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特開2023-41009向上した印刷床の接着及び剥離を特徴とする積層造形方法
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  • 特開-向上した印刷床の接着及び剥離を特徴とする積層造形方法 図1
  • 特開-向上した印刷床の接着及び剥離を特徴とする積層造形方法 図2
  • 特開-向上した印刷床の接着及び剥離を特徴とする積層造形方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041009
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】向上した印刷床の接着及び剥離を特徴とする積層造形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/245 20170101AFI20230315BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20230315BHJP
   B29C 64/379 20170101ALI20230315BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230315BHJP
   B33Y 40/10 20200101ALI20230315BHJP
   B33Y 40/20 20200101ALI20230315BHJP
【FI】
B29C64/245
B29C64/118
B29C64/379
B33Y10/00
B33Y40/10
B33Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022129991
(22)【出願日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】17/471,358
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ジュディス・ミルナー・ヴァンデウィンケル
(72)【発明者】
【氏名】マーク・ピー.・メルカンデッティ
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA13
4F213AA24
4F213AA49
4F213AC02
4F213AJ06
4F213AR06
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL29
4F213WL56
4F213WL73
(57)【要約】      (修正有)
【課題】積層造形中の印刷部品の接着及び剥離を改善するための方法を提供する。
【解決手段】ワックス層を印刷床に適用して、積層造形中の印刷部品の接着及び剥離を促進し得る。積層造形方法は、積層造形装置の印刷床上に1つ以上のワックスを含むワックス層を堆積させることと、印刷材料の一層ずつの堆積によって印刷床上に印刷部品110を形成することと、を含み得る。印刷が完了した後、印刷部品は、印刷床を損傷することなく、印刷床から剥離され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層造形装置の印刷床上に1つ以上のワックスを含むワックス層を堆積させることと、
印刷材料の一層ずつの堆積によって前記印刷床上に印刷部品を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記ワックス層が、水性ワックスエマルジョンから堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性ワックスエマルジョンが、最大約50重量%のワックス固形分を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記水性ワックスエマルジョンが、約150nm~約300nmの範囲内のワックス粒径を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
堆積させた後、前記水性ワックスエマルジョンを乾燥させて、前記ワックス層を形成することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記ワックス層が、Fischer-Tropschワックス、パラフィンワックス、ポリメチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブチレンワックス、エステルワックス、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのワックスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上のワックスが、約70℃~約100℃の範囲内の融点を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記印刷材料が、前記1つ以上のワックスの融点以上で堆積される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記印刷床が、金属、ガラス、木材、プラスチック、ゴム、及びそれらの任意の複合材からなる群から選択される材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記印刷材料が、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンポリマー(ABS)又はポリ乳酸(PLA)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記印刷床が、ガラス表面を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記印刷材料が、フィラメントベースである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
形成が完了した後、前記印刷床から前記印刷部品を剥離することを更に含み、
前記印刷部品を剥離することが、前記印刷床を損傷することなく行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ワックス層を有する印刷床を提供することであって、前記ワックス層が、1つ以上のワックスを含む、ことと、
印刷材料の一層ずつの堆積によって前記印刷床上に印刷部品を形成することと、
形成が完了した後、前記印刷床から前記印刷部品を剥離することと、を含み、
前記印刷部品を剥離することが、前記印刷床を損傷することなく行われる、方法。
【請求項15】
前記ワックス層が、Fischer-Tropschワックス、パラフィンワックス、ポリメチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブチレンワックス、エステルワックス、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのワックスを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つ以上のワックスが、約70℃~約100℃の範囲内の融点を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記印刷材料が、前記1つ以上のワックスの融点以上で堆積される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記印刷床が、金属、ガラス、木材、プラスチック、ゴム、及びそれらの任意の複合材からなる群から選択される材料を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記印刷材料が、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンポリマー(ABS)又はポリ乳酸(PLA)を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記ワックス層が、ワックスエマルジョンから堆積される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、積層造形に関し、より具体的には、積層造形中の印刷部品の接着及び剥離を改善するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元(three-dimensional、3D)印刷としても知られる積層造形は、急速に成長している技法の分野である。積層造形は、伝統的にラピッドプロトタイピング活動に使用されてきたが、この技術は、任意の数の複雑な形状の商業部品及び工業部品を製造するためにますます採用されている。積層造形プロセスは、典型的には、例えば、1)連続フィラメントから得られる融解印刷材料流の堆積、又は2)レーザ若しくは他の有向の熱源を使用した、印刷材料の粉末微粒子の焼結によって、一層ずつ部品を構築することによって行われる。一層ずつの堆積は、通常、コンピュータの制御下で行われて、製造される部品のデジタル三次元「設計図」に基づいて、正確な位置に印刷材料を堆積させ、堆積と併せて行われる印刷材料の圧密化によって印刷部品を形成する。印刷部品の本体を形成する印刷材料は、本明細書において「ビルド材料」と呼ぶことがある。
【0003】
部品形成に融解印刷材料流を用いる積層造形プロセスは、「溶融堆積モデリング(FDM)」プロセス又は「溶融フィラメント製造」プロセスと呼ばれることがある。融解印刷材料は、熱可塑性ポリマーフィラメントを加熱することによって形成され、次いでそれを層ごとに堆積させて合体させることで、特定の形状を有する圧密化部品が形成される。粒子ベースの積層造形技術は、融解印刷材料流を形成しないが、例えば、粉末床溶融(PBF)、選択的レーザ焼結(SLS)、電子ビーム溶解(EBM)、バインダジェット及びマルチジェット溶融(MJF)を含むことができ、これらの技術では、粉末床内の選択された微粒子は圧密化されて、印刷部品を形成する。
【0004】
積層造形プロセスは、「印刷床」とも呼ばれる印刷プラットフォーム上への印刷材料の堆積を伴う。溶融フィラメント製造の場合、印刷材料は、柔軟又は融解状態に加熱され、ノズルを通して押し出され、印刷床上に堆積されて、印刷部品の一層ずつの形成がもたらされ得る。印刷の成功及び品質は、堆積中の印刷部品と印刷床との間の十分な接着と、逆に、堆積が完了した後の印刷部品の容易な剥離とに依存し得る。残念ながら、堆積中の良好な接着と印刷後の容易な剥離は、時には相互排他的であり、特に印刷材料(熱可塑性ポリマー)と印刷床を形成する材料との特定の組み合わせの場合、互いに組み合わせて実現されない。ガラス印刷床は、例えば、過度に強い表面接着性のため、印刷部品を除去するときに欠ける場合がある。対照的に、印刷部品の最初の数層の過度に弱い接着は、印刷部品を印刷床から移動させる、撓ませる、又は離層させることによって印刷不良又は不十分な品質の印刷部品をもたらす場合がある。溶融フィラメント製造用の印刷床は、消耗材料であるとは考えられず、その損傷は、積層造形システムの維持コストを大幅に増加させる可能性がある。同様に、不良又は不十分な品質の印刷は、消耗印刷材料のコストも増加させる可能性がある。
【0005】
接着テープ(例えば、カーペンターテープ)などの材料を印刷床に適用して、印刷部品の堆積及び剥離を容易にし得る。しかしながら、接着テープ自体は、場合によっては印刷床に適用することが困難なことがあり、除去された後、印刷床上に残留物質を残して、印刷床の損傷が発生する更なる機会を提供する場合がある。更に、接着テープは、広範な印刷材料及び条件、並びに印刷床の材料に普遍的に適用され得ない。ヘアスプレー又は接着剤スティックによる処理などの、印刷床をマスキングするための他のアプローチは、印刷床に残留物質を残すことによって同様の欠点を示し得る。現在、印刷床の接着及び剥離を促進するための普遍的に適用可能なアプローチは存在しない。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、積層造形装置の印刷床上に1つ以上のワックスを含むワックス層を堆積させることと、印刷材料の一層ずつの堆積によって印刷床上に印刷部品を形成することと、を含む方法を提供する。
【0007】
他の実施形態では、本開示は、ワックス層を有する印刷床を提供することであって、ワックス層が1つ以上のワックスを含む、ことと、印刷材料の一層ずつの堆積によって印刷床上に印刷部品を形成することと、形成が完了した後、印刷床から印刷部品を剥離することと、を含む方法を提供する。印刷部品の剥離は、印刷床を損傷することなく行われる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図は、本開示の特定の態様を例示するために含まれ、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示される主題は、形態及び機能において、当業者が想到し、かつ本開示の利益を有するような、相当な改変、変更、組み合わせ、及び同等物が可能である。
図1】ビルド材料及び除去可能な支持体材料を使用して印刷部品を生産するための例示的な溶融フィラメント製造プロセスの図である。
図2】除去可能な支持体が、印刷部品と印刷床との間に画定された張り出し部の間に介在し、除去可能な支持体が、印刷部品の2つの部分の間に介在する、例示的な印刷部品の図である。
図3】ガラス印刷床上に堆積したワックス粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、概して、積層造形に関し、より具体的には、積層造形中の印刷部品の接着及び剥離を改善するための方法に関する。
【0010】
積層造形は、様々な粉末粒子状及びフィラメント系の印刷材料を利用し得る、成長している技法の分野である。上述のように、印刷床への印刷材料の十分な接着と、その後の印刷床からの印刷部品の剥離は、場合によっては、実現することが困難であり得る。不十分な接着は、不十分な印刷品質をもたらし、印刷後の過度の接着は、ガラス印刷床材料の場合の欠けなどの、印刷部品の剥離後の印刷床の損傷をもたらし得る。印刷床に適用される接着テープは、前述の問題をある程度軽減することができるが、これらのタイプの印刷アプローチに関連する問題は依然として存在する。現在、広範な印刷条件下において印刷部品の適切な接着及び剥離を提供する簡易な解決策は存在していない。
【0011】
本開示は、印刷部品を印刷床上に形成する前に、ワックス層を印刷床上に堆積させることによって、積層造形プロセスが促進され得ることを実証する。ワックス層は、印刷材料の一層ずつの堆積中の印刷部品の接着を促進し、印刷が完了した後の印刷部品の剥離も提供し得る。広範な低コストのワックスが、上記に従った印刷部品の接着及び剥離を促進するのに好適であり得る。理論又は機構に縛られるものではないが、ワックス層は、印刷床自体よりも印刷中の熱膨張及び収縮に更に適した中間層を提供し、それによって印刷床及び印刷部品内の機械的応力を緩和すると考えられる。更に、ワックス層は、印刷床に弱く接着しているだけであるため、印刷部品の剥離後に印刷部品及び印刷床から容易に除去することができる。すなわち、ワックス層は、印刷後に印刷床上にほとんど又は全く残留物を残さず、残留するワックス残留物は、(例えば、溶媒処理及び/又は拭き取りなどの機械的除去を介して)印刷床から容易に除去され得る。いかなる理論又は機構に縛られるものではないが、ワックス層は、印刷材料の堆積中に印刷部品の最初の数層内に組み込み、それによって印刷部品の特性を大きく変化させることなく、印刷部品と印刷床との間の適合性を改善し得ると考えられる。印刷部品の最初の数層内へのワックス層の組み込みは、ワックス層中のワックスの融点又は軟化温度で、又はそれをわずかに超える温度で印刷材料を堆積させることによって達成され得る。したがって、本開示は、印刷床の損傷を防止し、消耗印刷材料の廃棄を制限しつつ、印刷部品を剥離するための費用効果の高く安全な方法を提供する。
【0012】
有利なことに、印刷床の接着を向上させ、広範な印刷床材料からの印刷部品の剥離を促進するために、1つ以上のワックスを含む水性ワックスエマルジョンを使用してワックス層を形成することができる。水性ワックスエマルジョンを使用して堆積される場合、ワックス粒子は、印刷床の表面上に均一な厚さのワックス層を形成し得る。いくつかの水性ワックスエマルジョンは、民間の供給業者から入手可能であるか、又は所望される場合、特定のワックスをワックスエマルジョンに配合することができる。発泡ワックスはまた、場合によっては、水で希釈することによってワックスエマルジョンに変換され得る。
【0013】
本明細書の説明及び特許請求の範囲で使用される用語は、以下の説明によって修正される場合を除き、明白かつ通常の意味を有する。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「熱可塑性ポリマー」は、加熱及び冷却により、可逆的に軟化及び硬化するポリマー材料を指す。熱可塑性ポリマーは、熱可塑性エラストマーを包含する。
【0015】
熱可塑性ポリマーの融点は、特に指定がない限り、10℃/分の昇温速度及び冷却速度で、ASTM E794-06(2018)によって決定される。
【0016】
熱可塑性ポリマーの軟化温度又は軟化点は、特に指定がない限り、ASTM D6090-17によって決定される。軟化温度は、1℃/分の加熱速度で0.50グラムの試料を使用して、Mettler-Toledoから入手可能なカップアンドボール装置を使用することによって測定することができる。
【0017】
本開示の様々な態様を更に詳細に論じる前に、本開示の特徴がより良好に理解され得るように、積層造形プロセス、特に溶融フィラメント製造プロセスについての簡単な考察を最初に提供する。図1は、ビルド材料及び任意選択の除去可能な支持体材料を使用して部品を生産するための例示的な溶融フィラメント製造プロセスの概略図である。図1に示すように、印刷ヘッド100は、第1の押出機102aと、第2の押出機102bとを含み、これらはそれぞれ、繊維状(フィラメントベースの)印刷材料を受容するように構成されている。具体的には、第1の押出機102aは、第1の繰出リール106aから第1のフィラメント104aを受容し、第1の印刷材料の融解流108aを提供するように構成されており、使用される場合、第2の押出機102bは、第2の繰出リール106bから第2のフィラメント104bを受容し、第2の印刷材料の融解流108bを提供するように構成されている。
【0018】
いずれの融解流も、最初に印刷床(図1に示さず)上に堆積され、支持された部品120の一層ずつの成長を促進する。第1の押出機102aによって供給される第1の印刷材料(ビルド材料)は、印刷部品110を製造するために使用されるポリマーであってもよく、第2の押出機102bによって供給される第2の印刷材料(除去可能な支持体材料)は、張り出し部114の下で除去可能な支持体112を製造するために使用される溶解性又は分解性ポリマー(例えば、犠牲材料)であってもよい。張り出し部114は、印刷床又はビルド材料から形成された下部印刷層と直接接触していない。図1に示す部品配置では、除去可能な支持体112は、張り出し部114と印刷床との間に介在するが、代替的に構成された部品では、除去可能な支持体114は、印刷部品110の2つ以上の部分の間に介在してよいことを理解されたい。図2は、例えば、例示的な印刷部品200を示しており、除去可能な支持体202が、印刷部品200と印刷床204との間に画定された張り出し部の間に介在し、除去可能な支持体206は、印刷部品200の2つの部分の間に介在する。本明細書の開示において、ワックス層(図2には示されていない)は、印刷部品200と印刷床204との間に挿入され得る。
【0019】
再び図1を参照すると、印刷部品110及び除去可能な支持体112の印刷がひとたび完了すると、支持された部品120は、除去可能な支持体112の排除をもたらす支持体除去条件125(例えば、溶解又は崩壊条件など)に供され得、張り出し部114を有する印刷部品110をその上に支持されないままにしておく。支持体除去条件125は、例えば、除去可能な支持体112が溶解又は分解可能であり、かつ印刷部品110がそうではない溶媒又は他の液体媒体に、支持された部品120を接触させることを含み得る。除去可能な支持体112は、選択的溶解又は分解を支持するために、印刷部品110とは異なる熱可塑性ポリマーを含み得る。
【0020】
印刷部品が張り出し部又は同様の特徴部なしで形成されている場合、印刷部品の製造中に除去可能な支持材料を利用する必要はない。同様に、1つ以上のビルド材料が本質的に構造的であり、1つ以上のビルド材料が本質的に機能的である場合など、2つ以上の異なるビルド材料も同様に利用され得る。
【0021】
したがって、本開示は、ワックス層をその上に有する印刷床を提供することであって、ワックス層が1つ以上のワックスを含む、ことと、印刷材料の一層ずつの堆積によって印刷床上に印刷部品を形成することと、を含む、積層造形方法を提供する。印刷部品の印刷及び剥離中にワックス層を利用することにより、印刷床への損傷は実質的に回避され得る。ワックス層は、以下で更に詳細に説明するように、水性ワックスエマルジョンから印刷床上に堆積され得る。あるいは、ワックス層は、例えば、ワックススティックから印刷床上に堆積され得る。したがって、本開示のいくつかの方法は、水性ワックスエマルジョンから堆積されたワックス層などの、1つ以上のワックスを含むワックス層を積層造形装置の印刷床上に堆積させることと、印刷材料の一層ずつの堆積によって印刷床上に印刷部品を形成することと、を含み得る。
【0022】
印刷床上への水性ワックスエマルジョンの堆積は、スピンコーティング、ローラーコーティング、塗装、浸漬コーティング、噴霧などを含む様々な技術のいずれかによって達成され得る。ワックスエマルジョンが適用される場合、印刷床は室温(約25℃)未満であってもよく、又はワックスエマルジョンの適用中、及び/又はワックスエマルジョンから水を除去してワックス層を得る間、印刷床を室温より高く加熱してもよい。印刷床は、ワックス層を堆積させるときにワックスの融点以下に保持され得る。
【0023】
印刷材料は、フィラメントベースであり得る。非限定的な例として、印刷部品を形成するための積層造形方法は、溶融フィラメント製造又は同様のプロセスによって行われ得る。そのようなプロセスは、ポリマーフィラメントを提供することと、ポリマーフィラメントをその融点又は軟化温度より高い温度で加熱して軟化又は溶融ポリマー材料を形成することと、軟化又は融解ポリマー材料層を一層ずつ堆積させて印刷部品を形成することと、を含み得る。印刷材料は、ワックス層中の1つ以上のワックスの融点又は軟化温度を超えるか又は下回る押出温度で堆積され得る。1つ以上のワックスの融点若しくは軟化温度以上で堆積される場合、印刷材料は、ワックス層中の1つ以上のワックスの融点若しくは軟化温度よりも、最大約5℃、又は最大約10℃、又は最大約20℃、又は最大約30℃、又は最大約40℃、又は最大約50℃、又は最大約60℃、又は最大約70℃、又は最大約80℃、又は最大約90℃、又は最大約100℃高い温度で押し出され得る。場合によっては、押出温度と1つ以上のワックスの融点又は軟化温度との間の更に大きな差が好適であり得る。
【0024】
上記のように、印刷床に適用されるワックス層は、印刷床からの印刷部品の剥離を容易にし得る。したがって、本開示の方法は、印刷部品の形成が完了した後、印刷床から印刷部品を剥離することを含み得る。印刷部品を剥離することは、例えば、欠けや撓みなどの、印刷床の損傷を生じることなく行われ得る。印刷床からの印刷部品の剥離を促進するための技術は、特に限定されないと考えられる。必要に応じて、印刷部品の剥離を促進するために、超音波処理が採用され得る。印刷部品が印刷床から除去されると、印刷床上の残留ワックスは、存在する場合、ペーパータオル又は布切れで印刷床を拭くことによって除去され得る。溶媒もまた、残留ワックスの除去を促進するために利用され得る。
【0025】
広範なワックスが、本明細書の開示においてワックス層中に存在し得る。ワックスは、石油又は他の油性材料で生じる疎水性有機物質であり、植物及び動物によって生合成されるか、又は合成で得られる。ワックスは、通常、室温で可鍛性の固形物であり、1つ以上のより高級なアルカン(パラフィン)、特に通常の又は分岐C16~C100アルカン若しくはC20~C50アルカン、脂質、及び/又は油を含む。本明細書の開示で使用するのに好適なワックスとしては、限定されるものではないが、パラフィンワックス、酸化パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、酸化ポリオレフィンワックス、天然ワックス、酸化天然ワックス、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。以下により具体的な例を提供する。本明細書で使用される場合、アルコール、カルボン酸、エポキシドなどの酸素化官能基が他の非置換(パラフィン系)ポリマー骨格に導入される場合、ワックスは「酸化されている」と見なされる。特定のワックスに導入される酸素化官能基の量は、例えば、ワックスの乳化形態の形成を促進するために必要な程度までワックスの疎水性を低下させるのに十分であり得る。ワックス粒子はまた、以下に記載されるように、好適な界面活性剤の存在下で乳化され得る。熱可塑性ポリマーは、約60℃~約160℃、又は約65℃~約155℃、又は約70℃~約100℃、又は約75℃~約95℃、又は約80℃~約90℃の範囲内の融点(T)を有し得る。
【0026】
本明細書の開示における使用に好適なワックスのより具体的な例としては、限定するものではないが、スラックワックス、蜜蝋、水素化脂質、精製ワックス、半精製ワックス、スケールワックス、微結晶ワックス、ダイズ及びパームワックス、カルナバワックス、及び米ぬかワックスなどの野菜系ワックス、直鎖アルファオレフィンから得られるオリゴマーワックス、Fischer-Tropschワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックス)などの合成ワックス、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。パラフィンワックス及びFischer-Tropschワックスは、本明細書の開示において、ポリメチレンワックスと総称され得る。ポリメチレンワックスは、より低い分子量及びより低い分岐の程度によって、より高級なポリアルキレンワックス(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリブチレンワックス)とは区別され得る。
【0027】
好適であり得るワックスの例としては、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ウルシワックス、及びホホバオイルなどの植物系ワックス、蜜蝋などの動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレジン、パラフィンワックス、粗油の蒸留に由来するワックスなどの微結晶ワックス、シリコーンワックス、メルカプトワックス、ポリエステルワックス、ウレタンワックス、などのミネラル系ワックス及び石油系ワックス、変性ポリオレフィンワックス(カルボン酸末端ポリエチレン又はポリプロピレンワックスなど)、Fischer-Tropschワックス、ステアリルステアレート及びベヘニルベヘネートなどの高級脂肪酸及び高級アルコールから得られるエステルワックス、ステアリン酸ブチル、オレイン酸プロピル、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、及びペンタエリスリトールテトラベヘネートなどの高級脂肪酸及び一価又は多価低級アルコールから得られるエステルワックス、ジエチレングリコールモノステアレート、ジプロピレングリコールジステアレート、ジグリセリルジステアレート、及びトリグリセリルテトラステアレートなどの高級脂肪酸及び多価アルコールマルチマーから得られるエステルワックス、ソルビタンモノステアレートなどのソルビタン高級脂肪酸エステルワックス、並びにコレステリルステアレートなどのコレステロール高級脂肪酸エステルワックスが挙げられる。
【0028】
いくつかの実施形態では、ワックス層を堆積させるために使用されるワックス層及びワックスエマルジョンは、例えば、Fischer-Tropschワックス、パラフィンワックス、ポリメチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブチレンワックス、エステルワックス(例えば、カルナバワックス)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせなどの少なくとも1つのワックスを含み得る。
【0029】
好適なポリメチレンワックスは、約400ダルトン~約1300ダルトン、又は約450ダルトン~約1200ダルトン、又は約500ダルトン~約1100ダルトンの、ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定される分子量(M)を有し得る。Cytech Q436Bは、本明細書の開示における使用に好適であり得る例示的なポリメチレンワックスである。
【0030】
官能化ワックスもまた、本明細書の開示における使用に好適であり得る。使用され得る官能化ワックスの例としては、例えば(Micro Powder Inc.から入手可能な)Aqua SUPERSLIP6550(商標)、SUPERSLIP6530(商標)などのアミン又はアミド官能化ワックス、(Micro Powder Inc.から入手可能な)POLYFLUO190(商標)、POLYFLUO200(商標)、POLYFLUO523XF(商標)、AQUA POLYFLUO41(商標)、AQUA POLYSILK19(商標)、POLYSILK14(商標)などのフッ素化ワックス、(Micro Powder Inc.からも入手可能な)MICROSPERSION19(商標)などの混合フッ素化アミドワックス、(全てSC Johnson Waxから入手可能な)JONCRYL74(商標)、89(商標)、130(商標)、537(商標)及び538(商標)などのイミドワックス、エステルワックス、四級アミンワックス、カルボン酸ワックス、及びアクリルポリマーエマルジョン、並びに(Allied Chemical及びPetrolite Corporation及びSC Johnson Waxから入手可能な)塩素化ポリプロピレン及びポリエチレンワックスが挙げられる。
【0031】
広範な水性ワックスエマルジョンを利用して、本明細書の開示におけるワックス層を形成し得る。本明細書の開示における使用に好適であり得る例示的な水性ワックスエマルジョンには、Allied Chemical,Petrolite,Baker Hughesから入手可能な水性ワックスエマルジョン(例えば、製品D-1508及びD1479)、IGIから入手可能な水性ワックスエマルジョン(例えば、製品D-1509)、及びCytech Inc.から入手可能な水性ワックスエマルジョン(例えば、製品N-539及びQ-436)が含まれる。本明細書の開示において使用され得る他の好適なワックスエマルジョンには、限定されるものではないが、ME62330、ME93335、ME61335、ME52137、及びME24414(Michelman,Inc.)などのMICHEM(登録商標)エマルジョンが含まれる。
【0032】
水性ワックスエマルジョン中のワックス粒子は、約1マイクロメートル以下、又は約800nm以下、又は約600nm以下、又は約400nm以下、又は約300nm以下、又は約200nm以下、又は約100nm以下の粒径を有し得る。特に好適であり得る例示的なワックス粒子は、約10nm~約100nm、又は約25nm~約50nm、又は約50nm~約90nm、又は約20nm~約75nmの範囲内の粒径を有し得る。水性ワックスエマルジョン内の好適なワックス粒子の他の例は、約100nm~約500nm、又は約125nm~約400nm、又は約150nm~約300nm、又は約150nm~約250nm、又は約170nm~約270nmの粒径を有し得る。
【0033】
好適なワックスエマルジョンは、ワックスエマルジョン中の総固形分充填量に基づいて、最大約50重量%のワックス、例えば、それぞれワックスエマルジョン中の総固形分充填量に基づいて、約10重量%~約50重量%、又は約20重量%~約45重量%、又は約25重量%~約40重量%、又は約30重量%~約35重量%、又は約20重量%~約30重量%のワックスを含み得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、好適なワックスエマルジョンは、ワックスフォームを水と組み合わせ、ワックスフォームを分散させてワックスエマルジョンを形成することによって得ることができる。ワックスフォームは、非限定的な実施例における別のプロセスの副産物として得ることができる。
【0035】
ワックスエマルジョンは、1つ以上の界面活性剤を含み得る。ワックスエマルジョン中に存在し得る好適な界面活性剤は、1つ以上のカチオン性界面活性剤、1つ以上のアニオン性界面活性剤、1つ以上の中性界面活性剤、1つ以上の双性イオン界面活性剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤は、水性ワックスエマルジョン中に存在し得る。好適なアニオン性界面活性剤は、例えば、親油性尾部に結合された、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、サルフェート、又はホスフェートヘッド基を有するものを含み得る。例としては、脂肪アルコールエーテルサルフェート、オレフィンスルホネート、及び脂肪酸塩が挙げられる。本明細書の開示における使用に好適であり得る例示的なアニオン性界面活性剤としては、限定されるものではないが、アルキルエトキシレートサルフェート、アルキルエトキシレートスルホネート、アルキルフェノールエトキシレートサルフェート、アルキルフェノールエトキシレートスルホネート、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート、アルキルアリールスルホネート、及びスルホサクシネートが挙げられる。いくつかの実施形態では、水性ワックスエマルジョンは、TAYCAPOWER BN2060(Tayca Corporation)などのアニオン性界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホネートを含み得る。総固形分充填量に基づいて、最大約5%の界面活性剤が水性ワックスエマルジョン中に存在し得る。より具体的な例では、水性ワックスエマルジョンは、水性ワックスエマルジョン中の総固形分充填量に基づいて、約0.1重量%~約3重量%の界面活性剤界面活性剤、又は約0.5重量%~約1.5重量%の界面活性剤を含み得る。
【0037】
水性ワックスエマルジョンが堆積されて、印刷床上にワックス層を形成する場合、水性ワックスエマルジョンは、周囲温度又は周囲温度を超える温度で乾燥されて水を除去し得る。水性ワックスエマルジョンを乾燥させてワックス層を形成する温度は、ワックスの融点より上又は下であり得る。乾燥は、減圧、ガス流、又はそれらの任意の組み合わせによって更に促進され得る。
【0038】
印刷床を含む材料は、特に限定されないと考えられる。非限定的な実施例では、印刷床は、金属、ガラス、木材、プラスチック、ゴム、又はそれらの任意の複合材若しくは混合物を含み得る。特定の実施例では、印刷床は、ガラス表面を含み得る。
【0039】
好適な印刷材料は、熱可塑性ポリマーを含み得る。本開示で使用され得る好適な熱可塑性ポリマーの例示的例としては、溶融フィラメント製造で一般的に用いられるもの、例えば、ポリアミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリ(スチレン-イソプレン-スチレン)(SIS)、ポリ(スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン)(SEBS)、ポリ(スチレン-ブチレン-スチレン)(SBS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)、ポリメチルメタクリレート、ポリ(ビニルピロリジン-酢酸ビニル)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン))、ポリビニルピロリドン-co-ポリ酢酸ビニル(PVP-co-PVA)、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。特定の実施例では、印刷材料は、ポリ(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)(ABS)又はポリ乳酸(PLA)を含み得る。これらのポリマーは、本明細書の開示の実施を通じて、ガラス印刷床と相溶化され得る。
【0040】
本開示の方法を用いて形成され得る印刷部品の例としては、容器(例えば、食品、飲料、化粧品、パーソナルケア組成物、医薬品など)、靴底、玩具、家具部品及び装飾用の家庭用物品、プラスチックギア、ねじ、ナット、ボルト、ケーブルタイ、自動車部品、医療用品目、プロテーゼ、整形外科用インプラント、航空宇宙/航空機の関連部品、教育における学習を補助するアーチファクトの生成、手術を補助するための3D生体モデル、ロボット工学、バイオメディカルデバイス(装具)、家庭用電化製品、歯科、電子機器、スポーツ用品などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書に開示される実施形態は、以下を含む。
A.印刷床上のワックス層の堆積を含む積層造形方法。本方法は、積層造形装置の印刷床上に1つ以上のワックスを含むワックス層を堆積させることと、印刷材料の一層ずつの堆積によって印刷床上に印刷部品を形成することと、を含む。
B.印刷部品の剥離を促進するためのワックス層を含む積層造形方法。本方法は、ワックス層を有する印刷床を提供することであって、ワックス層が、1つ以上のワックスを含む、ことと、印刷材料の一層ずつの堆積によって印刷床上に印刷部品を形成することと、形成が完了した後、印刷床から印刷部品を剥離することと、を含み、印刷部品を剥離することが、印刷床を損傷することなく行われる。
【0042】
実施形態A及び実施形態Bのそれぞれは、以下の追加要素のうちの1つ以上を任意の組み合わせで有してよい。
要素1:ワックス層が水性ワックスエマルジョンから堆積される。
要素2:水性ワックスエマルジョンが、最大約50重量%のワックス固形分を含む。
要素3:水性ワックスエマルジョンが、約150nm~約300nmの範囲内のワックス粒径を有する。
要素4:本方法は、堆積させた後、水性ワックスエマルジョンを乾燥させてワックス層を形成することを更に含む。
要素5:ワックス層は、Fischer-Tropschワックス、パラフィンワックス、ポリメチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブチレンワックス、エステルワックス、それらの任意のコポリマー、及びそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのワックスを含む。
要素6:1つ以上のワックスが、約70℃~約100℃の範囲内の融点を有する。
要素7:印刷材料が、1つ以上のワックスの融点以上で堆積される。
要素8:印刷床が、金属、ガラス、木材、プラスチック、ゴム、及びそれらの任意の複合材からなる群から選択される材料を含む。
要素9:印刷床が、ガラス表面を含む。
要素10:印刷材料が、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンポリマー(ABS)又はポリ乳酸(PLA)を含む。
要素11:印刷材料が、フィラメントベースである。
要素12:本方法は、形成が完了した後、印刷床から印刷部品を剥離することを更に含み、印刷部品を剥離することが、印刷床を損傷することなく行われる。
【0043】
非限定的な実施例として、Aに適用可能な例示的な組み合わせは、限定するものではないが、1及び2、1及び3、1~3、1、2及び/又は3、及び4、1、2及び/又は3、及び5、1、2及び/又は3、及び6、1、2及び/又は3、及び7、1、2及び/又は3、及び8、1、2及び/又は3、及び9、1、2及び/又は3、及び10、1、2及び/又は3、及び11、1、2及び/又は3、及び12、4及び5、4及び6、4及び7、4及び8、4及び9、4及び10、4及び11、4及び12、5及び6、5及び7、5及び8、5及び9、5及び10、5及び11、5及び12、6及び7、6及び8、6及び9、6及び10、6及び11、6及び12、7及び8;7及び9、7及び10、7及び11、7及び12、8及び9、8及び10、8及び11、8及び12、9及び10、9及び11、9及び12、10及び11、10及び12、並びに11及び12を含む。
【0044】
本開示のより良好な理解を促進するために、好ましい又は代表的な実施形態の以下の実施例が与えられる。以下の実施例は、決して、本発明の範囲を制限するか、又は定義するように読解されるべきではない。
【実施例0045】
実施例1.総固形分に基づいて、約30重量%の固形分を有する水性ポリメチレンワックスエマルジョンを室温で調製し、溶融フィラメント製造3-D印刷システム(FlashForge Adventurer3)中でガラス印刷床に適用した。ワックスは、約89℃~約93℃の融点(Tm)を有した。ABSポリマーフィラメントを使用して、印刷床上に第1の層を印刷する前に、水性エマルジョンを空気乾燥させた。印刷は、60~100℃の印刷床温度及び200~215℃の押出機温度において、100%の充填で行った。
【0046】
図3は、ガラス印刷床上に堆積したワックス粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM)画像を示す。印刷について均一な接合表面が得られた。印刷後、印刷部品の容易な取り外しが実現された。印刷床又は印刷部品への損傷は観察されなかった。
【0047】
本明細書に記載の全ての文書は、そのような実施が許可される全ての法域の目的のために、参照により本明細書に組み込まれ、このテキストと矛盾しない範囲で、任意の優先文書及び/又は試験手順を含む。前述の一般的な説明及び具体的な実施形態から明らかなように、本開示の形態が例示及び説明されてきたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な改変を行うことができる。したがって、本開示はそれにより限定されることは意図されていない。例えば、本明細書に記載の組成物は、本明細書に明示的に列挙又は開示されていない任意の成分、又は組成物を含まなくてもよい。いずれの方法も、本明細書に列挙又は開示されていない任意の工程を欠き得る。同様に、「備える、含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」という用語と同義であると考えられる。方法、組成物、要素、又は要素の群が「備える、含む(comprising)」という移行句に先行されている場合はいつでも、本発明者らがまた、組成物、要素、又は複数の要素の列挙に先行する「から本質的になる」、「からなる」、「からなる群から選択される」、又は「である」という移行句を伴う同じ組成物又は要素の群も企図すること、及びその逆もまた同様であることは理解される。
【0048】
別途指示のない限り、本明細書及び関連する特許請求の範囲で使用される成分、分子量などの特性、反応条件などの量を表す全ての数は、全ての事例において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明の実施形態によって得ることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではなく、各数値パラメータは、報告された有効数字の数に照らして、通常の四捨五入法を適用することによって解釈されるべきである。
【0049】
下限及び上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。とりわけ、本明細書に開示される(「約a~約b(from about a to about b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a to b)」、又は等しく「約a~b(from approximately a-b)」という形態の)値の全ての範囲は、より広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を記載するものと理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権所有者によって明示的かつ明確に定義されない限り、平易な通常の意味を有する。加えて、特許請求の範囲で使用するとき、「a」又は「an」という不定冠詞は、本明細書において、それが導入する要素のうちの1つ又は1つ超を意味するように定義される。
【0050】
1つ以上の例示的な実施形態が本明細書に提示される。明確にするために、物理的実装形態の全ての特徴が本出願に説明又は図示されているわけではない。本開示の物理的な実施形態の開発では、システム関連、ビジネス関連、政府関連、及び他の制約によるコンプライアンスなど、実装によって及び随時に変化する開発者の目標を達成するために、数多くの実装固有の決定がなされなければならないことは理解される。開発者の努力に多くの時間が費やされる可能性があるが、それでも、そのような努力は、本開示の利益を有する当業者にとって日常的な仕事であろう。
【0051】
したがって、本開示は、言及された目標及び利点、並びにそれに固有の目標及び利点を達成するように十分に適合されている。上述の特定の実施形態は例示的なものに過ぎず、本明細書に教示の利益を有する当業者にとって明らかである、異なるが同等の様式で本開示が改変及び実施され得る。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細に限定することを意図するものではない。したがって、上記に開示された特定の例示的実施形態が、変更され、組み合わされ、又は改変され得、全てのそのような変形が、本開示の範囲及び趣旨内で考慮されることは明らかである。好適に本明細書に例示的に開示される実施形態は、本明細書に具体的に開示されない任意の要素、及び/又は本明細書に開示される任意の任意選択的な要素の不在下で実施され得る。
図1
図2
図3