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特開2023-41139ケーブル定着部の検査装置及び検査方法
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  • 特開-ケーブル定着部の検査装置及び検査方法 図1
  • 特開-ケーブル定着部の検査装置及び検査方法 図2
  • 特開-ケーブル定着部の検査装置及び検査方法 図3
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  • 特開-ケーブル定着部の検査装置及び検査方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041139
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】ケーブル定着部の検査装置及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/82 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
G01N27/82
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148325
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(71)【出願人】
【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【弁理士】
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 雄介
(72)【発明者】
【氏名】畠中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】大橋 タケル
(72)【発明者】
【氏名】北村 俊也
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雄治
【テーマコード(参考)】
2G053
【Fターム(参考)】
2G053AA11
2G053AA12
2G053AA14
2G053AB01
2G053BA03
2G053BA14
2G053BC14
2G053CA03
2G053CB17
2G053CB24
2G053DA01
2G053DA09
2G053DA10
2G053DB04
(57)【要約】
【課題】ケーブル定着部における素線の損傷の有無を検査することができる、ケーブル定着部の検査装置及び検査方法を提供する。
【解決手段】
本実施形態に係る検査装置は、略U字形状のヨーク31の一端に励磁コイル32を有しヨーク31の他端に検出コイル33を有する配置したプローブ3と、励磁コイル32がケーブル1の径方向外側に位置し検出コイル33がケーブル1の径方向内側に位置するようにプローブ3を支持する支持部4と、プローブ3及び支持部4を筒体21の内部に挿通させる操作部5と、プローブ3の先端に配置されたダンパー6と、を備えている。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の素線を束ねて樹脂層で被覆したケーブルの端部を筒体に挿通した状態で建造物に固定したケーブル定着部の検査装置であって、
略U字形状のヨークの一端に励磁コイルを有し前記ヨークの他端に検出コイルを有する配置したプローブと、
前記励磁コイルが前記ケーブルの径方向外側に位置し前記検出コイルが前記ケーブルの径方向内側に位置するように前記プローブを支持する支持部と、
前記プローブ及び前記支持部を前記筒体の内部に挿通させる操作部と、を備え、
前記プローブ及び前記支持部は、前記筒体に挿入可能な大きさに構成されている、
ことを特徴とするケーブル定着部の検査装置。
【請求項2】
前記ヨークは、前記ケーブルの周方向に複数配置されている、請求項1に記載のケーブル定着部の検査装置。
【請求項3】
前記ヨークは、前記励磁コイルと前記検出コイルとの中間部で前記支持部に固定されている、請求項1に記載のケーブル定着部の検査装置。
【請求項4】
前記支持部は、周方向に複数に分割可能な環状体により構成されている、請求項1に記載のケーブル定着部の検査装置。
【請求項5】
前記プローブは、先端に配置されたダンパーを有する、請求項1に記載のケーブル定着部の検査装置。
【請求項6】
複数の素線を束ねて樹脂層で被覆したケーブルの端部を筒体に挿通した状態で建造物に固定したケーブル定着部の検査方法であって、
略U字形状のヨークの一端に励磁コイルを有し前記ヨークの他端に検出コイルを有する配置したプローブを前記筒体に挿入し、
前記プローブにより前記素線を軸方向に励磁して前記ケーブルの定着部を検査する、
ことを特徴とするケーブル定着部の検査方法。
【請求項7】
前記素線の磁化領域の大小に伴う電圧信号を前記検出コイルにより出力し、出力された前記電圧信号の変化により前記素線の損傷を検出する、請求項6に記載のケーブル定着部の検査方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル定着部の検査装置及び検査方法に関し、特に、複数の素線を束ねて被覆したケーブルの定着部における損傷の有無を検査可能なケーブル定着部の検査装置及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
吊橋や斜張橋等の建造物に使用されるケーブルは、複数の鋼製の素線を束ねてエラストマーシート等の樹脂層により被覆した構成を有している。かかるケーブルは、風雨に晒されており、表面の樹脂層が損傷した場合には内部に水が浸入し、長期間の使用により素線が腐食する場合がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、素線の検査対象箇所を磁化する一対の励磁コイルと、これらの励磁コイルによって磁化された素線の検査対象箇所内を通過する磁束量を検出する検出コイルと、を備えた検査装置が開示されている。かかる発明によれば、素線を被覆する樹脂層をはがさずに素線の腐食の有無を検査することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-233849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したケーブルの下端部は、建造物の支持部に配置された鋼製の筒体に挿通された状態で固定(定着)されていることが多い。また、ケーブル内に浸入した水は下方に移動して溜まりやすいという性質がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された検査装置では、ケーブル定着部を構成する鋼管に挿入することができず、素線の腐食等の損傷の有無を検査することが困難であるという問題があった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、ケーブル定着部における素線の損傷の有無を検査することができる、ケーブル定着部の検査装置及び検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、複数の素線を束ねて樹脂層で被覆したケーブルの端部を筒体に挿通した状態で建造物に固定したケーブル定着部の検査装置であって、略U字形状のヨークの一端に励磁コイルを有し前記ヨークの他端に検出コイルを有する配置したプローブと、前記励磁コイルが前記ケーブルの径方向外側に位置し前記検出コイルが前記ケーブルの径方向内側に位置するように前記プローブを支持する支持部と、前記プローブ及び前記支持部を前記筒体の内部に挿通させる操作部と、を備え、前記プローブ及び前記支持部は、前記筒体に挿入可能な大きさに構成されている、ことを特徴とするケーブル定着部の検査装置が提供される。
【0009】
前記ヨークは、前記ケーブルの周方向に複数配置されていてもよい。
【0010】
前記ヨークは、前記励磁コイルと前記検出コイルとの中間部で前記支持部に固定されていてもよい。
【0011】
前記支持部は、周方向に複数に分割可能な環状体により構成されていてもよい。
【0012】
前記プローブは、先端に配置されたダンパーを有していてもよい。
【0013】
また、本発明によれば、複数の素線を束ねて樹脂層で被覆したケーブルの端部を筒体に挿通した状態で建造物に固定したケーブル定着部の検査方法であって、略U字形状のヨークの一端に励磁コイルを有し前記ヨークの他端に検出コイルを有する配置したプローブを前記筒体に挿入し、前記プローブにより前記素線を軸方向に励磁して前記ケーブルの定着部を検査する、ことを特徴とするケーブル定着部の検査方法が提供される。
【0014】
前記検査方法は、磁化した前記素線の磁化領域の大小に伴う電圧信号を前記検出コイルにより出力し、出力された前記電圧信号の変化により前記素線の損傷を検出するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
上述した本発明に係るケーブル定着部の検査装置及び検査方法によれば、素線を励磁するプローブを筒体に挿入可能に構成したことにより、ケーブル定着部における素線の損傷の有無を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係るケーブル定着部の検査装置を使用した検査状態を示す断面図である。
図2図1に示したプローブの拡大図であり、(a)はダンパーを除いた正面図、(b)は図2(a)におけるB-B線断面図、である。
図3】プローブの挿入手順を示す図であり、(a)は初期状態、(b)は挿入状態、を示している。
図4図1に示した検査装置の全体構成図である。
図5図1に示した検査装置を用いた検査方法を示す概念図であり、(a)は素線に損傷がない場合、(b)は素線に損傷がある場合、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図1図5(b)を用いて説明する。ここで、図1は、一実施形態に係るケーブル定着部の検査装置を使用した検査状態を示す断面図である。図2は、図1に示したプローブの拡大図であり、(a)はダンパーを除いた正面図、(b)は図2(a)におけるB-B線断面図、である。
【0018】
図1に示したケーブル1は、複数の鋼製の素線11を束ねて樹脂層で被覆したものである。ここでは、一例として、斜張橋にケーブル1を使用した場合を図示してある。ケーブル1の下端部は、例えば、橋桁2に固定(定着)される。
【0019】
ケーブル1の定着部2aは、例えば、橋桁2に配置されケーブル1を挿通する筒体21と、ケーブル1の張力を受け止める支圧板22と、ケーブル1の端部を覆うソケット23と、支圧板22とソケット23との間に配置される座金24と、を備えている。筒体21は、例えば、鋼管である。ソケット23内には樹脂等が充填されている。
【0020】
本実施形態に係る検査装置は、略U字形状のヨーク31の一端に励磁コイル32を有しヨーク31の他端に検出コイル33を有する配置したプローブ3と、励磁コイル32がケーブル1の径方向外側に位置し検出コイル33がケーブル1の径方向内側に位置するようにプローブ3を支持する支持部4と、プローブ3及び支持部4を筒体21の内部に挿通させる操作部5と、プローブ3の先端に配置されたダンパー6と、を備えている。
【0021】
ヨーク31は、磁気回路を構成する継鉄である。ヨーク31は、例えば、図2(A)及び図2(b)に示したように、全体として略U字形状を有しており、例えば、励磁コイル32が巻かれる部分の肉厚は、検出コイル33が巻かれる部分の肉厚よりも厚く形成される。ヨーク31は、コ字形状と言い換えることもできる。
【0022】
支持部4は、プローブ3を筒体21の上方から挿入可能に支持する部材である。支持部4は、例えば、周方向に複数に分割可能な環状体により構成される。図2(a)では、支持部4を第一環状体41及び第二環状体42に二分割した場合を図示してある。第一環状体41及び第二環状体42は、板材及び締結具により構成される連結部材43により円環状に連結可能に構成されている。
【0023】
支持部4の外形は、筒体21に挿入可能な大きさに構成されている。例えば、支持部4が円環状である場合には、支持部4の外径は筒体21の内径よりも小さく形成される。なお、支持部4の外形は、筒体21に挿入可能であれば円環状に限定されるものではない。
【0024】
ヨーク31は、図2(a)に示したように、検出コイル33がケーブル1に接近した位置に配置されるように支持部4に固定される。支持部4は、ヨーク31の開放端と反対側に配置され、ヨーク31は、励磁コイル32と検出コイル33との中間部で支持部4に固定される。ヨーク31は、例えば、結束バンド等の固定手段34により支持部4に固定される。なお、固定手段34は図示した構成に限定されるものではない。
【0025】
プローブ3を構成するヨーク31は、例えば、図2(a)に示したように、ケーブル1の周方向に複数配置される。本実施形態では、ケーブル1の周方向に6個のプローブ3が均等な間隔で配置されるように、第一環状体41及び第二環状体42に3個ずつヨーク31が固定されている。なお、プローブ3の個数及び配置は図示した構成に限定されるものではなく、ケーブル1の太さ等の条件によっては、プローブ3は1個であってもよいし、6個以外の個数であってもよい。
【0026】
また、図示したように、ヨーク31は、支持部4の外形からはみ出さないように配置されている。すなわち、本実施形態に係るプローブ3は、筒体21に挿入可能な大きさに構成されている。
【0027】
周方向に複数のプローブ3を配置した場合、プローブ3は直列に接続されていてもよいし、並列に接続されていてもよい。プローブ3を直列に接続した場合には、プローブ3の出力を大きくすることができる。また、プローブ3を並列に接続した場合には、どの位置のプローブ3の信号が変化したかを監視することにより、ケーブル1(素線11)の損傷箇所の位置を特定することができる。
【0028】
操作部5は、プローブ3を筒体21の奥の口金部まで挿入する部材である。操作部5は、例えば、支持部4に固定された棒形状のロッドである。操作部5は、プローブ3をケーブル1の軸方向に沿って移動させることができればよい。例えば、支持部4の内側に滑り軸受や転動体を配置した場合や自重で下方に移動させることができる場合には、操作部5は、ワイヤやロープ等により構成してもよい。
【0029】
ダンパー6は、プローブ3の先端を保護する緩衝部材である。ダンパー6は、例えば、筒体21に挿入可能な大きさに構成された弾性体である。ダンパー6は、ヨーク31の先端に固定されていてもよいし、支持部4に固定されていてもよい。プローブ3を筒体21に挿入する際には内部を目視することが困難であるため、ダンパー6を配置することにより容易にプローブ3を筒体21に挿入して底部に着地させることができる。
【0030】
また、ダンパー6のケーブル軸方向の肉厚を調整することにより、筒体21の底部からの距離を調整することができ、ケーブル1の検査したい箇所に合わせてプローブ3を配置することができる。なお、説明の便宜上、図2(a)では、ダンパー6の図を省略してある。
【0031】
ここで、図3は、プローブの挿入手順を示す図であり、(a)は初期状態、(b)は挿入状態、を示している。図3(a)に示したように、ケーブル1の通常使用時には、筒体21の上部先端には、カバー25が配置され封止されている。また、図示しないが、筒体21の上部とカバー25との隙間にシール部材が配置されていてもよい。
【0032】
ケーブル1の検査時には、図3(b)に示したように、カバー25を取り外し、シール部材があればシール部材を除去し、筒体21の上部を開放する。次に、支持部4をケーブル1に沿って配置して連結し、プローブ3をケーブル1に配置し、支持部4に操作部5を接続する。その後、操作部5をケーブル1の軸方向に沿って移動させることにより、プローブ3を筒体21の底部まで挿入する。
【0033】
次に、図1に示した検査装置の全体構成図及び検査方法について図4図5(b)を参照しつつ説明する。ここで、図4は、図1に示した検査装置の全体構成図である。図5は、図1に示した検査装置を用いた検査方法を示す概念図であり、(a)は素線に損傷がない場合、(b)は素線に損傷がある場合、を示している。なお、図5(a)及び図5(b)において、説明の便宜上、操作部5及びダンパー6の図を省略し、定着部2aの構成を簡略化してある。
【0034】
図4に示したように、ケーブル定着部の検査装置は、例えば、筒体21に挿入されるプローブ3と、プローブ3の励磁コイル32に接続された電源7と、プローブ3の検出コイル33に接続されたA/D変換器8と、A/D変換器8からの信号を処理する演算装置9と、を備えている。
【0035】
電源7は、励磁コイル32に電流を印加する機器である。電源7は、直流電源であってもよいし、交流電源であってもよいし、増幅器等の機器を備えていてもよい。また、電源7が直流電源の場合は電流遮断器を備えていてもよい。
【0036】
A/D変換器8は、検出コイル33からのアナログ信号をデジタル信号に変換する機器である。なお、A/D変換器8の上流に検出コイル33の検出信号を増幅するアンプを配置してもよい。
【0037】
演算装置9は、例えば、検出コイル33により検出した電圧信号の処理を行う信号処理器91と、検出した信号を表示する信号表示器92と、事前に得ておいた検定曲線と検出信号とを比較して損傷の有無を判定する検出・判定器93と、検出信号を保存する信号保存器94と、を備えている。
【0038】
演算装置9は、例えば、パーソナルコンピュータにより構成される。信号処理器91は、交流電圧値の測定、印加した周波数の電圧強度の読み取り等の処理を行う。信号表示器92は、例えば、ディスプレイ又はモニターである。検出・判定器93は、演算装置9に保存された所定のプログラムに基づいて所定の処理を行う。信号保存器94は、例えば、HDDやSSD等の記憶装置である。
【0039】
本実施形態に係るケーブル定着部の検査方法は、複数の素線11を束ねて樹脂層で被覆したケーブル1の端部を筒体21に挿通した状態で建造物に固定したケーブル定着部を検査する方法であって、略U字形状のヨーク31の一端に励磁コイル32を有しヨーク31の他端に検出コイル33を有する配置したプローブ3を筒体21に挿入し、プローブ3により素線11を軸方向に励磁してケーブル1の定着部2aを検査する方法である。
【0040】
図3(b)に示したように、筒体21内にプローブ3に挿入し、図1に示したように、筒体21の底部にプローブ3を配置した後、電源7により励磁コイル32に電流を印加して磁界を発生させる。
【0041】
励磁コイル32で発生した磁界は、ヨーク31を介して検出コイル33に伝わり、図5(a)に示したように、検出コイル33の先端から磁界が発生する。検出コイル33から発生した磁界により、ケーブル1の素線11が軸方向に励磁される。
【0042】
図5(a)に示したように、素線11に断面欠損や断線等の損傷が生じていない場合には、磁界が軸方向遠方まで影響を及ぼすことから大きな磁気回路を形成し、磁化領域Mが大きく評価され、検出コイル33の応答(電圧信号)が大きくなる。
【0043】
一方、図5(b)に示したように、素線11に損傷Dが生じている場合には、磁界が軸方向遠方まで届かず、磁気回路が遮断されて磁化領域Mが小さく評価され、検出コイル33の応答(電圧信号)が小さくなる。
【0044】
したがって、素線11に損傷のない状態のケーブル1を上述した検査装置で検査しておき、事前に正常な状態の電圧信号(検定曲線)を取得しておくことにより、メンテナンス等の検査時に検出コイル33により出力された電圧信号の変化を監視することにより素線11の損傷を検出・判定することができる。
【0045】
すなわち、本実施形態に係る検査方法は、磁化した素線11の磁化領域Mの大小に伴う電圧信号を検出コイル33により出力し、出力された電圧信号の変化により素線11の損傷を検出するものである。なお、本実施形態では、検出・判定器93により、損傷の検出を自動化しているが、作業員の目視により損傷の有無を判断するようにしてもよい。
【0046】
上述した本実施形態に係るケーブル定着部の検査装置及び検査方法によれば、素線11を励磁するプローブ3を筒体21に挿入可能に構成したことにより、ケーブル1の定着部2aにおける素線11の腐食による損傷の有無を検出することができる。また、本実施形態によれば、定着部2aのソケット23を開放せずにケーブル1を構成する素線11の非破壊検査(断線・断面積減少の検出)を行うことができる。
【0047】
本発明は、上述した実施形態に限定されず、斜張橋以外の建造物に使用されるケーブル定着部の検査に使用することができる等、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
1 ケーブル
2 橋桁
2a 定着部
3 プローブ
4 支持部
5 操作部
6 ダンパー
7 電源
8 A/D変換器
9 演算装置
11 素線
21 筒体
22 支圧板
23 ソケット
24 座金
25 カバー
31 ヨーク
32 励磁コイル
33 検出コイル
34 固定手段
41 第一環状体
42 第二環状体
43 連結部材
91 信号処理器
92 信号表示器
93 検出・判定器
94 信号保存器
図1
図2
図3
図4
図5