(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000411
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】クリーニング処理を管理する管理サーバ及び管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221222BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101194
(22)【出願日】2021-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】511052185
【氏名又は名称】株式会社ホワイトプラス
(74)【代理人】
【識別番号】100140899
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 如洋
(72)【発明者】
【氏名】中谷 元
(72)【発明者】
【氏名】八巻 紘士
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】受注数を柔軟に管理する、例えば、クリーニング処理の受注可能数を変動させる、管理サーバ及び管理方を提供する。
【解決手段】クリーニング処理を管理する管理サーバであって、前記クリーニング処理の被処理物の受注数を管理する受注管理手段と、前記クリーニング処理に含まれる複数の工程を管理するキャパシティ管理手段と、を有し、前記キャパシティ管理手段は、顧客からの注文情報に対応可能な第1のクリーニング処理及び第2のクリーニング処理を設定し、前記第1のクリーニング処理の第1の受注数の第1の上限値と、前記第2のクリーニング処理の第2の受注数の第2の上限値と、を管理し、前記キャパシティ管理手段は、前記第1の上限値を超えて前記第1のクリーニング処理の受注可能数を増加させ、前記受注管理手段は、前記受注可能数まで前記第1のクリーニング処理の受注を受け付ける情報を出力する管理サーバ。
【選択図】
図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーニング処理を管理する管理サーバであって、
前記クリーニング処理の被処理物の受注数を管理する受注管理手段と、
前記クリーニング処理に含まれる複数の工程を管理するキャパシティ管理手段と、
を有し、
前記キャパシティ管理手段は、顧客からの注文情報に対応可能な第1のクリーニング処理及び第2のクリーニング処理を設定し、前記第1のクリーニング処理の第1の受注数の第1の上限値と、前記第2のクリーニング処理の第2の受注数の第2の上限値と、を管理し、
前記キャパシティ管理手段は、前記第1の上限値を超えて前記第1のクリーニング処理の受注可能数を増加させ、
前記受注管理手段は、前記受注可能数まで前記第1のクリーニング処理の受注を受け付ける情報を出力する
管理サーバ。
【請求項2】
前記キャパシティ管理手段は、前記第1のクリーニング処理と前記第2のクリーニング処理に関連する共有上限値を管理し、
前記キャパシティ管理手段は、前記第1の受注数と前記第2の受注数の和が前記共有上限値を超えない範囲で、前記第1のクリーニング処理の受注可能数を増加させる
請求項1に記載の管理サーバ。
【請求項3】
前記キャパシティ管理手段は、
前記第1の上限値及び前記共有上限値を、前記第1のクリーニング処理の被処理物のクリーニング工場から配送地点までの配送工程の処理上限に基づいて管理し、
前記第2の上限値を、前記第2のクリーニング処理の被処理物の集荷地点からクリーニング工場までの集荷工程の処理上限に基づいて管理する、
請求項2に記載の管理サーバ。
【請求項4】
前記キャパシティ管理手段は、前記配送工程及び前記集荷工程のそれぞれに対し、少なくとも2つの選択肢を設定し、
前記キャパシティ管理手段は、前記第1のクリーニング処理の前記配送工程と前記第2のクリーニング処理の前記配送工程に対し、それぞれ同一の選択肢を設定し、
前記キャパシティ管理手段は、前記第1のクリーニング処理の前記集荷工程と前記第2のクリーニング処理の前記集荷工程に対して、それぞれ別の選択肢を設定する、
請求項3に記載の管理サーバ。
【請求項5】
前記選択肢が、集荷又は配送の少なくとも一方を行う時間帯が異なる少なくとも2つの物流業者に関する情報を含む、
請求項4に記載の管理サーバ。
【請求項6】
前記キャパシティ管理手段は、
前記第1の上限値及び前記共有上限値を、前記第1のクリーニング処理の被処理物の工場到着時点から工場出荷時点の間に、工場で実行される処理工程の処理上限に基づいて管理し、
前記第2の上限値を、前記第2のクリーニング処理の被処理物の前記工場到着時点から前記工場出荷時点の間に、前記工場で実行される処理工程の処理上限に基づいて管理する、
請求項2に記載の管理サーバ。
【請求項7】
前記第1のクリーニング処理の被処理物の、前記工場で実行される処理工程の開始時点が、前記第2のクリーニング処理の被処理物の、前記工場で実行される処理工程の開始時点と異なる、
請求項6に記載の管理サーバ。
【請求項8】
前記工場で実行される前記処理工程が、クリーニング工程又は検品工程である、
請求項6又は7に記載の管理サーバ。
【請求項9】
前記キャパシティ管理手段は、
前記第1の受注数が前記第1の上限値に到達したこと、又は、
前記第2の受注数が前記第2の上限値に到達したこと、又は、
前記第1の受注数及び前記第2の受注数の和が前記共有上限値に到達したこと、
に関する情報を、出力する、
請求項2から8のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項10】
前記キャパシティ管理手段は、
前記第1の上限値に対する前記第1の受注数の割合、
前記第2の上限値に対する前記第2の受注数の割合、
前記共有上限値に対する前記第1の受注数と前記第2の受注数の和の割合、
のうち、少なくとも1つに関する情報を、出力する、
請求項2から9のいずれか1項に記載の管理サーバ。
【請求項11】
前記キャパシティ管理手段は、前記割合の情報表示を100%を超えた表示で出力する、
請求項10に記載の管理サーバ。
【請求項12】
クリーニング処理を管理する方法であって、
顧客からの注文情報に対応可能な第1のクリーニング処理及び第2のクリーニング処理を設定し、
前記第1のクリーニング処理の第1の受注数の第1の上限値と、前記第2のクリーニング処理の第2の受注数の第2の上限値と、を管理し、
前記第1の上限値を超えて前記第1のクリーニング処理の受注可能数を増加させ、
前記受注可能数まで前記第1のクリーニング処理の受注を受け付ける情報を出力する
方法。
【請求項13】
前記第1のクリーニング処理と前記第2のクリーニング処理に関連する共有上限値を管理し、
前記第1の受注数と前記第2の受注数の和が前記共有上限値を超えない範囲で、前記第1のクリーニング処理の受注可能数を増加させる
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の上限値及び前記共有上限値を、前記第1のクリーニング処理の被処理物のクリーニング工場から配送地点までの配送工程の処理上限に基づいて管理し、
前記第2の上限値を、前記第2のクリーニング処理の被処理物の集荷地点からクリーニング工場までの集荷工程の処理上限に基づいて管理する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記配送工程及び前記集荷工程のそれぞれに対し、少なくとも2つの選択肢を設定し、
前記第1のクリーニング処理の前記配送工程と前記第2のクリーニング処理の前記配送工程に対し、それぞれ同一の選択肢を設定し、
前記第1のクリーニング処理の前記集荷工程と前記第2のクリーニング処理の前記集荷工程に対して、それぞれ別の選択肢を設定する、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
集荷又は配送の少なくとも一方を行う時間帯が異なる少なくとも2つの物流業者に関する情報から前記選択肢を作成する、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の上限値及び前記共有上限値を、前記第1のクリーニング処理の被処理物の工場到着時点から工場出荷時点の間に、工場で実行される処理工程の処理上限に基づいて管理し、
前記第2の上限値を、前記第2のクリーニング処理の被処理物の前記工場到着時点から前記工場出荷時点の間に、前記工場で実行される処理工程の処理上限に基づいて管理する、
請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のクリーニング処理の被処理物の、前記工場で実行される処理工程の開始時点と、前記第2のクリーニング処理の被処理物の、前記工場で実行される処理工程の開始時点とを、異なる時点に設定する、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記工場で実行される処理工程を、被処理物のクリーニング工程又は検品工程から選択する、
請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
管理サーバに、請求項12~19のいずれか1項に記載の方法の各手順を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング処理を管理する管理サーバ及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2009-99154号公報(特許文献1)がある。この公報には、「販売店端末30に対して、操作部34から識別情報、連絡先情報、状態情報が入力される。入力されたこれらの情報はサーバ装置10へ送信され、サーバ装置10の管理テーブル20に格納される。サーバ装置10では、管理テーブル20に格納された連絡先情報を含む入力画面135が表示部15の液晶ディスプレイに表示される。サーバ装置10では、操作部13からの操作入力に基づいて、入力画面135に対する洗濯関連情報の入力が受け付けられる。入力された選択関連情報は、管理テーブル20に格納されている識別情報、連絡先情報、及び状態情報と対応づけられて管理テーブル20に格納される。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1には、クリーニング業界において、衣類の洗濯に関連する情報をサーバ装置で一元管理する衣類の情報管理システムが記載されている。しかしながら、前記特許文献1には、クリーニングサービスの受注数の上限値を超えて、当該クリーニングサービスの受注可能数を変動させることについて検討がなされていない。
そこで、本発明は、受注数を柔軟に管理する、例えば、クリーニング処理の受注可能数を変動させる管理サーバ及び管理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、クリーニング処理を管理する管理サーバであって、クリーニング処理の被処理物の受注数を管理する受注管理手段と、前記クリーニング処理に含まれる複数の工程を管理するキャパシティ管理手段と、を有し、前記キャパシティ管理手段は、顧客からの注文情報に対応可能な第1のクリーニング処理及び第2のクリーニング処理を設定し、前記第1のクリーニング処理の第1の受注数の第1の上限値と、前記第2のクリーニング処理の第2の受注数の第2の上限値と、を管理し、前記キャパシティ管理手段は、前記第1の上限値を超えて前記第1のクリーニング処理の受注可能数を増加させ、前記受注管理手段は、前記受注可能数まで前記第1のクリーニング処理の受注を受け付ける情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、受注数を柔軟に管理することができる。例えば、クリーニング処理の受注可能数を変動させる管理サーバ及び方法を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、クリーニング処理に関連する物流ネットワーク及び情報ネットワークを説明する説明図の例である。
【
図2】
図2は、管理サーバ101bのハードウェア構成の例である。
【
図3】
図3は、処理工場端末102bのハードウェア構成の例である。
【
図4】
図4は、ユーザ端末103bのハードウェア構成の例である。
【
図5】
図5は、店舗端末104bのハードウェア構成の例である。
【
図6】
図6は、物流業者サーバ105bのハードウェア構成の例である。
【
図7】
図7は、受注から注文確定までのデータフロー700の例である。
【
図8】
図8は、対応可能な工場の設定フロー800の例である。
【
図9】
図9は、対応可能な工場の抽出フロー900の例である。
【
図10】
図10は、早期対応商品の優先順位判定フロー1000の例である。
【
図11】
図11は、通常対応商品の優先順位判定フロー1100の例である。
【
図12】
図12は、キャパシティ管理フロー1200の例である。
【
図13】
図13は、確定した受注の分類フロー1300の例である。
【
図16】
図16は、日別の工場プラン情報1600の例である。
【
図19】
図19は、受注可能な商品の候補の表示画面1900の例である。
【
図20】
図20は、キャパシティデイリー設定画面2000a、2000bの例である。
【
図21】
図21は、異なる物流工程を有する商品の間での受注可能数の変動を説明する説明図の例である。
【
図22】
図22は、注文情報に対応可能な複数のクリーニング工程を説明する説明図の例である。
【
図23】
図23は、工場内での処理の割り振りを説明する説明図の例である
【
図24】
図24は、対応工場の異なる2つの商品を説明する説明図の例である。
【
図25】
図25は、
図24の2つの商品のキャパシティを共有した場合を説明する説明図の例である。
【
図27】
図27は、基本生産能力及びフラグ設定情報2700の例である
【
図28】
図28は、通常対応商品の優先順位判定フロー2800の別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を提供した一つの実施形態であり、以下の記載に基づいて本願発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【0009】
図1は、クリーニング処理に関連する物流ネットワーク及び情報ネットワークを説明する説明図の例である。
図1(a)は、クリーニング処理に関する物流ネットワークの構成の説明図である。
図1(b)は、クリーニング処理に関する情報通信ネットワークの構成の説明図である。
【0010】
図1(a)のクリーニングサービス提供業者101aはクリーニング処理を商品として管理及び販売する業者である。
本実施例において、1つの商品は、集荷工程、クリーニング工程、発送工程からなる一連のクリーニング処理である。なお、クリーニング工程は、検品工程とクリーニング工程の組み合わせであってもよい。
集荷工程、クリーニング工程、発送工程は、各工場や物流業者の選択を変えることで、様々な組み合わせの商品を提供することが可能である。
【0011】
例えば、受注4日後までに顧客へ被処理物を配送(お届け)する商品を早期対応商品(以下、クイック商品とも称する)と呼ぶ。また、受注5日後以降に顧客へ被処理物を配送(お届け)する商品を通常対応商品と呼ぶ。
また、後述する配送工程の違いにより、一般集荷一般配送商品、一般集荷特別配送商品、特別集荷一般配送商品、特別集荷特別配送商品が存在する。
図1(a)の例では、クリーニングサービス提供業者101aは、処理工場102a、集荷配送地点103a等と物流ネットワーク106aを介して接続しているが、クリーニングサービス提供業者101aとその他の構成要素との間の物流的な接続は必ずしも必要ではない。
【0012】
図1(a)の処理工場102aは、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスにおいて被処理物の処理工程を担当する処理工場である。
処理工場102aでは被処理物の検品工程や洗浄工程等が行われる。なお、処理工場102aは、検品工程のみを行う工場、洗浄工程のみを行う工場、そして、検品工程及び洗浄工程を行う工場、のいずれであってもよい。更に、処理工場102aは、検品工程、洗浄工程以外の処理工程を行う工場、例えば提携するアパレルブランドが指定するリペア工場等であってもよい。
【0013】
図1(a)の集荷配送地点103aは、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスにより処理される被処理物の集荷配送地点である。集荷配送地点103aは、クリーニングサービス提供業者が提供するサービスを利用する顧客により指定可能であり、例えば、顧客の居住地の他、アパレル店、舞台、式場、貸衣装店等の住所であってもよい。更に、例えば駅の構内等に設置されたロッカーを指定することもできる。
【0014】
図1(a)の店舗104aは、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスにおいて被処理物の集荷工程又は配送工程の少なくとも一方のために、被処理物を預かる工程を担当する店舗である。
クリーニングサービス提供業者101aは、店舗104aとして、例えばコンビニエンスストア(以下コンビニという)や宅配BOXと提携してもよく、顧客に対して複数の集荷地点、配送地点を提供することができるので、顧客の利便性が向上される。
【0015】
図1(a)の物流業者105aは、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスにおいて被処理物の集荷工程(受け取り工程)又は配送工程(受け渡し工程)の少なくとも一方を担当する物流業者である。以下の説明では、特に車両用の道路を利用した物流を例に説明する。
なお、物流業者105aは、陸路を利用するもののみならず、空路や海路を、航空機、船舶、無人機等で移動するものであってもよい。
【0016】
また、クリーニングサービス提供業者101aは、集荷配送を行う時間帯が異なる複数の物流業者105aと提携していてもよい、或いは、同一の物流業者105aが提供する集荷配送を行う時間帯が異なるプランを利用することもできる。
更に、それぞれの物流業者105aは、顧客からの集荷及び顧客への配送の時間指定を、例えば1時間毎、2時間毎、3時間毎等の、異なる範囲で受け付けることもできる。例えば、物流業者105aが集荷配送時の顧客との対応を1時間ごとの時間指定で行うことができる場合、顧客が集荷配送の対応を待つ時間を最小限にできるので有利である。
【0017】
図1(a)の物流ネットワーク106aは、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスにおいて主に被処理物の移送に寄与する物流ネットワークである。
図1(b)の管理サーバ101bは、クリーニングサービス提供業者101aが有するサーバである。
図1(b)の処理工場端末102bは処理工場102aの端末である。
図1(b)のユーザ端末103bは、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスを利用する顧客が利用する端末である。
図1(b)の店舗端末104bは、被処理物を預かる店舗104aの端末である。
図1(b)の物流業者サーバ105bは、物流業者105aのサーバである。
【0018】
図1(b)の通信ネットワーク106bは、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスにおいて利用されるそれぞれの端末を接続する通信ネットワークである。
通信ネットワーク106bは有線、無線を問わず、それぞれの端末は通信ネットワーク106bを介して情報を送受信することができる。
【0019】
管理サーバ101b、処理工場端末102b、ユーザ端末103b、店舗端末104b、物流業者サーバ105bは、例えば、スマートフォン、タブレット、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)などの携帯端末(モバイル端末)でもよいし、メガネ型や腕時計型、着衣型などのウェアラブル端末でもよい。また、据置型または携帯型のコンピュータや、クラウドやネットワーク上に配置されるサーバでもよい。また、機能としてはVR(仮想現実:Virtual Reality)端末、AR(拡張現実:Augmented Reality)端末、MR(複合現実:Mixed Reality)端末でもよい。あるいは、これらの複数の端末の組合せであってもよい。例えば、1台のスマートフォンと1台のウェアラブル端末との組合せが論理的に一つの端末として機能し得る。またこれら以外の情報処理端末であってもよい。
【0020】
管理サーバ101b、処理工場端末102b、ユーザ端末103b、店舗端末104b、物流業者サーバ105bは、それぞれオペレーティングシステムやアプリケーション、プログラムなどを実行するプロセッサと、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置と、ICカードやハードディスクドライブ、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、ネットワークカードや無線通信モジュール、モバイル通信モジュール等の通信制御部と、タッチパネルやキーボード、マウス、音声入力、カメラ部の撮像による動き検知による入力などの入力装置と、モニタやディスプレイ等の出力装置とを備える。なお、出力装置は、外部のモニタやディスプレイ、プリンタ、機器などに、出力するための情報を送信する装置や端子であってもよい。
【0021】
主記憶装置には、各種プログラムやアプリケーションなど(モジュール)が記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサが実行することで全体システムの各機能要素が実現される。なお、これらの各モジュールは集積化する等によりハードウェアで実装してもよい。また、各モジュールはそれぞれ独立したプログラムやアプリケーションでもよいが、1つの統合プログラムやアプリケーションの中の一部のサブプログラムや関数などの形で実装されていてもよい。
【0022】
本明細書では、各モジュールが、処理を行う主体(主語)として記載をしているが、実際には各種プログラムやアプリケーションなど(モジュール)を処理するプロセッサが処理を実行する。
補助記憶装置には、各種データベース(DB)が記憶されている。「データベース」とは、プロセッサまたは外部のコンピュータからの任意のデータ操作(例えば、抽出、追加、削除、上書きなど)に対応できるようにデータ集合を記憶する機能要素(記憶部)である。データベースの実装方法は限定されず、例えばデータベース管理システムでもよいし、表計算ソフトウェアでもよいし、XML、JSONなどのテキストファイルでもよい。
【0023】
図2は、管理サーバ101bのハードウェア構成の例である。
管理サーバ101bは、例えばクラウド上に配置されたサーバで構成される。
主記憶装置201には、顧客入力受信モジュール210、キャパシティ管理モジュール211、受注可能商品出力モジュール212、受注管理モジュール213、システム連携モジュール214等のプログラムやアプリケーションが記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ203が実行することで管理サーバ101bの各機能要素が実現される。
【0024】
顧客入力受信モジュール210は、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスを利用する顧客のユーザ端末103bからの入力情報を、通信ネットワーク106bを介して受信し、受信した入力情報をキャパシティ管理モジュール211へ提供する。
また同様に、顧客入力受信モジュール210は、顧客のユーザ端末103bからの注文確定に関する情報を受信し、受注管理モジュール213へ提供する。
【0025】
キャパシティ管理モジュール211は、顧客入力受信モジュール210から提供された入力情報に対応可能な商品の受注数や受注上限値等を管理し、受注可能な商品に関する情報を出力する。以降、クリーニング処理の受注管理について記載するが、キャパシティ管理モジュール211は、クリーニング処理だけに限られず、例えば各種の電化製品やピアノ等の楽器の修理などの受注管理にも適用できる。
【0026】
キャパシティ管理モジュール211は更に、後述するように、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスのそれぞれの工程を担当する物流業者や処理工場に対する発注状況を管理し、複数の物流業者、複数の処理工場への発注の割り当てを最適化し、それによりクリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスにおける、商品の生産量(キャパシティ)を最適化或いは最大化することができる。
キャパシティ管理モジュール211は、各工場や物流業者の物理的な処理能力や各工場や物流業者との契約上の処理上限に基づいて、商品ごとにキャパシティを、設定、変更することができる。
キャパシティ管理モジュール211のより具体的な機能や役割については、後述する。
【0027】
受注可能商品出力モジュール212は、キャパシティ管理モジュール211によって出力された受注可能な商品情報を、通信ネットワーク106bへ顧客のユーザ端末103bへ送信する。
【0028】
受注管理モジュール213は、受注可能数までクリーニング処理の受注を受け付ける情報をユーザ端末103bへ出力する、また、顧客入力受信モジュール210が受信した注文確定に関する情報を受信し記憶する。
【0029】
補助記憶装置202には、管理設定情報220及び管理情報(管理テーブル)221が記憶されている。管理設定情報220及び管理情報(管理テーブル)221はそれぞれデータベース内に記憶された情報として管理されていてもよい。
管理設定情報220は、管理サーバ101bが各種のモジュールのプログラムやアプリケーションを実行するために必要な管理設定情報等を記憶している。
【0030】
管理情報(管理テーブル)230は、例えば工場情報として、工場マスター情報、工場属性フラグ情報、工場稼働日情報、キャパシティ情報、キャパシティ設定情報等を記憶している。
管理情報(管理テーブル)230は、更に、例えば配送管理情報として、物流業者の運行シフト、可能な集荷配送先等に関する情報を記憶している。
【0031】
キャパシティ管理モジュール211は、管理情報(管理テーブル)230内で管理されている各工場の稼働状況や受注状況に関する情報に基づき、例えば、繁忙期に新規の顧客向けのキャパシティを確保、調整することもできる。
【0032】
図3は、処理工場端末102bのハードウェア構成の例である。
処理工場端末102bは、例えばクラウド上に配置された端末で構成される。
主記憶装置301には、システム連携モジュール310、加工処理管理モジュール311、等のプログラムやアプリケーションが記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ303が実行することで処理工場端末102bの各機能要素が実現される。
【0033】
補助記憶装置302には、工場設定情報320、加工処理情報321等が記憶されている。
工場設定情報320は、処理工場端末102bが各種のモジュールのプログラムやアプリケーションを実行するために必要な工場設定情報等を記憶している。
加工処理情報321は、対応する処理工場において実行される検品処理や洗浄処理等の種類や、稼働状況等が記憶している。
【0034】
図4は、ユーザ端末103bのハードウェア構成の例である。
ユーザ端末103bは、例えばスマートフォン、タブレット、ノートPC、デスクトップPC等の端末で構成される。
主記憶装置401には、注文入力モジュール410、入力補助モジュール411等が記憶されている。
【0035】
注文入力モジュール410は、顧客による入力を受け付けて、受け付けた入力情報を、通信ネットワーク106bを介して管理サーバ101bの顧客入力受信モジュール210へ送信する。
入力情報は、クリーニングサービス提供業者101aにより提供されるサービスの発注や注文の確定に関する情報等である。
【0036】
入力補助モジュール411は、住所や氏名等の顧客情報や被処理物の種類の入力を補助する。
入力補助モジュール411は、例えばカメラ部406によって撮影された、被処理物の写真から被処理物の種類を識別し、顧客に対して衣服の判別時の煩わしさを与えることなく、注文情報を作成してもよい。
【0037】
補助記憶装置402には、ユーザ設定情報420、ユーザ情報421等が記憶されている。
ユーザ設定情報420は、ユーザ端末が本システムに関連する各種のモジュールのプログラムやアプリケーションを実行するために必要なユーザ設定情報等を記憶している。
ユーザ情報421としては、クリーニングサービス提供業者101aにより提供されるサービスを利用する顧客の情報が記憶されている。
【0038】
図5は、店舗端末104bのハードウェア構成の例である。
主記憶装置501には、システム連携モジュール510、受け取り受け渡し管理モジュール511、等のプログラムやアプリケーションが記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ303が実行することで店舗端末104bの各機能要素が実現される。
【0039】
補助記憶装置502には、店舗設定情報520、受け取り受け渡し情報521等が記憶されている。
店舗設定情報520は、店舗端末が本システムに関連する各種のモジュールのプログラムやアプリケーションを実行するために必要な店舗設定情報等を記憶している。
受け取り受け渡し情報521としては、被処理物の受け取り日時や受け渡し日時に関連する情報等が記憶されている。
【0040】
図6は、物流業者サーバ105bのハードウェア構成の例である。
主記憶装置601には、システム連携モジュール610、配送管理モジュール611、等のプログラムやアプリケーションが記憶されており、これらのプログラムやアプリケーションをプロセッサ303が実行することで物流業者サーバ105bの各機能要素が実現される。
【0041】
補助記憶装置602には、物流設定情報620、配送管理情報621等が記憶されている。
物流設定情報620は、物流業者サーバが本システムに関連する各種のモジュールのプログラムやアプリケーションを実行するために必要な物流設定情報等を記憶している。
配送管理情報621は、物流業者が所有する車両、車両の運行シフト、集荷配送先等に関する情報を記憶している。
【0042】
以下、
図7から
図13を用いて実施例における具体的なフローを説明する。個々のフローにおける互いに独立した工程(ステップ)は、それぞれ前後を入れ替えることも可能である。
【0043】
図7は、受注から注文確定までのデータフロー700の例である。
管理サーバ101bのキャパシティ管理モジュール211は、データフロー700に従い、以下の処理を実行する。
【0044】
本実施例において、管理サーバ101bの顧客入力受信モジュール210は、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスを利用する顧客のユーザ端末103bによるアプリケーションやWebサイトの立ち上げに応じて、ユーザ端末103bに対して、入力フォーム情報を送信する(S710)。
入力フォーム情報の一部は、例えばユーザ端末103bの補助記憶装置402内にユーザ設定情報420として保存され得る。
【0045】
ユーザ端末103bの注文入力モジュール410は、顧客により入力された注文情報を、通信ネットワーク106bを介して、管理サーバ101bへ送信する。管理サーバ101bの顧客入力受信モジュール210は送信された注文情報を受け付ける(S720)。なお、
図18には、注文情報の入力画面の例が図示されている。
【0046】
注文情報には、顧客が希望する被処理物の受け渡し日時や受け取り日時、受け渡し住所や受け取り住所、被処理物の種類等が含まれ得るが、必ずしもこれらの情報の全てが含まれている必要はなく、別の実施例では、注文入力モジュール410は、注文情報に関する入力を適宜追加的に受け付けることができる。
【0047】
キャパシティ管理モジュール211は、顧客入力受信モジュール210から注文情報を受け取り、
図8で説明する対応可能な工場の設定フロー800に従い、顧客の注文情報に対応可能な工場を設定する(S730)。
【0048】
キャパシティ管理モジュール211は、設定された工場について、その時点での受注数を集計する(S740)。受注数は、管理サーバ101bの補助記憶装置202に管理情報(管理テーブル)221として記憶されていてもよいし、処理工場端末102bの補助記憶装置302に加工処理情報321として記憶されていてもよい。受注数は、工場ごと、工場での処理工程の実施日、処理の種類等ごとにまとめられている。
【0049】
キャパシティ管理モジュール211は、注文情報及び受注数に応じて、
図12で説明するキャパシティ管理フロー1200に従い、キャパシティ管理を行う(S750)。
【0050】
キャパシティ管理モジュール211は、受注可能な商品のリストを作成し、ユーザ端末103bへ受注可能な商品の候補として送信する(S760)。ユーザ端末103bは、受信したリストに含まれる受注可能な商品の候補をディスプレイ等に表示する。なお、
図19には、受注可能な商品の候補の表示画面の例が図示されている。
【0051】
顧客入力受信モジュール210は、ユーザ端末103bの注文入力モジュール410からの注文確定の入力を受け付ける(S770)。
キャパシティ管理モジュール211は、注文確定の入力の受け付けに基づいて、注文した商品の料金を確定させてもよいし、例えば、処理工場102aでの被処理物の検品工程の終了後に確定させてもよい。
キャパシティ管理モジュール211は、ユーザ端末103bに対して、注文確定時には料金を表示させずあるいは予定の料金を表示させ、被処理物の検品工程の終了後に、確定した料金あるいは追加の料金を通知してもよい。
【0052】
管理サーバ101bの受注管理モジュール213は、受け付けられ確定した注文を、
図13で説明する確定した受注の分類フロー1300に従い、分類する(S780)。
【0053】
受注管理モジュール213は、分類された受注情報を管理情報(管理テーブル)221へ記録し、管理情報内の受注情報を更新する(S790)。
【0054】
注文確定後、注文情報に従い、提携物流業者による顧客或いはコンビニ等の店舗からの被処理物の集荷、提携物流業者から対象工場への被処理物の配達、対象工場での検品及び料金の確定、対象工場からクリーニングサービス提供業者への確定料金情報の送信、クリーニングサービス提供業者から顧客への確定料金情報の送信、顧客からクリーニングサービス提供業者への料金の支払い、対象工場での洗浄及び仕上げ工程の実施、対象工場での梱包、提携物流業者による対象工場から顧客或いはコンビニ等の店舗への被処理物の配送、が行われる。
【0055】
上記の一連の工程により、クリーニングサービス提供業者101aは、顧客に対して、自宅にいたままでのクリーニング、Webやアプリから数タップで24時間注文可能性、自宅まで引き取り、自宅へのお届け、最短2日後届け、早朝6時から深夜0時集配、高品質なクリーニング等を提供することができる。
【0056】
それに伴い、従来の時間的ストレス、物理的ストレスを排除することができる。
時間的ストレスとは、行きたい時間に店舗が閉まっている、決められた日時に受取りに行く、混雑時は受付で並んで待つ、2回店舗に行く手間と時間、等に起因するものである。また、物理的ストレスとは、何着もの服を持ち運ぶ、伝票控えを仕上がりまで保管する、引き取りを忘れてしまう恐れ、等に起因するものである。
【0057】
また、本実施例は、上記の複数の工程からなるクリーニング処理において、工場間での平準化した受注、及び、工場ごとの処理能力を最大限に活用した受注を可能とする。
【0058】
図8は対応可能な工場の設定フロー800の例である。
対応可能な工場の設定フロー800は
図7のS730に対応する。
【0059】
キャパシティ管理モジュール211は、
図7のS720で受け付けた注文情報を取得し(S805)、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスにおいて被処理物の処理工程を担当する複数の処理工場に関して、各工場の工場情報を取得する(S810)。
【0060】
キャパシティ管理モジュール211は、S810で、工場情報として、工場マスター情報、工場属性フラグ情報、工場稼働日情報、キャパシティ情報等を取得してもよい。これらの情報は、基本的に、一度取得された後は管理サーバ101bのデータベース内に管理情報221として記憶されているが、例えば定期的に又は変更が生じる度に、処理工場端末から最新のデータを受信し、更新することもできる。
【0061】
図15は、工場マスター情報1500の例である。
工場マスター情報は、工場の種類(集配送工程、検品工程、洗い、乾燥、仕上げ工程に対応可能な工場、洗い、乾燥、仕上げ工程のみに対応可能な工場、検品工程のみに対応可能な工場、特殊処理工程に対応可能な工場等)、生産日数、住所、優先順位、工場定休日、対応可能な被処理物の内容及びその上限数等の情報を含み得る。
【0062】
工場属性フラグ情報は、クイック生産可否、通常生産可否、特別集荷・特別発送取り扱い可否、オプション取り扱い可否、EC取り扱い可否、コンビニ出し受付可否、プレミアム会員向け生産可否、通常会員向け生産可否、ゆっくり割生産可否等のフラグ情報を含み得る。
キャパシティ管理モジュール211が、各工場マスター情報1500の情報から取得した各工場の対応可能な処理内容を集約し、各工場の属性をフラグ付けした情報である。
【0063】
工場稼働日情報は、工程毎の工場稼働日等の情報を含み得る。工場マスター情報1500の工場定休日情報を集約することで生成される情報である。
キャパシティ情報は、工場、商品、日別のキャパシティに関する情報を含み得る。日別の工場プラン情報1600を集約することで生成される情報である。
【0064】
図27は、キャパシティ管理モジュール211が表示する基本生産能力及びフラグ設定情報2700の例である。
工場情報から集約された情報が一覧表示されており、拠点ごとに対応可能かどうかを表す属性情報を設定することが可能となる。
【0065】
一般集荷、一般配送とは、一般物流会社による集荷、配送であり、通常朝8時~夕方6時半頃の時間に集荷を受け付け、朝8時~夜9時までの配送を行う。一方、特別集荷、特別配送とは、特別物流会社による集荷、配送であり、朝6時~深夜24時まで集荷を受け付け、朝6時~深夜24時まで配送を行う。
上記時間は一例であり、その時間は物流会社によって前後するものであるが、特別物流会社を使用すると、一般物流会社による一般集荷、一般配送の対応時間外の早朝や夜間でも集荷、配送が可能である。
【0066】
キャパシティ管理モジュール211は、
図9で説明する対応可能な工場の抽出フロー900に従い、S810で取得される工場情報に基づいて、提携する各工場の中から、注文情報に対応可能な工場を抽出する(S820)。
【0067】
キャパシティ管理モジュール211は、注文情報から、被処理物を受注4日後までに顧客へ被処理物を配送するかについて判定する(S830)。
本実施例においては、受注4日後までに顧客へ被処理物を配送(お届け)する商品を、クイック商品として設定している。なお、受注何日後までに顧客へ被処理物を配送する商品をクイック商品とするかは、クリーニングサービス提供業者101aによって、適宜設定可能である。
【0068】
被処理物を受注4日後までに顧客へ被処理物を配送する場合(S830のYes)、キャパシティ管理モジュール211は、注文情報を早期対応商品に分類し、S820で抽出された工場が集荷住所の対応地域内であるかについて判定する(S840)。
【0069】
抽出された工場が集荷住所の対応地域内にある場合(S830のYes)、キャパシティ管理モジュール211は、それらの
図10で説明する工場を早期対応商品の場合の優先順位判定フロー1000に従って判定する。また、抽出された工場が集荷住所の対応地域内にない場合(S830のNo)、キャパシティ管理モジュール211は、対応地域内にない工場を除外した上で(S850)、残りの工場を早期対応商品の場合の優先順位判定フロー1000に従って判定する。
【0070】
被処理物を受注5日後以降に顧客へ被処理物を配送する場合(S830のNo)、キャパシティ管理モジュール211は、対応地域を受注4日後までに配送する場合と比べて拡大し、S820で抽出された工場から、集荷住所がある西日本又は東日本のいずれかの地域に割り振られた工場を抽出する(S870)。
配送までの期限があるため、例えば大阪が集荷住所の場合、西日本にある工場であればどこでも被処理物を郵送して対応可能となるため、4日後までに配送する場合と比べて選択できる工場の地理的範囲を広く設定している。なお、工場の地域による割り振りは、西日本又は東日本という2段階を設定したが、例えば、もう少し細かい区分である県ごと、市町村ごと、特別区ごと、に割り振ってもよい。或いは、物流業者が使用する地域分類を援用してもよい。
【0071】
キャパシティ管理モジュール211は、
図11で説明する通常対応商品の場合の優先順位判定フロー1100に従い、抽出済みの各工場の中から、対象工場を設定する(S880)。
【0072】
対象工場の設定後(S860、S880)、キャパシティ管理モジュール211は、商品ごとに対応可能な工場を設定する(S890)。
【0073】
図8に従う対応可能な工場の設定フロー800は、複数の工場の中から効率的に、送料コストの低い工場を抽出可能であるとともに、複数の工場間で平準化した、分配の偏りが起こりにくい発注を実現することができる。それにより、各工場での売上利益の均等化し、キャパシティ按分の精度を高め、販売計画で計画した受注配分に近づけることができる、特に販売計画に沿った分量で工場に配分することができる。更に、その時々での各工場に稼働状況や経営状況に応じた経営支援を行うことも可能である。
【0074】
図9は対応可能な工場の抽出フロー900の例を示している。
キャパシティ管理モジュール211は、
図8の対応可能な工場の設定フロー800のS810で取得された各工場の工場情報を取得し(S910)、取得された各工場の工場情報に基づき、対象の被処理物を処理できる工場を抽出する(S920)。
例えば、キャパシティ管理モジュール211は、工場情報の対応可能な被処理物の内容の情報を取得し、注文された被処理物に対応する工場を抽出する。対象の被処理物とはこの場合、衣服のみではなく、靴、かばん、布団、寝袋等も意味している。
【0075】
キャパシティ管理モジュール211は、S910で抽出された工場ごとに定休日情報を取得し(S930)、日時条件内、すなわち注文情報で指定された集荷配送日時の期間内に、定休日を含む工場がないかを判定する(S940)。注文情報で指定された集荷配送日時の期間内に、定休日を含む工場がない場合(S940のYes)、S920で抽出された工場全ての工場を対応可能な工場として抽出する(S980)。なお、予め工場稼働日情報が集約されている場合には、この情報を用いることもできる。
【0076】
注文情報で指定された集荷配送日時の期間内に、定休日を含む工場がある場合(S940のNo)、キャパシティ管理モジュール211は、定休日を含む工場を除いた残りの工場の数が0であるかを判定する(S950)。定休日を含む工場を除いた残りの工場の数が0である場合(S950のYes)、キャパシティ管理モジュール211はS920で抽出された工場から期間内に定休日を含む工場を除外せず(S960)、対応可能な工場を抽出する(S980)。
【0077】
定休日を含む工場を除いた残りの工場の数が0でない場合(S950のNo)、キャパシティ管理モジュール211はS910で抽出された工場から期間内に定休日を含む工場を除外して(S970)、対応可能な工場を抽出する(S980)。
期間内に定休日の工場があると、被処理物のクリーニング処理を実行するための工場の生産日程が短くなるため、なるべく長い生産日程をとれる工場を優先して抽出する。しかしながら、早期に顧客に返却する必要のない通常対応商品であれば、期間内に定休日があっても対応可能であるため、定休日を含む工場しか候補が存在しない場合には、受注不可とせずに、対応可能な工場として抽出する。
【0078】
図9の対応可能な工場の抽出フロー900により、キャパシティ管理モジュール211は、工場ごとの定休日の有無に関連する演算処理を最小限にし、
図8のその後の対応可能な工場の設定フロー800における処理を、より低負荷且つ簡潔に実行できる。
【0079】
図10は、早期対応商品の優先順位判定フロー1000の例を示している。
キャパシティ管理モジュール211は、
図8の対応可能な工場の設定フロー800のS840、S850から抽出された早期対応可能な工場情報を取得する(S1010)。
抽出された早期対応可能な工場情報に基づき、キャパシティ管理モジュール211は、早期対応商品を担当する工場ごとに充足率の上限値を設定しており、工場ごとにその時点で充足率の上限値を満たしていない工場があるかを判定する(S1020)。充足率の上限値を満たしていない工場がある場合(S1020のYes)、キャパシティ管理モジュール211は、充足率が最も低い工場を対象工場に設定する(S1030)。
なお、充足率が最も低い工場が2つ以上ある場合は、工場の優先度にしたがって対象工場を割り当ててもよい。
【0080】
充足率を満たしていない工場がない場合(S1020のNo)、キャパシティ管理モジュール211は、工場ごとに設定された工場優先順位に応じて対象工場を設定する(S1040)。
なお、工場ごとの対応可能な被処理物ごとの上限値は例えば工場マスター情報1500に規定されており、各工場はそれぞれの日の処理能力の変動に応じて、上限値を設定可能である。
【0081】
早期対応商品の優先順位判定フロー1000により、キャパシティ管理モジュール211は、複数の工場と連携したシステムにおいて、工場ごとの発注数を平準化することが可能となる。
【0082】
図11は、通常対応商品の優先順位判定フロー1100の例を示している。
キャパシティ管理モジュール211は、
図8の対応可能な工場の設定フロー800のS870から抽出された通常対応可能な工場として割り振られた工場の工場情報を取得する(S1110)。抽出された通常対応可能な工場として割り振られた工場の工場情報に基づき、キャパシティ管理モジュール211は、通常対応商品を担当する工場ごとに充足率の下限値及び上限値を設定してもよい。
【0083】
キャパシティ管理モジュール211は、工場ごとにその時点で充足率の下限値を満たしていない工場があるかを判定する(S1120)。充足率の下限値を満たしていない工場がある場合(S1120のYes)、キャパシティ管理モジュール211は、充足率の下限値が最も低い工場を対象工場に設定する(S1130)。なお、充足率が最も低い工場が2つ以上ある場合は、工場ごとに設定された優先度にしたがって対象工場を割り当ててもよい。
【0084】
キャパシティ管理モジュール211は、工場ごとにその時点で充足率の上限値を満たしていない工場があるかを判定する(S1140)。充足率の上限値を満たしていない工場がある場合(S1140のYes)、キャパシティ管理モジュール211は、上限値を満たしていない工場のうち充足率が最も低い工場を対象工場に設定する(S1150)。
【0085】
充足率の上限値を満たしていない工場がない場合(S1140のNo)、キャパシティ管理モジュール211は、工場ごとに設定された工場優先順位に応じて対象工場を設定する(S1160)。
【0086】
通常対応商品の優先順位判定フロー1100により、キャパシティ管理モジュール211は、複数の工場と連携したシステムにおいても、工場ごとの発注数を平準化することが可能となる。
【0087】
早期対応商品の優先順位判定フロー1000及び通常対応商品の優先順位判定フロー1100のいずれにおいても、充足率は、設定された上限値或いは下限値に対する受注数の割合で算出されるので、工場の規模に応じて最適化された配分を実現することができる。
なお、下限値に代えて、以下の優先度決定用の充足率を利用することもできる。優先度決定用の充足率は例えば、工場ごとに設定した調整係数(経営支援係数)を用いて、次式にしたがって、すなわち、
優先度決定用の充足率=受注数/(キャパ上限×調整係数)
にしたがって、算出することができる。なお、上記の式は、更に別の調整係数や調整項を有していてもよい。
工場ごとに調整係数をもたせることで、下限値の代わりにどの工場に優先して割り当てるかをコントロールすることができる。
【0088】
通常、
図11の通常対応商品の優先順位判定フロー1100で優先順位を判定される通常対応商品の設定数や実際の受注数は、
図10の早期対応商品の優先順位判定フロー1000で優先順位を判定される早期対応商品の設定数や実際の受注数に比べ、明らかに多くなる。
そのような状況を考慮して、キャパシティ管理モジュール211は、
図11の通常対応商品の優先順位判定フロー1100では、優先順位を判定するため上限値及び下限値を用いて、より柔軟に優先順位を設定することができる。
【0089】
図28は、通常対応商品の優先順位判定フロー2800の別の例である。
図11に関連して説明した、優先順位判定フローに代えて、充足率に余裕のある工場だけに絞り込むステップの後、送料優先フラグの判定ステップ(S2820)、生産日程優先フラグの判定ステップ(S2830)、充足率の判定ステップ(S2860)を実行して対象工場を設定することも可能である。
なお、送料優先フラグがONの場合(S2820のYes)、送料が安くなる工場を優先して絞り込み(S2830)、生産日程優先フラグがONの場合(S2840のYes)、長い生産日程を確保できる工場を優先して絞り込む(S2850)。なお、充足率が最も低い工場が2つ以上ある場合は、工場の優先度にしたがって対象工場を割り当ててもよい。
更に、
図28の通常対応商品の優先順位判定フロー2800は、そのまま、あるいは、一部を、
図10に関連して説明した早期対応商品の優先順位判定フロー1000に代えて、採用することも可能である。
【0090】
図12は、キャパシティ管理フロー1200の例を示している。
図12のキャパシティ管理フロー1200について説明する前に、キャパシティ管理モジュール211により実施される管理や設定、並びに、キャパシティ管理モジュール211の機能や役割について説明する。
【0091】
キャパシティ管理モジュール211は、集荷工程、クリーニング工程、発送工程からなるクリーニング処理を1つの商品として管理する。クリーニング工程は、検品工程とクリーニング工程の組み合わせであってもよい。
キャパシティ管理モジュール211は、クリーニング工程に関して、対象工場、対応工場における処理工程のシフト等を可変に管理することもできる。それにより、対象工場、対応工場における処理工程のシフト等が固定的に管理されている場合と比較して、受注管理を柔軟に行うことができる。
【0092】
それと並行して、キャパシティ管理モジュール211は、クリーニング工程に関して、指定した商品に対しては、対象工場、対応工場における処理工程のシフト等を固定的に管理することもできる。それにより指定した商品に関しては、一部の生産管理を確定させることができる。例えばサブスクリプション形式で提供されるクリーニング処理商品を、提携工場に設定した割合で分配することで、各工場に対する最低限の分配数や各工場での処理工程のシフトの確保を達成することが容易になる。
【0093】
キャパシティ管理モジュール211による「管理」には、各構成要素に関する情報の設定、変更、処理、保存、更新等が含まれる。
【0094】
それぞれのクリーニング処理には、各工程を担当する物流業者や工場の処理能力や契約上の上限数に応じた、受注可能な上限値が存在するが、キャパシティ管理モジュール211は、同一の注文情報に対応可能なクリーニング処理が複数存在する場合や、同一の注文情報に対応可能な工程の組み合わせが複数存在する場合、特に同一の注文情報に対応可能な工場での処理工程が複数存在する場合、それらをグループ化(グルーピング)し、共有上限値を設定する、また、当該注文情報に対してデフォルトで割り当てられるクリーニング処理を第1のクリーニング処理として設定し、その他のクリーニング処理を第2のクリーニング処理として設定する。
例えば、上限値が70の特別集荷特別配送商品と、上限値が30の一般集荷特別配送商品とは、特別配送が共通しているためこれらをグループ化して、これらに共有の共有上限値100を設定することができる。
【0095】
キャパシティ管理モジュール211は、前記第1のクリーニング処理と前記第2のクリーニング処理に関連する共有上限値を管理し、前記キャパシティ管理手段は、前記第1の受注数と前記第2の受注数の和が前記共有上限値を超えない範囲で、前記第1のクリーニング処理の受注可能数を増加させる。
上記の管理により、キャパシティ管理モジュール211は、第1のクリーニング処理の受注数が、販売計画等に基づき設定可能な第1の受注数の第1の上限値に達していても、共有上限値を超えない範囲で受注可能数を増加させ、受注を継続することができる。それにより、販売計画等から外れた受注状況においても、システム全体の生産能力を確実に発揮することができる。
【0096】
キャパシティ管理モジュール211は、例えば、第1の上限値及び共有上限値を、前記第1のクリーニング処理の被処理物のクリーニング工場から配送地点までの配送工程の処理上限に基づいて管理し、第2の上限値を、第2のクリーニング処理の被処理物の集荷地点からクリーニング工場までの集荷工程の処理上限に基づいて管理する。
例えば、特別集荷特別配送商品の上限値70及び、共有上限値100を、特別配送の処理能力の上限100件に基づいて管理し、一般集荷特別配送商品の上限値を、一般集荷の処理能力の上限に基づいて管理する。
上記の管理により、キャパシティ管理モジュール211は、第1の上限値、第2の上限値、及び共有上限値を、対応する物流業者のその都度の集荷工程及び配送工程の処理能力(実際の又は契約上の集配送可能な件数)に応じて、設定及び変更することができる。
この実施例については、例えば
図21等を用いてより詳細に説明する。
【0097】
キャパシティ管理モジュール211は、工場から受け渡し地点までの配送工程及び引き取り地点から工場までの集荷工程のそれぞれに対し、少なくとも2つの選択肢を表示することができる。
また、キャパシティ管理モジュール211は、第1のクリーニング処理の配送工程と第2のクリーニング処理の配送工程に対し、それぞれ同一の選択肢を設定することができる。
キャパシティ管理モジュール211は、第1のクリーニング処理の集荷工程と第2のクリーニング処理の集荷工程に対して、それぞれ別の選択肢を設定することができる。
例えば、第1のクリーニング処理の配送工程と第2のクリーニング処理の配送工程に対し、同一の特別配送を設定し、第1のクリーニング処理の集荷工程と第2のクリーニング処理の集荷工程に対して、それぞれ特別集荷と、一般集荷という別の選択肢を設定することができる。
【0098】
キャパシティ管理モジュール211は、配送工程と集荷工程に対する選択肢として、集荷又は配送の少なくとも一方を行う時間帯が異なる少なくとも2つの物流業者に関する情報を含む。
少なくとも2つの物流業者は、顧客からの集荷及び顧客への配送の時間指定を、例えば1時間毎、2時間毎、3時間毎等の、異なる範囲で受け付けることもできる。
なお、異なる少なくとも2つの物流業者(配送業者)には、同一の物流業者により提供される、異なる少なくとも2つのシステムの物流サービスが含まれる。
【0099】
キャパシティ管理モジュール211は、第1の上限値及び共有上限値を、第1のクリーニング処理の被処理物の工場到着時点から工場出荷時点の間に、工場で実行される処理工程の処理上限に基づいて管理し、第2の上限値を、第2のクリーニング処理の被処理物の工場到着時点から工場出荷時点の間に、工場で実行される処理工程の処理上限に基づいて管理することもできる。
この実施例については、例えば
図22、
図23等を用いてより詳細に説明する。
【0100】
キャパシティ管理モジュール211は、第1のクリーニング処理の被処理物の、対象工場で実行される処理工程の開始時点と、第2のクリーニング処理の被処理物の対象工場で実行される処理工程の開始時点とを、異なる時点に設定できる。
更に、キャパシティ管理モジュール211は、対象工場で実行される処理工程として、クリーニング工程又は検品工程のうち少なくとも一方を設定できる。
【0101】
キャパシティ管理モジュール211は、第1の受注数が第1の上限値に到達したこと、第2の受注数が第2の上限値に到達したこと、第1の受注数及び第2の受注数の和が共有上限値に到達したこと、に関する情報のうち少なくとも1つを出力することができる。
キャパシティ管理モジュール211は、そのような出力を、管理サーバ101bの出力装置へ出力するだけではなく、例えばクリーニングサービス提供業者101aの管理者や担当者が有する携帯端末に対して、アラートやEメールへ出力することもできる。それにより、本システムの管理担当者は、実情を、迅速に受注管理計画、生産管理計画に反映させることができる。
【0102】
キャパシティ管理モジュール211は、第1の上限値に対する第1の受注数の割合、第2の上限値に対する第2の受注数の割合、共有上限値に対する第1の受注数と第2の受注数の和の割合のうち、少なくとも1つに関する情報を、出力することができる。
【0103】
キャパシティ管理モジュール211は、第1の上限値に対する第1の受注数の割合の情報表示、第2の上限値に対する第2の受注数の割合の情報表示、共有上限値に対する第1の受注数と第2の受注数の和の割合の情報表示を100%を超えた表示で出力することができる。
【0104】
同一の注文情報に対応可能な異なるクリーニング処理をグループ化し、或いは、同一の注文情報に対応可能となる工程の組み合わせをグループ化し、共有上限値を設定することで、例えば従来は注文情報とクリーニング処理の間の関係が1対1で割り当てられていたために、別のクリーニング処理で対応可能であるにも関わらず、「売り切れ」として受注を停止していた注文を、受注することが可能となる。またそれにより、提携する複数の工場や物流業者のリソース(処理能力)を最大限に活用し、売上機会の損失を防ぐことが可能となる。
【0105】
キャパシティ管理モジュール211は、売り切れが発生しにくい、従って各工場及びシステム全体での生産能力を限界まで使えるような受注分配を行うことができるように、受注管理や共有上限値の設定を行うことができる。
キャパシティ管理モジュール211は、例えば、注文情報に対応する複数の工程について、より売り切れが生じにくい複数の組み合わせを算出し、それらの間に共有上限値を設定してもよい。そのような組み合わせの算出には、例えば、地域ごとの顧客の分散度、地域ごとの処理工場の分散度、物流業者の対応地域、年間時期、年間同時期の受注実績、直近の受注状況、気候状況等のパラメータの影響を反映させてもよい。
【0106】
キャパシティ管理モジュール211は、例えば「3月1日の16時集荷、3月4日の14時配達のクリーニング処理の担当工場はFILとする」等、注文可能な日時ごとに担当する工場を設定することもできる。
【0107】
キャパシティ管理モジュール211は、生産開始から出荷時刻までに生産出来る量をキャパシティ上限とし、同一時間内に生産可能なものは、キャパシティ上限を共有するものとして、共有上限値を設定することができる。
キャパシティ管理モジュール211は、検品日当日のキャパシティが上限に達した場合、翌日のキャパシティで対応可能な場合は、キャパシティを融通出来るものとして、共有上限値を設定することができる。
【0108】
従来のキャパシティ管理システムにおいては、売り切れが発生した商品に対して、受注管理の担当者が、融通がきく他の工程のキャパシティを減らすなどして、再度受注可能な状態へ調整していた。この場合、再度受注可能な調整を完了するまで、商品の受注が行えない機会損失は避けられないものであった。
【0109】
従来のキャパシティ管理システムにおいては、毎月、翌月のキャパシティ設定時に、配送業者の分配などを行っていた。
【0110】
本実施例に従うキャパシティ管理モジュール211は、共有上限値が設定されている商品(クリーニング処理)の間に、共有上限値を設定しキャパシティを共有することで、顧客からの注文情報に対応する商品に対して、個々の工場や物流業者或いはシステム全体に対応可能な処理能力があるにも関わらず、「売り切れ」が発生することを効果的に避けることができる。それにより、担当者による急なキャパシティの変更、手動操作、逐次監視が必要となる事態を避けることができる。
本実施例に従うキャパシティ管理モジュール211は、システム全体の個々の工程の情報にアクセス可能であり、担当者による操作なしに、配送業者の分配を行うことができる。
【0111】
キャパシティ管理モジュール211は、複数の工程からなるクリーニング処理の全体を管理し、クリーニングサービス提供業者101aの管理者等に対して、システムの制御画面上で、検品日や出荷日などに関して、統一したまた簡潔な表示を行うことができる。
場合によっては、キャパシティ管理モジュール211は、検品日基準での表示や出荷日基準での表示の切り替えを行うこともできる。
【0112】
それにより、キャパシティ管理モジュール211は、管理者に対して、より簡潔な管理用ユーザインタフェースを提供することができる。特に、キャパシティ管理モジュール211は、設定上限を超えた商品の受注状況を、100%を超えて表示することができるので、管理者は、特定のデータ分析を介することなく、ひと目で対応が必要な商品を認識することができる。
【0113】
以下、
図12のキャパシティ管理フロー1200の例について説明する。
キャパシティ管理モジュール211による第1のクリーニング処理の受注可能数の変動の具体的な例については、
図20、
図21を用いて説明する。
キャパシティ管理モジュール211は、
図7のデータフロー700のS730で設定された工場に関して、S740で集計された受注数についての情報を取得する(S1210)。
【0114】
集計された受注数についての情報に基づき、キャパシティ管理モジュール211は、顧客からの注文情報に対応可能な第1のクリーニング処理の受注数が、第1の上限値未満であるかを判定する(S1220)。
第1の上限値は、
図20の例では、特別集荷特別配送商品の受注上限数である。
【0115】
注文情報に対応可能な第1のクリーニング処理の受注数が第1の上限値未満である場合(S1220のYes)、キャパシティ管理モジュール211は、受注可能な商品のリストに第1のクリーニング処理を追加し(S1260)、受注可能な商品のリストを送信する(1270)。
図20の例では、特別集荷特別配送の商品をリストに含め、ユーザ端末103bが特別集荷特別配送の商品を選択可能な形で表示する。
【0116】
注文情報に対応可能な第1のクリーニング処理の受注数が第1の上限値未満ではない場合(S1220のNo)、キャパシティ管理モジュール211は、顧客からの注文情報に対応可能な第2のクリーニング処理が存在するかを判定する(S1230)。
【0117】
第2のクリーニング処理が存在する場合(S1230のYes)、キャパシティ管理モジュール211は、第1のクリーニング処理及び第2のクリーニング処理の受注数の和が共有上限値未満であるかを判定する(S1230)。
例えば
図20の例では、第2のクリーニング処理として一般集荷特別配送の商品が存在する。特別集荷特別配送商品と一般集荷特別配送商品の共有上限値未満であるかどうかを判定する。
【0118】
第1のクリーニング処理及び第2のクリーニング処理の受注数の和が共有上限値未満である場合(S1240のYes)、キャパシティ管理モジュール211は、第1のクリーニング処理の受注可能数を変動させ(S1250)、第1のクリーニング処理を受注可能とする。その後、キャパシティ管理モジュール211は、第1のクリーニング処理を、受注可能な商品のリストに第1のクリーニング処理を追加し(S1260)、受注可能な商品のリストを送信する(S1270)。
【0119】
例えば
図20の例では、特別集荷特別配送商品の受注数が、その上限値を超えていた場合であっても、特別集荷特別配送商品と一般集荷特別配送商品の共有上限値まで余裕がある場合には、特別集荷特別配送商品の上限値を増加させる方向に変動させる。
その結果、当初の上限値を超えているにもかかわらず特別集荷特別配送商品を受注可能な商品のリストに追加し、ユーザ端末103bに送信し、ユーザ端末103bは特別集荷特別配送商品をユーザが選択可能な形で表示する。
【0120】
注文情報に対応可能な第2のクリーニング処理が存在しない場合(S1230のNo)、又は、第1のクリーニング処理の受注数及び第2のクリーニング処理の受注数の和が共有上限値未満ではない場合(S1240のNo)、キャパシティ管理モジュール211は、受注不可通知を送信する(S1280)。
【0121】
図13は、確定した受注の分類フロー1300を示している。
キャパシティ管理モジュール211は、確定した注文の集荷配送日時情報を取得し(S1310)、集荷配送日時情報に基づき、特別集荷の対応が必要であるかを判定する(S1315)。キャパシティ管理モジュール211は、特別集荷の対応が必要である場合(S1315のYes)も特別集荷の対応が必要でない場合(S1315のNo)も、特別配送の対応が必要であるかを判定する(S1320、S1325)。
【0122】
キャパシティ管理モジュール211は、特別集荷及び特別配送での対応の必要性のバリエーションに応じて、確定した注文に、特別集荷特別配送工程の設定(S1330)、特別集荷一般配送工程の設定(S1335)、一般集荷特別配送工程の設定(S1340)、一般集荷一般配送工程の設定(S1345)、を行う。
【0123】
キャパシティ管理モジュール211は、確定した注文の対象工場における処理日時を設定し(S1350)、確定した注文を各設定に対応する商品受注に分類する(S1365)。
【0124】
受注の分類フロー1300によって注文を分類することにより、キャパシティ管理モジュール211は、複数の物流業者や複数の工場から構成されたシステムにより提供されるサービスの各商品を効率的に管理することができる。
【0125】
なお、キャパシティ管理モジュール211は、S1310からS1360までの処理を、例えば、上述の対応可能な工場の設定フローS730やキャパシティ管理フローS750に追加して実行してもよい。
【0126】
図7から
図13で説明したフローは1つの例に過ぎず、キャパシティ管理モジュール211は、それらを適宜統合し、分割し、又は、入れ替えて、実行することができる。
更に、キャパシティ管理モジュール211は、実施形態に応じて、例えば担当する処理の異なる工場間での配送工程、被処理物の一時保管工程、被処理物の種類に応じた処理の分類工程、等を管理するための更なる処理を追加することもできる。
【0127】
例えば、一時保管工程では、クリーニングサービス提供業者101aは、提供する工場(保管会社)を通じて、衣服等の被処理物に対してアパレル水準の最適な保管環境(温度20℃、湿度60%)を提供することができる。その際、ジャケット類はハンガーに掛けて、ニット類はたたんで、被処理物の種類に応じて、最適な状態で、預かりからクリーニング処理工程まで、又は、クリーニング処理工程からお届けまで、或いはその両方において、保管され得る。
【0128】
図7から
図13で説明したフローに基づき、クリーニングサービス提供業者101aは、顧客の地域(集荷地点や配送地点)・複数ある提携処理工場(クリーニング工場)の処理状況に基づき、適切な工場に被処理物を分配する仕組み、顧客が指定した集荷・お届け(配送)の時間帯の条件によって、異なる配送会社(物流業者)、或いは、同一の配送会社により提供される異なるシステムの物流サービス、を使い分ける仕組み、検品工程を2パターン(クリーニング工程を行う工場で検品工程も行うパターン、検品工程のみを行う工場(会社)で行うパターン)に分ける仕組み、顧客が被処理物の保管を希望する場合、保管会社をルートに追加する仕組み等を確立することができる。
【0129】
従来の宅配クリーニングでは、ユーザ、配送会社、元請クリーニング会社の間のルートが固定されているが、
図7から
図13で説明したフローに従う実施例では、複数の提携会社(クリーニング工場・配送会社・検品会社・保管会社)と情報連携し、被処理物を、効率的かつ適切なルートで、且つ、平準化して、分配することができるうえ、更に、提供するサービス全体で、それぞれの提携会社(提携工場)の物理的な処理能力や契約上の処理上限数を、最大限に活用することが可能となる。
【0130】
図14は、ユーザ情報1400の例を示している。
ユーザ情報1400は、顧客IDや顧客名、顧客の住所や連絡先等の個人情報に加え、クリーニングサービス提供業者101aが提供するサービスに関する各種の情報を記憶することができる。例えば、クリーニングサービス提供業者101aがサブスクリプション形式のクリーニングサービスを提供する場合、ユーザ情報に定期集荷日時に関する情報を含めることが有利である。
また、ユーザ情報が、被処理物やオプションの種類ごとに予め設定されたデフォルト工場に関する情報を記憶することが有利である。デフォルト工場は、例えば顧客の住所情報に基づいて選択及び設定され得る。
【0131】
図14には示されていないが、ユーザ情報1400は、アパレルブランドとの提携情報を含んでいてもよい。例えば、ユーザ情報1400が、クリーニングサービス提供業者101aと提携のアパレルブランドの商品に対して、予め最適なクリーニング処理に関する情報を有している場合、その情報を顧客による発注入力の入力補助等に用いることができる。
【0132】
それにより、アパレルブランドは、信頼性の高いアフターケアを提案することができ、購入促進の材料とすることができる。また、アパレルブランドは、その顧客層に明確な特徴を有していることが多いので、クリーニングサービス提供業者101aは、提携するアパレルブランドの顧客層を分析することで、特定の顧客層、例えば宅配クリーニングサービスの頻繁な利用が期待できる、共働き世帯、30代から40代、女性、等に衣服等の購入段階から効果的にアプローチすることができる。
【0133】
また、キャパシティ管理モジュール211は、提携のアパレルブランドの商品に関する情報を、定期的なクリーニング処理のために利用し、予め提携のアパレルブランドごとに予想されるクリーニング処理の発注数を、販売計画に組み込んでもよい。
【0134】
キャパシティ管理モジュール211は、ユーザ情報を用いて、それぞれの顧客に対して、EC販売、オプション、コンビニ集荷配送、会員種別ごとに、予め対象工場を設定すること、例えば特定の1つの処理工場にだけ注文を流すこともできる。
【0135】
キャパシティ管理モジュール211は、ユーザ情報に含まれる定期集配情報を管理し、定期集配用に、専用のキャパシティを事前に確保、調整することもできる。
ユーザ情報は、デフォルト工場として洗浄工場と注文者の位置から、最も安い送料の工場についての情報を記憶していてもよい。キャパシティ管理モジュール211は、通常注文の場合、デフォルト工場が優先的に対象工場として設定してもよい。
【0136】
図15は、工場マスター情報1500の例を示している。
工場マスター情報1500には、処理工場のIDやコード、処理工場の住所、担当の地域、対応可能な被処理物であるアイテムごとの受注数の上限及び下限、その時点での受注可能性、工場間での優先順位、アイテム毎の生産リードタイム等の情報を記憶することができる。
工場マスター情報1500は、アイテムとして、対応可能な被処理物の種類や対応可能な処理工程の種類等を記憶していてもよい。
工場マスター情報1500は、生産リードタイムを日数単位で管理してもよいし、時間単位で管理してもよい。
【0137】
被処理物の種類には、衣服のみではなく、例えば、靴、かばん、布団、寝袋等も含まれる。また、処理工程には、検品、ドライクリーニング、リファイン加工、ワイシャツ等の抗菌防臭加工、水洗い、やわらか加工、毛玉取り、毛取り、靴の丸洗い、補色、しみ抜き、ブラッシング、撥水加工、リペア等の工程が含まれ得る。
図11との関連で説明した通り、工場マスター情報1500が受注数の下限を記憶することは、各工場間での注文の分配に最低限の均等性をもたらすために有利である。
【0138】
図16は、日別の工場プラン情報1600の例を示しており、これは上述の工場属性フラグ情報に記憶され得る。
日別の工場プラン情報1600には、処理工場のIDやコードに加え、サービスコードやプランタイプ、受注制限枠の種別、キャリア受注タイプ、受け付け可能注文数等の情報が、日別に記憶することができる。キャパシティ管理モジュール211は、それら日別の工場プラン情報を、注文情報から算出される工場での被処理物の処理日と関連付けて、参照することができる。
【0139】
図17は、注文情報1700の例を示している。
注文情報1700は、顧客のユーザIDや個人情報、注文IDなどに加え、集荷要求日時、配送完了日時等の被処理物の集荷配送に関する情報、被処理物の種類や個数、被処理物の処理を担当する工場の工場コードや工場リージョン、決済額、などを記憶する。
集荷物流業者コードや配達物流業者コードは、例えば
図13で説明した確定した受注の分類フロー1300等によって、設定される。
【0140】
図14から
図17に示される情報は単に例示的なものに過ぎず、それぞれに対し、追加的に又は代替的に、種々の情報を記憶することができる。
【0141】
図14~
図17は、管理サーバに記憶されている各種情報である。これらのすべて又は一部はCSV形式のファイルに記憶することを想定しているが、これに限られない。また、それらの一部は、処理工場端末102b、ユーザ端末103b、店舗端末104b、物流業者サーバ105bにも記憶されていてもよい。例えば、JSON形式のファイルに記憶してもよい。また、リレーショナルデータベースや、非リレーショナルデータベースに記憶される構成としてもよい。
【0142】
図18は、ユーザ端末103bや店舗端末104bが表示する注文入力画面1800の例である。以下の説明ではユーザ端末103bが処理を行う構成で説明するが店舗端末104b等が行う場合でも同様の処理で実現できる。
注文入力画面1800では、顧客による被処理物を預ける日時の選択を受け付けることができる。
図18から明らかであるように、被処理物の受け取り日時の選択を受け付けることもできる。
【0143】
図示しない注文画面では、顧客による被処理物の種類の選択を受け付けることができる。また、例えば入力補助モジュール411が、例えばカメラ部406によって撮影された、被処理物の写真から被処理物の種類を識別し、顧客の代わりに、被処理物の種類の選択を入力してもよい。
【0144】
図19は、受注可能な商品の候補の表示画面1900の例である。
キャパシティ管理モジュール211は、受注可能な商品のリストを作成し、ユーザ端末103bへ受注可能な商品の候補として送信する。
表示画面1900では、受取り日として3月15日(月)がハイライトされている。
2021年3月10日(水)に被処理物を預けた場合、受取り可能な日にちは2021年3月15日(月)以降であり、また、3月15日(月)の受取りの場合、通常便の8時~12時、14時~16時、16時~18時、18時~20時、19時~21時、の時間帯での受け取りが可能な5つの候補が受注可能な商品として選択受け付け可能な状態で表示されている。
【0145】
また、朝イチ便及び夜イチ便の各時間帯で受け取り可能な商品は、満員御礼(売り切れ)として選択受け付けできない状態で表示されている。
表示画面1900のカレンダー内の別日に対する入力、例えば16日へのタップ操作、を受け付けると、16日(火)がハイライトされ、同日に受注可能な商品のリストが同様に表示されることとなる。
【0146】
受注可能な商品の候補の表示画面1900は、早朝の時間帯、深夜の時間帯、最短で翌日の返送などオプションを「プレミアム便」として表示してもよい。又は、受注可能な商品の候補の表示画面1900は、既にプレミアム会員として登録されている顧客に対してのみ、それらのオプションの注文入力を受け付けてもよい。
【0147】
図26は、注文確認画面2600の例である。
顧客入力受信モジュール210は、ユーザ端末103bの注文入力モジュール410からの各種選択に基づいて、注文確認画面を生成し、表示する。なお、この画面は管理サーバ101bのキャパシティ管理モジュール211が生成し、情報をユーザ端末103bに送信して表示することとしてもよい。
注文確認画面2600には、被処理物の集荷配送に関する情報(日時や住所、集荷配送時の要望)、顧客の連絡先、支払いに関する情報、及び、申込み確定ボタン(「上記の同意して申込みを確定する」)が表示されている。
なお、この注文確認画面2600には、 被処理物の種類や個数、等の情報は表示されておらず、1つの実施例では、キャパシティ管理モジュール211は、それらの情報は検品工程で入力され、検品工程の後に確定した料金とともに例えばメールやアプリケーションの通知機能等を用いて、ユーザ端末103bに送信する。別の実施例では、注文確認画面に、ユーザが入力した被処理物の種類や個数、予定の料金等の情報を表示することもできる。この場合も、キャパシティ管理モジュール211は、それらの情報を、検品工程後に確定した情報として、ユーザ端末103bに送信することができる。
【0148】
図20は、キャパシティデイリー設定画面2000a、2000bの例である。
キャパシティデイリー設定画面2000a、2000bでは、キャパシティ管理モジュール211は、上部に表示されるFIL、SDY、HSC等の工場コードから希望する工場の選択入力を受け付ける。
キャパシティ管理モジュール211は、キャパシティデイリー設定画面2000a、2000bでは、指定した日にちの受注状況や設定した上限値に対する充足率を表示することができる。
【0149】
図20では、キャパシティ管理モジュール211は、2021年3月11日の特別集荷特別配送商品に対して第1の上限値40を設定し、一般集荷特別配送商品に対して第2の上限値30を設定し、更に、特別集荷特別配送商品及び一般集荷特別配送商品の共有上限値として70を設定している。これらの個別の上限値や下限値は日別の工場プラン情報1600に記憶されている。また、共有上限値は、日別の工場プラン情報1600に記憶してもよいし、別途、管理サーバ101bの管理情報221に記憶することとしてもよい。また、共有上限値は都度キャパシティ管理モジュール211が算出することとしてもよい。
【0150】
従来、クリーニングサービス提供業者101aの担当者らは、販売計画や収益最大化などの観点で、物流業者や工場の処理能力、シフト、着荷時間、出発時間、送料等を考慮して、第1の上限値及び第2の上限値を設定していた。
しかしながら、種々の要因から、実際には受注可能な稼働状態であるにも関わらず、設定した受注数が上限値に達し、受注管理上は売り切れとなる状況が生じることがあった。
【0151】
キャパシティデイリー設定画面2000a、2000bでは、同一の注文情報に対応可能な、集荷工程、クリーニング工程、発送工程からなるクリーニング処理として、2つの候補が示されている。なお、クリーニング工程は、単純に洗浄工程のみを意味するものではなく、検品工程等の工程を含んでいてもよい。
また、キャパシティ管理モジュール211は、それら2つの候補に対して、すなわち、特別集荷特別配送商品及び一般集荷特別配送商品に対して、共有上限値70を設定している。
【0152】
キャパシティデイリー設定画面2000aでは、特別集荷特別配送商品の受注数は、第1の上限値40に達しており(
図20内、20-1-1参照)、従来であれば、この時点で特別集荷特別配送商品の受注は停止されていた。
しかしながら、詳しくは
図21を用いて説明するように、この時点では、一般集荷特別配送商品の受注は第2の上限値である30まで受注可能であり(
図20内、20-1-2参照)、システム全体の生産能力には、特別集荷特別配送商品に対応する余力がある(
図20内、20-2参照)。
つまり、一般集荷特別配送商品のキャパシティ(生産能力)を融通することにより、特別集荷特別配送商品を更に受注することが可能である。
【0153】
そこで、本実施例では、この段階で、キャパシティ管理モジュール211は、特別集荷特別配送商品の受注数を、第1の受注数及び第2の受注数の和が共有上限値70となる数まで変動させる、すなわち、キャパシティデイリー設定画面2000aに示されている段階での特別集荷特別配送商品の受注数の上限値を55(=70-15)へ変動させ、特別集荷特別配送商品の受注を継続し、売り切れとしない(
図20内、20-3参照)。
また、キャパシティ管理モジュール211は、共有上限値に対する実際の受注数の割合((第1の受注数及び第2の受注数の和)/(共有上限値))を、充足率78.6%(=(40+15)/70)として表示している。
【0154】
キャパシティデイリー設定画面2000bでは、キャパシティデイリー設定画面2000aの時点から、特別集荷特別配送商品及び一般集荷特別配送商品の受注が進んだ状況を図示している。
キャパシティ管理モジュール211が受注可能数を変動させた後、キャパシティデイリー設定画面2000bでは、特別集荷特別配送商品に対して、キャパシティ管理モジュール211は、特別集荷特別配送商品の受注数の和が70に達するまで、受注を受け付ける。
また、キャパシティ管理モジュール211は、第1の上限値に対する実際の受注数の割合((特別集荷特別配送商品の受注数)/(第1の上限値))を、充足率105%(=42/40)として、100%を超えて表示している(
図20内、20-4-1参照)。
【0155】
キャパシティ管理モジュール211が受注可能数を変動させた後、キャパシティデイリー設定画面2000bでは、一般集荷特別配送商品に対して、キャパシティ管理モジュール211は、一般集荷特別配送商品の受注数及び特別集荷特別配送商品の受注数の和が70に達するまで、受注を受け付ける(
図20内、20-4-2参照)。この場合、一般集荷特別配送商品の実際の受注数は、第2の上限値を超えることはない。
【0156】
更に、キャパシティ管理モジュール211は、共有上限値に対する実際の受注数の割合((第1の受注数及び第2の受注数の和)/(共有上限値))を、充足率90.0%(=(21+42)/70)として表示している(
図20内、20-4-3参照)。
【0157】
以下、
図21を用いて、
図20に図示される例に対応する実際の状況について説明する。
【0158】
図21は、異なる物流工程を有する商品の間での受注可能数の変動を説明する説明図の例である。
図21の例では、顧客は、集荷時間t
1での集荷及び配達時間t
5での受け取りでのクリーニング処理を注文した、或いは、注文可能であるか問い合わせた、とする。
また、
図21の例では、集荷時間t
1での集荷は、一般物流業者でも、特別物流業者でも対応可能であるが、配達時間t
5での受け渡しは、一般物流業者の対応時間外、つまり営業時間外或いは指定可能時間外、であり特別物流業者しか利用できない、とする。
【0159】
なお、
図21では、一般物流業者(工程21-1)が特別物流業者(工程21-2)よりも、集荷から工場への到着時間がより長くかかるように図示されているが、これは図面の見やすさのためのみの差異であり、実際には、一般物流業者が特別物流業者よりも早く工場へ到着することや、一般物流業者の配送に要する所要時間が特別物流業者の配送に要する所要時間よりも短いこと、も可能である。
【0160】
一般物流業者(工程21-1)又は特別物流業者(工程21-2)で、処理工場へ配送された被処理物は、クリーニング工程(工程21-4、工程21-5)で処理される。この場合、工程21-4及び工程21-5は、クリーニング処理の開始と終了が、被処理物の工場への着荷及び工場からの出荷のタイミングに間に合う限り、工場内で異なるタイミングでクリーニング処理されてもよいし、同一のタイミングでクリーニング処理されてもよい。この点については、
図22を用いて説明する。
【0161】
図21の実施例では、キャパシティ管理モジュール211は、一般物流業者による集荷工程(工程21-1)、クリーニング工程(工程21-4)、及び、特別物流業者による配送工程(工程21-3)からなるクリーニング処理商品と、特別物流業者による集荷工程(工程21-2)、クリーニング工程(工程21-5)、及び、特別物流業者による配送工程(工程21-3)からなるクリーニング処理商品と、をグルーピングし、両クリーニング処理商品の間に、共有上限値70を設定している。
【0162】
キャパシティ管理モジュール211が共有上限値を設定しキャパシティを共有させている場合、既に
図20で説明したように、工場内での処理工程の特別集荷特別配送分の受注数が第1の上限値に達した場合、キャパシティ管理モジュール211は、特別集荷特別配送商品の受注可能数を、第1の受注数及び第2の受注数の和が共有上限値70となる数まで変動させ、売り切れとせず、特別集荷特別配送商品の受注を継続する。
【0163】
図22は、注文情報に対応可能な複数のクリーニング工程を説明する説明図の例である。
図21では、工場内での処理工程に関して、一般集荷特別配送商品及び特別集荷特別配送商品に関連する受注数について説明したが、実際には、工場の始業から終業の間に、複数のクリーニング工程が実施されることが一般的である。
なお、ここでは、
図22に図示される複数のクリーニング工程を工場の1日の始業から終業の間に行われるものとして説明するが、例えば2日間或いはそれ以上の日数の間に行われるものとして理解してもよい。
また、
図22に図示される複数のクリーニング工程は、時間的に一部重なって実行されるように図示されているが、必ずしも時間的に重なっている必要はない。例えば、工場が24時間稼働の工場ではない場合、就業から始業の間に、クリーニング工程が実行されないことは自明である。
【0164】
図22に図示する工場稼働シフトにおいては、対応する工場は、工場の始業から終業までの間に、AシフトからEシフトの5つのクリーニング工程を実施し、そのうちクリーニングサービス提供業者101aは、BシフトからDシフトのいずれのクリーニング工程で被処理物を処理しても、指定の集荷日時及び配達日時の間に、顧客からの注文情報に対応する商品を提供することができる。
キャパシティ管理モジュール211は、後述するようにこれらのBシフトからDシフトを有するクリーニング処理商品をグルーピングし、共有上限を設定することができる。
図22における、AシフトからEシフトの5つのクリーニング工程は、洗浄工程に限らず、例えば被処理物の検品工程であってよい。
【0165】
上記のような、顧客からの注文情報に対応することができる異なるクリーニング工程から構成される商品群、すなわち、工程22-1(集荷工程)、工程22-3(クリーニング工程)、工程22-6(発送工程)からなる商品B、工程22-1(集荷工程)、工程22-4(クリーニング工程)、工程22-6(発送工程)からなる商品C、及び、工程22-1(集荷工程)、工程22-5(クリーニング工程)、工程22-6(発送工程)からなる商品D、に対しても、キャパシティ管理モジュール211は、それらをグループ化し、それらの間に共有上限値を設定することができる。
キャパシティ管理モジュール211は、時間的に直近の2つの工程、例えば工程22-3と工程22-4、或いは、工程22-4と工程22-5、を有する商品の間に共有上限値を設定することも、顧客からの注文情報に対応することができる異なるクリーニング工程から構成される全ての商品群、つまり商品Bから商品Dの間に共有上限値を設定することもできる。
【0166】
それにより、例えば商品B及び商品Cの間に共有上限値を設定し、商品Bの受注数が上限値に達した場合でも、商品Bの受注数及び商品C受注数の和が共有上限値に達していなければ、商品Bの受注可能上限数を変動させ、商品Bの受注数及び商品C受注数の和が共有上限値に達するまで、商品Bの受注を継続することができる。
【0167】
図23は、工場内での処理の割り振りを説明する説明図の例である。
図23では、
図22の場合と同様の処理シフトを有する工場を例に、
図21の例をより実際の工場の稼働状況に近い形で説明する。なお、説明を簡略化するために、物流業者による物流工程については区別せず集荷工程及び発送工程として記載している。
また、
図22におけるAシフトからEシフトのそれぞれの処理可能数を100として説明するが、それらの処理可能数は異なる数であっても構わないし、互いに異なっていてもよい。
【0168】
図23では、
図22についての説明でグループ化できるものとして説明したBシフトからDシフトを、1つのグループとしてみた場合の、処理可能数の合計と処理可能数の割り振り対象商品について説明している。
キャパシティ管理モジュール211は、
図21の場合と同様に、一般集荷特別配送商品に対しては上限値30、特別集荷特別配送商品に対しては上限値40を設定している。それらの商品の処理は、グループ内のどのクリーニング工程でクリーニングされてもよい。そして、一般集荷特別配送商品(上限値30)及び特別集荷特別配送商品(上限値40)を除く、グループ内の処理可能数230(=300-30-40)と、Aシフト及びEシフトの処理可能数(それぞれ100)の合計処理数430が、翌々日以降の配達の商品のために割り振られる。
【0169】
キャパシティ管理モジュール211は、
図21で説明した一般集荷特別配送商品及び特別集荷特別配送商品の間に設定した共有上限値に加え、
図22で説明した商品Bから商品Dの間に設定した共有上限値を管理することもできる。
それにより、例えば、一般集荷特別配送商品及び特別集荷特別配送商品の受注数が0であり、翌々日以降の配達の商品に対して設定された受注数が既に430に達している場合、翌々日以降の配達の商品に対して設定された受注数の上限値である430を変動させ、翌々日以降の配達の商品に対して設定された受注数と一般集荷特別配送商品及び特別集荷特別配送商品に対して設定された受注数の和が、500を超えない範囲で、翌々日以降の配達の商品の受注を継続することができる。
【0170】
図24は、対応工場の異なる2つの商品を説明する説明図の例である。
図24の実施例では、キャパシティ管理モジュール211は、顧客の住所から最も近い処理工場をデフォルト工場として設定し、更に、デフォルト工場の他に、注文情報に対応可能な第2工場を設定している。
キャパシティ管理モジュール211は、
図7のデータフロー700のS730では注文情報に対応可能な工場として抽出され得るものである。
図24の実施例では、キャパシティ管理モジュール211は、工程24-1、工程24-2、工程24-3からなるクリーニング処理を対応する顧客についてのデフォルト商品として管理し、工程24-4、工程24-5、工程24-6からなるクリーニング処理をデフォルト商品とは別の商品として管理する。
【0171】
図25は、
図24の2つの商品のキャパシティを共有した場合を説明する説明図の例である。
【0172】
キャパシティ管理モジュール211は、
図24に関連して説明したデフォルト工場と第2工場を、両工場から同程度離れた或いは同程度の輸送時間でアクセス可能な地域からの注文に対して、それらをグループ化し、両者の間に共有上限値を設定し、キャパシティを共有してもよい。
【0173】
それにより、キャパシティ管理モジュール211は、クリーニングサービス提供業者101aの担当者に対して、グループ化された工場がカバーする範囲の受注状況をまとめて表示することができる。また、担当者は地域ごとにデータを分析する手間をかけずに、特定の地域の受注状況を把握することができる。
【0174】
また、キャパシティ管理モジュール211は、デフォルト工場と第2工場をグループ化することで、デフォルト工場と第2工場の間でのより平準化した発注を実現することができる。
【0175】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0176】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0177】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
なお、上述の実施例は少なくとも特許請求の範囲に記載の構成を開示している。
【符号の説明】
【0178】
101a…クリーニングサービス提供業者、102a…処理工場、103a…集荷配送地点、104a…店舗、105a…物流業者