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特開2023-41303プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041303
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/573 20060101AFI20230316BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230316BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A61K31/573
A61P17/04
A61K47/14
A61K47/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148596
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 翔太
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 友紀
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076BB31
4C076CC18
4C076DD34
4C076DD37A
4C076DD45
4C076DD46
4C076DD47
4C076DD49
4C076EE07
4C076EE23
4C076FF36
4C076FF63
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA63
4C086NA03
4C086ZA89
(57)【要約】
【課題】 プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】 (A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;(B)ジカルボン酸ジエステル;及び(C)ワセリンを含有する医薬組成物を調製する。このような医薬組成物は、特には、皮膚外用組成物の形態である。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;
(B)ジカルボン酸ジエステル;及び
(C)ワセリン
を含有する医薬組成物。
【請求項2】
(B)ジカルボン酸ジエステルが、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、及びセバシン酸ジイソプロピルからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
(B)ジカルボン酸ジエステルの濃度が0.1~20質量%である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
(A)成分1質量部に対する(B)成分の質量部が、8~90である、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
(A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル及び(C)ワセリンを含有する医薬組成物に(B)ジカルボン酸ジエステルを共存させることを特徴とする、医薬組成物の製剤安定化方法。
【請求項6】
(B)ジカルボン酸ジエステルを含有する、(A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル及び(C)ワセリンを含む医薬組成物の製剤安定化剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アトピー性皮膚炎、老人性皮膚掻痒症、蕁麻疹、湿疹、かぶれなどの皮膚疾患、あるいは乾燥肌に伴う皮膚の痒みは、患者にとって非常に不快なものであり、日常生活に支障をきたすこともある。このような皮膚の痒みに耐えられず、掻痒することでその掻痒部位に掻破などの刺激が加わると、その症状がさらに悪化し、より強い痒みを生じるという悪循環を招くことも多い。従って、そのような痒みを伴う疾患や状態を改善するためには、先ず痒みを抑えることが重要である。
【0003】
こうした痒みの原因、悪化因子として、皮膚のバリア機能の低下が関与していることが知られており、これを防ぐためには皮膚の保湿が重要となる。保湿の方法としては、ワセリンを始めとする油剤によって肌表面の閉塞性を高める方法が挙げられる。。
【0004】
また、痒みを抑える薬剤として、ステロイド剤が知られている。ステロイド剤はその抗炎症効果からアトピー性皮膚炎での治療にも汎用されており、種々のステロイド含有製剤が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-121933
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含有する安定な医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らの検討によると、医薬品外用剤においてワセリンを含有させることが保湿性の上からも特に望ましい一方で、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルとワセリンとを含有する製剤を調製する場合、製剤の物理的安定性が問題となることが判明した。
【0008】
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、(A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;(B)ジカルボン酸ジエステル;及び(C)ワセリンを含有することで、安定な医薬組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、下記に掲げる医薬組成物を提供する。
項1.
(A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;
(B)ジカルボン酸ジエステル;及び
(C)ワセリン
を含有する医薬組成物。
項2.
(B)ジカルボン酸ジエステルが、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、及びセバシン酸ジイソプロピルからなる群より選択される1種以上である、項1に記載の医薬組成物。
項3.
(B)ジカルボン酸ジエステルの濃度が0.1~20質量%である、項1又は2に記載の医薬組成物。
項4.
(A)成分1質量部に対する(B)成分の質量部が、8~90である、項1~3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【0010】
さらに、本発明は、以下の方法に関する。
項5.
(A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル及び(C)ワセリンを含有する医薬組成物に(B)ジカルボン酸ジエステルを共存させることを特徴とする、医薬組成物の製剤安定化方法。
【0011】
さらに、本発明は、以下の安定化剤に関する。
項6.
(B)ジカルボン酸ジエステルを含有する、(A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル及び(C)ワセリンを含む医薬組成物の製剤安定化剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、安定な医薬組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[医薬組成物]
本発明の医薬組成物は、(A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;(B)ジカルボン酸ジエステル;及び(C)ワセリンを含有する医薬組成物である。
【0014】
((A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)
本発明に用いられるプレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルとしては、医薬品又は医薬部外品において用いられるものであれば特に限定されない。
【0015】
本発明の医薬組成物において、医薬組成物の全量に対する(A)成分の含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。医薬組成物の全量に対して、(A)成分の含有量は、好ましくは、0.05質量%以上、より好ましくは、0.075質量%以上、さらに好ましくは、0.1質量%以上である。医薬組成物の全量に対して、(A)成分の含有量は、好ましくは、0.25質量%以下であり、より好ましくは、0.15質量%以下である。医薬組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは、0.05~0.25質量%、より好ましくは、0.075~0.15質量%、さらに好ましくは、0.1~0.15質量%である。
【0016】
((B)ジカルボン酸ジエステル)
本発明に用いられるジカルボン酸ジエステルとしては、例えば、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸ジエトキシエチル、及びコハク酸ジエチルヘキシル等が挙げられる。このうち、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、及びセバシン酸ジエチルからなる群より選択される1種又は2種以上の組み合わせがより好ましい。特に、アジピン酸ジエチル及び/又はセバシン酸ジエチルが特に好ましい。これらは、医薬品又は医薬部外品分野において用いられるものであれば特に限定されない。また、市販品をそのまま用いることができる。
【0017】
本発明の医薬組成物において、医薬組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、好ましくは、0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは、2質量%以上である。医薬組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、好ましくは、20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは、5質量%以下である。医薬組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、好ましくは、0.1~20質量%、より好ましくは、1~10質量%、さらに好ましくは、3~8質量%である。
【0018】
本発明の医薬組成物において、(A)成分に対する(B)成分の含有量の比率は、特に限定されないが、(A)成分の含有量1質量部に対して、(B)成分の総含有量が、好ましくは8~90質量部、より好ましくは16~42質量部、さらに好ましくは25~42質量部である。
【0019】
((C)ワセリン)
本発明に用いられる(C)ワセリンは、石油から得た半固形の炭化水素類混合物で、医薬品、医薬部外品、又は化粧品分野において用いられるものであれば特に限定されない。ワセリンとしては、白色ワセリン又は黄色ワセリンのいずれも用いることができるが、精製度の高い白色ワセリンが好ましい。
【0020】
ワセリンは、市販品をそのまま使用することもできる。
【0021】
本発明の医薬組成物において、医薬組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。医薬組成物の全量に対して、(C)成分の含有量は、好ましくは、90質量%以下、より好ましくは、75質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。医薬組成物の全量に対して、(C)成分の含有量は、好ましくは、0.01~90質量%、より好ましくは、1~75質量%、さらに好ましくは5~50質量%である。本発明の医薬組成物が軟膏である場合、好ましくは、30~95質量%、より好ましくは、40~80質量%である。
【0022】
本発明の医薬組成物において、(A)成分に対する(C)成分の含有量の比率は特に限定されないが、(A)成分の含有量1質量部に対して、(C)成分の含有量が、好ましくは0.08~750質量部、より好ましくは8~625質量部、さらに好ましくは42~420質量部である。
【0023】
(水)
本発明の医薬組成物は、水を含む液状組成物であっても良いが、水を含まない組成物であっても良い。配合される水の割合は、限定はされないが、医薬組成物に対して、好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~70質量%、さらに好ましくは35~65質量%である。医薬組成物が軟膏である場合、医薬組成物に対して、好ましくは5質量%以下、より好ましくは、1質量%以下、さらに好ましくは、0.1質量%以下である。
【0024】
(その他の成分)
本発明の医薬組成物には、上記(A)、(B)、及び(C)成分の他に、さらに、各種の活性成分を1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。好ましくは抗ヒスタミン剤、抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤、抗炎症成分、抗菌・殺菌成分、局所麻酔剤等を組み合わせることもできる。
【0025】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、ジフェンヒドラミン、ブロモジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリンのようなエタノールアミン系抗ヒスタミン剤、クロルフェニラミンのようなプロピルアミン系抗ヒスタミン剤、イソチペンジルのようなフェノチアジン系抗ヒスタミン剤及びこれらの塩等が挙げられる。
【0026】
抗ヒスタミン剤以外の鎮痒剤としては、例えば、クロタミトン等が挙げられる。
【0027】
抗炎症成分としては、例えば、アラントイン及びその誘導体(例えば、アルクロキサ、アラントインなど)、グリチルリチン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩(例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムなど)、グリチルレチン酸若しくはその誘導体又はそれらの塩(例えば、グリチルレチン酸、グリチルレチン酸ステアリルなど)、酸化亜鉛、酢酸トコフェロール、メントール、カンフル、テレピン油、(A)成分以外のステロイド類若しくはその誘導体又はそれらの塩(例えば、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン)等が挙げられる。
【0028】
抗菌・殺菌成分としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、アクリノール、エタノール、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、クレゾール、ポピドンヨード、ヨウ化カリウム、ヨウ素、イソプロピルメチルフェノール、パラベン、フェノキシエタノール塩化セチルピリジニウム、ミコナゾール若しくはその塩、クロロブタノール又は植物(例えば、アロエ、クララ、ローズマリー、クワ、ユーカリ、キナ、チョウジなど)に由来する成分等が挙げられる。
【0029】
局所麻酔剤としては、リドカイン、ジブカイン、アミノ安息香酸エチル等が挙げられる。
【0030】
(基剤、担体、添加物等)
本発明の医薬組成物は、使用感の向上、安定性等の観点から、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の他に、基剤、担体、又は添加物等を含んでいてもよい。
【0031】
基剤、担体、又は添加物等としては、例えば、界面活性剤、高級脂肪酸、高級アルコール、(C)成分以外の炭化水素、油脂類、ロウ類、(B)成分以外のエステル油、シリコーン油、保湿成分、多価アルコール、増粘剤、清涼化剤、酸化防止剤、保存剤又は防腐剤、pH調整剤、キレート剤等が挙げられる。なお、これらの成分は1種単独で、又は2種以上を任意に配合することができる。
【0032】
界面活性剤は、成分の安定化に寄与し得る。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤等のいずれでもよい。
【0033】
ここで、陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム等);アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ラウリルメチルタウリンナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム等);スルホコハク酸塩(例えば、アルキルスルホコハク酸エステルナトリウム、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);アミノ酸系界面活性剤(例えば、ココイルグルタミン酸ナトリウム、N-アシルグルタミン酸塩等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、ラウロイルグルタミン酸カリウム、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);エーテルカルボン酸塩(例えばポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム等);α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0034】
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体(例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(HCO-40)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50(HCO-50)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60(HCO-60)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油80等);ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、モノラウリル酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート20)、モノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート60)、モノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン(ポリソルベート80)、イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン等);グリセリン誘導体(例えば、ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル、グリセリンアルキルエーテル);ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル等);シリコーン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン等);アルキルグルコシド;等が挙げられる。
【0035】
高級脂肪酸としては、例えば、飽和又は不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数12~22の脂肪酸を用いることができ、例えば、好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸などの直鎖状飽和脂肪酸(常温で固体);オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、エイコサペンタエン酸、パクセン酸又はドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸(常温で液体);又は、イソステアリン酸又はラノリン脂肪酸などの分岐状脂肪酸、又は12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0036】
高級アルコールとしては、例えば、炭素数12~22の高級アルコールやステロール類などが挙げられる。好ましくは、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、などの直鎖飽和アルコール(常温で固体);オレイルアルコール、セラキルアルコールのような不飽和アルコール(常温で液体);又は、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0037】
(C)成分以外の炭化水素としては、例えば、パラフィン、セレシン、イソパラフィン、ハードファット、マイクロクリスタリンワックス、ポリブテン、ポリエチレン末、流動パラフィン、スクワラン、ゲル化炭化水素(プラスチベースなど)、オゾケライト、α-オレフィンオリゴマー、軽質流動パラフィン及び軽質流動パラフィンのような炭化水素が挙げられる。
【0038】
油脂類としては、アボガド油、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、サフラワー油、キョウニン油、ホホバ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、アーモンド油、サザンカ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム核油、モクロウ核油、モクロウ、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、ククイナッツ油、ヘーゼルナッツ油、シア脂、オレンジ油、カミツレ油等の油脂類等が挙げられる。
【0039】
ロウ類としては、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、セラックロウ、ミツロウのようなロウ類等が挙げられる。
【0040】
(B)成分以外のエステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソセチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸イソデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、12-ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ステアリン酸イヌリン、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリメリト酸トリ2-エチルヘキシル、トリメリト酸トリトリデシル、トリ-2-エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、酢酸ラノリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリ(ベヘン酸/イソステアリン酸/エイコサン二酸)グリセリル等が挙げられる。
【0041】
シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、メチルシクロペンタシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー、などのシロキサン、カプリリルメチコン等のアルキル変性シリコーン、アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、架橋型メチルポリシロキサン、架橋型アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、架橋型ポリエーテル変性シリコーン、架橋型アルキルポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリエーテル変性シリコーン、シリコーン・アルキル鎖共変性ポリグリセリン変性シリコーン、ポリエーテル変性分岐シリコーン、ポリグリセリン変性分岐シリコーン、アクリルシリコン、フェニル変性シリコーン、及びシリコーンレジンのようなシリコーン油等が挙げられる。
【0042】
保湿成分としては、例えば、ヒアルロン酸(加水分解ヒアルロン酸、低分子ヒアルロン酸等を含む);ヒアルロン酸の塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸亜鉛、低分子ヒアルロン酸亜鉛等);ヒアルロン酸誘導体(アセチル化ヒアルロン酸又はその塩(例えば、アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム、アセチル化ヒアルロン酸亜鉛等)、架橋型ヒアルロン酸誘導体(ヒアルロン酸クロスポリマーNa等)、カルボキシメチルヒアルロン酸Na、不飽和ヒアルロン酸又はその塩、加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル、カチオン化ヒアルロン酸誘導体(ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム等)、ヒアルロン酸ジメチルシラノール等);コンドロイチン硫酸又はその塩(コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸カリウム、デルマタン硫酸ナトリウム、デルマタン硫酸カリウム等);ヘパリン類似物質、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、グルコサミン、テアニン、アルギニンなどのアミノ酸及びその誘導体;多価アルコール;PPG-17ブテス-17、PPG-25ソルビトール、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、PEG/PPG/ポリブチレングリコール-8/5/3グリセリン、ポリオキシアルキレンジグリセリルなどのアルキレンオキシド;グリコシルトレハロース、トレハロース;セラミド、グルコシルセラミド、コレステロール、フィトステロール、コレステロール誘導体、フィトステロール誘導体、;2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン・メタクリル酸ブチル共重合体液、ポリメタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン等の2-メタクロイルオキシホスホリルコリン含有重合体;乳酸、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、尿素などのNMF由来成分;コラーゲン、エラスチン、ケラチン、キチン、キトサン等とそれらの加水分解物;ヒドロキシエチルウレア;植物(たとえば、アロエ、海藻、カッコン、クロレラ、レモングラス、カミツレ、ハマメリス、チャ、シソ、グレープフルーツ、アマチャヅルなど)に由来する成分、等が挙げられる。
【0043】
多価アルコールとしては、ヒドロキシ基を2個以上有する低分子が挙げられ、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプレングリコール、1、3-ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトールが挙げられる。
【0044】
増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー等のビニル系増粘剤、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース系増粘剤、グァーガム、スクレロチウムガム、タマリンドガム、キサンタンガム、デキストラン、ペクチン、プルラン、ゼラチン、ローカストビーンガム、カラギーナン、寒天、ビオサッカリドガム、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム、ベントナイト、デキストリン脂肪酸エステル、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、塩化トリメチルアンモニウムヒドロキシプロピルグァーガム、塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー等が挙げられる。
【0045】
清涼化剤としては、例えば、メントール及びその誘導体、カンフル、クロロブタノール、ボルネオール、ゲラニオール、シネオール、アネトール、リモネン、オイゲノール等のテルペン類(これらはd体、l体又はdl体のいずれでもよい。);ユーカリ油、ベルガモット油、ペパーミント油、クールミント油、スペアミント油、ウイキョウ油、ハッカ油、ケイヒ油、ローズ油、テレビン油等の精油等が挙げられる。
【0046】
酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ソルビン酸、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、トコフェロール、トコフェロール誘導体、トコトリエノール、亜硫酸水素塩、次亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、L-システイン塩酸塩等が挙げられる。
【0047】
保存剤又は防腐剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸メチル、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、メチルイソチアゾリン、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、又は、1,2-オクタンジオール等が挙げられる。
【0048】
pH調整剤としては、例えば、無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸)、有機塩基(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなど)、ならびにそれらの塩、無機塩基(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)、等が挙げられる。
【0049】
キレート剤としては、例えば、エチレンジアミン4酢酸(エデト酸)、エチレンジアミン4酢酸塩(ナトリウム塩(エデト酸ナトリウム:日本薬局方、EDTA-2Naなど)、カリウム塩など)、フィチン酸、グルコン酸、ポリリン酸、メタリン酸等が挙げられる。
【0050】
[製造方法]
本発明の医薬組成物の製造方法は特に限定されず、適宜設定できる。
【0051】
具体的には、必要に応じ各成分を加熱溶解して、混合後、水浴で冷却しながら撹拌し、その後室温で静置する方法が挙げられるが、特にこれに限定はされない。
【0052】
[製剤形態]
本発明の医薬組成物は、医薬品、医薬部外品、又は化粧品に通常使用される基剤又は担体、及び必要に応じて添加剤と共に混合して医薬組成物とすることができる。
【0053】
本発明の医薬組成物の形態は特に限定されないが、皮膚外用組成物の形態であることが好ましい。このような形態としては、例えば、懸濁剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、リニメント剤、ローション剤、貼付剤、容器に収容した固形剤(スティック剤、球形剤、半球形剤)等が挙げられる。これらの製剤は、第17改正日本薬局方製剤総則に記載の方法等に従い製造することができる。中でも、クリーム剤、ゲル剤、又は軟膏剤が好ましい。
【0054】
[pH]
本発明の医薬組成物のpHは、通常pH3.0~7.5であり、pH3.0~7.0であることが好ましく、pH3.0~6.5であることがさらに好ましく、pH3.5~6.0であることがさらにより好ましく、pH3.8~5.5であることが特に好ましい。なお、このpHは、例えば、pH調整剤の使用により調整することができる。ただし、pH測定が不能又は困難な製剤形態については、この限りではない。
【0055】
(容器)
本発明の医薬組成物は、使用目的及び用途に応じ、適宜選択した形状、材質の容器に収容し、使用することができる。具体的な容器としては、例えば、ノズル付き容器、ポンプ付き容器、ジャー容器、チューブ容器、中栓に穴の開いたタイプの容器、ヒンジキャップ付き容器、スポンジヘッド容器、ロールオン容器、スティックタイプの容器等を例示できる。これらの容器に収容することで、医薬組成物を所望の患部に直接的に又は間接的に塗布することができる。ノズルやスポンジは、患部の狭い範囲又は広い範囲に塗布できるように、先細又は大きな径に設計することも可能である。患部に本実施形態に係る医薬組成物を塗布した後に、不織布や指等により、塗り拡げて用いることも可能である。
【0056】
また、容器の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン(HDPE、LDPE、LLDPE等)、ABS樹脂、ポリカーボネート、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリスチレン、ガラス、及び金属(アルミ等)等を例示できる。また、これらの材料は、強度、柔軟性、耐候性、又は成分の安定性等を考慮し、各種コーティング処理を行ったり、これらの材料を例えば混合する等 して組み合わせたり、積層したりして、容器材料として用いることができる。
【0057】
[安定性向上方法]
本発明はまた、(A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルを含む医薬組成物の安定性向上方法を包含する。本発明によれば、(A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル;(B)ジカルボン酸ジエステル;及び(C)ワセリンを含有する医薬組成物とすることにより、医薬組成物の安定性を向上させることができる。ここで、各成分の含有量、比率、その他成分等の条件は、[医薬組成物]に記載した内容に準じる。
【0058】
[医薬組成物の製剤安定化剤]
本発明はまた、(B)ジカルボン酸ジエステルを含有する、(A)プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル及び(C)ワセリンを含む医薬組成物の製剤安定化剤を包含する。ここで、各成分の含有量、比率、その他成分等の条件は、[医薬組成物]に記載した内容に準じる。
【0059】
[用途]
本発明の医薬組成物は、特には、鎮痒剤、又は鎮痒消炎剤として有効であり、例えば、アトピー性皮膚炎、老人性皮膚掻痒症、湿疹(頭皮湿疹や手湿疹を含む、皮膚湿疹)、皮フ炎、かゆみ、かぶれ、じんましん、ただれ、あせも、しもやけ、虫さされ、又は乾燥等が原因のかゆみ等に対して作用を有する。さらに、皮膚の修復機能を有することもできる。
【0060】
皮膚への作用効果から、本発明は皮膚外用剤(外皮用の製剤)として適用される製品に使用されることが好ましい。皮膚の適用部位としては、手(手のひら、手指)、顔、足、頭、首元、胸元、脇、背中、腰回り、肘の裏、膝の裏の皮膚が挙げられる。本発明の医薬組成物は、用途等に応じて1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。適用量は、使用者により異なるものの、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステルが1回あたり、1FTU(finger tip unit)となるように適用することが好ましい。
【実施例0061】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、表における各成分量の単位は、特に記載がない限り、質量%である。
【0062】
表1に示す実施例及び比較例の組成物を以下の工程に従って調製した。すなわち、各成分を80℃で加熱溶解、混合後、水浴で冷却しながら5分から10分撹拌した。その後室温で静置した。表中特に断りがない限り、数値は、質量%を表わす。
【0063】
[安定性試験]
実施例と比較例の組成物を調製後、室温にして、ST-1(スタビリティーテスター:英弘精機)で30℃下で3日間測定した。ST-1はサンプルに光を照射し、その透過光強度や後方散乱光強度を調べることで製剤の物理的安定性を評価する機器である。これら強度が変化している場合は、製剤の物理的安定性、すなわち乳化状態・分散状態・溶解状態が変化していることが推察できる。これは乳化・分散している粒子又は溶解している成分等の凝集・合一・クリーミング、又は析出などにより光が照射される製剤の表面状態が変動することに基づく。
【0064】
測定条件は以下のとおりである。得られた後方散乱光強度を縦軸、サンプルセル高さを横軸とした時のピーク面積変化について、線形回帰をすることで3日間の変動率(mm%/d)を算出した。変動率はその値の絶対値が小さいほど製剤の分散状態の変動が小さく、製剤としての物理的安定性が高いことを示す。
・スタートポジション:0mm
・エンドポジション:56.5mm
・スキャン分解能:0.055mm
・スキャン速度:12.5mm/s
・スキャン回数:289回
・解析に使用したサンプル高さ範囲:0mm~40mm
【0065】
実施例及び比較例の医薬組成物の評価結果を表1に示す。評価結果は、比較例1における後方散乱光の変動率を基準として、変動率改善割合として、下記の式で求めて表した。
各組成物の変動率改善割合(%)=[(比較例1の変動率-各組成物の変動率)/比較例1の変動率]×100
【0066】
【表1】
表1の結果から、実施例の組成物では、時間経過によっても、後方散乱光強度の変動が少なく、物理的安定性が大きく向上していることがわかった。
【0067】
[処方例]
下記表2~4に処方例を示す。単位はすべて質量%である。
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】