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特開2023-41041ナイフ戻りを伴う血管シーラーのための切断ブレード
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041041
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】ナイフ戻りを伴う血管シーラーのための切断ブレード
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230315BHJP
   A61B 17/295 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
A61B18/14
A61B17/295
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022143473
(22)【出願日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】63/242,512
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/890,438
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ダブリュー. マーシア
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160GG24
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK19
4C160KK37
(57)【要約】
【課題】ナイフ戻りを伴う血管シーラーのための切断ブレードを提供すること。
【解決手段】鉗子は、互いに対して移動可能な一対のジョー部材を含み、ジョー部材のうちの1つは、切断機構を収容するように構成されたブレードチャネルをその中に画定する。切断機構は、ブレードであって、その長さに沿って画定されたカムスロットと、ブレードをブレードチャネル内に付勢するように構成された、動作可能にブレードと関連付けられた1つ以上のブレードばねと、を有するブレードと、ブレードの対応するカムスロットに動作可能に係合するように構成されたカム表面を含む、ブレードカムとを含む。ブレードカムは、その移動時に、ブレードカムを移動させるように構成された作動ロッドに動作可能に結合された近位端を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉗子であって、
互いに対して離間された関係にある第1の位置から、少なくとも1つのその後の位置に移動可能な一対のジョー部材であって、前記ジョー部材が、それらの間に組織を把持するように協働する、一対のジョー部材を備え、
前記ジョー部材のうちの少なくとも1つが、その中に切断機構を収容するように構成された、その中に画定されたブレードチャネルを有し、前記切断機構が、
その長さに沿って画定された一連のカムスロットを有するブレードであって、前記ブレードが、前記ブレードチャネル内に前記ブレードを付勢するように構成された、動作可能に前記ブレードと関連付けられた少なくとも1つのブレードばねを含む、ブレードと、
前記ブレードと略垂直な位置合わせで配置されたブレードカムであって、前記ブレードカムが、前記ブレードの対応する前記一連のカムスロットに動作可能に係合するように構成された一連のカム表面を含み、前記ブレードカムが、その移動時に、前記ブレードカムを移動させるように構成された作動ロッドに動作可能に結合された近位端を含む、ブレードカムと、を含み、
前記作動ロッドの作動が、前記ブレードカムの前記カム表面を移動させて、前記カムスロットに対して係合させ、前記ブレードを、前記少なくとも1つのブレードばねの付勢に対して、前記ブレードチャネルに押し込み、それらの間の組織を切断する、鉗子。
【請求項2】
前記作動ロッドの解放時に、前記少なくとも1つのブレードばねの前記付勢が、前記ブレードチャネル内で前記ブレードを戻す、請求項1に記載の鉗子。
【請求項3】
前記少なくとも1つのジョー部材が、その上に配置された組織係合表面を含み、前記組織係合表面が、その中に前記ブレードチャネルを画定し、前記少なくとも1つのブレードばねが、前記作動ロッドの作動時に、前記組織係合表面の下側に対して付勢する、請求項1に記載の鉗子。
【請求項4】
前記ブレードが、前記作動ロッドの作動時に、前記少なくとも1つのジョー部材の前記組織係合表面の前記下側に係合するように各々構成されている2つのブレードばねをその両側に含む、請求項3に記載の鉗子。
【請求項5】
前記ブレードが、前記作動ロッドの作動時に、前記少なくとも1つのジョー部材の前記組織係合表面の前記下側に係合するように各々構成されている複数のブレードばねをその両側に含む、請求項3に記載の鉗子。
【請求項6】
前記少なくとも1つのブレードばねの前記付勢が、その解放時に、前記作動ロッドを戻すように動作する、請求項1に記載の鉗子。
【請求項7】
前記ブレードが、前記少なくとも1つのジョー部材と動作可能に関連付けられたピンの上を摺動するように構成されたスロットをその中に画定する近位端を含み、前記スロット及びピン配置が、前記作動ロッドの作動時に、前記ブレードチャネルへの前記ジョー部材の移動を制御するように構成されている、請求項1に記載の鉗子。
【請求項8】
前記スロット及びピン配置が、他のジョー部材へ向かう垂直方向における前記ブレードチャネルへの前記ブレードの移動を制御する、請求項7に記載の鉗子。
【請求項9】
前記スロット及びピン配置が、他のジョー部材に対して前記ブレードチャネル内で垂直方向及び水平方向の両方にブレードを移動させ、前記ジョー部材の間に配置された組織を切断する、請求項7に記載の鉗子。
【請求項10】
電気外科用鉗子であって、
互いに対して離間された関係にある第1の位置から、少なくとも1つのその後の位置に移動可能な一対のジョー部材であって、前記ジョー部材が、それらの間に組織を把持するように協働する、一対のジョー部材を備え、
前記ジョー部材の各々が、エネルギー源に接続するように適合され、かつそれらの間に保持された組織を通してエネルギーを伝達するように構成された導電性シーリングプレートを含み、
前記ジョー部材のうちの少なくとも1つが、その中に切断機構を収容するように構成された、その中に画定されたブレードチャネルを有し、前記切断機構が、
その長さに沿って画定された一連のカムスロットを有するブレードであって、前記ブレードが、前記ブレードチャネル内に前記ブレードを付勢するように構成された、動作可能に前記ブレードと関連付けられた少なくとも1つのブレードばねを含む、ブレードと、
前記ブレードと略垂直な位置合わせで配置されたブレードカムであって、前記ブレードカムが、前記ブレードの対応する前記一連のカムスロットに動作可能に係合するように構成された一連のカム表面を含み、前記ブレードカムが、その移動時に、前記ブレードカムを移動させるように構成された作動ロッドに動作可能に結合された近位端を含む、ブレードカムと、を含み、
前記作動ロッドの作動は、前記カムスロットに対して係合するように前記ブレードカムの前記カム表面を移動させ、前記ブレードを前記ブレードチャネル内へ押し込み、前記少なくとも1つのブレードばねを前記少なくとも1つのジョー部材の前記導電性シーリングプレートの下側に対して付勢し、前記ジョー部材の間に配置された組織を切断し、前記作動ロッドの解放時に、前記少なくとも1つのブレードばねの付勢が、前記ブレードを前記ブレードチャネル内へ戻す、電気外科用鉗子。
【請求項11】
前記ブレードが、前記作動ロッドの作動時に、前記少なくとも1つのジョー部材の前記導電性シーリングプレートの前記下側に係合するように各々構成されている2つのブレードばねをその両側に含む、請求項10に記載の鉗子。
【請求項12】
前記ブレードが、前記作動ロッドの作動時に、前記少なくとも1つのジョー部材の前記導電性シーリングプレートの前記下側に係合するように各々構成されている複数のブレードばねをその両側に含む、請求項10に記載の鉗子。
【請求項13】
前記ブレードが、前記少なくとも1つのジョー部材と動作可能に関連付けられたピンの上を摺動するように構成されたスロットをその中に画定する近位端を含み、前記スロット及びピン配置が、前記作動ロッドの作動時に、前記ブレードチャネルへの前記ジョー部材の移動を制御するように構成されている、請求項10に記載の鉗子。
【請求項14】
前記スロット及びピン配置が、他のジョー部材へ向かう垂直方向における前記ブレードチャネルへの前記ブレードの移動を制御する、請求項13に記載の鉗子。
【請求項15】
前記スロット及びピン配置が、他のジョー部材に対して前記ブレードチャネル内で垂直方向及び水平方向の両方に前記ブレードを移動させ、前記ジョー部材の間に配置された組織を切断する、請求項13に記載の鉗子。
【請求項16】
鉗子であって、
互いに対して離間された関係にある第1の位置から、少なくとも1つのその後の位置に移動可能な一対のジョー部材であって、前記ジョー部材が、それらの間に組織を把持するように協働する、一対のジョー部材を備え、
前記ジョー部材のうちの少なくとも1つが、その中に切断機構を収容するように構成された、その中に画定されたブレードチャネルを有し、前記切断機構が、
その長さに沿って画定された一連のカムスロットを有するブレードであって、前記ブレードを前記ブレードチャネル内に付勢するように、前記作動ロッドの作動時に、前記少なくとも1つのジョー部材の前記組織係合表面の前記下側に係合するように各々構成されている、その両側に配置された一対のブレードばねを含む、ブレードと、
前記ブレードと略垂直な位置合わせで配置されたブレードカムであって、前記ブレードカムが、前記ブレードの対応する前記一連のカムスロットと動作可能に係合するように構成された一連のカム表面を含み、前記ブレードカムが、その移動時に、前記ブレードカムを移動させるように構成された作動ロッドに動作可能に結合された近位端を含む、ブレードカムと、を含み、
前記作動ロッドの作動が、前記ブレードカムの前記カム表面を移動させて、前記カムスロットに対して係合させ、前記ブレードを前記一対のブレードばねの付勢に対して前記ブレードチャネルに押し込み、それらの間の組織を切断する、鉗子。
【請求項17】
前記ブレードが、その長さに沿って配置された複数の対のブレードばねを含む、請求項16に記載の鉗子。
【請求項18】
前記一対のブレードばねの前記付勢が、その解放時に、前記作動ロッドを戻すように動作する、請求項16に記載の鉗子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年9月10日に出願された米国仮特許出願第63/242,512号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、組織を封止、融合、又は分割するための切開及び内視鏡外科手技に使用される電気外科用器具に関する。より具体的には、本開示は、切断要素の移動を制限しながら組織を横切開するように設計されたブレードアセンブリを有する、血管、血管組織、及び軟部組織を封止するための双極鉗子に関する。
【背景技術】
【0003】
電気外科用鉗子は、機械的クランプ作用及び電気エネルギーの両方を利用して、組織及び血管を加熱して血管又は組織を凝固及び/又は焼灼することによって止血をもたらす。しかしながら、特定の外科手技は、単に止血をもたらすのではなく、血管又は血管組織を封止することを必要とし得る。「血管封止」又は「組織融合」は、組織内のコラーゲン、エラスチン、及び粉砕物質を液化するプロセスとして定義され、それにより、対向する組織構造間の境界が著しく低減された融合された質量に再形成する。対照的に、「焼灼」という用語は、組織を破壊するための熱の使用(「ジアテルミー」又は「電気ジアテルミー」とも呼ばれる)として定義され、「凝固」という用語は、組織細胞が破裂して、乾燥する、組織を乾燥させるプロセスとして定義される。小さな血管の凝固は通常、それらを恒久的に閉じるのに十分である。恒久的な閉鎖を保証するために、より大きな血管又は組織が「封止」される必要がある。封止手技中、外科医はまた、封止された組織を分割して、周囲の組織が適切に治癒することを確実にし得る。
【0004】
多数の電気外科用器具が、様々な切開及び内視鏡的外科手技のために過去に提案されている。しかしながら、これらの器具のほとんどは組織を焼灼又は凝固させ、通常、血管又は組織に均一に再現可能な圧力を提供するように設計されておらず、これは、封止目的で使用される場合、効果的でない又は不均一な封止をもたらす。例えば、Willisに対する米国特許第2,176,479号(特許文献1)、Hiltebrandtに対する米国特許第4,005,714号(特許文献2)及び同第4,031,898号(特許文献3)、Boebelらに対する米国特許第5,827,274号(特許文献4)、同第5,290,287号(特許文献5)及び5,312,433号(特許文献6)、Lottickに対する米国特許第4,370,980号(特許文献7)、同第4,552,143号(特許文献8)、同5,026,370号(特許文献9)及び同5,116,332号(特許文献10)、Sternらに対する米国特許第5,443,463号(特許文献11)、Eggersらに対する米国特許第5,484,436号(特許文献12)、並びにRichardsonらに対する米国特許第5,951,549号(特許文献13)は、全て血管又は組織を凝固、焼灼、及び切断するための電気外科用器具に関する。
【0005】
これらの器具の多くは、機械的及び/又は電気機械的様式で組織を単に切断するブレード部材又はせん断部材を含み、血管封止の目的で比較的効果的ではない。知られている限り、これらのブレードは、切断要素及びエンドエフェクタアセンブリの移動を制限しながら組織を切断するように設計又は意図されていない。他の器具は、一般に、クランプ圧力のみに依拠して適切な封止厚さを獲得し、しばしば、ギャップ許容誤差並びに/又は平行性及び平坦性要件を考慮するように設計されておらず、これらは、適切に制御される場合、一貫した効果的な組織封止を保証することができるパラメータである。例えば、以下の2つの理由のいずれかによりクランプ圧力のみを制御することによって、結果として得られる封止された組織の厚さを適切に制御することが困難であることが知られている。1)加えられる力が大きすぎる場合、2つの極が接触し、エネルギーが組織を通して伝達されず、有効でない封止を生じる可能性があるか、又は2)加えられる力が少なすぎる場合、より厚い、より信頼性の低い封止が作成される。
【0006】
「VESSEL SEALER AND DIVIDER」という名称のDycusらによって2001年4月6日に出願された同一所有者の国際出願第US01/11340号、「VESSEL SEALING INSTRUMENT」という名称のTetzlaffらによって2002年4月5日に出願された米国特許出願第10/116,824号、及び「VESSEL SEALING INSTRUMENT」という名称のTetzlaffらによって2001年4月6日に出願された国際出願第US01/11420号は、組織又は血管、特に大きな血管を効果的に封止するために、2つの主要な機械的パラメータ、すなわち1)血管に加えられる圧力、及び2)伝導性組織接触表面(電極)間のギャップ距離が、正確に制御されなければならないことを教示している。理解され得るように、これらのパラメータの両方は、封止されている血管又は組織の厚さによって影響される。十分な電気外科用エネルギーを血管に通過させることを可能にする十分に低い値に組織インピーダンスを低減するため、組織加熱中の膨張力を克服するため、及び良好な封止の指標である末端組織厚さに寄与するためといった、いくつかの理由で、圧力の正確な適用が重要である。
【0007】
理解され得るように、どんな力が必要であるかを判定するため、及び処置される組織に圧力を正確に適用するために、かなりの手術技術が必要である。封止プロセス中に組織を分割する必要がある場合、手術の困難さは、手技中に下部及び上部ジョー部材が閉じられたときに、長手方向の軸方向移動などの長い移動を必要とするブレードアセンブリの使用によって度合いを増す。長い切断運動は、組織の不正確な封止及び/又は分割をもたらすか又はそれを促進する、切断要素の望ましくない移動につながり得るという点で問題となる。
【0008】
したがって、切断要素及びエンドエフェクタアセンブリの最小限の移動で血管及び組織を一貫して、かつ効果的に横切開することができる切断要素アセンブリを含む電気外科用器具を開発する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第2176479号明細書
【特許文献2】米国特許第4005714号明細書
【特許文献3】米国特許第4031898号明細書
【特許文献4】米国特許第5827274号明細書
【特許文献5】米国特許第5290287号明細書
【特許文献6】米国特許第5312433号明細書
【特許文献7】米国特許第4370980号明細書
【特許文献8】米国特許第4552143号明細書
【特許文献9】米国特許第5026370号明細書
【特許文献10】米国特許第5116332号明細書
【特許文献11】米国特許第5443463号明細書
【特許文献12】米国特許第5484436号明細書
【特許文献13】米国特許第5951549号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の態様に従って提供されるのは、互いに対して離間された関係にある第1の位置から、1つ以上のその後の位置に移動可能な一対のジョー部材であって、ジョー部材が、それらの間に組織を把持するように協働する一対のジョー部材を含む鉗子である。ジョー部材のうちの1つ(又は両方)が、その中に切断機構を収容するように構成された、その中に画定されたブレードチャネルを有し、切断機構が、その長さに沿って画定された一連のカムスロットを有するブレードであって、ブレードが、ブレードチャネル内にブレードを付勢するように構成された、動作可能にブレードと関連付けられた1つ以上のブレードばねを含む、ブレードと、ブレードと略垂直な位置合わせで配置されたブレードカムであって、ブレードカムが、ブレードの対応する一連のカムスロットに動作可能に係合するように構成された一連のカム表面を含み、ブレードカムが、その移動時に、ブレードカムを移動させるように構成された作動ロッドに動作可能に結合された近位端を含む、ブレードカムと、を含む。
【0011】
作動ロッドの作動が、ブレードカムのカム表面を移動させて、カムスロットに対して係合させ、ブレードを、1つ以上のブレードばねの付勢に対して、ブレードチャネルに押し込み、それらの間の組織を切断する。
【0012】
本開示による態様では、作動ロッドの解放時に、ブレードばねの付勢が、ブレードチャネル内でブレードを戻す。本開示による他の態様では、1つのジョー部材が、その上に配置された組織係合表面を含み、組織係合表面が、その中にブレードチャネルを画定し、1つ以上のブレードばねが、作動ロッドの作動時に、組織係合表面の下側に対して付勢する。
【0013】
本開示による態様では、ブレードが、作動ロッドの作動時に、1つのジョー部材の組織係合表面の下側に係合するように各々構成されている2つのブレードばねをその両側に含む。本開示による他の態様では、ブレードが、作動ロッドの作動時に、1つのジョー部材の組織係合表面の下側に係合するように各々構成されている複数のブレードばねをその両側に含む。
【0014】
本開示による態様では、1つ以上のブレードばねの付勢が、その解放時に、作動ロッドを戻すように動作する。
【0015】
本開示による態様では、ブレードが、1つのジョー部材と動作可能に関連付けられたピンの上を摺動するように構成されたスロットをその中に画定する近位端を含み、スロット及びピン配置が、作動ロッドの作動時に、ブレードチャネルへのブレードの移動を制御するように構成されている。本開示による態様では、スロット及びピン配置が、他のジョー部材へ向かう垂直方向におけるブレードチャネルへのブレードの移動を制御する。本開示によるさらに他の態様では、スロット及びピン配置が、他のジョー部材に対してブレードチャネル内で垂直方向及び水平方向の両方にブレードを移動させ、ジョー部材間に配置された組織を切断する。
【0016】
本開示の態様に従って提供されるのは、互いに対して離間された関係にある第1の位置から、1つ以上のその後の位置に移動可能な一対のジョー部材であって、ジョー部材が、それらの間に組織を把持するように協働する一対のジョー部材を含む電気外科用鉗子である。ジョー部材の各々が、エネルギー源に接続するように適合され、かつそれらの間に保持された組織を通してエネルギーを伝達するように構成された導電性シーリングプレートを含む。ジョー部材のうちの1つ(又は両方)が、その中に切断機構を収容するように構成された、その中に画定されたブレードチャネルを有し、切断機構が、その長さに沿って画定された一連のカムスロットを有するブレードであって、ブレードが、ブレードチャネル内にブレードを付勢するように構成された、動作可能にブレードと関連付けられた1つ以上のブレードばねを含む、ブレードと、ブレードと略垂直な位置合わせで配置されたブレードカムであって、ブレードカムが、ブレードの対応する一連のカムスロットに動作可能に係合するように構成された一連のカム表面を含み、ブレードカムが、その移動時に、ブレードカムを移動させるように構成された作動ロッドに動作可能に結合された近位端を含む、ブレードカムと、を含む。
【0017】
作動ロッドの作動は、カムスロットに対して係合するようにブレードカムのカム表面を移動させ、ブレードをブレードチャネル内へ押し込み、1つ以上のブレードばねを1つのジョー部材の導電性シーリングプレートの下側に対して付勢し、ジョー部材の間に配置された組織を切断し、作動ロッドの解放時に、1つ以上のブレードばねの付勢が、ブレードをブレードチャネル内へ戻す。
【0018】
本開示による態様では、ブレードが、作動ロッドの作動時に、1つのジョー部材の導電性シーリングプレートの下側に係合するように各々構成されている2つのブレードばねをその両側に含む。本開示による態様では、ブレードが、作動ロッドの作動時に、1つのジョー部材の導電性シーリングプレートの下側に係合するように各々構成されている複数のブレードばねをその両側に含む。
【0019】
本開示による態様では、ブレードが、1つのジョー部材と動作可能に関連付けられたピンの上を摺動するように構成されたスロットをその中に画定する近位端を含み、スロット及びピン配置が、作動ロッドの作動時に、ブレードチャネルへのブレードの移動を制御するように構成されている。本開示による他の態様では、スロット及びピン配置が、他のジョー部材へ向かう垂直方向におけるブレードチャネルへのブレードの移動を制御する。本開示によるさらに他の態様では、スロット及びピン配置が、他のジョー部材に対してブレードチャネル内で垂直方向及び水平方向の両方にブレードを移動させ、ジョー部材間に配置された組織を切断する。
【0020】
本開示の態様に従って提供されるのは、互いに対して離間された関係にある第1の位置から、1つ以上のその後の位置に移動可能な一対のジョー部材であって、ジョー部材が、それらの間に組織を把持するように協働する一対のジョー部材を含む鉗子である。ジョー部材のうちの1つ(又は両方)が、その中に切断機構を収容するように構成された、その中に画定されたブレードチャネルを有し、切断機構が、その長さに沿って画定された一連のカムスロットを有するブレードであって、ブレードが、ブレードチャネル内にブレードを付勢するように作動ロッドの作動時に1つのジョー部材の組織係合表面の下側に係合するように各々構成された、その両側に配置された一対のブレードばねを含む、ブレードと、ブレードと略垂直な位置合わせで配置されたブレードカムであって、ブレードカムが、ブレードの対応する一連のカムスロットに動作可能に係合するように構成された一連のカム表面を含み、ブレードカムが、その移動時に、ブレードカムを移動させるように構成された作動ロッドに動作可能に結合された近位端を含む、ブレードカムと、を含む。
【0021】
作動ロッドの作動が、ブレードカムのカム表面を移動させて、カムスロットに対して係合させ、ブレードを一対のブレードばねの付勢に対してブレードチャネルに押し込み、それらの間の組織を切断する。
【0022】
本開示による態様では、ブレードが、その長さに沿って配置された複数の対のブレードばねを含む。本開示による他の態様では、一対のブレードばねの付勢が、その解放時に、作動ロッドを戻すように動作する。
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
鉗子であって、
互いに対して離間された関係にある第1の位置から、少なくとも1つのその後の位置に移動可能な一対のジョー部材であって、前記ジョー部材が、それらの間に組織を把持するように協働する、一対のジョー部材を備え、
前記ジョー部材のうちの少なくとも1つが、その中に切断機構を収容するように構成された、その中に画定されたブレードチャネルを有し、前記切断機構が、
その長さに沿って画定された一連のカムスロットを有するブレードであって、前記ブレードが、前記ブレードチャネル内に前記ブレードを付勢するように構成された、動作可能に前記ブレードと関連付けられた少なくとも1つのブレードばねを含む、ブレードと、
前記ブレードと略垂直な位置合わせで配置されたブレードカムであって、前記ブレードカムが、前記ブレードの対応する前記一連のカムスロットに動作可能に係合するように構成された一連のカム表面を含み、前記ブレードカムが、その移動時に、前記ブレードカムを移動させるように構成された作動ロッドに動作可能に結合された近位端を含む、ブレードカムと、を含み、
前記作動ロッドの作動が、前記ブレードカムの前記カム表面を移動させて、前記カムスロットに対して係合させ、前記ブレードを、前記少なくとも1つのブレードばねの付勢に対して、前記ブレードチャネルに押し込み、それらの間の組織を切断する、鉗子。
(項目2)
前記作動ロッドの解放時に、前記少なくとも1つのブレードばねの前記付勢が、前記ブレードチャネル内で前記ブレードを戻す、上記項目に記載の鉗子。
(項目3)
前記少なくとも1つのジョー部材が、その上に配置された組織係合表面を含み、前記組織係合表面が、その中に前記ブレードチャネルを画定し、前記少なくとも1つのブレードばねが、前記作動ロッドの作動時に、前記組織係合表面の下側に対して付勢する、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目4)
前記ブレードが、前記作動ロッドの作動時に、前記少なくとも1つのジョー部材の前記組織係合表面の前記下側に係合するように各々構成されている2つのブレードばねをその両側に含む、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目5)
前記ブレードが、前記作動ロッドの作動時に、前記少なくとも1つのジョー部材の前記組織係合表面の前記下側に係合するように各々構成されている複数のブレードばねをその両側に含む、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目6)
前記少なくとも1つのブレードばねの前記付勢が、その解放時に、前記作動ロッドを戻すように動作する、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目7)
前記ブレードが、前記少なくとも1つのジョー部材と動作可能に関連付けられたピンの上を摺動するように構成されたスロットをその中に画定する近位端を含み、前記スロット及びピン配置が、前記作動ロッドの作動時に、前記ブレードチャネルへの前記ジョー部材の移動を制御するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目8)
前記スロット及びピン配置が、他のジョー部材へ向かう垂直方向における前記ブレードチャネルへの前記ブレードの移動を制御する、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目9)
前記スロット及びピン配置が、他のジョー部材に対して前記ブレードチャネル内で垂直方向及び水平方向の両方にブレードを移動させ、前記ジョー部材の間に配置された組織を切断する、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目10)
電気外科用鉗子であって、
互いに対して離間された関係にある第1の位置から、少なくとも1つのその後の位置に移動可能な一対のジョー部材であって、前記ジョー部材が、それらの間に組織を把持するように協働する、一対のジョー部材を備え、
前記ジョー部材の各々が、エネルギー源に接続するように適合され、かつそれらの間に保持された組織を通してエネルギーを伝達するように構成された導電性シーリングプレートを含み、
前記ジョー部材のうちの少なくとも1つが、その中に切断機構を収容するように構成された、その中に画定されたブレードチャネルを有し、前記切断機構が、
その長さに沿って画定された一連のカムスロットを有するブレードであって、前記ブレードが、前記ブレードチャネル内に前記ブレードを付勢するように構成された、動作可能に前記ブレードと関連付けられた少なくとも1つのブレードばねを含む、ブレードと、
前記ブレードと略垂直な位置合わせで配置されたブレードカムであって、前記ブレードカムが、前記ブレードの対応する前記一連のカムスロットに動作可能に係合するように構成された一連のカム表面を含み、前記ブレードカムが、その移動時に、前記ブレードカムを移動させるように構成された作動ロッドに動作可能に結合された近位端を含む、ブレードカムと、を含み、
前記作動ロッドの作動は、前記カムスロットに対して係合するように前記ブレードカムの前記カム表面を移動させ、前記ブレードを前記ブレードチャネル内へ押し込み、前記少なくとも1つのブレードばねを前記少なくとも1つのジョー部材の前記導電性シーリングプレートの下側に対して付勢し、前記ジョー部材の間に配置された組織を切断し、前記作動ロッドの解放時に、前記少なくとも1つのブレードばねの付勢が、前記ブレードを前記ブレードチャネル内へ戻す、電気外科用鉗子。
(項目11)
前記ブレードが、前記作動ロッドの作動時に、前記少なくとも1つのジョー部材の前記導電性シーリングプレートの前記下側に係合するように各々構成されている2つのブレードばねをその両側に含む、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目12)
前記ブレードが、前記作動ロッドの作動時に、前記少なくとも1つのジョー部材の前記導電性シーリングプレートの前記下側に係合するように各々構成されている複数のブレードばねをその両側に含む、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目13)
前記ブレードが、前記少なくとも1つのジョー部材と動作可能に関連付けられたピンの上を摺動するように構成されたスロットをその中に画定する近位端を含み、前記スロット及びピン配置が、前記作動ロッドの作動時に、前記ブレードチャネルへの前記ジョー部材の移動を制御するように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目14)
前記スロット及びピン配置が、他のジョー部材へ向かう垂直方向における前記ブレードチャネルへの前記ブレードの移動を制御する、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目15)
前記スロット及びピン配置が、他のジョー部材に対して前記ブレードチャネル内で垂直方向及び水平方向の両方に前記ブレードを移動させ、前記ジョー部材の間に配置された組織を切断する、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目16)
鉗子であって、
互いに対して離間された関係にある第1の位置から、少なくとも1つのその後の位置に移動可能な一対のジョー部材であって、前記ジョー部材が、それらの間に組織を把持するように協働する、一対のジョー部材を備え、
前記ジョー部材のうちの少なくとも1つが、その中に切断機構を収容するように構成された、その中に画定されたブレードチャネルを有し、前記切断機構が、
その長さに沿って画定された一連のカムスロットを有するブレードであって、前記ブレードを前記ブレードチャネル内に付勢するように、前記作動ロッドの作動時に、前記少なくとも1つのジョー部材の前記組織係合表面の前記下側に係合するように各々構成されている、その両側に配置された一対のブレードばねを含む、ブレードと、
前記ブレードと略垂直な位置合わせで配置されたブレードカムであって、前記ブレードカムが、前記ブレードの対応する前記一連のカムスロットと動作可能に係合するように構成された一連のカム表面を含み、前記ブレードカムが、その移動時に、前記ブレードカムを移動させるように構成された作動ロッドに動作可能に結合された近位端を含む、ブレードカムと、を含み、
前記作動ロッドの作動が、前記ブレードカムの前記カム表面を移動させて、前記カムスロットに対して係合させ、前記ブレードを前記一対のブレードばねの付勢に対して前記ブレードチャネルに押し込み、それらの間の組織を切断する、鉗子。
(項目17)
前記ブレードが、その長さに沿って配置された複数の対のブレードばねを含む、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(項目18)
前記一対のブレードばねの前記付勢が、その解放時に、前記作動ロッドを戻すように動作する、上記項目のいずれか一項に記載の鉗子。
(摘要)
鉗子は、互いに対して移動可能な一対のジョー部材を含み、ジョー部材のうちの1つは、切断機構を収容するように構成されたブレードチャネルをその中に画定する。切断機構は、ブレードであって、その長さに沿って画定されたカムスロットと、ブレードをブレードチャネル内に付勢するように構成された、動作可能にブレードと関連付けられた1つ以上のブレードばねと、を有するブレードと、ブレードの対応するカムスロットに動作可能に係合するように構成されたカム表面を含む、ブレードカムとを含む。ブレードカムは、その移動時に、ブレードカムを移動させるように構成された作動ロッドに動作可能に結合された近位端を含む。作動ロッドは、その移動時に、カムスロットに対して係合するように、ブレードカムのカム表面を移動させ、付勢ばねの付勢に対して、ブレードをブレードチャネル内へ押し込み、それらの間の組織を切断する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】本開示によるブレードアセンブリを支持するように構成された内視鏡双極鉗子の斜視図である。
【0024】
図1B】本開示によるブレードアセンブリを支持するように構成された開放双極鉗子の斜視図である。
【0025】
図2A】最も遠位又は非作動位置にあるブレードアセンブリのブレードを示す、図1Aのエンドエフェクタアセンブリの下部ジョー部材の大幅に拡大された正面斜視図である。
【0026】
図2B】わずかに作動した後のブレードの位置を示す、図1Aの下部ジョー部材の大幅に拡大された正面斜視図である。
【0027】
図2C】最も近位又は完全に作動された位置における完全に作動された後のブレードの位置を示す、図1Aの下部ジョー部材の大幅に拡大された正面斜視図である。
【0028】
図3A】最も遠位又は非作動位置にある図2Aのブレードアセンブリの概略的な図式例解図である。
【0029】
図3B】わずかに作動した後のブレードの位置を示す図2Bのブレードアセンブリの概略的な図式例解図である。
【0030】
図3C】完全に作動された後のブレードの位置を示す図2Cのブレードアセンブリの概略的な図式例解図である。
【0031】
図4A】本開示に従う使用に好適な第1のブレードの側面図である。
【0032】
図4B】本開示に従う使用に好適な第2のブレードの側面図である。
【0033】
図4C】本開示に従う使用に好適な第3のブレードの側面図である。
【0034】
図4D】本開示に従う使用に好適な第4のブレードの側面図である。
【0035】
図5】部品が分離された図1Aのエンドエフェクタアセンブリの下部ジョーの大幅に拡大された斜視図である。
【0036】
図6】部品が分離された図1Bの鉗子の斜視図である。
【0037】
図7A】下部ジョー内にブレードを有する閉鎖構成で示されている図1Aのエンドエフェクタアセンブリの大幅に拡大された概略側面断面図である。
【0038】
図7B】上部ジョー内にブレードを有する閉鎖構成で示されている図1Aのエンドエフェクタアセンブリの大幅に拡大された概略側面断面図である。
【0039】
図8A】その中に組織を有する開放構成で示されている図1Aのエンドエフェクタアセンブリの大幅に拡大された概略側面断面図である。
【0040】
図8B】その中に組織を有する閉鎖構成で示されている図1Aのエンドエフェクタアセンブリの大幅に拡大された概略側面断面図である。
【0041】
図8C】作動中にその中に組織を有する閉鎖構成で示されている図1Aのエンドエフェクタアセンブリの大幅に拡大された概略側面断面図である。
【0042】
図8D】作動中にその中に組織を有する閉鎖構成で示されている図1Aのエンドエフェクタアセンブリの大幅に拡大された概略側面断面図である。
【0043】
図9A】ブレード戻りを伴う切断機構の非付勢位置を示す、本開示の別の実施形態のエンドエフェクタの内部側面断面図である。
【0044】
図9B】ブレードが下部ジョー部材内に画定されたナイフチャネル内に、かつジョー部材の間に画定されたギャップ「G」の下に置かれた状態で、付勢されていない位置に配置されたブレード及びブレードカム部材の拡大内部端断面図である。
【0045】
図10A】ブレードカム部材が近位に移動されて、ブレードをナイフチャネルからジョー部材の間のギャップ「G」内へカムする、図9Aのエンドエフェクタの内部側面断面図である。
【0046】
図10B】ギャップ「G」に展開されたブレードの拡大内部端断面図であり、一対のブレード戻りばねが下部ジョー部材の下側に対して付勢されている。
【0047】
図10C】ブレードカム部材の解放時のナイフチャネル内のブレードリセットの拡大内部端断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
ブレード本体がブレードチャネルと摺動連通しているブレードアセンブリを提供することによって、外科医は、ブレード及び/又はエンドエフェクタアセンブリの移動を制限しながら、一貫した高品質の組織横切開をより容易かつより簡単に生成することができることが見出された。使用中のブレード及び/又はエンドエフェクタアセンブリの移動を最小限に抑えることにより、外科医は、組織をより正確に分割及び/又は封止することができる。さらに、エンドエフェクタアセンブリの移動を最小限に抑えることはまた、隣接する組織にわたる又は隣接する組織に対する熱拡散を低減することができる。本明細書の目的のために、「熱拡散」という用語は、概して、導電性又は電気的に活性な表面の周囲に沿って隣接する組織へ散逸する熱伝達(熱伝導、熱対流、又は電流散逸)を指す。これはまた、隣接する組織への「付随的損傷」と呼ぶことができる。
【0049】
ブレードチャネルの少なくとも1つの表面と摺動連通するブレードを有するブレードアセンブリの構成は、既定された切断経路を提供することによってブレードの移動を効果的に最小限に抑えることが想定される。本明細書の目的のために、「摺動連通」という用語は、概して、第2の構造に対する1つの構造の移動が、1つ又は複数の移動構造を1つ以上の既定された方向及び/又は連続して複数の方向に移動させるように、互いに接触する異なる構造の2つ以上の表面を指す。言い換えれば、1つの構造の表面の形状は、それに対して摺動する別の構造の移動経路に影響を及ぼす。したがって、実施形態では、ブレード本体は、ブレードチャネルに対応する既定された形状を有する。
【0050】
成形されたブレード本体及び成形されたブレードチャネルを提供することによって、ブレードの切断経路が既定され、これは、組織切断の効率に影響を及ぼしかつ/又は外科用デバイスの移動を制限し、それにより、隣接する組織構造への熱拡散/付随的損傷が低減又は排除される。
【0051】
ここで図1A及び図1Bを参照すると、2つの双極鉗子10及び10’、内視鏡外科手技と共に使用するための第1の鉗子10と、切開外科手技と共に使用するための第2の鉗子10’と、が示されている。本明細書の目的のために、本開示によるブレードアセンブリを支持するために、内視鏡器具又は切開器具のいずれかが利用され得る。明らかに、異なる電気的及び機械的接続及び考慮事項が、各特定のタイプの器具に適用されるが、ブレードアセンブリ及びその動作特性に関する新規の態様は、図1A及び図1Bの切開又は内視鏡設計の両方に関して概して一貫したままである。鉗子10及び10’は、例として示されており、本開示のブレードアセンブリを支持し得る他の電気外科用鉗子も想定される。図面及び以下の説明では、慣用としての「近位」という用語は、ユーザにより近い鉗子10、10’の端を指す一方、「遠位」という用語は、ユーザからより遠い端を指す。
【0052】
図1Aは、ブレードアセンブリ200(図1Aには図示せず)を支持するように構成された内視鏡容器封止器具10の一例を示す。より具体的には、鉗子10は、概して、ハウジング20、ハンドルアセンブリ30、回転アセンブリ80、トリガアセンブリ70及びエンドエフェクタアセンブリ100を含み、これらは相互協働して、組織を把持、封止、及び保証された場合、分割する。鉗子10は、エンドエフェクタアセンブリ100と機械的に係合するように寸法決めされた遠位端14と、回転アセンブリ80に近接してハウジング20と機械的に係合する近位端16とを有するシャフト12を含む。
【0053】
鉗子10はまた、電気ケーブル310を介して鉗子10を電気外科用エネルギー源、例えば、電気外科用発電機(図示せず)に接続するプラグ300を含む。ハンドルアセンブリ30は、固定ハンドル50及び可動ハンドル40を含む。ハンドル40は、固定ハンドル50に対して移動して、エンドエフェクタアセンブリ100を作動させ、ユーザが組織400を把持及び操作することを可能にする(図8A~Dを参照)。より具体的には、エンドエフェクタアセンブリ100は、ハンドル40の移動に応答して、ジョー部材110及び120が互いに対して離間された関係に配置されている開放位置から、ジョー部材110及び120が協働してそれらの間の組織を把持するクランピング又は閉鎖位置へ移動する、一対の対向するジョー部材110及び120を含む。
【0054】
ハウジング20は、開放位置からクランピング又は閉鎖位置へのジョー部材110及び120の移動を与えるために可動ハンドル40と協働する駆動アセンブリ(図1Aには図示せず)を囲んでいる。ハンドルアセンブリ30は、概して、ジョー部材110と120との間に組織を封止するときに独特の機械的利点を提供する4バー機械的リンケージとして特徴付けることができる。例えば、封止部位の所望の位置が判定され、ジョー部材110及び120が適切に位置付けられると、ハンドル40を完全に圧縮して、ジョー部材110及び120を組織に対して閉鎖位置に係止し得る。さらに、組織が分割されるべきであると判定される場合、トリガアセンブリ70は、エンドエフェクタアセンブリ100内のブレードチャネル210内に位置する本開示によるブレードアセンブリを作動させるように圧縮され得る。本明細書に記載のブレードアセンブリに関連して使用され得る他の力起動アセンブリ及びトリガ機構が想定される。様々な鉗子10の内部作業構成要素の協働的相互関係に関する詳細は、同一所有者の米国特許出願第10/284,562号、米国特許出願第10/460,926号、及び米国特許出願第10/369,894号に開示されており、それらは全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ジョー部材110及び120が組織の周りで完全に圧縮されると、鉗子10は、ここで、電気外科用エネルギー及び/又は組織分割の選択的適用の準備が整う。
【0055】
実験結果は、それぞれジョー部材110及び120の導電性封止表面112、122によって組織に加えられる圧力の大きさが、適切な外科的封止を確保する際に重要であることを示唆している。約3kg/cm~約16kg/cmの作動範囲内、及び好ましくは約6kg/cm~約13kg/cmの作動範囲内の圧力は、様々な組織タイプを封止するのに有効であることが示されている。約4.5kg/cm~約8.5kg/cmの作動範囲内の圧力は、特定の組織タイプを封止するために最適であり得る。
【0056】
従来の切開外科手技に関連して使用するための切開鉗子10’は、例として図1Bに示される。切開鉗子10’は、各々が、それぞれ近位端16a’及び16b’、及びそれぞれ遠位端14a’及び14b’を有する一対の細長いシャフト部分12a’、12bを含む。鉗子10’は、シャフト12a’及び12b’の遠位端14a’及び14b’にそれぞれ取り付けられるジョーアセンブリ100’を含む。ジョーアセンブリ100’は、それらの間に組織を把持するために互いに対して移動可能である上部ジョー部材110’と、下部ジョー部材120’とを含む。
【0057】
さらに図1Bを参照すると、各シャフト12a’及び12b’は、その近位端16a’及び16b’に配置されたハンドル17a’及び17b’を含み、それらは各々、ユーザの指を受け入れるために、それらを貫通した指穴18a’及び18b’をそれぞれ画定している。理解され得るように、指穴18a’及び18b’は、互いに対するシャフト12a’及び12b’の移動を容易にし、これは、ひいてはジョー部材110’及び120’を、組織を操作するためにジョー部材110’及び120’が互いに対して間隔を置いた関係に配置された開放位置から、それらの間に組織を把持するためにジョー部材110’及び120’が協働するクランピング又は閉鎖位置へ枢動させる。
【0058】
枢動中に様々な位置でジョー部材110’及び120’を互いに対して選択的に係止するためにラチェット30’が含まれる。実施形態では、協働するラチェットインターフェース30’に関連付けられた各位置は、シャフト部材12a’及び12b’に特定の、すなわち一定のひずみエネルギーを保持し、これは、ひいては、特定の閉鎖力をジョー部材110’及び120’に伝達する。ラチェット30’は、ユーザがジョー部材110’と120’との間に所望される閉鎖力の量を容易かつ迅速に確認及び制御することを可能にする、目盛り又は他の視覚的マーキングを含み得ることが想定される。シャフトのうちの1つ、例えば、12b’は、電気外科用ケーブル310及びプラグ300を介して鉗子10’をRFエネルギー源(図示せず)に接続するように設計された近位シャフトコネクタ/フランジ19’を含む。内部作業電気接続及び様々な想定される鉗子10’に関する詳細は、同一所有者の米国特許出願第10/962,166号、米国特許出願第10/991,157号、及び米国特許出願第10/873,860号に開示されており、それらは全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0059】
上で言及されるように、2つの機械的要因は、封止された組織の結果として得られる厚さ及び封止の有効性、すなわち、対向するジョー部材110’と120’の間に加えられた圧力、及び封止プロセス中の対向するジョー部材110’と120’との間のギャップを判定する際に重要な役割を果たす。正しい力を適用することは、他の理由のために、すなわち、組織に十分な電流が流れるように組織のインピーダンスを十分に低い値に低減するため、及び良好な封止に必要な所要の封止厚を作成することに寄与することに加えて、組織を加熱する間の膨張力を克服するためにも重要である。
【0060】
本明細書の目的のために、電極アセンブリ100及び100’は、同じ一般構成を含み、外科医が、ブレード及び/又はエンドエフェクタアセンブリの移動を制限しながら一貫した高品質の組織横切開をより容易にかつより簡単に生成することができるように設計されている。しかしながら、ブレードアセンブリ200を備える電極封止アセンブリ100(又は100’)を、切開又は内視鏡器具のための特定の支持構造に適合させるために、各電極封止アセンブリ100(又は100’)に対して特定の修正を行う必要があり得る。組織に印加されるRFエネルギーの強度、周波数、及び持続時間を制御することにより、ユーザは、特定の目的のために必要に応じて組織を選択的に封止することができる。理解され得るように、異なる組織タイプ及び各組織タイプに関連する物理的特性は、異なる電気的封止及び/又は切断パラメータを必要とし得る。
【0061】
図2A図2B、及び図2Cは、本開示による電極封止アセンブリ100(又は100’)の下部ジョー120の拡大図を示す。下部ジョー部材120の前部は、下部封止表面122の下の下部ジョー部材120の中央部分におけるブレードチャネル210を示すために切り取られている。理解され得るように、記載されるような同様の構成要素を有する第2のジョー110は、ジョー部材120に対向して位置付けられている。ジョー部材120の要素のみが本明細書に記載されているが、ジョー部材110もまた、同様の目的を達成するように設計された同一の及び/又は同様の要素を含み得、これにより、双極電気外科用エネルギーが、2つのジョー部材110と120との間に保持された組織を通して伝導されて、組織の封止及び/又は分割をもたらすことができる。様々な考察された実施形態では、内部作業電気接続及び下部ジョー部材120の様々な構成要素に関する詳細は、上で言及される同一所有者の特許出願のうちの1つ以上に開示されている。
【0062】
ここで図2Aを参照すると、下部ジョー部材120は、本開示によるブレードアセンブリ200を含む。下部ジョー部材120の前部は、下部封止表面122の下の下部ジョー部材120の中央部分におけるブレードチャネル210を示すために切り取られている。より具体的には、下部ジョー部材120は、ジョー部材110(図2Aには図示せず)及び120が閉じられたときに形成されるブレードチャネル210を有するブレードアセンブリ200を含む。言い換えれば、実施形態では、ブレードチャネル210は、2つのブレードチャネル半体、すなわちジョー部材110(図2Aには図示せず)の封止プレート112内に配置されたブレードチャネル半体210aと、ジョー部材120の封止プレート122内のブレードチャネル半体210bと、を含む。ブレードチャネル210は、ジョー部材120の長手方向中心線を通って延在する。ブレードチャネル210は、湾曲度がない直線状のスロットとして構成され得るか、又は代替的に、ブレードチャネル210は、ある程度の曲率を含むように寸法決めされ得ることが想定される。ブレードチャネル210はまた、ブレードチャネル210の長手方向底部分に1つ以上のトラフ220を含む。ブレードチャネル210内の奥まったところに、近位端213、遠位端214、及び近位端と遠位端との間に延在する刃先215を有するブレード212が位置している。図2Aに最良に見られるように、ブレード212は、最遠位又は非作動位置にある。したがって、遠位端214は、その最遠位位置にあり、刃先215は、封止表面122の上方又は外に上昇していない。
【0063】
ここで図2Bを参照すると、わずかに作動された後のブレード212が示されている。より具体的には、ブレードの移動に関して、1つ以上のフランジ230は、ブレード212の刃先215の反対側に位置付けられている。ブレード本体212のフランジ230は、ブレードチャネル210の底部に接触し、1つ以上のトラフ220内に位置付けられている。トラフ220は、ほとんど湾曲を有しない斜面として構成され得ることが想定される。言い換えれば、トラフ220の近位壁222は、面取りされた縁であり得る。代替的に、トラフ220の近位壁222は、湾曲を有する斜面として構成され得る。図2Bに見られるように、ブレードアセンブリ200がわずかに作動されると、フランジ230は、近位壁222にすぐ隣接する位置又は近位壁222上の位置まで近位に移動する。結果として、刃先215は、封止表面122の上方又は外に上昇する。
【0064】
ここで図2Cを参照すると、ブレード212が完全に作動した位置に示されている。より具体的には、ブレード本体212のフランジ230は、トラフ220の上部又はトラフ220の近位壁222の最遠位部分に接触している。ブレード212が完全に作動され、その完全に伸長された位置に置かれると、ブレード212の刃先215は、下部封止面122から上方にかつ外に、並びにブレードチャネル210の遠位縁に近接して移動する。ブレードは、組織を穿孔するために第1の上方向に、次いで組織を横切って切断するために第2の近位方向に移動できることが想定される。したがって、ブレード212及びトラフ220は、特定の目的に応じて、1つ以上の既定された距離及び/又は方向に移動するように寸法決めされ得る。
【0065】
図3A図3B、及び図3Cは、本開示による電極封止アセンブリ100(又は100’)の下部ジョー120の拡大概略断面側面図を示す。ブレード212は、ブレード本体212のブレードシャフトに沿って配置された複数の個々の切断要素212a、212b、212c、及び212dを含むように寸法決めされ得る。理解され得るように、特定の外科的目的に適合するように任意の数の切断要素212a~212xが利用され得る。同様に、組織を横切開するために切断要素212a~212dと協働するように対応する数のブレードトラフ220a~dが利用され得る。
【0066】
特に図3A図3Cに関して、単一の切断要素212a及びトラフ222aをその動作と共に詳細に説明する。上で言及されるように、ブレードアセンブリ200は、その中に画定されたブレードチャネルを含む。ブレードチャネル210は、近位端218、遠位端219、及び近位端と遠位端との間に位置付けられた1つ以上のトラフ220a~220dを有するように示されている。各トラフにおいて、例えば、トラフ220dは、対応する近位壁222d、遠位壁223d、及び既定された深さを有する。トラフ220dの近位壁222dは、既定された形状を有し、かつ/又は湾曲度がない直線状の縁として構成され得ることが想定される。代替的に、トラフ220dの近位壁222dは、ある程度の湾曲度を含むように寸法決めされ得る。ブレード本体212は、近位端213、遠位端214、及び近位端と遠位端との間に延在する切断要素212a~212dを含む。各切断要素212a~212dは、対応する刃先215a~215dと反対側に位置付けられたフランジ230a~230dを含む。フランジ230は、各切断要素212a~212dがチャネル210と摺動連通するように、対応するトラフ220に隣接して配置される。したがって、近位方向へのブレード212の移動は、フランジ230a~230dをトラフ222a~222dの近位壁に対して摺動させ、切断要素212a~212dを、1つ以上の既定された方向及び/又は連続して複数の方向に移動させる。
【0067】
ここで図3Aを参照すると、ブレード212は、最遠位又は非作動位置にある。したがって、遠位端214は、その最遠位位置にあり、ブレードチャネル210の遠位端219にすぐ隣接している。結果として、刃先215は、封止表面122の上方又は外に上昇していない。
【0068】
ここで図3Bを参照すると、ブレードが作動されると、フランジ230a~230dがトラフ220a~220dの近位端222a~222dに接触する。想定される一実施形態では、トラフ220は、その底部に容器228を有するように構成され得る。言い換えれば、トラフ220の底部は、切断要素が作動されていないときにフランジ230a~230dがトラフ220a~220d内に残り、ブレード212が作動されると切断要素212a~212dを組織内に迅速に延在させるように丸みを帯びていてもよい。例えば、トラフの丸い部分は、最初にブレードを組織内へ付勢するために、長手方向中心軸A-A’から約50度~90度の傾斜を有し得る。トラフの近位端は、切断を容易にするために、長手方向中心軸A-A’から約10度~70度の傾斜を有し得る。
【0069】
さらに、異なるトラフ、例えば、トラフ220aは、別のトラフ220dとは異なる初期角度を有し得る。さらに図3Bを参照すると、ブレード212及びブレードチャネル210が摺動連通するとき、ブレード212は、矢印275によって示されるように近位方向に作動されると、少なくとも2つの連続した方向に方向付けられる。例えば、初期作動は、実質的に上向きであり得る第1の方向にブレード212を方向付け得、連続的な作動は、実質的に近位方向にブレード212を方向付け得る。したがって、トラフ220a~220dの既定された形状は、ブレードを1つ以上の既定された方向に移動させる。近位壁222は、ブレード212を方向付けるために、多くの形状、傾斜、及び深さを有し得ることが想定される。この場合、矢印275の方向における作動は、切断点235a~235dを封止表面122の上方又は外に上昇させる。図8Cに最良に示されるように、この初期の第1の移動は、下部封止表面122上に配置された組織を穿刺するのに十分に適している。
【0070】
ここで図3Cを参照すると、アクチベータ70(図3Cには示されていない)の圧縮移動は、ブレード212を最近位位置に移動させて、切断ストロークを完了する。したがって、フランジ230a~230dは、トラフ222a~222dの近位壁の上部に押し上げられる。ブレード212’は、非作動ブレード212(図3A)と完全に作動したブレード(図3C)との間の差を示すために仮線で示されている。矢印300と300’との間の距離「A」によって示されるように、遠位縁214は、近位方向に移動する。距離Aは、約5mm~約1cmの範囲であってもよい。矢印325と325’との間の距離「B」によって示されるように、切断点235a~235dは、約5mm~約1cmの範囲で上向き方向に移動する。
【0071】
図4A図4B図4C、及び図4Dは、本開示による電極封止アセンブリ100(又は100’)の様々なブレード312、412、512、及び612の拡大概略側面図を示す。例えば、ブレード312は、上部刃先315及びブレードチャネル310(図示せず)に対応する底部縁357を有する既定された形状を有する。ブレード312の長さはまた、ブレード312が組み立てられるエンドエフェクタアセンブリのサイズ及び/又は鉗子が切断するのに好適である組織のタイプなどの要因に応じて既定される。実施形態では、ブレードの長さは、約3.5cmの長さのジョーを有するエフェクタアセンブリに適合するように選択される。
【0072】
実施形態では、ブレード312は、約0.5cm~約5cmの長さを有する。ブレード312は、切断ブレード312の中心長手方向軸A-A’から離れて延在する1つ以上の切断要素316を有するように構成され得ることが想定される。各切断要素は、ブレード本体312から延在する実質的に平坦な面317を有し得、平坦な面は、切断点335で終端する。平坦な面は、ブレードチャネル310(図4A図4B図4C及び図4Dには示されていない)内に窪むように十分に薄い幅を有する。平坦な面は、約1mm~約100mmの幅を有し得る。実施形態では、平坦な面は、約10mm~約30mmの幅を有し得る。平坦な面は、切断点335とブレードシャフトの上部385との間に位置付けられた第2の刃先340を有する。平坦な面の近位縁は、第2の刃先340を形成するために鋭い縁を有し得る。第2の刃先340は、切断点とブレードシャフトの上部385との間に湾曲度を有しない直線状の縁として構成され得ることが想定される。代替的に、第2の刃先は、切断点340とブレードシャフトの上部385との間にある程度の湾曲度を含むように寸法決めされ得る。
【0073】
ブレード312は、切断ブレード312の中心長手方向軸A-A’から離れて延在する1つ以上のフランジ330を有するように構成され得ることが想定される。各フランジは、実質的に平坦な表面332を有し、ブレード本体312から延在し得、平坦な表面は、縁又は点334で終端する。平坦な表面は、ブレードチャネル310(図4A図4B図4C及び図4Dには示されていない)内に窪むのに十分に薄い幅を有する。いくつかの実施形態では、平坦な表面は、約1mm~約100mmの幅を有し得る。いくつかの実施形態では、平坦な表面は、約10mm~約30mmの幅を有し得る。平坦な表面は、縁又は点334とブレードシャフトの底部390との間に位置付けられた近位縁350を有する。フランジ350の近位縁は、縁又は点334とブレードシャフトの底部390との間に湾曲度を有しない直線状の縁として構成され得ることが想定される。代替的に、フランジ350の近位縁は、切断点とブレードシャフトの底部390との間にある程度の湾曲度を含むように寸法決めされ得る。
【0074】
ここで図4Aを参照すると、平坦な面317は、切断点335とブレードシャフトの上部385との間に位置付けられた第2の刃先340を有する。言い換えれば、平坦な面317の近位縁は、第2の刃先340を形成する鋭い縁を有する。ここで、第2の刃先340は、切断点335とブレードシャフトの上部385との間に実質的に湾曲度を有しない直線縁として構成されている。さらに、フランジ330の平坦な表面は、縁又は点334とブレードシャフトの底部390との間に位置付けられた近位縁350を有する。フランジ350の近位縁は、縁334とブレードシャフトの底部390との間に実質的に湾曲度を有しない直線状の縁として構成されている。縁334はまた、実質的に丸い又は湾曲した縁として示されている。
【0075】
ここで図4Bを参照すると、本開示による電極封止アセンブリ100(又は100’)の別のブレード412の拡大概略側面図が示されている。ブレードの形状及び寸法は、刃先、切断歯の数、及びトラフが、切断される組織のタイプ、ジョー部材の寸法、及びブレードチャネル(図4Bには示されていない)の寸法を含む、いくつかの要因に応じて変化し得るという点で既定されている。ここで、ブレード412は、ブレードの長手方向軸から延在する2つ以上の切断歯416を有する。より具体的には、3つの歯が、軸A-A’から延在する。しかしながら、1~50個の切断歯416などの複数の切断歯が、軸A-A’から延在し得ることが想定される。さらに図4Bを参照すると、ブレード412は、ブレードの長手方向軸A-A’から延在する対応する数のフランジを有し、より具体的には、3つのフランジが軸から延在する。フランジ430の数は、刃先416の数とは異なり得ることが想定される。
【0076】
平坦な面417は、切断点435とブレードシャフトの上部485の底部との間に位置付けられた第2の刃先440を有する。平坦な面417の近位縁は、第2の刃先440を形成する鋭い縁を有する。第2の刃先440は、切断点と長手方向軸A-A’との間に実質的に高い湾曲度を有する実質的に湾曲した縁として構成される。さらに、フランジの平坦な表面445は、縁又は点434とブレードシャフトの底部490との間に位置付けられた近位縁450を有する。フランジ450の近位縁は、円弧が近位中心を有するように形成されるように、縁434とブレードの長手方向軸A-A’との間に実質的に高い湾曲度を有する湾曲した縁として構成されている。縁434はまた、実質的に丸い又は湾曲した縁として示されている。
【0077】
ここで図4Cを参照すると、ブレード512の別の実施形態が示されている。第2の刃先540は、切断点とブレードシャフトの上部585との間に実質的に湾曲度を有しない実質的に直線状の縁として構成されている。さらに、フランジの平坦な表面は、縁又は点534とブレードシャフトの底部590との間に位置付けられた近位縁550を有する。フランジ550の近位縁は、縁534とブレードシャフトの底部590との間に湾曲度を有しない直線状の縁として構成されている。縁534もまた、点として示される。
【0078】
ここで図4Dを参照すると、さらに別の想定されるブレード設計612が示されている。第2の刃先640は、円弧が遠位中心を有するように形成されるように、切断点635とブレードシャフトの上部685との間に実質的に高い湾曲度を有する実質的に湾曲した縁として構成されている。さらに、フランジの平坦な表面は、縁又は点634とブレードシャフトの底部690との間に位置付けられた近位縁650を有する。フランジ650の近位縁は、円弧が遠位中心を有するように形成されるように、縁634とブレードシャフトの底部690との間に実質的に高い湾曲度を有する湾曲した縁として構成されている。縁634はまた、実質的に丸い又は湾曲した縁として示されている。
【0079】
図5に例解されるように、ジョー部材120は、支持プレート129、絶縁プレート129’、及び導電性封止表面122を封入するジョーハウジング124を含む。同様に、導電性表面122、絶縁プレート129’、及び支持プレート129は、組み立てられたときに、ブレード212(図5には示されていない)の往復運動のためにそれらを貫通して画定された、それぞれの長手方向に配向されたブレードチャネル210a、210a’、及び210a’’を含む。図5に最良に見られるように、プレートチャネル210aの底部は、支持プレート129の表面から形成されている。したがって、トラフ220は、支持プレート129の表面から切り取られている。
【0080】
ここで図6を参照すると、切開双極鉗子は、ブレード212を支持するように構成されている。シャフト12bは、2つの構成要素、すなわち12b1及び12b2から構築されており、これらは、シャフト12bを形成するために、シャフト12aの遠位端16aを中心に互いに嵌合係合する。2つの構成要素半体12b1及び12b2は、複数の異なる溶接点で一緒に超音波溶接され得るか、又は構成要素半体12b1及び12b2は、任意の他の公知の様式で機械的に係合、スナップ嵌め、接着、ねじ留めなどされ得る。構成要素半体12b1及び12b2が互いに溶接されてシャフト12bを形成した後、シャフト12aは、枢動部65を中心に固定され、シャフト12aがシャフト12bに対して移動可能であるように、シャフト部分12b2内に画定された切り欠き又はレリーフ21内に位置付けられる。
【0081】
より具体的には、ユーザがシャフト12bに対してシャフト12aを移動させてジョー部材110及び120を閉鎖又は開放するとき、シャフト12aの遠位部分は、部分12b2内に形成された切り欠き21内を移動する。ブレード212は、切断機構80に取り付けられて示されている。ブレード212を近位方向及び/又は遠位方向に移動させるためにデバイスを作動させることができることが想定される。鉗子10の内部作業構成要素の協働的相互関係に関するさらなる詳細は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる同一所有者の米国特許出願第10/962,116号に開示されている。
【0082】
ここで図7A及び図7Bを参照すると、ブレード212が非作動位置にあり、完全に凹んでいるとき、ブレード212は、ジョー部材110及び120のいずれかの中に位置することができる。図7Aに最良に見られるように、ブレード212は、下部ジョー部材120において示されており、空のブレードチャネル半体210bは、ジョー部材110内に配置されている。図7Bに最良に見られるように、ブレード212は、上部ジョー部材110において示されており、空のブレードチャネル半体210aは、ジョー部材120内に配置されている。ブレードの位置付けは、とりわけ、外科医のニーズ及び要望に応じて既定される。
【0083】
ここで図8A図8B図8C、及び図8Dを参照すると、上部ジョー部材110及び下部ジョー部材120を有する、組織を封止するための電気外科用鉗子が示されている。軸850は、ジョー部材110、120が、互いに対して離間した関係の第1の位置から少なくとも1つのその後の位置に移動可能であることを表すように示されている。したがって、ジョー部材110、120は、移動可能であり、それらの間に組織を把持するために協働する。上に記載されるように、ジョー部材のうちの少なくとも1つは、その長さに沿って画定されたブレードチャネル210を有する。ジョー部材のうちの1つ以上は、近位端、遠位端、及び近位端と遠位端との間に位置付けられた1つ以上のトラフ220を有するブレードチャネル210を含む外科用ブレードアセンブリ200を含む。近位端、遠位端、及び刃先215を有するブレード本体212は、近位端と遠位端との間に延在し、1つ以上のフランジ230は、刃先215の反対側に位置付けられている。上に記載されるように、フランジ230は、ブレード本体212がブレードチャネル210と摺動連通するように、1つ以上のトラフ220内に配置される。
【0084】
ここで図8Aを参照すると、ジョー部材110及び120は、矢印600によって、互いに対して離間された関係の第1の位置から少なくとも1つのその後の位置に移動されるように示されている。示されるように、ジョー部材110及び120は、それらの間に組織400を把持するように移動されている。ジョー部材の各々は、鉗子が作動されたときに、それらの間に保持された組織400を通して電気外科用エネルギーを伝達する導電性封止プレート112、122を含む。
【0085】
図8Bは、矢印600’に従って組織400の周囲に閉鎖するジョー部材110及び120を示す。
【0086】
図8Cは、ブレード212が近位方向に作動されていることを示す。近位移動により、複数のフランジ230が対応する複数のトラフ220に対して摩擦され、その結果、切断点235が組織400を穿刺する。矢印800は、近位壁222の傾斜に実質的に等しい切断点235の方向及び角度を示す。
【0087】
ここで図8Dを参照すると、ブレード方向は、近位方向に作動されるように矢印700’によって示される。近位の移動は、フランジ230をブレードチャネル210aに対して摩擦させ、その結果、刃先215が組織400を切断する。矢印800’は、トラフ220の上の壁222に実質的に等しい切断歯216の方向を示す。
【0088】
ここで図9Aを参照すると、自動ブレード戻り特徴を有する切断機構を含むエンドエフェクタ800の別の実施形態が示されている。エンドエフェクタ800は、上に記載されるエンドエフェクタアセンブリと同様であり、したがって、異なる要素のみが以下で詳細に説明される。
【0089】
エンドエフェクタアセンブリ800は、各々が、組織の周囲に閉じられたときに互いに対してほぼ対向して配置されるそれぞれの導電性封止表面812及び822を有する上部及び下部ジョー部材810及び820を含む(図9A)。下部ジョー部材820の導電性封止表面822は、その中に切断機構805を収容するように構成された、導電性封止表面822に沿って長手方向に画定されたブレードチャネル825を含む。切断機構805は、スライドピン823を中心にジョー部材820の近位端に結合された近位フランジ821を有するブレード815を含む。ブレード815は、その作動時に、作動ロッド813を介したその作動時に、導電性封止表面822に対して垂直方向にスライドピン823の上を移動するように構成されている。
【0090】
作動ロッド813は、ジョー部材820の近位端に配置されており、ブレード815の下方にかつブレード815と垂直に位置合わせして配置されたブレードカム817に動作可能に接続するように構成されており、それにより、作動ロッド813の移動が、ひいては、ブレード815を、ジョー部材810、812の間に画定されたギャップ「G」に押し込んで、組織を切断する。より具体的には、ブレードカム817は、ブレード815内に画定された対応する一連のカムスロット815a~815cと動作可能に係合するように構成された一連のカム表面819a~819cを含み、これにより、作動ロッド813の方向「P」への近位移動は、ブレードカム817を近位方向へ移動させ、カム表面819a~819cをカムスロット815a~815cと係合させて、ブレード815を方向「E」にギャップ「G」内へ延在させ、組織を切断する(図10A)。異なる角度のカム表面819a~819cが、ブレードのギャップ「G」への多少強引な延在を可能にすることが想定される。
【0091】
係合角度を構成することは、様々な利点及び欠点を有し、異なる目的又は異なる器具構成のために設計され得る。例えば、角度がより急であると、組織を切断するための作動ロッド813の移動が少なくなるが、作動ロッド813を移動させるためにはより大きな力が必要とされる。角度を減少させることにより、作動力を低減させるが、作動ロッド813のストロークが長くなり、これはアクチュエータ(図示せず)の設計を制限し得る。約45度(45°)の角度は、許容可能で再現可能な作動力を提供し、作動ロッドのストロークを約0.02~0.03インチに制限する傾向がある妥協角度として企図される。
【0092】
図9Bは、それぞれのカムスロット815b内に配置されたブレードカム817b及びギャップ「G」に対して凹んだブレードを示す、図9Aの線9Bに沿って取られた図9Aの概略断面図である。ブレード815は、その両側に配置された一対のブレードばね又はリビングヒンジ816a及び816bを含み、これらは各々が下部ジョー部材820の導電性封止表面822の下側に係合してこれを付勢するように構成されている。ブレードばね816a、816bは、作動ロッド813が解放されたときにブレード815をブレードチャネル825内の凹位置に戻すように構成されている。
【0093】
図10Bは、方向「P」におけるロッド813の作動時のブレード815の移動の概略図である。より具体的には、上記で参照されているように、方向「P」における作動ロッド813の近位移動は、ブレードカム817を近位方向へ移動させ、カム表面819a~819cをカムスロット815a~815cと係合させて、ブレード815を方向「E」にギャップ「G」に延在させ、組織を切断する(図10A)。カム表面819a~819cがカムスロット815a~815cに係合すると、ブレードばね816a~816bは、下部ジョー部材820の導電性封止表面822の下側に対して方向「D」で外向きに付勢する。ブレード815の縁815pは、それに沿ってブレードスロット825内に配置された組織を切断する。
【0094】
作動ロッド813の解放(又は遠位への移動)時、カム表面819a~819cは、カムスロット815a~815cから係合解除され、その中に再固定され、それによってブレード815をブレードチャネル825内にリセットする。より具体的には、ブレードばね816a、816bが方向「R」(図10C)に内側に移動するにつれて、ブレードばね816a、816bは、ブレード815を再びブレードチャネル825内へ付勢する。
【0095】
図9A及び図10Aに最良に見られるように、上で言及されるように、ブレードチャネル825内へのブレード815の移動は、概して垂直である。その結果、ブレード815の近位端821に画定されたスロット821aは、ブレード815が作動されるときに、ブレード815をスライドピン823に沿って垂直に摺動させるようにガイドする。スロット821aは、特定の目的に応じて、ブレードチャネル825内への及びブレードチャネル825外へのブレードの移動を変更するように、任意の様式で構成され得る。例えば、スロット821aは、ブレードタイプ、例えば、鋸歯状に応じて、より効果的な様態で組織を切断するためにブレード815の垂直方向及び水平方向の移動の両方を促進するように角度付けされ得る。
【0096】
エンドエフェクタは、作動ロッド813が作動され、ブレード815が組織を切断するために展開されるときに、ジョー部材810、820が開くことを防止するように構成されたブレードロックアウト機構を含み得ることが想定される。例えば、スライド枢動部823は、その作動時にジョー部材810、820を適所にロックするように構成され得る。他のロックアウト機構もまた企図される。
【0097】
前述のことから、かつ様々な図面を参照すると、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、本開示にある特定の修正が行なわれ得ることも理解するであろう。例えば、切断経路の近位運動が説明されているが、トラフが反転され得、それにより、トラフ220の遠位壁が、湾曲を有する又は湾曲を有しない傾斜として構成され得ることが企図される。したがって、ブレードの遠位作動は、特定の目的に応じて、及び/又はユーザによる操作を容易にするために、ブレードチャネル内に組み込まれ得る。ここで、ユーザは、本明細書に記載されるように、近位の作動によってそれを引っ張る代わりに、ブレードを組織に押し通すことができる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C