(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041400
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A47G 29/30 20060101AFI20230316BHJP
A47G 29/122 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A47G29/30
A47G29/122 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148759
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 正樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 一樹
(72)【発明者】
【氏名】比嘉 駿
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100CA45
3K100CA48
3K100CA51
3K100CD03
(57)【要約】
【課題】防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる情報処理システムを提供すること。
【解決手段】情報処理システムは、宅配ボックスと、情報処理装置とを備える情報処理システムであって、宅配ボックスは、筐体と、扉と、電子錠と、第1鍵情報を記憶する第1記憶部と、第1通信部と、解錠を示す制御命令とともに第1鍵情報を受信した場合、電子錠に扉の解錠を行わせる第1制御部と、を備え、情報処理装置は、第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、第2通信部と、第3通信部と、第2制御部と、を備え、第2制御部は、扉の解錠に成功した場合、鍵情報をサーバから第2鍵情報として受信し、受信した第2鍵情報を第2記憶部に記憶させるとともに、第2鍵情報を宅配ボックスに送信し、第1制御部は、第2鍵情報を受信した場合、受信した第2鍵情報を新たな第1鍵情報として第1記憶部に記憶させる、情報処理システム。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅配ボックスと、前記宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムであって、
前記宅配ボックスは、
物体を収納可能な筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、
前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、
前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、
前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、
近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1制御部と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、
前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、
鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、
第2制御部と、
を備え、
前記第2制御部は、前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから第2鍵情報として受信し、受信した前記第2鍵情報を前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスに送信し、
前記第1制御部は、前記第2鍵情報を受信した場合、受信した前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記第1記憶部に記憶させる、
情報処理システム。
【請求項2】
前記第2制御部は、前記宅配ボックスに前記第2鍵情報を送信した後において、前記宅配ボックスが前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記第1記憶部に記憶させることに成功した場合、前記サーバから受信した前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記第2記憶部に記憶させてから、前記第2鍵情報を前記第2記憶部から削除する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記第2記憶部には、前記第2制御部が前記第2鍵情報を受信してから、前記宅配ボックスが前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記第1記憶部に記憶させることに成功するまでの間、前記第1鍵情報と前記第2鍵情報との2つの鍵情報が記憶されている、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した後、受信した前記第1鍵情報と、前記第1記憶部に記憶された前記第1鍵情報とが一致した場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
宅配ボックスと、前記宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置と、鍵情報を生成するサーバとを備える情報処理システムであって、
前記宅配ボックスは、
物体を収納可能な筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、
前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、
前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、
前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、
前記電子錠を制御する第1制御部と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、
前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、
所定の通信網を介して前記サーバと通信を行う第3通信部と、
第2制御部と、
を備え、
前記サーバは、鍵情報を生成し、
前記第1制御部は、前記近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせ、
前記第2制御部は、前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから第2鍵情報として受信し、受信した前記第2鍵情報を前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスに送信し、
前記第1制御部は、前記第2鍵情報を受信した場合、受信した前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記第1記憶部に記憶させる、
情報処理システム。
【請求項6】
宅配ボックスと、近距離無線通信可能な情報処理装置であって、
前記宅配ボックスは、
物体を収納可能な筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、
前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、
前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、
前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、
近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1制御部と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、
前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、
鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、
第2制御部と、
を備え、
前記第2制御部は、前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから第2鍵情報として受信し、受信した前記第2鍵情報を前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスに送信する、
情報処理装置。
【請求項7】
宅配ボックスと、近距離無線通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムの情報処理方法であって、
前記宅配ボックスは、
物体を収納可能な筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、
前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、
前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、
前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、
前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、
鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、
を備え、
前記情報処理方法は、
近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を前記宅配ボックスが受信した場合、前記宅配ボックスが前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1ステップと、
前記情報処理装置による前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記宅配ボックスが前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから前記情報処理装置が第2鍵情報として受信する第2ステップと、
前記第2ステップにより受信された前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記宅配ボックスに送信する第3ステップと、
前記第2鍵情報を前記宅配ボックスが受信した場合、受信した前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記宅配ボックスが前記第1記憶部に記憶させる第4ステップと、
を有する、
情報処理方法。
【請求項8】
宅配ボックスと、近距離無線通信可能な情報処理装置の情報処理方法であって、
前記宅配ボックスは、
物体を収納可能な筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、
前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、
前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、
前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、
近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1制御部と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、
前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、
鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、
を備え、
前記情報処理方法は、
前記情報処理装置による前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記宅配ボックスが前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから前記情報処理装置が第2鍵情報として受信する第1ステップと、
前記第1ステップにより受信された前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスに前記情報処理装置が送信する第2ステップと、
を有する、
情報処理方法。
【請求項9】
宅配ボックスと、近距離無線通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムのコンピューターに実行させるためのプログラムであって、
前記宅配ボックスは、
物体を収納可能な筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、
前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、
前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、
前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、
前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、
鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、
を備え、
前記プログラムは、
近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を前記宅配ボックスが受信した場合、前記宅配ボックスが前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1ステップと、
前記情報処理装置による前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記宅配ボックスが前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから前記情報処理装置が第2鍵情報として受信する第2ステップと、
前記第2ステップにより受信された前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記宅配ボックスに送信する第3ステップと、
前記第2鍵情報を前記宅配ボックスが受信した場合、受信した前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記宅配ボックスが前記第1記憶部に記憶させる第4ステップと、
を前記コンピューターに実行させるプログラム。
【請求項10】
宅配ボックスと、近距離無線通信可能な情報処理装置のコンピューターに実行させるためのプログラムであって、
前記宅配ボックスは、
物体を収納可能な筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、
前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、
前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、
前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、
近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1制御部と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、
前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、
鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、
を備え、
前記プログラムは、
前記情報処理装置による前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記宅配ボックスが前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから前記情報処理装置が第2鍵情報として受信する第1ステップと、
前記第1ステップにより受信された前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスに前記情報処理装置が送信する第2ステップと、
を前記コンピューターに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
宅配物等の物体を収納する宅配ボックスにおける物体の出し入れを管理する技術についての研究、開発が行われている。
【0003】
これに関し、宅配物の受け渡しを行う宅配ボックスであって、宅配物の出し入れ口となる開口を有する筐体と、筐体の開口を開閉する扉と、扉の施錠及び解錠を行う電子錠と、電子錠の施錠及び解錠を制御する制御部と、予め登録されているユーザーの携帯端末との間で双方向に通信して情報を送受信する無線通信部と、宅配ボックス内部の画像を撮影する撮像部と、ユーザーを特定するユーザー特定情報及び撮像部で撮影された画像を記憶する記憶部と、を備え、制御部は、携帯端末から送信されたユーザー特定情報を元にユーザーが宅配業者であると判別された際、宅配業者によって解錠操作が行われたときに撮像部で解錠前画像を撮影するとともに、宅配業者によって施錠操作が行われたときに撮像部で施錠後画像を撮影し、宅配業者の携帯端末に解錠前画像および施錠後画像を含む電子化された受取証明を送信するように無線通信部に指令する、宅配ボックスが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような宅配ボックスは、宅配ボックスに物体が収納されている収納状態で電子錠により扉が施錠されることと、宅配ボックスに物体が収納されていない非収納状態で電子錠により扉が施錠されることとがある。収納状態での扉の施錠は、宅配ボックスに収納された物体をユーザー以外の人が宅配ボックスから取り出してしまうことを抑制するために行われる。一方、非収納状態での扉の施錠は、宅配業者等のように宅配ボックスへ物体を収納する人以外の人により宅配ボックスに物体が収納されてしまうことを抑制するために行われる。
【0006】
ここで、特許文献1に記載されたような宅配ボックスは、扉の解錠において、解錠用の鍵情報(例えば、パスワード等)が用いられる。例えば、宅配ボックスの扉を解錠しようとする人(例えば、ユーザー、宅配業者等)は、情報処理装置により鍵情報を宅配ボックスに送信することにより、宅配ボックスの扉を解錠する。この場合、宅配ボックスは、情報処理装置から受信した鍵情報と、予め記憶している鍵情報とが一致した場合、電子錠に扉を解錠させる。
【0007】
しかしながら、鍵情報によって扉の解錠を行う宅配ボックスにおいて、解錠に用いる鍵情報を1つの鍵情報に固定してしまうと、鍵情報が第三者に伝わった場合、宅配ボックスの扉は、第三者により解錠されてしまうことがある。これは、非収納状態での扉の施錠よりも、収納状態での扉の施錠において防犯的に大きな問題となり得る。
【0008】
そこで、鍵情報によって扉の解錠を行う宅配ボックスは、収納状態において施錠を行う毎に、記憶している鍵情報を更新することが望ましい。このような鍵情報の更新には、インターネット等の通信網を介して接続されるサーバに鍵情報を発行させる仕組みが利用されることがある。この仕組みでは、当該サーバは、鍵情報の更新の要求を受け付ける毎に新たな鍵情報生成し、生成した鍵情報を、ユーザーが有する情報処理装置と宅配ボックスとの両方に送信する。ところが、この仕組みでは、当該宅配ボックスは、鍵情報の更新において、当該通信網を介した当該サーバとの接続が必要となるため、製造コストの増大、設置の自由度の低下等を引き起こしてしまうことがあった。また、この仕組みでは、これらの問題を回避することができたとしても、例えば、宅配業者が宅配ボックスに物体を収納する作業中に鍵情報の更新が行われる場合、当該宅配ボックスから物体を取り出すユーザーは、当該通信網を介して、ユーザーの有する情報処理装置を当該作業中において当該サーバと接続させなければならなくなる。一方、例えば、ユーザーが宅配ボックスから物体を取り出すために当該宅配ボックスの扉を解錠しようとする直前に鍵情報の更新が行われる場合、当該宅配ボックスから物体を取り出すユーザーは、ユーザーの有する情報処理装置と宅配ボックスとの両方の鍵情報の更新が完了するまでの間、宅配ボックスの前で待機する必要がある。このように、鍵情報によって扉の解錠を行う宅配ボックスは、鍵情報の更新によって、ユーザーの利便性を低下させてしまう場合があった。
【0009】
そこで本発明は、上記従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、宅配ボックスと、前記宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムであって、前記宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1制御部と、を備え、前記情報処理装置は、前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、第2制御部と、を備え、前記第2制御部は、前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから第2鍵情報として受信し、受信した前記第2鍵情報を前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスに送信し、前記第1制御部は、前記第2鍵情報を受信した場合、受信した前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記第1記憶部に記憶させる、情報処理システムである。
【0011】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記第2制御部は、前記宅配ボックスに前記第2鍵情報を送信した後において、前記宅配ボックスが前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記第1記憶部に記憶させることに成功した場合、前記サーバから受信した前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記第2記憶部に記憶させてから、前記第2鍵情報を前記第2記憶部から削除する、構成が用いられてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記第2記憶部には、前記第2制御部が前記第2鍵情報を受信してから、前記宅配ボックスが前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記第1記憶部に記憶させることに成功するまでの間、前記第1鍵情報と前記第2鍵情報との2つの鍵情報が記憶されている、構成が用いられてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様は、情報処理システムにおいて、前記第1制御部は、前記制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した後、受信した前記第1鍵情報と、前記第1記憶部に記憶された前記第1鍵情報とが一致した場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる、構成が用いられてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様は、宅配ボックスと、前記宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置と、鍵情報を生成するサーバとを備える情報処理システムであって、前記宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、前記電子錠を制御する第1制御部と、を備え、前記情報処理装置は、前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、所定の通信網を介して前記サーバと通信を行う第3通信部と、第2制御部と、を備え、前記サーバは、鍵情報を生成し、前記第1制御部は、前記近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した場合、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせ、前記第2制御部は、前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから第2鍵情報として受信し、受信した前記第2鍵情報を前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスに送信し、前記第1制御部は、前記第2鍵情報を受信した場合、受信した前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記第1記憶部に記憶させる、情報処理システムである。
【0015】
また、本発明の一態様は、宅配ボックスと、近距離無線通信可能な情報処理装置であって、前記宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した場合に、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1制御部と、を備え、前記情報処理装置は、前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、第2制御部と、を備え、前記第2制御部は、前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから第2鍵情報として受信し、受信した前記第2鍵情報を前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスに送信する、情報処理装置である。
【0016】
また、本発明の一態様は、宅配ボックスと、近距離無線通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムの情報処理方法であって、前記宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、を備え、前記情報処理装置は、前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、を備え、前記情報処理方法は、近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を前記宅配ボックスが受信した場合に、前記宅配ボックスが前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1ステップと、前記情報処理装置による前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記宅配ボックスが前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから前記情報処理装置が第2鍵情報として受信する第2ステップと、前記第2ステップにより受信された前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記宅配ボックスに送信する第3ステップと、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスが受信した場合、受信した前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記宅配ボックスが前記第1記憶部に記憶させる第4ステップと、を有する、情報処理方法である。
【0017】
また、本発明の一態様は、宅配ボックスと、近距離無線通信可能な情報処理装置の情報処理方法であって、前記宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した場合に、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1制御部と、を備え、前記情報処理装置は、前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、を備え、前記情報処理方法は、前記情報処理装置による前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記宅配ボックスが前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから前記情報処理装置が第2鍵情報として受信する第1ステップと、前記第1ステップにより受信された前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスに前記情報処理装置が送信する第2ステップと、を有する、情報処理方法である。
【0018】
また、本発明の一態様は、宅配ボックスと、近距離無線通信可能な情報処理装置とを備える情報処理システムのコンピューターに実行させるためのプログラムであって、前記宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、を備え、前記情報処理装置は、前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、を備え、前記プログラムは、近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を前記宅配ボックスが受信した場合に、前記宅配ボックスが前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1ステップと、前記情報処理装置による前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記宅配ボックスが前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから前記情報処理装置が第2鍵情報として受信する第2ステップと、前記第2ステップにより受信された前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記宅配ボックスに送信する第3ステップと、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスが受信した場合、受信した前記第2鍵情報を新たな前記第1鍵情報として前記宅配ボックスが前記第1記憶部に記憶させる第4ステップと、を前記コンピューターに実行させるプログラムである。
【0019】
また、本発明の一態様は、宅配ボックスと、近距離無線通信可能な情報処理装置のコンピューターに実行させるためのプログラムであって、前記宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体と、前記筐体に設けられ、前記筐体における物体の出し入れを可能にする扉と、前記扉の施錠又は前記扉の解錠を行う電子錠と、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する第1記憶部と、前記情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部と、近距離無線通信によって前記情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに前記第1鍵情報を受信した場合に、前記電子錠に前記扉の解錠を行わせる第1制御部と、を備え、前記情報処理装置は、前記第1鍵情報を記憶する第2記憶部と、前記宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部と、鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う第3通信部と、を備え、前記プログラムは、前記情報処理装置による前記宅配ボックスへの前記制御命令と前記第1鍵情報との送信によって前記宅配ボックスが前記扉の解錠に成功した場合、前記サーバが生成した鍵情報を前記サーバから前記情報処理装置が第2鍵情報として受信する第1ステップと、前記第1ステップにより受信された前記第2鍵情報を前記情報処理装置が前記第2記憶部に記憶させるとともに、前記第2鍵情報を前記宅配ボックスに前記情報処理装置が送信する第2ステップと、を前記コンピューターに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【
図2】宅配ボックス10の構成の一例を示す図である。
【
図3】情報処理装置20の構成の一例を示す図である。
【
図4】筐体11内に物体が収納されていることを通知する処理の流れの一例を示す図である。
【
図5】
図4に示したフローチャートの処理が行われる場合における情報処理装置20の動きの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態>
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、本明細書では、近距離無線通信は、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy(登録商標))による通信のことであるが、BLE以前の規格のBluetooth(登録商標)による通信のことであってもよく、他の規格のNFC(Near Field Communication)による通信のことであってもよく、各種の規格に応じた無線通信をインターネットを介さずに中継する中継装置(例えば、無線LAN(Local Area Network)のルーター等)を介した無線通信であってもよい。
【0023】
<情報処理装置の概要>
まず、実施形態に係る情報処理装置の概要について説明する。
【0024】
実施形態に係る情報処理システムは、宅配ボックスと、前記宅配ボックスと近距離無線通信可能な情報処理装置とを備える。宅配ボックスは、筐体と、扉と、電子錠と、第1記憶部と、第1通信部と、第1制御部を備える。筐体は、物体を収納可能である。扉は、筐体に設けられる。扉は、筐体における物体の出し入れを可能にする。電子錠は、扉の施錠又は扉の解錠を行う。第1記憶部は、電子錠に扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する。第1通信部は、情報処理装置と近距離無線通信を行う。第1制御部は、近距離無線通信によって情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに第1鍵情報を受信した場合、電子錠に扉の解錠を行わせる。情報処理装置は、第2記憶部と、第2通信部と、第3通信部と、第2制御部を備える。第2記憶部は、第1鍵情報を記憶する。第2通信部は、宅配ボックスと近距離無線通信を行う。第3通信部は、鍵情報を生成するサーバと所定の通信網を介して通信を行う。第2制御部は、宅配ボックスへの当該制御命令と第1鍵情報との送信によって扉の解錠に成功した場合、サーバが生成した鍵情報をサーバから第2鍵情報として受信する。第2制御部は、受信した第2鍵情報を第2記憶部に記憶させるとともに、第2鍵情報を宅配ボックスに送信する。そして、宅配ボックスの第1制御部は、第2鍵情報を受信した場合、受信した第2鍵情報を新たな第1鍵情報として第1記憶部に記憶させる。これにより、情報処理システムは、ユーザーが宅配ボックスから物体を取り出している間において、次回に宅配ボックスの扉の解錠に利用される第1鍵情報の更新を行うことができる。その結果、情報処理システムは、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。なお、情報処理システムは、宅配ボックスと、情報処理装置とともに、サーバを備える構成であってもよい。
【0025】
以下では、実施形態に係る情報処理システムの構成と、当該情報処理システムが行う処理のうち第1鍵情報を更新する処理について詳しく説明する。
【0026】
<情報処理システムの構成>
以下、実施形態に係る情報処理システムの一例として情報処理システム1を例に挙げて、実施形態に係る情報処理システムの構成について説明する。
【0027】
図1は、実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
【0028】
情報処理システム1は、宅配ボックス10と、情報処理装置20と、サーバ30を備える。なお、情報処理システム1は、サーバ30を備えない構成であってもよい。また、以下では、説明の便宜上、宅配ボックス10に物体が収納されている状態を、収納状態と称して説明し、宅配ボックスに物体が収納されていない状態を、非収納状態と称して説明する。
【0029】
情報処理システム1では、収納状態の宅配ボックス10の扉の施錠と当該扉の解錠とを管理する。情報処理システム1では、収納状態の宅配ボックス10において当該扉が施錠されている場合、情報処理システム1のユーザーは、情報処理装置20に予め記憶されている鍵情報を用いて、当該扉の解錠を行う。そして、情報処理システム1は、当該場合において当該鍵情報により当該扉の解錠に成功した場合、宅配ボックス10と情報処理装置20との両方に記憶されている鍵情報を、ユーザーが当該扉を次回に解錠するためにユーザーに利用させる鍵情報に更新する。これにより、情報処理システム1は、ユーザーが収納状態の宅配ボックス10から物体を取り出している間において、宅配ボックスの扉の次回の解錠に利用される鍵情報の更新を行うことができる。その結果、情報処理システム1は、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。なお、本実施形態において、鍵情報は、有効期限付きの鍵情報であり、例えば、ワンタイムパスワードであるが、これに限られるわけではない。有効期限は、例えば、数時間~数日であるが、これに限られるわけではない。
【0030】
宅配ボックス10は、物体を収納可能な容器である。宅配ボックス10は、各種の建物に設置されてもよく、建物と別に設置されてもよい。
図1に示した例では、宅配ボックス10は、建物Hに設置されている。建物Hは、宅配ボックス10が設置される建物の一例である。建物Hは、例えば、戸建ての住戸、マンション、アパート等であってもよく、郵便局等の公共施設の建物等であってもよく、他の建物であってもよい。また、
図1に示した例では、宅配ボックス10は、建物Hの外に設置されているが、これに代えて、建物Hの中に設置される構成であってもよい。
【0031】
ここで、
図2は、宅配ボックス10の構成の一例を示す図である。宅配ボックス10は、筐体11と、扉12と、電子錠13と、通信部14と、制御部15と、記憶部16を備える。なお、
図2では、図を簡略化するため、電子錠13と、通信部14と、制御部15と、記憶部16とのそれぞれが直方体形状の物体として示されている。
【0032】
筐体11は、宅配物等の物体を収納可能な容器である。
図2に示した例では、筐体11は、ほぼ直方体形状の容器であるが、これに限られるわけではない。筐体11は、中空の容器であり、且つ、物体を出し入れ可能な開口が表面に設けられた容器である。なお、本明細書において、筐体11内に物体が収納されていることは、宅配ボックス10内に物体が収納されていることと同義である。
【0033】
扉12は、前述の宅配ボックス10の扉の一例である。扉12は、筐体11に設けられる扉である。そして、扉12は、筐体11における物体の出し入れを可能にする扉である。このため、扉12は、筐体11の内部と、筐体11の外部とを繋ぐ開閉可能な扉である。換言すると、扉12は、筐体11の表面に設けられた開口の開閉を行う扉である。
【0034】
電子錠13は、制御部15からの制御に応じて、扉12の施錠又は扉12の解錠を行う。
【0035】
通信部14は、情報処理装置20と近距離無線通信を行う通信装置である。
【0036】
制御部15は、宅配ボックス10の全体を制御するプロセッサーであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部15は、記憶部16に格納された各種のプログラムを実行する。制御部15が備える各種の機能は、例えば、制御部15が、記憶部16に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。なお、それらの機能のうちの一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェア機能部により実現されてもよい。また、制御部15が有する機能のうちの一部又は全部は、CPUに代えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の他のプロセッサーにより実現されてもよい。
【0037】
制御部15は、例えば、収納状態において電子錠13により扉12が施錠されている場合、近距離無線通信によって宅配ボックス10と接続された情報処理装置(例えば、情報処理装置20)から解錠を示す制御命令とともに鍵情報を受信すると、電子錠13に扉12の解錠を行わせる。この際、制御部15は、当該制御命令とともに受信した鍵情報と、記憶部16に予め記憶された第1鍵情報とが一致するか否かを判定し、一致していると判定した場合、電子錠13に扉12の解錠を行わせる。ここで、第1鍵情報は、サーバ30により生成された鍵情報の一例であり、且つ、情報処理装置20が扉12の解錠に用いる鍵情報の一例である。なお、制御部15は、非収納状態において電子錠13により扉12が施錠されている場合、電子錠13に扉12の解錠を如何なる方法によって行わせてもよい。このため、本実施形態では、当該場合において制御部15が電子錠13に扉12の解錠を行わせる方法について、説明を省略する。また、第1鍵情報は、当該制御命令に含まれていてもよく、当該制御命令に含まれていなくてもよい。また、情報処理システム1では、制御部15は、非収納状態の宅配ボックス10の扉12を電子錠13に施錠させない構成であってもよい。
【0038】
また、制御部15は、例えば、情報処理装置20から第2鍵情報を受信した場合、受信した第2鍵情報を新たな第1鍵情報として記憶部16に記憶させる。すなわち、制御部15は、当該場合、記憶部16に記憶されている第1鍵情報を、新たな第1鍵情報に更新する(書き換える)。ここで、第2鍵情報は、宅配ボックス10の扉12の解錠に用いる鍵情報のうち、記憶部16に記憶された第1鍵情報の次に扉12の解錠に用いられる鍵情報として、サーバ30により生成された鍵情報のことである。すなわち、情報処理システム1では、宅配ボックス10は、扉12の解錠に用いられる第1鍵情報の更新が、情報処理装置20から第2鍵情報を受信することによって行われる。このため、宅配ボックス10は、インターネット等の通信網を介した通信を行う必要がない。このような事情から、本実施形態では、宅配ボックス10は、当該通信を行うための機能を有していない。これにより、情報処理システム1は、製造コストの増大、設置の自由度の低下等を抑制することができる。なお、宅配ボックス10は、当該機能を有していてもよい。しかしながら、この場合であっても、情報処理システム1では、宅配ボックス10は、当該通信によって第1鍵情報の更新を行わない。
【0039】
記憶部16は、電子錠13に扉12の解錠を行わせるために必要な鍵情報を第1鍵情報として記憶する。記憶部16は、例えば、SSD(Solid State Drive)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部16は、宅配ボックス10に内蔵されるものに代えて、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部16は、制御部15が処理する各種の情報、各種の画像、各種のプログラムを記憶する。記憶部16は、例えば、前述の第1鍵情報を記憶する。
【0040】
情報処理装置20は、例えば、多機能携帯電話端末(スマートフォン)、タブレットPC(Personal Computer)、携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートPC等であるが、これらに限られるわけではない。
【0041】
情報処理装置20は、専用のアプリケーションプログラム、インターネットブラウザを介して実行されるプログラム等を介して、宅配ボックス10と近距離無線通信を行う。また、情報処理装置20は、インターネット等の通信網を介して、サーバ30と通信を行う。ここで、
図3は、情報処理装置20の構成の一例を示す図である。情報処理装置20は、例えば、制御部21と、記憶部22と、入力受付部23と、通信部24と、表示部25を備える。なお、情報処理装置20は、制御部21と、記憶部22と、入力受付部23と、通信部24と、表示部25とに加えて、他の部材、他の装置等を備える構成であってもよい。
【0042】
制御部21は、情報処理装置20の全体を制御するプロセッサーであり、例えば、CPUである。制御部21は、記憶部22に格納された各種のプログラムを実行する。制御部21が備える各種の機能は、例えば、制御部21が、記憶部22に記憶された各種のプログラムを実行することにより実現される。なお、それらの機能のうちの一部又は全部は、LSIやASIC等のハードウェア機能部により実現されてもよい。また、制御部21が有する機能のうちの一部又は全部は、CPUに代えて、FPGA等の他のプロセッサーにより実現されてもよい。
【0043】
制御部21は、例えば、ユーザーから受け付けた操作に応じて、宅配ボックス10の扉12の解錠を示す制御命令を宅配ボックス10に送信する。この際、制御部21は、当該制御命令とともに、記憶部22に記憶された第1鍵情報を宅配ボックス10に送信する。また、制御部21は、宅配ボックス10への当該制御命令と第1鍵情報との送信によって扉12の解錠に成功した場合、サーバ30が新たに生成した鍵情報をサーバ30から、前述の第2鍵情報として受信する。制御部21は、受信した第2鍵情報を記憶部22に記憶させるとともに、第2鍵情報を宅配ボックス10に送信する。これにより、制御部21は、宅配ボックス10に、第2鍵情報を新たな第1鍵情報として記憶させる。換言すると、制御部21は、宅配ボックス10が記憶している第1鍵情報を新たな第1鍵情報に更新させる。このようにして、情報処理装置20は、ユーザーが収納状態の宅配ボックス10から物体を取り出している間において、宅配ボックス10と情報処理装置20との両方に記憶されている第1鍵情報の更新を行うことができる。換言すると、情報処理装置20は、ユーザーが収納状態の宅配ボックス10から物体を取り出している間において、宅配ボックス10の扉12の次回の解錠に用いられる第1鍵情報の更新を行うことができる。その結果、情報処理装置20は、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックス10の利便性を向上させることができる。
【0044】
記憶部22は、例えば、SSD、EEPROM、ROM、RAM等を含む。なお、記憶部22は、情報処理装置20に内蔵されるものに代えて、USB等のデジタル入出力ポート等によって接続された外付け型の記憶装置であってもよい。記憶部22は、情報処理装置20が処理する各種の情報、各種の画像、各種のプログラムを記憶する。記憶部22は、例えば、第1鍵情報を記憶する。
【0045】
入力受付部23は、例えば、表示部25と一体に構成されたタッチパネルである。なお、入力受付部23は、キーボード、マウス、タッチパッド等の他の入力装置であってもよい。
【0046】
通信部24は、主通信部241と、副通信部242を含む。
【0047】
主通信部241は、例えば、USB等のデジタル入出力ポート、イーサネット(登録商標)ポート等を含んで構成される。主通信部241は、サーバ30とインターネット等の通信網を介した通信を行う通信装置である。
【0048】
副通信部242は、宅配ボックス10と近距離無線通信を行う通信装置である。
【0049】
表示部25は、例えば、液晶ディスプレイパネル、有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイパネル等を備えた表示装置である。
【0050】
サーバ30は、例えば、サーバとして運用されているワークステーション、デスクトップPC等であるが、これらに限られるわけではない。サーバ30は、クラウドサーバ等と称されることもある。
【0051】
サーバ30は、情報処理装置20から受け付けた要求に応じて、鍵情報を生成する。サーバ30は、当該要求への応答として、生成した鍵情報を、インターネット等の通信網を介した通信によって情報処理装置20に送信する。サーバ30が鍵情報を生成する処理は、既知の方法であってもよく、これから開発される方法であってもよい。このため、本実施形態では、当該処理についての詳細な説明を省略する。なお、
図1に示した通信網Nは、情報処理装置20とサーバ30との通信を行う通信網の一例であり、例えば、インターネット、移動体通信網、専用通信網、LAN等であるが、これらに限られるわけではない。
【0052】
<第1鍵情報を更新する処理>
以下、第1鍵情報を更新する処理について説明する。
図4は、第1鍵情報を更新する処理の流れの一例を示す図である。なお、以下では、一例として、
図4に示したステップS110の処理が行われるよりも前のタイミングにおいて、筐体11内に物体が収納されており(すなわち、宅配ボックス10の状態が収納状態であり)、宅配ボックス10の扉12が電子錠13により施錠されている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、情報処理装置20の記憶部22に記憶された第1鍵情報が前述の制御命令とともに情報処理装置20から宅配ボックス10に送信されている場合について説明する。また、以下では、一例として、当該タイミングにおいて、宅配ボックス10の記憶部16に、情報処理装置20の記憶部22に記憶された第1鍵情報と同じ鍵情報が第1鍵情報として記憶されている場合について説明する。
【0053】
制御部21は、宅配ボックス10への制御命令と第1鍵情報との送信によって、宅配ボックス10の扉12の解錠に成功したか否かを判定する(ステップS110)。例えば、制御部21は、宅配ボックス10への制御命令と第1鍵情報との送信に対する宅配ボックス10からの応答として、扉12の解錠に成功したか否かを示す情報を受信する。制御部21は、受信した当該情報が、扉12の解錠に成功したことを示していた場合、扉12の解錠に成功したと判定する。一方、制御部21は、受信した当該情報が、扉12の解錠に失敗したことを示していた場合、扉12の解錠に失敗したと判定する。
【0054】
制御部21は、宅配ボックス10の扉12の解錠に失敗したと判定した場合(ステップS110-NO)、
図4に示したフローチャートの処理を終了する。この場合、ユーザーは、例えば、情報処理装置20を操作し、情報処理装置20から制御命令とともに第1鍵情報を宅配ボックス10へ再度送信する。
【0055】
一方、制御部21は、宅配ボックス10の扉12の解錠に成功したと判定した場合(ステップS110-YES)、記憶部22に第2鍵情報が記憶されているか否かを判定する(ステップS120)。
【0056】
制御部21は、記憶部22に第2鍵情報が記憶されていないと判定した場合(ステップS120-NO)、鍵情報を受信する要求をサーバ30に送信する。制御部21は、サーバ30へ送信した当該要求に対する応答として、サーバ30から鍵情報を第2鍵情報として受信する(ステップS130)。
【0057】
次に、制御部21は、ステップS130において受信した第2鍵情報を、記憶部22に記憶させる(ステップS140)。
【0058】
次に、制御部21は、ステップS140において記憶部22に記憶させた第2鍵情報を宅配ボックス10に送信し、宅配ボックス10に第1鍵情報の更新を行わせる(ステップS150)。これにより、宅配ボックス10の制御部15は、記憶部16に予め記憶されていた第1鍵情報を削除し、情報処理装置20から受信した第2鍵情報を、新たな第1鍵情報として記憶部16に記憶させる。すなわち、制御部15は、情報処理装置20から受信した第2鍵情報に基づいて、記憶部16に記憶されていた第1鍵情報を更新する。ここで、新たな第1鍵情報を記憶部16に記憶させることに成功した場合、制御部15は、情報処理装置20から受信した制御命令に対する応答として、新たな第1鍵情報を記憶部16に記憶させることに成功したことを示す情報を情報処理装置20に送信する。一方、新たな第1鍵情報を記憶部16に記憶させることに失敗した場合、制御部15は、情報処理装置20から受信した制御命令に対する応答として、新たな第1鍵情報を記憶部16に記憶させることに失敗したことを示す情報を情報処理装置20に送信する。
【0059】
次に、制御部21は、宅配ボックス10の第1鍵情報の更新に成功したか否かを判定する(ステップS160)。例えば、制御部21は、新たな第1鍵情報を記憶部16に記憶させることに成功したことを示す情報を宅配ボックス10から受信している場合、宅配ボックス10の第1鍵情報の更新に成功したと判定する。一方、例えば、制御部21は、新たな第1鍵情報を記憶部16に記憶させることに失敗したことを示す情報を宅配ボックス10から受信している場合、宅配ボックス10の第1鍵情報の更新に失敗したと判定する。
【0060】
制御部21は、宅配ボックス10の第1鍵情報の更新に失敗したと判定した場合(ステップS160-NO)、
図4に示したフローチャートの処理を終了する。このような失敗は、例えば、ステップS150における情報処理装置20から宅配ボックス10への第2鍵情報の送信の途中に、宅配ボックス10と情報処理装置20との近距離無線通信が切断されてしまうこと等により引き起こされる。この場合、宅配ボックス10の第1鍵情報が更新されていないため、情報処理装置20は、後述するステップS170及びステップS180の処理を行わず、情報処理装置20の第1鍵情報も更新されずに保持される。
【0061】
一方、制御部21は、宅配ボックス10の第1鍵情報の更新に成功したと判定した場合(ステップS160-YES)、記憶部22に記憶された第1鍵情報を記憶部22から削除し、記憶部22に記憶された第2鍵情報を新たな第1鍵情報として記憶する。すなわち、制御部21は、情報処理装置20の第1鍵情報を更新する(ステップS170)。
【0062】
次に、制御部21は、記憶部22に記憶された第2鍵情報を記憶部22から削除し(ステップS180)、
図4に示したフローチャートの処理を終了する。ステップS180において記憶部22から第2鍵情報を削除するため、情報処理装置20では、記憶部22には、制御部21が第2鍵情報を受信してから、宅配ボックス10が第2鍵情報を新たな第1鍵情報として記憶部16に記憶させることに成功するまでの間、第1鍵情報と第2鍵情報との2つの鍵情報が記憶されている。これにより、情報処理装置20は、第1鍵情報の更新を行う前に第2鍵情報が失われてしまうことを抑制することができる。
【0063】
以上のように、情報処理装置20は、宅配ボックス10への制御命令と第1鍵情報との送信によって扉12の解錠に成功した場合、サーバ30が生成した鍵情報をサーバ30から第2鍵情報として受信し、受信した第2鍵情報を記憶部22に記憶させるとともに、第2鍵情報を宅配ボックス10に送信し、宅配ボックス10の第1鍵情報を宅配ボックス10に更新させる。これにより、情報処理装置20は、ユーザーが宅配ボックス10から物体を取り出している間において、次回に宅配ボックス10の扉12の解錠に利用される第1鍵情報の更新を行うことができる。その結果、情報処理装置20は、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。
【0064】
ここで、
図5は、
図4に示したフローチャートの処理が行われる場合における情報処理装置20の動きの一例を示す図である。
図5において矢印により示した期間PD1は、収納状態の宅配ボックス10の扉12が施錠されている期間の一例を示す。従って、期間PD1において、宅配ボックス10の状態は、収納状態である。また、
図5において矢印により示した期間PD2は、期間PD1が終わるタイミング、すなわち、収納状態の宅配ボックス10の扉12が解錠されたタイミングから再び施錠されたタイミングまでの期間の一例を示す。また、
図5において矢印により示した期間PD3は、期間PD2が終わった後の期間、すなわち、物体が取り出された後の宅配ボックス10の扉12が再び施錠されたタイミングから後の期間の一例を示す。従って、期間PD3において、宅配ボックス10の状態は、非収納状態である。
【0065】
図5に示した例では、まず、シチュエーションS1は、期間PD1において、収納状態の宅配ボックス10から物体を取り出すため、ユーザーが情報処理装置20を持って宅配ボックス10へ近づいている状況の一例を示している。ユーザーは、例えば、シチュエーションS1において、宅配ボックス10と情報処理装置20との近距離無線通信を確立させてから情報処理装置20を操作し、制御命令と第1鍵情報との宅配ボックス10への送信を情報処理装置20に行わせる。これにより、宅配ボックス10は、扉12を解錠させる。そして、扉12が解錠した場合、且つ、情報処理装置20の記憶部22に第2鍵情報が記憶されていなかった場合、情報処理装置20は、期間PD1が終わったタイミング以降において、ステップS130~ステップS140の処理を実行し、サーバ30から第2鍵情報を受信し、受信した第2鍵情報を記憶部22に記憶させる。
【0066】
次に、シチュエーションS2は、期間PD2において、ユーザーが宅配ボックス10から物体を取り出そうとしている状況の一例を示す。ユーザーが宅配ボックス10から物体を取り出そうとしている間において、すなわち、期間PD2において、情報処理装置20は、ステップS150~ステップS180の処理を実行する。これにより、情報処理装置20は、期間PD2において、宅配ボックス10と情報処理装置20との両方の第1鍵情報を更新し、その後、宅配ボックス10と情報処理装置20との両方における第2鍵情報を削除する。これにより、情報処理装置20は、ユーザーが宅配ボックス10から物体を取り出している間において、次回に宅配ボックス10の扉12の解錠に利用される第1鍵情報の更新を行うことができる。すなわち、情報処理装置20は、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。
【0067】
なお、宅配ボックス10は、収納状態の宅配ボックス10の扉12を解錠した後、扉12が閉められた場合、宅配ボックス10から物体が取り出されたと判定し、電子錠13に扉12を施錠させる構成であってもよい。また、宅配ボックス10は、収納状態の宅配ボックス10の扉12を解錠した後、宅配ボックス10から物体を取り出したことを示す情報を情報処理装置20から受信した場合、宅配ボックス10から物体が取り出されたと判定し、電子錠13に扉12を施錠させる構成であってもよい。また、宅配ボックス10は、他の方法により、宅配ボックス10から物体が取り出されたか否かを判定し、宅配ボックス10から物体が取り出されたと判定した場合、電子錠13に扉12を施錠させる構成であってもよい。また、非収納状態の宅配ボックス10の扉12が施錠されている場合、宅配ボックス10は、予め決められた鍵情報によって扉12を解錠する構成であってもよく、他の方法により解錠する構成であってもよい。また、前述した通り、宅配ボックス10は、収納状態の宅配ボックス10の扉12を解錠した後、宅配業者等により物体が収納されるまで、扉12を施錠しない構成であってもよい。
【0068】
そして、シチュエーションS3は、物体が取り出された後において宅配ボックス10の扉12が施錠されている状況の一例を示す。宅配ボックス10は、期間PD3において、宅配業者等により扉12が解錠されるまでの間、非収納状態のまま待機する。
【0069】
以上説明したように、実施形態に係る情報処理システム(上記において説明した例では、情報処理システム1)は、宅配ボックス(上記において説明した例では、宅配ボックス10)と、宅配ボックスと近距離無線通信(上記において説明した例では、BLE等)可能な情報処理装置(上記において説明した例では、情報処理装置20)とを備える情報処理システムであって、宅配ボックスは、物体を収納可能な筐体(上記において説明した例では、筐体11)と、筐体に設けられ、筐体における物体の出し入れを可能にする扉(上記において説明した例では、扉12)と、扉の施錠又は扉の解錠を行う電子錠(上記において説明した例では、電子錠13)と、電子錠に扉の解錠を行わせるために必要な鍵情報(上記において説明した例では、ワンタイムパスワード等)を第1鍵情報として記憶する第1記憶部(上記において説明した例では、記憶部16)と、情報処理装置と近距離無線通信を行う第1通信部(上記において説明した例では、通信部14)と、近距離無線通信によって情報処理装置から解錠を示す制御命令とともに第1鍵情報を受信した場合、電子錠に扉の解錠を行わせる第1制御部(上記において説明した例では、制御部15)と、を備え、情報処理装置は、第1鍵情報を記憶する第2記憶部(上記において説明した例では、記憶部22)と、宅配ボックスと近距離無線通信を行う第2通信部(上記において説明した例では、副通信部242)と、鍵情報を生成するサーバ(上記において説明した例では、サーバ30)と所定の通信網(上記において説明した例では、インターネット等)を介して通信を行う第3通信部(上記において説明した例では、主通信部241)と、第2制御部(上記において説明した例では、制御部21)と、を備え、第2制御部は、宅配ボックスへの制御命令と第1鍵情報との送信によって扉の解錠に成功した場合、サーバが生成した鍵情報をサーバから第2鍵情報として受信し、受信した第2鍵情報を第2記憶部に記憶させるとともに、第2鍵情報を宅配ボックスに送信し、第1制御部は、第2鍵情報を受信した場合、受信した第2鍵情報を新たな第1鍵情報として第1記憶部に記憶させる。これにより、情報処理システムは、防犯性能が低下してしまうことを抑制しつつ、宅配ボックスの利便性を向上させることができる。
【0070】
また、情報処理システムでは、第2制御部は、宅配ボックスに第2鍵情報を送信した後において、宅配ボックスが第2鍵情報を新たな第1鍵情報として第1記憶部に記憶させることに成功した場合、サーバから受信した第2鍵情報を新たな第1鍵情報として第2記憶部に記憶させてから、第2鍵情報を第2記憶部から削除する、構成が用いられてもよい。これにより、情報処理システムは、宅配ボックスの第1鍵情報が更新されていないにもかかわらず、情報処理装置の第1鍵情報を更新してしまうことによって、宅配ボックスの扉の解錠ができなくなってしまうことを抑制することができる。
【0071】
また、情報処理システムでは、第2記憶部には、第2制御部が第2鍵情報を受信してから、宅配ボックスが第2鍵情報を新たな第1鍵情報として第1記憶部に記憶させることに成功するまでの間、第1鍵情報と第2鍵情報との2つの鍵情報が記憶されている、構成が用いられてもよい。これにより、情報処理システムは、第1鍵情報の更新を行う前に第2鍵情報が失われてしまうことを抑制することができる。
【0072】
また、情報処理システムでは、第1制御部は、制御命令とともに第1鍵情報を受信した後、受信した第1鍵情報と、第1記憶部に記憶された第1鍵情報とが一致した場合、電子錠に前記扉の解錠を行わせる、構成が用いられてもよい。
【0073】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【0074】
また、以上に説明した装置(例えば、宅配ボックス10、情報処理装置20、サーバ30等)における任意の構成部の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disk)-ROM等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリー(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0075】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
1…情報処理システム、10…宅配ボックス、11…筐体、12…扉、13…電子錠、14…通信部、15…制御部、16…記憶部、20…情報処理装置、21…制御部、22…記憶部、23…入力受付部、24…通信部、25…表示部、30…サーバ、241…主通信部、242…副通信部、H…建物、N…通信網