(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041371
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】飛沫捕集装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20230316BHJP
F24F 8/10 20210101ALI20230316BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20230316BHJP
F24F 8/95 20210101ALI20230316BHJP
F24F 13/26 20060101ALI20230316BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20230316BHJP
F24F 9/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
F24F8/10
F24F13/08 A
F24F8/95
F24F13/26
A61L9/00 Z
F24F9/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148712
(22)【出願日】2021-09-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-07-04
(71)【出願人】
【識別番号】521403535
【氏名又は名称】合同会社A.コカミン
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】石川 浩市
【テーマコード(参考)】
3L058
3L081
4C180
【Fターム(参考)】
3L058BH10
3L058BK02
3L058BK05
3L081AA02
3L081AB06
4C180AA07
4C180CC01
4C180CC17
4C180HH05
(57)【要約】
【課題】従来の飛沫遮断装置では、エアーカーテンが乱れ、あるいは消滅することで、マイクロ飛沫等を捕集し難いという課題がある。
【解決手段】
本発明の飛沫捕集装置10は、主に、上昇気流を発生させる送風機11と、その内部に送風機11を配設する送風機筐体12と、送風機筐体12に配設される複数の上昇気流調整板13と、少なくとも送風機筐体12の奥側に配設される遮蔽板14と、遮蔽板14の上方に配設される飛沫吸引機構15と、を備える。この構造により、上昇気流Aが、遮蔽板14に沿って上方へと流れることで、上昇気流Aが、空調風等により揺らぎ、あるいは消滅し難くなる。そして、マイクロ飛沫等が上昇気流に巻き込まれることで、マイクロ飛沫等が、飛沫吸引機構15を介して捕集される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の前方を遮る遮蔽板に沿った上昇気流を発生させ、前記上昇気流を利用して前記遮蔽板の周囲に漂う飛沫を前記遮蔽板の上方にて捕集する飛沫捕集装置であって、
前記上昇気流を生成する送風機と、
前記送風機をその内部に配設する送風機筐体と、
前記遮蔽板の上方に配設され、前記飛沫を捕集する飛沫吸引機構と、を備え、
前記送風機筐体には、前記上昇気流を前記遮蔽板に沿って吹き出す吹出風路が形成され、
前記吹出風路には、前記遮蔽板の高さ方向に延在する複数の上昇気流調整板が配設され、前記複数の上昇気流調整板のいずれかは螺旋状調整板であることを特徴とする飛沫捕集装置。
【請求項2】
前記送風機筐体は、前記送風機の上方を覆うと共に、前記遮蔽板との間に前記吹出風路を形成する上面カバー部を有し、
前記上昇気流調整板は、前記螺旋状調整板と平板状調整板とを有し、
前記螺旋状調整板及び前記平板状調整板は、前記吹出風路の横幅方向に配列された状態にて前記上面カバー部に固定され、
前記平板状調整板は、少なくとも前記吹出風路の前記横幅方向の両端部に配置されると共に、前記螺旋状調整板は、前記平板状調整板の間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の飛沫捕集装置。
【請求項3】
前記送風機筐体は、設置面上に載置され、その上面に前記送風機を固定する基部と、前記基部及び前記送風機の前方を覆う前面カバー部と、を有し、
前記前面カバー部には、前記送風機の前方に複数の小孔が形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の飛沫捕集装置。
【請求項4】
前記飛沫吸引機構は、
前記遮蔽板の上方及びその周辺領域を覆うフード部と、
建屋に配設される換気装置と、
前記フード部に形成された吸引口と前記換気装置とを繋ぐ管路部と、を有し、
前記飛沫吸引機構は、前記換気装置により生成される吸引風を用いて前記上昇気流に巻き込まれた前記飛沫を捕集し、前記換気装置を介して前記建屋の外部へと前記飛沫を排出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の飛沫捕集装置。
【請求項5】
前記フード部の先端部には、前記吸引口側へと折り返された返し部が形成されることを特徴とする請求項4に記載の飛沫捕集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛沫捕集装置に関し、特に、遮蔽板に沿って発生させた上昇気流を利用して大気中に漂う飛沫等を捕集する飛沫捕集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の飛沫遮断装置100として
図7A及び
図7Bに示す構造が知られている。
図7Aは、従来の飛沫遮断装置100を説明する斜視図である。
図7Bは、従来の飛沫遮断装置100の使用状況を説明する斜視図である。
【0003】
図7Aに示す如く、飛沫遮断装置100は、主に、ノズル筐体101と、吸込み筐体102と、空気清浄機103と、フード104と、排気管105と、を備える。そして、飛沫遮断装置100は、複数の人の間に配置されて使用され、人の口や鼻から発生する飛沫を遮断することを目的とする。
【0004】
ノズル筐体101は、例えば、長尺の筒状体であり、その上面側に複数の噴射穴106が形成される。そして、ノズル筐体101は空気清浄機103と連通して接続し、噴射穴106から空気清浄機100にて生成された清浄空気を噴射する。
【0005】
吸込み筐体102は、例えば、長尺の筒状体であり、その下面側に複数の吸込み穴(図示せず)が形成される。そして、吸込み筐体102は、その中心線がノズル筐体101の中心線と略一致するように、ノズル筐体101の上方に配置される。
【0006】
フード104は、第1フード板107と第2フード板108とを有し、吸込み筐体102の両端側に傾斜した状態にて配置される。そして、フード104は、下記エアーカーテンCAの流れの乱れを防止する。
【0007】
排気管105は、吸込み筐体102及び空気清浄機103と連通して接続し、吸込み筐体102にて吸引した空気を空気清浄機103へと送風する。そして、空気清浄機103は、排気管105内の上記空気や外気を取り込み、清浄フィルタ(図示せず)にて飛沫を除去した後の清浄空気をノズル筐体101へと送風する。
【0008】
図7Bに示す如く、飛沫遮断装置100では、ノズル筐体101はテーブル110上面に配置され、吸込み筐体102はノズル筐体101の上方に配置される。そして、テーブルの上方では、ノズル筐体101から噴出された清浄空気が吸込み筐体102にて吸い込まれることで、エアーカーテンCAが形成される。
【0009】
この構造により、複数の人から発せられた飛沫は、エアーカーテンCAにて遮断されることで、飛沫が対面する人に対して飛散することが防止される。そして、吸込み筐体102にて吸い込まれた飛沫は、清浄フィルタにて除去される(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、飛沫遮断装置100では、ノズル筐体101から噴出された清浄空気が吸込み筐体102にて吸い込まれることで、対面者の間にエアーカーテンCAが形成される。そして、エアーカーテンCAは、対面者側へと飛散した飛沫を吸い込み筐体102へと流し、対面者が他人の飛沫を直接吸い込むことを防止する。
【0012】
詳細は発明を実施するための形態にて後述するが、飛沫の種類としては、例えば、その粒径が5μm以下のエアロゾル飛沫がある。エアロゾル飛沫は、人から発せられた後、長時間に渡り空気中を浮遊する超微小の粒子である。つまり、飛沫の中のエアロゾル飛沫は、上記エアーカーテンCAの風力によって周囲へと弾き飛ばされてしまい、返って飛沫遮断装置100の周囲へと飛散し、吸込み筐体102へと流れ難くなる。その結果、飛沫遮断装置100の周囲の人が、他人のエアロゾル飛沫を鼻や口から吸い込むことで、飛沫内に含まれるウイルスに感染する恐れが高まるという課題がある。
【0013】
また、飲食店等の店舗では、室内への出入口用の扉が開閉する度に、室内の空気が扉側へと流れ出すことで、飛沫遮断装置100が設置されたテーブル及びその周辺に風が発生する。また、店舗の従業員が接客するために上記テーブルの周辺を移動することでも、上記テーブル及びその周辺に風が発生する。更には、店舗内に設置されたエアコンや空気清浄機等が稼働することでも、上記テーブル及びその周辺に風が発生する。
【0014】
上記不定期な風がエアーカーテンCAと衝突すると、エアーカーテンCAはアクリル板により上方への流れがガイドされていない構造のため、エアーカーテンCAが乱れ、あるいは消滅する恐れがある。そして、エアーカーテンCAが乱れ、あるいは消滅することで、対面者間を飛散する飛沫を遮断し難くなるという課題がある。
【0015】
また、飛沫遮断装置100では、吸込み筐体102にて吸引した空気から清浄フィルタを介して飛沫や飛沫に含まれるウイルスを除去した後、空気清浄機103にて清浄空気を生成し、再び、ノズル筐体101から噴出させる。
【0016】
この空気の循環システムでは、清浄フィルタが目詰まりを起こす等、吸込み筐体102にて吸引した空気から飛沫やウイルスを完全に除去することが難しく、一度捕獲した飛沫やウイルスを再び大気中に戻す恐れがあるという課題がある。
【0017】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、遮蔽板に沿って発生させた上方気流を利用して大気中に漂う飛沫等を捕集する飛沫捕集装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の飛沫捕集装置では、人の前方を遮る遮蔽板に沿った上昇気流を発生させ、前記上昇気流を利用して前記遮蔽板の周囲に漂う飛沫を前記遮蔽板の上方にて捕集する飛沫捕集装置であって、前記上昇気流を生成する送風機と、前記送風機をその内部に配設する送風機筐体と、前記遮蔽板の上方に配設され、前記飛沫を捕集する飛沫吸引機構と、を備え、前記送風機筐体には、前記上昇気流を前記遮蔽板に沿って吹き出す吹出風路が形成され、前記吹出風路には、前記遮蔽板の高さ方向に延在する複数の上昇気流調整板が配設され、前記複数の上昇気流調整板のいずれかは螺旋状調整板であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の飛沫捕集装置では、前記送風機筐体は、前記送風機の上方を覆うと共に、前記遮蔽板との間に前記吹出風路を形成する上面カバー部を有し、前記上昇気流調整板は、前記螺旋状調整板と平板状調整板とを有し、前記螺旋状調整板及び前記平板状調整板は、前記吹出風路の横幅方向に配列された状態にて前記上面カバー部に固定され、前記平板状調整板は、少なくとも前記吹出風路の前記横幅方向の両端部に配置されると共に、前記螺旋状調整板は、前記平板状調整板の間に配置されることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の飛沫捕集装置では、前記送風機筐体は、設置面上に載置され、その上面に前記送風機を固定する基部と、前記基部及び前記送風機の前方を覆う前面カバー部と、を有し、前記前面カバー部には、前記送風機の前方に複数の小孔が形成されることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の飛沫捕集装置では、前記飛沫吸引機構は、前記遮蔽板の上方及びその周辺領域を覆うフード部と、建屋に配設される換気装置と、前記フード部に形成された吸引口と前記換気装置とを繋ぐ管路部と、を有し、前記飛沫吸引機構は、前記換気装置により生成される吸引風を用いて前記上昇気流に巻き込まれた前記飛沫を捕集し、前記換気装置を介して前記建屋の外部へと前記飛沫を排出することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の飛沫捕集装置では、前記フード部の先端部には、前記吸引口側へと折り返された返し部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の飛沫捕集装置では、送風機筐体から遮蔽板に沿った上昇気流が吹き出され、その上昇気流を利用して、遮蔽板の周囲に漂う飛沫が飛沫吸引機構へと誘導される。飛沫吸引機構は、上記上昇気流により誘導された飛沫を吸引する。そして、上昇気流は、遮蔽板によりガイドされることで、空調風等により対面者側へと揺らぎ難く、あるいは消滅し難くなる。この構造により、落下飛沫は、遮蔽板に付着し、除去されると共に、少なくともエアロゾル飛沫は、飛沫吸引機構にて捕集されることで、飛沫を介在したウイルス感染のリスクが低減される。
【0024】
また、本発明の飛沫捕集装置では、螺旋状調整板を介して生成される乱流状態の上昇気流が、遮蔽板の広い領域に渡り広がって上方へと流れる。そして、平板状調整板を介して生成される直線状態の上昇気流が、上記乱流状態の上昇気流を飛沫吸引機構へと誘導する。この構造により、上昇気流に巻き込まれたエアロゾル飛沫等が、飛沫吸引機構に吸引され、捕集される。
【0025】
また、本発明の飛沫捕集装置では、送風機が、テーブル等の設置面から上方に離間した位置に配置される。そして、送風機の稼働時に、送風機周辺の空気が小孔等の吸気口を介して送風機筐体内へと吸い込まれる。この構造により、テーブル上に載置された料理や会議テーブル上の書面等が、送風機への上記吸い込み時の風の影響を受け難くなる。また、上記風の影響が少なくなることで、空気中を浮遊するエアロゾル飛沫等が料理内に混入し難くなる。
【0026】
また、本発明の飛沫捕集装置では、飛沫吸引機構は、建屋に備えられた換気装置を利用して、上昇気流に巻き込まれたエアロゾル飛沫等を捕集し、建屋の外部へと排出する。この構造により、飛沫吸引機構にて捕集したエアロゾル飛沫等が、建屋内を循環することが防止される。
【0027】
また、本発明の飛沫捕集装置では、上昇気流によりフード部に誘導されたエアロゾル飛沫等が、吸引口を介して一度に飛沫吸引機構に吸引されない場合でも、フード部の返し部を利用して、再びフード部の吸引口側へと流れる。この構造により、上昇気流を介して飛沫吸引機構へと誘導されたエアロゾル飛沫等が、フード部の周囲に拡散され難くなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1A】本発明の一実施形態である飛沫捕集装置を説明する斜視図である。
【
図1B】本発明の一実施形態である飛沫捕集装置を説明する側面図である。
【
図2A】本発明の一実施形態である飛沫捕集装置の送風機筐体を説明する斜視図である。
【
図2B】本発明の一実施形態である飛沫捕集装置の送風機を説明する斜視図である。
【
図3A】本発明の一実施形態である飛沫捕集装置の上昇気流調整板を説明する斜視図である。
【
図3B】本発明の一実施形態である飛沫捕集装置の上昇気流調整板の取付け構造を説明する斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態である飛沫捕集装置を用いて生成される風の流れを説明する断面図である。
【
図5A】本発明の一実施形態である飛沫捕集装置を用いて生成される風の流れを説明する平面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態である飛沫捕集装置を用いて生成される風の流れを説明する断面図である。
【
図6A】本発明の一実施形態である飛沫捕集装置を用いて生成される風の流れを説明する断面図である。
【
図6B】本発明の一実施形態である飛沫捕集装置を用いて生成される風の流れを説明する断面図である。
【
図7A】従来の飛沫遮断装置を説明する斜視図である。
【
図7B】従来の飛沫遮断装置の使用状態を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態に係る飛沫捕集装置10を
図1Aから
図6Bに基づき詳細に説明する。尚、以下の本実施形態の説明の際には、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、上下方向は飛沫捕集装置10の高さ方向を示し、左右方向は飛沫捕集装置10の横幅方向を示し、前後方向は飛沫捕集装置10の奥行方向を示す。
【0030】
ここで、本実施形態の飛沫は、人から発せられる微細な粒子であり、例えば、その粒径が5μmより大きく、人から発せられて直ぐにテーブル上面等付着する飛沫(以下、「落下飛沫」と呼ぶ。)と、例えば、その粒径が5μm以下であり、人から発せられた後、長時間に渡り空気中を浮遊するエアロゾル(以下、「エアロゾル飛沫」と呼ぶ。)と、を含む概念である。尚、落下飛沫としては、主に、テーブル20の周囲に着座した人から発せられ、遮蔽板14等に付着前の飛散中の飛沫が対象である。一方、エアロゾル飛沫としては、主に、空気中を長時間に渡り浮遊し、不特定多数の人から発せられ、混在した状態の飛沫が対象である。
【0031】
最初に、
図1Aから
図3Bを用いて、本実施形態の飛沫捕集装置10の構造を説明する。尚、以下の説明では、遮蔽板14にて仕切られたテーブル20の手前側を用いて飛沫捕集装置10について説明するが、テーブル20の奥側にも送風機11及び送風機筐体12が配設され、同様な構造が構築される。
【0032】
図1Aは、本実施形態の飛沫捕集装置10を前方から見た状態を説明する斜視図である。
図1Bは、本実施形態の飛沫捕集装置10を右方から見た状態を説明する側面図である。
図2Aは、本実施形態の飛沫捕集装置10の送風機筐体12を説明する斜視図である。
図2Bは、本実施形態の飛沫捕集装置10の送風機11の取付け構造を説明する斜視図である。
図3Aは、本実施形態の飛沫捕集装置10の上昇気流調整板13を説明する斜視図である。
図3Bは、本実施形態の飛沫捕集装置10の上昇気流調整板13の取付け構造を説明する斜視図である。
【0033】
図1Aに示す如く、本実施形態の飛沫捕集装置10は、主に、上昇気流を発生させる送風機11(
図2B参照)と、その内部に送風機11を配設する送風機筐体12と、送風機筐体12に配設される複数の上昇気流調整板13(
図3A参照)と、少なくとも送風機筐体12の奥側に配設される遮蔽板14と、遮蔽板14の上方に配設される飛沫吸引機構15と、を備える。
【0034】
飛沫捕集装置10は、例えば、食事や会議等が行われるテーブル20の上面に設置される。そして、テーブル20は、例えば、2人掛け用のテーブルであり、送風機筐体12及び遮蔽板14が、例えば、テーブル20の上面20Aの略中央領域に設置され、対面者の間を遮る。そして、会話等の際に自分の発した飛沫の中の落下飛沫が、遮蔽板14に付着することで、対面者側へと飛散することを防止する。その結果、テーブル20の周囲の人々は、他人の落下飛沫を直接吸い込み難くなり、落下飛沫を介在したウイルス感染のリスクが低減される。尚、本実施形態でのウイルスとしては、コロナウイルス、インフルエンザウイルス等の飛沫を介して、人と人との間にて感染する可能性があるウイルスが対象である。
【0035】
その一方、飛沫吸引機構15は、遮蔽板14の上端部側に配設される。そして、送風機11は、遮蔽板14に沿った上昇気流Aを発生させ、上昇気流Aは、主に、大気中に漂うエアロゾル飛沫を巻き込み、飛沫吸引機構15へと向けて流す。飛沫吸引機構15では、換気装置16の換気扇による吸引風を利用してエアロゾル飛沫を吸引することで、テーブル20の周囲の人々は、大気中を漂う他人のエアロゾル飛沫を吸い込み難くなり、エアロゾル飛沫を介在したウイルス感染のリスクも低減される。
【0036】
図示したように、遮蔽板14は、例えば、アクリル板、塩化ビニル板やポリカーボネート板等から形成される透明板として形成される。遮蔽板14は、対面者の間に配置される正面板14Aと、正面板14Aの両側に配置される一対の側面板14Bと、を有し、上面視略H字形状に配置される。
【0037】
遮蔽板14の正面板14Aは、送風機筐体12の台座部31A(
図2B参照)の上面に固定される。一方、遮蔽板14の側面板14Bは、送風機筐体12の側面に固定されると共に、テーブル20の上面20Aに載置される。そして、正面板14Aの横幅W1は、例えば、600mm幅にて形成され、正面板14Aの高さH1は、凡そ500mm~1000mm位の長さにて任意に調整される。
【0038】
遮蔽板14の正面板14Aは、対面者の間を遮り、テーブル20に着座した人から発せられた飛沫の中の落下飛沫を付着させる。そのため、正面板14Aは、少なくともテーブル20に着座した人の頭上まで配置されることで、上記落下飛沫の付着効果が高まる。尚、図示したように、正面板14Aが、送風機筐体12と飛沫吸引機構15との間を塞ぐことで、空気中を浮遊するエアロゾル飛沫の対面者側への移動も防止する。
【0039】
図1Bに示す如く、飛沫吸引機構15は、主に、遮蔽板14の上方を覆うフード部21と、フード部21と連通する排気用の管路部22と、管路部22と連通する建屋に配設される換気装置16と、を有する。尚、換気装置16は、例えば、換気扇(図示せず)と、屋外へと連通する排管路17と、を有する。
【0040】
フード部21は、例えば、プラスチック板等を加工して形成され、遮蔽板14の上方を覆うように屋根形状に形成される。フード部21は、遮蔽板14の上端部に固定され、遮蔽板14の正面板14Aと略同等の横幅を有する。そして、フード部21は、飛沫捕集装置10の奥行方向(紙面前後方向)に延在して形成される。
【0041】
フード部21の中央領域には、正面板14Aを奥行方向(紙面前後方向)の中心にして両側へと開口する吸引口23が形成される。そして、管路部22の一端側は、フード部21の上面側に固定され、吸引口23を介してフード部21の下方の空間と連通する。一方、管路部22の他端側は、換気装置16の配設される建屋の内壁18に固定され、換気扇及びその排管路17を介して屋外と連通する。
【0042】
この構造により、飛沫吸引機構15は、換気扇による吸引風を利用して、上昇気流Aによりフード部21周辺に集められた上記エアロゾル飛沫等を吸引口23から吸引する。そして、管路部22は、上記エアロゾル飛沫等の排気路として用いられ、上記エアロゾル飛沫等は、建屋に配設された換気装置16の排管路17を経由して屋外へと排出される。
【0043】
詳細は後述するが、フード部21の奥行方向の両先端部には、吸引口23が設けられた中央部側へと湾曲して反り返る返し部21Aが形成される。この構造により、フード部21の吸引口23から吸い込まれなかった上記エアロゾル飛沫等は、返し部21Aを利用して、再び、吸引口23側へと流れ、吸引口23から吸引され易くなる。
【0044】
図2A及び
図2Bに示す如く、送風機筐体12は、主に、送風機11を固定する基部31と、送風機11の上面を覆う上面カバー部32と、送風機11の前面を覆う前面カバー部33と、遮蔽板14を固定する側面カバー部34と、を有する。
【0045】
基部31は、側面視略コの字形状に形成され、送風機11を支持する台座部31Aと、台座部31Aの長手方向(紙面左右方向)の両端部に形成される脚部31Bと、を有する。そして、台座部31Aは、略直方体形状の板状体であり、正面板14Aの横幅方向(紙面左右方向)に延在して配設される。台座部31Aの上面には、送風機11及び正面板14Aが固定される。
【0046】
脚部31Bは、例えば、台座部31Aの両端部側を直角に折り曲げ加工して形成される。脚部31Bは、テーブル20の上面20Aに載置されることで、台座部31Aは、例えば、テーブル20の上面から80mm程度、上方へと離間した位置に配置される。
【0047】
上面カバー部32は、断面視略L字形状に形成される。上面カバー部32の水平板32Aは、送風機11の枠体11Aの上面に固定され、枠体11Aの前方側の上方を中心に覆う。一方、上面カバー部32の垂直板32Bは、正面板14Aと略平行に配置され、正面板14Aとの間に上昇気流Aを送風するための吹出風路35を形成する。また、送風機11の枠体11Aの前面は開口し、送風機11への吸気口36として用いられる。
【0048】
前面カバー部33は、略平板形状に形成され、側面カバー部34に対して固定される。前面カバー部33は、送風機11及び基部31の前面を覆うように配置される。そして、前面カバー部33には、送風機11への吸気口36の前方に複数の小孔37が形成される。この構造により、送風機11が稼働することで、送風機筐体12の外部の空気が、複数の小孔37及び吸気口36を介して送風機11へと吸引される。
【0049】
また、送風機11が前面カバー部33にて覆われることで、送風機11の稼働時に、送風機11内に人の指や服等が巻き込まれることが防止され、安全性が向上される。同様に、送風機11内に異物が侵入し難くなることで、送風機11の羽が破損する等の故障が発生し難くなる。尚、複数の小孔37は、送風機11へと空気を送り込む吸気口として用いられ、例えば、スリット構造や格子構造等に置き換えることも可能であり、置き換えた場合でも同様な機能及び効果が得られる。
【0050】
側面カバー部34は、台座部31Aの両端部側であり、脚部31Bの上方に固定される。側面カバー部34は、例えば、正面板14Aをその間に挟持すると共に、その側面に側面板14Bが固定される。尚、説明の都合上、側面板14Bは省略して図示している。
【0051】
図2Bに示す如く、送風機11としては、例えば、クロスフローファンが用いられる。クロスフローファンは、その設置箇所の前方側から空気を吸い込み、上方に向けて上昇気流Aを発生させる装置である。そして、送風機11の横幅W2は、例えば、400mm幅であり、回転軸はその横幅方向の両端部の枠体11Aに軸支される。
【0052】
図示したように、送風機11は、台座部31Aの上面にブラケット38を介して固定される。送風機11は、その横幅方向の中心が台座部31Aの横幅方向の中心と略一致するように配置される。上述したように、送風機11の稼働中には、送風機11は、複数の小孔37及び吸気口36を介して、テーブル20の人が着座する側の空気を吸い込み、上昇気流Aを発生させる。そして、複数の小孔37及び吸気口36は、テーブル20の上面から80mm程度上方へと離間することで、テーブル20上の料理や書面等が、風の影響を受け難くなる。
【0053】
尚、送風機11としては、上述したクロスフローファンに限定されるものではなく、上昇気流Aを発生させる送風機であれば良く、例えば、遠心送風機、軸流送風機または斜流送風機を用いる場合でも良い。
【0054】
図3Aに示す如く、複数の上昇気流調整板13は、上面カバー部32の垂直板32Bと正面板14A(
図2B参照)との間に形成される吹出風路35(
図2B参照)内に配設される。上昇気流調整板13は、例えば、幅10mm、長さ150mm、厚み2mm程度の鋼材から形成される平板の板状体をその長手方向に螺旋形状に曲げ加工した螺旋状調整板13Aと、平板のまま用いる平板状調整板13Bと、を有する。
【0055】
図3Bに示す如く、上面カバー部32の垂直板32Bの吹出風路35側には、その横幅方向(紙面左右方向)に渡り一定間隔に複数の支持軸39が配設される。一方、螺旋状調整板13A及び平板状調整板13Bには、その先端部側に支持軸39に挿入するための取付け孔40が形成される。そして、螺旋状調整板13A及び平板状調整板13Bは、支持軸39、取付け孔40及びナット(図示せず)を介して上面カバー部32に固定される。尚、支持軸39には、ネジ切り加工が形成されている。
【0056】
このとき、平板状調整板13Bは、上面カバー部32の垂直板32Bの横幅方向の両端部に配置され、螺旋状調整板13Aは、平板状調整板13Bの間に連続して配置される。そして、上面カバー部32の中心に配置された螺旋状調整板13Aは、その長手方向が略垂直方向(紙面上下方向)となるように配置される。螺旋状調整板13Aは、垂直板32Bの中心から外側に配置される程、その長手方向が外側へと傾斜して配置される。その結果、平板状調整板13Bは、その長手方向が複数の螺旋状調整板13Aよりも最も外側へと傾斜して配置される。図示したように、螺旋状調整板13A及び平板状調整板13Bは、例えば、扇子の骨子の様に扇状に配置される。
【0057】
上述したように、送風機11にて生成される上昇気流Aは、吹出風路35を通過して送風機筐体12の外部へと送風される。そして、吹出風路35には、複数の螺旋状調整板13A及び平板状調整板13Bが配設される。
【0058】
この構造により、螺旋状調整板13Aに沿って流れる上昇気流Aは、螺旋状調整板13Aの下流側にて渦流等の乱流状態となり、吹出風路35から吹き出される。そして、複数の螺旋状調整板13Aの配置領域では、上記乱流状態の上昇気流A同士がお互いに影響を及ぼすことで、更に乱流状態となる。また、螺旋状調整板13Aの上記設置角度により、上記乱流状態の上昇気流Aは斜め上方へと広がりながら、正面板14Aに沿って上昇する。
【0059】
一方、平板状調整板13Bに沿って流れる上昇気流Aは、送風機11にて生成された直線状態の上昇気流Aとして、吹出風路35から吹き出される。そして、直線状態の上昇気流Aは、平板状調整板13Bにより整流され、乱流状態の上昇気流Aよりも速い流速にて、正面板14Aに沿って上昇する。
【0060】
詳細は後述するが、送風機筐体12の吹出風路35から吹き出される上昇気流Aは、直線状態の上昇気流Aと乱流状態の上昇気流Aとを有する。そして、乱流状態の上昇気流Aは、正面板14Aの周辺の空気を巻き込みながら上昇することで、空気中を漂うエアロゾル飛沫も巻き込み易くなる。一方、直線状態の上昇気流Aが、乱流状態の上昇気流Aの両端部側を流れることで、乱流状態の上昇気流Aが広がり過ぎることを防止しながら、乱流状態の上昇気流Aを飛沫吸引機構15へと向けて誘導する。
【0061】
次に、
図4から
図6Bを用いて、本実施形態の飛沫捕集装置10による風の流れについて説明する。尚、以下の説明では、遮蔽板14にて仕切られたテーブル20の手前側を用いて飛沫捕集装置10による風の流れについて説明するが、テーブル20の奥側においても同様な風の流れが発生し、同様な効果が得られる。
【0062】
図4は、本実施形態の飛沫捕集装置10の送風機筐体12内にて生成される上昇気流Aについて説明する断面図である。
図5Aは、本実施形態の飛沫捕集装置10の正面板14Aに沿って流れる上昇気流A等を説明する平面図である。
図5Bは、本実施形態の飛沫捕集装置10の正面板14Aに沿って流れる上昇気流A等を説明する断面図である。
図6Aは、本実施形態の飛沫捕集装置10の飛沫吸引機構15に吸引される上昇気流A等を説明する断面図である。
図6Bは、本実施形態の飛沫捕集装置10の飛沫吸引機構15に吸引される上昇気流A等を説明する断面図である。尚、上昇気流Aの流れは、矢印43,51,52,62,63を用いて模式的に示しており、必ずしも図示した通りに流れるものではない。
【0063】
図4に示す如く、送風機11は、送風機筐体12内部の台座部31Aの上面に固定される。送風機11の上方は、上面カバー部32の水平板32Aにて覆われると共に、送風機11の前方は、前面カバー部33にて覆われる。そして、前面カバー部33には、送風機11の前方に複数の小孔37が形成される。
【0064】
この構造により、送風機11を稼働させることで、矢印41,42にて示すように、送風機11の吸引力により、テーブル20の上方の空気が、複数の小孔37及び吸気口36を介して送風機11内へと流れ込む。そして、矢印43にて示すように、送風機11は、遮蔽板14の正面板14A側へと向けて上昇気流Aを生成する。
【0065】
また、図示したように、送風機11の後方は、正面板14Aにて遮蔽されると共に、正面板14Aと上面カバー部32の垂直板32Bとの間に吹出風路35が形成される。この構造により、送風機11にて生成された上昇気流Aは、吹出風路35から上方へと吹き出し、正面板14Aに沿って勢い良く上方へと流れる。
【0066】
このとき、台座部31Aは、テーブル20の上面20Aから80mm程度上方へと離間し、送風機11は、台座部31Aの上面に配置されると共に、複数の小孔37も、テーブル20の上面20Aから80mm程度上方の前面カバー部33に形成される。
【0067】
この構造により、一点鎖線にて示す空間44には、矢印41にて示す風の流れが発生し難く、あるいは、微風が発生する程度となる。そして、テーブル20にて食事する際には、上記空間44に料理等が並べられるが、風の影響により冷めたり、乾いたりし難くなる。また、上記風の影響が少なくなることで、空気中を浮遊するエアロゾル飛沫等が料理内に混入し難くなる。また、テーブル20にて会議を行う際には、会議用の資料が、風の影響により勝手に捲れたり、飛んだりし難くなる。
【0068】
図5Aに示す如く、送風機筐体12の吹出風路35から吹き出された上昇気流Aは、正面板14Aに沿って上方へと流れる。矢印51は、螺旋状調整板13Aにより乱流状態となって流れる上昇気流Aを示し、矢印52は、平板状調整板13Bにより直線状態となって流れる上昇気流Aを示す。
【0069】
図3Aを用いて上述したように、平板状調整板13Bは、吹出風路35の両端部にそれぞれ傾斜して配設されることで、矢印52の上昇気流Aは、吹出風路35から斜め上方へと吹き出される。そして、矢印52の上昇気流Aは、遮蔽板14の側面板14Bへと当たり、側面板14Bに沿って上方へと流れる。そして、矢印52の上昇気流Aは、平板状調整板13Bにより整流され、速度を加速する。
【0070】
一方、複数の螺旋状調整板13Aは、平板状調整板13Bの間に一定間隔にて配設されることで、矢印51の上昇気流Aは、矢印52の上昇気流Aの間を正面板14Aに沿って上方へと流れる。そして、矢印51の上昇気流Aは、例えば、渦流となることで、流速が低下し、周囲へと広がりながら上方へと流れる。
【0071】
そして、図示したように、矢印51の上昇気流Aは、お互いに影響を与えながら更に乱流状態となると共に、螺旋状調整板13Aの設置角度に応じて斜め上方へと広がりながら流れる。その一方、矢印51の上昇気流Aは、正面板14Aの左右両端部側にて、矢印52の上昇気流Aによりガイドされることで、左右方向へと広がり過ぎず、飛沫吸引機構15のフード部21に向けて上方へと流れる。
【0072】
ここで、
図5Bでは、矢印51の上昇気流Aが流れる断面を示す。図示したように、矢印51の上昇気流Aは、正面板14Aに沿って上方へと流れる。その一方、建屋内の空調風、扉の開閉動作により発生する風やテーブル20周辺を移動する人に発生する風等により、テーブル20の上方には、矢印53にて示す正面板14Aに向かう風が不定期に発生する。
【0073】
上述したように、矢印51の上昇気流Aは、例えば、渦流となることで、矢印54にて示すように、周囲の空気や上記矢印53の不定期な風を巻き込みながら上方へと流れる。そして、
図5Aに示すように、正面板14Aの広い領域に渡り、矢印51の上昇気流Aが流れることで、正面板14Aの周囲の空気の巻き込み量を増大させることが出来る。
【0074】
そして、エアロゾル飛沫は、遮蔽板14に付着し難く、また、テーブル20の上面20Aに落下し難く、長時間に渡り空気中を漂う傾向にある。そして、エアロゾル飛沫が、矢印53の不定期な風等を介して矢印51の上昇気流Aに巻き込まれることで、飛沫吸引機構15へと向けて流れる。その結果、エアロゾル飛沫が、飛沫吸引機構15を介して屋外へと排出され易くなり、エアロゾル飛沫を介在したウイルス感染のリスクも低減される。
【0075】
更には、矢印51,52の上昇気流Aは、遮蔽板14の正面板14Aに沿って流れるため、矢印53の不定期な風を受けた場合でも、対面者側へと揺らぐことが防止される。また、矢印51,52の上昇気流Aが、矢印53の不定期な風を介して消滅することも防止される。その結果、矢印51,52の上昇気流Aは、飛沫吸引機構15へと向けて流れることで、飛沫吸引機構15でのエアロゾル飛沫の捕集が実現される。
【0076】
図6Aに示す如く、フード部21は、遮蔽板14の上端部に固定され、遮蔽板14の正面板14Aと略同等の横幅を有し、テーブル20の上面20Aを覆うように配置される。そして、管路部22の一端側は、フード部21の上面側に固定され、吸引口23を介してフード部21の下方の空間と連通する。一方、管路部22の他端側は、換気装置16(
図1B参照)の配設される建屋の内壁18(
図1B参照)に固定される。
【0077】
この構造により、飛沫吸引機構15には、換気扇を稼働させることで、矢印61にて示す吸引風が発生する。そして、矢印61の吸引風は、フード部21の吸引口23を介して矢印51、矢印52の上昇気流Aや周辺の空気を管路部22内へと吸引する。
【0078】
上述したように、矢印52の上昇気流Aが、矢印51の上昇気流Aよりも流速が早く、矢印51の上昇気流Aの両端部側を流れる。そして、矢印52の上昇気流Aは、フード部21にガイドされながら吸引口23へと向けて流れる。この風の流れにより、矢印51,52の上昇気流Aは、吸引口23へと向けて流れ、その後、矢印61の吸引風により管路部22内へと吸い込まれる。
【0079】
図6Bに示す如く、矢印63は、吸引口23近傍にて合流した矢印51、矢印52の上昇気流Aを示すが、矢印63の上昇気流Aの大部分は、矢印61の吸引風により吸引され、管路部22内へと吸い込まれる。一方、矢印62にて示す上昇気流Aの一部は、吸引口23から管路部22内へと吸い込まれず、フード部21に沿って先端側へと流れる。
【0080】
図示したように、フード部21の先端部には、吸引口23が設けられた中央部側へと湾曲して反り返る返し部21Aが形成される。そして、矢印62の上昇気流Aは、フード部21の先端部側まで流れ、フード部21の返し部21Aを利用して再び吸引口23側へと戻る。矢印62の上昇気流Aは、矢印63の上昇気流Aと合流し、あるいは、矢印61の吸引風により吸引されることで、管路部22内へと吸い込まれる。
【0081】
上述したように、飛沫吸引機構15は、換気扇の稼働により矢印61の吸引風を発生させることで、送風機11にて生成される矢印51,52,63の上昇気流Aやフード部21の先端側へと流れた矢印62の上昇気流A等を管路部22内へと吸い込む。そして、矢印51,52の上昇気流Aは、テーブル20の上方を漂うエアロゾル飛沫を巻き込みながら、吸引口23側へと流れることで、飛沫吸引機構15は、空気中を長時間に渡り浮遊するエアロゾル飛沫を捕集することができる。
【0082】
この構造により、遮蔽板14に付着する落下飛沫は、拭き取り作業等により除去すると共に、空気中を浮遊するエアロゾル飛沫は、矢印51,52,62,63の上昇気流Aや矢印61の吸引風等を介して屋外へと排出されることで、飛沫捕集装置10では、落下飛沫やエアロゾル飛沫を介在したウイルス感染のリスクが低減される。
【0083】
尚、本実施形態では、2人掛けのテーブル20に対して飛沫捕集装置10を設置し、対面者の間における落下飛沫やエアロゾル飛沫を捕集し、ウイルス感染のリスク低減を実現する場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、4人掛けのテーブルの場合には、上述した飛沫捕集装置10をテーブル上に2台設置すると共に、例えば、遮蔽板14の側面板14Bを奥行方向に延在させ、隣り合う人の空間も遮断することで、上述した効果と同様な効果が得られる。また、飲食店のカウンターテーブルにおいては、送風機筐体12を手前側のみに配置することで、上述した効果と同様な効果が得られる。つまり、テーブルの大きさや種類に応じて、上述した飛沫捕集装置10のレイアウトを変更することで、上述した効果と同様な効果が得られる。
【0084】
また、飛沫吸引機構15が、遮蔽板14の上端部に固定される場合について説明したが、この場合に限定するものではない。例えば、飛沫吸引機構15が、建屋の天井に固定され、遮蔽板14と飛沫吸引機構15のフード部21とが離間して配置される場合でも良い。この場合には、換気扇による吸引力を強める対応、送風機11による上昇気流Aの風速を速め、また、風量を増大する対応、あるいはそれらの対応を組み合わせることで、矢印51,52,62,63の上昇気流Aが、飛沫吸引機構15へと流れ、管路部22内へと吸引されることで、エアロゾル飛沫の捕集が実現される。また、管路部22内に別途軸流送風機等を配設することで、管路部22内へと導く矢印61の吸引風の風力を強めることも可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲にて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 飛沫捕集装置
11 送風機
11A 枠体
12 送風機筐体
13 上昇気流調整板
13A 螺旋状調整板
13B 平板状調整板
14 遮蔽板
14A 正面板
14B 側面板
15 飛沫吸引機構
16 換気装置
20 テーブル
21 フード部
21A 返し部
22 管路部
23 吸引口
31 基部
31A 台座部
31B 脚部
32 上面カバー部
32A 水平板
32B 垂直板
33 前面カバー部
34 側面カバー部
35 吹出風路
36 吸気口
37 小孔
39 支持軸
40 取付け孔
【手続補正書】
【提出日】2022-04-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の前方を遮る遮蔽板に沿った上昇気流を発生させ、前記上昇気流を利用して前記遮蔽板の周囲に漂う飛沫を前記遮蔽板の上方にて捕集する飛沫捕集装置であって、
前記上昇気流を生成する送風機と、
前記送風機をその内部に配設し、前記送風機の上方を覆う上面カバー部を有する送風機筐体と、
前記遮蔽板の上方に配設され、前記飛沫を捕集する飛沫吸引機構と、を備え、
前記送風機筐体には、前記上面カバー部と前記遮蔽板との間に前記上昇気流を前記遮蔽板に沿って吹き出す吹出風路が形成され、
前記吹出風路の前記上面カバー部には、前記遮蔽板の高さ方向に延在する複数の螺旋状調整板及び平板状調整板が配設され、
前記平板状調整板は、少なくとも前記吹出風路の前記横幅方向の両端部に配置されると共に、前記螺旋状調整板は、前記平板状調整板の間に配置されることを特徴とする飛沫捕集装置。
【請求項2】
前記送風機筐体は、設置面上に載置され、その上面に前記送風機を固定する基部と、前記基部及び前記送風機の前方を覆う前面カバー部と、を有し、
前記前面カバー部には、前記送風機の前方に複数の小孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載の飛沫捕集装置。
【請求項3】
前記飛沫吸引機構は、
前記遮蔽板の上方及びその周辺領域を覆うフード部と、
建屋に配設される換気装置と、
前記フード部に形成された吸引口と前記換気装置とを繋ぐ管路部と、を有し、
前記飛沫吸引機構は、前記換気装置により生成される吸引風を用いて前記上昇気流に巻き込まれた前記飛沫を捕集し、前記換気装置を介して前記建屋の外部へと前記飛沫を排出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の飛沫捕集装置。
【請求項4】
前記フード部の先端部には、前記吸引口側へと折り返された返し部が形成されることを特徴とする請求項3に記載の飛沫捕集装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明の飛沫捕集装置では、人の前方を遮る遮蔽板に沿った上昇気流を発生させ、前記上昇気流を利用して前記遮蔽板の周囲に漂う飛沫を前記遮蔽板の上方にて捕集する飛沫捕集装置であって、前記上昇気流を生成する送風機と、前記送風機をその内部に配設し、前記送風機の上方を覆う上面カバー部を有する送風機筐体と、前記遮蔽板の上方に配設され、前記飛沫を捕集する飛沫吸引機構と、を備え、前記送風機筐体には、前記上面カバー部と前記遮蔽板との間に前記上昇気流を前記遮蔽板に沿って吹き出す吹出風路が形成され、前記吹出風路の前記上面カバー部には、前記遮蔽板の高さ方向に延在する複数の螺旋状調整板及び平板状調整板が配設され、前記平板状調整板は、少なくとも前記吹出風路の前記横幅方向の両端部に配置されると共に、前記螺旋状調整板は、前記平板状調整板の間に配置されることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】