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特開2023-41408ループシール動作方法、及び、ループシール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041408
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】ループシール動作方法、及び、ループシール
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/26 20060101AFI20230316BHJP
   B01J 8/00 20060101ALI20230316BHJP
   F23C 15/00 20060101ALI20230316BHJP
   F23C 10/02 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B01J8/26
B01J8/00 A
F23C15/00
F23C10/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148771
(22)【出願日】2021-09-13
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトのアドレス https://gakujutsushukai.jp/fb26-2020 ウェブサイトの掲載日 令和2年11月20日 第26回流動化・粒子プロセッシングシンポジウム(第15回反応装置・プロセスシンポジウム)講演論文集、第82-84頁、化学工学会粒子・流体プロセス部会流動層分科会 発行日 令和2年11月26日 第26回流動化・粒子プロセッシングシンポジウム岐阜大会 ZOOMウェビナーによるオンライン開催 ミーティングID:845 3082 4732 パスコード:743227 開催日 令和2年11月27日
(71)【出願人】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 玲治
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 弘樹
【テーマコード(参考)】
3K064
4G070
【Fターム(参考)】
3K064AA18
3K064AB03
3K064AC01
3K064AC07
3K064AE01
3K064BA17
3K064BB05
4G070AA01
4G070AB06
4G070AB10
4G070BB33
4G070CA06
4G070CA13
4G070CB02
4G070CC20
4G070DA11
(57)【要約】
【課題】循環流動層において、層高差が変動しても粒子循環速度の変動を低減する。
【解決手段】第1流動層と第2流動層との間で粒子が移動する循環流動装置の動作方法であって、前記第1流動層と前記第2流動層との間に設けられるループシールに、外部から空気を導入しないガス供給部により振動空気を導入する、循環流動装置の動作方法とする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流動層と第2流動層との間で粒子が移動する循環流動装置の動作方法であって、
前記第1流動層と前記第2流動層との間に設けられるループシールに、外部から空気を導入しないガス供給部により振動空気を導入する、
循環流動装置の動作方法。
【請求項2】
前記振動空気の周波数は、4Hz以上10Hz以下である、
請求項1に記載の循環流動装置の動作方法。
【請求項3】
第1流動層と第2流動層との間で粒子が移動する循環流動装置の前記第1流動層と前記第2流動層との間に設けられるループシールであって、
前記第1流動層側に設けられ、前記第1流動層から粒子が導入される通路であるダウンカマー部と、
前記第2流動層側に設けられ、前記第2流動層に粒子が排出される通路であるライザー部と、
所定の周波数で振動する振動部を含み、前記ライザー部に振動空気を導入するガス供給部と、
を備えるループシール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループシール動作方法、および、ループシールに関する。
【背景技術】
【0002】
粒子を複数の層の間で移動させる循環流動層を含む循環流動装置がある。循環流動層では高温(例えば、数十℃から数百℃程度)で使用されるため、層と層との間において、消耗の多い機械的な弁ではなく、非機械的バルブ弁が使用される。循環流動装置において、循環流動層は、粒子を導入する入口流動層と粒子を排出する出口流動層と2つの層の間で粒子を移動させるループシールとを備える。入口流動層と出口流動層との間は、平面状の仕切り板で仕切られている。ループシールは、入口流動層と出口流動層との間の仕切り板の開口部に設けられる。入口流動層に投入された粒子は、入口流動層と出口流動層との間に配置されるループシールによって出口流動層に送られる。循環流動装置の動作中、入口流動層及び出口流動層には、それぞれ、下部から空気が流され、各層内で粒子は流動化している。入口流動層には粒子が導入され、出口流動層からは粒子が排出される。ループシールの役割は、空気と粒子とを一方向(入口流動層から出口流動層への方向)に流すことである。ループシールは、粒子を出口流動層に排出するライザーと、ライザーに粒子を流すダウンカマーとを含む。ダウンカマーには、入口流動層の粒子が入る。また、ループシールは、空気(ガス)の吹込部を備え、内部に空気(ガス)を吹き込む速度(ガス流速)を調節することで、粒子の循環を行う。ループシールにおける逆流は望ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-009530号公報
【特許文献2】特開2019-098261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
循環流動層において、ループシールの内部に吹き込むガスの流速が一定である場合、粒子循環速度(単位断面積あたり単位時間にループシールを通過する粒子の量)の増加とともに、層高差(入口流動層の粒子の高さと出口流動層の粒子の高さとの差)が増加する。層高差による粒子循環量の影響は大きいため、循環流動層の安定操作(粒子循環量の安定)のために、層高差が変動しないようにすることが望ましい。また、循環流動層の安定操作(粒子循環量の安定)のために、粒子循環速度が層高差に依存しないことが望ましい。
【0005】
図1は、循環流動装置のループシールに一定速度のガスを吹き込んだ場合の層高差Δhと粒子循環速度Gsとの関係のグラフの例を示す図である。図1のグラフの横軸は層高差Δhであり、縦軸は粒子循環速度Gsである。図1のグラフでは、層高差が大きくなるにつれて、粒子循環速度が速くなることが分かる。また、ループシールに吹き込むガスの流速が大きくなるほど、粒子循環速度が速くなることが分かる。層高差が変化しても、粒子循環速度が変動しないことが望ましい。すなわち、グラフの傾きが小さいことが望ましい。
【0006】
また、循環流動装置のループシールにガスを吹き込む際、循環流動装置に外部からガスを導入することになる。循環流動装置に外部からガスを導入すると、循環流動装置の粒子にガスに含まれる不純物が含まれ得るという問題がある。
【0007】
本発明は、循環流動層において、粒子を安定して効率よく移動させることを課題とする
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、第1の態様は、
第1流動層と第2流動層との間で粒子が移動する循環流動装置の動作方法であって、
前記第1流動層と前記第2流動層との間に設けられるループシールに、外部から空気を導入しないガス供給部により振動空気を導入する、
循環流動装置の動作方法とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、循環流動層において、粒子を安定して効率よく移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、循環流動装置のループシールに一定速度のガスを吹き込んだ場合の層高差Δhと粒子循環速度Gsとの関係のグラフの例を示す図である。
図2図2は、実施形態の循環流動装置の構成例を示す図である。
図3図3は、ループシールの詳細を説明する図である。
図4図4は、ループシールの吹込部にガスを供給するガス供給部の構成例を示す図である。
図5図5は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図6図6は、実施形態の循環流動装置の動作フローの例を示す図である。
図7図7は、模擬装置300の構成例を示す図である。
図8図8は、粒子排出速度の安定性の例1を示す図である。
図9図9は、粒子排出速度の安定性の例2を示す図である。
図10図10は、粒子排出速度の安定性の例3を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、発明の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0012】
〔実施形態〕
(構成例)
図2は、本実施形態の循環流動装置の構成例を示す図である。図2の循環流動装置100は、フィーダ110、入口流動層120、出口流動層130、ループシール140、ガス導入部161、ガス導入部162、仕切り板180を備える。仕切り板180は、入口流動層120と出口流動層130とを仕切る平板である。仕切り板180には、開口部があり、当該開口部にはループシール140が設置される。入口流動層120、出口流動層130、ループシール140、仕切り板180を総称して、循環流動層ともいう。当該循環流動層は、内部循環流動層である。入口流動層120、出口流動層130は、第1流動層、第2流動層の例である。
【0013】
フィーダ110は、循環流動装置100における処理対象の粒子を、入口流動層120に供給する。供給する粒子の量は、あらかじめ決められた量や、入口流動層120、出口流動層130に存在する粒子の量などに基づいて、決められる。
【0014】
入口流動層120は、フィーダ110から粒子を導入される。入口流動層120は、ループシール140を介して、粒子を出口流動層130に送る。また、入口流動層120は
、ガス導入部161から空気などのガスを供給され、入口流動層120内の粒子を流動化する。
【0015】
出口流動層130は、入口流動層120よりループシール140を介して、粒子を供給される。また、出口流動層130は、ガス導入部162から空気などのガスを供給され、出口流動層130内の粒子を流動化する。出口流動層130には、粒子を外部に排出する排出部が設けられてもよい。
【0016】
入口流動層120と出口流動層130との間は、仕切り板180によって仕切られている。入口流動層120、出口流動層130、仕切り板180は、例えば、金属板を加工することによって、形成される。
【0017】
ループシール140は、入口流動層120から粒子を導入され、出口流動層130に当該粒子を排出する。ループシール140には、空気などのガスを吹き込む吹込部が設けられ、粒子の導入、排出を促進する。ループシール140は、ビスなどにより仕切り板180の開口部に固定される。ループシール140の周囲には、仕切り板180に嵌合する凹部が設けられてもよい。ループシール140と仕切り板180とが一体化してもよい。ループシール140には、ガス供給部200が接続される。
【0018】
ガス導入部161は、入口流動層120に空気等のガスを供給し、入口流動層120内の粒子を流動化する。
【0019】
ガス導入部162は、出口流動層130に空気等のガスを供給し、出口流動層130内の粒子を流動化する。
【0020】
図3は、ループシールの詳細を説明する図である。ループシール140は、仕切り板180の開口部を塞ぐ平板141、第1部材143、第2部材144、吹込部147を含む。平板141には、開口部142が設けられ、入口流動層120側と出口流動層130側とが導通する。また、平板141と第1部材143とにより、ダウンカマー部145が形成され、平板141と第2部材144とにより、ライザー部146が形成される。ダウンカマー部145は、開口部142から入口流動層120側に設けられる粒子の通路である。ライザー部146は、開口部142から出口流動層130側に設けられる粒子の通路である。平板141、第1部材143、第2部材144は、例えば、金属、樹脂等によって形成される。
【0021】
第1部材143、第2部材144は、一体化して1つの部材としてもよい。また、第1部材143、第2部材144が、2以上の部材によって構成されてもよい。
【0022】
ダウンカマー部145は、入口流動層120側で、平板141の開口部142から上方に向かって設けられ、上端で粒子を導入できるように開放されている。ダウンカマー部145の通路は、上端から平板の開口部に向かう途中で徐々に細くなっている。また、ライザー部146は、出口流動層130側で、平板141の開口部142から上方に向かって設けられ、上端で粒子を排出できるように開放されている。ダウンカマー部145またはライザー部146には、ガス(空気)の吹き込み口である吹込部147が設けられる。
【0023】
吹込部147は、ライザー部146の底部に設けられ、ライザー部146にガスを導入、ライザー部146からガスを排出することができる。吹込部147から導入、排出されるガスは、入口流動層120から出口流動層130への粒子の移動を促進する。吹込部は、ループシール140の他の箇所に設けられてもよい。ライザー部146と吹込部147との間には、粒子の粒径よりも目の小さい金属製などの網が設けられる。当該網により、
ライザー部146から吹込部147側へ粒子が流出することが抑制される。吹込部147には、ガス供給部200が接続される。
【0024】
図4は、ループシールの吹込部にガスを供給するガス供給部の構成例を示す図である。ガス供給部200は、循環流動装置100に含まれてもよいし、循環流動装置100と別個の装置として存在してもよい。また、ループシール140は、ガス供給部200を含んでもよい。ガス供給部200は、ガス管210、ボックス220、スピーカ230、増幅器240、ファンクションシンセサイザ250を含む。ループシール140の吹込部147とボックス220は、ガス管210によって導通可能に接続される。スピーカ230によってボックス220内のガスが振動すると、振動に応じて、ループシール140にガスが吹き込まれたり(ガスの導入)、ループシール140からガス管210側にガスが吸い込まれたり(ガスの排出)する。吹込部147、ガス管210等を介した、ループシール140に対するガスの導入、排出を、振動ガス(振動空気)の導入ともいう。
【0025】
ガス管210は、ループシール140の吹込部147とボックス220とを導通可能に接続する管である。ガス管210は、例えば、ゴム管、金属管などである。ガス管210と吹込部147との境界は、内部のガスが外に漏れないように封止される。ガス管210とボックス220との境界は、内部のガスが外に漏れないように封止される。
【0026】
ボックス220は、スピーカ230を収容する箱である。ボックス220の内部は空洞である。ボックス220の外形は、例えば、直方体である。ボックス220は、例えば、アクリル樹脂製である。ボックス220の材料は、気体を通さないものであればよい。ボックス220には2つの開口部が設けられる。ボックス220の一方の開口部にはガス管210が接続される。ボックス220の他方の開口部には、スピーカ230がはめ込まれる。ボックス220には、振動膜を含むスピーカ230の一部が入れられる。スピーカ230とボックス220との境界は封止され、ボックス220内のガスが、境界部分を通じてボックス220外に出ないようにされる。これにより、ガス供給部200には外部からガスが導入されない。
【0027】
スピーカ230は、増幅器240からの信号に基づいて、ボックス220内のガスを振動させる音響を出力する。スピーカ230は、振動膜と、電磁石などを含む振動子とを含む。増幅器240からの信号によりスピーカ230の振動子が振動し、振動子の振動がスピーカ230の振動膜に伝わり、振動膜が振動することにより、ボックス220内のガスが振動する。ボックス220内のガスが振動すると、ボックス220とガス管210を介して接続されるループシール140の吹込部147とライザー部146との間でガスが行き来する。すなわち、スピーカ230の振動膜が振動することで、ボックス220からガスが押し出されたり、ボックス220にガスが吸い込まれたりする。スピーカ230の代わりに、ボックス220内のガスを振動させる他の素子が使用されてもよい。スピーカ230は、振動部の一例である。スピーカ230を使用することで、電磁弁などを使用する場合に比べ、高い周波数(例えば、4Hz以上)の振動空気を発生させることができる。
【0028】
増幅器240は、ファンクションシンセサイザ250からの信号を所定の増幅率で増幅し、スピーカ230に出力する。
【0029】
ファンクションシンセサイザ250は、スピーカ230から出力される振動の周期、振幅、波形等を制御する。ファンクションシンセサイザ250は、増幅器240で増幅させる信号を出力する。ファンクションシンセサイザ250は、例えば、コンピュータによって実現される。ファンクションシンセサイザ250は、増幅器240の増幅率を制御してもよい。出力される波形は、例えば、sin波である。スピーカ230、増幅器240、ファンクションシンセサイザ250を用いることにより、任意の周波数、振幅、波形の出
力(振動空気の導入)が容易になる。
【0030】
ファンクションシンセサイザ250は、PC(Personal Computer)、ワークステーシ
ョン(WS、Work Station)のような専用または汎用のコンピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器、スマートフォン、携帯電話、タブレット型端末、カーナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)のような専用または汎用のコンピュータ等を使用して実現可能である。
【0031】
図5は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。図5に示す情報処理装置は、一般的なコンピュータの構成を有している。ファンクションシンセサイザ250は、図5に示すような情報処理装置90によって実現される。図5の情報処理装置90は、プロセッサ91、メモリ92、記憶部93、入力部94、出力部95、通信制御部96を有する。これらは、互いにバスによって接続される。メモリ92及び記憶部93は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。情報処理装置のハードウェア構成は、図5に示される例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、追加が行われてもよい。
【0032】
情報処理装置90は、プロセッサ91が記録媒体に記憶されたプログラムをメモリ92の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、所定の目的に合致した機能を実現することができる。
【0033】
プロセッサ91は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)である。
【0034】
メモリ92は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。メモリ92は、主記憶装置とも呼ばれる。
【0035】
記憶部93は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディスク
ドライブ(HDD、Hard Disk Drive)である。また、記憶部93は、リムーバブルメデ
ィア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)のようなディスク記録媒体である。記憶部93は、二次記憶装置とも呼ばれる。
【0036】
記憶部93は、各種のプログラム、各種のデータ及び各種のテーブルを読み書き自在に記録媒体に格納する。記憶部93には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。記憶部93に格納される情報は、メモリ92に格納されてもよい。また、メモリ92に格納される情報は、記憶部93に格納されてもよい。
【0037】
オペレーティングシステムは、ソフトウェアとハードウェアとの仲介、メモリ空間の管理、ファイル管理、プロセスやタスクの管理等を行うソフトウェアである。オペレーティングシステムは、通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、通信制御部96を介して接続される他の外部装置等とデータのやり取りを行うプログラムである。外部装置等には、例えば、他のコンピュータ、外部記憶装置等が含まれる。
【0038】
入力部94は、キーボード、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン、タッチパネル等を含む。また、入力部94は、カメラのような映像や画像の入力装置や、マイクロフォンのような音声の入力装置を含むことができる。
【0039】
出力部95は、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electroluminescence)パ
ネル、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、PDP(Plasma Display Panel)等の表示装置、プリンタ等の出力装置を含む。また、出力部95は、スピーカのような音声の出力装置を含むことができる。
【0040】
通信制御部96は、他の装置と接続し、情報処理装置90と他の装置との間の通信を制御する。通信制御部96は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースボード、無線通信のための無線通信回路、有線通信のための通信回路である。LANインタフェースボードや無線通信回路は、インターネット等のネットワークに接続される。
【0041】
(動作例)
図6は、本実施形態の循環流動装置の動作フローの例を示す図である。循環流動装置100の入口流動層120、出口流動層130には、あらかじめ、所定量の粒子が導入されている。
【0042】
S101では、循環流動装置100のガス導入部161は、入口流動層120の底部からガスを供給して、入口流動層120内の粒子を流動化する。また、ガス導入部162は、出口流動層130の底部からガスを供給して、出口流動層130内の粒子を流動化する。ガスは、例えば、空気である。ガスを供給すると粒子は流動化する。粒子の流動化の状態が安定するまで時間がかかるため、例えば、ガスを供給開始してから2分間待機する。
【0043】
S102では、ガス供給部200は、ボックス220内のガスを振動させる。ボックス220内でガスが振動することにより、ボックス220とガス管210を介して接続されるループシール140の吹込部147とライザー部146との間でガスが行き来する。すなわち、吹込部147を介してライザー部146へのガスの導入、ライザー部146からのガスの排出が繰り返される。ガスを振動させるスピーカ230の出力の周波数、振幅は、ファンクションシンセサイザ250によって制御される。ガスの導入、排出の周期、量は、スピーカ230の出力の周波数、振幅に依存する。ボックス220内でガスが振動すると、粒子の入口流動層120から出口流動層130への移動が促進される。
【0044】
S103では、フィーダ110は、所定の割合で、入口流動層120に粒子を供給する。S102で、吹込部147からガスの導入、排出が始まると、入口流動層120の粒子が減少する。粒子が減少すると、入口流動層120の粒子の高さ(粒子の液面の高さ)が低くなり、出口流動層130に粒子が供給されにくくなるため、フィーダ110により入口流動層120に粒子を供給する。フィーダ110による粒子の供給は、連続的であっても間欠的であってもよい。S102及びS103の動作は、入れ替わっても同時であってもよい。
【0045】
ボックス220内のガスの振動開始直後は、粒子循環速度が安定しない。しばらくすると(例えば、6分経過後)、循環流動装置100の動作が安定する。ループシール140を通過する粒子の量を測定することにより、粒子循環速度が算出され得る。粒子の量の測定は、周知の方法が用いられる。粒子の測定方法に限定はない。
【0046】
ここで、ボックス220内のガスの振動の条件(スピーカ230の出力の周波数、振幅など)、フィーダによる粒子の供給の条件等を変更して、S102以降の動作を繰り返すことで、他の条件における粒子循環速度を算出することができる。条件を変更して粒子循環速度を算出することで、粒子循環速度の変動が小さくなるようなよりよい条件(ガスの供給タイミングなど)を求めることができる。
【0047】
(測定結果の例)
ここでは、上記の循環流動装置100を模擬した模擬装置300による測定結果の例に
ついて説明する。
【0048】
図7は、模擬装置300の構成例を示す図である。模擬装置300は、スタンドパイプ310、カラム320、排出パイプ330を含む。カラム320の側面下部にスタンドパイプ310が接続され、カラム320の側面上部に排出パイプ330が接続される。スタンドパイプ310は、ダウンカマー部145に相当する。カラム320は、ライザー部146に相当する。ここで、スタンドパイプ310のサイズは、幅10mm、奥行2.5mmである。カラム320のサイズは、幅25mm、高さ40mm、奥行2.5mmである。各サイズは、これらに限定されるものではない。
【0049】
カラム320の底面には、ガス供給部200のガス管210が接続される。カラム320とガス管210との境界には網が設けられる。当該網の目の大きさは、模擬装置300に導入される粒子の粒径よりも小さい。上記の例と同様に、ガス供給部200のボックス220においてスピーカ230が振動することにより、カラム320とガス管210との間で、ガスの導入、排出が行われる。また、カラム320の底面には、ガス供給部200の代わりに、連続的にガスを供給できる(連続空気を導入できる)別のガス供給部が接続され得るとする。図7のガス供給部200は、図4のガス供給部200と同様である。
【0050】
スタンドパイプ310から粒子が導入され、スタンドパイプ310、カラム320に粒子が蓄積される。粒子がカラム320の側面上部の排出パイプ330の高さに達すると、当該高さに達した粒子は排出パイプ330を通って外に排出される。ガス供給部200によるガスの導入により、カラム320内の粒子が押し上げられる。また、ガス供給部200によるガスの排出、重力により、粒子が押し下げられる。ガス供給部200によるガスの導入、排出により(振動空気の導入により)、粒子の移動が促進される。スタンドパイプ310内の粒子の上端の高さとカラム320内の粒子の上端の高さとの層高差Δhは、図1の入口流動層120内の粒子の上端の高さと出口流動層130内の粒子の上端の高さとの層高差Δhに相当する。スタンドパイプ310内の粒子の上端の高さとカラム320内の粒子の上端の高さとの層高差Δhは、スタンドパイプ310内の粒子の上端の高さが、カラム320内の粒子の上端の高さより高い場合を正とする。ここで、スピーカ230の出力の周波数(振動空気の周波数)は、4Hz以上10Hz以下とする。4Hz以上10Hz以下では、カラム320内の粒子が上下に振動し、好適に粒子の移動が促進される。4Hz未満では、カラム320内の粒子の上下振動の幅が小さくなり、粒子の移動量が小さく不適である。また、10Hz以上では、カラム320内の粒子が上下に振動しにくくなり、粒子の移動量が小さく不適である。
【0051】
〈粒子排出速度の安定性〉
図8は、粒子排出速度の安定性の例1を示す図である。図8では、振動空気(平均15Umf、8Hz、sin波)、連続空気(5Umf)、連続空気(7Umf)の粒子排出速度の安定性を示す。ここで使用した粒子は、代表粒径83μmのガラスビーズである。模擬装置300のスタンドパイプ310から粒子を導入し、また、カラム320には、振動空気、または、連続空気を導入し、粒子排出速度を測定した。粒子排出速度は、単位時間当たりの層高差Δhの変化量で表される。ここで、Umfは、カラム320に導入されるガスの流速の単位である。1Umfは、カラム320にガスを導入した場合に、粒子が流動化する、ガスの最小の流速(最小流動化速度)である。振動空気の場合には、1周期のガス導入時の最大流速を2で除した流速を平均流速とする。
【0052】
振動空気または連続空気をカラム320に導入した場合において、横軸に層高差Δh(cm)、縦軸に粒子排出速度(cm/s)をとったグラフの傾きを粒子排出速度の安定性とする。層高差Δhが変化しても粒子排出速度が変化しない場合に安定しているとする。すなわち、粒子排出速度の安定性の値が0に近いほど、粒子排出速度が安定しているとさ
れる。粒子排出速度が安定していると、粒子の排出量が一定となるため、より望ましい。図8の例では、振動空気を導入した場合、連続空気を導入した場合に比べて、粒子排出速度が安定している。
【0053】
図9は、粒子排出速度の安定性の例2を示す図である。図9では、振動空気の平均流速の違いによる、粒子排出速度の安定性の変化を示す。図9では、振動空気(平均15Umf)、振動空気(平均18Umf)、振動空気(平均16Umf)、振動空気(平均15Umf)、連続空気(7Umf)の粒子排出速度の安定性を示す。ここで、振動空気は、8Hzのsin波とした。ここで使用した粒子は、代表粒径153μmのガラスビーズである。図9の例では、振動空気のガスの流速を大きくした(振幅を大きくした)場合に、粒子排出速度がより安定することが分かる。なお、粒子排出速度の安定性の値が負であることは、層高差Δhが減少すると粒子排出速度が大きくなることを示す。
【0054】
図10は、粒子排出速度の安定性の例3を示す図である。図10では、振動空気の周波数の違いによる、粒子排出速度の安定性の変化を示す。図10では、振動空気(6Hzのsin波)、振動空気(10Hzのsin波)、連続空気(7Umf)の粒子排出速度の安定性を示す。ここで、振動空気は、平均15Umfとした。ここで使用した粒子は、代表粒径153μmのガラスビーズである。図10の例では、振動空気のガスの周波数が小さい場合に、粒子排出速度の安定性の値が負になった。
【0055】
以上から、模擬装置300にガスを供給する際、連続空気を導入するよりも、振動空気を導入することで、粒子排出速度が安定することが分かる。よって、循環流動装置100において、ループシール140に振動空気を導入することが望ましい。
【0056】
(実施形態の作用、効果)
循環流動装置100は、入口流動層120の粒子を、ループシール140を介して、出口流動層130に移動する。ループシール140に振動空気が導入されることで、循環流動装置100における粒子循環速度の変動を、ガスの連続供給に比べ、抑えることができる。また、ガス供給部200に外部からガスが導入されないことで、循環流動装置100への不純物の混入を抑制できる。また、スピーカ230などによる振動部により振動空気を生成することで、電磁弁などにより空気を導入する場合に比べ、高い周波数(例えば4Hz以上)で振動空気を導入することができる。ループシール140に、高い周波数の振動空気を導入することで、ループシール140内の粒子を好適に上下に振動させ、粒子の移動を促進することができる。
【0057】
以上の実施形態、変形例は、可能な限りこれらを組み合わせて実施され得る。
【符号の説明】
【0058】
100 循環流動装置
110 フィーダ
120 入口流動層
130 出口流動層
140 ループシール
141 平板
142 開口部
143 第1部材
144 第2部材
145 ダウンカマー部
146 ライザー部
147 吹込部
161 ガス導入部
162 ガス導入部
180 仕切り板
200 ガス供給部
210 ガス管
220 ボックス
230 スピーカ
240 増幅器
250 ファンクションシンセサイザ
300 模擬装置
310 スタンドパイプ
320 カラム
330 排出パイプ
90 情報処理装置
91 プロセッサ
92 メモリ
93 記憶部
94 入力部
95 出力部
96 通信制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10