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特開2023-41467光電変換モジュールの解体方法、切断補助具及び切断システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041467
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】光電変換モジュールの解体方法、切断補助具及び切断システム
(51)【国際特許分類】
   B09B 5/00 20060101AFI20230316BHJP
   H02S 30/10 20140101ALI20230316BHJP
   H01L 31/042 20140101ALI20230316BHJP
【FI】
B09B5/00 Z ZAB
H02S30/10
H01L31/04 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148858
(22)【出願日】2021-09-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「太陽光発電主力電源化推進技術開発/太陽光発電の長期安定電源化技術開発」共同研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187218
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 宏光
(72)【発明者】
【氏名】石丸 寛典
(72)【発明者】
【氏名】戸浦 洋二
【テーマコード(参考)】
4D004
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
4D004AA23
4D004BA05
4D004BA07
4D004CA02
4D004CA12
4D004CB12
5F151BA14
5F151JA09
5F251BA14
5F251JA09
(57)【要約】
【課題】より小さな力でフレームを取り外すことが可能な光電変換モジュールの解体方法を提供する。
【解決手段】光電変換モジュール10は、パネル100と、パネルの側部に沿って設けられた複数のフレーム220と、互いに隣接するフレームどうしを連結する連結具300と、を有する。光電変換モジュールの解体方法は、連結具を切断する切断ステップと、切断ステップの実施後にフレームに外力を加えることによってパネルからフレームを外すフレーム分離ステップと、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルと、前記パネルの側部に沿って設けられた複数のフレームと、互いに隣接する前記フレームどうしを連結する連結具と、を有する光電変換モジュールの解体方法であって、
前記連結具を切断する切断ステップと、
前記切断ステップの実施後に前記フレームに外力を加えることによって前記パネルから前記フレームを外すフレーム分離ステップと、を有する、光電変換モジュールの解体方法。
【請求項2】
前記切断ステップにおいて、前記パネルを切断することなく前記連結具を切断する、請求項1に記載の光電変換モジュールの解体方法。
【請求項3】
前記フレームは、前記パネルから離れる方に向かって延びた脚部を有し、
前記連結具は、前記脚部に設けられており、
前記切断ステップは、前記脚部の、前記パネルから最も遠い端部から前記連結具に向かってカッターを移動させることを含む、請求項1又は2に記載の光電変換モジュールの解体方法。
【請求項4】
カッターを互いに隣接する前記フレームどうしの間の境界に沿わせつつ、前記カッターを前記光電変換モジュールの高さ方向に移動させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の光電変換モジュールの解体方法。
【請求項5】
光電変換モジュールにおける互いに隣接するフレームどうしを連結する連結具の切断に用いられる切断補助具であって、
前記連結具を切断可能なカッターを前記連結具の位置に合わせるガイド部を有する、切断補助具。
【請求項6】
互いに隣接する前記フレームどうしの連結部を下から支える板面を有し、
前記ガイド部は、前記板面に交差する高さ方向に延びた隙間であってカッターを導入可能な隙間によって構成されている、請求項5に記載の切断補助具。
【請求項7】
前記隙間は、前記高さ方向において、前記板面よりも上方の位置で終端している、請求項6に記載の切断補助具。
【請求項8】
前記光電変換モジュールを前記板面に向けて押圧可能な押圧機構を有する、請求項6又は7に記載の切断補助具。
【請求項9】
前記板面に交差する方向に延びた一対の側板を有し、
前記一対の側板は、互いに隣接する前記フレームどうしの角度に合わせた角度で設けられている、請求項5から8のいずれか1項に記載の切断補助具。
【請求項10】
請求項5から8のいずれか1項に記載の切断補助具と、カッターと、を含む、切断システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換モジュールの解体方法、切断補助具及び切断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素の排出量の削減の施策に伴い、再生可能エネルギーの一つである、太陽電池モジュールのような光電変換モジュールの普及の増加が見込まれている。現在、太陽電池モジュールは、廃棄の際に解体されてリサイクルされることが検討されている。
【0003】
太陽電池モジュールは、一般的に、光エネルギーを電気エネルギーに変換する平板状の太陽電池パネル(光電変換パネル)と、太陽電池パネルの外周端部に設けられたフレームと、を含む(下記の特許文献1及び特許文献2参照)。フレームは、太陽電池パネルの外周端部が嵌合される嵌合部を有する。太陽電池パネルの外周部が嵌め込まれたフレームの嵌合部内に接着材(シール材)が充填されることによって、太陽電池パネルは、フレームに強固に接着されている。
【0004】
複数のフレームが太陽電池パネルの外周端部を取り囲んでいる。互いに隣接するフレームは、ボルトのような締結部材や、フレームの中空部内に圧入されるコーナーピースのような連結具によって、互いに連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-116363号公報
【特許文献2】特開2010-199147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、光電変換モジュールの解体時にフレームに強い押圧力が加えられ、これにより、フレームは無理矢理パネルから引き剥がされる。しかしながら、フレームどうしを連結する連結具の連結力に抗ってフレームをパネルから取り外す必要があるため、フレームに非常に大きな力を加える必要がある。この場合、フレームに固定されたパネルの端部にも強い力が加わり、パネルの端部が解体中に割れることもある。パネルの端部が解体中に割れると、パネルの端部がフレームに固着したまま残存することがある。
【0007】
したがって、より小さな力でフレームを取り外すことが可能な光電変換モジュールの解体方法、切断補助具及び切断システムが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る光電変換モジュールの解体方法は、パネルと、前記パネルの側部に沿って設けられた複数のフレームと、互いに隣接する前記フレームどうしを連結する連結具と、を有する光電変換モジュールの解体方法に関する。当該解体方法は、前記連結具を切断する切断ステップと、前記切断ステップの実施後に前記フレームに外力を加えることによって前記パネルから前記フレームを外すフレーム分離ステップと、を有する。
【0009】
一態様に係る切断補助具は、光電変換モジュールにおける互いに隣接するフレームどうしを連結する連結具の切断に用いられる切断補助具である。当該切断補助具は、前記連結具を切断可能なカッターを前記連結具の位置に合わせるガイド部を有する。
【0010】
一態様に係る切断システムは、上記の切断補助具と、カッターと、を有する。
【発明の効果】
【0011】
上記態様によれば、より小さな力でフレームを取り外すことが可能な光電変換モジュールの解体方法、切断補助具及び切断システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一態様に係る光電変換モジュールの斜視図である。
図2図1の2A-2A線に沿った光電変換モジュールの断面図である。
図3】裏面側から見た光電変換モジュールの平面図である。
図4】光電変換モジュールの角部付近を裏側から見た拡大斜視図である。
図5図3及び図4の5A-5A線に沿った断面図である。
図6】一態様に係る連結具の斜視図である。
図7】第1実施形態に係る切断ステップを説明するための模式的平面図である。
図8】第1実施形態に係る切断ステップを説明するための模式的側面図である。
図9】第1実施形態に係るフレーム分離ステップを説明するための模式図である。
図10図9に続く状態を説明するための模式図である。
図11】フレーム分離ステップにおいてフレームへ外力を加える位置の例を説明するための模式図である。
図12】一態様に係る切断補助具の模式的平面図である。
図13】一態様に係る切断補助具の模式的斜視図である。
図14図12の矢印14A方向から見た切断補助具の模式的平面図である。
図15図12の15A-15A線に沿った切断補助具の模式的断面図である。
図16】切断補助具とともに使用されるカッターの模式的斜視図である。
図17】第2実施形態に係る光電変換モジュールの斜視図である。
図18図17の領域18Aの拡大斜視図である。
図19】第2実施形態に係る切断ステップにおける切断位置の一例を説明するための模式図である。
図20】第2実施形態に係る切断ステップにおける切断位置の別の例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。以下の図面において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがあることに留意すべきである。
【0014】
[光電変換モジュール]
図1は、一態様に係る光電変換モジュールの斜視図である。図2は、図1の2A-2A線に沿った光電変換モジュールの断面図である。図3は、裏面側から見た光電変換モジュールの平面図である。なお、図3において、フレームの内部に設けられた連結具は、光電変換モジュールから見えないが、説明のため点線によって示されている。図4は、光電変換モジュールの角部付近を裏側から見た拡大斜視図である。図5は、図3及び図4の5A-5A線に沿った断面図である。図6は、一態様に係る連結具の斜視図である。
【0015】
光電変換モジュール10は、例えば、光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池モジュールであってよい。このような太陽電池モジュールは、例えば、建造物の屋根や壁面のような屋外に設置されていてよい。
【0016】
光電変換モジュール10は、平板状のパネル100と、フレーム構造体200と、を有する。パネル100は、光エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する光電変換素子を含んでいてよい。本実施形態では、パネル100は、パネル100の表面に直交する方向(高さ方向)から見て、略四角形状である。なお、高さ方向は、図のZ方向に相当する。
【0017】
フレーム構造体200は、パネル100の周囲に取り付けられており、パネル100の側部に沿って設けられている。フレーム構造体200は、少なくとも、互いに連結された複数のフレーム220を有していてよい。フレーム220は、パネル100の縁辺に沿って設けられている。
【0018】
図1に示す例では、2つのフレーム220がパネル100の第1縁辺に沿った第1方向(以下、「横方向」と称することもある。)に延びており、残りの2つのフレーム220がパネル100の上記第1縁辺に隣接する第2縁辺に沿った第2方向(以下、「縦方向」と称することもある。)に延びている。ここで、横方向は図のX方向に相当し、縦方向は図のY方向に相当する。第1方向(横方向)と第2方向(縦方向)は、互いに交差する方向であればよく、好ましくは互いに直交する方向であってよい。
【0019】
互いに隣接するフレーム220は、フレーム220の端部のところで互いに連結されている。図1に示す例では、4つのフレーム220が互いに連結されることによって略長方形状の枠が形成されている。
【0020】
各々のフレーム220は、保持部221、脚部222、側壁部223、フランジ224及びパネル受け入れ部225を有していてよい(特に図2参照)。保持部221、脚部222、側壁部223及びフランジ224は、フレーム220が延びている方向(延在方向)に沿って延びている。保持部221、脚部222、側壁部223及びフランジ224は、互いに一体不可分に成形されていてよい。
【0021】
パネル受け入れ部225は、保持部221と、側壁部223と、フランジ224とによって構成されていてよい。具体的には、パネル受け入れ部225は、フレーム220の延在方向に直交する断面において、略「C」の字型の形状を有する(図2参照)。これにより、パネル受け入れ部225は、パネル100の端部を受け入れ可能に構成されている。
【0022】
フランジ224は、側壁部223の上部から、パネル100の内側の方に向かって突出しており、パネル100の端部の表面を覆っている。保持部221は、側壁部223から、パネル100の内側の方に向かって突出しており、フランジ224と対向している。保持部221は、パネル100の端部を下方から支えるよう構成されている。
【0023】
パネル受け入れ部225の内部には、接着材229が充填されていてよい。これにより、パネル受け入れ部225は、パネル100の端部を受け入れた状態で、パネル100を保持することができる。
【0024】
接着材229は、フレーム220の延在方向においてパネル受け入れ部225全体に設けられていてもよく、フレーム220の延在方向におけるパネル受け入れ部225の一部の領域のみに設けられていてもよい。接着材229は、熱可塑性樹脂を含む接着材であってよい。このような接着材として、例えばシリコーン系の接着材やブチルゴム系の接着材などが挙げられる。
【0025】
脚部222は、保持部221から、パネル100から離れる方に向かって延びていてよい。すなわち、脚部222は、パネル受け入れ部225から、光電変換モジュールの裏側へ向かって延びていてよい。
【0026】
フレーム220は、中空部222hと、中空部222hを取り囲む壁部222a,222bと、を有している(図2及び図5参照)。中空部222hは、フレーム220の延在方向に沿って延びている。本実施形態では、中空部222hを取り囲む壁部222a,222bは、脚部222に設けられている。
【0027】
具体的には、中空部222hを取り囲む壁部、すなわち脚部222の構成する壁部は、光電変換モジュール10の外側に露出する外壁部222aと、光電変換モジュールの内側に向いた内壁部222bと、を有していてよい。外壁部222a及び内壁部222bは、保持部221から光電変換モジュールの裏側へ向かって延びていてよい。中空部222hは、外壁部222aと内壁部222bとの間の空間によって規定される。
【0028】
脚部222は、パネル100から最も遠いところでパネルの表面に沿った方に曲げられた端部222cを含んでいてよい。端部222cは、外壁部222aから光電変換モジュールの内側の方へ向かって、内壁部222bを超えて延びていてよい。
【0029】
脚部222の外壁部222aは、フレーム220の両端部のところで、隣接するフレーム220の外壁部222aと当接する(図1及び図4参照)。互いに隣接するフレーム220どうしが連結されているとき、フレーム220の中空部222hどうしは、位置合わせされて互いに連通する。
【0030】
光電変換モジュール10は、互いに隣接するフレーム220どうしを連結する連結具300を有する(図3図5及び図6参照)。連結具300は、フレーム220の脚部222に設けられていてよい。具体的には、連結具300は、フレーム220の中空部222hに挿入可能な形状を有する。具体的には、連結具300は、互いに隣接するフレーム220の両方の中空部222hにわたって挿入されている。連結具300は、パネル100の表面に直交する方向から見てL字形に曲げられていてよい。
【0031】
連結具300は、互いに隣接するフレーム220の両方の中空部222hに圧入されていてよい。これにより、互いに隣接するフレーム220は、連結具300によって互いに連結される。図6に示すように、連結具300は、中空部222hを取り囲む壁部、図示した態様では内壁部222bに圧接する複数の凸部310を有していてもよい。
【0032】
連結具300が凸部310を有する場合、内壁部222bは、必須ではないが、凸部310と係合する不図示の凹部を有していてもよい。
【0033】
光電変換モジュールの構成について図面を参照しつつ説明した。光電変換モジュールの構成は、上述した構成に限らず、以下の解体方法が適用できる限り、種々変更可能であることに留意されたい。
【0034】
[光電変換モジュールの解体方法]
[第1実施形態]
次に、図7から図11を参照し、光電変換モジュールの解体方法について説明する。図7は、第1実施形態に係る切断ステップを説明するための模式的平面図である。図8は、第1実施形態に係る切断ステップを説明するための模式的側面図である。図9は、第1実施形態に係るフレーム分離ステップを説明するための模式図である。図10は、図9に続く状態を説明するための模式図である。図11は、フレーム分離ステップにおいてフレームへ外力を加える位置の例を説明するための模式図である。
【0035】
光電変換モジュールの解体方法は、必要に応じて実行する前処理ステップと、切断ステップと、フレーム分離ステップと、を有していてよい。光電変換モジュールの構成については前述したとおりである。
【0036】
(前処理ステップ)
まず、解体すべき光電変換モジュールを準備する。光電変換モジュールに備えられた不図示の端子ボックスのような付属品は、必要に応じて、予め取り外しておいてよい。この代わりに、当該付属品を取り外すことなく後述するステップを実行してもよい。
【0037】
(切断ステップ)
切断ステップでは、連結具300を切断する。具体的には、連結具300は、フレーム220がパネル100に取り付けられている状態で切断される。連結具300は、フレーム220と一緒に切断されてもよい。
【0038】
連結具300の切断は、互いに連結されているフレーム220の連結部又は連結部付近にカッター500を挿入することによって実施できる(図7及び図8参照)。本実施形態では、図7に示すように、カッター500による切断位置C(図7の太い点線)は、フレーム220の連結部に位置している。
【0039】
切断位置Cは、連結具300を切断可能である限り、どの位置であってもよい。好ましくは、切断位置Cは、互いに隣接するフレーム220どうしの間の境界に沿った位置である。図7に示すように、互いに隣接するフレーム220どうしのすべての連結部において、連結具300が切断されることが好ましい。
【0040】
切断ステップにおいて、連結具300はパネル100を切断することなく切断されることが好ましい。例えば、切断ステップは、脚部222の、パネル100から最も遠い端部222cから連結具300に向かってカッター500を移動させることを含む(図8参照)。カッター500を、脚部222の端部222cからパネル100に達する前までの領域(図8の領域A1)まで移動させることによって、パネル100を切断することなく連結具300を切断することができる。この場合、カッター500は、パネル100の位置、すなわち図8の領域A2の位置に達しない。これにより、切断ステップ中におけるパネル100の割れを抑制することができる。
【0041】
(フレーム分離ステップ)
フレーム分離ステップでは、切断ステップの実施後にフレーム220に外力を加えることによってパネル100からフレーム220を外す。具体的には、フレーム220の保持部221がパネル100から離れる方に向かう力を受けるように、パネル100から離れる方向にフレーム220に外力Fを加える。連結具300が前述した切断ステップにおいて切断されているため、より小さな外力Fでフレーム220をパネル100から取り外すことができる。
【0042】
図9及び図10は、解体装置400を用いてフレーム220に外力Fを加える様子を示している。解体装置は、例えば、フレーム220を外側へ向けて押圧する押圧部410を有していてよい。
【0043】
図9及び図10に示すように、押圧部410は、光電変換モジュール10の中心から外側へ向けて移動し、フレーム220の内壁部222bに当接する。押圧部410は、光電変換モジュール10の中心から外側へ向けてさらに移動し、フレーム220の内壁部222bを外側へ向けて押圧する。この外力Fにより、フレーム220が、パネル100から外れる(図10参照)。なお、押圧部410は、手動により稼働するものであってもよく、自動的に稼働するものであってもよい。
【0044】
フレーム分離ステップにおいて、外力Fは、脚部222のうち、パネル100に直交する方向において、パネル100から最も遠い脚部222の端部222cと脚部222のパネル受け入れ部225との中間よりも、パネル受け入れ部225に近い位置に加えられることが好ましい。
【0045】
もし、外力が、パネル100から最も遠い脚部222の端部222c付近に加えられると、フレーム220はパネル受け入れ部225付近を中心として回転するような力を受ける。これにより、パネル受け入れ部225付近のパネル100は、フレーム220のフランジ224から折り曲げられる方向に力を受ける。そのため、パネル100が割れ、パネル100の一部が、パネル受け入れ部225に残存することがある。上記の態様では、外力Fは、脚部222のパネル受け入れ部225付近に加えられるため、パネル100の割れが抑制され、パネル100の材料がフレーム220から綺麗に分離され易い。このことは、光電変換モジュール10を構成する材料のリサイクルにとって有効である。
【0046】
前述した態様の代わりに、パネル100が割れ難い場合には、外力Fは、パネル100から最も遠い脚部222の端部222c付近に加えられてもよいし、高さ方向において脚部222の中央付近に加えられてもよい。
【0047】
フレーム分離ステップにおいて、外力Fは、脚部222の外壁部222aを背板480で保持した状態で、脚部222の内壁部222bに加えられてもよい。背板480は、図8及び図9に示すように、少なくとも脚部222の外壁部222aに当接していてもよい。背板480は、脚部222の端部222c及びフランジ224に沿うように略U字形の形状であってもよい(図9及び図10参照)。
【0048】
背板480は、フレーム220を外側から支えることによって、外力Fによるフレーム220の回転を抑制するために用いられる。すなわち、背板480は、パネル受け入れ部225付近のパネル100が、フレーム220のフランジ224から折り曲げられる方向に力を受けることを抑制する。したがって、パネル100の割れが抑制され、パネル100の材料がフレーム220から綺麗に分離され易くなる。
【0049】
前述した態様の代わりに、パネル100が割れ難い場合には、フレーム分離ステップにおいて、背板480は不要である。
【0050】
次に、フレーム分離ステップにおいてフレーム220へ外力を加える位置の例を、図11を参照して説明する。フレーム分離ステップにおいて、外力Fは、フレーム220の延在方向において、フレーム220の中心とフレームの端部との中間よりも、フレーム220の端部に近い位置に与えられることが好ましい。言い換えると、外力Fは、フレーム220の端部から、フレーム220の長さの1/4の長さの範囲(図10の符号L1の領域)に与えられることが好ましい。この場合、外力Fは、フレーム220の端部付近に作用する。
【0051】
外力Fは、フレーム220の一方の端部付近に加えられた後に、フレーム220のもう一方の端部付近に加えられてもよい。この場合、フレーム220の一方の端部付近がパネル100から外れた後に、フレーム220のもう一方の端部付近がパネル100から外れる。この代わりに、外力Fは、フレーム220の両端部付近に同時に加えられてもよい。
【0052】
前述した方法により、すべてのフレーム220をパネル100から取り外せばよい。また、上述した態様では、解体装置400の押圧部410によってフレーム220をパネル100から外している。この代わりに、可能であれば、人の手によってフレーム220をパネル100から取り外してもよい。
【0053】
(切断装置及び切断補助具)
次に、切断補助具及び切断装置について図12図16を参照して説明する。切断補助具及び切断装置は、上述した切断ステップにおいて連結具を切断するために用いられる。
【0054】
図12は、一態様に係る切断補助具の模式的平面図である。図12では、切断補助具が取り付けられた光電変換モジュールの一部が点線によって示されている。図13は、一態様に係る切断補助具の模式的斜視図である。図14は、図12の矢印14A方向から見た切断補助具の模式的平面図である。図15は、図12の15A-15A線に沿った切断補助具の模式的断面図である。図15では、説明のため、切断補助具とともに光電変換モジュールの一部が示されている。図16は、切断補助具とともに使用される切断装置の模式的斜視図である。
【0055】
解体補助具600は、光電変換モジュール10における互いに隣接するフレーム220どうしを連結する連結具300の切断に用いられる。解体補助具600は、板面610と、ガイド部620と、一対の側板630と、押圧機構640と、天板650と、を有していてよい。板面610は、光電変換モジュール10の少なくとも一部を下方から支持可能に構成されている。具体的には、板面610は、互いに隣接するフレーム220どうしの連結部を下から支えるよう構成されていてよい。
【0056】
一対の側板630は、板面610に立設されていてよい。言い換えると、一対の側板630は、板面610に交差する方向に延びていてよい。好ましくは、一対の側板630は、互いに隣接するフレーム220どうしの角度に合わせた角度で設けられている。すなわち、一対の側板630は、互いに隣接するフレーム220のそれぞれに沿って延びている。一対の側板630は、板面610と天板との間に設けられていてよい。
【0057】
図12及び図15に示すように、光電変換モジュール10の角部、すなわち互いに隣接するフレーム220どうしの連結部が、板面610上に設置される。この際、互いに隣接するフレーム220は、一対の側板630に沿って配置される。互いに隣接するフレーム220は、一対の側板630に当接して配置されてもよい。
【0058】
天板650は、板面610と略平行な板によって構成されていてよい。光電変換モジュール10の角部、すなわち互いに隣接するフレーム220どうしの連結部は、板面610と天板650との間に設置される。
【0059】
切断補助具600は、光電変換モジュール10を板面610に向けて押圧可能な押圧機構640を有していてよい。押圧機構640は、レバー642と、押圧部644と、を有していてよい。レバー642は、螺子部646により押圧部644と連結されていてよい。
【0060】
レバー642は天板650よりも上方に設けられており、押圧部644は天板650よりも下方に設けられている(図15参照)。螺子部646は、天板650を通って押圧部644とレバー642を連結している。押圧部644は、レバー642を回すことによって、天板650に対して上下に移動可能に構成されている。これにより、押圧部644は、板面610上に置かれたフレーム220の脚部の端部222cを、板面610に向けて押圧できる。これにより、光電変換モジュール10が切断補助具600にしっかりと固定される。
【0061】
ガイド部620は、連結具300を切断可能なカッター500を連結具300の位置に合わせるよう構成されている。具体的には、ガイド部620は、板面610に交差する高さ方向に延びた隙間であってカッター500を導入可能な隙間によって構成されている。一対の壁部622が、ガイド部620を構成する隙間を挟んで設けられている。この隙間の位置に、光電変換モジュール10の互いに隣接するフレーム220どうしの連結部が配置される。
【0062】
高さ方向の上方からガイド部620としての隙間にカッター500を導入することによって、カッター500を、切断補助具600に取り付けた光電変換モジュール10のフレーム220に押し当てることができる。具体的には、カッター500は、上述したように、フレーム220どうしを連結する連結具300を切断することができる。
【0063】
ガイド部620としての隙間は、高さ方向において、板面610よりも上方の位置で終端していることが好ましい(図14参照)。具体的には、当該隙間の下端と板面610との間の距離Gは、脚部220のフランジ224から保持部221までの距離以上であることが好ましい。これにより、カッター500がガイド部620としての隙間の下端まで導入されたとしても、カッター500はパネル100に当たらない。これにより、パネル100を切断することなく、連結具300を切断することができる。
【0064】
なお、カッター500は、連結具300を切断することができれば、どのようなものであってもよい。図16は、カッターの一例としてレシプロソーが示されている。レシプロソーは、当接部510及びカッター500を含む。この場合、切断補助具600は、レシプロソーの当接部510に当接する被当接部660を有していてよい(図13及び図14参照)。ガイド部620としての隙間は、被当接部660にレシプロソーの当接部510が当接した状態で、カッター500が導入可能な位置に設けられていてよい。
【0065】
カッター500と切断補助具600の組み合わせは、本発明の切断システムを構成することに留意されたい。すなわち、切断システムは、上記の切断補助具600と、切断補助具600とともに使用されるカッター500と、を含む。
【0066】
上述した態様では、カッター500は、切断補助具600とは別個の器具である。この代わりに、上述した切断補助具600とカッター500が一体化された切断システムが、上述した切断ステップで用いられてもよい。
【0067】
次に、第2実施形態に係る光電変換モジュールの解体方法について、図17図20を用いて説明する。図17は、第2実施形態に係る光電変換モジュールの斜視図である。図18は、図17の領域18Aの拡大斜視図である。図19は、第2実施形態に係る切断ステップにおける切断位置の一例を説明するための模式図である。図20は、第2実施形態に係る切断ステップにおける切断位置の別の例を説明するための模式図である。
【0068】
第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同一の符号が付されている。また、第1実施形態と同様の構成については、その説明を省略することがあることに留意されたい。
【0069】
第2実施形態では、光電変換モジュール10の構成、具体的は連結具300と連結具300付近のフレーム220の構成が、第1実施形態と異なっている。第2実施形態において、連結具300は、ボルトのような締結部材によって構成されている。すなわち、互いに隣接するフレーム220は、ボルトのような締結部材によって連結されている。
【0070】
具体的には、光電変換モジュール10の角部において、フレーム220は締結部材を通す孔部226を有する(図18参照)。締結部材を通す孔部は、互いに隣接するフレーム220の両方に設けられている。締結部材が、互いに隣接するフレーム220の両方の孔部226に通されることによって、フレーム220どうしが連結されている。
【0071】
光電変換モジュールの解体方法は、必要に応じて実行する前処理ステップと、切断ステップと、フレーム分離ステップと、を有していてよい。前処理ステップ及びフレーム分離ステップについては第1実施形態と同様に実施できる。
【0072】
第2実施形態において、切断ステップは第1実施形態と同様に実施できる。具体的には、連結具300の切断は、互いに連結されているフレーム220の連結部又は連結部付近にカッター500を挿入することによって実施できる(図19及び図20参照)。
【0073】
図19に示す例では、カッター500は、フレーム220に対して斜めに角度を付けた状態で、フレーム220とともに連結具300を切断する(図19の符号Cを参照)。この場合であっても、フレーム220どうしの連結力が低下するため、フレーム分離ステップにおいて、フレームをパネルから引き離すための外力Fを小さくすることができる。
【0074】
図20に示す例では、カッター500は、連結具300としての締結部材が延びる方向に直交する向きで、フレーム220とともに連結具300を切断する(図20の符号Cを参照)。この場合、切断位置Cは、互いに隣接するフレーム220どうしの間の境界に沿った位置となる。この場合、連結具300としての締結部材による締結力は機能しなくなるため、フレーム分離ステップにおいて、フレームをパネルから引き離すための外力Fをより小さくすることができる。
【0075】
第2実施形態においても、切断ステップにおいて、連結具300はパネル100を切断することなく切断されることが好ましい。また、第2実施形態においても、上述した連結補助具600やカッター500が利用できることに留意されたい。図20に示すように切断位置Cが異なる場合には、連結補助具600のガイド部620としての隙間の位置を切断位置Cに応じて変更すれば良い。
【0076】
上述したように、実施形態を通じて本発明の内容を開示したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。したがって、本発明の技術的範囲は、上述の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0077】
10 光電変換モジュール
100 パネル
220 フレーム
222 脚部
300 連結具
500 カッター
600 連結補助具
620 ガイド部
図1
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