(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041381
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】部品装着装置、部品装着システムおよびキャリブレーション方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230316BHJP
H05K 13/08 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
H05K13/04 A
H05K13/08 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148734
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 洋
(72)【発明者】
【氏名】内田 守
(72)【発明者】
【氏名】平木 勉
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353CC05
5E353CC16
5E353EE02
5E353EE62
5E353EE71
5E353JJ02
5E353JJ28
5E353JJ29
5E353KK01
5E353KK11
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】水平方向におけるノズルの位置のずれをより高精度に補正する。
【解決手段】部品装着装置は、部品を基板に装着する部品装着装置であって、部品を保持するノズルと、ノズルを備え、基板上に部品を搬送可能な装着ヘッドと、第1の高さと第1の高さと異なる第2の高さとに位置するノズルを下方から撮像する撮像部と、撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、第1の高さにおけるノズルの第1の位置と第2の高さにおけるノズルの第2の位置とを計測し、計測されたノズルの第1の位置と第2の位置とに基づいて、基板へ部品を装着する装着面に略平行な水平方向におけるノズルの位置を補正するための補正データを生成する算出部と、を備え、算出部は、補正データに基づいて、部品を基板に装着する部品装着高さと部品を認識する部品認識高さとの間のノズルの昇降によるノズルの水平方向の位置ずれを補正する補正値を算出する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に装着する部品装着装置であって、
前記部品を保持するノズルと、
前記ノズルを備え、前記基板上に前記部品を搬送可能な装着ヘッドと、
第1の高さと、前記第1の高さとは異なる高さの第2の高さとに位置する前記ノズルを下方から撮像する撮像部と、
前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、前記第1の高さにおける前記ノズルの第1の位置と前記第2の高さにおける前記ノズルの第2の位置とを計測し、計測された前記ノズルの前記第1の位置と前記第2の位置とに基づいて、前記基板へ前記部品を装着する装着面に略平行な水平方向における前記ノズルの位置を補正するための補正データを生成する算出部と、を備え、
前記算出部は、前記補正データに基づいて、前記部品を前記基板に装着する部品装着高さと前記部品を認識する部品認識高さとの間の前記ノズルの昇降による前記ノズルの前記水平方向の位置ずれを補正する補正値を算出する、
部品装着装置。
【請求項2】
前記第1の高さは、前記部品装着高さであり、
前記第2の高さは、前記部品認識高さである、
請求項1に記載の部品装着装置。
【請求項3】
前記撮像部は、イメージセンサの撮像面上に導光体を有し、前記導光体が配置された第1の領域で前記第1の高さの前記ノズルを撮像し、前記撮像面上、かつ、前記第1の領域外で前記第2の高さの前記ノズルを撮像する、
請求項2に記載の部品装着装置。
【請求項4】
前記第1の高さと前記第2の高さとの間で前記撮像部を昇降可能な昇降機構、を更に備える、
請求項2に記載の部品装着装置。
【請求項5】
前記ノズルは、前記ノズルを回転可能なシャフトに装着されて前記シャフトの回転軸を中心に異なる複数の回転角度に回転され、
前記撮像部は、前記第1の高さおよび前記第2の高さのそれぞれにおいて前記異なる複数の回転角度の前記ノズルを撮像し、
前記算出部は、撮像された撮像画像に基づいて、前記ノズルの前記第1の位置と前記第2の位置とを計測する、
請求項2に記載の部品装着装置。
【請求項6】
前記補正データは、前記第1の高さにおける前記異なる複数の回転角度のそれぞれの前記ノズルの前記位置の軌跡情報と、前記第2の高さにおける前記異なる複数の回転角度のそれぞれの前記ノズルの前記位置の軌跡情報とを含む、
請求項5に記載の部品装着装置。
【請求項7】
前記撮像部は、前記ノズルの先端を撮像する、
請求項2~5のいずれか一項に記載の部品装着装置。
【請求項8】
部品を基板に装着する部品装着装置と、
前記部品装着装置との間で通信可能に接続されたコンピュータと、を備えた部品装着システムであって、
前記部品装着装置は、
第1の高さと、前記第1の高さとは異なる高さの第2の高さとに位置し、前記部品を保持するノズルを下方から撮像して、撮像された撮像画像を前記コンピュータに送信し、
前記コンピュータは、
送信された前記撮像画像に基づいて、前記第1の高さにおける前記ノズルの第1の位置と前記第2の高さにおける前記ノズルの第2の位置とを計測し、
計測された前記ノズルの前記第1の位置と前記第2の位置とに基づいて、前記基板へ前記部品を装着する装着面に略平行な水平方向における前記ノズルの位置を補正するための補正データを生成して、前記部品装着装置に送信し、
前記部品装着装置は、
送信された前記補正データに基づいて、前記部品を前記基板に装着する部品装着高さと前記部品を認識する部品認識高さとの間の前記ノズルの昇降による前記ノズルの前記水平方向の位置ずれを補正する補正値を算出する、
部品装着システム。
【請求項9】
前記第1の高さは、前記部品装着高さであり、
前記第2の高さは、前記部品認識高さである、
請求項8に記載の部品装着システム。
【請求項10】
部品を基板に装着する部品装着装置により実行されるキャリブレーション方法であって、
第1の高さと、前記第1の高さとは異なる高さの第2の高さとに位置し、前記部品を保持するノズルを下方から撮像し、
撮像された撮像画像に基づいて、前記第1の高さにおける前記ノズルの第1の位置と前記第2の高さにおける前記ノズルの第2の位置とを計測し、
計測された前記ノズルの前記第1の位置と前記第2の位置とに基づいて、前記基板へ前記部品を装着する装着面に略平行な水平方向における前記ノズルの位置を補正するための補正データを生成し、
送信された前記補正データに基づいて、前記部品を前記基板に装着する部品装着高さと前記部品を認識する部品認識高さとの間の前記ノズルの昇降による前記ノズルの前記水平方向の位置ずれを補正する補正値を算出する、
キャリブレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品装着装置、部品装着システムおよびキャリブレーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、ノズルによってセンサユニットの認識高さに部品を持ち上げて認識し、ノズルを実装高さまで降ろして基板に実装する実装装置が開示されている。実装装置は、キャリブレーション時に認識高さから実装高さまで昇降可能なセンサユニットと、センサユニットを昇降させる昇降機構と、を備える。実装装置は、認識高さにある際のノズルの先端形状と、実装高さにある際のノズルの先端形状とをセンサユニットに認識させて、ノズルの先端位置を測定し、認識高さで測定したノズルの先端位置と、実装高さで測定したノズルの先端位置との水平方向のズレから認識高さから実装高さへの昇降に伴うノズルの水平方向のズレを補正する補正値を算出する。実装装置は、補正値に基づいて、認識高さから実装高さへの昇降に伴うノズルの水平方向のズレを補正する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実装ヘッドは、シャフトに連動して認識高さから実装高さへの上下方向に移動し、シャフトの回転によりシャフトの先端に取り付けられたノズルを回転させる。しかし、シャフトは、加工精度が原因で回転軸に対して所定の角度で曲がっている、もしくは、シャフトを回転させる回転機構に対して斜めに取り付けられていることがある。このようなシャフトは、上下方向の移動に伴って、ノズルが回転軸から半径方向外側に広がるため、ノズルの先端位置にズレが生じることがある。したがって、実装ヘッドは、認識高さから実装高さにノズルを下降させる場合、認識高さと実装高さとでノズル先端位置がシャフトの回転軸から半径方向外側に位置ズレが生じ、所望の位置に部品を実装することが困難だった。そこで、特許文献1では、水平方向から認識高さと実装高さとにおけるノズルの先端位置を測定し、測定された認識高さと実装高さとのノズルの先端位置のズレに基づいて、認識高さから実装高さへの昇降に伴うノズルの水平方向のズレを補正する補正値を算出する。しかし、センサユニットは、ノズルの先端位置を水平方向から測定するため、例えばノズルが水平方向に複数並んで取り付けられた実装ヘッドでは、センサユニットから最も近いノズル以外の先端位置の測定が困難だった。
【0005】
本開示は、上述した従来の事情に鑑みて案出され、水平方向におけるノズルの位置のずれをより高精度に補正する部品装着装置、部品装着システムおよびキャリブレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、部品を基板に装着する部品装着装置であって、前記部品を保持するノズルと、前記ノズルを備え、前記基板上に前記部品を搬送可能な装着ヘッドと、第1の高さと、前記第1の高さとは異なる高さの第2の高さとに位置する前記ノズルを下方から撮像する撮像部と、前記撮像部により撮像された撮像画像に基づいて、前記第1の高さにおける前記ノズルの第1の位置と前記第2の高さにおける前記ノズルの第2の位置とを計測し、計測された前記ノズルの前記第1の位置と前記第2の位置とに基づいて、前記基板へ前記部品を装着する装着面に略平行な水平方向における前記ノズルの位置を補正するための補正データを生成する算出部と、を備え、前記算出部は、前記補正データに基づいて、前記部品を前記基板に装着する部品装着高さと前記部品を認識する部品認識高さとの間の前記ノズルの昇降による前記ノズルの前記水平方向の位置ずれを補正する補正値を算出する、部品装着装置を提供する。
【0007】
また、本開示は、部品を基板に装着する部品装着装置と、前記部品装着装置との間で通信可能に接続されたコンピュータと、を備えた部品装着システムであって、前記部品装着装置は、第1の高さと、前記第1の高さとは異なる高さの第2の高さとに位置し、前記部品を保持するノズルを下方から撮像して、撮像された撮像画像を前記コンピュータに送信し、前記コンピュータは、送信された前記撮像画像に基づいて、前記第1の高さにおける前記ノズルの第1の位置と前第2の高さにおける前記ノズルの第2の位置とを計測し、計測された前記ノズルの前記第1の位置と前記第2の位置とに基づいて、前記基板へ前記部品を装着する装着面に略平行な水平方向における前記ノズルの位置を補正するための補正データを生成して、前記部品装着装置に送信し、前記部品装着装置は、送信された前記補正データに基づいて、前記部品を前記基板に装着する部品装着高さと前記部品を認識する部品認識高さとの間の前記ノズルの昇降による前記ノズルの前記水平方向の位置ずれを補正する補正値を算出する、部品装着システムを提供する。
【0008】
また、本開示は、部品を基板に装着する部品装着装置により実行されるキャリブレーション方法であって、第1の高さと、前記第1の高さとは異なる高さの第2の高さとに位置し、前記部品を保持する前記ノズルを下方から撮像し、撮像された撮像画像に基づいて、前記第1の高さにおける前記ノズルの第1の位置と前記第2の高さにおける前記ノズルの第2の位置とを計測し、計測された前記ノズルの前記第1の位置と前記第2の位置とに基づいて、前記基板へ前記部品を装着する装着面に略平行な水平方向における前記ノズルの位置を補正するための補正データを生成し、送信された前記補正データに基づいて、前記部品を前記基板に装着する部品装着高さと前記部品を認識する部品認識高さとの間の前記ノズルの昇降による前記ノズルの前記水平方向の位置ずれを補正する補正値を算出する、キャリブレーション方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、水平方向におけるノズルの位置のずれをより高精度に補正できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る部品装着システムが配置されたフロア内部を上から見た図
【
図2】実施の形態1に係る部品装着装置を上から見た図
【
図3】実施の形態1に係る部品装着装置のキャリブレーションカメラを説明する図
【
図4】実施の形態1に係る管理コンピュータの内部構成例を示すブロック図
【
図5】実施の形態1に係る部品装着装置の内部構成例を示すブロック図
【
図6(A)】ノズル先端位置の位置ずれを説明する図
【
図6(B)】ノズル先端位置の位置ずれを説明する図
【
図7】キャリブレーションカメラによる部品認識高さおよび部品装着高さにおけるノズルの撮像方法を説明する図
【
図10】実施の形態1における部品装着装置の動作手順例を示すフローチャート
【
図11】実施の形態1における部品装着装置の補正データの生成手順例を示すフローチャート
【
図12】実施の形態2に係る部品装着装置のキャリブレーションカメラを説明する図
【
図13】実施の形態2における部品装着装置の補正データの生成手順例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る部品装着装置、部品装着システムおよびキャリブレーション方法を具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る部品装着システム100が配置されたフロア内部を上から見た図である。実施の形態1に係る部品装着システム100は、基板3上に半田を印刷する半田印刷工程と、基板3に印刷された半田の印刷不良を検査する印刷検査工程と、半田印刷後の基板3に部品Dを装着する部品装着工程と、基板3に装着された部品Dを検査する装着検査工程と、基板3に印刷された半田をリフローするリフロー工程とを実行して、基板3に部品Dが半田付けされた実装基板を生産する。
【0013】
実施の形態1に係る部品装着システム100は、少なくとも1つの部品装着ラインL1と、通信ネットワークLNと、管理コンピュータP1と、を含んで構成される。なお、
図1では部品装着ラインが1本の例を示すが、複数あってよい。
【0014】
通信ネットワークLNは、管理コンピュータP1と、部品装着ラインL1を構成する各種装置のそれぞれとの間をデータ通信可能に接続する。なお、
図1の例において通信ネットワークLNは、有線通信可能に接続される例を示すが、無線通信可能であってもよい。ここでいう無線通信は、例えば無線LAN(Local Area NetWork)、Bluetooth(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの無線通信規格に準じて提供される通信方式である。
【0015】
管理コンピュータP1は、例えばPC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット、スマートフォン等であって、通信ネットワークLNを介して部品装着ラインL1との間で通信可能に接続される。また、管理コンピュータP1は、ユーザ操作を受け付け可能なユーザインターフェース(例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、タッチパッド、ポインティングデバイス等)を備え、ユーザ操作に基づく入力を制御信号に変換する。
【0016】
管理コンピュータP1は、部品装着ラインL1を構成する各種装置により実行される半田印刷工程と、印刷検査工程と、部品装着工程と、を含む実装基板の生産工程を統括して制御する。例えば、管理コンピュータP1は、作業者により予め入力あるいは設定された生産工程に関する生産情報と、生産工程を実行させる実行指令を生成して、これらの生産工程を実行する部品装着ラインL1に送信する。
【0017】
なお、管理コンピュータP1は、作業者により予め入力あるいは設定された生産データに基づいて、部品装着装置M3~M6のそれぞれにより実行される部品装着工程で用いられるノズル10ごとの補正データを生成してもよい。このような場合、管理コンピュータP1は、部品装着装置M3~M6のそれぞれから送信されたノズル10ごとの位置データに基づいて、補正データを生成する。管理コンピュータP1は、部品装着装置の稼働開始時(つまり、部品装着装置の電源がONにされた時)、あるいは部品装着装置で補正データを生成済みのノズル10が使用される場合、生成された補正データを対応する部品装着装置に送信する。
【0018】
なお、ここでいう生産データは、部品装着装置M3~M6のそれぞれによる部品装着工程の実行に用いられる情報であり、管理コンピュータP1により生成されて管理記憶部32(
図4参照)に記録される。生産データは、例えば基板のサイズ、基板認識マークの位置、部品の大きさ、ノズル10の吸着時間、装着位置、基板(装着)高さ、ノズル10の情報、基板の生産枚数などを含む。なお、生産データは、上述した項目のデータに限定されなくてよい。
【0019】
部品装着ラインL1は、半田印刷装置M1、印刷検査装置M2、複数の部品装着装置M3~M6のそれぞれ、装着検査装置M7、リフロー装置M8等の各種装置を含んで構成される。部品装着ラインL1を構成するこれらの各種装置は、通信ネットワークLNを介して管理コンピュータP1との間でデータ通信可能に接続され、管理コンピュータP1から送信された実行指令に基づいて、各制御を実行する。
【0020】
なお、実施の形態1に係る部品装着システム100における部品装着ラインL1は、半田印刷装置M1と、印刷検査装置M2と、複数の部品装着装置M3~M6のそれぞれと、装着検査装置M7と、リフロー装置M8と、を含んで構成される例を示すが、少なくとも1つの部品装着装置を含んで構成されていればよい。
【0021】
半田印刷装置M1は、管理コンピュータP1から送信された基板3の半田のデータ(例えば、半田の印刷パターン等)に基づいて、部品装着ラインL1の上流側(
図2に示す半田印刷装置M1の紙面左側)から搬入された基板3にマスクを介して半田を印刷する半田印刷工程を実行する。半田印刷装置M1は、半田印刷後の基板3を印刷検査装置M2に搬出する。
【0022】
印刷検査装置M2は、管理コンピュータP1から送信された基板3の半田のデータ(例えば、半田の印刷パターン等)に基づいて、半田印刷装置M1から搬入された基板3に印刷された半田の状態を検査する印刷検査工程を実行する。印刷検査装置M2は、搬入された基板3を撮像するカメラ(不図示)を備え、カメラによって撮像された撮像画像を用いて半田の状態(つまり、半田の印刷不良の有無)を検査する。印刷検査装置M2は、印刷検査装置M2におけるメモリ(不図示)に基板3の半田の印刷検査結果を記録するとともに、検査に合格した基板3を部品装着装置M3に搬出する。
【0023】
複数の部品装着装置M3~M6のそれぞれは、管理コンピュータP1から送信された実行指令に基づいて、印刷検査装置M2から搬入された基板3に1以上の部品Dを装着する部品装着工程を実行する。なお、部品装着ラインL1は、部品装着装置の数が4台の構成に限定されず、例えば部品装着装置の数が1~3台であっても5台以上であってもよい。
【0024】
複数の部品装着装置M3~M6のそれぞれは、管理コンピュータP1から送信された基板3の生産データに基づいて、ノズルを制御し、部品装着装置に取り付けられた部品供給部が備えるテープフィーダから部品Dを吸着して取り出す。複数の部品装着装置M3~M6のそれぞれは、ノズルにより吸着された部品Dを基板3上の所定位置に搬送して、装着する。複数の部品装着装置M3~M5のそれぞれは、連結された次の部品装着装置に部品装着後の基板3を搬出する。また、部品装着装置M6は、部品装着後の基板3を装着検査装置M7に搬出する。
【0025】
装着検査装置M7は、管理コンピュータP1から送信された基板3の生産データに基づいて、部品装着装置M6から搬入された基板3に装着された部品Dの状態(例えば、部品の装着位置不良の有無等)を検査する装着検査工程を実行する。装着検査装置M7は、搬入された基板3を撮像するカメラ(不図示)を備え、カメラによって撮像された撮像画像を用いて装着された部品の状態を検査する。装着検査装置M7は、装着検査装置M7におけるメモリ(不図示)に基板3の部品装着検査結果を記録するとともに、検査に合格した基板3をリフロー装置M8に搬出する。
【0026】
リフロー装置M8は、管理コンピュータP1から送信された基板3のリフローデータ(例えば、基板3を搬送するコンベアの搬送速度、加熱温度等)に基づいて、装着検査装置M7から搬入された基板3の電極部分と装着された1以上の部品とを接合するリフロー工程を実行する。リフロー装置M8は、装置内に搬入された基板3をベルトコンベアで搬送しながら加熱し、基板3上の半田を硬化させ、基板3の電極部分と装着された1以上の部品とを接合する。リフロー装置M8は、部品装着ラインL1の下流側(
図2に示すリフロー装置M8の右側)にリフロー後の基板3を搬出する。
【0027】
次に、
図2を参照して、部品装着装置M3~M6の構成について説明する。なお、複数の部品装着装置M3~M6のそれぞれは、同様の構成を有し、ここでは部品装着装置M3について説明する。
図2は、実施の形態1に係る部品装着装置M3を上から見た図である。
【0028】
なお、実施の形態1に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、基板3を搬送する一対の基板搬送機構2の両側方(Y方向、-Y方向)のそれぞれに複数の部品供給部4のそれぞれを備えるが、部品供給部は片側のみに備えてもよい。さらに、実施の形態1に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、シングルレーン(つまり、基板3を搬送可能な一対の基板搬送機構2)の構成を有する例を示すが、複数の基板3のそれぞれに同時に部品を装着可能なデュアルレーンの構成を有してもよい。
【0029】
図2に示す部品装着装置M3は、基台1と、基板搬送機構2と、複数の部品供給部4のそれぞれと、Y軸ビーム6A,6Bと、X軸ビーム7A,7Bと、装着ヘッド8と、基板認識カメラ9Aと、キャリブレーションカメラ9Bと、部品認識カメラ11と、を含んで構成される。
【0030】
基台1は、基台1の中央位置に基板3を搬送するための基板搬送機構2が設けられる。基板搬送機構2は、連接された印刷検査装置M2(部品装着装置M4~M6の場合は、連接された部品装着装置)から搬入された基板3を、基台1の中央位置における所定の部品装着位置まで搬送し、保持する。また、基板搬送機構2は、連接された次の部品装着装置M4(部品装着装置M6の場合は、連接された装着検査装置M7)に部品装着後の基板3を搬出する。
【0031】
複数の部品供給部4のそれぞれは、基板3に装着される部品Dを供給する複数のテープフィーダ5のそれぞれを並設して備える。なお、実施の形態1に係る部品装着装置M3において、テープフィーダ5は、2つのキャリヤテープを装着可能なダブルフィーダである例を説明するが、1つのキャリヤテープを装着可能なシングルフィーダであってもよい。つまり、部品装着装置M3は、シングルフィーダとダブルフィーダとを任意に装着可能な部品供給部により構成されてよい。
【0032】
部品供給部4は、複数のテープフィーダ5のそれぞれを備える。部品供給部4は、複数のテープフィーダ5のそれぞれに装着されたキャリヤテープ(部品)の位置を特定するためのテープフィーダアドレスが割り当てられ、設定される。
【0033】
なお、
図2における複数の部品供給部4のそれぞれは、テープフィーダ5に基板3への装着対象となる部品Dを収納したキャリヤテープを取り付け、装着ヘッド8による部品取り出し位置までこのキャリヤテープに収納された部品をピッチ送りする機能を有する例を示す。複数の部品供給部4のそれぞれは、所定のテープ送り方向に向かって部品を収納したキャリヤテープのそれぞれをピッチ送りすることにより、以下に説明する装着ヘッド8によって部品取り出し位置に部品のそれぞれを供給する。
【0034】
基台1の上面においてX方向の一端側の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸ビーム6A,6BのそれぞれがY方向に沿って配設されている。Y軸ビーム6A,6Bのそれぞれは、同様にリニア駆動機構を備えた2基のX軸ビーム7A,7Bのそれぞれが、Y方向,-Y方向に移動自在に結合される。2基のX軸ビーム7A,7Bのそれぞれは、X方向に沿って配設される。2基のX軸ビーム7A,7Bのそれぞれには、プレート(不図示)が備えられる。装着ヘッド8および基板認識カメラ(不図示)は、プレートを介してX軸ビーム7A,7Bに取り付けられ、X軸ビーム7A,7Bと一体的に駆動(移動)される。
【0035】
装着ヘッド8は、X軸ビーム7A,7Bにより基板認識カメラ(不図示)と一体的に駆動(移動)される。装着ヘッド8は、複数のシャフト8Aのそれぞれを有し、これらシャフト8Aに装着されたノズル10によって、テープフィーダ5のそれぞれに取り付けられたキャリヤテープに収納された部品Dを吸着保持し、基板3の装着位置に搬送して装着する。
【0036】
複数の基板認識カメラ9Aは、X軸ビーム7A,7Bにより装着ヘッド8と一体に駆動(移動)され、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の上方から基板3上の所定の位置に設けられた基板マーク(不図示)を撮像する。複数の基板認識カメラ9Aのそれぞれは、撮像された撮像画像を部品装着装置M3の制御部41(
図5参照)に送信する。部品装着装置M3の制御部41は、基板マークが撮像された撮像画像を画像処理して、基板搬送機構2に搬送された基板3の搬送位置および姿勢を認識する。
【0037】
撮像部の一例としての複数のキャリブレーションカメラ9Bのそれぞれは、基台1上の部品供給部4と基板搬送機構2との間にそれぞれ備えられる。複数のキャリブレーションカメラ9Bのそれぞれは、装着ヘッド8に取り付けられた少なくとも1本のノズル10の先端(部品Dを吸着保持する吸着部分)を下方から複数回撮像する。複数のキャリブレーションカメラ9Bは、それぞれ異なる複数の回転角度(例えば、0(ゼロ)°、90°、180°、270°等)に回転されたノズル10の先端を撮像し、撮像された複数の撮像画像のそれぞれを部品装着装置M3の制御部41(
図5参照)に送信する。部品装着装置M3の制御部41は、ノズル10の先端部分が撮像された撮像画像を画像処理して、回転角度ごとのノズル10の先端位置(座標)を認識する。
【0038】
複数の部品認識カメラ11のそれぞれは、基台1上の部品供給部4と基板搬送機構2との間にそれぞれ備えられる。複数の部品認識カメラ11のそれぞれは、部品供給部4におけるキャリヤテープに収納された部品Dを取り出した装着ヘッド8が部品認識カメラ11の上方を移動するタイミングで、装着ヘッド8に保持された部品Dを下方から撮像する。複数の部品認識カメラ11のそれぞれは、撮像された撮像画像を部品装着装置M3の制御部41(
図5参照)に送信する。部品装着装置M3の制御部41は、部品Dが撮像された撮像画像を画像処理して、部品Dの保持姿勢を認識する。
【0039】
次に、
図3を参照して、キャリブレーションカメラ9Bおよびノズル10のそれぞれについて説明する。実施の形態1に係る部品装着装置M3~M6のキャリブレーションカメラ9Bを説明する図である。また、
図3は、基板搬送機構2から部品供給部4に向かう方向から見た装着ヘッド8およびキャリブレーションカメラ9Bの図である。
【0040】
装着ヘッド8は、ノズル10のキャリブレーションを行うタイミング(例えば、部品装着装置の起動時、生産開始前(つまり、部品装着工程の開始前)、シャフト8Aへのノズル装着時、ノズル交換時等)で部品装着機構12(
図5参照)により駆動され、複数のノズル10のそれぞれの先端がキャリブレーションカメラ9Bによって撮像可能な位置(つまり、キャリブレーションカメラ9Bの画角内)まで移動する。
【0041】
キャリブレーションカメラ9Bは、制御部41(
図5参照)から出力された制御指令に基づいて、装着ヘッド8に装着された複数のノズル10のそれぞれがキャリブレーションカメラ9Bの撮像可能な位置(つまり、画角内)に位置するノズル10の先端を下方(―Z方向)から撮像する。キャリブレーションカメラ9Bは、撮像された撮像画像を制御部41(
図5参照)に出力する。キャリブレーションカメラ9Bは、レンズ91,92と、イメージセンサ93と、ガラス94と、を備える。なお、レンズ92は省略されてもよい。
【0042】
イメージセンサ93は、例えばCCD(Charged-Coupled Device)あるいはCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)等の固体撮像素子であり、撮像面93Aに結像した光学像を電気信号に変換する。
【0043】
導光体の一例としてのガラス94は、イメージセンサ93上に搭載され、ノズル10の先端の撮像時の焦点距離を調整可能にする。具体的に、ガラス94は、レンズ91,92のそれぞれと、撮像面93Aとの間の距離(焦点距離)を短くする。これにより、部品装着装置M3~M6は、ノズル10を水平方向(X方向あるいはY方向)に移動させることで、部品認識高さH1におけるノズル10の先端位置と、部品装着高さH2におけるノズル10の先端位置とをより効率的に撮像できる。ここで、ガラス94のZ方向における厚さは、例えば3mmである。なお、ガラス94の厚さはこれに限定されず、また、部品装着装置ごとに異なっていてもよい。
【0044】
図4を参照して、管理コンピュータP1の内部構成について説明する。
図4は、実施の形態1に係る管理コンピュータP1の内部構成例を示すブロック図である。なお、
図4に示す内部構成は一例であってこれに限定されないことは言うまでもない。
【0045】
管理コンピュータP1は、部品装着ラインL1を構成する各種装置との間でデータ通信可能に接続され、これら各種装置の制御を実行する。管理コンピュータP1は、管理制御部31と、管理記憶部32と、入力部33と、表示部34と、通信部35と、を含んで構成される。
【0046】
管理制御部31は、例えばCPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成され、管理記憶部32と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、管理制御部31は管理記憶部32に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
【0047】
管理コンピュータP1が各部品装着装置M3~M6で生成されたノズル10ごとの補正データを管理する場合、管理制御部31は、各部品装着装置M3~M6から送信された補正データの送信を要求する制御指令に基づいて、管理記憶部32に記憶された補正データ32Bを参照し、制御指令の送信元の部品装着装置に対応する補正データを抽出する。管理制御部31は、抽出された補正データを通信部35に出力して、制御指令の送信元である部品装着装置に送信する。
【0048】
また、管理コンピュータP1がノズル10ごとの補正データを生成する場合、管理制御部31は、部品装着装置から送信されたノズル10ごとの撮像画像、あるいはノズル10ごとの位置データ等を取得する。管理制御部31は、取得された撮像画像あるいは位置データに基づいて、ノズル10ごとの補正データを生成する。管理制御部31は、生成された補正データと、ノズル10の情報と、位置データの送信元である部品装着装置の情報とを対応付けて、管理記憶部32に記憶する。生成された補正データは、位置データの送信元である部品装着装置に送信され、記憶されてもよい。なお、補正データの生成手順については後述する。
【0049】
管理記憶部32は、例えば管理制御部31の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAM(Random Access Memory)と、管理制御部31の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROM(Read Only Memory)とを有する。RAMには、管理制御部31により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、管理制御部31の動作を規定するプログラムが書き込まれている。管理記憶部32は、生産データ32Aと、補正データ32Bと、を記憶する。
【0050】
生産データ32Aは、基板3ごとに生成され、基板3を生産するためのデータである。補正データ32Bは、ノズル10ごとに生成され、ノズル10の回転方向Q(
図6(A),
図6(B)参照)における部品認識高さH1と部品装着高さH2との間で昇降されるノズル10の先端位置の補正(キャリブレーション)を行うためのデータである。
【0051】
入力部33は、作業者による操作を受け付けるユーザインターフェースであって、例えばマウス、キーボード、タッチパネル、タッチパッド、ポインティングデバイスなどを用いて構成される。入力部33は、作業者操作に基づく信号を管理制御部31に出力する。
【0052】
表示部34は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)または有機EL(Electroluminescence)等のディスプレイを用いて構成される。
【0053】
通信部35は、通信ネットワークLNを介して、複数の部品装着装置M3~M6のそれぞれとの間でデータ通信可能に接続される。通信部35は、作業者により予め入力あるいは設定された生産工程に関する生産情報に基づいて、管理制御部31により生成された生産工程を実行させるための実行指令を、対応する部品装着装置に送信する。
【0054】
次に、
図5を参照して、部品装着装置M3~M6のそれぞれの内部構成について説明する。
図5は、実施の形態1に係る部品装着装置M3~M6の内部構成例を示すブロック図である。なお、複数の部品装着装置M3~M6のそれぞれは略同様の構成を有するため、以下の説明では、部品装着装置M3の内部構成について説明する。
【0055】
通信部40は、通信ネットワークLNを介して、管理コンピュータP1との間でデータ通信可能に接続される。通信部40は、管理コンピュータP1から送信された実行指令、生産データ、あるいは補正データ等を制御部41に出力する。
【0056】
算出部の一例としての制御部41は、例えばCPUまたはFPGAを用いて構成され、記憶部42と協働して、各種の処理および制御を行う。具体的には、制御部41は、記憶部42に保持されたプログラムおよびデータを参照し、そのプログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。
【0057】
制御部41は、部品装着機構12、キャリブレーションカメラ9B等を制御して、異なる複数の回転角度のそれぞれにおける部品認識高さH1および部品装着高さH2のノズル10の先端位置が撮像された複数の撮像画像のそれぞれを取得する。制御部41は、取得された複数の撮像画像のそれぞれに画像処理を実行し、ノズル10の先端を検出する。制御部41は、検出されたノズル10の先端位置を測定することで、部品認識高さH1におけるノズル10の先端位置の位置データと、部品装着高さH2におけるノズル10の先端位置の位置データとを生成する。
【0058】
また、制御部41は、生成された部品認識高さH1および部品装着高さH2のそれぞれにおけるノズル10ごとの位置データに基づいて、ノズル10ごとの補正データを生成する。生成された補正データは、記憶部42に記憶されたり、通信部40により管理コンピュータP1に送信されたりする。
【0059】
制御部41は、生成された補正データに基づいて、部品認識高さH1と部品装着高さH2との昇降によるノズル10の先端位置の位置ずれを補正するための補正値を算出する。制御部41は、算出された補正値に基づいて、部品装着機構12を駆動して装着ヘッド8を移動させて、基板3上への部品Dの装着を行う。
【0060】
なお、補正データの生成にあたって、ノズル10の撮像高さは、部品認識高さH1と部品装着高さH2とに限定されない。ノズル10の撮像高さは、ノズル10のZ方向,-Z方向への昇降可能な高さであって、かつ、異なる2つの高さであればよい。
【0061】
記憶部42は、例えば制御部41の各処理を実行する際に用いられるワークメモリとしてのRAMと、制御部41の動作を規定したプログラムおよびデータを格納するROMとを有する。RAMには、制御部41により生成あるいは取得されたデータもしくは情報が一時的に保存される。ROMには、制御部41の動作を規定するプログラムが書き込まれている。例えば、記憶部42は、ノズル10の情報と、ノズル10ごとに生成された補正データとを記憶する。
【0062】
部品装着機構12は、Y軸ビーム6A,6Bと、X軸ビーム7A,7Bと、装着ヘッド8と、を含んで構成される。
【0063】
図6(A)を参照して、シャフト8Aが回転軸に対して所定の角度θ1で曲がっている場合のノズル10の先端位置の位置ずれについて説明する。
図6(A)は、ノズル先端位置の位置ずれを説明する図である。なお、
図6(A)では、説明を分かり易くするために装着ヘッド8の図示を省略している。また、
図6(A)では、説明を分かり易くするために部品認識高さH1に対応するノズルに符号「10A」を付与し、部品装着高さH2に対応するノズルに符号「10B」を付与している。
【0064】
装着ヘッド8は、複数のシャフト8Aのそれぞれを備え、複数のシャフト8Aのそれぞれの-Z方向側に位置する先端にノズル10が装着される。シャフト8Aは、部品装着機構12により上下方向(Z方向,-Z方向)に昇降し、回転軸Rを中心として回転方向Qに回転されることで先端に装着されたノズル10の回転角度を調整可能にする。
【0065】
ナット8Bは、所定の高さ(基準高さH0以上の高さ)でシャフト8Aの中心が回転軸Rに略等しくなるように保持する。
【0066】
シャフト8Aは、部品装着機構12によりZ方向,-Z方向へ昇降されると、シャフト8Aの先端位置(つまり、ノズル10の装着位置)が回転軸Rから回転軸Rを回転中心とする半径外側方向に向かってずれる。
【0067】
例えば、シャフト8Aは、シャフト8Aの先端にノズル10Aが装着され、部品装着機構12によりノズル10Aの先端位置が基準高さH0から部品認識高さH1まで下降される。なお、
図6(A)に示す例ではシャフト8Aは、昇降により、シャフト8Aの回転軸Rから角度θ1だけ曲がっている例を示す。部品認識高さH1まで下降された時、ノズル10Aの先端位置は、回転軸Rを中心として角度θ1の曲がりに基づいて、回転軸Rから半径外側方向に距離W1だけ位置がずれる。
【0068】
また、例えば、シャフト8Aは、シャフト8Aの先端にノズル10Bが装着され、部品装着機構12によりノズル10Bの先端位置が部品認識高さH1から部品装着高さH2まで下降される。部品装着高さH2まで下降された時、ノズル10Bの先端位置は、回転軸Rから半径外側方向に距離W2だけ位置がずれる。なお、ここで、距離W2は、距離W1よりも大きい。
【0069】
また、
図6(B)を参照して、シャフト8Aがシャフトを回転させる回転機構(不図示)に対して所定の角度θ2で取り付けられている場合のノズル10の先端位置の位置ずれについて説明する。
図6(B)は、ノズル先端位置の位置ずれを説明する図である。なお、
図6(B)においても、説明を分かり易くするために装着ヘッド8の図示を省略している。また、
図6(B)においても、説明を分かり易くするために部品認識高さH1に対応するノズルに符号「10C」を付与し、部品装着高さH2に対応するノズルに符号「10D」を付与している。
【0070】
装着ヘッド8は、複数のシャフト8Aのそれぞれを備え、複数のシャフト8Aのそれぞれの-Z方向側に位置する先端にノズル10が装着される。シャフト8Aは、部品装着機構12により上下方向(Z方向,-Z方向)に昇降し、回転軸Rを中心として回転方向Qに回転されることで先端に装着されたノズル10の回転角度を調整可能にする。
【0071】
ナット8Bは、所定の高さ(基準高さH0以上の高さ)でシャフト8Aの中心を通る軸線と回転軸Rが交差するように保持する。
【0072】
シャフト8Aは、部品装着機構12によりZ方向,-Z方向へ昇降されると、シャフト8Aの先端位置(つまり、ノズル10の装着位置)が回転軸Rから回転軸Rを回転中心とする半径外側方向に向かってずれる。
【0073】
例えば、シャフト8Aは、シャフト8Aの先端にノズル10Aが装着され、部品装着機構12によりノズル10Aの先端位置が基準高さH0から部品認識高さH1まで下降される。なお、
図6(B)に示す例ではシャフト8Aは、昇降により、シャフト8Aが図示しないシャフトを回転させるための回転機構の回転軸Rに対して角度θ2だけ斜めに取り付けられている例を示す。部品認識高さH1まで下降された時、ノズル10Aの先端位置は、回転軸Rを中心として、回転軸Rから半径外側方向に距離W3だけ位置がずれる。
【0074】
また、例えば、シャフト8Aは、シャフト8Aの先端にノズル10Bが装着され、部品装着機構12によりノズル10Bの先端位置が部品認識高さH1から部品装着高さH2まで下降される。部品装着高さH2まで下降された時、ノズル10Bの先端位置は、回転軸Rから半径外側方向に距離W4だけ位置がずれる。なお、ここで、距離W4は、距離W3よりも大きい。
【0075】
以上により、ノズル10の先端位置は、部品認識高さH1におけるノズル10Aの先端位置と部品装着高さH2におけるノズル10Bの先端位置とが異なる。具体的に、ノズル10の先端位置は、
図6(A),
図6(B)に示すように基準高さH0からの高さに基づいて、XY平面(水平方向)にずれる。このような装着ヘッド8により基板3上に装着された部品Dは、基板3の部品装着面(つまり、ノズル10に対向する面であって、Z方向側のXY平面)上で位置がずれて装着される。以下、ノズル10の補正データの生成に用いる位置データの取得方法について説明する。
【0076】
図7を参照して、ノズル10の撮像例について説明する。
図7は、キャリブレーションカメラ9Bによる部品認識高さH1および部品装着高さH2におけるノズル10の撮像方法を説明する図である。なお、
図7~
図8では、説明を分かり易くするために部品認識高さH1に対応するノズルに符号「10A」を付与し、部品装着高さH2に対応するノズルに符号「10B」を付与するが、
図7に示すようにキャリブレーションカメラ9Bにより撮像されるノズル10の高さは、部品認識高さH1である。
【0077】
また、
図7~
図9では、キャリブレーションカメラ9Bにより4つの回転角度として、回転角度が0(ゼロ)°、90°、180°、270°のそれぞれに回転されたノズル10の先端を撮像する例について説明するが、これら4つの回転角度はこれに限定されなくてもよい。例えば、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、装着ヘッド8に装着されたノズル10がキャリブレーションカメラ9Bにより撮像される撮像位置まで移動させた時の任意の回転角度を基準角度とし、この基準角度から所定角度(例えば、90°)ずつ回転させて4つの回転角度におけるノズル10の先端を撮像してもよい。
【0078】
部品装着装置M3~M6のそれぞれは、部品認識高さH1と部品装着高さH2とでそれぞれで4つの回転角度に回転されたノズル10をキャリブレーションカメラ9Bにより撮像する。ここで、部品認識高さH1で撮像されるノズル10の4つの回転角度と、部品装着高さH2で撮像されるノズル10の4つの回転角度とは一致していなくてもよい。また、本実施の形態1,2に示す例において、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、補正データの生成において、4つの回転角度でノズル10の先端を撮像する例について説明するが、これに限定されず、少なくとも3つ以上の回転角度で撮像すればよい。
【0079】
制御部41は、キャリブレーションのタイミングで、補正データを生成するために部品認識高さH1における位置データの取得処理と、部品装着高さH2における位置データの取得処理とを開始する。なお、ここでは部品装着高さH2における位置データの取得処理を先に実行する例について説明するが、部品認識高さH1における位置データの取得処理が先に実行されてもよいことは言うまでもない。
【0080】
部品装着高さH2における位置データの取得処理において、制御部41は、部品装着機構12を駆動させて、装着ヘッド8に装着された複数のノズル10のうち撮像対象となるいずれかのノズル10をキャリブレーションカメラ9Bの画角内に移動させる。制御部41は、部品装着機構12を駆動させてノズル10の先端高さを部品認識高さH1に位置合わせするとともに、いずれかのノズル10がイメージセンサ93に搭載されたガラス94上(つまり、領域AR2上)に位置させる。ここで、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、イメージセンサ93に搭載されたガラス94上にノズル10を移動させることでレンズ91,92との間の焦点距離を調整し、部品認識高さH1で部品装着高さH2におけるノズル10の先端の撮像を実現できる。なお、領域AR2は、第1の領域の一例である。
【0081】
制御部41は、撮像対象となるいずれかのノズル10を領域AR2上に移動させた後、このノズル10の回転角度を第1の回転角度(例えば、回転角度が0(ゼロ)°等)に調整し、ノズル10の部品装着高さH2におけるノズル10の先端の撮像を開始する。制御部41は、キャリブレーションカメラ9Bにより第1の回転角度におけるノズル10の先端を撮像する。キャリブレーションカメラ9Bは、撮像された撮像画像を制御部41に出力する。
【0082】
制御部41は、第1の回転角度に回転されたノズル10の位置を撮像した後、第2の回転角度までノズル10を回転させる。制御部41は、キャリブレーションカメラ9Bにより第2の回転角度に回転されたノズル10の先端を撮像する。同様にして、制御部41は、第3,第4の回転角度のそれぞれでキャリブレーションカメラ9Bによるノズル10の先端の撮像を実行する。
【0083】
制御部41は、部品装着高さH2における第1~第4の回転角度のそれぞれでノズル10を撮像した後、装着ヘッド8に装着され、部品装着高さH2における位置データの取得処理が実行されていないノズル10があるか否か(つまり、第1~第4の回転角度のそれぞれでの撮像が行われていないノズル10があるか否か)を判定する。制御部41は、部品装着高さH2における位置データの取得処理が実行されていないいずれかのノズル10を選択し、選択されたノズル10に部品装着高さH2における位置データの取得処理を実行する。制御部41は、装着ヘッド8に装着されたすべてのノズル10に対して部品装着高さH2における位置データの取得処理を実行したと判定した場合、部品認識高さH1における位置データの取得処理に移行する。
【0084】
部品認識高さH1における位置データの取得処理において、制御部41は、部品装着機構12を駆動させて、装着ヘッド8に装着された複数のノズル10のうち撮像対象となるいずれかのノズル10を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる。具体的に、制御部41は、部品装着機構12を駆動させて、ノズル10がイメージセンサ93に搭載されたガラス94上外(つまり、領域AR1上)に位置するように移動させる。ここで、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、イメージセンサ93の領域AR1上にノズル10を移動させることでレンズ91,92との間の焦点距離を調整し、部品認識高さH1におけるノズル10の先端の撮像を実現できる。なお、領域AR1は、第2の領域の一例である。
【0085】
制御部41は、撮像対象となるいずれかのノズル10を領域AR1上に移動させた後、このノズル10の回転角度を第1の回転角度(例えば、回転角度が0(ゼロ)°等)に調整し、ノズル10の部品装着高さH2におけるノズル10の先端の撮像を開始する。なお、制御部41は、第4の回転角度のままノズル10の先端の撮像を開始してもよい。制御部41は、キャリブレーションカメラ9Bにより第1の回転角度におけるノズル10の先端を撮像する。キャリブレーションカメラ9Bは、撮像された撮像画像を制御部41に出力する。
【0086】
制御部41は、第1の回転角度に回転されたノズル10の位置を撮像した後、第2の回転角度までノズル10を回転させる。制御部41は、キャリブレーションカメラ9Bにより第2の回転角度に回転されたノズル10の先端を撮像する。同様にして、制御部41は、第3,第4の回転角度のそれぞれでキャリブレーションカメラ9Bによるノズル10の先端の撮像を実行する。
【0087】
制御部41は、部品認識高さH1における第1~第4の回転角度のそれぞれでノズル10を撮像した後、装着ヘッド8に装着され、部品認識高さH1における位置データの取得処理が実行されていないノズル10があるか否か(つまり、第1~第4の回転角度のそれぞれでの撮像が行われていないノズル10があるか否か)を判定する。制御部41は、部品装着高さH2における位置データの取得処理が実行されていないいずれかのノズル10を選択し、選択されたノズル10に対して部品認識高さH1における位置データの取得処理を実行する。制御部41は、装着ヘッド8に装着されたすべてのノズル10に対して部品認識高さH1における位置データの取得処理を実行したと判定した場合、ノズル10ごとの位置データの取得処理に移行する。
【0088】
図8および
図9を参照して、ノズル10の補正データの生成方法について説明する。
図8は、ノズル10の先端位置の測定例を説明する図である。
図9は、補正データの生成例を説明する図である。
【0089】
制御部41は、部品認識高さH1における4つの回転角度0(ゼロ)°、90°、180°、270°のそれぞれのノズル10の先端が撮像された4枚の撮像画像と、部品装着高さH2における4つの回転角度0(ゼロ)°、90°、180°、270°のそれぞれのノズル10の先端が撮像された4枚の撮像画像とを取得する。制御部41は、取得された各撮像画像からノズル10の先端を検出して、検出されたノズル10の先端位置(座標)を計測する。
【0090】
ノズル位置データPIC1は、回転角度が0(ゼロ)°(第1の回転角度)における部品認識高さH1のノズル10Aの先端位置PS11と、部品装着高さH2におけるノズル10Bの先端位置PS12とを示すデータである。
【0091】
ノズル位置データPIC2は、回転角度が90°(第2の回転角度)における部品認識高さH1のノズル10Aの先端位置PS21と、部品装着高さH2におけるノズル10Bの先端位置PS22とを示すデータである。
【0092】
ノズル位置データPIC3は、回転角度が180°(第3の回転角度)における部品認識高さH1のノズル10Aの先端位置PS31と、部品装着高さH2におけるノズル10Bの先端位置PS32とを示すデータである。
【0093】
ノズル位置データPIC4は、回転角度が270°(第4の回転角度)における部品認識高さH1のノズル10Aの先端位置PS41と、部品装着高さH2におけるノズル10Bの先端位置PS42とを示すデータである。
【0094】
なお、
図8では説明を分かりやすくするために、各回転角度で撮像された2枚の撮像画像を重ね合わせたノズル位置データPIC1,PIC2,PIC3,PIC4のそれぞれを図示している。
図8に示すように、ノズル10は、同一の回転角度であっても部品認識高さH1および部品装着高さH2のそれぞれでXY平面上におけるノズル10の先端位置(座標)が異なる。
【0095】
制御部41は、8枚の撮像画像から検出されたノズル10の先端位置(座標)に基づいて、ノズル位置データPIC5を生成する。
図9に示すノズル位置データPIC5は、部品認識高さH1で撮像された4つの回転角度におけるノズル10の先端位置PS11,PS21,PS31,PS41のそれぞれと、部品装着高さH2で撮像された4つの回転角度におけるノズル10の先端位置PS12,PS22,PS32,PS42のそれぞれとがプロットされたデータである。制御部41は、生成されたノズル位置データPIC5に基づいて、部品認識高さH1におけるノズル10の先端位置の軌跡TR1と、部品装着高さH2におけるノズル10の先端位置の軌跡TR2とをそれぞれ算出する。制御部41は、算出された部品認識高さH1におけるノズル10の先端位置の軌跡TR1と、部品装着高さH2におけるノズル10の先端位置の軌跡TR2とをこのノズル10の補正データとして記憶する。
【0096】
図10を参照して、部品装着装置M3~M6のそれぞれの動作手順について説明する。
図10は、実施の形態1における部品装着装置M3~M6の動作手順例を示すフローチャートである。なお、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、同様の動作手順を実行するため、ここでは部品装着装置M3の動作手順について説明する。
【0097】
部品装着装置M3は、作業者操作による運転開始操作、あるいは管理コンピュータP1から送信された制御指令等の運転開始操作を受け付けた場合、キャリブレーション処理のタイミングであると判定する。部品装着装置M3は、装着ヘッド8が有する複数のシャフト8Aのそれぞれにノズル10を装着する(St10)。
【0098】
部品装着装置M3は、部品認識高さH1および部品装着高さH2のそれぞれの各回転角度におけるノズル10の位置データを取得する(St11A)。
【0099】
部品装着装置M3は、取得された部品認識高さH1および部品装着高さH2のそれぞれの各回転角度におけるノズル10の位置データに基づいて、ノズル10ごとの補正データを生成して記憶部42に記録(記憶)する(St12)。
【0100】
部品装着装置M3は、補正データ生成後、所定の基板搬送位置まで基板3を搬入する(St13)。部品装着装置M3は、部品装着機構12を駆動させ、基板3上に装着される部品Dをノズル10で吸着する(St14)。
【0101】
部品装着装置M3は、部品装着機構12を駆動させ、ノズル10に吸着保持された部品Dを基板3上の所定の部品装着位置に搬送する。ここで、部品装着装置M3は、所定の部品装着位置に搬送する途中で、部品認識カメラ11上を通過させる。部品装着装置M3は、装着ヘッド8に装着されたノズル10が部品認識カメラ11上を通過するタイミングで、ノズル10に吸着保持された部品Dを部品認識カメラ11により下方(-Z方向)から撮像する。部品装着装置M3は、撮像された撮像画像から部品Dを検出し、ノズル10に吸着保持された部品Dの姿勢(角度)を認識(計測)する(St15)。
【0102】
部品装着装置M3は、計測された部品Dの姿勢(角度)と生産データに含まれる基板3上への装着方向とに基づいて、部品認識高さH1におけるノズル10の回転角度を算出する。部品装着装置M3は、記憶部42に記録された補正データ(具体的には、部品認識高さH1におけるノズル10の先端位置の軌跡TR1および部品装着高さH2におけるノズル10の先端位置の軌跡TR2のそれぞれ)に基づいて、部品Dの部品装着位置(座標)を補正した補正値(座標)を算出する(St16)。
【0103】
なお、ここでいう軌跡TR1,TR2のそれぞれは、位置データの一例である。また、補正データは、軌跡TR1と軌跡TR2とをシャフト8Aの回転軸Rで位置合わせしたデータである。これにより、部品装着装置M3は、シャフト8A(つまり、ノズル10)の所定の回転角度における部品認識高さH1と部品装着高さH2との間でのノズル10の先端位置の水平方向(つまり、XY平面、基板3の部品装着面等と略同一平面)におけるずれ(補正値)を算出できる。
【0104】
部品装着装置M3は、算出された補正値(座標)に基づいて、装着ヘッド8のX方向,Y方向それぞれの移動量を決定する。部品装着装置M3は、決定された移動量に基づいて、部品装着機構12を駆動させて、基板3上の所定の部品装着位置(つまり、補正値が示す座標)に部品Dを装着する(St17)。
【0105】
部品装着装置M3は、生産データに基づいて、基板3に装着されるすべての部品の装着が完了するまでステップSt14~ステップSt17の処理を繰り返し実行する。
【0106】
次に、
図11を参照して、実施の形態1おけるノズル10ごとの補正データの生成手順について説明する。
図11は、実施の形態1における部品装着装置M3~M6の補正データの生成手順例を示すフローチャートである。なお、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、同様の動作手順で補正データの生成するため、ここでは部品装着装置M3の動作手順について説明する。なお、
図11に示す補正データの生成手順は、管理コンピュータP1により実行されてよい。
【0107】
まず、部品装着装置M3は、部品装着高さH2における装着ヘッド8に装着された複数のノズル10のそれぞれの先端の認識処理を実行する。なお、
図11で説明する生成手順例において、装着ヘッド8は、N(N:1以上の整数)本のノズル10のそれぞれが装着されている例について説明する。
【0108】
部品装着装置M3は、部品装着機構12を駆動させてノズル10の先端高さを部品認識高さH1に位置合わせするとともに、少なくとも1つのノズル10がイメージセンサ93に搭載されたガラス94上(つまり、領域AR2上)に位置させる。部品装着装置M3は、撮像対象(つまり、位置の認識対象)である少なくとも1つのノズル10の回転角度を0(ゼロ)°(第1の回転角度の一例)に調整する。部品装着装置M3は、キャリブレーションカメラ9Bにより、部品装着高さH2、かつ、回転角度0(ゼロ)°におけるノズル10の先端を撮像する。部品装着装置M3は、撮像された撮像画像に画像認識処理を実行してノズル10の先端を検出し、検出されたノズル10の先端位置(座標)を計測(認識)する(St21)。
【0109】
部品装着装置M3は、部品装着機構12によりシャフト8Aを回転させ、ノズル10の回転角度を90°(第2の回転角度の一例)に調整する。部品装着装置M3は、キャリブレーションカメラ9Bにより、部品装着高さH2、かつ、回転角度90°におけるノズル10の先端を撮像する。部品装着装置M3は、撮像された撮像画像に画像認識処理を実行して、ノズル10の先端を検出し、検出されたノズル10の先端位置(座標)を計測(認識)する(St22)。
【0110】
部品装着装置M3は、部品装着機構12によりシャフト8Aを回転させ、ノズル10の回転角度を180°(第3の回転角度の一例)に調整する。部品装着装置M3は、キャリブレーションカメラ9Bにより、部品装着高さH2、かつ、回転角度180°におけるノズル10の先端を撮像する。部品装着装置M3は、撮像された撮像画像に画像認識処理を実行してノズル10の先端を検出し、検出されたノズル10の先端位置(座標)を計測(認識)する(St23)。
【0111】
部品装着装置M3は、部品装着機構12によりシャフト8Aを回転させ、ノズル10の回転角度を270°(第4の回転角度の一例)に調整する。部品装着装置M3は、キャリブレーションカメラ9Bにより、部品装着高さH2、かつ、回転角度270°におけるノズル10の先端を撮像する。部品装着装置M3は、撮像された撮像画像に画像認識処理を実行してノズル10の先端を検出し、検出されたノズル10の先端位置(座標)を計測(認識)する(St24)。
【0112】
部品装着装置M3は、部品装着高さH2におけるN本のノズル10のそれぞれの先端位置を認識済みであるか否かを判定する(St25)。
【0113】
部品装着装置M3は、ステップSt25の処理において、部品装着高さH2におけるN本のノズル10のそれぞれの先端位置を認識済みであると判定した場合(St25,YES)、部品装着機構12を駆動させて、N本のノズル10のそれぞれがイメージセンサ93に搭載されたガラス94上外(つまり、領域AR1上)に位置するように移動する(St26A)。
【0114】
一方、部品装着装置M3は、ステップSt25の処理において、部品装着高さH2におけるN本のノズル10のそれぞれの先端位置を認識済みでないと判定した場合(St25,NO)、N本のノズル10のそれぞれのうちノズル10の先端位置を認識済みでないいずれか1本のノズル10を選定する(St27)。部品装着装置M3は、選定されたノズル10の先端位置の認識処理を実行する。
【0115】
部品装着装置M3は、撮像対象となるいずれかのノズル10を領域AR1上に移動させた後、N本のノズル10のそれぞれの回転角度を0(ゼロ)°(第1の回転角度の一例)に調整し、部品認識高さH1におけるN本のノズル10のそれぞれの先端を撮像する。部品装着装置M3は、撮像された撮像画像に画像認識処理を実行してN本のノズル10のそれぞれの先端を検出し、検出されたN本のノズル10のそれぞれの先端位置(座標)を計測(認識)する(St28)。
【0116】
部品装着装置M3は、撮像対象となるいずれかのノズル10を領域AR1上に移動させた後、N本のノズル10のそれぞれの回転角度を90°(第2の回転角度の一例)に調整し、部品認識高さH1におけるN本のノズル10のそれぞれの先端を撮像する。部品装着装置M3は、撮像された撮像画像に画像認識処理を実行して、N本のノズル10のそれぞれの先端を検出し、検出されたN本のノズル10のそれぞれの先端位置(座標)を計測(認識)する(St29)。
【0117】
部品装着装置M3は、撮像対象となるいずれかのノズル10を領域AR1上に移動させた後、N本のノズル10のそれぞれの回転角度を180°(第3の回転角度の一例)に調整し、部品認識高さH1におけるN本のノズル10のそれぞれの先端を撮像する。部品装着装置M3は、撮像された撮像画像に画像認識処理を実行してN本のノズル10のそれぞれの先端を検出し、検出されたN本のノズル10のそれぞれの先端位置(座標)を計測(認識)する(St30)。
【0118】
部品装着装置M3は、撮像対象となるいずれかのノズル10を領域AR1上に移動させた後、N本のノズル10のそれぞれの回転角度を270°(第4の回転角度の一例)に調整し、部品認識高さH1におけるN本のノズル10のそれぞれの先端を撮像する。部品装着装置M3は、撮像された撮像画像に画像認識処理を実行してN本のノズル10のそれぞれの先端を検出し、検出されたN本のノズル10のそれぞれの先端位置(座標)を計測(認識)する(St31)。
【0119】
部品装着装置M3は、N本のノズル10のそれぞれにおいて、部品認識高さH1における位置データ(つまり、各回転角度におけるノズル10の先端位置のデータ)に基づいて、部品認識高さH1におけるノズル10の先端位置の軌跡TR1を算出する。部品装着高さH2における位置データに基づいて、部品装着高さH2におけるノズル10の先端位置の軌跡TR2を算出する。部品装着装置M3は、算出された部品認識高さH1におけるノズル10の先端位置の軌跡TR1と、部品装着高さH2におけるノズル10の先端位置の軌跡TR2とに基づいて、ノズル10ごとの補正データを生成する(St32)。
【0120】
以上により、実施の形態1における部品装着装置M3~M6のそれぞれは、ノズル10の回転方向におけるノズル10の先端位置ずれを補正可能な補正データを生成できる。したがって、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、生成された補正データに基づいて、基板3上に装着される部品Dの位置ずれをより高精度に補正できる。
【0121】
なお、上述した部品装着装置M3~M6のそれぞれにより実行される補正データの生成手順は、これに限定されない。例えば、部品装着高さH2におけるノズル10の先端の撮像において、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、装着ヘッド8に装着されたノズル10の本数および装着位置が、キャリブレーションカメラ9Bの画角内、かつ、領域AR2上に位置させることが可能であると判定した場合、N本のノズル10のそれぞれがイメージセンサ93に搭載されたガラス94上(つまり、領域AR2上)に位置するように部品装着機構12を駆動させてもよい。このような場合、部品装着装置M3は、ステップSt29~ステップSt31で示したように、ノズル10の先端位置を1本ずつ撮像せず、回転角度ごとのN本のノズル10のそれぞれの先端位置を一括で撮像してもよい。
【0122】
同様に、部品認識高さH1におけるノズル10の先端の撮像において、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、装着ヘッド8に装着されたノズル10の本数および装着位置が、キャリブレーションカメラ9Bの画角内、かつ、領域AR1上に位置させることが可能でないと判定した場合、ステップSt21~ステップSt24で示したように、回転角度ごとのN本のノズル10のそれぞれの先端位置を一括で撮像せず、ノズル10の先端位置を1本ずつ撮像してもよい。
【0123】
また、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、ノズル10ごとに部品認識高さH1と部品装着高さH2におけるノズル10の先端を撮像するようにしても良い。
【0124】
これにより、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、装着ヘッド8に装着可能なノズルの本数、ノズルの装着位置、キャリブレーションカメラ9Bの画角、領域AR1あるいは領域AR2の面積等に基づいて、より効率的に補正データの生成処理を実行できる。
【0125】
(実施の形態2)
実施の形態1における部品装着装置M3~M6のそれぞれは、イメージセンサ93上にガラス94を搭載することで焦点距離を調整可能にし、部品認識高さH1と部品装着高さH2との間でシャフト8Aを昇降させることなく、部品認識高さH1におけるノズル10の先端と、部品装着高さH2におけるノズル10の先端とを撮像可能にする例を示した。実施の形態2における部品装着装置M3~M6のそれぞれは、キャリブレーションカメラ9Cの下方にキャリブレーションカメラ9CをZ方向,-Z方向に昇降可能な昇降機構13を備え、キャリブレーションカメラ9Cを昇降させることで、部品認識高さH1と部品装着高さH2との間でシャフト8Aを昇降させることなく、部品認識高さH1におけるノズル10の先端と、部品装着高さH2におけるノズル10の先端とを撮像可能にする例について説明する。
【0126】
なお、以降の実施の形態2の説明において、実施の形態1に係る部品装着システム100、および部品装着装置M3~M6のそれぞれと同様の構成は、同一の符号を付与して説明を省略する。
【0127】
図12を参照して、実施の形態2におけるキャリブレーションカメラ9Cと、ノズル10の先端の撮像方法について説明する。
図12は、実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のキャリブレーションカメラ9Cを説明する図である。
【0128】
撮像部の一例としての複数のキャリブレーションカメラ9Cは、昇降テーブル14上に固定されて、昇降テーブル14を支持する昇降部15によりZ方向,-Z方向に昇降される。なお、
図5に示す昇降機構13は、昇降テーブル14と、昇降部15と、を含んで構成される。制御部41は、昇降部15を制御し、キャリブレーションカメラ9Cを昇降させる。
【0129】
制御部41は、キャリブレーションカメラ9Cのレンズ91とノズル10の先端との距離が部品認識高さH1に対応する高さH3と、キャリブレーションカメラ9Cのレンズ91とノズル10の先端との距離が部品装着高さH2に対応する高さH4との間でZ方向,-Z方向に昇降部15を昇降させる。これにより、制御部41は、キャリブレーションカメラ9Cによる部品認識高さH1における各回転角度でのノズル10の先端の撮像と、部品装着高さH2における各回転角度でのノズル10の先端の撮像可能になる。
【0130】
次に、
図13を参照して、実施の形態2おけるノズル10ごとの補正データの生成手順について説明する。
図13は、実施の形態2における部品装着装置M3~M6の補正データの生成手順例を示すフローチャートである。なお、
図13に示す補正データの生成手順は、管理コンピュータP1により実行されてよい。
【0131】
なお、
図13に示す実施の形態2におけるノズル10ごとの補正データの生成手順は、
図11に示す実施の形態1におけるノズル10ごとの補正データの生成手順と略同じであるため、同一の処理は説明を省略する。また、
図13で説明する生成手順例において、装着ヘッド8は、N(N:1以上の整数)本のノズル10のそれぞれが装着されている例について説明する。
【0132】
まず、部品装着装置M3は、昇降機構13を駆動させて、部品装着高さH2におけるN本のノズル10のそれぞれの位置を撮像可能な高さH4にキャリブレーションカメラ9Cを昇降する。
【0133】
部品装着装置M3は、ステップSt25の処理において、部品装着高さH2におけるN本のノズル10のそれぞれの先端位置を認識済みであると判定した場合(St25,YES)、昇降機構13を駆動させて、部品認識高さH1におけるN本のノズル10のそれぞれの位置を撮像可能な高さH3にキャリブレーションカメラ9Cを昇降する(St26B)。
【0134】
以上により、実施の形態2における部品装着装置M3~M6のそれぞれは、ノズル10の回転方向におけるノズル10の先端位置のずれを補正可能な補正データを生成できる。したがって、部品装着装置M3~M6のそれぞれは、生成された補正データに基づいて、基板3上に装着される部品Dの位置ずれをより高精度に補正できる。
【0135】
以上により、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、部品Dを基板3に装着する部品装着装置M3~M6であって、部品Dを保持するノズル10と、ノズル10を備え、基板3上に部品Dを搬送可能な装着ヘッド8と、第1の高さと第2の高さとに位置するノズル10を下方から撮像するキャリブレーションカメラ9B,9C(撮像部の一例)と、キャリブレーションカメラ9B,9Cにより撮像された撮像画像に基づいて、第1の高さにおけるノズル10の第1の位置(例えば、
図8に示すノズル10Bの先端位置PS12,PS22,PS32,PS42のそれぞれ)と第2の高さにおけるノズルの第2の位置(例えば、
図8に示すノズル10Aの先端位置PS11,PS21,PS31,PS41のそれぞれ)とを計測し、計測されたノズル10の第1の位置と第2の位置とに基づいて、基板3へ部品Dを装着する装着面に略平行な水平方向におけるノズル10の位置を補正するための補正データを生成する制御部41(算出部の一例)と、を備える。制御部41は、補正データに基づいて、部品Dを基板3に装着する部品装着高さH2と部品Dを認識する部品認識高さH1との間のノズル10の昇降によるノズル10の水平方向の位置ずれを補正する補正値を算出する。
【0136】
なお、ここでいう第1の高さおよび第2の高さは、それぞれ異なる高さであって、かつ、シャフト8A(つまり、ノズル10)がZ方向,-Z方向にそれぞれ昇降可能な高さであればよい。
【0137】
これにより、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、シャフト8A(つまり、ノズル10)の所定の回転角度において異なる2つの高さ(第1の高さおよび第2の高さ)のそれぞれのノズル10の先端位置の水平方向(つまり、XY平面、基板3の部品装着面等と略同一平面)におけるずれ(補正値)を算出できる。したがって、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、算出された補正値に基づいて、部品装着機構12による装着ヘッド8の水平方向の移動量を補正し、部品認識高さH1から部品装着高さH2までシャフト8Aを昇降させた場合に、生産データ上の部品装着位置と実際の部品装着位置との間の水平方向(XY平面上)の位置ずれをより小さくできる。つまり、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、部品装着精度をより向上させるとともに、生成された補正データに基づいて補正値を算出できるため、部品装着処理をより効率的に実行できる。
【0138】
また、以上により、実施の形態1および実施の形態2における第1の高さは、部品装着高さH2である。第2の高さは、部品認識高さH1である。これにより、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、シャフト8A(つまり、ノズル10)の所定の回転角度における部品認識高さH1と部品装着高さH2のそれぞれでノズル10の先端位置の水平方向(つまり、XY平面、基板3の部品装着面等と略同一平面)におけるずれ(補正値)を算出できる。これにより、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、算出されたずれ(補正値)に基づいて、部品装着精度をより向上させ、部品装着処理をより効率的に実行できる。
【0139】
また、以上により実施の形態1に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれが備えるキャリブレーションカメラ9B,9Cのそれぞれは、イメージセンサ93の撮像面93A上にガラス94(導光体の一例)を有し、ガラス94が配置された領域AR1(第1の領域の一例)で第1の高さのノズル10を撮像し、撮像面93A上、かつ、領域AR1外で第2の高さのノズル10を撮像する。これにより、実施の形態1に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、2つの異なる高さ(つまり、第1の高さおよび第2の高さ)におけるノズル10の先端をそれぞれ撮像でき、部品装着高さH2におけるノズル10の位置データ(
図9に示す軌跡TR2)を生成できる。
【0140】
また、以上により実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、第1の高さと第2の高さとの間でキャリブレーションカメラ9Cを昇降可能な昇降機構13、を更に備える。これにより、実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、装着ヘッド8を昇降させずに2つの異なる高さ(つまり、第1の高さおよび第2の高さ)のそれぞれにおけるノズル10の先端を撮像でき、より効率的に補正データを生成できる。
【0141】
また、以上により実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれが備えるノズル10は、ノズル10を回転可能なシャフト8Aに装着され、シャフト8Aの回転軸Rを中心に異なる複数の回転角度(例えば、0(ゼロ)°、90°、180°、270°等)に回転される。キャリブレーションカメラ9B,9Cは、第1の高さおよび第2の高さのそれぞれにおいて異なる複数の回転角度のノズル10を撮像する。制御部41は、撮像された撮像画像に基づいて、ノズル10の第1の位置と第2の位置とを計測する。これにより、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、シャフト8Aの回転軸Rを中心としてノズル10を回転させた場合のノズル10の先端位置の軌跡TR1,TR2を取得できる。したがって、ノズル10に吸着保持された部品Dの姿勢を回転させ、かつ、部品認識高さH1から部品装着高さH2まで昇降させる場合であっても、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、部品Dを回転させる所定の回転角度における軌跡TR1,TR2上の2点間距離(例えば、
図9に示す先端位置PS11と先端位置PS12との位置差分等)に基づいて、補正値を算出できる。つまり、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、部品装着精度をより向上させるとともに、生成された補正データに基づいて補正値を算出できるため、部品装着処理をより効率的に実行できる。
【0142】
また、以上により実施の形態1および実施の形態2に部品装着装置M3~M6のそれぞれで生成される補正データは、第1の高さにおける異なる複数の回転角度のそれぞれのノズル10の位置の軌跡TR1(軌跡情報の一例)と、第2の高さにおける異なる複数の回転角度のそれぞれのノズルの位置のTR2(軌跡情報の一例)とを含む。これにより、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、ノズル10に吸着保持された部品Dの姿勢を回転させ、かつ、部品認識高さH1から部品装着高さH2まで昇降させる場合であっても、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、部品Dを回転させる所定の回転角度における軌跡TR1,TR2上の2点間距離(例えば、
図9に示す先端位置PS11と先端位置PS12との位置差分等)に基づいて、補正値を算出できる。つまり、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、部品装着精度をより向上させるとともに、生成された補正データに基づいて補正値を算出できるため、部品装着処理をより効率的に実行できる。
【0143】
また、以上により実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれが備えるキャリブレーションカメラ9B,9Cは、ノズル10の先端を撮像する。これにより、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着装置M3~M6のそれぞれは、ノズル10の先端を撮像した撮像画像に基づいて、補正データを生成できるため、ノズル10の先端に吸着される部品Dの基板3上への部品装着位置をより高精度に補正できる。
【0144】
以上により、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着システム100は、部品Dを基板3に装着する部品装着装置M3~M6と、部品装着装置M3~M6との間で通信可能に接続された管理コンピュータP1(コンピュータの一例)と、を備えた部品装着システム100である。部品装着装置M3~M6は、第1の高さと第2の高さとに位置し、部品Dを保持するノズル10を下方(-Z方向)から撮像して、撮像された撮像画像を管理コンピュータP1に送信する。管理コンピュータP1は、送信された撮像画像に基づいて、第1の高さにおけるノズル10の第1の位置(例えば、
図8に示すノズル10Bの先端位置PS12,PS22,PS32,PS42のそれぞれ)と第2の高さにおけるノズル10の第2の位置(例えば、
図8に示すノズル10Aの先端位置PS11,PS21,PS31,PS41のそれぞれ)とを計測し、計測されたノズル10Aの第1の位置と第2の位置とに基づいて、基板3へ部品Dを装着する装着面に略平行な水平方向におけるノズル10の位置を補正するための補正データを生成して、部品装着装置M3~M6に送信する。部品装着装置M3~M6は、送信された補正データに基づいて、部品Dを基板3に装着する部品装着高さH2と部品Dを認識する部品認識高さH1との間のノズル10の昇降によるノズル10の水平方向の位置ずれを補正する補正値を算出する。
【0145】
これにより、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着システム100は、部品装着装置M3~M6のそれぞれから送信された撮像画像に基づいて、シャフト8A(つまり、ノズル10)の所定の回転角度において異なる2つの高さ(第1の高さおよび第2の高さ)のそれぞれのノズル10の先端位置の水平方向(つまり、XY平面、基板3の部品装着面等と略同一平面)におけるずれ(補正値)を算出できる。したがって、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着システム100は、算出された補正値に基づいて、部品装着機構12による装着ヘッド8の水平方向の移動量を補正し、部品認識高さH1から部品装着高さH2までシャフト8Aを昇降させた場合に、生産データ上の部品装着位置と実際の部品装着位置との間の水平方向(XY平面上)の位置ずれをより小さくできる。つまり、実施の形態1および実施の形態2に係る部品装着システム100は、部品装着精度をより向上させるとともに、生成された補正データに基づいて補正値を算出できるため、部品装着処理をより効率的に実行できる。
【0146】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本開示は、水平方向におけるノズルの位置のずれをより高精度に補正する部品装着装置、部品装着システムおよびキャリブレーション方法として有用である。
【符号の説明】
【0148】
1 基台
2 基板搬送機構
3 基板
4 部品供給部
5 テープフィーダ
6A,6B Y軸ビーム
7A,7B X軸ビーム
8 装着ヘッド
8A シャフト
9A 基板認識カメラ
9B,9C キャリブレーションカメラ
10 ノズル
11 部品認識カメラ
12 部品装着機構
13 昇降機構
14 昇降テーブル
15 昇降部
91,92 レンズ
93 イメージセンサ
93A 撮像面
94 ガラス
100 部品装着システム
AR1,AR2 領域
H1 部品認識高さ
H2 部品装着高さ
M3,M4,M5,M6 部品装着装置
P1 管理コンピュータ