(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004153
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20230110BHJP
B29C 45/02 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
H01L21/56 T
B29C45/02
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105680
(22)【出願日】2021-06-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-18
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】高田 準子
(72)【発明者】
【氏名】大庭 亮人
【テーマコード(参考)】
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F206AD02
4F206AD03
4F206AD04
4F206AD08
4F206AD20
4F206AH37
4F206JA02
4F206JB12
4F206JF05
4F206JL02
4F206JW23
4F206JW50
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA03
5F061CA21
5F061CB13
5F061DA01
5F061DA11
5F061DD01
5F061EA01
(57)【要約】
【課題】少なくともカルを含む不要樹脂が除去された封止済基板に残存した不要樹脂を除去する場合に、残存した不要樹脂を除去しきれない又はパッケージが欠けてしまう等の製品不良を低減する。
【解決手段】基板Wを樹脂封止して封止済基板W1を形成する樹脂成形部Bと、封止済基板W1から不要樹脂K1、K2を除去する除去部C、Dとを有し、除去部Dは、少なくともカルを含む第1不要樹脂K1が除去された封止済基板W1を保持する基板保持部3と、基板保持部3を回転させて封止済基板W1を表裏反転させる反転部4と、反転部4により表裏反転された封止済基板W1を、封止済基板W1に残存した第2不要樹脂K2を除去するための加工ステージ111に搬送する基板搬送部5とを備える反転搬送機構2を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を樹脂封止して封止済基板を形成する樹脂成形部と、
前記封止済基板から不要樹脂を除去する除去部とを有し、
前記除去部は、
少なくともカルを含む第1不要樹脂が除去された前記封止済基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させて前記封止済基板を表裏反転させる反転部と、
前記反転部により表裏反転された前記封止済基板を、前記封止済基板に残存した第2不要樹脂を除去するための加工ステージに搬送する基板搬送部と備える反転搬送機構を有する、樹脂成形装置。
【請求項2】
前記加工ステージは、前記第2不要樹脂を打ち抜くための打ち抜き用ステージであり、
前記基板搬送部は、前記封止済基板を前記加工ステージにスライド搬送するものである、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記基板保持部は、
前記封止済基板が載置される載置部と、
前記載置部上で前記封止済基板を保持する保持部材とを有し、
前記基板保持部は、前記基板搬送部による搬送方向に沿った前記封止済基板の両辺部を保持する、請求項1又は2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
前記反転部は、前記基板保持部に保持された前記封止済基板を、反転の前後において、前記基板搬送部によって搬送可能な搬送高さに維持するものである、請求項1乃至3の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
前記反転部は、前記基板保持部に保持された矩形状の前記封止済基板の長手方向に沿った中心軸周りに回転させるものである、請求項1乃至4の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
前記反転部は、
前記基板保持部の一端側に設けられ、前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、
前記基板保持部の他端側に設けられ、前記基板保持部の回転をガイドする回転ガイド部とを有する、請求項1乃至5の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
前記回転駆動部は、
前記基板保持部の一端部に連結された回転軸部材と、
前記基板保持部よりも下側に設けられたモータと、
前記モータの回転を前記回転軸部材に伝達する伝達機構とを有する、請求項6に記載の樹脂成形装置。
【請求項8】
前記基板搬送部は、前記基板保持部の一端側から他端側に前記封止済基板をスライドさせるスライド部を有し、
前記回転ガイド部は、前記スライド部によりスライドされる前記封止済基板の通過領域を取り囲むように設けられている、請求項6又は7に記載の樹脂成形装置。
【請求項9】
前記回転ガイド部は、前記通過領域を取り囲む環状のガイドレールを有する、請求項8に記載の樹脂成形装置。
【請求項10】
前記基板搬送部は、前記スライド部によりスライドされた前記封止済基板を引き込んで前記加工ステージに送り出すローラ部を有する、請求項8又は9に記載の樹脂成形装置。
【請求項11】
前記除去部は、前記第1不要樹脂を除去する第1除去部と、前記第2不要樹脂を除去する第2除去部とを有し、
前記第2除去部は、前記反転搬送機構を有する、請求項1乃至10の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
成形対象物を樹脂封止して封止済基板を形成する樹脂封止工程と、
前記封止済基板から少なくともカルを含む第1不要樹脂を除去する第1除去工程と、
前記第1不要樹脂が除去された前記封止済基板を基板保持部に搬送する第1搬送工程と、
前記基板保持部を回転して前記基板保持部に保持された前記封止済基板を表裏反転させる反転工程と、
表裏反転された前記封止済基板を前記封止済基板に残存した第2不要樹脂を除去するための加工ステージに搬送する第2搬送工程と、
前記加工ステージに搬送された前記封止済基板から前記第2不要樹脂を除去する第2除去工程とを含む、樹脂成形品の製造方法。
【請求項13】
前記第2除去工程は、打ち抜き加工により前記第2不要樹脂を除去するものであり、
前記第2搬送工程は、表裏反転された前記封止済基板を前記加工ステージにスライド搬送するものである、請求項12に記載の樹脂成形品の製造方法。
【請求項14】
前記第2除去工程の後に第2基板保持部に搬送する基板搬出工程と、
前記第2基板保持部を回転して前記第2基板保持部に保持された前記封止済基板を再び表裏反転させる再反転工程と、
再び表裏反転された前記封止済基板を基板収納部に収納する基板収納工程とを備える、請求項12又は13に記載の樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置、及び樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置の製造方法として、特許文献1に示すように、リードフレームを樹脂によって封止するモールド工程の後に、残存したカル部及びランナ部の樹脂を除去するゲートブレイク処理と、ゲートブレイク処理の後に残存したゲート部の樹脂を除去するゲートカット処理を行うものが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ゲートブレイク処理の後に残存したゲート部等の不要樹脂を除去する場合には、残存した不要樹脂の形状又は樹脂封止したパッケージの形状によっては、残存した不要樹脂を除去しきれない場合又はパッケージが欠けてしまう場合があり、製品不良の原因となってしまう。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点を解決すべくなされたものであり、少なくともカルを含む不要樹脂が除去された封止済基板に残存した不要樹脂を除去する場合に、残存した不要樹脂を除去しきれない又はパッケージが欠けてしまう等の製品不良を低減することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る樹脂成形装置は、基板を樹脂封止して封止済基板を形成する樹脂成形部と、前記封止済基板から不要樹脂を除去する除去部とを有し、前記除去部は、少なくともカルを含む第1不要樹脂が除去された封止済基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部を回転させて前記封止済基板を表裏反転させる反転部と、前記反転部により表裏反転された前記封止済基板を、前記封止済基板に残存した第2不要樹脂を除去するための加工ステージに搬送する基板搬送部とを備える反転搬送機構を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように構成した本発明によれば、少なくともカルを含む第1不要樹脂が除去された封止済基板に残存した第2不要樹脂を除去する場合に、第2不要樹脂を除去しきれない又はパッケージが欠けてしまう等の製品不良を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂成形装置の構成を模式的に示す平面図である。
【
図2】同実施形態のポット、キャビティ及びそれらを接続する各樹脂通路部を模式的に示す平面図である。
【
図3】同実施形態の封止済基板における第1不要樹脂の除去の前後及び第2不要樹脂の除去の前後を模式的に示す図である。
【
図4】同実施形態の反転搬送機構の構成を模式的に示す平面図である。
【
図5】同実施形態の反転搬送機構の構成を模式的に示すX方向に沿った縦断面図である。
【
図6】同実施形態の反転搬送機構による封止済基板の反転の前後の状態を模式的に示すY方向に沿った縦断面図である。
【
図7】同実施形態の反転搬送機構による封止済基板の反転の前後の状態を模式的に示すX方向に沿った縦断面図である。
【
図8】同実施形態の反転搬送機構の基板搬送部の動作を示す図である。
【
図9】同実施形態の第2反転搬送機構の構成及び封止済基板の反転の前後の状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
【0010】
本発明の樹脂成形装置は、前述のとおり、基板を樹脂封止して封止済基板を形成する樹脂成形部と、前記封止済基板から不要樹脂を除去する除去部とを有し、前記除去部は、少なくともカルを含む第1不要樹脂が除去された封止済基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部を回転させて前記封止済基板を表裏反転させる反転部と、前記反転部により表裏反転された前記封止済基板を、前記封止済基板に残存した第2不要樹脂を除去するための加工ステージに搬送する基板搬送部とを備える反転搬送機構を有することを特徴とする。
【0011】
この樹脂成形装置であれば、少なくともカルを含む第1不要樹脂が除去された封止済基板を表裏反転させて、封止済基板に残存した第2不要樹脂を除去するための加工ステージに搬送することができるので、第2不要樹脂を除去しきれない又はパッケージが欠けてしまう等の製品不良を低減することができる。
具体的には、封止済基板を表裏反転せずに第2不要樹脂を除去する場合に、第2不要樹脂を除去しきれない又はパッケージが欠けてしまう等の製品不良が発生する場合であっても、封止済基板を表裏反転させて第2不要樹脂を除去すると、第2不要樹脂を確実に除去でき、又は、パッケージが欠けることを防ぐことができる。このように反転搬送機構を用いることにより、封止済基板の品種に応じて、封止済基板の第2不要樹脂を除去することができる。
その他、この反転搬送機構を用いることにより、一方向から封止済基板の表面の外観検査だけでなく、封止済基板の裏面の外観検査も行うことができ、外観検査するための装置構成を簡単化することができる。
【0012】
封止済基板の第2不要樹脂を除去する構成としては、第2不要樹脂を抜き金型で打ち抜いて除去するものが考えられる。
この場合、前記加工ステージは、前記第2不要樹脂を打ち抜くための打ち抜き用ステージとなり、当該打ち抜き用ステージと抜き金型との間のスペースが狭くなることが考えられる。
この構成において、加工ステージに封止済基板を搬送しやすくするためには、前記基板搬送部は、前記封止済基板を前記加工ステージにスライド搬送するものであることが望ましい。
【0013】
封止済基板を表裏反転させる構成において封止済基板が落下しないようにするためには、前記基板保持部は、前記封止済基板が載置される載置部と、前記載置部上で前記封止済基板を保持する保持部材とを有する構成が望ましい。
この構成において、保持部材が封止済基板を保持しつつ、基板搬送部による封止済基板の搬送を邪魔しないようにするためには、前記基板保持部は、前記封止済基板における前記基板搬送部の搬送方向に沿った前記封止済基板の両辺部を保持することが望ましい。
【0014】
前記反転部は、前記基板保持部に保持された前記封止済基板を、反転の前後において、前記基板搬送部によって搬送可能な搬送高さに維持するものであることが望ましい。
この構成であれば、封止済基板を表裏反転させない状態と、封止済基板を表裏反転させた状態との両方において基板搬送部により加工ステージに搬送することができる。その結果、封止済基板の種類に柔軟に対応して第2不要樹脂を除去することができる。
【0015】
反転部により回転する基板保持部の回転領域を小さくして、反転搬送機構を小型化するためには、前記反転部は、前記基板保持部に保持された矩形状の前記封止済基板の長手方向に沿った中心軸周りに回転させるものであることが望ましい。
【0016】
従来の基板反転機構としては、封止済基板を保持する基板保持部の長手方向の両端部に回転軸部材を連結し、当該回転軸部材を回転させることによって基板を反転させる構成のものが考えられている。
ところがこの構成では、基板保持部の両端部それぞれに回転軸部材が設けられており、当該回転軸部材が邪魔となり、基板保持部から封止済基板を加工ステージにスライド搬送することができない。このため、従来の基板反転機構を用いた場合には、封止済基板を持ち上げて別の中間ステージに移し替えた後に、更に中間ステージから封止済基板を加工ステージにスライド搬送する必要がある。そうすると、工程数が増えるだけでなく、装置構成が複雑になってしまい、装置の大型化を招いてしまう。
この問題を解決するためには、前記反転部は、前記基板保持部の一端側に設けられ、前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、前記基板保持部の他端側に設けられ、前記基板保持部の回転をガイドする回転ガイド部とを有することが望ましい。
【0017】
ここで、封止済基板を加工ステージにスライド搬送するための具体的な実施の態様としては、前記基板搬送部は、前記基板保持部の一端側から他端側に前記封止済基板をスライドさせるスライド部を有し、前記回転ガイド部は、前記スライド部によりスライドされる前記封止済基板の通過領域を取り囲むように設けられていることが望ましい。
【0018】
回転ガイド部の具体的な実施の態様としては、前記回転ガイド部は、前記通過領域を取り囲む環状のガイドレールを有することが望ましい。
【0019】
前記回転駆動部は、前記基板保持部の一端部に連結された回転軸部材と、前記基板保持部よりも下側に設けられたモータと、前記モータの回転を前記回転軸部材に伝達する伝達機構とを有することが望ましい。
この構成であれば、基板保持部の上方を簡略化できるとともに、反転搬送機構のフットスペースを小型化することができる。
【0020】
封止済基板を加工ステージに安定して搬送するためには、前記基板搬送部は、前記スライド部によりスライドされた前記封止済基板を引き込んで前記加工ステージに送り出すローラ部を有することが望ましい。
【0021】
前記除去部において第1不要樹脂及び第2不要樹脂の両方を除去するための具体的な実施の態様としては、前記除去部は、前記第1不要樹脂を除去する第1除去部と、前記第2不要樹脂を除去する第2除去部とを有し、前記第2除去部は、前記反転搬送機構を有することが望ましい。
【0022】
また、上述した反転搬送機構を用いた樹脂成形品の製造方法も本発明の一態様である。
具体的に本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、上述した樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、成形対象物を樹脂封止して封止済基板を形成する樹脂封止工程と、前記封止済基板から少なくともカルを含む第1不要樹脂を除去する第1除去工程と、前記第1不要樹脂が除去された前記封止済基板を基板保持部に搬送する第1搬送工程と、前記基板保持部を回転して前記基板保持部に保持された前記封止済基板を表裏反転させる反転工程と、表裏反転された前記封止済基板を前記封止済基板に残存した第2不要樹脂を除去するための加工ステージに搬送する第2搬送工程と、前記加工ステージに搬送された前記封止済基板から前記第2不要樹脂を除去する第2除去工程とを含むことを特徴とする。
【0023】
前記第2除去工程は、打ち抜き加工により前記第2不要樹脂を除去するものであり、前記第2搬送工程は、表裏反転された前記封止済基板を前記加工ステージにスライド搬送するものであることが望ましい。
【0024】
表裏反転させた状態で基板収納部に収納すると、封止済基板が傷ついてしまったり、そもそも従来の基板収納部を用いることができない等の問題が生じうる。
このため、本発明の樹脂成形品の製造方法は、前記第2除去工程の後に第2基板保持部に搬送する基板搬出工程と、前記第2基板保持部を回転して前記第2基板保持部に保持された前記封止済基板を再び表裏反転させる再反転工程と、再び表裏反転された前記封止済基板を基板収納部に収納する基板収納工程とを備えることが望ましい。
【0025】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る樹脂成形装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0026】
<樹脂成形装置100の基本構成>
本実施形態の樹脂成形装置100は、電子部品が接続された成形対象物Wを、樹脂材料Jを用いたトランスファ成形によって樹脂成形するものである。
【0027】
ここで、成形対象物Wとしては、例えば金属製基板、樹脂製基板、ガラス製基板、セラミックス製基板、回路基板、半導体製基板、配線基板、リードフレーム等であり、配線の有無は問わない。また、樹脂成形のための樹脂材料Jは、例えば熱硬化性樹脂を含む複合材料であり、樹脂材料Jの形態は、例えば円柱状をなすタブレット状の固形である。また、成形対象物Wの上面に接続される電子部品としては、例えばベアチップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子又はこれらの電子素子の少なくとも1つが樹脂封止された状態のものである。
【0028】
具体的に樹脂成形装置100は、
図1に示すように、供給モジュールAと、2つの樹脂成形部である樹脂成形モジュールBと、第1除去部である第1除去モジュールCと、第2除去部である第2除去モジュールDと、収納モジュールEとを、それぞれ構成要素として備える。各構成要素(各モジュールA~E)は、それぞれの構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0029】
以下に示す各モジュールA~Eを含む樹脂成形装置100の動作制御は、例えば、供給モジュールAに設けた制御部CTLが行う。この制御部CTLは、供給モジュールA以外の他のモジュールB~Eに設けてもよい。また、制御部CTLは、複数に分割して、各モジュールA~Eのうちの少なくとも2つのモジュールに設けてもよい。
【0030】
<供給モジュールA>
供給モジュールAは、成形対象物Wを樹脂成形モジュールBに供給するとともに、樹脂材料Jを樹脂成形モジュールBに供給するものである。具体的に供給モジュールAは、成形対象物Wを供給する成形対象物供給部101と、成形対象物Wを受け渡しする成形対象物載置部102と、樹脂材料Jを収容する樹脂材料収容部103と、樹脂材料Jを整列させる樹脂材料整列部104と、成形対象物載置部102から樹脂成形モジュールBに成形対象物Wを搬送し、樹脂材料整列部104から樹脂成形モジュールBに樹脂材料Jを搬送する搬送機構105とを有している。なお、搬送機構105は、少なくともX方向及びY方向に移動可能に設けられている。
【0031】
<樹脂成形モジュールB>
樹脂成形モジュールBは、搬送機構105により搬送された成形対象物W及び樹脂材料Jを用いて、成形対象物Wを樹脂封止する樹脂成形部である。具体的に樹脂成形モジュールBは、樹脂材料Jを収容するポット106aが形成された下型及び当該下型に対向して設けられた上型からなる一対の成形型106と、一対の成形型106を型締めする型締め機構(不図示)とを有する。
【0032】
一対の成形型106において下型又は上型の少なくとも一方には、
図2に示すように、樹脂材料Jが注入される複数のキャビティ106bが形成されており、また、ポット106aとキャビティ106bとを接続するカル部及びランナ部を有する第1樹脂通路部106c、及び、第1樹脂通路部106cとキャビティ106bとを接続するゲート部を有する第2樹脂通路部106dが形成されている。
【0033】
そして、型締め機構により一対の成形型106を型締めした状態で、プランジャ(不図示)によりポット106aから溶融した樹脂材料Jを押し出すと、溶融した樹脂材料Jが上述した樹脂通路を通ってキャビティ106bに注入される。そして、キャビティ106b内に収容された成形対象物Wの電子部品が樹脂封止される。これにより形成された封止済基板W1には、第1樹脂通路部106cに残存して形成された第1不要樹脂K1と、第2樹脂通路部106dに残存して形成された第2不要樹脂K2とが形成される(
図3参照)。
図3には、2つの封止済基板W1が第1不要樹脂K1により連結された例を示している。第1不要樹脂K1においてカル部に対応する不要樹脂はカルと呼ばれ、ランナ部に対応する不要樹脂はランナと呼ばれる。また、第2不要樹脂K2においてゲート部に対応する不要樹脂はゲートと呼ばれる。また、第1不要樹脂K1は、平面視で封止済基板W1の外側と内側に形成され、第2不要樹脂K2は、平面視で封止済基板W1の内側に形成される。
【0034】
<第1除去モジュールC>
第1除去モジュールCは、所謂ゲートブレイク処理を行う第1除去部であり、封止済基板W1に形成された第1不要樹脂K1を除去するものである(
図3(a)、(b)参照)。樹脂成形モジュールBから第1除去モジュールCへの封止済基板W1の搬送は、
図1に示すように、少なくともX方向及びY方向に移動可能な搬送機構107により行われる。具体的に第1除去モジュールCは、封止済基板W1が載置される載置プレート108を備え、載置プレート108は、不要樹脂除去位置GBと搬送位置TPとの間を移動することができる。さらに、不要樹脂除去位置GBには、封止済基板W1の第1不要樹脂K1を除去する除去機構(図示せず)が備えられている。
【0035】
不要樹脂除去位置GBの載置プレート108には、搬送機構107により樹脂成形モジュールBから封止済基板W1が搬送されて載置される。また、封止済基板W1の第1不要樹脂K1を除去する除去機構は、例えば、封止済基板W1と第1不要樹脂K1との連結部を折り曲げることによって第1不要樹脂K1を除去する構成、又は、封止済基板W1の第1不要樹脂K1をピンなどの押圧部材で押すことにより除去する構成などが考えられる。
【0036】
<第2除去モジュールD>
第2除去モジュールDは、所謂ゲートカット処理を行う第2除去部であり、第1除去モジュールCによって除去されずに残存した第2不要樹脂K2を除去するものである(
図3(c)~(e)参照)。第1除去モジュールCから第2除去モジュールDへの封止済基板W1の搬送は、少なくともX方向に移動可能な搬送機構110により行われる。具体的に第2除去モジュールDは、封止済基板W1に残存した第2不要樹脂K2を打ち抜いて除去するものであり、
図1に示すように、封止済基板W1が載置される打ち抜き用ステージ111と、当該ステージ111上に載置された封止済基板W1から残存した第2不要樹脂K2を打ち抜くための抜き金型112と、当該抜き金型112とステージ111とを相対的に昇降させて第2不要樹脂K2を打ち抜く駆動機構(不図示)とを備えている。
【0037】
<収納モジュールE>
収納モジュールEは、
図1に示すように、第2除去モジュールDにより第2不要樹脂K2が除去された封止済基板W1(以下、樹脂成形品P)を収納するものである。なお、第2除去モジュールDから収納モジュールEへの樹脂成形品Pの搬送は、少なくともX方向に移動可能な搬送機構113により行われる。具体的に収納モジュールEは、樹脂成形品Pを収容する基板収納部114を有している。この基板収納部114に収容された樹脂成形品Pは、装置外部から取り出すことができる。
【0038】
<反転搬送機構2>
そして、本実施形態では、第2除去モジュールDにおいて封止済基板W1を反転させた後に第2不要樹脂K2を除去できるように構成されている。具体的に第2除去モジュールDは、
図1に示すように、第2不要樹脂K2が残存した封止済基板W1を表裏反転させる反転搬送機構2を備えている。
【0039】
ここで、封止済基板W1の一例について説明する。本実施形態の封止済基板W1は、
図3(c)に示すように、成形対象物Wの表面(おもて面)及び裏面(うら面)の両方に樹脂封止がなされるとともに、表面に形成された樹脂封止(パッケージ)の厚さが裏面に形成された樹脂封止(パッケージ)の厚さよりも大きいものである。そして、これらの封止済基板W1を表面側から打ち抜いて第2不要樹脂K2を除去すると、その打ち抜きに伴って裏面側の樹脂封止(パッケージ)が成形対象物Wから剥がれる又はパッケージが欠ける等の不具合が生じてしまう。一方、封止済基板W1を裏面側から打ち抜いて第2不要樹脂K2を除去すると、その打ち抜きに関わらず、表面側の樹脂封止(パッケージ)は厚いため、成形対象物Wから剥がれにくく又はパッケージが欠けにくい。
【0040】
反転搬送機構2は、
図4~
図6に示すように、第1除去モジュールCにより第1不要樹脂K1が除去された封止済基板W1を保持する基板保持部3と、基板保持部3を回転させて封止済基板W1を表裏反転させる反転部4と、反転部4により表裏反転された封止済基板W1を打ち抜き用ステージ111に搬送する基板搬送部5とを備えている。
【0041】
<基板保持部3>
基板保持部3は、
図4~
図6に示すように、封止済基板W1が載置される載置部31と、載置部31上で封止済基板W1を保持する保持部材32とを有している。この基板保持部3は、矩形状の封止済基板W1を保持するものであり、当該封止済基板W1に対応して長手方向に延びた構成である(
図4参照)。本実施形態の基板保持部3は、封止済基板W1の長手方向がX方向と一致するように封止済基板W1を保持する。
【0042】
載置部31には、第1除去モジュールCの搬送位置TPにある載置プレート108から第1不要樹脂K1が除去された封止済基板W1が搬送機構110によりピックアップされ、封止済基板W1の向きを載置部31に載置するときの向きに合致させながら搬送されて、上方から載置部31に1枚ずつ載置される。本実施形態の載置部31は、特に
図6に示すように、封止済基板W1の長手方向に沿った両辺部が載置される構成である。
【0043】
保持部材32は、例えば断面L字形状であり、載置部31の長手方向の両端側に設けられている。保持部材32は、載置部31に対して回転可能に設けられており、載置部31に載置された封止済基板W1の長手方向に沿った両辺部の上面を覆うことにより保持するものである。保持部材32は、図示しないアクチュエータにより、
図6に示すように、封止済基板W1を保持する保持位置Lと、当該保持位置Lから外側に回転して封止済基板W1の保持を解除する解除位置M(
図6の部分図参照)との間で回転する。
【0044】
本実施形態では、基板搬送部5の搬送方向(X方向)と封止済基板W1の長手方向とが一致しており、保持部材32は、基板搬送部5による搬送方向に沿った封止済基板W1の両辺部を保持するものとなる(
図6参照)。このように保持部材32が搬送方向に沿った封止済基板W1の両辺部を保持することにより、保持部材32は、基板搬送部5により封止済基板W1をスライド搬送するときのガイドとしても機能する。
【0045】
<反転部4>
反転部4は、基板保持部3を回転させることによって、当該基板保持部3に保持された封止済基板W1の表裏を反転させるものである。また、反転部4は、基板保持部3を、当該基板保持部3に保持された矩形状の封止済基板W1の長手方向(X方向)に沿った中心軸周りに回転させるものである。
【0046】
さらに、反転部4は、基板保持部3に保持された封止済基板W1を、反転の前後において、基板搬送部5によって搬送可能な搬送高さに維持するものである。本実施形態の反転部4は、封止済基板W1の長手方向から見た側面の中心を通る中心軸周りに基板保持部3を回転させるものであり、反転前の封止済基板W1の上を向く面(おもて面)の高さ位置(
図6(a)参照)と、反転後の封止済基板W1の上を向く面(うら面)の高さ位置(
図6(b)参照)とが実質的に同じ高さとなる。
【0047】
具体的に反転部4は、
図4~
図6に示すように、基板保持部3の長手方向の一端側(打ち抜き用ステージ111とは反対側)に設けられ、基板保持部3を回転させる回転駆動部41と、基板保持部3の長手方向の他端側(打ち抜き用ステージ111側)に設けられ、基板保持部3の回転をガイドする回転ガイド部42とを有している。
【0048】
回転駆動部41は、特に
図5に示すように、基板保持部3の長手方向の一端部に連結された回転軸部材411と、基板保持部3よりも下側に設けられたモータ412と、モータ412の回転を回転軸部材411に伝達する伝達機構413とを有している。回転軸部材411は、基台414に転がり軸受415を介して回転可能に支持されている。また、本実施形態の伝達機構413は、回転軸部材411に設けられた従動側プーリ413aと、モータ412に設けられた駆動側プーリ413bと、それらプーリ413a、413bに架け渡された伝達ベルト413cである。その他、伝達機構413としては、回転を伝達するものであれば、歯車を用いた機構、又は、等速ジョイントやユニバーサルジョイント等を用いたリンク機構であってもよい。
【0049】
回転ガイド部42は、
図4~
図6に示すように、基板保持部3の回転をガイドするガイドレール421と、当該ガイドレール421に沿ってスライド移動するスライダ422とを有している。ガイドレール421は、基台414に固定されている。また、スライダ422は、基板保持部3の長手方向の他端部に連結されており、回転の安定性を向上させるべく、例えば3つ設けられている(
図6参照)。
【0050】
そして、この回転ガイド部42は、
図6に示すように、基板搬送部5により搬送される封止済基板W1の通過領域を取り囲むように設けられている。具体的には回転ガイド部42は、回転駆動部41の回転軸部材411による回転中心を中心として前記通過領域を取り囲む環状をなすものである。本実施形態の回転ガイド部42は、基板保持部3の周囲を取り囲むように設けられている。本実施形態の回転ガイド部42は、基板搬送部5による搬送方向と交わる平面、より具体的には基板搬送部5による搬送方向と直交する平面において、通過時の封止済基板W1を取り囲むと表現することもできる。
【0051】
<基板搬送部5>
基板搬送部5は、基板保持部3から封止済基板W1を打ち抜き用ステージ111に水平方向にスライド搬送するものである。具体的に基板搬送部5は、
図4~
図6に示すように、基板保持部3の一端側(打ち抜き用ステージ111とは反対側)から他端側(打ち抜き用ステージ111側)にX方向に沿って封止済基板W1をスライドさせるスライド部51と、スライド部51によりスライドされた封止済基板W1を引き込んで打ち抜き用ステージ111に送り出すローラ部52とを有する。
【0052】
スライド部51は、封止済基板W1を押し出すための押し出し部材511と、当該押し出し部材511を搬送方向(X方向)に沿って移動させる第1移動機構512と、押し出し部材511を搬送方向に直交する方向(Y方向)に沿って移動させる第2移動機構513とを有する。
【0053】
押し出し部材511は、封止済基板W1を押し出す際に保持部材32に干渉しないように構成されており、具体的には、
図4に示すように、両辺部の保持部材32よりも幅の狭い押圧部511aを有している。本実施形態では、封止済基板W1の押し出しを安定して行うために、封止済基板W1の短手辺部の2箇所に接触するように構成されている。
【0054】
第1移動機構512は、
図4に示すように、搬送方向(X方向)に延びる第1ガイドレール512aと、当該第1ガイドレール512a上をスライドする第1スライド部512bと、第1ガイドレール512aに沿って第1スライド部512bを移動させる第1駆動部(不図示)とを有する。第1駆動部は、例えばボールねじ機構及びモータ、シリンダ機構などを用いて構成されている。
【0055】
第2移動機構513は、
図4に示すように、搬送方向に直交する方向(Y方向)に延びる第2ガイドレール513aと、当該第2ガイドレール513a上をスライドする第2スライド部513bと、第2ガイドレール513aに沿って第2スライド部513bを移動させる第2駆動部(不図示)とを有する。第2駆動部は、例えばボールねじ機構及びモータ、シリンダ機構などを用いて構成されている。本実施形態では、第2移動機構513は、第1スライド部512bに設けた例を示しているが、第1移動機構512を第2スライド部513bに設けても良い。
【0056】
ローラ部52は、
図4及び
図5に示すように、基板保持部3と打ち抜き用ステージ111との間に設けられており、封止済基板W1を上下から挟んで引き込むための上ローラ52a及び下ローラ52bを有している。本実施形態では、上ローラ52a及び下ローラ52bからなるローラ対521が封止済基板W1の搬送方向に沿った両辺部それぞれに設けられている。このローラ部52により送り出される封止済基板W1の高さ位置は、打ち抜き用ステージ111の上面をスライドする高さ、又は、打ち抜き用ステージ111の上面と抜き金型112の下面との間に設定されている。また、ローラ部52と基板保持部3との位置関係は、基板保持部3から押し出される封止済基板W1がローラ部52に引き込まれるように設定されている。なお、基板保持部3とローラ部52との間に、封止済基板W1をローラ部52に引き込みやすくするためにガイド部(不図示)を設けても良い。
【0057】
<基板搬送部5の動作>
ここで基板搬送部5の動作について
図7及び
図8に基づいて説明する。
【0058】
搬送機構110によって、搬送位置TPにある載置プレート108から基板保持部3の載置部31に封止済基板W1を搬送し(
図7(a)参照)、反転部4により基板保持部3を反転させる際には、スライド部51の第1移動機構512及び第2移動機構513により押し出し部材511を基板保持部3の側方に退避させておく(
図8(a)参照)。これにより、スライド部51の押し出し部材511が基板保持部3の回転を邪魔しないようにしている。
【0059】
基板保持部3を回転させて封止済基板W1を表裏反転させた後(
図7(b)参照)に、スライド部51の第2移動機構513により押し出し部材511を前進させて押し出し部材511が封止済基板W1の短手辺部に対向するようにする(
図8(b)参照)。そして、スライド部51の第1移動機構512が押し出し部材511を搬送方向に移動させて封止済基板W1をローラ部52側に押し出す(
図8(c)参照)。そして、第1移動機構512は、封止済基板W1がローラ部52に引き込まれるまで押し出し部材511を移動させる(
図8(d)参照)。
【0060】
封止済基板W1がローラ部52に到達すると、封止済基板W1はローラ対521に挟まれて打ち抜き用ステージ111に送り出される(
図7(b)、
図8(e)参照)。このとき第1移動機構512は、押し出し部材511の移動を停止する。その後、第1移動機構512及び第2移動機構513により押し出し部材が退避位置に戻る(
図8(f)参照)。
【0061】
<第2反転搬送機構6>
さらに、本実施形態では、第2除去モジュールDにおいて第2不要樹脂K2を除去された封止済基板W1の表裏を再び反転できるように構成されている。具体的に第2除去モジュールDは、
図1に示すように、第2不要樹脂K2が除去された封止済基板W1の表裏を再び反転させて元に戻す第2反転搬送機構6を備えている。
【0062】
第2反転搬送機構6は、前記反転搬送機構2の一部の構成を打ち抜き用ステージ111を挟んで対称的に配置した構成である。具体的に第2反転搬送機構6は、
図9に示すように、打ち抜き用ステージ111と基板収納部114との間に設けられており、第2不要樹脂K2が除去された封止済基板W1を保持する第2基板保持部7と、第2基板保持部7に封止済基板W1を搬送する第2基板搬送部8と、第2基板保持部7を回転させて第2不要樹脂K2が除去された封止済基板W1を表裏反転させる第2反転部9とを有する。
【0063】
第2基板保持部7は、前記反転搬送機構2の基板保持部3と同様の構成である。ただし、第2基板保持部7の載置部71と保持部材72とは、第2反転部9により反転された後に搬送機構113により封止済基板W1を持ち上げて搬送できるように、前記実施形態と反転前の状態と反転後の状態とが逆となる構成である。つまり、第2基板保持部7を反転する前は、載置部71が上、保持部材72が下の状態であり、第2基板保持部7を反転した後は、載置部71が下、保持部材72が上の状態である。
【0064】
第2基板搬送部8は、打ち抜き用ステージ111から押し出された封止済基板W1を引き込んで、第2基板保持部7に送り出すものであり、前記反転搬送機構2と同様構成のローラ部81を用いて構成される。
【0065】
第2反転部9は、第2基板保持部7の打ち抜き用ステージ111とは反対側に設けられ、第2基板保持部7を回転させる第2回転駆動部91と、第2基板保持部7の打ち抜き用ステージ111側に設けられ、第2基板保持部7の回転をガイドする第2回転ガイド部92とを有している。第2回転駆動部91及び第2回転ガイド部92の構成は、前記前記反転搬送機構2と同様である。
【0066】
<樹脂成形品Pの製造方法の全体工程>
次に、本実施形態の樹脂成形装置100の動作の一例を説明する
【0067】
(1)樹脂封止工程
供給モジュールAから樹脂成形モジュールBの下型に樹脂材料Jを供給するとともに成形対象物Wを供給する。そして、樹脂成形モジュールBにより樹脂封止が行われる。これにより、第1不要樹脂K1及び第2不要樹脂K2を有する封止済基板W1が形成される(
図3(a)参照)。
【0068】
(2)第1除去工程
樹脂成形モジュールBから封止済基板W1が第1除去モジュールCの不要樹脂除去位置GBにある載置プレート108に載置され、除去機構により第1不要樹脂K1が除去される(
図3(b)参照)。
【0069】
(3)第1搬送工程
その後、載置プレート108は搬送位置TPに移動し、第1除去工程により第1不要樹脂K1が除去された封止済基板W1が、搬送機構110により、反転搬送機構2の基板保持部3の載置部31に搬送されて載置される。封止済基板W1が載置部31に載置される際には、保持部材32は解除位置とされている。そして、封止済基板W1が載置されると保持部材32が保持位置に移動して、封止済基板W1の両辺部が保持される(
図6(a)、
図7(a)参照)。
【0070】
(4)反転工程
その後、反転部4が基板保持部3を180°回転させることによって、保持された封止済基板W1の表裏が反転する(
図3(d)参照)。ここで、封止済基板W1の両辺部は保持部材32により保持されているので、回転途中に封止済基板W1は落下しない。また、表裏反転された状態で、封止済基板W1は、保持部材32の上向き面に載置された状態となっている(
図6(b)、
図7(b)参照)。
【0071】
(5)第2搬送工程
封止済基板W1を表裏反転した後に、スライド部51が封止済基板W1を長手方向に沿ってローラ部52に至るまで押し出す。ローラ部52は、押し出された封止済基板W1を引き込むともに、打ち抜き用ステージ111に送り出す(
図7(b)、
図8参照)。
【0072】
なお、ローラ部52は、スライド部51が封止済基板W1を押し出す前から回転していても良いし、スライド部51が封止済基板W1を押し出してローラ部52に到達する間に回転を開始しても良い。また、ローラ部52は、封止済基板W1を打ち抜き用ステージ111に送り出した後に停止しても良いし、回転したままであっても良い。
【0073】
(6)第2除去工程
打ち抜き用ステージ111に封止済基板W1が搬送されると、抜き金型112により封止済基板W1に残存した第2不要樹脂K2が除去される(
図3(e)参照)。
【0074】
(7)第3搬送工程(基板搬出工程)
第2除去工程の後に第2不要樹脂K2が除去された封止済基板W1を打ち抜き用ステージ111から第2反転搬送機構6の第2基板保持部7に搬送する(
図9(a)参照)。このとき、保持部材72は保持位置とされている。
【0075】
(8)再反転工程
その後、第2反転部9が第2基板保持部7を180°回転させることによって、保持された封止済基板W1の表裏が再び反転する。ここで、封止済基板W1の両辺部は保持部材72により保持されているので、回転途中に封止済基板W1は落下しない。また、表裏が再び反転された状態で、封止済基板W1は、載置部71の上面に載置された状態となる。これにより、第2不要樹脂K2が除去された封止済基板W1の表面が上を向き、封止済基板W1の裏面が下を向いた状態となる(
図7(b)参照)。
【0076】
(9)基板収納工程
再反転工程により封止済基板W1が再反転された後に、封止済基板W1は、搬送機構113により、収納モジュールEの基板収納部114に収納される(
図9(b)参照)。なお、このとき、第2基板保持部7の保持部材72は、解除位置とされている(
図6(a)参照)。
【0077】
<本実施形態の効果>
本実施形態の樹脂成形装置100によれば、第1不要樹脂K1が除去された封止済基板W1を表裏反転させて、打ち抜き用ステージ111に搬送することができるので、残存した第2不要樹脂K2を除去しきれない又はパッケージが欠けてしまう等の製品不良を低減することができる。
【0078】
具体的には、封止済基板W1を表裏反転せずに残存した第2不要樹脂K2を除去する場合に、残存した第2不要樹脂K2を除去しきれない又はパッケージが欠けてしまう等の製品不良が発生する場合であっても、封止済基板W1を表裏反転させて残存した第2不要樹脂K2を除去すると、残存した第2不要樹脂K2を適切に除去でき、パッケージが欠けることを防ぐことができる。このように反転搬送機構2を用いることにより、封止済基板W1の品種に応じて、封止済基板W1に残存した第2不要樹脂K2を除去することができる。
【0079】
その他、封止済基板W1の長手方向に沿った両辺部のみが載置部31に載置され、封止済基板W1の両辺部以外の部分は開放されているため、この反転搬送機構2を用いることにより、一方向から封止済基板W1の表面の外観検査だけでなく、封止済基板W1の裏面の外観検査も行うことができ、外観検査するための装置構成を簡単化することができる。
【0080】
また、本実施形態の反転搬送機構2は、封止済基板W1がスライド搬送される側である基板保持部3の他端部において、封止済基板W1の通過領域を取り囲むように回転ガイド部42を設けているので、封止済基板W1を打ち抜き用ステージ111に水平方向にスライドして搬送することができる。このため、従来の基板反転機構(基板保持部の両端部に回転軸部材が設けられた構成)と打ち抜き用ステージ111との間に中間ステージを設けて、当該中間ステージに封止済基板W1を持ち上げて移し替える必要がない。その結果、第2不要樹脂K2を除去する場合に、工程数を増やすことなく、装置構成を簡単化して、装置のフットスペースを小型化することができる。
【0081】
さらに、本実施形態では、第2反転搬送機構6により表裏反転された封止済基板W1を再度表裏反転させて元の状態に戻しているので、基板収納部114に収納する際に、封止済基板W1が傷ついてしまったり、そもそも従来の基板収納部114を用いることができない等の問題が生じない。
【0082】
その上、第2反転搬送機構6が、反転搬送機構2と同様に、封止済基板W1を打ち抜き用ステージ111から水平方向にスライドして第2基板保持部7に載置できる構成であり、打ち抜き用ステージ111と従来の基板反転機構との間に中間ステージを設けて、当該中間ステージに封止済基板W1を搬送した後に、当該中間ステージから封止済基板W1を持ち上げて従来の基板反転機構に移し替える必要がない。その結果、第2不要樹脂K2が除去された封止済基板W1を再度表裏反転する場合に、工程数を増やすことなく、装置構成を簡単化して、装置のフットスペースを小型化することができる。
【0083】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0084】
前記実施形態では、反転搬送機構2において、封止済基板W1を反転させたが、封止済基板W1の種類によっては、反転搬送機構2及び/又は第2反転搬送機構6において封止済基板Wを反転させる必要がない場合がある。前記実施形態の載置部31では、封止済基板W1の上を向く面(おもて面)の高さ位置と、反転後の封止済基板W1の上を向く面(うら面)の高さ位置とが実質的に同じ高さとなるため(
図6参照)、例えば、封止済基板W1を反転させずに打ち抜きステージ111で加工しても製品不良が発生しない場合は、反転搬送機構2で反転させることなく封止済基板W1を抜き打ちステージ111に搬送すればよい。すなわち、反転搬送機構2を単なる搬送機構として使用することができ、様々な種類の封止済基板W1に対応することができ、汎用性に優れる。
【0085】
前記実施形態では、第2不要樹脂を除去した封止済基板W1を第2反転搬送機構6により再び反転する構成であったが、第2反転搬送機構6で再び反転することなく、収納モジュールEの基板収納部114に収納する構成としても良い。
【0086】
前記実施形態のモータ412は、伝達機構413を介して回転軸部材411に連結されている構成であったが、伝達機構413を介さずに回転軸部材411に直接連結される構成としても良い。
【0087】
前記実施形態の供給モジュールAは、樹脂成形品供給モジュールと樹脂材料供給モジュールとに分けて別々のモジュールとしても良い。
【0088】
前記実施形態では、2つの樹脂成形モジュールを有する構成であったが、樹脂成形モジュールは1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。
【0089】
樹脂成形装置は、前記実施形態のように各モジュールにモジュール化されていなくても良い。
【0090】
前記実施形態の樹脂材料がタブレット状をなすものであったが、その他、シート状、粒状、顆粒状、又は粉状といった固体状の樹脂材料であっても良い。
【0091】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0092】
100・・・樹脂成形装置
J ・・・樹脂材料
W1 ・・・封止済基板
P ・・・樹脂成形品
K1 ・・・第1不要樹脂
K2 ・・・第2不要樹脂
B ・・・樹脂成形モジュール(樹脂成形部)
C ・・・第1除去モジュール(第1除去部)
D ・・・第2除去モジュール(第2除去部)
2 ・・・反転搬送機構
3 ・・・基板保持部
31 ・・・載置部
32 ・・・保持部材
4 ・・・反転部
41 ・・・回転駆動部
411・・・回転軸部材
412・・・モータ
413・・・伝達機構
42 ・・・回転ガイド部
421・・・ガイドレール
5 ・・・基板搬送部
51 ・・・スライド部
52 ・・・ローラ部
111・・・打ち抜き用ステージ(加工ステージ)
114・・・基板収納部
7 ・・・第2基板保持部
【手続補正書】
【提出日】2022-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を樹脂封止して封止済基板を形成する樹脂成形部と、
前記封止済基板から不要樹脂を除去する除去部とを有し、
前記除去部は、
少なくともカルを含む第1不要樹脂が除去された前記封止済基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させて前記封止済基板を表裏反転させる反転部と、
前記反転部により表裏反転された前記封止済基板を、前記封止済基板に残存した第2不要樹脂を除去するための加工ステージに搬送する基板搬送部と備える反転搬送機構を有し、
前記加工ステージは、前記第2不要樹脂を打ち抜くための打ち抜き用ステージであり、
前記基板搬送部は、前記封止済基板を前記加工ステージにスライド搬送するものである、樹脂成形装置。
【請求項2】
基板を樹脂封止して封止済基板を形成する樹脂成形部と、
前記封止済基板から不要樹脂を除去する除去部とを有し、
前記除去部は、
少なくともカルを含む第1不要樹脂が除去された前記封止済基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させて前記封止済基板を表裏反転させる反転部と、
前記反転部により表裏反転された前記封止済基板を、前記封止済基板に残存した第2不要樹脂を除去するための加工ステージに搬送する基板搬送部と備える反転搬送機構を有し、
前記反転部は、
前記基板保持部の一端側に設けられ、前記基板保持部を回転させる回転駆動部と、
前記基板保持部の他端側に設けられ、前記基板保持部の回転をガイドする回転ガイド部とを有する、樹脂成形装置。
【請求項3】
前記回転駆動部は、
前記基板保持部の一端部に連結された回転軸部材と、
前記基板保持部よりも下側に設けられたモータと、
前記モータの回転を前記回転軸部材に伝達する伝達機構とを有する、請求項2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
前記基板搬送部は、前記基板保持部の一端側から他端側に前記封止済基板をスライドさせるスライド部を有し、
前記回転ガイド部は、前記スライド部によりスライドされる前記封止済基板の通過領域を取り囲むように設けられている、請求項2又は3に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
前記回転ガイド部は、前記通過領域を取り囲む環状のガイドレールを有する、請求項4に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
前記基板搬送部は、前記スライド部によりスライドされた前記封止済基板を引き込んで前記加工ステージに送り出すローラ部を有する、請求項4又は5に記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
前記基板保持部は、
前記封止済基板が載置される載置部と、
前記載置部上で前記封止済基板を保持する保持部材とを有し、
前記基板保持部は、前記基板搬送部による搬送方向に沿った前記封止済基板の両辺部を保持する、請求項1乃至6の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項8】
前記反転部は、前記基板保持部に保持された前記封止済基板を、反転の前後において、前記基板搬送部によって搬送可能な搬送高さに維持するものである、請求項1乃至7の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項9】
前記反転部は、前記基板保持部に保持された矩形状の前記封止済基板の長手方向に沿った中心軸周りに回転させるものである、請求項1乃至8の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項10】
前記除去部は、前記第1不要樹脂を除去する第1除去部と、前記第2不要樹脂を除去する第2除去部とを有し、
前記第2除去部は、前記反転搬送機構を有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
成形対象物を樹脂封止して封止済基板を形成する樹脂封止工程と、
前記封止済基板から少なくともカルを含む第1不要樹脂を除去する第1除去工程と、
前記第1不要樹脂が除去された前記封止済基板を基板保持部に搬送する第1搬送工程と、
前記基板保持部を回転して前記基板保持部に保持された前記封止済基板を表裏反転させる反転工程と、
表裏反転された前記封止済基板を前記封止済基板に残存した第2不要樹脂を除去するための加工ステージに搬送する第2搬送工程と、
前記加工ステージに搬送された前記封止済基板から前記第2不要樹脂を除去する第2除去工程とを含み、
前記第2除去工程は、打ち抜き加工により前記第2不要樹脂を除去するものであり、
前記第2搬送工程は、表裏反転された前記封止済基板を前記加工ステージにスライド搬送するものである、樹脂成形品の製造方法。
【請求項12】
前記第2除去工程の後に第2基板保持部に搬送する基板搬出工程と、
前記第2基板保持部を回転して前記第2基板保持部に保持された前記封止済基板を再び表裏反転させる再反転工程と、
再び表裏反転された前記封止済基板を基板収納部に収納する基板収納工程とを備える、請求項11に記載の樹脂成形品の製造方法。