(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004106
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】アレイ型超音波映像装置及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
G01N 29/265 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
G01N29/265
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105609
(22)【出願日】2021-06-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸本 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】北見 薫
(72)【発明者】
【氏名】神長 誠
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AB04
2G047AC10
2G047BA03
2G047BB01
2G047BB06
2G047BC03
2G047BC09
2G047CA01
2G047DB02
2G047DB12
2G047EA07
2G047GF34
(57)【要約】
【課題】アレイ型超音波プローブを往復走査して被検体の広範囲の反射波画像を生成するアレイ型超音波映像装置において、画像ズレの少ないアレイ型超音波映像装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の複数の振動子がリニアに並設された超音波アレイプローブ4を平面走査して被検体8の表面または積層境界面に超音波ビームを照射し、超音波反射波の信号強度を表示するアレイ型超音波映像装置1は、超音波アレイプローブが所定の走査順序で超音波ビームを照射する電子スキャンを行うと共に、振動子の並設方向に垂直な方向に超音波アレイプローブを往復移動するスキャン動作と振動子の並設方向と平行に超音波アレイプローブを移動するシフト動作とにより超音波アレイプローブを平面走査し、超音波ビームを所定の走査順序で照射することにより、スキャン動作の往路と復路の切り替わった位置における超音波反射波の表示のズレを補正するようにした。
【選択図】
図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の振動子がリニアに並設された超音波アレイプローブを平面走査して被検体の表面または積層境界面に超音波ビームを照射し、被検体からの超音波反射波の信号強度を表示するアレイ型超音波映像装置であって、
前記超音波アレイプローブが設定したスキャン条件に従って被検体に所定の走査順序で超音波ビームを照射する電子スキャンを行うと共に、前記振動子の並設方向に垂直な方向に超音波アレイプローブを往復移動するスキャン動作と前記振動子の並設方向と平行に超音波アレイプローブを移動するシフト動作とにより前記超音波アレイプローブを平面走査し、
前記超音波ビームを所定の走査順序で照射することにより、前記スキャン動作の往路と復路の切り替わった位置における前記超音波反射波の表示のズレを補正すること
を特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記超音波ビームの照射位置毎に前記超音波アレイプローブの振動子群の超音波の送受信を制御する振動子動作信号生成部と、
前記電子スキャンの走査順序に対応する前記振動子群を選択するタイミング処理部と、
前記振動子動作信号生成部に前記タイミング処理部を経由して振動子動作信号の生成を指令し前記超音波アレイプローブの前記電子スキャンを開始する送受信指令部と、
前記超音波アレイプローブのスキャン動作に同期して前記送受信指令部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記タイミング処理部は、
電子スキャンの一端の照射点に超音波ビームを照射し、つぎに対向する他端の照射点に超音波ビームを照射し、そして、外側から央部に向けて交互に順に超音波ビームを照射する走査順序になるように前記振動子群を選択する
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項4】
請求項3に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記タイミング処理部は、
前記超音波アレイプローブの移動の進行方向に向かって、超音波ビームの照射点が、見かけ上、くの字状または逆くの字状になるように前記振動子群を選択する
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項5】
請求項2に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記超音波アレイプローブの振動子の並設方向に垂直な方向に超音波アレイプローブを所定速度で連続移動するX軸スキャナと、
前記振動子の並設方向と平行に超音波アレイプローブを移動するY軸スキャナと、を備え、
前記超音波アレイプローブが前記電子スキャンを行うと共に、前記X軸スキャナが前記超音波アレイプローブを所定の向きに連続移動する往動スキャン動作と、
前記Y軸スキャナが前記超音波アレイプローブを電子スキャンの走査幅分移動するシフト動作と、
前記超音波アレイプローブが前記電子スキャンを行うと共に、前記X軸スキャナが前記超音波アレイプローブを前記往動スキャン動作とは逆向きに連続移動する復動スキャン動作と、
を繰り返して、前記超音波アレイプローブが前記被検体を平面走査する
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項6】
請求項5に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記制御部は、
前記超音波アレイプローブが前記被検体を平面走査する座標系を、前記超音波アレイプローブの振動子の並設方向に垂直な方向をX軸方向、前記振動子の並設方向をY軸方向とし、平面走査する超音波ビームの最初の照射点を座標原点とした場合に、
前記シフト動作の直前の電子スキャンの開始位置のX座標位置と、前記シフト動作の直後の電子スキャンの開始位置のX座標位置とが、等しくする
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項7】
請求項1に記載のアレイ型超音波映像装置において、
被検体からの超音波反射波を超音波ビームの照射位置毎に受信して反射波の信号強度を求め、前記平面走査に対応し矩形に区分された表示領域の所定位置に、前記信号強度に対応する濃度の画像を表示する
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項8】
請求項1に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記振動子により受信した前記超音波ビームの反射波の信号強度を算出する反射波信号処理部
を備えることを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項9】
請求項8記載のアレイ型超音波映像装置において、
超音波アレイプローブの一回の電子スキャンで検出した被検体からの反射波を、X軸方向の位置が同一の超音波ビームの反射波として反射波の信号強度を算出し、濃淡画像を求める反射波画像生成部と、
前記反射波画像生成部で求めた濃淡画像を、被検体の平面走査した超音波ビームの反射波の濃淡画像として表示する表示部と、
を備えることを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項10】
複数の振動子がリニアに並設された超音波アレイプローブを往復スキャン動作して被検体の表面または積層境界面に超音波ビームを照射し、被検体からの超音波反射波の信号強度を表示するアレイ型超音波映像装置の制御方法であって、
前記超音波アレイプローブが超音波ビームを順次照射して電子スキャンする際に、
電子スキャンの一端の第1の照射点に超音波ビームを照射するステップと、
前記ステップの超音波ビームに照射のつぎに、前記第1の照射点に対向する他端の第2の照射点に超音波ビームを照射するステップと、
を含むことを特徴とするアレイ型超音波映像装置の制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載のアレイ型超音波映像装置の制御方法において、
前記第1の照射点の中心側に隣接する第3の照射点に超音波ビームを照射するステップと、
前記ステップの超音波ビームに照射のつぎに、前記第3の照射点に対向し前記第2の照射点の中心側に隣接する第4の照射点に超音波ビームを照射するステップと、
を端部から央部に向けて交互に順に繰り返す
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置の制御方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載のアレイ型超音波映像装置の制御方法において、
前記超音波アレイプローブをスキャン動作するX軸スキャナのエンコーダ出力の有無を検出するステップと、
前記エンコーダ出力を検出した際に、電子スキャンの一端の第1の照射点に超音波ビームを照射するステップと、
を含むことを特徴とするアレイ型超音波映像装置の制御方法。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載のアレイ型超音波映像装置の制御方法において、
前記超音波アレイプローブの振動子の並設方向に垂直な方向に超音波アレイプローブを所定速度で連続移動する第1のスキャン動作をするステップと、
第1のスキャン動作とは逆向きに超音波アレイプローブを所定速度で連続移動する第2のスキャン動作をするステップと、
前記電子スキャンの走査幅分、前記振動子の並設方向と並行に前記超音波アレイプローブを移動するシフト動作をするステップと、を含み、
第1のスキャン動作するステップと第2のスキャン動作をするステップとに並行して前記電子スキャンを行う
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレイ型超音波映像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体などの被検体に超音波を照射して、その反射波に基づいて被検体内部の画像情報を生成し、被検体内部の欠陥を検出する超音波映像装置がある。この超音波映像装置によれば、非破壊による高分解能検査を行うことができ、電子部品の信頼性を確保できる。
【0003】
超音波映像装置の一形態に、単一の振動子で構成するシングルプローブを有する超音波映像装置がある。このシングルプローブを有する超音波映像装置では、シングルプローブを被検体の表面または積層界面の所定エリアのX方向・Y方向に機械的に走査して、超音波の被検体への照射と反射波の検出を行う。
【0004】
この超音波映像装置のタクトタイムを短くするためには、シングルプローブの走査速度を速くする必要がある。しかし、被検体とシングルプローブを浸水する超音波映像装置では、シングルプローブの走査速度を速めると、泡の巻き込みや波立ち等の画像劣化の原因となる現象が発生する問題が生じる。
【0005】
このため、例えば、複数の圧電振動素子を有するアレイ型超音波センサを備え、アレイ並び方向には電子的に走査し、さらにアレイ並びの法線方向には機械走査することで、検査対象の内部からの反射信号を用いて検査画像を生成する超音波検査装置がある(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の先行技術によれば、プローブの走査速度を低減できるので、泡の巻き込みや波立ち等の画像劣化の原因となる現象の発生を低減できる。しかし、アレイ型超音波プローブを往復機械走査して被検体の広範囲の反射波画像を生成する際には、機械走査の端部、つまり、機械走査の往路と復路の切り替わった位置等において、超音波反射波の画像にズレが生じることがある。特許文献1には、アレイ型超音波プローブを往復機械走査することの記載はなく、この問題について考慮されていない。
【0008】
本発明の目的は、アレイ型超音波プローブを往復走査して被検体の反射波画像を生成するアレイ型超音波映像装置において、画像ズレの少ないアレイ型超音波映像装置及びその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明のアレイ型超音波映像装置は、複数の振動子がリニアに並設された超音波アレイプローブを平面走査して被検体の表面または積層境界面に超音波ビームを照射し、被検体からの超音波反射波の信号強度を表示するアレイ型超音波映像装置であって、前記超音波アレイプローブが設定したスキャン条件に従って被検体に所定の走査順序で超音波ビームを照射する電子スキャンを行うと共に、前記振動子の並設方向に垂直な方向に超音波アレイプローブを往復移動するスキャン動作と前記振動子の並設方向と平行に超音波アレイプローブを移動するシフト動作とにより前記超音波アレイプローブを平面走査し、前記超音波ビームを所定の走査順序で照射することにより、前記スキャン動作の往路と復路の切り替わった位置における前記超音波反射波の表示のズレを補正する。
【0010】
また、本発明のアレイ型超音波映像装置の制御方法は、複数の振動子がリニアに並設された超音波アレイプローブを往復スキャン動作して被検体の表面または積層境界面に超音波ビームを照射し、被検体からの超音波反射波の信号強度を表示するアレイ型超音波映像装置の制御方法であって、前記超音波アレイプローブが超音波ビームを順次照射して電子スキャンする際に、電子スキャンの一端の第1の照射点に超音波ビームを照射するステップと、前記ステップの超音波ビームに照射のつぎに、前記第1の照射点に対向する他端の第2の照射点に超音波ビームを照射するステップと、を含むようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アレイ型超音波プローブを平面走査して被検体の超音波反射画像を生成するアレイ型超音波映像装置において、アレイ型超音波プローブのスキャンの往復動において生じる反射波画像の画像ズレを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態のアレイ型超音波映像装置の全体構成を示す図である。
【
図2】アレイ型超音波映像装置におけるプローブの平面走査の動作内容を説明する図である。
【
図3A】比較例のプローブの超音波ビームの照射点について説明する図である。
【
図3B】比較例のプローブの平面走査における超音波ビームの照射点の位置を示す図である。
【
図4A】反射波における信号強度の時間変化の一例を示す図である。
【
図4B】反射波の信号強度を0~255の階調度に変換することを説明する図である。
【
図4C】超音波ビームの照射点と短冊状に3つの反射率の異なる領域を有する被検体8の位置関係を示す図である。
【
図4D】
図4Cにおける電子スキャンのよる超音波画像を示す図である。
【
図5A】比較例のプローブ4により被検体の外形を走査エリアとした際の、電子スキャンの照射点の位置を示す図である。
【
図5B】
図5Aの電子スキャンのよる超音波画像を示す図である。
【
図6A】実施形態のプローブ4の超音波ビームの照射点について説明する図である。
【
図6B】プローブの平面走査における超音波ビームの照射点の位置を示す図である。
【
図7A】実施形態における被検体の外形を走査エリアとした際の、電子スキャンの照射点の位置を示す図である。
【
図7B】
図7Aの電子スキャンのよる超音波画像を示す図である。
【
図8】アレイ型超音波映像装置の平面走査の動作を説明するフロー図である。
【
図9】電子スキャンの処理の詳細を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施形態のアレイ型超音波映像装置の全体構成を示す図である。
【0014】
アレイ型超音波映像装置1は、3軸スキャナ2(走査手段)と、超音波アレイプローブ(以下、プローブ4と記す)を備えている。この3軸スキャナ2は、平面状の被検体8に対してプローブ4をX軸方向とY軸方向の二次元で走査(平面走査)する。これによりアレイ型超音波映像装置1は、平面状の被検体8を超音波によって映像化することができる。
【0015】
プローブ4は、多数の振動子を短冊状に並べたフェイズドアレイ超音波プローブである。詳しくは、多数の振動子における一部の複数の振動子(振動子群)のそれぞれの発振タイミングを制御して超音波収束ビーム(超音波ビーム)を作り、これを電子的に切り替えていくことで、照射位置を変えて超音波ビームを照射し、被検体8を一次元走査する。本明細書では、フェイズドアレイ超音波プローブによる電子的な超音波ビームの走査を電子スキャンと記す。
超音波ビームの反射波の受信制御も、振動子群を制御して行う。
【0016】
また、プローブ4が、単一の振動子から発生した超音波を音響レンズで集束して被検体に照射し、この振動子を短冊状に複数個構成されるようにしてもよい。この構成でも、振動子を電子的に切り替えていくことで、超音波ビームの照射位置を変えて、被検体8の電子スキャンを行う。
【0017】
プローブ4は、水槽91に満たされた水に浸漬され、プローブ4の先端が被検体8に対向するように配置される。プローブ4は、ホルダ24により3軸スキャナ2に取り付けられている。
水槽91は、台92の上に載置される。
【0018】
この3軸スキャナ2は、プローブ4を二次元で走査する際に、内蔵する位置変化を検出するエンコーダにより検出した直線位置または回転位置(角度位置)に基づいて、その走査位置を検出する。これにより、アレイ型超音波映像装置1は、被検体8の各走査位置(走査点)とエコー波との関係を二次元で映像化することができる。
【0019】
3軸スキャナ2は、プローブ4を走査するX軸スキャナ21及びY軸スキャナ22と、プローブ4と被検体8との間隔を可変するZ軸スキャナ23と、プローブ4を把持するホルダ24とを備える。
また、プローブ4は、検査前に台92によって高さが調整されると共に、Z軸スキャナ23により被検体8との間隔が調整される。
【0020】
プローブ4は、複数の振動子がリニアに並設された方向に垂直な方向(以下、この方向をX軸方向と呼ぶ)に、3軸スキャナ2のX軸スキャナ21により所定速度で連続移動(スキャン動作)され、その後、3軸スキャナ2のY軸スキャナ22により、複数の振動子の並設方向と並行に、電子スキャンの走査幅分の移動(シフト動作)が行われる。
【0021】
このホルダ24は、プローブ4の上部に設けられた鍔部42を支え、このプローブ4に上向きの力が加わったときにスムーズに上方向に動くようにしている。ホルダ24にはセンサ3が設けられており、プローブ4が上方向に動いたことを検知する。
【0022】
制御装置10は、制御部18、送受信指令部12、タイミング処理部13、振動子動作信号生成部14、反射波信号処理部15、反射波画像生成部16と表示部17を備え、3軸スキャナの制御、プローブ4の送受信制御と被検体8からのエコー波の表示制御とを行う。
【0023】
メカ制御部11は、X軸スキャナ21及びY軸スキャナ22が内蔵するエンコーダ出力に基づいて、X軸スキャナ21及びY軸スキャナ22を駆動し、プローブ4が被検体8上を平面走査する制御部である。
【0024】
送受信指令部12は、振動子動作信号生成部14にタイミング処理部13を経由して振動子動作信号の生成を指令し、プローブ4の電子スキャンを開始する制御部である。
【0025】
タイミング処理部13は、電子スキャンにおける超音波ビームの走査順序に対応するプローブ4の振動子群を選択する。
【0026】
振動子動作信号生成部14は、タイミング処理部13で選択された振動子群と走査順序とに従って振動子動作信号を生成し、走査点毎に、プロ―プ4に送信する。
プローブ4は、振動子動作信号生成部14の振動子動作信号により超音波ビームを照射する。
【0027】
反射波信号処理部15は、走査点毎に、プローブ4から超音波ビームの反射波の信号を受信し、ゲートを設けてゲート処理することによって反射波の変位(振幅)を求め、その変位によって信号強度を算出する。
【0028】
反射波画像生成部16は、反射波信号処理部15で算出した照射点毎の反射波の信号強度を、例えば、0~255の階調度に変換する。被検体8と水槽91の水との境界や被検体8の内部の材料境界・剥離部・ボイド部等の音響インピーダンス(密度)が変わる境界面では、超音波ビームの反射波が生じる。反射波画像生成部16は、超音波ビームの反射波が無い点を階調度が255、反射波の信号強度が大きくなるほど、階調度を小さくする。
【0029】
表示部17は、反射波画像生成部16で求めた超音波ビームの反射波の信号強度を、被検体8の平面走査した濃淡画像として表示する。具体的には、階調度が255の場合には黒色を表示し、階調度が0の場合に白色を表示し、階調度が中間値の場合には階調度に応じて灰色を表示する。
これにより、アレイ型超音波映像装置1は、平面走査した被検体8の空洞(周囲と密度の差が大きい)を白い画像として表示する。
【0030】
制御部18は、メカ制御部11を制御すると共に、メカ制御部11から通知されるX軸スキャナ21のエンコーダ出力に同期して、送受信指令部12を制御する。つまり、制御部18は、プローブ4のスキャン動作に同期して電子スキャンを開始する。これにより、プローブ4の電子スキャンによる被検体8のX軸方向の走査ピッチは、X軸スキャナ21のエンコーダ出力のピッチに等しくなる。
【0031】
つぎに、
図2により、アレイ型超音波映像装置1におけるプローブ4の平面走査の動作内容を説明する。
プローブ4は、例えば、192個の振動子がリニアに並設されて構成されるが、
図2には、プローブ4が、振動子a、b、c、d、e、f、gの7個の振動子で構成される場合を示している。
【0032】
アレイ型超音波映像装置1は、被検体8の設定された位置を走査の原点(
図2の走査エリアの左上)とし、走査エリアの大きさが指定されて、プローブ4の平面走査を行う。
まず、プローブ4の電子スキャンの開始点が走査の原点に位置するように、3軸スキャナ2を駆動して、プローブ4を移動する。詳しくは、電子スキャンはプローブ4の移動中に行うため、プローブ4が電子スキャンの開始点を通過する際の移動速度が所定値になるように、助走分を含めて移動する。
【0033】
平面走査の原点(開始位置)で、プローブ4は、振動子a、b、c、d、e、f、gによる電子スキャンを行うと共に、3軸スキャナ2のX軸スキャナ21により、振動子の並設方向に垂直な方向に移動する。そして、プローブ4は、X軸スキャナ21のエンコーダ出力に同期して、次の電子スキャンを行う。プローブ4は、これを走査エリアの幅分(X軸方向の大きさ分)、繰り返す。
【0034】
プローブ4が、上記のようにして、X軸方向のプローブ4の連続移動(スキャン動作1)をしながら、電子スキャンを繰り返して、Y軸方向の長さが電子スキャンの走査幅分で、X軸方向の長さが設定された走査エリアの幅分の帯状の走査エリアに超音波ビームを照射し、被検体8からの反射波を検出する。
【0035】
この際、制御装置10は、プローブ4の一回の電子スキャンで検出した被検体8からの反射波を、X軸方向の位置(走査列)が同一の超音波ビームの反射波として、反射波の信号強度を算出し、濃淡画像として表示する。
【0036】
つぎに、プローブ4は、3軸スキャナ2のY軸スキャナ22により、複数の振動子の並設方向と並行に、電子スキャンの走査幅分の移動(シフト動作)を行う。そして、プローブ4の電子スキャンの開始点が、上記のスキャン動作1の最後の電子スキャンの開始点と同一のX軸方向の位置になるように、X軸スキャナ21によりプローブ4を移動する。
【0037】
プローブ4は、振動子a、b、c、d、e、f、gによる電子スキャンを行うと共に、3軸スキャナ2のX軸スキャナ21により、スキャン動作1とは逆方向の振動子の並設方向に垂直な方向に移動する。そして、プローブ4は、X軸スキャナ21のエンコーダ出力に同期して、次の電子スキャンを行う。プローブ4は、これを走査エリアの幅分(X軸方向の大きさ分)、繰り返す。
【0038】
プローブ4が、上記のようにして、X軸方向のプローブ4の連続移動(スキャン動作2)をしながら、電子スキャンを繰り返して、Y軸方向の長さが電子スキャンの走査幅分で、X軸方向の長さが設定された走査エリアの幅分の帯状の走査エリアに超音波ビームを照射し、被検体8からの反射波を検出する。
【0039】
制御装置10は、上記のプローブ4のスキャン動作1とスキャン動作2により、指定された走査エリアをカバーできれば、平面走査を終了するが、不足の場合には、プローブ4を電子スキャンの走査幅分のシフト動作をして移動し、先の動作と同様の、電子スキャンすると共にスキャン動作3・シフト動作・スキャン動作4を行う。
制御装置10は、指定された走査エリアをカバーするまで上記の動作を繰り返して、被検体8の平面走査を行う。
【0040】
本明細書では、プローブ4のスキャン動作1、スキャン動作3…を往動スキャン動作(第1のスキャン動作)と記し、プローブ4のスキャン動作2、スキャン動作4…を復動スキャン動作(第2のスキャン動作)と記す。
【0041】
プローブ4は、上記のスキャン動作1、2、3、4で、連続移動しながら、電子スキャンを行うため、詳細には、超音波ビームの照射タイミングによって、超音波ビームの照射点のX軸方向の位置にずれが生じる。つぎに、超音波ビームの照射タイミングと照射点の関係について説明する。
【0042】
図3Aは、比較例のプローブ4の超音波ビームの照射点について説明する図である。
照射点a、b、c、d、e、f、gは、プローブ4の振動子a、b、c、d、e、f、gの電子スキャンによる超音波ビームの照射点である。特に、照射点aは、走査エリアの原点に対応する照射点であり、またスキャン動作の際に、X軸スキャナ21のエンコーダ出力に同期した電子スキャンの最初の超音波ビームの照射点である。
【0043】
プローブ4の電子スキャンは、スキャン動作の連続移動中に行う。
図3Aの実線の矩形は、最初に超音波ビームを照射する際のプローブ4の位置、破線の矩形は、最後に超音波ビームを照射する際のプローブ4の位置を示している。
比較例のプローブ4では、照射点aからプローブ4の他端に向けて順に超音波ビームを照射する。このため、照射点b、c、d、e、f、gは、スキャン方向に少しずつずれた位置となる。
【0044】
図3Bは、比較例のプローブ4のスキャン動作1とスキャン動作2の平面走査における超音波ビームの照射点の位置を示す図である。
比較例のプローブ4の照射点aは、X軸スキャナ21のエンコーダ出力に同期して電子スキャンが行われるため、スキャン動作1とスキャン動作2とで、X軸方向の位置が一致する(例えば、Xn座標)。しかし、照射点b、c、d、e、f、gは、スキャン方向に応じて少しずつずれた位置となる。
【0045】
ここで、プローブ4が照射した超音波ビームの反射波の超音波画像の表示について詳細説明する。
図4Aは、反射波信号処理部15で処理する反射波における信号強度の時間変化の一例を示す図である。反射波信号処理部15は、検査する被検体8の所定の深度に対応する時間を中心した所定時間幅における反射波の信号強度の変位(振幅)を求める。
【0046】
図4Bは、反射波画像生成部16が照射点毎の反射波の信号強度を0~255の階調度に変換することを説明する図である。反射波の信号強度が0(変位が0)のときを階調度255の黒色とし、反射波の信号強度が最大(変位が最大)のときを階調度0の白色とし、反射波の信号強度(変位)が大きくなるに従い、階調度を小さくし(中間値)、灰色とする。
【0047】
つぎに、比較例のプローブ4により電子スキャンした際の超音波画像を
図4C、
図4Dにより説明する。
図4Cは、プローブ4の超音波ビームの照射点と図に示すような短冊状に3つの反射率の異なる領域を有する被検体8の位置関係を示す図である。プローブ4の電子スキャンの最初の照射点は、3つの反射率の異なる領域のそれぞれの領域にあるが、プローブ4の移動中に電子スキャンを行うため、電子スキャンの最後の照射点は、隣りの短冊領域に入っている。
【0048】
図4Dは、
図4Cにおける電子スキャンのよる超音波画像を示す図である。
この際、反射波画像生成部16は、プローブ4の一回の電子スキャンで検出した被検体8からの反射波を、X軸方向の位置(走査列)が同一の超音波ビームの反射波として、反射波の信号強度を算出し、濃淡画像を求め、表示部17が超音波画像として表示する。このため、
図4Cで説明した被検体8と異なる反射率の分布の濃淡画像が表示される。
【0049】
以下に詳細を説明するが、この隣りの短冊領域に入った照射点の超音波画像が、X軸方向のスキャン動作の往路と復路の切り替わった位置における表示のズレに繋がる。
【0050】
図5A、
図5Bは、比較例のプローブ4を往復動した際の、超音波画像の表示例を説明する図である。
【0051】
図5Aは、被検体8の外形を走査エリアとした際の、プローブ4の電子スキャンの照射点の位置を示す図である。
図3Bで説明したように、X軸スキャナ21のエンコーダ出力に同期して電子スキャンが行われるため、スキャン動作1とスキャン動作2とで、X軸方向の位置が一致する(例えば、Xn座標)。しかし、照射点b、c、d、e、f、gは、スキャン方向に応じて少しずつずれた位置となる。このため、スキャン動作1の最後の電子スキャンの照射点e、f、gは、被検体外に超音波ビームを照射することになる。
【0052】
図5Bは、
図5Aの電子スキャンのよる超音波画像を示す図である。
反射波画像生成部16は、プローブ4の一回の電子スキャンで検出した被検体8からの反射波を、X軸方向の位置(走査列)が同一の超音波ビームの反射波として表示するため、被検体8のXn座標の超音波画像として、照射点e、f、gを表示する。
【0053】
被検体8の反射波と被検体外の反射波とは、信号強度が異なるため、照射点e、f、gに相当する反射波画像は異なる濃度画像として表示され、画像情報のズレとして視認される。なお、
図5Bでは、説明のため、被検体8の反射波画像を白色、被検体外の反射波画像を黒色している。
【0054】
以下に、実施形態のアレイ型超音波映像装置1について説明する。
【0055】
図6Aは、実施形態のプローブ4の超音波ビームの照射点について説明する図である。
照射点a、b、c、d、e、f、gは、プローブ4の振動子a、b、c、d、e、f、gの電子スキャンによる超音波ビームの照射点である。特に、照射点aは、走査エリアの原点に対応する照射点であり、またスキャン動作の際に、X軸スキャナ21のエンコーダ出力に同期した電子スキャンの最初の超音波ビームの照射点である。
【0056】
プローブ4の電子スキャンは、スキャン動作の連続移動中に行う。
図6Aの実線の矩形は、最初に超音波ビームを照射する際のプローブ4の位置、破線の矩形は、最後に超音波ビームを照射する際のプローブ4の位置を示している。
【0057】
タイミング処理部13(
図1参照)により、プローブ4は、超音波ビームを照射点aに照射した後に、電子スキャンの他端の照射点gに超音波ビームを照射する。つぎに、照射点aより中央側の照射点bに超音波ビームを照射する。このように、プローブ4は、対向する端部の照射点から央部の照射点に向けて交互に順に超音波ビームを照射して電子スキャンを行う。
【0058】
換言すれば、プローブ4は、スキャン動作の方向に応じて超音波ビームの照射点がくの字状または逆くの字状になるように超音波ビームを照射する。
【0059】
図6Bは、プローブ4のスキャン動作1とスキャン動作2の走査エリアにおける超音波ビームの照射点の位置を示す図である。
プローブ4の照射点aは、X軸スキャナ21のエンコーダ出力に同期して電子スキャンが行われるため、スキャン動作1とスキャン動作2とで、X軸方向の位置が一致し、照射点b、c、d、e、f、gは、スキャン方向に応じて少しずつずれた位置となる。
【0060】
図7A、
図7Bは、比較例のプローブ4を往復動した際の、超音波画像の表示例を説明する図である。
【0061】
図7Aは、被検体8の外形を走査エリアとした際の、プローブ4の電子スキャンの照射点の位置を示す図である。
図6Bで説明したように、プローブ4の照射点aは、X軸スキャナ21のエンコーダ出力に同期して電子スキャンが行われるため、スキャン動作1とスキャン動作2とで、X軸方向の位置が一致し、照射点b、c、d、e、f、gは、スキャン方向に応じて、超音波ビームの照射点が逆くの字状、またはくの字状になる。これにより、スキャン動作1の最後の電子スキャンの照射点c、d、eは、被検体外に超音波ビームを照射することになる。
【0062】
図7Bは、
図7Aの電子スキャンのよる超音波画像を示す図である。
反射波画像生成部16は、プローブ4の一回の電子スキャンで検出した被検体8からの反射波を、X軸方向の位置(走査列)が同一の超音波ビームの反射波として表示するため、被検体8のXn座標の超音波画像として、照射点c、d、eを黒色に表示する。なお、説明のため、被検体8の反射波画像を白色、反射波の信号強度が異なる被検体外の反射波画像を黒色している。
【0063】
このように、シフト処理直前の往動処理の最終の電子スキャンにおいて、復動処理との端部境目近傍の画像は白く表示され、一方、復動処置の最初の電子スキャンの往動処理との端部境目近傍の画像も白く表示される。この結果、往動と復動の端部境目近傍の画像は、同じ階調度である白で表示される。つまり、
図6Aで説明したスキャン動作の方向に応じて超音波ビームの照射点がくの字状または逆くの字状になるように超音波ビームを照射することで、スキャン動作の往路と復路の端部境目近傍の画像において、同じ階調度となり、生成する画像情報のズレを抑制して、被検体の実像に近い画像を表示することが可能となる。すなわち、スキャン動作の往路と復路の切り替わった位置における超音波反射波の表示のズレを補正することができる。
【0064】
つぎに、
図8より、アレイ型超音波映像装置1の平面走査の動作フローを説明する。
ステップS81で、制御装置10は、走査エリアの原点の位置(XY座標)、幅(X軸方向の長さ)、高さ(Y軸方向の長さ)のスキャン条件を取得する。
【0065】
ステップS82で、メカ制御部11は、3軸スキャナ2を駆動してプローブ4を走査範囲の原点の位置に移動する。
【0066】
ステップS83で、制御装置10は、走査エリアの高さ分(Y軸方向)、ステップS83からステップS811の処理を繰り返す。
【0067】
ステップS84で、メカ制御部11は、X軸スキャナ21により走査エリアのX軸方向のプローブ4のスキャン動作を開始する。
【0068】
ステップS85で、制御装置10は、走査エリアの幅分(X軸方向)、ステップS86からステップS88の処理を繰り返す。
【0069】
ステップS86で、制御装置10の制御部18は、メカ制御部11から通知されるX軸スキャナ21のエンコーダ出力を検知したか判定し、エンコーダ出力を検知した場合に(S86のYes)、詳細を後述するステップS87のプローブ4の電子スキャンの処理を行う。エンコーダ出力の検知できない場合には、ステップS86の処理を繰り返し、エンコーダ出力の検知を待機する。
【0070】
ステップS89で、メカ制御部11は、3軸スキャナ2のY軸スキャナ22により、Y軸方向に電子スキャンの走査幅分の移動を行い、シフト動作する。
【0071】
ステップS810で、メカ制御部11は、ステップS84で開始されるスキャン動作における、プローブ4の移動方向(スキャン方向)を反転するように設定する。
以上の処理により、アレイ型超音波映像装置1は被検体8の所定の走査エリアの超音波映像を撮像する。
【0072】
図9は、
図8のステップS87のプローブ4の電子スキャンの処理の詳細を示すフロー図である。
図9では、プローブ4の照射点数をn個(奇数)とし、電子スキャンの一端の照射点の番号を1とし、他端に向けて昇順に番号付けしている。
【0073】
ステップS91で、タイミング処理部13(
図1参照)は、変数iが1から(n-1)/2まで、ステップS92からステップS94を、変数iに1ずつ加算しながら繰り返す。
【0074】
ステップS92で、タイミング処理部13は、照射点(i)に超音波ビームを照射する振動子群を選択し、振動子動作信号生成部14(
図1参照)によりプローブ4に振動子動作信号を生成して、照射点(i)に超音波ビームを照射する。
【0075】
ステップS93で、タイミング処理部13は、照射点(n+1-i)に超音波ビームを照射する振動子群を選択し、振動子動作信号生成部14(
図1参照)によりプローブ4に振動子動作信号を生成して、照射点(n+1-i)に超音波ビームを照射する。
ステップS92とステップS93の繰り返しにより、タイミング処理部13は、対向する端部の照射点から央部の照射点に向けて交互に順に超音波ビームを照射する。
【0076】
ステップS95で、タイミング処理部13は、照射点((n+1)/2)に超音波ビームを照射する。つまり、電子スキャンの中央の照射点に超音波ビームを照射する。
【0077】
上記の処理により、電子スキャンの一端から中心側に向けた第1の照射点・第3の照射点・・の位置と、対向する他端から中心側に向けた第2の照射点・第4の照射点・・の位置とに、第1の照射点・第2の照射点・第3の照射点・第4の照射点の位置の順に超音波ビームをする。
【0078】
なお、
図9は、プローブ4の照射点数が奇数個の場合について説明したが、偶数個の場合には、ステップS91で、変数iが1からn/2まで、ステップS92からステップS94を、変数iに1ずつ加算しながら繰り返す。そして、ステップS95の処理を削除すればよい。
【0079】
以上の処理により、
図6Bに示したように、スキャン動作1における電子スキャンの最後の超音波ビームの照射点である照射点gの点列と、スキャン動作2における電子スキャンの最初の超音波ビームの照射点である照射点aの点列とのずれは、
図3Bに示した場合よりも小さくなる。
【0080】
このため、制御装置10が、電子スキャンによる反射波をX軸方向の位置(走査列)が同一の超音波ビームの反射波として、反射波の信号強度を算出し濃淡画像として表示した際の、スキャン動作1による表示領域とスキャン動作2による表示領域との境界部における濃淡画像のずれを小さくできる。
【0081】
また、プローブ4は、対向する端部の照射点から央部の照射点に向けて交互に順に超音波ビームを照射して電子スキャンを行うので、電子スキャンの隣接する照射点の位置ずれの悪化を小さくでき、スキャン動作1による表示領域内及びスキャン動作2による表示領域内の濃淡画像のずれの顕在化を抑止できる。
【0082】
以上で説明した実施形態のアレイ型超音波映像装置1は、プローブ4のスキャンの往動と復動において生成される反射波画像の画像ズレの発生を抑制することができ、被検体8の画像ずれを低減した超音波画像を高速に取得することができる。
【0083】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施形態は本発明で分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0084】
1 アレイ型超音波映像装置
10 制御装置
11 メカ制御部
12 送受信指令部
13 タイミング処理部
14 振動子動作信号生成部
15 反射波信号処理部
16 反射波画像生成部
17 表示部
18 制御部
2 3軸スキャナ
21 X軸スキャナ
22 Y軸スキャナ
23 Z軸スキャナ
24 ホルダ
3 センサ
4 プロ―ブ(超音波アレイプローブ)
42 鍔部
8 被検体
91 水槽
92 台
【手続補正書】
【提出日】2021-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の振動子がリニアに並設された超音波アレイプローブを、被検体に所定の走査順序で超音波ビームを照射する電子スキャンを行いながら前記振動子の並設方向に垂直な方向に往復移動するスキャン動作と、前記振動子の並設方向と平行に超音波アレイプローブを移動するシフト動作と、により平面走査して、被検体の表面または積層境界面に超音波ビームを照射し、被検体からの超音波反射波の信号強度を表示するアレイ型超音波映像装置であって、
前記電子スキャンを、電子スキャンの一端の照射点に超音波ビームを照射し、つぎに対向する他端の照射点に超音波ビームを照射するように、それぞれの端部から一つずつ央部に向けて交互に順に超音波ビームを照射する走査順序になるように前記複数の振動子を選択して超音波ビームを照射して行うこと
を特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記超音波ビームの照射位置毎に前記超音波アレイプローブの振動子群の超音波の送受信を制御する振動子動作信号生成部と、
前記電子スキャンの走査順序に対応する前記振動子群を選択するタイミング処理部と、
前記振動子動作信号生成部に前記タイミング処理部を経由して振動子動作信号の生成を指令し前記超音波アレイプローブの前記電子スキャンを開始する送受信指令部と、
前記超音波アレイプローブのスキャン動作に同期して前記送受信指令部を制御する制御部と、を備えることを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記タイミング処理部は、前記超音波アレイプローブの移動の進行方向に向かって、超音波ビームの照射点が、見かけ上、くの字状または逆くの字状になるように前記振動子群を選択することを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項4】
請求項2に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記制御部は、
前記超音波アレイプローブが前記被検体を平面走査する座標系を、前記超音波アレイプローブの振動子の並設方向に垂直な方向をX軸方向、前記振動子の並設方向をY軸方向とし、平面走査する超音波ビームの最初の照射点を座標原点とした場合に、
前記シフト動作の直前の電子スキャンの開始位置のX座標位置と、前記シフト動作の直後の電子スキャンの開始位置のX座標位置とが、等しくすることを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項5】
請求項1に記載のアレイ型超音波映像装置において、
被検体からの超音波反射波を超音波ビームの照射位置毎に受信して反射波の信号強度を求め、前記平面走査に対応し矩形に区分された表示領域の所定位置に、前記信号強度に対応する濃度の画像を表示することを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項6】
請求項1に記載のアレイ型超音波映像装置において、
前記振動子により受信した前記超音波ビームの反射波の信号強度を算出する反射波信号処理部を備えることを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項7】
請求項6記載のアレイ型超音波映像装置において、
超音波アレイプローブの一回の電子スキャンで検出した被検体からの反射波を、X軸方向の位置が同一の超音波ビームの反射波として反射波の信号強度を算出し、濃淡画像を求める反射波画像生成部と、
前記反射波画像生成部で求めた濃淡画像を、被検体の平面走査した超音波ビームの反射波の濃淡画像として表示する表示部と、を備えることを特徴とするアレイ型超音波映像装置。
【請求項8】
複数の振動子がリニアに並設された超音波アレイプローブの超音波ビームを被検体に順次照射して電子スキャンを行い、前記被検体からの超音波反射波の信号強度を表示するアレイ型超音波映像装置の制御方法であって、
前記被検体に所定の走査順序で電子スキャンの一端の照射点に超音波ビームを照射し、つぎに対向する他端の照射点に超音波ビームを照射するように、それぞれの端部から一つずつ央部に向けて交互に順に超音波ビームを照射する走査順序になるように前記複数の振動子を選択して超音波ビームを照射しながら、前記超音波アレイプローブの振動子の並設方向に垂直な方向に前記超音波アレイプローブを所定速度で連続移動する第1のステップと、
前記電子スキャンの走査幅分、前記振動子の並設方向と並行に前記超音波アレイプローブを移動するシフト動作をするシフトステップと、
前記被検体に所定の走査順序で電子スキャンの一端の照射点に超音波ビームを照射し、つぎに対向する他端の照射点に超音波ビームを照射するように、それぞれの端部から一つずつ央部に向けて交互に順に超音波ビームを照射する走査順序になるように前記複数の振動子を選択して超音波ビームを照射しながら、前記第1のステップとは逆向きに前記超音波アレイプローブを所定速度で連続移動する第2のステップと、を含み、
前記第1のステップと、前記シフトステップと、前記第2のステップとを繰り返すことにより、被検体全面を電子スキャンする
ことを特徴とするアレイ型超音波映像装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載のアレイ型超音波映像装置の制御方法において、
前記超音波アレイプローブをスキャン動作するX軸スキャナのエンコーダ出力の有無を検出するステップと、
前記エンコーダ出力を検出した際に、電子スキャンの一端の第1の照射点に超音波ビームを照射するステップと、を含むことを特徴とするアレイ型超音波映像装置の制御方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明のアレイ型超音波映像装置は、複数の振動子がリニアに並設された超音波アレイプローブを、被検体に所定の走査順序で超音波ビームを照射する電子スキャンを行いながら、前記振動子の並設方向に垂直な方向に往復移動するスキャン動作と前記振動子の並設方向と平行に超音波アレイプローブを移動するシフト動作とにより平面走査して、被検体の表面または積層境界面に超音波ビームを照射し、被検体からの超音波反射波の信号強度を表示するアレイ型超音波映像装置であって、前記電子スキャンを、電子スキャンの一端の照射点に超音波ビームを照射し、つぎに対向する他端の照射点に超音波ビームを照射するように、それぞれの端部から一つずつ央部に向けて交互に順に超音波ビームを照射する走査順序になるように前記複数の振動子を選択して超音波ビームを照射して行う。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
また、本発明のアレイ型超音波映像装置の制御方法は、複数の振動子がリニアに並設された超音波アレイプローブの超音波ビームを被検体に順次照射して電子スキャンを行い、前記被検体からの超音波反射波の信号強度を表示するアレイ型超音波映像装置の制御方法であって、前記被検体に所定の走査順序で電子スキャンの一端の照射点に超音波ビームを照射し、つぎに対向する他端の照射点に超音波ビームを照射するように、それぞれの端部から一つずつ央部に向けて交互に順に超音波ビームを照射する走査順序になるように前記複数の振動子を選択して超音波ビームを照射しながら、前記超音波アレイプローブの振動子の並設方向に垂直な方向に前記超音波アレイプローブを所定速度で連続移動する第1のステップと、前記電子スキャンの走査幅分、前記振動子の並設方向と並行に前記超音波アレイプローブを移動するシフト動作をするシフトステップと、前記被検体に所定の走査順序で電子スキャンの一端の照射点に超音波ビームを照射し、つぎに対向する他端の照射点に超音波ビームを照射するように、それぞれの端部から一つずつ央部に向けて交互に順に超音波ビームを照射する走査順序になるように前記複数の振動子を選択して超音波ビームを照射しながら、前記第1のステップとは逆向きに前記超音波アレイプローブを所定速度で連続移動する第2のステップと、を含み、前記第1のステップと、前記シフトステップと、前記第2のステップとを繰り返すことにより、被検体全面を電子スキャンするようにした。