(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041424
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】ATRプリズム
(51)【国際特許分類】
G02B 5/04 20060101AFI20230316BHJP
G01N 21/552 20140101ALI20230316BHJP
【FI】
G02B5/04 F
G01N21/552
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148796
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100129148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 淳也
(72)【発明者】
【氏名】富田 充
【テーマコード(参考)】
2G059
2H042
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059AA05
2G059BB04
2G059BB13
2G059EE01
2G059EE02
2G059EE12
2G059GG01
2G059HH01
2G059JJ12
2G059KK01
2H042CA01
2H042CA15
2H042CA17
(57)【要約】
【課題】ATRプリズムの光検出精度の低下を防止する。
【解決手段】ATRプリズムは、肉厚2mmにおいて、8~10μmの波長域での内部透過率が90%以上である材料により構成される。ATRプリズムは、第一全反射面を含む第一表面と、第二全反射面を含む第二表面と、第一表面又は第二表面に形成される凹部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肉厚2mmにおいて、8~10μmの波長域での内部透過率が90%以上である材料により構成されるATRプリズムであって、
第一全反射面を含む第一表面と、
第二全反射面を含む第二表面と、
前記第一表面又は前記第二表面に形成される凹部と、を備えるATRプリズム。
【請求項2】
前記第一表面は、測定対象物に接触する接触面であり、
前記第二表面は、前記測定対象物に接触しない非接触面であり、
前記凹部は、前記第二表面に形成される請求項1に記載のATRプリズム。
【請求項3】
前記凹部は、底面を有し、
前記底面は、前記第二全反射面を含み、
前記底面から離間された位置で前記凹部を覆う被覆部材を備える請求項2に記載のATRプリズム。
【請求項4】
前記材料は、ガラスである請求項1から3のいずれか1項に記載のATRプリズム。
【請求項5】
前記ガラスは、カルコゲナイドガラスである請求項4に記載のATRプリズム。
【請求項6】
前記カルコゲナイドガラスは、モル百分率で、S 50~80%、Sb 0~40%(但し0%を含まない)、Ge 0~18%(但し0%を含まない)、Sn 0~20%、Bi 0~20%を含有する請求項5に記載のATRプリズム。
【請求項7】
前記カルコゲナイドガラスは、モル百分率で、Te 4~80%、Ge 0~50%(但し0%を含まない)、Ga 0~20%を含有する請求項5に記載のATRプリズム。
【請求項8】
前記凹部の前記底面と前記被覆部材との離間距離は、0.1~3.0mmである請求項3に記載のATRプリズム。
【請求項9】
前記凹部は、前記底面の全周を囲む壁面を有する請求項3又は8に記載のATRプリズム。
【請求項10】
前記凹部の前記底面は、四辺を有する矩形状に構成されており、
前記凹部は、前記底面を囲む壁面を有しており、
前記壁面は、前記底面において対向する二辺に対応する二つの壁面のみを有する請求項3又は8に記載のATRプリズム。
【請求項11】
前記凹部の前記底面と前記第一表面との距離は、0.1~3.0mmである請求項3、8、9、10のいずれか1項に記載のATRプリズム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ATRプリズムに関する。
【背景技術】
【0002】
非侵襲で血糖値等の生体情報を取得する方法として、ATR(Attenuated Total Reflection)法が知られている。ATR法では、被測定物に接触して配置されたATRプリズムで全反射が生じる際に、全反射面からしみ出したエバネッセント波を利用して被測定物の吸収スペクトルを取得する。
【0003】
例えば特許文献1には、ATRプリズムを備える測定装置が開示されている。ATRプリズムは、入射面、第一全反射面、第二全反射面及び出射面を備える。このATRプリズムは、第一全反射面を生体に接触させた状態で、入射面から入射されるプローブ光を第一全反射面と第二全反射面との間で繰り返し全反射させる。その後、プローブ光は、出射面から出射し、光検出器によって検出信号に変換される(同文献の段落0039~0041参照)。
【0004】
上記の測定装置は、ATRプリズムを支持する第一支持部及び第二支持部を備える。第一支持部は、光ファイバ等の部品を支持する箱状の部材である。第二支持部は、ATRプリズムを挿入して固定するための凹部を備えるブロック状の部材である(同文献の段落0170~0172及び
図16参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の測定装置では、第二支持部の凹部にATRプリズムが収容された場合に、ATRプリズムの第二全反射面が凹部の底面に接触する構成となっている。このように第二全反射面が他の部材に接触していると、第二全反射面におけるプローブ光の全反射が阻害され、ATRプリズムの光検出精度が低下するおそれがあった。ここで、光検出精度とは、ATRプリズムの出射面より取り出される光成分の信号対雑音比(SN比)を指す。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、ATRプリズムの光検出精度の低下を防止することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記の課題を解決するためのものであり、肉厚2mmにおいて、8~10μmの波長域での内部透過率が90%以上である材料により構成されるATRプリズムであって、第一全反射面を含む第一表面と、第二全反射面を含む第二表面と、前記第一表面又は前記第二表面に形成される凹部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、第一表面又は第二表面に形成される凹部に全反射面を設けることができる。これより、ATRプリズムを備える測定装置の他の部材や塵埃等の異物が凹部に形成される全反射面に接触することを防止できる。したがって、凹部の全反射面に所期の全反射を生じさせることができ、ATRプリズムの光検出精度の低下を防止することができる。
【0010】
本発明に係るATRプリズムにおいて、前記第一表面は、測定対象物に接触する接触面であり、前記第二表面は、前記測定対象物に接触しない非接触面であり、前記凹部は、前記第二表面に形成されてもよい。
【0011】
第一表面を測定対象物に接触させ、この第一表面の第一全反射面と第二表面の第二全反射面とによって光の全反射を繰り返すことで、測定対象物の情報をATRプリズムによって検出することができる。第二表面は、測定対象物に接触することなく、しかも測定装置の他の部材や塵埃等の異物にも接触することがないため、ATRプリズムは、光検出精度を低下させることなくこの情報を取得することができる。
【0012】
本発明に係るATRプリズムでは、前記凹部は、底面を有し、前記底面は、前記第二全反射面を含み、前記底面から離間された位置で前記凹部を覆う被覆部材を備えてもよい。被覆部材により凹部を覆うことで、測定装置における他の部材や塵埃等の異物が接触しないように、底面における第二全反射面を保護することができる。
【0013】
本発明に係るATRプリズムにおいて、前記材料は、ガラスであってもよい。この場合、ガラスは、カルコゲナイドガラスであってもよい。カルコゲナイドガラスは、モル百分率で、S 50~80%、Sb 0~40%(但し0%を含まない)、Ge 0~18%(但し0%を含まない)、Sn 0~20%、Bi 0~20%を含有してもよい。或いは、カルコゲナイドガラスは、モル百分率で、Te 4~80%、Ge 0~50%(但し0%を含まない)、Ga 0~20%を含有するものでもよい。
【0014】
本発明に係るATRプリズムにおいて、前記凹部の前記底面と前記被覆部材との離間距離は、0.1~3.0mmであってもよい。これにより、凹部の底面に設けられる第二全反射面を被覆部材によって確実に保護することができる。
【0015】
本発明に係るATRプリズムにおいて、前記凹部は、前記底面の全周を囲む壁面を有してもよい。底面の全周を壁面によって囲むことで、底面に設けられる第二全反射面に異物が接触することを確実に防止できる。
【0016】
本発明に係るATRプリズムにおいて、前記凹部の前記底面は、四辺を有する矩形状に構成されており、前記凹部は、前記底面を囲む壁面を有しており、前記壁面は、前記底面において対向する二辺に対応する二つの壁面のみを有してもよい。
【0017】
かかる構成によれば、二つの壁面のみによって凹部の底面を囲むことで、測定装置の他の部材が凹部の底面に接触することを防止できる。さらに、壁面が設けられていない底面の残りの二辺は、壁面の制約を受けることなく、その間隔を決めることができる。これにより、底面の全周を壁面で囲む場合と比較して、底面の面積、すなわち第二全反射面の面積を大きく確保することが可能となる。
【0018】
本発明に係るATRプリズムにおいて、前記凹部の前記底面と前記第一表面との距離は、0.1~3.0mmであってもよい。これにより、第一表面の第一全反射面と、凹部の底面に設けられる第二全反射面との間で、光の全反射を効果的に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ATRプリズムの光検出精度の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】第一実施形態に係るATRプリズムを備える測定装置の断面図である。
【
図4】ATRプリズムの製造方法における一工程を示す断面図である。
【
図5】ATRプリズムの製造方法における一工程を示す断面図である。
【
図6】第二実施形態に係るATRプリズムを備える測定装置の断面図である。
【
図9】ATRプリズムの製造方法における一工程を示す断面図である。
【
図10】第三実施形態に係るATRプリズムを備える測定装置の断面図である。
【
図11】第四実施形態に係るATRプリズムの分解斜視図である。
【
図13】第五実施形態に係るATRプリズムの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1乃至
図5は、第一実施形態に係るATRプリズムを備える測定装置及びATRプリズムの製造方法を示す。
【0022】
図1に示すように、測定装置1は、ATRプリズム2と、光源3と、受光部4とを主に備える。
図1及び
図2に示すように、ATRプリズム2は、光源3からの光が入射する入射部5と、入射した光を反射する各反射部6a,6bと、各反射部6a,6bで反射した光を出射する出射部7と、反射部6bの一部を被覆する被覆部材8と、入射部5と出射部7との間に形成される側面9と、を備える。
【0023】
入射部5は、反射部6a,6bに対して傾斜する傾斜面5aを含む。傾斜面5aの傾斜角度θ1としては、例えば45°又は60°が採用されるが、これらの角度に限定されず、ATRプリズム2の形状、寸法に応じて適宜設定され得る。
【0024】
各反射部6a,6bは、第一反射部6aと、第二反射部6bとを含む。第一反射部6aは、ATRプリズム2における一つの表面(以下「第一表面」という)2aに形成されている。第二反射部6bは、ATRプリズム2における他の表面(以下「第二表面」という)2bに形成されている。第二表面2bは、ATRプリズム2の厚さ方向(
図2において符号Tで示す方向。以下同じ)において、第一表面2aの反対側に位置する。第一表面2aの長さ寸法L1は、第二表面2bの長さ寸法L2よりも大きい。また、第一表面2aの面積は、第二表面2bの面積よりも大きい。
【0025】
第一表面2a及び第二表面2bの幅寸法Wは、例えば2~15mmであり、好ましくは3~12mmである。ATRプリズム2の第一表面2a(第一反射部6a)の長さ寸法L1は、例えば5~30mmであり、好ましくは7~27mmである。ATRプリズム2の第二表面2b(第二反射部6b)の長さ寸法L2は、例えば3~20mmであり、好ましくは5~17mmである。第一表面2aと第二表面2bとの離間距離、すなわちATRプリズム2の厚さ寸法Tは、例えば1~10mmであり、好ましくは、2~8mmである。
【0026】
第一反射部6aは、入射部5からATRプリズム2内に導入された光を反射する第一全反射面を含む。第一全反射面は、第一表面2aの全面に形成されているが、これに限らず、第一表面2aの一部に第一全反射面が形成されてもよい。第一全反射面は、測定対象物である生体試料(以下、単に「試料」という)Sに接触する接触面である。
【0027】
図1及び
図2に示すように、第二反射部6bは、被覆部材8によって覆われる凹部10と、凹部10を囲む露出面11とを含む。
【0028】
凹部10は、底面12と、底面12を囲む各第一壁面13a~13dと、被覆部材8を支持する支持面14と、支持面14を囲む各第二壁面15a~15dと、を含む。
【0029】
底面12は、入射部5からATRプリズム2内に導入された光を反射する第二全反射面を含む。本実施形態では、底面12の全面が第二全反射面として構成されるが、これに限らず、底面12の一部に第二全反射面が形成されてもよい。この第二全反射面は、試料Sに接触しない非接触面である。
【0030】
図2に示すように、底面12は四辺を有する矩形状に構成されるが、この形状に限定されない。底面12の長さ寸法L3(
図1参照)は、好ましくは1~19mmであり、より好ましくは2~18mmである。底面12の幅寸法W1は、好ましくは1~15mmであり、より好ましくは、1.5~14mmである。
【0031】
露出面11と底面12との距離、すなわち凹部10の深さD(
図3参照)は、好ましくは0.5~5mmであり、より好ましくは、1~4mmである。底面12と第一表面2aとの距離、すなわち凹部10が形成されている箇所におけるATRプリズム2の厚さT1(
図3参照)は、好ましくは1~5mmであり、より好ましくは2~4mmである。厚さT1が上記範囲内であれば、入射されるプローブ光を第一全反射面と第二全反射面との間で繰り返し全反射させる回数を増やすことにより検出信号の精度を高めつつ、ATRプリズム2の強度を維持できる。
【0032】
各第一壁面13a~13dは、底面12の全周(四辺)を囲むように、四つの壁面を含む。各第一壁面13a~13dは、底面12と被覆部材8とを離間させるためのものである。各第一壁面13a~13dは、底面12に対して垂直な状態を図示しているが、この態様に限定されない。各第一壁面13a~13dは、
図3において二点鎖線で示すように、底面12に対して角度θ3で傾斜してもよい。この傾斜角度θ3が60°以上90°未満であれば、後述する成形工程において、ガラス成形体を徐冷、冷却した後に、ガラス成形体を第二成形型17から容易に離型することが可能となる。
【0033】
支持面14は、底面12から離間された位置で被覆部材8を支持する。支持面14は、凹部10の深さ方向における中途部に形成される。支持面14は、底面12とほぼ平行な面である。支持面14は、四辺を有する矩形状に構成されるが、この形状に限定されない。支持面14は、被覆部材8の一部に接触することにより、この被覆部材8を支持する。
【0034】
各第二壁面15a~15dは、支持面14の全周(四辺)を囲むように、四つの壁面を含む。各第二壁面15a~15dは、支持面14によって支持される被覆部材8の端面を被覆する。ATRプリズムの厚さ方向における各第二壁面15a~15dの長さ寸法は、被覆部材8の厚さ寸法以下とされることが好ましい。
図3に示すように、各第二壁面15a~15dは、支持面14に対して垂直でなくてもよく、二点鎖線で示すように、支持面14に対して角度θ3で傾斜してもよい。
【0035】
露出面11は、凹部10の全周を囲むように形成される。露出面11は、矩形状に構成されるが、この形状に限定されない。露出面11には、測定装置1の他の構成部材(例えばATRプリズム2の支持部材等)が接触し得る。
【0036】
出射部7は、反射部6a,6bに対して傾斜する傾斜面7aを含む。傾斜面7aの傾斜角度θ2(
図2参照)としては、例えば45°又は60°が採用されるが、これらの角度に限定されず、ATRプリズム2の形状、寸法に応じて適宜設定され得る。
【0037】
図1及び
図2に示すように、被覆部材8は、四辺を有する矩形状の板状部材により構成されるが、この形状に限定されるものではない。被覆部材8は、例えばガラス板により構成されるが、この材質に限定されず、セラミック板、樹脂板、金属板でも構わない。
【0038】
被覆部材8の面積は、ATRプリズム2の凹部10における底面12の面積よりも大きい。被覆部材8の厚さ寸法は、好ましくは1~3mmであり、より好ましくは1.5~2.5mmである。被覆部材8と凹部10の底面12との離間距離D1は、好ましくは0.1~3.0mmであり、より好ましくは0.2~2.5mmである。
【0039】
被覆部材8は、例えば接着剤を介して凹部10の支持面14に固定される。これに限らず、被覆部材8は、オプティカルコンタクト、はんだ付け等の手段によって支持面14に固定されてもよい。
【0040】
側面9は、入射部5と出射部7とをATRプリズム2の長手方向(
図1、
図2において符号L1又はL2で示す方向。以下同じ)に離間させる。また、側面9は、第一反射部6aと第二反射部6bとをATRプリズム2の厚さ方向に離間させる。側面9と反射部6a,6bの反射面とが為す角度は、90°とされているが、この角度は、本実施形態に限定されない。
【0041】
ATRプリズム2は、例えば肉厚2mmにおいて、8~10μmの波長域での内部透過率が90%以上、好ましくは91%以上、より好ましくは92%以上である材料により構成される。ATRプリズムの材料としては、例えば、ゲルマニウム、シリコンといった結晶材料や、ガラス等が好適に用いられる。
【0042】
ATRプリズムの材料としてのガラスは、例えばカルコゲナイドガラスであってもよい。カルコゲナイドガラスは、モル百分率で、S 50~80%、Sb 0~40%(但し0%を含まない)、Ge 0~18%(但し0%を含まない)、Sn 0~20%、Bi 0~20%を含有してもよい。
【0043】
上記カルコゲナイドガラスにおいて、Sの含有量は、モル百分率で、より好ましくは55%以上、更に好ましくは60%以上、より好ましくは75%以下、更に好ましくは70%以下である。ガラス中のSの含有量が50%未満になると、ガラス化し難くなる。一方、ガラス中のSの含有量が80%を超えると、ガラスの耐候性が低下することにより、ATRプリズムの使用環境が制限されることになる。
【0044】
上記カルコゲナイドガラスにおいて、Sbの含有量は、モル百分率で、より好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上、より好ましくは35%以下、更に好ましくは33%以下である。ガラス中にSbを含有しない場合、または、その含有量が40%を超えると、ガラス化し難くなる。
【0045】
上記カルコゲナイドガラスにおいて、Geの含有量は、モル百分率で、より好ましくは2%以上、更に好ましくは4%以上、より好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下である。ガラス中にGeを含有しない場合、ガラス化し難くなる。一方、ガラス中のGeの含有量が18%を超えると、ガラス中からGe系の結晶が析出することにより、ATRプリズムの特性を満たす内部透過率を得難くなる。
【0046】
上記カルコゲナイドガラスにおいて、Snの含有量は、モル百分率で、より好ましくは1%以上、更に好ましくは5%以上、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下である。ガラス中のSnは、ガラス化を促進する成分である。しかし、ガラス中のSnの含有量が20%を超えると、ガラス化し難くなる。
【0047】
上記カルコゲナイドガラスにおいて、Biの含有量は、モル百分率で、より好ましくは0.5%以上、更に好ましくは2%以上、より好ましくは10%以下、更に好ましくは8%以下である。ガラス中のBiは、ガラスの溶融時に、原料がガラス化するのに必要なエネルギーを抑える成分である。一方、ガラス中のBiの含有量が20%を超えると、ガラス中からBi系の結晶が析出することにより、ATRプリズムの特性を満たす内部透過率を得難くなる。
【0048】
上記の組成に限らず、カルコゲナイドガラスは、モル百分率で、Te 4~80%、Ge 0~50%(但し0%を含まない)、Ga 0~20%を含有するものでもよい。
【0049】
上記カルコゲナイドガラスにおいて、Teの含有量は、モル百分率で、より好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上、より好ましくは75%以下、更に好ましくは70%以下である。ガラス中のTeの含有量が4%未満になると、ガラス化し難くなる。一方、ガラス中のTeの含有量が80%を超えると、ガラスからTe系の結晶が析出することにより、ATRプリズムの特性を満たす内部透過率を得難くなる。
【0050】
上記カルコゲナイドガラスにおいて、Geの含有量は、モル百分率で、より好ましくは1%以上、更に好ましくは5%以上、より好ましくは40%以下、更に好ましくは30%以下である。ガラス中にGeを含有しない場合、ガラス化し難くなる。一方、ガラス中のGeの含有量が50%を超えると、ガラスからGe系の結晶が析出することにより、ATRプリズムの特性を満たす内部透過率を得難くなる。
【0051】
上記カルコゲナイドガラスにおいて、Gaの含有量は、モル百分率で、より好ましくは0.1%以上、更に好ましくは1%以上、より好ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下である。ガラス中にGaを含有することにより、ガラス化範囲を広げ、ガラスの熱的安定性(ガラス化の安定性)を高めることができる。
【0052】
また、近赤外光を用いた光学機器によるATRプリズムの加工品位や内部品位などの確認を可能にするため、上記ガラスは、肉厚2mmにおいて、1~2μmの波長帯での内部透過率が10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましい。これにより、高い品質のATRプリズムを適用することが可能となる。
【0053】
図1に示すように、光源3は、ATRプリズム2の入射部5の近傍において、この入射部5の傾斜面5aに対向するように配置される。光源3は、ATRプリズム2の入射部5に対して例えば赤外光を照射するように構成される。光源3は、例えば赤外領域のレーザ光を射出する量子カスケードレーザを含む装置により構成されるが、この実施態様に限定されない。なお、ここでいう赤外光とは、波長域が8~10μmの光を指す。
【0054】
図1に示すように、受光部4は、出射部7の近傍において、出射部7の傾斜面7aに対向するように配置される。
【0055】
以下、測定装置1による生体情報の測定方法について説明する。
図1において、光源3から受光部4まで伝搬する光を、連続する複数の矢印によって示す。
図1に示すように、光源3から放射された光(赤外光)は、入射部5からATRプリズム2内に導入される。この光は、第一反射部6aと第二反射部6bとの間で反射(全反射)を繰り返しながら、出射部7まで伝搬する。
【0056】
第一反射部6aに試料Sが接触している場合、光はATRプリズム2から出ることなく、ATRプリズム2の第一反射部6aと試料Sとの接触面で全反射する。この場合において、光は、僅かな距離だけ試料S側にしみ出し(エバネッセント波)、その際に試料Sで光の吸収があれば吸収物質の濃度に応じて反射光が減衰するため、試料Sに含まれる測定対象物の吸収スペクトルを取得することができる。出射部7から出て受光部4に到達した光に基づいて測定された赤外吸収スペクトルと、試料S内部の状況との間には相関関係があるため、この赤外吸収スペクトルに基づいて、試料Sに含まれる血糖値等の生体情報を取得することが可能となる。
【0057】
以下、上記構成のATRプリズム2をガラスから製造する方法について説明する。本方法は、母材ガラスを用意する準備工程と、母材ガラスからATRプリズム2を成形する成形工程と、を備える。
【0058】
準備工程では、例えば、ガラス組成が、モル百分率で、S 60%、Sb 30%、Ge 5%、Sn 5%のカルコゲナイドガラス、又は、ガラス組成が、モル百分率で、Te 70%、Ge 25%、Ga 5%のカルコゲナイドガラスにより構成される母材ガラスを用意する。
図4に示すように、母材ガラス20は、直方体状に構成されるが、この形状に限定されない。準備工程では、母材ガラス20の表面の全体又はその一部に研磨加工(鏡面処理)が施されてもよい。
【0059】
成形工程では、母材ガラス20を加熱しながら成形型によって押圧することで、ATRプリズム2を成形する。
図4及び
図5に示すように、成形工程に使用される成形型16~19は、第一成形型16と、第二成形型17と、第三成形型18と、第四成形型19と、を含む。成形型16~19は、例えば超硬合金等の金属により構成される。
【0060】
成形型16~19は、不活性ガス(例えば窒素ガス)が充填された金属製のチャンバ内に配置されることが好ましい。チャンバの外側には、成形型16~19及び母材ガラス20を加熱するためのヒータが設けられている。
【0061】
第一成形型16は、第二成形型17の上方に位置する。第一成形型16は、ATRプリズム2の第一反射部6a(第一表面2a)を成形する成形面16aを有する。
【0062】
第二成形型17は、ATRプリズム2の第二反射部6b(第二表面2b)を成形する成形面17aを有する。この成形面17aは、第二反射部6bの露出面11を成形するための露出面成形部17bと、第二反射部6bの底面12を成形するための底面成形部17cと、第一壁面13a~13dを成形するための第一壁面成形部17dと、支持面14を成形するための支持面成形部17eと、第二壁面15a~15dを成形するための第二壁面成形部17fと、を含む。
【0063】
第三成形型18は、内側に第二成形型17の一部が挿通されるように、筒状に構成される。第三成形型18は、ATRプリズム2の入射部5の傾斜面5aを成形する成形面18aと、出射部7の傾斜面7aを成形する成形面18bとを含む。この他、第三成形型18は、ATRプリズム2の側面9を成形する成形面(図示せず)を含む。
【0064】
第四成形型19は、筒状に構成されており、第一成形型16の一部が挿通される第一筒部19aと、第三成形型18が挿通される第二筒部19bとを含む。第四成形型19の第一筒部19aは、第一成形型16の一部を挿通させた状態で、この第一成形型16を上下方向に移動させる案内部として機能する。
【0065】
成形工程では、第二成形型17の成形面17aに母材ガラス20を載置する。次に、第四成形型19の第一筒部19aに挿通された第一成形型16を下降させて第二成形型17に接近させる。その後、ヒータによって成形型16~19及び母材ガラス20を加熱した状態で、第一成形型16と第二成形型17によって母材ガラス20を押圧する。
【0066】
成形工程において、母材ガラス20は、例えば160~260℃に加熱される。加熱された母材ガラス20は軟化し、第一成形型16から加えられる圧力によって変形する。第一成形型16乃至第三成形型18の各成形面(図示しない成形面を含む)16a,17a,18a,18bは、軟化した母材ガラス20に接触し、ATRプリズム2の入射部5、各反射部6a,6b、出射部7及び側面9を成形する(
図5参照)。その後、成形型16~19を降温させ、ガラス成形体を徐冷、冷却することで、ATRプリズム2が完成する。
【0067】
以下、ATRプリズム2を結晶材料から製造する方法について説明する。本方法は、結晶材料により構成される母材を用意する準備工程と、この母材を加工する加工工程とを含む。加工工程は、例えば、母材を研削する研削工程、研削工程後に、母材を研磨する研磨工程等を含む。これに限らず、加工工程は、母材にエッチング処理を施すエッチング工程を含んでもよい。
【0068】
以上説明した本発明に係るATRプリズム2によれば、第二表面2bに第二反射部6bの凹部10を形成し、この凹部10を被覆部材8によって覆うことで、ATRプリズム2が搭載される測定装置1の部品や塵埃等の異物等が凹部10の底面12に設けられる第二全反射面に接触することを防止できる。これにより、ATRプリズム2の光検出精度(SN比)の低下を防止できる。
【0069】
図6乃至
図9は、本発明の第二実施形態を示す。本実施形態に係るATRプリズム2は、入射部5及び出射部7の他、第一反射部6aと、第二反射部6bと、第三反射部6cと、第四反射部6dとを備える。
【0070】
入射部5及び出射部7は、ATRプリズム2の第二表面2bにおける露出面11の一部に設けられている。すなわち、本実施形態では、入射部5、第二反射部6b及び出射部7が同じ第二表面2bに設けられている。
【0071】
図6乃至
図8に示すように、入射部5は、第一実施形態における傾斜面5aを有しておらず、第二表面2bにおける長手方向の一端部の露出面11の一部に設けられている。出射部7は、第一実施形態における傾斜面7aを有しておらず、第二表面2bにおける長手方向の他端部の露出面11の一部に設けられる。
【0072】
第一反射部6aは、第一実施形態と同様に、ATRプリズム2の第一表面2aの全面に設けられている。第二反射部6bは、第一実施形態と同様に、ATRプリズム2の第二表面2bに設けられている。
【0073】
第三反射部6cは、第一反射部6a及び第二反射部6bに対して傾斜する反射面を含む。この反射面の傾斜角度は、45°又は60°とされるが、これらの角度に限定されない。この反射面(傾斜面)は、入射部5からATRプリズム2の内部に導入された光を第一反射部6aに向かうように反射させる。
【0074】
第四反射部6dは、第一反射部6a及び第二反射部6bに対して傾斜する反射面(傾斜面)を含む。この反射面の傾斜角度は、45°又は60°とされるが、これらの角度に限定されない。この反射面(傾斜面)は、第一反射部6aと第二反射部6bとの間で複数回にわたり反射(全反射)を繰り返した光を出射部7に向かうように反射させる。
【0075】
図6に示すように、入射部5からATRプリズム2の内部に導入された光は、第三反射部6cで反射し、第一反射部6aへと向かう。次に、この光は、この第一反射部6aで反射し、第二反射部6bへと向かう。
【0076】
その後、この光は、第一反射部6aと第二反射部6bとの間で全反射を繰り返す。次に、この光は、第一反射部6a及び第四反射部6dで反射した後、出射部7から出射し、受光部4に到達する。
【0077】
図9に示すように、本実施形態に係るATRプリズム2を製造する方法では、成形工程において、第一成形型16の成形面16aによってATRプリズム2の入射部5と、第二反射部6bと、出射部7とを成形することができる。
【0078】
第一成形型16の成形面16aは、第二反射部6bの露出面11(入射部5及び出射部7を含む)を成形するための露出面成形部16bと、第二反射部6bの底面12を成形するための底面成形部16cと、第一壁面13a~13dを成形するための第一壁面成形部16dと、支持面14を成形するための支持面成形部16eと、第二壁面15a~15dを成形するための第二壁面成形部16fと、を含む。
【0079】
また、成形工程では、第二成形型17の成形面17aによってATRプリズム2の第一反射部6aを成形することができる。さらに、第三成形型18の成形面18a,18bによって、ATRプリズム2の第三反射部6c及び第四反射部6dを成形することができる。また、第三成形型18は、第一実施形態と同様に、図示しない成形面によってATRプリズム2の側面9を成形することができる。
【0080】
本実施形態におけるその他の構成は、第一実施形態と同じである。本実施形態において第一実施形態と共通する構成要素には、共通の符号を付している。
【0081】
図10は、本発明の第三実施形態を示す。本実施形態に係るATRプリズム2は、凹部10の構成が第二実施形態と異なる。ATRプリズム2の凹部10は、底面12と、底面12を囲む壁面(第一壁面13a~13d)のみを備え、第一実施形態における支持面14及び第二壁面15a~15dを備えていない。被覆部材8の一部は、露出面11の一部に固定されている。すなわち、露出面11の一部は、被覆部材8を支持する支持面として機能する。
【0082】
本実施形態におけるその他の構成は、第二実施形態と同じである。本実施形態において第二実施形態と共通する構成要素には、共通の符号を付している。
【0083】
図11及び
図12は、本発明の第四実施形態を示す。本実施形態に係るATRプリズム2は、凹部10の構成が第二実施形態と異なる。
【0084】
第二実施形態において、ATRプリズム2の凹部10は、底面12の全周を囲む四つの第一壁面13a~13dを含んでいたが、本実施形態に係る凹部10は、矩形状の底面12において対向する二辺に対応するように形成される二つの第一壁面13a,13bのみを有する。これら二つの第一壁面13a,13bは、相互に対向するように構成される。二つの第一壁面13a,13bは、ATRプリズム2の側面9と平行となるように、すなわち、ATRプリズムの長手方向に沿って長尺状に構成されている。なお、底面12の対向する二辺に対応する二つの第一壁面13a、13bは、底面12に対して垂直でなくてもよく、
図12に示すように、底面12に対して角度θ4で傾斜してもよい。この傾斜角度θ4の値は60°以上90°未満であれば、前述の成形工程において、ガラス成形体を徐冷、冷却した後に、ガラス成形体を第一成形型16(第二実施形態参照)から容易に離型することが可能となる。
【0085】
凹部10における矩形状の底面12は、四辺のうち、一辺12aが第三反射部6cに露出し、他の一辺12bが第四反射部6dに露出している。すなわち、凹部10の底面12は、第三反射部6cから第四反射部6dに亘って長尺状に構成される。
【0086】
被覆部材8の長さは、底面12の長さよりも短い。この構成により、底面12の長手方向の端部は、被覆部材8に覆われることなく露出している。この露出する底面12の端部には、入射部5及び出射部7が設定されている。
【0087】
上記の構成の他、凹部10は、二つの露出面11と、第一壁面13a,13bに対応するように形成される二つの第二壁面15a,15bと、第一壁面13a,13bと第二壁面15a,15bとの間に形成される二つの支持面14と、を含む。二つの第一壁面13a,13bに対応する二つの第二壁面15a,15bは、支持面14に対して垂直でなくてもよく、
図12に示すように支持面14に対して角度θ4で傾斜してもよい。
【0088】
本実施形態のATRプリズム2によれば、二つの第一壁面13a,13bのみによって底面12を囲むことで、第一壁面が形成されていない底面12の二辺12a,12bの間隔を大きく確保することができる。これにより、第二実施形態と比較して、底面12に設けられる第二反射面の面積を大きく確保することが可能となる。
【0089】
本実施形態におけるその他の構成は、第二実施形態と同じである。本実施形態において第二実施形態と共通する構成要素には、共通の符号を付している。
【0090】
図13及び
図14は、本発明の第五実施形態を示す。本実施形態に係るATRプリズム2は、凹部10の構成が第二実施形態と異なる。
【0091】
第二実施形態において、凹部10は、底面12を囲む四つの第一壁面13a~13dを含んでいたが、本実施形態に係る凹部10は、矩形状の底面12において対向する二辺に対応するように形成される二つの第一壁面13a,13bのみを有する。これら二つの第一壁面13a,13bは、相互に対向するように構成される。二つの第一壁面13a,13bのうち、一方の第一壁面13aは、第三反射部6c寄りに位置し、他方の第一壁面13bは、第四反射部6d寄りに位置している。二つの第一壁面13a,13bは、ATRプリズム2の幅方向(符号Wに沿う方向)に沿って長尺状に構成されている。なお、底面12の対向する二辺に対応する二つの第一壁面13a、13bは、底面12に対して垂直でなくてもよく、
図14に示すように底面12に対して角度θ5で傾斜してもよい。この傾斜角度θ5の値は60°以上90°未満であれば、前述の成形工程において、ガラス成形体を徐冷、冷却した後に、ガラス成形体を第一成形型16(第二実施形態参照)から容易に離型することが可能となる。
【0092】
凹部10における矩形状の底面12は、四辺のうち、一辺12aがATRプリズム2の一方の側面9に露出し、他の一辺12bが他方の側面9に露出している。これにより、ATRプリズム2は、第二実施形態と比較して、底面12(第二反射面)の面積を大きく確保することができる。
【0093】
上記の構成の他、凹部10は、二つの露出面11と、第一壁面13a,13bに対応するように形成される二つの第二壁面15a,15bと、第一壁面13a,13bと第二壁面15a,15bとの間に形成される二つの支持面14と、を含む。二つの第一壁面13a,13bに対応する二つの第二壁面15a,15bは、支持面14に対して垂直でなくてもよく、
図14に示すように支持面14に対して角度θ5で傾斜してもよい。
【0094】
本実施形態におけるその他の構成は、第二実施形態と同じである。本実施形態において第二実施形態と共通する構成要素には、共通の符号を付している。
【0095】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0096】
上記の第二実施形態乃至第五実施形態では、入射部5及び出射部7が第二反射部6bと一体に形成されたATRプリズム2を例示したが、本発明はこの態様に限定されるものではない。入射部5又は出射部7は、他の反射部と一体に形成されてもよい。
【0097】
上記実施形態における入射部5及び出射部7の各表面には、反射防止膜が設けられていてもよい。
【0098】
上記の実施形態では、凹部10が被覆部材8によって覆われたATRプリズム2を例示したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。ATRプリズム2は、被覆部材8を備えることなく、測定装置1に組み込まれてもよい。測定装置1においてATRプリズム2を支持部材によって支持する場合には、例えば、第二表面2bの露出面の一部(反射面を除く部分)に支持部材を接触させてもよい。
【0099】
第四実施形態及び第五実施形態で例示したATRプリズム2の凹部10は、第一実施形態に係るATRプリズム2に形成されてもよい。
【0100】
上記の実施形態では、第二表面2bに凹部10が形成されたATRプリズム2を例示したが、本発明はこの構成に限定されない。凹部10は、第一表面2aに形成されてもよい。この場合には、第二表面2bが試料Sに接触する接触面となり、第一表面2aが試料Sに接触しない非接触面となる。
【符号の説明】
【0101】
1 測定装置
2 ATRプリズム
2a 第一表面
2b 第二表面
3 光源
4 受光部
5 入射部
5a 傾斜面
6a 第一反射部(第一全反射面)
6b 第二反射部
6c 第三反射部
6d 第四反射部
7 出射部
7a 傾斜面
8 被覆部材
9 側面
10 凹部
11 露出面
12 凹部の底面(第二全反射面)
12a 一辺
12b 他の一辺
13a 凹部の第一壁面
13b 凹部の第一壁面
13c 凹部の第一壁面
13d 凹部の第一壁面
14 支持面
15a 第二壁面
15b 第二壁面
15c 第二壁面
15d 第二壁面
16 第一成形型
16a 成形面
17 第二成形型
17a 成型面
17b 露出面成型部
17c 底面成形部
17d 第一壁面成形部
17e 支持面成形部
17f 第二壁面成形部
18 第三成形型
18a 成形面
18b 成形面
19 第四成形型
19a 第一筒部
19b 第二筒部
20 母材ガラス
S 試料(測定対象物)
T 厚さ寸法
W 幅寸法
T1 厚さ
D 深さ
D1 離間距離
L1 長さ寸法
L2 長さ寸法
L3 長さ寸法
W 幅寸法
W1 幅寸法
θ1 傾斜角度
θ2 傾斜角度
θ3 傾斜角度
θ4 傾斜角度
θ5 傾斜角度