(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041061
(43)【公開日】2023-03-23
(54)【発明の名称】ガス発生器の処理方法及びガス発生器処理装置
(51)【国際特許分類】
B09B 5/00 20060101AFI20230315BHJP
B60R 21/264 20060101ALI20230315BHJP
B09B 101/00 20220101ALN20230315BHJP
【FI】
B09B5/00 C ZAB
B60R21/264
B09B101:00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022184166
(22)【出願日】2022-11-17
(62)【分割の表示】P 2021147515の分割
【原出願日】2021-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】503302894
【氏名又は名称】株式会社啓愛社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 剛士
【テーマコード(参考)】
3D054
4D004
【Fターム(参考)】
3D054AA03
3D054DD13
3D054FF17
4D004AA21
4D004CA43
4D004CB01
(57)【要約】
【課題】ガス発生器を廃棄する際に、未使用のガス発生器からガスを発生させる処理を効率よく行うガス発生器の処理方法を提供する。
【解決手段】ガス発生剤を燃焼させる際に用いられる点火部に電力を供給する1本のリード線を備える未使用のガス発生器の前記1本のリード線に電波を照射する工程を含み、前記電波により前記1本のリード線に発生した電力によって前記点火部を点火させ、前記ガス発生剤を燃焼させて前記ガス発生器からガスを放出するガス発生器の処理方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス発生剤を燃焼させる際に用いられる点火部に電力を供給する1本のリード線を備える未使用のガス発生器の前記1本のリード線に電波を照射する工程を含み、
前記電波により前記1本のリード線に発生した電力によって前記点火部を点火させ、前記ガス発生剤を燃焼させて前記ガス発生器からガスを放出する、
ガス発生器の処理方法。
【請求項2】
前記1本のリード線は、前記ガス発生剤を燃焼させる際に電源から電力が供給される、
請求項1に記載のガス発生器の処理方法。
【請求項3】
ガス発生剤を燃焼させる際に用いられる点火部に電力を供給する2本のリード線を備える未使用のガス発生器の前記2本のリード線に電波を照射する工程を含み、
前記電波により前記2本のリード線の少なくともいずれか一方に発生した電力によって前記点火部を点火させ、前記ガス発生剤を燃焼させて前記ガス発生器からガスを放出する、
ガス発生器の処理方法。
【請求項4】
前記2本のリード線は、互いに短絡される、
請求項3に記載のガス発生器の処理方法。
【請求項5】
前記2本のリード線のそれぞれは、前記ガス発生剤を燃焼させる際に電源から電力が供給される、
請求項3又は請求項4のいずれかに記載のガス発生器の処理方法。
【請求項6】
前記電波は、マイクロ波である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のガス発生器の処理方法。
【請求項7】
ガス発生剤を燃焼させる際に用いられる点火部に電力を供給する1本のリード線を備える未使用のガス発生器の前記1本のリード線に電波を照射する電波照射部を備え、
前記電波により前記1本のリード線に発生した電力によって前記点火部を点火させ、前記ガス発生剤を燃焼させて前記ガス発生器からガスを放出する、
ガス発生器処理装置。
【請求項8】
ガス発生剤を燃焼させる際に用いられる点火部に電力を供給する2本のリード線を備える未使用のガス発生器の前記2本のリード線に電波を照射する電波照射部を備え、
前記電波により前記2本のリード線の少なくともいずれか一方に発生した電力によって前記点火部を点火させ、前記ガス発生剤を燃焼させて前記ガス発生器からガスを放出する、
ガス発生器処理装置。
【請求項9】
前記2本のリード線は、互いに短絡される、
請求項8に記載のガス発生器処理装置。
【請求項10】
前記電波は、マイクロ波である、
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のガス発生器処理装置。
【請求項11】
前記ガス発生器を収容する展開処理部と、
処理した前記ガス発生器を保管する保管部と、
を備え、
前記電波照射部は、前記展開処理部において前記電波を照射する、
請求項7から請求項10のいずれか一項に記載のガス発生器処理装置。
【請求項12】
前記展開処理部は、円周上に配置された複数の処理室を備え、
前記複数の処理室は、回転し、前記複数の処理室の上側の搬入処理室に、未使用の前記ガス発生器が搬入され、前記複数の処理室の下側の搬出処理室から、処理済みの前記ガス発生器が搬出される、
請求項11に記載のガス発生器処理装置。
【請求項13】
前記ガス発生器から発生した前記ガスにより生じる圧力を緩和するガス圧緩和部を更に備える、
請求項7から請求項12のいずれか一項に記載のガス発生器処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガス発生器の処理方法及びガス発生器処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両は、衝突時に乗員を保護するために、乗員保護装置を備える。乗員保護装置は、例えば、エアバッグ装置、シートベルトプリテンショナ等である。
【0003】
エアバッグ装置は、ガス発生器から噴出されるガスにより、エアバッグを膨張させる。シートベルトプリテンショナは、ガス発生器から噴出されるガスにより、シートベルトの緩みを巻き取る。
【0004】
ガス発生器には、ガス発生剤(火薬を含む火工品)を使用しており爆発性がある。リサイクル工程における安全性確保の観点から、自動車を廃棄する場合には、エアバッグ装置又はシートベルトプリテンショナに用いられた未使用のガス発生器からガスを発生させてから、ガス発生器を処分する必要がある。
【0005】
特許文献1には、ガス発生器を廃棄する廃棄処理方法が記載されている。特許文献1には、車載状態と同じ通電方法以外の方法として点火器にレーザ、プラズマ、電気ビーム及びアーク放電のいずれかである発火エネルギー線を照射して、点火器を発火させることが記載されている。
【0006】
特許文献2には、エアバッグ装置の廃棄方法が記載されている。特許文献2には、一対のリード線が接続されて構成されるインフレータの一対のリード線に対して、強制作動用電源回路を接続することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-142306号公報
【特許文献2】特開平09-076855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
未使用のガス発生器を廃棄する際に、ガス発生器からガスを発生させる処理を効率よく行うことが求められている。
【0009】
本開示は、ガス発生器を廃棄する際に、未使用のガス発生器からガスを発生させる処理を効率よく行うガス発生器の処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様では、ガス発生剤を燃焼させる際に用いられる点火部に電力を供給する1本のリード線を備える未使用のガス発生器の前記1本のリード線に電波を照射する工程を含み、前記電波により前記1本のリード線に発生した電力によって前記点火部を点火させ、前記ガス発生剤を燃焼させて前記ガス発生器からガスを放出するガス発生器の処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本開示のガス発生器の処理方法によれば、ガス発生器を廃棄する際に、未使用のガス発生器からガスを発生させる処理を効率よくできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置で処理されるガス発生器の一例の側面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置で処理されるガス発生器の一例の内部構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置のガス圧緩和部の構成を説明する図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置のガス圧緩和部の動作を説明する図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置のガス圧緩和部の動作を説明する図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置における処理を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置におけるガス発生器のリード線への電波の照射を説明する図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態に係るガス発生器処理装置の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係るガス発生器処理装置のガス圧緩和部の構成を説明する図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態に係るガス発生器処理装置のガス圧緩和部の動作を説明する図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態に係るガス発生器処理装置のガス圧緩和部の動作を説明する図である。
【
図13】
図13は、第3実施形態に係るガス発生器処理装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本実施形態に係るガス発生器の処理方法及びガス発生器処理装置について詳細に説明する。
【0014】
≪第1実施形態≫
<ガス発生器処理装置1>
図1は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置1の構成例を示す図である。ガス発生器処理装置1は、例えば、自動車に用いられるエアバッグを膨張させるためにガスを発生させるガス発生器の処理装置である。ガス発生器処理装置1で処理されるガス発生器は、未使用のガス発生器である。
【0015】
[ガス発生器100]
最初に、第1実施形態に係るガス発生器処理装置1で処理されるガス発生器100について説明する。
図2は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置1で処理されるガス発生器の一例であるガス発生器100の側面図である。
図3は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置1で処理されるガス発生器の一例であるガス発生器100の内部構成例を示す図である。
【0016】
ガス発生器100は、例えば、自動車の助手席に設置されるエアバッグの展開に用いられるガス発生器である。ガス発生器100は、円筒状の筐体102を備える。筐体102は、複数の貫通孔102hを有する。複数の貫通孔102hのそれぞれから、ガスが噴出される。複数の貫通孔102hのそれぞれから噴出されたガスによって、エアバッグが膨張される。なお、ガス発生器100は、インフレータとも称される。
【0017】
ガス発生器100は、上位の機器からガスの発生させる指令を入力するために、リード線101p及びリード線101nを備える。リード線101p及びリード線101nは、後述する点火部110に接続される。具体的には、ガス発生器100は、リード線101pとリード線101nとの間に、所定の電力が入力されると、ガスを発生する。リード線101p及びリード線101nのそれぞれは、通常使用の際には互いに絶縁物により被覆されている。
【0018】
例えば、自動車のECU(Electronic Control Unit)は、衝突を感知すると、ガス発生器100に所定の電力を供給する。具体的には、ECUは、衝突を感知すると、ガス発生器100のリード線101pとリード線101nとの間に、所定の電力を供給する。ガス発生器100に所定の電力を供給するために、例えば、12ボルトの直流電源が用いられる。ガス発生器100は、リード線101pとリード線101nとの間に、ECUにより所定の電力が供給されると、ガスを発生する。
【0019】
自動車を廃棄する際に、廃棄する自動車からガス発生器100を取り外して、取り外したガス発生器100を、別途処理する場合がある。電気式のガス発生器100であるガス発生器100の場合は、取扱中に予期せずにガスが発生しないように、取り外したガス発生器100のリード線101pとリード線101nは短絡される。ガス発生器100のリード線101pの端部101pe及びリード線101nの端部101neのそれぞれは、被覆が剥離される。そして、端部101peと端部101neとは、撚り合わされて短絡される。
【0020】
ガス発生器100は、筐体102の内部に、点火部110と、着火剤120と、ガス発生剤130と、を備える。ガス発生器100を構成する各要素について説明する。
【0021】
(点火部110)
点火部110は、リード線101p及びリード線101nを介して供給された電気信号に基づいて点火する。点火部110は、例えば、リード線101pとリード線101nとの間に、所定の電力が供給されると点火する。点火部110は、例えば、スクイブ又はイニシエータとも称される。点火部110が点火すると、着火剤120が着火する。なお、リード線101p及びリード線101nは、点火部110に直接ハンダ付け等で接続されていてもよいし、コネクタ等を用いて接続されていてもよい。
【0022】
(着火剤120)
着火剤120は、点火部110が点火すると着火して、エネルギーを増大させて、ガス発生剤130を燃焼させる。着火剤120は、例えば、エンハンサとも称される。
【0023】
(ガス発生剤130)
ガス発生剤130は、火薬を含む火工品である。着火剤120により着火され燃焼して、ガスを発生させる。ガス発生剤130が燃焼して発生したガスは、筐体102の貫通孔102hから筐体102の外部に放出される。筐体102の外部に放出されたガスは、エアバッグを膨張させる。
【0024】
なお、本開示においては、助手席用のエアバッグに用いられるガス発生器100を用いて説明するが、本実施形態に係るガス発生器の処理方法及びガス発生器処理装置で処理されるガス発生器は、助手席用のエアバッグに用いられるガス発生器に限らない。本実施形態に係るガス発生器の処理方法及びガス発生器処理装置で処理されるガス発生器は、例えば、運転席用エアバッグ、後部座席用エアバッグ及び歩行者用エアバッグ等の種々のエアバッグに用いるガス発生器でもよい。
【0025】
また、本実施形態に係るガス発生器の処理方法及びガス発生器処理装置で処理されるガス発生器はエアバッグ用に限らず、例えば、シートベルトプリテンショナ用のガス発生器でもよい。さらに、本実施形態に係るガス発生器の処理方法及びガス発生器処理装置で処理されるガス発生器は自動車用に限らない。例えば、防犯用煙発生、パラシュートなどの展開に用いられるガス発生器を本実施形態に係るガス発生器の処理方法及びガス発生器処理装置で処理してもよい。
【0026】
[ガス発生器処理装置1の詳細]
ガス発生器処理装置1は、上記で説明した未使用のガス発生器100に、電波、より具体的にはマイクロ波、を照射して、非接触でガス発生器100からガスを発生させて処理する。
【0027】
具体的には、ガス発生器処理装置1は、ガス発生器100が備える点火部110に接続するリード線101p及びリード線101nに、電波を照射する。ガス発生器100の点火部110は、照射された電波によりリード線101pとリード線101nとの間に発生した電力によって点火される。ガス発生器処理装置1は、ガス発生器100の点火部110が点火して、ガス発生器100がガスを発生することにより、ガス発生器100を処理する。なお、以下において、ガス発生器100が発生したガスを処理ガスという場合がある。
【0028】
ガス発生器処理装置1は、展開処理部10と、電波照射部20と、保管部30と、ガス圧緩和部40と、を備える。ガス発生器処理装置1を構成する各要素について説明する。
【0029】
(展開処理部10)
展開処理部10は、ガス発生器処理装置1の外部から隔離されるように内部の内部空間10sにガス発生器100を収容する。なお、以下において、未使用のガス発生器100をガス発生器100aという場合がある。また、ガスを発生させた処理済みのガス発生器100をガス発生器100nという場合がある。
【0030】
展開処理部10の内部に収容されたガス発生器100aは、展開処理部10に取り付けられた電波照射部20から電波が照射される。電波が照射されたガス発生器100aは、照射された電波によりリード線101pとリード線101nとの間に発生した電力により、ガスを発生する。未使用のガス発生器100aがガス発生することにより、処理済みのガス発生器100nとなる。
【0031】
展開処理部10は、筐体11と、扉12と、シャッタ13と、を備える。展開処理部10は全体として略直方体状である。すなわち、筐体11、扉12及びシャッタ13を組み合わせて展開処理部10は、略直方体状になっている。展開処理部10は、筐体11、扉12及びシャッタ13により囲まれる内部空間10sを有する。
【0032】
展開処理部10は、未使用のガス発生器100aを内部空間10sに搬入するための扉12を備える。ガス発生器処理装置1で未使用のガス発生器100aを処理する際には、扉12を開けて、ガス発生器100aを展開処理部10の内部空間10sに搬入する。そして、ガス発生器処理装置1において電波照射部20から電波を照射する前に、扉12を閉じる。
【0033】
展開処理部10は、保管部30との間にシャッタ13を備える。シャッタ13は、開閉可能になっている。シャッタ13を開放すると、シャッタ13の上に載置されたガス発生器100が、保管部30に落下しながら移動する。そして、シャッタ13を閉じて、次に処理するガス発生器100がシャッタ13に載置される。
【0034】
展開処理部10は、外部から空気を取り込むための吸気口14を備える。吸気口14は、展開処理部10の内部から空気及びガスが吸気口14から流出しないように、逆止弁を備えてもよい。吸気口14には、電波照射部20からの電波が伝搬する導波管20aが挿入される。すなわち、吸気口14は、電波照射部20からの電波を内部空間10sに導入するための導波管20aの周りに設けられる。吸気口14を導波管20aの周りに設けることにより、処理ガスにより電波照射部20及び導波管20aが汚染されるのを抑制できる。
【0035】
なお、展開処理部10は、吸気口14に電波照射部20の導波管20aが挿入され、吸気口14と導波管20aとの間に、外部からの空気が流れているが、導波管20aの内部に外部からの空気を通して、外部からの空気を取り込んでもよい。例えば、導波管20aに多数の穴を設けて、当該多数の穴から導波管20aの内部に外部からの空気が通るようにしてもよい。また、吸気口14を電波照射部20からの電波が伝搬する導波管として利用してもよい。
【0036】
また、展開処理部10は、内部空間10sの空気を排気するための排気口15と、排気配管16と、を備える。排気口15は、空気及び処理ガスを通す一方電波を遮蔽するために、内部に格子が形成されていてもよい。格子の間隔は、電波を遮蔽するように、電波の波長により定める。排気配管16は、排気口15から流出した空気及び処理ガスを保管部30に流す。
【0037】
ガス発生器処理装置1の内部の空気及び処理ガスは、展開処理部10から排気配管16及び保管部30を通って、保管部30のガス排出口31から排気されるようになっている。したがって、展開処理部10において、吸気口14から取り込まれた空気は、ガス発生器100aから発生した処理ガスと混合して、排気口15及び排気配管16を通って、保管部30に流れて、ガス排出口31から排気される。
【0038】
なお、上記の説明では、展開処理部10がシャッタ13を備えるが、シャッタ13は、後述する保管部30に備えてもよいし、展開処理部10及び保管部30とは別に設けてもよい。
【0039】
(電波照射部20)
電波照射部20は、ガス発生器100に電波を照射する。電波照射部20は、例えば、マグネトロンを備える。電波照射部20で発生した電波は、導波管20aを通って、内部空間10s内部に照射される。電波照射部20は、例えば、周波数2.45ギガヘルツのマイクロ波を照射する。電波照射部20が照射する電波の出力は、例えば、100から1000ワットである。電波照射部20は、ガス発生器100のリード線101p及びリード線101nに照射するような範囲に電波を照射する。
【0040】
なお、電波照射部20が照射する電波の周波数範囲は、マイクロ波の周波数範囲に限らず、リード線101pとリード線101nとの間に発生する電力が十分大きければ、例えば、マイクロ波の周波数範囲より低い周波数でもよい。
【0041】
(保管部30)
保管部30は、展開処理部10において処理されたガス発生器100nを保管する。保管部30は、略直方体状の形状を有する。保管部30は、内部に保管空間30sを有する。保管部30は、ガス排出口31を備える。ガス排出口31には、例えば、ガス処理装置が接続されてもよい。また、ガス排出口31に、送風機が接続されてもよい。ガス排出口31に送風機が接続されることにより、内部空間10s及び保管空間30sを負圧にしてもよい。
【0042】
展開処理部10において処理されたガス発生器100nは、シャッタ13が開けられると、保管部30に落下して移動する。処理後のガス発生器100nは、ガスを発生する際に高温になる。したがって、処理後のガス発生器100nを保管部30で保管することにより、ガス発生器100nを冷却する。なお、例えば、保管部30において保管する際に、保管期間を短くするために冷却した気体を吹きつける冷却装置を備えてもよい。
【0043】
また、保管部30は、保管空間30sを有することにより、展開処理部10で処理ガスが発生したときの圧力を緩和できる。ガス発生器100aからガスが急激に発生すると、展開処理部10の内部空間10sの圧力が高まる。展開処理部10の内部空間10sと保管部30の保管空間30sが排気口15及び排気配管16を介して通じていることにより、展開処理部10においてガス発生器100aにより発生した圧力を、内部空間10s及び保管空間30sにより緩和できる。さらに、後述するように、ガス圧緩和部40により、展開処理部10においてガス発生器100aにより発生した圧力は緩和される。
【0044】
(ガス圧緩和部40)
ガス圧緩和部40は、展開処理部10においてガス発生器100aにより発生したガスによって、内部空間10s及び保管空間30sの圧力が上昇することを緩和する。すなわち、ガス圧緩和部40は、ガス発生器100aから発生した処理ガスにより生じる圧力を緩和する。ガス圧緩和部40の構成について説明する。
図4は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置1のガス圧緩和部40の構成を説明する図である。ガス圧緩和部40は、筐体41と、ガス圧緩和袋42と、吊りヒモ43と、吊り金具44と、を備える。
【0045】
筐体41は、天井部41tと、底部41bと、側部41fと、を有する。筐体41は、底部41bにガス吸入口41hを有する。すなわち、筐体41は、底部41bに開口を有する筒状の形状を有する。ガス吸入口41hは、保管部30の保管空間30sに接続する。筐体41は、底部41bに、ガス吸入口41hを形成する筒部41dを備える。筒部41dには、ガス圧緩和袋42が取り付けられる。ガス圧緩和袋42は、筒部41dに取り付けられた後に、締め付けバンド等により固定される。
【0046】
ガス圧緩和部40は、筐体41の内部に、ガス圧緩和袋42を備える。ガス圧緩和袋42は、口部42mが開口した袋である。ガス圧緩和袋42は、空気及び処理ガスが透過しないかほとんど透過しないように形成されている。ガス圧緩和袋42は、袋の底の部分(底部42b)が天井部41tに設けられた吊り金具44に吊りヒモ43によりつり上げられる。また、ガス圧緩和袋42は、口部42mが筐体41の筒部41dに取り付けられる。ガス圧緩和袋42は、例えば、ポリアミド等により形成される。
【0047】
次に、ガス圧緩和部40の動作について説明する。
図5及び
図6は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置1のガス圧緩和部40の動作を説明する図である。
図5は、ガス発生器100からガスが発生して、内部空間10s及び排気配管16を経由して保管空間30sの内部の圧力が高まった状態を示す。
図6は、ガス発生器100からガスが発生してから時間が経過して、内部空間10s及び保管空間30sの内部の圧力が低下している状態を示す。
【0048】
ガス圧緩和袋42は、通常の状態では、
図4に示すようにしぼんだ状態になっている。電波照射部20から電波を照射してガス発生器100からガスが発生すると、展開処理部10の内部空間10s及び保管部30の保管空間30sの内部の圧力が高くなる。内部空間10s及び保管空間30sの内部の圧力が高くなると、
図5において示しているように、ガス圧緩和袋42は、矢印A1に示すように、保管空間30sから加圧空気及び処理ガスが流入する。流入した加圧空気及び処理ガスは、矢印A2に示すように、ガス圧緩和袋42を膨らます。
【0049】
そして、保管部30のガス排出口31からガスが排出されると、次第に内部空間10s及び保管空間30sの圧力は低下する。内部空間10s及び保管空間30sの圧力が低下すると、
図6において示しているように、ガス圧緩和袋42は、矢印A3に示すように、徐々にしぼんでいく。
【0050】
このように、ガス圧緩和袋42が膨らんだり縮んだりすることにより、内部空間10s及び保管空間30sにおいて、ガス発生器100からガスが発生したときの圧力の上昇を緩和できる。
【0051】
なお、内部空間10s及び保管空間30sの内部の容積が十分大きく、ガス発生器100からガスが発生しても、内部空間10s及び保管空間30sの内部圧力の上昇が許容できる範囲である場合は、ガス圧緩和部40を設けなくてもよい。
【0052】
[ガス発生器処理装置1の処理詳細]
次に、ガス発生器処理装置1における処理、すなわち、ガス発生器の処理方法について説明する。
図7は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置1における処理(工程)を説明するフローチャートである。
【0053】
以下の説明では、複数個のガス発生器100aの処理する場合について説明する。なお、1回の処理において、展開処理部10に1個のガス発生器100aを搬入して処理する。
【0054】
最初に、作業者は、展開処理部10の扉12を開く(ステップS10)。そして、作業者は、未使用であるガス発生器100aを展開処理部10に搬入する(ステップS20)。未使用のガス発生器100aは、展開処理部10のシャッタ13に載置される。そして、作業者は、展開処理部10の扉12を閉じる(ステップS30)。なお、展開処理部10には、1個のガス発生器100aが搬入される。
【0055】
扉12を閉じることにより、ガス発生器100aは、ガス発生器処理装置1の内部に置かれる。したがって、ガス発生器100aをガス発生器処理装置1の外部から遮蔽することにより、ガス発生器100aからガスが発生しても、作業者等の安全が確保される。
【0056】
なお、上記の説明では、ステップS10、ステップS20及びステップS30は、作業者によって行っているが、例えば、ステップS10、ステップS20及びステップS30は、ロボット等により自動的に実行されてもよい。
【0057】
次に、作業者は、電波照射部20から電波をガス発生器100aに照射するように操作する。作業者が電波照射部20に電波を照射するように操作すると、電波照射部20は電波を一定期間、例えば、3秒間、ガス発生器100aに向けて照射する(ステップS40)。
【0058】
例えば、電波照射部20として、マグネトロンを用いた場合は、電源からマグネトロンに電力が一定期間供給される。マグネトロンに電力が供給されると、電力が供給されている間、マグネトロンから、ガス発生器100aに向けてマイクロ波が照射される。
【0059】
電波照射部20から電波が照射されると、リード線101pとリード線101nとの間に電力が発生して点火部110が点火し、ガス発生器100aからガスが発生する。ガス発生器100aからガスが発生したときには、着火剤120の着火及びガス発生剤130の燃焼により音(ガスが発生した音)が発生する。作業者は、ガスが発生した音を確認することにより、ガス発生器100aからガスが発生したことを確認する(ステップS50)。すなわち、作業者は、ガス発生器100aの処理が終了したことを確認する。
【0060】
ガスの発生音を確認できなかったら(ステップS50のNo)、作業者は、ガス発生器100aからガスが発生しなかったと判断して、ステップS90に進む。ガスの発生音を確認したら(ステップS50のYes)、作業者は、ガス発生器100aからガスが発生したとして、ガス発生器100aの処理が終了したと判断する。
【0061】
図8は、第1実施形態に係るガス発生器処理装置1におけるガス発生器100のリード線101p及びリード線101nへの電波の照射を説明する図である。電波照射部20から電波Wがガス発生器100に向けて照射されると、ガス発生器100のリード線101p及びリード線101nに誘導電流Iwが発生する。誘導電流Iwが発生することにより、リード線101pとリード線101nとの間に電力が発生する。リード線101pとリード線101nとの間に発生した電力により、点火部110が点火して、ガスGが発生する。発生したガスGは、筐体102の貫通孔102hから噴出する。
【0062】
ガス発生器100を自動車から取り外して処理する場合には、不測のガス発生を防止するために、リード線101pとリード線101nは短絡される。リード線101pとリード線101nとが短絡されることにより、リード線101p及びリード線101nはループアンテナLPAを構成する。リード線101p及びリード線101nはループアンテナLPAを構成することにより、電波照射部20からの電波Wを効率よく点火用の電力に変換できる。
【0063】
なお、リード線101p及びリード線101nのそれぞれの長さは、照射する電波の波長の四分の1以上の長さであることが望ましい。例えば、電波が波長12センチメートルのマイクロ波の場合は、リード線101p及びリード線101nのそれぞれの長さは、3センチメートル以上であることが望ましい。また、リード線101pとリード線101nとは、短絡しなくてもよい。さらに、リード線101p及びリード線101nのいずれか一方のみであってもよい。
【0064】
ステップS50においてガスの発生音を確認したら(ステップS50のYes)、作業者は、シャッタ13を開閉する(ステップS60)。シャッタ13を開くと、シャッタ13に載置された処理済みのガス発生器100nが、保管部30に落下しながら移動する。ガス発生器100nが落下した後に、シャッタ13を閉じる。
【0065】
次に、作業者は、すべてのガス発生器100aの処理が終了したかどうかを判断する(ステップS70)。例えば、ロットごとに複数のガス発生器100aを処理する場合は、処理する予定のガス発生器100aのすべてについて処理が終了したかどうかを判断する。すべてのガス発生器100aの処理が終了していない場合(ステップS70のNo)は、作業者は、ステップS10に戻って処理を繰り返す。
【0066】
すべてのガス発生器100aの処理が終了した場合(ステップS70のYes)は、作業者は、処理済みのガス発生器100nを保管部30の図示しない取り出し口から取り出す(ステップS80)。保管部30に保管されたガス発生器100nを取り出す際には、ガス発生器100nが十分冷却されてから取り出すことが望ましい。また、保管部30からのガス発生器100nの取り出しは、ガス発生器100nの個数が、所定の個数溜まった時点で取り出すようにしてもよい。
【0067】
一方、ステップS50においてガスの発生音を確認できなかったら(ステップS50のNo)、作業者は、展開処理部10の扉12を開ける(ステップS90)。そして、作業者は、展開処理部10からガスが発生しなかったガス発生器100aを取り出す(ステップS100)。そして、作業者は、展開処理部10の扉12を閉じる(ステップS110)。そして、一旦、処理を終了する。なお、処理すべきガス発生器100aがまだ残っている場合は、再び処理を開始してステップS10に進んでもよいし、処理すべきガス発生器100aの残り数が少ない場合は、作業を終了し、ガスが発生しなかった原因等を検討してもよい。
【0068】
電波照射部20から電波を照射したにもかかわらず、ガス発生器100aからガスが発せしない要因としては、例えば、配線不良、コネクタの接触不良、点火部の不良、着火剤又はガス発生剤の不良、既にガス発生済み(使用済み)のガス発生器である等が考えられる。したがって、ステップS50においてガスの発生音を確認しなかった場合には、対象となるガス発生器100aを取り出して、ガスが発生しなかった原因等を調べる。
【0069】
ガス発生器100aからガスが発生しなかった原因が判明したら、例えば、配線不良、コネクタの接触不良等であれば、正しく配線等を行ってからステップS10に戻って再度処理を行ってもよいし、別の手法を用いて処理を行ってもよい。
【0070】
なお、上記の説明では、各ステップを作業者が行ったが、ガス発生器処理装置1に制御部を設けて、自動で処理を行ってもよい。また、上記の説明では、1回の処理において、展開処理部10に1個のガス発生器100aを搬入して処理していたが、複数のガス発生器100aを展開処理部10に搬入して処理してもよい。
【0071】
<作用・効果>
第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1によれば、ガス発生器100に接触することなく、すなわち、非接触で、処理できることから、ガス発生器100からガスを発生させる処理を効率よくできる。
【0072】
例えば、ガス発生器100に通電してガスを発生させると、配線処理と配線の取り外し処理が必要となる。また、配線の取り外し処理の場合は、処理ガスの排気とガス発生器100の冷却後に、処理を行う必要がある。
【0073】
第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1によれば、配線をすることなく処理できる。また、第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1によれば、処理ガスの排気とガス発生器100の冷却をガスの発生処理と並列に行うことができる。したがって、第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1によれば、未使用のガス発生器を廃棄する際に、ガス発生器からガスを発生させる処理を効率よくできる。
【0074】
また、第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1によれば、ガス発生器100からガスを発生させる処理を少ないエネルギーでできる。
【0075】
例えば、ガス発生器100を加熱してガスを発生させると、大型の炉が必要となり、ガス発生器100の全体を例えば400℃以上に加熱する必要がある。第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1によれば、リード線101p及びリード線101nに電波を照射することでガスを発生させる処理をできるので、エネルギーの消費を少なくできる。
【0076】
さらに、第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1によれば、ガス発生器100からガスを発生させる処理の設備を簡略化できる。
【0077】
例えば、特許文献1に記載のようにガス発生器100の点火部110又は着火剤120にレーザ等を照射しようとすると、レーザ等をガス発生器の点火部110又は着火剤120にピンポイントに照射しなければならない。したがって、レーザ等の照射装置に対して、ガス発生器100を高い精度で位置決めを行わなければならない。第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1によれば、電波照射部20からの電波をある程度広い範囲で照射することにより、ガス発生器100の精密な位置決めを行うことなく処理できる。したがって、第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1によれば、電波を電波照射部20から広い範囲に照射できることにより、設備及びガス発生器100の固定作業を簡略化できる。
【0078】
さらにまた、第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1によれば、ガス発生器100を廃棄する処理全体の工程を簡略化できる。ガス発生器100を自動車から取り外して処理する場合には、不測のガス発生を防止するために、リード線101pとリード線101nは短絡される。したがって、第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1によれば、搬入されたガス発生器100を搬入された形態でガスを発生させる処理を行うことができるので、結線作業及び開線作業など廃棄処理全体の工程を簡略化できる。
【0079】
なお、リード線101p及びリード線101nのいずれか一方が第1リード線の一例、リード線101p及びリード線101nの他方が第2リード線の一例、である。
【0080】
≪第2実施形態≫
<ガス発生器処理装置2>
第1実施形態に係るガス発生器処理装置1において、ガス圧緩和部40は、圧力の緩和を行っていたが、ガス圧緩和部40において、処理ガスに含まれる不純物等を除去する処理を行ってもよい。第2実施形態に係るガス発生器処理装置2は、ガス発生器処理装置1のガス圧緩和部40に換えて、処理ガスに含まれる不純物等を除去も行うガス圧緩和部140を備える。また、第2実施形態に係るガス発生器処理装置2は、ガス発生器処理装置1の保管部30に換えて、保管部35を備える。
図9は、第2実施形態に係るガス発生器処理装置2の構成例を示す図である。
【0081】
保管部35は、保管部30に対してガス排出口31がない点が異なる。ガス発生器処理装置2においては、ガス圧緩和部140が有するガス排出口141h1から処理ガス等が排出される。
【0082】
ガス圧緩和部140の構成について説明する。
図10は、第2実施形態に係るガス発生器処理装置2のガス圧緩和部140の構成を説明する図である。ガス圧緩和部140は、筐体141と、フィルタ142と、吊りヒモ143と、吊り金具144と、を備える。
【0083】
筐体141は、天井部141tと、底部141bと、側部141fと、を有する。筐体141は、側部141fにガス排出口141h1を有する。また、筐体141は、底部141bにガス吸入口141h2を有する。すなわち、筐体141は、底部141bに開口を有する筒状の形状を有する。ガス吸入口141h2は、保管部30の保管空間30sに接続する。したがって、展開処理部10で発生した処理ガスは、内部空間10s及び排気配管16を経由して保管空間35sを通って、ガス圧緩和部140のガス吸入口141h2からガス圧緩和部140に入り、ガス排出口141h1から排出される。
【0084】
ガス圧緩和部140は、筐体141の内部に、フィルタ142を備える。フィルタ142は、処理ガスに含まれる不純物を捕捉して、気体をろ過する。フィルタ142は、例えば、ポリアミド等により形成される。フィルタ142は、不純物を捕捉して、気体をろ過するために、例えば、織物又は不織布等により構成される。フィルタ142は、一端が開口した口部142mを有する袋状の形状を有する。
【0085】
フィルタ142は、フィルタ142の袋の底の部分(底部142b)が天井部141tに設けられた吊り金具144に吊りヒモ143によりつり上げられる。また、フィルタ142は、口部142mが筐体141の底部141bに固定される。筐体141は、底部141bに、ガス吸入口141h2を形成する筒部141dを備える。筒部141dには、フィルタ142が取り付けられる。フィルタ142は、筒部141dに取り付けられた後に、締め付けバンド等により固定される。
【0086】
次に、ガス圧緩和部140の動作について説明する。
図11及び
図12は、第2実施形態に係るガス発生器処理装置2のガス圧緩和部140の動作を説明する図である。
図11は、ガス発生器100からガスが発生して、内部空間10s及び排気配管16を経由して保管空間35sの内部の圧力が高まった状態を示す。
図12は、ガス発生器100からガスが発生してから時間が経過して、内部空間10s及び保管空間35sの内部の圧力が低下している状態を示す。
【0087】
電波照射部20から電波を照射してガス発生器100からガスが発生すると、展開処理部10の内部空間10s及び保管部35の保管空間35sの内部の圧力が高くなる。内部空間10s及び保管空間35sの内部の圧力が高くなると、
図11において示しているように、フィルタ142は、矢印A11に示すように、保管空間35sから加圧空気及び処理ガスが流入して膨らむ。そして、フィルタ142は、保管空間35sから加圧空気及び処理ガスに含まれる不純物Pを捕捉する。一方、気体は、矢印A12に示すようにフィルタ142を通過する。すなわち、フィルタ142は気体をろ過する。フィルタ142によりろ過されて浄化された気体は、矢印A13に示すように、ガス排出口141h1から排出される。
【0088】
ガス排出口141h1から気体が排出されると、次第に内部空間10s及び保管空間35sの圧力は低下する。内部空間10s及び保管空間35sの圧力が低下すると、
図12において示しているように、フィルタ142は、矢印A14に示すように、徐々にしぼんでいく。フィルタ142がしぼむと、フィルタ142の内部に付着していた不純物Pが矢印A15に示すようにフィルタ142から剥離して落下する。したがって、フィルタ142の目詰まりを防止できる。
【0089】
<作用・効果>
第2実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置2は、第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1と同様の作用・効果を有する。また、第2実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置2は、ガス圧緩和部140により処理ガスに含まれる不純物等を取り除くことができる。
【0090】
≪第3実施形態≫
<ガス発生器処理装置3>
図13は、第3実施形態に係るガス発生器処理装置3の構成例を示す図である。ガス発生器処理装置3は、例えば、自動車に用いられるエアバッグを膨張させるためにガスを発生させるガス発生器の処理装置である。ガス発生器処理装置3で処理されるガス発生器は、未使用のガス発生器である。
【0091】
ガス発生器処理装置3は、上記で説明した使用していないガス発生器100aに、電波、より具体的にはマイクロ波、を照射して、ガス発生器100aからガスを発生させて処理する。
【0092】
ガス発生器処理装置3は、展開処理部210と、電波照射部220と、保管部230と、ガス圧緩和部240と、を備える。なお、電波照射部220及びガス圧緩和部240は、それぞれ第1実施形態に係るガス発生器処理装置1の電波照射部20及びガス圧緩和部40と同様の構成であることから説明は省略する。
【0093】
(展開処理部210)
展開処理部210は、未処理のガス発生器100aが搬入されて、ガスを発生させる処理を行い、処理済みのガス発生器100nを搬出する。展開処理部210は、円周方向に複数の分かれた処理室211を有する円筒状である。複数の処理室211は、円周上に配置される。ガス発生器処理装置3は、8個の処理室211を備える。展開処理部210は、円筒の中心軸を中心に矢印Rの向きに回転する。展開処理部210は、処理室211により、ガス発生器100aを収容する。
【0094】
処理室211は、円周方向に隣接する処理室211を隔てる側壁211S1及び側壁211S2を備える。側壁211S1及び側壁211S2のそれぞれは、処理ガスを通さない板により形成される。底壁211S3は、処理室211の中心側に設けられる。底壁211S3は、例えば、複数の貫通孔を有する板で形成され、処理ガスが通過するように形成される。処理室211の外側は、開口211Hとなっている。処理室211は、ガス発生器100aを収容する。
【0095】
展開処理部210は、中心に、流路212を備える。流路212は、処理室211のそれぞれの底壁211S3からガスが流入して、ガス圧緩和部240に流出するように形成される。
【0096】
また、展開処理部210は、外側に外壁213を備える。なお、外壁213は、回転せずに固定されている。外壁213は、電波を透過する一方ガスは透過しない板により形成される。電波照射部220は、外壁213の外側から特定の処理室211(第3処理室211c)に電波を照射する。
【0097】
処理室211は、回転方向における位置によって、作用が異なる。ここでは、ガス発生器100の処理に関連する第1処理室211a、第2処理室211b、第3処理室211c、第4処理室211d及び第5処理室211eについて説明する。なお、当該名称については、展開処理部210における位置によって定まる。
【0098】
(第1処理室211a)
第1処理室211aには、処理対象のガス発生器100aが開口211Hから搬入される。第1処理室211aは、展開処理部210の上部に位置する。いいかえると、第1処理室211aは、処理室211の中で上側に位置する処理室である。第1処理室211aの上から処理対象のガス発生器100aが、第1処理室211aに搬入される。
【0099】
(第2処理室211b)
第2処理室211bは、搬入されたガス発生器100aを電波の照射位置(第3処理室211c)まで搬送する。
【0100】
(第3処理室211c)
第3処理室211cでは、処理対象のガス発生器100aに電波が照射される。第3処理室211cの外側には、電波照射部220が設けられる。電波照射部220は、第3処理室211cの内部に保持されているガス発生器100aに電波Wを照射する。電波Wをガス発生器100aに照射すると、ガス発生器100aからガスGが発生する。発生したガスGは、流路212側に流出する。
【0101】
(第4処理室211d)
第4処理室211dは、処理されたガス発生器100nのガスを回収しながら、ガス発生器100nを搬送する。ガス発生器100nから発生しているガスGは、流路212側に流出する。
【0102】
(第5処理室211e)
第5処理室211eでは、処理されたガス発生器100nを、開口211Hから保管部230に落下させて移動する。第5処理室211eは、展開処理部210の下部に位置する。いいかえると、第5処理室211eは、処理室211の中で下側に位置する処理室である。ガス発生器100nから発生しているガスGは、流路212側に流出する。
【0103】
(保管部230)
保管部230は、展開処理部210において処理されたガス発生器100nを保管する。保管部230は、上部が開放された略直方体状の形状を有する。保管部230は、内部に保管空間230sを有する。
【0104】
処理後のガス発生器100nは、ガスを発生する際に高温になる。したがって、処理後のガス発生器100nを保管部230で保管することにより、ガス発生器100nを冷却する。
【0105】
<作用・効果>
第3実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置3は、第1実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置1と同様の作用・効果を有する。また、第3実施形態に係るガス発生器100の処理方法及びガス発生器処理装置3は、ガス発生器100を連続して処理を行うことができる。
【0106】
なお、第1処理室211aが搬入処理室の一例、第5処理室211eが搬出処理室の一例、である。
【0107】
以上、ガス発生器の処理方法及びガス発生器処理装置を実施形態により説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。他の実施形態の一部又は全部との組み合わせや置換などの種々の変形及び改良が、本発明の範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0108】
1、2 ガス発生器処理装置
10、210 展開処理部
10s 内部空間
20、220 電波照射部
30、35、230 保管部
30s、35s、230s 保管空間
40、140、240 ガス圧緩和部
100、100a、100n ガス発生器
101n、101p リード線
110 点火部
120 着火剤
130 ガス発生剤
211 処理室
211a 第1処理室
211e 第5処理室