(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041104
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】宅配ボックスおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0836 20230101AFI20230316BHJP
【FI】
G06Q10/08 316
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148268
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】清水 一樹
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 駿
(72)【発明者】
【氏名】浅井 成実
(72)【発明者】
【氏名】山中 滉輝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA16
(57)【要約】
【課題】宅配ボックスからの配送物の回収をより効率的に実現する。
【解決手段】ユーザの居所に設置される宅配ボックスであって、配送者により配送される配送物を収納するための収納部と、前記収納部の施解錠を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記収納部から規定の範囲内において予め登録されたユーザの存在が検知された場合、前記収納部に解錠を指示する、宅配ボックスが提供される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの居所に設置される宅配ボックスであって、
配送者により配送される配送物を収納するための収納部と、
前記収納部の施解錠を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記収納部から規定の範囲内において予め登録されたユーザの存在が検知された場合、前記収納部に解錠を指示する、
宅配ボックス。
【請求項2】
前記制御部は、前記収納部に前記配送物が収納された状態において、前記配送物の受取人であるユーザの存在が検知された場合、前記収納部に解錠を指示する、
請求項1に記載の宅配ボックス。
【請求項3】
前記制御部は、手動解錠モードおよび自動解錠モードの2つの動作モードを有し、前記自動解錠モードが設定された状態において、前記配送物の受取人であるユーザの存在が検知された場合、前記収納部に解錠を指示する、
請求項1または請求項2のいずれか一項に記載の宅配ボックス。
【請求項4】
前記制御部は、前記収納部に解錠を指示した後に、前記収納部から前記配送物が回収されたことが検知された場合、前記収納部に施錠を指示する、
請求項1から請求項3までのうちいずれか一項に記載の宅配ボックス。
【請求項5】
前記制御部は、前記収納部に解錠を指示した後に規定時間が経過した場合、前記収納部に施錠を指示する、
請求項1から請求項4までのうちいずれか一項に記載の宅配ボックス。
【請求項6】
ユーザにより携帯される受取人端末との間において規定の通信規格に準拠した無線通信を行う通信部、
をさらに備え、
前記制御部は、前記規定の通信規格に準拠した無線通信に基づきユーザの存在が検知された場合、前記収納部に解錠を指示する、
請求項1から請求項5までのうちいずれか一項に記載の宅配ボックス。
【請求項7】
前記制御部は、前記規定の通信規格に準拠した無線通信において前記通信部が受信したデジタルキーに基づいて前記受取人端末の真正性が認められた場合、前記収納部に解錠を指示する、
請求項6に記載の宅配ボックス。
【請求項8】
複数人のユーザにより共用される、
請求項1から請求項7までのうちいずれか一項に記載の宅配ボックス。
【請求項9】
コンピュータに、
ユーザの居所に設置され配送者により配送される配送物を収納するための収納部の施解錠を制御する制御機能、
を実現させ、
前記制御機能に、前記収納部から規定の範囲内において予め登録されたユーザの存在が検知された場合、前記収納部に解錠を指示させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ボックスおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、配送業者により配送される物品を一時的に収納する装置が開発されている。例えば、特許文献1には、住居に配置可能な宅配ボックスが開示されている。特許文献1に開示されるような装置によれば、ユーザは不在時であっても配送物を受け取ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されるような装置の場合、ユーザは配送物を回収するために、都度装置の解錠等の操作を行うことが求められる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、宅配ボックスからの配送物の回収をより効率的に実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、ユーザの居所に設置される宅配ボックスであって、配送者により配送される配送物を収納するための収納部と、前記収納部の施解錠を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記収納部から規定の範囲内において予め登録されたユーザの存在が検知された場合、前記収納部に解錠を指示する、宅配ボックスが提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、ユーザの居所に設置され配送者により配送される配送物を収納するための収納部の施解錠を制御する制御機能、を実現させ、前記制御機能に、前記収納部から規定の範囲内において予め登録されたユーザの存在が検知された場合、前記収納部に解錠を指示させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、宅配ボックスからの配送物の回収をより効率的に実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態に係る配送者U40による宅配ボックス10への配送物90の収納の概要を説明するための図である。
【
図3】同実施形態に係る受取人U30による宅配ボックス10からの配送物90の回収の概要を説明するための図である。
【
図4】同実施形態に係る宅配ボックス10の自動解錠モードにおける動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】同実施形態に係る宅配ボックス10の自動解錠モードにおける動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<1.実施形態>
<<1.1.システム構成例>>
まず、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例について述べる。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示す一例の場合、システム1は、宅配ボックス10、情報処理サーバ20、受取人端末30、および配送者端末40を備える。
【0014】
なお、システム1は、宅配ボックス10、受取人端末30、および配送者端末40をそれぞれ複数備えてもよい。
【0015】
(宅配ボックス10)
本発明の一実施形態に係る宅配ボックス10は、配送者により配送される配送物を一時的に収納するための装置である。
【0016】
本実施形態に係る宅配ボックス10は、例えば、ユーザの居所(ユーザの自宅、ユーザが属する組織の拠点等)に設置される。
【0017】
また、本発明の一実施形態に係る宅配ボックス10は、複数のユーザにより共用されてもよい。
【0018】
図1に示す一例の場合、宅配ボックス10は、収納部110、制御部120、および通信部130を備える。
【0019】
((収納部110))
収納部110は、配送物を一時的に収納するための構成である。
【0020】
このために、収納部110は、想定される配送物の大きさに応じて収納空間を有する。
【0021】
また、収納部110は、第三者による配送物の持ち出しを防止するために、上記収納空間の施解錠に用いられる錠部を備える。
【0022】
上記錠部は、情報処理サーバ20から配付されるデジタルキーにより解錠が可能な電子錠であってもよい。
【0023】
また、収納部110は、配送者による配送物の収納、および受取人による配送物の回収の検知に用いられるセンサを備える。
【0024】
上記センサとしては、例えば、赤外線センサ、荷重センサなどが挙げられる。
【0025】
収納部110または制御部120は、上記センサにより収集されたセンサ情報に基づいて、配送物の収納および配送物の回収を検知することが可能である。
【0026】
((制御部120))
制御部120は、宅配ボックス10に備えられる各構成の動作を制御する。
【0027】
例えば、制御部120は、収納部110の施解錠を制御する。
【0028】
制御部120は、受取人端末30または配送者端末40から受信したデジタルキーの真正性を判定し、当該デジタルキーが正規のデジタルキーであると判定した場合、収納部110の錠部に解錠をしてもよい。
【0029】
上記正規のデジタルキーは、例えば、宅配ボックス10に固有に割り当てられた固有情報(例えば、IDなど)を用いて生成されたデジタルキーであってもよい。
【0030】
制御部120による上記のような制御によれば、情報処理サーバ20から配付された正規のデジタルキーを保持する配送者端末40を携帯する配送者が収納部110を開扉し、配送物を収納することができる。
【0031】
すなわち、制御部120による上記のような制御によれば、第三者が収納部110を不正に利用することを防止することが可能となる。
【0032】
また、上記のような制御によれば、情報処理サーバ20から配付された正規のデジタルキーを保持する受取人端末30を携帯するユーザが収納部110を開扉し、配送物を回収することができる。
【0033】
すなわち、制御部120による上記のような制御によれば、第三者が配送物を不正に持ち出すことを防止することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る制御部120は、収納部110から規定の範囲内において予め登録されたユーザの存在が検知された場合、収納部110に解錠を指示することを特徴の一つとする。
【0035】
本実施形態に係る制御部120が有する上記特徴については別途詳細に説明する。
【0036】
また、制御部120は、通信部130による他の装置との通信を制御する。
【0037】
制御部120が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0038】
((通信部130))
通信部130は、制御部120による制御に従い、他の装置との情報通信を行う。
【0039】
通信部130は、受取人端末30および配送者端末40との間において規定の通信規格に準拠した無線通信を行ってもよい。
【0040】
例えば、通信部130は、上記規定の通信規格に準拠した無線通信において受取人端末30および配送者端末40から上述のデジタルキーを受信する。
【0041】
また、通信部130は、インターネット等を介して情報処理サーバ20と情報通信を行ってもよい。
【0042】
(情報処理サーバ20)
情報処理サーバ20は、デジタルキーの生成、配付を行う装置である。
【0043】
図1に示す一例の場合、情報処理サーバ20は、データ管理部210、制御部220、および通信部230を備える。
【0044】
((データ管理部210))
データ管理部210は、宅配ボックス10、宅配ボックス10のオーナー、受取人端末30、受取人端末30を利用するユーザ(受取人)、配送者端末40、配送者端末40を利用するユーザ(配送者)等に関する各種のデータを管理する。
【0045】
((制御部220))
制御部220は、情報処理サーバ20に備えられる各構成の動作を制御する。
【0046】
例えば、制御部220は、宅配ボックス10に備えられる収納部110の解錠に用いられるデジタルキーの生成、配付を制御する。
【0047】
制御部220は、宅配ボックス10から受信、または宅配ボックス10のオーナーが所有する受取人端末30を介して受信した宅配ボックス10の固有情報等に基づいて、宅配ボックス10に固有のデジタルキーを生成してもよい。
【0048】
また、制御部220は、生成したデジタルキーの受取人端末30および配送者端末40への配付を制御する。
【0049】
一例として、制御部220は、宅配ボックス10のオーナーが所有する受取人端末30と予め契約を交わした配送業者が所有する配送者端末40には、生成したデジタルキーを即時配付してもよい。
【0050】
一方、制御部220は、宅配ボックス10のオーナーではない受取人が所有する受取人端末30については、配送者が宅配ボックス10に配送物を収納する際に受取人を指定した場合に、指定された受取人が所有する受取人端末30にデジタルキーが配付されるよう制御を行ってもよい。
【0051】
上記のような配付制御によれば、宅配ボックス10のオーナーではない受取人が、他の受取人宛ての配送物が宅配ボックス10を解錠することを防止可能である。
【0052】
ただし、上記のような配付制御はあくまで一例であり、デジタルキーの配付タイミング等は、サービスの仕様に応じて適宜設計されればよい。
【0053】
また、制御部220は、配送者端末40への情報の配信を制御する。
【0054】
一例として、制御部220は、宅配ボックス10の位置情報と収納部110の利用状況に係る情報とが対応付けられて配送者端末40に配信されるよう制御してもよい。
【0055】
((通信部230))
通信部230は、制御部220による制御に従い、インターネット等を介して他の装置との情報通信を行う。
【0056】
例えば、通信部230は、宅配ボックス10から固有情報、位置情報、利用状況に係る情報などを受信してもよい。
【0057】
なお、上記のような各情報は、宅配ボックス10のオーナーが利用する受取人端末30を介して情報処理サーバ20に送信されてもよい。
【0058】
また、例えば、通信部230は、配送者端末40から、配送物を収納した宅配ボックス10の固有情報、配送物の受取人等に関する情報を受信してもよい。
【0059】
また、通信部230は、受取人端末30および配送者端末40にデジタルキーを送信する。
【0060】
(受取人端末30)
受取人端末30は、配送物の受取人により利用される装置である。
【0061】
受取人端末30を利用するユーザは、宅配ボックス10を所有するオーナー、オーナー兼受取人、宅配ボックス10を所有せず他者が所有する宅配ボックス10を用いて配送物を受け取る受取人の3つの種別に大別される。
【0062】
上記種別は、システム1を用いたサービスの利用登録時に設定され、システム1は、上記種別に応じた動作を行ってよい。
【0063】
受取人端末30は、例えば、スマートフォン、タブレットなどであってもよい。
【0064】
図1に示す一例の場合、受取人端末30は、操作表示部310、制御部320、および通信部330を備える。
【0065】
((操作表示部310))
操作表示部310は、ユーザによる操作を受け入れる操作部と、各種の情報を表示する表示部とが一体に形成された構成である。
【0066】
操作表示部310は、例えば、タッチパネルなどであってもよい。
【0067】
なお、受取人端末30は、操作表示部310を備えずに、上記操作部と上記表示部とを別々に備えてもよい。
【0068】
((制御部320))
制御部320は、受取人端末30が備える各構成の動作を制御する。
【0069】
一例として、制御部320は、サービスの利用において受取人または宅配ボックス10のオーナーが用いるユーザインタフェースの表示を制御する。
【0070】
なお、上記ユーザインタフェースの表示制御は、制御部320と情報処理サーバ20の制御部220との協働により行われてもよい。
【0071】
また、制御部320は、通信部330による他の装置との間の情報通信を制御する。
【0072】
制御部320が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0073】
((通信部330))
通信部330は、制御部320による制御に従い、他の装置との間において情報通信を行う。
【0074】
例えば、通信部330は、宅配ボックス10との間において規定の通信規格に準拠した無線通信を行う。
【0075】
通信部330は、上記規定の通信規格に準拠した無線通信において、宅配ボックス10から固有情報の受信等を行ってもよい。
【0076】
また、通信部330は、上記規定の通信規格に準拠した無線通信において、情報処理サーバ20から配布されたデジタルキーを宅配ボックス10に送信する。
【0077】
また、通信部330は、インターネット等を介して情報処理サーバ20との情報通信を行う。
【0078】
例えば、通信部330は、情報処理サーバ20からデジタルキーを受信する。
【0079】
(配送者端末40)
配送者端末40は、配送物を配送する配送者により利用される装置である。
【0080】
配送者端末40は、例えば、スマートフォン、タブレットなどであってもよい。
【0081】
図1に示す一例の場合、配送者端末40は、操作表示部410、制御部420、および通信部430を備える。
【0082】
((操作表示部410))
操作表示部410は、配送者による操作を受け入れる操作部と、各種の情報を表示する表示部とが一体に形成された構成である。
【0083】
操作表示部410は、例えば、タッチパネルなどであってもよい。
【0084】
なお、配送者端末40は、操作表示部410を備えずに、上記操作部と上記表示部とを別々に備えてもよい。
【0085】
((制御部420))
制御部420は、配送者端末40が備える各構成の動作を制御する。
【0086】
例えば、制御部420は、配送者が用いるユーザインタフェースの表示を制御する。
【0087】
上記ユーザインタフェースの表示制御は、制御部420と情報処理サーバ20の制御部220との協働により行われてもよい。
【0088】
また、制御部420は、通信部430による他の装置との間の情報通信を制御する。
【0089】
制御部420が有する機能は、各種のプロセッサにより実現される。
【0090】
((通信部430))
通信部430は、制御部420による制御に従い、他の装置との間において情報通信を行う。
【0091】
例えば、通信部430は、インターネット等を介して情報処理サーバ20との情報通信を行う。
【0092】
例えば、通信部430は、情報処理サーバ20からデジタルキー、宅配ボックス10の位置情報、利用状況に係る情報等を受信してもよい。
【0093】
また、例えば、通信部430は、配送物の受取人に関する情報、配送者端末40の位置情報等を情報処理サーバ20に送信してもよい。
【0094】
また、通信部430は、宅配ボックス10との間において規定の通信規格に準拠した無線通信を行う。
【0095】
通信部430は、上記規定の通信規格に準拠した無線通信において、情報処理サーバ20から配布されたデジタルキーを宅配ボックス10に送信する。
【0096】
以上、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例について述べた。なお、
図1を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本発明の一実施形態に係るシステム1の構成はかかる例に限定されない。
【0097】
本発明の一実施形態に係るシステム1の構成は、システム1を用いて実現されるサービスの仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0098】
<<1.2.宅配ボックス10の利用イメージ>>
次に、本発明の一実施形態に係る宅配ボックス10の利用イメージについて概要を述べる。
【0099】
図2は、本発明の一実施形態に係る配送者U40による宅配ボックス10への配送物90の収納の概要を説明するための図である。
【0100】
図2に示すように、宅配ボックス10は、例えば、宅配ボックス10を所有するユーザ(オーナー)の自宅等に設置されてもよい。
【0101】
配送物90を配送する配送者U40は、まず、一般的な配送と同様に配送物ごとに指定された配送先(受取人の自宅等)付近に移動する。
【0102】
次に、配送者U40は、配送者端末40の操作表示部410に表示されるユーザインタフェースを用いて配送先付近に設置される宅配ボックス10に対する解錠操作を行う。
【0103】
配送者U40は、例えば、上記ユーザインタフェース上に表示される宅配ボックス10のリストから目的の宅配ボックス10を選択し、解錠ボタンを押下するなどの解錠操作を行ってもよい。
【0104】
この場合、配送者端末40は、上記解錠操作に基づき予め情報処理サーバ20から配付されたデジタルキーを宅配ボックス10に送信してもよい。
【0105】
宅配ボックス10の制御部120は、通信部130が配送者端末40から受信したデジタルキーが当該宅配ボックス10の固有情報を用いて生成されたデジタルキーである場合、配送者端末40の真正性を認め、収納部110に解錠を指示する。
【0106】
配送者U40は、上記のような制御により解錠された収納部110に配送物90を収納する。
【0107】
また、宅配ボックス10が複数のユーザにより共用される場合等においては、配送者U40は、配送物90の受取人の情報を配送者端末40の操作表示部410に入力するなどの操作を行ってもよい。
【0108】
この場合、配送者端末40の通信部430は、入力された受取人の情報、宅配ボックス10の固有情報を情報処理サーバ20に送信する。
【0109】
次に、受取人による配送物90の回収について述べる。
【0110】
配送物90の受取人であるユーザは、上述した配送者の場合と同様に、受取人端末30を用いて解錠操作を行うことにより収納部110を解錠し、配送物90を回収することも可能である。
【0111】
しかし、受取人が配送物90を回収する度に上記のような解錠操作を行う場合、受取人の負担が大きくなる可能性がある。
【0112】
また、受取人が配送物90の収納有無が把握していない場合、受取人が配送物90が収納されていないにもかかわらず解錠操作を行う可能性があり、負担がより大きくなる。
【0113】
本発明の一実施形態に係る技術思想は上記のような点に着目して発想されたものであり、宅配ボックス10からの配送物90の回収をより効率的に実現するものである。
【0114】
このために、本発明の一実施形態に係る宅配ボックス10は、収納部110から規定の範囲内において予め登録されたユーザの存在が検知された場合、収納部110に解錠を指示する制御部120を備える。
【0115】
宅配ボックス10が複数のユーザにより共用される場合、上記ユーザは、配送者U40が配送者端末40を用いて登録した配送物90の正規の受取人であってもよい。
【0116】
また、上記ユーザは、配送物90の正規の受取人の他、当該正規の受取人によって予め配送物90の回収が許諾されている他のユーザ(例えば、家族など)を含んでもよい。
【0117】
一方、宅配ボックス10が複数のユーザにより共用されない場合、上記ユーザは、宅配ボックス10のオーナーであってもよい。
【0118】
上記のようなユーザの設定は、受取人端末30等を用いて予め情報処理サーバ20に登録されればよい。
【0119】
以下においては、上記のような各種のユーザを受取人U30と表現する。
【0120】
図3は、本発明の一実施形態に係る受取人U30による宅配ボックス10からの配送物90の回収の概要を説明するための図である。
【0121】
図3には、予め登録されたユーザである受取人U30が宅配ボックス10に接近する様子が示される。
【0122】
この際、本実施形態に係る宅配ボックス10の制御部120は、収納部110から規定の範囲内において受取人U30の存在が検知されたことに基づいて、収納部110に解錠を指示する。
【0123】
上記の制御によれば、受取人U30が上述のような解錠操作を行わずとも収納部110に収納される配送物90を回収することができ、利便性が大きく向上する。
【0124】
なお、宅配ボックス10の制御部120は、収納部110に配送物90が収納された状態において、当該配送物90の受取人U30が収納部110から規定の範囲内に検知された場合に、収納部110に解錠を指示してもよい。
【0125】
上記のような制御によれば、収納部110に配送物90が収納されていない場合に不要な解錠を行うことがなくなり、消費電力の低減、セキュリティ性の向上等の効果が得られる。
【0126】
また、本実施形態に係る宅配ボックス10は、上記のように制御部120による制御に基づき収納部110の自動解錠が行われる自動解錠モード、および受取人U30が受取人端末30を用いて収納部110を手動解錠する手動解錠モードの2つの動作モードを有してもよい。
【0127】
また、受取人U30は、受取人端末30または宅配ボックス10を操作することにより、自動解錠モードと手動解錠モードとを適宜切り替えられてよい。
【0128】
この場合、制御部120は、自動解錠モードが設定された状態において、配送物90の受取人であるユーザの存在が検知された場合、収納部110に解錠を指示する。
【0129】
このように、宅配ボックス10が2つの動作モードを有することにより、受取人U30が状況に応じて利便性とセキュリティ性のどちらをより優先するかを自由に設定することが可能となる。
【0130】
続いて、本実施形態に係る受取人U30の検知について具体例を挙げて説明する。本実施形態に係る受取人U30の検知には、様々な形態が適用可能である。
【0131】
一例として、本実施形態に係る受取人U30の検知は、宅配ボックス10の通信部130と受取人端末30の通信部330との間における規定の通信規格に準拠した無線通信に基づいて実施されてもよい。
【0132】
より具体的な例としては、まず、宅配ボックス10の通信部130がアドバタイズを送信する。
【0133】
上記アドバタイズには、収納部110に配送物90が収納されていることを示す情報が含まれてもよい。
【0134】
受取人端末30の通信部330は、受信したアドバタイズに対する応答として接続要求を送信し、当該接続要求に基づいて、通信部130と通信部330との間における無線通信が確立される。
【0135】
この場合、宅配ボックス10の制御部120は、上記無線通信において通信部130が受取人端末30の通信部330から受信した信号の受信強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)に基づいて受取人端末30が宅配ボックス10から規定の範囲内に存在するか否かを判定してもよい。
【0136】
RSSIは、装置間の距離に応じて強度が変化することから、制御部120は、RSSIに基づいて宅配ボックス10と受取人端末30との距離を推定することが可能である。
【0137】
このため、制御部120は、RSSIが予め定められた閾値を超える場合、受取人端末30を携帯する受取人U30が宅配ボックス10から規定の範囲内に存在すると見做してもよい。
【0138】
ただし、上記の制御はあくまで一例であり、本実施形態に係る受取人U30の検知の形態はかかる例に限定されない。
【0139】
例えば、受取人U30により携帯される受取人端末30の位置情報(緯度経度情報)に基づいて実現されてもよい。
【0140】
この場合、制御部120は、情報処理サーバ20を経由して受信した受取人端末30の位置情報と、予め登録されたまたは通信部130が取得した宅配ボックス10の位置情報とに基づいて、受取人端末30を携帯する受取人U30が宅配ボックス10から規定の範囲内に存在するか否かを判定してもよい。
【0141】
なお、受取人端末30の位置情報は、受取人端末30の通信部330から宅配ボックス10の通信部130に直接送信されてもよい。
【0142】
また、例えば、本実施形態に係る受取人U30の検知は、宅配ボックス10に付随して設けられるカメラにより撮影された画像に基づいて実現されてもよい。
【0143】
制御部120は、上記カメラにより撮影された画像に対する画像認識の結果、受取人U30が被写体であると判定された場合、受取人U30が宅配ボックス10から規定の範囲内に存在すると見做してもよい。
【0144】
また、例えば、本実施形態に係る受取人U30の検知は、宅配ボックス10に設けられる静電センサに受取人U30接触したこと、宅配ボックス10に設けられるボタン等に対し受取人U30が操作を行ったこと等に基づいて実現されてもよい。
【0145】
さらには、本実施形態に係る受取人U30の検知は、上記で挙げた複数の手法の組み合わせにより実現されてもよい。
【0146】
次に、本実施形態に係る宅配ボックス10の自動解錠モードにおける動作の流れについて詳細に説明する。
【0147】
なお、以下では、宅配ボックス10の通信部130と受取人端末30の通信部330との間における規定の通信規格に準拠した無線通信に基づいて、受取人U30の検知が行われる場合を主な例として説明する。
【0148】
図4および
図5は、本実施形態に係る宅配ボックス10の自動解錠モードにおける動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【0149】
図4および
図5に示す一例の場合、まず、制御部120が、ユーザ操作に基づき、自動解錠モードを遷移する(S102)。
【0150】
上記ユーザ操作は、受取人端末30に対して行われてもよいし、宅配ボックス10に備えられる操作部に対して行われてもよい。
【0151】
次に、宅配ボックス10の通信部130と配送者端末40の通信部430と間における規定の通信規格に準拠した無線通信が確立され、通信部130が通信部430からデジタルキーを受信する(S104)。
【0152】
制御部120は、ステップS104において通信部130が受信したデジタルキーが当該宅配ボックス10の固有情報を用いて生成されたデジタルキーである場合、すなわち配送者端末40の真正性が認められた場合、収納部110に解錠を指示する(S106)。
【0153】
配送者U40は、解錠された収納部110に配送物90を収納する。
【0154】
収納部110は、センサが収集したセンサ情報に基づき、配送物90の収納を検知する(S108)。
【0155】
制御部120は、ステップS108において配送物90の収納が検知されたことに基づき、収納部110に施錠を指示する(S110)。
【0156】
なお、上述したように、配送者U40は、配送者端末40を用いて宅配ボックス10の固有情報、配送物90の受取人の情報等を情報処理サーバ20に送信してもよい。
【0157】
この場合、情報処理サーバ20は、宅配ボックス10の固有情報に基づいてデジタルキーを生成し、指定された受取人U30が所有する受取人端末30に当該デジタルキーを配付する。
【0158】
次に、制御部120は、宅配ボックス10の通信部130と受取人端末30の通信部330との間における規定の通信規格に準拠した無線通信等に基づいて、規定の範囲内に存在する受取人U30を検知する(S112)。
【0159】
次に、宅配ボックス10の通信部130が、受取人端末30の通信部330からデジタルキーを受信する(S114)。
【0160】
制御部120は、ステップS114において通信部130が受信したデジタルキーが当該宅配ボックス10の固有情報を用いて生成されたデジタルキーである場合、すなわち受取人端末30の真正性が認められた場合、収納部110に解錠を指示する(S106)。
【0161】
上記のような制御によれば、受取人U30が、解錠された収納部110から配送物90を回収することが可能となる。
【0162】
次に、収納部110は、センサが収集したセンサ情報に基づき、配送物90が回収されたか否かを検知する(S118)。
【0163】
配送物90が回収されたことが収納部110により検知された場合、(S118:Yes)、制御部120は、収納部110に施錠を指示する(S120)。
【0164】
上記のような制御によれば、配送物90が回収された後に収納部110が第三者により不正に利用される等の事態を防止することができる。
【0165】
ステップS120における処理の後、宅配ボックス10はステップS104に復帰する。
【0166】
一方、配送物90が回収されたことが検知されない場合、(S118:No)、制御部120は、予め定められた規定時間が経過したか否かを判定する(S122)。
【0167】
ここで、規定時間が経過していない場合(S122:No)、宅配ボックス10は、ステップS118に復帰する。
【0168】
一方、規定時間が経過した場合(S122:Yes)、制御部120は収納部110に施錠を指示し(S124)、宅配ボックス10はステップS112に復帰する。
【0169】
上記のような制御によれば、受取人U30が迅速に配送物90を回収できない場合等においても、第三者により配送物が不正に持ち去れる等の事態を回避することが可能となる。
【0170】
以上、本実施形態に係る宅配ボックス10の自動解錠モードにおける動作の流れについて一例を挙げて説明した。
【0171】
なお、上記では、収納部110がセンサにより配送物90の収納または回収を検知する場合について述べたが、かかる検知手法はあくまで一例である。
【0172】
例えば、制御部120は、配送者端末40から受信したデジタルキーに基づいて収納部110の解錠を指示した場合、配送物90が収納されたと見做してもよい。
【0173】
同様に、制御部120は、受取人端末30から受信したデジタルキーに基づいて収納部110の解錠を指示した場合、配送物90が回収されたと見做してもよい。
【0174】
本実施形態に係る宅配ボックス10の動作は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0175】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0176】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられ、コンピュータにより読み取り可能な非一過性の記憶媒体(non-transitory computer readable storage medium)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記憶媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記憶媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0177】
1:システム、10:宅配ボックス、110:収納部、120:制御部、130:通信部、20:情報処理サーバ、210:データ管理部、220:制御部、230:通信部、30:受取人端末、310:操作表示部、320:制御部、330:通信部、40:配送者端末、410:操作表示部、420:制御部、430:通信部