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特開2023-4112出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具
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  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図1
  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図2
  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図3
  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図4
  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図5
  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図6
  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図7
  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図8
  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図9
  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図10
  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図11
  • 特開-出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具 図12
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004112
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】出没式筆記具用先端カバー及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具
(51)【国際特許分類】
   B43K 23/08 20060101AFI20230110BHJP
   B43K 23/12 20060101ALI20230110BHJP
   B43K 24/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B43K23/08 130
B43K23/12 110
B43K24/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105618
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000108328
【氏名又は名称】ゼブラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】細木 真百合
【テーマコード(参考)】
2C353
【Fターム(参考)】
2C353HJ12
(57)【要約】
【課題】 装着容易な先端カバーを外れ難くする。
【解決手段】 軸筒10の前端から筆記芯20を出没させるようにした出没式筆記具の前端の開口部10aに装着される出没式筆記具用の先端カバー40であって、軸筒前端から前方へ突出するように形成された摘み部41と、この摘み部41から延設されて開口部10aに挿入されるように形成された挿入部42とを備え、挿入部42に凹状の筆記芯導入部42bを設け、筆記芯導入部42bに挿入される筆記芯20により挿入部42の軸筒径方向内側への弾性変形が抑制されるようにした。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸筒の前端から筆記芯を出没させるようにした出没式筆記具の前端の開口部に装着される出没式筆記具用先端カバーであって、
軸筒前端から前方へ突出するように形成された摘み部と、この摘み部から延設されて前記開口部に挿入されるように形成された挿入部とを備え、
前記挿入部に凹状の筆記芯導入部を設け、前記筆記芯導入部に挿入される筆記芯により前記挿入部の軸筒径方向内側への弾性変形が抑制されるようにしたことを特徴とする出没式筆記具用先端カバー。
【請求項2】
前記挿入部は、弾性的に軸筒径方向内側へ撓んで前記開口部に前方から挿入され軸筒径方向外側へ復元して前記軸筒の内周面に接触するように形成さていることを特徴とする請求項1記載の出没式筆記具用先端カバー。
【請求項3】
前記挿入部が、弾性的に軸筒径方向内側へ撓み可能な合成樹脂材料により形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の出没式筆記具用先端カバー。
【請求項4】
前記摘み部が、前記開口部に対し後方側から挿通されるように形成されていることを特徴とする請求項1~3何れか1項記載の出没式筆記具用先端カバー。
【請求項5】
前記挿入部として、前記摘み部から後方向きに延設された第一の挿入部と、前記摘み部から前方向きに延設された第二の挿入部とを具備したことを特徴とする請求項1~4何れか1項記載の出没式筆記具用先端カバー。
【請求項6】
前記挿入部が、前記摘み部から延設されるとともに軸筒周方向に間隔を置いた複数の撓み片部により構成されていることを特徴とする請求項1~5何れか1項記載の出没式筆記具用先端カバー。
【請求項7】
前記撓み片部が軸筒径方向の両側に設けられ、
前記摘み部は、前記両側の撓み片部の撓み方向に対し交差する軸筒径方向に長尺状に形成されていることを特徴とする請求項6記載の出没式筆記具用先端カバー。
【請求項8】
請求項1~7何れか1項記載の出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具。
【請求項9】
請求項6又は7記載の出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具であって、
軸筒内周面の前端側に、挿入される前記撓み片部に嵌り合う凹溝を設け、筆記芯を前記凹溝の外側で移動するように配置したことを特徴とする出没式筆記具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出没式筆記具の前端の開口部に装着される出没式筆記具用先端カバー、及びこの出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、出没式筆記具には、例えば特許文献1に記載されるように、マーカーペンやボールペン、シャープペンシル等を構成する筆記芯を軸筒の前端から出没させるようにしたものがある。
このような従来の出没式筆記によれば、風や気流等の影響で軸筒前端の開口部から空気が入り込み、マーカーペンのペン先が乾燥してしまう場合がある。
また、試し書き用として陳列されていない筆記具が、試し書きされてしまい、ペン先が損傷したり、ペン先の耐久性が低下したりする場合もある。
そこで、従来の出没式筆記具では、その前端の開口部を、円柱状のゴム栓を嵌め合わせて販売される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-179623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、試し書き等でノック操作された場合に、前進する筆記芯がゴム栓を押し出してしまう場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
軸筒の前端から筆記芯を出没させるようにした出没式筆記具の前端の開口部に装着される出没式筆記具用先端カバーであって、軸筒前端から前方へ突出するように形成された摘み部と、この摘み部から延設されて前記開口部に挿入されるように形成された挿入部とを備え、前記挿入部に凹状の筆記芯導入部を設け、前記筆記芯導入部に挿入される筆記芯により前記挿入部の軸筒径方向内側への弾性変形が抑制されるようにしたことを特徴とする出没式筆記具用先端カバー。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、装着容易な先端カバーを外れ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る先端カバーの一例を出没式筆記具に装着した状態を示す全断面であり、(a)は初期状態、(b)はノック操作した状態を示す。
図2】同出没筆記具の要部拡大断面図であり、装着前の先端カバーを実線で示し、装着途中の先端カバーを二点鎖線で示している。
図3】本発明に係る出没式筆記具用先端カバーの一例を示す斜視図である。
図4】同出没式筆記具の要部拡大図であり、(a)は初期状態、(b)は筆記芯が前進した状態を示す。
図5】本発明に係る先端カバーの他例を複数出没式筆記具に装着した状態を示す全断面であり、マーカー用筆記芯を前進させた状態を示す。
図6】同先端カバーが装着される軸筒の要部断面斜視図である。
図7】同先端カバーを装着した複数出没式筆記具について、マーカー用筆記芯を前進させた状態を示す要部拡大断面図であり、(b)は(a)に対し軸心を中心に90度回転させた状態を示す。
図8】同先端カバーを装着した複数出没式筆記具について、ボールペン用筆記芯を前進させた状態を示す要部拡大断面図であり、(b)は(a)に対し軸心を中心に90度回転させた状態を示す。
図9】同先端カバーの要部斜視図である。
図10】(a)は同先端カバーを軸筒に対し前方側から装着している様子を示す全断面図であり、(b)は同先端カバーを軸筒に対し後方側から装着している様子を示す全断面図である。
図11】本発明に係る先端カバーの他例を複数出没式筆記具に装着して筆記芯を前進させた状態を示す要部拡大断面図であり、(b)は(a)に対し軸心を中心に90度回転させた状態を示す。
図12】本発明に係る先端カバーの他例を出没式筆記具に装着している様子を示す要部拡大断面図であり、装着前の先端カバーを実線で示し、装着途中の先端カバーを二点鎖線で示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第1の特徴は、軸筒の前端から筆記芯を出没させるようにした出没式筆記具の前端の開口部に装着される出没式筆記具用先端カバーであって、軸筒前端から前方へ突出するように形成された摘み部と、この摘み部から延設されて前記開口部に挿入されるように形成された挿入部とを備え、前記挿入部に凹状の筆記芯導入部を設け、前記筆記芯導入部に挿入される筆記芯により前記挿入部の軸筒径方向内側への弾性変形が抑制されるようにした(図1図10参照)。
【0009】
第2の特徴として、前記挿入部は、弾性的に軸筒径方向内側へ撓んで前記開口部に前方から挿入され軸筒径方向外側へ復元して前記軸筒の内周面に接触するように形成さている(図2及び図4参照)。
【0010】
第3の特徴として、前記挿入部が、弾性的に軸筒径方向内側へ撓み可能な合成樹脂材料により形成されている。
【0011】
第4の特徴は、前記摘み部が、前記開口部に対し後方側から挿通されるように形成されている(図9(b)参照)。
【0012】
第5の特徴は、前記挿入部として、前記摘み部から後方向きに延設された第一の挿入部と、前記摘み部から前方向きに延設された第二の挿入部とを具備した(図12参照)。
【0013】
第6の特徴として、前記挿入部が、前記摘み部から延設されるとともに軸筒周方向に間隔を置いた複数の撓み片部により構成されている(図3及び図9参照)。
【0014】
第7の特徴として、前記撓み片部が軸筒径方向の両側に設けられ、前記摘み部は、前記両側の撓み片部の撓み方向に対し交差する軸筒径方向に長尺状に形成されている(図11参照)。
【0015】
第8の特徴は、上記出没式筆記具用先端カバーを具備し、出没式筆記具を構成した(図1及び図5参照)。
【0016】
第9の特徴は、上記出没式筆記具用先端カバーを具備した出没式筆記具であって、軸筒内周面の前端側に、挿入される前記撓み片部に嵌り合う凹溝を設け、筆記芯を前記凹溝の外側で移動するように配置した(図6参照)。
【0017】
<第一の実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
本明細書中、軸筒軸方向とは軸筒の中心線の延びる方向を意味し、軸筒周方向とは軸筒中心線の周囲を回る方向を意味する。また、「前」とは、軸筒軸方向の一方側であって筆記芯が突出する方向を意味し、「後」とは、前記一方側に対する逆方向側を意味する。
また、本明細書中、軸筒径方向とは軸筒の中心線に直交する軸筒の直径方向を意味する。そして、軸筒径方向外側とは軸筒径方向に沿って軸筒中心から離れる方向を意味し、軸筒径方向内側とは軸筒径方向に沿って軸筒中心に向かう方向を意味する。
【0019】
図1は、本発明に係る出没式筆記具用先端カバーを装着した出没式筆記具の一例を示す。
この出没式筆記具1は、軸筒10と、この軸筒10内に進退可能に設けられた筆記芯20と、外部操作により筆記芯20進退させる進退機構30とを具備し、軸筒10の前端側で筆記芯20の前端を出没させる。
そして、この出没式筆記具1の前端の開口部10aには、先端カバー40が着脱可能に装着される。
【0020】
軸筒10は、長尺円筒状の軸筒本体11と、この軸筒本体11の前端側に着脱可能に螺合接続された先細筒状の先口部12とから一体略筒状に構成される。
この軸筒10の他例としては、単数の筒状部材からなる態様や、3以上の筒状部材を接続してなる態様とすることが可能である。
【0021】
先口部12は、その内部前端側の内周面が、前方へ向かって縮径しており、詳細に説明すれば、図2に示すように、前方へ向かって徐々に縮径する傾斜面状の縮径面12aを有する。
この縮径面12aは、後述する先端カバー40に圧接されて先端カバー40を外れ難くする。
この縮径面12aの他例としては、階段状に縮径する面とすることも可能である。
【0022】
筆記芯20は、インクを含浸させた長尺円柱状の中綿21の前端側に、筒状の接続部材23を介して、繊維集束体からなるペン軸22を接続したサインペン用の筆記芯であり、略砲弾状の筆記部20aを有する。この筆記芯20は、進退機構30の前端側に接続されている。
この筆記芯20の他例としては、インク収容管の前端側にボールペンチップを接続してなるボールペン用リフィールや、シャープペンシル用リフィール、マーカーペン用リフィール、電子ペン用リフィール等に置換することが可能である。
【0023】
接続部材23は、円筒状に形成され、その内部にペン軸22を貫通状に挿通し嵌合している。この接続部材23の後端側は、中綿21周囲の筒状ケース24に接続される。この接続部材23の前端側外周面は、筆記芯導入部42bに嵌り合うように、その外径が適宜に設定されている。
【0024】
進退機構30は、筆記具用軸筒10の後端から後方へ突出するノック部31が前方へ押動される操作により、筆記芯20を前進させその前端の筆記部20aを先口12前端から突出して掛止し、この掛止状態をノック部31が再度押動される操作により解除する機構である。図中、符号32は、筆記芯20を後方へ付勢する付勢部材(図示例によれば圧縮コイルバネ)である。
この進退機構30には、例えば特開2018-149787号公報に記載された構造等、周知の出没式筆記具の構造を適用することが可能である。
【0025】
先端カバー40は、軸筒10の前端から前方へ突出するように形成された摘み部41と、この摘み部41から後方へ延設されて開口部10aに挿入されるように形成された挿入部42とを備える。
【0026】
摘み部41は、両側の撓み片部42a,42aの撓み方向に対し交差する軸筒径方向に長尺状に形成され、前記撓み方向の一端側と他端側に、それぞれ平坦面部41b,41bを有する。
さらに、図示例の摘み部41の外周面は、滑り止めとなるように凹凸状に形成される(図3参照)。
【0027】
この摘み部41の外周側の後端面41aは、軸筒10の前端に全周にわたって接触又は近接するように、開口部10aの内径よりも大きい環状に形成される(図3参照)。この後端面41aは、摘み部41が開口部10a内へ押し込まれてしまうのを防ぐ押込み規制部として機能する。
【0028】
また、摘み部41の内部は、後方を開口した凹状に形成される。この凹状の空間は、挿入部42内側の空間に連続して、後述する筆記芯導入部42bを構成する。
【0029】
挿入部42は、摘み部41から後方へ延設されるとともに軸筒周方向に間隔を置いた複数(図示例によれば二つ)の撓み片部42aにより構成され、これら撓み片部42aの内側部分を、後方を開口した凹状の筆記芯導入部42bとしている。
【0030】
複数の撓み片部42aは、弾性的に軸筒径方向内側へ撓んで開口部10aに前方から挿入され(図2参照)、軸筒径方向外側へ復元して軸筒10の内周面(詳細には縮径面12a)に接触するように形成さている。
各撓み片部42aの外側面は、先口部12前端側の縮径面12aを含む内周面に沿うように形成される。
【0031】
筆記芯導入部42bは、複数の撓み片部42aの内側から摘み部41の有底円筒状の内面にわたって連続している。
この筆記芯導入部42bは、後方から挿入される筆記芯20を径方向内側から接触又は近接するように、その内側面間の寸法、及び内径寸法等が適宜に設定さている。
【0032】
詳細に説明すれば、筆記芯導入部42b(詳細には各撓み片部42a)の内周面の後端側には、前方へ向かって縮径する傾斜面状のガイド面42a1が形成される。筆記芯導入部42b内へ挿入される筆記芯20は、ガイド面42a1によって中心部へ導かれる(図4参照)
【0033】
そして、筆記芯導入部42b(詳細には各撓み片部42a)の内周面の後端側であってガイド面42a1よりも前側には、前方へ向かって縮径する段部42a2が形成される。
筆記芯導入部42b内へ挿入される筆記芯20は、接続部材23の前端を段部42a2に当接又は近接する(図4(b)参照)。そして、この状態において、筆記芯20は、接続部材23の外周面を、筆記芯導入部42b内における段部42a2よりも後側の内周面に近接又は接触し、接続部材23から突出する筆記部20aを、筆記芯導入部42b内における段部42a2よりも前側の空間に挿入する。
【0034】
次に上記構成の出没式筆記具1及び先端カバー40について、特徴的な作用効果を詳細に説明する。
先ず、出没式筆記具1の先端側に先端カバー40を装着する場合、図2に示すように、出没式筆記具1先端の開口部10aに対し前方側から先端カバー40を接近し、先端カバー40の複数の撓み片部42aを指で摘まむようにして狭め開口部10aへ挿入する。
この際、両側の撓み片部42a,42aを指で摘まんで撓ませ、その先端側を開口部10aに挿入した後に、その指を後ろ側にずらせば、その指が、両側の平坦面部41b,41bに接触する。このため、作業者等は、摘み部41を安定的に摘まんで、先端カバー40を開口部10a内へ押し込むことができる。
そして、開口部10a内へ挿入された撓み片部42aは、軸筒径方向外側へ弾性的に復元して、縮径面12aを含む先口部12の内周面に接触する(図4(a)参照)。
【0035】
この状態で、例えば、進退機構30が操作されて筆記芯20が前進した場合、この筆記芯20先端側)が、筆記芯導入部42bに挿入され、挿入部42(詳細には複数の撓み片部42a)の軸筒径方向内側への弾性変形が抑制される(図4(b)参照)。
なお、図示例によれば、接続部材23が撓み片部42a,42a間に嵌り合って、撓み片部42a,42aの軸筒径方向への弾性変形が抑制されるようにしたが、他例としては、ペン軸22の前端側が、撓み片部42a,42a間に嵌り合って、撓み片部42a,42aの軸筒径方向への弾性変形が抑制されるようにしてもよい。
【0036】
よって、例えば、進退機構30に対するノック操作により、筆記芯20が前進し、この筆記芯20前端の筆記部20aが先端カバー40を前方へ押したとしても、複数の撓み片部42aが内側へ撓んで、軸筒10前方へ押し出されて、先端カバー40が外れてしまうようなことを防ぐことができる。
【0037】
<第二の実施態様>
次に、本発明に係る他の実施態様について説明する。なお、以下の出没式筆記具2及び先端カバー100は、上述した出没式筆記具1及び先端カバー40を一部変更したものであるため、主にその変更分について詳述する。
【0038】
出没式筆記具2は、軸筒60と、この軸筒60内に進退可能に設けられた複数の筆記芯70,80と、外部操作により筆記芯70,80を選択的に進退させる進退機構90とを具備し、複数出没式筆記具を構成している(図5参照)。
この出没式筆記具2の前端部には、先端カバー100が装着される。
【0039】
軸筒60は、長尺略筒状に形成され、その前端側に先細状の先口部61を有し、後端側の周壁に、進退機構90のスライド操作体91を露出する窓部62を有する。
【0040】
先口部61は、先端に開口部60aを有し、この開口部60aよりも後側に、前方へ向かって徐々に縮径する凹曲面状の縮径面61aを有する。
縮径面61aは、後述する先端カバー100に圧接されて先端カバー100を外れ難くする。
【0041】
詳細に説明すれば、軸筒内周面の前端側の縮径面61aには、挿入される撓み片部121,121にそれぞれ嵌り合うように、凹溝61a1,61a1が設けられる。
各凹溝61a1は、縮径面61aに沿うようにして、開口部60aの内側から後方へ延設されている。
二つの凹溝61a1は、二つの筆記芯70,80が軸筒径方向に並ぶ方向に対し交差する軸筒径方向の両側に位置する。すなわち、各筆記芯70(又は80)の前端部は、凹溝61a1に対し前記交差する軸筒径方向の外側へ離れた位置で移動する。
このような配置にすることで、筆記芯70(又は80)の筆記部70a(又は80a)は、前進中に、撓み片部121に引っかかることなく、縮径面61aに摺接して筆記芯導入部130の中心側へ導かれる(図7(a)及び図8(a)参照)。
なお、縮径面61aの他例としては、階段状に縮径する面とすることも可能である。
【0042】
複数の筆記芯うち、筆記芯70は、インクを内在する長尺状のインク収容部の前端側に、繊維集束体からなるペン軸を接続したマーカーペン用の筆記芯である。前記ペン軸は、先端側の筆記部70aを略クサビ状に形成しており、チゼルチップと呼称される場合がある。
また、他の筆記芯80は、長尺状のボールペン用リフィールであり、前端側に転写ボールを回転自在に抱持した筆記部80a(ボールペンチップ)を有する。
【0043】
進退機構90は、複数のスライド操作体91の一つが前方へ押されることで、このスライド操作体91に対応する筆記芯70又は80を軸筒60前端から突出させる機構である。この進退機構90には、例えば、特開2012-200902号公報に開示される基本構造を適用可能である。
【0044】
また、先端カバー100は、軸筒60の前端から前方へ突出するように形成された摘み部110と、この摘み部110から後方へ延設されて開口部60aに挿入されるように形成された挿入部120とを備える。
【0045】
摘み部110は、図示例によれば、略円柱状に形成され、その外周面に、開口部60aを通過可能であって、開口部60a内縁に係止可能な係止凸部111を有する。
係止凸部111は、周方向に間隔をおいて複数(図示例によれば等間隔に二つ)設けられる。
各係止凸部111は、周方向及び前後方向において部分的に軸筒径方向外側へ突出するように形成され、前端側に前方へ向かって軸筒径方向内側へ向かう傾斜面部111aを有する。この傾斜面部111aは、係止凸部111を開口部60aに対し後方から通過させるのを容易にする(図10(b)参照)。
【0046】
複数の係止凸部111は、開口部60aの内径よりも若干大きい外径を有し、弾性的に収縮することで、開口部60aを後方側から前方へ通り抜ける(図10参照)。
【0047】
摘み部110の内部は、後方を開口した凹状に形成される(図9参照)。この凹状の空間は、挿入部120内側の空間に連続して、筆記芯導入部130を構成する。
挿入部120は、摘み部110から後方へ延設されるとともに軸筒周方向に間隔を置いた複数(図示例によれば二つ)の撓み片部121により構成され、これら撓み片部121の内側部分を、後方を開口した凹状の筆記芯導入部130としている。
【0048】
複数の撓み片部121は、弾性的に軸筒径方向内側へ撓んで開口部60aに前方から挿入され(図10(a)参照)、軸筒径方向外側へ復元して軸筒60の傾斜状の内周面に接触するように形成さている。すなわち、各撓み片部121の外側面が、先口部61前端側の縮径面61aに沿うように形成される。
【0049】
筆記芯導入部130は、複数の撓み片部121の内側から摘み部110の有底円筒状の内面にわたって連続している。
この筆記芯導入部130は、後方から挿入される筆記部70a又は80aが径方向内側から接触又は近接するように、その内側面間の寸法、及び内径寸法等が適宜に設定さている。
【0050】
次に、上記構成の出没式筆記具2及び先端カバー100について、その作用効果を詳細に説明する。
先ず、出没式筆記具2の先端側に先端カバー100を装着する場合、図10(a)に示すように、出没式筆記具2先端の開口部60aに対し前方側から先端カバー100を接近し、先端カバー100の複数の撓み片部121を指で摘まむようにして狭め開口部60aへ挿入する。
先端カバー100を後方へ押し込めば、複数の撓み片部121が、軸筒径方向外側へ弾性的に復元して、縮径面61a等、先口部61の内周面に接触する(図7参照)。
【0051】
また、他の装着方法として、図10(b)に示すように、軸筒60に対し後方側から先端カバー100を挿入し、先端カバー100の摘み部110を開口部60aに通過させて係止することも可能である。
【0052】
先端カバー100の装着状態において、例えば、進退機構90の操作により筆記芯70(又は80)が前進した場合、この筆記芯の筆記部70a(80a)は、筆記芯導入部130に挿入され、挿入部120(詳細には複数の撓み片部121)の軸筒径方向内側への弾性変形が抑制される(図7(a)(b)及び図8(a)(b)参照)。
【0053】
よって、例えば、進退機構90の操作により、筆記芯70(又は80)が前進し、この筆記芯前端の筆記部70a(80a)が先端カバー100を前方へ押したとしても、先端カバー100が外れてしまうようなことを防ぐことができる。
ひいては、筆記具の先端から空気が入り込みペン先が乾燥したり、筆記具が試し書きされたりするのを防ぐことができる。
【0054】
<他の変形例>
図11に示す先端カバー100’は、上記先端カバー100の摘み部110を摘み部110’に置換したものである。
摘み部110’は、両側の撓み片部121,121の撓み方向に対し交差する軸筒径方向に長尺な平板状に形成されている。
先端カバー100’によれば、指先fで摘み部110’を容易に摘まむことができる。したがって、例えば、両側の撓み片部121,121を指で摘まんで撓ませ、その先端側を開口部60aに挿入した後に、その指を後ろ側にずらせば、その指でそのまま先端カバー100’を開口部60a内へ押し込む動作をすることができる。
【0055】
また、図12に示す先端カバー40’は、上記先端カバー40について、挿入部42を第一の挿入部とし、第二の挿入部42’を加えたものである。
第一の挿入部42は、摘み部41から後方向きに延設される。
第二の挿入部42’は、第一挿入部42を前後逆にした構成であり、摘み部41から前方向きに延設される。
この先端カバー40’は、前後の向きを気にすることなく、出没式筆記具に装着することができる。
【0056】
なお、上記実施態様によれば、複数の上記撓み片部により上記挿入部を構成したが、他例としては、上記挿入部を、撓み片部のない筒状等に構成し、その周壁が弾性的に径方向内側へ撓み変形し径方向外側へ復元するようにすることも可能である。
【0057】
また、図示例によれば、有底円筒状の前記筆記芯導入部の底部を、孔等のない円板状に形成したが、前記底部には、必要に応じて、貫通孔を設けてもよい。
【0058】
本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0059】
1,2:出没式筆記具
10,60:軸筒
10a,60a:開口部
20,70,80:筆記芯
40,100,100’:先端カバー
41,110,110’:摘み部
41a:後端面(押込み規制部)
42,120:挿入部
42a,121;撓み片部
42b,130:筆記芯導入部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12