IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社人機一体の特許一覧

<>
  • 特開-ロボットのハンド機構 図1
  • 特開-ロボットのハンド機構 図2
  • 特開-ロボットのハンド機構 図3
  • 特開-ロボットのハンド機構 図4
  • 特開-ロボットのハンド機構 図5
  • 特開-ロボットのハンド機構 図6
  • 特開-ロボットのハンド機構 図7
  • 特開-ロボットのハンド機構 図8
  • 特開-ロボットのハンド機構 図9
  • 特開-ロボットのハンド機構 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041344
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】ロボットのハンド機構
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148664
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】515304190
【氏名又は名称】株式会社人機一体
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金岡 克弥
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS01
3C707ES04
3C707ET00
3C707EU07
3C707EV02
3C707EW11
3C707HS27
3C707MT04
3C707MT11
(57)【要約】
【課題】120°状態とされた3本の指の指先を一点で集めて比較的小さな対象物を把持できるハンド機構を提供する。
【解決手段】ハンド機構10Aは、所定の基準点を向くように基部20に固定された固定指11と、2本の旋回指12,13と、旋回指12,13と基部20との間に設けられ、XY平面内での旋回指12,13の旋回を可能とする指旋回機構30と、旋回指12,13と基部20との間に設けられ、旋回指12,13の向きを決定づける指方向決定機構34,36とを備える。120°状態において、旋回指12,13が基準点を向き、かつ固定指11と基準点とを結ぶ線、および旋回指12,13と基準点とを結ぶ線が同一の長さである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームに取り付けて使用されるハンド機構であって、
前記ロボットアームの先端に取り付けられる取付面を有する基部と、
所定の基準点を向くように前記基部に固定された固定指と、
2本の旋回指と、
前記2本の旋回指のそれぞれと前記基部との間に設けられ、前記取付面に平行な基準面内での前記旋回指の旋回を可能とする指旋回機構と、
前記2本の旋回指のそれぞれと前記基部との間に設けられ、前記旋回指の向きを決定づける指方向決定機構と、
を備え、
前記固定指および前記2本の旋回指は、
(1)前記2本の旋回指の間に前記固定指が位置するように、前記固定指および前記2本の旋回指が一列をなした0°状態と、
(2)前記固定指と前記基準点とを結ぶ線、および前記2本の旋回指のそれぞれと前記基準点とを結ぶ線が120°をなした120°状態と、
(3)前記2本の旋回指のそれぞれが、0°状態における前記2本の旋回指のそれぞれに正対した180°状態と
をとることができ、
前記120°状態において、前記旋回指が前記基準点を向き、かつ前記固定指と前記基準点とを結ぶ線、および前記旋回指と前記基準点とを結ぶ線が同一の長さである
ことを特徴とするハンド機構。
【請求項2】
前記指旋回機構は、
前記基部に固定された、前記基準面に垂直な方向に延びる出力軸を有するモータと、
一端および他端を有し、前記一端が減速機を介して前記出力軸に固定されるとともに、前記他端が前記旋回指に回動自在に連結された旋回アームと、
を含み、
前記出力軸は、0°状態とされた前記旋回指から延びる、前記固定指と前記基準点とを結ぶ線に平行な平行線上にあり、
前記指方向決定機構は、
前記基部に回動自在に連結されたガイドフラップと、
前記ガイドフラップに対して摺動自在であり、かつ前記旋回指に固定された摺動部と、
を含み、
前記ガイドフラップの回動軸は、120°状態とされた前記旋回指と前記基準点とを結ぶ線、および前記平行線の交点にある
ことを特徴とする請求項1に記載のハンド機構。
【請求項3】
前記基準点を向くように前記基部に固定された追加固定指をさらに備え、
前記追加固定指は、前記固定指に正対し、かつ前記固定指と前記基準点とを結ぶ線、および前記追加固定指と前記基準点とを結ぶ線が同一の長さである
ことを特徴とする請求項1または2に記載のハンド機構。
【請求項4】
前記基部は、前記ロボットアームの先端に旋回可能に取り付けられ、
前記基準点は、前記ロボットアームに対する旋回の旋回軸上にある
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のハンド機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットアームに取り付けて使用されるハンド機構に関し、特に、3本以上の指を備えたハンド機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的に応じて様々なハンド機構が使用されている。例えば、様々な大きさおよび形状の対象物を把持することを意図したハンド機構として、非特許文献1に記載のものが使用されている。
【0003】
図9に示すように、非特許文献1に記載のハンド機構100は、ロボットアームの先端に旋回可能に取り付けられる基部101と、基部101に固定された固定指102と、基部101の取付面(下面)に平行な面内で旋回し得るように該基部101に取り付けられた2本の旋回指103,104とを備えている。
【0004】
3本の指102,103,104は、図10に示すように、3本の指102,103,104が一列に並んだ0°状態、0°状態から2本の旋回指103,104をそれぞれ120°旋回させた120°状態、および120°状態から2本の旋回指103,104をそれぞれさらに60°旋回させた180°状態をとることができる。比較的小さな対象物を把持する場合は、120°状態が好適である。120°状態では、3本の指102,103,104の先端(指先)で対象物をつまむように把持することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“多目的ロボットハンド BarrettHand BH8-282”、[online]、日本バイナリー株式会社、[令和3年7月19日検索]、インターネット〈URL:http://www.nihonbinary.co.jp/Products/Robot/BarrettHand.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のハンド機構100は、120°状態とされた3本の指102,103,104を一律に曲げていった場合、3つの指先は一点で集まらない。これは、2本の旋回指103,104をどのように旋回させても、ロボットアームに対する基部101の旋回軸105について対称にならないことによる。このため、このハンド機構100では、3つの指先を一点で集めて比較的小さな対象物を把持させようとする場合、旋回指もしくは固定指、またはその両方の指開閉駆動機構に2自由度以上の自由度を持たせて、指の開閉具合を適宜調節しなければならない。これは、指の機構および制御を複雑化させる一因となる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、各指の指開閉駆動機構が1自由度しか持たない場合でも、120°状態とされた3本の指の指先を一点で集めて比較的小さな対象物を把持できるハンド機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る、ロボットアームに取り付けて使用されるハンド機構は、ロボットアームの先端に取り付けられる取付面を有する基部と、所定の基準点を向くように基部に固定された固定指と、2本の旋回指と、2本の旋回指のそれぞれと基部との間に設けられ、取付面に平行な基準面内での旋回指の旋回を可能とする指旋回機構と、2本の旋回指のそれぞれと基部との間に設けられ、旋回指の向きを決定づける指方向決定機構とを備え、固定指および2本の旋回指は、(1)2本の旋回指の間に固定指が位置するように、固定指および2本の旋回指が一列をなした0°状態と、(2)固定指と基準点とを結ぶ線、および2本の旋回指のそれぞれと基準点とを結ぶ線が120°をなした120°状態と、(3)2本の旋回指のそれぞれが、0°状態における2本の旋回指のそれぞれに正対した180°状態とをとることができ、120°状態において、旋回指が基準点を向き、かつ固定指と基準点とを結ぶ線、および旋回指と基準点とを結ぶ線が同一の長さであることを特徴とする。
【0009】
上記ハンド機構の指旋回機構は、例えば、基部に固定された、基準面に垂直な方向に延びる出力軸を有するモータと、一端および他端を有し、一端が減速機を介して出力軸に固定されるとともに、他端が旋回指に回動自在に連結された旋回アームとを含み、出力軸は、0°状態とされた旋回指から延びる、固定指と基準点とを結ぶ線に平行な平行線上にある、との構成をとることができる。
【0010】
上記ハンド機構の指方向決定機構は、例えば、基部に回動自在に連結されたガイドフラップと、ガイドフラップに対して摺動自在であり、かつ旋回指に固定された摺動部とを含み、ガイドフラップの回動軸は、120°状態とされた旋回指と基準点とを結ぶ線、および平行線の交点にある、との構成をとることができる。
【0011】
上記ハンド機構は、基準点を向くように基部に固定された追加固定指をさらに備え、追加固定指は、固定指に正対し、かつ固定指と基準点とを結ぶ線、および追加固定指と基準点とを結ぶ線が同一の長さである、との構成を有していてもよい。
【0012】
上記ハンド機構の基部は、ロボットアームの先端に旋回可能に取り付けられてもよい。この場合は、ロボットアームに対する旋回の旋回軸上に基準点を設定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、120°状態とされた3本の指の指先を一点で集めて比較的小さな対象物を把持できるハンド機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に係るハンド機構の120°状態における斜視図である。
図2】本発明の実施例に係るハンド機構の0°状態における斜視図である。
図3】本発明の実施例に係るハンド機構の180°状態における斜視図である。
図4】本発明の実施例に係るハンド機構の分解斜視図である。
図5】本発明の実施例に係るハンド機構を構成する主要部材の位置関係を示す模式平面図であって、(A)は0°状態における模式平面図、(B)は120°状態における模式平面図、(C)は180°状態における模式平面図である。
図6】本発明の実施例に係るハンド機構の平面図であって、(A)は0°状態における平面図、(B)は120°状態における平面図、(C)は180°状態における平面図である。
図7】本発明の第1変形例に係るハンド機構の斜視図である。
図8】本発明の第2変形例に係るハンド機構の斜視図である。
図9】従来のハンド機構の斜視図である。
図10】従来のハンド機構の旋回動作を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係るハンド機構の実施例について説明する。
【0016】
[実施例]
図1図4に、3本の同一構造の指(固定指11、および2本の旋回指12,13)を備えた、本発明の実施例に係るハンド機構10Aを示す。ハンド機構10Aは、旋回軸R1まわりの旋回が可能となるように不図示のロボットアームの先端に取り付けて使用される。ハンド機構10Aは、図1図6(B)に示した120°状態の他、図2図6(A)に示した0°状態、および図3図6(C)に示した180°状態をとることができる。
【0017】
図1に示すように、ハンド機構10Aは、旋回軸R1を含むYZ平面に対して面対称な形状を有する基部20を備えている。基部20は、XY平面に平行な取付面20aと、2つのモータ収容室21,21とを有している。各モータ収容室21には、Z方向に延びた出力軸R2(図4参照)まわりに回転可能な出力部を有するモータが収容されている。そして、各モータの出力部には、適当な減速機22が設けられている。
【0018】
ハンド機構10Aは、その上端において固定指11を回動可能に支持する略板状の固定指支持部23をさらに備えている。固定指11は、旋回軸R1の方を向いており、固定指支持部23の外向きの主面に設けられた固定指開閉駆動機構24の作用により固定指支持部23に対して回動する。言い換えると、固定指11は、固定指開閉駆動機構24の作用により開いたり閉じたりする。本実施例では、固定指開閉駆動機構24の自由度は1である。
【0019】
なお、本明細書では、固定指11と固定指支持部23とを組み合わせたものを「固定指」と呼ぶことがある。
【0020】
ハンド機構10Aは、XY平面内で延びた2つの旋回アーム30,30をさらに備えている。各旋回アーム30は、一端および他端を有し、一端が減速機22を介してモータの出力部に固定されるとともに、他端が後述する連結部33(旋回指支持部31)に回動自在に連結されている。つまり、各旋回アーム30は、基部20に対して出力軸R2まわりに旋回可能であるとともに、連結部33(旋回指支持部31)に対して回動軸R3(図4参照)まわりに回動自在となっている。
【0021】
モータがある方向に回転すると、その回転量と減速機22の減速比に応じた角度だけ旋回アーム30がXY平面内で旋回し、3本の指11,12,13の位置関係(状態)が0°状態→120°状態→180°状態のように変化していく。一方、モータが逆の方向に回転すると、その回転量と減速比に応じた角度だけ旋回アーム30がXY平面内で旋回し、3本の指11,12,13の位置関係が180°状態→120°状態→0°状態のように変化していく。
【0022】
ハンド機構10Aは、その上端において旋回指12を回動可能に支持する略板状の旋回指支持部31をさらに備えている。旋回指支持部31は、その内向きの主面から突き出た連結部33を有し、この連結部33によって旋回アーム30に回動自在に連結されている。旋回指12は、旋回指支持部31の外向きの面に設けられた旋回指開閉駆動機構32の作用により旋回指支持部31に対して回動する。言い換えると、旋回指12は、旋回指開閉駆動機構32の作用により開いたり閉じたりする。本実施例では、旋回指開閉駆動機構32の自由度は1である。
【0023】
当然ながら、ハンド機構10Aは、その上端において旋回指13を回動可能に支持する略板状の旋回指支持部31も備えている。
【0024】
なお、本明細書では、旋回指12と旋回指支持部31とを組み合わせたもの、および旋回指13と旋回指支持部31とを組み合わせたものを「旋回指」と呼ぶことがある。
【0025】
ハンド機構10Aは、Z方向に延びた2つの略板状のガイドフラップ36,36をさらに備えている。各ガイドフラップ36は、その一方の主面から突き出た2つの連結部37,38を有し(図4参照)、これらによって基部20に回動自在に連結されている。つまり、各ガイドフラップ36は、基部20に対して回動軸R4(図4参照)まわりに回動自在となっている。また、各ガイドフラップ36は、上記一方の主面に沿って延びた2本の平行なガイド棒35,35をさらに有している。2本のガイド棒35,35は、その両端部においてガイドフラップ36の主面に固定されている。
【0026】
ハンド機構10Aは、2つの摺動部34,34をさらに備えている。各摺動部34は、2つの貫通したトンネル34a,34aを有し、これらにガイド棒35,35が挿入されることによりガイド棒35,35に沿って摺動自在となっている。また、各摺動部34の連結部37,38に近い方の端部には、互いに直角をなすように旋回指支持部31が固定されている。これにより、旋回指支持部31に支持された旋回指12,13は、摺動部34の摺動方向(すなわち、ガイド棒35,35の延伸方向)と同一の方向を常に向くようになっている。
【0027】
続いて、特に図5を参照しながら、ハンド機構10Aの設計方法について説明する。なお、同図中の固定指11には、固定指支持部23および固定指開閉駆動機構24が含まれるものとする。同図中の旋回指12,13には、旋回指支持部31、旋回指開閉駆動機構32、連結部33および摺動部34が含まれるものとする。また、同図中のガイドフラップ36には、ガイド棒35,35および連結部37,38が含まれるものとする。
【0028】
第1工程:基部20、固定指11および旋回指12,13の実際の寸法を決定する。
【0029】
第2工程:旋回軸R1を中心とした円Cを描く。このとき、円Cの大きさを実際の基部20の寸法に対応させる。なお、旋回軸R1の位置は、本発明の「基準点」に相当する。
【0030】
第3工程:円Cに接するように固定指11を描く。このとき、固定指11の幅方向寸法Wを実際の寸法に対応させる。
【0031】
第4工程:0°状態を想定して、固定指11の両隣に旋回指12,13を描く。このとき、旋回指12,13の幅方向寸法Wを固定指11の幅方向寸法Wと同一とする。
【0032】
第5工程:0°状態とされた旋回指12,13の幅方向中央を0°状態における回動軸R3の位置とするとともに(図5(A)参照)、この位置(R3)から延びる、線L1に平行な2本の平行線L2,L2を描く。
【0033】
第6工程:基準点(R1)を通る、線L1に対して120°をなす2本の線L3,L3を描く。
【0034】
第7工程:線L3と円Cとの交点を120°状態における回動軸R3の位置とするとともに(図5(B)参照)、線L3と線L2との交点を回動軸R4の位置とする。
【0035】
第8工程:0°状態における回動軸R3の位置からの距離と120°状態における旋回軸R3の位置からの距離とが等しくなるような線L2上の点を出力軸R2の位置とする。
【0036】
第9工程:回動軸R2の位置と回動軸R3の位置との間の距離に基づいて旋回アーム30の寸法を決定する。
【0037】
このようにして出力軸R2および回動軸R3,R4の位置を決定すれば、120°状態において、3本の指11,12,13が基準点(R1)の方を向き、かつ基準点(R1)から各指11,12,13までの距離が等しくなる(図5(B)参照)。すなわち、上記第1~9工程によれば、120°状態において、対象物を旋回軸R1上でつまむように把持することが可能なハンド機構10Aを実現することができる。
【0038】
図6は、図5に対応するハンド機構10A(ただし、3本の指11,12,13は省略されている)の平面図である。同図から理解されるように、本実施例では、モータ、減速機および旋回アーム30によって、取付面20aに平行な面内での旋回指12,13の旋回が実現されている。このため、本実施例では、モータ、減速機および旋回アーム30が「指旋回機構」に相当する。また、本実施例では、基部20に対して旋回アーム30がどの程度旋回したのかによってではなく、基部20に対してガイドフラップ36がどの程度回動したのかによって旋回指12,13の向きが決定づけられる。このため、本実施例では、ガイドフラップ36およびこれに沿って摺動する摺動部34が「指方向決定機構」に相当する。
【0039】
[第1変形例]
以上、本発明に係るハンド機構の実施例について説明してきたが、本発明に係るハンド機構はこれに限定されるものではなく、図7に示すハンド機構10Bのような構成を有していてもよい。
【0040】
本変形例に係るハンド機構10Bは、3本の同一構造の指(固定指11、および2本の旋回指12,13)を備え、旋回軸R1まわりの旋回が可能となるように不図示のロボットアームの先端に取り付けて使用される。
【0041】
図7に示すように、ハンド機構10Bは、旋回軸R1を含むYZ平面に対して面対称な形状を有する基部40と、その上端において固定指11を支持する固定指支持部41と、その上端において旋回指12,13を支持する2つの旋回指支持部42と、2つのガイド棒44,44と、XY平面に平行な表面50aを有するガイド板50とを備えている。図示を省略しているが、ハンド機構10Bは、固定指支持部41に設けられた固定指開閉駆動機構、および旋回指支持部42に設けられた旋回指開閉駆動機構も備えている。
【0042】
各ガイド棒44は、連結部43を有し、この連結部43によって基部40に対して回動自在に連結されている。つまり、各ガイド棒44は、基部20に対して回動軸R4まわりに回動自在となっている。
【0043】
ガイド板50は、表面50aに形成された2つのガイド溝51,51を有している。各ガイド溝51の円弧形状は、実施例に係るハンド機構10Aにおいて、旋回指12,13を0°状態から180°状態まで旋回させたときの回動軸R3の軌跡と同一である(図5参照)。各ガイド溝51の円弧形状は、回動軸R2を中心とした中心角180°の円弧であるとも言える。各ガイド溝51は、旋回指支持部42の下端に設けられた突起に係合して該突起を案内する。
【0044】
旋回指支持部42およびガイド棒44は、直動アクチュエータを構成している。つまり、旋回指支持部42は、ガイド棒44に沿って直動可能となっている。直動アクチュエータ(42,44)が作動して旋回指支持部42が回動軸R3から遠ざかると、ガイド棒44が回動軸R4まわりに回動しながら、旋回指支持部42がガイド溝51に沿って移動して固定指支持部41に近づいていく。一方、直動アクチュエータ(42,44)が作動して旋回指支持部42が回動軸R3に近づくと、ガイド棒44が回動軸R4まわりに回動しながら、旋回指支持部42がガイド溝51に沿って移動して固定指支持部41から遠ざかっていく。
【0045】
このように、本変形例では、直動アクチュエータ(42,44)が作動することにより、3本の指11,12,13の位置関係が変化する。なお、本変形例では、直動アクチュエータ(42,44)およびガイド溝51が「指旋回機構」に相当する。また、本変形例では、直動アクチュエータ(42,44)が「指方向決定機構」に相当する。
【0046】
実施例に係るハンド機構10Aと同様、本変形例に係るハンド機構10Bによれば、120°状態において、対象物を旋回軸R1上でつまむように把持することができる。
【0047】
[第2変形例]
本発明に係るハンド機構は、図8に示すハンド機構10Cのような構成を有していてもよい。
【0048】
本変形例に係るハンド機構10Cは、もうひとつの固定指14をさらに備えている点と、固定指14を支持する固定指支持部45をさらに備えている点と、基部40の形状が固定指支持部45の取り付けが可能な形状である点とにおいてハンド機構10Bと相違しているが、他の点においてはハンド機構10Bと共通している。固定指14は、固定指11に正対し、かつ旋回軸R1から固定指14までの距離が旋回軸R1から固定指11までの距離に等しく位置に設けられている。
【0049】
本変形例に係るハンド機構10Cによれば、120°状態とされた3本の指11,12,13と固定指14とを用いて、対象物を旋回軸R1上でつまむように把持することができる。
【0050】
[その他の変形例]
本発明に係るハンド機構は、ロボットアームに旋回不能に取り付けて使用されてもよい。また、固定指11,14および旋回指12,13のそれぞれは、1つ以上の関節を有していてもよい。また、固定指開閉駆動機構24および旋回指開閉駆動機構32は、2以上の自由度を有していてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10A,10B,10C ハンド機構
11 固定指
12,13 旋回指
20 基部
21 モータ収容室
22 減速機
23 固定指支持部
24 固定指開閉駆動機構
30 旋回アーム
31 旋回指支持部
32 旋回指開閉駆動機構
33 連結部
34 摺動部
35 ガイド棒
36 ガイドフラップ
37,38 連結部
40 基部
41 固定指支持部
42 旋回指支持部
43 連結部
44 ガイド棒
45 固定指支持部
50 ガイド板
51 ガイド溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10