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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041496
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 19/00 20060101AFI20230316BHJP
   B60C 13/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B60C19/00 B
B60C13/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148904
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】清村 崇
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼村 慶一
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB03
3D131BC31
3D131BC36
3D131GA01
3D131GA03
3D131LA20
(57)【要約】
【課題】通信装置の耐久性を向上できる、タイヤを提供する。
【解決手段】タイヤ1は、タイヤサイド部1dの内部に埋設された、通信装置10と、タイヤサイド部のタイヤ外表面1dsから突出し、タイヤ径方向に沿って延在され、且つタイヤ周方向に沿って間隔を隔てて配置された、複数の乱流発生用突条Fと、を備えた、タイヤであって、タイヤサイド部のタイヤ幅方向の投影面において、通信装置が、乱流発生用突条どうしの間の突条間凹部Gと乱流発生用突条Fとのうち少なくとも一方と、重複している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤサイド部の内部に埋設された、通信装置と、
前記タイヤサイド部のタイヤ外表面から突出し、タイヤ径方向に沿って延在され、且つタイヤ周方向に沿って間隔を隔てて配置された、複数の乱流発生用突条と、
を備えた、タイヤであって、
前記タイヤサイド部のタイヤ幅方向の投影面において、前記通信装置が、前記乱流発生用突条どうしの間の突条間凹部と前記乱流発生用突条とのうち少なくとも一方と、重複している、タイヤ。
【請求項2】
前記タイヤサイド部のタイヤ幅方向の投影面において、前記通信装置の全体が、前記突条間凹部の内部に位置している、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記乱流発生用突条の頂部に、タイヤ幅方向に起伏しながらタイヤ径方向に沿って延びる凹凸面を複数形成した、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記タイヤサイド部は、
ゴム部材によって形成され、所定の剛性を有する第1ゴム部材が用いられた、第1剛性部分と、
前記所定の剛性よりも高い剛性を有する第2ゴム部材が用いられた、第2剛性部分と、
を含み、
前記乱流発生用突条は、前記第1剛性部分のみに設けられる、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記乱流発生用突条のタイヤ周方向の長さである突条幅は、タイヤ径方向で変化し、タイヤ径方向外側に位置する突条外側端部に向かって広くなっており、
前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面に対する前記乱流発生用突条の高さは、タイヤ径方向で変化し、前記突条外側端部に向けて漸次減少するように形成されている、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記タイヤサイド部には、
前記乱流発生用突条が複数隣接して配置された、第1領域と、
該第1領域とタイヤ周方向において少なくとも一部が重なって配置され、かつ前記乱流発生用突条が配置されていない、第2領域と、
が設けられており、
前記第2領域には、前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面から突出した突起部が形成されており、
前記突起部は、情報を表示する文字及び記号の形状、又はデザインを表示する絵柄及び模様の形状であり、
前記突起部の前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面からの高さは、前記乱流発生用突条の前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面からの高さの50%から100%である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面から突出し、且つ、タイヤ周方向に延在する、円周方向突条を、さらに備え、
タイヤ径方向における前記乱流発生用突条の端部は、前記円周方向突条に連なり、
タイヤ径方向における前記乱流発生用突条の端部と前記円周方向突条とが連なる部分において、前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面に対する前記乱流発生用突条の端部の高さは、前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面に対する前記円周方向突条の高さよりも低い、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記タイヤサイド部において、タイヤ幅方向におけるタイヤの長さが最大となる位置を含むタイヤ最大幅領域を有し、
タイヤ径方向における前記乱流発生用突条の端部は、前記タイヤ最大幅領域に位置し、
前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面から突出し、且つ、タイヤ周方向に延在する、円周方向突条を備え、
前記乱流発生用突条の端部は、前記円周方向突条に連なり、
タイヤ径方向における前記円周方向突条の幅は、タイヤ周方向における前記乱流発生用突条の最大幅よりも狭い、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項9】
タイヤ周方向における前記乱流発生用突条の最大幅は、4.7~7.1mmである、請求項1~8のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項10】
タイヤ径方向における前記乱流発生用突条の長さは、8~30mmである、請求項1~9のいずれか一項に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記通信装置は、RFタグを有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タイヤの内部に通信装置(RFタグ等)を埋設したタイヤがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-046057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来のタイヤにおいては、通信装置の耐久性につき、向上の余地があった。
【0005】
本発明は、通信装置の耐久性を向上できる、タイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のタイヤは、
タイヤサイド部の内部に埋設された、通信装置と、
前記タイヤサイド部のタイヤ外表面から突出し、タイヤ径方向に沿って延在され、且つタイヤ周方向に沿って間隔を隔てて配置された、複数の乱流発生用突条と、
を備えた、タイヤであって、
前記タイヤサイド部のタイヤ幅方向の投影面において、前記通信装置が、前記乱流発生用突条どうしの間の突条間凹部と前記乱流発生用突条とのうち少なくとも一方と、重複している。
本発明のタイヤによれば、通信装置の耐久性を向上できる。
【0007】
本発明のタイヤにおいて、
前記タイヤサイド部のタイヤ幅方向の投影面において、前記通信装置の全体が、前記突条間凹部の内部に位置していると、好適である。
これにより、より確実に通信装置を外傷から守ることができる。
【0008】
本発明のタイヤにおいて、
前記乱流発生用突条の頂部に、タイヤ幅方向に起伏しながらタイヤ径方向に沿って延びる凹凸面を複数形成してもよい。
この場合、タイヤ製造時におけるベアの抑制効果、および、乱流の発生効果を高めることができる。
【0009】
本発明のタイヤにおいて、
前記タイヤサイド部は、
ゴム部材によって形成され、所定の剛性を有する第1ゴム部材が用いられた、第1剛性部分と、
前記所定の剛性よりも高い剛性を有する第2ゴム部材が用いられた、第2剛性部分と、
を含み、
前記乱流発生用突条は、前記第1剛性部分のみに設けられてもよい。
この場合、ベルト端におけるセパレーションを確実に抑制できる。
【0010】
本発明のタイヤにおいて、
前記乱流発生用突条のタイヤ周方向の長さである突条幅は、タイヤ径方向で変化し、タイヤ径方向外側に位置する突条外側端部に向かって広くなっており、
前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面に対する前記乱流発生用突条の高さは、タイヤ径方向で変化し、前記突条外側端部に向けて漸次減少するように形成されていてもよい。
この場合、製造時のベアの発生を抑制しつつ、タイヤサイド部の温度の冷却効果を高めることができる。
【0011】
本発明のタイヤにおいて、
前記タイヤサイド部には、
前記乱流発生用突条が複数隣接して配置された、第1領域と、
該第1領域とタイヤ周方向において少なくとも一部が重なって配置され、かつ前記乱流発生用突条が配置されていない、第2領域と、
が設けられており、
前記第2領域には、前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面から突出した突起部が形成されており、
前記突起部は、情報を表示する文字及び記号の形状、又はデザインを表示する絵柄及び模様の形状であり、
前記突起部の前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面からの高さは、前記乱流発生用突条の前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面からの高さの50%から100%であってもよい。
この場合、タイヤサイド部全体の温度低減効果を得ることができる。
【0012】
本発明のタイヤにおいて、
前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面から突出し、且つ、タイヤ周方向に延在する、円周方向突条を、さらに備え、
タイヤ径方向における前記乱流発生用突条の端部は、前記円周方向突条に連なり、
タイヤ径方向における前記乱流発生用突条の端部と前記円周方向突条とが連なる部分において、前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面に対する前記乱流発生用突条の端部の高さは、前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面に対する前記円周方向突条の高さよりも低くてもよい。
この場合、製造時のベアの発生を抑制できる。
【0013】
本発明のタイヤにおいて、
前記タイヤサイド部において、タイヤ幅方向におけるタイヤの長さが最大となる位置を含むタイヤ最大幅領域を有し、
タイヤ径方向における前記乱流発生用突条の端部は、前記タイヤ最大幅領域に位置し、
前記タイヤサイド部の前記タイヤ外表面から突出し、且つ、タイヤ周方向に延在する、円周方向突条を備え、
前記乱流発生用突条の端部は、前記円周方向突条に連なり、
タイヤ径方向における前記円周方向突条の幅は、タイヤ周方向における前記乱流発生用突条の最大幅よりも狭くてもよい。
この場合、製造時のベアの発生を抑制できる。
【0014】
本発明のタイヤにおいて、
タイヤ周方向における前記乱流発生用突条の最大幅は、4.7~7.1mmであると、好適である。
これにより、通信装置の耐久性をさらに向上できる。
【0015】
本発明のタイヤにおいて、
タイヤ径方向における前記乱流発生用突条の長さは、8~30mmであると、好適である。
これにより、通信装置の耐久性をさらに向上できる。
【0016】
本発明のタイヤにおいて、
前記通信装置は、RFタグを有すると、好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通信装置の耐久性を向上できる、タイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態に係るタイヤのタイヤサイド部の一部を、タイヤ幅方向外側から見た様子を示す、側面図である。
図2図1のタイヤの一部を、図1のA-A線に沿う断面により示す、タイヤ幅方向断面図である。
図3】本発明の任意の実施形態に係るタイヤに用いることができる、通信装置の一例を示す、斜視図である。
図4図3の通信装置を分解した状態で示す、分解斜視図である。
図5】乱流発生用突条による作用効果を説明するための図面である。
図6】本発明の第2実施形態に係るタイヤの一部を示す、タイヤ幅方向断面図である。
図7】本発明の第3実施形態に係るタイヤの側面図である。
図8】本発明の第3実施形態に係る乱流発生用突条を示す斜視図である。
図9図8に示す乱流発生用突条をタイヤ周方向から見た正面図である。
図10】本発明の第4実施形態に係るタイヤの一部を示す斜視図である。
図11】本発明の第4実施形態に係るタイヤのトレッド幅方向断面図である。
図12】本発明の第4実施形態に係るタイヤにおけるビードフィラー及びサイドゴム部分の温度依存性を示すグラフである。
図13】本発明の第5実施形態に係るタイヤの側面図である。
図14図13に示す乱流発生用突条の部分拡大図である。
図15図13のB-B断面を示す要部断面図である。
図16】本発明の第6実施形態に係るタイヤの側面図である。
図17図16のC-C断面を示す要部断面図である。
図18】本発明の第7実施形態に係るタイヤの側面図である。
図19図18に示す乱流発生用突条の部分拡大図である。
図20図20(a)は、図18に示す乱流発生用突条の部分拡大図である。図20(b)は、図20(a)に示す乱流発生用突条の延在方向に直交する断面図である。
図21図21(a)は、本発明の第7実施形態に係るタイヤのタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った一部断面図である。図21(b)は、本発明の第7実施形態に係るタイヤのタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係るタイヤは、任意の種類の空気入りタイヤに好適に利用でき、例えば、乗用車用空気入りタイヤ、トラック・バス用空気入りタイヤ等に好適に利用できる。
【0020】
以下、本発明に係るタイヤの実施形態について、図面を参照しつつ例示説明する。
各図において共通する部材・部位には同一の符号を付している。一部の図面では、タイヤ幅方向を符号「TW」で示し、タイヤ径方向を符号「RD」で示し、タイヤ周方向を符号「CD」で示している。本明細書において、タイヤ内腔に近い側を「タイヤ内側」といい、タイヤ内腔から遠い側を「タイヤ外側」という。
【0021】
図1図2は、本発明の第1実施形態に係るタイヤ1を説明するための図面である。図1は、本発明の第1実施形態に係るタイヤのタイヤサイド部の一部を、タイヤ幅方向外側から見た様子を示す、側面図である。図2は、図1のタイヤの一部(具体的には、タイヤ赤道面CLに対する一方側の部分)を、図1のA-A線に沿う断面により示す、タイヤ幅方向断面図である。図6は、本発明の第2実施形態に係るタイヤの一部(具体的には、タイヤ赤道面CLに対する一方側の部分)を示す、タイヤ幅方向断面図である。
図1図2の実施形態のタイヤ1は、乗用車用空気入りタイヤとして構成されている。図6の実施形態のタイヤ1は、トラック・バス用空気入りタイヤとして構成されている。以下では、説明の便宜上、これらの実施形態について併せて説明する。
なお、本発明の任意の実施形態のタイヤ1は、任意の種類のタイヤとして構成されてよい。
【0022】
タイヤ1は、タイヤ本体1Mと、通信装置10と、を備えている。タイヤ本体1Mは、タイヤ1のうち、通信装置10以外の部分に相当する。
【0023】
以下、特に断りのない限り、各要素の位置関係や寸法等は、タイヤ1を適用リムに装着し、規定内圧を充填し、無負荷とした、基準状態で測定されるものとする。また、タイヤ1を適用リムに装着し、タイヤ1に規定内圧を充填し、最大荷重を負荷した状態で、路面と接する接地面のタイヤ幅方向の幅を、タイヤの接地幅といい、当該接地面のタイヤ幅方向の端部を接地端という。
【0024】
本明細書において、「適用リム」とは、空気入りタイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会)のJATMA YEAR BOOK、欧州ではETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)のSTANDARDS MANUAL、米国ではTRA(The Tire and Rim Association,Inc.)のYEAR BOOK等に記載されているまたは将来的に記載される、適用サイズにおける標準リム(ETRTOのSTANDARDS MANUALではMeasuring Rim、TRAのYEAR BOOKではDesign Rim)を指すが、これらの産業規格に記載のないサイズの場合は、空気入りタイヤのビード幅に対応した幅のリムをいう。「適用リム」には、現行サイズに加えて将来的に前述の産業規格に記載されるサイズも含まれる。「将来的に記載されるサイズ」の例として、ETRTO 2013年度版において「FUTURE DEVELOPMENTS」として記載されているサイズが挙げられ得る。
【0025】
本明細書において、「規定内圧」とは、前述したJATMA YEAR BOOK等の産業規格に記載されている、適用サイズ・プライレーティングにおける単輪の最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいい、前述した産業規格に記載のないサイズの場合は、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する空気圧(最高空気圧)をいうものとする。また、本明細書において、「最大荷重」とは、前述した産業規格に記載されている適用サイズのタイヤにおける最大負荷能力に対応する荷重、又は、前述した産業規格に記載のないサイズの場合には、タイヤを装着する車両ごとに規定される最大負荷能力に対応する荷重を意味する。
【0026】
まず、タイヤ本体1Mについて説明する。
図2図6等に示すように、本明細書で説明する各実施形態において、タイヤ本体1Mは、トレッド部1aと、このトレッド部1aのタイヤ幅方向の両端部からタイヤ径方向内側に延びる一対のサイドウォール部1bと、各サイドウォール部1bのタイヤ径方向内側の端部に設けられた一対のビード部1cと、を備えている。トレッド部1aは、タイヤ本体1Mのうち、一対の接地端どうしの間のタイヤ幅方向部分である。ビード部1cは、タイヤ1をリムに装着したときに、タイヤ径方向内側及びタイヤ幅方向外側においてリムに接するように構成される。
タイヤ本体1Mは、トレッド部1aのタイヤ幅方向の両端部からタイヤ径方向内側に延びる一対のタイヤサイド部1dを有する。タイヤサイド部1dは、サイドウォール部1b及びビード部1cからなる。本明細書では、タイヤサイド部1dにおけるタイヤ外側の表面を、「タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1ds」という。
また、タイヤ本体1Mは、一対のビードコア4aと、一対のビードフィラー4bと、カーカス5と、ベルト6と、トレッドゴム7と、サイドゴム8と、インナーライナー9と、を備えている。
【0027】
各ビードコア4aは、それぞれ、対応するビード部1cに埋設されている。ビードコア4aは、周囲をゴムにより被覆されている複数のビードワイヤを備えている。ビードワイヤは、金属(例えばスチール)から構成されると好適である。ビードワイヤは、例えば、モノフィラメント又は撚り線からなるものとすることができる。なお、ビードワイヤは、有機繊維やカーボン繊維から構成されてもよい。
【0028】
各ビードフィラー4bは、それぞれ、対応するビードコア4aに対してタイヤ径方向外側に位置する。ビードフィラー4bは、タイヤ径方向外側に向かって先細状に延びている。ビードフィラー4bは、例えばゴム製である。
ビードフィラーは、「スティフナー」と呼ばれることがある。
図6に示すように、タイヤ本体1M(ひいてはタイヤ1)がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成される場合、ビードフィラー4bは、複数(図6の例では、2つ)のビードフィラー部4b1、4b2から構成されてもよい。これら複数のビードフィラー部4b1、4b2は、例えば、硬さが異なり得る。これら複数のビードフィラー部4b1、4b2は、例えば、タイヤ径方向に沿って配列(積層)される。
【0029】
カーカス5は、一対のビードコア4a間に跨っており、トロイダル状に延在している。カーカス5は、1枚以上のカーカスプライ5aから構成されている。各カーカスプライ5aは、1本又は複数本のカーカスコードと、カーカスコードを被覆する被覆ゴムと、を含んでいる。カーカスコードは、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。
カーカスコードは、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどからなる有機繊維から構成されてもよいし、金属(例えばスチール)から構成されてもよい。タイヤ1がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成される場合、カーカスコードは、金属(例えばスチール)から構成されると好適である。タイヤ1が乗用車用空気入りタイヤとして構成される場合、カーカスコードは、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどからなる有機繊維から構成されると好適である。
カーカスプライ5aは、一対のビードコア4a間に位置するプライ本体部5Mを備えている。カーカスプライ5aは、さらに、プライ本体部5Mの両端からビードコア4aの廻りでタイヤ幅方向内側からタイヤ幅方向外側に折り返される、プライ折返し部5Tを、さらに備えていてもよい。ただし、カーカスプライ5aは、プライ折返し部5Tを備えていなくてもよい。カーカス5は、ラジアル構造であると好適であるが、バイアス構造でもよい。
【0030】
ベルト6は、カーカス5のクラウン部に対してタイヤ径方向外側に配置されている。ベルト6は、1層以上のベルト層6aを備えている。各ベルト層6aは、1本又は複数本のベルトコードと、ベルトコードを被覆する被覆ゴムと、を含んでいる。ベルトコードは、モノフィラメント又は撚り線で形成することができる。ベルトコードは、金属(例えばスチール)から構成されてもよいし、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどからなる有機繊維から構成されてもよい。
【0031】
トレッドゴム7は、トレッド部1aにおいて、ベルト6のタイヤ径方向外側に位置している。トレッドゴム7は、トレッド部1aのタイヤ径方向外側の面であるトレッド踏面を構成している。トレッド踏面には、トレッドパターンが形成されている。
【0032】
サイドゴム8は、サイドウォール部1bにおいて、カーカス5のタイヤ幅方向外側に位置している。サイドゴム8は、サイドウォール部1bのタイヤ幅方向外側の面を構成している。サイドゴム8は、トレッドゴム7と一体で形成されている。
【0033】
インナーライナー9は、カーカス5のタイヤ内側に配置され、例えば、カーカス5のタイヤ内側に積層されてもよい。インナーライナー9は、例えば、空気透過性の低いブチル系ゴムで構成される。ブチル系ゴムには、例えばブチルゴム、及びその誘導体であるハロゲン化ブチルゴムが含まれる。インナーライナー9は、ブチル系ゴムに限られず、他のゴム組成物、樹脂、又はエラストマーで構成することができる。
【0034】
図6に示すように、タイヤ本体1M(ひいてはタイヤ1)がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成される場合、タイヤ本体1Mは、ビードコア4aの周りに、補強部材3を備えてもよい。補強部材3は、図6の例のように、カーカス5に対してビードコア4aとは反対側に配置されてもよい。補強部材3は、1枚以上(図6の例では、3枚)の補強プライ3aを備えている。各補強プライ3aは、補強コードを含んでいる。補強コードは、金属(例えばスチール)から構成されてもよいし、ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アラミドなどからなる有機繊維から構成されてもよい。
【0035】
本明細書で説明する各実施形態においては、図1図2図6に示すように、タイヤ本体1Mは、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsから突出し、タイヤ径方向に沿って延在され、且つタイヤ周方向に沿って間隔を隔てて配置された、複数の乱流発生用突条Fを備えている。乱流発生用突条Fどうしの間には、タイヤ幅方向内側に窪んだ突条間凹部Gが区画されている。
【0036】
ここで、図5を参照しつつ、乱流発生用突条Fによる作用効果を説明する。図5に示すように、タイヤ1の回転に伴い、乱流発生用突条Fが形成されていないタイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに接触していた空気の流れS1が乱流発生用突条Fによってタイヤ外表面1dsから剥離されて乱流発生用突条Fを乗り越える。この乱流発生用突条Fの背面側には、空気の流れが滞留する部分(領域)S2が生じる。
そして、空気の流れS1は、次の乱流発生用突条Fの間のタイヤ外表面1dsに再付着して、次の乱流発生用突条Fで再び剥離される。このとき、空気の流れS1と次の乱流発生用突条F等との間には、空気の流れが滞留する部分(領域)S3が生じる。ここで、乱流S1が接触する領域上の速度勾配(速度)を速くすることが冷却効果を高めるために優位となると考えられる。つまり、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに乱流発生用突条Fを突設して流速の速い空気の流れS1と滞留部分S2,S3を生じさせて、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsにおいて乱流の発生を促進させることによって、タイヤサイド部1dの冷却効果が高められる。
【0037】
つぎに、通信装置10について説明する。
通信装置10は、タイヤ1の外部にある所定外部装置(例えば、リーダ、あるいは、リーダ/ライタ)と無線通信可能な構成であればよく、通信装置10の構成は特に限定されるものではない。
通信装置10は、RFタグを有すると好適である。RFタグは、「RFIDタグ」とも呼ばれる。RFタグは、パッシブ型に構成されると好適であるが、アクティブ型に構成されてもよい。
通信装置10は、RFタグに代えて又は加えて、タイヤ1の加速度を検出する加速度センサや、タイヤ1の内圧を検出する内圧センサ等を有してもよい。
【0038】
図3図4は、通信装置10の一例を示している。本例において、通信装置10は、RFタグを有している。本例において、通信装置10は、RFタグ10eと、被覆部10fと、を備えている。RFタグ10eは、ICチップ10cと、アンテナ部10bと、を備えている。RFタグ10eは、パッシブ型に構成されている。
【0039】
ICチップ10cは、例えば、アンテナ部10bで受信する電波により発生する誘電起電力により稼働する。ICチップ10cは、例えば、制御部と記憶部とを有する。
記憶部は、任意の情報を記憶してよい。例えば、記憶部は、タイヤ1の識別情報を記憶してもよい。タイヤ1の識別情報は、例えば、タイヤ1の製造メーカ、製造工場、製造年月日等の、各タイヤをタイヤ毎に特定できるタイヤ1の固有の識別情報である。また、記憶部は、タイヤの走行距離、急制動回数、急発信回数、急旋回回数等のタイヤ履歴情報を記憶してもよい。また、例えば、タイヤ内部温度、タイヤ内圧、タイヤ加速度等を検出するセンサがタイヤ内腔に設けられており、記憶部が、これらセンサにより検出された検出情報を記憶してもよい。この場合、RFタグ10eは、アンテナ部10bを通じて、センサと無線通信することで、センサの検出情報を取得することができる。
制御部は、記憶部からの情報の読み出しが可能に構成される。
【0040】
アンテナ部10bは、一対のアンテナ10b1、10b2を有している。一対のアンテナ10b1、10b2は、ICチップ10cにおいて互いに反対側に位置する端部にそれぞれ連結されている。アンテナ部10bは、タイヤ1の外部の上記所定外部装置と送受信可能に構成されている。図3図4の例において、各アンテナ10b1、10b2は、直線状に延在しているが、各アンテナ10b1、10b2は、例えば波型等、任意の形状をなすように延在していてもよい。
【0041】
被覆部10fは、RFタグ10eの全体を覆っている。被覆部10fは、例えばゴム又は樹脂から形成される。
本例において、被覆部10fは、一対のシート状の被覆部材10f1、10f2を有している。一対の被覆部材10f1、10f2は、両者間にRFタグ10eを挟んだ状態で、互いに重ねられている。一対の被覆部材10f1、10f2どうしは、接着等により互いに固着されていると、好適である。
ただし、被覆部10fは、1つの部材から構成されてもよい。
本例において、被覆部10fは、平面視において四角形状をなしているが、被覆部10fは、平面視において任意の形状をなしてよい。
なお、通信装置10は、被覆部10fを有していなくてもよく、すなわち、RFタグ10eのみから構成されてもよい。
【0042】
このように構成された通信装置10は、上記所定外部装置から、電波又は磁界に乗せて送信される情報を、アンテナ部10bにより受信可能に構成される。整流(電波の場合)または共振(磁界の場合)により、通信装置10のアンテナ部10bに電力が発生し、ICチップ10cの記憶部及び制御部が所定の動作を行う。例えば、制御部は、記憶部内の情報を読み出し、電波または磁界に乗せてアンテナ部10bから、上記所定外部装置に返信(送信)する。上記所定外部装置は、通信装置10からの電波又は磁界を受信する。上記所定外部装置は、受信した情報を取り出すことで、通信装置10のICチップ10cの記憶部に記憶されている情報を取得することができる。
【0043】
ただし、通信装置10は、本例とは異なる任意の構成を有してよい。
【0044】
通信装置10は、長手方向LDと、短手方向SDと、厚さ方向TDと、を有してもよい。長手方向LDと短手方向SDと厚さ方向TDとは、互いに垂直である。
図3図4に示すように、通信装置10がRFタグ10eを有する場合、通信装置10の長手方向LDは、アンテナ部10bの延在方向に平行である。アンテナ部10bの各アンテナ10b1、10b2が波型である場合、アンテナ部10bの延在方向は、各アンテナ10b1、10b2のなす波型の振幅中心線の延在方向を指す。通信装置10において、通信装置10の厚さ方向TDは、通信装置10が被覆部10fを有する場合、被覆部10fの厚さ方向を指し、通信装置10が被覆部10fを有さない場合、ICチップ10cの厚さ方向を指す。
【0045】
RFタグ10eの長手方向LDの長さは、例えば、20mm以上、又は、50mm以上が好適である。また、RFタグ10eの長手方向LDの長さは、例えば、100mm以下、又は、70mm以下が好適である。
RFタグ10eの短手方向SDの長さは、例えば、10mm以下、又は、8mm以下が好適である。
RFタグ10eの厚さ方向TDの長さは、例えば、5mm以下、又は、2mm以下が好適である。
通信装置10が被覆部10fを有する場合、通信装置10の長手方向LDの長さは、例えば、30mm以上、又は、60mm以上が好適である。また、RFタグ10eの長手方向LDの長さは、例えば、110mm以下、又は、80mm以下が好適である。
通信装置10が被覆部10fを有する場合、通信装置10の短手方向SDの長さは、例えば、20mm以下、又は、15mm以下が好適である。
通信装置10が被覆部10fを有する場合、通信装置10の厚さ方向TDの長さは、例えば、6mm以下、又は、3mm以下が好適である。
被覆部10fの被覆部材10f1、10f2のそれぞれの厚さは、例えば、0.5mm以上が好適である。また、被覆部10fの被覆部材10f1、10f2のそれぞれの厚さは、例えば、1mm以下が好適である。
【0046】
本明細書で説明する各実施形態においては、図1図2図6に示すように、通信装置10の全体が、タイヤ本体1Mのタイヤサイド部1dの内部に埋設されている。通信装置10は、タイヤ本体1Mのタイヤサイド部1dのうち、カーカス5よりもタイヤ幅方向外側の部分に埋設されている。
タイヤサイド部1dのタイヤ幅方向の投影面(図1)において、通信装置10が、乱流発生用突条Fどうしの間の突条間凹部Gと乱流発生用突条Fとのうち少なくとも一方(図1の例では、突条間凹部G)と、重複している。ここで、「タイヤサイド部1dのタイヤ幅方向の投影面」とは、図1のように、タイヤサイド部1dをタイヤ幅方向に投影して見たときの投影面である。
通信装置10は、通信装置10の厚さ方向TDが、タイヤ幅方向にほぼ沿うように、指向される(図2図6)。
【0047】
タイヤ1の製造時においては、タイヤ本体1Mを構成する生タイヤと、通信装置10とが、タイヤ成形用金型の内部に収容されて、加硫成形される。
【0048】
ここで、本明細書で説明する各実施形態の効果を説明する。
まず、上述のように、本明細書で説明する各実施形態においては、図1図2図6に示すように、通信装置10が、タイヤサイド部1dの内部に埋設されている。ここで、一般的に、金属は、通信装置10と上記所定外部装置(例えば、リーダ、あるいは、リーダ/ライタ)との間の電波を弱めて、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信性を低下させるおそれがあり、ひいては、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離が短くなるおそれがある。一方、タイヤ本体1Mにおいて、金属(例えば、スチール)は、カーカス5、ベルト6、ビードコア4a、補強部材3等に使用され得る。そして、一般的に、タイヤサイド部1dのほうが、トレッド部1aに比べて、金属の量が少ない傾向がある。したがって、通信装置10をタイヤサイド部1dに配置することにより、仮に通信装置10をトレッド部1aに配置する場合に比べて、通信性を向上でき、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離を長くすることが可能になる。
また、上述のように、本明細書で説明する各実施形態においては、図1図2図6に示すように、タイヤ本体1Mは、複数の乱流発生用突条Fを備えており、通信装置10が、タイヤ本体1Mのタイヤサイド部1dの内部に埋設されており、タイヤサイド部1dのタイヤ幅方向の投影面(図1)において、通信装置10が、乱流発生用突条Fどうしの間の突条間凹部Gと乱流発生用突条Fとのうち少なくとも一方と、重複している。これにより、通信装置10から発生する熱を乱流発生用突条Fによって効果的に放熱することができるので、通信装置10の熱劣化を抑制でき、ひいては、通信装置10の耐久性を向上できる。また、乱流発生用突条Fによって、タイヤ1の転動時等におけるタイヤサイド部1dの歪が分散されるので、通信装置10に掛かる負荷を軽減でき、通信装置10の耐久性を向上できる。
【0049】
本明細書で説明する各実施形態においては、図1の例のように、タイヤサイド部1dのタイヤ幅方向の投影面(図1)において、通信装置10の全体が、突条間凹部Gの内部に位置していると、好適である。これにより、タイヤサイド部1dが外部の障害物と衝突した際に、障害物からの衝撃(ひいては、外傷)を乱流発生用突条Fで受けることができ、その分、より確実に、突条間凹部Gに対応する位置にある通信装置10を外傷から守ることができる。また、この場合、通信装置10のタイヤ幅方向外側を覆うサイドゴム8のゲージが薄いため、その分、通信性を向上できる。つまり、サイドゴム8には、カーボンが含まれるところ、一般的に、カーボンは、通信装置10と上記所定外部装置(例えば、リーダ、あるいは、リーダ/ライタ)との間の電波を弱めて、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信性を低下させるおそれがあり、ひいては、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離が短くなるおそれがある。そのため、通信装置10を覆うサイドゴム8のゲージが薄いことは、通信性の向上に繋がるのである。
【0050】
本明細書で説明する各実施形態において、通信装置10の指向方向(向き)は任意であるが、通信装置10の耐久性等の観点から、通信装置10は、図1の例のように、通信装置10の長手方向LDがタイヤ周方向にほぼ沿うように指向されていると、好適である。ただし、通信装置10は、通信装置10の短手方向LDがタイヤ周方向にほぼ沿うように指向されていてもよい。
【0051】
本明細書で説明する各実施形態においては、通信装置10は、図2図6の各実施形態のように、サイドウォール部1bに配置されていると、好適である。一般的に、サイドウォール部1bのほうが、ビード部1cに比べて、金属の量が少ない傾向がある。したがって、通信装置10をサイドウォール部1bに配置することにより、仮に通信装置10をビード部1cに配置する場合に比べて、通信性を向上でき、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離を長くすることが可能になる。
【0052】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1が乗用車用空気入りタイヤとして構成されている場合(図2)、通信装置10のタイヤ径方向外端10u(より好適には、通信装置10の全体)は、ビードコア4aのタイヤ径方向外端よりもタイヤ径方向外側にあると好適であり、ビードフィラー4bのタイヤ径方向中心よりもタイヤ径方向外側にあるとより好適であり、例えば、ビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buよりもタイヤ径方向外側にあると好適である。
【0053】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1が乗用車用空気入りタイヤとして構成されている場合(図2)、上述のように通信装置10がサイドウォール部1bに配置される場合、図2の例のように、通信装置10のタイヤ径方向外端10uは、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eよりもタイヤ径方向内側に位置していると、好適である。これにより、通信性を向上でき、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離を長くすることが可能になるとともに、タイヤ本体1Mのうち、タイヤ1の転動時等において比較的歪の少ない部分に通信装置10を配置できるので、通信装置10ひいてはタイヤ1の耐久性を向上できる。
通信装置10のタイヤ径方向外端10uとカーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eとの間のタイヤ径方向距離は、3~30mmが好適であり、5~15mmがより好適である。
【0054】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1が乗用車用空気入りタイヤとして構成されている場合(図2)、図2の例のように、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eは、ビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buよりもタイヤ径方向外側に位置していると好適である。ただし、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eは、ビードフィラー4bのタイヤ径方向外端と同じタイヤ径方向位置、あるいは、それよりもタイヤ径方向内側に、位置していてもよい。
【0055】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1が乗用車用空気入りタイヤとして構成されている場合(図2)、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eは、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に位置していてもよいし、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置と同じタイヤ径方向位置に位置していてもよいし、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置していてもよい。ここで、「タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置」とは、タイヤ本体1Mのタイヤ幅方向の寸法が最大となるタイヤ径方向位置である。
【0056】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1が乗用車用空気入りタイヤとして構成されている場合(図2)、図2の例のように、通信装置10は、カーカス5のタイヤ幅方向外側の面に接していると、好適であり、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ幅方向外側の面に接していると、より好適である。
【0057】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成されている場合(図6)、通信装置10のタイヤ径方向中心10m(より好適には、通信装置10の全体)は、ビードコア4aのタイヤ径方向外端よりもタイヤ径方向外側にあると好適である。これにより、通信性を向上でき、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離を長くすることが可能になる。
【0058】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成されている場合(図6)、通信装置10のタイヤ径方向中心10m(より好適には、通信装置10の全体)は、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eよりもタイヤ径方向外側にあると好適である。これにより、通信性を向上でき、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離を長くすることが可能になるとともに、タイヤ本体1Mのうち、タイヤ1の転動時等において比較的歪の少ない部分に通信装置10を配置できるので、通信装置10ひいてはタイヤ1の耐久性を向上できる。
ここで、「カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5e」とは、カーカス5の各カーカスプライ5aのプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端のうち最もタイヤ径方向外側にあるタイヤ径方向外端を指す。
【0059】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成されている場合(図6)、通信装置10のタイヤ径方向中心10m(より好適には、通信装置10の全体)は、補強部材3のタイヤ径方向外端3uよりもタイヤ径方向外側にあると好適である。これにより、通信性を向上でき、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離を長くすることが可能になるとともに、タイヤ本体1Mのうち、タイヤ1の転動時等において比較的歪の少ない部分に通信装置10を配置できるので、通信装置10ひいてはタイヤ1の耐久性を向上できる。
ここで、「補強部材3のタイヤ径方向外端3u」とは、補強部材3の各補強プライ3aのタイヤ径方向外端のうち最もタイヤ径方向外側にあるタイヤ径方向外端を指す。
【0060】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成されている場合(図6)、通信装置10のタイヤ径方向中心10m(より好適には、通信装置10の全体)は、ビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buよりもタイヤ径方向内側にあると好適である。これにより、通信性を向上でき、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離を長くすることが可能になるとともに、タイヤ本体1Mのうち、タイヤ1の転動時等において比較的歪の少ない部分に通信装置10を配置できるので、通信装置10ひいてはタイヤ1の耐久性を向上できる。
通信装置10のタイヤ径方向中心10mとビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buとの間のタイヤ径方向距離は、1~30mmが好適であり、5~15mmがより好適である。
【0061】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成されている場合(図6)、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eは、ビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buよりもタイヤ径方向内側に位置していると好適であるが、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eは、ビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buと同じタイヤ径方向位置、あるいは、それよりもタイヤ径方向外側に位置していてもよい。
【0062】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成されている場合(図6)、補強部材3のタイヤ径方向外端3uは、ビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buよりもタイヤ径方向内側に位置していると好適であるが、補強部材3のタイヤ径方向外端3uは、ビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buと同じタイヤ径方向位置、あるいは、それよりもタイヤ径方向外側に位置していてもよい。
【0063】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成されている場合(図6)、カーカス5のプライ折返し部5Tのタイヤ径方向外端5eは、図6の例のように、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置していてもよいし、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置と同じタイヤ径方向位置に位置していてもよいし、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に位置していてもよい。
ここで、「タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置」とは、タイヤ本体1Mのタイヤ幅方向の寸法が最大となるタイヤ径方向位置である。
【0064】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成されている場合(図6)、補強部材3のタイヤ径方向外端3uは、図6の例のように、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置していてもよいし、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置と同じタイヤ径方向位置に位置していてもよいし、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向外側に位置していてもよい。
【0065】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成されている場合(図6)、通信装置10のタイヤ径方向中心10m(より好適には、通信装置10の全体)は、タイヤ本体1Mのタイヤ最大幅位置よりもタイヤ径方向内側に位置していると好適である。これにより、通信性を向上でき、通信装置10と上記所定外部装置との間の通信距離を長くすることが可能になるとともに、タイヤ本体1Mのうち、タイヤ1の転動時等において比較的歪の少ない部分に通信装置10を配置できるので、通信装置10ひいてはタイヤ1の耐久性を向上できる。
【0066】
本明細書で説明する各実施形態においては、タイヤ1がトラック・バス用空気入りタイヤとして構成されている場合(図6)、図6の例のように、通信装置10は、ビードフィラー4bのタイヤ幅方向外側の面に接していると、好適である。
【0067】
本明細書で説明する各実施形態において、タイヤ周方向における乱流発生用突条Fの最大幅は、4.7~7.1mmであると、好適である。
これにより、通信装置10の耐久性をさらに向上できる。
【0068】
本明細書で説明する各実施形態において、タイヤ径方向における乱流発生用突条Fの長さは、8~30mmであると、好適である。
これにより、通信装置10の耐久性をさらに向上できる。
【0069】
本明細書で説明する各実施形態において、タイヤ周方向における乱流発生用突条Fどうしの間の最大距離(すなわち、突条間凹部Gのタイヤ周方向の最大長さ)は、10~25mmであると、好適である。
これにより、通信装置10の耐久性をさらに向上できる。
【0070】
以下、図7図21を参照しつつ、乱流発生用突条Fの様々な変形例について説明する。
図7図9は、本発明の第3実施形態に係るタイヤ1を説明するための図面である。図10図12は、本発明の第4実施形態に係るタイヤ1を説明するための図面である。図13図15は、本発明の第5実施形態に係るタイヤ1を説明するための図面である。図16図17は、本発明の第6実施形態に係るタイヤ1を説明するための図面である。図18図21は、本発明の第7実施形態に係るタイヤ1を説明するための図面である。図7図21の各実施形態は、乱流発生用突条Fの構成がそれぞれ異なる。ただし、図7図21の各実施形態においても、図1図6を参照しつつ上述した各実施形態と同様に、タイヤ本体1Mは、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsから突出し、タイヤ径方向に沿って延在され、且つタイヤ周方向に沿って間隔を隔てて配置された、複数の乱流発生用突条Fを備えている。乱流発生用突条Fどうしの間には、タイヤ幅方向内側に窪んだ突条間凹部Gが区画されている。
図7図21では、便宜のため、通信装置10の図示は省略する。ただし、図7図21の各実施形態においても、タイヤ1は、通信装置10を備えており、通信装置10が、タイヤ本体1Mのタイヤサイド部1dの内部に埋設されており、タイヤサイド部1dのタイヤ幅方向の投影面において、通信装置10が、乱流発生用突条Fどうしの間の突条間凹部Gと乱流発生用突条Fとのうち少なくとも一方と、重複している。
【0071】
以下、図7図9を参照しつつ、本発明の第3実施形態に係るタイヤ1について説明する。
第3実施形態のタイヤ1においては、乱流発生用突条Fの頂部に、タイヤ幅方向に起伏しながらタイヤ径方向に沿って延びる凹凸面を複数形成している。
【0072】
図7に示すように、タイヤサイド部1dには、乱流発生用突条20(F)が設けられている。該乱流発生用突条20(F)は、タイヤ径方向に延びており、タイヤ幅方向外側に突出している。また、図7に示すように、乱流発生用突条20(F)は、周方向に沿って複数(本実施形態では8つ)近接配置されて1つの乱流発生用突条群を形成し、この乱流発生用突条群が周方向に沿って間欠的に5つずつ設けられている。
【0073】
図8は本実施形態に係る乱流発生用突条を示す拡大斜視図、図9図8をタイヤ周方向から見た正面図である。
【0074】
これらの図に示すように、乱流発生用突条20は、タイヤ径方向RDの内側の端部に設けられた底壁面21と、タイヤ周方向CDの両側に設けられた一対の側壁面22,22と、タイヤ幅方向外側に設けられた頂部23とから画成されている。
【0075】
前記側壁面22は、タイヤ径方向に沿って平坦に延びており、一対の側壁面同士22,22は所定距離をおいて配置されている。
【0076】
また、前記頂部23は、タイヤ幅方向に起伏を繰り返す凹凸面24に形成されている。この凹凸面24を構成する一つの凹凸部25は、具体的には、タイヤ径方向外側(図8図9の紙面の上側)に向かうにつれてタイヤ幅方向外側に傾斜する第1の傾斜面(登り面)26と、タイヤ径方向外側(図8図9の紙面の上側)に向かうにつれてタイヤ幅方向内側に傾斜する第2の傾斜面(下り面)27とから、断面略三角状に形成されている。そして、この凹凸部25が、乱流発生用突条20の頂部23にタイヤ径方向に沿って連続して複数形成されることにより、頂部23が凹凸面24に形成されている。
【0077】
また、図9に示すように、第2の傾斜面27と該第2の傾斜面27の隣の第1の傾斜面26との境界部分は谷点28となり、該谷点28の断面形状は、小さい曲率半径で湾曲して形成されている。同様に、第1の傾斜面26から第2の傾斜面27に移り変わる頂点29においても、該頂点29の断面形状は、小さい曲率半径で湾曲して形成されている。
【0078】
そして、凹凸面24の高さ、即ち、頂点29とタイヤサイド部1dの面とのタイヤ幅方向に沿った距離をH1とする。一方、谷点28の高さ、即ち、谷点28とタイヤサイド部1dの面とのタイヤ幅方向に沿った距離をH2とする。ここで、凹凸面24の起伏高さは(H1-H2)であり、乱流発生用突条20の高さはH1である。凹凸面24の起伏高さ(H1-H2)は、乱流発生用突条20の高さH1の20%~70%であることが好ましい。
【0079】
第3実施形態では、前記乱流発生用突条20(F)の頂部に、タイヤ幅方向に起伏しながらタイヤ径方向に沿って延びる凹凸面24を複数形成している。
【0080】
従って、頂部が平坦な乱流発生用突条に比較して、本実施形態による凹凸面24を有する乱流発生用突条20(F)の方が、発生する乱流S1(図5)が大きくなるため、タイヤサイド部1dを冷却する効果が増大する。また、頂部が平坦な乱流発生用突条の場合は、タイヤを加硫する際に、タイヤ成形用金型内における突条の頂部の部分に溜まった空気が抵抗なく容易に移動するため、ベア(空気溜まり)が生じやすいおそれがある。しかし、第3実施形態によれば、タイヤを加硫する際に、タイヤ成形用金型内における突条20の頂部の部分に溜まった空気が移動しにくくなるため、ベアが発生しにくくなり、また、仮に発生した場合でも、頂部の凹凸面24があるため目立ちにくくなって、ベアによる外観の低下を抑制することができる。なお、乱流を大きくしてタイヤサイド部1dの冷却効果を高めるには、凹凸の数が多い方が好ましい。
【0081】
前記凹凸面24の起伏高さ(H1-H2)は、前記乱流発生用突条20の高さH1の20%~70%であると、好適である。このように、凹凸面24の起伏高さ(H1-H2)を所定値に抑えることによって、ベアの発生を更に抑制することができる。
【0082】
前記凹凸面24は、断面略三角形をタイヤ径方向に連続して並べた形状であり、比較的単純な形状であるため、タイヤ成形用金型の構造が容易になるという効果がある。
【0083】
以下、図10図12を参照しつつ、本発明の第4実施形態に係るタイヤ1について説明する。
第4実施形態のタイヤ1においては、タイヤサイド部1dは、ゴム部材によって形成され、所定の剛性を有する第1ゴム部材が用いられた、第1剛性部分と、所定の剛性よりも高い剛性を有する第2ゴム部材が用いられた、第2剛性部分と、を含み、乱流発生用突条Fは、第1剛性部分のみに設けられる。
【0084】
図11に示すように、タイヤサイド部1dは、低剛性部分61(第1剛性部分)と、高剛性部分62(第2剛性部分)とを含む。低剛性部分61には、ゴム部材によって形成され、所定の剛性を有する第1ゴム部材が用いられる。本実施形態では、第1ゴム部材は、タイヤサイド部1dのサイドゴム8のうち、トレッド部1aが路面に接した際の最もトレッド幅方向外側に位置する接地端51からビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buまでの領域の部分(以下、サイドゴム部分60Aという。)である。例えば、サイドゴム部分60Aには、ヤング率5~7MPa(25℃時)のゴムが用いられる。
【0085】
高剛性部分62には、第1ゴム部材の剛性、すなわち、サイドゴム部分60Aの剛性よりも高い剛性を有する第2ゴム部材が用いられる。本実施形態では、第2ゴム部材は、ビードフィラー4bである。例えば、ビードフィラー4bには、ヤング率50~500MPaのゴム、特に、110~130MPa(25℃時)のゴムが用いられることが好ましい。
【0086】
ここで、ビードフィラー4bの温度依存性は、サイドゴム部分60Aの温度依存性よりも大きい。なお、温度依存性とは、タイヤを構成するタイヤ構成部材の温度の変化によって、タイヤ構成部材の剛性が変化する性質である。本実施形態では、ビードフィラー4bの剛性は、サイドゴム部分60Aの剛性よりも高いため、ビードフィラー4bの温度依存性は、サイドゴム部分60Aの温度依存性よりも大きい。すなわち、図12に示すように、ビードフィラー4bの温度変化による剛性の変化量(U1)は、サイドゴム部分60Aの温度変化による剛性の変化量(U2)よりも大きい。
【0087】
このようなタイヤサイド部1dの少なくとも一部には、タイヤ径方向RDに沿って延びる乱流発生用突条70(F)が設けられる。
【0088】
図10及び図11に示すように、乱流発生用突条70は、タイヤサイド部1dの表面から突出している。乱流発生用突条70の延在方向に直交した断面形状は、四角状である。
【0089】
乱流発生用突条70は、低剛性部分61のみ、すなわち、サイドゴム部分60Aのみに設けられる。具体的には、乱流発生用突条70は、接地端51からビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buまでの領域のみに設けられる。すなわち、乱流発生用突条70は、ビードフィラー4bとタイヤ幅方向において重ならない位置に設けられる。
【0090】
なお、乱流発生用突条70の断面形状については、必ずしも四角状である必要はなく、台形状や半円弧状など様々な形状であってもよい。また、乱流発生用突条70は、接地端51からビードフィラー4bのタイヤ径方向外端4buまでの領域内に設けられていればよく、複数に分割されていてもよい。
【0091】
例えば、タイヤサイド部の表面全体に乱流発生用突条が設けられていると、乱流発生用突条によってタイヤサイド部全体の表面が冷却される。しかし、タイヤサイド部全体の温度が低下すると、図12に示すように、ビードフィラーの剛性(例えば、T1)と、サイドゴム部分の剛性(例えば、T2')との剛性差(d2)が大きい。このため、ビードフィラーが撓み(変形し)にくくなる分、タイヤサイド部がより撓んでしまう。この結果、ベルト6のタイヤ幅方向端6e(以下、ベルト端6e)に歪みが集中しやすくなり、ベルト端6eにおけるセパレーションが発生する恐れがあった。
【0092】
そこで、第4実施形態では、乱流発生用突条70は、低剛性部分61(サイドゴム部分60A)のみに設けられる。つまり、乱流発生用突条70は、サイドゴム部分60Aよりも高い剛性を有する高剛性部分62(ビードフィラー4b)とタイヤ幅方向において重ならない。このため、タイヤ1の回転に伴って乱流発生用突条70が引き起こした乱流は、サイドゴム部分60Aのみを冷却する。
【0093】
サイドゴム部分60Aは、乱流により冷却されることで温度が上昇しにくく、剛性低下が生じにくい。一方、サイドゴム部分60Aよりも温度依存性が大きいビードフィラー4bは、乱流により冷却されないため、温度が上昇し、剛性が徐々に低下していく。そのため、図12に示すように、サイドゴム部分60Aの剛性とビードフィラー4bの剛性との剛性差は、所定の温度範囲Rにおいて、ビードフィラー4bの剛性が徐々に低下することに伴って小さくなる。
【0094】
従って、図12に示すように、例えば車両が超高速走行している時のタイヤの温度範囲(所定の温度範囲R)において、サイドゴム部分60Aの剛性(例えば、T1)とビードフィラー4bの剛性(例えば、T2)との剛性差(d1)を小さくできるため、ビードフィラー4bがサイドゴム部分60Aに合わせて撓みやすくなる。
【0095】
これにより、例えば車両が超高速走行している時のタイヤの温度範囲において、サイドゴム部分60Aの剛性とビードフィラー4bの剛性との剛性差によるベルト端6eへの歪み(変形)の集中を防止できる。この結果、ベルト端6eにおけるセパレーションを確実に抑制できる。
【0096】
また、乱流発生用突条70は、サイドゴム部分60Aよりも高い剛性を有する高剛性部分62(ビードフィラー4b)とタイヤ幅方向において重ならないため、タイヤサイド部の表面から突出した乱流発生用突条によって、ビードフィラー4bのタイヤ幅方向外側においてサイドゴム部分60Aの厚さが増大しない。このため、車両が超高速走行しても、サイドゴム部分60Aとビードフィラー4bとが合わせて確実に撓み、ベルト端6eへの歪みの集中を確実に抑制できる。
【0097】
以下、図13図15を参照しつつ、本発明の第5実施形態に係るタイヤ1について説明する。
第5実施形態のタイヤ1においては、乱流発生用突条Fのタイヤ周方向の長さである突条幅は、タイヤ径方向で変化し、タイヤ径方向外側に位置する突条外側端部に向かって広くなっており、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに対する乱流発生用突条Fの高さは、タイヤ径方向で変化し、突条外側端部に向けて漸次減少するように形成されている。
【0098】
複数の乱流発生用突条110(F)は、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsから突出し、タイヤ径方向に沿って延在され、且つタイヤ周方向に沿って間隔を隔てて配置されている。乱流発生用突条110は、図13に示すように、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに、タイヤ回転軸を中心として放射状に配置されている。
【0099】
乱流発生用突条110は、タイヤ1の回転時にタイヤサイド部1dのタイヤ外表面に乱流を発生させたり、乱流を促進させたりするための長尺状の突起である。図15に示すように、乱流発生用突条110のタイヤ径方向において外側端部となる突条外側端部111は、端縁に向けて漸次高さ110Hが低くなるように傾斜して形成される。突条外側端部111における乱流発生用突条110のタイヤ幅方向外側面(タイヤ側面側から見える面)は、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsと面一になるようにタイヤ外表面1dsと連続している。図15に示すように、突条外側端部111における乱流発生用突条110のタイヤ幅方向外側面とタイヤサイド部のタイヤ外表面1dsとのなす最大角度1θ1は、25度以下になるように設定されている。具体的には、本実施の形態では約22度である。
【0100】
また、乱流発生用突条110のタイヤ径方向の内側端部である突条内側端部112は、ビード部1cより隆起し、リムガードからタイヤ径方向に伸びるタイヤ外表面1dsと面一になるように、タイヤ外表面1dsと滑らかに連続するように形成されている。
【0101】
乱流発生用突条110のタイヤ径方向外側には、情報伝達のための文字及び記号が付されている。この文字及び記号は、タイヤサイド部1dよりも突出した突起部130である。この突起部130によってもタイヤサイド部1dを通過する流体に乱流を発生させ、タイヤサイド部1dの冷却効果を奏する。
【0102】
乱流発生用突条110のタイヤ径方向における長さである径方向長さ110L(図14)は、例えば、12mmである。タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに対する乱流発生用突条110の最大高さ110H(図15)は、例えば、0.7mmである。また、突起部130のタイヤ径方向における長さ130Lは、例えば、10mmである。
【0103】
本実施の形態では、図14に示すように、互いに隣接する乱流発生用突条110同士は所定の間隔に設定されている。乱流発生用突条110の突条幅は、タイヤ径方向外側(トレッド部1a側)に向かって広がるように変化する。乱流発生用突条110の間隔1P(図14)は、例えば、11mmである。
【0104】
例えば、 乱流発生用突条110の突条外側端部111の突条幅111W(図14)は、4.665~7.141mmであり、突条内側端部112の突条幅112W(図14)は、1.202~1.454mmである。突条外側端部111の突条幅111W及び突条内側端部112の突条幅112Wは、タイヤサイズ毎に適宜調整することができる。
【0105】
具体的には、例えば、225/50F17のタイヤの突条外側端部111の突条幅111Wは、7.141mmであり、突条内側端部112の突条幅112Wは、1.202mmであり、突条内側端部112の突条幅112Wに対する突条外側端部111の突条幅111Wの比は、5.941である。225/45F17のタイヤの突条外側端部111の突条幅111Wは、5.378mmであり、突条内側端部112の突条幅112Wは、1.454mmであり、突条内側端部112の突条幅112Wに対する突条外側端部111の突条幅111Wの比は、3.699である。245/40F18のタイヤの突条外側端部111の突条幅111Wは、4.665mmであり、突条内側端部112の突条幅112Wは、1.346mmであり、突条内側端部112の突条幅112Wに対する突条外側端部111の突条幅111Wの比は、3.466である。225/50F16のタイヤの突条外側端部111の突条幅111Wは、6.844mmであり、突条内側端部112の突条幅112Wは、1.392mmであり、突条内側端部112の突条幅112Wに対する突条外側端部111の突条幅111Wの比は、4.917である。
【0106】
また、突条幅111Wは、乱流発生用突条110の間隔1Pに対して25%以上の長さとなるように構成されている。具体的には、突条外側端部111の突条幅111Wは、隣接する乱流発生用突条110同士の間隔1Pに対して50%以上である。また、隣接する乱流発生用突条110同士は、連ならないように構成されている。なお、上記乱流発生用突条110同士の間隔1Pとは、乱流発生用突条110のタイヤ周方向の幅を二等分した点同士の間の距離とする。
【0107】
また、乱流発生用突条の長手方向に沿った両側辺の形状は、一方の側辺と他方の側辺とによって異なっている。一方の側辺の形状は、長手方向と略平行であって略直線状である。また、他方の側辺の形状は、一方の側辺と略平行な緩傾部113と、緩傾部113よりも長手方向に対して傾斜した急傾部114と、を有する。突条外側端部111の近傍は、急傾部114である。よって、乱流発生用突条110は、突条外側端部111に向かって、突条幅が大きくなっている。
【0108】
乱流発生用突条110の突条外側端部111のタイヤ周方向における端部である幅端部111A、111Bのうち、一方の幅端部111Aは、タイヤ周方向に延びる周方向辺1E1とタイヤ径方向に延びる径方向辺1E2とが交わる角度1θ3が90度以下となるように形成されている。このような構成によれば、突条外側端部のタイヤ周方向における少なくとも一端部が90度以下、すなわち鋭角となるため、製造時において成形型から抜き易くなり、かつ加硫時に空気をタイヤ表面に逃がし易くなり、製造時のベアの発生を効果的に抑制して形状不良や外観不良になる可能性を低くすることができる。
【0109】
第5実施形態に係るタイヤ1によれば、タイヤサイド部1dに乱流発生用突条110が設けられているため、乱流発生用突条110によってタイヤサイド部1dの温度低減を図ること可能となる。また、乱流発生用突条110の突条外側端部111がタイヤサイド部の表面へ向かうように高さが漸次減少しているため、タイヤ成形用金型で生タイヤを加硫する際に、乱流発生用突条110の欠けやもげの発生が少なくなり、ベアも発生しにくくなる。
【0110】
更に、乱流発生用突条110の突条外側端部111における突条幅111Wは、乱流発生用突条110の突条内側端部112における突条幅112Wに対して2.0倍以上であるため、蓄熱の問題を回避しながら充分な温度低減効果を得ることができる。
【0111】
また、乱流発生用突条110のタイヤ幅方向外側面とタイヤサイド部のタイヤ外表面1dsとのなす最大角度1θ1は、25度以下となる(例えば約22度)ため、製造時においてタイヤ成形用金型で生タイヤを加硫する際に、乱流発生用突条110の突条外側端部111に欠けやもげの発生を少なくしてベアも発生し難くすることができる。
【0112】
更に、突条幅111Wは、乱流発生用突条110の間隔1Pに対して25%以上であって、隣接する乱流発生用突条110同士は連なっていないため、乱流の拡散作用を効果的に発揮しつつ、突条幅が大き過ぎることに起因する蓄熱による温度上昇と、突条幅が狭過ぎることによる剛性低下とを回避し、蓄熱抑制機能と乱流促進機能(冷却機能)とを両立させることができる。
【0113】
乱流発生用突条110の突条外側端部111の幅端部111Aは、タイヤ周方向に延びる周方向辺1E1とタイヤ径方向に延びる径方向辺1E2とが交わる角度1θ3が90度以下となるように形成されているため、製造時において成形型から抜き易くなり、かつ加硫時に空気をタイヤ表面に逃がし易くなり、製造時のベアの発生を効果的に抑制して形状不良や外観不良になる可能性を低くすることができる。
乱流発生用突条110の突条内側端部112は、タイヤ外表面1dsに面一になるように連続しているため、突条内側端部112の剛性を向上させて、欠けやもげ等の破損を抑制することができるとともに、製造時のベアの発生を抑制して形状不良や外観不良になる可能性を低くすることができる。
【0114】
以下、図16図17を参照しつつ、本発明の第6実施形態に係るタイヤ1について説明する。
第6実施形態のタイヤ1において、タイヤサイド部1dには、乱流発生用突条Fが複数隣接して配置された、第1領域と、該第1領域とタイヤ周方向において少なくとも一部が重なって配置され、かつ乱流発生用突条Fが配置されていない、第2領域と、が設けられており、第2領域には、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsから突出した突起部が形成されており、突起部は、情報を表示する文字及び記号の形状、又はデザインを表示する絵柄及び模様の形状であり、突起部のタイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsからの高さは、乱流発生用突条Fのタイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsからの高さの50%から100%である。
【0115】
図16に示すように、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsには、複数の乱流発生用突条210(F)が隣接して配置された第1領域2R1と、乱流発生用突条210(F)が隣接して配置されていない第2領域2R2とが設けられている。第2領域2R2には、複数の突起部220が隣接して配置されている。第1領域2R1と第2領域2R2とは、タイヤ周方向において一部重なって配置されている。
【0116】
複数の乱流発生用突条210は、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsから突出し、タイヤ径方向に沿って延在され、且つタイヤ周方向に沿って間隔を隔てて配置されている。乱流発生用突条210は、図16に示すように、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに、タイヤ回転軸を中心として放射状に配置されている。各乱流発生用突条210は、長手方向がタイヤ径方向に沿うように延在している。この乱流発生用突条210のタイヤ周方向の断面は、矩形状に形成されている。乱流発生用突条210は、タイヤ1の回転時にタイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに乱流を発生させたり、乱流を促進させたりするための長尺状の突起である。
【0117】
複数の突起部220は、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsから突出し、タイヤ周方向に沿って間隔を隔てて配置されている。突起部220は、図16に示すように、タイヤサイド部1dの外側から視認した際に認識される文字形状であり、所定の情報を表示している。この突起部220のタイヤ周方向の断面は、矩形状に形成されている。突起部220は、タイヤ1の回転時にタイヤサイド部1dの外周表面に乱流を発生させたり、乱流を促進させたりする。
【0118】
突出部230は、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに対して突出している。突出部230は、突起部220のタイヤ径方向内側においてタイヤ周方向に沿って間隔を隔てて配置されている。突出部230は、タイヤ1の回転時にタイヤサイド部1dの外周表面に乱流を発生させたり、乱流を促進させたりする。突出部230は、図16に示すように、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに、タイヤ回転軸を中心として放射状に配置されている。
【0119】
各突出部230は、長手方向がタイヤ径方向に沿うように延在している。この突出部230のタイヤ周方向の断面は、略矩形である。突出部230のタイヤ周方向におけるピッチは、乱流発生用突条210のタイヤ周方向におけるピッチ2Pと同じ長さである。
【0120】
このように、第1領域2R1に乱流発生用突条210(F)を配置し、第2領域2R2に突出部230及び突起部220を配置することにより、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1ds全周に亘って乱流を発生させたり、乱流を促進させたりして、タイヤの温度を効果的に低減することができる。
【0121】
ここで、乱流の発生のメカニズムを説明する。タイヤ1の回転に伴い、乱流発生用突条210や突起部220が形成されていないタイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに接触していた空気の流れS1が乱流発生用突条210や突起部220によってタイヤ外表面1dsから剥離されて乱流発生用突条210や突起部220を乗り越える。この乱流発生用突条210や突起部220の背面側には、空気の流れが滞留する部分(領域)S2が生じる。
【0122】
そして、空気の流れS1は、次の乱流発生用突条210や突起部220との間の底部に再付着して、次の乱流発生用突条210や突起部220で再び剥離される。このとき、空気の流れS1と次の乱流発生用突条210等との間には、空気の流れが滞留する部分(領域)S3が生じる。ここで、乱流S1が接触する領域上の速度勾配(速度)を速くすることが冷却効果を高めるために優位となると考えられる。つまり、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに乱流発生用突条210や突起部220を突設して流速の速い空気の流れS1と滞留部分S2,S3を生じさせて、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsにおいて乱流の発生を促進させることによって、タイヤサイド部1dの冷却効果が高められる。
【0123】
また、タイヤサイド部1dにおけるタイヤ径方向内側の突出部230も、タイヤ径方向外側における放熱に寄与する。具体的には、タイヤ1の回転時における遠心力の影響でタイヤ径方向の内側から外側へと向かう空気の流れが生じるため、タイヤ径方向内側に設けた突出部230がタイヤ径方向外側における放熱にも寄与する。タイヤサイド部1dの少なくともタイヤ径方向内側部分に、乱流発生用突条210と突出部230とを設けることにより、タイヤ径方向内側部分のみならず、タイヤ径方向外側部分の放熱も促し、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1ds全域における冷却効果を効率良く高めることができる。
【0124】
また、本実施形態のタイヤ1において、乱流発生用突条210のタイヤ外表面1dsからの高さ210Hは、例えば、0.7mmである。突起部220のタイヤ外表面1dsからの高さ220Hは、例えば、0.6mmである。突起部220の高さ220Hは、乱流発生用突条210の高さ210Hの50%から100%の範囲内が好適であり、例えば86%である。突起部220の高さ220H、乱流発生用突条210の高さ210H、及び突出部230の高さ230Hが大き過ぎると、タイヤサイド部の転動時の変形に追従し難くなり、繰り返し変形をうけた際に特に乱流発生用突条の根元に歪が集中し、クラックが発生しやすくなることがある。
【0125】
一方、突起部220の高さ220Hが、乱流発生用突条210の高さ210Hに対して小さくなり過ぎると、すなわち乱流発生用突条210の高さ210Hの50%未満であると、文字の視認性が低下したり、乱流の発生効果を十分に得ることができなかったりするおそれがある。したがって、突起部220の高さ220Hは、乱流発生用突条210の高さ210Hの50%から100%の範囲内であることが望ましい。
【0126】
また、突起部220は、乱流発生用突条210のタイヤ径方向の外端部210Xとタイヤ周方向において重なるように配置されている。すなわち、乱流発生用突条210の外端部210Xを通るタイヤ周方向に伸びる仮想線2C1上に突起部220が配置される。突起部220の外端部220Xは、乱流発生用突条210の外端部210Xよりもタイヤ径方向外側に配置されており、突起部220の外端部220Xと乱流発生用突条210の外端部210Xとのタイヤ径方向における長さ221L(図16)は、例えば、6.4mmである。
【0127】
なお、突起部220の外端部220Xと乱流発生用突条210の外端部210Xとのタイヤ径方向における長さ221L(図16)は、2~8mmが好ましい。また、突出部230と突起部220とのタイヤ径方向の距離は、1.5~3mm程度離して設置することが好ましく、より好ましくは、2mm離して設置することが望ましい。また、乱流発生用突条210と突起部220との距離は周方向に6~12mm程度離しておくのが好ましい。
【0128】
また、突出部230のタイヤ径方向の内端部230Yは、乱流発生用突条210のタイヤ径方向の内端部210Yとタイヤ周方向において重なるように配置されている。すなわち、乱流発生用突条210の内端部210Yを通るタイヤ周方向に伸びる仮想線2C2上に突出部230が配置される。このように突起部220及び突出部230を配置することにより、タイヤ周方向に沿って移動する空気を連続して乱流発生用突条210及び突起部220に接触させることができる。
【0129】
突起部220のタイヤ径方向における長さ220Lは、乱流発生用突条210のタイヤ径方向における長さ220Lの30%から80%である。突起部220の長さ220Lが、乱流発生用突条210の長さ210Lに対して小さくなり過ぎると、すなわち30%未満であると、文字の視認性が低下したり、乱流の発生効果を十分に得ることができなかったりするおそれがある。したがって、突起部220の長さ220Lは、乱流発生用突条210の長さ210Lの30%から80%の範囲内であることが望ましい。
【0130】
以上のように構成されたタイヤ1によれば、第1領域2R1に乱流発生用突条210が設けられ、かつ第2領域2R2に突起部220及び突出部230が設けられているため、乱流発生用突条によって第1領域2R1の温度低減効果を維持しつつ、突起部220及び突出部230によって第2領域2R2の温度低減を図ること可能となる。また、突起部220によって文字を表示できるため、空気の乱流による温度低減効果と情報伝達効果とを合わせて発揮することが可能となる。
【0131】
以下、図18図21を参照しつつ、本発明の第7実施形態に係るタイヤ1について説明する。
第7実施形態のタイヤ1においては、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsから突出し、且つ、タイヤ周方向に延在する、円周方向突条を、さらに備え、タイヤ径方向における乱流発生用突条Fの端部は、円周方向突条に連なり、タイヤ径方向における乱流発生用突条Fの端部と円周方向突条とが連なる部分において、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに対する乱流発生用突条Fの端部の高さは、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに対する円周方向突条の高さよりも低い。
また、第7実施形態のタイヤ1においては、タイヤサイド部1dにおいて、タイヤ幅方向におけるタイヤの長さが最大となる位置を含むタイヤ最大幅領域TRを有し、タイヤ径方向における乱流発生用突条Fの端部は、タイヤ最大幅領域TRに位置し、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsから突出し、且つ、タイヤ周方向に延在する、円周方向突条を備え、乱流発生用突条Fの端部は、円周方向突条に連なり、タイヤ径方向における円周方向突条の幅は、タイヤ周方向における乱流発生用突条Fの最大幅よりも狭い。
【0132】
図18に示すように、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsには、複数の乱流発生用突条310(F)が配置されている。また、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsには、タイヤ周方向に延在する円周方向突条315が配置される。したがって、タイヤ1は、乱流発生用突条310と円周方向突条315とを備える。なお、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsは、タイヤ外表面3A、タイヤ外表面3B及びタイヤ外表面3Cによって構成される。タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aは、タイヤ径方向におけるタイヤ外表面3B及びタイヤ外表面3Cの間の表面である。タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Bは、乱流発生用突条310のタイヤ径方向内側に位置する表面である。タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Cは、円周方向突条315のタイヤ径方向外側に位置する表面である。
【0133】
タイヤ1は、タイヤ幅方向におけるタイヤ1の長さが最大となるタイヤ最大幅を有する。なお、ここでいうタイヤ最大幅とは、例えば、リムガードを備えるタイヤにおいては、タイヤ幅方向におけるリムガード間の最大幅を含まない。すなわち、タイヤ最大幅は、リムガードを含まない。タイヤ径方向におけるビード部1cの内側の端部の高さを基準としたときの、タイヤ最大幅位置の高さ(最大幅高さSWH)は、タイヤに空気を入れない状態において、タイヤ径方向におけるビード部1cの内側の端部の高さを基準としたときの、タイヤ赤道面CL上のトレッド踏面の高さ(トレッド面高さTH)の48%以上に位置する。
【0134】
タイヤ1は、タイヤサイド部1dにおいて、タイヤ幅方向におけるタイヤ1の長さが最大となるタイヤ最大幅位置を含むタイヤ最大幅領域TR(図21)を有する。すなわち、最大幅領域TRは、タイヤ径方向において、最大幅高さSWH(図21)を含む高さに位置するタイヤサイド部1dの表面である。なお、タイヤ径方向におけるタイヤ最大幅領域TRの範囲は、トレッド面高さTHの25%以内の領域である。タイヤ最大幅位置(図21の一点鎖線で示す。)は、タイヤ最大幅領域TRのタイヤ径方向中心に位置する。
例えば、タイヤ径方向において、最大幅領域TRは、60mmの範囲である。この場合、タイヤ径方向におけるタイヤ最大幅領域TRの範囲は、タイヤ最大幅位置を中心として、タイヤ径方向外側に30mm及びタイヤ径方向内側に30mmの範囲である。
【0135】
図19は、図18に示す乱流発生用突条310の部分拡大図である。図20(a)は、図18に示す乱流発生用突条310の部分拡大図である。図20(b)は、図20(a)に示す乱流発生用突条310の延在方向に直交する断面図である。具体的には、図20(b)は、図20(a)のE-E断面図である。図21(a)は、タイヤ1のタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った一部断面図である。図21(b)は、タイヤ1のタイヤ幅方向及びタイヤ径方向に沿った一部断面図である。具体的には、図21(a)及び図21(b)は、図19におけるD-D断面図である。
【0136】
本実施形態のタイヤ1では、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに複数の乱流発生用突条310を突設して、乱流を発生させる若しくは乱流を促進することによって、このタイヤサイド部1dにおける冷却効果を高めるようにしている。
【0137】
複数の乱流発生用突条310は、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aから突出し、タイヤ径方向に沿って延在し、且つタイヤ周方向に沿って間隔を隔てて配置されている。乱流発生用突条310は、図18に示すように、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに、タイヤ回転軸を中心として放射状に配置されている。乱流発生用突条310は、タイヤ径方向に対して傾斜して延在する。したがって、乱流発生用突条310の延在方向における長さは、乱流発生用突条310のタイヤ径方向に沿った長さに比べて長い。タイヤ径方向における乱流発生用突条310の端部は、タイヤ径方向における乱流発生用突条310の外側に位置する突条外側端部311と、タイヤ径方向における乱流発生用突条310の内側に位置する突条内側端部312とを有する。また、円周方向突条315は、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aから突出し、タイヤ周方向に沿って延在する。タイヤ径方向から見て、円周方向突条315は、環状である。
【0138】
乱流発生用突条310は、タイヤ1の回転時にタイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsに乱流を発生させたり、乱流を促進させたりするための長尺状の突起である。図21に示すように、乱流発生用突条310のタイヤ径方向において外側端部となる突条外側端部311は、タイヤ最大幅領域TRに位置する。突条外側端部311は、円周方向突条315に連なる。具体的には、突条外側端部311は、タイヤ径方向における円周方向突条315の内側の側面に連なる。突条外側端部311は、タイヤ径方向における円周方向突条315の内側の側面に接する。
【0139】
突条外側端部311と円周方向突条315とが連なる部分において、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに対する突条外側端部311の高さ311H(図21(b))は、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに対する円周方向突条315の高さ315H(図21(b))よりもよりも低い。すなわち、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに対する円周方向突条315の高さ315Hは、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに対する突条外側端部311の高さ311Hよりも高い。したがって、突条外側端部311と円周方向突条315とが連なる部分には、タイヤ幅方向に沿った高さが異なる段差が形成される。
【0140】
乱流発生用突条310の突条内側端部312は、乱流発生用突条310のタイヤ径方向内側にあるタイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Bに対して滑らかに連なる。すなわち、突条内側端部312とタイヤ外表面3Bとが連なる部分には、タイヤ幅方向に沿った高さが異なる段差が形成されない。突条内側端部312とタイヤ外表面3Bとが連なる部分において、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに対する突条内側端部312の高さは、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに対するタイヤ外表面3Bの高さと同じである。言い換えると、乱流発生用突条310の突条内側端部312は、タイヤ外表面3Bに面一になるように連続している。したがって、突条内側端部312の剛性を向上させて、欠けやもげ等の破損を抑制することができるとともに、製造時のベアの発生を抑制して形状不良や外観不良になる可能性を低くすることができる。
【0141】
円周方向突条315のタイヤ径方向外側にあるタイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Cには、情報伝達のための文字及び記号が付されている。
【0142】
本実施形態では、図19に示すように、互いに隣接する乱流発生用突条310同士は所定の間隔に設定されている。乱流発生用突条310のタイヤ周方向における幅である突条幅は、タイヤ径方向外側(トレッド部1a側)に向かって広がるように変化する。したがって、タイヤの回転や車両の走行に伴う遠心力によりタイヤ径方向内側からタイヤ径方向外側に向かう流体が乱流発生用突条310にあたり、タイヤサイド部1dの温度の冷却効果を高めることが可能となる。また、タイヤ径方向外側に移動する流体をタイヤ周方向において隣接する乱流発生用突条310に導きやすくなり、タイヤサイド部1d全体における冷却効果を高めることが可能となる。
【0143】
また、乱流発生用突条310の長手方向(すなわち、乱流発生用突条310の延在方向)に沿った両側辺の形状は、一方の側辺と他方の側辺とによって異なっている。一方の側辺の形状は、長手方向と略平行であって略直線状である。また、他方の側辺の形状は、一方の側辺と略平行な緩傾部313と、緩傾部313よりも長手方向に対して傾斜した急傾部314と、を有する。突条外側端部311の近傍は、急傾部314である。よって、乱流発生用突条310は、突条外側端部311に向かって、突条幅が大きくなっている。
【0144】
乱流発生用突条310の突条外側端部311のタイヤ周方向における端部である幅端部311A、311Bのうち、一方の幅端部311Aは、タイヤ周方向に延びる周方向辺3E1とタイヤ径方向に延びる径方向辺3E2とが交わる角度3θe(図19)が90度以下となるように形成されている。
【0145】
乱流発生用突条310の突条内側端部312は、タイヤ周方向における端部である幅端部312A、312Bを含む。タイヤ幅方向から見て、幅端部312A、312Bのタイヤ周方向における略中心を通り、タイヤ周方向における幅端部312B側の側面と略平行な直線を直線m(図20(a))とする。緩傾部313と急傾部314との境界を通り、直線mに平行な直線を直線n(図20(a))とする。直線mと直線nとの距離311Waは、本実施形態において、例えば、1.4mmである。幅端部311Bと直線mとの距離311Wbは、例えば、1.2mmである。乱流発生用突条310の突条外側端部311の突条幅311Wは、例えば、4.7~7.1mmである。
【0146】
乱流発生用突条310の突条内側端部312のタイヤ周方向における端部である幅端部312A、312Bのうち、一方の幅端部312Aと直線mと距離312Waは、本実施形態において、例えば、0.7mmである。他方の幅端部312Bと直線mとの距離312Wbは、本実施形態において、例えば、0.8mmである。突条内側端部312の突条幅312Wは、例えば、1.2~1.5mmである。なお、突条外側端部311の突条幅311W及び突条内側端部312の突条幅312Wは、タイヤサイズ毎に適宜調整することができる。
【0147】
乱流発生用突条310の突条外側端部311から突条内側端部312までのタイヤ径方向における長さ310L(図20(a))は、8~30mmの範囲が好ましい。
【0148】
本実施形態において、タイヤ幅方向から見て、乱流発生用突条310の一片の側辺は、円弧状である。乱流発生用突条310の一片の側辺の曲率半径Raは、例えば、180mmで一定である。タイヤ幅方向から見て、緩傾部313は、円弧状の側面を有する。緩傾部313の側面の曲率半径Rbは、例えば、180mmで一定である。タイヤ幅方向から見て、急傾部314は、円弧状の側面を有する。急傾部314の側面の曲率半径Rcは、例えば、長さ310Lの0.8倍である。曲率半径Rcは、12mm~20mmの範囲が好ましい。タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Bのタイヤ径方向における端部は、タイヤ周方向に沿って延びる。
【0149】
タイヤ幅方向から見たタイヤ外表面3Bのタイヤ径方向外側における端部は、円弧状である。タイヤ外表面3Bのタイヤ径方向外側における端部の曲率半径Rdによって、乱流発生用突条310の本数及びピッチ角度3θpを決定してもよい。例えば、曲率半径Rdが147.2mm~165.4mmの場合、乱流発生用突条310は、90本であり、ピッチ角度3θpは、4度である。曲率半径Rdが165.5mm~176.5mmの場合、乱流発生用突条310は、96本であり、ピッチ角度3θpは、3.8度である。曲率半径Rdが176.6mm~183.8mmの場合、乱流発生用突条310は、100本であり、ピッチ角度3θpは、3.6度である。曲率半径Rdが183.9mm~220.6mmの場合、乱流発生用突条310は120本であり、ピッチ角度3θpは、3度である。曲率半径Rdが220.7mm~229.8mmの場合、乱流発生用突条310は、125本であり、ピッチ角度3θpは、2.9度である。曲率半径Rdが229.9mm~264.7mmの場合、乱流発生用突条310は、144本であり、ピッチ角度3θpは、2.5度である。曲率半径Rdが264.8mm~275.7mmの場合、乱流発生用突条310は、150本であり、ピッチ角度3θpは、2.4度である。曲率半径Rdが275.8mm~294.1mmの場合、乱流発生用突条310は、160本であり、ピッチ角度3θpは、2.3度である。曲率半径Rdが294.2mm~330.9mmの場合、乱流発生用突条310は、180本であり、ピッチ角度3θpは、2度である。曲率半径Rdが331.0mm~352.9mmの場合、乱流発生用突条310は、192本であり、ピッチ角度3θpは、1.9度である。曲率半径Rdが353.0mm~367.6mmの場合、乱流発生用突条310は、200本であり、ピッチ角度3θpは、1.8度である。
【0150】
なお、ピッチ角度3θpとは、タイヤの回転軸を中心として、一の乱流発生用突条310と一の乱流発生用突条310に隣接する他の乱流発生用突条310とのなす角度である。具体的には、ピッチ角度3θpは、隣接する乱流発生用突条310それぞれの直線m上における長さ310Lを二等分した点との各交点とタイヤの回転軸とのなす角度である。
【0151】
タイヤ径方向に平行な直線と直線mとの角度3θaは、10~45度の範囲が好ましい。本実施形態において、タイヤ径方向に平行な直線と直線mとの角度3θaは、例えば、27度である。
【0152】
図20(b)に示されるように、乱流発生用突条310の延在方向に直交する断面において、乱流発生用突条310とタイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aとは、円弧状に連なることが好ましい。本実施形態において、円弧の曲率半径Reは、例えば、0.4mmである。また、タイヤ周方向に面する乱流発生用突条310の側面とタイヤ幅方向に平行な直線とのなす角度3θbは、3~15度の範囲が好ましい。本実施形態において、角度3θbは、10度である。
【0153】
図21(b)に示されるように、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aからの高さ310Hは、0.5mm~1.5mmの範囲にあることが好ましい。高さ310Hが0.5mm以上であることにより、冷却効果が高まる。高さ310Hが1.5mm以下であることにより、乱流発生用突条310を形成するタイヤ成形用金型の凹部の底までの深さが深くならないため、乱流発生用突条310を形成するタイヤ成形用金型の凹部の底にまで、ゴム材料が入りやすくなる。このため、乱流発生用突条310にベアが発生することを抑制できる。本実施形態において、高さ310Hは、例えば、0.7mmであり、一定である。
【0154】
円周方向突条315のタイヤ外表面3Aからの高さ315Hは、0.5mm~1.5mmの範囲にあることが好ましい。高さ315Hが0.5mm以上であることにより、円周方向突条315を形成するタイヤ成形用金型の凹部に溜まった空気が突条外側端部311を形成するタイヤ成形用金型の凹部に移動しにくくなる。このため、乱流発生用突条310のベアの発生を抑制できる。高さ315Hが1.5mm以下であることにより、円周方向突条315を形成するタイヤ成形用金型の凹部の底までの長さが短くなるため、突条外側端部311を形成するタイヤ成形用金型の凹部の底にまで、ゴム材料が入りやすくなる。このため、円周方向突条315にベアが発生することを抑制できる。本実施形態において、高さ315Hは、例えば、0.9mmである。上述の通り、本実施形態において、高さ315Hは、高さ310Hよりも高い。
【0155】
本実施形態において、タイヤ径方向における円周方向突条315の幅は、タイヤ幅方向によって異なる。具体的には、タイヤ幅方向外側に向かうに連れ、円周方向突条315の幅は、狭くなる。したがって、タイヤ径方向における円周方向突条315の上面315a(タイヤ径方向に面する面)の幅315Laは、タイヤ径方向におけるタイヤサイド部1dのタイヤ外表面1ds上の円周方向突条315の幅315Lbよりも狭くなる。すなわち、タイヤ径方向及びタイヤ幅方向に沿った断面において、円周方向突条315の形状は、台形状である。幅315La及び幅315Lbは、0.2mm≦幅315La≦3mm、1.5mm≦幅315Lb≦5.0mmを満たすことが好ましい。幅315Laが0.2mm以上であり、幅315Lbが1.5mm以上であることにより、円周方向突条315を形成するタイヤ成形用金型の凹部に、円周方向突条315を構成するゴム材料が入りやすくなる。これにより、円周方向突条315にベアが発生することを抑制できる。幅315Laが3mm以下であり、幅315Lbが5.0mm以下であることにより、ゴム材料の使用量を減らすことができ、タイヤサイド部1dの軽量化をより図ることができる。
【0156】
タイヤ径方向における円周方向突条315の幅は、タイヤ周方向における乱流発生用突条310の最大幅よりも狭い。本実施形態において、タイヤ周方向における乱流発生用突条310の最大幅は、突条外側端部311のタイヤ周方向における幅である。すなわち、乱流発生用突条310の突条外側端部311の突条幅311Wである。具体的には、タイヤ周方向における乱流発生用突条310の最大幅は、一方の幅端部311Aから他方の幅端部311Bまでのタイヤ周方向における長さである。本実施形態において、円周方向突条315の幅315Laは、突条外側端部311のタイヤ周方向における幅よりも狭い。具体的には、突条外側端部311のタイヤ周方向における幅は、例えば、5mmである。円周方向突条315の幅315Laは、例えば、3.0mmである。円周方向突条315の幅315Lbは、突条外側端部311のタイヤ周方向における幅よりも狭い。
【0157】
第7実施形態に係るタイヤ1によれば、突条外側端部311は、円周方向突条315に連なる。すなわち、タイヤ径方向において、突条外側端部311の外側には、円周方向突条315が位置する。更に、タイヤ径方向における乱流発生用突条310の突条外側端部311と円周方向突条315とが連なる部分において、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに対する突条外側端部311の高さ311Hは、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに対する円周方向突条315の高さ315Hよりも低い。
【0158】
タイヤ成形用金型で生タイヤを加硫する際に、突条外側端部311を形成するタイヤ成形用金型の凹部の角部に溜まりやすかった空気は、円周方向突条315を形成するタイヤ成形用金型の凹部へ移動する。したがって、空気に妨げられずに、乱流発生用突条310の突条外側端部311を形成するタイヤ成形用金型の凹部の底にまでゴム材料が入り込むため、突条外側端部311にベアが発生することを抑制できる。
【0159】
突条外側端部311と円周方向突条315とが連なる部分において、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに対する突条外側端部311の高さ311Hは、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面3Aに対する円周方向突条315の高さ315Hよりも低いため、円周方向突条315を形成する凹部の底と突条外側端部311を形成する凹部の底との間にタイヤ幅方向に沿った高さが異なる段差が形成される。したがって、タイヤ成形用金型で生タイヤを加硫する際に、円周方向突条315を形成する凹部に溜まった空気が、突条外側端部311を形成する凹部へ移動するためには、段差を超えなければならない。円周方向突条315を形成する凹部に溜まった空気は、円周方向突条315を形成する凹部に入り込むゴム材料によって、凹部の底へと押し付けられる。このため、円周方向突条315を形成する凹部に溜まった空気は、段差を超えにくく、乱流発生用突条310を形成する凹部に移動しにくくなる。
【0160】
更に、突条外側端部311の高さ311Hは、円周方向突条315の高さ315Hよりも低いため、突条外側端部311を形成する凹部の底にまで、ゴム材料が入り込みやすい。
【0161】
これらの結果、突条外側端部311を形成するタイヤ成形用金型の凹部の角部に空気が溜まりにくくなり、突条外側端部311を形成するタイヤ成形用金型の凹部の可動にゴム材料が入り込みやすくなる。このため、突条外側端部311にベアが発生することを抑制できる。
【0162】
タイヤサイド部1dに乱流発生用突条310が設けられているため、乱流発生用突条310によってタイヤサイド部1dの温度低減を図ること可能となる。さらに、タイヤサイド部1dに円周方向突条315が設けられている。このため、タイヤ径方向に向かう径方向成分を有する空気は、円周方向突条315を乗り越える。乗り越えた空気は、円周方向突条315の背面側でタイヤ外表面3Cに対して略垂直方向に流れ、円周方向突条315のタイヤ径方向の外側に位置するタイヤ外表面3Cに突き当たる。そのため、タイヤ外表面3Cに突き当たった空気流が、円周方向突条315のタイヤ径方向の外側に位置するタイヤ外表面3Cに停留する空気流と熱交換を行う。これらの結果、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsの温度上昇を抑制し、タイヤ耐久性を向上させることができる。
【0163】
また、実施形態に係るタイヤ1によれば、タイヤ最大幅領域TRにおいて、突条外側端部311は、円周方向突条315に連なり、タイヤ径方向における円周方向突条315の幅は、タイヤ周方向における乱流発生用突条310の最大幅よりも狭い。
【0164】
タイヤ径方向及びタイヤ幅方向に沿った断面において、タイヤサイド部1dのタイヤ外表面1dsは、曲率を持った形状を有しているため、タイヤ径方向外側に向かう径方向成分を有する空気流は、タイヤ最大幅領域TR付近において、タイヤ1のタイヤ外表面1dsから離れやすい。しかしながら、タイヤ最大幅領域TRにおいて、突条外側端部311が円周方向突条315に連なるため、径方向成分を有する空気流が、円周方向突条315を乗り越えると、タイヤ径方向における円周方向突条315の外側において、タイヤ1のタイヤ外表面3Cに対して鉛直方向に流れる(いわゆる下降流となる)。これにより、径方向成分を有する空気流がタイヤのタイヤ外表面3Cから離れることを抑制し、タイヤ径方向における円周方向突条315の外側において、タイヤ1のタイヤ外表面3Cの温度上昇を抑制し、タイヤ耐久性を向上させることができる。
【0165】
更に、タイヤ径方向における円周方向突条315の幅は、タイヤ周方向における乱流発生用突条310の最大幅よりも狭いため、タイヤサイド部1dを構成するゴム材料の使用量を大幅に増加させることがない。このため、タイヤサイド部1dの薄ゲージ化を図りつつ、突条外側端部311にベアが発生することを抑制できる。
【0166】
また、第7実施形態に係るタイヤ1によれば、乱流発生用突条310は、タイヤ径方向に対して傾斜して延在する。乱流発生用突条310は、タイヤ径方向に対して傾斜して延在しているため、国際公開公報WO2009/017167に記載されているように、遠心力により外側に流れる空気流と、滞留している空気との関係で乱流の発生が促進され、冷却効果が高まる。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明に係るタイヤは、任意の種類の空気入りタイヤに好適に利用でき、例えば、乗用車用空気入りタイヤ、トラック・バス用空気入りタイヤ等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0168】
1:タイヤ
1M:タイヤ本体、 1a:トレッド部、 1b:サイドウォール部、 1c:ビード部、 1d:タイヤサイド部、 1ds:タイヤサイド部のタイヤ外表面、
3:補強部材、 3a:補強プライ、 3u:補強部材のタイヤ径方向外端、
4a:ビードコア、 4b:ビードフィラー、 4b1、4b2:ビードフィラー部、 4bu:ビードフィラーのタイヤ径方向外端、
5:カーカス、 5a:カーカスプライ、 5M:プライ本体部、 5T:プライ折返し部、 5e:カーカスのプライ折返し部のタイヤ径方向外端、 6:ベルト、 6a:ベルト層、
7:トレッドゴム、 8:サイドゴム、
9:インナーライナー、
10:通信装置、
10e:RFタグ、
10b:アンテナ部、 10b1、10b2:アンテナ、
10f:被覆部、 10f1、10f2:被覆部材、
10c:ICチップ、
10u:通信装置のタイヤ径方向外端、
10m:通信装置のタイヤ径方向中心、
F:乱流発生用突条、 G:突条間凹部、
CL:タイヤ赤道面、
WD:タイヤ幅方向、 RD:タイヤ径方向、 CD:タイヤ周方向、
LD:通信装置の長手方向、 SD:通信装置の短手方向、 TD:通信装置の厚さ方向
図1
図2
図3
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図21