(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041227
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】洗濯物用送風システムおよび風量制御方法
(51)【国際特許分類】
D06F 58/10 20060101AFI20230316BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20230316BHJP
F24F 7/06 20060101ALI20230316BHJP
D06F 58/30 20200101ALI20230316BHJP
D06F 58/38 20200101ALI20230316BHJP
【FI】
D06F58/10 Z
F24F7/007 B
F24F7/06 B
D06F58/30
D06F58/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148466
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】714006510
【氏名又は名称】株式会社マーベックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】西元 亜由子
(72)【発明者】
【氏名】木戸 稔人
【テーマコード(参考)】
3B167
3B168
3L056
3L058
【Fターム(参考)】
3B167AA40
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3B168JM02
3B168JM03
3L056BD01
3L056BD03
3L058BE08
(57)【要約】
【課題】洗濯物を室内干しする際の利便性を向上させ、かつ節電する。
【解決手段】洗濯物用送風システムは、対象部屋に設けられる送風機と、前記対象部屋の湿度の計測結果に基づく値と、他の部屋の湿度の計測結果に基づく値との比較結果に基づいて、前記送風機の風量を制御する制御部とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象部屋に設けられる送風機と、
前記対象部屋の湿度の計測結果に基づく値と、他の部屋の湿度の計測結果に基づく値との比較結果に基づいて、前記送風機の風量を制御する制御部とを備える、洗濯物用送風システム。
【請求項2】
前記洗濯物用送風システムは、さらに、
前記対象部屋および前記他の部屋の各々に設けられた、換気が可能な通気口を含む、請求項1に記載の洗濯物用送風システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記比較結果に基づいて、前記対象部屋において洗濯物の室内干しが行われているか否かを判定する室内干し判定処理を行い、洗濯物の室内干しが行われていると判定した場合、洗濯物の室内干しが行われていない場合と比べて、前記送風機の風量を大きい値に制御する、請求項1または請求項2に記載の洗濯物用送風システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記比較結果、および前記対象部屋の湿度の計測結果に基づく値の時系列変化に基づいて、前記室内干し判定処理を行う、請求項3に記載の洗濯物用送風システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記比較結果に基づいて、前記対象部屋において室内干しが行われた洗濯物が乾燥したか否かを判定する乾燥判定処理を行い、洗濯物が乾燥したと判定した場合、洗濯物の室内干しが行われている場合と比べて、前記送風機の風量を小さい値に制御する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の洗濯物用送風システム。
【請求項6】
対象部屋に設けられる送風機を備える洗濯物用送風システムにおける風量制御方法であって、
前記対象部屋の湿度の計測結果と、他の部屋の湿度の計測結果とを取得するステップと、
取得した前記対象部屋の湿度の計測結果に基づく値と、前記他の部屋の湿度の計測結果に基づく値とを比較するステップと、
比較結果に基づいて、前記送風機の風量を制御するステップとを含む、風量制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物用送風システムおよび風量制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、天候、花粉の飛散および黄砂などの影響により、洗濯物を室内干しする家庭が増えている。また、室内干しされた洗濯物を効果的に乾燥させるための技術が開発されている。たとえば、特許文献1(特開2016-214532号公報)には、室内干しされた洗濯物を省エネルギーで乾燥させることができる物干しシステムが開示されている。すなわち、物干しシステムは、居室と、内部に洗濯物を干す物干し部を有すると共に前記居室に隣接するように配置される物干し部屋と、前記居室と前記物干し部屋とを連通する吸気口と、前記物干し部屋と外部とを連通する排気口と、前記居室から前記吸気口を介して前記物干し部屋に空気を取り込むと共に、前記物干し部屋内の空気を前記排気口を介して前記外部へ排出する換気装置と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の物干しシステムでは、洗濯物を室内干した場合、ユーザの操作により物干しシステムを起動させる必要があり、より利便性の高い技術が望まれる。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、洗濯物を室内干しする際の利便性を向上させ、かつ節電することができる洗濯物用送風システムおよび風量制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる洗濯物用送風システムは、対象部屋に設けられる送風機と、前記対象部屋の湿度の計測結果に基づく値と、他の部屋の湿度の計測結果に基づく値との比較結果に基づいて、前記送風機の風量を制御する制御部とを備える。
【0007】
このように、たとえば、対象部屋の湿度と、他の部屋の湿度とを比較する構成により、当該対象部屋において洗濯物の室内干しが行われているか否か、および室内干しが行われている洗濯物が乾燥したか否かを容易かつ正確に判定し、判定結果に応じて自動的に、かつ適切な回転数で送風機の風量を制御することができる。また、ユーザによる送風機のスイッチの消し忘れ等による不要な電力消費を抑制することができる。したがって、洗濯物を室内干しする際の利便性を向上させ、かつ節電することができる。
【0008】
また、洗濯物用送風システムが、対象部屋のみの湿度の計測結果に基づく値を用いて、室内干しが行われているか否かを判定する構成であると仮定した場合、たとえば、雨天などが要因で湿度が上昇しているにもかかわらず、当該対象部屋に洗濯物が室内干しされていると誤判定する可能性がある。これに対して、上記のような比較を行う構成により、誤判定を防ぎ、送風機の風量のより適切な制御を行うことができる。
【0009】
(2)好ましくは、前記洗濯物用送風システムは、さらに、前記対象部屋および前記他の部屋の各々に設けられた、換気が可能な通気口を含む。
【0010】
このような構成により、室内干しされた洗濯物の乾燥に伴い、対象部屋と他の部屋との湿度が同程度になるため、当該対象部屋の湿度と、他の部屋の湿度とを比較することにより、当該対象部屋の洗濯物の乾燥具合を、容易に、かつより正確に判定することができる。
【0011】
(3)好ましくは、前記制御部は、前記比較結果に基づいて、前記対象部屋において洗濯物の室内干しが行われているか否かを判定する室内干し判定処理を行い、洗濯物の室内干しが行われていると判定した場合、洗濯物の室内干しが行われていない場合と比べて、前記送風機の風量を大きい値に制御する。
【0012】
このような構成により、室内干しが行われている対象部屋の通気性を良くして、洗濯物の乾きを早めることができるため、生乾き臭の発生を抑えたり、室内干しのための場所を確保する時間を短くしたりすることができる。また、室内干しが行われている対象部屋の通気性を良くすることにより、一度に多くの洗濯物を室内干しすることが可能であり、洗濯物の量の制約を緩和することができる。
【0013】
(4)より好ましくは、前記制御部は、前記比較結果、および前記対象部屋の湿度の計測結果に基づく値の時系列変化に基づいて、前記室内干し判定処理を行う。
【0014】
このような構成により、温湿度センサの一時的な誤動作などにより、対象部屋の湿度の計測結果が一時的に変化した場合においても、当該対象部屋において室内干しが行われていると誤判定することを防ぐことができる。
【0015】
(5)好ましくは、前記制御部は、前記比較結果に基づいて、前記対象部屋において室内干しが行われた洗濯物が乾燥したか否かを判定する乾燥判定処理を行い、洗濯物が乾燥したと判定した場合、洗濯物の室内干しが行われている場合と比べて、前記送風機の風量を小さい値に制御する。
【0016】
このような構成により、送風機の風量を適切に制御して、不要な電力消費を抑制することができる。
【0017】
(6)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わる風量制御方法は、対象部屋に設けられる送風機を備える洗濯物用送風システムにおける風量制御方法であって、前記対象部屋の湿度の計測結果と、他の部屋の湿度の計測結果とを取得するステップと、取得した前記対象部屋の湿度の計測結果に基づく値と、前記他の部屋の湿度の計測結果に基づく値とを比較するステップと、比較結果に基づいて、前記送風機の風量を制御するステップとを含む。
【0018】
このように、たとえば、対象部屋の湿度と、他の部屋の湿度とを比較する方法により、当該対象部屋において洗濯物の室内干しが行われているか否か、および室内干しが行われている洗濯物が乾燥したか否かを容易かつ正確に判定し、判定結果に応じて自動的に、かつ適切な回転数で送風機の風量を制御することができる。また、ユーザによる送風機のスイッチの消し忘れ等による不要な電力消費を抑制することができる。したがって、洗濯物を室内干しする際の利便性を向上させ、かつ節電することができる。
【0019】
また、送風制御方法が、対象部屋のみの湿度の計測結果に基づく値を用いて、室内干しが行われているか否かを判定する方法であると仮定した場合、たとえば、雨天などが要因で湿度が上昇しているにもかかわらず、当該対象部屋に洗濯物が室内干しされていると誤判定する可能性がある。これに対して、上記のような比較を行う方法により、誤判定を防ぎ、送風機の風量のより適切な制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、洗濯物を室内干しする際の利便性を向上させ、かつ節電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る洗濯物用送風システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る制御装置の構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る制御装置における制御部による、室内干し判定処理の具体例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る制御装置における制御部による、乾燥判定処理の具体例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る洗濯物用送風システムにおける制御装置の全体の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る洗濯物用送風システムにおける制御装置の制御部による室内干し判定処理の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る洗濯物用送風システムにおける制御装置の制御部による送風処理および乾燥判定処理の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る洗濯物用送風システムにおける制御装置の制御部および通知部による完了処理の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0023】
<構成および基本動作>
[洗濯物用送風システム]
図1は、本発明の実施の形態に係る洗濯物用送風システムの構成を示す図である。
【0024】
図1を参照して、洗濯物用送風システム201は、たとえば住宅などの建物内に設けられる。洗濯物用送風システム201は、制御装置101と、1または複数の換気装置102とを備える。
【0025】
洗濯物用送風システム201が設けられる建物内における各部屋Rには、送風機10と、温湿度センサ11と、CO2濃度センサ12とが設けられ、さらに、部屋Rの換気が可能な通気口が設けられている。
【0026】
図1では、一例として、建物に含まれる4つの部屋R1~R4と、4つの部屋R1~R4にそれぞれ対応する、4つの換気装置102A~102Dと、4つの温湿度センサ11A~11Dと、4つのCO2濃度センサ12A~12Dとを示している。各送風機10は、たとえば、
図1に示すように床下に設けられるが、部屋Rに設けられる扇風機などであってもよい。
【0027】
通気口は、給気口Sおよび排気口Eを含む。換気装置102は、送風機10、給気口Sおよび排気口Eにより構成される。給気口Sおよび排気口Eは、たとえば、洗濯物用送風システム201の製造者により施工される。なお、換気装置102は、送風機10を含まない構成であってもよい。
【0028】
図1に示す例では、換気装置102Aは、給気口S1と、排気口E1と、送風機10Aとを含む。換気装置102Bは、給気口S2と、排気口E2と、送風機10Bとを含む。換気装置102Cは、給気口S3と、排気口E3と、送風機10Cとを含む。換気装置102Dは、給気口S4と、排気口E4と、送風機10Dとを含む。
【0029】
また、
図1では、床下に設けられた給気路31、および天井に設けられた排気路32を示している。給気路31は、床下に設けられる構成に限らず、たとえば天井に設けられてもよい。また、排気路32は、天井に設けられる構成に限らず、たとえば床下に設けられてもよい。
【0030】
送風機10は、たとえば、ファンであり、送風用の羽根を含む。送風機10は、たとえば、各部屋Rの給気口S付近に設けられ、自己の羽根を回転させることにより、給気路31からの空気を給気口S経由で対応する部屋Rへ供給する。
【0031】
各部屋Rにおいては、給気路31からの空気が流入した場合、排気口Eを経由して、排気路32へ当該部屋Rの空気が排気される。これにより、換気装置102を用いた部屋Rの換気を行うことができる。
【0032】
各温湿度センサ11は、対応する部屋Rの温度および湿度を計測し、計測結果を示す温湿度情報を無線通信または有線通信によって制御装置101へ送信する。より詳細には、各温湿度センサ11は、たとえば、自己の識別情報、ならびに対応する部屋Rの温度および湿度の計測結果を示す温湿度情報を、1分周期で制御装置101へ送信する。
【0033】
各CO2濃度センサ12は、対応する部屋RのCO2濃度を計測し、計測結果を示すCO2濃度情報を無線通信または有線通信によって制御装置101へ送信する。より詳細には、各CO2濃度センサ12は、たとえば、自己の識別情報、および対応する部屋RのCO2濃度の計測結果を示すCO2濃度情報を、1分周期で制御装置101へ送信する。
【0034】
制御装置101は、ユーザにより図示しないリモコン等が操作されることにより、通常モードまたは室内干し自動運転モードの動作モードで動作する。
【0035】
より詳細には、たとえば、ユーザは、リモコン等を操作することにより、通常モードまたは室内干し自動運転モードを選択する。リモコン等は、ユーザによる選択を受け付けると、ユーザにより選択された動作モードで動作するように、制御装置101へ指示情報を送信する。
【0036】
制御装置101は、リモコン等からの指示情報を受信するまでの状態、または通常モードでの動作を指示する指示情報を受信した場合においては、たとえば、各送風機10の風量がゼロ、または小さい値となるように、各送風機10の風量を制御する通常モードで動作する。
【0037】
また、制御装置101は、室内干し自動運転モードでの動作を指示する指示情報を受信した場合、当該指示情報に従い、動作モードを通常モードから室内干し自動運転モードに切り替える。そして、制御装置101は、各温湿度センサ11からの温湿度情報、および各CO2濃度センサ12からのCO2濃度情報に基づいて、1または複数の対象部屋において洗濯物の室内干しが行われているか否かを判定する。
【0038】
対象部屋とは、換気装置102が設けられた1または複数の部屋Rである。
図1に示す例では、部屋R1~R4がいずれも対象部屋である。すなわち、制御装置101は、部屋R1~R4のうちの少なくともいずれか1つにおいて洗濯物の室内干しが行われているか否かを判定する。
【0039】
そして、制御装置101は、1つ以上の対象部屋において洗濯物の室内干しが行われていると判定した場合、室内干しが行われている対象部屋の通気性を良くして室内干しされた洗濯物を早期に乾燥させるため、当該対象部屋に対応する送風機10の風量を、室内干しが行われていない場合と比べて大きい値に制御する送風処理を行う。
【0040】
なお、給気口Sおよび排気口Eは、洗濯物用送風システム201の製造者により施工されるものに限らず、建物に予め形成された通気口、または部屋Rのドアもしくは窓等を開けることにより形成される隙間などであってもよい。
【0041】
[制御装置]
図2は、本発明の実施の形態に係る制御装置の構成を示す図である。
【0042】
図2を参照して、制御装置101は、受信部51と、制御部52と、記憶部53と、タイマ54と、通知部55とを含む。制御部52は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)およびDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサにより実現される。記憶部53は、たとえば不揮発性メモリである。
【0043】
受信部51は、各温湿度センサ11から送信された温湿度情報を受信し、受信した温湿度情報を、受信時刻と対応づけて記憶部53に保存する。また、受信部51は、各CO2濃度センサ12から送信されたCO2濃度情報を受信し、たとえば、受信したCO2濃度情報を、受信時刻と対応づけて記憶部53に保存する。
【0044】
また、受信部51は、リモコン等から、室内干し自動運転モードで動作する指示を示す指示情報を受信した場合、当該指示情報を制御部52へ出力する。
【0045】
制御部52は、受信部51から出力された、室内干し自動運転モードで動作する指示を示す指示情報を受けた場合、動作モードを通常モードから室内干し自動運転モードに切り替える。
【0046】
そして、制御部52は、たとえば、記憶部53に保存されている温湿度情報およびCO2濃度情報を定期的または不定期に確認し、これら温湿度情報およびCO2濃度情報に基づいて、室内干し判定処理を行う。
【0047】
より詳細には、制御部52は、対象部屋である部屋Rの湿度の計測結果に基づく値と、他の部屋Rの湿度の計測結果に基づく値とを比較し、比較結果と、対象部屋のCO2濃度とに基づいて、当該対象部屋において洗濯物の室内干しが行われているか否かを判定する室内干し判定処理を行う。
【0048】
湿度の計測結果に基づく値は、たとえば、計測された温度および相対湿度を用いて算出される絶対湿度である。なお、湿度の計測結果に基づく値は、計測された温度および相対湿度を用いて算出される絶対湿度に限定されず、たとえば、計測された相対湿度そのものであってもよい。この場合、温度および相対湿度の両方を計測する温湿度センサ11の代わりに、温度の計測を行わず、相対湿度のみを計測する湿度センサが各部屋Rに設けられてもよい。
【0049】
また、制御部52は、対象部屋である1または複数の部屋Rにおいて洗濯物の室内干しが行われていると判定した場合、室内干し動作を行う。すなわち、制御部52は、室内干し動作として、洗濯物の室内干しが行われている部屋Rに対応する送風機10の風量を、室内干しが行われていない場合と比べて大きい値に制御する送風処理を行う。
【0050】
制御部52は、動作モードが室内干し自動運転モードであり、かつ洗濯物の室内干しが行われていると判定するまでの間においては、各送風機10の風量がゼロ、または小さい値となるように、各送風機10の風量を制御する通常の動作(以下、単に「通常動作」と称する。)を行う。以下、制御部52のより詳細な動作について説明する。
【0051】
[室内干し判定処理]
図3は、本発明の実施の形態に係る制御装置における制御部による、室内干し判定処理の具体例を説明するための図である。
図3において、横軸は時間を示し、縦軸は絶対湿度を示す。
【0052】
図2および
図3を参照して、記憶部53には、たとえば、各部屋Rの識別情報と、各部屋Rに設けられた温湿度センサ11の識別情報との対応関係を示す第1対応テーブルが保存されている。
【0053】
また、記憶部53には、たとえば、各部屋Rの識別情報と、各部屋Rに設けられたCO2濃度センサ12の識別情報との対応関係を示す第2対応テーブルが保存されている。
【0054】
制御部52は、記憶部53に保存されている第1対応テーブル、および各温湿度センサ11からの温湿度情報を参照して、各部屋Rの湿度の計測結果に基づく値の時系列変化に基づいて、室内干し判定処理を行う。
【0055】
より詳細には、制御部52は、たとえば、記憶部53に保存されている温湿度情報の示す温度および湿度に基づいて、各部屋Rの絶対湿度を算出する。
図3において、グラフG1は部屋R1の絶対湿度の時系列変化を示し、グラフG2は部屋R2の絶対湿度の時系列変化を示し、グラフG3は部屋R3の絶対湿度の時系列変化を示し、グラフG4は部屋R4の絶対湿度の時系列変化を示す。また、
図3において、時刻t0,t1,t2,・・・,t8の各々の間隔は1分である。
【0056】
そして、制御部52は、絶対湿度が所定時間T1以上継続して上昇している部屋Rを特定する。所定時間T1は、たとえば5分である。具体的には、
図3のグラフG1に示すように、部屋R1の絶対湿度が時刻t3以降、5分間以上継続して上昇しているとする。この場合、制御部52は、
図3のグラフG1に基づいて部屋R1を特定する。そして、制御部52は、部屋R1において室内干しが行われていると第1仮判定する。
【0057】
また、制御部52は、記憶部53に保存されている第1対応テーブルおよび温湿度情報に基づいて、室内干しが行われていると第1仮判定した部屋Rの現在の絶対湿度と、他の部屋Rの現在の絶対湿度とを比較する。そして、制御部52は、第1仮判定した部屋Rの現在の絶対湿度と、他の部屋Rの現在の絶対湿度との大小関係に基づいて、第1仮判定した部屋Rにおいて室内干しが行われているか否かを仮判定する。
【0058】
より詳細には、制御部52は、たとえば、建物内における複数の部屋Rに対して、現在の絶対湿度が高い順に順位付けをする。そして、制御部52は、建物内における複数の部屋Rの各々の現在の絶対湿度のうち、第1仮判定した部屋Rの現在の絶対湿度が最も高いか否か、すなわち当該部屋Rの順位が1番であるか否かを確認する。部屋Rの現在の絶対湿度とは、たとえば、当該部屋Rに対応する温湿度センサ11からの温湿度情報であって、記憶部53に保存されている最新の温湿度情報の示す温度および湿度に基づいて算出される絶対湿度である。
【0059】
図3に示す例では、現在すなわち時刻t8において、部屋R1の絶対湿度が、他の部屋R2~R4の絶対湿度のいずれよりも大きい。この場合、制御部52は、部屋R1において室内干しが行われていると第2仮判定する。
【0060】
ここで、部屋Rに複数の人が存在していることが要因となって、当該部屋Rの絶対湿度が所定時間T1以上継続して上昇している可能性がある。このため、制御部52は、室内干しが行われていると第2仮判定した部屋Rが存在する場合、記憶部53に保存されている第2対応テーブルおよびCO2情報を参照して、当該部屋Rの現在のCO2濃度の計測結果に基づいて、当該部屋Rに複数の人が存在しているか否かを判定認する。
【0061】
部屋Rの現在のCO2濃度の計測結果とは、たとえば、当該部屋Rに対応するCO2濃度センサ12からのCO2濃度情報であって、記憶部53に保存されている最新のCO2濃度情報の示す計測結果である。
【0062】
より詳細には、制御部52は、第2仮判定した部屋Rの現在のCO2濃度の計測結果が所定値X1未満である場合、部屋Rに複数の人が存在していないと判定する。そして、制御部52は、当該部屋Rにおいて室内干しが行われていると本判定する。所定値X1は、たとえば800PPMである。
【0063】
そして、制御部52は、部屋Rにおいて室内干しが行われていると本判定した場合、室内干し動作、すなわち当該部屋Rに対応する送風機10の上述のような送風処理を行う。
【0064】
一方、制御部52は、第2仮判定した部屋Rの現在のCO2濃度の計測結果が所定値X1以上である場合、部屋Rに複数の人が存在していると判定し、通常動作を継続する。
【0065】
このように、第2仮判定した部屋Rに複数の人が存在しているか否かを判定する構成により、当該部屋Rの湿度の継続的な上昇の要因が、室内干しであるのか、または複数の人の存在であるのかを判別することができる。このため、当該部屋Rにおいて室内干しが行われているか否かの判定をより正確に行うことができる。
【0066】
なお、制御部52は、上述した方法による室内干し判定処理を行う構成に限定されない。たとえば、制御部52は、CO2濃度の計測結果に基づいて、部屋Rに複数の人が存在しているか否かの判定を行わない構成であってもよい。
【0067】
この場合、制御部52は、たとえば、第1仮判定した部屋Rの現在の絶対湿度が、建物内における各部屋Rの現在の絶対湿度の中で最も高く、かつ建物内における各部屋Rの現在の絶対湿度の中で2番目に高い値との差が所定値以上である場合、第1仮判定した部屋Rにおいて室内干しが行われていると本判定する。
【0068】
[送風処理]
再び
図2を参照して、制御部52は、部屋Rにおいて室内干しが行われていると本判定すると、たとえば、本判定した部屋Rに人が一人以上存在しているか否かを確認する。
【0069】
より詳細には、制御部52は、記憶部53に保存されている第2対応テーブルおよびCO2濃度情報を参照して、本判定した部屋Rの現在のCO2濃度の計測結果を確認する。そして、制御部52は、当該部屋Rの現在のCO2濃度の計測結果が所定値X2未満である場合、当該部屋Rに人が存在していないと判定する。所定値X2は、たとえば650PPMである。
【0070】
この場合、制御部52は、当該部屋Rに対応する送風機10の風量が所定値Faとなるように、当該送風機10の羽根の回転数を制御する。所定値Faは、当該部屋Rにおいて室内干しが行われていない場合の当該送風機10の風量と比べて大きい値である。
【0071】
一方、制御部52は、当該部屋Rの現在のCO2濃度の計測結果が所定値X2以上である場合、当該部屋Rに人が一人以上存在していると判定する。そして、制御部52、当該部屋Rに対応する送風機10の風量が所定値Fbとなるように、当該送風機10の羽根の回転数を制御する。所定値Fbは、当該部屋Rにおいて室内干しが行われていない場合の当該送風機10の風量と比べて大きい値であり、かつ所定値Faよりも小さい値である。
【0072】
制御部52は、たとえば、送風機10の風量が所定値Faまたは所定値Fbとなるように制御を行う場合、当該送風機10の制御前の風量(以下、単に「元の風量」とも称する。)を記憶部53に保存する。
【0073】
なお、制御部52は、本判定した部屋Rに人が一人以上存在しているか否かの確認を行わない構成であってもよい。この場合、制御部52は、送風処理において、たとえば、当該部屋Rに対応する送風機10の風量が所定値Faとなるように、当該送風機10の羽根の回転数を制御する。
【0074】
[乾燥判定処理]
図1に示すように、各部屋Rに換気装置102が設けられていることにより、ある部屋Rにおいて室内干しが行われた洗濯物が乾燥するに伴い、当該部屋Rの湿度と他の部屋Rの湿度とは徐々に同等になる。
【0075】
このため、制御部52は、部屋Rにおいて室内干しが行われていると本判定した後、記憶部53に保存されている複数の温湿度情報を定期的または不定期に参照して、これら複数の温湿度情報に基づいて、当該部屋Rの絶対湿度と、他の部屋Rの絶対湿度とを比較する。そして、制御部52は、比較結果に基づいて、当該部屋Rにおける洗濯物が乾燥したか否かを判定する乾燥判定処理を行う。
【0076】
図4は、本発明の実施の形態に係る制御装置における制御部による、乾燥判定処理の具体例を説明するための図である。
図4において、横軸は時間を示し、縦軸は絶対湿度を示す。
【0077】
図4を参照して、制御部52は、時刻t8において、部屋R1で室内干しが行われていると本判定したとする。この場合、制御部52は、記憶部53に保存されている第2対応テーブルおよび複数の温湿度情報に基づいて、部屋R1の絶対湿度と、他の部屋R2~R4の各々の絶対湿度とを比較する。そして、部屋R1の現在の絶対湿度と、他の部屋Rの現在の絶対湿度との大小関係に基づいて、部屋R1における洗濯物が乾燥したか否かを判定する。
【0078】
より詳細には、制御部52は、たとえば、時刻t8以降、3分ごとの時刻t11,t14,t17,・・・の各時刻における各部屋Rの絶対湿度を参照して、各部屋Rに対して、絶対湿度が高い順に順位付けをする。
【0079】
そして、制御部52は、同一の時刻において、室内干しが行われている部屋R1の絶対湿度H1と、他の部屋R2~R4のうち絶対湿度が最も低い部屋R、すなわち順位が4番である部屋Rの絶対湿度Hminとが略等しい場合、具体的には、以下の式(1)の関係を満たす場合、部屋R1において室内干しされた洗濯物が乾燥したと判定する。式(1)において、αは所定のマージンであり、たとえば0.05である。
H1<Hmin×(1+α) ・・・(1)
【0080】
図4に示す例では、時刻t14において、部屋R1の絶対湿度H1は12.65g/m^3(立方メートル)であり、湿度が最も低い部屋R3の絶対湿度H3(=Hmin)は11.50g/m^3であるため、式(1)の関係を満たさない。一方、時刻t17において、部屋R1の絶対湿度H1は12.19g/m^3であり、湿度が最も低い部屋R3の絶対湿度H3(=Hmin)は11.73g/m^3であるため、式(1)の関係を満たす。このため、制御部52は、時刻t17において、部屋R1において室内干しされた洗濯物が乾燥したと判定する。
【0081】
なお、制御部52は、式(1)を用いる代わりに、たとえば、室内干しが行われている部屋R1の絶対湿度H1と、建物内におけるすべての部屋Rの絶対湿度の平均値Haveとが略等しい場合、部屋R1において室内干しされた洗濯物が乾燥したと判定してもよい。
【0082】
たとえば、制御部52は、同一の時刻において、部屋R1の絶対湿度H1と、すべての部屋Rの絶対湿度の平均値Haveとが、以下の式(2)の関係を満たす場合、絶対湿度H1と絶対湿度の平均値Haveとが同程度であり、部屋R1において室内干しされた洗濯物が乾燥したと判定する。なお、式(2)において、βは所定のマージンであり、たとえば0.03である。
H1<Hmin×(1+β) ・・・(2)
【0083】
また、制御部52は、式(1)および式(2)の少なくともいずれか一方が満たされる場合に、部屋R1において室内干しされた洗濯物が乾燥したと判定する構成であってもよい。
【0084】
[完了処理]
制御部52は、部屋Rにおいて室内干しされた洗濯物が乾燥したと判定した場合、たとえば、乾燥したと判定したタイミングから所定時間T2が経過した後、当該部屋Rに対応する送風機10の風量を、洗濯物の室内干しが行われている場合と比べて小さい値に制御する完了処理を行う。所定時間T2は、たとえば15分である。
【0085】
より詳細には、制御部52は、完了処理において、たとえば、室内干し動作から通常動作に戻し、当該送風機10の風量が、記憶部53に保存されている元の風量となるように、当該送風機10の羽根の回転数を制御する。
【0086】
なお、制御部52は、室内干しされた洗濯物が乾燥したか否かの判定結果に関わらず、室内干し動作を所定時間T3継続した場合、室内干し動作から通常動作に戻す構成であってもよい。所定時間T3は、たとえば、通気性の良い部屋Rにおいて洗濯物が乾燥するのに十分な時間である5時間である。
【0087】
具体的には、制御部52は、室内干し動作を開始する際に、
図2に示すタイマ54をスタートさせる。そして、制御部52は、タイマ54のスタートから所定時間T3が経過した場合、室内干しが行われた部屋Rに対応する送風機10の風量が元の風量となるように、当該送風機10の羽根の回転数を制御する。
【0088】
このような構成により、たとえば、室内干しが行われた部屋Rに対応する温湿度センサ11に不具合が生じた場合などであっても、室内干し動作が所定時間T3継続した場合に、室内干し動作から通常動作に自動的に戻るため、不要な電力消費を抑制することができる。
【0089】
また、ユーザは、リモコン等を操作することにより、室内干し自動運転モードの終了を選択することができる。この場合、リモコン等は、ユーザによる選択を受け付けると、室内干し自動運転モードの終了の指示を示す指示情報を制御装置101へ送信する。
【0090】
制御装置101における受信部51は、リモコン等から送信された指示情報を受信すると、当該指示情報を制御部52へ出力する。
【0091】
制御部52は、室内干し自動運転モードの終了指示を示す指示情報を受信部51から受けると、動作モードを室内干し自動運転モードから通常モードに戻す。そして、制御部52は、室内干しが行われていた部屋Rに対応する送風機10の風量が元の風量となるように、当該送風機10の羽根の回転数を制御して、通常動作を行う。
【0092】
[ユーザへの通知]
制御部52は、動作モードの切り替えを行った場合、現在の動作が室内干し動作または通常動作であることを示す動作情報を、
図2に示す通知部55へ出力する。
【0093】
通知部55は、制御部52から出力された動作情報を受けると、たとえば、当該動作情報に基づいて、制御装置101における図示しない表示部等に、現在の動作を表示する。
【0094】
また、通知部55は、動作が室内干し動作から通常動作に戻された旨の動作情報を受けた場合、たとえば、ユーザの端末装置等に、室内干し動作が終了した旨の終了情報を送信してもよい。
【0095】
このとき、通知部55は、室内干し動作が終了した理由、たとえば、洗濯物が乾燥したこと、室内干し動作が所定時間T3継続したこと、または室内干し自動運電モードの終了を指示する指示情報を受信したこと等を、終了情報に含めて送信してもよい。
【0096】
なお、制御部52は、上述した室内干し判定処理および乾燥判定処理のいずれか一方を行わない構成であってもよい。
【0097】
また、制御装置101は、室内干し自動運転モードでの動作を指示する指示情報、および室内干し自動運転モードの終了を指示する指示情報を受け付ける機能を具備しない構成であってもよい。
【0098】
<動作の流れ>
本発明の実施の形態に係る制御装置は、記憶部を含むコンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを当該記憶部から読み出して実行する。この装置のプログラムは、外部からインストールすることができる。この装置のプログラムは、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0099】
[全体の動作の流れ]
図5は、本発明の実施の形態に係る洗濯物用送風システムにおける制御装置の全体の動作の流れを示すフローチャートである。制御装置101は、
図5に示すフローチャートのスタート時において、通常モードで動作しているとする。
【0100】
図5を参照して、まず、受信部51は、各温湿度センサ11からの温湿度情報、および各CO2濃度センサ12からのCO2濃度情報を受信し、受信した複数の温湿度情報および複数のCO2濃度情報を記憶部53に保存する(ステップS10)。受信部51は、ステップS10の動作を、以下の各ステップの動作と並行して、たとえば1分ごとに行う。
【0101】
次に、制御部52は、たとえば、定期的または不定期に、室内干し自動運転モードでの動作を指示する指示情報を受信部51経由で受信したか否かを確認することにより、ユーザにより室内干し自動運転モードが選択されたか否かを確認する(ステップS11)。
【0102】
次に、制御部52は、室内干し自動運転モードが選択された場合(ステップS11において「YES」)、対象部屋において洗濯物の室内干しが行われているか否かを判定する室内干し判定処理を行う(ステップS12)。
【0103】
次に、制御部52は、室内干し判定処理において、洗濯物の室内干しが行われていると判定したとする。この場合、制御部52は、洗濯物の室内干しが行われている部屋Rに対応する送風機10の風量の制御等を含む送風処理、および洗濯物が乾燥したか否かを判定する乾燥判定処理を行う(ステップS13)。
【0104】
次に、制御部52は、室内干しされた洗濯物が乾燥したなどの理由により送風処理を完了した場合、ステップS13において風量を制御した送風機10の風量を元の風量に戻す等の処理を含む完了処理を行う(ステップS14)。そして、制御部52は、ステップS11以降の動作を再び行う。
【0105】
一方、制御部52は、室内干し自動運転モードが選択されていない場合(ステップS11において「NO」)、選択されるまで通常モードで動作する(ステップS15)。
【0106】
[室内干し判定処理の流れ]
図6は、本発明の実施の形態に係る洗濯物用送風システムにおける制御装置の制御部による室内干し判定処理の動作の流れを示すフローチャートである。
図6は、
図5に示す室内干し判定処理(ステップS12)の詳細を示している。
【0107】
図6を参照して、まず、制御部52は、たとえば、記憶部53に保存されている第1対応テーブル、および各温湿度センサ11からの1分ごとの温湿度情報を参照して(ステップS21)、絶対湿度が所定時間T1以上継続して上昇している部屋Rが存在するか否かを確認する(ステップS22)。
【0108】
次に、制御部52は、湿度が所定時間T1以上継続して上昇している部屋Rが存在する場合(ステップS22において「YES」)、当該部屋Rにおいて室内干しが行われていると第1仮判定し、第1仮判定した部屋Rの現在の絶対湿度と、他の部屋Rの現在の絶対湿度とを比較する(ステップS23)。
【0109】
次に、制御部52は、第1仮判定した部屋Rの現在の絶対湿度と、他の部屋Rの現在の絶対湿度との比較により、たとえば、建物内における複数の部屋Rの各々の現在の絶対湿度のうち、第1仮判定した部屋Rの現在の絶対湿度が最も高いことを確認したとする(ステップS23において「YES」)。
【0110】
この場合、制御部52は、当該部屋Rにおいて室内干しが行われていると第2仮判定し、記憶部53に保存されている第2対応テーブルおよびCO2情報に基づいて、第2仮判定した部屋Rの現在のCO2濃度が所定値X1以上であるか否かを確認する(ステップS24)。
【0111】
次に、制御部52は、第2仮判定した部屋Rの現在のCO2濃度が所定値X1未満である場合(ステップS24において「NO」)、当該部屋Rにおいて室内干しが行われていると本判定する(ステップS25)。そして、制御部52は、室内干し判定処理を終了し、
図5に示すステップS13以降の動作を行う。
【0112】
一方、制御部52は、絶対湿度が所定時間T1以上継続して上昇している部屋Rが存在しない場合(ステップS22において「NO」)、建物内における複数の部屋Rの各々の現在の絶対湿度のうち、第1仮判定した部屋Rの現在の絶対湿度が最も高い値ではない場合(ステップS23において「NO」)、または第2仮判定した部屋Rの現在のCO2濃度が所定値X1以上である場合(ステップS24において「YES」)、洗濯物の室内干しは行われていないと判定する(ステップS26)。そして、制御部52は、
図5に示すように、通常動作を行い(ステップS15)、ステップS11以降の動作を行う。
【0113】
[送風処理および乾燥判定処理の流れ]
図7は、本発明の実施の形態に係る洗濯物用送風システムにおける制御装置の制御部による送風処理および乾燥判定処理の動作の流れを示すフローチャートである。
図7は、
図5に示す送風処理および乾燥判定処理(ステップS13)の詳細を示している。
【0114】
図7を参照して、まず、制御部52は、室内干し判定処理において、室内干しが行われていると本判定した部屋Rに対応する送風機10の現在の風量、すなわち元の風量を記憶部53に保存する(ステップS31)。
【0115】
次に、制御部52は、室内干し動作を行うことを示す動作情報を通知部55へ出力し、通知部55は、制御部52からの動作情報に基づいて、制御装置101における表示部等に、現在の動作が室内干し動作であることを表示する(ステップS32)。
【0116】
次に、制御部52は、タイマ54をスタートさせる(ステップS33)。
【0117】
次に、制御部52は、記憶部53に保存されている第2対応テーブルおよびCO2濃度情報に基づいて、本判定した部屋Rの現在のCO2濃度が所定値X2以上であるか否かを確認する(ステップS34)。
【0118】
次に、制御部52は、当該部屋Rの現在のCO2濃度が所定値X2未満である場合(ステップS34において「NO」)、当該部屋Rに人が存在していないと判定し、当該部屋Rnに対応する送風機10の風量が所定値Faとなるように、当該送風機10の羽根の回転数を制御する室内干し動作を行う(ステップS35)。
【0119】
一方、制御部52は、当該部屋Rの現在のCO2濃度が所定値X2以上である場合(ステップS34において「YES」)、当該部屋Rに人が一人以上存在していると判定し、当該部屋Rnに対応する送風機10の風量が所定値Fbとなるように、当該送風機10の羽根の回転数を制御する室内干し動作を行う(ステップS36)。
【0120】
次に、制御部52は、所定時間T4待機する。所定時間T4は、たとえば3分である(ステップS37)。
【0121】
次に、制御部52は、記憶部53に保存されている第1対応テーブルおよび複数の温湿度情報に基づいて、たとえば、3分ごとの各部屋Rの絶対湿度を確認する(ステップS38)。
【0122】
次に、制御部52は、たとえば、同一の時刻において、室内干しが行われていると本判定した部屋Rの絶対湿度Hと、他の複数の部屋Rのうち絶対湿度が最も低い部屋Rの絶対湿度Hminとを比較し、本判定した部屋Rの絶対湿度Hと、湿度が最も低い部屋Rの絶対湿度Hminとが同程度であるか否かを確認する(ステップS39)。
【0123】
次に、制御部52は、本判定した部屋Rの絶対湿度Hと、絶対湿度が最も低い部屋Rの絶対湿度Hminとが同程度である場合(ステップS39において「YES」)、当該部屋Rにおいて室内干しされた洗濯物が乾燥したと判定する(ステップS40)。
【0124】
次に、制御部52は、たとえば15分間待機して(ステップS41)、送風処理および乾燥判定処理を終了し、
図5に示すステップS14の動作を行う。
【0125】
一方、制御部52は、本判定した部屋Rの湿度Hと、湿度が最も低い部屋Rの湿度Hminとが同程度ではない場合(ステップS39において「NO」)、当該部屋Rにおいて室内干しされた洗濯物は乾燥していないと判定する(ステップS42)。
【0126】
次に、制御部52は、タイマ54のスタートから所定時間T3、ここでは5時間が経過したか否かを確認する(ステップS43)。
【0127】
次に、制御部52は、タイマ54のスタートから5時間が経過した場合(ステップS43において「YES」)、送風処理および乾燥判定処理を終了し、
図5に示すステップS14の動作を行う。
【0128】
一方、制御部52は、タイマ54のスタートから5時間が経過していない場合(ステップS43において「NO」)、ステップS34以降の動作を再び行う。
【0129】
また、制御部52は、室内干し自動運転モードのユーザによる終了指示を示す指示情報を受信部51経由で受信した場合(ステップS44)、送風処理および乾燥判定処理を終了し、
図5に示すステップS14の動作を行う。
【0130】
なお、送風機10の元の風量の保存(ステップS31)は、風量を所定値Faまたは所定値Fbとする制御(ステップS35,S36)の前であれば、いずれのタイミングで行われてもよい。
【0131】
また、タイマ54のスタート(ステップS33)は、対応する送風機の元の風量の保存(ステップS31)より前に行われてもよいし、ステップS31からステップS37までの間のいずれかのタイミングで行われてもよい。
【0132】
[完了処理の流れ]
図8は、本発明の実施の形態に係る洗濯物用送風システムにおける制御装置の制御部および通知部による完了処理の動作の流れを示すフローチャートである。
図8は、
図5に示す完了処理(ステップS14)の詳細を示している。
【0133】
図8を参照して、まず、制御部52は、タイマ54をオフにする(ステップS51)。
【0134】
次に、制御部52は、
図7に示すステップS35またはステップS36において風量を制御した送風機10の風量を、記憶部53に保存されている元の風量に戻す制御を行い(ステップS52)、通常動作を開始する(ステップS53)。
【0135】
次に、制御部52は、現在の動作が通常動作であることを示す動作情報を通知部55へ出力する。通知部55は、制御部52からの動作情報に基づいて、制御装置101における表示部等に、現在の動作が通常動作であることを表示する(ステップS54)。
【0136】
次に、通知部55は、ユーザの端末装置等に、室内干し運転が終了した旨の通知を送信する(ステップS55)。そして、制御部52および通知部55は、完了処理を終了する。
【0137】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0138】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
対象部屋に設けられる送風機と、
前記対象部屋の湿度の計測結果に基づく値と、他の部屋の湿度の計測結果に基づく値との比較結果に基づいて、前記送風機の風量を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記対象部屋および前記他の部屋を含む建物内における複数の部屋に対して、湿度の計測結果に基づく値が高い順に順位付けを行い、前記対象部屋の湿度の計測結果に基づく値と、特定の順位の部屋の湿度の計測結果に基づく値とに基づいて、前記対象部屋において室内干しが行われているか否かの判定、および前記対象部屋において室内干しが行われた洗濯物が乾燥したか否かの判定の少なくともいずれか一方を行い、
前記各部屋には、部屋の換気を行うことが可能な換気装置が設けられている、洗濯物用送風システム。
【符号の説明】
【0139】
10,10A~10D 送風機
11,11A~11D 温湿度センサ
12,12A~12D CO2濃度センサ
31 給気路
32 排気路
51 受信部
52 制御部
53 記憶部
54 タイマ
55 通知部
101 制御装置
102,102A~102D 換気装置
E,E1~E4 排気口
R,R1~R4 部屋
S,S1~S4 給気口