(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041178
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】表示ドライバ及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20230316BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230316BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20230316BHJP
G01R 31/28 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 623R
G09G3/20 623F
G09G3/20 623G
G09G3/20 650F
G09G3/20 670Q
G09G3/20 621B
G09G3/20 612T
G02F1/133 550
G01R31/28 V
G01R31/28 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148391
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏明
【テーマコード(参考)】
2G132
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2G132AA00
2G132AB01
2G132AK07
2G132AK12
2G132AK15
2G132AK22
2G132AL09
2H193ZA02
2H193ZC16
2H193ZD23
2H193ZF34
2H193ZF36
2H193ZK06
2H193ZK14
2H193ZK16
5C006AC27
5C006AC28
5C006AF51
5C006AF53
5C006AF73
5C006AF83
5C006BB11
5C006BC03
5C006BC11
5C006BC16
5C006BF04
5C006BF06
5C006BF22
5C006BF24
5C006BF25
5C006EB01
5C006FA20
5C006FA34
5C006FA51
5C080AA10
5C080DD15
5C080DD28
5C080DD29
5C080JJ02
5C080JJ04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製品出荷時のテスト時間の短縮を図ることが可能な表示ドライバ及び表示装置を提供する。
【解決手段】映像信号に基づく各画素の輝度レべルを表す表示データ片を夫々が輝度レベルに対応した電圧値を有する階調電圧に変換して出力する変換部と、映像信号に応じて1フレーム表示期間毎に極性反転を促す極性反転信号を生成する極性反転信号生成回路と、テストモード又は通常モードを表す動作モード信号を受ける第1の外部端子と、極性反転を促すテスト用極性反転信号、及び極性反転信号を受け、動作モード信号が通常モードを表す場合には、極性反転信号を選択して出力する一方、動作モード信号がテストモードを表す場合には、テスト用極性反転信号を選択して出力する第1のセレクタと、を含み、変換部は、テスト用極性反転信号及び極性反転信号のうちで第1のセレクタから出力された方の信号に応じて階調電圧各々の電圧値の極性を反転させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号に基づく各画素の輝度レべルを表す第1~第n(nは2以上の整数)の表示データ片を夫々が前記輝度レベルに対応した電圧値を有する第1~第nの階調電圧に変換して出力する変換部と、
前記映像信号に応じて1フレーム表示期間毎に極性反転を促す極性反転信号を生成する極性反転信号生成回路と、
テストモード又は通常モードを表す動作モード信号を受ける第1の外部端子と、
極性反転を促すテスト用極性反転信号、及び前記極性反転信号を受け、前記動作モード信号が前記通常モードを表す場合には、前記極性反転信号を選択して出力する一方、前記動作モード信号が前記テストモードを表す場合には、前記テスト用極性反転信号を選択して出力する第1のセレクタと、を含み、
前記変換部は、前記テスト用極性反転信号及び前記極性反転信号のうちで前記第1のセレクタから出力された方の信号に応じて、出力する前記第1~第nの階調電圧各々の電圧値の極性を反転させることを特徴とする表示ドライバ。
【請求項2】
前記テスト用極性反転信号を外部から受ける第2の外部端子を有することを特徴とする請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項3】
前記映像信号に基づき各画素の輝度レべルを表す表示データ片の系列を含む映像データ信号を生成すると共に、前記テスト用極性反転信号の状態を論理レベル0又は1に設定する為の入力操作を受け付け、前記入力操作によって設定された前記テスト用極性反転信号を前記映像データ信号に挿入する制御部と、
前記映像データ信号に含まれる前記表示データ片の系列を取り込み、n個の表示データ片を取り込む度に夫々を前記第1~第nの表示データ片として前記変換部に供給するデータラッチ部と、
前記映像データ信号中から前記テスト用極性反転信号を抽出して前記第1のセレクタに供給する極性反転信号抽出回路と、を有することを特徴とする請求項1に記載の表示ドライバ。
【請求項4】
前記制御部は、前記映像データ信号における1フレーム期間毎に、前記映像データ信号中の無効データ区間に前記テスト用極性反転信号を挿入することを特徴とする請求項3に記載の表示ドライバ。
【請求項5】
前記変換部は、前記第1~第nの表示データ片を夫々個別に受けて前記第1~第nの階調電圧を出力する第1~第nの変換ブロックを含み、
前記第1~第nの変換ブロックの各々は、
前記表示データ片を前記輝度レベルに対応した正極性の電圧値を有する正極階調電圧に変換する正極変換回路と、
前記表示データ片を前記輝度レベルに対応した負極性の電圧値を有する負極階調電圧に変換する負極変換回路と、
前記正極階調電圧及び前記負極階調電圧を受け、前記第1のセレクタから出力された信号に応じて前記正極階調電圧及び前記負極階調電圧のうちの一方を前記階調電圧として出力する第2のセレクタと、を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1に記載の表示ドライバ。
【請求項6】
第1~第n(nは2以上の整数)のソース線を有する表示パネルと、
映像信号に基づく第1~第nの駆動電圧を生成して前記表示パネルの前記第1~第nのソース線に供給する表示ドライバと、を含む表示装置であって、
前記表示ドライバは、
記映像信号に基づく各画素の輝度レべルを表す第1~第nの表示データ片を、夫々が前記輝度レベルに対応した電圧値を有する第1~第nの階調電圧に変換して出力する変換部と、
前記第1~第nの階調電圧を夫々増幅して得たn個の電圧を前記第1~第nの駆動電圧として生成する出力アンプ部と、
前記映像信号に応じて1フレーム表示期間毎に極性反転を促す極性反転信号を生成する極性反転信号生成回路と、
テストモード又は通常モードを表す動作モード信号を受ける第1の外部端子と、
極性反転を促すテスト用極性反転信号、及び前記極性反転信号を受け、前記動作モード信号が前記通常モードを表す場合には、前記極性反転信号を選択して出力する一方、前記動作モード信号が前記テストモードを表す場合には、前記テスト用極性反転信号を選択して出力する第1のセレクタと、を含み、
前記変換部は、前記テスト用極性反転信号及び前記極性反転信号のうちで前記第1のセレクタから出力された方の信号に応じて、出力する前記第1~第nの階調電圧各々の電圧値の極性を反転させることを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号に応じて表示パネルを駆動する表示ドライバ及び当該表示ドライバを有する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルを駆動する表示ドライバでは、液晶表示パネルの焼き付きを防止する為に、この液晶表示パネルの複数のソース線に出力する駆動電圧の極性を表示ライン毎、或いは1フレーム期間毎に反転させている。
【0003】
例えば、このような表示ドライバは、1つのデータ信号を正極性階調電圧及び負極性階調電圧に夫々変換するDA変換部と、正極性階調電圧及び負極性階調電圧のうちの一方を極性反転信号に応じて選択して1つの出力端に出力するスイッチと、を含んでいる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、当該表示ドライバに対する製品出荷前のテストでは、極性反転信号に従った極性で出力された各電圧の特性ばらつきの評価等が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、当該表示ドライバに対する製品出荷前のテストとして、極性反転信号に沿った極性で出力された駆動電圧と期待値とを比較し、両者が一致しなかった場合にテスト対象となった表示ドライバを故障有りと判定するファンクションテストが実施される。よって、かかるファンクションテストを実施するにあたり、テスト実施者は、極性反転信号に基づく極性を考慮した駆動電圧の値を期待値として用意しておく必要がある。
【0007】
尚、極性反転信号は映像信号における垂直同期信号に同期して1フレーム表示期間毎に、論理レベル0又は1の状態が交互に切り替わる2値の発振信号であり、TCON(Timing Controller)と称される制御ICで生成される。具体的には、極性反転信号は、TCON内において例えばフレーム周期分のクロック信号のパルス数をカウントするカウンタや、垂直同期信号に応じて動作するTフリップフロップ(以下、TFFと称する)等で生成される。
【0008】
ここで、近年、このようなTCONを内蔵した表示ドライバが登場しており、このようなTCON内蔵型の表示ドライバに対しても、製品出荷前のテストとして、期待値を用いたファンクションテストを実施する必要がある。
【0009】
しかしながら、極性反転信号が例えばTFF等で生成される場合、その素子の構成上、電源投入後、極性反転信号の論理レベルが0又は1のいずれの状態になるのかが不確定となる。したがって、ファンクションテスト時において表示ドライバから出力されるであろう駆動電圧の極性を予め知ることができないので、テスト実施者は、駆動電圧の期待値を用意することができなくなる。
【0010】
そこで、当該TFFとしてリセット端子付きのTFFを採用し、ファンクションテストを実施する準備段階で、表示ドライバのリセット用外部端子からこのTFFをリセットすることで、極性反転信号の状態を論理レベル0又は1に特定することが考えられる。
【0011】
ところが、表示ドライバのリセット用外部端子には、このTFF以外にも、表示ドライバの動作に関与する複数のフリップフロップ(以下、単にFFと称する)やレジスタ等が接続されている。
【0012】
よって、リセットを掛けると、複数のFFやレジスタの保持内容も初期化されてしまうので、そのリセット後、複数のFFやレジスタの保持内容を元の状態に設定し直さなければならず、テスト時間の増大を招いていた。
【0013】
そこで、本発明は、製品出荷時のテスト時間の短縮を図ることが可能な表示ドライバ及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る表示ドライバは、映像信号に基づく各画素の輝度レべルを表す第1~第n(nは2以上の整数)の表示データ片を夫々が前記輝度レベルに対応した電圧値を有する第1~第nの階調電圧に変換して出力する変換部と、前記映像信号に応じて1フレーム表示期間毎に極性反転を促す極性反転信号を生成する極性反転信号生成回路と、テストモード又は通常モードを表す動作モード信号を受ける第1の外部端子と、極性反転を促すテスト用極性反転信号、及び前記極性反転信号を受け、前記動作モード信号が前記通常モードを表す場合には、前記極性反転信号を選択して出力する一方、前記動作モード信号が前記テストモードを表す場合には、前記テスト用極性反転信号を選択して出力する第1のセレクタと、を含み、前記変換部は、前記テスト用極性反転信号及び前記極性反転信号のうちで前記第1のセレクタから出力された方の信号に応じて、出力される前記第1~第nの階調電圧各々の電圧値の極性を反転させる。
【0015】
また、本発明に係る表示装置は、第1~第n(nは2以上の整数)のソース線を有する表示パネルと、映像信号に基づく第1~第nの駆動電圧を生成して前記表示パネルの前記第1~第nのソース線に供給する表示ドライバと、を含む表示装置であって、前記表示ドライバは、記映像信号に基づく各画素の輝度レべルを表す第1~第nの表示データ片を、夫々が前記輝度レベルに対応した電圧値を有する第1~第nの階調電圧に変換して出力する変換部と、前記第1~第nの階調電圧を夫々増幅して得たn個の電圧を前記第1~第nの駆動電圧として生成する出力アンプ部と、前記映像信号に応じて1フレーム表示期間毎に極性反転を促す極性反転信号を生成する極性反転信号生成回路と、テストモード又は通常モードを表す動作モード信号を受ける第1の外部端子と、極性反転を促すテスト用極性反転信号、及び前記極性反転信号を受け、前記動作モード信号が前記通常モードを表す場合には、前記極性反転信号を選択して出力する一方、前記動作モード信号が前記テストモードを表す場合には、前記テスト用極性反転信号を選択して出力する第1のセレクタと、を含み、前記変換部は、前記テスト用極性反転信号及び前記極性反転信号のうちで前記第1のセレクタから出力された方の信号に応じて、出力される前記第1~第nの階調電圧各々の電圧値の極性を反転させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、テストモード時には、表示ドライバに含まれる極性反転信号生成回路で生成された極性反転信号に代わり、テスト用極性反転信号で駆動電圧の極性切替が為される。当該テスト用極性反転信号を用いることで、テスト準備段階で表示ドライバにリセットを掛けずとも、表示ドライバから出力される駆動電圧の極性をテスト実行者の意図する極性にすることが可能となる。
【0017】
よって、テスト実施者は、表示ドライバから出力される駆動電圧の期待値を特定することが可能となるので、期待値を特定する為にテスト準備段階でリセットを掛け、引き続き各FF及びレジスタ群の再設定を行う必要がある表示ドライバに比べて、テスト時間の短縮を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る表示ドライバを含む表示装置の第1の実施例としての表示装置100の構成を示すブロック図である。
【
図2】ドライバ部13の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】DA変換部132の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明に係る表示ドライバを含む表示装置の第2の実施例としての表示装置200の構成を示すブロック図である。
【
図5】データイネーブル信号DE、極性反転信号POL、表示データ信号VPDの波形の一例を示す図である。
【
図6】ドライバ部13Aの内部構成を示すブロック図である。
【
図7】DA変換部132Aの内部構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例0020】
図1は、本発明に係る表示ドライバを含む表示装置の第1の実施例としての表示装置100の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示すように表示装置100は、ソースドライバ10、ゲートドライバ11及び表示パネル20を有する。
【0022】
表示パネル20は、例えば液晶表示パネルからなる画像表示パネルである。表示パネル20には、2次元画面の水平方向に伸張するゲート線G1~Gm(mは2以上の整数)と、2次元画面の垂直方向に伸張するソース線S1~Sn(nは2以上の自然数)とが形成されている。ソース線及びゲート線の各交叉部の領域、つまり
図1において破線にて囲まれた領域には、画素を担う表示セルPCが形成されている。
【0023】
ソースドライバ10は、単一又は複数の半導体ICチップに形成されている。
【0024】
ソースドライバ10は、この半導体ICチップに形成されている複数の外部端子TMを夫々介して、当該半導体ICチップの外部から、映像信号VS、同期信号(水平、垂直同期信号)SYC、動作モード信号TES及びテスト用極性反転信号TPOLを受ける。
【0025】
ソースドライバ10は、同期信号SYCに応じて、1水平走査期間毎のタイミングを表す水平同期信号を外部端子TMを介してゲートドライバ11に供給する。
【0026】
更に、ソースドライバ10は、映像信号VS及び同期信号SYCに応じて、1水平走査期間毎に、各画素の輝度レベルに対応した電圧値を夫々有する駆動電圧V1~Vnを生成し、夫々を外部端子TMを介して表示パネル20のソース線S1~Snに供給する。
【0027】
ゲートドライバ11は、ソースドライバ10から供給された水平同期信号に応じたタイミングで、ゲート線選択信号をゲート線G1~Gmの各々に順次供給する。
【0028】
以下に、ソースドライバ10について詳細に説明する。
【0029】
ソースドライバ10は、
図1に示すように、タイミングコントローラ12(以降、TCON12と称する)及びドライバ部13を含む。
【0030】
TCON12は、映像信号VS及び同期信号SYCに基づく、各画素の輝度レベルを例えば8ビットで表す表示データ片の系列からなる表示データ信号、水平及び垂直同期信号、データイネーブル信号及びクロック信号等を含む映像データ信号VDをドライバ部13に供給する。
【0031】
また、TCON12は、水平同期信号を外部端子TMを介してゲートドライバ11に供給する。
【0032】
更に、TCON12は、同期信号SYCに同期したタイミングで、1フレーム表示期間毎に、例えば奇数フレームを表す論理レベル1の状態、及び偶数フレームを表す論理レベル0の状態が交互に切り替わる2値の信号を極性反転信号POLとして生成し、これをドライバ部13に供給する。
【0033】
ドライバ部13は、TCON12から送出された映像データ信号VD及び極性反転信号POLを受けると共に、外部端子TMを介して、半導体ICチップの外部から動作モード信号TES及びテスト用極性反転信号TPOLを受ける。
【0034】
尚、動作モード信号TESは、ソースドライバ10を通常動作させる通常モード、又は製品出荷前のテストを実施するテストモードを表す2値(論理レベル0又は1)信号である。例えば動作モード信号TESが論理レベル0を有する場合には通常モード、論理レベル1を有する場合にはテストモードを表すものとする。
【0035】
テスト用極性反転信号TPOLは、極性反転を促す信号であり、奇数フレームを表す論理レベル1の状態、又は偶数フレームを表す論理レベル0の状態を有する2値信号である。
【0036】
図2は、ドライバ部13の内部構成を示すブロック図である。
【0037】
図2に示すように、ドライバ部13は、データラッチ部131、DA変換部132、出力アンプ部133を含む。
【0038】
データラッチ部131は、映像データ信号VDに含まれるクロック信号に同期したタイミングで、データイネーブル信号に応じて映像データ信号VDに含まれる表示データ片の系列を取り込む。そして、データラッチ部131は、1水平走査期間分のn個の表示データ片を取り込む度に、夫々を表示データQ1~QnとしてDA変換部132に供給する。
【0039】
DA変換部132は、表示データQ1~Qnの各々を、夫々が表す輝度レベルに対応した電圧値を有する階調電圧に変換し、階調電圧A1~Anとして出力アンプ部133に供給する。尚、DA変換部132は、動作モード信号TESが通常モードを表す場合には、TCON12から供給された極性反転信号POLに従って、1フレーム表示期間毎に、各階調電圧A1~Anの極性を切り替える。一方、動作モード信号TESがテストモードを表す場合には、DA変換部132は、外部端子TMを介して供給されたテスト用極性反転信号TPOLに従って、各階調電圧A1~Anの極性を切り替える。
【0040】
出力アンプ部133は、階調電圧A1~Anを夫々個別に増幅して得られたn個の電圧を駆動電圧V1~Vnとして、夫々に対応した外部端子TMの各々を介して表示パネル20のソース線S1~Snに出力する。
【0041】
以下に、DA変換部132の内部の構成について説明する。
【0042】
図3は、DA変換部132の内部構成の一例を表すブロック図である。
【0043】
図3に示すように、DA変換部132は、セレクタSE1、及び表示データQ1~Qnに夫々対応して設けられた変換ブロックDE1~DEnを含む。
【0044】
セレクタSE1は、TCON12で生成された極性反転信号POLを入力端0で受ける。
【0045】
尚、TCON12は、例えばTFFやカウンタ等からなる極性反転信号生成回路121を含み、当該極性反転信号生成回路121で極性反転信号POLを生成する。すなわち、極性反転信号生成回路121は、外部端子を介して供給された同期信号SYCに同期して1フレーム期間毎に、論理レベル0及び1の状態を交互に繰り返す信号を極性反転を促す極性反転信号POLとして生成する。尚、極性反転信号生成回路121は、外部端子を介して供給されたリセット信号RSTに応じて自身の内部状態を初期化すると共に、極性反転信号POLの状態を論理レベル0及び1のうちの一方に初期化する。
【0046】
セレクタSE1は、動作モード信号TESが通常モードを表す場合には、極性反転信号POL及びテスト用極性反転信号TPOLのうちから極性反転信号POLを選択して出力する。一方、動作モード信号TESがテストモードを表す場合には、セレクタSE1は、極性反転信号POL及びテスト用極性反転信号TPOLのうちからテスト用極性反転信号TPOLを選択しこれを出力する。セレクタSE1から出力された極性反転信号POL又はテスト用極性反転信号TPOLは、変換ブロックDE1~DEnの各々に供給される。
【0047】
変換ブロックDE1~DEnの各々は、同一の内部構成、つまり正極DA変換回路DXP、負極DA変換回路DXN、及びセレクタSE2を含み、かかる構成により、夫々が受けた表示データQx(xは1~nの整数)を階調電圧Axに変換して出力する。
【0048】
すなわち、正極DA変換回路DXPは、表示データQxを、当該表示データQxにて示される輝度レベルに対応した正極性の電圧値を有する正極階調電圧GPに変換し、これをセレクタSE2に供給する。
【0049】
負極DA変換回路DXNは、表示データQxを、当該表示データQxにて示される輝度レベルに対応した負極性の電圧値を有する負極階調電圧GNに変換し、これをセレクタSE2に供給する。
【0050】
セレクタSE2は、セレクタSE1から出力された極性反転信号POL又はテスト用極性反転信号TPOLに基づき、正極階調電圧GP及び負極階調電圧GNのうちから一方を選択し、これを階調電圧Axとして出力する。例えば、セレクタSE2は、極性反転信号POL又はテスト用極性反転信号TPOLが奇数フレームを表す場合には正極階調電圧GPを選択し、偶数フレームを表す場合には負極階調電圧GNを選択し、選択した方を階調電圧Axとして出力する。
【0051】
よって、DA変換部132では、表示データQ1~Qnを階調電圧A1~Anに変換するにあたり、動作モード信号TESが通常モードを表す場合には、TCON12で生成された極性反転信号POLに従って、1フレーム表示期間毎に、階調電圧A1~An各々の極性を切り替える。
【0052】
一方、動作モード信号TESがテストモードを表す場合には、DA変換部132は、外部端子TMを介して入力されたテスト用極性反転信号TPOLに従って、階調電圧A1~An各々の極性を切り替える。
【0053】
よって、ソースドライバ10に対する製品出荷前の極性切替テスト時には、外部端子TMを介して、テストモードを表す動作モード信号TESを当該ソースドライバ10に供給する。
【0054】
これにより、TCON12で生成された極性反転信号POLに代わり、外部端子TMから入力されたテスト用極性反転信号TPOLによって駆動電圧V1~Vn各々の極性切替が為されるようになる。つまり、テスト用極性反転信号TPOLを用いることで、ソースドライバ10から出力される駆動電圧V1~Vn各々の極性を、テスト実行者の意図する極性にすることが可能となる。
【0055】
よって、テストの準備段階でソースドライバ10にリセットを掛けずとも、テスト実施者は、ソースドライバ10から出力されるであろう駆動電圧V1~Vn各々の期待値を特定することが可能となる。
【0056】
従って、ソースドライバ10によれば、当該期待値を特定する為に、テストの準備段階でリセットを掛け、引き続き各FF及びレジスタ群の再設定を行う必要があるソースドライバに比べて、テスト時間の短縮を図ることが可能となる。
ソースドライバ10Aは、単一又は複数の半導体ICチップに形成されており、この半導体ICチップに形成されている複数の外部端子TMを夫々介して、当該半導体ICチップの外部から、映像信号VS、同期信号(水平、垂直同期信号)SYC、及び動作モード信号TESを受ける。
ソースドライバ10Aは、ソースドライバ10と同様に、同期信号SYCに応じて、1水平走査期間毎のタイミングを表す水平同期信号を外部端子TMを介してゲートドライバ11に供給する。
更に、ソースドライバ10Aは、映像信号VS及び同期信号SYCに応じて、1水平走査期間毎に、各画素の輝度レベルに対応した電圧値を夫々有する駆動電圧V1~Vnを生成し、夫々を外部端子TMを介して表示パネル20のソース線S1~Snに供給する。
TCON12Aは、同期信号SYCに同期したタイミングで、1フレーム表示期間毎に、例えば奇数フレームを表す論理レベル1の状態、及び偶数フレームを表す論理レベル0の状態が交互に切り替わる2値の信号を、極性反転を促す極性反転信号POLとして生成し、これをドライバ部13Aに供給する。
また、TCON12Aは、映像信号VS及び同期信号SYCに基づき、各画素の輝度レベルを例えば8ビットで表す表示データ片の系列からなる表示データ信号、水平及び垂直同期信号、データイネーブル信号及びクロック信号等を含む映像データ信号VDをドライバ部13Aに供給する。また、TCON12Aは、水平同期信号を外部端子TMを介してゲートドライバ11に供給する。
更に、TCON12Aは、テスト用極性反転信号TPOLを論理レベル0又は1の状態に設定する為の入力操作を受け、この入力操作によって設定された論理レベル(0又は1)を有するテスト用極性反転信号TPOLを映像データ信号VD中に挿入する。
ドライバ部13Aは、TCON12Aから送出された、上記したような映像データ信号VD及び極性反転信号POLを受けると共に、半導体ICチップ外部から、外部端子TMを介して動作モード信号TESを受ける。
尚、動作モード信号TESは、ソースドライバ10Aを通常動作させる通常モード、又は製品出荷前のテストを実施するテストモードを表す2値(論理レベル0又は1)信号である。例えば動作モード信号TESが論理レベル0を有する場合には通常モード、論理レベル1を有する場合にはテストモードを表すものとする。
DA変換部132Aは、表示データQ1~Qnの各々を、夫々が表す輝度レベルに対応した電圧値を有する階調電圧に変換し、階調電圧A1~Anとして出力アンプ部133に供給する。尚、DA変換部132は、動作モード信号TESが通常モードを表す場合には、TCON12Aから供給された極性反転信号POLに従って、各階調電圧の極性をフレーム毎に切り替える。一方、動作モード信号TESがテストモードを表す場合には、DA変換部132Aは、映像データ信号VDに含まれるテスト用極性反転信号TPOLに従って、各階調電圧の極性を切り替える。
出力アンプ部133は、階調電圧A1~Anを夫々個別に増幅して得られたn個の電圧を駆動電圧V1~Vnとして、夫々に対応した外部端子TMの各々を介して表示パネル20のソース線S1~Snに出力する。
セレクタSE1は、動作モード信号TESが通常モードを表す場合には、極性反転信号POL及びテスト用極性反転信号TPOLのうちから極性反転信号POLを選択し、これを出力する。一方、動作モード信号TESがテストモードを表す場合には、セレクタSE1は、極性反転信号POL及びテスト用極性反転信号TPOLのうちからテスト用極性反転信号TPOLを選択し、これを出力する。セレクタSE1から出力された極性反転信号POL又はテスト用極性反転信号TPOLは、変換ブロックDE1~DEnの各々に供給される。
変換ブロックDE1~DEnの各々は、同一の内部構成、つまり正極DA変換回路DXP、負極DA変換回路DXN、及びセレクタSE2を含み、かかる構成により、夫々が受けた表示データQx(xは1~nの整数)を階調電圧Axに変換して出力する。
すなわち、正極DA変換回路DXPは、表示データQxを、当該表示データQxにて示される輝度レベルに対応した正極性の電圧値を有する正極階調電圧GPに変換し、これをセレクタSE2に供給する。
負極DA変換回路DXNは、表示データQxを、当該表示データQxにて示される輝度レベルに対応した負極性の電圧値を有する負極階調電圧GNに変換し、これをセレクタSE2に供給する。
セレクタSE2は、セレクタSE1から出力された極性反転信号POL又はテスト用極性反転信号TPOLに基づき、正極階調電圧GP及び負極階調電圧GNのうちから一方を選択し、これを階調電圧Axとして出力する。例えば、セレクタSE2は、極性反転信号POL又はテスト用極性反転信号TPOLが奇数フレームを表す場合には正極階調電圧GPを選択し、偶数フレームを表す場合には負極階調電圧GNを選択し、選択した方を階調電圧Axとして出力する。
上記した構成により、表示データQ1~Qnを階調電圧A1~Anに変換するにあたり、DA変換部132Aでは、動作モード信号TESが通常モードを表す場合には、TCON12Aで生成された極性反転信号POLによって1フレーム表示期間毎に、階調電圧A1~An各々の極性を切り替える。
一方、動作モード信号TESがテストモードを表す場合には、DA変換部132Aは、映像データ信号VDに含まれるテスト用極性反転信号TPOLに従って、階調電圧A1~An各々の極性を切り替える。
これにより、TCON12Aで生成された極性反転信号POLに代わり、映像データ信号VD(VPD)に含まれるテスト用極性反転信号TPOLに従って駆動電圧V1~Vn各々の極性切替が為されるようになる。つまり、テスト実行者の入力操作によって映像データ信号VD(VPD)に挿入されたテスト用極性反転信号TPOLにより、ソースドライバ10Aから出力される駆動電圧V1~Vn各々の極性を、テスト実行者の意図する極性とすることができる。
よって、テストの準備段階でソースドライバ10Aにリセットを掛けずとも、テスト実施者は、ソースドライバ10Aから出力されるであろう駆動電圧V1~Vn各々の期待値を特定することが可能となる。
従って、ソースドライバ10Aによれば、当該期待値を特定する為に、テスト準備段階でリセットを掛け、引き続き各FF及びレジスタ群の再設定を行う必要があるソースドライバに比べて、テスト時間の短縮を図ることが可能となる。
尚、上記実施例では、テスト用極性反転信号TPOLを外部端子から直接受ける、或いは映像データ信号に挿入しこれを映像データ信号中から抽出するようにしているが、動作モード信号TESが通常モードからテストモードを表す状態への遷移に応じて、任意の論理レベルを有するテスト用極性反転信号TPOLを生成するようにしても良い。
要するに、本発明に係る表示ドライバ(10、10A)としては、以下の極性反転信号生成回路、テストモード又は通常モードを表す動作モード信号(TES)を受ける第1の外部端子、変換部、第1のセレクタを含むものであれば良い。
変換部(132、132A)は、映像信号に基づく各画素の輝度レべルを表す第1~第n(nは2以上の整数)の表示データ片(Q1~Qn)を夫々が輝度レベルに対応した電圧値を有する第1~第nの階調電圧(A1~An)に変換して出力する。
第1のセレクタ(SE1)は、極性反転を促すテスト用極性反転信号(TPOL)及び極性反転信号(POL)を受け、動作モード信号が通常モードを表す場合には極性反転信号を選択して出力する一方、テストモードを表す場合にはテスト用極性反転信号を選択して出力する。ここで、変換部は、テスト用極性反転信号及び極性反転信号のうちで第1のセレクタから出力された方の信号に応じて、出力される第1~第nの階調電圧各々の電圧値の極性を反転させる。