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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041335
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】地山補強管接続用治具
(51)【国際特許分類】
   E21D 21/00 20060101AFI20230316BHJP
   E21D 20/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
E21D21/00
E21D20/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148650
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000129758
【氏名又は名称】株式会社ケー・エフ・シー
(71)【出願人】
【識別番号】593172131
【氏名又は名称】株式会社トーキンオール
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英憲
(72)【発明者】
【氏名】木村 秀秋
(72)【発明者】
【氏名】森田 和則
(72)【発明者】
【氏名】小野 航
(72)【発明者】
【氏名】間野 真至
(72)【発明者】
【氏名】岡部 正
(57)【要約】
【課題】地山補強管の芯合わせ作業を簡単且つ短時間で行うことを可能にし、地山補強の施工効率を向上することができる。
【解決手段】ガイドセル11の先端から突出する位置に配置され、地山100に既に打設された第1の地山補強管110をガイドセル11と位置決めするように支持する第1の支持部2と、第1の支持部2と離間して後方に配置され、第1の地山補強管110に押し込んで接続される第2の地山補強管120を位置決めするように支持する第2の支持部3と、第1の支持部2と第2の支持部3を連結する連結杆4を備え、第1の支持部2が第1の地山補強管110の側方から外周の一部に係合可能に形成され、第1の支持部2と第2の支持部3とが、第1の地山補強管110と第2の地山補強管120とを軸心が一致するように支持可能に構成されている地山補強管接続用治具1。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドセルの先端から突出する位置に配置され、地山に既に打設された第1の地山補強管と前記ガイドセルとを位置決めするように前記第1の地山補強管を支持する第1の支持部と、
前記第1の支持部と離間して前記第1の支持部の後方に配置され、前記第1の地山補強管に押し込んで接続される第2の地山補強管を位置決めするように支持する第2の支持部と、
前記第1の支持部と前記第2の支持部を連結する連結杆とを備え、
前記第1の支持部が前記第1の地山補強管の側方から前記第1の地山補強管の外周の一部に係合可能に形成され、
前記第1の支持部と前記第2の支持部とが、前記第1の地山補強管と前記第2の地山補強管とを軸心が一致するように支持可能に構成されていることを特徴とする地山補強管接続用治具。
【請求項2】
前記第1の支持部が第1の切欠凹部で前記第1の地山補強管を支持するように形成されていると共に、前記第2の支持部が第2の切欠凹部で前記第2の地山補強管を支持するように形成され、
前記第1の切欠凹部の凹側と前記第2の切欠凹部の凹側が逆向きに配設されていることを特徴とする請求項1記載の地山補強管接続用治具。
【請求項3】
前記第2の支持部が、間隔を開けて配置される第1の半円切欠板材及び第2の半円切欠板材と、前記第1の半円切欠板材と前記第2の半円切欠板材とを連結する第2の連結杆とから構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の地山補強管接続用治具。
【請求項4】
前記ガイドセルの先端部に設けられている固定セントラライザーに着脱自在に掛止される掛止フックが前記第2の支持部の後側に形成されていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の地山補強管接続用治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地山補強管を接続して地山に打設する際に地山補強管を支持する地山補強管接続用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地山補強を行う際に、地山補強管である鋼管を複数直列に連結、接続して地中に打設していく手法が知られている。例えばトンネル掘削工事の切羽前方補強において、図6に示すように、地山201の前方上方又は外周に向けて鋼管220を複数本直列に接続して長尺鋼管202を打ち込み、打ち込んだ長尺鋼管202から地盤改良材を注入して固結領域203を形成し、地山201の地盤改良を行う長尺先受け工204や、鋼管220を複数本直列に接続して長尺鋼管205を切羽から地山201の前方に打ち込み、打ち込んだ長尺鋼管205から地盤改良材を注入して地山の地盤改良を行う長尺鏡補強工206が行われている。
【0003】
長尺先受け工204や長尺鏡補強工206を施工する場合、例えばトンネル空間Tにおいて、ドリルジャンボ207の削孔用アーム208のガイドセル209上に内部に削孔ロッド(図示省略)が内挿された鋼管220を搭載し、ガイドセル209上で削孔ロッドが連結された削孔機械210を前進させることにより、削孔しながら鋼管220を引き込むか押し込むようにして地山201に打設する。そして、第1の鋼管220(220a)及び第1の削孔ロッドを根元近傍まで地山201に打設したところで、これに後続する第2の鋼管220(220b)及び第2の削孔ロッドを連結する作業を行い、多くのケースでは3m程度の鋼管220を4本程度接続して打設する(図6図7参照)。
【0004】
この地山補強管の鋼管の連結、接続には、ねじ式のカプラーを用いて連結する方式や、鋼管端部に雄ねじと雌ねじを形成しておいてねじ込んで連結する方式があるが、特許文献1-3のように、先行する鋼管に後続の鋼管を押し込んで連結する方式のものも知られている。既に打設された鋼管に後続の鋼管を押し込んで連結する方式では、削孔機械の前進による押し込み力を利用して鋼管の連結、接続を行うことができ、高所作業台上で作業員が行う作業を減らし、作業スピードの向上を図ることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-190758号公報
【特許文献2】特許第6112918号公報
【特許文献3】特許第6486657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、既に打設された第1の鋼管に第2の鋼管を押し込んで接続する方式では、図7に示すように、切羽211から後端部が突出する第1の鋼管220(220a)の軸心と、固定セントラライザー212と移動セントラライザー213で支持される後続の第2の鋼管220(220b)の軸心とを正確に一致させるようガイドセル209を移動、配置し、芯合わせする作業が必要となる。しかし、この芯合わせ作業は、高所作業台上で作業員が目視しながらガイドセルの位置を微調整する、熟練と時間を要する難しい作業であり、施工効率を低下させる要因となる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、既に打設された地山補強管に後続の地山補強管を押し込んで接続する際に、地山補強管の芯合わせ作業を簡単且つ短時間で行うことを可能にし、地山補強の施工効率を向上することができる地山補強管接続用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の地山補強管接続用治具は、ガイドセルの先端から突出する位置に配置され、地山に既に打設された第1の地山補強管と前記ガイドセルとを位置決めするように前記第1の地山補強管を支持する第1の支持部と、前記第1の支持部と離間して前記第1の支持部の後方に配置され、前記第1の地山補強管に押し込んで接続される第2の地山補強管を位置決めするように支持する第2の支持部と、前記第1の支持部と前記第2の支持部を連結する連結杆とを備え、前記第1の支持部が前記第1の地山補強管の側方から前記第1の地山補強管の外周の一部に係合可能に形成され、前記第1の支持部と前記第2の支持部とが、前記第1の地山補強管と前記第2の地山補強管とを軸心が一致するように支持可能に構成されていることを特徴とする。
これによれば、ガイドセル上に第2の地山補強管を搭載して第2の地山補強管を第2の支持部で支持した状態とし、この状態でガイドセルを移動して第1の支持部で第1の地山補強管を支持すると、自動的に第1の地山補強管と第2の地山補強管の軸心が一致し、既に地山に打設されている第1の地山補強管に第2の地山補強管をそのまま押し込んで接続可能な状態となる。従って、第1の地山補強管が曲がってしまい、第2の地山補強管を押し込んで連結、接続できない事態を無くくすことができると共に、地山補強管の芯合わせ作業を非常に簡単且つ短時間で行うことが可能となり、地山補強の施工効率を向上することができる。
【0009】
本発明の地山補強管接続用治具は、前記第1の支持部が第1の切欠凹部で前記第1の地山補強管を支持するように形成されていると共に、前記第2の支持部が第2の切欠凹部で前記第2の地山補強管を支持するように形成され、前記第1の切欠凹部の凹側と前記第2の切欠凹部の凹側が逆向きに配設されていることを特徴とする。
これによれば、第2の切欠凹部で第2の地山補強管の先端部を第1の切欠凹部側に押さえるように支持し、第1の切欠凹部で支持されている第1の地山補強管に対して、第2の地山補強管の先端部が第1の切欠凹部と逆側に浮き上がることを防止することができ、第1の支持部で支持される第1の地山補強管と第2の支持部で支持される第2の地山補強管の軸心をより確実に一致させ、芯出しすることができる。
【0010】
本発明の地山補強管接続用治具は、前記第2の支持部が、間隔を開けて配置される第1の半円切欠板材及び第2の半円切欠板材と、前記第1の半円切欠板材と前記第2の半円切欠板材とを連結する第2の連結杆とから構成されていることを特徴とする。
これによれば、間隔を開けて配置されている第1の半円切欠板材と第2の半円切欠板材とで第2の地山補強管の先端部を支持することにより、第2の地山補強管の先端部の軸心の位置をより安定して定置することができる。
【0011】
本発明の地山補強管接続用治具は、前記ガイドセルの先端部に設けられている固定セントラライザーに着脱自在に掛止される掛止フックが前記第2の支持部の後側に形成されていることを特徴とする。
これによれば、地山補強管接続用治具を掛止フックで固定セントラライザーに着脱自在に掛止することにより、同一の地山補強管接続用治具を別のガイドセルや別のドリルジャンボに設置して使用することができ、汎用性を高めることができる。また、地山補強管接続用治具が破損や劣化した場合の取替も容易となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の地山補強管接続用治具によれば、既に打設された地山補強管に後続の地山補強管を押し込んで接続する際に、地山補強管の芯合わせ作業を簡単且つ短時間で行うことを可能にでき、地山補強の施工効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による実施形態の地山補強管接続用治具が取り付けられたガイドセルの先端付近を示す斜視図。
図2】実施形態の地山補強管接続用治具の斜視図。
図3】(a)は実施形態の地山補強管接続用治具の正面説明図、(b)はその左側面図、(c)はその右側面図、(d)はその縦断説明図。
図4】(a)、(b)は実施形態の地山補強管接続用治具による第1の地山補強管と第2の地山補強管の接続を説明する斜視説明図。
図5】(a)~(c)は実施形態の地山補強管接続用治具による第1の地山補強管と第2の地山補強管の接続を説明するガイドセルの先端付近の斜視説明図。
図6】(a)、(b)はトンネル掘削工事における長尺先受け工と鏡補強工を説明する説明図。
図7】既に打設された第1の鋼管に第2の鋼管を押し込んで接続する方式における従来の芯出し作業を説明する斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態の地山補強管接続用治具〕
本発明による実施形態の地山補強管接続用治具1は、図1図3に示すように、ガイドセル11の先端から突出する位置に配置され、地山100に既に打設された第1の地山補強管110とガイドセル11とを位置決めするように第1の地山補強管110を支持する第1の支持部2と、第1の支持部2と離間して第1の支持部2の後方に配置され、第1の地山補強管110に押し込んで接続される第2の地山補強管120を位置決めするように支持する第2の支持部3と、第1の支持部2と第2の支持部3を連結する連結杆4とを備える。尚、第1の地山補強管110と第2の地山補強管120は鋼管とすると好適であるが、樹脂等の他の素材による地山補強管とすることも可能である。
【0015】
第1の支持部2は、略半円状に切り欠かれている第1の切欠凹部21が形成された部材であり、略半円状の第1の切欠凹部21が地山100に打設された第1の地山補強管110の側方から第1の地山補強管110の外周の一部に係合されて、第1の地山補強管110を支持することが可能になっている。図示例の第1の支持部2は、第1の切欠凹部21が上方に凹で形成された板材であり、板状の第1の支持部2は、ガイドセル11の長手方向を略法線とするように配置されている。第1の支持部2における第1の切欠凹部21以外の部分には、棒状或いはパイプ状の連結杆4の一方の端部が固定され、図示例では、板状の第1の支持部2における第1の切欠凹部21の両側の位置に、一対の連結杆4の一方の端部がそれぞれ固定されている。
【0016】
第2の支持部3は、略半円状に切り欠かれている第2の切欠凹部を有するものであり、本実施形態における第2の支持部3は、間隔を開けて配置された第1の半円切欠板材30a及び第2の半円切欠板材30bとから構成される。第1の半円切欠板材30aと、第2の半円切欠板材30bとは、ガイドセル11の長手方向を略法線とするようにそれぞれ配置されている。
【0017】
第1の半円切欠板材30aには、略半円状に切り欠かれている第2の切欠凹部31aが下方に凹で形成され、第2の半円切欠板材30bには、略半円状に切り欠かれている第2の切欠凹部31bが下方に形成されている。換言すれば、第1の支持部2の第1の切欠凹部21の凹側と、第2の支持部3の第2の切欠凹部31a、31bの凹側とが、逆向きになるように第1の支持部2と第2の支持部3が配設されている。第2の切欠凹部31aと第2の切欠凹部31bとは、それぞれ第2の地山補強管120の外周の一部に係合されて、第2の地山補強管120を支持するようになっている。
【0018】
第2の支持部3を構成し、ガイドセル11の先端側に配置されている第1の半円切欠板材30aには、棒状或いはパイプ状の連結杆4の他方の端部が固定され、図示例では、第1の半円切欠板材30aにおける第2の切欠凹部31aの両側の位置に、一対の連結杆4の他方の端部がそれぞれ固定されている。即ち、連結杆4で第1の支持部2と第1の半円切欠板材30aとが連結されることにより、連結杆4で第1の支持部2と第2の支持部3とが連結されている。
【0019】
第2の支持部3を構成する第1の半円切欠板材30aと第2の半円切欠板材30bとは、棒状或いはパイプ状の第2の連結杆32で連結され、第2の連結杆32の一方の端部が第1の半円切欠板材30aに固定され、他方の端部が第2の半円切欠板材30bに固定されている。図示例では、第1の半円切欠板材30aの第2の切欠凹部31aの外周に複数本の第2の連結杆32の一方の端部がそれぞれ固定され、第2の半円切欠板材30bの第2の切欠凹部31bの外周に複数本の第2の連結杆32の他方の端部がそれぞれ固定されている。
【0020】
第2の支持部3の後側には、固定セントラライザー12に着脱自在に掛止される掛止フック33が形成され、図示例では第2の半円切欠板材30bの後側で突出すように鉤状の掛止フック33が一対形成されている。固定セントラライザー12は、第2の地山補強管120を下側から支持する上方に凹で切り欠かれた切欠凹部121が形成された略板状になっており、ガイドセル11の先端部に固定して設けられている。第2の支持部3の掛止フック33・33は、固定セントラライザー12における切欠凹部121の両側の板部に着脱自在に掛止される。
【0021】
第1の支持部2と、第2の支持部3とは、地山100に既に打設された第1の地山補強管110と、ガイドセル11上に配置される第2の地山補強管120とを軸心が一致するように支持可能に構成されている。本実施形態では、第1の支持部2の第1の切欠凹部21に係合されて支持される第1の地山補強管110と、第2の支持部3の第2の切欠凹部31a、31bに係合されて支持される第2の地山補強管120との軸心が一致するようになっている。
【0022】
本実施形態の地山補強管接続用治具1を用いて地山補強工法を行う場合、例えばドリルジャンボのアームに取り付けられたガイドセル11を有し、ガイドセル11上に削孔機械13が前進後退自在に搭載されている削孔装置を用いる(図4参照)。このガイドセル11上には削孔機械13に装着された鋼管等の地山補強管を下側から支持するためのセントラライザーが設けられており、図示例では、ガイドセル11の先頭位置に固定セントラライザー12が固定され、ガイドセル11上の所定領域を前進後退するように移動セントラライザー14が設けられている。削孔機械13は後退位置A1と前進位置A2の間で前進後退し、移動セントラライザー14は同速ではないが削孔機械13の動きに連動して、後退位置B1と前進位置B2の間で前進後退する。
【0023】
尚、図示省略するが、地山補強管の内部には削孔ロッドが挿入されており、削孔ロッドの先頭にある削孔ビットが、先頭の地山補強管の先でケーシングシューを介して先頭の地山補強管に係合されている。この係合は削孔機械の正転によって係合し、逆転によって離脱するようになっている。即ち、地山100に既に打設されている第1の地山補強管110が先頭管である場合には、第1の地山補強管110の先端部で削孔ビットに係合されていると共に、第1の地山補強管110に削孔ロッドが内挿されている状態となる。
【0024】
地山補強管接続用治具1は、ガイドセル11の先頭で搭載される地山補強管を下から支持する固定セントラライザー12に掛止フック33で掛止され、固定セントラライザー12に上から被せるように装着される。このように装着された地山補強管接続用治具1では、例えば第1の支持部2の第1の切欠凹部21は凹側が上向きになるように配置され、第2の支持部3の第2の切欠凹部31a、31bは凹側が下向きになるように配置され、ガイドセル11上に搭載される第2の地山補強管120等の地山補強管は、固定セントラライザー12と第2の支持部3の第2の切欠凹部31a、31bとで周囲が拘束されて位置決めされるようになっている。また、第1の支持部2は、既に打設された第1の地山補強管110を下側から支持できるように、ガイドセル11の先端から突出する位置に配置される。
【0025】
そして、既に打設した第1の地山補強管110に第2の地山補強管120を接続する場合、第1の地山補強管110が根元近くまで地山100及び鏡面吹付コンクリート101の削孔102に入ったところで、第2の地山補強管120を搭載したガイドセル11を、地山補強管接続用治具1の第2の支持部3に第2の地山補強管120の先端近傍を支持させた状態で近づけて、下から上に持ち上げる(図5(a)参照)。地山補強管接続用治具1の第1の支持部2を打設済の第1の地山補強管110に移動して係合し、第1の地山補強管110を支持させた状態にすると、第1の地山補強管110の軸心とガイドセル11上で第2の支持部3で支持されている第2の地山補強管120の軸心とが一致する(図5(b)参照)。
【0026】
次いで、図5(c)、図4(b)に示すように、ガイドセル11上で削孔機械13を前進させて第2の地山補強管120の先端部を第1の地山補強管110の後端部に押し込むと、軸心が一致する第1の地山補強管110と第2の地山補強管120が正確に接続される。尚、第1の地山補強管110、第2の地山補強管120は、先行する地山補強管に後続の地山補強管を押し込んで連結、接続する構造のものであり、例えば、第1の地山補強管110の後端部の外周に略C字形状に形成された係合部材130が外嵌合されている一方、第2の地山補強管120の先端部の内周に係合部材130が内側から嵌合される嵌合溝(図示省略)が形成され、第2の地山補強管120の先端部が第1の地山補強管110の後端部の外側に嵌めるように押し込まれて係合部材130が僅かに縮径され、係合部材130が第2の地山補強管110の溝位置で元の径に戻って嵌合溝に嵌合され、第1の地山補強管110と第2の地山補強管120が連結されるように構成される。
【0027】
本実施形態の地山補強管接続用治具1によれば、ガイドセル11上に第2の地山補強管120を搭載して第2の地山補強管120を第2の支持部3で支持した状態とし、この状態でガイドセル11を移動して第1の支持部2で第1の地山補強管110を支持すると、自動的に第1の地山補強管110と第2の地山補強管120の軸心が一致し、既に地山100に打設されている第1の地山補強管110に第2の地山補強管120をそのまま押し込んで接続可能な状態となる。従って、第1の地山補強管110が曲がってしまい、第2の地山補強管120を押し込んで連結、接続できない事態を無くくすことができると共に、地山補強管110、120の芯合わせ作業を非常に簡単且つ短時間で行うことが可能となり、地山補強の施工効率を向上することができる。
【0028】
また、第1の支持部2における第1の切欠凹部21の凹側と、第2の支持部3における第2の切欠凹部31a、31bの凹側とを逆向きに配設することにより、第2の切欠凹部31a、31bで第2の地山補強管120の先端部を第1の切欠凹部21側に押さえるように支持し、第1の切欠凹部21で支持されている第1の地山補強管110に対して、第2の地山補強管120の先端部が第1の切欠凹部21と逆側に浮き上がることを防止することができ、第1の支持部2で支持される第1の地山補強管110と第2の支持部3で支持される第2の地山補強管120の軸心をより確実に一致させ、芯出しすることができる。
【0029】
また、第2の支持部2として、間隔を開けて配置された第1の半円切欠板材30aと第2の半円切欠板材30bとで第2の地山補強管120の先端部を支持することにより、第2の地山補強管120の先端部の軸心の位置をより安定して定置することができる。
【0030】
また、地山補強管接続用治具1を掛止フック33で固定セントラライザー12に着脱自在に掛止することにより、同一の地山補強管接続用治具1を別のガイドセルや別のドリルジャンボに設置して使用することができ、汎用性を高めることができる。また、地山補強管接続用治具1が破損や劣化した場合の取替も容易となる。
【0031】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態、各例の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記内容や下記の更なる変形例も含まれる。
【0032】
例えば上記実施形態における地山補強管接続用治具1は、ガイドセル11の固定セントラライザー12に着雑自在に設置される構成としたが、本発明の地山補強管接続用治具は、ガイドセル11の固定セントラライザー12以外の部分に着脱自在に設置される構成としてもよく、又、ガイドセル11の先端部に固定されてガイドセル11の一部を構成するようにしてもよい。
【0033】
また、上記実施形態における第2の支持部3は、間隔を開けて配置される第1の半円切欠板材30a及び第2の半円切欠板材30bから構成したが、本発明における第2の支持部は、第2の地山補強管を位置決めするように支持するできるものであれが適宜の構成とすることが可能であり、例えば略半円状に切り欠かれた切欠凹部を有する単独の半円切欠板材だけで第2の支持部を構成することも可能である。
【0034】
また、地山補強管接続用治具1で芯合わせを行って接続、連結される地山補強管は、例えばトンネル掘削時に切羽前方地山を補強するための長尺先受け工や長尺鏡補強工等の補助工法用の接続鋼管等とすると好適であるが、トンネルのフットパイルやサイドパイルとして接続する接続鋼管等としてもよく、又、ガイドセル上に鋼管等の地山補強管を搭載して地山斜面に削孔打設する地山補強管の接続にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、例えばトンネル掘削工事において地山補強管を接続して地山に打設する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1…地山補強管接続用治具 2…第1の支持部 21…第1の切欠凹部 3…第2の支持部 30a…第1の半円切欠板材 30b…第2の半円切欠板材 31a、31b…第2の切欠凹部 32…第2の連結杆 33…掛止フック 4…連結杆 11…ガイドセル 12…固定セントラライザー 121…切欠凹部 13…削孔機械 14…移動セントラライザー 100…地山 101…鏡面吹付コンクリート 102…削孔 110…第1の地山補強管 120…第2の地山補強管 130…係合部材 A1…削孔機械の後退位置 A2…削孔機械の前進位置 B1…移動セントラライザーの後退位置 B2…移動セントラライザーの前進位置 201…地山 202…長尺鋼管 203…固結領域 204…長尺先受け工 205…長尺鋼管 206…長尺鏡補強工 207…ドリルジャンボ 208…削孔アーム 209…ガイドセル 210…削孔機械 211…切羽 212…固定セントラライザー 213…移動セントラライザー 220、220a、220b…鋼管 T…トンネル空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7