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特開2023-41398宅配ボックスシステム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041398
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】宅配ボックスシステム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/00 20060101AFI20230316BHJP
   A47G 29/124 20060101ALI20230316BHJP
   A47G 29/20 20060101ALI20230316BHJP
   G06Q 50/30 20120101ALI20230316BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20230316BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
E05B65/00 D
A47G29/124
A47G29/20
G06Q50/30
E05B49/00 J
B65G61/00 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148757
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
(72)【発明者】
【氏名】浅井 成実
(72)【発明者】
【氏名】清水 一樹
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 駿
【テーマコード(参考)】
2E250
3K100
5L049
【Fターム(参考)】
2E250AA18
2E250BB08
2E250CC20
2E250DD02
2E250FF36
3K100CA45
3K100CA47
3K100CD03
5L049AA16
5L049CC11
5L049CC41
(57)【要約】
【課題】インターネットに直接接続することなく利用者の携帯端末と近距離無線通信を行う宅配ボックスにおいて、セキュリティ性を高めることができること。
【解決手段】宅配ボックスシステムは、宅配ボックスと、第1端末装置と、第2端末装置と、第1端末装置及び第2端末装置それぞれとインターネットを介して通信可能なサーバとを備える宅配ボックスシステムであって、第1端末装置は、有効期限付きの鍵情報を第1鍵情報として第1近距離無線通信によって宅配ボックスに供給し、サーバは、鍵情報を第2鍵情報として第2端末装置に供給し、第2端末装置は、解錠要求と、第2鍵情報とを第2近距離無線通信によって宅配ボックスに送信し、制御部は、第2端末装置から解錠要求を受信した場合に、第2鍵情報と、宅配ボックスに供給された第1鍵情報とが一致する場合、電子錠に扉の解錠を行わせる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅配ボックスと、前記宅配ボックスと第1近距離無線通信を行う第1端末装置と、前記宅配ボックスと第2近距離無線通信を行う第2端末装置と、前記第1端末装置及び前記第2端末装置それぞれとインターネットを介して通信可能なサーバとを備える宅配ボックスシステムであって、
前記宅配ボックスは、
物体を収納可能な筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体の物体の出し入れを可能にする扉と、
前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、
前記第1端末装置と前記第1近距離無線通信を行い、前記第2端末装置と前記第2近距離無線通信を行う通信部と、
前記電子錠を制御する制御部と、
を備え、
前記第1端末装置は、有効期限付きの鍵情報を第1鍵情報として前記第1近距離無線通信によって前記宅配ボックスに供給し、
前記サーバは、前記鍵情報を第2鍵情報として前記第2端末装置に供給し、
前記第2端末装置は、解錠を示す制御命令である解錠要求と、前記第2鍵情報とを前記第2近距離無線通信によって前記宅配ボックスに送信し、
前記制御部は、前記通信部が前記第2近距離無線通信によって前記第2端末装置から前記解錠要求を受信した場合に、前記通信部が前記第2近距離無線通信によって前記第2端末装置から受信した前記第2鍵情報と、前記宅配ボックスに前記第1近距離無線通信によって供給された前記第1鍵情報とが一致する場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる
宅配ボックスシステム。
【請求項2】
物体が前記筐体に収納された場合、物体が前記筐体に収納されたことを前記第2端末装置に通知する通知部をさらに備える
請求項1に記載の宅配ボックスシステム。
【請求項3】
前記筐体に物体が収納されていない場合に、前記扉の解錠が行われたときに、前記鍵情報を生成することを示す鍵情報生成要求を送信する鍵情報生成要求部をさらに備え、
前記鍵情報生成要求部から前記鍵情報生成要求が送信された場合、前記鍵情報が生成され、前記第1端末装置は、当該鍵情報を前記第1鍵情報として前記第1近距離無線通信によって前記宅配ボックスに供給し、かつ前記サーバは、生成された前記鍵情報を前記第2鍵情報として前記第2端末装置に供給する
請求項1または請求項2に記載の宅配ボックスシステム。
【請求項4】
前記鍵情報生成要求部は、前記筐体に物体が収納されていない場合に、前記扉の解錠が行われたときに前記鍵情報の有効期限が切れていた場合または前記扉の解錠が行われた場合、前記鍵情報生成要求を送信する
請求項3に記載の宅配ボックスシステム。
【請求項5】
物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体の物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、第1端末装置と第1近距離無線通信を行い、第2端末装置と第2近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備える宅配ボックスに実行させるためのプログラムであって、
解錠を示す制御命令である解錠要求と、前記第2端末装置に第2鍵情報として供給される有効期限付きの鍵情報とを前記第2近距離無線通信によって前記第2端末装置から受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって前記解錠要求を受信した場合に、前記受信ステップによって受信した前記第2鍵情報と、前記宅配ボックスに第1鍵情報として前記第1近距離無線通信によって供給された前記鍵情報とが一致する場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる解錠ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体の物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、第1端末装置と第1近距離無線通信を行い、第2端末装置と第2近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備える宅配ボックスから有効期限付きの鍵情報を生成することを示す要求を受信する要求受信ステップと、
前記要求受信ステップにおいて前記要求を受信した場合に、前記鍵情報を生成する鍵情報生成ステップと、
前記鍵情報生成ステップにおいて生成された前記鍵情報を第1鍵情報として前記第1近距離無線通信によって前記宅配ボックスに供給する第1供給ステップと、
前記鍵情報生成ステップにおいて生成された前記鍵情報を第2鍵情報として前記第2端末装置に供給する第2供給ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ボックスシステム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットに接続可能なIoT(Internet of Things)宅配ボックスが住宅街等で設置されている。当該IoT宅配ボックスでは、自宅のWi-Fi(登録商標)に接続できる範囲などインターネットに接続可能な範囲に設置場所が制限されてしまう。また、当該IoT宅配ボックスでは、インターネット回線を利用するための費用(ランニングコスト)が掛かかる。インターネットに直接接続することなく、利用者の携帯端末を介してインターネットに接続する宅配ボックスが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-208589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の宅配ボックスでは、インターネット回線を利用するための費用は宅配ボックス自体には掛からない。また、特許文献1に記載の宅配ボックスでは、宅配ボックス自体はインターネットに直接接続しないため、インターネットに接続可能な範囲外にも設置することができ、設置場所の制限が緩和される。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の宅配ボックスでは、セキュリティ性が十分に高くなかった。特許文献1に記載の宅配ボックスでは、宅配ボックスを解錠できる人物を特定する情報が、専用アプリケーションを用いて利用者の携帯端末から宅配ボックスに送信されて設定される。解錠する場合には、利用者の携帯端末から宅配ボックスに利用者を特定する情報が送信され、当該利用者を特定する情報と、予め設定された宅配ボックスを解錠できる人物を特定する情報とが照合されて解錠が行われる。特許文献1に記載の宅配ボックスでは、予め設定される宅配ボックスを解錠できる人物を特定する情報が、第3者に漏洩してしまう場合がある。
インターネットに直接接続することなく利用者の携帯端末と近距離無線通信を行う宅配ボックスにおいて、セキュリティ性を高めることが求められている。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、インターネットに直接接続することなく利用者の携帯端末と近距離無線通信を行う宅配ボックスにおいて、セキュリティ性を高めることができる宅配ボックスシステム、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、宅配ボックスと、前記宅配ボックスと第1近距離無線通信を行う第1端末装置と、前記宅配ボックスと第2近距離無線通信を行う第2端末装置と、前記第1端末装置及び前記第2端末装置それぞれとインターネットを介して通信可能なサーバとを備える宅配ボックスシステムであって、前記宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体の物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、前記第1端末装置と前記第1近距離無線通信を行い、前記第2端末装置と前記第2近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備え、前記第1端末装置は、有効期限付きの鍵情報を第1鍵情報として前記第1近距離無線通信によって前記宅配ボックスに供給し、前記サーバは、前記鍵情報を第2鍵情報として前記第2端末装置に供給し、前記第2端末装置は、解錠を示す制御命令である解錠要求と、前記第2鍵情報とを前記第2近距離無線通信によって前記宅配ボックスに送信し、前記制御部は、前記通信部が前記第2近距離無線通信によって前記第2端末装置から前記解錠要求を受信した場合に、前記通信部が前記第2近距離無線通信によって前記第2端末装置から受信した前記第2鍵情報と、前記宅配ボックスに前記第1近距離無線通信によって供給された前記第1鍵情報とが一致する場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる宅配ボックスシステムを提供する。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の宅配ボックスシステムにおいて、物体が前記筐体に収納された場合、物体が前記筐体に収納されたことを前記第2端末装置に通知する通知部をさらに備える請求項1に記載の宅配ボックスシステムを提供する。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の宅配ボックスシステムにおいて、前記筐体に物体が収納されていない場合に、前記扉の解錠が行われたときに、前記鍵情報を生成することを示す鍵情報生成要求を送信する鍵情報生成要求部をさらに備え、前記鍵情報生成要求部から前記鍵情報生成要求が送信された場合、前記鍵情報が生成され、前記第1端末装置は、当該鍵情報を前記第1鍵情報として前記第1近距離無線通信によって前記宅配ボックスに供給し、かつ前記サーバは、生成された前記鍵情報を前記第2鍵情報として前記第2端末装置に供給する請求項1または請求項2に記載の宅配ボックスシステムを提供する。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の宅配ボックスシステムにおいて、前記鍵情報生成要求部は、前記筐体に物体が収納されていない場合に、前記扉の解錠が行われたときに、前記鍵情報の有効期限が切れていた場合、前記鍵情報生成要求を送信する請求項3に記載の宅配ボックスシステムを提供する。
【0011】
また、本発明の一態様は、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体の物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、第1端末装置と第1近距離無線通信を行い、第2端末装置と第2近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備える宅配ボックスに実行させるためのプログラムであって、解錠を示す制御命令である解錠要求と、前記第2端末装置に第2鍵情報として供給される有効期限付きの鍵情報とを前記第2近距離無線通信によって前記第2端末装置から受信する受信ステップと、前記受信ステップによって前記解錠要求を受信した場合に、前記受信ステップによって受信した前記第2鍵情報と、前記宅配ボックスに第1鍵情報として前記第1近距離無線通信によって供給された前記鍵情報とが一致する場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる解錠ステップと、を実行させるためのプログラムを提供する。
【0012】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体の物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、第1端末装置と第1近距離無線通信を行い、第2端末装置と第2近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備える宅配ボックスから有効期限付きの鍵情報を生成することを示す要求を受信する要求受信ステップと、前記要求受信ステップにおいて前記要求を受信した場合に、前記鍵情報を生成する鍵情報生成ステップと、前記鍵情報生成ステップにおいて生成された前記鍵情報を第1鍵情報として前記第1近距離無線通信によって前記宅配ボックスに供給する第1供給ステップと、前記鍵情報生成ステップにおいて生成された前記鍵情報を第2鍵情報として前記第2端末装置に供給する第2供給ステップと、を実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、インターネットに直接接続することなく利用者の携帯端末と近距離無線通信を行う宅配ボックスにおいて、セキュリティ性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る宅配ボックスシステムの構成の一例を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る宅配ボックスの構成の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る荷物の預け入れ時の処理の流れの一例を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る荷物の受け取り時の処理の流れの一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る宅配ボックスの機能構成の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る宅配ボックスシステムの荷物の預け入れ時の処理の一例を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る宅配ボックスシステムの荷物の取り出し時の処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
[宅配ボックスシステム1の構成]
図1は、本実施形態に係る宅配ボックスシステム1の構成の一例を示す図である。宅配ボックスシステム1は、宅配ボックス2と、第1端末装置3と、第2端末装置4と、サーバ5とを備える。本実施形態では、一例として、宅配ボックスシステム1は、宅配業務において利用される。宅配ボックス2は、一例として、宅配において荷物が配達され収納される宅配ボックスである。
【0016】
第1端末装置3は、宅配業者の配達員に携帯される携帯端末装置である。第1端末装置3は、宅配ボックス2と第1近距離無線通信を行う。第1端末装置3は、一例として、スマートフォンである。なお、第1端末装置3は、タブレット端末であってもよいし、宅配業務に専用に用いられる携帯端末装置であってもよい。
【0017】
第2端末装置4は、荷物の受取人に携帯される携帯端末装置である。第2端末装置4は、宅配ボックス2と第2近距離無線通信を行う。第2端末装置4は、一例として、スマートフォンである。
以下では、荷物の受取人を単に受取人といい、宅配業者の配達員を単に配達員という。
【0018】
サーバ5は、第1端末装置3及び第2端末装置4それぞれとインターネットを介して通信可能なサーバである。インターネットを介して通信するとは、例えば、移動体通信網、または無線LAN(Local Area Network)などに基づく無線ネットワークを用いた無線通信によって通信を行うことをいう。移動体通信網とは、例えば、LTE(Long Term Evolution、LTEは登録商標)、第4世代移動通信システム、5世代移動通信システムなどに基づく無線通信網である。無線LANとは、例えば、Wi-Fi(登録商標)に基づく無線通信網である。
【0019】
サーバ5は、一例として、クラウドサーバである。クラウドサーバとは、インターネットを利用してアクセスされる仮想サーバである。つまり、サーバ5では、1台の物理サーバ内に複数の仮想サーバが構築される。なお、サーバ5は、複数台のサーバであってもよい。
【0020】
第1端末装置3は、宅配ボックス2に第1解錠要求R1を送信する。第1解錠要求R1とは、宅配ボックス2の扉の解錠を示す制御命令である。宅配ボックス2は、荷物が収納されていない状態(つまり、空の状態)において、第1解錠要求R1を受信する。宅配ボックス2は、第1解錠要求R1を受信すると、電子錠によって扉を解錠する。
【0021】
宅配ボックス2は、扉を解錠すると、第1端末装置3を介して、鍵情報生成要求R2をサーバ5に送信する。鍵情報生成要求R2は、鍵情報K0を生成することを示す。
鍵情報K0とは、宅配ボックス2と第2端末装置4との間で実行される認証において使用される情報である。鍵情報K0が使用される認証は、受取人が宅配ボックス2の扉を解錠する際に、宅配ボックス2と第2端末装置4との間で情報が送受信され、送受信された情報に基づいて認証が実行される。鍵情報K0は、例えば利用時間制限の要素が入った鍵の一種である。鍵情報K0は、使用が一度又は一定期間のみ許可されたワンタイムキー(ワンタイムパスワード)である。つまり、鍵情報K0には、有効期限が付与されている。鍵情報K0を生成することを、鍵情報K0を発行するともいう。
【0022】
配達員は、荷物を宅配ボックス2の筐体内に収納する。宅配ボックス2は、扉が閉じられると、電子錠によって扉を施錠する。
【0023】
サーバ5は、第1端末装置3を介して宅配ボックス2から鍵情報生成要求R2を受信すると、有効期限付きの鍵情報K0を生成する。サーバ5は、生成した鍵情報K0を、第1鍵情報K1として第1端末装置3に送信する。第1端末装置3は、サーバ5から第1鍵情報K1を受信すると、受信した第1鍵情報K1を宅配ボックス2に送信する。宅配ボックス2は、第1端末装置3から受信した第1鍵情報K1を記憶する。
【0024】
一方、サーバ5は、生成した鍵情報K0を、第2鍵情報K2として第2端末装置4に供給する。荷物の受取人が荷物を宅配ボックス2から取り出す場合、第2端末装置4は、第2解錠要求R3と、第2鍵情報K2とを宅配ボックス2に送信する。第2解錠要求R3とは、宅配ボックス2の扉の解錠を示す制御命令である。
宅配ボックス2は、第2解錠要求R3を受信した場合、第2端末装置4から受信した第2鍵情報K2と、第1鍵情報K1とが一致する場合、電子錠に扉の解錠を行わせる。
【0025】
[宅配ボックス2の構成]
図2は、本実施形態に係る宅配ボックス2の構成の一例を示す図である。宅配ボックス2は、筐体11と、扉12と、外扉13と、電子錠14と、通信機器15と、制御機器16とを備える。また、図2では、図を簡略化するため、電子錠14と、通信機器15と、制御機器16とのそれぞれが直方体形状の物体として示されている。
【0026】
筐体11は、宅配物等の物体を収納可能な容器である。図2に示した例では、筐体11は、ほぼ直方体形状の容器であるが、これに限られるわけではない。筐体11は、中空の容器であり、且つ、物体を出し入れ可能な開口が表面に設けられた容器である。なお、本明細書において、筐体11内に物体が収納されていることは、宅配ボックス2内に物体が収納されていることと同義である。
【0027】
扉12は、筐体11に設けられる扉である。そして、扉12は、筐体11における物体の出し入れを可能にする扉である。このため、扉12は、筐体11の内部と、筐体11の外部とを繋ぐ開閉可能な扉である。換言すると、扉12は、筐体11の表面に設けられた開口の開閉を行う扉である。
【0028】
外扉13は、筐体11において扉12よりも外側に設けられる扉である。扉12を開閉するためには、まず外扉13が開かれる。外扉13は、内側にQRコード(登録商標)が印刷されたシールが貼られている。当該QRコードの用途については後述する。
【0029】
また、外扉13が開けられると、宅配ボックス2は、内部機器の電源がオンとなり、外扉13が閉じられると、内部機器の電源がオフとなる。内部機器には、電子錠14と、通信機器15と、制御機器16とが含まれる。宅配ボックス2の内部機器の電源がオフになっている状態を、待機状態ともいう。宅配ボックス2の内部機器の電源がオンになっている状態を、起動状態ともいう。
なお、宅配ボックス2の構成から外扉13は省略されてもよい。その場合、QRコードが印刷されたシールは筐体11の上面や側面など所定の部分に貼られればよい。
【0030】
電子錠14は、制御機器16からの制御に応じて、扉12の施錠又は扉12の解錠を行う。
【0031】
通信機器15は、近距離無線通信を行う通信装置である。通信機器15が行う近距離無線通信とは、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))による近距離無線通信である。通信機器15が行う近距離無線通信は、NFC(Near Field Communication)による近距離無線通信であってもよい。また、通信機器15が行う近距離無線通信は、BLE、NFC以外の種類の近距離無線通信であってもよい。
【0032】
制御機器16は、宅配ボックス2の全体を制御する。このため、制御機器16は、例えば、電子錠14を制御する。制御機器16は、例えば、CPUである。なお、制御機器16は、FPGA等の他のプロセッサーであってもよい。以下では、一例として、各種の情報を一時的に記憶するメモリーが制御機器16に含まれている場合について説明する。なお、このメモリーは、制御機器16と別体の記憶部であってもよい。この場合、この記憶部は、宅配ボックス2に備えられる。
【0033】
[宅配ボックスシステム1における処理の流れ]
次に図3、及び図4を参照し、宅配業務において利用される場合の宅配ボックスシステム1における処理の流れについて説明する。
図3は、本実施形態に係る荷物の預け入れ時の処理の流れの一例を示す図である。
配達員は、荷物の預け入れのために宅配ボックス2に近づく。宅配ボックス2の扉は、荷物が収納されていない状態において施錠されている。宅配ボックス2は待機状態となっている。
【0034】
配達員は、宅配ボックス2の外扉を開ける(ステップS10)。宅配ボックス2は、外扉を開けられると、起動状態となる。宅配ボックス2は、起動状態において、近距離無線通信の通信対象を探索する。
【0035】
ここで配達員は、第1端末装置3を携帯している。第1端末装置3が、宅配ボックス2に所定の距離まで近づくと、第1端末装置3と宅配ボックス2とは近距離無線通信が可能な状態となる。本実施形態では、BLEのペアリングが行われて、第1端末装置3と宅配ボックス2とはBLEによる近距離無線通信が可能な状態となる。
【0036】
宅配ボックス2の外扉の内側には、QRコードが印刷されたシールが貼られている。当該QRコードは、第1アプリケーションAP1をダウンロードするためのURL(Uniform Resource Locator)を示す。当該QRコードをダウンロード用QRコードという。第1アプリケーションAP1とは、宅配ボックスシステム1において荷物の預け入れのために用いられる専用のアプリケーションである。
【0037】
配達員は、ダウンロード用QRコードを第1端末装置3に備えられるカメラによって撮像することによって、第1端末装置3に当該QRコードを読み取らせる。第1端末装置3は、ダウンロード用QRコードを読み取ると、第1アプリケーションAP1をダウンロードし、第1アプリケーションAP1をインストールする。なお、第1アプリケーションAP1は、サーバ5からダウンロードされてもよいし、宅配ボックスシステム1の外部のサーバからダウンロードされてもよい。
【0038】
なお、第1端末装置3には、第1アプリケーションAP1が予めインストールされていてもよい。
以下の説明においては、アプリケーションがインストールされている装置が、当該アプリケーションによって示される処理を実行することを、アプリケーションを実行するということがある。
【0039】
宅配ボックス2は、第1端末装置3と近距離無線通信が可能な状態となった場合、第1端末装置3と近距離無線通信を開始する。第1端末装置3は、第1アプリケーションAP1を実行することによって宅配ボックス2と近距離無線通信を行う。
【0040】
宅配ボックス2の外扉の内側には、ダウンロード用QRコードとは別に、宅配ボックス2の扉を解錠するためのQRコード(解錠用QRコードという)が印刷されたシールが貼られている。配達員は、解錠用QRコードを第1端末装置3に読み取らせる。ここで配達員は、解錠用QRコードを第1端末装置3に備えられるカメラによって撮像することによって、第1端末装置3に第1アプリケーションAP1を実行させて当該解錠用QRコードを読み取らせる。第1端末装置3は、第1アプリケーションAP1を実行することによって解錠用QRコードを読み取ると、第1端末装置3に第1解錠要求R1を宅配ボックス2へ送信させる。
【0041】
宅配ボックス2は、第1端末装置3から第1解錠要求R1を受信すると、電子錠によって扉を解錠する(ステップS20)。
【0042】
なお、本実施形態では、解錠用QRコードを第1端末装置3に読み取らせて、第1端末装置3から宅配ボックス2に第1解錠要求R1が送信される場合の一例について説明したが、これに限られない。
別の一例として、第1アプリケーションAP1において、配達員が所属する宅配業者を識別するための識別子(宅配業者コード、グループコードなどという)が保存され、当該識別子が第1アプリケーションAP1が実行されることによって第1端末装置3から宅配ボックス2に送信されてもよい。宅配ボックス2は、第1端末装置3から送信される識別子を照合することによって扉を解錠する。その場合、宅配ボックス2には、宅配業者を識別するための識別子が1以上予め記憶されている。宅配ボックス2は、第1端末装置3から送信される識別子と、予め記憶された1以上の識別子のいずれかとが一致する場合、扉を解錠する。
【0043】
識別子が第1アプリケーションAP1が実行されることによって第1端末装置3から宅配ボックス2に送信される場合には、第1アプリケーションAP1は、配達員が第1端末装置3を操作することによって実行されてよい。識別子が第1アプリケーションAP1が実行されることによって第1端末装置3から宅配ボックス2に送信される場合には、第1アプリケーションAP1は、第1端末装置3と宅配ボックス2とが近距離無線通信をしている場合に自動的に実行されてもよい。
【0044】
また別の一例として、宅配ボックス2にカメラが備えられて、宅配ボックス2は当該カメラによって荷物の伝票情報を読み取って照合してもよい。当該伝票情報は、伝票にQRコードとして印刷されている。当該伝票情報には、宅配業者を識別するための識別子が含まれる。
【0045】
宅配ボックス2は、扉を解錠すると、自身が記憶している第1鍵情報K1の有効期限を読み出す。宅配ボックス2は、時間T1において、第1鍵情報K1の有効期限が切れている場合、鍵情報生成要求R2を第1端末装置3を介してサーバ5に送信する。宅配ボックス2は、第1鍵情報K1の有効期限が切れているか否かの判定では、荷物が宅配ボックス2に収納された後に、荷物取り出し期限を考慮して判定する。荷物取り出し期限は、宅配ボックス2に収納された荷物を取り出すことが許可されている期限であり、設定変更が可能である。
例えば、宅配ボックス2は、第1鍵情報K1の有効期限が切れるまでの日数が荷物取り出し期限が切れるまでの日数よりも長い、または当該有効期限が切れるまでの日数が荷物取り出し期限が切れるまでの日数と同じである場合、鍵情報生成要求R2の送信を行わない。宅配ボックス2は、第1鍵情報K1の有効期限が切れるまでの日数が荷物取り出し期限が切れるまでの日数よりも短い場合、鍵情報生成要求R2の送信を行う。
【0046】
配達員は、荷物を宅配ボックス2の筐体内に収納する。配達員は、荷物を収納すると、宅配ボックス2の扉を閉じる。宅配ボックス2は、扉が閉じられると、電子錠によって扉を施錠する(ステップS30)。
【0047】
一方、サーバ5は、第1端末装置3を介して宅配ボックス2から鍵情報生成要求R2を受信すると、有効期限付きの鍵情報K0を生成する。サーバ5が鍵情報K0を生成するためには、所定の時間(例えば、5秒程度)を要する。
【0048】
サーバ5は、一例として、予め生成された暗号化鍵を記憶しておき、当該暗号化鍵に基づいて第2端末装置4の識別子を暗号化することによって鍵情報K0を生成する。当該暗号化鍵は、共通鍵暗号方式における共通鍵であってもよい。なお、サーバ5は、暗号化鍵を生成するために用いられる情報を記憶しておき、当該情報に基づいて暗号化鍵を生成してもよい。当該情報は、一例として、ストリーム暗号における鍵ストリーム(疑似乱数系列)を生成するための鍵の初期値(疑似乱数生成器に入力されるシード)である。
【0049】
サーバ5は、生成した鍵情報K0を、第2鍵情報K2として第2端末装置4に供給し、かつ生成した鍵情報K0を、第1鍵情報K1として第1端末装置3を介して宅配ボックス2に供給する(ステップS40)。宅配ボックス2は、第1端末装置3が配達員から荷物の収納が完了したことを示す操作を受け付けた場合、供給された第1鍵情報K1を保存する。また、宅配ボックス2は、第1端末装置3が当該操作を受け付けた場合、荷物が収納されたことを第1端末装置3を介して第2端末装置4に通知する。
【0050】
上述したように、本実施形態では、鍵情報生成要求R2が第1端末装置3を介してサーバ5に送信される時期は、第1端末装置3から第1解錠要求R1が送信されて宅配ボックス2の扉が解錠された直後の時期である。そのため、宅配ボックスシステム1では、第1端末装置3が第1鍵情報K1を宅配ボックス2に送信する場合に、第1端末装置3が宅配ボックス2から近距離無線通信が可能な距離よりも遠くに離れてしまい、第1鍵情報K1が宅配ボックス2に送信できなくなってしまうことを抑止できる。これについて説明するために、以下に第1解錠要求R1が送信される時期の別の例を示す。
【0051】
別の例として、宅配ボックス2は、荷物が収納された後に扉が閉じられた後に、鍵情報生成要求R2を第1端末装置3を介してサーバ5に送信してもよい。その場合、荷物の収納を完了した後、サーバ5によって鍵情報K0が生成されるより前に、第1端末装置3を携帯する配達員が宅配ボックス2から離れてしまっている場合がある。その結果、宅配ボックス2は第1端末装置3と近距離無線通信ができなくなり、サーバ5から第1端末装置3を介して宅配ボックス2に第1鍵情報K1が送信できない場合がある。
【0052】
別の例として、宅配ボックス2は、宅配ボックス2の扉が解錠されてから荷物が収納された後に扉が閉じられるまでの間の時期に、鍵情報生成要求R2を第1端末装置3を介してサーバ5に送信してもよい。つまり、宅配ボックス2は、配達員によって宅配ボックス2の筐体への荷物の収納が行われている最中に鍵情報生成要求R2を送信してもよい。その場合、荷物が収納された後に扉が閉じられた後に鍵情報生成要求R2が送信される場合に比べて、第1端末装置3を携帯する配達員が宅配ボックス2から離れてしまっている状況は発生しにくいと考えられる。
【0053】
本実施形態では、鍵情報生成要求R2が送信される時期が、宅配ボックス2の扉が解錠された直後であるため、上述した2つの別の例と比べて、第1端末装置3が宅配ボックス2から近距離無線通信が可能な距離よりも遠くに離れてしまい、第1鍵情報K1が宅配ボックス2に送信できなくなってしまう状況は発生しにくい。
【0054】
また、別の例として、宅配ボックス2は、荷物受け取り時に、鍵情報生成要求R2を第2端末装置4を介してサーバ5に送信してもよい。その場合、上述したようにサーバ5が鍵情報K0を生成するためには所定の時間を要するため、受取人は鍵情報K0が生成されるまで宅配ボックス2の扉を解錠することを待たなくはならない。そのため、受取人は宅配ボックス2から荷物を円滑に取り出すことができない場合がある。
【0055】
図4は、本実施形態に係る荷物の受け取り時の処理の流れの一例を示す図である。
受取人は、荷物の受け取りのために宅配ボックス2に近づく。宅配ボックス2は、筐体内に荷物が収納されている。宅配ボックス2の内部機器の電源はオフとなっている。
【0056】
受取人は、宅配ボックス2の外扉を開ける(ステップS50)。宅配ボックス2は、外扉を開けられると、内部機器の電源をオンにする。起動状態ともいう。宅配ボックス2は、起動状態において、近距離無線通信の通信対象を探索する。
【0057】
ここで受取人は、第2端末装置4を携帯している。第2端末装置4が、宅配ボックス2に所定の距離まで近づくと、第2端末装置4と宅配ボックス2とは近距離無線通信が可能な状態となる。本実施形態では、BLEのペアリングが行われて、第2端末装置4と宅配ボックス2とはBLEによる近距離無線通信が可能な状態となる。
【0058】
第2端末装置4には、第2アプリケーションAP2がインストールされている。第2アプリケーションAP2とは、宅配ボックスシステム1において荷物の受け取りのために用いられる専用のアプリケーションである。受取人は、予め第2端末装置4に第2アプリケーションAP2をインストールしておく。
宅配ボックス2は、第2端末装置4と近距離無線通信が可能な状態となった場合、第2端末装置4にインストールされている第2アプリケーションAP2と通信を開始する。
【0059】
宅配ボックス2と第2アプリケーションAP2との通信が開始されると、第2端末装置4は、第2アプリケーションAP2によって第2解錠要求R3と、第2鍵情報K2とを宅配ボックス2に送信する。
なお、第2アプリケーションAP2の操作画面から第2解錠要求R3を送信する操作を受け付けた場合に、第2端末装置4は、第2解錠要求R3を宅配ボックス2へ送信してもよい。第2解錠要求R3を送信する操作とは、例えば、当該操作画面に表示される「解錠」ボタンを押下することである。
【0060】
宅配ボックス2は、第2端末装置4から受信した第2鍵情報K2と、自身に保存されている第1鍵情報K1とが一致しているか否かを判定する。つまり、宅配ボックス2は、第2鍵情報K2と第1鍵情報K1とを照合する。宅配ボックス2は、第2鍵情報K2と第1鍵情報K1とが一致していると判定する場合、電子錠に扉の解錠を行わせる(ステップS60)。
【0061】
受取人は、宅配ボックス2の筐体内から宅配ボックス2を取り出す(ステップS70)。受取人は、荷物を取り出すと、宅配ボックス2の扉を閉じる。宅配ボックス2は、扉が閉じられると、電子錠によって扉を施錠する(ステップS80)。
【0062】
[宅配ボックス2の機能構成]
図5は、本実施形態に係る宅配ボックス2の機能構成の一例を示す図である。宅配ボックス2は、電子錠部20と、通信部21と、制御部22と、通知部23と、鍵情報生成要求部24と、記憶部25とを備える。
【0063】
電子錠部20は、制御部22からの制御に応じて、扉の施錠又は扉の解錠を行う。電子錠部20は、図2に示した電子錠14を含む。
【0064】
通信部21は、第1端末装置3と、第2端末装置4とのそれぞれと近距離無線通信を行う。通信部21は、第1端末装置3と第1近距離無線通信を行う。通信部21は、第2端末装置4と第2近距離無線通信を行う。通信部21は、図2に示した通信機器15を含む。
なお、本実施形態では、第1近距離無線通信と第2近距離無線通信とが、同じ種類の近距離無線通信(BLE)である場合の一例について説明するがこれに限らない。第1近距離無線通信と第2近距離無線通信とは、異なる種類の近距離無線通信であってもよい。例えば、第1近距離無線通信がBLEであって、第2近距離無線通信がNFCであってもよい。
【0065】
制御部22は、宅配ボックス2の全体を制御する。制御部22は、図2に示した制御機器16を含む。
制御部22の制御対象には、電子錠部20、通信部21、及び記憶部25が含まれる。制御部22は、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)などを備えており、種々の演算や情報の授受を行う。制御部22が実行する各機能は、CPUがROM(Read Only Memory)からプログラムを読み込んで処理を実行することにより実現される。制御部22が実行する各機能には、例えば、通知部23、及び鍵情報生成要求部24が含まれる。
【0066】
通知部23は、物体が筐体に収納されたことを、第1端末装置3を介して第2端末装置4に通知する。
鍵情報生成要求部24は、鍵情報生成要求R2を送信する。
【0067】
記憶部25は、各種の情報を記憶する。記憶部25が記憶する情報には、第1鍵情報K1、収納情報A1、収納履歴情報A2、及び取り出し履歴情報A3が含まれる。
収納情報A1は、筐体内に物体が収納されているか否かを示す情報である。収納履歴情報A2は、筐体内に物体が収納された履歴を示す情報である。
収納履歴情報A2は、例えば、荷物が収納される場合に扉が施錠された日付及び時刻と、収納された荷物を示す情報(品目など)とが組にされたレコードが時系列に格納された情報である。
取り出し履歴情報A3は、筐体内から物体が取り出された履歴を示す情報である。取り出し履歴情報A3は、例えば、荷物が取り出される場合に扉が施錠された日付及び時刻と、取り出された荷物を示す情報(品目など)とが組にされたレコードが時系列に格納された情報である。
【0068】
記憶部25は、例えば、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM、RAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部25は、宅配ボックス2に内蔵されるものに代えて、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部25は、宅配ボックス2が処理する各種の情報、各種の画像、各種のプログラムを記憶する。
【0069】
[荷物の預け入れ時の宅配ボックスシステム1の処理]
図6は、本実施形態に係る宅配ボックスシステム1の荷物の預け入れ時の処理の一例を示す図である。
【0070】
ステップS110:第1端末装置3は、宅配ボックス2に第1解錠要求R1を送信する。ここで第1端末装置3は、第1アプリケーションAP1を実行することによって第1解錠要求R1を送信する。
宅配ボックス2に備えられる通信部21によって第1端末装置3から第1解錠要求R1を受信する。
【0071】
ステップS120:宅配ボックス2に備えられる制御部22は、宅配ボックス2の筐体内に物体が収納されているか否かを判定する。制御部22は、記憶部25から収納情報A1を読み出す。制御部22は、読み出した収納情報A1が筐体内に物体が収納されていることを示すか否かに基づいて判定を行う。
制御部22は、宅配ボックス2の筐体内に物体が収納されていると判定した場合(ステップS120;YES)、ステップS230の処理を実行する。一方、制御部22は、宅配ボックス2の筐体内に物体が収納されていないと判定した場合(ステップS120;NO)、ステップS130の処理を実行する。
【0072】
ステップS130:制御部22は、電子錠部20を制御して、扉の解錠を行う。
【0073】
ステップS140:制御部22は、第1鍵情報K1の有効期限が切れているか否かを判定する。制御部22は、記憶部25から第1鍵情報K1を読み出す。制御部22は、読み出した第1鍵情報K1が示す有効期限と、現在時刻とに基づいて判定を行う。
【0074】
なお、制御部22は、記憶部25に第1鍵情報K1が記憶されていない場合にも、第1鍵情報K1の有効期限が切れていると判定する。記憶部25に第1鍵情報K1が記憶されていない場合とは、例えば、宅配ボックスシステム1の稼働直後など第1鍵情報K1が発行されていない場合である。
【0075】
なお、第1鍵情報K1の有効期限は、例えば、7日間など数日程度である。第1鍵情報K1の有効期限は、荷物が宅配ボックス2に収納されてから受取人が荷物を取り出すまでに要すると想定される時間、日数に応じて、受取人が荷物を取り出すまでに有効期限が切れないように余裕をもたせて設定されることが好ましい。
【0076】
制御部22は、第1鍵情報K1の有効期限が切れていると判定した場合(ステップS140;YES)、ステップS150の処理を実行する。一方、制御部22は、第1鍵情報K1の有効期限が切れていないと判定した場合(ステップS140;NO)、ステップS155の処理を実行する。
【0077】
ステップS150:鍵情報生成要求部24は、鍵情報K0の発行を要求する。鍵情報生成要求部24は、鍵情報生成要求R2を第1端末装置3を介してサーバ5に送信する。
【0078】
ステップS155:制御部22は、第1鍵情報K1の有効期限が荷物取り出し期限よりも短いか否かを判定する。ここで制御部22は、第1鍵情報K1の有効期限が切れるまでの日数が荷物取り出し期限が切れるまでの日数よりも短い場合、第1鍵情報K1の有効期限が荷物取り出し期限よりも短いと判定する。一方、制御部22は、第1鍵情報K1の有効期限が切れるまでの日数が荷物取り出し期限が切れるまでの日数よりも長い、または当該有効期限が切れるまでの日数が荷物取り出し期限が切れるまでの日数と同じである場合、第1鍵情報K1の有効期限が荷物取り出し期限よりも長いと判定する。
なお、制御部22は、第1鍵情報K1の有効期限が荷物取り出し期限よりも短いか否かを判定する場合に、日数を単位とする代わりにまたは日数とともに、時間、分、または秒を単位として当該判定をしてもよい。
【0079】
制御部22は、第1鍵情報K1の有効期限が荷物取り出し期限よりも短いと判定した場合(ステップS155;YES)、ステップS150の処理を実行する。一方、制御部22は、第1鍵情報K1の有効期限が荷物取り出し期限よりも長いと判定した場合(ステップS155;NO)、ステップS160の処理を実行する。
【0080】
鍵情報生成要求R2が送信される時期は、扉の解錠が行われた後の時期であって、筐体内に荷物の収納が行われる前の時期である。したがって、鍵情報生成要求部24は、筐体に物体が収納されていない場合に、扉の解錠が行われたときに、鍵情報K0を生成することを示す鍵情報生成要求R2を送信する。本実施形態では、鍵情報生成要求部24は、筐体に物体が収納されていない場合に、扉の解錠が行われたときに、鍵情報K0の有効期限が切れていた場合、鍵情報生成要求R2を送信する。なお上述したように、宅配ボックス2は、鍵情報K0の有効期限が切れているか否かの判定では、荷物が宅配ボックス2に収納された後に、荷物取り出し期限を考慮して判定する。
【0081】
鍵情報生成要求部24から鍵情報生成要求R2が送信された場合、サーバ5によって鍵情報K0が生成される。第1端末装置3は、サーバ5によって生成された鍵情報K0を第1鍵情報K1として第1近距離無線通信によって宅配ボックス2に供給する。
【0082】
ステップS160:配達員によって、荷物などの物体が宅配ボックス2の筐体内に収納される。制御部22は、物体が宅配ボックス2の筐体内に収納されると、記憶部25に記憶されている収納情報A1を更新する。ここで制御部22は、収納情報A1を、物体が収納されていないことを示す状態から、物体が収納されていることを示す状態へと更新する。
【0083】
ステップS170:配達員によって、宅配ボックス2の扉が閉じられる。制御部22は、扉が閉じられると、電子錠部20に扉を施錠させる。
【0084】
ステップS180:配達員によって、第1端末装置3に荷物の収納が完了したことを示す操作が行われる。当該操作は、第1アプリケーションAP1の操作画面において、「完了」ボタンを押下することによって行われる。第1端末装置3は、荷物の収納が完了したことを示す操作を受け付けると、収納完了情報を宅配ボックス2に送信する。収納完了情報は、物体が前記筐体に収納されたことを示す情報である。
【0085】
ステップS190:制御部22は、新しい鍵情報K0が発行されているか否かを判定する。制御部22は、宅配ボックス2の扉が最後に解錠されてからステップS190の判定を行うまでの期間において、通信部21が第1鍵情報K1を受信したか否かを判定する。例えば、制御部22は、通信部21の受信履歴を参照し判定を行う。
【0086】
制御部22は、新しい鍵情報K0が発行されていると判定した場合(ステップS190;YES)、ステップS200の処理を実行する。一方、制御部22は、新しい鍵情報K0が発行されていないと判定した場合(ステップS190;NO)、ステップS210の処理を実行する。
【0087】
ステップS200:制御部22は、第1鍵情報K1を登録する。第1鍵情報K1を登録するとは、受信した第1鍵情報K1を、認証に用いる鍵情報として記憶部25に記憶させることである。したがって、制御部22は、通信部21が第1鍵情報K1を受信すると、当該第1鍵情報K1を一時的な鍵情報として記憶部25に記憶させる。制御部22は、荷物の収納が完了した後の処理(ステップS200)において、一時的な鍵情報である第1鍵情報K1を、認証に用いる鍵情報として記憶部25に記憶させる。
【0088】
一方、第1端末装置3は、サーバ5に鍵情報K0を第2端末装置4に供給する指示を送信する。サーバ5は、当該要求を受信すると、生成済みの鍵情報K0を第2鍵情報K2として第2端末装置4に送信する。
なお、サーバ5が第2鍵情報K2の送信先として、第2端末装置4を識別するための情報は、例えば、ステップS150において鍵情報生成要求R2とともに第1端末装置3からサーバ5へ送信される。
【0089】
ステップS210:宅配ボックス2に備えられる通知部23は、物体が筐体に収納されたことを第2端末装置4に通知する。したがって、通知部23は、収納完了情報を受信すると、物体が筐体に収納されたことを第2端末装置4に通知する。つまり、通知部23は、物体が筐体に収納された場合、物体が筐体に収納されたことを第2端末装置4に通知する。
【0090】
ステップS220:制御部22は、収納履歴情報A2を更新する。制御部22は、記憶部25に記憶される収納履歴情報A2に、扉が施錠された日付及び時刻と、収納された荷物を示す情報とを組にして新たなレコードとして収納履歴情報A2に追加する。
【0091】
ステップS230:制御部22は、通信部21によって、物体が収納されていることを第1端末装置3に通知する。
【0092】
ステップS240:配達員は、収納を中止する。配達員は、荷物を持ち帰る。
以上で、宅配ボックスシステム1は、荷物の預け入れ時の処理を終了する。
【0093】
なお、本実施形態では、第1鍵情報K1の有効期限が切れているか否かが判定され(ステップS140)、当該有効期限が切れていると判定された場合に鍵情報生成要求R2がサーバ5に送信される(ステップS150)場合の一例について説明したが、これに限られない。ステップS140の処理は省略されてもよい。つまり、第1鍵情報K1の有効期限が切れているか否かによらず、鍵情報生成要求部24は、鍵情報生成要求R2を第1端末装置3を介してサーバ5に送信してもよい。
【0094】
なお、本実施形態では、制御部22が、荷物の収納が完了した後の処理(ステップS200)において、一時的な鍵情報である第1鍵情報K1を、認証に用いる鍵情報として記憶部25に記憶させる場合の一例について説明したが、これに限られない。制御部22は、通信部21が第1鍵情報K1を受信すると、当該第1鍵情報K1をそのまま認証に用いる鍵情報として記憶部25に記憶させてもよい。
【0095】
[荷物の取り出し時の宅配ボックスシステム1の処理]
図7は、本実施形態に係る宅配ボックスシステム1の荷物の取り出し時の処理の一例を示す図である。
【0096】
ステップS310:第2端末装置4は、第2解錠要求R3と、第2鍵情報K2とを第2近距離無線通信によって宅配ボックス2に送信する。宅配ボックス2の通信部21は、第2解錠要求R3と、第2鍵情報K2とを第2端末装置4から受信する。
【0097】
ステップS320:制御部22は、第1鍵情報K1と、第2鍵情報K2とが一致するか否かを判定する。制御部22は、記憶部25に記憶される第1鍵情報K1と、受信した第2鍵情報K2とが一致するか否かを判定する。
【0098】
制御部22は、第1鍵情報K1と、第2鍵情報K2とが一致すると判定した場合(ステップS320;YES)、ステップS330の処理を実行する。一方、制御部22は、第1鍵情報K1と、第2鍵情報K2とが一致しないと判定した場合(ステップS320;NO)、ステップS380の処理を実行する。
【0099】
ステップS330:制御部22は、電子錠部20を制御して、扉の解錠を行う。
したがって、制御部22は、通信部21が第2近距離無線通信によって第2端末装置4から第2解錠要求R3を受信した場合に、通信部21が第2近距離無線通信によって第2端末装置4から受信した第2鍵情報K2と、宅配ボックス2に第1近距離無線通信によって供給された第1鍵情報K1とが一致する場合、電子錠部20に扉の解錠を行わせる。
【0100】
ステップS340:受取人によって、宅配ボックス2の筐体内から荷物などの物体が取り出される。
【0101】
ステップS350:受取人によって、宅配ボックス2の扉が閉じられる。制御部22は、扉が閉じられると、電子錠部20に扉を施錠させる。
【0102】
ステップS360:制御部22は、物体の取り出しが完了したと判定する。
【0103】
ステップS370:制御部22は、取り出し履歴情報A3を更新する。制御部22は、記憶部25に記憶される取り出し履歴情報A3に、扉が施錠された日付及び時刻と、取り出された荷物を示す情報とを組にして新たなレコードとして追加する。
【0104】
制御部22は、収納情報A1を物体が収納されていることを示す状態から物体が収納されていないことを示す状態へと更新する。
【0105】
ステップS380:制御部22は、鍵情報が不一致であることを第2端末装置4に通知する。
以上で、宅配ボックスシステム1は、荷物の取り出し時の処理を終了する。
【0106】
なお、本実施形態では、鍵情報K0がサーバ5によって生成される場合の一例について説明した。本実施形態では、第1端末装置3が、サーバ5によって生成された鍵情報K0を第1鍵情報K1として第1近距離無線通信によって宅配ボックス2に供給する。サーバ5は、生成した鍵情報K0を第2鍵情報K2として第2端末装置4に供給する。
【0107】
鍵情報K0はサーバ5によって生成される場合に限られない。鍵情報K0は第1端末装置3によって生成されてもよい。その場合、第1端末装置3は、第1アプリケーションAP1を実行することによって鍵情報K0を生成する。第1端末装置3は、生成した鍵情報K0を第1鍵情報K1として第1近距離無線通信によって宅配ボックス2に供給する。第1端末装置3は、生成した鍵情報K0をサーバ5に送信し、サーバ5は、第1端末装置3から受信した鍵情報K0を第2鍵情報K2として第2端末装置4に供給する。
【0108】
したがって、鍵情報K0がサーバ5と第1端末装置3とのいずれによって生成される場合であっても、第1端末装置3は、鍵情報K0を第1鍵情報K1として第1近距離無線通信によって宅配ボックス2に供給する。また、サーバ5は、鍵情報K0を第2鍵情報K2として第2端末装置4に供給する。
【0109】
なお、本実施形態では、収納履歴情報A2、及び取り出し履歴情報A3が宅配ボックス2の記憶部25に記憶されて管理される場合の一例について説明したが、これに限られない。収納履歴情報A2、及び取り出し履歴情報A3のうち少なくとも一方は、サーバ5に記憶されて管理されてもよい。また、収納履歴情報A2、及び取り出し履歴情報A3のうち少なくとも一方は、第1端末装置3に記憶されて、第1アプリケーションAP1によって管理されてもよい。
【0110】
なお、本実施形態では、通知部23、及び鍵情報生成要求部24は、宅配ボックス2に備えられる場合の一例について説明したが、これに限られない。通知部23、及び鍵情報生成要求部24のうち少なくとも一方は、第1アプリケーションAP1の機能の一部として、第1端末装置3に備えられてもよい。
また、通知部23、及び鍵情報生成要求部24ののうち少なくとも一方は、宅配ボックスシステム1の構成から省略されてもよい。
【0111】
[まとめ]
以上に説明したように、本実施形態に係る宅配ボックスシステム1は、宅配ボックス2と、第1端末装置3と、第2端末装置4と、サーバ5とを備える。第1端末装置3は、宅配ボックス2と第1近距離無線通信(本実施形態において、BLEによる近距離無線通信)を行う。第2端末装置4は、宅配ボックス2と第2近距離無線通信(本実施形態において、BLEによる近距離無線通信)を行う。サーバ5は、第1端末装置3及び第2端末装置それぞれとインターネットを介して通信可能である。
宅配ボックス2は、物体を収納可能な筐体11と、筐体11に設けられ、筐体11の物体の出し入れを可能にする扉12と、扉12の施錠又は扉12の解錠を行う電子錠14と、第1端末装置3と第1近距離無線通信(本実施形態において、BLEによる近距離無線通信)を行い、第2端末装置4と第2近距離無線通信(本実施形態において、BLEによる近距離無線通信)を行う通信部21と、電子錠14を制御する制御部22と、を備える。
第1端末装置3は、有効期限付きの鍵情報K0を第1鍵情報K1として第1近距離無線通信(本実施形態において、BLEによる近距離無線通信)によって宅配ボックス2に供給する。
サーバ5は、鍵情報K0を第2鍵情報K2として第2端末装置4に供給する。
第2端末装置4は、解錠を示す制御命令である解錠要求(本実施形態において、第2解錠要求R3)と、第2鍵情報K2とを第2近距離無線通信(本実施形態において、BLEによる近距離無線通信)によって宅配ボックス2に送信する。
制御部22は、通信部21が第2近距離無線通信(本実施形態において、BLEによる近距離無線通信)によって第2端末装置4から解錠要求(本実施形態において、第2解錠要求R3)を受信した場合に、通信部21が第2近距離無線通信(本実施形態において、BLEによる近距離無線通信)によって第2端末装置4から受信した第2鍵情報K2と、宅配ボックス2に第1近距離無線通信(本実施形態において、BLEによる近距離無線通信)によって供給された第1鍵情報K1とが一致する場合、電子錠14に扉12の解錠を行わせる。
【0112】
この構成により、本実施形態に係る宅配ボックスシステム1は、有効期限付きの鍵情報K0を利用して解錠を行うことができるため、インターネットに直接接続することなく利用者の携帯端末と近距離無線通信を行う宅配ボックスにおいて、セキュリティ性を高めるができる。
【0113】
宅配ボックスシステム1において、宅配ボックス2は、第1端末装置3及び第2端末装置4それぞれと近距離無線通信を行うことによって鍵情報を受信するため、インターネットに直接接続することがない。そのため、宅配ボックスシステム1では、例えばLTE通信によってインターネットに接続することが必須の従来の宅配ボックスのように、宅配ボックスをインターネットに接続することによる費用(ランニングコスト)が設置後にかからない。
また、宅配ボックスシステム1では、Wi-Fi通信によってインターネットに接続することが必須の従来の宅配ボックスのように、通信状況で宅配ボックスの設置場所が限定されてしまう状況や、設置できないといった状況を軽減できる。
【0114】
また、本実施形態に係る宅配ボックスシステム1では、物体が筐体11に収納された場合、物体が筐体11に収納されたことを第2端末装置4に通知する通知部23をさらに備えてもよい。
【0115】
この構成により、本実施形態に係る宅配ボックスシステム1は、複数の宅配ボックスが受取人の第2端末装置4の周辺に存在するような場合であってもいずれの宅配ボックスに荷物が収納されたかを受取人に通知できるため、複数の宅配ボックスのいずれに荷物が収納されたか迷うことなく受取人は円滑に荷物を受け取ることができる。
【0116】
また、本実施形態に係る宅配ボックスシステム1では、筐体11に物体が収納されていない場合に、扉12の解錠が行われたときに、鍵情報K0を生成することを示す鍵情報生成要求R2を送信する鍵情報生成要求部24をさらに備えてもよい。鍵情報生成要求部24から鍵情報生成要求R2が送信された場合、鍵情報K0が生成され、第1端末装置3は、当該鍵情報を第1鍵情報K1として第1近距離無線通信(本実施形態において、BLEによる近距離無線通信)によって宅配ボックス2に供給し、かつサーバ5は、生成された鍵情報K0を第2鍵情報K2として第2端末装置4に供給する。
【0117】
この構成により、本実施形態に係る宅配ボックスシステム1は、鍵情報生成要求R2が送信される時期が、宅配ボックス2の扉が解錠された直後であるため、上述した2つの別の例と比べて、第1端末装置3が宅配ボックス2から近距離無線通信が可能な距離よりも遠くに離れてしまい、第1鍵情報K1が宅配ボックス2に送信できなくなってしまう状況は発生しにくい。
【0118】
また、本実施形態に係る宅配ボックスシステム1では、鍵情報生成要求部24は、筐体11に物体が収納されていない場合に、扉12の解錠が行われたときに、鍵情報K0の有効期限が切れていた場合、鍵情報生成要求R2を送信してもよい。
【0119】
この構成により、本実施形態に係る宅配ボックスシステム1は、鍵情報K0の有効期限が切れていた場合であっても宅配ボックス2が第1端末装置3を介して自動的に鍵情報K0の再生成を要求できるため、利用者(配達員または受取人)が端末装置を操作して鍵情報K0の再生成を要求する手間が省ける。
【0120】
なお、上述した実施形態では、宅配ボックスシステム1が宅配業務において利用される場合の一例について説明したが、これに限られない。宅配ボックスシステム1は、例えば、個人の利用者間での物体の授受に利用されてもよい。
【0121】
なお、上述した実施形態における装置(宅配ボックス2、第1端末装置3、第2端末装置4、サーバ5)における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリー(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0122】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0123】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0124】
1…宅配ボックスシステム、2…宅配ボックス、3…第1端末装置、4…第2端末装置、5…サーバ、11…筐体、12…扉、13…外扉、14…電子錠、22…制御部、21…通信部、K0…鍵情報、K1…第1鍵情報、K2…第2鍵情報
図1
図2
図3
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図6
図7