(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041399
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A47G 29/30 20060101AFI20230316BHJP
A47G 29/122 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A47G29/30
A47G29/122 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148758
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】山中 滉輝
(72)【発明者】
【氏名】清水 一樹
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 駿
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA45
3K100CA52
3K100CA53
3K100CD03
(57)【要約】
【課題】防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる情報処理システムを提供すること。
【解決手段】情報処理システムは、宅配ボックスと、前記宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムであって、前記宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、前記情報処理装置と近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備え、前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅配ボックスと、前記宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムであって、
前記宅配ボックスは、
物体を収納可能な筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、
前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、
前記情報処理装置と近距離無線通信を行う通信部と、
前記電子錠を制御する制御部と、
を備え、
前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記宅配ボックスは、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する第1通知部を備え、
前記制御部は、前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを前記第1通知部により通知する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第1通知部は、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記情報処理装置は、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する第2通知部を備え、
前記情報処理装置は、前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを前記第2通知部により通知する、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記第2通知部は、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記宅配ボックスを識別する第1識別情報と、前記情報処理装置を識別する第2識別情報とを対応付ける対応情報が記憶される記憶部を更に備え、
前記情報処理装置又は前記制御部は、前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記記憶部に記憶された前記対応情報に基づいて、前記情報処理装置と前記宅配ボックスとが対応付けられているか否かを判定し、
前記情報処理システムは、前記情報処理装置と前記宅配ボックスとが対応付けられていると前記情報処理装置又は前記制御部が判定した場合、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記筐体内に物体が収納されていることを通知可能な1つ以上の通知装置を更に備え、
前記1つ以上の通知装置は、前記宅配ボックスと前記情報処理装置との両方と近距離無線通信可能であり、
前記制御部は、前記筐体内に物体が収納されている場合において、前記1つ以上の通知装置のうちの第1通知装置が前記宅配ボックスを含む所定の領域内に位置していると、前記筐体内に物体が収納されていることを示す収納情報を近距離無線通信によって前記第1通知装置に送信し、
前記第1通知装置は、前記収納情報を受信した後、前記第1通知装置と前記情報処理装置との近距離無線通信が確立された場合、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記1つ以上の通知装置には、前記宅配ボックスが設置されている建物の扉のうち前記宅配ボックスと前記情報処理装置との両方と近距離無線通信可能な扉が含まれている、
請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記1つ以上の通知装置には、自動車が備える装置のうち前記宅配ボックスと前記情報処理装置との両方と近距離無線通信可能な装置が含まれている、
請求項7又は8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記1つ以上の通知装置は、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、
請求項7から9のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項11】
物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備える宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置であって、
前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、
情報処理装置。
【請求項12】
物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備える宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置の情報処理方法であって、
前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、
情報処理方法。
【請求項13】
物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備える宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置に実行させるためのプログラムであって、
前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
宅配物等の物体を収納する宅配ボックスにおける物体の出し入れを管理する技術についての研究、開発が行われている。
【0003】
これに関し、宅配物を収納する宅配ボックスであって、宅配業者が宅配物を預け入れる預入口と、預入口を開閉する扉と、扉の施錠又は扉の解錠を行う電子錠と、を備える宅配ボックスと、宅配業者による宅配物の受取人への呼出操作を受け付けて、受取人に宅配業者の来訪を通知するインターホン装置であって、宅配業者による電子錠の解錠操作を受け付けて、電子錠に対して解錠指令を出力する解錠操作受付部を備えるインターホン装置と、を備え、電子錠は、解錠操作受付部から出力された解錠指令を受けて、扉を解錠する、宅配ボックスシステムが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載されたような宅配ボックスには、宅配ボックスのユーザーにとっての宅配ボックスの利便性を向上させるため、宅配ボックス内に物体が入れられているか否かを宅配ボックスの外部から視認するため小窓が設けられていることが少なくない。しかしながら、このような宅配ボックスにおいて、小窓の存在は、防犯上、好ましくない。一方、このような小窓が設けられていない宅配ボックスは、中に物体が入っているか否かを宅配ボックスの外部から視認することができず、宅配ボックスのユーザーにとって不便なことが多い。
【0006】
そこで本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、宅配ボックスと、前記宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムであって、前記宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、前記情報処理装置と近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備え、前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、情報処理システムである。
【0008】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記宅配ボックスは、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する第1通知部を備え、前記制御部は、前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを前記第1通知部により通知する、構成が用いられてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記第1通知部は、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、構成が用いられてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記情報処理装置は、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する第2通知部を備え、前記情報処理装置は、前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを前記第2通知部により通知する、構成が用いられてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記第2通知部は、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、構成が用いられてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記宅配ボックスを識別する第1識別情報と、前記情報処理装置を識別する第2識別情報とを対応付ける対応情報が記憶される記憶部を更に備え、前記情報処理装置又は前記制御部は、前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記記憶部に記憶された前記対応情報に基づいて、前記情報処理装置と前記宅配ボックスとが対応付けられているか否かを判定し、前記情報処理システムは、前記情報処理装置と前記宅配ボックスとが対応付けられていると前記情報処理装置又は前記制御部が判定した場合、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、構成が用いられてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記筐体内に物体が収納されていることを通知可能な1つ以上の通知装置を更に備え、前記1つ以上の通知装置は、前記宅配ボックスと前記情報処理装置との両方と近距離無線通信可能であり、前記制御部は、前記筐体内に物体が収納されている場合において、前記1つ以上の通知装置のうちの第1通知装置が前記宅配ボックスを含む所定の領域内に位置していると、前記筐体内に物体が収納されていることを示す収納情報を近距離無線通信によって前記第1通知装置に送信し、前記第1通知装置は、前記収納情報を受信した後、前記第1通知装置と前記情報処理装置との近距離無線通信が確立された場合、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、構成が用いられてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記1つ以上の通知装置には、前記宅配ボックスが設置されている建物の扉のうち前記宅配ボックスと前記情報処理装置との両方と近距離無線通信可能な扉が含まれている、構成が用いられてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記1つ以上の通知装置には、自動車が備える装置のうち前記宅配ボックスと前記情報処理装置との両方と近距離無線通信可能な装置が含まれている、構成が用いられてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記1つ以上の通知装置は、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、構成が用いられてもよい。
【0017】
また、本発明の一態様は、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備える宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置であって、前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、情報処理装置である。
【0018】
また、本発明の一態様は、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備える宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置の情報処理方法であって、前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、情報処理方法である。
【0019】
また、本発明の一態様は、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、近距離無線通信を行う通信部と、前記電子錠を制御する制御部と、を備える宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置に実行させるためのプログラムであって、前記筐体内に物体が収納されている場合において前記情報処理装置と前記宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、前記筐体内に物体が収納されていることを通知する、プログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】宅配ボックス10の構成の一例を示す図である。
【
図3】情報処理装置20の構成の一例を示す図である。
【
図4】筐体11内に物体が収納されていることを通知する処理の流れの一例を示す図である。
【
図5】
図4に示したフローチャートの処理が行われる場合における情報処理装置20の動きの一例を示す図である。
【
図6】実施形態の変形例に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【
図7】筐体11内に物体が収納されていることを通知装置が通知する処理の流れの一例を示す図である。
【
図8】
図7に示したフローチャートの処理が行われる場合における情報処理装置20の動きの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本明細書では、近距離無線通信は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))による通信のことであるが、BLE以前の規格のBluetooth(登録商標)による通信のことであってもよく、他の規格のNFC(Near Field Communication)による通信のことであってもよく、各種の規格に応じた無線通信をインターネットを介さずに中継する中継装置(例えば、無線LAN(Local Area Network)のルーター等)を介した無線通信であってもよい。
【0023】
<情報処理装置の概要>
まず、実施形態に係る情報処理装置の概要について説明する。
【0024】
実施形態に係る情報処理システムは、宅配ボックスと、宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置とを備える。宅配ボックスは、筐体と、扉と、電子錠と、通信部と、制御部を備える。筐体は、物体を収納可能である。扉は、筐体に設けられる。扉は、筐体における物体の出し入れを可能にする。電子錠は、扉の施錠又は扉の解錠を行う。通信部は、情報処理装置と近距離無線通信を行う。制御部は、電子錠を制御する。そして、この情報処理システムは、筐体内に物体が収納されている場合において情報処理装置と宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、筐体内に物体が収納されていることを通知する。これにより、情報処理システムは、ユーザーによる宅配ボックスの中の視認を伴うことなく、宅配ボックスに物体が収納されていることをユーザーに報せることができる。すなわち、情報処理システムは、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。
【0025】
以下では、実施形態に係る情報処理システムの構成と、当該情報処理システムが行う処理のうち筐体内に物体が収納されていることを通知する処理について詳しく説明する。
【0026】
<情報処理システムの構成>
以下、実施形態に係る情報処理システムの一例として情報処理システム1を例に挙げて、実施形態に係る情報処理システムの構成について説明する。
【0027】
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【0028】
情報処理システム1は、宅配ボックス10と、情報処理装置20を備える。
【0029】
情報処理システム1は、宅配ボックス10内に物体が収納されている場合において、情報処理装置20と宅配ボックス10との近距離無線通信が確立すると、宅配ボックス10内に物体が収納されていることを通知する。これにより、情報処理システム1は、ユーザーによる宅配ボックス10の中の視認を伴うことなく、宅配ボックス10に物体が収納されていることをユーザーに報せることができる。すなわち、情報処理システム1は、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックス10の利便性を向上させることができる。以下では、説明の便宜上、宅配ボックス10内に物体が収納されていることを通知することを、単に通知と称して説明することがある。ここで、情報処理システム1では、このような通知を、宅配ボックス10が行ってもよく、情報処理装置20が行ってもよい。
【0030】
宅配ボックス10は、物体を収納可能な容器である。宅配ボックス10は、各種の建物に設置されてもよく、建物と別に設置されてもよい。
図1に示した例では、宅配ボックス10は、建物Hに設置されている。建物Hは、宅配ボックス10が設置される建物の一例である。建物Hは、例えば、戸建ての住戸、マンション、アパート等であってもよく、郵便局等の公共施設の建物等であってもよく、他の建物であってもよい。また、
図1に示した例では、宅配ボックス10は、建物Hの外に設置されているが、これに代えて、建物Hの中に設置される構成であってもよい。
【0031】
ここで、
図2は、宅配ボックス10の構成の一例を示す図である。宅配ボックス10は、筐体11と、扉12と、電子錠13と、通信部14と、制御部15と、通知部16を備える。なお、宅配ボックス10は、通知部16を備えない構成であってもよい。また、
図2では、図を簡略化するため、電子錠13と、通信部14と、制御部15と、通知部16とのそれぞれが直方体形状の物体として示されている。
【0032】
筐体11は、宅配物等の物体を収納可能な容器である。
図2に示した例では、筐体11は、ほぼ直方体形状の容器であるが、これに限られるわけではない。筐体11は、中空の容器であり、且つ、物体を出し入れ可能な開口が表面に設けられた容器である。なお、本明細書において、筐体11内に物体が収納されていることは、宅配ボックス10内に物体が収納されていることと同義である。
【0033】
扉12は、筐体11に設けられる扉である。そして、扉12は、筐体11における物体の出し入れを可能にする扉である。このため、扉12は、筐体11の内部と、筐体11の外部とを繋ぐ開閉可能な扉である。換言すると、扉12は、筐体11の表面に設けられた開口の開閉を行う扉である。
【0034】
電子錠13は、制御部15からの制御に応じて、扉12の施錠又は扉12の解錠を行う。
【0035】
通信部14は、情報処理装置20と近距離無線通信を行う通信装置である。
【0036】
制御部15は、宅配ボックス10の全体を制御する。このため、制御部15は、例えば、電子錠13を制御する。また、制御部15は、例えば、通知部16を制御する。制御部15は、例えば、CPUである。なお、制御部15は、FPGA等の他のプロセッサーであってもよい。以下では、一例として、各種の情報を一時的に記憶するメモリーが制御部15に含まれている場合について説明する。なお、このメモリーは、制御部15と別体の記憶部であってもよい。この場合、この記憶部は、宅配ボックス10に備えられる。
【0037】
通知部16は、制御部15からの制御に応じて、宅配ボックス10内に物体が収納されていることを通知する。通知部16は、例えば、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって宅配ボックス10内に物体が収納されていることを通知する。通知部16が光によって通知を行う場合、通知部16は、LED(Light Emitting Diode)等の発光部、液晶ディスプレイ等を備える。また、通知部16が音によって通知を行う場合、通知部16は、スピーカー等の音出力部を備える。また、通知部16が振動によって通知を行う場合、通知部16は、宅配ボックス10を振動させる振動部を備える。通知部16は、第1通知部の一例である。
【0038】
情報処理装置20は、例えば、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、タブレットPC(Personal Computer)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC等であるが、これらに限られるわけではない。
【0039】
情報処理装置20は、専用のアプリケーションプログラム、インターネットブラウザを介して実行されるプログラム等を介して、宅配ボックス10と近距離無線通信を行う。ここで、
図3は、情報処理装置20の構成の一例を示す図である。情報処理装置20は、例えば、制御部21と、記憶部22と、入力受付部23と、通信部24と、表示部25を備える。なお、情報処理装置20は、制御部21と、記憶部22と、入力受付部23と、通信部24と、表示部25とに加えて、他の部材、他の装置等を備える構成であってもよい。
【0040】
制御部21は、情報処理装置20の全体を制御するプロセッサーであり、例えば、CPUである。制御部21は、記憶部22に格納された各種のプログラムを実行する。制御部21が備える各種の機能は、例えば、制御部21が、記憶部22に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。なお、それらの機能のうちの一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部により実現されてもよい。また、制御部21が有する機能のうちの一部又は全部は、CPUに代えて、FPGA等の他のプロセッサーにより実現されてもよい。
【0041】
記憶部22は、例えば、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部22は、情報処理装置20に内蔵されるものに代えて、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部22は、情報処理装置20が処理する各種の情報、各種の画像、各種のプログラムを記憶する。
【0042】
入力受付部23は、例えば、表示部25と一体に構成されたタッチパネルである。なお、入力受付部23は、キーボード、マウス、タッチパッド等の他の入力装置であってもよい。
【0043】
通信部24は、例えば、USB等のデジタル入出力ポート、イーサネット(登録商標)ポート等を含んで構成される。
【0044】
表示部25は、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイパネル等を備えた表示装置である。
【0045】
なお、情報処理装置20は、表示部25に加えて、スピーカー等の音出力部、情報処理装置20を振動させる振動部等を備える構成であってもよい。表示部25、当該音出力部、当該振動部のそれぞれは、第2通知部の一例である。
【0046】
<筐体内に物体が収納されていることを通知する処理>
以下、筐体11内に物体が収納されていることを通知する処理について説明する。
図4は、筐体11内に物体が収納されていることを通知する処理の流れの一例を示す図である。なお、以下では、一例として、筐体11内に物体が収納されていることを通知する処理を宅配ボックス10が行う場合について説明する。この場合、
図4に示したフローチャートの処理の主体は、宅配ボックス10の制御部15である。また、以下では、一例として、
図4に示したステップS110の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、筐体11内に物体が収納されており、宅配ボックス10の扉12が電子錠13により施錠されている場合について説明する。また、以下では、一例として、
図4に示したフローチャートの処理が、宅配ボックス10に電源が入ると開始される場合について説明する。
【0047】
制御部15は、筐体11内に物体が収納されているか否かを判定する(ステップS110)。
図4では、ステップS110の処理を、「預入中?」によって示している。ステップS110において、筐体11内に物体が収納されているか否かを制御部15が判定する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。例えば、制御部15は、宅配ボックス10の扉12が電子錠13により施錠されている場合、筐体11内に物体が収納されていると判定する。一方、例えば、制御部15は、宅配ボックス10の扉12が電子錠13により施錠されていない場合、筐体11内に物体が収納されていないと判定する。
【0048】
制御部15は、筐体11内に物体が収納されていないと判定した場合(ステップS110-NO)、筐体11内に物体が収納されていることを通知済であることを示す通知済情報がメモリーに記憶されているか否かを判定し、通知済情報がメモリーに記憶されている場合、メモリーから通知済情報を削除する(ステップS170)。そして、制御部15は、
図4に示したフローチャートの処理を終了する。
【0049】
一方、制御部15は、筐体11内に物体が収納されていると判定した場合(ステップS110-YES)、宅配ボックス10と近距離無線通信可能な範囲内に、宅配ボックス10と近距離通信可能な情報処理装置が存在しているか否かを判定する(ステップS120)。
図4では、ステップS120の処理を、「情報処理装置有?」によって示している。ステップS120において、宅配ボックス10と近距離無線通信可能な範囲内に、宅配ボックス10と近距離通信可能な情報処理装置が存在しているか否かを判定する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。例えば、制御部15は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)値、GPS(Global Positioning System)、RFID(Radio Frequency Identification)タグによって、宅配ボックス10と近距離通信可能な情報処理装置が当該範囲内に存在しているか否かを判定する。
【0050】
制御部15は、宅配ボックス10と近距離無線通信可能な範囲内に、宅配ボックス10と近距離通信可能な情報処理装置が存在していないと判定した場合(ステップS120-NO)、ステップS110に遷移し、筐体11内に物体が収納されているか否かを再び判定する。
【0051】
一方、制御部15は、宅配ボックス10と近距離無線通信可能な範囲内に、宅配ボックス10と近距離通信可能な情報処理装置が存在していると判定した場合(ステップS120-YES)、当該範囲内に存在する情報処理装置が、宅配ボックス10に予め登録されている情報処理装置であるか否かを判定する(ステップS130)。
図4では、ステップS130の処理を、「登録されている?」によって示している。ここで、本明細書では、ある情報処理装置が宅配ボックス10に予め登録されていることは、当該情報処理装置を識別する識別情報が制御部15に予め記憶されていることを意味する。宅配ボックス10に当該識別情報を登録する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。以下では、一例として、宅配ボックス10に情報処理装置20が登録されている場合について説明する。この場合、制御部15には、情報処理装置20を識別する識別情報が記憶されている。この識別情報を宅配ボックス10に登録する方法としては、例えば、初期設定時に宅配ボックス10と所有者の情報処理装置20とのペアリングを行う等が挙げられる。この識別情報は、宅配ボックスを識別する第1識別情報と、情報処理装置を識別する第2識別情報とを対応付ける対応情報の一例である(この場合、制御部15に当該識別情報が記憶されているため、宅配ボックス10を識別する識別情報については、省略されている)。なお、制御部15には、情報処理装置20を識別する識別情報に代えて、宅配ボックス10を識別する識別情報と、情報処理装置20を識別する識別情報とを対応付ける対応情報が記憶される構成であってもよい。ステップS130において、例えば、制御部15は、ステップS120において存在していると判定された情報処理装置から、当該情報処理装置を識別する識別情報を受信する。そして、制御部15は、受信した識別情報に基づいて、当該情報処理装置が、宅配ボックス10に予め登録されている情報処理装置、すなわち、情報処理装置20であるか否かを判定する。
【0052】
制御部15は、宅配ボックス10に予め登録されている情報処理装置ではないと判定した場合(ステップS130-NO)、ステップS110に遷移し、筐体11内に物体が収納されているか否かを再び判定する。
【0053】
一方、制御部15は、宅配ボックス10に予め登録されている情報処理装置(すなわち、情報処理装置20)であると判定した場合(ステップS130-YES)、宅配ボックス10と当該情報処理装置との近距離無線通信を確立させる(例えば、近距離無線通信がBLEによる通信である場合、当該情報処理装置とのペアリングを確立させる)。そして、制御部15は、制御部15のメモリー内を検索し、制御部15のメモリー内に、前述の通知済情報が存在するか否かを判定する(ステップS140)。
図4では、ステップS140の処理を、「通知済?」によって示している。ここで、宅配ボックス10に登録されている情報処理装置が複数存在する場合、当該メモリーに記憶される通知済情報は、複数の情報処理装置のそれぞれを識別する識別情報毎に、識別情報と対応付けられて記憶される。この一例では、宅配ボックス10に登録されている情報処理装置は、情報処理装置20のみである。このため、当該メモリーに記憶される通知済情報には、情報処理装置20を識別する識別情報は、対応付けられていない。
【0054】
制御部15は、制御部15のメモリー内に通知済情報が存在すると判定した場合(ステップS140-YES)、情報処理装置20のユーザーへの通知が既に行われているため、ステップS110に遷移し、筐体11内に物体が収納されているか否かを再び判定する。
【0055】
一方、制御部15は、制御部15のメモリー内に通知済情報が存在しないと判定した場合(ステップS140-NO)、情報処理装置20のユーザーへの通知が未だ行われていないため、筐体11内に物体が収納されていることを情報処理装置20に通知させる情報を情報処理装置20に送信し、情報処理装置20によって筐体11内に物体が収納されていることを、情報処理装置20のユーザーに通知する(ステップS150)。なお、ステップS150において、宅配ボックス10がこの通知を行う場合、宅配ボックス10は、通知部16を介して、筐体11内に物体が収納されていることを通知する。また、ステップS150において、通知は、宅配ボックス10と情報処理装置20との両方によって行われる構成であってもよい。
【0056】
次に、制御部15は、通知済情報を生成し、生成した通知済情報を、制御部15のメモリーに記憶させる(ステップS160)。そして、制御部15は、ステップS110に遷移し、筐体11内に物体が収納されているか否かを再び判定する。
【0057】
以上のように、情報処理システム1は、筐体11内に物体が収納されている場合において情報処理装置20と宅配ボックス10との近距離無線通信が確立すると、筐体11内に物体が収納されていることを通知する。これにより、情報処理システム1は、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。
【0058】
なお、ステップS110~ステップS170の処理は、宅配ボックス10に代えて、情報処理装置20が行う構成であってもよい。ただし、この場合、情報処理装置20の制御部21は、例えば、情報処理装置20において、筐体11内に物体が収納されていることを通知する処理を行うアプリケーションプログラムが実行されている間、ステップS110~ステップS170の処理を繰り返し行う。ただし、制御部21は、例えば、ステップS110~ステップS160の処理を、ステップS110、ステップS120、ステップS130、ステップS140、ステップS150、ステップS160の順に代えて、ステップS120、ステップS130、ステップS110、ステップS140、ステップS150、ステップS160の順に処理を行う。そして、制御部21は、ステップS120において、情報処理装置20が近距離無線通信を行うことが可能な範囲内に、情報処理装置20と近距離無線通信可能な宅配ボックスが存在するか否かを判定する。また、制御部21は、ステップS130において、当該範囲内に存在していた宅配ボックスが、情報処理装置20に予め登録されている宅配ボックスであるか否かを判定する。ここで、本明細書では、ある宅配ボックスが情報処理装置20に予め登録されていることは、当該宅配ボックスを識別する識別情報が記憶部22に予め記憶されていることを意味する。そして、制御部21は、当該範囲内に存在していた宅配ボックスが、情報処理装置20に予め登録されている宅配ボックス(すなわち、宅配ボックス10)であると判定した場合、情報処理装置20と当該宅配ボックスとの近距離無線通信を確立させる(例えば、近距離無線通信がBLEによる通信である場合、当該宅配ボックスとのペアリングを確立させる)。当該宅配ボックスとの近距離無線通信を確立させた後、制御部21は、ステップS110において、筐体11内に物体が収納されているか否かを示す情報を宅配ボックス10から受信し、受信した情報に基づいた判定を行う。また、制御部21は、ステップS140において、記憶部22に通知済情報が記憶されているか否かに応じた判定を行う。また、制御部21は、ステップS150において、表示部25を介して、筐体11内に物体が収納されていることを通知する。なお、制御部21は、筐体11内に物体が収納されていることを宅配ボックス10に通知させる情報を宅配ボックス10に送信し、宅配ボックス10によって筐体11内に物体が収納されていることを、情報処理装置20のユーザーに通知する構成であってもよい。また、制御部21は、ステップS160において、通知済情報を生成し、生成した通知済情報を記憶部22に記憶させる。
【0059】
ここで、
図5は、
図4に示したフローチャートの処理が行われる場合における情報処理装置20の動きの一例を示す図である。
図5に示した例では、まず、シチュエーションS1において、宅配業者が宅配物を宅配ボックス10に入れて扉12を閉める。これにより、宅配ボックス10の制御部15は、電子錠13を制御し、扉12の施錠を行う。次に、当該例では、シチュエーションS2において、情報処理装置20のユーザーが外出から建物Hへ戻り、情報処理装置20は、ユーザーとともに宅配ボックス10に近づく。これにより、当該例では、シチュエーションS3において、
図4に示したフローチャートの処理のうち、ステップS120~ステップS140の処理が行われる。
図5では、シチュエーションS3として、ステップS130の処理が行われている状況が示されている。そして、ステップS130の判定の結果、情報処理装置20が宅配ボックス10に登録されている情報処理装置ではない場合、シチュエーションS4において、宅配ボックス10及び情報処理装置20のそれぞれは、何もしない。一方、ステップS130の判定の結果、情報処理装置20が宅配ボックス10に登録されている情報処理装置であった場合、シチュエーションS5において、ステップS150の処理が行われ、宅配ボックス10又は情報処理装置20が、筐体11内に物体が収納されていることを通知する。その結果、情報処理装置20のユーザーは、宅配ボックス10の中を外部から視認することなく、宅配ボックス10に物体が収納されていることを知ることができる。すなわち、情報処理システム1は、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。
【0060】
<実施形態の変形例>
以下、実施形態の変形例について説明する。実施形態の変形例では、情報処理システム1は、宅配ボックス10と情報処理装置20との少なくとも一方に代えて、又は、宅配ボックス10と情報処理装置20との両方に加えて、1つ以上の通知装置のうちの少なくとも1つにより、筐体11内に物体が収納されていることを通知する。このため、実施形態の変形例では、情報処理システム1は、宅配ボックス10と、情報処理装置20とに加えて、1つ以上の通知装置を備える。ここで、通知装置は、筐体11内に物体が収納されていることを通知可能な装置のことであり、且つ、宅配ボックス10と情報処理装置20との両方と近距離無線通信可能な装置であれば、如何なる装置であってもよい。
【0061】
図6は、実施形態の変形例に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
図6に示した例では、情報処理システム1は、宅配ボックス10と、情報処理装置20とに加えて、1つ以上の通知装置として、建物Hの扉Dと、自動車Cが備える装置Nとの2つの装置を備える。
【0062】
扉Dは、建物Hの扉のうち、宅配ボックス10と情報処理装置20との両方と近距離無線通信可能な扉である。扉Dは、例えば、IoT(Internet of Things)によって施錠又は解錠を行うことが可能な扉であるが、これに限られるわけではない。扉Dは、例えば、電子錠Kと、制御部Pと、通知部Aを備える。
【0063】
電子錠Kは、例えば、制御部Pからの制御に応じて、扉Dの施錠又は扉Dの解錠を行う。
【0064】
制御部Pは、電子錠Kを制御し、扉Dの施錠と、扉Dの解錠とのそれぞれを電子錠Kに行わせるプロセッサーの一例である。当該プロセッサーは、例えば、CPU(Central Processing Unit)であるが、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の他のプロセッサーであってもよい。制御部Pは、インターネット等の通信網を介して外部の装置と通信を行う。また、制御部Pは、宅配ボックス10と情報処理装置20との両方と近距離無線通信を行う。以下では、一例として、宅配ボックス10と情報処理装置20との両方と制御部Pが行う近距離無線通信が、建物H内に位置する無線LANのルーターによってインターネットを介さずに中継される通信である場合について説明する。なお、当該近距離無線通信は、BLE等の他の近距離無線通信であってもよい。また、以下では、一例として、各種の情報を一時的に記憶するメモリーが制御部Pに含まれている場合について説明する。なお、このメモリーは、制御部Pと別体の記憶部であってもよい。この場合、この記憶部は、扉Dに備えられる。
【0065】
また、制御部Pは、通知部Aを制御し、通知部Aを介して、筐体11内に物体が収納されていることを通知する。
【0066】
通知部Aは、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって筐体11内に物体が収納されていることを通知する。通知部Aが光によって通知を行う場合、通知部Aは、LED等の発光部、液晶ディスプレイ等を備える。また、通知部Aが音によって通知を行う場合、通知部Aは、スピーカー等の音出力部を備える。また、通知部Aが振動によって通知を行う場合、通知部Aは、扉Dを振動させる振動部を備える。
【0067】
自動車Cは、情報処理装置20のユーザーが利用する自動車の一例である。
【0068】
自動車Cが備える装置Nは、自動車Cが備える装置のうち、宅配ボックス10と情報処理装置20との両方と近距離無線通信可能な装置の一例である。装置Nは、例えば、カーナビゲーション装置であるが、これに限られるわけではない。なお、装置Nには、CPU等のプロセッサー、各種の情報を一時的に記憶するメモリー等が備えられている。また、装置Nは、自動車Cと一体に構成されてもよく、自動車Cと別体に構成されてもよい。
【0069】
装置Nは、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって筐体11内に物体が収納されていることを通知する。装置Nが光によって通知を行う場合、装置Nは、LED等の発光部、液晶ディスプレイ等を備える。また、装置Nが音によって通知を行う場合、装置Nは、スピーカー等の音出力部を備える。また、装置Nが振動によって通知を行う場合、装置Nは、装置Nを振動させる振動部を備える。
【0070】
ここで、宅配ボックス10の制御部15は、筐体11内に物体が収納されている場合において、1つ以上の通知装置のうちのある通知装置が宅配ボックス10を含む所定の領域R内に位置していると、筐体11内に物体が収納されていることを示す収納情報を近距離無線通信によって当該通知装置に送信する。領域Rは、宅配ボックス10を含む所定の領域の一例である。領域Rは、例えば、宅配ボックス10が近距離無線通信を行うことが可能な領域であるが、宅配ボックス10を含む領域であれば、他の領域であってもよい。例えば、近距離無線通信がBLEによる通信である場合、領域Rは、宅配ボックス10とBLEによって通信可能な領域のことである。また、例えば、近距離無線通信が、宅配ボックス10が設置されている建物H内に位置する無線LANのルーターによってインターネットを介さずに中継される通信である場合、領域Rは、無線LANによって当該ルーターと通信可能な領域のことである。この場合、宅配ボックス10は、領域R内に含まれるように設置される。
【0071】
図6に示した例では、扉Dは、移動不可能であるため、常に領域R内に位置している。このため、宅配ボックス10の制御部15は、宅配ボックス10内に物体が収納されると、前述の収納情報を近距離無線通信によって扉Dに送信する。この場合、扉Dの制御部Pは、受信した収納情報を、制御部Pのメモリーに記憶させる。その後、制御部Pは、扉Dと情報処理装置20との近距離無線通信が確立された場合、筐体11内に物体が収納されていることを通知部Aによって通知する。なお、制御部Pは、当該場合、筐体11内に物体が収納されていることを情報処理装置20に通知させる情報を情報処理装置20に送信し、情報処理装置20によって筐体11内に物体が収納されていることを、情報処理装置20のユーザーに通知する構成であってもよい。また、制御部Pは、当該場合、筐体11内に物体が収納されていることを宅配ボックス10に通知させる情報を宅配ボックス10に送信し、宅配ボックス10によって筐体11内に物体が収納されていることを、情報処理装置20のユーザーに通知する構成であってもよい。
【0072】
一方、自動車Cは、移動可能であるため、領域R内に位置していることと、領域R内に位置していないこととがある。このため、宅配ボックス10の制御部15は、自動車Cが領域R内に位置していない場合(すなわち、自動車Cが領域Rから外に出ている場合、装置Nの電源がオフにされている場合等)、宅配ボックス10内に物体が収納されていたとしても、収納情報を近距離無線通信によって装置Nに送信しない(送信できない)。これに対し、制御部15は、自動車Cが領域R内に位置している場合、宅配ボックス10内に物体が収納されていると、収納情報を近距離無線通信によって装置Nに送信する。この場合、装置Nは、受信した収納情報を、装置Nのメモリーに記憶させる。その後、装置Nは、装置Nと情報処理装置20との近距離無線通信が確立された場合、筐体11内に物体が収納されていることを通知する。なお、装置Nは、当該場合、筐体11内に物体が収納されていることを情報処理装置20に通知させる情報を情報処理装置20に送信し、情報処理装置20によって筐体11内に物体が収納されていることを、情報処理装置20のユーザーに通知する構成であってもよい。また、装置Nは、当該場合、筐体11内に物体が収納されていることを宅配ボックス10に通知させる情報を宅配ボックス10に送信し、宅配ボックス10によって筐体11内に物体が収納されていることを、情報処理装置20のユーザーに通知する構成であってもよい。
【0073】
なお、宅配ボックス10と1つ以上の通知装置のそれぞれとは、例えば、BLEによる通信によって近距離無線通信を行うが、他の近距離無線通信を行う構成であってもよい。また、情報処理装置20と1つ以上の通知装置のそれぞれとは、例えば、BLEによる通信によって近距離無線通信を行うが、他の近距離無線通信を行う構成であってもよい。
【0074】
次に、実施形態の変形例において、筐体11内に物体が収納されていることを通知装置が通知する処理について説明する。
図7は、筐体11内に物体が収納されていることを通知装置が通知する処理の流れの一例を示す図である。以下では、通知装置として、扉Dを例に挙げて、筐体11内に物体が収納されていることを扉Dが通知する処理について説明する。なお、以下では、一例として、
図7に示したステップS210の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、筐体11内に物体が収納されており、宅配ボックス10の扉12が電子錠13により施錠されている場合について説明する。この場合、宅配ボックス10の制御部15は、例えば、扉12が電子錠13により施錠されたタイミングにおいて、近距離無線通信により収納情報をブロードキャストする。また、以下では、一例として、扉Dと情報処理装置20とがBLEによる通信によって近距離無線通信を行う場合について説明する。また、以下では、一例として、
図7に示したステップS210の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、扉Dと宅配ボックス10との近距離無線通信が確立している場合について説明する。また、以下では、一例として、宅配ボックス10に情報処理装置20が登録されている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、宅配ボックス10に予め登録されている情報処理装置20を識別する識別情報が、宅配ボックス10から扉Dに送信されており、且つ、扉Dの制御部Pのメモリーに当該識別情報が記憶されている場合について説明する。この場合、当該識別情報には、宅配ボックス10を識別する識別情報が対応付けられていてもよい。なお、筐体11内に物体が収納されていることを通知することに関して、宅配ボックス10と情報処理装置20との間において行われる処理については、
図4に示したフローチャートの処理と同様の処理であるため、
図7において、詳細な説明を省略する。
【0075】
制御部Pは、近距離無線通信により宅配ボックス10からブロードキャストされた収納情報を受信する(ステップS210)。
【0076】
制御部Pは、筐体11内に物体が収納されているか否かを判定する(ステップS220)。
図7では、ステップS220の処理を、「預入中?」によって示している。ステップS220において、筐体11内に物体が収納されているか否かを制御部Pが判定する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。例えば、制御部Pは、宅配ボックス10の制御部15から、筐体11内から物体が取り出されたことを示す取出情報を受信していない場合、筐体11内に物体が収納されていると判定する。一方、例えば、制御部Pは、制御部15から取出情報を受信している場合、筐体11内に物体が収納されていないと判定する。
【0077】
制御部Pは、筐体11内に物体が収納されていないと判定した場合(ステップS220-NO)、筐体11内に物体が収納されていることを通知済であることを示す通知済情報がメモリーに記憶されているか否かを判定し、通知済情報がメモリーに記憶されている場合、メモリーから通知済情報を削除する(ステップS280)。そして、制御部Pは、
図7に示したフローチャートの処理を終了する。
【0078】
一方、制御部Pは、筐体11内に物体が収納されていると判定した場合(ステップS220-YES)、扉Dと近距離無線通信可能な範囲内に、扉Dと近距離通信可能な情報処理装置が存在しているか否かを判定する(ステップS230)。
図7では、ステップS230の処理を、「情報処理装置有?」によって示している。ステップS230において、扉Dと近距離無線通信可能な範囲内に、扉Dと近距離通信可能な情報処理装置が存在しているか否かを判定する方法は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。例えば、制御部Pは、RSSI値、GPS、RFIDタグによって、扉Dと近距離通信可能な情報処理装置が当該範囲内に存在しているか否かを判定する。
【0079】
制御部Pは、扉Dと近距離無線通信可能な範囲内に、扉Dと近距離通信可能な情報処理装置が存在していないと判定した場合(ステップS230-NO)、ステップS220に遷移し、筐体11内に物体が収納されているか否かを再び判定する。
【0080】
一方、制御部Pは、扉Dと近距離無線通信可能な範囲内に、扉Dと近距離通信可能な情報処理装置が存在していると判定した場合(ステップS230-YES)、当該範囲内に存在する情報処理装置が、宅配ボックス10に予め登録されている情報処理装置であるか否かを判定する(ステップS240)。
図7では、ステップS240の処理を、「登録されている?」によって示している。ステップS240において、例えば、制御部Pは、ステップS230において存在していると判定された情報処理装置から、当該情報処理装置を識別する識別情報を受信する。そして、制御部Pは、受信した識別情報に基づいて、当該情報処理装置が、宅配ボックス10に予め登録されている情報処理装置、すなわち、情報処理装置20であるか否かを判定する。
【0081】
制御部Pは、宅配ボックス10に予め登録されている情報処理装置ではないと判定した場合(ステップS240-NO)、ステップS220に遷移し、筐体11内に物体が収納されているか否かを再び判定する。
【0082】
一方、制御部Pは、宅配ボックス10に予め登録されている情報処理装置(すなわち、情報処理装置20)であると判定した場合(ステップS240-YES)、扉Dと当該情報処理装置との近距離無線通信を確立させる(例えば、近距離無線通信がBLEによる通信である場合、当該情報処理装置とのペアリングを確立させる)。そして、制御部Pは、制御部Pのメモリー内を検索し、制御部Pのメモリー内に、通知済情報が存在するか否かを判定する(ステップS250)。
図7では、ステップS250の処理を、「通知済?」によって示している。ここで、宅配ボックス10に登録されている情報処理装置が複数存在する場合、当該メモリーに記憶される通知済情報は、複数の情報処理装置のそれぞれを識別する識別情報毎に、識別情報と対応付けられて記憶される。この一例では、宅配ボックス10に登録されている情報処理装置は、情報処理装置20のみである。このため、当該メモリーに記憶される通知済情報には、情報処理装置20を識別する識別情報は、対応付けられていない。
【0083】
制御部Pは、制御部Pのメモリー内に通知済情報が存在すると判定した場合(ステップS250-YES)、ステップS220に遷移し、筐体11内に物体が収納されているか否かを再び判定する。
【0084】
一方、制御部Pは、制御部Pのメモリー内に通知済情報が存在しないと判定した場合(ステップS250-NO)、通知部Aを介して、筐体11内に物体が収納されていることを通知する(ステップS260)。なお、ステップS260において、情報処理装置20がこの通知を行う場合、制御部Pは、筐体11内に物体が収納されていることを情報処理装置20に通知させる情報を情報処理装置20に送信し、情報処理装置20によって筐体11内に物体が収納されていることを、情報処理装置20のユーザーに通知する。また、ステップS260において、宅配ボックス10がこの通知を行う場合、制御部Pは、筐体11内に物体が収納されていることを宅配ボックス10に通知させる情報を宅配ボックス10に送信し、宅配ボックス10によって筐体11内に物体が収納されていることを、情報処理装置20のユーザーに通知する。また、ステップS260において、通知は、扉Dと情報処理装置20と宅配ボックス10とのうちの2つ以上によって行われる構成であってもよい。
【0085】
次に、制御部Pは、通知済情報を生成し、生成した通知済情報を、制御部Pのメモリーに記憶させる(ステップS270)。この際、制御部Pは、生成した通知済情報を宅配ボックス10へ送信し、宅配ボックス10にも通知済情報を記憶させる。これにより、情報処理システム1では、通知装置と宅配ボックス10との両方について、情報処理装置20へ繰り返し通知を行ってしまうことを抑制することができる。なお、ステップS270において、扉Dは、制御部Pが通知済情報を制御部Pのメモリーに保存するか否かをユーザーが設定可能な構成であってもよい。この場合、情報処理システム1では、ユーザーは、通知装置に情報処理装置20への繰り返しの通知を行わせることができる。そして、ユーザーによるこのような設定は、宅配ボックス10についても行うことが可能であってもよい。この場合、情報処理システム1では、ユーザーは、宅配ボックス10に情報処理装置20への繰り返しの通知を行わせることもできる。ステップS270の処理が行われた後、制御部Pは、ステップS220に遷移し、筐体11内に物体が収納されているか否かを再び判定する。
【0086】
以上のように、情報処理システム1では、通知装置は、収納情報を受信した後、通知装置と情報処理装置20との近距離無線通信が確立された場合、筐体11内に物体が収納されていることを通知する。これにより、情報処理システム1は、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができることに加えて、ユーザーが宅配ボックス10の近くを通らなかった場合であっても、筐体11内に物体が収納されていることを通知することができる。
【0087】
なお、ステップS220~ステップS280の処理は、扉Dに代えて、情報処理装置20が行う構成であってもよい。ただし、この場合、扉Dは、ステップS210において収納情報を受信した後、情報処理装置20との近距離無線通信が確立するまで待機する。また、この場合、情報処理装置20の制御部21は、例えば、ステップS220~ステップS270の処理を、ステップS220、ステップS230、ステップS240、ステップS250、ステップS260、ステップS270、ステップS280の順に代えて、ステップS230、ステップS240、ステップS220、ステップS250、ステップS260、ステップS270の順に処理を行う。そして、制御部21は、ステップS230において、情報処理装置20が近距離無線通信を行うことが可能な範囲内に、情報処理装置20と近距離無線通信可能な通知装置が存在するか否かを判定する。また、制御部21は、ステップS240において、当該範囲内に存在していた通知装置が、情報処理装置20に予め登録されている通知装置であるか否かを判定する。ここで、本明細書では、ある通知装置が情報処理装置20に予め登録されていることは、当該通知装置を識別する識別情報が記憶部22に予め記憶されていることを意味する。そして、制御部21は、当該範囲内に存在していた通知装置が、情報処理装置20に予め登録されている通知装置(すなわち、扉D)であると判定した場合、情報処理装置20と当該通知装置との近距離無線通信を確立させる(例えば、近距離無線通信がBLEによる通信である場合、当該通知装置とのペアリングを確立させる)。当該通知装置(すなわち、扉D)との近距離無線通信を確立させた後、制御部21は、ステップS220において、筐体11内に物体が収納されているか否かを示す情報を扉Dから受信し、受信した情報に基づいた判定を行う。また、制御部21は、ステップS250において、記憶部22に通知済情報が記憶されているか否かに応じた判定を行う。また、制御部21は、ステップS260において、表示部25を介して、筐体11内に物体が収納されていることを通知する。なお、制御部21は、筐体11内に物体が収納されていることを扉Dに通知させる情報を扉Dに送信し、扉Dによって筐体11内に物体が収納されていることを、情報処理装置20のユーザーに通知する構成であってもよい。また、制御部21は、ステップS270において、通知済情報を生成し、生成した通知済情報を記憶部22に記憶させる。
【0088】
ここで、
図8は、
図7に示したフローチャートの処理が行われる場合における情報処理装置20の動きの一例を示す図である。
図8に示した例では、まず、シチュエーションS11において、宅配業者が宅配物の物体を宅配ボックス10に入れて扉12を閉める。これにより、宅配ボックス10の制御部15は、電子錠13を制御し、扉12の施錠を行う。次に、当該例では、シチュエーションS12において、制御部15は、近距離無線通信によって領域R内に収納情報をブロードキャストし、領域R内に位置していた扉D、自動車Cの装置Nのそれぞれに収納情報を送信する。これにより、当該例では、シチュエーションS12において、ステップS210の処理が行われ、扉Dと装置Nのそれぞれは、収納情報を宅配ボックス10から受信する。次に、当該例では、シチュエーションS13において、情報処理装置20のユーザーが外出から建物Hへ戻り、情報処理装置20は、ユーザーとともに扉D、又は、装置Nに近づく。これにより、当該例では、シチュエーションS14において、
図7に示したフローチャートの処理のうち、ステップS230~ステップS250の処理が行われる。
図8では、シチュエーションS14として、ステップS240の処理が行われている状況が示されている。そして、ステップS240の判定の結果、情報処理装置20が宅配ボックス10に登録されている情報処理端末ではない場合、シチュエーションS15において、扉D及び装置Nのそれぞれは、何もしない。一方、ステップS240の判定の結果、情報処理装置20が宅配ボックス10に登録されている情報処理端末であった場合、シチュエーションS16において、ステップS260の処理が行われ、扉D又は装置Nが、筐体11内に物体が収納されていることを通知する。その結果、情報処理装置20のユーザーは、宅配ボックス10の中を外部から視認することなく、宅配ボックス10に物体が収納されていることを知ることができる。すなわち、情報処理システム1は、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができることに加えて、ユーザーが宅配ボックス10の近くを通らなかった場合であっても、筐体11内に物体が収納されていることを通知することができる。
【0089】
なお、このように情報処理システム1が1つ以上の通知装置を備えている場合、
図4に示したフローチャートのステップS150において、宅配ボックス10の制御部15は、1つ以上の通知装置のうちの少なくとも1つに通知を行わせる構成であってもよい。
【0090】
また、上記において説明した例では、宅配ボックス10、情報処理装置20、扉D、装置Nのそれぞれが行う処理は、情報処理システム1が筐体内に物体が収納されていることを通知する処理を阻害しない限りにおいて、如何様に組み合わせられてもよい。
【0091】
以上説明したように、実施形態に係る情報処理システム(上記において説明した例では、情報処理システム1)は、宅配ボックス(上記において説明した例では、宅配ボックス10)と、宅配ボックスと近距離無線通信(上記において説明した例では、BLEによる通信等)可能な情報処理装置(上記において説明した例では、情報処理装置20)とを備える情報処理システムであって、宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体(上記において説明した例では、筐体11)と、筐体に設けられ、筐体における物体の出し入れを可能にする扉(上記において説明した例では、扉12)と、扉の施錠又は扉の解錠を行う電子錠(上記において説明した例では、電子錠13)と、情報処理装置と近距離無線通信を行う通信部(上記において説明した例では、通信部14)と、電子錠を制御する制御部(上記において説明した例では、制御部15)と、を備え、筐体内に物体が収納されている場合において情報処理装置と宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、筐体内に物体が収納されていることを通知する。これにより、情報処理システムは、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。
【0092】
また、情報処理システムでは、宅配ボックスは、筐体内に物体が収納されていることを通知する第1通知部(上記において説明した例では、通知部16)を備え、制御部は、筐体内に物体が収納されている場合において情報処理装置と宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、筐体内に物体が収納されていることを第1通知部により通知する、構成が用いられてもよい。これにより、情報処理システムは、宅配ボックスを介した通知により、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。
【0093】
また、情報処理システムでは、第1通知部は、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって筐体内に物体が収納されていることを通知する、構成が用いられてもよい。これにより、情報処理システムは、ユーザーへの通知をユーザーに認識しやすくすることができる。
【0094】
また、情報処理システムでは、情報処理装置は、筐体内に物体が収納されていることを通知する第2通知部(上記において説明した例では、表示部25)を備え、情報処理装置は、筐体内に物体が収納されている場合において情報処理装置と宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、筐体内に物体が収納されていることを第2通知部により通知する、構成が用いられてもよい。これにより、情報処理システムは、情報処理装置を介した通知により、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。
【0095】
また、情報処理システムでは、第2通知部は、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって筐体内に物体が収納されていることを通知する、構成が用いられてもよい。これにより、情報処理システムは、ユーザーへの通知をユーザーに認識しやすくすることができる。
【0096】
また、情報処理システムでは、宅配ボックスを識別する第1識別情報(上記において説明した例では、宅配ボックス10を識別する識別情報)と、情報処理装置を識別する第2識別情報(上記において説明した例では、情報処理装置20を識別する識別情報)とを対応付ける対応情報が記憶される記憶部(上記において説明した例では、制御部15のメモリー、記憶部22等)を更に備え、情報処理装置又は制御部は、筐体内に物体が収納されている場合において情報処理装置と宅配ボックスとの近距離無線通信が確立すると、記憶部に記憶された対応情報に基づいて、情報処理装置と宅配ボックスとが対応付けられているか否かを判定し、情報処理システムは、情報処理装置と宅配ボックスとが対応付けられていると情報処理装置又は制御部が判定した場合、筐体内に物体が収納されていることを通知する、構成が用いられてもよい。これにより、情報処理システムは、ユーザー以外の人への誤通知の発生を抑制することができる。
【0097】
また、情報処理システムでは、筐体内に物体が収納されていることを通知可能な1つ以上の通知装置(上記において説明した例では、扉D、装置N)を更に備え、1つ以上の通知装置は、宅配ボックスと情報処理装置との両方と近距離無線通信可能であり、制御部は、筐体内に物体が収納されている場合において、1つ以上の通知装置のうちの第1通知装置が宅配ボックスを含む所定の領域(上記において説明した例では、領域R)内に位置していると、筐体内に物体が収納されていることを示す収納情報を近距離無線通信によって第1通知装置に送信し、第1通知装置は、収納情報を受信した後、第1通知装置と情報処理装置との近距離無線通信が確立された場合、筐体内に物体が収納されていることを通知する、構成が用いられてもよい。これにより、情報処理システムは、ユーザーが宅配ボックス10の近くを通らなかった場合であっても、筐体11内に物体が収納されていることを通知することができる。
【0098】
また、情報処理システムでは、1つ以上の通知装置には、宅配ボックスが設置されている建物の扉のうち宅配ボックスと情報処理装置との両方と近距離無線通信可能な扉(上記において説明した例では、扉D)が含まれている、構成が用いられてもよい。これにより、情報処理システムは、ユーザーが宅配ボックス10の近くを通らなかった場合であっても、ユーザーが建物に入ってしまう前に、筐体11内に物体が収納されていることを通知することができる。
【0099】
また、情報処理システムでは、1つ以上の通知装置には、自動車(上記において説明した例では、自動車C)が備える装置のうち宅配ボックスと情報処理装置との両方と近距離無線通信可能な装置(上記において説明した例では、装置N)が含まれている、構成が用いられてもよい。これにより、情報処理システムは、ユーザーが宅配ボックス10の近くを通らなかった場合であっても、ユーザーが建物に入ってしまう前に、筐体11内に物体が収納されていることを通知することができる。
【0100】
また、情報処理システムでは、1つ以上の通知装置は、光、音、振動のうちの少なくとも1つによって筐体内に物体が収納されていることを通知する、構成が用いられてもよい。これにより、情報処理システムは、ユーザーへの通知をユーザーに認識しやすくすることができる。
【0101】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0102】
また、以上に説明した装置(例えば、宅配ボックス10、情報処理装置20、扉D、装置N等)における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0103】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1…情報処理システム、10…宅配ボックス、11…筐体、12、D…扉、13、K…電子錠、14、24…通信部、15、21、P…制御部、16、A…通知部、20…情報処理装置、22…記憶部、23…入力受付部、25…表示部、C…自動車、H…建物、N…装置