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特開2023-41329光集積素子、光集積回路ウエハ及び光集積素子の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041329
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】光集積素子、光集積回路ウエハ及び光集積素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/122 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
G02B6/122 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148643
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】309015134
【氏名又は名称】富士通オプティカルコンポーネンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】松本 武
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147BA17
2H147BB02
2H147BB04
2H147BB07
2H147BB09
2H147BB10
2H147BD10
2H147BG14
2H147CA05
2H147CB01
2H147CC02
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14A
2H147EA14B
2H147FA05
2H147FC03
2H147FC08
2H147FC09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光ファイバとの結合時の光結合損失を抑制できる光集積素子等を提供する。
【解決手段】光集積素子1は、基板2と、基板2上に配置され、中空構造の光導波路40と、を有する。光導波路40は、第1の光導波路4と、第1の光導波路4に比較して比屈折率差が小さく、第1の光導波路と光結合する第2の光導波路5と、を有し、第1の光導波路4から第2の光導波路5への光の進行に応じてモード径を光ファイバのモード径に変換する。光集積素子は、基板のダイシング端面7Aが第2の光導波路5の出力端面5Aに比較して光導波路40の軸方向に突出した状態で、出力端面5Aの幅が出力端面5Aと光結合する光ファイバのコア幅に比較して小さくなるように、基板2のダイシングライン付近に形成されたへこみ部7を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、基板上に配置され、中空構造の光導波路と、を有する光集積素子であって、
前記光導波路は、
第1の光導波路と、
前記第1の光導波路に比較して比屈折率差が小さく、前記第1の光導波路と光結合する第2の光導波路と、を有し、前記第1の光導波路から前記第2の光導波路への光の進行に応じてモード径を光ファイバのモード径に変換し、
前記光集積素子は、
前記基板のダイシング端面が前記第2の光導波路の出力端面に比較して前記光導波路の軸方向に突出した状態で、前記出力端面の幅が当該出力端面と光結合する前記光ファイバのコア幅に比較して小さくなるように、前記基板のダイシングライン付近に形成されたへこみ部を有することを特徴とする光集積素子。
【請求項2】
前記へこみ部は、
【数1】
で算出された幅を有することを特徴とする請求項1に記載の光集積素子。
【請求項3】
前記へこみ部は、
【数2】
で算出された深さを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光集積素子。
【請求項4】
前記第1の光導波路の材料は、Siを含む材料であって、前記第2の光導波路の材料は、前記第1の光導波路の材料に比較して比屈折率の小さい、Siを含む材料であることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の光集積素子。
【請求項5】
前記光導波路は、
前記出力端面が前記ダイシング端面に対して斜めになるように、前記基板上に配置されることを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の光集積素子。
【請求項6】
前記基板は、
前記光導波路の軸方向と直交する垂直方向から斜めに傾斜する前記ダイシング端面が形成されることを特徴とする請求項1~4の何れか一つに記載の光集積素子。
【請求項7】
前記第2の光導波路の出力端面及び前記へこみ部内に接着剤を充填して前記第2の光導波路の出力端面に対して前記光ファイバを光結合することを特徴とする請求項1~5の何れか一つに記載の光集積素子。
【請求項8】
基板と、
前記基板上に配置され、中空構造の光導波路を有する一対の光集積素子と、を有する光集積回路ウエハであって、
前記光導波路は、
第1の光導波路と、
前記第1の光導波路に比較して比屈折率差が小さく、前記第1の光導波路と光結合する、前記光導波路内の第2の光導波路と、を有し、前記第1の光導波路から前記第2の光導波路への光の進行に応じてモード径を光ファイバのモード径に変換し、
前記光集積回路ウエハは、
前記一対の光集積素子の内、一方の光集積素子の第2の光導波路の出力端面と、前記一対の光集積素子の内、他方の光集積素子の前記第2の光導波路の出力端面とが離間した状態で対向し、前記第2の光導波路の出力端面の幅が当該出力端面と光結合する前記光ファイバのコア幅に比較して小さくなるように、前記一方の光集積素子と前記他方の光集積素子の間を連結する前記基板のダイシングライン付近に形成された一対のへこみ部を有することを特徴とする光集積回路ウエハ。
【請求項9】
前記基板は、
前記一方の光集積素子が配置された第1の基板と、前記他方の光集積素子が配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間の前記ダイシングライン付近に形成された前記へこみ部と、を有し、
前記光集積回路ウエハは、
前記ダイシングラインを隔て、前記一方の光集積素子内の前記光導波路と前記他方の光集積素子内の前記光導波路とを並列に前記第1の基板及び前記第2の基板上に配置された他の光導波路を有することを特徴とする請求項8に記載の光集積回路ウエハ。
【請求項10】
前記基板は、
前記一方の光集積素子が配置された第1の基板と、前記他方の光集積素子が配置された第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の基板との間の前記ダイシングライン付近に形成された前記へこみ部と、を有し、
前記光集積回路ウエハは、
前記ダイシングラインを隔て、前記一方の光集積素子から前記へこみ部を経て前記他方の光集積素子に通過する他の光導波路を有することを特徴とする請求項8に記載の光集積回路ウエハ。
【請求項11】
基板と、
前記基板上に配置され、中空構造の光導波路を有する一対の光集積素子と、を有する光集積回路ウエハであって、前記光導波路は、第1の光導波路と、前記第1の光導波路に比較して比屈折率差が小さく、前記第1の光導波路と光結合する第2の光導波路と、を有し、前記第1の光導波路から前記第2の光導波路への光の進行に応じてモード径を光ファイバのモード径に変換する前記光集積回路ウエハから前記光集積素子を切り出す光集積素子の製造方法であって、
前記一対の光集積素子の内、一方の光集積素子の第2の光導波路の出力端面と、前記一対の光集積素子の内、他方の光集積素子の前記第2の光導波路の出力端面とが離間した状態で対向し、前記第2の光導波路の出力端面と光結合する前記光ファイバのコア幅よりも小さい幅となるように、前記一方の光集積素子と前記他方の光集積素子との間を連結する前記基板のダイシングライン付近にへこみ部を形成し、
前記へこみ部内の前記ダイシングラインをダイシングすることで、前記光集積回路ウエハから前記一方の光集積素子と前記他方の光集積素子とを切り出すことを特徴とする光集積素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光集積素子、光集積回路ウエハ及び光集積素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、高速光通信に用いられる光集積素子(PIC:Photonics Integrated Circuit)の光を取り出す光カプラ等の光デバイスが知られている。光デバイスは、市場の要求に合わせて小型かつ低電力で大容量なものが求められており、それを実現するためにSi基板上に導波路や電極基板を集積させたSiPh(Si-Photonics)素子が非常に高い注目を集めている。SiPhの大きな利点としては、CMOS製造に用いられる高精細プロセス技術を生かして、多数の要素デバイスから構成される大規模な光集積回路を容易に製造できる点にある。光デバイスの小型化は著しく、Si基板上に導波路や電極基板を集積させたSiPh素子が注目を集めている。SiPh-PICを光通信用モジュールとして実装するには、光集積素子のSi導波路をチップ端面まで引き回し、Si導波路と光ファイバとを接続して光の入出力を行う必要がある。Si導波路と光ファイバとを光結合する光ファイバ結合構造では、低い結合損失と高い信頼性が要求されるが、これらを両立させることが難しい。
【0003】
SiPh-PICでは、酸化ケイ素中のSi細線を光導波路として用いるが、SiとSiOの比屈折率差が大きいために導波光のモード径が小さく、そのまま光ファイバへ接合した場合、モード径のミスマッチにより大きな光損失が発生する。そこで、モード径変換構造を用いて光結合を行うのだが、光結合しては、例えば、レンズを介して光カプラと光ファイバとを繋ぐレンズ結合と、例えば、光カプラと光ファイバとを直接突き合わせて繋ぐBJ(But Joint)結合が知られている。
【0004】
レンズ結合を用いる場合、PICの光カプラ自体のモード径が小さい場合でも、レンズを使用してモード径を通常径のSMF(シングルモードファイバ)まで拡大することができる。しかしながら、光カプラの出力光モードは一般的に偏光依存性があり、レンズを用いた空間結合系を用いた場合には結合効率の偏波依存性が大きくなる。また、チップと光ファイバとの間にレンズを挟んだ光学系を構築するためにデバイス面積が増加し、小型モジュールへの実装が困難になる。更に、光軸調整のためにデバイス製造に要する工数が増加、又は、特殊な調整装置が必要になるなど、コスト面でも課題がある。
【0005】
これに対して、BJ結合は、こうしたレンズ結合の課題を解決できるが、レンズを用いずに通常径のSMFのモード径と同程度までPICの出力光モード径を大きくするのは困難である。
【0006】
そこで、BJ結合でよく用いられる構造の一つとして逆テーパSSC(Spot Size Converter)構造がある。図17は、逆テーパSSC構造の平面模式図である。逆テーパSSC構造は、Si基板101上に形成されたSi導波路102(102A,102B)の幅を徐々に狭くしていくことで導波光のモード径を広げて通常径のSMFのモード径に近づける。しかしながら、逆テーパSSC構造では、通常径(約10μmのモード径)のSMFのモード径まで近づけるのは困難である。また、利点としては、Si導波路102のみで構成されているため製造性が容易である。しかしながら、モード径の小さい(4μm)細径コアファイバとしか効率の良い光接続ができないため、モジュールに組み込むには、別途、細径コアファイバを通常コアファイバに融着する必要がある。従って、逆テーパSSC構造では、細径コアファイバと通常コアファイバとの融着部で過剰損失が発生してしまう。
【0007】
そこで、PICからの出力光モード径を大きくできる光カプラとして、例えば、中空構造の光カプラがある。図18は、中空構造の光カプラ100の一例を示す斜視図である。図18に示す中空構造の光カプラ100は、Si基板101と、SiOのクラッド層103と、クラッド層103からSi基板101上に周囲が空気層107に囲まれた光導波路104とを有する。光導波路104は、Si導波路105と、SiO導波路106とを有する。光カプラ100は、Si導波路105からSiO導波路106に変換してモード径を広げ、SiO導波路106と通常径のSMFを直接接続する構造である。光カプラ100は、Si基板101と光導波路104との間を空気層107にして中空構造にする。その結果、SiO導波路106と空気層107との比屈折率差でSiO導波路106の先端部まで光を閉じ込める。SiO導波路106と空気層107との比屈折率差が小さいため、通常径の光ファイバと同じモード径を実現できる。
【0008】
このような中空構造の一対の光カプラ100を搭載した光集積回路ウエハ110について説明する。図19は、光集積回路ウエハ110の一例を示す平面模式図、図20は、光集積回路ウエハ110の図19に示すG-G線断面図である。光集積回路ウエハ110は、Si基板101上に一対の光カプラ100を有する。光集積回路ウエハ110は、一方の光カプラ100内の光導波路104のSiO導波路106の先端部と、他方の光カプラ100内の他方の光導波路104のSiO導波路106の先端部とが繋がった状態で製造される。そして、光集積回路ウエハ110は、光カプラ100のSiO導波路106の先端部間のダイシングラインDLをダイシングすることで、光集積回路ウエハ110から一対の光カプラ100を切り出すことができる。
【0009】
しかしながら、光集積回路ウエハ110では、光カプラ100が中空構造であるため、一方のSiO導波路106の先端部と他方のSiO導波路106の先端部との間をダイシングする際に、SiO導波路106の先端部が破損する可能性が高くなる。そこで、ダイシング工程時のSiO導波路106の破損を回避する光集積回路ウエハが求められている。
【0010】
図21は、光集積回路ウエハ110Aの一例を示す平面模式図、図22は、光集積回路ウエハ110Aの図21に示すH-H線断面図である。尚、図19及び図20に示す光集積回路ウエハ110と同一の構成には同一符号を付することで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図21に示す光集積回路ウエハ110Aは、一方の光導波路104のSiO導波路106の先端部と他方の光導波路104のSiO導波路106の先端部との間を離間するへこみ部109を有する。へこみ部109は、一方のSiO導波路106の先端部と他方のSiO導波路106の先端部との間を離間した状態で、Si基板101上に形成されている。
【0011】
従って、光集積回路ウエハ110Aから一方の光カプラ100と他方の光カプラ100との間のへこみ部109内のダイシングラインDLをダイシングする際に、光カプラ100の先端部同士を破損することなく切り出すことができる。
【0012】
図23は、光ファイバ結合構造120Aの一例を示す平面模式図、図24は、光ファイバ結合構造120Aの図23に示すJ-J線断面図である。光ファイバ結合構造120Aは、図22に示す光集積回路ウエハ110Aから切り出された光カプラ100に光ファイバ121を光結合した構造である。
【0013】
光ファイバ121は、光カプラ100との接続を安定させる構造の一つとして、例えば、コア122の周囲にガラス等の微小なブロックであるキャピラリ123が付いている構造がある。コア122周囲のキャピラリ123によって光カプラ100のダイシング端面101Aとの接着面積を増やしてBJ結合を安定化させている。
【0014】
しかし、光カプラ100では、キャピラリ123付きの光ファイバ121とダイシング端面101Aとが接触する部分が小さく非対称の構造となる。キャピラリ123とダイシング端面101Aとが接触する部分は十分に接近させることができるが、光カプラ100と光ファイバ121とを光結合させる部分はダイシング端面101Aよりも離れており、その間に接着剤が充填される状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第9946029号明細書
【特許文献2】米国特許第9823420号明細書
【特許文献3】米国特許第10345524号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
図25は、光ファイバ結合構造120Aの課題の一例を示す説明図である。しかしながら、光ファイバ結合構造120Aでは、光カプラ100と光ファイバ121との間に充填された接着剤124が温度の変化に応じて伸縮膨張するため、ダイシング端面101Aの角を接点に接着剤124の伸縮で光ファイバ121が回転するおそれがある。その結果、光ファイバ121の回転で光ファイバ121と光カプラ100との間の光軸がずれてしまい光結合損失が増加する。そのため、製造時のUV硬化や高温によるキュア等の工程による損失発生で歩留まりが悪化し、又は製品化後の使用する温度環境によっては損失が発生して十分な信頼性を確保できなくなる。
【0017】
一つの側面では、光ファイバとの結合時の光結合損失を抑制できる光集積素子等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
一つの態様の光集積素子は、基板と、基板上に配置され、中空構造の光導波路と、を有する。光導波路は、第1の光導波路と、第1の光導波路に比較して比屈折率差が小さく、第1の光導波路と光結合する第2の光導波路と、を有し、第1の光導波路から第2の光導波路への光の進行に応じてモード径を光ファイバのモード径に変換する。光集積素子は、基板のダイシング端面が第2の光導波路の出力端面に比較して光導波路の軸方向に突出した状態で、出力端面の幅が当該出力端面と光結合する光ファイバのコア幅に比較して小さくなるように、基板のダイシングライン付近に形成されたへこみ部を有する。
【発明の効果】
【0019】
一つの側面によれば、光ファイバとの結合時の光結合損失を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施例1の光カプラの一例を示す模式断面図である。
図2図2は、光カプラの平面模式図である。
図3図3は、光カプラの図2に示すA-A線断面図である。
図4図4は、光集積回路ウエハの平面模式図である。
図5図5は、光集積回路ウエハの図4に示すB-B線断面図である。
図6図6は、光ファイバ結合構造の平面模式図である。
図7図7は、光ファイバ結合構造の図6に示すC-C線断面図である。
図8図8は、光ファイバ結合構造の平面模式図である。
図9A図9Aは、光集積回路ウエハに使用するSOI基板の一例を示す説明図である。
図9B図9Bは、光集積回路ウエハの第1の光導波路の形成工程の一例を示す説明図である。
図9C図9Cは、光集積回路ウエハのクラッド層の形成工程の一例を示す説明図である。
図10A図10Aは、光集積回路ウエハの光カプラを形成する際のレジスト工程の一例を示す説明図である。
図10B図10Bは、光カプラ形成時の光集積回路ウエハの平面模式図である。
図10C図10Cは、図10Bに示す光集積回路ウエハのD-D線断面図である。
図11A図11Aは、完成後の光集積回路ウエハの平面模式図である。
図11B図11Bは、完成後の光集積回路ウエハの図11Aに示すE-E線断面図である。
図12図12は、実施例2の光ファイバ結合構造の一例を示す平面模式図である。
図13図13は、実施例3の光ファイバ結合構造の断面図である。
図14図14は、実施例4の光集積回路ウエハの平面模式図である。
図15図15は、実施例5の光集積回路ウエハの平面模式図である。
図16図16は、実施例6の光ファイバ結合構造の平面模式図である。
図17図17は、逆テーパSSC構造の平面模式図である。
図18図18は、中空構造の光カプラの一例を示す斜視図である。
図19図19は、光集積回路ウエハの一例を示す平面模式図である。
図20図20は、光集積回路ウエハの図19に示すG-G線断面図である。
図21図21は、光集積回路ウエハの一例を示す平面模式図である。
図22図22は、光集積回路ウエハの図21に示すH-H線断面図である。
図23図23は、光ファイバ結合構造の一例を示す平面模式図である。
図24図24は、光ファイバ結合構造の図23に示すJ-J線断面図である。
図25図25は、光ファイバ結合構造の課題の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願が開示する光集積素子、光集積回路ウエハ及び光集積素子の製造方法等の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下に示す各実施例は、矛盾を起こさない範囲で適宜組み合わせても良い。
【実施例0022】
図1は、実施例1の光カプラ1の一例を示す模式断面図である。図1に示す光カプラ1は、中空型の光集積素子である。光カプラ1は、Si基板2と、Si基板2上に配置され、周囲が空洞である中空構造の光導波路40と、クラッド層3とを有する。Si基板2は、後述する光集積回路ウエハ10から一対の光カプラ1を切り出し時にできるダイシング端面7Aを有する。空洞は、空気層6である。クラッド層3は、例えば、SiOの層である。
【0023】
光導波路40は、第1の光導波路4と、第1の光導波路4に比較して比屈折率差が小さく、第1の光導波路4と光結合する第2の光導波路5とを有する。第1の光導波路4は、半導体若しくは誘電体である、比屈折率差の大きい、例えば、Siの光導波路である。第1の光導波路4は、逆テーパのSSC構造である。第2の光導波路5は、例えば、SiOの光導波路である。第2の光導波路5は、先端である出力端面5Aに向かって幅が広がるテーパ部5Bを有する。尚、光カプラ1内の第2の光導波路5と光結合する光ファイバ21は、例えば、SMF(Single Mode Fiber)である。光カプラ1は、第1の光導波路4から第2の光導波路5への光の進行に応じてモード径をSMFのモード径に変換する機能を有する。
【0024】
光カプラ1は、Si基板2のダイシングラインDL付近に形成されたへこみ部7を有する。へこみ部7を形成することで、ダイシング端面7Aが出力端面5Aに比較して光導波路40の軸方向に突出した状態で、出力端面5Aの幅が当該出力端面5Aと光結合する光ファイバ21のコア幅に比較して小さくなる。へこみ部7は、出力端面5Aがダイシング端面7Aと異ならせるへこみ構造の限定的な幅を有する。Si基板2は、へこみ部7を形成することで、出力端面5Aと面一となる壁面7Bと、壁面7Bから垂直に延びる底面7Cとを有する。
【0025】
図2は、光カプラ1の平面模式図である。へこみ部7の幅wは、光結合する光ファイバ21のキャピラリ22よりも狭くすることが望ましい。尚、光ファイバ21のキャピラリ22は、一辺が約1000μm程度の四角形状である。へこみ部7の幅wは、光カプラ1の第2の光導波路5の出力端面5Aから出射して放射状に広がっていく光が遮らない程度に広くする必要がある。そこで、へこみ部7の幅wは、w≧2d*(λ/πD)で表現できる。尚、λは、光カプラ1内を通過する光の波長、dは、へこみ部7の奥行、Dは、モード径である。へこみ部7の幅wは、光カプラ1の第2の光導波路5の出力端面5Aと光結合するSMFの先端径以下である。
【0026】
図3は、光カプラ1の図2に示すA-A線断面図である。更に、へこみ部7の深さは、光カプラ1の第2の光導波路5の出力端面5Aから出射して放射状に広がっていく光を遮らない程度に深くする必要がある。そこで、へこみ部7の深さhは、h≧d*(λ/πD)で表現できる。へこみ部7の深さhは、Si基板2に形成したへこみ部7の底面7Cから鉛直方向での第2の光導波路5の上面までの距離である。尚、へこみ部7の奥行dは、例えば、30μm、へこみ部7の幅wは、例えば、200μm、へこみ部7の深さhは、例えば、100μmである。
【0027】
光カプラ1は、光集積回路ウエハ10上のダイシングラインDLに沿ってSi基板2をダイシングすることで光集積回路ウエハ10から切り出すことができる。そこで、光集積回路ウエハ10について説明する。図4は、光集積回路ウエハ10の平面模式図、図5は、光集積回路ウエハ10の図4に示すB-B線断面図である。
【0028】
図4に示す光集積回路ウエハ10は、Si基板2と、Si基板2上に配置される一対の光カプラ1とを有する。Si基板2は、一方の光カプラ1Aが配置される第1の基板2Aと、他方の光カプラ1Bが配置された第2の基板2Bと、第1の基板2Aと第2の基板2Bとの間のダイシングラインDL付近の箇所に形成された一対のへこみ部7とを有する。
【0029】
一対のへこみ部7は、一方の光カプラ1Aと他方の光カプラ1Bとの間を連結するSi基板2のダイシングラインDL付近に形成される。その結果、一方の光カプラ1Aの第2の光導波路5の出力端面5Aと、他方の光カプラ1Bの第2の光導波路5の出力端面5Aとが離間した状態で対向し、第2の光導波路5の出力端面5Aの幅が出力端面5Aと光結合するSMFのコア幅よりも小さくなる。
【0030】
次に光集積回路ウエハ10から切り出された光カプラ1に対して光ファイバ21を光結合する光ファイバ結合構造20について説明する。図6は、光ファイバ結合構造20の平面模式図、図7は、光ファイバ結合構造20の図6に示すC-C線断面図である。
【0031】
図6に示す光ファイバ結合構造20は、第2の光導波路5の出力端面5A及びへこみ部7内に接着剤を充填して光ファイバ21内のキャピラリ22を介して第2の光導波路5の出力端面5Aと光ファイバ21との間を光結合する構造である。
【0032】
図8は、光ファイバ結合構造20の平面模式図である。光カプラ1と光ファイバ21とを光結合する面では、へこみ部7以外の部分が接触面D1となるため、光カプラ1と光ファイバ21との間の接触面積が増えて光カプラ1と光ファイバ21とを強固に光結合できる。その結果、光カプラ1と光ファイバ21との間の光結合が強固になるため、光ファイバ21が回転するリスクを回避できる。
【0033】
次に光カプラ1の製造方法について説明する。図9Aは、光集積回路ウエハ10に使用するSOI(Silicon on Insulator)基板の一例を示す説明図である。図9Aに示すSOI基板は、Si基板11(2)と、Si基板11上に積層されたSiO層12と、SiO層12上に積層されたSi層13とを有する。SiO層12は、ボックス層である。Si層13は、光カプラ1内の第1の光導波路4を形成するための層である。尚、Si基板11の厚みは、例えば、750μm、SiO層12の厚みは、例えば、2.5μm、Si層13の厚みは、例えば、250μmである。尚、説明の便宜上、一部を除いて図にはSi基板11を省略して示す場合があるものとする。また、光集積回路ウエハ10には、例えば、変調器や受光器等で本構造以外にもドーピング等の工程を必要とする構造もあるが、ここではそうした工程は省略するものとする。
【0034】
図9Bは、光集積回路ウエハ10の第1の光導波路4の形成工程の一例を示す説明図である。図9Bに示すSiO層12上には、SiO層12上のSi層13をエッチンすることで、第1の光導波路4を形成する。具体的には、プラズマCVD法を用いてSiO膜12Aを成膜し、フォトレジストで第1の光導波路4のパターンを形成する。第1の光導波路4の幅は、例えば、460nm、SSC逆テーパの先端の幅は、例えば、140nmとなるように形成する。このパターンをマスクとしてドライエッチングにより、第1の光導波路4のパターンを形成する。Si層13は、第1の光導波路4のモード径を第2の光導波路5のモード径まで大きくするための逆テーパSSC構造の第1の光導波路4と、第1の光導波路4まで光を導くSi光導波路41とが形成されることになる。
【0035】
図9Cは、光集積回路ウエハ10のクラッド層3の形成工程の一例を示す説明図である。SiO層12上に第1の光導波路4を形成した後、第1の光導波路4及びSiO層12上にSiO膜12Aを成膜することで、図9Cに示すようにSi基板11上にSiO層12のクラッド層3を形成することになる。具体的には、プラズマCVD法でSiO膜をSi基板11上に成膜することでクラッド層3を形成する。クラッド層3の厚さは、例えば、5umとする。第1の光導波路4は、SiOの層に囲まれている状態になり、SiとSiOの比屈折率差により、Si内に光が閉じ込められ光が導波路を伝搬することになる。
【0036】
図10Aは、光集積回路ウエハ10の光カプラ1を形成する際のレジスト工程の一例を示す説明図である。図9Cに示すクラッド層3上の空気層6の空洞を形成する部分に、図10Aに示すようにフォトレジスト層15を配置する。
【0037】
図10Bは、光カプラ1形成時の光集積回路ウエハ10の平面模式図、図10Cは、図10Bに示す光集積回路ウエハ10のD-D線断面図である。図10Bに示す光集積回路ウエハ10は、図10Aに示す光集積回路ウエハ10上のフォトレジスト層15でマスクした部分以外のSiO層12及びSi層13の一部をドライエッチングする。そして、このドライエッチングで、第1の光導波路4及び第2の光導波路5を有する光導波路40の周囲を空洞にする空気層6を形成することになる。その結果、光集積回路ウエハ10上に一対の中空型の光カプラ1を形成する。具体的には、このパターンをマスクとしてSiO層12をドライエッチングし、続けてSi基板11をウェットエッチングすることで、SiO層12の周囲が空気層6に囲まれている中空構造が形成される。SiO層12と空気層6との比屈折率差により光カプラ1として機能する。
【0038】
図11Aは、完成後の光集積回路ウエハ10の平面模式図である。光集積回路ウエハ10は、光カプラ1の第2の光導波路5の出力端面5A付近のSi基板11上にエッチングすることでSi基板11上に一対のへこみ部7を形成する。へこみ部7の奥行Dは、例えば、30μm、へこみ部7の幅wは、例えば、200μm、へこみ部7の深さhは、例えば、100μmである。
【0039】
図11Bは、完成後の光集積回路ウエハ10の図11Aに示すE-E線断面図である。図11Bに示す光集積回路ウエハ10は、Si基板11(2)上のへこみ部7内のダイシングラインDLをダイシングすることで、図1に示す一対の光カプラ1を切り出すことができる。尚、ダイシングは、例えば、レーザによるステルスダイシング、ブレードダイシングやスクライブ等で実現するものである。
【0040】
実施例1の光カプラ1は、第1の光導波路4と、第1の光導波路4に比較して比屈折率差が小さく、第1の光導波路4と光結合する第2の光導波路5とを有する。光カプラ1は、出力端面5Aがダイシング端面7Aに比較して光導波路40の軸方向に突出した状態で、出力端面5Aの幅が光ファイバ21のコア幅よりも小さくなるように、Si基板2のダイシングラインDL付近に形成されたへこみ部7を有する。その結果、光ファイバ21との結合時の光結合損失を抑制できる。通常径の光ファイバ21と接続可能であるため、広いトレランスカーブが実現できる。更に、光カプラ1内のSi基板2のへこみ部7の壁面7Bは、光ファイバ21と光結合する際の接触面積を増やすことで接着剤の伸縮による光ファイバ21の回転を抑えることで、高い信頼性が得られる。
【0041】
光カプラ1は、第1の光導波路4から第2の光導波路5への光の進行に応じてモード径を光ファイバ21のモード径に変換する。その結果、光カプラ1をSMFの光ファイバを光結合できる。
【0042】
光カプラ1のへこみ部7の幅wは、w≧2d*(λ/πD)で算出する。その結果、へこみ部7は、光カプラ1の第2の光導波路5の出力端面5Aから出射して放射状に広がっていく光が遮らない程度に広くできる。
【0043】
光カプラ1のへこみ部7の深さhは、h≧d*(λ/πD)で算出する。その結果、へこみ部7は、光カプラ1の第2の光導波路5の出力端面5Aから出射して放射状に広がっていく光を遮らない程度に深くできる。
【0044】
光カプラ1は、第2の光導波路5の出力端面5A及びへこみ部7内に接着剤を充填して第2の光導波路5の出力端面5Aに対して光ファイバ21を光結合する。その結果、光カプラ1は、光ファイバ21を光結合できる。
【0045】
光集積回路ウエハ10は、Si基板2上に同一構造の一対の光カプラ1を対向した状態でダイシングラインDLを隔てて配置している。その結果、ダイシングラインDLをダイシングすることで、光集積回路ウエハ10から一対の光カプラ1を切り出すことができる。
【0046】
従来の光集積回路ウエハ110Aでは、光カプラ100をダイシングで破損させないためにへこみ部109を中空カプラのSiO導波路106の先端より先に設けている。従って、へこみ部109の部分をダイシングして、ダイシング端面101Aと光ファイバ121のキャピラリ123とを接触させた場合に接触面が非対称となり、接着剤の膨張伸縮で光ファイバ121が回転して光軸がずれてしまう。
【0047】
これに対して、本実施例の光集積回路ウエハ10では、へこみ部7の幅を限定的にし、光ファイバ21のキャピラリ22の幅までは広くしないため、チップの底面から表面までキャピラリ22と接着可能なダイシング端面7Aのある部分がへこみ部7の両端にある。よって、光ファイバ21のキャピラリ22とその部分を接着剤で接着した場合、へこみ部7に入り込んだ接着剤が熱により膨張伸縮しても光ファイバ21の回転を回避できる。つまり、光軸のずれによる結合損失を抑制できる。また、光ファイバ21のキャピラリ22とダイシング端面7Aとの接着面積が従来構造よりも増えることで接着強度も強固になる。従って、通常径の光ファイバ21との接続を可能とする光カプラ1を使用しながら、光ファイバ21と光集積回路ウエハ10のダイシング端面7Aとの接触面積を増える。その結果、接着剤の伸縮による光ファイバ21の回転を抑えることで、光結合損失を抑制できる。
【0048】
尚、説明の便宜上、第1の光導波路4の材料は、Siを、第2の光導波路5の材料は、SiOを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、SiNやSiON等でもよく、光導波路の屈折率が第1の光導波路4が第2の光導波路5より大きいならば適宜変更可能である。第1の光導波路4の材料は、Siを含む材料であって、第2の光導波路5の材料は、第1の光導波路4の材料に比較して比屈折率の小さい、Siを含む材料である。尚、第1の光導波路4の材料としては、例えば、Si、SiN,SiONやSiO等のSiを含む材料である。第1の光導波路4の材料をSiN、第2の光導波路5の材料をSiOにした場合にSiN導波路の直前までSi導波路とSiとSiN導波路へ変換する構造を持つ場合がある。
【0049】
光カプラ1は、周囲が空洞である空気層6で形成された中空構造の光導波路40を配置する場合を例示したが、空気層6でなく、周囲が接着剤で充填された光導波路でもよく、適宜変更可能である。
【0050】
尚、実施例1の光カプラ1内の第2の光導波路5の出力端面5Aの向きは、Si基板2上のダイシング端面7Aの向きと同一となるようにへこみ部7を形成する場合を例示した。しかしながら、第2の光導波路5の出力端面5Aの向きは、これに限定されるものではない。光カプラ1の出力端面5Aの向きがダイシング端面7Aの向きと異なっていても良くも良く、その実施の形態につき、実施例2として以下に説明する。尚、実施例1の光カプラ1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
【実施例0051】
図12は、実施例2の光ファイバ結合構造20Aの一例を示す平面模式図である。第2の光導波路5の出力端面5Aの向きがダイシング端面7Aの向きに対して斜めになるように、Si基板2上に光カプラ1を配置する。そして、出力端面5Aとダイシング端面7Aとの間のSi基板2のダイシングラインDL付近にへこみ部71を形成する。
【0052】
光ファイバ結合構造20Aは、第2の光導波路5の出力端面5A及びへこみ部71内に接着剤を充填して光ファイバ21のキャピラリ22を介して第2の光導波路5の出力端面5Aと光ファイバ21との間を光結合できる。
【0053】
尚、実施例1の光カプラ1内の第2の光導波路5の出力端面5Aの向きは、Si基板2上のダイシング端面7Aの向きと同一となるようにへこみ部7を形成する場合を例示した。しかしながら、ダイシング端面7Aの向きは、これに限定されるものではなく、その実施の形態につき、実施例3として以下に説明する。
【実施例0054】
図13は、実施例3の光ファイバ結合構造20Aの断面図である。Si基板2には、光導波路40の軸方向Xと直交する垂直方向Yから斜めに傾斜するダイシング端面7A1が形成される。出力端面5Aとダイシング端面7A1との間のSi基板2のダイシングラインDL付近にへこみ部72を形成する。
【0055】
光ファイバ結合構造20Aは、第2の光導波路5の出力端面5A及びへこみ部72内に接着剤を充填して光ファイバ21のキャピラリ22を介して第2の光導波路5の出力端面5Aと光ファイバ21との間を光結合できる。
【実施例0056】
図14は、実施例4の光集積回路ウエハ10Aの平面模式図である。図14に示すSi基板2は、一方の光カプラ1Aが配置された第1の基板2Aと、他方の光カプラ1Bが配置された第2の基板2Bと、第1の基板2Aと第2の基板2Bとの間のダイシングラインDL付近に形成されたへこみ部7とを有する。
【0057】
光集積回路ウエハ10Aは、ダイシングラインDLを隔て、一方の光カプラ1A内の光導波路40と他方の光カプラ1B内の光導波路40とを並列に第1の基板2A及び第2の基板2B上に配置された引き回し光導波路8を有する。引き回し光導波路8は、例えば、試験用の光を入力する入力部8Aを有する光導波路である。
【0058】
更に、へこみ部7の幅を限定的にすることで、ダイシング前のウエハ検査等に使用する導波路の引き回しに自由度が増す。従来の光集積回路ウエハ110Aでは、ダイシングを簡易化するためにダイシングラインDLの一帯にへこみ部109を設けているため、へこみ部109の部分に光導波路を引き回すことができない。しかし、本実施例の光集積回路ウエハ10Aでは、へこみ部7の幅を限定的にしたので、へこみ部7以外のダイシングラインDLを隔てて引き回し光導波路8を引き回すことが可能であるため、ダイシング前であれば、その引き回し光導波路8を使用することができる。
【実施例0059】
図15は、実施例5の光集積回路ウエハ10Bの平面模式図である。図15に示すSi基板2は、一方の光カプラ1Aが配置された第1の基板2Aと、他方の光カプラ1Bが配置された第2の基板2Bと、第1の基板2Aと第2の基板2Bとの間のダイシングラインDL付近に形成されたへこみ部7とを有する。光集積回路ウエハ10Bは、ダイシングラインDLを隔て、一方の光カプラ1Aからへこみ部7を経て他方の光カプラ1Bに通過する引き回し導波路9を有する。引き回し導波路9は、試験用の光を入力する光導波路である。
【0060】
光学端面を用いない光の入射方法として光集積回路ウエハ10Bのチップ表面から光を入射するグレーティングカプラがある。グレーティングカプラの場合、ダイシング前でも光学測定が可能であるが、製品チップ内に、このグレーティングカプラを入れるとチップ面積が大きくなる。そこで、チップ面積の拡大を防止するために、製品チップ外に配置し、ダイシングする際に捨てポートとして使用する。へこみ部7の幅を限定することで光学端面のダイシングラインDLからも導波路を引き回すことができ、自由度が増す。
【実施例0061】
図16は、実施例6の光ファイバ結合構造20Bの平面模式図である。尚、実施例1の光カプラ1と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。図16に示す光ファイバ結合構造20Bは、Si基板2と、Si基板2上に配置された3個の光カプラ1と、3個のへこみ部73と、3本のコア25Aを有する光ファイバアレイ21Aとを有する。Si基板2は、光カプラ1毎にへこみ部73が形成されている。
【0062】
光ファイバ結合構造20Bは、光カプラ1内の第2の光導波路5の出力端面5A及びへこみ部73内に接着剤を充填してキャピラリ22を介して第2の光導波路5の出力端面5Aと光ファイバアレイ21Aのコア25Aとの間を光結合する構造である。つまり、3個の光カプラ1の第2の光導波路5と光ファイバアレイ21A内の3本のコア25Aとを光結合できる。
【0063】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 光カプラ
2 Si基板
2A 第1の基板
2B 第2の基板
3 クラッド層
4 第1の光導波路
5 第2の光導波路
5A 出力端面
7 へこみ部
7A ダイシング端面
10 光集積回路ウエハ
21 光ファイバ
40 光導波路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25