(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041402
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】ロータリー回収装置
(51)【国際特許分類】
B65G 17/12 20060101AFI20230316BHJP
【FI】
B65G17/12 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148761
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】592028031
【氏名又は名称】日本省力機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154092
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 一宏
(72)【発明者】
【氏名】辰村 周平
(72)【発明者】
【氏名】辰村 創平
【テーマコード(参考)】
3F034
【Fターム(参考)】
3F034DA03
3F034DC07
3F034DE01
3F034DE03
3F034DE07
(57)【要約】
【課題】ケーシングの底部に溜った粉体又は塊等を容易に回収し得るロータリー回収装置を提供する。
【解決手段】底板を有するケーシング1と、ケーシング内の上部の一端に設けられた上部駆動軸2と、上部駆動スプロケット3と、ケーシング内の上部の他端に設けられた上部従動軸4と、上部従動スプロケット5と、ケーシング内の下部に間隔をあけて設けられた2つの下部従動軸6、7と、下部スプロケット8、9と、上部駆動スプロケット3、上部従動スプロケット5及び2つの下部スプロケット8、9を連接し回転を伝達する左右のチェーン10、11と、左右のチェーン10、11に取り付けられた複数のバケット型スクレーパ12を有するロータリー回収装置であって、バケット型スクレーパ12がケーシング1の底板に溜った粉体又は塊13を掻き取り、保持し、シュート14に落下させるロータリー回収装置とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板を有するケーシングと、
前記ケーシング内の上部の一端に設けられた上部駆動軸と、前記上部駆動軸の回転に合わせて回転する上部駆動スプロケットと、
前記ケーシング内の上部の他端に設けられた上部従動軸と、前記上部従動軸の回転に合わせて回転する上部従動スプロケットと、
前記ケーシング内の下部に間隔をあけて設けられた2つの下部従動軸と、前記下部従動軸の回転に合わせて回転する2つの下部スプロケットと、
前記上部駆動スプロケット、前記上部従動スプロケット及び前記2つの下部スプロケットを連接し回転を伝達する左右のチェーンと、
前記左右のチェーンに取り付けられた複数のバケット型スクレーパを有するロータリー回収装置であって、
前記バケット型スクレーパが前記ケーシングの底板に溜った粉体又は塊を前記2つの下部従動軸の間で前記ケーシングの底板に沿って掻き取り、保持し、前記バケット型スクレーパが前記上部駆動スプロケットの上部に位置している時に粉体又は塊をシュートに落下させることを特徴とするロータリー回収装置。
【請求項2】
前記上部従動スプロケットの直径と前記2つの下部スプロケットの直径とを同径とし、前記上部駆動スプロケットの直径を前記上部従動スプロケットの直径の2倍から3倍としたことを特徴とする請求項1記載のロータリー回収装置。
【請求項3】
前記ケーシング内の上部の一端に設けられた上部駆動軸と、前記ケーシング内の上部の他端に設けられた上部従動軸との間に、粉体又は塊の落下を防止する底板を設けていないことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のロータリー回収装置。
【請求項4】
底板を有するケーシングと、
前記ケーシング内の中央上部に設けられた上部駆動軸と、前記上部駆動軸の回転に合わせて回転する上部駆動スプロケットと、
前記ケーシング内の下部に間隔をあけて設けられた2つの下部従動軸と、前記下部従動軸の回転に合わせて回転する2つの下部スプロケットと、
前記上部駆動スプロケット及び前記2つの下部スプロケットを連接し回転を伝達する左右のチェーンと、
前記左右のチェーンに取り付けられた複数のバケット型スクレーパを有するロータリー回収装置であって、
前記バケット型スクレーパが前記ケーシングの底板に溜った粉体又は塊を前記2つの下部従動軸の間で前記ケーシングの底板に沿って掻き取り、保持し、前記バケット型スクレーパが前記上部駆動スプロケットの上部に位置している時に粉体又は塊をシュートに落下させることを特徴とするロータリー回収装置。
【請求項5】
前記駆動スプロケットの直径を前記2つの下部スプロケットの直径の3倍から6倍としたことを特徴とする請求項4記載のロータリー回収装置。
【請求項6】
前記左右のチェーンが前記ケーシング内の下部に設けられた下部スプロケットに当接して回動しているときに、前記左右のチェーンに取り付けられた前記バケット型スクレーパが前記ケーシングの下部側面縁に沿って隙間なく粉体又は塊を掻き取り、保持することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のロータリー回収装置。
【請求項7】
前記上部駆動軸の回転を最適な回転数、回転を停止・再開、間欠的にすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のロータリー回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリー回収装置に関するものである。エプロンコンベヤその他のコンベヤにおける搬送において、往路、復路に輸送物の一部が本来の落下位置で落ちずに、コンベヤのケーシングの底部に粉体又は塊として落下し、溜ってしまうことが多々あった。エプロンコンベヤの場合、エプロンの表面に粉体又は塊が付着して、ヘッドにて排出されず、帰り側にわずかな振動等で粉体又は塊が落下する場合が多かった。
【0002】
従来、コンベヤのケーシングの底部に溜った粉体又は塊等を除去するためには、稼働しているコンベヤの運転を一旦停止して、コンベヤの側面からケーシングの底部を掃除する必要があり、非効率的であった。
また、ケーシングによって囲まれているコンベヤの場合には、コンベヤに付属する掃除用の窓などから粉体や塊を掻き取り、掃除する必要があった。
【0003】
さらに、掃除中にコンベヤを停止することになり、搬送物の搬送効率が下がり、焼却物の処理にも支障を生じる場合があった。特に、コンベヤを停止できない場合には、危険を伴う作業となり、問題であった。
【0004】
そこで、本発明では、コンベヤのケーシングの底部に溜った粉体又は塊等を容易に回収し、本来のコンベヤに戻すことができるロータリー回収装置を提供するものである。
【背景技術】
【0005】
従来、コンベヤにおいては、焼却物の一部や粉体又は塊がケーシングの底部にある程度蓄積したときに、定期的にコンベヤの運動を停止して掃除することが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-315537 バケットエレベータ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ケーシングの底部に落下した搬送物の一部や粉体又は塊等を回収する装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1発明では、底板を有するケーシングと、前記ケーシング内の上部の一端に設けられた上部駆動軸と、前記上部駆動軸の回転に合わせて回転する上部駆動スプロケットと、前記ケーシング内の上部の他端に設けられた上部従動軸と、前記上部従動軸の回転に合わせて回転する上部従動スプロケットと、前記ケーシング内の下部に間隔をあけて設けられた2つの下部従動軸と、前記下部従動軸の回転に合わせて回転する2つの下部スプロケットと、前記上部駆動スプロケット、前記上部従動スプロケット及び前記2つの下部スプロケットを連接し回転を伝達する左右のチェーンと、前記左右のチェーンに取り付けられた複数のバケット型スクレーパを有するロータリー回収装置であって、前記バケット型スクレーパが前記ケーシングの底板に溜った粉体又は塊を前記2つの下部従動軸の間で前記ケーシングの底板に沿って掻き取り、保持し、前記バケット型スクレーパが前記上部駆動スプロケットの上部に位置している時に粉体又は塊をシュートに落下させるロータリー回収装置とした。
【0009】
本発明の第2発明では、前記上部従動スプロケットの直径と前記2つの下部スプロケットの直径とを同径とし、前記駆動スプロケットの直径を前記上部従動スプロケットの直径の2倍から3倍としたロータリー回収装置とした。
【0010】
本発明の第3発明では、前記ケーシング内の上部の一端に設けられた上部駆動軸と、前記ケーシング内の上部の他端に設けられた上部従動軸との間に、粉体又は塊の落下を防止する底板を設けていないロータリー回収装置とした。
【0011】
本発明の第4発明では、底板を有するケーシングと、前記ケーシング内の中央上部に設けられた上部駆動軸と、前記上部駆動軸の回転に合わせて回転する上部駆動スプロケットと、前記ケーシング内の下部に間隔をあけて設けられた2つの下部従動軸と、前記下部従動軸の回転に合わせて回転する2つの下部スプロケットと、前記上部駆動スプロケット及び前記2つの下部スプロケットを連接し回転を伝達する左右のチェーンと、前記左右のチェーンに取り付けられた複数のバケット型スクレーパを有するロータリー回収装置であって、前記バケット型スクレーパが前記ケーシングの底板に溜った粉体又は塊を前記2つの下部従動軸の間で前記ケーシングの底板に沿って掻き取り、保持し、前記バケット型スクレーパが前記上部駆動スプロケットの上部に位置している時に粉体又は塊をシュートに落下させるロータリー回収装置とした。
【0012】
本発明の第5発明では、前記駆動スプロケットの直径を前記2つの下部スプロケットの直径の3倍から6倍としたロータリー回収装置とした。
【0013】
本発明の第6発明では、前記左右のチェーンが前記ケーシング内の下部に設けられた下部スプロケットに当接して回動しているときに、前記左右のチェーンに取り付けられた前記バケット型スクレーパが前記ケーシングの下部側面縁に沿って隙間なく粉体又は塊を掻き取り、保持するロータリー回収装置とした。
【0014】
本発明の第7発明では、前記上部駆動軸の回転を最適な回転数、回転を停止・再開、間欠的にするロータリー回収装置とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、コンベヤの底部に溜った搬送物の一部や粉体又は塊をバケット型スクレーパで掻き取り、回収し、元のコンベヤに戻すことができるようになる。
コンベヤの運転を停止させたり、コンベヤを分解して掃除する手間が省け、コンベヤの運転を止めずに効率的に掃除ができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】本発明のロータリー回収装置の下部一部拡大説明図
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施例を示す。
【実施例0018】
図1、
図2及び
図3は、本発明のロータリー回収装置についての説明図である。本発明のロータリー回収装置は、スクレーパコンベヤ、フライトコンベヤ、エプロンコンベヤ、バケットエレベーター、スラットコンベヤ等の左右2条のコンベヤチェーンによって駆動するコンベヤに取り付けて適用することができる。
【0019】
図1において、1は、ケーシングであり、本装置の全体を構成する。2は、上部駆動軸であり、ケーシング1内の上部の一端に設けている。3は、上部駆動スプロケットであり、前記上部駆動軸2の回転に合わせて回転するようになっている。上部駆動軸2の回転は、サーボモーター等により制御される。
【0020】
また、上部駆動軸2の中心軸をなくし、両側から駆動モーターを取り付けることもできる。この場合、バケット型スクレーパによって大きな塊が搬送されてきた場合であっても、支障なく排出することができるようになる。
【0021】
4は、上部従動軸であり、ケーシング1内の上部の他端に設けている。この上部従動軸4は、テークアップにより、上部の他端から下げて設置することができる。テークアップすることにより、チェーンの長さを調整できると共に、チェーンに掛かる張力を調整することができる。
【0022】
5は、上部従動スプロケットであり、前記上部従動軸4の回転に合わせて回転するようになっている。
このように、上部駆動軸2と上部従動軸4とを上部の一端と他端に間隔をあけて設けることにより、特に大きな幅を持つコンベヤにも対応することができる。
【0023】
また、前記駆動スプロケット3の直径を前記上部従動スプロケット5の直径の2倍から3倍とすることで、前記駆動スプロケット3のトルクを大きくすることができる。また、前記駆動スプロケット3の直径を大きくすることによって、スプロケットに沿うチェーンが緩やかな曲線を描くことから、大きな搬送物も支障なく滑らかな排出を行うことができるようになっている。
【0024】
また、前記ケーシング内の上部の一端に設けられた上部駆動軸と、前記ケーシング内の上部の他端に設けられた上部従動軸との間に、粉体又は塊の落下を防止する底板を設けていないことにより、装置全体をシンプルにすることができる。また、底板を設けていないため、スクレーパが底板に擦れて摩耗することもなく、点検や取り換えが不要となる。また、擦れることで生じる抵抗もないため、省エネにもつながる。
【0025】
6、7は、下部従動軸であり、ケーシング1内の下部に間隔をあけて設けている。間隔は、コンベヤの大きさ等により任意に変更することができる。8、9は、下部スプロケットであり、前記下部従動軸6、7の回転に合わせて回転するようになっている。
【0026】
また、前記上部従動スプロケット5の直径と前記2つの下部スプロケット8、9の直径とを同径とすることで、チェーンの動きを良くすることができる。
【0027】
10、11は、チェーンで、前記上部駆動スプロケット3、前記上部従動スプロケット5及び前記2つの下部スプロケット8、9を連接して回転を伝達するようになっている。
【0028】
12は、バケット型スクレーパで、前記チェーン10、11に等間隔で設けられている。尚、
図1においては、等間隔に設けるバケット型スクレーパ12の一部のみを示している。このバケット型スクレーパ12は、前記ケーシング1の底板に溜った粉体又は塊13を前記2つの下部従動軸6、7の間で前記ケーシング1の底板に沿って掻き取り、保持することができるようになっている。
【0029】
図3は、ケーシング1の下部及び下部スプロケット9の周辺の一部を拡大して示した図である。具体的には、バケット型スクレーパ12がケーシング1の下部側面縁に沿って、動く軌跡を示している。
バケット型スクレーパ12が、下部スプロケット9に沿って動くとき、ケーシング1の下部側面縁に沿って隙間なく動くようにケーシング1を成型する。
【0030】
このように成型することにより、前記左右のチェーン10、11が前記ケーシング1内の下部に設けられた下部スプロケット9に当接して回動しているときに、前記左右のチェーン10、11に取り付けられた前記バケット型スクレーパ12が前記ケーシングの下部側面縁に沿って隙間なく粉体又は塊13を掻き取り、保持することができるようになっている。
【0031】
一方、バケット型スクレーパ12をケーシング1の下部側面縁との間に隙間を設けて設計した場合にあっては、粉体が下部側面縁に溜まることとなるが、この溜まった粉体が後から掻き取る粉体又は塊のガイドの役目をする場合もある。また、大きな塊が来た場合に、ケーシング1とバケット型スクレーパ12との間の緩衝材の役割を果たしスムーズな掻き取りができることもある。
バケット型スクレーパ12による粉体又は塊の掻き取りは、ケーシング12の底部に溜まったものをバケット型スクレーパ12の先端が掬い集めるように掻き取る。
【0032】
バケット型スクレーパ12で掻き取り、保持した粉体又は塊13は、上部駆動スプロケットの上部に位置している時に、シュート14に落下させることができるようになっている。粉体又は塊13には、針金、空き缶、アルミ缶、鉄くず、アルミが熔けて大きく成長した塊、一斗缶(18リットル缶)、小石など焼却出来ずに残ったものが含まれている場合がある。
【0033】
また、粉体13として、水分を含まない乾燥灰、水分を含む湿灰が含まれる場合がある。
バケット型スクレーパ12は、等間隔でチェーン10、11に取り付けられている。また、チェーン10、11が、下部従動軸6、7に沿って回転している時には、バケット型スクレーパ12がケーシング1の下部側面縁に沿って移動し、粉体等を掻き取り、保持することができる。
【0034】
15は、エプロンコンベヤである。その他のスクレーパコンベヤ、フライトコンベヤ、バケットエレベーター、スラットコンベヤ等の左右2条のコンベヤチェーンによって駆動するコンベヤに使用することができる。
16は、ケーシングであり、ロータリー回収装置の全体を構成する。17は、上部駆動軸であり、ケーシング16内の中央上部に設けている。上部駆動軸17をケーシング16内の中央上部に設けることにより、下部従動軸とのバランスが良くなり、チェーンの回転もスムーズになる。このように、上部駆動軸17を中央上部に設ける場合は、比較的小さな幅を持つコンベヤに対応することができるものである。
18は、上部駆動スプロケットであり、前記上部駆動軸17の回転に合わせて回転するようになっている。
19、20は、下部従動軸であり、ケーシング16内の下部に間隔をあけて設けている。21、22は、下部スプロケットであり、前記下部従動軸19、20の回転に合わせて回転するようになっている。23、24は、チェーンで、前記上部駆動スプロケット18及び前記2つの下部スプロケット21、22を連接して回転を伝達するようになっている。
25は、バケット型スクレーパで、前記ケーシング16の底板に溜った粉体又は塊26を前記2つの下部従動軸19、20の間で前記ケーシング16の底板に沿って掻き取り、保持することができるようになっている。
28は、エプロンコンベヤである。その他のスクレーパコンベヤ、フライトコンベヤ、バケットエレベーター、スラットコンベヤ等の左右2条のコンベヤチェーンによって駆動するコンベヤに使用することができる。