貫通孔111は、ロータ21の軸方向一方D1側の端部よりも軸方向一方D1、且つ、第2ロータベアリング4211よりも軸方向他方D2に配置されてもよいし、ロータ21の軸方向他方D2側の端部よりも軸方向他方D2、且つ、第1ロータベアリング4311よりも軸方向一方D1に配置されてもよい。なお、上述の例示は、シャフト貫通孔111及びロータ貫通孔2111が省略された構成を排除しない。
【0039】
また、モータシャフト1は、流入口121を有する。流入口121は、モータシャフト1の軸方向一方D1側の端部における開口であり、本実施形態では後述するギヤシャフト12の軸方向一方D1側の端部における開口である。流入口121は、後述するギヤ蓋部46の流路464と繋がる。流入口121を介して流路464からモータシャフト1の内部に、流体Fが流入する。
【0040】
また、モータシャフト1は、シャフト壁部13をさらに有する。シャフト壁部13は、ロータシャフト11の軸方向他方D2側においてその内部に配置され、径方向に広がる。また、シャフト壁部13は、シャフト貫通孔111よりも軸方向他方D2に配置される。つまりシャフト壁部13は、ロータシャフト11の軸方向他方D2側の端部における開口を塞ぐ。シャフト壁部13の径方向外端部は、ロータシャフト11の内側面に接続される。シャフト壁部13は、ロータシャフト11と一体であってもよいし、ロータシャフト11とは別体であってもよい。
【0041】
<1-2.モータ2>
モータ2は、直流のブラシレスモータである。モータ2は、駆動装置100の駆動源であり、インバータ4031(図3参照)から供給される電力によって駆動される。モータ2は、ステータ22の径方向内方にロータ21が回転可能に配置されたインナーロータ型である。図1に示すように、モータ2は、ロータ21と、ステータ22と、を有する。
【0042】
<1-2-1.ロータ21>
ロータ21は、モータシャフト1とともに回転可能である。駆動装置100は、ロータ21を備える。ロータ21は、モータシャフト1に固定され、第1回転軸J1を中心として回転可能である。ロータ21は、駆動装置100のインバータ4031からステータ22に電力が供給されることで回転する。ロータ21は、ロータコア211と、マグネット212と、を有する。ロータコア211は、磁性体であり、たとえば薄板状の電磁鋼板を軸方向に積層して形成される。ロータコア211は、ロータシャフト11の径方向外側面に固定される。ロータコア211には、複数のマグネット212が固定される。複数のマグネット212は、磁極を交互にして周方向に沿って並ぶ。
【0043】
また、ロータコア211は、ロータ貫通孔2111を有する。ロータ貫通孔2111は、ロータコア211を軸方向に貫通するとともに、シャフト貫通孔111と繋がる。ロータ貫通孔2111は、冷媒としても機能する流体Fの流通経路として利用される。ロータ21が回転する際、モータシャフト1の内部を流通する流体Fは、シャフト貫通孔111を経由してロータ貫通孔2111に流入できる。また、ロータ貫通孔2111に流入した流体Fは、ロータ貫通孔2111の軸方向両端部から外部に流出できる。流出した流体Fは、ステータ22に向かって飛び、たとえば後述するコイル部222(特にコイルエンド2221)などを冷却する。また、流出した流体Fは、モータシャフト1を回転可能に支持するロータベアリング4211,4311などに向かって飛び、これらを潤滑するとともに冷却する。
【0044】
<1-2-2.ステータ22>
ステータ22は、ロータ21よりも径方向外方に配置される。駆動装置100は、ステータ22を備える。ステータ22は、ロータ21と径方向に隙間を空けて対向する。ステータ22は、ステータコア221と、コイル部222と、を有する。ステータ22は、後述する第1ハウジング筒部41に保持され、その内側面に固定される。ステータコア221は、環状のヨーク(図示省略)の内側面から径方向内方に延びる複数の磁極歯(図示省略)を有する。コイル部222は、インシュレータ(図示省略)を介して、磁極歯に導線を巻き付けることで形成される。コイル部222は、ステータコア221の軸方向端面から突出するコイルエンド2221を有する。
【0045】
<1-3.ギヤ部3>
次に、ギヤ部3は、モータシャフト1の軸方向一方D1側に接続される。前述の如く、駆動装置100は、ギヤ部3を備える。ギヤ部3は、モータ2の動力を後述する駆動シャフトDsに伝達する動力伝達装置である。ギヤ部3は、減速装置31と、差動装置32と、を有する。
【0046】
<1-3-1.減速装置31>
減速装置31は、ギヤシャフト12に接続される。減速装置31は、モータ2の回転速度を減じて、モータ2から出力されるトルクをその減速比に応じて増大させる。減速装置31は、モータ2から出力されるトルクを差動装置32に伝達する。減速装置31は、第1ギヤ311と、第2ギヤ312と、第3ギヤ313と、中間シャフト314と、を有する。
【0047】
第1ギヤ311は、モータシャフト1の軸方向一方D1側においてモータシャフト1の径方向外側面に固定される。ギヤ部3は、第1ギヤ311を有する。たとえば、第1ギヤ311は、ギヤシャフト12の径方向外側面に配置される。第1ギヤ311は、ギヤシャフト12と一体であってもよいし、ギヤシャフト12と別体であってギヤシャフト12の径方向外側面に強固に固定されてもよい。第1ギヤ311は、モータシャフト1とともに、第1回転軸J1を中心に回転可能である。
【0048】
中間シャフト314は、第2回転軸J2に沿って延び、第2回転軸J2を中心として回転可能である。なお、第2回転軸J2は、軸方向に延びる。ギヤ部3は、中間シャフト314を有する。中間シャフト314の両端は、第1中間ベアリング4231及び第2中間ベアリング4621により,第2回転軸J2を中心として回転可能に支持される。なお、以下では、第1中間ベアリング4231及び第2中間ベアリング4621を「中間ベアリング4231,4621」と総称することがある。
【0049】
第2ギヤ312は、中間シャフト314の径方向外側面に固定されて、第1ギヤ311と噛み合う。第3ギヤ313は、中間シャフト314の径方向外側面に固定される。ギヤ部3は、第2ギヤ312及び第3ギヤ313を有する。第3ギヤ313は、第2ギヤよりも軸方向他方D2に配置されて、差動装置32の第4ギヤ321と噛み合う。第2ギヤ312及び第3ギヤ313はそれぞれ、中間シャフト314と一体であってもよいし、中間シャフト314とは別体であって中間シャフト314の径方向外側面に強固に固定されてもよい。第2ギヤ312及び第3ギヤ313とは、中間シャフト314とともに、第2回転軸J2を中心に回転可能である。
【0050】
モータシャフト1のトルクは、第1ギヤ311から第2ギヤ312に伝達される。そして、第2ギヤ312に伝達されたトルクは、中間シャフト314を介して第3ギヤ313に伝達される。さらに、第3ギヤ313から第4ギヤ321にトルクが伝達される。
【0051】
<1-3-2.差動装置32>
差動装置32は、駆動シャフトDsに取り付けられ、減速装置31から伝達されるトルクを駆動シャフトDsに伝達する。前述の如く、ギヤ部3は、差動装置32を有する。差動装置32は、第3ギヤ313と噛み合う第4ギヤ321を有して、第4ギヤ321のトルクを駆動シャフトDsに出力する。第4ギヤ321は、いわゆるリングギヤである。駆動シャフトDsは、第1駆動シャフトDs1と、第2駆動シャフトDs2と、を有する。第1駆動シャフトDs1は、差動装置32の軸方向他方D2に取り付けられる。第2駆動シャフトDs2は、差動装置32の軸方向一方D1に取り付けられる。差動装置32は、たとえば、車両300の旋回時に、軸方向両側の駆動シャフトDs1,Ds2の回転速度差を吸収しつつ、軸方向両側の駆動シャフトDs1,Ds2にトルクを伝える。
【0052】
<1-4.ハウジング4>
ハウジング4は、モータシャフト1、モータ2(特にロータ21及びステータ22)、及びギヤ部3を収容する。前述の如く、駆動装置100は、ハウジング4を備える。ハウジング4は、第1ハウジング筒部41と、側板部42と、ハウジング蓋部43と、カバー部材44と、第2ハウジング筒部45と、ギヤ蓋部46と、を有する。なお、第1ハウジング筒部41、側板部42、ハウジング蓋部43、カバー部材44、第2ハウジング筒部45、及びギヤ蓋部46は、たとえば、導電材料を用いて形成され、本実施形態では鉄、アルミニウム、これらの合金などの金属材料を用いて形成される。また、接触部分での異種金属接触腐食を抑制するため、これらは、好ましくは同一の材料を用いて形成される。但し、この例示に限定されず、これらは金属材料以外を用いて形成されてもよいし、これらのうちの少なくとも一部は異なる材料を用いて形成されてもよい。
【0053】
また、ハウジング4は、モータハウジング401と、ギヤハウジング402と、をさらに有する。モータハウジング401及びギヤハウジング402は、後に説明する。また、ハウジング4は、インバータハウジング403をさらに有する。インバータハウジング403は、ステータ22に駆動電流を供給するインバータ4031を収容する。
【0054】
<1-4-1.第1ハウジング筒部41>
第1ハウジング筒部41は、軸方向に延びる筒状であり、本発明の「ハウジング筒部」の一例である。前述の如く、ハウジング4は、第1ハウジング筒部41を有する。第1ハウジング筒部41の内側面には、ステータ22が固定される。第1ハウジング筒部41の内側には、ロータ21及びステータ22などを含むモータ2、後述する流体リザーバ54などが配置される。
【0055】
<1-4-2.側板部42>
側板部42は、第1ハウジング筒部41よりも軸方向一方D1に配置されて、第1回転軸J1と交差する方向に広がる。前述の如く、ハウジング4は、側板部42を有する。側板部42は、本発明の「第2蓋部」の一例である。側板部42は、第1ハウジング筒部41の軸方向一方D1側の端部に配置されて、第1ハウジング筒部41の軸方向一方D1側の端部を覆う。また、側板部42は、第2ハウジング筒部45の軸方向他方D2側の端部を覆う。側板部42は、第1回転軸J1と交差する方向に広がり、第1ハウジング筒部41及び第2ハウジング筒部45を区画する。本実施形態は、第1ハウジング筒部41及び側板部42は、一体である。これにより、これらの剛性を高めることができる。但し、この例示に限定されず、両者は、別体であってもよい。
【0056】
側板部42は、側板貫通孔4201と、第1駆動シャフト貫通孔4202と、を有する。側板貫通孔4201及び第1駆動シャフト貫通孔4202は、側板部42を軸方向に貫通する。側板貫通孔4201の中央は、第1回転軸J1と一致する。側板貫通孔4201には、モータシャフト1が挿通される。第1駆動シャフト貫通孔4202の中央は、第3回転軸J3と一致する。第1駆動シャフト貫通孔4202には、第1駆動シャフトDs1が挿通される。第1駆動シャフトDs1と第1駆動シャフト貫通孔4202との隙間には、両者間をシールするオイルシール(不図示)が配置される。
【0057】
また、側板部42は、第2ロータベアリングホルダ421、第1ギヤベアリングホルダ422、第1中間ベアリングホルダ423、及び、第1駆動ベアリングホルダ424をさらに有する。第2ロータベアリングホルダ421は、側板貫通孔4201の内側面の軸方向他方D2側に配置され、第2ロータベアリング4211を保持する。第2ロータベアリング4211は、ロータシャフト11の軸方向一方D1側の端部を回転可能に支持する。第1ギヤベアリングホルダ422は、側板貫通孔4201の内側面の軸方向一方D1側に配置され、第1ギヤベアリング4221を保持する。第1ギヤベアリング4221は、本発明の「第2ベアリング」の他の一例であり、ギヤシャフト12の軸方向他方D2側の端部を回転可能に支持する。第1中間ベアリングホルダ423は、側板部42の軸方向一方D1側の端面に配置され、第1中間ベアリング4231を保持する。第1中間ベアリング4231は、中間シャフト314の軸方向他方D2側の端部を回転可能に支持する。第1駆動ベアリングホルダ424は、第1駆動シャフト貫通孔4202の内側面に配置され、第1駆動ベアリング4241を保持する。第1駆動ベアリング4241は、第1駆動シャフトDs1を回転可能に支持する。
【0058】
<1-4-3.ハウジング蓋部43>
ハウジング蓋部43は、第1回転軸J1と交差する方向に広がり、第1ハウジング筒部41の軸方向他方D2側の端部を覆う。前述の如く、ハウジング4は、ハウジング蓋部43を備える。ハウジング蓋部43は、本発明の「第1蓋部」の一例であり、第1ハウジング筒部41の軸方向他方D2側の端部に取り付けられる。ハウジング蓋部43の第1ハウジング筒部41への固定は、たとえば、ねじによる固定を挙げることができるが、これに限定されず、ねじ込み、圧入等、ハウジング蓋部43を第1ハウジング筒部41に強固に固定できる方法を広く採用できる。これにより、ハウジング蓋部43は、第1ハウジング筒部41の軸方向他方D2側の端部に密着できる。なお、密着とは、部材内部の流体Fが外部に漏れない程度、及び外部の水、埃、塵等の異物が侵入しない程度の密閉性を有していることを指す。密着については、以下同様とする。
【0059】
また、ハウジング蓋部43は、第1ロータベアリングホルダ431を有する。第1ロータベアリングホルダ431は、第1ロータベアリング4311を保持する。第1ロータベアリング4311は、ロータシャフト11の軸方向他方D2側の端部を回転可能に支持する。第1ロータベアリングホルダ431は、ロータシャフト11が挿通される開口部4312を有する。開口部4312は、ハウジング蓋部43を軸方向に貫通し、軸方向から見て第1回転軸J1を囲む。
【0060】
<1-4-4.カバー部材44>
カバー部材44は、ハウジング蓋部43の軸方向他方D2側の端面に配置され、開口部4312とモータシャフト1の軸方向他方D2側の端部とを覆う。カバー部材44のハウジング蓋部43への取付は、たとえば、ねじ止めを挙げることができるが、これに限定されず、ねじ込み、圧入等、ハウジング蓋部43にカバー部材44を強固に固定できる方法を広く採用できる。カバー部材44及びハウジング蓋部43で囲まれた空間には、ロータの回転角度を検出する回転検出器(たとえばレゾルバ)などが収容できる。また、この空間には、モータシャフト1とハウジング4とを電気的に接続する除電装置が配置されてもよい。
【0061】
<1-4-5.第2ハウジング筒部45>
第2ハウジング筒部45は、第1回転軸J1を囲む筒状であり、軸方向に延びる。第2ハウジング筒部45の軸方向他方D2側の端部は、側板部42に接続され、側板部42で覆われる。第2ハウジング筒部45は、本実施形態では、側板部42の軸方向一方D1側の端部に着脱可能に取り付けられる。また、第2ハウジング筒部45の側板部42への取り付けは、たとえば、ねじによる固定を挙げることができるが、これに限定されず、ねじ込み、圧入等、側板部42に第2ハウジング筒部45を強固に固定できる方法を広く採用できる。これにより、第2ハウジング筒部45は、側板部42の軸方向一方D1側の端部に密着できる。
【0062】
<1-4-6.ギヤ蓋部46>
ギヤ蓋部46は、第2ハウジング筒部45の軸方向一方D1側の端部に配置されて、第2ハウジング筒部45の軸方向一方D1側の端部を覆う。ギヤ蓋部46は、第1ハウジング筒部41よりも軸方向一方D1に配置されて、第1回転軸J1と交差する方向に広がる。ギヤ蓋部46は、本発明の「第2蓋部」の他の一例である。前述の如く、ハウジング4は、ギヤ蓋部46を備える。本実施形態は、第2ハウジング筒部45及びギヤ蓋部46は、一体である。但し、この例示に限定されず、両者は、別体であってもよい。
【0063】
ギヤ蓋部46は、第2駆動シャフト貫通孔460を有する。第2駆動シャフト貫通孔460は、ギヤ蓋部46を軸方向に貫通する。第2駆動シャフト貫通孔460の中央は、第3回転軸J3と一致する。第2駆動シャフト貫通孔460には、第2駆動シャフトDs2が挿通される。第2駆動シャフトDs2と第2駆動シャフト貫通孔460との隙間には、オイルシール(不図示)が配置される。
【0064】
また、ギヤ蓋部46は、第2ギヤベアリングホルダ461、第2中間ベアリングホルダ462、及び、第2駆動ベアリングホルダ463をさらに有する。第2ギヤベアリングホルダ461及び第2中間ベアリングホルダ462は、ギヤ蓋部46の軸方向他方D2側の端面に配置される。第2ギヤベアリングホルダ461は、第2ギヤベアリング4611を保持する。なお、以下では、第1ギヤベアリングホルダ421及び第2ギヤベアリングホルダ461を「ギヤベアリングホルダ421,461」と総称することがある。ハウジング4は、ギヤベアリングホルダ421,461を有する。ギヤベアリングホルダ421,461は、ギヤベアリング4221,4611を保持する。
【0065】
第2ギヤベアリング4611は、本発明の「第2ベアリング」の他の一例であり、ギヤシャフト12の軸方向一方D1側の端部を回転可能に支持する。第2中間ベアリングホルダ462は、第2中間ベアリング4621を保持する。第2中間ベアリング4621は、中間シャフト314の軸方向一方D1側の端部を回転可能に支持する。第2駆動ベアリングホルダ463は、第2駆動シャフト貫通孔460の内側面に配置され、第2駆動ベアリング4631を保持する。第2駆動ベアリング4631は、第2駆動シャフトDs2を回転可能に支持する。
【0066】
また、ギヤ蓋部46は、流路464を有する。流路464は、流体Fの通路であり、受け皿部465とモータシャフト1の流入口121とを繋ぐ。受け皿部465は、鉛直下方に凹む凹部を有する。受け皿部465には、ギヤ部3のギヤ(たとえば第4ギヤ321)によって掻き上げられた流体Fを貯めることができる。本実施形態では、ギヤ蓋部46は、受け皿部465を有する。受け皿部465は、ギヤ蓋部46の軸方向他方D2側の端面に配置され、軸方向他方D2に延びる。受け皿部465に貯まる流体Fは、流路464に供給され、モータシャフト1の軸方向一方D1側の端部の流入口121からモータシャフト1の内部に流入する。
【0067】
<1-4-7.モータハウジング401>
次に、モータハウジング401は、ロータ21及びステータ22を収容する。前述の如く、ハウジング4は、モータハウジング401を有する。本実施形態では、モータハウジング401は、第1ハウジング筒部41、側板部42、及びハウジング蓋部43で構成される。
【0068】
<1-4-7-1.ロータベアリング4211,4311>
モータハウジング401には、第1ロータベアリングホルダ431及び第2ロータベアリングホルダ421が配置される。なお、以下では、第1ロータベアリングホルダ431及び第2ロータベアリングホルダ421を「ロータベアリングホルダ421,431」と総称することがある。ハウジング4は、ロータベアリングホルダ421,431を有する。ロータベアリングホルダ421,431は、ロータベアリング4211,4311を保持する。
【0069】
さらに、以下では、第1ロータベアリングホルダ431、第2ロータベアリングホルダ421、第1ギヤベアリングホルダ421、及び第2ギヤベアリングホルダ461を「モータベアリングホルダ421,431,421、461」と総称することがある。ハウジング4は、モータベアリングホルダ421,431,421、461を有する。モータベアリングホルダ421,431,421、461は、モータベアリング4311,4211、4221,4611を保持する。
【0070】
また、モータハウジング401には、ロータベアリング4211,4311が配置される。ロータベアリング4211,4311は、ロータ21の軸方向両側においてモータシャフト1を回転可能に支持する。ハウジング4は、ロータベアリング4211,4311を有する。本実施形態では、ロータベアリング4211,4311は、玉軸受である。モータシャフト1とモータハウジング401とは、ロータベアリング4211,4311により電気的に絶縁される。但し、本実施形態の例示は、第1ロータベアリング4311及び第2ロータベアリング4211の少なくともどちらかが玉軸受以外の転がり軸受である構成を排除しない。
【0071】
本実施形態では、ロータベアリング4211,4311は、ロータシャフト11の軸方向両端を回転可能に支持する。こうすれば、図2に示すように、ロータシャフト11内の電位変動によりロータシャフト11から流れる電荷をギヤシャフト12及びギヤ部3を経由してハウジング4に放出できる。特に本実施形態では、駆動装置100が力行状態及び回生状態である際に、ロータシャフト11の内歯とギヤシャフト12の外歯が金属接触し、ロータシャフト11がギヤシャフト12と導通する。そのため、ロータシャフト11の電荷は、上述の経路によりハウジング4に放出され、さらに、たとえばギヤハウジング402及びインバータハウジング403に接続されたアース接続部6を介して外部の物体(車体301など)に放出される(図2及び図3参照)。従って、モータシャフト1が分割されていても、モータベアリング4311,4211,4221,4611での電食の発生を効果的に抑制又は防止できる。
【0072】
図4Aは、モータベアリング4311,4211,4221,4611の構成例を示す断面図である。図4Bは、モータベアリング4311,4211,4221,4611の構成の第1変形例を示す断面図である。図4Cは、モータベアリング4311,4211,4221,4611の構成の第2変形例を示す断面図である。なお、図4Aから図4Cは、モータベアリング4311,4211,4221,4611の断面を第1回転軸J1を基準とする径方向から見ている。
【0073】
たとえば、図4Aから図4Cに示すように、モータベアリング4311,4211,4221,4611はそれぞれ、一対の軌道輪71と、転動体72と、を有する。一対の軌道輪71は、同心円状に配置される。転動体72は、一対の軌道輪71間において転がり可能に配置される。
【0074】
一対の軌道輪71は、内側軌道輪711と、内側軌道輪711よりも径方向外方に配置される外側軌道輪712と、を含む。内側軌道輪711及び外側軌道輪712は、たとえば金属製であり、第1回転軸J1を囲む環状である。図4Aでは、内側軌道輪711はロータシャフト11の径方向外側面に固定され、外側軌道輪712はモータハウジング401に固定される。転動体72は、複数であって、内側軌道輪711及び外側軌道輪712間において周方向に並ぶ。
【0075】
好ましくは、転動体72の少なくとも表面、転動体72と対向する内側軌道輪711の第1対向面7110、及び、転動体72と対向する外側軌道輪712の第2対向面7120のうちの少なくともいずれかは、電気絶縁性を有する。このように構成すれば、モータベアリング4311,4211,4221,4611において、一対の軌道輪71と転動体72との間の放電を抑制又は防止できる。従って、モータベアリング4311,4211,4221,4611の電食を効果的に抑制又は防止できる。
【0076】
たとえば、図4Aにおいて、転動体72は、電気絶縁性を有する球体である。こうすれば、モータベアリング4311,4211,4221,4611において、一対の軌道輪71と転動体72との間の放電を抑制又は防止できる。従って、モータベアリング4311,4211,4221,4611の電食を効果的に抑制又は防止できる。
【0077】
一例として、転動体72の表面には、アルマイト処理などにより形成された電気絶縁層が配置されてもよい。言い換えると、転動体72は、金属製の球体と、該球体の表面を覆う電気絶縁層と、を有してもよい。但し、転動体72の電気絶縁層の材料及び形成方法は、この例示に限定されない。
【0078】
或いは、図4Aにおいて、転動体72は、セラミックボールであってもよい。こうすれば、転動体72は、一対の軌道輪71との間の放電をより確実に抑制又は防止できる。但し、この例示に限定されず、図4Aにおいて、転動体72は、セラミックボール以外の電気絶縁性を有する球体であってもよい。
【0079】
また、図4Aにおいて、内側軌道輪711の第1対向面7110には、アルマイト処理などにより形成された電気絶縁層7111が配置される。言い換えると、内側軌道輪711は、電気絶縁層7111と、金属製のリング部7112と、を有してもよい。電気絶縁層7111は、リング部7112の外側軌道輪712側の表面を覆う。但し、リング部7112及び電気絶縁層7111の材料、及び、電気絶縁層7111の形成方法は、上述の例示に限定されない。
【0080】
また、図4Aにおいて、外側軌道輪712の第2対向面7120には、アルマイト処理などにより形成された電気絶縁層7121が配置される。言い換えると、外側軌道輪712は、電気絶縁層7121と、金属製のリング部7122と、を有してもよい。電気絶縁層7121は、リング部7122の内側軌道輪711側の表面を覆う。但し、リング部7122及び電気絶縁層7121の材料、及び、電気絶縁層7121の形成方法は、上述の例示に限定されない。
【0081】
なお、図4Aでは、転動体72の少なくとも表面、第1対向面7110、及び、第2対向面7120の全てが電気絶縁性を有する。但し、この例示は、これらのうちの少なくとも2つが電気絶縁性を有さない構成を排除しない。
【0082】
たとえば、好ましくは、第2ロータベアリング4211、第1ギヤベアリング4221、及び、第2ギヤベアリング4611の転動体72は、セラミックボールである。また、これらの第1対向面7110及び第2対向面7120には、電気絶縁層7111が配置されない。なお、この際、第1ロータベアリング4311の内側軌道輪711の第1対向面7110は電気絶縁性を有してもよく、たとえば電気絶縁層7111が配置されてもよい。また、第1ロータベアリング4311の外側軌道輪712の第2対向面7120は電気絶縁性を有してもよく、たとえば電気絶縁層7111が配置されてもよい。
【0083】
こうすれば、累積公差での振れ回りが生じ易いモータシャフト11の軸方向他方D2側を回転可能に支持する第1ロータベアリング4311において、第1対向面7110などの耐摩耗性を向上しつつ、電気絶縁性を確保できる。また、モータベアリング4211,4221,4611において、転動体72をセラミックボールとすることにより、簡易な構成で電気絶縁性を確保できる。
【0084】
また、モータベアリング4311,4211,4221,4611がロータシャフト11及びモータハウジング401の少なくともどちらかと電気的に絶縁されていれば、転動体72、内側軌道輪711、及び、外側軌道輪712は、電気伝導性を有する部材であってもよい。
【0085】
たとえば、図4Bでは、モータベアリング4311,4211,4221,4611は、第1絶縁部材73をさらに有する。第1絶縁部材73は、外側軌道輪712とモータベアリングホルダ421,431,422,461との間に配置される。本実施形態では、第1絶縁部材73は、軸方向に延びる筒状であり、電気絶縁性を有する。第1絶縁部材73の材料は、たとえばアルマイトである。モータベアリング4311,4211,4221,4611の外側軌道輪712は、第1絶縁部材73を介してモータベアリングホルダ421,431,422,461に固定される。これにより、第1絶縁部材73によって外側軌道輪712とモータハウジング401のモータベアリングホルダ421,431,422,461との間を電気的に絶縁できる。たとえば、第1ロータベアリング4311の内側軌道輪711からハウジング蓋部43に至る電気的な経路を絶縁できる。また、第2ロータベアリング4211の内側軌道輪711から側板部42に至る電気的な経路を絶縁できる。他のモータベアリング4221,4611でも同様である。従って、モータベアリング4311,4211,4221,4611内で放電が発生し難くなる。よって、モータベアリング4311,4211,4221,4611の電食を効果的に抑制又は防止できる。
【0086】
また、図4Cでは、モータベアリング4311,4211,4221,4611は、第2絶縁部材74をさらに有する。第2絶縁部材74は、内側軌道輪711とモータシャフト1(詳細にはロータシャフト11)との間に配置される。本実施形態では、第2絶縁部材74は、軸方向に延びる筒状であり、電気絶縁性を有する。第2絶縁部材74の材料は、たとえばアルマイトである。モータベアリング4311,4211,4221,4611の内側軌道輪711は、第2絶縁部材74を介してモータシャフト1(詳細にはロータシャフト11)に固定される。これにより、第2絶縁部材74によって内側軌道輪711とロータシャフト11との間を電気的に絶縁できる。モータベアリング4311,4211,4221,4611の外側軌道輪712からロータシャフト11に至る電気的な経路を絶縁できる。従って、モータベアリング4311,4211,4221,4611内で放電が発生し難くなる。よって、モータベアリング4311,4211,4221,4611の電食を効果的に抑制又は防止できる。
【0087】
また、第2絶縁部材74は予め内側軌道輪711に配置されるので、第2絶縁部材74が予めロータシャフト11に配置される場合とは異なり、ロータシャフト11に対してモータベアリング4311,4211,4221,4611を配置する位置を厳密に決めなくてもよい。従って、モータベアリング4311,4211,4221,4611の配置がし易くなる。また、モータベアリング4311,4211,4221,4611の外側軌道輪712をモータベアリングホルダ421,431,422,461に圧入する際、外側軌道輪712側に絶縁部材を配置しないことで、その絶縁部材の寿命を向上できる。
【0088】
なお、図4B及び図4Cの例示に限定されず、モータベアリング4311,4211,4221,4611は、第1絶縁部材73及び第2絶縁部材74の両方を有してもよい。また、上述の構成は、特に矛盾が生じない限りにおいて、任意に組み合わせ可能である。こうすれば、モータベアリング4311,4211,4221,4611の電食をさらに効果的に抑制又は防止できる。
【0089】
<1-4-8.ギヤハウジング402>
ギヤハウジング402は、ギヤ部3を収容する。前述の如く、ハウジング4は、ギヤハウジング402を有する。本実施形態では、ギヤハウジング402は、側板部42、第2ハウジング筒部45、及びギヤ蓋部46で構成され、減速装置31及び差動装置32などを収容する。
【0090】
ギヤハウジング402内の下部には、流体Fが溜る流体貯留部Pが配置される。流体貯留部Pには、ギヤ部3の一部(たとえば第4ギヤ321)が浸かる。流体貯留部Pに溜る流体Fは、ギヤ部3の動作によって掻きあげられて、ギヤハウジング402の内部に供給される。たとえば、流体Fは、差動装置32の第4ギヤ321が回転するときに、第4ギヤ321の歯面によって掻きあげられる。掻きあげられた流体Fの一部は、ギヤハウジング402内において、減速装置31及び差動装置32の各ギヤ、及び各ベアリングに供給され、潤滑に利用される。また、掻きあげられた流体Fの他の一部は、モータシャフト1の内部に供給され、モータ2のロータ21及びステータ22、ギヤハウジング402内の各ベアリングに供給されて、冷却・潤滑に利用される。
【0091】
<1-4-8-1.ギヤベアリング4221,4611>
ギヤハウジング402には、第1ギヤベアリングホルダ422及び第2ギヤベアリングホルダ461と、ギヤベアリング4221,4611とが配置される。ギヤベアリング4221,4611は、本実施形態では、ギヤシャフト12の軸方向両端を回転可能に支持する。
【0092】
<1-4-8-2.駆動ベアリング4241,4631>
また、ギヤハウジング402には、第1駆動ベアリングホルダ424及び第2駆動ベアリングホルダ463と、第1駆動ベアリング4241及び第2駆動ベアリング4631とが配置される。なお、以下では、第1駆動ベアリング4241及び第2駆動ベアリング4631を「駆動ベアリング4241,4631」と総称することがある。駆動ベアリング4241,4631は、駆動シャフトDsの軸方向両端を回転可能に支持する。ハウジング4は、駆動ベアリング4241,4631を有する。
【0093】
駆動ベアリング4241,4631は、ころ軸受である。図5は、第1駆動ベアリング4241及び第2駆動ベアリング4631の構成例を示す断面図である。なお、図5は、駆動ベアリング4241,4631の断面を第3回転軸J3を基準とする径方向から見ている。
【0094】
たとえば、図5に示すように、駆動ベアリング4241,4631はそれぞれ、一対の軌道輪81と、転動体82と、を有する。一対の軌道輪81は、同心円状に配置される。転動体82は、一対の軌道輪81間において転がり可能に配置され、軸方向に長手方向を有する形状である。一対の軌道輪81は、内側軌道輪811と、内側軌道輪811よりも径方向外方に配置される外側軌道輪812と、を含む。内側軌道輪811及び外側軌道輪812は、たとえば金属製であり、第2回転軸J2を囲む環状である。図5では、内側軌道輪811は駆動シャフトDsの径方向外側面に固定され、外側軌道輪812はギヤハウジング402に固定される。転動体82は、複数であって、内側軌道輪811及び外側軌道輪812間において周方向に並ぶ。転動体82は、電気伝導性を有し、たとえば金属製である。そのため、駆動ベアリング4241,4631の電気抵抗は、モータベアリング4311,4211,4221,4611よりも低い。
【0095】
上述のように、ころ軸受である駆動ベアリング4241,4631の転動体82は、軸方向に長手方向を有する形状であるため、たとえば玉軸受と比べて、一対の軌道輪81との接触面積をより広くできる。さらに、駆動ベアリング4241,4631は、モータベアリング4311,4211,4221,4611よりも電気抵抗が低い。つまり、駆動ベアリング4241,4631はより高い電気伝導性を有する。一方で、前述の如く、モータハウジング401内でモータシャフト1を支持するモータベアリング4311,4211,4221,4611は、モータハウジング401と電気的に絶縁される。従って、図2に示すように、モータシャフト1(特にロータシャフト)内の電位変動によってロータシャフト11から流れる電荷は、駆動装置100が力行状態及び回生状態である際に、ギヤシャフト12、第1ギヤ311、第2ギヤ312、第3ギヤ313、中間シャフト314、第4ギヤ321を含む差動装置32、駆動シャフトDs、及び駆動ベアリング4241,4631を通じてギヤハウジング402に放出される。さらにこの電荷は、ハウジング4のギヤハウジング402、インバータハウジング403などに接続されたアース接続部6を通じて、たとえば駆動装置100を搭載する車両300の車体301(図3参照)などに放出される。よって、モータベアリング4311,4211,4221,4611での電食の発生をより効果的に抑制又は防止できる。
【0096】
また、駆動ベアリング4241,4631を通じて電荷を放出することにより、ギヤシャフト12及びギヤハウジング402間の除電経路が第1ギヤ311、第2ギヤ312、第3ギヤ313、中間シャフト314、第4ギヤ321を含む差動装置32、駆動シャフトDs、及び駆動ベアリング4241,4631を経由する。そのため、モータシャフト1からハウジング4に至る除電経路をより長くできる。従って、モータシャフト1と、ハウジング4の駆動ベアリング4241,4631を保持する駆動ベアリングホルダ424,463のとの電位差をより大きくできる。よって、モータシャフト1(特にロータシャフト)からハウジング4に電荷が放出し易くなる。
【0097】
なお、駆動ベアリング4241,4631の一対の軌道輪81間は、潤滑材83によって潤滑される。好ましくは、潤滑材83の電気伝導性は、たとえば流体Fよりも高い。たとえば、潤滑材83には、導電グリスを採用できる。導電グリスでは、銅紛、カーボン紛などの導電材料がグリスなどの潤滑油に添加される。潤滑材83の電気伝導性の向上は、電食の発生の抑制又は防止に貢献できる。但し、この例示は、潤滑材83が配置されない構成を排除しないし、潤滑材83の電気伝導性がたとえば流体Fよりも高くない構成を排除しない。
【0098】
<1-4-8-3.中間ベアリング4231,4621>
また、ギヤハウジング402には、第1中間ベアリングホルダ423及び第2中間ベアリングホルダ462と、中間ベアリング4231,4621とが配置される。中間ベアリング4231,4621は、中間シャフト314の軸方向両端を回転可能に支持する。ハウジング4は、中間ベアリング4231,4621を有する。
【0099】
中間ベアリング4231,4621は、本実施形態では、ころ軸受である。図6は、第1中間ベアリング4231及び第2中間ベアリング4621の構成例を示す断面図である。なお、図6は、中間ベアリング4231,4621の断面を第2回転軸J2を基準とする径方向から見ている。
【0100】
たとえば、図6に示すように、中間ベアリング4231,4621はそれぞれ、一対の軌道輪91と、転動体92と、を有する。一対の軌道輪91は、同心円状に配置される。転動体92は、一対の軌道輪91間において転がり可能に配置され、軸方向に長手方向を有する形状である。一対の軌道輪91は、内側軌道輪911と、内側軌道輪911よりも径方向外方に配置される外側軌道輪912と、を含む。内側軌道輪911及び外側軌道輪912は、たとえば金属製であり、第2回転軸J2を囲む環状である。図6では、内側軌道輪911は中間シャフト314の径方向外側面に固定され、外側軌道輪912はギヤハウジング402に固定される。転動体92は、複数であって、内側軌道輪911及び外側軌道輪912間において周方向に並ぶ。転動体92は、電気伝導性を有し、たとえば金属製である。そのため、中間ベアリング4231,4621の電気抵抗は、モータベアリング4311,4211,4221,4611よりも低い。
【0101】
図2に示すように、ロータシャフト11内の電位変動によってロータシャフト11から流れる電荷は、駆動装置100が力行状態及び回生状態である際に、ギヤシャフト12、第1ギヤ311、及び第2ギヤ312を経由して、中間シャフト314に流れることができる。従って、さらに中間シャフト314及び中間ベアリング4231,4621を通じて、電荷をギヤハウジング402に放出できる。さらにこの電荷は、ハウジング4のギヤハウジング402、インバータハウジング403などに接続されたアース接続部6を通じて、たとえば駆動装置100を搭載する車両300の車体301(図3参照)などに放出できる。よって、モータベアリング4311,4211,4221,4611での電食の発生をより確実に抑制又は防止できる。
【0102】
なお、中間ベアリング4231,4621の一対の軌道輪91間は、潤滑材93によって潤滑される。好ましくは、潤滑材93の電気伝導性は、たとえば流体Fよりも高い。たとえば、潤滑材93には、導電グリスを採用できる。導電グリスでは、銅紛、カーボン紛などの導電材料がグリスなどの潤滑油に添加される。潤滑材93の電気伝導性の向上は、電食の発生の抑制又は防止に貢献できる。但し、この例示は、潤滑材93が配置されない構成を排除しないし、潤滑材93の電気伝導性がたとえば流体Fよりも高くない構成を排除しない。
【0103】
なお、本実施形態の例示は、中間ベアリング4231,4621がころ軸受ではない構成を排除しない。たとえば、中間ベアリング4231,4621が玉軸受又は滑り軸受である構成を排除しない。
【0104】
<1-5.流体循環部5>
次に、流体循環部5を説明する。流体循環部5は、配管部51と、ポンプ52と、クーラユニット53と、流体リザーバ54と、を有する。
【0105】
配管部51は、ポンプ52と第1ハウジング筒部41の内部に配置された流体リザーバ54とを繋ぐ。ポンプ52は、流体貯留部Pに貯留される流体Fを吸い込み、流体リザーバ54に流体Fを供給する。ポンプ52は、本実施形態では電動ポンプである。
【0106】
クーラユニット53は、配管部51においてポンプ52と流体リザーバ54との間に配置される。つまり、ポンプ52で吸引された流体Fは、配管部51を介してクーラユニット53を通過した後、流体リザーバ54に送られる。クーラユニット53には、たとえば、外部から供給される水などの冷媒が供給される。クーラユニット53は、冷媒と流体Fとの間で熱交換して、流体Fの温度を下げる。
【0107】
流体リザーバ54は、モータハウジング401の内部においてステータ22よりも鉛直上方に配置されたトレイである。流体リザーバ54の底部には、滴下孔(符号省略)が形成されており、滴下孔から流体Fを滴下することで、モータ2を冷却する。滴下孔は、例えば、ステータ22のコイル部222のコイルエンド2221の上部に形成され、コイル部222が流体Fによって冷却される。
【0108】
<1-6.アース接続部6>
アース接続部6は、ハウジング4を外部の物体に接地する。前述の如く、駆動装置100は、アース接続部6をさらに備える。本実施形態では、アース接続部6は、導体線が絶縁被覆された導電ケーブルである。導電ケーブルの一方端はハウジング4と電気的に接続され、他方端はたとえば車両300の車体301と電気的に接続される(図3参照)。こうすれば、アース接続部6を介して、ハウジング4をその外部の物体(たとえば車両300の車体301)に接地できる。従って、モータシャフト1(特にロータシャフト11)からハウジング4に放出した電荷を外部の物体に放出できるので、ハウジング4の電位上昇を抑制又は防止できる。モータベアリング4311,4211,4221,4611での電食の発生をさらに確実に抑制又は防止できる。
【0109】
好ましくは図3に示すように、アース接続部6は、インバータハウジング403に配置される。たとえば、上述の導電ケーブルの一方端は、インバータハウジング403と電気的に接続される。こうすれば、アース接続部6はさらに、インバータハウジング403をハウジング4の外部の物体(たとえば車両300の車体301)に接地できる。従って、さらに、インバータハウジング403に収容されるインバータ4031の接地電位の上昇を抑制又は防止できる。但し、この例示は、アース接続部6がハウジング4のインバータハウジング403以外の部分に配置される構成を排除しない。たとえば、アース接続部6は、モータハウジング401、ギヤハウジング402(図2参照)などに接続されてもよい。
【0110】
<1-7.実施形態の変形例>
次に、図7及び図8を参照して、実施形態の変形例について説明する。図7は、変形例に係る駆動装置100の概略的な構成図である。図8は、変形例における駆動装置100の除電経路を例示する概念図である。なお、図7及び図8は、あくまで概念図であり、各部の配置及び寸法は、実際の駆動装置100と同じであるとは限らない。また、図8では、矢印付きの太い実線が除電経路を示す。以下では、上述の実施形態と異なる構成について説明する。また、上述の実施形態と同様の構成要素には同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
【0111】
変形例において、モータシャフト1は、軸方向に延びる筒状である。駆動シャフトDsは、軸方向に延びる筒状のモータシャフト1の内部に挿通され、第1回転軸J1に沿って延びる。こうすれば、モータシャフト1よりも径方向外方に駆動シャフトDsを配置するスペースを確保する必要がない。従って、軸方向と垂直な方向における駆動装置100のサイズをより小さくできる。よって、駆動装置100を小型化できる。また、駆動シャフトDsとモータシャフト1との間の隙間を、冷媒として機能する流体Fが流れる流路として利用できる。
【0112】
駆動シャフトDsは、第1回転軸J1を中心にして回転可能である。つまり、駆動シャフトDsの回転軸は、第1回転軸J1に一致する。駆動シャフトDs及びモータシャフト1の回転中心が一致することにより、第1回転軸J1を基準とする径方向における両者間の隙間を一定にすることができる。従って、第1回転軸J1を基準とする周方向において流量及び流動抵抗を変動させることなく、この隙間に流体Fを流すことができる。
【0113】
詳細には、第1駆動シャフトDs1の一部(つまり軸方向の中央部分)は、モータシャフト1の内部に配置される。軸方向から見て、第1駆動シャフトDs1は、モータシャフト20と同心円状に配置される。第1駆動シャフトDs1の軸方向他方D2側の端部は、モータシャフト1よりも軸方向他方D2に配置される。
【0114】
変形例では、第1駆動シャフトDs1が挿通される第1駆動シャフト貫通孔432は、側板部42の代わりに、ハウジング蓋部43に配置される。ハウジング蓋部43は、第1駆動シャフト貫通孔432をさらに有する。第1駆動シャフト貫通孔432は、ハウジング蓋部43を軸方向に貫通する。第1駆動シャフト貫通孔432の中央は、第1回転軸J1と一致する。第1駆動シャフトDs1と第1駆動シャフト貫通孔432との隙間には、両者間をシールするオイルシール(不図示)が配置される。
【0115】
また、ハウジング蓋部43は、第1駆動ベアリングホルダ433と、第1駆動ベアリング4331と、をさらに有する。第1駆動ベアリングホルダ433は、第1駆動シャフト貫通孔432の内側面に配置され、第1駆動ベアリング4331を保持する。第1駆動ベアリング4331は、第1駆動シャフトDs1を回転可能に支持する。
【0116】
また、第1駆動ベアリングホルダ433は、配管部51と繋がる。そのため、配管部51を流れる流体Fの一部によって、第1駆動ベアリング4331は潤滑及び冷却される。また、この流体Fは、モータシャフト1の内部に流れ込む。つまり、変形例では、モータシャフト1の軸方向他方D2側の端部における開口が流体Fの流入口112となる。流入口112からモータシャフト1の内部に流れ込む流体Fの一部は、シャフト貫通孔111を通じてロータ貫通孔2111に流れる。残りの一部は、モータシャフト1の軸方向一方D1側の端部から排出され、流体貯留部Pに溜まる。
【0117】
また、第2駆動シャフトDs2及び差動装置32は、モータシャフト1よりも軸方向一方D1に配置される。モータシャフト20の軸方向一方D1側の端部を回転可能に保持する第2ギヤベアリング471は、第2ギヤベアリングホルダ47に保持される。つまり、ハウジング4は、第2ギヤベアリングホルダ461及び第2ギヤベアリング4611に代えて、第2ギヤベアリングホルダ47及び第2ギヤベアリング471を有する。第2ギヤベアリングホルダ47は、差動装置32よりも軸方向他方D2側に配置され、側板部42又は第2ハウジング筒部45に配置される。
【0118】
変形例では、上述の実施形態と同様に、モータシャフト1とモータハウジング401とは、モータベアリング4311,4211,4221,4611により電気的に絶縁される。また、第1駆動ベアリング4331及び第2駆動ベアリング4631は、ころ軸受である。なお、変形例では、第1駆動ベアリング4331及び第2駆動ベアリング4631を「駆動ベアリング4331,4631」と総称する。駆動ベアリング4331,4631の電気抵抗は、モータベアリング4311,4211,4221,4611よりも低い。なお、上述のように、ころ軸受である駆動ベアリング4331,4631の転動体82は、軸方向に長手方向を有する形状であるため、たとえば玉軸受と比べて、一対の軌道輪81との接触面積をより広くできる。そのため、駆動ベアリング4331,4631はより高い電気伝導性を有する。
【0119】
従って、図8に示すように、モータシャフト1(特にロータシャフト)内の電位変動によってロータシャフト11から流れる電荷は、駆動装置100が力行状態及び回生状態である際に、ギヤシャフト12、第1ギヤ311、第2ギヤ312、中間シャフト314、第3ギヤ313、第4ギヤ321を含む差動装置32、駆動シャフトDsに放出される。さらにこの電荷は、第1駆動ベアリング4331を通じてハウジング4のモータハウジング401に放出されるとともに、第2駆動ベアリング4631を通じてハウジング4のギヤハウジング402に放出される。これらの電荷は、ハウジング4のギヤハウジング402、インバータハウジング403などに接続されたアース接続部6を通じて、たとえば駆動装置100を搭載する車両300の車体301(図3参照)などに放出される。よって、モータベアリング4311,4211,4221,4611での電食の発生をより効果的に抑制又は防止できる。
【0120】
また、駆動ベアリング4331,4631を通じて電荷を放出することにより、ギヤシャフト12及びハウジング4間の除電経路が第1ギヤ311、第2ギヤ312、第3ギヤ313、中間シャフト314、第4ギヤ321を含む差動装置32、駆動シャフトDs、及び駆動ベアリング4331,4631を経由する。そのため、モータシャフト1からハウジング4に至る除電経路をより長くできる。従って、モータシャフト1と、ハウジング4の駆動ベアリング4331,4631を保持する駆動ベアリングホルダ424,463のとの電位差をより大きくできる。よって、モータシャフト1(特にロータシャフト)からハウジング4に電荷が放出し易くなる。
【0121】
また、変形例では、上述の実施形態と同様に、中間ベアリング4231,4621の電気抵抗は、モータベアリング4311,4211,4221,4611よりも低い。そのため、図8に示すように、ロータシャフト11内の電位変動によってロータシャフト11から流れる電荷は、駆動装置100が力行状態及び回生状態である際に、ギヤシャフト12、第1ギヤ311、第2ギヤ312、中間シャフト314、及び駆動ベアリング4241,4631を経由して、ギヤハウジング402に放出される。さらにこの電荷は、ハウジング4のギヤハウジング402、インバータハウジング403などに接続されたアース接続部6を通じて、たとえば駆動装置100を搭載する車両300の車体301(図3参照)などに放出できる。よって、モータベアリング4311,4211,4221,4611での電食の発生をより確実に抑制又は防止できる。
【0122】
<2.その他>
以上、本発明の実施形態を説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾が生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【0123】
また、本実施形態及び変形例では、本発明は、車載用の駆動装置100に適用されている。但し、この例示に限定されず、本発明は、車載以外の用途で用いられる駆動装置などにも適用可能である。
【0124】
<3.総括>
以下では、これまでに説明した実施形態及びその変形例について総括的に述べる。
【0125】
たとえば、本明細書に開示されている駆動装置は、
軸方向に延びる第1回転軸に沿って延びて前記第1回転軸を中心として回転可能なモータシャフトと、
前記モータシャフトとともに回転可能なロータと、
前記ロータよりも径方向外方に配置されるステータと、
前記モータシャフトの軸方向一方側に接続されるギヤ部と、
前記ロータ、前記ステータ、及び前記ギヤ部を収容するハウジングと、
を備え、
前記ハウジングは、
軸方向に延びて内側面に前記ステータを保持するハウジング筒部と、
前記ハウジング筒部の軸方向他方端部に取り付けられる第1蓋部と、
前記ハウジング筒部よりも軸方向一方に配置されて前記第1回転軸と交差する方向に広がる第2蓋部と、
前記モータシャフトを回転可能に支持するモータベアリングと、
を有し、
前記モータベアリングは、
前記第1蓋部に配置される転がり軸受であって、前記ロータよりも軸方向他方において前記モータシャフトを回転可能に支持する第1ベアリングと、
前記第2蓋部に配置され、前記ロータよりも軸方向一方において前記モータシャフトを回転可能に支持する第2ベアリングと、
を有し、
前記モータシャフトと前記第1蓋部とは、第1ベアリングにより電気的に絶縁される構成(第1の構成)とされる。
【0126】
上記第1の構成の駆動装置は、
前記モータシャフトは、
前記ロータを保持する第1シャフトと、
前記第1シャフトの軸方向一方端部に接続されて前記ギヤ部が接続される第2シャフトと、
を有する構成(第2の構成)にしてもよい。
【0127】
また、上記第1又は第2の構成の駆動装置は、
前記第2蓋部は、前記ハウジング筒部の軸方向一方端部に配置されて前記ハウジング筒部の軸方向一方端部を覆う側板部であって、
前記第2モータベアリングは、前記側板部に配置される転がり軸受であって、前記ロータよりも軸方向一方において前記モータシャフトを回転可能に支持し、
前記モータシャフトと前記側板部とは、前記第2ベアリングにより電気的に絶縁される構成(第3の構成)にしてもよい。
【0128】
また、上記第3の構成の駆動装置は、
前記第1ベアリングにおける電気抵抗は、前記第2ベアリングにおける電気抵抗よりも大きい構成(第4の構成)にしてもよい。
【0129】
また、上記第1から第4のいずれかの構成の駆動装置は、
前記モータベアリングは、
同心円状に配置される一対の軌道輪と、
前記一対の軌道輪間において転がり可能に配置される転動体と、
を有し、
前記一対の軌道輪は、内側軌道輪と、前記内側軌道輪よりも径方向外方に配置される外側軌道輪と、を含み、
前記転動体の少なくとも表面、前記転動体と対向する前記内側軌道輪の第1対向面、及び、前記転動体と対向する前記外側軌道輪の第2対向面のうちの少なくともいずれかは、電気絶縁性を有する構成(第5の構成)にしてもよい。
【0130】
また、上記第5の構成の駆動装置は、
前記転動体は、セラミックボールである構成(第6の構成)にしてもよい。
【0131】
また、上記第5の構成の駆動装置は、
前記第1モータベアリングの前記第1対向面は、電気絶縁性を有し、
前記第2モータベアリングの前記転動体は、セラミックボールである構成(第7の構成)にしてもよい。
【0132】
また、上記第5から第7のいずれかの構成の駆動装置は、
前記ハウジングは、前記モータベアリングを保持するモータベアリングホルダをさらに有し、
前記モータベアリングは、前記外側軌道輪と前記モータベアリングホルダとの間に配置される第1絶縁部材をさらに有し、
前記外側軌道輪は、前記第1絶縁部材を介して前記モータベアリングホルダに固定される構成(第8の構成)にしてもよい。
【0133】
また、上記第5から第8のいずれかの構成の駆動装置は、
前記モータベアリングは、前記内側軌道輪と前記モータシャフトとの間に配置される第2絶縁部材をさらに有し、
前記内側軌道輪は、前記第2絶縁部材を介して前記モータシャフトに固定される構成(第9の構成)にしてもよい。
【0134】
また、上記第1から第9のいずれかの構成の駆動装置は、
前記モータベアリングを潤滑する流体を前記モータベアリングに供給する流体流路をさらに備える構成(第10の構成)にしてもよい。
【0135】
また、上記第1から第10のいずれかの構成の駆動装置は、
前記ギヤ部は、
前記モータシャフトの軸方向一方側において前記モータシャフトの径方向外側面に固定される第1ギヤと、
軸方向に延びる第2回転軸に沿って延びて前記第2回転軸を中心として回転可能な中間シャフトと、
前記中間シャフトの径方向外側面に固定されて前記第1ギヤと噛み合う第2ギヤと、
前記中間シャフトの径方向外側面に固定される第3ギヤと、
前記第3ギヤと噛み合う第4ギヤを有して、前記第4ギヤのトルクを駆動シャフトに出力する差動装置と、
有し、
前記ハウジングは、前記駆動シャフトの軸方向両端を回転可能に支持する駆動ベアリングをさらに有し、
前記第1ベアリングは、玉軸受であり、
前記駆動ベアリングは、ころ軸受であり、
前記駆動ベアリングの電気抵抗は、前記第1ベアリングよりも低い構成(第11の構成)にしてもよい。
【0136】
また、上記第1から第11のいずれかの構成の駆動装置は、
前記ハウジングは、前記中間シャフトの軸方向両端を回転可能に支持する中間ベアリングをさらに有し、
前記中間ベアリングは、前記第1ベアリングよりも電気抵抗が低い構成(第12の構成)にしてもよい。
【0137】
また、上記第1から第12のいずれかの構成の駆動装置は、
前記ハウジングを外部の物体に接地するアース接続部をさらに備える構成(第13の構成)にしてもよい。
【0138】
また、上記第13の構成の駆動装置は、
前記ハウジングは、前記ステータに駆動電流を供給するインバータを収容するインバータハウジングをさらに有し、
前記アース接続部は、前記インバータハウジングに配置される構成(第14の構成)にしてもよい。
【0139】
また、上記第1から第14のいずれかの構成の駆動装置は、
前記モータシャフトは、軸方向に延びる筒状であり、
前記駆動シャフトは、前記モータシャフトの内部に挿通される構成(第15の構成)にしてもよい。
【0140】
また、本明細書に開示されている車両は、
上記第1から第15のいずれかの構成の駆動装置を備える構成(第16の構成)にしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本発明は、たとえば、転がり軸受によりモータシャフトが回転可能に支持されるモータを有する装置に有用である。なお、上記の装置は、車載用途に有用であるが、車載以外の用途にも有用である。
【符号の説明】
【0142】
100・・・駆動装置、200・・・バッテリ、300・・・車両、301・・・車体、1・・・モータシャフト、11・・・ロータシャフト、111・・・シャフト貫通孔、112・・・流入口、12・・・ギヤシャフト、121・・・流入口、13・・・シャフト壁部、2・・・モータ、21・・・ロータ、211・・・ロータコア、2111・・・ロータ貫通孔、212・・・マグネット、22・・・ステータ、221・・・ステータコア、222・・・コイル部、2221・・・コイルエンド、3・・・ギヤ部、31・・・減速装置、311・・・第1ギヤ、312・・・第2ギヤ、313・・・第3ギヤ、314・・・中間シャフト、32・・・差動装置、321・・・第4ギヤ、4・・・ハウジング、401・・・モータハウジング、402・・・ギヤハウジング、403・・・インバータハウジング、4031・・・インバータ、41・・・第1ハウジング筒部、42・・・側板部、4201・・・側板貫通孔、4202・・・第1駆動シャフト貫通孔、421・・・第2ロータベアリングホルダ、4211・・・第2ロータベアリング、422・・・第1ギヤベアリングホルダ、4221・・・第1ギヤベアリング、423・・・第1中間ベアリングホルダ、4231・・・第1中間ベアリング、424・・・第1駆動ベアリングホルダ、4241・・・第1駆動ベアリング、43・・・ハウジング蓋部、431・・・第1ロータベアリングホルダ、4311・・・第1ロータベアリング、4312・・・開口部、432・・・第1駆動シャフト貫通孔、433・・・第1駆動ベアリングホルダ、4331・・・第1駆動ベアリング、44・・・カバー部材、45・・・第2ハウジング筒部、46・・・ギヤ蓋部、460・・・第2駆動シャフト貫通孔、461・・・第2ギヤベアリングホルダ、4611・・・第2ギヤベアリング、462・・・第2中間ベアリングホルダ、4621・・・第2中間ベアリング、463・・・第2駆動ベアリングホルダ、4631・・・第2駆動ベアリング、464・・・流路、465・・・受け皿部、47・・・第2ギヤベアリングホルダ、471・・・第2ギヤベアリング、5・・・流体循環部、51・・・配管部、52・・・ポンプ、53・・・クーラユニット、54・・・流体リザーバ、6・・・アース接続部、71・・・軌道輪、711・・・内側軌道輪、712・・・外側軌道輪、72・・・転動体、73・・・第1絶縁部材、74・・・第2絶縁部材、81・・・軌道輪、811・・・内側軌道輪、812・・・外側軌道輪、82・・・転動体、83・・・潤滑材、91・・・軌道輪、911・・・内側軌道輪、912・・・外側軌道輪、92・・・転動体、93・・・潤滑材、F・・・流体、P・・・流体貯留部、Ds・・・駆動シャフト、Ds1・・・第1駆動シャフト、Ds2・・・第2駆動シャフト、J1・・・第1回転軸、J2・・・第2回転軸、J3・・・第3回転軸
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8