(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041231
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】発光装置、プロジェクター、およびディスプレイ
(51)【国際特許分類】
H01S 5/11 20210101AFI20230316BHJP
【FI】
H01S5/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148472
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】502350504
【氏名又は名称】学校法人上智学院
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100148323
【弁理士】
【氏名又は名称】川▲崎▼ 通
(74)【代理人】
【識別番号】100168860
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 充史
(72)【発明者】
【氏名】次六 寛明
(72)【発明者】
【氏名】野田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】岸野 克巳
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173AB52
5F173AB90
5F173AC03
5F173AC70
5F173AF12
5F173AH22
5F173AK22
5F173AP05
5F173AP09
5F173AP13
5F173AR61
(57)【要約】
【課題】第1柱状部と配線との間にリーク電流が流れる可能性を小さくすることができる発光装置を提供する。
【解決手段】基板と、前記基板に設けられた複数の第1柱状部と、前記基板に設けられ、前記基板の法線方向からみて前記複数の第1柱状部を囲む複数の第2柱状部と、前記複数の第1柱状部に接続された第1半導体層と、前記第1半導体層および前記複数の第2柱状部を覆う絶縁層と、前記第1半導体層と電気的に接続された配線と、を有し、前記複数の第1柱状部の各々、および前記複数の第2柱状部の各々は、n型の第2半導体層と、p型の第3半導体層と、u型の第4半導体層と、を有し、前記複数の第1柱状部の各々における前記第4半導体層は、電流が注入されて発光し、前記複数の第2柱状部の各々における前記第4半導体層には、電流が注入されず、前記法線方向からみて、前記配線は、前記複数の第2柱状部の少なくとも1つと重なっている、発光装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に設けられた複数の第1柱状部と、
前記基板に設けられ、前記基板の法線方向からみて前記複数の第1柱状部を囲む複数の第2柱状部と、
前記複数の第1柱状部の前記基板とは反対側に設けられ、前記複数の第1柱状部に接続された第1半導体層と、
前記第1半導体層および前記複数の第2柱状部を覆う絶縁層と、
前記絶縁層の前記基板とは反対側に設けられ、前記第1半導体層と電気的に接続された配線と、
を有し、
前記複数の第1柱状部の各々、および前記複数の第2柱状部の各々は、
n型の第2半導体層と、
p型の第3半導体層と、
前記第2半導体層と前記第3半導体層との間に設けられたu型の第4半導体層と、
を有し、
前記複数の第1柱状部の各々における前記第4半導体層は、電流が注入されて発光し、
前記複数の第2柱状部の各々における前記第4半導体層には、電流が注入されず、
前記法線方向からみて、前記配線は、前記複数の第2柱状部の少なくとも1つと重なっている、発光装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の第2柱状部の前記基板とは反対側に設けられ、前記複数の第2柱状部に接続された第5半導体層を有し、
前記第5半導体層は、前記第1半導体層と電気的に分離している、発光装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第5半導体層の厚さは、前記第1半導体層の厚さと同じであり、
前記第5半導体層の材質は、前記第1半導体層の材質と同じである、発光装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
前記第1半導体層の前記基板とは反対側に設けられた電極を有し、
前記配線は、前記絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して、前記電極と接続されている、発光装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記法線方向からみて、前記電極は、前記第1半導体層と完全に重なっている、発光装置。
【請求項6】
請求項4において、
前記法線方向からみて、前記電極は、前記第1半導体層の外縁の内側に設けられ、前記外縁と重なっていない、発光装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光装置を有する、プロジェクター。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発光装置を有する、ディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、プロジェクター、およびディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザーは、高輝度の次世代光源として期待されている。特に、ナノコラムを適用した半導体レーザーは、ナノコラムによるフォトニック結晶の効果によって、狭放射角で高出力の発光が実現できると期待されている。
【0003】
例えば特許文献1には、ナノワイヤーを成長させる段階と、ナノワイヤーの自由端を覆うようにカプセル層を形成する段階と、カプセル層上に第2電極を形成する段階と、第2電極をマスクする段階と、マスクされていない第2電極、カプセル層、およびナノワイヤーをエッチングすることによって、基本発光領域の個別化を行う段階と、を含む発光デバイスの製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような発光デバイスでは、第2電極と接続する配線を引き回す場合、配線と、基本発光領域のナノワイヤーと、の接触を防ぐため、基本発光領域を覆う絶縁層を形成する。しかしながら、特許文献1では、隣り合う基本発光領域の間にナノワイヤーが除去された部分が存在するため、当該部分と基本発光領域との間に段差が生じる。段差が生じると、絶縁層の付きまわりが悪くなり、配線と、基本発光領域のナノワイヤーと、の間にリーク電流が流れてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る発光装置の一態様は、
基板と、
前記基板に設けられた複数の第1柱状部と、
前記基板に設けられ、前記基板の法線方向からみて前記複数の第1柱状部を囲む複数の第2柱状部と、
前記複数の第1柱状部の前記基板とは反対側に設けられ、前記複数の第1柱状部に接続された第1半導体層と、
前記第1半導体層および前記複数の第2柱状部を覆う絶縁層と、
前記絶縁層の前記基板とは反対側に設けられ、前記第1半導体層と電気的に接続された配線と、
を有し、
前記複数の第1柱状部の各々、および前記複数の第2柱状部の各々は、
n型の第2半導体層と、
p型の第3半導体層と、
前記第2半導体層と前記第3半導体層との間に設けられたu型の第4半導体層と、
を有し、
前記複数の第1柱状部の各々における前記第4半導体層は、電流が注入されて発光し、
前記複数の第2柱状部の各々における前記第4半導体層には、電流が注入されず、
前記法線方向からみて、前記配線は、前記複数の第2柱状部の少なくとも1つと重なっ
ている。
【0007】
本発明に係るプロジェクターの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【0008】
本発明に係るディスプレイの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【
図2】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図3】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図4】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図5】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図6】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【
図7】第1参考例に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【
図8】第1参考例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図9】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【
図10】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図11】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図12】第2参考例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図13】第3実施形態に係る発光装置を模式的に示す平面図。
【
図14】第3実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【
図15】第4実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【
図16】第5実施形態に係るディスプレイを模式的に示す平面図。
【
図17】第5実施形態に係るディスプレイを模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0011】
1. 第1実施形態
1.1. 発光装置
まず、第1実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す平面図である。
図2は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す
図1のII-II線断面図である。
図3は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図であって、
図2の領域A1の拡大図である。
図4は、第1実施形態に係る発光装置100を模式的に示す
図1のIV-IV線断面図である。なお、
図1~
図4では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を示している。
【0012】
発光装置100は、
図1~
図4に示すように、例えば、基板10と、積層体20と、第1半導体層40と、第1電極50と、第2電極52と、絶縁層60と、第1配線70と、第2配線72と、パッド80と、を有している。
【0013】
基板10は、例えば、Si基板、GaN基板、サファイア基板、SiC基板などである。
【0014】
積層体20は、基板10に設けられている。図示の例では、積層体20は、基板10上に設けられている。積層体20は、例えば、バッファー層22と、複数の柱状部30と、を有している。柱状部30は、n型の第2半導体層(以下、「n型半導体層32」ともいう)と、p型の第3半導体層(以下、「p型半導体層36」ともいう)と、u型の第4半導体層(以下、「u型半導体層34」ともいう)と、を有している。なお、便宜上、
図2では、柱状部30を簡略化して図示している。また、
図3では、柱状部30、第1半導体層40、および第2電極52以外の部材の図示を省略している。
【0015】
本明細書では、積層体20の積層方向(以下、単に「積層方向」ともいう)において、u型半導体層34を基準とした場合、u型半導体層34からp型半導体層36に向かう方向を「上」とし、u型半導体層34からn型半導体層32に向かう方向を「下」として説明する。また、積層方向と直交する方向を「面内方向」ともいう。また、「積層体20の積層方向」とは、n型半導体層32とu型半導体層34との積層方向のことであり、基板10の法線N方向である。図示の例では、積層方向は、Z軸方向である。
【0016】
バッファー層22は、基板10上に設けられている。バッファー層22は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層である。図示はしないが、バッファー層22上には、柱状部30を成長させるためのマスク層が設けられている。マスク層は、例えば、酸化シリコン層、チタン層、酸化チタン層、酸化アルミニウム層などである。
【0017】
柱状部30は、バッファー層22上に設けられている。柱状部30は、バッファー層22から上方に突出した柱状の形状を有している。言い換えれば、柱状部30は、バッファー層22を介して基板10から上方に突出している。柱状部30は、例えば、ナノコラム、ナノワイヤー、ナノロッド、ナノピラーとも呼ばれる。柱状部30の平面形状は、例えば、六角形などの多角形、円である。
【0018】
柱状部30の径は、例えば、50nm以上500nm以下である。柱状部30の径を500nm以下とすることによって、高品質な結晶のu型半導体層34を得ることができ、かつ、u型半導体層34に内在する歪を低減することができる。これにより、u型半導体層34で発生する光を高い効率で増幅することができる。
【0019】
なお、「柱状部の径」とは、柱状部30の平面形状が円の場合は、直径であり、柱状部30の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の直径である。例えば、柱状部30の径は、柱状部30の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の直径であり、柱状部30の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の直径である。
【0020】
柱状部30は、複数設けられている。隣り合う柱状部30の間隔は、例えば、1nm以上500nm以下である。複数の柱状部30は、積層方向からみて、所定の方向に所定のピッチで配列されている。複数の柱状部30は、例えば、三角格子状、正方格子状に配置されている。複数の柱状部30は、フォトニック結晶の効果を発現することができる。
【0021】
なお、「柱状部のピッチ」とは、所定の方向に沿って隣り合う柱状部30の中心間の距離である。「柱状部の中心」とは、柱状部30の平面形状が円の場合は、該円の中心であり、柱状部30の平面形状が円ではない形状の場合は、最小包含円の中心である。例えば、柱状部30の中心は、柱状部30の平面形状が多角形の場合、該多角形を内部に含む最小の円の中心であり、柱状部30の平面形状が楕円の場合、該楕円を内部に含む最小の円の中心である。
【0022】
柱状部30のn型半導体層32は、バッファー層22上に設けられている。n型半導体
層32は、基板10とu型半導体層34との間に設けられている。n型半導体層32は、例えば、Siがドープされたn型のGaN層である。
【0023】
柱状部30のu型半導体層34は、n型半導体層32上に設けられている。u型半導体層34は、n型半導体層32とp型半導体層36との間に設けられている。u型半導体層34は、不純物が意図的にドープされていないアンドープ型の半導体層である。u型半導体層34は、真性半導体(intrinsic semiconductor)からなるi型の半導体層であってもよい。u型半導体層34は、例えば、ウェル層と、バリア層と、を有している。ウェル層は、例えば、InGaN層である。バリア層は、例えば、GaN層である。u型半導体層34は、ウェル層とバリア層とから構成されたMQW(Multiple Quantum Well)構造を有している。
【0024】
なお、u型半導体層34を構成するウェル層およびバリア層の数は、特に限定されない。例えば、ウェル層は、1層だけ設けられていてもよく、この場合、u型半導体層34は、SQW(Single Quantum Well)構造を有している。
【0025】
柱状部30のp型半導体層36は、u型半導体層34上に設けられている。p型半導体層36は、例えば、Mgがドープされたp型のGaN層である。
【0026】
複数の柱状部30のうちの第1柱状部30aは、電流が注入されて発光する柱状部である。複数の柱状部30のうちの第2柱状部30bは、電流が注入されない柱状部である。第1柱状部30aは、複数設けられている。第2柱状部30bは、複数設けられている。複数の第1柱状部30a、および複数の第2柱状部30bは、基板10に設けられている。
図2に示す例では、複数の第1柱状部30a、および複数の第2柱状部30bは、バッファー層22を介して、基板10に設けられている。バッファー層22は、例えば、複数の第1柱状部30aが設けられた第1領域24と、複数の第2柱状部30bが設けられた第2領域26と、を有している。第1領域24および第2領域26は、バッファー層22の上面であり、互いに接している。第2領域26は、積層方向からみて、第1領域24を囲んでいる。複数の第2柱状部30bは、積層方向からみて、複数の第1柱状部30aを囲んでいる。
【0027】
図3に示す例では、複数の第2柱状部30bは、複数の第1柱状部30aと連続して設けられている。すなわち、第2柱状部30b1と第1柱状部30a1との間の距離は、第2柱状部30b1と第2柱状部30b2との間の距離と同じである。第2柱状部30b1は、第1柱状部30a1と隣り合う柱状部である。第1柱状部30a1は、複数の第1柱状部30aのうち最外に位置する柱状部である。第2柱状部30b2は、第2柱状部30b1と隣り合う柱状部である。
【0028】
第1柱状部30aの径と、第2柱状部30bの径とは、例えば、同じである。複数の第1柱状部30aのピッチと、複数の第2柱状部30bのピッチとは、例えば、同じである。第1柱状部30aの高さと、第2柱状部30bの高さとは、例えば、同じである。なお、「柱状部の高さ」とは、柱状部30の積層方向の大きさのことである。
【0029】
複数の第1柱状部30aの各々、および複数の第2柱状部30bの各々は、n型半導体層32と、u型半導体層34と、p型半導体層36と、を有している。
【0030】
複数の第1柱状部30aの各々におけるu型半導体層34は、第1電極50および第2電極52によって電流が注入されて発光する。第1柱状部30aのu型半導体層34は、光を発生させる発光層である。
【0031】
複数の第2柱状部30bの各々におけるu型半導体層34には、電流が注入されない。そのため、第2柱状部30bのu型半導体層34は、発光しない。
図3に示す例では、第2柱状部30bのp型半導体層36は、第2電極52と電気的に分離されている。
【0032】
発光装置100では、第1柱状部30aのp型半導体層36、第1柱状部30aのu型半導体層34,および第1柱状部30aのn型半導体層32により、pinダイオードが構成される。発光装置100では、第1電極50と第2電極52との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加すると、第1柱状部30aのu型半導体層34に電流が注入されて第1柱状部30aのu型半導体層34において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。第1柱状部30aのu型半導体層34で発生した光は、面内方向に伝搬し、複数の第1柱状部30aによるフォトニック結晶の効果により定在波を形成して、第1柱状部30aのu型半導体層34で利得を受けてレーザー発振する。そして、発光装置100は、+1次回折光および-1次回折光をレーザー光として、積層方向に出射する。
【0033】
なお、図示はしないが、基板10とバッファー層22との間、または基板10の下に反射層が設けられていてもよい。該反射層は、例えば、DBR(Distributed Bragg Reflector)層である。該反射層によって、第1柱状部30aのu型半導体層34において発生した光を反射させることができ、発光装置100は、第2電極52側からのみ光を出射することができる。
【0034】
第1半導体層40は、複数の第1柱状部30aの基板10側とは反対側に設けられている。第1半導体層40は、複数の第1柱状部30a上に設けられている。第1半導体層40は、複数の第1柱状部30aと第2電極52との間に設けられている。第1半導体層40は、複数の第1柱状部30aに接続されている。第1半導体層40の厚さは、例えば、数十nmである。第1半導体層40は、第1柱状部30aの接している半導体層と同じ導電型を有している。図示の例では、第1半導体層40は、第1柱状部30aのp型半導体層36と接している。第1半導体層40は、例えば、Mgがドープされたp型のGaN層である。
図1に示す例では、第1半導体層40の平面形状は、円形である。
【0035】
第1電極50は、
図4に示すように、バッファー層22上に設けられている。バッファー層22は、第1電極50とオーミックコンタクトしていてもよい。第1電極50は、第1柱状部30aのn型半導体層32と電気的に接続されている。図示の例では、第1電極50は、バッファー層22を介して、第1柱状部30aのn型半導体層32と電気的に接続されている。第1電極50は、第1柱状部30aのu型半導体層34に電流を注入するための一方の電極である。第1電極50としては、例えば、バッファー層22側から、Cr層、Ni層、Au層の順序で積層したものなどを用いる。
【0036】
第2電極52は、
図2および
図3に示すように、第1半導体層40の基板10とは反対側に設けられている。第2電極52は、第1半導体層40上に設けられている。第2電極52は、第1半導体層40と第2配線72との間に設けられている。第1半導体層40は、第2電極52とオーミックコンタクトしていてもよい。
【0037】
第2電極52は、
図1に示すように、積層方向からみて、第1半導体層40と完全に重なっている。すなわち、積層方向からみて、第2電極52は、第1半導体層40と重なっていない部分を有しておらず、第1半導体層40は、第2電極52と重なっていない部分を有していない。図示の例では、第2電極52の平面形状は、円形である。第2電極52は、第1柱状部30aのp型半導体層36と電気的に接続されている。図示の例では、第2電極52は、第1半導体層40を介して、第1柱状部30aのp型半導体層36と電気的に接続されている。第2電極52は、第1柱状部30aのu型半導体層34に電流を注
入するための他方の電極である。第2電極52としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、ZnOを用いる。
【0038】
第2電極52、第1電極50、第1半導体層40、複数の第1柱状部30a、バッファー層22は、例えば、発光素子102を構成している。発光素子102は、半導体レーザーである。発光素子102は、例えば、複数設けられている。
図1に示す例では、4つの発光素子102が設けられているが、その数は、特に限定されない。複数の発光素子102は、例えば、X軸方向およびY軸方向にマトリックス状に配列されている。バッファー層22は、複数の発光素子102において、共通の層である。第1電極50は、複数の発光素子102において、共通の電極である。隣り合う発光素子102の間には、複数の第2柱状部30bが設けられている。積層方向からみて、複数の第2柱状部30bは、発光素子102を囲んでいる。
【0039】
絶縁層60は、
図2に示すように、第1半導体層40および複数の第2柱状部30bを覆っている。図示の例では、絶縁層60は、第2電極52を介して第1半導体層40を覆っている。絶縁層60は、複数の第2柱状部30b上、第1電極50上、および第2電極52上に設けられている。絶縁層60は、例えば、酸化シリコン層、窒化シリコン層である。
【0040】
絶縁層60には、
図4に示すように、第1コンタクトホール62が設けられている。第1コンタクトホール62は、積層方向からみて、第1電極50と重なっている。絶縁層60には、
図2に示すように、第2コンタクトホール64が設けられている。第2コンタクトホール64は、積層方向からみて、第2電極52と重なっている。
【0041】
第1配線70は、
図4に示すように、第1電極50上および絶縁層60上に設けられている。第1配線70は、絶縁層60に設けられた第1コンタクトホール62を介して、第1電極50と接続されている。第1配線70としては、例えば、Cu層、Al層、Au層を用いる。
【0042】
第2配線72は、
図2に示すように、絶縁層60の基板10とは反対側に設けられている。第2配線72は、第2電極52上および絶縁層60上に設けられている。第2配線72は、絶縁層60に設けられた第2コンタクトホール64介して、第2電極52と接続されている。第2配線72は、第1半導体層40と電気的に接続されている。図示の例では、第2配線72は、第2電極52を介して、第1半導体層40と電気的に接続されている。第2配線72は、複数の発光素子102に対応して、複数設けられている。
【0043】
第2配線72は、例えば、第1層74と、第2層76と、を有している。第1層74は、第2電極52の上面、第2コンタクトホール64を規定する絶縁層60の側面、および絶縁層60の上面に設けられている。
図1に示す例では、第1層74の平面形状は、円形である。第1層74としては、例えば、ITO、ZnOを用いる。第2層76は、絶縁層60の上面に設けられている。第2層76は、第1層74とパッド80とを接続している。第2層76の平面形状は、略長方形である。第2層76としては、例えば、Cu層、Al層、Au層を用いる。
【0044】
第2配線72は、積層方向からみて、複数の第2柱状部30bの少なくとも1つと重なっている。図示の例では、第2配線72の第2層76は、積層方向からみて、複数の第2柱状部30bと重なっている。第2配線72の第2層76は、積層方向からみて、第2領域26と重なっている。
【0045】
パッド80は、絶縁層60上に設けられている。パッド80には、例えば、図示せぬワ
イヤーボンディングが接続されている。パッド80の平面形状は、長方形である。パッド80のY軸方向の大きさは、第2層76のY軸方向の大きさよりも大きい。パッド80は、複数の発光素子102に対応して、複数設けられている。パッド80の材質は、例えば、第2層76と同じである。
【0046】
なお、上記では、第1柱状部30aのu型半導体層34がInGaN系である場合について説明したが、第1柱状部30aのu型半導体層34としては、出射される光の波長に応じて、電流が注入されることで発光可能な様々な材料系を用いることができる。例えば、AlGaN系、AlGaAs系、InGaAs系、InGaAsP系、InP系、GaP系、AlGaP系などの半導体材料を用いることができる。
【0047】
また、発光素子102は、レーザーに限らず、LED(Light Emitting Diode)であってもよい。
【0048】
1.2. 発光装置の製造方法
次に、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図5および
図6は、第1実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。
【0049】
図5に示すように、基板10上に、バッファー層22をエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法などが挙げられる。
【0050】
次に、バッファー層22上に、図示せぬマスク層を形成する。マスク層は、例えば、電子ビーム蒸着法やスパッタ法などによる成膜、およびパターニングによって形成される。パターニングは、例えば、電子線リソグラフィーおよびドライエッチングによって行われる。
【0051】
次に、マスク層をマスクとしてバッファー層22上に、n型半導体層32、u型半導体層34、およびp型半導体層36を、この順でエピタキシャル成長させる。エピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD法、MBE法などが挙げられる。本工程により、複数の柱状部30を形成することができる。
【0052】
図6に示すように、複数の第1柱状部30a上に、第1半導体層40を形成する。具体的には、第1半導体層40をエピタキシャル成長させる。第1半導体層40をエピタキシャル成長させる方法としては、例えば、MOCVD法、MBE法などが挙げられる。第1半導体層40の成長は、柱状部30の成長よりも、横方向に広がり易い条件で行われる。
【0053】
次に、第1半導体層40上に第2電極52を形成する。第2電極52は、例えば、スパッタ法や真空蒸着法による成膜、およびパターニングによって形成される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。当該エッチングによって、第2電極52および第1半導体層40を一括でエッチングすることができる。
【0054】
図4に示すように、バッファー層22上に第1電極50を形成する。第1電極50は、例えば、スパッタ法や真空蒸着法による成膜、およびパターニングによって形成される。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。本工程により、複数の発光素子102を形成することができる。なお、第1電極50を形成する工程と、第2電極52を形成する工程と、の順序は、特に限定されない。
【0055】
図2および
図4に示すように、複数の第2柱状部30b、第1電極50、および第2電
極52を覆う絶縁層60を形成する。絶縁層60は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、スピンコート法によって形成される。
【0056】
次に、絶縁層60をパターニングして、第1コンタクトホール62および第2コンタクトホール64を形成する。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィーおよびエッチングによって行われる。
【0057】
図2に示すように、第2電極52上に第1層74を形成する。次に、絶縁層60上に、第2層76およびパッド80を形成する。第1層74、第2層76、およびパッド80は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法によって形成される。本工程により、第1層74および第2層76を有する第2配線72を形成することができる。
【0058】
図1に示すように、第1電極50と接続する第1配線70を形成する。第1配線70は、例えば、スパッタ法、真空蒸着法によって形成される。なお、第1配線70を形成する工程と、第2配線72を形成する工程と、の順序は、特に限定されない。
【0059】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0060】
1.3. 作用効果
発光装置100では、積層方向からみて、複数の第2柱状部30bは複数の第1柱状部30aを囲んでいるため、絶縁層60が設けられる部分の段差を小さくすることができる。そのため、発光装置100では、絶縁層60の付きまわりを良くすることができる。これにより、第1柱状部30aと第2配線72とが接触する可能性を小さくすることができる。その結果、第1柱状部30aと第2配線72との間にリーク電流が流れる可能性を小さくすることができる。さらに、第2配線72が断線する可能性を小さくすることができる。
【0061】
さらに、発光装置100では、複数の第1柱状部30aの各々、および複数の第2柱状部30bの各々は、n型半導体層32と、u型半導体層34と、p型半導体層36と、を有している。そのため、発光装置100では、例えば第2柱状部がp型半導体層を有していない場合に比べて、第1柱状部30aと第2柱状部30bとの高さの差を小さくすることができる。これにより、絶縁層60が設けられる部分の段差を小さくすることができる。
【0062】
ここで、
図7は、第1参考例に係る発光装置1000を模式的に示す平面図である。
図8は、第1参考例に係る発光装置1000を模式的に示す
図7のVIII-VIII線断面図である。
【0063】
発光装置1000の製造方法では、複数の柱状部1030を成長させた後、第1半導体層1040に接続された複数の柱状部1030以外の柱状部1030をエッチングする。そのため、複数の柱状部1030が設けられた領域と、柱状部1030が設けられていない領域と、で段差が生じる。この段差が反映されて絶縁層1060にも段差が生じる。絶縁層1060の段差部分1062は、他の部分に比べて薄くなり易く、応力に起因してクラック等のダメージが生じ易い。そのため、第2電極1052に接続された第2配線1072と、柱状部1030と、の間でリーク電流が流れ易くなる。
【0064】
さらに、発光装置1000の製造方法では、柱状部1030をエッチングする際に、エッチング残渣1031が生じる可能性がある。エッチング残渣1031が生じると、第2配線1072とエッチング残渣1031との間でリーク電流が流れ、意図しない箇所で発光する可能性がある。
【0065】
発光装置100では、上記のように、積層方向からみて複数の第1柱状部30aを囲む発光しない複数の第2柱状部30bを有しているため、上記のような問題を解決することができる。
【0066】
発光装置100では、第1半導体層40の基板10とは反対側に設けられた第2電極52を有し、第2配線72は、絶縁層60に設けられた第2コンタクトホール64を介して、第2電極52と接続されている。そのため、発光装置100では、第2電極が複数の第1柱状部に直接設けられている場合に比べて、隣り合う第1柱状部の間に電極材料が入り込むことを抑制することができる。さらに、第2電極52の平坦性を高めることができる。
【0067】
発光装置100では、積層方向からみて、第2電極52は、第1半導体層40と完全に重なっている。そのため、発光装置100では、第1半導体層40のエッチングと、第2電極52のエッチングと、を同じ工程で一括に行うことができる。これにより、製造工程の短縮化を図ることができる。なお、第1半導体層40のエッチングと、第2電極52のエッチングは、別々の工程で行われてもよい。
【0068】
2. 第2実施形態
2.1. 発光装置
次に、第2実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図9は、第2実施形態に係る発光装置200を模式的に示す平面図である。
図10は、第2実施形態に係る発光装置200を模式的に示す
図9のX-X線断面図である。
図11は、第2実施形態に係る発光装置200を模式的に示す断面図であって、
図10の領域A2の拡大図である。なお、便宜上、
図10では、柱状部30を簡略化して図示している。また、
図11では、柱状部30、絶縁層60、および第5半導体層90以外の部材の図示を省略している。
【0069】
以下、第2実施形態に係る発光装置200において、上述した第1実施形態に係る発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、後述する第3実施形態に係る発光装置において同様である。
【0070】
発光装置200では、
図9~
図11に示すように、第5半導体層90が設けられている点において、上述した発光装置100と異なる。
【0071】
第5半導体層90は、
図10および
図11に示すように、複数の第2柱状部30bの基板10とは反対側に設けられている。第5半導体層90は、複数の第2柱状部30b上に設けられている。第5半導体層90は、複数の第2柱状部30bと絶縁層60との間に設けられている。第5半導体層90は、複数の第2柱状部30bに接続されている。
【0072】
第5半導体層90は、第1半導体層40と電気的に分離している。図示の例では、第5半導体層90は、第1半導体層40と離間している。積層方向からみて、第5半導体層90は、第1半導体層40を囲んでいる。第5半導体層90は、第2電極52と電気的に分離している。第5半導体層90の厚さは、例えば、第1半導体層40の厚さと同じである。第5半導体層90の材質は、例えば、第1半導体層40と同じである。
【0073】
2.2. 発光装置の製造方法
次に、第2実施形態に係る発光装置200の製造方法について、図面を参照しながら説明する。発光装置200の製造方法は、
図10に示すように、第1半導体層40と第5半
導体層90とを同じ工程で形成すること以外は、上述した発光装置100の製造方法と基本的に同じである。したがって、その詳細な説明を省略する。
【0074】
2.3. 作用効果
発光装置200では、複数の第2柱状部30bの基板10とは反対側に設けられ、複数の第2柱状部30bに接続された第5半導体層90を有し、第5半導体層90は、第1半導体層40と電気的に分離している。そのため、発光装置200では、絶縁層60の上面の平坦性を高めることができる。これにより、第2配線72の断線の可能性をより小さくすることができる。
【0075】
例えば、
図12に示すように、絶縁層2060が隣り合う第2柱状部2030bの間に入り込むこと、絶縁層2060の上面に凹部2062が形成される場合がある。そのため、絶縁層2060の上面の平坦性が低くなる場合がある。なお、
図12は、第2参考例に係る発光装置2000を模式的に示す断面図である。
【0076】
発光装置200では、第5半導体層90の厚さは、第1半導体層40の厚さと同じであり、第5半導体層90の厚さは、第1半導体層40の厚さと同じである。そのため、発光装置200では、例えば第1半導体層40と第5半導体層90とを同じ工程で形成することができる。これにより、製造工程の短縮化を図ることができる。
【0077】
3. 第3実施形態
3.1. 発光装置
次に、第3実施形態に係る発光装置について、図面を参照しながら説明する。
図13は、第3実施形態に係る発光装置300を模式的に示す平面図である。
図14は、第3実施形態に係る発光装置300を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、
図13では、第1半導体層40および第2電極52以外の部材の図示を省略している。また、
図14では、柱状部30を簡略化して図示している。
【0078】
上述した発光装置100では、
図1および
図2に示すように、積層方向からみて、第2電極52は、第1半導体層40と完全に重なっていた。
【0079】
これに対し、発光装置300では、
図13および
図14に示すように、積層方向からみて、第2電極52は、第1半導体層40の外縁42の内側に設けられている。第2電極52は、外縁42と重なっていない。
【0080】
3.2. 発光装置の製造方法
次に、第3実施形態に係る発光装置300の製造方法について説明する。発光装置300の製造方法は、上述した発光装置100の製造方法と基本的に同じである。したがって、その詳細な説明を省略する。
【0081】
3.3. 作用効果
発光装置300では、積層方向からみて、第2電極52は、第1半導体層40の外縁42の内側に設けられ、外縁42と重なっていない。そのため、発光装置300では、例えば積層方向からみて第2電極を第1半導体層と完全に重なるように形成する場合に比べて、製造工程の精度に余裕を持たせることができる。
【0082】
4. 第4実施形態
次に、第4実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。
図15は、第4実施形態に係るプロジェクター800を模式的に示す図である。
【0083】
プロジェクター800は、例えば、光源として、発光装置100を有している。
【0084】
プロジェクター800は、図示しない筐体と、筐体内に備えられている赤色光、緑色光、青色光をそれぞれ出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bと、を有している。なお、便宜上、
図15では、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bを簡略化している。
【0085】
プロジェクター800は、さらに、筐体内に備えられている、第1光学素子802Rと、第2光学素子802Gと、第3光学素子802Bと、第1光変調装置804Rと、第2光変調装置804Gと、第3光変調装置804Bと、投射装置808と、を有している。第1光変調装置804R、第2光変調装置804G、および第3光変調装置804Bは、例えば、透過型の液晶ライトバルブである。投射装置808は、例えば、投射レンズである。
【0086】
赤色光源100Rから出射された光は、第1光学素子802Rに入射する。赤色光源100Rから出射された光は、第1光学素子802Rによって集光される。なお、第1光学素子802Rは、集光以外の機能を有していてもよい。後述する第2光学素子802Gおよび第3光学素子802Bについても同様である。
【0087】
第1光学素子802Rによって集光された光は、第1光変調装置804Rに入射する。第1光変調装置804Rは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置808は、第1光変調装置804Rによって形成された像を拡大してスクリーン810に投射する。
【0088】
緑色光源100Gから出射された光は、第2光学素子802Gに入射する。緑色光源100Gから出射された光は、第2光学素子802Gによって集光される。
【0089】
第2光学素子802Gによって集光された光は、第2光変調装置804Gに入射する。第2光変調装置804Gは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置808は、第2光変調装置804Gによって形成された像を拡大してスクリーン810に投射する。
【0090】
青色光源100Bから出射された光は、第3光学素子802Bに入射する。青色光源100Bから出射された光は、第3光学素子802Bによって集光される。
【0091】
第3光学素子802Bによって集光された光は、第3光変調装置804Bに入射する。第3光変調装置804Bは、入射した光を画像情報に応じて変調させる。そして、投射装置808は、第3光変調装置804Bによって形成された像を拡大してスクリーン810に投射する。
【0092】
また、プロジェクター800は、第1光変調装置804R、第2光変調装置804G、および第3光変調装置804Bから出射された光を合成して投射装置808に導くクロスダイクロイックプリズム806を有することができる。
【0093】
第1光変調装置804R、第2光変調装置804G、および第3光変調装置804Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム806に入射する。クロスダイクロイックプリズム806は、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は、投射装置808によりスクリーン810上に投射され、
拡大された画像が表示される。
【0094】
なお、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bは、発光装置100を映像の画素として画像情報に応じて制御することで、第1光変調装置804R、第2光変調装置804G、および第3光変調装置804Bを用いずに、直接的に映像を形成してもよい。そして、投射装置808は、赤色光源100R、緑色光源100G、および青色光源100Bによって形成された映像を、拡大してスクリーン810に投射してもよい。
【0095】
また、上記の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micro Mirror Device)が挙げられる。また、投射装置の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0096】
また、光源を、光源からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置の光源装置にも適用することが可能である。
【0097】
5. 第5実施形態
次に、第5実施形態に係るディスプレイについて、図面を参照しながら説明する。
図16は、第5実施形態に係るディスプレイ900を模式的に示す平面図である。
図17は、第5実施形態に係るディスプレイ900を模式的に示す断面図である。なお、
図16では、便宜上、互いに直交する2つの軸として、X軸およびY軸を図示している。
【0098】
ディスプレイ900は、例えば、光源として、発光装置100を有している。
【0099】
ディスプレイ900は、画像を表示する表示装置である。画像には、文字情報のみを表示するものが含まれる。ディスプレイ900は、自発光型のディスプレイである。ディスプレイ900は、
図16および
図17に示すように、回路基板910と、レンズアレイ920と、ヒートシンク930と、を有している。
【0100】
回路基板910には、発光装置100を駆動させるための駆動回路が搭載されている。駆動回路は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などを含む回路である。駆動回路は、例えば、入力された画像情報に基づいて、発光装置100を駆動させる。図示はしないが、回路基板910上には、回路基板910を保護するための透光性の基板が配置されている。
【0101】
回路基板910は、表示領域912と、データ線駆動回路914と、走査線駆動回路916と、制御回路918と、を有している。
【0102】
表示領域912は、複数の画素Pで構成されている。画素Pは、図示の例では、X軸およびY軸に沿って配列されている。
【0103】
図示はしないが、回路基板910には、複数の走査線と複数のデータ線が設けられている。例えば、走査線はX軸に沿って延び、データ線はY軸に沿って延びている。走査線は、走査線駆動回路916に接続されている。データ線は、データ線駆動回路914に接続されている。走査線とデータ線の交点に対応して画素Pが設けられている。
【0104】
1つの画素Pは、例えば、1つの発光装置100と、1つのレンズ922と、図示しな
い画素回路と、を有している。画素回路は、画素Pのスイッチとして機能するスイッチング用トランジスターを含み、スイッチング用トランジスターのゲートが走査線に接続され、ソースまたはドレインの一方がデータ線に接続されている。
【0105】
データ線駆動回路914および走査線駆動回路916は、画素Pを構成する発光装置100の駆動を制御する回路である。制御回路918は、画像の表示を制御する。
【0106】
制御回路918には、上位回路から画像データが供給される。制御回路918は、当該画像データに基づく各種信号をデータ線駆動回路914および走査線駆動回路916に供給する。
【0107】
走査線駆動回路916が走査信号をアクティブにすることで走査線が選択されると、選択された画素Pのスイッチング用トランジスターがオンになる。このとき、データ線駆動回路914が、選択された画素Pにデータ線からデータ信号を供給することで、選択された画素Pの発光装置100がデータ信号に応じて発光する。
【0108】
レンズアレイ920は、複数のレンズ922を有している。レンズ922は、例えば、1つの発光装置100に対して、1つ設けられている。発光装置100から出射された光は、1つのレンズ922に入射する。
【0109】
ヒートシンク930は、回路基板910に接触している。ヒートシンク930の材質は、例えば、銅、アルミニウムなどの金属である。ヒートシンク930は、発光装置100で発生した熱を、放熱する。
【0110】
上述した実施形態に係る発光装置は、プロジェクターやディスプレイ以外にも用いることが可能である。プロジェクターやディスプレイ以外の用途には、例えば、屋内外の照明、レーザープリンター、スキャナー、車載用ライト、光を用いるセンシング機器、通信機器等の光源がある。また、上述した実施形態に係る発光装置は、ヘッドマウントディスプレイの表示装置として用いることができる。
【0111】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0112】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0113】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0114】
発光装置の一態様は、
基板と、
前記基板に設けられた複数の第1柱状部と、
前記基板に設けられ、前記基板の法線方向からみて前記複数の第1柱状部を囲む複数の第2柱状部と、
前記複数の第1柱状部の前記基板とは反対側に設けられ、前記複数の第1柱状部に接続された第1半導体層と、
前記第1半導体層および前記複数の第2柱状部を覆う絶縁層と、
前記絶縁層の前記基板とは反対側に設けられ、前記第1半導体層と電気的に接続された配線と、
を有し、
前記複数の第1柱状部の各々、および前記複数の第2柱状部の各々は、
n型の第2半導体層と、
p型の第3半導体層と、
前記第2半導体層と前記第3半導体層との間に設けられたu型の第4半導体層と、
を有し、
前記複数の第1柱状部の各々における前記第4半導体層は、電流が注入されて発光し、
前記複数の第2柱状部の各々における前記第4半導体層には、電流が注入されず、
前記法線方向からみて、前記配線は、前記複数の第2柱状部の少なくとも1つと重なっている。
【0115】
この発光装置によれば、第1柱状部と配線との間にリーク電流が流れる可能性を小さくすることができる。
【0116】
発光装置の一態様において、
前記複数の第2柱状部の前記基板とは反対側に設けられ、前記複数の第2柱状部に接続された第5半導体層を有し、
前記第5半導体層は、前記第1半導体層と電気的に分離していてもよい。
【0117】
この発光装置によれば、絶縁層の上面の平坦性を高めることができる。
【0118】
発光装置の一態様において、
前記第5半導体層の厚さは、前記第1半導体層の厚さと同じであり、
前記第5半導体層の材質は、前記第1半導体層の材質と同じであってもよい。
【0119】
この発光装置によれば、例えば第1半導体層と第5半導体層とを同じ工程で形成することができる。
【0120】
発光装置の一態様において、
前記第1半導体層の前記基板とは反対側に設けられた電極を有し、
前記配線は、前記絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して、前記電極と接続されていてもよい。
【0121】
この発光装置によれば、隣り合う第1柱状部の間に電極材料が入り込むことを抑制することができる。
【0122】
発光装置の一態様において、
前記法線方向からみて、前記電極は、前記第1半導体層と完全に重なっていてもよい。
【0123】
この発光装置によれば、第1半導体層のエッチングと、電極のエッチングと、を同じ工程で一括に行うことができる。
【0124】
発光装置の一態様において、
前記法線方向からみて、前記電極は、前記第1半導体層の外縁の内側に設けられ、前記外縁と重なっていなくてもよい。
【0125】
この発光装置によれば、製造工程の精度に余裕を持たせることができる。
【0126】
プロジェクターの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【0127】
ディスプレイの一態様は、
前記発光装置の一態様を有する。
【符号の説明】
【0128】
10…基板、20…積層体、22…バッファー層、24…第1領域、26…第2領域、30…柱状部、30a,30a1…第1柱状部、30b,30b1,30b2…第2柱状部、32…n型半導体層、34…u型半導体層、36…p型半導体層、40…第1半導体層、42…外縁、50…第1電極、52…第2電極、60…絶縁層、62…第1コンタクトホール、64…第2コンタクトホール、70…第1配線、72…第2配線、74…第1層、76…第2層、80…パッド、90…第5半導体層、100…発光装置、102…発光素子、200,300…発光装置、800…プロジェクター、802R…第1光学素子、802G…第2光学素子、802B…第3光学素子、804R…第1光変調装置、804G…第2光変調装置、804B…第3光変調装置、806…クロスダイクロイックプリズム、808…投射装置、810…スクリーン、900…ディスプレイ、910…回路基板、912…表示領域、914…データ線駆動回路、916…走査線駆動回路、918…制御回路、920…レンズアレイ、922…レンズ、930…ヒートシンク、1000…発光装置、1030…柱状部、1031…エッチング残渣、1040…第1半導体層、1052…第2電極、1060…絶縁層、1062…段差部分、1072…第2配線、2000…発光装置、2030b…第2柱状部、2060…絶縁層、2062…凹部