(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041469
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20230316BHJP
【FI】
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148861
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】太田 良純
(72)【発明者】
【氏名】栗城 新吾
(72)【発明者】
【氏名】秋山 貴
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA42
5F142AA56
5F142BA32
5F142CA11
5F142CD02
5F142CD18
5F142CD44
5F142CD47
5F142CD49
5F142CG06
5F142DB24
5F142FA30
(57)【要約】
【課題】キャビティ構造の筐体を使用し、且つ、狭ピッチで配置された配線パターン上に発光素子を実装可能な発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置1は、凹状の収容部が形成されたセラミックス製の筐体10と、収容部に配置され、第1配線パターン11及び第2配線パターン12と、第1配線パターンに接続される第3配線パターン31及び第2配線パターンに接続される第4配線パターン32を有し、収容部に配置される配線基板13と、配線基板の表面に配置されると共に、第3配線パターン及び第4配線パターンに接続される発光素子14と、収容部を密封する密封部材16とを有し、第1配線パターンの間、第2配線パターンの間、及び第1配線パターンと第2配線パターンとの間の最小の離隔距離である第1離隔距離は、第3配線パターンの間、第4配線パターンの間、及び第3配線パターンと第4配線パターンとの間の最小の離隔距離である第2離隔距離よりも長い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹状の収容部が形成されたセラミックス製の筐体と、
前記筐体に配置される一対の電極と、
前記収容部に配置され、前記一対の電極のそれぞれに接続される第1配線パターン及び第2配線パターンと、
第1配線パターンに接続される第3配線パターン及び第2配線パターンに接続される第4配線パターンを有し、前記収容部に配置される配線基板と、
前記第3配線パターンに接続されるアノード及び前記第4配線パターンに接続されるカソードを有し、前記配線基板の表面に配置され、前記一対の電極に電圧が印加されることに応じて光を出射する発光素子と、
前記発光素子から出射される光を透過すると共に、前記収容部を密封する密封部材と、を有し、
前記第1配線パターンの間、前記第2配線パターンの間、及び前記第1配線パターンと前記第2配線パターンとの間の最小の離隔距離である第1離隔距離は、前記第3配線パターンの間、前記第4配線パターンの間、及び前記第3配線パターンと前記第4配線パターンとの間の最小の離隔距離である第2離隔距離よりも長い、
ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記アノードの間、前記カソードの間、及び前記アノードと前記カソードとの間の最小の離隔距離である第3離隔距離は、前記第1離隔距離よりも短く、前記第2離隔距離よりも長い、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記筐体は、平板状の基部と、基部の表面の外縁に沿って配置される枠状の壁部とを有し、
前記配線基板の厚さは、前記基部の厚さよりも薄い、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記配線基板は、前記第3配線パターン及び前記第4配線パターンが配置され、平面視したときに前記第1配線パターン及び前記第2配線パターンが視認可能なように一対の切欠きが形成される基台を更に有し、
前記第3配線パターンは、前記一対の切欠きの一方を介して前記第1配線パターンにボンディングワイヤによって接続され、
前記第4配線パターンは、前記一対の切欠きの他方を介して前記第2配線パターンにボンディングワイヤによって接続される、請求項1に記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤色光、緑色光、青色光を出射する発光装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に記載される発光装置では、発光素子は、セラミックス基板上に高密度に実装されるので、発光径が小さい光を発光できると共に、発光に伴う発熱による影響を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される発光装置では、セラミックス基板及び金属枠により形成される収容部に発光素子が収容されるため、セラミックス基板及び金属枠を樹脂材によって覆うことで、収容部の気密性の低下が防止される。しかしながら、特許文献1に記載される発光装置は、気密性の低下を防止するために、樹脂材によってセラミックス基板及び金属枠を覆うため、小型化が容易ではない。
【0005】
平面状の基部及び基部の表面の外縁に沿って配置される枠状の壁部により凹状の収容部が形成されたキャビティ構造のセラミックス基板を筐体として使用することで、樹脂材によって外枠を覆うことなく気密性が高い発光装置が形成可能である。しかしながら、キャビティ構造のセラミックス基板では、キャビティ構造形成後にフォトリソグラフィ法による配線パターン形成をするにはレジストを塗布する必要があるがキャビティ構造によりレジストを均一に塗布するのは困難である。したがって、配線パターンは、キャビティ形成前のグリーンシート上に印刷法により形成する必要がある。印刷法はスクリーン印刷が一般的でフォトリソグラフィ法に比べて限界配線幅が太く、配線ピッチも広い。また、キャビティ形成前の焼成前に形成するため、焼成中に構造が変化して配線パターン間に短絡が発生するおそれがあり、配線ピッチをその分広げる必要がある。一方、発光素子の小型化に伴って、狭ピッチで配置された配線パターン上に発光素子を配置することが望まれるが、キャビティ構造のセラミックス基板に狭ピッチで配置された配線パターンを形成することは容易ではない。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するものであり、キャビティ構造の筐体を使用し、且つ、狭ピッチで配置された配線パターン上に発光素子を実装可能な発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発光装置は、凹状の収容部が形成されたセラミックス製の筐体と、筐体に配置される一対の電極と、収容部に配置され、一対の電極のそれぞれに接続される第1配線パターン及び第2配線パターンと、第1配線パターンに接続される第3配線パターン及び第2配線パターンに接続される第4配線パターンを有し、収容部に配置される配線基板と、第3配線パターンに接続されるアノード及び第4配線パターンに接続されるカソードを有し、配線基板の表面に配置され、一対の電極に電圧が印加されることに応じて光を出射する発光素子と、発光素子から出射される光を透過すると共に、収容部を密封する密封部材とを有し、第1配線パターンの間、第2配線パターンの間、及び第1配線パターンと第2配線パターンとの間の最小の離隔距離である第1離隔距離は、第3配線パターンの間、第4配線パターンの間、及び第3配線パターンと第4配線パターンとの間の最小の離隔距離である第2離隔距離よりも長い。
【0008】
さらに、本発明に係る発光装置では、アノードの間、カソードの間、及びアノードとカソードとの間の最小の離隔距離である第3離隔距離は、第1離隔距離よりも短く、第2離隔距離よりも長いことが好ましい。
【0009】
さらに、本発明に係る発光装置では、筐体は、平板状の基部と、基部の表面の外縁に沿って配置される枠状の壁部とを有し、配線基板の厚さは、基部の厚さよりも薄いことが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係る発光装置では、配線基板は、第3配線パターン及び第4配線パターンが配置され、平面視したときに第1配線パターン及び第2配線パターンが視認可能なように一対の切欠きが形成される基台を更に有し、第3配線パターンは、一対の切欠きの一方を介して第1配線パターンにボンディングワイヤによって接続され、第4配線パターンは、一対の切欠きの他方を介して第2配線パターンにボンディングワイヤによって接続されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る発光装置は、キャビティ構造の筐体を使用し、且つ、狭ピッチで配置された配線パターン上に発光素子を実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る発光装置の斜視図である。
【
図4】
図1に示す配線基板、発光素子及び過電圧保護素子を除去した状態の収容部の平面図である。
【
図5】(a)は配線基板の平面図であり、(b)は配線基板の底面図である。
【
図7】
図1に示す発光装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る発光装置の斜視図である。
【
図10】第1変形例に係る発光装置の平面図である。
【
図11】第2変形例に係る発光装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る発光装置について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
(第1実施形態に係る発光装置の構成および機能)
図1は第1実施形態に係る発光装置の斜視図であり、
図2は
図1に示す収容部の平面図であり、
図3は
図2に示すA-A線に沿う断面図である。
【0015】
発光装置1は、筐体10と、第1配線パターン11と、第2配線パターン12と、配線基板13と、発光素子14と、過電圧保護素子15と、密封部材16と、第1電極17と、第2電極18とを有する。発光装置1は、第1電極17と第2電極18との間に電圧が印加されることに応じて、光を出射する。
【0016】
筐体10は、光で劣化しにくく、熱伝導率が高い絶縁部材である窒化アルミ(AlN)等のセラミックスにより形成される高温焼成積層セラミックス(High Temperature Co-fired Ceramics、HTCC)部材、又はセラミックスにガラス等が含有された低温焼成積層セラミックス(Low Temperature Co-fired Ceramics、LTCC)部材である。筐体10は、平板状の基部10aと、基部10aの表面の外縁に沿って配置される枠状の壁部10bと、第1貫通電極10cと、第2貫通電極10dとを有する。筐体10は、平面状の基部10a及び基部10aの表面の外縁に沿って配置される枠状の壁部10bによって凹状の収容部19が形成されるキャビティ構造を有する。筐体10は、基部10a及び壁部10bの焼成前のグリーンシートを一体化して焼成することで、一体成形される。
【0017】
第1貫通電極10c及び第2貫通電極10dは、基部10aの表面と裏面との間を貫通する貫通孔に配置され、銅等の導電性部材で形成される。第1貫通電極10cは第1配線パターン11と第1電極17とを接続し、第2貫通電極10dは第2配線パターン12と第2電極18とを接続する。
【0018】
第1配線パターン11及び第2配線パターン12は、基部10aの表面に配置される。第1配線パターン11及び第2配線パターン12は、銅(Cu)等の導電性薄膜である基層、及び基層上に積層されるメッキ層により形成される。メッキ層は、ニッケル(Ni)層、ニッケル層上に積層されるパラジム(Pd)層、及びパラジム層上に積層される金(Au)層により形成される。
【0019】
図4は、配線基板13、発光素子14及び過電圧保護素子15を除去した状態の収容部19の平面図である。
【0020】
第1配線パターン11は、第1基部21と、第1突起部22を有する。第1基部21は、矩形の平面形状を有し、一対の短辺、及び一対の長辺の一方は、筐体10の壁部10bの内壁に対向するように配置される。第1突起部22は、矩形の平面形状を有し、第1基部21の一対の長辺の他方の中央部に、第2配線パターン12に向かって突出するように配置される。第2配線パターン12は、第2基部23と、第2突起部24とを有し、第1配線パターン11と線対称となる平面形状を有する。
【0021】
第1配線パターン11及び第2配線パターン12は、基部10aの焼成前のグリーンシートに配置されるため、同一の配線ルールに基づいて配置される。第1配線パターン11及び第2配線パターン12の配線幅、配線間の離隔距離、及び配線ピッチは、焼成後、第1配線パターン11及び第2配線パターン12に断線及び短絡が発生しないように、比較的長くなる。
【0022】
第1配線パターン11の間、第2配線パターン12の間、及び第1配線パターン11と第2配線パターン12との間の最小の離隔距離である第1離隔距離D1は、第1突起部22と第2突起部24との間の距離である。
【0023】
図5(a)は配線基板13の平面図であり、
図5(b)は配線基板13の底面図である。
【0024】
配線基板13は、基台30と、第3配線パターン31と、第4配線パターン32と、第5配線パターン33と、第6配線パターン34と、第1内部電極35と、第2内部電極36とを有する。基台30は、光で劣化しにくく、熱伝導率が高い絶縁部材である窒化アルミ(AlN)等のセラミックスにより形成されるHTCC基板、又はセラミックスにガラス等が含有されたLTCC基板であり、矩形の平面形状を有する。基台30の厚さは、筐体10の基部10aの厚さよりも薄い。基台30は、第3配線パターン31及び第4配線パターン32は基台30の表面に配置され、第5配線パターン33及び第6配線パターン34は基台30の裏面に配置される。
【0025】
第3配線パターン31、第4配線パターン32、第5配線パターン33及び第6配線パターン34は、銅等の導電性部材で形成された薄膜である。第3配線パターン31は、第4配線パターン32に向かって延伸する矩形状の5本の歯31aを有する櫛歯状の平面形状を有する。第4配線パターン32は、第3配線パターン31に向かって延伸する矩形状の6本の歯32aを有する櫛歯状の平面形状を有する。第3配線パターン31及び第4配線パターン32は、金(Au)及び錫(Sn)を含有する導電性の接続部材37を介して発光素子14に接続される。発光素子との接続ははんだや金バンプなどの導電性接着部材であればこれに限定されない。第5配線パターン33及び第6配線パターン34は、矩形の平面形状を有し、基台30の裏面に配置される。第5配線パターン33は接続部材37を介して第1配線パターン11の第1突起部22に接続され、第6配線パターン34は接続部材37を介して第2配線パターン12の第2突起部24に接続される。
【0026】
第3配線パターン31~第6配線パターン34は、同一の基台30に配置されるため、同一の配線ルールに基づいて配置される。第3配線パターン31~第6配線パターン34は、基台30の焼成後に配線層として金属層をメッキし、フォトリソ工程によりパターニングし配線パターンを形成するため、第1配線パターン11及び第2配線パターン12の配線ルールよりも細い配線ルールにより配置することができる。
【0027】
第3配線パターン31の間、第4配線パターン32の間、及び第3配線パターン31と第4配線パターン32との間の最小の離隔距離である第2離隔距離D2は、第3配線パターン31の歯31aと、第4配線パターン32の歯32aとの間の距離である。
【0028】
第3配線パターン31~第6配線パターン34の配線ルールに基づく最小離隔距離である第2離隔距離D2は、第1配線パターン11~第2配線パターン12の配線ルールに基づく最小離隔距離である第1離隔距離D1よりも短い。第2離隔距離D2は、第1離隔距離D1の半分以下であることが好ましく、第1離隔距離D1の1/4以下であることがより好ましく、第1離隔距離D1の1/10以下であることがより好ましい。
【0029】
第1内部電極35及び第2内部電極36は、銅等の導電性部材で形成され、基台30の表面から裏面に貫通する貫通孔に配置される。第1内部電極35は第3配線パターン31と第5配線パターン33との間を接続し、第2内部電極36は第4配線パターン32と第6配線パターン34との間を接続する。配線基板13は、細かい配線ルールで配線可能であり、第1内部電極35及び第2内部電極36を、発光素子14のアノード基部43、カソード接続面49に対向し、はみ出さない位置に配置することで、放熱経路を短くし、放熱性をアップさせると共に、平面視したときの配線基板13と発光素子14の面積を略同一にでき、小型化できる。つまり、配線基板13の裏面の少なくとも一部に重なる範囲で正負の電気経路を配置することができる。
【0030】
【0031】
発光素子14は、半導体層40と、アノード41と、カソード42とを有し、アノード41とカソード42との間に順方向電圧が印加されることに応じて光を出射するLEDダイであり、矩形の平面形状を有する。
【0032】
アノード41は、アノード基部43と、第1アノード接続面44と、第2アノード接続面45と、第3アノード接続面46と、第4アノード接続面47と、第5アノード接続面48とを有し、カソード42に向かって延伸する5個の歯を有する櫛状の平面形状を有する。アノード基部43は、矩形状の平面形状を有し、内側の長辺から5本の歯が互いに平行に延伸する。アノード基部43は絶縁膜(図示していない)で覆われていて、その一部を開口することで、第1アノード接続面44~第4アノード接続面48を形成している。第1アノード接続面44~第5アノード接続面48のそれぞれは、アノード基部43の長辺から延伸するアノード41の5つの歯に配置される。
【0033】
第1アノード接続面44~第5アノード接続面48のそれぞれは、接続部材37を介して第3配線パターン31に接続される。第1アノード接続面44~第5アノード接続面48は、リフローなどの加熱により接続部材37が溶解した後に固化することで、第3配線パターン31に接続される。
【0034】
カソード42は、アノード41の歯と互い違いに配置される歯を有する櫛型の平面形状を有し、アノード41と同様に絶縁膜を開口したカソード接続面49を有する。カソード接続面49はアノード基部43に対向する辺の両端の近傍に配置される。アノード41とカソード42は、互い違いに配置される歯を有し、発光素子14の裏面において、電流経路がほぼ均等になる形状であり、電流密度をほぼ一定にすることができるから、発光素子14内部からの光の取り出し効率が向上し、発光強度が向上している。なお、発光素子14は、小型化するため、アノード41とカソード42がかなり近接する形状になっている。
【0035】
アノード41の間、カソード42の間、及びアノード41とカソード42との間の最小の離隔距離である第3離隔距離D3は、アノード41とカソード42との間の距離である。第3離隔距離D3は、第1離隔距離D1よりも短く、第2離隔距離D2よりも長い。
【0036】
過電圧保護素子15は、アノード及びカソードを有するツェナーダイオードであり、ボンディングワイヤ15aを介して第1配線パターン11及び第2配線パターン12に接続される。過電圧保護素子15は、降伏電圧が印加されることに応じて電流を流し、発光素子14に過電圧が印加されることを防止する。なお、過電圧保護素子15は、発光素子14への過電圧の印加を防止可能なツェナーダイオード以外のバリスタ等の電子部品であってもよい。
【0037】
密封部材16は、ガラス等の光透過部材である。密封部材16は、金属接合等の合成樹脂によって形成された接着部材を使用しない接続方法によって壁部10bの上面に接合される。密封部材16が配置されることによって、密封される収容部19は、例えば真空状態であってもよく、窒素ガス及びアルゴンガス等の不活性ガスが充填されてもよい。
【0038】
第1電極17及び第2電極18は、銅等の導電性部材で形成され、基部10aの裏面に配置される裏面電極である。第1電極17は、第1貫通電極10c、第1配線パターン11、第5配線パターン33、第1内部電極35及び第3配線パターン31を介して発光素子14のアノード41に接続される。また、第1電極17は、第1貫通電極10c及び第1配線パターン11を介して過電圧保護素子15のアノードに接続される。第2電極18は、第2貫通電極10d、第2配線パターン12、第6配線パターン34、第2内部電極36及び第4配線パターン32を介して発光素子14のカソード42に接続される。また、第1電極17は、第2貫通電極10d及び第2配線パターン12を介して過電圧保護素子15のカソードに接続される。
【0039】
図7は、発光装置1の製造方法を示すフローチャートである。
【0040】
まず、筐体準備工程において、第1配線パターン11及び第2配線パターン12が表面に配置されると共に、密封部材16を接続する接続部材が壁部10bの上面に配置される筐体10が準備される(S101)。次いで、第1接続部材配置工程において、接続部材37が第1配線パターン11の第1突起部22及び第2配線パターン12の第2突起部24それぞれの表面に配置される(S102)。次いで、配線基板配置工程において、配線基板13が第1配線パターン11の第1突起部22及び第2配線パターン12の第2突起部24を覆うように配置される(S103)。次いで、第2接続部材配置工程において、接続部材37が、例えば、メタルマスクを使用した印刷方式によって、ほぼ均一な厚みになるように、配線基板13の第3配線パターン31及び第4配線パターン32の表面に配置される(S104)。
【0041】
次いで、素子配置工程において、発光素子14及び過電圧保護素子15が配置される(S105)。発光素子14は配線基板13の第3配線パターン31及び第4配線パターン32を覆うように配置され、過電圧保護素子15は第1配線パターン11と第2配線パターン12との間に配置される。リフローなどの加熱工程において、配線基板13、発光素子14及び過電圧保護素子15が配置された筐体10が加熱され(S106)、配線基板13、発光素子14及び過電圧保護素子15が固定される。次いで、ワイヤボンディング工程において、第1配線パターン11及び第2配線パターン12と過電圧保護素子15との間がボンディングワイヤ15aによって接続される(S107)。そして、密封部材配置工程において、密封部材16が筐体10の壁部10bの上面に接続される(S108)ことで、発光装置1は製造される。
【0042】
(第1実施形態に係る発光装置の作用効果)
発光装置1では、発光素子14は、基部10aの表面に配置される第1配線パターン11及び第2配線パターン12よりも細かい配線ルールで配置可能な第3配線パターン31及び第4配線パターン32を有する配線基板13を介して実装される。発光装置1では、発光素子14は、細かい配線ルールで配置可能な第3配線パターン31及び第4配線パターン32を有する配線基板13を介して実装されるので、狭ピッチで配置された配線パターンに実装することができる。
【0043】
また、発光装置1では、筐体10に形成された収容部19に発光素子14が収容されるので、発光素子14が収容される収容部19の気密性が低下するおそれは低い。
【0044】
また、発光装置1では、発光素子14は、櫛型のアノードを有するので、半導体多層膜40に均一性が高い電流を供給することができる。発光素子14は、細かい配線ルールで配置可能な第3配線パターン31にアノードが接続されるので、発光素子14が小型化した場合でも、櫛型のアノードに配線パターンを接続することができる。発光装置1は、配線基板13が、細かい配線ルールで配置可能な第3配線パターン31及び第4配線パターン32を有するから、発光素子14が有する細かい配線ルールで配置された第1アノード接続面44~第5アノード接続面48、カソード接続面49とを接続することができる。なお、発光素子14のカソード42のアノード41の歯と互い違いに配置される歯を有する櫛型の平面形状部分と、配線基板13の歯32aを、全面に渡って接続してもよい。配線基板13と発光素子14がより強固に接合できる。
【0045】
また、発光装置1では、配線基板13は、熱伝導率が高いセラミックス基板なので、発光素子14が発光するときに放出される熱が配線基板13及び筐体10を介して効率よく外部に放熱できる。また、発光装置1では、基台30の厚さは、筐体10の基部10aの厚さよりも薄いので、配線基板13を介して効率よく放熱できる。
【0046】
また、発光装置1では、過電圧保護素子15は、低コスト且つ接続が容易なボンディングワイヤを介して第1配線パターン及び前記第2配線パターンに接続されるので、過電圧保護素子15を低コスト且つ簡単に実装することができる。
【0047】
また、発光装置1では、過電圧保護素子15は、配線基板13を介することなく筐体10の表面に直接配置されるので、発光素子14よりも低い位置に配置することができる。発光装置1は、過電圧保護素子15が発光素子14よりも低い位置に配置され、過電圧保護素子15に吸収される光量を少なくできるので、発光効率の低下を抑制することができる。なお、過電圧保護素子15は、発光素子14と共に配線基板13に実装されてもよい。
【0048】
【0049】
発光装置2は、配線基板53を配線基板13の代わりに有することが発光装置1と相違する。配線基板53以外の発光装置2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0050】
【0051】
配線基板53は、基台60、第3配線パターン61及び第4配線パターン62を有し、第1配線パターン11及び第2配線パターン12にボンディングワイヤ63を介して接続される。基台60は、第3配線パターン61及び第4配線パターン62の配列方向の長さが基台30よりも長いことが基台30と相違する。第3配線パターン61及び第4配線パターン62の配列方向の長さ以外の基台60の構成及び機能は、基台30の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0052】
第3配線パターン61及び第4配線パターン62は、ボンディング領域64及び65を有することが第3配線パターン31及び第4配線パターン32と相違する。ボンディング領域64及び65は、ボンディングワイヤ63が接続される領域である。
【0053】
発光装置2では、第3配線パターン61及び第4配線パターン62は、ボンディングワイヤ63を介して第1配線パターン及び前記第2配線パターンに接続されるので、LTCC)基板を使用しないので、配線基板53は、低コスト且つ簡単に実装可能である。
【0054】
(変形例に係る発光装置)
発光装置1及び2は、過電圧保護素子15を有するが、実施形態に係る発光装置は、過電圧保護素子を有さなくともよい。
【0055】
図10は、第1変形例に係る発光装置の平面図である。
【0056】
発光装置3は、筐体70、第1配線パターン71及び第2配線パターン72を筐体10、第1配線パターン11及び第2配線パターン12の代わりに有することが発光装置1と相違する。また、発光装置3は、密封部材76、第1電極77及び第2電極78を密封部材16、第1電極17及び第2電極18の代わりに有することが発光装置1と相違する。また、発光装置3は、過電圧保護素子15を有さないことが発光装置1と相違する。筐体70~第2配線パターン72及び密封部材76~第2電極78以外の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0057】
筐体70は、収容部79の形状が筐体10と相違する。収容部79の形状以外の筐体70の構成及び機能は、筐体10の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。収容部79は、配線基板13を近接して囲む平面形状を有する。収容部79の内壁と配線基板13の外縁との離隔距離は、収容部79に配線基板13を配置可能な最小距離である。
【0058】
第1配線パターン71及び第2配線パターン72は、第1配線パターン11及び第2配線パターン12と同様に、基層上に積層されるメッキ層により形成される。第1配線パターン71及び第2配線パターン72は、矩形の平面形状を有し、平面視したときに、配線基板13に全面に亘って覆われるように配置される。
【0059】
密封部材76は、密封部材16と同様に、光を透過する光透過部材であり、筐体70に接合されることにより、収容部79を密封する。
【0060】
第1電極77及び第2電極78は、銅第1電極17及び第2電極18と同様に、銅等の導電性部材で形成され、筐体70の裏面に配置される裏面電極である。第1電極77及び第2電極78は、平面視したときに、配線基板13に全面に亘って覆われるように配置される。
【0061】
発光装置3は、第1配線パターン71及び第2配線パターン72が全体に亘って配線基板13に覆われるように配置されるので、平面サイズを小さくすることができる。また、発光装置3は、第1配線パターン71及び第2配線パターン72と共に第1電極77及び第2電極78が全体に亘って配線基板13に覆われるように配置されるので、平面サイズを更に小さくすることができる。発光装置3は、平面視したとき、配線基板13の外周に囲まれた範囲内に全ての正負の電気経路が存在している。
【0062】
図11は、第2変形例に係る発光装置の平面図である。
【0063】
発光装置4は、配線基板83を配線基板13の代わりに有することが発光装置3と相違する。配線基板83以外の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された発光装置3の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0064】
配線基板83は、基台90と、第3配線パターン91と、第4配線パターン92とを有する。基台90は、基台30と同様に、窒化アルミ(AlN)等のセラミックスにより形成されるHTCC基板、又はセラミックスにガラス等が含有されたLTCC基板であり、一対の切欠き90a及び90bが形成された略矩形の平面形状を有する。
【0065】
一対の切欠き90a及び90bは、平面視したときに第1配線パターン71に及び第2配線パターン72が視認可能なように形成される。第3配線パターン91は、一対の切欠きの一方である切欠き90aを介して第1配線パターン71にボンディングワイヤ93によって接続される。第4配線パターン92は、一対の切欠きの他方である切欠き90bを介して第2配線パターン72にボンディングワイヤ93によって接続される。
【0066】
発光装置4は、発光装置3と同様に、第1配線パターン71及び第2配線パターン72が全体に亘って配線基板13に覆われるように配置されるので、平面サイズを小さくすることができる。
【符号の説明】
【0067】
1~4 発光装置
10、70 筐体
11、71 第1配線パターン
12、72 第2配線パターン
13、53、83 配線基板
14 発光素子
15 過電圧保護素子
16、76 密封部材
17、77 第1電極
18、78 第2電極
19、79 収容部
31、91 第3配線パターン
32、92 第4配線パターン