(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004102
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】床壁用点検口、及び床壁用点検口の設置構造
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
E04F19/08 101B
E04F19/08 101C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105603
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000010065
【氏名又は名称】フクビ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】弁理士法人大手門国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】明星 浩二
(57)【要約】
【課題】 床壁の施工時において現場でのサイズ調整を行うことができ、床板や壁板の切削加工等を行わずにスムーズに施工作業が行える床壁用点検口、及びその設置構造を提供すること。
【解決手段】 本発明では、上記課題を解決するために所定間隔で並行に配置される一対の直線型枠材1・1と、この並行に配置された一対の直線型枠材1・1間に掛け渡されてこれらを連結し、かつ、直線型枠材1の長さ方向に所定間隔で並べて配置される複数の桟材2・2…と、を含んで床壁用点検口Cを構成し、前記直線型枠材1には、根太Nまたは柱に対しこれらの長さ方向に沿って取着される枠本体部11と、この枠本体部11の内側下方に形成された、枠本体部11の底面よりも下がった位置に桟材2の載置面を有する段差部12とを備え、更に前記段差部12の載置面に桟材2を載せて取着したときに枠本体部11の底面と桟材2の上面が面一の状態となるように構成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔で並行に配置される一対の直線型枠材と、この並行に配置された一対の直線型枠材間に掛け渡されてこれらを連結し、かつ、直線型枠材の長さ方向に所定間隔で並べて配置される複数の桟材と、を含んで成り、
前記直線型枠材は、根太または柱に対しこれらの長さ方向に沿って取着される枠本体部と、この枠本体部の内側下方に形成された、枠本体部の底面よりも下がった位置に桟材の載置面を有する段差部とを備え、更に前記段差部の載置面に桟材を載せて取着したときに枠本体部の底面と桟材の上面が面一の状態となる、床壁用点検口。
【請求項2】
前記直線型枠材の段差部が、枠本体部の内側面に沿って下方に延びた板状の延出部と、この延出部の端部側から内側に突き出た板状のフック部とから形成されている、請求項1記載の床壁用点検口。
【請求項3】
前記直線型枠材の枠本体部の底面側にエラストマー製の防振シート材が取着されている、請求項1または2に記載の床壁用点検口。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一つに記載の床壁用点検口において、一対の直線型枠材の間隔に合わせて切断された複数の床板材または壁板材が、これらの長さ方向を桟材に揃え、かつ、各床板材または壁板材の両側縁部を別々の桟材に載置した状態で直線型枠材間に敷き詰め固定されている、床壁用点検口。
【請求項5】
請求項4記載の床壁用点検口において、桟材として角パイプ材が使用されると共に、桟材と床板材または壁板材がネジ留めにより固定されて、ネジ先端が角パイプ材の中空部内に収まった状態となっている、床壁用点検口。
【請求項6】
請求項4または5に記載の床壁用点検口の設置構造であって、一対の直線型枠材が根太または柱に固定されて床壁用点検口が設置されると共に、この床壁用点検口の根太または柱の長さ方向と直交する方向の外側において、直線型枠材間の床板材または壁板材の位置に合わせて同じ幅の床板または壁板が根太または柱上に敷設され、更に前記床壁用点検口の根太または柱の長さ方向の外側において、切欠部が形成されていない床板または壁板が床壁用点検口に隣接して根太または柱上に敷設されている、床壁用点検口の設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床壁を施工する際に設置される床壁用点検口、及びその設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の床壁面には、床面の下側や壁面の裏側を定期的に、または異常があった際に点検するための床壁用点検口が設けられることがあり、この種の点検口としては、四方枠の内側にパネル材が一体化されたものが周知となっている(例えば、特許文献1参照)。またウッドデッキにおいては、外観に違和感が生じないように四方枠内側に床板と同じパネル材を並べて固定したものが知られている(特許文献2参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来の床用点検口については、四方枠を構成する直線型の枠材同士がリベット等で連結されていたため、四方枠を分解して枠材の長さを調整することができず、根太の間隔や床板の幅に対応するように現場で四方枠のサイズ調整を行えなかった。そのため、施工時に根太の間隔を点検口のサイズに合わせるか、点検口メーカーが点検口のサイズバリエーションを増やす必要があった。
【0004】
また上記従来の床用点検口が床板の幅に合わなかった場合、四方枠の内側に固定する床板を四方枠のサイズに合わせる切削加工や、四方枠に隣接して敷設される床板の形状を四方枠の輪郭に合わせる切欠加工が必要となり、施工を迅速に行うことが難しかった。特に四方枠の場合、四方枠の外側の寸法を床板の幅に対応させても、枠材の幅の分だけ内側に固定する床板の幅を小さくする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60-168741号公報
【特許文献2】特開2018-150677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題を解決することを課題としており、要約すると床壁の施工時において現場でのサイズ調整を行うことができ、床板や壁板の切削加工等を行わずにスムーズに施工作業が行える床壁用点検口、及びその設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決する手段として、所定間隔で並行に配置される一対の直線型枠材1・1と、この並行に配置された一対の直線型枠材1・1間に掛け渡されてこれらを連結し、かつ、直線型枠材1の長さ方向に所定間隔で並べて配置される複数の桟材2・2…と、を含んで床壁用点検口Cを構成し、前記直線型枠材1には、根太Nまたは柱に対しこれらの長さ方向に沿って取着される枠本体部11と、この枠本体部11の内側下方に形成された、枠本体部11の底面よりも下がった位置に桟材2の載置面を有する段差部12とを備え、更に前記段差部12の載置面に桟材2を載せて取着したときに枠本体部11の底面と桟材2の上面が面一の状態となるように構成した。
【0008】
また本発明では、上記直線型枠材1の段差部12を、枠本体部11の内側面に沿って下方に延びた板状の延出部12aと、この延出部12aの端部側から内側に突き出た板状のフック部12bとから形成することにより、前記延出部12aに両端部を当接させた状態で同じ長さの各桟材2を固定すれば、一対の直線型枠材1を並行に連結できる。
【0009】
また本発明では、上記直線型枠材1の枠本体部11の底面側にエラストマー製の防振シート材11dを取着することで、直線型枠材1を根太Nにネジ留めした後のネジの緩みが生じ難くなる。
【0010】
また本発明では、上記一対の直線型枠材1・1の間隔に合わせて切断された複数の床板材3・3…または壁板材を、これらの長さ方向を桟材2・2…に揃え、かつ、各床板材3または壁板材の両側縁部を別々の桟材2・2に載置した状態で直線型枠材1・1間に敷き詰め固定することにより、直線型枠材1・1間に床板材3・3…または壁板材をしっかりと固定できる。
【0011】
また本発明では、上記桟材2・2…として角パイプ材を使用すると共に、桟材2と床板材3または壁板材をネジ留めにより固定して、ネジ先端を角パイプ材の中空部内に収めることで、現場で作業者が床壁用点検口Cを手で持った際にネジ先端に手が触れて怪我をする等の心配もない。
【0012】
また本発明では、上記床壁用点検口Cの設置構造において、一対の直線型枠材1・1を根太Nまたは柱に固定して床壁用点検口Cを設置すると共に、この床壁用点検口Cの根太Nまたは柱の長さ方向と直交する方向の外側において、直線型枠材1・1間の床板材3または壁板材の位置に合わせて同じ幅の床板Fまたは壁板が根太Nまたは柱上に敷設され、更に上記床壁用点検口Cの根太Nまたは柱の長さ方向の外側において、切欠部が形成されていない床板Fまたは壁板を床壁用点検口Cに隣接して根太Nまたは柱上に敷設することで施工作業を効率的に行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の床壁用点検口は、一対の直線型枠材(二方枠)とこれらを連結する桟材から構成されているため、直線型枠材の切断加工により根太(または柱)の長さ方向のサイズ調整が行えるだけでなく、桟材の切断加工により根太(または柱)の長さ方向と直交する方向のサイズ調整を現場で行うことができる。そのため、点検口のサイズに合わせた床板(または壁板)の切削加工も必要なく、床壁の施工を迅速に行うことができる。
【0014】
また本発明の床壁用点検口は、上記桟材の上面を二方枠の内側に固定する床板材の載置面とすることができ、更に上記桟材の上面と根太(または柱)に載置される枠本体部の下面を面一とすることにより、二方枠の内側に固定した床板材の上面と、点検口の外側に敷設される床板の上面を面一の状態とすることができる。
【0015】
更に本発明の床壁用点検口は、複数の桟材を使用しているため、隣り合う桟材同士の間隔を床板材の幅に合わせて調整することで二方枠の内側に床板材をしっかりと固定できる。しかも、本発明の床壁用点検口は二方枠であるため、直線型枠材の長さを床板(壁板)の幅に対応させれば、枠材の内側に固定する床板材に点検口の外側に敷設される床板と同じ幅の床板材を幅加工なしに使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明における第一実施形態の床壁用点検口を示す全体斜視図である。
【
図2】本発明における第一実施形態の床壁用点検口を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明における第一実施形態の床壁用点検口の断面構造を示すX-X断面図である。
【
図4】本発明における第一実施形態の床板材を取着した床壁用点検口を示す全体斜視図及びY-Y断面図である。
【
図5】本発明における第一実施形態の床壁用点検口の施工方法を示す工程説明図である。
【
図6】本発明における第一実施形態の床壁用点検口の設置構造及び使用方法を示す全体斜視図である。
【
図7】本発明における第一実施形態の床壁用点検口の設置構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
『第一実施形態』
本発明の第一実施形態を
図1~
図7に基づいて説明する。なお図中、符号Cで指示するものは、床壁用点検口であり、符号1で指示するものは、床壁用点検口Cを構成する直線型枠材である。また符号2で指示するものは、床壁用点検口Cを構成する桟材であり、符号3で指示するものは、床板材である。符号Nで指示するものは、根太であり、符号Fで指示するものは、根太Nに敷設される床板である。また括弧書き内において壁用点検口として使用する場合の説明も一緒に行う。
【0018】
「床壁用点検口の構成」
[1]基本構成について
本実施形態の床壁用点検口Cの基本構成について説明する。本実施形態では、
図1~
図3に示すように、一対の直線型枠材1・1を所定間隔で並行に配置し、この並行に配置した一対の直線型枠材1・1の間に桟材2を掛け渡してこれらを連結することで床壁用点検口Cを構成している。また桟材2に関しては、複数の桟材2・2…を直線型枠材1の長さ方向に所定間隔で並べて配置している。
【0019】
また上記直線型枠材1は、
図2に示すように根太(または柱)にこれらの長さ方向に沿って取着される棒状の枠本体部11と、この枠本体部11の内側下方に形成された、枠本体部11の底面よりも下がった位置に桟材2の載置面を有する段差部12とを備えている。そして、
図3に示すように段差部12の載置面に桟材2を載せて取着した際、枠本体部11の底面と桟材2の上面が面一の状態となるようにしている。
【0020】
更に上記床壁用点検口Cは、
図4(a)に示すように、設置時に一対の直線型枠材1・1の間隔に合わせて切断された複数の床板材3・3…(または壁板材)を、これらの長さ方向を桟材2・2…に揃えた状態で敷き詰め固定される。この際、使用される床板材3(または壁板材)は根太(または柱)に敷設される床板(または壁板)と同じものを使用するのが好ましく、これにより床面(または壁面)に床壁用点検口Cを違和感なく設置できる。
【0021】
上記の構成により、床(壁)の施工現場で上記直線型枠材1・1の長さを切断加工によって調整すれば根太(または柱)の長さ方向のサイズ調整を行うことができ、また上記桟材2・2…の長さを切断により調整すれば根太(または柱)の長さ方向と直交する方向のサイズ調整を適宜行うことができる。また上記直線型枠材1の段差部12により、一対の直線型枠材1・1の内側に固定した床板材3・3…(または壁板材)の上面と、床壁用点検口Cの外側に敷設される床板(または壁板)の上面を面一の状態にできる。
【0022】
[2]直線型枠材について
[2-1]材質
次に上記床壁用点検口Cの各構成要素について説明する。まず上記直線型枠材1に関しては、本実施形態では材料として軽量なアルミニウムを採用しているが、所定の剛性や曲げ強度を有する材料であれば、アルミニウム以外のステンレスやスチール、各種合金を使用することもできる。また金属材料だけでなくプラスチック材料やFRP、その他複合材料等を使用することもできる。
【0023】
[2-2]枠本体部
上記直線型枠材1の枠本体部11に関しては、本実施形態では上面部と底面部を有し、かつ、内側に中空部が形成された角筒形状を採用している。なおこの枠本体部11の断面形状は、根太(または柱)に当接させる底面部と、床面(または壁面)に露出する上面部が平行に形成されている形状であれば適宜変更できる。また枠本体部11は軽量化の点で中空形状とすることが好ましいが、中実形状を採用することもできる。
【0024】
また本実施形態では、
図3に示すように上記枠本体部11の上面にネジ留め用の溝部11aを長さ方向に沿って形成している。これによりネジ留め用の溝部11aに対してネジの下孔を形成することができるため、ネジの下孔の位置を揃え易くなる。このネジ留め用の溝部11aに関しては、本実施形態では枠本体部11上面の長さ方向に延びるV溝として形成している。また本実施形態では、この枠本体部11上面の幅方向に所定間隔で滑り止め用の溝部として丸溝を並べて形成している。
【0025】
また本実施形態では、上記枠本体部11の上面における長さ方向の中央に持上げ取手用の装着孔11bを設け、この装着孔11bに塞ぎネジ11cを取着している。具体的には、
図3に示すように枠本体部11の上面に窪み穴を形成して、この窪み穴にナット部材を嵌め込み固定して装着孔11bを設けている。なおこの装着孔11bは、ナット部材を使用せず枠本体部11上面に形成した窪み穴内側に直接雌ネジを切って形成することもできる。
【0026】
また本実施形態では、
図2及び
図3に示すように上記枠本体部11の底面側にエラストマー製の防振シート材11dを取着している。これにより直線型枠材1を根太(または柱)にネジ留めした場合でも振動や衝撃によるネジの緩みが生じ難くなる。なお防振シート材11dの材料には、合成ゴムやシリコーンゴム、軟質塩化ビニル樹脂などを使用できる。また防振シート材11dを取着した場合、防振シート材11dの非接着面が枠本体部11の底面となるが、根太または柱に取り付けて防振シート材11dが圧縮された状態で、枠本体部11の底面と桟材2の上面が面一となるようにするのが好ましい。
【0027】
また本実施形態では、
図1及び
図2に示すように上記枠本体部11の両端の開口部にキャップ部材11eを嵌め込み装着して開口部を塞いでいる。このキャップ部材11eは、板状のカバー部とその内側に形成された嵌合凸部を備えた形状となっているが、開口部を塞ぐ形状であれば特に限定されない。また本実施形態では、キャップ部材11eの材料にASA樹脂を使用しているが、その他の合成樹脂材料やエラストマー材料を使用できる。
【0028】
[2-3]段差部
上記直線型枠材1の段差部12に関しては、本実施形態では、
図2及び
図3に示すように枠本体部11の内側面に沿って下方に延びた板状の延出部12aと、この延出部12aの端部側から内側に突き出た板状のフック部12bとから形成している。これにより同じ長さの桟材2・2…の両端部を各直線型枠材1の延出部12aに当接させた状態で取着すれば、一対の直線型枠材1・1を並行な状態で連結できる。
【0029】
なお本実施形態では、上記段差部12を枠本体部11と一体的に形成しているが、別部材とすることもでき、その場合には、枠本体部11に溶接やネジ留め等で固定して段差部12を形成することもできる。また段差部12は、少なくとも桟材2・2…の載置面を有する形状であれば、他の形状に適宜変更できる。
【0030】
[2]桟材について
[2-1]材質
上記桟材2に関しては、本実施形態では材料として軽量なアルミニウムを採用しているが、直線型枠材1と同様、所定の剛性や曲げ強度を有する材料であれば、アルミニウム以外のステンレスやスチール、各種合金を使用することもできる。また金属材料だけでなくプラスチック材料やFRP、その他複合材料等を使用することもできる。
【0031】
[2-2]形状
また上記桟材2の形状に関しては、本実施形態では中空の角パイプ材を使用している。これにより
図3に示すように桟材2と床板材3(または壁板材)をネジ留めにより固定した際、ネジ先端を角パイプ材の中空部内に収めることができるため、現場で作業者が床壁用点検口Cを持ち運びする際にネジ先端に手が触れて怪我をする等の心配がなく安全に作業できる。また桟材2の寸法および数に関しては、直線型枠材1の長さや床板材3(または壁板材)の幅や数等に応じて適宜変更できる。
【0032】
[2-3]直線型枠材に対する桟材の取着構造
また本実施形態では、
図3に示すように直線型枠材1・1に対する桟材2の取り付けをネジ留めによって行っている。具体的には、一対の直線型枠材1・1の段差部12・12に桟材2を載置した状態で下側から2箇所ずつドリルビスを打ち込んで固定している。なお直線型枠材1と桟材2の取着方法に関しては、ビス打ち以外の例えばボルト・ナットやリベット等によって行うこともできる。
【0033】
[2-3]直線型枠材に対する桟材の配置
また本実施形態では、上記桟材2・2…を直線型枠材1・1に対し、直線型枠材1・1間に敷き詰め固定される各床板材3(または壁板材)の両側縁部が別々の桟材2・2に載置される位置および間隔で配置している。また中間に配置される桟材2は、隣接配置される各床板材3(または壁板材)の境界部位に配置しているため(言い換えると二つの床板材3を跨ぐように桟材2を配置しているため)、
図5(b)に示すように各床板材3・3…を隙間が空かないようにしっかりと固定できる。
【0034】
また上記のような桟材2の配置を採用した場合、各床板材3(または壁板材)の最も外側に配置される二つの桟材2と、中間部位の各床板材3(または壁板材)の境界部位に配置される桟材2とから構成することで、桟材2の数を最小化することができる。つまり、床板材3(または壁板材)の使用数に1加算した数量の桟材2があれば上記構成を採用できる。これにより最小限の桟材2・2…で床板材3・3…(または壁板材)を固定できる。
【0035】
[3]床板材または壁板材について
[3-1]材質・形状
上記床板材3または壁板材に関しては、本実施形態ではプラスチック製の床用デッキ材を使用しているが、床用デッキ材として一般的な木製や木質プラスチック製のものを使用できる。また壁板材を使用する場合にもプラスチック製や木製のものを使用することができる。床板材3(または壁板材)の幅方向の矧ぎ構造に関しても、本実施形態では、
図4(b)に示すように、アングル状の接続金具Wを利用したダボ矧ぎと相欠き矧ぎを組み合わせた構造を採用しているが、本実矧ぎや雇い実矧ぎなどを採用することもできる。
【0036】
[3-2]桟材に対する床板材の取着構造
上記桟材2に対する床板材3の取着構造について説明する。
図4(b)に示すように、床壁用点検口Cにおける直線型枠材1の長さ方向(床板材3の幅方向)の両端については、床板材3の上側から桟材2の中空部内までドリルビスを打ち込んで固定している。また床壁用点検口Cにおける直線型枠材1の長さ方向の中間部については、アングル状の接続金具Wのダボ付きの側面部を床板材3の側面のホゾに嵌め込むと共に、接続金具Wの下面部と桟材2の上面部にドリルビスを打ち込んで固定している。また前記接続金具Wの下面部は、隣に配置される床板材3の下面に形成された切欠き部に配置される。
【0037】
本実施形態では、上記のように接続金具Wを利用して床板材3の上面に露出するネジの数を最小限に抑えているが、接続金具Wを使用せずに上側からのビス打ちのみで床板材3を桟材2に固定することもできる。またネジ留め以外の手段、例えば接着等により床板材3を桟材2に固定することもできる。また桟材2の中間部を下側が開口したチャンネル形状として桟材2の下側からビスを打ち込んで床板材3を固定することもできる。
【0038】
「床壁用点検口の施工方法および設置構造」
[1]直線型枠材の長さ調節、床壁用点検口の組み立て
次に上記床壁用点検口Cの施工方法および設置構造について説明する。まず一対の直線型枠材1・1を床面(または壁面)に設ける点検口の大きさ、及び床面(または壁面)に敷設する床板(または壁板)の複数枚分の幅に合わせて切断し、長さを調節する。その後、
図1及び
図3に示すように、上記直線型枠材1・1間に複数の桟材2・2…を掛け渡し、直線型枠材1・1の段差部12・12に載せた各桟材2の両端部を下方からドリルビスを打ち込んで段差部12・12に固定する。
【0039】
[2]床壁用点検口の根太への取り付け
そして、上記床壁用点検口Cが設置される根太N(または柱)に対し点検口の四隅に相当する箇所に下孔を設け、更に上記床壁用点検口Cを、
図5(a)及び
図7に示すように一対の直線型枠材1・1が根太N(または柱)上に載置された状態で設置して、直線型枠材1・1の両端部の上側から先ほど形成した根太Nの下孔までボルト固定用の貫通孔を形成する。その後、根太N(または柱)側の貫通孔に上側からターンナットを差し込んだ後、直線型枠材1側の貫通孔に上側からボルトを差し込み、根太N(または柱)の裏側のナットで締結して床壁用点検口Cを根太N(または柱)に取り付ける。
【0040】
[3]床板材の取り付け
その後、
図5(b)及び
図7に示すように床板材3(または壁板材)を桟材2に載せ、上側からドリルビスを打ち込むと共に、床板材3(または壁板材)に取り付けた接続金具Wの桟材2へのネジ留めによって床板材3(または壁板材)を桟材2に固定する。本実施形態では、両端に配置される床板材3(または壁板材)のみ上側からのドリルビスによる固定と接続金具による固定を行い、中間に配置される床板材3(または壁板材)は、接続金具Wによってのみ固定を行っている(図示せず)。また隣り合う床板材3(または壁板材)同士はダボ矧ぎによって連結する。なお床板材3(または壁板材)の取り付けは、直線型枠材1・1を根太N(または柱)に取り付ける前に行うこともできる。
【0041】
[4]根太に対する床板の敷設
そして、上記床壁用点検口Cの根太N(または柱)への取り付けが終わった後、
図6(a)及び
図7に示すように根太N(または柱)に対し床板F(または壁板)の敷設を行う。この際、床壁用点検口Cの根太N(または柱)の長さ方向と直交する方向の外側において、直線型枠材1・1間の床板材3(または壁板材)の位置に合わせて同じ幅の床板F(または壁板)を根太N(または柱)上に敷設する。更に上記床壁用点検口Cの根太N(または柱)の長さ方向の外側において、切欠部が形成されていない床板F(または壁板)を床壁用点検口Cに隣接して根太N(または柱)上に敷設する。これにより床板F(または壁板)に切り欠きを設ける必要がなくなるため、床板F(または壁板)の施工を迅速に行える。
【0042】
[5]床壁用点検口の取り外し
また上記根太N(または柱)に設置された床壁用点検口Cを施工後に取り外す場合には、上記一対の直線型枠材1・1の両端に形成されたボルト固定用の貫通孔に差し込まれたボルトを外し、更に一対の直線型枠材1・1の中間部に形成された塞ぎネジ11cを取り外す。そして、
図6(b)に示すように、塞ぎネジ11cが取着されていた装着孔11bに持上げ取手Hの雄ネジ部を取着し、両側の持上げ取手H・Hを鉛直上方に持ち上げることにより、床壁用点検口Cの取り外しを簡単に行うことができる。
【0043】
1 直線型枠材
11 枠本体部
11a 溝部
11b 装着孔
11c 塞ぎネジ
11d 防振シート材
11e キャップ部材
12 段差部
12a 延出部
12b フック部
2 桟材
3 床板材
C 床壁用点検口
F 床板
N 根太
W 接続金具
H 持上げ取手