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特開2023-41367開閉装置及びこの開閉装置と通信を行う通信端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041367
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】開閉装置及びこの開閉装置と通信を行う通信端末
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/40 20150101AFI20230316BHJP
   E05F 15/43 20150101ALI20230316BHJP
【FI】
E05F15/40
E05F15/43
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148707
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 諒平
(72)【発明者】
【氏名】岩田 保
(72)【発明者】
【氏名】岡田 秀正
(72)【発明者】
【氏名】高井 邦治
(72)【発明者】
【氏名】大橋 利幸
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA04
2E052BA04
2E052BA06
2E052CA06
2E052EA14
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA05
2E052GA06
2E052GB06
2E052KA25
(57)【要約】
【課題】 開閉体の閉鎖経路中の状態を遠隔で報知する。
【解決手段】 開閉装置であって、閉鎖動作する開閉体10と、開閉体10の閉鎖経路中または閉鎖経路近傍の物体xを認知する物体認知手段と、通信端末101に対し通信可能な通信部90とを備え、前記物体認知手段により所定時間物体xを認知した場合に、前記物体認知手段による認知情報を、通信部90によって前記通信端末101へ送信する。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の閉鎖経路中または閉鎖経路近傍の物体を認知する物体認知手段と、通信端末に対し通信可能な通信部とを備え、
前記物体認知手段により所定時間物体を認知した場合に、前記物体認知手段による認知情報を、前記通信部によって前記通信端末へ送信することを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記物体認知手段は、前記開閉体の閉鎖経路または該閉鎖経路近傍を撮像する撮像部を備え、前記撮像部による撮像データを前記認知情報に含ませることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記物体認知手段により認知した物体が移動していないことを条件に、前記撮像部による撮像を開始して、前記物体認知手段による認知情報を、前記通信部によって前記通信端末へ送信することを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記物体認知手段による物体の認知が行われなくなったことを条件に、前記撮像部による撮像を停止することを特徴とする請求項2又は3記載の開閉装置。
【請求項5】
前記撮像データをループ録画方式で記録し、
前記物体認知手段により所定時間物体を認知した場合には、前記撮像データについて、特定の操作以外では消去されることのない消去不能ファイルを作成し記憶することを特徴とする請求項2~4何れか1項記載の開閉装置。
【請求項6】
前記物体認知手段による物体の認知が行われなくなったことを条件に、前記消去不能ファイルを作成し記憶する処理を停止することを特徴とする請求項5記載の開閉装置。
【請求項7】
前記物体認知手段による物体の認知が行われなくなったことを条件に、前記通信端末への送信を停止することを特徴とする請求項1~6何れか1項記載の開閉装置。
【請求項8】
請求項1~7記載の開閉装置における前記通信部から送信された認知情報を受信するようにした通信端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体を閉鎖経路に沿って閉鎖動作するようにした開閉装置、及びこの開閉装置と通信を行う通信端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるように、災害時に開閉体を自動的に閉鎖させて防火区画を形成し、炎や煙が拡がるのを防ぐようにしたシャッター装置がある。このようなシャッター装置は、防火用シャッターあるいは防火/防煙シャッター等と呼称される場合がある。
また、この種のシャッター装置には、通常時は開口部を開放しておき、防犯や防風、防雨等の目的に応じて必要時に開口部を閉鎖するようにしたシャッター装置がある。このようなシャッター装置は、管理用シャッターと呼称される場合がある。
さらに、前者シャッター装置の機能と後者シャッター装置の機能を併せ持ったシャッター装置がある。このようなシャッター装置は、管理併用防火シャッター、あるいは単に管理併用シャッター等と呼称される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-224232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した各種シャッター装置は、開閉体の閉鎖経路中に、荷物等の障害物が放置されることのないようにして用いるのが原則である。
しかしながら、例えば、前記閉鎖経路中に障害物が放置されてしまい、そのことを管理者等が気付かずにいた場合には、閉鎖動作した開閉体が前記障害物に当接して停止し、開閉体の下方側に煙や炎等の通過可能な空間が形成されてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の閉鎖経路中または閉鎖経路近傍の物体を認知する物体認知手段と、通信端末に対し通信可能な通信部とを備え、前記物体認知手段により所定時間物体を認知した場合に、前記物体認知手段による認知情報を、前記通信部によって前記通信端末へ送信することを特徴とする開閉装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、開閉体の閉鎖経路の状態を遠隔で報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
図2】同開閉装置の側面図である。
図3】撮像部による撮像範囲の一例を示す平面図である。
図4】同開閉装置の制御例を示すフローチャートである。
図5】本発明に係る開閉装置の一例を示す正面図である。
図6】同開閉装置の制御例を示すフローチャートである。
図7】他の制御例を示すフローチャートである。
図8】他の制御例を示すフローチャートである。
図9】本発明に係る開閉装置の他例を示す正面図である。
図10】同開閉装置の制御例を示すフローチャートである。
図11】他の制御例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態では、以下の特徴を開示している。
第一の特徴は、開閉装置であって、閉鎖動作する開閉体と、前記開閉体の閉鎖経路中または閉鎖経路近傍の物体を認知する物体認知手段と、通信端末に対し通信可能な通信部とを備え、前記物体認知手段により所定時間物体を認知した場合に、前記物体認知手段による認知情報を、前記通信部によって前記通信端末へ送信する(図9図11参照)。
【0009】
第二の特徴として、前記物体認知手段は、前記開閉体の閉鎖経路または該閉鎖経路近傍を撮像する撮像部を備え、前記撮像部による撮像データを前記認知情報に含ませる(図9図11参照)。
【0010】
第三の特徴として、前記物体認知手段により認知した物体が移動していないことを条件に、前記撮像部による撮像を開始して、前記物体認知手段による認知情報を、前記通信部によって前記通信端末へ送信する。
【0011】
第四の特徴として、前記物体認知手段による物体の認知が行われなくなったことを条件に、前記撮像部による撮像を停止する(図10図11参照)。
【0012】
第五の特徴として、前記撮像データをループ録画方式で記録し、前記物体認知手段により所定時間物体を認知した場合には、前記撮像データについて、特定の操作以外では消去されることのない消去不能ファイルを作成し記憶する(図11参照)。
【0013】
第六の特徴として、前記物体認知手段による物体の認知が行われなくなったことを条件に、前記消去不能ファイルを作成し記憶する処理を停止する(図11参照)。
【0014】
第七の特徴として、前記物体認知手段による物体の認知が行われなくなったことを条件に、前記通信端末への送信を停止する(図10図11参照)。
【0015】
第八の特徴として、上記開閉装置における前記通信部から送信された認知情報を受信するように通信端末を構成した(図9参照)。
【0016】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、該開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、以下の説明において、「閉鎖障害」とは、開放位置にある開閉体10を閉鎖位置にすることができなくなった状態を意味する。この閉鎖障害には、開放位置にある開閉体10がその閉鎖方向側にある物体xにより閉鎖できない状態(図1~2,図5図9等参照)等を含む。
【0017】
<開閉装置1>
開閉装置1は、空間を仕切るようにして上下方向へ開閉動作する開閉体10と、開閉体10の幅方向端部を囲んで開閉方向へ案内する左右のガイドレール20,20と、開閉体10を開放方向側の巻取軸32により巻き取ったり繰り出したりする収納部30と、巻取軸32を駆動回転する開閉機40と、開閉機40を制御する開閉機制御部50と、開閉体10の自重による閉鎖動作を可能にする自動閉鎖装置60と、開閉体10の閉鎖経路中または閉鎖経路近傍の物体xを撮像する撮像部70と、物体xの認知状況に応じて報知を行う監視報知制御部80と、音声報知部81を具備している。
【0018】
この開閉装置1は、建物の一般外壁開口部を、防犯や耐風、防雨などのために閉鎖する管理用シャッター装置や、建物で火事が起きたときに炎や煙を閉じ込める防火用シャッター装置、これら2種類のシャッター装置の機能を利用可能な管理併用シャッター装置等として構成することが可能である。
【0019】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなるスラット11aを、上下に隣接するスラット間で回動するように複数連接することで開閉体本体11を構成し、この開閉体本体11の下端部に、閉鎖方向側の当接対象部位Gに当接させるための座板部材12を接続して、シャッターカーテンを構成している。
開閉体本体11は、スラット11aの他、パイプ材や、可撓性シート材、パネル状部材等を単独で用いた態様や、これらを適宜に組み合わせた態様等とすることが可能である。
【0020】
ガイドレール20は、開閉体10の横幅方向の両端部側にそれぞれ設けられる。各ガイドレール20は、開閉体10の幅方向端部を凹状に囲む横断面形状を有し、当接対象部位Gから収納部30にわたる長尺状に設けられる。
【0021】
収納部30は、下端に開閉体10を通過させる開口を有する横長箱状の収納ケース31や、開閉体10を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸32等を具備している。
図示例によれば、この収納ケース31内には、後述する開閉機40や、開閉機制御部50、自動閉鎖装置60、監視報知制御部80等が収納されている。
【0022】
開閉機40は、巻取軸32を駆動回転させるための電動モータ(図示せず)と、この電動モータによる回転力を制動するブレーキ装置(図示せず)と、このブレーキ装置を外部から操作するための操作レバー41と、回転部分の回転量より開閉体10の開閉位置を感知する開閉位置感知部42とを具備し、周知構造のものを適用可能である。
【0023】
操作レバー41は、後述する自動閉鎖装置60により押動されることで前記ブレーキ装置を解除する。この解除状態では、前記電動モータと巻取軸32の間の動力伝達経路が遮断されて、巻取軸32が自由回転可能な状態になる。したがって、開閉体10が自重により繰り出される。
なお、初期状態においては、開閉機40は、付勢部材(図示せず)の付勢力により前記ブレーキ装置を作動させた制動状態にあり、この制動状態が、外部操作により操作レバー41が押動されることで解除される。
【0024】
開閉位置感知部42は、開閉機40の回転部分の回転量が所定値になった際に接点信号を出力する機械式カウンター構造を具備したリミットスイッチであり、開閉体10の全開状態や全閉状態を感知した際に前記接点信号を出力する。
【0025】
開閉機制御部50は、シーケーサーや、リレー回路等を具備した電気回路であり、後述する監視報知制御部80からの信号や、図示しないオンオフスイッチからの信号に応じて、開閉機40を正転や、逆転、停止等する。
【0026】
自動閉鎖装置60は、入力信号に応じて押杆61を前進させ、この押杆61により操作レバー41を解除方向へ押動する装置であり、周知構造のものを適用可能である。
【0027】
撮像部70は、所定のフレームレート(例えば、30fps)で動画撮影を行うデジタルビデオカメラである。
この撮像部70は、図示例によれば、収納部30の下面に、光軸を下方へ向けるようにして装着されている。
なお、他例としては、撮像部70を、ガイドレール20や、当該開閉装置1が設置される建物等の不動部位に装着することが可能である。さらに他例としては、撮像部70を開閉体10に装着することも可能である。
【0028】
撮像部70による撮像範囲70aは、本実施の形態の好ましい一例によれば、開閉体10の閉鎖経路の少なくとも一部(図示例によれば全閉位置寄りの所定範囲)を含む範囲である。
当接対象部位Gにおける平面上の撮像範囲70aは、図3に例示するように、左右のガイドレール20,20間を含み、かつ開閉体10の開閉経路を開閉体厚さ方向へ跨ぐ範囲を含む平面視矩形状の範囲である。したがって、撮像部70は、この矩形状の範囲に載置された物体xを撮像可能である。
【0029】
なお、他例としては、開閉体10の開閉経路の上端から下端までを全て含むように撮像部70の撮像範囲70aを設定したり、撮像部70の撮像範囲70aを適宜に確保できるように撮像部70を複数設けたりしてもよい。
【0030】
監視報知制御部80は、例えば、マイコンや記憶装置、リレー回路等からなる電気回路であり、予め記憶したプログラムにより動作する。
この監視報知制御部80は、図示例によれば、収納ケース31内において撮像部70の上方側に装着される。なお、監視報知制御部80の装着位置は、収納ケース31内の図示例以外の箇所や、収納ケース31外等とすることも可能である。
また、監視報知制御部80の他例としては、開閉機制御部50を構成する制御回路に含ませることも可能である。
【0031】
監視報知制御部80は、撮像部70と協働して、物体xを認識するための物体認知手段として機能する。すなわち、この監視報知制御部80は、予め記憶したプログラムにより動作することで、撮像部70によって撮像された動画データを画像処理し、撮像画像中の物体xに認知する。
特に、好ましい態様としては、撮像部70による撮像データを解析して、物体xの視覚的特徴より、物体xが人以外の物であるか、人であるか、煙又は炎であるかを、区別して認識する。
この認識には、例えば、人工知能技術等により予め作成された推定モデルを用いればよい。
【0032】
また、監視報知制御部80は、撮像部70による撮像データを解析して、認識した物体xが、移動していない物体であるか、移動中の物体であるかを判断する。
【0033】
また、監視報知制御部80は、撮像部70による撮像データより、開放位置にあることを感知する開放感知手段として機能する。ここで、前記開放位置は、開閉体10が少なくとも所定量開放した位置であればよく、この開放位置には、開閉体10が略全開状態になった全開位置や、開閉体10が途中開放状態で停止している途中開放位置等を含む。
【0034】
また、音声報知部81は、監視報知制御部80からの信号により音声を発信するスピーカである。
この音声報知部81は、図示例によれば、収納ケース31の下面に配置されるが、他例としては、収納ケース31内や、ガイドレール20、当該開閉装置1の設置対象となる建物等、図示例以外の部位とすることが可能である。
【0035】
なお、監視報知制御部80や撮像部70、音声報知部81等の電源は、商用電源とすることも可能であるが、火災等の停電発生を想定し、バッテリー電源とするのが好ましい。
【0036】
<制御例A>
次に、上記構成の開閉装置1について、監視報知制御部80による制御動作の一例を詳細に説明する。
先ず、監視報知制御部80は、所定の操作により初期設定モードを実行することで、開閉体10の開放状態で、撮像範囲70aに物体xが無い状態の初期画像を予め撮像し記憶する。この後、自動的に又は所定の操作により、監視モードに切り替わり、後述するフローチャートの処理を実行する。
なお、図1および図2は、開閉体10が開閉途中位置にある状態を例示しているが、開閉体10の初期状態は、好ましくは全開状態とする。
【0037】
監視モードにおいて、監視報知制御部80は、撮像部70によって撮像範囲70aの動画データの取得を開始する(図4、ステップS1)。
【0038】
次のステップS2では、開閉体10が開放位置にあるか否かを判断し、開放位置であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、ステップS1へ処理を戻す。
この処理は、例えば、撮像部70による撮像画像中に、予め記憶した座板部材12の画像があるか否かによる判断とすればよい。すなわち、撮像画像中に座板部材12の画像がなければ、開閉体10が開放位置(全開位置及び途中開放位置である場合を含む)にあるものと判断でき、撮像画像中に座板部材12の画像があれば開閉体10が開放位置にないものと判断することができる。
【0039】
なお、図2に示す一例では、途中開放位置にある開閉体10の座板部材12を撮像するようにしているが、撮像範囲70aを適宜に設定したり撮像部70を複数にしたりすることで、全開位置にある開閉体10の座板部材12を撮像することが可能である。
【0040】
また、ステップS2の他例としては、撮像部70を用いずに、開閉位置感知部42の信号より、開閉体10が開放位置にあるか否かを判断するようにしてもよい。
【0041】
次のステップS3では、上述した物体認知手段により、開閉体10の閉鎖経路中または閉鎖経路近傍(言い換えれば、撮像部70による撮像画像中)に物体xがあるか否かを判断し、物体xがあれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、ステップS1へ処理を戻す。
この処理は、例えば、撮像範囲70aに物体xの無い上記初期画像と撮像画像との比較により、物体xの有無を判断すればよい。すなわち、初期画像と撮像画像が一致すれば、物体xが無いものとみなし、初期画像と撮像画像が不一致であれば、物体xがあるものとみなす。
【0042】
次のステップS4では、先のステップで認知した物体xが、移動していないか否かを判断し、移動していなければ次のステップへ処理を進め、そうでなければ、以降の処理を飛ばしてステップS1へ処理を戻す。
ここで、物体xが移動していないとは、物体xがほぼ静止している状態や、物体xが載置された位置を移動することなく揺らいだりはためいたりしている状態等を含む。
すなわち、物体xが例えば移動物体である場合、この物体xにより開閉体10の閉鎖動作が妨げられる可能性が小さいとみなし、以降の処理をジャンプする。
ステップS4の処理は、例えば、撮像した動画データのフレーム間で、物体xの座標を観察し、この座標が変化していれば物体xが移動していると判断し、そうでなければ物体xが移動していないと判断すればよい。
【0043】
次のステップS5では、物体xが人であるか否かを判断し、人であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ以降の処理を飛ばして、ステップS1へ処理を戻す。
すなわち、物体xが人である場合、人は通常移動するので、開閉体10の閉鎖動作が妨げられる可能性が小さいものと推測し、以降の処理をジャンプする。
ステップS5の処理は、例えば、上述したように、撮像部70による撮像データにおける物体xの視覚的特徴より、物体物体xが人であるか否かを判断すればよい。
なお、他例としては、撮像部70による撮像データを用いずに、別途、人感センサ(例えば、焦電型赤外線センサ等)を設け、この人感センサの感知信号に応じて物体xが人であるか否かを判断することも可能である。
【0044】
次のステップS6では、物体xを所定時間(図示例によれば5分)以上認知しているか否かを判断し、認知していれば処理を次のステップへ進め、そうでなければ処理をステップS3へ戻す。
前記所定時間のカウントの開始は、フローチャート上の表現を省略するが、上記ステップS3にて最初に物体xを認知した時点である。すなわち、上記ステップS3にて最初に物体xを認知した場合、図示しないタイマが起動する。そして、このタイマによるカウント値が、前記所定時間になるまでは、ステップS3からステップS6までの間の処理が繰り返され、前記所定時間になったことを条件に、次のステップS7へ処理が移行する。
【0045】
ステップS7では、音声報知部81による報知が行われる。
この報知は、例えば、「シャッターが閉まりません」や「障害物を取り除いてください」等、閉鎖障害の可能性があることを伝える音声や、物体xの除去を促す音声等の発信である。
【0046】
次のステップS8では、物体xの認知が行われなくなったことを条件に、処理を次のステップへ進め、そうでなければ、処理をステップS7へ戻して前記報知を継続する。
すなわち、例えば、撮像範囲70a中の物体xが除去される等して、撮像部70により物体xが映し出されなくなった場合に、処理を次のステップへ進め、物体xが存在する場合は前記報知を継続する。
このステップS8における物体xの有無の判断は、上記ステップS3と同様にすればよい。
【0047】
そして、ステップS9では、音声報知部81による報知出力を停止し、処理をステップS1へ戻す。
【0048】
よって、上記構成の開閉装置1及び制御例Aによれば、開閉体10の閉鎖障害が発生する可能性がある場合に、そのことを音声によって周囲に報知することができる。
【0049】
<開閉装置2>
以下に示す実施態様は、上記構成の開閉装置1について、一部の構成を変更したものであるため、主にその変更部分について詳述し、重複する詳細説明を省略する。
【0050】
図5に示す開閉装置2は、上記開閉装置1について、撮像部70をセンサ71に置換し、監視報知制御部80に記憶した制御プログラムを変更したものである。
【0051】
センサ71は、開閉体10の閉鎖経路中の物体xを非接触感知する多光軸センサであり、監視報知制御部80と協働して、開閉体10の閉鎖経路中の物体xを認知する物体認知手段として機能する。
このセンサ71(多光軸センサ)は、一方のガイドレール20内で上下方向へ延設された投光ユニットと、他方のガイドレール20内で上下方向へ延設された捕捉ユニットとを備え、これら投光ユニットと捕捉ユニットによって、開閉体10の開閉経路中に開閉方向へ間隔を置いて並ぶ多数の光路を形成する。
そして、このセンサ71は、前記多数の光路の少なくとも一部が遮られた場合に、監視報知制御部80に送信する感知信号をオフからオン(又はオンからオフ)にする。
【0052】
なお、センサ71は、物体xを非接触感知することが可能なセンサであればよく、他例としては、単数または複数の単光軸の光電管センサや、赤外線や可視光等を検出媒体に用いたエリアセンサ、ステレオカメラやToFカメラ等を用いた3Dセンサ、レーザセンサ等とすることが可能である。
【0053】
開閉装置2において、センサ71は、監視報知制御部80と協働して、開閉体10の閉鎖経路中の物体xを認識する物体認知手段として機能する。
また、開閉位置感知部42は、監視報知制御部80と協働して、開閉体10が開放位置(全開位置又は途中開放位置)にあることを感知する開放感知手段として機能する。
【0054】
<制御例B>
次に、上記開閉装置2について、監視報知制御部80による制御動作の一例を詳細に説明する。
先ず、監視報知制御部80は、開閉位置感知部42の接点信号に基づき、開閉体10が開放位置にあるか否かを判断し(ステップS11)、開放位置であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、当該ステップを繰り返して、開閉体10が開放位置になるのを待つ。
【0055】
ステップS12では、センサ71の感知信号により、開閉体10の閉鎖経路中に物体xがあるか否かを判断し、物体xがあれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、ステップS11へ処理を戻す。
【0056】
ステップS13では、物体xを所定時間(図示例によれば5分)以上感知しているか否かを判断し、感知していれば処理を次のステップへ進め、そうでなければステップS12へ処理を戻す。
【0057】
前記所定時間のカウントの開始は、フローチャート上の表現を省略するが、上記ステップS12にて最初に物体xを感知した時点である。すなわち、上記ステップS12にて最初に物体xを感知した場合、図示しないタイマが起動する。そして、このタイマによるカウント値が、前記所定時間になるまでは、ステップS12からステップS13までの間の処理が繰り返され、前記所定時間になったことを条件に、次のステップS14へ処理が移行する。
【0058】
ステップS14では、上記ステップS7と同様に、音声報知部81によって、例えば、「シャッターが閉まりません」や「障害物を取り除いてください」等、閉鎖障害の可能性があることを伝える音声や、物体xの除去を促す音声等の発信を行う。
【0059】
ステップS15では、センサ71の感知信号に基づく物体xの認知がされなくなったことを条件に、処理を次のステップへ進め、そうでなければ、処理をステップS14へ戻して前記報知を継続する。
【0060】
そして、ステップS16では、音声報知部81による報知出力を停止し、処理をステップS11へ戻す。
【0061】
よって、上記構成の開閉装置2及び制御例Bによれば、開閉体10の閉鎖障害が発生する可能性がある場合に、そのことを音声によって周囲に報知することができる。
【0062】
<制御例C>
図7にフローチャートを示す制御例Cは、上記開閉装置1(図1図3参照)について、監視報知制御部80の制御プログラムを変更して実行される。以下、この制御例Cについて詳述する。
【0063】
ステップS21~S24の処理は、それぞれ、上記制御例AにおけるステップS1~S4の処理と略同一であるため、重複する説明を省略する。
【0064】
次のステップS25では、開閉体10が停止中であるか否かを判断し、停止中であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、ステップS31へ処理をジャンプする。
この処理は、例えば、開放位置にある開閉体10を撮像範囲に含むように、撮像部70を設置し、この撮像部70による撮像データを解析し、フレーム間における開閉体10の特定部分(例えば座板部材12)の座標の変化を観察し、座標変化がなければ、開閉体10が停止中であると判断すればよい。
なお、他例としては。前記処理を、開閉体10の撮影用に別途設けた撮像部のデータに基づき行うようにしてもよい。
さらに他例としては、撮像部70を用いずに、開閉機制御部50のリレー接点信号等により、開閉体10が停止中であるか否かを判断するようにしてもよい。
【0065】
次のステップS26~S27の処理は、上記制御例AにおけるステップS5~S6の処理と同一であるため、重複する説明を省略する。
【0066】
次のステップS28では、音声報知部81による第一の報知を行う。
ここで、前記第一の報知は、上記制御例Aにおける報知と同様に、例えば、「シャッターが閉まりません」や「障害物を取り除いてください」等、閉鎖障害の可能性があることを伝える音声や、物体xの除去を促す音声等の発信である。
【0067】
次のステップS29では、物体xの認知が行われなくなったか否かを判断し、物体xが認知されなければ、処理を次のステップへ進め、そうでなければ、処理をステップS28へ戻して前記第一の報知を継続する。
なお、このステップS29の判断は、上記ステップS8等と同様に、撮像部70の撮像データに基づく判断としてもよいし、センサ71による判断とすることも可能である。
【0068】
次のステップS30では、音声報知部81による第一の報知を停止し、処理をステップS21へ戻す。
【0069】
また、ステップS31では、先のステップS25にて停止中でないと判断された開閉体10が、閉鎖動作中であるか否かを判断し、閉鎖動作中であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、以降の処理を飛ばして、ステップS21へ処理を戻す。
この処理は、例えば、撮像部70による撮像データを解析し、フレーム間における開閉体10の特定部分(例えば座板部材12)の座標変化より、開閉体10が閉鎖動作中であるか否かを判断すればよい。なお、他例としては。前記処理を、開閉体10の撮影用に別途設けた撮像部のデータに基づき行うようにしてもよい。
さらに他例としては、撮像部70を用いずに、開閉機制御部50のリレー接点信号等により、開閉体10が閉鎖動作中であるか否かを判断するようにしてもよい。
【0070】
次のステップS32では、音声報知部81が発生する音声による第二の報知を行う。
ここで、第二の報知は、上記第一の報知とは異なる報知であって、開閉体10の動作に関連する報知である。
この第二の報知は、具体的には、「シャッターが下降中です」や「退避してください」等、開閉体10の閉鎖動作状態を伝える音声や、開閉体10の下方からの退避行動を促す音声等である。
【0071】
次のステップS33では、上記ステップS29と同様に、物体xの認知が行われなくなったことを条件に、処理を次のステップへ進め、そうでなければ、処理をステップS32へ戻して前記第二の報知を継続する。
【0072】
次のステップS34では、音声報知部81による第二の報知を停止し、処理をステップS21へ戻す。
【0073】
よって、図7に示す制御例Cによれば、閉鎖障害が発生する可能性や、開閉体の閉鎖動作状態等、閉鎖経路や開閉体10の状況に状態に応じた適切な報知をすることができる。
【0074】
<制御例D>
図8にフローチャートを示す制御例Dは、上記開閉装置1(図1図3参照)について、監視報知制御部80の制御プログラムを変更して実行される。以下、この制御例Dについて詳述する。
【0075】
制御例Dにおいて、ステップS41~S44,S46~S50の処理は、それぞれ、上記制御例CにおけるS21~S24,S26~S30の処理と略同一であるため、重複する説明を省略する。
【0076】
ステップS45では、上記ステップS25と同様にして、開閉体10が停止中であるか否かを判断し、停止中であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、ステップS51へ処理をジャンプする。
【0077】
ステップS51では、上記ステップS31と同様にして、開閉体10が、閉鎖動作中であるか否かを判断し、閉鎖動作中であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、以降の処理を飛ばして、ステップS41へ処理を戻す。
【0078】
ステップS52では、上記ステップS32と同様にして、音声報知部81により、例えば、「シャッターが下降中です」等、開閉体10の閉鎖動作状態を伝える音声や、開閉体10の下方からの退避行動を促す音声等の第二の報知を発信する。
【0079】
ステップS53では、閉鎖動作中の開閉体10よりも閉鎖方向側に障害物あるか否かを判断し、障害物があれば次のステップへ処理を進め、障害物がなければ以降の処理を飛ばして、上記ステップS41へ処理を戻す。
このステップS53の処理は、例えば、撮像部70の撮像データを解析することで、開閉体10の閉鎖経路中に、障害物があるか否かを判断する。
【0080】
次のステップS54では、監視報知制御部80が、開閉体10の閉鎖動作を停止するための停止信号出力をONにする。
詳細に説明すれば、監視報知制御部80は、前記停止信号出力を開閉機制御部50に対し発する。開閉機制御部50は、前記停止信号出力のONに応じて、開閉機40内のブレーキ装置(図示せず)を作動させて、開閉機40の出力軸を回転不能にロックする。
【0081】
次のステップS55では、開閉体10が停止中であるか否かを判断し、停止中であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、ステップS55aを実行する。
【0082】
ステップS55aでは、上記ステップS33等と略同様にして開閉体10の閉鎖経路中の物体が無くなったか否かを判断し、無くなっていれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、処理をステップS52へ戻す。
【0083】
ステップS56では、音声報知部81による第二の報知を停止し、処理を次のステップへ進める。
【0084】
ステップS57では、上記ステップS52でONにした停止信号出力をOFFにして、開閉機40による開閉体10の閉鎖動作を可能にする。
【0085】
次のステップS58では、上記ステップS33等と同様にして開閉体10の閉鎖経路中の物体xが無くなったか否かを判断し、無くなっていれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、ステップS58aへ処理を進める。
【0086】
ステップS58aでは、上記ステップS28等と同様に、音声報知部81によって第一の報知(例えば、「シャッターが閉まりません」や「障害物を取り除いてください」等)を発しながら、処理をステップS58へ戻して、物体xが無くなるのを待つ。
【0087】
ステップS59では、音声報知部81による第一の報知を停止し、処理を次のステップへ進める。すなわち、物体xが無くなった場合には、第一の報知が不要になるので停止する。
【0088】
次のステップS60では、閉鎖信号出力をONにして、処理を上記ステップS41へ戻す。
この処理は、監視報知制御部80が、開閉機制御部50に閉鎖信号を出力し、これに応じるように、開閉機制御部50が、開閉機40を閉鎖回転するように制御する。
【0089】
よって、上記制御例Dによれば、閉鎖障害が発生する可能性や、開閉体の閉鎖動作状態等、閉鎖経路や開閉体10の状況に状態に応じた適切な報知をすることができ、さらには、開閉体10の閉鎖動作を、障害物がある場合に停止したり、障害物が無くなった場合に自動的に再開して防火区画を形成したりすることができる。
【0090】
なお、制御例Dのフローチャート中、適宜箇所(例えば、ステップS53とステップS54の間や、ステップS46とステップS47の間等)には、必要に応じて以下の処理を付加してもよい。
この処理は、監視報知制御部80が、撮像部70の撮像データに基づき、認知した物体や障害物等が、人ではなく、煙又は炎であるある場合には、自動閉鎖装置60を作動させる。そして、この直後の処理は、ステップS41へ戻す。
これらの処理によれば、認知された物体等が、煙又は炎である場合には、自動閉鎖装置60によって開閉機40の出力軸をフリーにし、開閉体10を自重によって強制的に閉鎖動作させて、防火区画を形成することができる。
【0091】
<開閉装置3>
他の実施態様として、開閉装置3(図9参照)は、閉鎖動作する開閉体10と、開閉体10の閉鎖経路中または閉鎖経路近傍の物体xを認知する物体認知手段と、通信端末101と通信可能な通信部90とを備える。
この開閉装置3は、図示例によれば、上記開閉装置1に対し、上記開閉装置2のものと同様のセンサ71や、通信部90等を付加し、監視報知制御部80に記憶した制御プログラムを変更したものである。
この開閉装置3における前記物体認知手段は、物体xを検出するセンサ71や、物体xを含む画像を取得する撮像部70、及び監視報知制御部80等により構成される。
【0092】
通信部90は、無線モジュール(詳細には、無線LAN(Wi-Fi)モジュールや、特定小電力無線モジュール等を備え、ネットワーク回線100等を介して通信端末101から受信した指令を監視報知制御部80へ転送したり、監視報知制御部80から入力した情報(例えば、撮像部70による撮像データ等)を無線発信したりするように構成される。
【0093】
通信端末101は、図示例によればスマートフォンであり、入力されたデータを演算処理するCPU、記憶装置、入出力装置(タッチパネル式ディスプレイを含む)、無線送受信機等を具備し、携帯電話回線やWi-Fi等によりネットワーク回線100に無線接続する機能を有している。
この通信端末101は、予め記憶されたプログラム(アプリ)により機能することで、通信部90に対し双方向の通信を行う。
この通信端末101の他例としては、図示例以外の移動体通信端末や、ノートバソコン、デスクトップパソコン、タブレットパソコン、各種形状(例えば腕時計型)のウェアラブルコンピュータ等、ネットワーク接続機能を有する機器とすることが可能である。
【0094】
図9中、符号102は、当該開閉装置3が設置される建物内等に設けられた回線終端装置である。
この回線終端装置102は、具体例としては、通信用光ケーブルを介してネットワーク回線100に接続された光回線終端装置(ONU)であり、通信部90とデータの無線送受信を行う。
なお、この回線終端装置102は、ADL回線やCATV回線に接続されたモデム等とすることも可能である。
【0095】
<制御例E>
次に、上記開閉装置3に対する、監視報知制御部80による制御例Eについて、詳細に説明する(図10参照)。
【0096】
先ず、監視報知制御部80は、開閉位置感知部42の接点信号に基づき、開閉体10が開放位置にあるか否かを判断し(ステップS71)、開放位置であれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、当該ステップを繰り返して、開閉体10が開放位置になるのを待つ。
なお、このステップS71の判断は、開閉位置感知部42を使わずに、上記ステップS2と同様にして撮像部70の撮像データに基づく判断とすることも可能である。
【0097】
次のステップS72では、センサ71の感知信号により、開閉体10の閉鎖経路中に物体xがあるか否かを判断し、物体xがあれば次のステップへ処理を進め、そうでなければ、ステップS71へ処理を戻す。
このステップS72の判断は、センサ71を使わずに、上記ステップS3と同様にして撮像部70の撮像データに基づく判断とすることも可能である。
【0098】
次のステップS73では、上記ステップS6やステップS13等と同様にして、物体xをステップS72の時点から所定時間(図示例によれば5分)以上検出しているか否かを判断し、検出していれば処理を次のステップへ進め、そうでなければ以降の処理を飛ばしてステップS71へ戻る。
【0099】
次のステップS74では、撮像部70を起動して動画データの取得を開始する。
【0100】
次のステップS75では、センサ71及び撮像部70等の物体認知手段による認知情報を、通信部90によって特定の通信端末101へ送信する。
ここで、前記認知情報には、センサ71の感知信号(オンやオフ等)や、撮像部70によって撮像した動画データ等を含む。
【0101】
通信端末101は、通信部90から前記認知情報を受信した際に、開閉体10の閉鎖経路中に物体x(障害物)があることを示すプッシュ通知を表示し、この通知に対するタップ操作等に応じて、撮像部70による画像データ(動画または静止画)をディスプレイ表示する。また、通信端末101は、前記認知情報を受信した日時や前記画像データ等をログ保存する。
【0102】
なお、前記画像データを保存する期間は、前記認知情報の受信中のすべての期間としてもよいし、前記認知情報を受信した時点から所定時間経過するまでの間としてもよい。
また、前記ログ保存は、通信端末101上の記憶装置に対する保存としてもよいし、ネットワーク回線100中の図示しないクラウドサーバーへの保存としてもよい。
【0103】
また、通信端末101は、開閉体10の開閉動作や停止等の操作指令を通信部90に発信する機能や、前記所持者等による音声(例えば、注意喚起や指示等)を音声報知部81から発するように通信部90に音声データを発信する機能等を備え、撮像部70による画像をディスプレイ表示しながら、これらの機能を実行することが可能である。
【0104】
次のステップS76では、上記ステップS29等と同様に、物体xの認知が行われなくなったことを条件に、処理を次のステップへ進め、そうでなければ、当該ステップS76を繰り返して、物体xが認知されなくなるのを待つ。
【0105】
次のステップS77では、上記ステップS75による認知情報の送信を停止する。
【0106】
そして、ステップS78では、撮像部70による撮像を停止する。
【0107】
よって、開閉装置3及び制御例Eによれば、撮像部70による撮像時間や開閉機制御部50による送信時間を必要最小限に短縮することができ、これに伴い電源の消費を軽減することができる。
また、通信端末101の所持者等が、遠隔で、開閉体10の閉鎖経路中の障害物や不審者等を監視したり開閉体10の操作をしたりすることができる。
【0108】
なお、制御例Eのフローチャート中、適宜箇所(例えば、ステップS73とステップS74の間等)には、必要に応じて以下の処理を付加してもよい。
この処理は、監視報知制御部80が、撮像部70による撮像データに基づき、認知した物体xが移動していないと判断した場合に、次のステップへ処理を進め、そうでなければ、以降の処理を飛ばして、上記ステップS71へ戻る。
この処理によれば、撮像部70や開閉機制御部50による電源消費をより効果的に軽減することができる。
【0109】
また、開閉装置3は、外部から所定の防災信号を受けた場合には、上記フローチャートの何れの段階にある場合でも、自動閉鎖装置60を作動させて、開閉体10の自重による閉鎖動作を行う。
【0110】
<制御例F>
次に、上記開閉装置3に対する、監視報知制御部80による制御例Fについて、詳細に説明する(図11参照)。
【0111】
先ず、監視報知制御部80は、撮像部70による撮像を開始するとともに、撮像部70による撮像データをループ録画方式で記録する(ステップS81)。
ここで、ループ録画方式とは、動画データを所定の制限容量の記録領域に連続的に書き込み、前記制限容量を超えた場合には先に書き込まれた古いデータを順に消去し、空いた記憶領域に新たなデータを書き込む録画方式であり、例えば、ドライブレコーダの記録方式として利用される周知技術を適用可能である。
【0112】
次のステップS82~S84の処理は、それぞれ、上記ステップS71~S73と同様である。また、ステップS85の処理は、上記ステップS75の処理と同様である。
【0113】
次のステップS86では、前記撮像データについて、消去されることのない消去不能ファイルを作成し記憶する。
すなわち、上記ループ録画方式の記録では、前述したように制限容量を超えた場合には先に書き込まれた古いデータが順に消去されるが、ステップS86では、ループ録画方式による前記消去により前記古いデータが読み込めなくなるようなことを阻むため、前記撮像データについて、上記ループ録画方式の記録では消去されることのない消去不能ファイルを作成する。この処理は、ロックファイル保存と呼称される場合もある。
この処理の一例としては、ステップS86からステップS88の間のみ、前記ループ録画方式に用いる記憶領域とは別の記憶領域に、前記ループ録画方式で記録する撮像データをコピー保存すればよい。
【0114】
なお、前記消去不能ファイルの記録領域は、監視報知制御部80が具備する記憶装置の記憶領域としてもよいし、通信端末101が具備する記憶装置の記憶領域とすることも可能である。さらには、ネットワーク回線100中の図示しないクラウドサーバーにおける記憶領域とすることも可能である。
【0115】
次に、ステップS87では、上記ステップS76等と同様に、物体xの認知が行われなくなったことを条件に、処理を次のステップへ進め、そうでなければ、当該ステップS87を繰り返して、物体xが認知されなくなるのを待つ。
【0116】
次のステップS88では、前述した消去不能ファイルを作成し保存する処理を停止する。
すなわち、このステップS88以降は、前記消去不能ファイルの作成及び保存は行わずに、前記ループ録画方式の記録を継続する。
【0117】
次のステップS89では、上記ステップS85による認知情報の送信を停止し、処理をステップS82へ戻す。
【0118】
よって、制御例Fによれば、通信端末101の所持者等が、遠隔で、開閉体10の閉鎖経路中の障害物や不審者等を監視したり、開閉体10の開閉動作や停止を操作したり、音声報知部81による注意喚起を行ったりすることができる。その上、開閉体10の開閉経路中の画像をループ録画することができ、特に閉鎖経路中に物体xがある場合には、その日時や画像等を消去されることのないように保存することができる。
【0119】
なお、開閉装置3を管理併用シャッターとした場合、センサ71は、スイッチ操作等による開閉体10の閉鎖動作中に障害物を検知した場合に閉鎖動作を停止するためのセンサとして用いられるが、外部から所定の防災信号を受けた場合には、自動閉鎖装置60を作動させて、開閉体10の自重による閉鎖動作を優先的に行う。
【0120】
<その他の変形例>
上記実施態様によれば、撮像部70を動画撮影のためのビデオカメラとしたが、撮像部70の他例としては、静止画像を撮像するデジタルカメラとすることも可能である。この場合は、このデジタルカメラを、所定時間内に複数の静止画像を撮像するように用いる。監視報知制御部80は、前記複数の静止画像を画像処理及び解析することで、その画像中の物体が移動していないか否か、人であるか否か等を判断する。
【0121】
また、図1及び図5に例示する開閉装置1,2には、通信部90を設けなかったが、開閉装置1,2についても、開閉装置3(図9参照)と同様に、通信部90を具備して、通信端末101による監視や操作等を可能にしてもよい。
【0122】
また、上記実施態様では、音声報知部81を用いた音による報知を行ったが、他例としては、発光装置を具備して光による報知をしたり、音及び光による報知をしたりすることも可能である。
さらに他例としては、通信端末101等の外部機器への信号発信のみを報知とした態様や、前記信号発信と、音や光による報知を適宜に組み合わせた態様等とすることも可能である。
【0123】
また、上記実施態様では、特に好ましい態様として、少なくとも開閉体10の閉鎖経路中にある物体xを認知するようにしたが、他例としては、開閉体10の閉鎖経路中にはなく閉鎖経路の近傍にある物体を認知する態様とすることも可能である。この態様では、例えば、閉鎖経路の近傍に物体がある場合に、この物体が閉鎖経路に侵入する可能性が高いと判断し、上述した報知を行う。
【0124】
また、上記実施態様では、本発明をシャッター装置に適用したが、本発明は、ドア装置や、引戸装置、回転ドア装置、折戸装置、バランスドア装置、窓装置、間仕切り建具装置等に適用することが可能である。
【0125】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0126】
1,2,3:開閉装置
10:開閉体
20:ガイドレール
30:収納部
40:開閉機
50:開閉機制御部
60:自動閉鎖装置
70:撮像部
70a:撮像範囲
71:センサ
80:監視報知制御部
81:音声報知部
90:通信部
100:ネットワーク回線
101:通信端末
A~F:制御例
x:物体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11