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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041388
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】電気機器及びモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/10 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148747
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】大石 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 洋平
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA01
5H605AA02
5H605CC01
5H605CC02
5H605DD16
5H605DD32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】液状ガスケットの付着による第1Oリングの劣化を抑え、且つ互いに接合するセンサーケーシング及びカバー部の気密性を低コストで高めることができるモータを提供する。
【解決手段】ケーシング113bが、回転検知センサーを収容し、センサーケーシング113bの第1液路113fの連通口及びこれを囲う第1Oリング131のそれぞれが、連通口を有する接合面113cの面方向において、接合面113cに配置される枠状の形状のシール材129の枠外に配置され、センサーケーシング113b及びカバーの少なくとも一方が、接合面113cの面方向における、シール材129と第1Oリング131との間に配置されるガスケット捕捉溝113eを接合面113cに備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシング及び前記ケーシングの開口を覆うカバーを備え、
前記ケーシング及び前記カバーのそれぞれが、互いに接合する接合面と、冷媒の流路となる液路と、それぞれの前記接合面の間に介在するシール材及びOリングとを備え、
それぞれの前記液路が、前記接合面で連通口として開口して互いに連通し、
前記Oリングが、前記ケーシングと前記カバーとの間に介在しつつ、互いに連通する2つの前記液路のそれぞれの前記連通口を囲む態様で配置される電気機器であって、
前記ケーシングが、センサーを収容するセンサーケーシングであり、
前記連通口及び前記Oリングのそれぞれが、前記接合面の面方向において、枠状の形状の前記シール材の枠外に配置され、
前記センサーケーシング及び前記カバーの少なくとも一方が、前記接合面の面方向における、前記シール材と前記Oリングとの間に配置される溝を前記接合面に備える
ことを特徴とする電気機器。
【請求項2】
前記センサーケーシング及び前記カバーのそれぞれが、前記液路たる第1液路、及び前記Oリングたる第1Oリングに加えて、互いに連通する第2液路、及びそれぞれの前記第2液路の連通口を囲みつつ、それぞれの接合面の間に介在する第2Oリングを備え、
それぞれの前記第2液路、及び前記第2Oリングが、枠状の形状の前記シール材の枠内に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記カバーの前記第1液路における前記接合面とは反対側の端と、前記カバーの前記第2液路における前記接合面とは反対側の端とが、互いに連通する
ことを特徴とする請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の電気機器を備え、
前記電気機器が、モータであり、
前記センサーが、前記モータのロータの回転を検知する回転検知センサーである
ことを特徴とするモータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ等の電気機器、及びモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケーシング、及びケーシングの開口を覆うカバーを備え、ケーシング及びカバーのそれぞれが、互いに接合する接合面と、冷媒の流路となる液路と、それぞれの接合面の間に介在するシール材及びOリングとを備える電気機器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の電気機器としてのモータは、モータケーシング、及びモータケーシングの開口を覆うモータカバーを備える。モータケーシング及びモータカバーのそれぞれは、互いに接合する接合面(端面、突合せ面)と、冷媒の流路となる液路たる冷却油路と、それぞれの接合面の間に介在するシール材たる液状ガスケット、及びOリングとを備える、それぞれの冷却油路は、前述の接合面で連通口として開口して互いに連通する。Oリングは、モータケーシングとモータカバーとの間に介在しつつ、互いに連通する2つの冷却油路のそれぞれの連通口を囲む態様で配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-49000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、本発明者らによって開発されている電気機器として、センサーを収容するセンサーケーシングと、センサーケーシングの開口を覆うセンサーカバーとを備える電気機器がある。この電気機器は、弾性材料からなるOリングと、液状ガスケットからなるシール材とを備える。Oリングは、センサーケーシングの液路と、センサーカバーの液路との連通部にて、センサーケーシングとセンサーカバーとの間に介在しつつ、それぞれの液路の連通口を囲む。また、シール材は、センサーケーシングの接合面と、センサーカバーの接合面との間に介在して、センサーケーシングの内部を密閉する。かかる構成によれば、センサーケーシングの液路の連通口、及びセンサーカバーの液路の連通口のそれぞれを囲むOリングが、それぞれの接合面間の微小な隙間を封止することで、隙間からの冷媒漏れを抑えることができる。加えて、センサーケーシングの接合面と、モータカバーの接合面との間に介在するシール部材が、センサーケーシング内の気密性を高めることができる。更に、この電気機器を、ロータの回転を検知する回転検知センサーを搭載する油冷式のモータに適用した場合には、次のような効果を奏することができる。即ち、センサーケーシング内の気密性を高めることで、センサーケーシング内に流入される冷却油のセンサーケーシング外への漏れを防止して、センサーケーシング外に配置される制御基板等の冷却油付着に起因する劣化を抑えることができるという効果である。
【0006】
しかしながら、この電気機器においては、センサーケーシングとセンサーカバーとの接合時に、液状ガスケットからなるシール材を接合面に沿って広がらせてOリングに付着させるおそれがあり、付着によってOリングの劣化を早めてしまうおそれがある。液状ガスケットに代えて、メタルガスケット等の固体ガスケットを用いれば、液状ガスケットの付着によるOリングの劣化を回避することが可能であるが、固体ガスケットは液状ガスケットに比べて高価であることから、低コスト化を図ることができなくなってしまう。
【0007】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次のような電気機器及びモータを提供することである。即ち、液状ガスケットの付着によるOリングの劣化を抑え、且つ互いに接合するセンサーケーシング及びセンサーカバーの気密性を低コストで高めることができる電気機器及びモータである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、ケーシング及び前記ケーシングの開口を覆うカバーを備え、前記ケーシング及び前記カバーのそれぞれが、互いに接合する接合面と、冷媒の流路となる液路と、それぞれの前記接合面の間に介在するシール材及びOリングとを備え、それぞれの前記液路が、前記接合面で連通口として開口して互いに連通し、前記Oリングが、前記ケーシングと前記カバーとの間に介在しつつ、互いに連通する2つの前記液路のそれぞれの前記連通口を囲む態様で配置される電気機器であって、前記ケーシングが、センサーを収容するセンサーケーシングであり、前記連通口及び前記Oリングのそれぞれが、前記接合面の面方向において、枠状の形状の前記シール材の枠外に配置され、前記センサーケーシング及び前記カバーの少なくとも一方が、前記接合面の面方向における、前記シール材と前記Oリングとの間に配置される溝を前記接合面に備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、液状ガスケットの付着によるOリングの劣化を抑え、且つ互いに接合するセンサーケーシング(以下、ケーシングとも言う)及びセンサーカバー(以下、カバーとも言う)の気密性を低コストで高めることができるという優れた効果がある。加えて、本発明によれば、次のような効果を奏することもできる。即ち、ケーシング及びカバーのそれぞれの液路、及びそれぞれの液路の連通口を囲うOリングが、シール材の枠外に配置されることで、液路内の冷媒がOリングとケーシング又はカバーとの隙間から冷媒が漏れたとしても、ケーシング内への冷媒の侵入を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るモータの一例を示す斜視図である。
図2】同モータの内部構造を模式的に示す図である。
図3】同モータ1の第2ハウジングを軸方向のリア側から示す分解斜視図である。
図4】同第2ハウジングbを軸方向のリア側から示す平面図である。
図5】同第2ハウジング、カバー兼ケーシングユニット、及びスイッチングユニットを軸方向のリア側から示す分解斜視図である。
図6】同スイッチングユニットを示す斜視図である。
図7】同第2ハウジングを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
実施形態では説明を分かり易くするため、本発明の主要部以外の構造や要素については、簡略化または省略して説明する。また、図面において、同じ要素には同じ符号を付す。なお、図面に示す各要素の形状、寸法などは模式的に示したもので、実際の形状、寸法などを示すものではない。
【0012】
図1は、実施形態に係るモータ1の一例を示す斜視図である。図2は、図1のモータ1の内部構造を模式的に示す図である。以下、モータ部102の回転軸に沿った方向、及びこれに平行な方向を、軸方向(Ax)と言う。また、軸方向において、減速機104側をフロント側、インバータ部103側をリア側と言う。
【0013】
図2に示されるように、モータ1は、モータ部102と、インバータ部103と、減速機104と、筐体105と、駆動シャフト106とを備えている。モータ部102、インバータ部103、及び減速機104は、何れも筐体105の内部に収容されている。
【0014】
モータ部102は、コイル(不図示)が巻回されたステータ107と、永久磁石(不図示)が配置されたロータ108と、回転軸に沿ってロータ108の鉄心に嵌入されたモータシャフト109とを備える。モータ1はインナーロータ型のモータであって、ロータ108の外周には僅かなエアギャップを隔ててステータ107が配置される。モータ部102においては、コイルの電流制御によりステータ107の磁界を順番に切り替えることで、ロータ108の磁界との吸引力又は反発力により、モータシャフト109を中心としてロータ108が回転する。モータシャフト109は、負荷側及び反負荷側のそれぞれに配置された軸受110a、110bにより回転自在に支持されている。
【0015】
インバータ部103は、モータ部2の駆動を制御するためのコントローラであって、モータシャフト109の反負荷側に配置される。インバータ部103は、例えば、高速スイッチング素子(IGBTなど)、ゲート基板、コンデンサ、放電抵抗及び制御基板などの要素を備える。インバータ部103は、力行時にはバッテリー(不図示)からの直流電圧を交流に変換してモータ部102のコイルに供給し、回生時にはモータ部102からの交流をバッテリーへの直流に変換する機能を担う。
【0016】
減速機104は、モータシャフト109の負荷側に接続され、モータ部102の動力を駆動シャフト106の一方側に伝達する動力伝達機構である。
【0017】
減速機104は、例えば、インプットシャフト104a(モータシャフト)、カウンターシャフト104b、アウトプットシャフト104c(駆動シャフト)、インプットギヤ104d、及び第1カウンターギヤ104eを備える。また、減速機104は、第2カウンターギヤ104f、ドライブギヤ104g及びデファレンシャルギヤ104hを備える。インプットシャフト104aにはインプットギヤ104dが設けられる。カウンターシャフト104bには、第1カウンターギヤ104e及び第2カウンターギヤ104fが設けられる。アウトプットシャフト104cには、ドライブギヤ104g及びデファレンシャルギヤ104hが設けられる。
【0018】
モータシャフト109であるインプットシャフト104aは、モータ部102の動力によって回転する。インプットシャフト104aのインプットギヤ104dは、カウンターシャフト104bの第1カウンターギヤ104eと噛み合う。また、カウンターシャフト104bの第2カウンターギヤ104fは、アウトプットシャフト104cのドライブギヤ104gと噛み合う。第1カウンターギヤ104eの駆動力は、カウンターシャフト104bの第2カウンターギヤ104fとアウトプットシャフト104cのドライブギヤ104gとの組み合わせにより減速(加速)されて、駆動シャフト106であるアウトプットシャフト104cから出力される。
【0019】
図1に示されるように、駆動シャフト106は、モータ部102の軸方向と平行な方向に延びるハーフシャフトである。駆動シャフト106は、一方側が減速機104に接続され、他方側が等速ジョイント111を介して駆動輪(不図示)に取り付けられる。この駆動シャフト106は、筐体105に設けられた支持部120によってその他方側が回転可能に支持されている。
【0020】
筐体105は、第1ハウジング112、第2ハウジング113、第3ハウジング114、及びインバータカバー115を備える。第1ハウジング112は、モータ部102を収容するモータハウジングとして機能する。第2ハウジング113は、モータ部102の一部と、インバータ部103とを収容するモータ部兼インバータ部ハウジングとして機能する。第2ハウジング113の軸方向のフロント側は、モータ部102の軸方向のリア側端部を収容する。また、第2ハウジング113の軸方向のリア側は、インバータ部103を収容する。第2ハウジング113のリア側の端はリア側に向けて開口しており、この開口はインバータカバー115によって塞がれる。
【0021】
筐体105は、第1ハウジング112、第2ハウジング113、第3ハウジング114、及びインバータカバー115からなり、電動車両の車体(不図示)に取り付けられる。第1ハウジング112、第2ハウジング113、第3ハウジング114、及びインバータカバー115のそれぞれは、例えばアルミニウム合金などの導電性を有する金属の鋳造品であり、何れも導電性を有している。このため、筐体105は、車体との取付部(不図示)を介して車体と電気的に接続され、車体と等しく接地電位となる。なお、必要に応じて、筐体105と車体をアース線で電気的に接続してもよい。
【0022】
第2ハウジング113は、第1ハウジング112のリア側(図2の右側であり、モータ部102の反負荷側である)に連結される。また、第3ハウジング114は、第1ハウジング112のフロント側(図2の左側であり、負荷側である)に連結される。このため、第2ハウジング113、及び第3ハウジング114は、軸方向において第1ハウジング112を隔てて配置されている。
【0023】
筐体105においてインバータ部103を収容する第2ハウジング113には、駆動シャフト106の他方側を回転可能に支持する支持部120が筐体外側に設けられている。支持部120は、筐体105を介して駆動シャフト106を車体と電気的に接続し、駆動シャフト106を接地させる機能を担う。
【0024】
第2ハウジング113は、モータハウジングと、インバータハウジングとを兼ねている。以下、第2ハウジング113において、モータハウジングとして機能する空間(軸方向のフロント側の空間)をモータ部空間と言い、インバータハウジングとして機能する空間(軸方向のリア側の空間)をインバータ部空間と言う。第2ハウジング113において、モータ部空間とインバータ部空間とは、仕切壁113aによって仕切られている。
【0025】
図3は、第2ハウジング113を軸方向のリア側から示す分解斜視図である。第2ハウジング113は、センサーケーシング113bを備える。センサーケーシング113bの軸方向のリア側の端部は、仕切壁113aの軸方向のリア側の端面よりも少しだけリア側に突出している。センサーケーシング113bの軸方向のリア側の端は、リア側に向けて開口している。センサーケーシング113bの周壁は、モータ部空間内に向けてエンボス状に突出している。センサーケーシング113b内には、レゾルバ等の回転検知センサー130が収容されている。回転検知センサー130は、モータシャフト(図2の109)の回転を検知することで、モータシャフトと一体的に回転するロータ(図2の108)の回転を間接的に検知する。
【0026】
インバータ部(図2の103)は、カバー兼ケーシングユニット140を備える。カバー兼ケーシングユニット140は、アルミ等の金属の鋳造品からなり、カバー部141と、カバー部141よりも軸方向のリア側に配置される流路ケーシング部142とを備える。カバー兼ケーシングユニット140は、複数のボルト145によってセンサーケーシング113bのリア側に固定される。この固定により、カバー兼ケーシングユニット140のカバー部141が、センサーケーシング113bのリア側の開口を塞ぐ。この状態では、センサーケーシング113bの軸方向のリア側の端面である接合面113cと、センサーカバーたるカバー部141のフロント側の端面である接合面とが接合する。カバー兼ケーシングユニット140の流路ケーシング部142は、矩形状の形状であり、矩形状の中継空間142cを備える。流路ケーシング部142は、軸方向のリア側に向けて開口しており、この開口のフロント側に中継空間142cが配置される。
【0027】
センサーケーシング113b及びカバー兼ケーシングユニット140のそれぞれは、軸方向に延びる第1液路(113f、142a)と、軸方向に延びる第2液路(113g、142b)とを備える。また、センサーケーシング113bの第1液路113f及び第2液路113gと、カバー兼ケーシングユニット140の第1液路142a及び第2液路142bと、中継空間142cとには、冷却水などの冷媒が流される。
【0028】
センサーケーシング113bの第1液路113f及び第2液路113gのそれぞれにおける軸方向のリア側の端には、リア側に向けて開口する連通口が設けられている。一方、カバー兼ケーシングユニット140の第1液路142a及び第2液路142bのそれぞれにおけるフロント側の端には、フロント側に向けて開口する連通口が設けられている。カバー兼ケーシングユニット140がセンサーケーシング113bに固定された状態では、カバー兼ケーシングユニット140の第1液路142aと、センサーケーシング113bの第1液路113fとが、互いの連通口を介して連通する。加えて、カバー兼ケーシングユニット140の第2液路142bと、センサーケーシング113bの第2液路113gとが、互いの連通口を介して連通する。
【0029】
センサーケーシング113bの接合面113cには、軸方向のフロント側に向けて窪むリング状のリング溝113dと、軸方向のフロント側に向けて窪む半月状のガスケット捕捉溝113eとが配置される。リング溝113dは、センサーケーシング113bの第1液路113fの連通口を囲む態様で配置される。このリング溝113dには、第1Oリング131が嵌め込まれる。
【0030】
第1Oリング131は、センサーケーシング113bの第1液路113fの連通口、及びカバー兼ケーシングユニット140の第1液路142aの連通口のそれぞれを囲む。加えて、第1Oリング131は、センサーケーシング113bの接合面113cと、カバー兼ケーシングユニット140のカバー部141の接合面との間に介在する。これにより、センサーケーシング113bの第1液路113fの連通口、及びカバー兼ケーシングユニット140の第1液路142aの連通口から、2つの接合面の隙間を介しての冷媒漏れが抑えられる。
【0031】
センサーケーシング113bの接合面113cには、軸方向のフロント側に向けて窪むリング状のリング溝113hが配置される。リング溝113hは、第2液路113gの連通口を囲む。このリング溝113hには、第2Oリング132が嵌め込まれる。第2Oリング132は、センサーケーシング113bの第2液路113gの連通口、及びカバー兼ケーシングユニット140の第2液路142bの連通口のそれぞれを囲む。加えて、第2Oリング132は、センサーケーシング113bの接合面113cと、カバー兼ケーシングユニット140のカバー部141の接合面との間に介在する。これにより、センサーケーシング113bの第2液路113gの連通口、及びカバー兼ケーシングユニット140の第2液路142bの連通口から、互いの接合面の隙間を介しての冷媒漏れが抑えられる。
【0032】
カバー兼ケーシングユニット140のカバー部141の軸方向におけるリア側の端面には、中継コネクタ143が固定される。回転検知センサー130のセンサーコネクタ130aと、中継コネクタ143とは、ハーネス(不図示)によって電気接続される。
【0033】
図4は、第2ハウジング113を、軸方向のリア側から示す平面図である。同図においては、理解を容易にするために、液状ガスケットの固化体からなるシール材129を、ハッチングを付して示している。センサーケーシング113bの接合面113cには、液状ガスケットの固化体からなるシール材129が、所定の幅でセンサーケーシング113bの中空113b-1を囲む態様で配置される。このシール材129は、センサーケーシング113bの接合面113cと、カバー兼ケーシングユニット(図3の140)のカバー部(図3の141)の接合面との間に介在する。この介在により、センサーケーシング113bの中空を密閉することで、同中空の気密性を低コストで高めることができる。なお、同図においては、便宜上、シール材129にハッチングが付されているが、ハッチングはシール材129の断面を示すものではない。
【0034】
センサーケーシング113bの接合面113cにおいては、ガスケット捕捉溝113eが、面方向におけるシール材129と第1Oリング131との間に配置される。センサーケーシング113bの接合面113cに塗布された液状ガスケットが固化することで、シール材129となる。センサーケーシング113bの接合面113cと、カバー兼ケーシングユニット140のカバー部141の接合面との接合時に、両接合面の間で液状ガスケットが面方向に広がる。このように液状ガスケットが広がっても、液状ガスケットの広がった部分は、第1Oリング131に到達する前に、ガスケット捕捉溝113e内に流れ込んで更なる広がりが阻止される。このように、ガスケット捕捉溝113eが、液状ガスケットの第1Oリング131への付着を抑えることで、液状ガスケットの付着による第1Oリング131の劣化を抑えることができる。
【0035】
図5は、第2ハウジング113、カバー兼ケーシングユニット140、及びスイッチングユニット162を軸方向のリア側から示す分解斜視図である。図6は、スイッチングユニット162を示す斜視図である。図7は、第2ハウジング113を示す断面図である。
【0036】
カバー兼ケーシングユニット140の流路ケーシング部142におけるリア側の端には、接合面142eが配置される。この接合面142eには、スイッチングユニット162が接合される。具体的には、接合面142eには、複数の雌ネジ穴142dが配置され、それぞれの雌ネジ穴142dに対して雄ネジ169が螺号せしめられることで、スイッチングユニット162が接合面142eにネジ止め及び接合される。この接合により、カバー兼ケーシングユニット140の流路ケーシング142の開口が塞がれる。
【0037】
スイッチングユニット162は、電子基板163と、絶縁性の樹脂からなる端子台164とを備える。電子基板163の実装面には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等からなる複数の高速スイッチング素子165が実装される。端子台164は、電子基板163の実装面とは反対面に固定される。
【0038】
第2ハウジング113のインバータ空間内には、制御基板(不図示)が配置される。この制御基板と、中継コネクタ143とは、ハーネス(不図示)によって電気接続される。この電気接続により、回転検知センサー130による検知信号が、中継コネクタ143を介して制御基板に送られる。
【0039】
端子台164は、3つの直流陽極端子164aと、3つの直流陰極端子164bとを備える。また、端子台164は、交流三相電源におけるU相端子164Uと、V相端子164Vと、W相端子164Wとを備える。3つの直流陽極端子164aのそれぞれには、直流外部電源(上述のバッテリー)の陽極が接続される。また、3つの直流陰極端子164bのそれぞれには、直流外部電源の陰極が接続される。スイッチングユニット162は、直流外部電源から送られてくる直流電源を、任意の周波数の交流三相電源に変換する。交流三相電源におけるU相,V相,W相は、U相端子164U,V相端子164V,W相端子164Wから出力される。
【0040】
U相端子164U,V相端子164V,W相端子164Wには、U相中継バスバー(不図示),V相中継バスバー(不図示),V相中継バスバー(不図示)を介して、接続される。U相,V相,W相は、U相バスバー161U,V相バスバー161V,W相バスバー161Wを介して、モータ部102のステータ107のコイルに送られる。
【0041】
第2ハウジング113における仕切壁113aのリア側の面には、ハウジング中空からなる液流入路113j(図7参照)と、ハウジング中空からなる液流出路113k(図7参照)とが配置される。液流入路113jは、センサーケーシング113bの第2液路113gに連通する。また、液流出路113kは、センサーケーシング113bの第1液路113fに連通する。図7の矢印で示されるように、外部から送られてくる冷却水などの冷媒は、液流入路113jに流入する。流入した冷媒は、センサーケーシング113bの第2液路113gと、カバー兼ケーシングユニット140の第2液路142bとを介して、中継空間142c内に流入する。更に、中継空間142142c内の冷媒は、カバー兼ケーシングユニット140の第1液路(図3の142a)と、センサーケーシング113bの第1液路113fと、液流出路113kとを介して外部に流出する。
【0042】
スイッチングユニット162は、複数の高速スイッチング素子165の駆動によって昇温する。一方、中継空間142内を流れる冷媒は、スイッチングユニット162の端子台164の裏面に直接接触しながら第1液路(図3の142a)に向かうことで、スイッチングユニット162を直接的に冷却する。このような直接的な冷却により、スイッチングユニット162は効率的に冷却される。
【0043】
本発明をモータ1に適用した例について説明したが、本発明を発電機(ダイナモ)に適用してもよい。本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の構成を適用し得る範囲内で、実施形態とは異なる構成を採用することもできる。本発明は、以下に説明する態様毎に特有の作用効果を奏する。
【0044】
〔第1態様〕
第1態様は、ケーシング(例えばセンサーケーシング113b)及び前記ケーシングの開口を覆うカバー(例えばカバー部141)を備え、前記ケーシング及び前記カバーのそれぞれが、互いに接合する接合面と、冷媒の流路となる液路と、それぞれの前記接合面の間に介在するシール材(例えばシール材129)及びOリング(例えば第1Oリング131)とを備え、それぞれの前記液路が、前記接合面で連通口として開口して互いに連通し、前記Oリングが、前記ケーシングと前記カバーとの間に介在しつつ、互いに連通する2つの前記液路のそれぞれの前記連通口を囲む態様で配置される電気機器(例えばモータ1)であって、前記ケーシングが、センサー(例えば回転検知センサー130)を収容するセンサーケーシングであり、前記連通口及び前記Oリングのそれぞれが、前記接合面の面方向において、枠状の形状の前記シール材の枠外に配置され、前記センサーケーシング及び前記カバーの少なくとも一方が、前記接合面の面方向における、前記シール材と前記Oリングとの間に配置される溝(例えばガスケット捕捉溝113e)を前記接合面に備えることを特徴とするものである。
【0045】
かかる構成の第1態様によれば、センサーケーシングとカバーとの接合部からの冷媒漏れをOリングによって抑えることができる。加えて、第1態様によれば、センサーケーシングの接合面に配置された溝が、Oリングへの液状ガスケットの付着を抑えることで、液状ガスケットの付着によるOリングの劣化を抑えることができる。また、第1態様によれば、センサーケーシングの接合面とカバーの接合面との間に介在する、シール材が、センサーケーシングの内部の気密性を低コストで高めることができる。更に、第1態様によれば、液路内の冷媒がOリングとセンサーケーシング又はカバーとの隙間から漏れたとしても、シール材により、センサーケーシング内への冷媒の侵入を防止することができる。
【0046】
〔第2態様〕
第2態様は、第1態様の構成を備え、且つ、前記センサーケーシング及び前記カバーのそれぞれが、前記液路たる第1液路、及び前記Oリングたる第1Oリングに加えて、互いに連通する第2液路、及びそれぞれの前記第2液路の連通口を囲みつつ、それぞれの接合面の間に介在する第2Oリングを備え、それぞれの前記第2液路、及び前記第2Oリングが、枠状の形状の前記シール材の枠内に配置されることを特徴とする電気機器である。
【0047】
第2態様によれば、シール材の枠内において、センサーケーシングの内部空間とは独立した第2液路によって冷媒を流すことができる。
【0048】
〔第3態様〕
第3態様は、第2態様の構成を備え、且つ、前記カバーの前記第1液路における前記接合面とは反対側の端と、前記カバーの前記第2液路における前記接合面とは反対側の端とが、互いに連通することを特徴とする電気機器である。
【0049】
第3態様によれば、第1液路と第2液路とを通じて、冷媒を所定の方向に流すことができる。
【0050】
〔第4態様〕
第1態様~第3態様の何れかの電気機器を備え、前記電気機器が、モータであり、前記センサーが、前記モータのロータの回転を検知する回転検知センサー(例えば回転検知センサー130)であることを特徴とするモータである。
【符号の説明】
【0051】
1:モータ(電気機器)、 112:第1ハウジング、 113:第2ハウジング、 113e:ガスケット捕捉溝(溝)、 113f:第1液路、 113g:第2液路、 142a:第1液路、 142b:第2液路、 142c:中継空間、 129:シール材、 130:回転検知センサー(センサー)、 131:第1Oリング(Oリング)

図1
図2
図3
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図5
図6
図7