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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041364
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20230316BHJP
   B65D 77/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B65D77/20 A
B65D77/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148703
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】591007295
【氏名又は名称】株式会社アプリス
(71)【出願人】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】田邉 敦士
(72)【発明者】
【氏名】三堂地 広晶
(72)【発明者】
【氏名】甘利 明敏
(72)【発明者】
【氏名】井上 昌大
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB16
3E067AB18
3E067AC01
3E067BA10A
3E067BB01A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067BC07A
3E067CA07
3E067EA17
3E067FC01
3E067GA01
(57)【要約】
【課題】紙製の台座を備える容器であっても、被せ蓋と台座の嵌合の確実性を向上させた容器を提供する。
【解決手段】この容器1は、内容物4が載置される紙製の台座2と、台座2に被せられるプラスチック製の被せ蓋3とを備えるようにした。被せ蓋3は、蓋内側の空間に突出する蓋側突起部39を有する。台座2は、台座平面部21と台座側面23と開口部26とを有する。台座平面部21は内容物4が載置される。台座側面23は台座平面部21の下方に延びる。開口部26は、台座平面部21の裏面212の高さを上限として台座側面23に拡がる。台座2と被せ蓋3とは、開口部26の直上の台座平面部21の裏面212に蓋側突起部39が引っ掛かる嵌合構造を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が載置される紙製の台座と、
前記台座に被せられるプラスチック製の被せ蓋と、
を備え、
前記被せ蓋は、蓋内側の空間に突出する蓋側突起部を有し、
前記台座は、
前記内容物が載置される台座平面部と、
前記台座平面部の下方に延びる台座側面と、
前記台座平面部の裏面の高さを上限として、前記台座側面に拡がり、前記台座側面の表裏を貫く開口部と、
を有し、
前記台座と前記被せ蓋とは、前記開口部の直上の前記台座平面部の裏面に前記蓋側突起部が引っ掛かる嵌合構造を有すること、
を特徴とする容器。
【請求項2】
前記台座側面は、台座長側面と台座短側面とを有し、
前記台座長側面は、前記台座短側面よりも前記台座側面の周方向に相対的に幅広であり、
前記台座短側面は、前記台座長側面よりも前記台座側面の周方向に相対的に幅狭であり、
前記開口部は、前記台座短側面に形成されていること、
を特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記台座平面部と前記台座短側面とは完全に断絶し、
前記開口部は、前記台座短側面の横幅全域に拡がっていること、
を特徴とする請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記台座平面部は、前記開口部の直上に、当該開口部の上端よりも外方に延出する鍔部を有すること、
を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の容器。
【請求項5】
前記開口部は、複数の前記台座をスタックしたときに、上下の前記台座の前記台座平面部間に発生した空間部に収まる大きさを有すること、
を特徴とする請求項4記載の容器。
【請求項6】
前記台座は、一枚の紙シートを成形して成り、
前記開口部の縁線は、前記紙シートの外形線の一部であること、
を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の容器。
【請求項7】
前記台座は、前記台座側面の裾側に、前記台座側面から外方に突出する台座側突起部を有すること、
を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の容器。
【請求項8】
前記台座側突起部は、前記開口部の下方に突出すること、
を特徴とする請求項7記載の容器。
【請求項9】
前記被せ蓋は、相対的に長い長側面と短い短側面とを有し、
前記蓋側突起部は、前記短側面に形成されていること、
を特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の容器。
【請求項10】
前記被せ蓋は、前記蓋側突起部の上方又は下方に位置し、前記短側面を高さ方向途中で区切るとともに、当該短側面に対して直角又は斜め方向に傾斜するリブ面を備えること、
を特徴とする請求項9記載の容器。
【請求項11】
前記蓋側突起部を有する前記短側面は、両側又は片側で前記長側面と連接し、
前記被せ蓋は、前記蓋側突起部を有する前記短側面と当該短側面と連接する前記長側面との境界に沿って延びるリブ線を有すること、
を特徴とする請求項9又は10の何れかに記載の容器。
【請求項12】
前記被せ蓋は、下端に上方へ反り上がる反り返し部を有すること、
を特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
内容物を台座に載せ、被せ蓋で内容物を収容した容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を乗せた台座に被せ蓋を被せて成る容器がある。このような容器は、例えば、背が低く、平面視で三角形や四角形を含む多角形の台座、及び背が高く、透明な被せ蓋を有する。台座にはカットケーキや大福等の内容物を載せられ、被せ蓋を通して内容物の全体像が視認可能になっている。
【0003】
従来より、容器の台座も被せ蓋もプラスチックで作製されていた。プラスチック製の台座及び被せ蓋には突起が設けられており、樹脂が有する高弾性の特性を利用して両突起を嵌合させていた。これにより、被せ蓋から内容物を載せた台座が外れ、内容物が落体してしまうことを抑制していた。
【0004】
近年、化学的に安定な物質であるために自然分解し難いプラスチックの使用が環境問題となっている。そのため、この容器に使用されるプラスチックの減量が要望される。そこで、このような容器は、透明性を確保するため合成樹脂又はバイオマスプラスチックの被せ蓋と、紙製の台座とにより構成することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6-27662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
紙製の台座は、紙シートを折り曲げ加工したり、隣接側面の一方に糊代を設けて貼り合わせたりして、成形される。プラスチックの成形精度と比べると、紙の折り曲げ精度や貼り合わせの位置決め精度は低い。そのため、プラスチックの被せ蓋側と紙製の台座に設けた嵌合構造が合わず、または嵌まり込みが浅く、台座と被せ蓋が十分に嵌合しない虞がある。最悪の場合、被せ蓋と台座とが外れて内容物が落体してしまう。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、紙製の台座を備える容器であっても、被せ蓋と台座の嵌合の確実性を向上させた容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の実施形態に係る容器は、内容物が載置される紙製の台座と、前記台座に被せられるプラスチック製の被せ蓋と、を備え、前記被せ蓋は、蓋内側の空間に突出する蓋側突起部を有し、前記台座は、前記内容物が載置される台座平面部と、前記台座平面部の下方に延びる台座側面と、前記台座平面部の裏面の高さを上限として、前記台座側面に拡がり、前記台座側面の表裏を貫く開口部と、を有し、前記台座と前記被せ蓋とは、前記開口部の直上の前記台座平面部の裏面に前記蓋側突起部が引っ掛かる嵌合構造を有すること、を特徴とする。
【0009】
前記台座側面は、台座長側面と台座短側面とを有し、前記台座長側面は、前記台座短側面よりも前記台座側面の周方向に相対的に幅広であり、前記台座短側面は、前記台座長側面よりも前記台座側面の周方向に相対的に幅狭であり、前記開口部は、前記台座短側面に形成されているようにしてもよい。
【0010】
前記台座平面部と前記台座短側面とは完全に断絶し、前記開口部は、前記台座短側面の横幅全域に拡がっているようにしてもよい。
【0011】
前記台座平面部は、前記開口部の直上に、当該開口部の上縁よりも外方に延出する鍔部を有するようにしてもよい。
【0012】
前記開口部は、複数の前記台座をスタックしたときに、上下の前記台座の前記台座平面部間に発生した空間部に収まる大きさを有するようにしてもよい。
【0013】
前記台座は、一枚の紙シートを成形して成り、前記開口部の縁線は、前記紙シートの外形線の一部であるようにしてもよい。
【0014】
前記台座は、前記台座側面の裾側に、前記台座側面から外方に突出する台座側突起部を有するようにしてもよい。
【0015】
前記台座側突起部は、前記開口部の下方に突出するようにしてもよい。
【0016】
前記被せ蓋は、相対的に長い長側面と短い短側面とを有し、前記蓋側突起部は、前記短側面に形成されているようにしてもよい。
【0017】
前記被せ蓋は、前記蓋側突起部の上方又は下方に位置し、前記短側面を高さ方向途中で区切るとともに、当該短側面に対して直角又は斜め方向に傾斜するリブ面を備えるようにしてもよい。
【0018】
前記蓋側突起部を有する前記短側面は、両側又は片側で前記長側面と連接し、前記被せ蓋は、前記蓋側突起部を有する前記短側面と当該短側面と連接する前記長側面との境界に沿って延びるリブ線を有するようにしてもよい。
【0019】
前記被せ蓋は、下端に上方へ反り上がる反り返し部を有するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、紙製の台座を備える容器であっても、被せ蓋と台座との嵌合の確実性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】容器の分解図である。
図2】被せ蓋の内側を示す底面図である。
図3】被せ蓋の斜視図である。
図4】台座の上面側斜視図である。
図5】台座の側面側斜視図である。
図6】台座の断面図である。
図7】台座に成形される紙シートの展開図である。
図8】被せ蓋と台座の嵌合構造を示す第1の断面図である。
図9】被せ蓋と台座の嵌合構造を示す第2の断面図である。
図10】被せ蓋を台座に被せる過程を示す遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(全体構成)
本発明の実施形態に係る容器について図面を参照しつつ詳細に説明する。各図面においては、理解容易のため、厚み、寸法、位置関係、比率又は形状等を強調して示している場合があり、本発明は、それら強調に限定されるものではない。以下、容器の底側を下方又は下側といい、天面側を上方又は上側という。また、上下方向に直交する方向を水平という。
【0023】
図1は、容器1の分解斜視図である。容器1は、手に持って搬送可能な可搬容器であり、これに限られないが、例えばカットケーキや大福等の食品を内容物4として収容している。この容器1は、台座2と被せ蓋3を備えている。台座2は、内容物4を載置する台である。被せ蓋3は、内容物4が載置された台座2に覆い被さり、内容物4を収容するケースである。
【0024】
被せ蓋3は内部が視認可能な透明性を有し、内容物4の全体像は、容器1の外部から視認可能になっている。この被せ蓋3はヘイズ値の低いプラスチック製である。例えば、被せ蓋3は、石油系のプラスチック、バイオマスプラスチック、生分解性プラスチック、またはこれらの混合により成型されている。
【0025】
石油系のプラスチックとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート又はポリスチレン等が挙げられる。バイオマスプラスチックとしては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のバイオポリオレフィンが挙げられる。生分解性プラスチックとしては、ポリ乳酸、デンプン樹脂、又はポリヒドロキシアルカン酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリブチレンサクシネート若しくはポリエチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステルや芳香族ポリエステルが挙げられる。
【0026】
一方、台座2は紙製である。例えば、この台座2は、広葉樹パルプ若しくは針葉樹パルプ等の木材パルプ、ワラパルプ若しくはバガスパルプ等の非木材パルプ、または新聞紙古紙若しくは上質古紙等の古紙パルプにより成る。これらパルプを波形シートの両面にライナーシートを貼り合わせた両面段ボール、又は波形シートの片面にライナーシートを貼り合わせた片面段ボール等に加工し、これら段ボールから台座2が成形される。
【0027】
この台座2は、台座平面部21と台座側面23とによって形作られている。台座平面部21は、内容物4が乗る平坦面である。内容物4の側面を大きく覆い隠さなければ、内容物4の支持等のために背の低い規制片を台座平面部21に立設し、内容物4の下端周囲を覆ってもよい。台座2は、この台座平面部21を上面とし、台座側面23が末広がりに拡がる上げ底となっており、概略角錐台形状を有している。即ち、台座側面23は、台座平面部21の辺縁1周に亘って存在し、台座2の外方へ向けて斜め下方に傾斜している。
【0028】
被せ蓋3は、天面31と蓋側面32とによって形作られている。天面31は、台座平面部21に対向する平面である。被せ蓋3は、この天面31を上面とする概略角錐台形状を有する。即ち、蓋側面32は、天面31の周縁全域から延出し、被せ蓋3の外方へ向けて斜め下方へ延びる。蓋側面32により囲まれる底面開口の間口は、縦横共に台座2の台座平面部21よりも広い。これにより、被せ蓋3は台座2に覆い被さる。
【0029】
台座2と被せ蓋3とは、被せ蓋3の蓋側面32の内面と台座2の台座側面23の外面とが接触又は近接する寸法関係を有する。そして、台座2には台座側面23に台座側嵌合部28が形成されている。被せ蓋3には蓋側面32の内側に蓋側突起部39が形成されている。被せ蓋3が台座2に被せられたとき、この台座側嵌合部28と蓋側突起部39とが嵌合し、被せ蓋3は台座2に対して外嵌合する。
【0030】
(被せ蓋)
このような被せ蓋3について更に詳述する。図2及び図3は、台座2と外嵌合する被せ蓋3を示す図であり、図2は被せ蓋3の内側を示す底面図であり、図3は斜視図である。
【0031】
図2及び図3に示すように、被せ蓋3の蓋側面32は、八角形であり、4枚の蓋長側面33と4枚の蓋短側面34とを有する。4枚の蓋長側面33と4枚の蓋短側面34は、蓋側面32の周方向に1枚ずつ交互に配設され、1周に亘って連続する。蓋長側面33は蓋短側面34よりも周方向に沿って相対的に幅広であり、蓋短側面34は蓋長側面33よりも周方向に沿って相対的に幅狭である。4枚の蓋長側面33は同形同大であり、4枚の蓋短側面34は同形同大である。
【0032】
図2に示すように、蓋側突起部39は、4枚の蓋短側面34の内表面から被せ蓋3の内部空間に向けて突出している。全ての蓋側突起部39は、被せ蓋3の同じ高さに並び、同形同大の形状を有する。各蓋側突起部39は、蓋短側面34の周方向に沿って長く延びている。突出形状は、突出方向に沿った断面視で何れの形状であってもよく、例えば三角形若しくは四角形その他の多角形、又は半円若しくは半楕円その他の円弧形状である。
【0033】
図3に示すように、蓋側突起部39が形成されている蓋短側面34は、リブ面35によって高さ方向の途中で区切られている。このリブ面35は、蓋側突起部39よりも天面31側である上方に位置し、蓋短側面34の横幅全域に亘って横断している。このリブ面35は、蓋短側面34に対して直角又は斜めに傾斜している。換言すると、被せ蓋3の蓋側面32は、蓋下端341から上方へ向けて拡がり、被せ蓋3の内側へ向けて屈曲し、水平又は大きな傾斜角で拡がり、再度傾斜角を元に戻して天面31に繋がる。
【0034】
このリブ面35は、蓋短側面34を補強すると共に、天面31から被せ蓋3の裾まで続く蓋短側面34を区切り、蓋側突起部39が形成されている蓋短側面34を高さ方向において短縮化することで、蓋側突起部39が形成されている蓋短側面34の領域の撓み易さを低下させている。リブ面35は、好ましくは、蓋側突起部39の近傍に延在し、蓋側突起部39が形成されている領域を更に撓み難くする。蓋側突起部39の近傍としては、蓋側突起部39の上端とリブ面35との差が6mm以内であることが好ましい。
【0035】
尚、リブ面35は、被せ蓋3を一周するように形成されており、蓋短側面34のみならず、蓋長側面33も高さ方向において区切っている。このリング状のリブ面35は、何れの位置も同一高さを基端とし、同一傾斜角を有し、同一の奥行き幅を有する。
【0036】
更に、蓋短側面34と蓋長側面33との境界には、当該境界に沿ってリブ線36が延在している。リブ線36は、被せ蓋3の蓋側面32から膨出している。リブ線36は、蓋短側面34の下端から上端まで延び、更に蓋短側面34とリブ面35との境界を通り越して、リブ面35の奥まで延びている。各リブ線36の太さ、突出長、長さ及び太さは同一である。
【0037】
このリブ線36は、蓋短側面34を補強すると共に、蓋長側面33の撓みが、蓋側突起部39が形成されている蓋短側面34に波及しないように、蓋短側面34と蓋長側面33とを区切る。このリブ線36は、リブ面35にまで延びるように屈曲することで、強度を増している。
【0038】
また、被せ蓋3の蓋下端341には、上方へ反り上がる反り返し部37が形成されている。反り返し部37は、蓋側面32の周縁全周に亘って無端状に延在し、蓋側面32全体に対して撓み易さを低下させるように補強している。
【0039】
(台座)
次に台座2について詳述する。図4乃至6は、台座2を示す図であり、図4は台座2を上方側から見た斜視図、図5は台座2を側面から見た斜視図、図6は台座2の台座短側面25を高さ方向に沿って切った断面図である。図7は台座2に成形される紙シート29の展開図である。
【0040】
図4に示すように、台座平面部21は、8角形であり、4つの長辺部213と4つの短辺部214の計8辺を有する。4つの長辺部213と4つの短辺部214は、1辺ずつ交互に配設されている。長辺部213は、短辺部214よりも相対的に長く、短辺部214は長辺部213よりも相対的に短い。4つの長辺部213の長さは同一であり、4つの短辺部214の長さは同一である。
【0041】
台座側面23は、台座平面部21の各長辺部213及び各短辺部214の直下に拡がっている。即ち、台座側面23は、4つの長辺部213の直下に拡がる4面の台座長側面24と、4つの短辺部214の直下に拡がる4面の台座短側面25とを有する。そして、4枚の台座長側面24と4枚の台座短側面25とは、台座2の周方向に沿って1枚ずつ交互に配設されて、1周に亘って連続する。
【0042】
全台座長側面24と全台座短側面25の下端は、台座平面部21と平行な一面上に延びる。台座2を水平面に載置したとき、台座長側面24と載置面との間、及び台座短側面25と載置面との間に、隙間は生じない。台座長側面24は、下端から台座平面部21の長辺部213まで上方に拡がり、台座平面部21と接続している。台座長側面24の上方の辺は端から端まで台座平面部21の長辺部213と共通している。
【0043】
一方、台座短側面25の上端は、台座平面部21の短辺部214よりも低い位置にあり、台座短側面25は台座平面部21の短辺部214に未達であり、台座短側面25と台座平面部21の短辺部214とは断絶している。即ち、台座平面部21と台座短側面25との間には、開口部26が形成されている。換言すると、この開口部26は、台座平面部21の裏面212の高さを上限として拡がる。そして、この開口部26からは、台座平面部21の裏面212が見える。
【0044】
この開口部26から見える台座平面部21の裏面212と開口部26とを合わせて、台座2の台座側嵌合部28として機能する。即ち、台座側嵌合部28は、台座平面部21の裏面212の高さを上限として台座短側面25に拡がる開口部26と、開口部26から見える台座平面部21の裏面212とを備えている。蓋側突起部39が開口部26から台座2の内側領域に侵入し、台座平面部21の裏面212に引っ掛かることで、被せ蓋3は台座2に対して外嵌合する。そのため、開口部26は、蓋側突起部39の周方向長さと同一か若干長く、蓋側突起部39の高さ方向の厚みと同一幅か若干幅広である。
【0045】
図5及び図6に示すように、開口部26の直上には鍔部22が延びている。この鍔部22は、台座平面部21の短辺部214から台座2の外側へ、台座平面部21を延長して水平に延びている。鍔部22は、開口部26の上端よりも台座2の外側へ延出する。換言すると、図4に示すように、短辺部214を挟んで隣り合う長辺部213の端部221同士を結んで出来る仮想の短辺線222を考える。短辺部214は、この短辺線222よりも台座2の外側に延長されている。鍔部22は、この短辺線222よりも外側の範囲の延長領域である。鍔部22の延出長Db(図7参照)としては、短辺線222から先端まで1mm程度が好ましい。
【0046】
この鍔部22の存在により、蓋側突起部39を台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛けることができる。もっとも、蓋側突起部39は鍔部22のみに引っ掛かるようにしてもよい。尚、この鍔部22が形成される場合、開口部26の高さ方向に沿った幅Dh(図7参照)は、スタックされた上下の台座2の台座平面部21間の空間部の全高よりも短くすることが好ましい。これにより、台座2の内側にスタックされた他の台座2の鍔部22が外側の台座2の開口部26に引っ掛かることを抑制できる。そのため、スタックから台座2を取り出すことが容易となり、生産効率が高まる。
【0047】
更に、図5及び図6に示すように、台座長側面24には台座側突起部27が延設されている。この台座側突起部27は、台座長側面24の側端部から台座短側面25の前に突き出すように延出している。即ち、台座側突起部27は、台座短側面25と直交する方向であって、台座2の外側から見たとき、台座短側面25の一部範囲と重なっている。台座短側面25の前には、両側から台座側突起部27が延出している。この台座側突起部27は、高さ方向において、台座2の下端から開口部26の下端に及ばない低い位置まで拡がる。
【0048】
この台座側突起部27は、各台座側嵌合部28の開口部26の下方に配されている。この台座側突起部27に被せ蓋3の蓋下端341が引っ掛かることにより、被せ蓋3が台座2に対して傾いて被さることが是正され、また開口部26と蓋側突起部39との位置決め精度が高まり、全ての台座側嵌合部28に蓋側突起部39を引っ掛けることができる。台座側嵌合部28が4箇所以上存在する場合、台座側突起部27は、台座2の周方向に沿って円周等配位置で3箇所以上に配置するようにしてもよい。
【0049】
(製造工程)
図7は、このような台座2に成形される紙シート29の展開図である。図7に示すように、このような台座2は、一枚の紙シート29を折り曲げ加工して成形される。紙シート29の中心には、4辺の長辺部213と4辺の短辺部214を1辺ずつ交互に配置した概略8角形形状の台座平面部21が拡がっている。各長辺部213に台座長側面24が連接している。各短辺部214からは鍔部22が延出している。
【0050】
4辺のうちの対向2辺の台座長側面24は、台座短側面25が連接している。台座短側面25は、台座長側面24の両端に連接している。台座長側面24と台座短側面25との境界には、台座側突起部27に沿った切り込みが入れられている。また、台座短側面25と非連接の台座長側面24においても、側端辺から台座側突起部27が延出している。更に、各台座短側面25には糊代291が連接している。
【0051】
台座短側面25は、台座長側面24と台座平面部21が繋がる長辺部213の端部221から、台座長側面24の側端辺に沿って、開口部26の幅Dh分だけ空けた位置からを基端とし、台座長側面24の下端までの範囲で、台座長側面24から延出している。即ち、紙シート29の外形線292には、開口部26の開口縁線293の全線が含まれている。従って、紙シート29を折り曲げ加工するだけで開口部26は作出される。
【0052】
紙シート29を折り曲げ加工するだけで開口部26は作出されることで、紙シート29から開口部26で縁取られる紙片を切り取る必要はない。紙片を切り取って開口部26を作出する場合には、この紙片を吸い取り等の手段によって、紙シート29から除去する必要がある。紙片の除去に失敗した場合に備えて後工程に検査工程と人手による除去工程を必要とし、台座2の生産コストが上がり、また生産効率が落ちる。しかし、この台座2からは紙片を除去する必要がないので、生産コストを低減でき、また生産効率を向上させることができる。
【0053】
この紙シート29を用いた台座2の組立ては次の通りである。即ち、台座平面部21と台座長側面24の境界を、台座平面部21と台座長側面24とが規定角度になるように折り曲げる。また台座長側面24と台座短側面25との境界を、台座長側面24と台座短側面25とが規定角度になるように折り曲げる。糊代291を台座長側面24の裏面に規定の範囲及び規定の角度になりように位置決めして重ね、糊代291と台座長側面24とを糊付けする。これにより、台座2は組み立てられる。台座2は縦にスタックされ、内容物4を容器1で梱包する工場へ出荷される。
【0054】
図8は、被せ蓋3と台座2の嵌合構造を示す第1の断面図である。尚、図8では説明の都合上、内容物4を省いているが、実際は、台座2に内容物4を載置した状態で被せ蓋3を被せる。図8に示すように、台座2に内容物4を載せた後、被せ蓋3を台座2に被せる。被せ蓋3を台座2に被せたとき、被せ蓋3の蓋側突起部39は台座2の開口部26に入り込み、蓋側突起部39が台座平面部21の裏面212に引っ掛かる。これにより、台座2と被せ蓋3との嵌合構造が完成する。台座平面部21からは鍔部22が延びており、蓋側突起部39を台座平面部21の裏面212に対して十分に引っ掛けることができる。
【0055】
次に、図9は、被せ蓋3と台座2の嵌合構造を示す第2の断面図である。図8と同様に、図8では説明の都合上、内容物4を省いているが、実際は、台座2に内容物4を載置した状態で被せ蓋3を被せる。図9に示すように、台座2において、台座短側面25の傾斜角が規定角度と相違することがある。例えば、図9に示すように、台座2に覆い被さろうとする被せ蓋3の蓋短側面34から内側へ離間するように、台座短側面25が規定角度よりも垂直に近づく傾斜角度となることがある。即ち、製造誤差により、台座短側面25の蓋側突起部39から台座短側面25が規定より離間することがある。
【0056】
台座短側面25の傾斜角度が規定角度と異なる原因は、紙シート29を折り曲げ加工する製造誤差に起因する。即ち、紙シート29から台座2を成形するとき、台座平面部21と台座長側面24の折り曲げ角度が規定角度と異なり、台座長側面24と台座短側面25の折り曲げ角度が規定角度と異なり、台座短側面25に外力が加わって歪み、糊代291と台座長側面24との位置決めが規定と異なり、またはこれらが複合的に発生することがある。これらによって、台座短側面25の傾斜角が規定角度と相違することがある。
【0057】
仮に、開口部26を、台座平面部21の表面の高さから、台座平面部21の紙の厚み分よりも下方の位置を上限として形成した場合を考える。即ち、台座短側面25と台座平面部21が端から端まで連接し、台座平面部21と台座短側面25の境界よりも下方に開口部26が形成される。この場合、蓋側突起部39は、台座平面部21の裏面212ではなく、開口部26の上縁に引っ掛かることになる。
【0058】
図9に示すように、台座短側面25が規定の傾斜角度よりも垂直に近づく傾斜角度になってしまった場合、仮定条件の場合であると、開口部26の上縁は蓋側突起部39から離れる方向に移動し、蓋側突起部39を開口部26に引っ掛けることができなくなる虞がある。蓋側突起部39を開口部26に引っ掛けることができなければ、製品は不良となり歩留まりが悪化する。蓋側突起部39が開口部26に不十分に引っ掛かっていると、エンドユーザが被せ蓋3を把持して持ち上げたとき、被せ蓋3と台座2とが外れ、内容物4が載置された台座2が落体する虞がある。
【0059】
しかし、図9に示すように、この容器1において開口部26は、台座平面部21と台座短側面25との間の隙間であり、台座平面部21の裏面212の高さを上限として台座短側面25に拡がっている。そのため、蓋側突起部39は、台座平面部21の裏面212に引っ掛かることになる。
【0060】
台座平面部21は、紙シート29から台座2を成形する際に折り曲げられたりすることはない。従って、紙シート29から台座2を成形するとき、台座平面部21と台座長側面24の折り曲げ角度が規定角度と異なったとしても、台座長側面24と台座短側面25の折り曲げ角度が規定角度と異なったとしても、台座短側面25に外力が加わって歪んだとしても、糊代291と台座長側面24との位置決めが規定と異なったとしても、またはこれらが複合的に発生しても、蓋側突起部39は、台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛かることができる。
【0061】
被せ蓋3側では、蓋側突起部39は蓋短側面34に形成されている。蓋短側面34は、蓋長側面33と比べて幅狭であるために歪み難く、容器1に対して被せ蓋3が台座2から離れるような外力が働いたとしても、蓋短側面34が撓んで蓋側突起部39が開口部26に対して引っ込んでしまう事態は抑制される。そのため、蓋側突起部39を台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛け続けることができる。
【0062】
また、蓋側突起部39が形成されている蓋短側面34はリブ面35で高さ方向の途中が区切られている。そのため、容器1に対して被せ蓋3が台座2から離れるような外力が働いたとしても、蓋短側面34が撓んで蓋側突起部39が開口部26に対して引っ込んでしまう事態は抑制される。そのため、蓋側突起部39を台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛け続けることができる。
【0063】
また、被せ蓋3側では、蓋側突起部39が形成されている蓋短側面34がリブ線36によって蓋長側面33と区切られている。そのため、蓋長側面33が膨らんでしまうような撓みを引き起こす外力が容器1に働いたとしても、蓋短側面34には膨らみが波及せず、蓋側突起部39が開口部26に対して引っ込んでしまう事態は抑制される。そのため、蓋側突起部39を台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛け続けることができる。
【0064】
図10は、被せ蓋3を台座2に被せる過程を示す遷移図である。尚、図10では、図8及び図9と同様に説明の都合上、内容物4を省いているが、実際は、台座2に内容物4を載置した状態で被せ蓋3を被せる。図10の(a)に示すように、被せ蓋3と台座2とを嵌合させる際は、台座2の台座平面部21の直上に被せ蓋3の天面31を位置させる。また、台座2の台座短側面25と被せ蓋3の蓋短側面34とを一致させ、台座2の台座長側面24と被せ蓋の蓋長側面33とを一致させる。
【0065】
理想的には、台座2の台座平面部21と被せ蓋3の天面31とを平行にし、被せ蓋3を台座2に対して垂直に押し込む。これにより、被せ蓋3の各蓋側突起部39が台座2の各開口部26に入り込み、蓋側突起部39が台座平面部21の裏面212に引っ掛かる。
【0066】
但し、図10の(b)に示すように、台座2に対して被せ蓋3が斜めに嵌ろうとすることがある。この場合、一部の組の蓋側突起部39と台座側嵌合部28しか嵌合せず、全体的には嵌合不足となって、被せ蓋3と台座2とが外れてしまう虞がある。しかし、この容器1では、被せ蓋3の蓋下端341が台座2の台座側突起部27に当接すると、当接箇所は移動規制され、移動規制された当接箇所を中心に被せ蓋3が回転する。
【0067】
やがて、図10の(c)に示すように、台座2の台座平面部21と被せ蓋3の天面31とが平行になるように、被せ蓋3の傾きが是正される。しかも、台座側突起部27は、台座側嵌合部28の開口部26の下方に突出している。そのため、少なくとも、全ての台座側突起部27と蓋側突起部39は、精度よく位置合わせされ、全ての台座側突起部27と蓋側突起部39は十分に嵌合する。
【0068】
被せ蓋3の蓋下端341には反り返し部37が設けられており、台座側突起部27に被せ蓋3の蓋下端341が強く接触しても、被せ蓋3の蓋下端341の撓みは抑制される。そのため、蓋下端341と蓋側突起部39との距離も規定距離に保たれており、台座側突起部27に蓋下端341が当接したときには、全ての台座側突起部27と蓋側突起部39は、更に精度よく位置合わせされ、全ての台座側突起部27と蓋側突起部39は十分に嵌合する。
【0069】
(効果)
このように、この容器1は、内容物4が載置される紙製の台座2と、台座2に被せられるプラスチック製の被せ蓋3とを備える。被せ蓋3は、蓋内側の空間に突出する蓋側突起部39を有する。台座2は、内容物4が載置される台座平面部21と、台座平面部21の下方に延びる台座側面23と、台座側面23の表裏を貫く開口部26とを備える。この開口部26は、台座平面部21の裏面212の高さを上限として台座側面23に拡がるようにした。そして、台座2と被せ蓋3とは、開口部26の直上の台座平面部21の裏面212に蓋側突起部39が引っ掛かる嵌合構造を有するようにした。
【0070】
これにより、紙シート29から台座2を成形するとき、開口部26が形成される台座側面23が規定角度と異なり、垂直に近づく傾斜角度になってしまったとしても、蓋側突起部39は、台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛かることができる。従って、紙製の台座2を備える容器1であっても、被せ蓋3と台座2との嵌合の確実性を向上させることができる。
【0071】
本容器1では、開口部26の横幅、即ち台座2の周方向に沿った長さが台座短側面25の横幅と一致するようにしたが、これに限らず、開口部26が台座短側面25よりも幅狭であってもよいし、台座短側面25よりも幅広で、開口部26が隣の台座長側面24に拡がっていてもよい。これらの場合でも、紙シート29から台座2を成形するとき、開口部26が形成される台座側面23が規定角度と異なり、垂直に近づく傾斜角度になってしまったとしても、蓋側突起部39を、台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛けることができる。
【0072】
但し、開口部26の横幅よりも台座短側面25の横幅が長い場合、台座平面部21と台座短側面25との境界に折り曲げ加工が必要な箇所が生じる。折り曲げ加工が必要な場合、紙シート29を加工する際の位置決めに対して、より注意が必要となる。台座平面部21と台座短側面25との境界よりも内側を折り曲げてしまえば、蓋側突起部39が引っ掛かる台座平面部21の縁が台座平面部21の中心側に後退してしまう虞が生じるからである。台座平面部21の縁が台座平面部21の中心側に後退してしまうと、蓋側突起部39が台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛かることができなくなる虞がある。
【0073】
一方、開口部26は台座短側面25の横幅全域に拡がり、開口部26の横幅と台座短側面25の横幅と一致している場合、台座平面部21と台座短側面25とが完全に断絶し、開口部26の直上範囲には台座2を成形する際の折り曲げ部分は存在しない。そのため、紙シート29の位置決め精度の如何によらず、蓋側突起部39が引っ掛かる台座平面部21の縁が台座平面部21の中心側に後退してしまう虞はなく、蓋側突起部39が台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛かることができる。
【0074】
もっとも、紙シート29の位置決め管理をする他、開口部26の直上に、開口部26の上端よりも外方に延出する鍔部22を備えておくことで、開口部26の横幅よりも台座短側面25の横幅が長い場合であっても、紙シート29の位置決め精度の如何によらず、蓋側突起部39が引っ掛かる台座平面部21の縁が台座平面部21の中心側に後退してしまう事態は回避される。また、台座短側面25と台座平面部21との連接領域を切り込んで切断してしまうことで、開口部26の横幅よりも台座短側面25の横幅が長い場合であっても、紙シート29の位置決め精度の如何によらず、蓋側突起部39が引っ掛かる台座平面部21の縁が台座平面部21の中心側に後退してしまう事態は回避される。
【0075】
台座短側面25よりも開口部26の横幅が幅広の場合と比べると、開口部26の横幅と台座短側面25の横幅と一致している場合は、台座側面23と断絶している台座平面部21の範囲が短くなり、台座平面部21の強度が向上する。そのため、蓋側突起部39との接触により台座平面部21の縁が捲れ上がるように変形する事態を抑制でき、台座2と被せ蓋3との嵌合をより確実にすることができる。
【0076】
更に、開口部26は、台座短側面25に限らず、台座長側面24に形成してもよく、また台座短側面25と台座長側面24の両方に形成するようにしてもよい。また、複数の台座短側面25のうちの一部に対して開口部26が未形成であってもよい。少なくとも対向位置2箇所に蓋側突起部39と台座側嵌合部28があればよい。
【0077】
また、台座平面部21は、開口部26の直上に、当該開口部26の上端よりも外方に延出する鍔部22を有するようにした。これにより、蓋側突起部39に引っ掛かる台座平面部21の裏面212の範囲が大きくなり、台座2と被せ蓋3との嵌合をより確実にすることができる。
【0078】
この開口部26は、複数の台座2をスタックしたときに、上下の台座2の台座平面部21間に発生した空間部に収まる大きさを有するようにした。これにより、台座2の内側にスタックされた他の台座2の鍔部22が外側の台座2の開口部26に引っ掛かることを抑制できる。そのため、スタックから台座2を取り出すことが容易となり、生産効率が高まる。
【0079】
台座2は、一枚の紙シート29を成形して成り、開口部26の縁線は、紙シート29の外形線292の一部であるようにした。これにより、開口部26を形成する際に、台座2から分離される紙片は無く、紙片を除去する必要がない。そのため、除去の失敗により紙片が残って開口部26が塞がってしまうことがなく、また紙片除去確認のための検査工程や紙片を人手で取り除くバックアップ措置を製造工程から省くことができる。
【0080】
また、台座2は、台座側面23の裾側に、台座側面23から外方に突出する台座側突起部27を有するようにした。これにより、被せ蓋3の蓋下端341が台座側突起部27に引っ掛かり、被せ蓋3が台座2に傾いて被さることが是正され、台座平面部21の裏面212に蓋側突起部39が引っ掛かる確実性が向上する。台座側突起部27が開口部26の下方に突出するようにすることで、開口部26と蓋側突起部39との位置決め精度が高まり、台座平面部21の裏面212に蓋側突起部39が引っ掛かる確実性が更に向上する。また、喫食者による開封時、台座2の下端に指が掛かるので被せ蓋3が開けやすくなる。
【0081】
また、被せ蓋3は、相対的に長い蓋長側面33と短い蓋短側面34とを有し、蓋側突起部39は、蓋短側面34に形成されているようにした。これにより、蓋短側面34は蓋長側面33と比べて歪み難いため、蓋短側面34の歪みにより蓋側突起部39が開口部26に対して引っ込んでしまう事態は抑制される。そのため、蓋側突起部39を台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛け続けることができる。
【0082】
また、被せ蓋3は、蓋側突起部39の上方又は下方に位置し、蓋短側面34を高さ方向途中で区切るとともに、蓋短側面34に対して直角又は斜め方向に傾斜するリブ面35を備えるようにした。これにより、容器1に対して被せ蓋3が台座2から離れるような外力が働いたとしても、蓋短側面34が撓んで蓋側突起部39が開口部26に対して引っ込んでしまう事態は抑制される。そのため、蓋側突起部39を台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛け続けることができる。
【0083】
尚、蓋短側面34をリブ面35で補強できれば、蓋短側面34の上方にリブ面35を配置する他、蓋短側面34の下方にリブ面35を配置するようにした。但し、開口部26が被せ蓋3の下方にある場合には、蓋短側面34の全高を低背化して撓み難くするために、蓋短側面34の上方にリブ面35を配置することが好ましい。
【0084】
また、蓋側突起部39を有する蓋短側面34は、両側で蓋長側面33と連接し、被せ蓋3は、蓋側突起部39を有する蓋短側面34と当該蓋短側面34と連接する蓋長側面33との境界に沿って延びるリブ線36を有するようにした。これにより、蓋長側面33が膨らんでしまうような撓みを引き起こす外力が容器1に働いたとしても、蓋短側面34には膨らみが波及せず、蓋側突起部39が開口部26に対して引っ込んでしまう事態は抑制される。そのため、蓋側突起部39を台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛け続けることができる。
【0085】
尚、リブ線36が蓋短側面34の片側のみに存在していたとしても、蓋短側面34を補強することが可能であり、容器1に対して被せ蓋3が台座2から離れるような外力が働いたとしても、蓋短側面34が撓んで蓋側突起部39が開口部26に対して引っ込んでしまう事態は抑制される。そのため、蓋側突起部39を台座平面部21の裏面212に十分に引っ掛け続けることができる。
【0086】
また、被せ蓋3は、下端に上方へ反り上がる反り返し部37を有するようにした。これにより、台座側突起部27に被せ蓋3の蓋下端341が強く接触しても、被せ蓋3の蓋下端341の撓みは抑制される。そのため、全ての台座側突起部27と開口部26は、更に精度よく位置合わせされる。
【0087】
以上の本発明の実施形態は例として提示したものであって、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。そして、実施形態やその変形は本発明の範囲に含まれるものである。
【0088】
例えば、この容器1は、台座長側面24が四方とも同長であり、蓋長側面33が四方とも同長であるが、四方の台座長側面24のうちの対向二辺を他の対向二辺よりも短くし、また四方の蓋長側面33のうちの対向二辺を他の対向二辺よりも短くし、概略長八角形形状としてもよい。
【0089】
また、紙シート29を折り曲げ加工して台座2を形成する際、紙シート29の折り曲げ部にハーフカットやミシン目を入れておき、台座2の作製精度を上げる措置を併用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 容器
2 台座
21 台座平面部
211 外表面
212 裏面
213 長辺部
214 短辺部
22 鍔部
221 端部
222 短辺線
23 台座側面
24 台座長側面
25 台座短側面
26 開口部
27 台座側突起部
28 台座側嵌合部
29 紙シート
291 糊代
292 外形線
293 開口縁線
3 被せ蓋
31 天面
32 蓋側面
33 蓋長側面
34 蓋短側面
341 蓋下端
35 リブ面
36 リブ線
37 反り返し部
38a 外側
38b 内側
39 蓋側突起部
4 内容物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10