(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041530
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】作業補助装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/06 20060101AFI20230316BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20230316BHJP
H02G 1/02 20060101ALI20230316BHJP
B66F 11/04 20060101ALI20230316BHJP
B66F 19/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B66F9/06 Q
B25J19/00 D
H02G1/02
B66F11/04
B66F19/00 D
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148952
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】高島 正
(72)【発明者】
【氏名】塩屋 勝志
(72)【発明者】
【氏名】上之門 一重
(72)【発明者】
【氏名】須田 一成
【テーマコード(参考)】
3C707
3F333
5G352
【Fターム(参考)】
3C707BS22
3C707CY23
3F333AA09
3F333AC13
3F333AC20
5G352AE05
5G352AJ01
5G352AJ03
(57)【要約】
【課題】利便性が高い作業補助装置へのニーズがある。
【解決手段】作業補助装置1は、支持対象物を支持するためのアーム部11と、アーム部11を支持する基部3と、基部3が着脱可能である基台部8とを備え、基台部8は、取付軸方向において基部3が挿脱可能となるように設けられた係合部と、取付軸方向に対して垂直な方向において係合部から離れた位置に設けられており、基部3の取付軸方向における変位を規制する規制部83とを有する。この作業補助装置1は、可搬性を有し、利便性が高いものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持対象物を支持するためのアーム部と、
前記アーム部を支持する基部と、
前記基部が着脱可能である基台部とを備え、
前記基台部は、
取付軸方向において前記基部が挿脱可能となるように設けられた係合部と、
前記取付軸方向に対して垂直な方向において前記係合部から離れた位置に設けられており、前記基部の前記取付軸方向における変位を規制する規制部とを有する、作業補助装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記基部が前記基台部に取り付けられている状態において前記基部の一部を前記取付軸方向において挟むように鉤状に構成されている部位、又は前記基部が前記基台部に取り付けられている状態において鉤状に構成されている前記基部の一部に前記取付軸方向において挟まれるように構成されている部位であり、
前記基部は、前記係合部に係合した状態において前記取付軸周りに回転可能であり、
前記基部が前記係合部に係合した状態において前記取付軸周りに回転するのに伴って、前記規制部により前記基部の前記取付軸方向における変位が規制されている状態と規制されていない状態とが切り替わる、請求項1に記載の作業補助装置。
【請求項3】
前記基部が前記基台部に対して所定の位置にあり前記規制部により前記基部の前記取付軸方向における変位が規制されている場合において、前記基部又は前記基台部に係合して前記基台部に対する前記基部の位置が変位しないようにする回転ロック機構をさらに備える、請求項1又は2に記載の作業補助装置。
【請求項4】
前記規制部は2以上設けられており、
2以上の前記規制部のうちいずれか2つの規制部同士の間隔は前記取付軸周りに90度以上離れている、請求項1から3のいずれかに記載の作業補助装置。
【請求項5】
前記基台部は、取付壁を挟持する挟持機構を有する、請求項1から4のいずれかに記載の作業補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具等の用具や対象物等を支えるための作業補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
作業者により所定の作業を行う場合に、作業者の手のほかに、工具等の用具や対象物等を支えるための作業補助装置があると便利である。このような装置としては、例えば、いわゆるホットスティックを利用した間接活線工法による電気工事に利用するための装置が提案されている。なお、この種の電気工事では、一般的に、作業者は、高所作業車のバケット等に乗って電線に近づいて、ホットスティックを用いて電線を取り扱うことにより作業を行う。
【0003】
例えば、下記特許文献1、特許文献2、及び特許文献3には、操作棒のバランス支持装置の構造が開示されている。このようなバランス支持装置として、アームのバランスを支持するためのガススプリングと、操作棒を傾斜させる補助を行うためのガススプリングとを備えた構造が提案されている。
【0004】
なお、下記特許文献4には、平行リンクを倒伏させる方向に作用する荷重に抗して平行リンクを起仰させる補助力を付与するためのガススプリングが並行して2本設けられている作業用アームの構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-225407号公報
【特許文献2】特開平11-18227号公報
【特許文献3】特開平10-94126号公報
【特許文献4】特開平10-180665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作業補助装置としては、先端側において工具等の用具や対象物等を支えられるように構成されているアーム部を有するものがある。このような作業補助装置は、必要な場合に容易に用いることができるように、可搬性のあるものとすることが望ましい。なお、このようなニーズに関して、例えば上述の各特許文献においては、開示も示唆もされていない。
【0007】
本開示は、可搬性を有し利便性が高い作業補助装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第一の発明の作業補助装置は、支持対象物を支持するためのアーム部と、アーム部を支持する基部と、基部が着脱可能である基台部とを備え、基台部は、取付軸方向において基部が挿脱可能となるように設けられた係合部と、取付軸方向に対して垂直な方向において係合部から離れた位置に設けられており、基部の取付軸方向における変位を規制する規制部とを有する、作業補助装置である。
【0009】
かかる構成により、作業補助装置の可搬性を高めることができ、利便性を高くすることができる。
【0010】
また、本第二の発明の作業補助装置は、第一の発明に対して、規制部は、基部が基台部に取り付けられている状態において基部の一部を取付軸方向において挟むように鉤状に構成されている部位、又は基部が基台部に取り付けられている状態において鉤状に構成されている基部の一部に取付軸方向において挟まれるように構成されている部位であり、基部は、係合部に係合した状態において取付軸周りに回転可能であり、基部が係合部に係合した状態において取付軸周りに回転するのに伴って、規制部により基部の取付軸方向における変位が規制されている状態と規制されていない状態とが切り替わる、作業補助装置である。
【0011】
かかる構成により、基部を基台部に対して容易に設置して固定可能である。
【0012】
また、本第三の発明の作業補助装置は、第一又は二の発明に対して、基部が基台部に対して所定の位置にあり規制部により基部の取付軸方向における変位が規制されている場合において、基部又は基台部に係合して基台部に対する基部の位置が変位しないようにする回転ロック機構をさらに備える、作業補助装置である。
【0013】
かかる構成により、基部が基台部に設置されている状態を容易に維持することができる。
【0014】
また、本第四の発明の作業補助装置は、第一から三のいずれかの発明に対して、規制部は2以上設けられており、2以上の規制部のうちいずれか2つの規制部同士の間隔は取付軸周りに90度以上離れている、作業補助装置である。
【0015】
かかる構成により、確実に基部を基台部に固定することができる。
【0016】
また、本第五の発明の作業補助装置は、第一から四のいずれかの発明に対して、基台部は、取付壁を挟持する挟持機構を有する、作業補助装置である。
【0017】
かかる構成により、取り付け対象物の取付壁に基台部を設置した状態において、作業補助装置の他の部位を着脱することができ、作業補助装置を容易に使用可能な状態にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明による作業補助装置によれば、可搬性を有し利便性が高い作業補助装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】同作業補助装置の基部と基台部との取付構造を示す斜視図
【
図7】同基部の基台部への取り付け操作について説明する図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係る作業補助装置について、図面を参照して説明する。
【0021】
なお、以下の説明において、図面において示される座標は、各図同士で共通している。座標のZ方向は、水平面に対して垂直な方向であり、基部に対して関節部及びリスト部(先端部といってもよい)が変位可能な方向である。X方向は、Z方向に対して垂直な方向であり、基部に対して関節部及びリスト部が変位可能な方向である。Y方向は、Z方向に垂直な方向であって、X方向に垂直な方向である。なお、Z方向を上下方向(原点から見てZ軸で正となる方向が上)ということがあり、X方向を前後方向(原点から見てX軸で正となる方向が前)ということがあり、Y方向を左右方向ということがある。作業補助装置について、基部からリスト部に向かう方向を「先端方向」といい、その反対の方向を「基端方向」ということがある。すなわち、
図1に示されるように、各アーム部の長手方向が水平であるとき、先端方向は前であり、基端方向は後である。以下において、このように各方向を示して各部の形状や位置関係を説明することがあるが、これらはあくまで説明の便宜のために定義したものであって、本発明に係る作業補助装置の使用時における向きや姿勢などを限定するものではない。
【0022】
(実施の形態)
【0023】
本実施の形態において、作業補助装置は、2つのアーム部が直列に接続されたものであり、2つのアーム部を展開させることにより、基部からリスト部までの距離を長く確保することができるように構成されている。2つのアーム部のそれぞれに対してガススプリングが設けられており、ガススプリングにより発生する力を用いて、容易に、アーム部を折り畳んだり作業補助装置の姿勢を保持したりすることできるようになっている。アーム部は、基台部に対して着脱可能な基部により支えられている。基部の基台部への取付構造は、基台部の上部から上方に突出する取付部と、基台部の規制部とを用いて構成されている。取付部に基部が嵌め込まれ、かつ、基部の上方向への変位が規制部により規制されることにより、基部が基台部に取り付けられている。規制部は鉤形に形成されており、基部が取付部を中心に回転することにより、規制部による規制が行われるか否かが変更可能となっている。以下、このように構成された本実施の形態に係る作業補助装置1について説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態における作業補助装置1の側面図である。
【0025】
以下の各図において、説明の便宜上の都合により、隠線が実線として示されていたり、隠線が省略されていたり、細部の描写が簡素化されていたり、特定の部材の図示が省略されていたりする場合がある。
【0026】
図1に示されるように、本実施の形態において、作業補助装置1は、大まかに、基部3、関節部4、リスト部5、ハンド部6、基台部8、第一アーム部11、及び第二アーム部21を備える。第一アーム部11、関節部4、第二アーム部21、リスト部5、及びハンド部6は、基部3から先端側に向けて、この順に並んでいる。基部3は、基台部8の上方に取り付けられている。本実施の形態に係る基部3は、ショルダー部と表現してもよい。
【0027】
基台部8は、例えば高所作業車のバケットの一部である取付壁80に取り付けられる。本実施の形態において、取付壁80は、例えば、バケットの側壁であるが、平板状の構造物であればよい。
【0028】
本実施の形態において、基台部8は、取付壁80に上方から被さるように構成された挟持機構88を有している。挟持機構88は、外側部881、内側部882、及び挟持パッド884を有している。外側部881と内側部882との間に、平板状の取付壁80が嵌まり込むことができるように構成された挟持凹部885が形成されている。挟持パッド884は、内側部882に対向する面を有する。挟持パッド884は、外側部881に対して遠近可能であって、外側部881に対する位置が固定可能となるように外側部881に設けられている。基台部8は、外側部881が取付壁80の前側に、内側部882が取付壁80の後側に位置するように配置される。挟持パッド884と内側部882とで取付壁80を挟み込む状態で挟持パッド884の位置が固定されることにより、基台部8が取付壁80に対して固定される。すなわち、挟持機構88は、取付壁80を挟持する。取付壁80に取り付けられた基台部8を基礎として、作業補助装置1のその他の部位が機能可能に支持されている。
【0029】
基部3は、基台部8から上方に延びるように配置されている。本実施の形態において、基部3は、略垂直な柱状に構成されている。基部3の上部は、例えば、左右一対に設けられた2つの板状部材3d(
図5に示す)を有しているが、これに限られるものではない。なお、基部3は、斜めに傾いていてもよい。また、基部3は、柱状ではなくてもよい。
【0030】
第一アーム部11は、基端側において基部3に接続されている。基部3の上部において左右一対に設けられた2つの板状部材3dに、第一アーム部11の基端側の部位が接続されている。
【0031】
関節部4は、第一アーム部11の先端側に接続されている。すなわち、第一アーム部11は、先端側において関節部4に接続されている。関節部4は、例えば、金属製のブロックを切削することにより形成されたものであるが、これに限られない。
【0032】
第二アーム部21は、基端側において関節部4に接続されている。すなわち、関節部4の先端側の部位に、第二アーム部21の基端側の部位が接続されている。
【0033】
リスト部5は、第二アーム部21の先端側に接続されている。すなわち、第二アーム部21は、先端側においてリスト部5に接続されている。
【0034】
ハンド部6は、リスト部5に取り付けられている。ハンド部6は、リスト部5の本体に着脱可能なものであるが、これに限られない。ハンド部6は、リスト部5により支持される構造物であるということができる。
【0035】
なお、本実施の形態において、作業補助装置1による支持の対象となる支持対象物は、間接活線工法に用いられる工具90である。工具90は、例えば、いわゆるホットスティックと呼ばれるものである。ホットスティックは、例えば、絶縁性を有する素材で構成されている棒状部(図示せず)と、棒状部の上端に取り付けられており例えば電線を把持する把持部(図示せず)とを有する。本実施の形態において、工具90は、ハンド部6により保持される。なお、支持対象物は、ホットスティックに限られず、その他の作業用用具や、作業対象となる部材(例えば、高所の電気工事の場合においては、電線やそれに付随して用いられる部材など)などであってもよい。例えば、支持対象物は、整備対象の構造物に対して塗料を塗布するための塗布具等であってもよい。また、ハンド部6自体が支持対象物であると表現してもよい。例えば、工具90の保持機能とは異なる機能を有するように構成されたハンド部がリスト部5に取り付け可能であってもよい。
【0036】
本実施の形態において、第一アーム部11は、第一上側リンク12と、第一下側リンク13とを有している。各リンク12,13は、例えば、梁状の部材やこれをカバーする部材などで構成されているが、その他の構造を有するものであってもよい。
【0037】
第一上側リンク12と第一下側リンク13とは、上下に並び、平行リンクを構成する。すなわち、第一アーム部11は、平行リンクを構成する2つのリンク12,13を有している。第一上側リンク12は、基端側において基部3に接続されており、先端側において関節部4に接続されている。第一下側リンク13も、基端側において基部3に接続されており、先端側において関節部4に接続されている。各部材同士を接続するジョイントは、回転軸が左右方向となっている。基部3側の2箇所のジョイント間の距離と関節部4側の2箇所のジョイント間の距離は等しく、第一上側リンク12の先端側のジョイントと基端側のジョイント間の距離と、第一下側リンク13の先端側のジョイントと基端側のジョイント間の距離とは等しくなっている。このようにして2つのリンク12,13を介して基部3と関節部4とが接続されているため、関節部4は、基部3に対して上下に変位可能であり、関節部4が変位しても、関節部4の水平面に対する姿勢は変わらない。
【0038】
第一アーム部11には、第一ガススプリング16が接続されている。本実施の形態において、第一ガススプリング16は、圧縮されたときに略一定の反力を発生させる(発生する反力の変動が比較的小さい)圧縮タイプのものであるが、これに限られず、例えば引っ張られたときに反力を発生させる引張タイプのものであってもよい。また、圧縮量に応じて反力の変動が大きいものであってもよい。
【0039】
第一ガススプリング16の両端部にある2つの取付部は、第一アーム部11の2つのリンクのうち一方と、基部3とに、それぞれ接続されている。本実施の形態においては、第一ガススプリング16は、第一上側リンク12と、第一上側リンク12と基部3とのジョイント部よりも下方の位置との間に接続されている。すなわち、第一ガススプリングの反発力は、第一アーム部11を重力に抗して押し上げる方向に作用する。なお、第一ガススプリング16が引張タイプのものであり、2つの取付部が第一下側リンク13と基部3とにそれぞれ接続されていてもよい。また、第一ガススプリング16は、第一アーム部11と関節部4との間に設けられていてもよい。
【0040】
第二アーム部21は、第二上側リンク22及び第二下側リンク23を備える。各リンク22,23は、例えば、梁状の部材やこれをカバーする部材などで構成されているが、その他の構造を有するものであってもよい。
【0041】
第二上側リンク22と第二下側リンク23とは、上下に並び、平行リンクを構成する。すなわち、第二アーム部21は、平行リンクを構成する2つのリンク22,23を有している。第二上側リンク22は、基端側において関節部4に接続されており、先端側においてリスト部5に接続されている。第二下側リンク23も、基端側において関節部4に接続されており、先端側においてリスト部5に接続されている。各部材同士を接続するジョイントは、回転軸が左右方向となっている。関節部4側の2箇所のジョイント間の距離とリスト部5側の2箇所のジョイント間の距離は等しく、第二上側リンク22の先端側のジョイントと基端側のジョイント間の距離と、第二下側リンク23の先端側のジョイントと基端側のジョイント間の距離とは等しくなっている。このようにして2つのリンク22,23を介して関節部4とリスト部5とが接続されているため、リスト部5は、関節部4に対して上下に変位可能であり、リスト部5が変位しても、水平面に対するリスト部5の基端側の姿勢は変わらない。すなわち、リスト部5は、基部3に対して上下に変位可能であり、リスト部5及び関節部4の位置にかかわらず、水平面に対するリスト部5の基端側の姿勢は保たれる。
【0042】
第二アーム部21には、第二ガススプリング26が接続されている。本実施の形態において、第二ガススプリング26は、略一定の反力を発生させる圧縮タイプのものであるが、これに限られず、引張タイプのものであってもよいし、圧縮量に応じて反力の変動が大きいものであってもよい。
【0043】
第二ガススプリング26の両端部にある2つの取付部は、第二アーム部21の2つのリンクのうち一方と、関節部4とに、それぞれ接続されている。本実施の形態においては、第二ガススプリング26は、第二上側リンク22と、第二上側リンク22と関節部4とのジョイント部よりも下方の位置との間に接続されている。すなわち、第二ガススプリングの反発力は、第二アーム部21を重力に抗して押し上げる方向に作用する。なお、第二ガススプリング26が引張タイプのものであり、2つの取付部が第二下側リンク23と関節部4とにそれぞれ接続されていてもよい。また、第二ガススプリング26は、第二アーム部21とリスト部5との間に設けられていてもよい。
【0044】
なお、本実施の形態においては、第一アーム部11が基部3に対して変位しないようにする固定機構や、第二アーム部21が関節部4に対して変位しないようにする固定機構が、それぞれ設けられている(図示せず)。このような固定機構は、例えば、アーム部11,21の回転に伴って回転する固定プレートと、当該固定プレートを基部3又は関節部4との間で挟み込むロック部材との組み合わせなどにより実現可能である。
【0045】
作業補助装置1では、平行リンクを構成する2つのアーム部11,21が直列に連なっているので、リスト部5を、基部3に対して、より広い範囲に変位させることができる。各アーム部11,12には、重力に抗してアーム部11,12を押し上げる方向に作用するガススプリング16,26が設けられているため、作業者が、手動による操作によって少ない力でリスト部5を変位させることができる。
【0046】
基部3は、基台部8に対して着脱可能である。本実施の形態において、基台部8の上部には、取付部81が設けられている。取付部81には、基部3の下部に設けられた座部31が配置され、固定される。すなわち、取付部81と座部31とで、基台部8に対する基部3の取付構造が構成されている。このような取付構造により、基部3及び第一アーム部11よりも前側の部位(以下、ここではアームユニットという)を取り外した状態で、基台部8を取付壁80に取り付けたり取り外したりすることができるようになっている。また、一の基台部8から取り外したアームユニットを、他の基台部8に取り付けることも可能となっている。したがって、作業補助装置1は、このような取付構造を有していることにより、可搬性に優れた利便性の高いものとなっている。
【0047】
図2は、同作業補助装置1の基部3と基台部8との取付構造を示す斜視図である。
図3は、同基台部8の斜視図である。
図4は、同基台部8の取付部81の側面図である。
図5は、同基部3の上方から見た斜視図である。
図6は、同基部3の下方から見た斜視図である。
【0048】
図4において、基台部8に取り付けられている状態の基部3の位置が、二点鎖線で示されている。
【0049】
以下、基台部8の取付部81と基部3の座部31とで構成される取付構造について説明する。本実施の形態において、取付部81は、基台部8の上面に位置する取付面82と、規制部83,84と、係合部85と、回転ロック機構86とを有している。取付面82は、作業補助装置1の通常想定される使用状態において略水平な面である。取付面82は、例えば、基台部8の上部に固定された板に設けられている。なお、作業補助装置1は、必ずしも取付面82が水平な状態で用いられるものに限られない。取付面82が傾斜する状態で用いられてもよい。以下の説明においては、取付面82が水平に取り付けられている状態を基準として、各方向等を説明する。
【0050】
図3に示されるように、係合部85は、取付面82に設けられている。本実施の形態において、係合部85は、取付面82の略中央に位置している。なお、係合部85の位置は、これに限られない。
【0051】
係合部85は、取付面82から上に突出した円柱形状を有する部位である。係合部85は、上下方向に平行な軸であると言ってもよい。係合部85の上部は、上に行くに従って細くなる先細形状を有している。本実施の形態において、係合部85の上部には、円錐面状のテーパ部が設けられている。なお、先細形状は、丸面取りが施されることにより形成されるような形状であってもよい。
【0052】
係合部85は、上下方向において基部3が挿脱可能となるように設けられている。本実施の形態においては、後述のように基部3に設けられている係合穴315(
図6に示す)に係合部85が嵌まりうるように構成されている。すなわち、基部3は、係合部85が係合穴315に嵌まるようにして、取付部81に配置可能である。
【0053】
ここで、係合部85が係合穴315に嵌まっている状態において、基部3は、係合部85を回転軸として回転可能である。係合部85は、上下方向に平行な軸であるため、基部3は、鉛直軸周りに回転可能であるといってもよい。本実施の形態において、係合部85を取付軸と言ってもよく、取付軸は基部3の回転軸であるといってもよい。
【0054】
各規制部83,84は、取付軸方向に対して垂直な方向(すなわち、本実施の形態において水平方向)において、係合部85から離れた位置に設けられている。各規制部83,84は、基部3の取付軸方向(すなわち、本実施の形態において上下方向)における変位を規制する。本実施の形態においては、基部3は取付面32上に配置されるため、各規制部83,84は、基部3の上方向への変位を規制するように構成されている。
【0055】
2つの規制部83,84(前側規制部83及び後側規制部84)は、取付面82上に配置されている。前側規制部83は、取付面82の前端部に配置されている。後側規制部84は、取付面82の後端部に配置されている。2つの規制部83,84同士の取付軸周りの間隔は、略180度離れている。換言すると、平面視で、前側規制部83と後側規制部84との間に、取付軸が位置している。すなわち、取付軸から見て、一の規制部83がある方向の反対の方向に、他の規制部83がある。
【0056】
本実施の形態において、各規制部83,84は、取付面82から上に突出する鉤状部である。すなわち、規制部83,84は、それぞれ、取付面82から上方に立ち上がる部位と、当該部位から略水平方向に内側に(すなわち取付軸がある側に)延びる、取付面82に対抗する面を有する部位とを有している。上方が各規制部83,84により覆われた嵌入スペース835,845が取付面82上の一部において設けられていると言ってもよい。各嵌入スペース835,845は、後述のように、座部31の一部が嵌入しうる部位である。
【0057】
なお、各規制部83,84は、左右方向において略平行な壁部が取付面82から上に突出するような形状を有している。後側規制部84の左右両端部は、嵌入スペース845が側方に開口するように形成されている。換言すると、側面視で、後側規制部84は、鉤形状を有している。側面視で、後側規制部84は、L字状に折れ曲がった形状を有していると言ってもよい。前側規制部83の左側の端部は、嵌入スペース835が開口する導入口831となっている。また、前側規制部83の右側の端部は、嵌入スペース835が開口しないように覆う規制壁部832となっている。規制壁部832は、後述するような基部3の取り付け時において、基部3が平面視で時計回りに回転しないように回転位置を規制する部位として機能する。なお、規制壁部832は、後側規制部84の右側の端部に形成されていてもよい。また、規制壁部832が設けられていなくてもよい。また、平面視で、各規制部83,84の側端部のこれらの位置関係は、左右対称であってもよい。この場合、後述するように基部3を着脱する際の基部3の回転方向は、逆回りであればよい。
【0058】
本実施の形態においては、前側規制部83の後端縁と、後側規制部84の前端縁とは、それぞれ、左右方向に略平行である。前側規制部83の後端縁と後側規制部84の前端縁の間隔は、寸法D1である。なお、前側規制部83と後側規制部84とが最も近接している位置における両者の間隔が寸法D1であってもよい。
【0059】
なお、上述の規制部83,84とは異なる態様の規制部が配置されていてもよい。規制部の配置は上述に限られないが、規制部は2以上設けられていることが好ましい。また、2以上の規制部のうちいずれか2つの規制部同士の間隔が、取付軸周りに90度以上離れていることが好ましい。なお、規制部は1つのみが配置されていてもよい。規制部は、取付面82に着脱可能に配置されている部材であってもよい。規制部が取付面82に取り付けられていることにより、基部3の上方向への変位が規制されるように構成されていればよい。規制部は、鉤状であるものに限られない。
【0060】
回転ロック機構86は、ロック先端部861を備える。
【0061】
回転ロック機構86は、基部3が基台部8に対して所定の位置にある場合において基部3に係合することにより、基台部8に対する基部3の位置が変化しないようにする。ここで基部3が基台部8に対して所定の位置にある場合においては、規制部83,84によって基部3の取付軸方向における変位が規制された状態である。本実施の形態において、回転ロック機構86は、例えば、前側規制部83の上部に保持されており、嵌入スペース835に突出するロック先端部861を有するプランジャーである。ロック先端部861は、取付軸方向において変位可能であり、嵌入スペース835に突出しないように上方に退避可能であるように構成されている。なお、回転ロック機構86は、ノックピンやねじ等であってもよいし、一部を基部3側の部材に対して当接させることで摩擦力によって基部3が変位しないようにするように構成されたものであってもよい。
【0062】
図5等に示されるように、基部3の下部には、取付部81と共に取付構造を構成する座部31が設けられている。座部31は、取付部81に取り付けられる被取付部と言ってもよい。
【0063】
なお、基部3は、ハンドル3bと、レバー3cとを有している。ハンドル3bは、第一アーム部11が取り付けられる板状部材3dの反対側すなわち基部3の後側に設けられている。ハンドル3bは、作業者が把持可能に形成されている。作業者は、ハンドル3bを把持して、基部3等を保持したり、基部3を基台部8に対して取付軸周りに回転させたりすることができるようになっている。なお、ハンドル3bは必ずしも設けられていなくてもよい。
【0064】
レバー3cは、基部3に取り付けられている。本実施の形態において、基部3は、座部31に対して、それよりも上方にある旋回部をアーム部11,21等とともに旋回させることができるように構成されている。作業者は、レバー3cを操作することにより、基部3の旋回部が座部31に対して旋回しないようにロックすることができる。本実施の形態においては、基部3の旋回部は、例えば、座部31から上方に突出する支持軸(図示せず)に取り付けられており、支持軸を中心にして、略水平な方向に旋回可能である。作業者は、レバー3cを操作することにより、旋回部が旋回しないようにロックしたり、旋回部を旋回可能な状態にしたりすることができるように構成されている。なお、旋回部の旋回をロックする機構の具体的な構造は種々選択可能である。例えば、レバー3cの位置に応じて支持軸に係合する部材を有する構造であったり、旋回部側から座部31の一部に嵌り込む部材がレバー3cに連動するような構造であったり、様々な構成を採用することができる。なお、基部3は、このように旋回可能な構造を有していなくてもよい。
【0065】
本実施の形態において、座部31は、全体として略水平な板状に構成されている部位である。座部31の中央部から上方に延びるように、柱状の旋回部が配置されている。座部31の底面は、全体として、略水平な平面である。座部31は、前端部31bと、後端部31cとを有している。前端部31bと後端部31cとは、平面視において、中央部を中心とした円弧形状を有している。また、座部31の左右方向の幅寸法は、寸法D2である。本実施の形態において、座部31は、それぞれ前後方向に略平行な側端縁を有している。すなわち、座部31の両側端縁の間隔は、寸法D2である。換言すると、座部31は、全体として、2つの円弧である前端部31bと後端部31cとが2つの互いに平行な直線で結ばれてなる形状を有している。なお、座部31の形状はこれに限られない。例えば、平面視において、座部31は、長方形の周縁部を有していてもよいし、多角形の周縁部を有していてもよい。
【0066】
なお、本実施の形態において、寸法D2は、寸法D1よりもわずかに小さくなっている。これにより、座部31は、取付部81に対して取付軸周りに90度回転した姿勢で、規制部83,84間を通って上下方向に変位可能である。
【0067】
また、本実施の形態において、座部31の前端部31bの近傍部位と、後端部31cの近傍部位とのそれぞれの厚みは、嵌入スペース835,845内における取付面82から規制部83,84の下面までの寸法(嵌入スペース835,845の高さ)よりもわずかに小さくなっている。これにより、座部31の一部が、取付軸方向において変位不能な状態で嵌入スペース835,845の内部に嵌まりこむことができるようになっている。
【0068】
本実施の形態においては、座部31には、斜面313と、係合穴315と、ロック穴316とが形成されている。
【0069】
斜面313は、座部31のうち、前端部31bの右端部近傍に形成されている。斜面313は、座部31の上面から側周縁部に近づくにつれて他の部位よりも薄くなるように形成されている部位である。換言すると、斜面313は、水平面から傾斜した平面状であってもよいし、曲面であってもよい。本実施の形態において、基部3が取付部81に配置されている状態における取付軸から斜面313までの距離は、取付軸からロック先端部861までの距離と略同じになっている。
【0070】
係合穴315は、座部31の中央部に形成されている。係合穴315は、座部31の底面から上に凹む円形の穴である。換言すると、係合穴315は、座部31の底面に設けられた、下方に開口する穴である。係合穴315は、係合部85の径と略同じかそれよりわずかに大きい内径を有している。すなわち、係合部85及び係合穴315は、係合部85が係合穴315に嵌まりこむことができるように構成されている。係合穴315は、取付軸に対応する位置に形成されている。すなわち、係合穴315は、上下方向に略平行な方向に凹んでいる。
【0071】
ロック穴316は、座部31の前端部31bの近傍に形成されている。ロック穴316は、座部31の上面から下に凹む穴である。本実施の形態において,ロック穴316は、座部31を上下に貫通する貫通穴であるが、有底の穴であってもよい。ロック穴316は、ロック先端部861が嵌まりこむことができるように形成されている。ロック穴316は、基部3の取付部81に対する位置が所定の位置である場合においてロック先端部861が嵌まりこむことができる位置に形成されている。すなわち、ロック穴316は、基部3が取付部81に取り付けられている状態において回転ロック機構86に対応する位置に形成されている。
【0072】
次に、このように構成された作業補助装置1において基部3を基台部8に取り付ける作業の流れについて説明する。
【0073】
本実施の形態においては、基部3を取付部81の取付面82に乗せた後で、基部3を水平方向に回転することにより、基部3が取付部81に対して位置決めされている状態で、基部3を取付部81に固定することができるようになっている。基部3は、係合部85に係合穴315が嵌まりこみ(係合の一例)、かつ、規制部83,84によって取付軸方向における基部3の変位が規制されている状態になることにより、取付部81に固定される。基部3が、係合部85に係合した状態において取付軸周りに回転するのに伴って、規制部83,84により基部3の取付軸方向における変位が規制されている状態と、規制されていない状態とが切り替わるようになっている。作業者は、このような基台部8への基部3の取付操作を、例えば以下の手順にて行うことができる。
【0074】
図7は、同基部3の基台部8への取り付け操作について説明する図である。
【0075】
まず、係合部85が基部3の係合穴315に係合するようにして、基部3を取付部81の取付面82に配置する(S11)。本実施の形態においては、座部31が規制部83,84の間を通るようにして取付部81の上方から下方に基部3を変位させて、係合穴315に係合部85が嵌まりこむようにする。この場合、基部3は、基台部8に対して、取付軸周りに所定角度だけ回転した姿勢にされる。すなわち、基部3は、平面視で90度だけ反時計回りに回転した姿勢にされる。これにより、係合穴315に係合部85が係合した状態で、取付面82上に座部31の底面が接触する状態となる。この状態は、水平面である取付面82と座部31の底面とが広い面積で接触し、かつ、係合部85の係合により、取付軸に対して垂直な方向において基部3が変位することない、安定した状態である。
【0076】
次に、基部3を、基台部8に対して、取付軸周りの所定の方向に回転させる(S12)。本実施の形態においては、基部3を、平面視で時計回り(矢印Rで示される方向)に回転させる。この操作により基部3が取付軸周りに回転すると、座部31の前端部31bの近傍部位と、後端部31cの近傍部位とが、規制部83,84によって形成されている嵌入スペース835,845の内部に入っていく。例えば前端部31bに着目すると、座部31の取付軸周りの変位に伴って、前縁部31bの右側の端部が導入口831を通って右方向に変位する。ここで、座部31が回転すると、斜面313がロック先端部861に接触する状態となる。このような状態からさらに座部31が回転すると、ロック先端部861が、斜面313により押し上げられて上方に変位する。そして、ロック先端部861が座部31の上面に接触した状態で、座部31が続けて回転可能となる。
【0077】
基部3が基台部8に対して、取付軸周りに所定の角度だけ回転すると、基部3の取付けが完了した状態(基部3が取付部81に取り付けられている状態)となる(S13)。すなわち、上記のように基部3が取付面82上に配置された状態から取付軸周りに90度回転し、基部3の向きと基台部8の向きとが一致すると、基部3の取付けが完了した状態となる。本実施の形態においては、このように基部3が取付軸周りに90度回転し、所定の位置に到達すると、ロック先端部861が座部31の上面からロック穴316に嵌まりこむ。このようにロック先端部861がロック穴316に係合した状態になると、基部3が基台部8に対して取付軸周りに回転しないように、ロックされる。なお、本実施の形態において回転ロック機構86はプランジャーであるので、ロック先端部861は、スプリング等の反力によって下方に付勢されている。したがって、ロック先端部861がロック穴316に到達すると、自動的にロック先端部861がロック穴316に入るようになっている。
【0078】
なお、規制部83の右端部には規制壁部832が設けられているので、この状態からは基部3が基台部8に対してさらに平面視で時計回りに回転することがないように、基部3の取付軸周りの位置が規制されている。したがって、回転ロック機構86の有無にかかわらず、基部3の取付軸周りの所定の向きへの変位が規制される。また、回転ロック機構86によるロックが解除された状態でも、基部3の取付軸周りの所定の向きへの変位が規制される。
【0079】
このように、基部3が取付部81に取り付けられている状態では、基部3が係合部85に係合し、かつ、回転ロック機構86と基部3とが係合している状態になる。したがって、基部3は、取付軸に対して垂直な方向に変位不能であって、かつ、取付軸周りに回転不能な状態になる。
【0080】
また、
図4に示されるように、基部3が取付部81に取り付けられている状態では、座部31の前端部31bの近傍部位(以下、単に前端部31bという)が嵌入スペース835の内部に位置し、後端部31cの近傍部位(以下、単に後端部31cという)が嵌入スペース845の内部に位置している。すなわち、前端部31bは、取付軸方向において、取付面82と前側規制部83とに挟まれており、後端部31cは、取付軸方向において、取付面82と後側規制部84とに挟まれている。したがって、基部3が取付部81に取り付けられている状態では、座部31の取付軸方向への変位が規制されている状態となる。換言すると、各規制部83,84は、基部3が基台部8に取り付けられている状態において基部3の一部を取付軸方向において挟むように鉤状に構成されている部位であるといえる。ここで基部3の一部とは、例えば、座部31の平板部である。より具体的には、座部31のうち、前端部31bや、後端部31cである。
【0081】
なお、基部3が取付部81に取り付けられている状態から、基部3を取付部81から取り外すには、回転ロック機構86によるロックを解除した状態で、以上とは逆の手順を行えばよい。
【0082】
すなわち、作業者が、回転ロック機構86を上方に引っ張ってロック先端部861を上方に変位させることにより、ロック先端部861をロック穴316から引き抜く。これにより、回転ロック機構86と基部3との係合が解除され、座部31が取付部81に対して取付軸周りに回転可能な状態にすることができる。この状態で、作業者は、基部3を、取付軸を中心に反時計回りに90度回転させる。そして、基部3を上方に変位させて係合部85を係合穴315から引抜くことで、基部3を取付部81から取り外すことができる。
【0083】
以上説明したように、作業補助装置1は、基部3等を基台部8から着脱可能である。したがって、作業補助装置1の可搬性を高めることができ、作業補助装置1の利便性を高めることができる。
【0084】
なお、上記のような構造にかかわらず、基部を基台部に対して着脱可能な構造としては、さまざまなものを用いることができる。例えば、基台部側に設けられたクランプ部の鉤型の留め金具に基部の一端部を引っ掛けて、基部の反対側の端部において例えばサムターンクランパ等の留め具等を用いることにより、基部を基台部に固定する構造を採用するようにしてもよい。ところで、このような構造を採用した場合には、アームの向きや、支持対象物から加わる力によって、大きな力が留め具に作用し、留め具やその近傍部位に大きな応力が集中する可能性があるため、これに耐えられるように大掛かりな構造を用いる必要がある。また、基部をクランプ部に固定するには、基部等を支持しつつ留め具を操作する必要がある。そのため、固定が完了するまでの間に基部を確実に保持するために、複数人の人手が必要である。
【0085】
他方、本実施の形態においては、基部3を取付面82の所定の場所に配置し、その状態で基部3を取付軸周りに90度回転させる操作を行うだけで、基部3を取付部81に対して固定することができる。この作業において、基部3を取付面82に配置した状態で取付軸周りに数度だけ回転させるだけで、規制部83,84により、基部3の上方への変位が規制される。したがって、基部3を取り付ける過程において基部3を支持するための人手を減らすことができ、1人の作業者でも安定的に、かつ容易に着脱作業を行うことができる。また、規制部83,84と取付面82との間で座部31が挟まれることにより基部3の取付軸方向への変位が規制されるので、アーム部11,21等を通じて比較的大きな力が作用する場合にも一部に過大な応力が集中することを防止することができる。したがって、取付構造を、比較的コンパクトに構成することができる。
【0086】
基部3が取付部81に取り付けられている状態においては、回転ロック機構86により基部3の回転がロックされる。したがって、作業者が意図しない状態で基部3が取付部81から外れることを確実に防止することができる。
【0087】
基台部8は、挟持機構88により取付壁80に着脱可能である。したがって、使用する場所の取付壁に基台部8を取り付けて、基部3等を当該基台部8に取り付けることにより、容易に、作業補助装置1を使用可能な状態にすることができる。したがって、作業補助装置1の可搬性を高めることができる。
【0088】
(その他)
【0089】
係合部は、取付面から下に凹んだ凹部であってもよい。この場合、基部側に、係合部に係合可能な凸部が形成されていてもよい。また、係合部は、円柱状に限られず、例えば角柱状など、他の形状を有していてもよい。例えば基部側において、係合部に係合する部位に対して、規制部により規制される部位(例えば、座部の前端部等)が、軸受等を介して回転可能に構成されていてもよい。また、基部は、係合部に係合した状態において基台部に対して回転不能であってもよい。
【0090】
基部の一部が鉤状に構成されており、規制部が、基部が基台部に取り付けられている状態において取付軸方向において基部の鉤状部によって挟まれるように構成されていてもよい。
【0091】
回転ロック機構は、基台部側(取付部側)に係合することにより、基台部に対する基部の位置が変位しないようにするものであってもよい。例えば、回転ロック機構は、座部側に固定されているプランジャーであって、その先端部が取付部側(例えば、取付面や規制部などに形成されたロック穴等に係合することで回転のロックが行われるように構成されていてもよい。
【0092】
アーム部の数は、2つに限られない。関節部は設けられていなくてもよい。すなわち、作業補助装置は、例えば、基部により、1つのアーム部を介してリスト部が支えられているような構造であってもよい。なお、アーム部は、ガススプリングを有していないものであってもよい。また、各アーム部は、平行リンク構造を構成しているものに限られない。各アーム部は、1つのリンクのみを有するものであってもよい。
【0093】
基部や基台部の構造は、上述の実施の形態のものに限られない。基台部は、任意の設置部に備え付けのものであってもよい。例えば、作業補助装置は、土台や、作業台や、フレーム等(基台部の例)に基部が取り付けられている構造であってもよい。いずれの場合においても、基台部側に取付部が設けられており、取付部に基部が着脱可能に構成されていればよい。作業補助装置の用途は、高所作業に限られない。例えば、工場や倉庫等において作業台等に設置して用いられるようなものであってもよい。
【0094】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0095】
上述の実施の形態の構成そのものに限られず、上述の実施の形態のそれぞれの構成要素について、適宜、他の実施の形態の構成要素と置換したり組み合わせたりしてもよい。また、上述の実施の形態のうち、一部の構成要素や機能が省略されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0096】
以上のように、本発明にかかる作業補助装置は、可搬性を有し利便性が高いという効果を有し、作業補助装置等として有用である。
【符号の説明】
【0097】
1 作業補助装置、3 基部、8 基台部、11 第一アーム部、21 第二アーム部、31 座部、81 取付部、83,84 規制部、85 係合部、86 回転ロック機構、88 挟持機構、90 工具
【手続補正書】
【提出日】2023-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持対象物を支持するためのアーム部と、
前記アーム部を支持する基部と、
前記基部が着脱可能である基台部とを備え、
前記基部は、前記基台部から上方に延びるように配置されており、
前記アーム部は、長手方向が水平になることが可能となるように構成されており、
前記基台部は、
取付軸方向において前記基部が挿脱可能となるように設けられた係合部と、
前記取付軸方向に対して垂直な方向において前記係合部から離れた位置に設けられており、前記基部の前記取付軸方向における変位を規制する規制部とを有し、
前記規制部は2つ設けられており、2つの前記規制部同士の前記取付軸周りの間隔は、略180度である、作業補助装置。
【請求項2】
前記規制部は、前記基部が前記基台部に取り付けられている状態において前記基部の一部を前記取付軸方向において挟むように鉤状に構成されている部位、又は前記基部が前記基台部に取り付けられている状態において鉤状に構成されている前記基部の一部に前記取付軸方向において挟まれるように構成されている部位であり、
前記基部は、前記係合部に係合した状態において前記取付軸周りに回転可能であり、
前記基部が前記係合部に係合した状態において前記取付軸周りに回転するのに伴って、前記規制部により前記基部の前記取付軸方向における変位が規制されている状態と規制されていない状態とが切り替わる、請求項1に記載の作業補助装置。
【請求項3】
前記基部が前記基台部に対して所定の位置にあり前記規制部により前記基部の前記取付軸方向における変位が規制されている場合において、前記基部又は前記基台部に係合して前記基台部に対する前記基部の位置が変位しないようにする回転ロック機構をさらに備える、請求項1又は2に記載の作業補助装置。
【請求項4】
前記基部の下部には、前記基台部に取り付けられる座部が設けられており、
前記座部は、それぞれ前後方向に略平行な2つの側端縁を有し、
2つの前記規制部は前後方向において離れて配置されており、
前側の前記規制部の後端縁と、後側の前記規制部の前端縁とは、それぞれ左右方向に略平行であって、互いの間隔は第1の寸法であり、
前記座部の2つの前記側端縁間の第2の寸法は、前記第1の寸法よりもわずかに小さい、請求項1から3のいずれかに記載の作業補助装置。
【請求項5】
前記基台部は、取付壁を挟持する挟持機構を有する、請求項1から4のいずれかに記載の作業補助装置。