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特開2023-41533ブラシ付モータ用のブラシ台及びブラシ付モータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041533
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】ブラシ付モータ用のブラシ台及びブラシ付モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 13/00 20060101AFI20230316BHJP
   H02K 23/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
H02K13/00 S
H02K23/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021148955
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】513262470
【氏名又は名称】シチズンマイクロ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 敬
(72)【発明者】
【氏名】七五三野 匠望
【テーマコード(参考)】
5H613
5H623
【Fターム(参考)】
5H613AA01
5H613BB04
5H613BB15
5H613BB26
5H613GA11
5H613GA14
5H613GA17
5H613GB01
5H613GB09
5H613GB12
5H613KK07
5H623AA10
5H623BB04
5H623BB07
5H623GG11
5H623GG16
5H623HH06
5H623HH10
5H623JJ01
5H623JJ05
5H623JJ06
(57)【要約】
【課題】ブラシ付モータ用のブラシ台において、太さの異なる複数種類のリード線に対応する。
【解決手段】外面31aから内面31bに貫通した、外面31aの側からリード線39(38)が挿入される挿入孔35が形成され、挿入孔35は、挿入されるリード線39として予め設定された太さの異なる複数種類のリード線39の太さにそれぞれ対応する太さで形成されていて、一例として、挿入孔35は、太さの異なる2種類のリード線39の太さにそれぞれ対応する太さの大径部33と小径部34とが、リード線39の挿入方向の挿入側から順次太さが小さくなるように、挿入孔35の軸C2方向に並んで形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面から内面に貫通した、前記外面の側からリード線が挿入される挿入孔が形成され、
前記挿入孔は、挿入されるリード線として予め設定された太さの異なる複数種類のリード線の太さにそれぞれ対応する太さで形成されている、ブラシ付モータ用のブラシ台。
【請求項2】
前記挿入孔は、太さの異なる複数種類のリード線の太さにそれぞれ対応する太さの部分が、前記リード線の挿入方向の挿入側から順次太さが小さくなるように、前記挿入孔の軸方向に並んで形成されている、請求項1に記載のブラシ付モータ用のブラシ台。
【請求項3】
前記挿入孔は、前記軸方向の、前記太さが変化する境界部分に、前記太さが変化する前後の内径が連続的に変化するテーパ面が形成されている、請求項2に記載のブラシ付モータ用のブラシ台。
【請求項4】
前記挿入孔は、太さの異なる複数種類のリード線の太さにそれぞれ対応する太さで、複数形成されている、請求項1に記載のブラシ付モータ用のブラシ台。
【請求項5】
前記挿入孔の、前記リード線の挿入方向の出口側の開口に、前記開口の一部を塞ぐ突出部が形成されている、請求項1から4のうちいずれか1項に記載のブラシ付モータ用のブラシ台。
【請求項6】
前記突出部は、前記開口のうち前記挿入孔の軸から一方に偏った一部のみを塞いでいる、請求項5に記載のブラシ付モータ用のブラシ台。
【請求項7】
前記内面の、前記挿入孔が臨む開口に、凹部が形成されている、請求項1から6のうちいずれか1項に記載のブラシ付モータ用のブラシ台。
【請求項8】
前記凹部は、前記開口を取り囲んでいる、請求項7に記載のブラシ付モータ用のブラシ台。
【請求項9】
ステータ組立体と、ロータ組立体と、ブラシ台組立体と、を備え、
前記ブラシ台組立体は、請求項1から8のうちいずれか1項に記載のブラシ台と、前記ブラシ台の内面の側に固定されたブラシと、前記ブラシ台の外面から前記内面に貫通した挿入孔に、前記外面の側から挿入されて前記内面の側で前記ブラシに接続されたリード線と、を有するブラシ付モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシ付モータ用のブラシ台及びブラシ付モータに関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシ付モータは、ブラシを備えている。ブラシは、ブラシ台に配置されていて、ブラシ台に形成された孔に挿入されたリード線と接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-069730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ブラシ台の孔は、リード線が軽く圧入される程度にリード線の直径に対応して形成されている。このように、リード線が孔に軽く圧入されることで、リード線の外周面と孔の内周面との間で摩擦力が生じて、リード線は孔に挿入された状態でブラシ台に保持される。
【0005】
このように、リード線をブラシ台に保持させることで、リード線の芯線とブラシ台に保持されたブラシとを半田等で接合する作業の際に、リード線がブラシ台から脱落しないようにリード線を指で押さえる等しなくてよく、作業性の向上を図ることができる。
【0006】
しかし、ブラシ台を、仕様違いの複数種類のモータに共通して使用する場合、ブラシ台は太さの異なるリード線に対応する必要がある。つまり、例えば、出力の異なるモータは、供給される電流値が異なるため、電流値に応じた太さのリード線を用いる必要がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、太さの異なる複数種類のリード線に対応することができるブラシ付モータ用のブラシ台及びブラシ付モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1は、外面から内面に貫通した、前記外面の側からリード線が挿入される挿入孔が形成され、前記挿入孔は、挿入されるリード線として予め設定された太さの異なる複数種類のリード線の太さにそれぞれ対応する太さで形成されている、ブラシ付モータ用のブラシ台である。
【0009】
本発明の第2は、ステータ組立体と、ロータ組立体と、ブラシ台組立体と、を備え、前記ブラシ台組立体は、請求項1に記載のブラシ台と、前記ブラシ台の前記内面の側に固定されたブラシと、前記ブラシ台の前記外面から前記内面に貫通した挿入孔に、前記外面の側から挿入されて前記内面の側で前記ブラシに接続されたリード線と、を有するブラシ付モータである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るブラシ付モータ用のブラシ台及びブラシ付きモータによれば、太さの異なる複数種類のリード線に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ブラシ付モータを示す部分断面図である。
図2図1に示したブラシ付モータのブラシ台にリード線が挿入された状態を示す斜視図である。
図3図1に示したブラシ付モータのブラシ台を示す断面図である。
図4】挿入されるリード線として予め設定された、外径が相対的に細いリード線が、ブラシ台の挿入孔に挿入される前の状態を示す要部断面図である。
図5図4に示した状態から、リード線が挿入孔に挿入された状態を示す要部断面図である。
図6】挿入されるリード線として予め設定された、外径が相対的に太いリード線が、ブラシ台の挿入孔に挿入される前の状態を示す要部断面図である。
図7図6に示した状態から、リード線が挿入孔に挿入された状態を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るブラシ付モータ用のブラシ台及びブラシ付モータの一実施形態について、図面を用いて説明する。
【0013】
<構成>
図1はブラシ付モータ100を示す部分断面図、図2図1に示したブラシ付モータ100のブラシ台にリード線38,39が挿入された状態を示す斜視図、図3図1に示したブラシ付モータ100のブラシ台を示す断面図である。
【0014】
ブラシ付モータ100(以下、単にモータ100という。)は本発明に係るブラシ付モータの一実施形態であり、ブラシ台31は本発明に係るブラシ付モータ用のブラシ台の一実施形態である。
【0015】
モータ100は、ステータ組立体10、ロータ組立体20及びブラシ台組立体30を備えている。ステータ組立体10の内部にロータ組立体20が配置され、ステータ組立体10の一端側(図1において右側)の開口をブラシ台組立体30によって塞いでいる。
【0016】
ロータ組立体20は、回転軸21と、カップコイル22と、モールド23と、整流子24と、を備えている。回転軸21は直線状に延びた円柱状に形成されている。カップコイル22は円筒状に形成されている。カップコイル22は、回転軸21の半径方向の外側に配置されている。
【0017】
モールド23は、中心側で回転軸21と連結され、外周側でカップコイル22と連結されている。これにより、カップコイル22の円筒の軸が回転軸21の軸C1に一致した配置で、カップコイル22、モールド23及び回転軸21が一体化されている。整流子24は、回転軸21の一端側に配置されたモールド23の外周面からカップコイル22の近傍まで延びて配置されていて、カップコイル22から引き出された電線と電気的に接続されている。
【0018】
ステータ組立体10は、ハウジング11と、マグネット支持部材12と、マグネット13と、滑り軸受け14,15と、スラスト軸受け16,17と、を備えている。
【0019】
ハウジング11は、ロータ組立体20を内側に収容するモータ100の外装(ケース)を兼ねていて、カップコイル22よりも外径の大きい、一方の端部に端板11aを有する円筒状に形成されている。マグネット支持部材12は略円筒状に形成されている。マグネット支持部材12の内周面側には、回転軸21が所定の間隔を空けて配置されている。マグネット支持部材12の軸C1方向の両端部に滑り軸受け14,15が固定されていて、滑り軸受け14,15は、回転軸21を回転自在に支持している。
【0020】
マグネット支持部材12の軸C1方向の他端(図1において左側の端)には、ハウジング11の端板11aが固定されていて、回転軸21の一端がハウジング11の外側に突出し、モータ100の出力軸となっている。
【0021】
マグネット支持部材12の外周面には、円筒状に形成されたマグネット13が固定されている。これにより、ハウジング11と、マグネット支持部材12と、マグネット13とは、一体化されている。なお、マグネット13は、ロータ組立体20のカップコイル22及びモールド23に接触しないように配置されている。
【0022】
回転するロータ組立体20のモールド23と、回転しないステータ組立体10の滑り軸受け15との間には、スラスト軸受け17が設けられ、このスラスト軸受け17は、ロータ組立体20の、軸C1方向の他端側(図1において左側)に作用する圧力を受ける。
【0023】
また、回転するロータ組立体20の回転軸に固定されたブッシュ25と、回転しないステータ組立体10の滑り軸受け14との間には、スラスト軸受け16が設けられ、このスラスト軸受け16は、ロータ組立体20の、軸C1方向の一端側(図1において右側)に作用する圧力を受ける。
【0024】
ブラシ台組立体30は、ブラシ台31と、2つのブラシ32,32と、2本のリード線38,39と、を備えている。ブラシ台31は略円板状に形成されている。ブラシ台31は、ハウジング11の軸C1方向の、開放された端面側(図1において右側の端面)を塞ぐように配置されている。
【0025】
2つのブラシ32,32は、ブラシ台31の内面31bの側に固定されていて、図2に示すように、それぞれ、板バネ32aと、ブラシ本体32bとを備えている。板バネ32aは導電性の金属で形成され、ブラシ本体32bは導電性を有し耐摩耗性の高いカーボンなどで形成されている。板バネ32aは、一端側がブラシ台31に固定され、他端側は固定されていない。したがって、板バネ32aは、他端側が一端側に対して、弾性変形により撓み自在となっている。
【0026】
ブラシ本体32bは、板バネ32aの固定されていない他端側に接合され、電気的にも導通している。ブラシ本体32bは、図1に示すように、整流子24に、軸C1の半径方向の外側から接するように配置されている。このとき、ブラシ本体32bは、板バネ32aの撓みによって、整流子24に押し付けられている。
【0027】
ブラシ台31は、図3に示すように、モータ100の外側に露出した外面31aからモータ100の内部側となる内面31bに向けて、軸C1方向に沿って形成された挿入孔35が形成されている。ブラシ台31の内面31bは、挿入孔35が臨む開口において、この開口を取り囲むとともに外面31a側に凹んだ凹部36を有している。そして、挿入孔35は、凹部36の底面36aに開口している。
【0028】
挿入孔35は、リード線38,39が外面31aの側から内面31bの側にそれぞれ挿入される孔である。なお、図3に示した断面図は、軸C1の上側と下側とで切断面が異なるため、軸C1の下側においてのみ挿入孔35が形成されているように記載されているが、ブラシ台31には、図2に示すように、リード線38,39にそれぞれ対応して、2つの挿入孔35,35が形成されている。
【0029】
各挿入孔35は、図2に示すように、板バネ32aの一端側を固定したブラシ台31の固定部の近傍に形成されている。これにより、外面31aから挿入孔35に挿入されたリード線38,39の芯線38a,39aは、ブラシ台31の内面31bの側に固定されたブラシ32の板バネ32aの一端側と近接して配置され、近接した状態の芯線38a,39aと板バネ32aの一端側とがそれぞれ半田付け等により接合されている。なお、芯線38a,39aと板バネ32aとは、溶接により接合されていてもよい。
【0030】
これにより、リード線38,39、ブラシ32、整流子24及びカップコイル22が電気的に接続され、リード線38,39への電力の供給により、ロータ組立体20はステータ組立体10及びブラシ台組立体30に対して、軸C1回りに回転する。
【0031】
ここで、挿入孔35の詳細な構成を説明する。挿入孔35は、図3に示すように、軸C1と平行な軸C2に沿った軸を有して形成されている。挿入孔35は、内径が相対的に大きい大径部33と内径が相対的に小さい小径部34とが、軸C2方向に並んで形成されている。ここで、大径部33と小径部34とは、軸C2を共通の軸とする同軸に形成されていて、リード線38,39の挿入方向の挿入側から順次太さが小さくなるように形成されている。すなわち、挿入孔35は、外面31aに近い側に大径部33が形成され、凹部36の底面36aに近い側に小径部34が形成されている。
【0032】
大径部33の内径は、このブラシ台31に用いられるリード線38,39として予め設定された2種類のリード線の外径に対応して設定されている。すなわち、ブラシ台31は、仕様の異なる複数種類のブラシ付モータに使用可能であり、複数種類の仕様のブラシ付きモータは、外径の太いリード線を使用するものと、外径の細いリード線を使用するものとの2種類に分けられる。
【0033】
つまり、ブラシ台31は、リード線38,39としては、外径が相対的に太いリード線38,39と、外径が相対的に細いリード線38,39とのうち、一方が選択的に挿入されることを想定されている。そして、大径部33は、外径が相対的に太いリード線38,39を軽く圧入できる程度の内径で形成され、小径部34は、外径が相対的に細いリード線38,39を軽く圧入できる程度の内径で形成されている。
【0034】
なお、軽く圧入できる程度とは、例えば、リード線38,39を挿入孔35に挿入したときに、挿入孔35の手前でリード線38,39が屈曲することなく軽く挿入することができるとともに、リード線38,39を挿入孔35に挿入した状態で、リード線38,39の外周面38c,39cと挿入孔35の内周面とが接して、ブラシ台31を、外面31a側を内面31b側よりも低く傾けた場合にも、リード線38,39が挿入孔35から容易に脱落がしない程度である。
【0035】
また、大径部33と小径部34との境界は、大径部33の内周面33aから小径部34の内周面34aに連続的に内径が一定に変化するテーパ面35bが形成されている。
【0036】
挿入孔35の大径部33と外面31aとの境界には、テーパ面35bと同様のテーパ面35aが形成されている。このテーパ面35aは、大径部33の内周面33aと外面31aとの境界の角部の面取りでもある。
【0037】
一方、挿入孔35の小径部34の底面36a側の開口(挿入方向の出口側の開口)には、図2,3に示すように、小径部34の開口の一部を遮る突出部37が形成されている。この突出部37は、凹部36の底面36aから凹部36の深さ(内面31bと底面36aとの間の、軸C2方向に沿った寸法)よりも小さい寸法で形成されている。したがって、突出部37は、内面31bまでは達していない。
【0038】
<作用>
以上のように構成された本実施形態のブラシ台31及びこのブラシ台31を備えたモータ100の作用について説明する。図4は、挿入されるリード線として予め設定された、外径が相対的に細いリード線39(リード線38も同じである)が、ブラシ台31の挿入孔35に挿入される前の状態を示す要部断面図、図5は、図4に示した状態から、リード線39が挿入孔35に挿入された状態を示す要部断面図である。
【0039】
また、図6は、挿入されるリード線として予め設定された、外径が相対的に太いリード線39(リード線38も同じである)が、ブラシ台31の挿入孔35に挿入される前の状態を示す要部断面図、図7は、図6に示した状態から、リード線39が挿入孔35に挿入された状態を示す要部断面図である。
【0040】
図4又は図6に示すように、ブラシ台31の挿入孔35に、外面31a側から軸C2に沿って、芯線39aが露出したリード線39(リード線38についても同様である)が挿入される。このとき、リード線39の芯線39aが、挿入孔35から軸C2に直交する面内での位置が多少ずれた場合も、芯線39aの先端は、外面31aに臨む挿入孔35のテーパ面35aに当たると軸C2に沿うように案内される。
【0041】
したがって、本実施形態のブラシ台31は、テーパ面35aが形成されていないブラシ台に比べて、リード線39が外面31aに突き当たってリード線39が折れ曲がったりすることなく、リード線39を適切に挿入孔35に導くことができる。
【0042】
また、芯線39aが挿入孔35の大径部33に挿入された後は、露出したリード線39の芯線39aは、小径部34に進むが、このとき、リード線39の芯線39aが、挿入孔35から軸C2に直交する面内での位置が多少ずれた場合も、芯線39aの先端は、小径部34との境界に形成されたテーパ面35bに当たると軸C2に沿うように案内される。
【0043】
したがって、本実施形態のブラシ台31は、テーパ面35bが形成されていないブラシ台に比べて、リード線39が小径部34との境界となる段差面(本実施形態のブラシ台31には存在しない)に突き当たってリード線39が折れ曲がったりすることなく、リード線39を適切に小径部34に導くことができる。
【0044】
また、芯線39aが挿入孔35の小径部34に挿入された後は、露出したリード線39の芯線39aは、小径部34を通り抜けて、モータ100の内部側に突出する。ここで、小径部34の底面36a側の開口(挿入方向の出口側の開口)には、開口の一部を塞ぐ突出部37が形成されているが、この突出部37は、開口のうち軸C2から一方に偏った一部のみを塞いでいるだけであるため、芯線39aの先端は突出部37に突き当たらない。したがって、突出部37は、リード線39を挿入孔35に挿入する操作の妨げにはならない。
【0045】
リード線39が、外径が相対的に細いものであるときは、リード線39が軸C2に沿ってさらに進み、図5に示すように、リード線39の芯線39aを外側から被覆している被覆部39bが小径部34に軽圧入される。つまり、リード線39の外周面39c(被覆部39bの外周面)が、小径部34の内周面34aに軽く接触しながら、リード線39の被覆部39bが小径部34に挿入される。
【0046】
そして、被覆部39bの外径は芯線39aの外径よりも太いため、被覆部39bの先端面39dは、突出部37に突き当たり、リード線39の挿入は止められる。つまり、突出部37は、外径が相対的に細いリード線39が挿入孔35に挿入されたときの、挿入方向の位置決めとなる。
【0047】
このとき、芯線39aは、図5に示すように、ブラシ32に近接した状態で保持されるため、芯線39aとブラシ32とを半田付け等で接合することができる。
【0048】
また、リード線39はブラシ台31に軽圧入によって保持されるため、芯線39aとブラシ32とを半田付け等する作業の作業性を高めることができる。
【0049】
また、ブラシ台31を水平姿勢(凹部36の底面36aを水平とする姿勢)で、凹部36に、例えば熱硬化性の接着剤を流し込んで、凹部36から小径部34の内周面34aとリード線39の外周面39cとの微小な隙間に接着剤を浸潤させて、ブラシ台31とリード線39とを接合するときに、接着剤は凹部36に溜まるため、接着剤が凹部36の外側の領域に広がるのを防止又は抑制することができる。
【0050】
一方、リード線39が、外径が相対的に太いものであるときは、リード線39が軸C2に沿って進み、図7に示すように、リード線39の被覆部39bが大径部33に軽圧入される。つまり、リード線39の外周面39c(被覆部39bの外周面)が、大径部33の内周面33aに軽く接触しながら、リード線39の被覆部39bが大径部33に挿入される。
【0051】
そして、被覆部39bの外径は小径部34の内径よりも太いため、被覆部39bの先端面39dは、小径部34との境界であるテーパ面35bに突き当たり、リード線39の挿入は止められる。つまり、テーパ面35bは、外径が相対的に太いリード線39が挿入孔35に挿入されたときの、挿入方向の位置決めとなる。
【0052】
なお、ブラシ台31の、小径部34と大径部33との境界にテーパ面35bが形成されていない場合は、小径部34と大径部33との内径の差異によって段差面が形成され、この段差面が、外径が相対的に太いリード線39が挿入孔35に挿入されたときの、挿入方向の位置決めとなる。
【0053】
リード線39が挿入方向の位置決めがされた状態で、芯線39aは、図7に示すように、ブラシ32に近接した状態で保持されるため、芯線39aとブラシ32とを半田付け等で接合することができる。
【0054】
また、リード線39はブラシ台31の挿入孔35に軽圧入によって保持されるため、作業者が芯線39aとブラシ32とを半田付け等する作業の際に、リード線39を挿入孔35に挿入した状態で、リード線39をブラシ台31に指等で保持する必要がなく、作業性を高めることができる。
【0055】
また、ブラシ台31を水平姿勢(凹部36の底面36aを水平とする姿勢)で、凹部36に、例えば熱硬化性の接着剤を流し込んで、凹部36から大径部33の内周面33aとリード線39の外周面39cとの微小な隙間に接着剤を浸潤させて、ブラシ台31とリード線39とを接合するときに、凹部36は接着剤が凹部36の外側の領域に広がるのを防止又は抑制することができる。
【0056】
以上、詳細に説明したように、本実施形態のブラシ台31及びモータ100によれば、リード線38,39の太さが、相対的に太いものと細いものとであっても、1つの挿入孔35で対応することができ、ブラシ台31に軽圧入してブラシ台31に保持させることができる。したがって、本実施形態のブラシ台31によれば、太さの異なるリード線38,39ごとに太さの異なる挿入孔が形成された専用のブラシ台を用意する必要がない。
【0057】
なお、挿入孔35に形成する2つの太さの異なる部分のうち小径部34の内径は、太さが相対的に細いリード線38,39の外径に対応した内径であることが必要であるが、これに加えて、大径部33に挿入される、太さが相対的に太いリード線38,39の芯線38a,39aを通過させることができる内径であることが必要である。
【0058】
本実施形態のブラシ台31は、太さの異なるリード線38,39として、2種類の太さのリード線に対応したものであるが、本発明に係るブラシ付モータ用のブラシ台及びブラシ付モータは、3種類以上の太さの異なるリード線に対応するように、挿入孔が、3種類以上の太さで形成されたものであってもよい。この場合、挿入孔は、リード線を挿入する側から順に、内径が細くなるように形成されていることを要する。
【0059】
また、本実施形態のブラシ台31は、単一の挿入孔において、内径の異なる部分(大径部33と小径部34)が軸C2方向に並んで形成されたものであるが、本発明に係るブラシ付モータ用のブラシ台及びブラシ付モータは、単一の挿入孔に、内径の異なる部分が軸方向に並んで形成されたものに限定されない。
【0060】
すなわち、本発明に係るブラシ付モータ用のブラシ台及びブラシ付モータは、内径の異なる挿入孔が、ブラシ台の面内の互いに異なる位置に複数形成されたものであってもよい。このようなブラシ台の場合は、形成された複数の挿入孔のうち、挿入されるリード線の太さに対応した1つの挿入孔を選択してリード線を挿入すればよく、選択されなかった残りの挿入孔については、栓や接着剤等を用いて塞げばよい。なお、ブラシ付きモータを使用する環境によっては、選択されなかった残りの挿入孔を塞がなくてもよい。
【0061】
本実施形態のブラシ台31は、大径部33と小径部34との境界にテーパ面35bが形成され、また、大径部33と外面31aとの境界にもテーパ面35aが形成されているが、本発明に係るブラシ台は、これらのテーパ面35b,35aが形成されたものに限定されず、テーパ面35b,35aが形成されたものでなくてもよい。
【0062】
本実施形態のブラシ台31は、小径部34の、リード線38,39の挿入方向の出口側の開口に、この開口の一部を塞ぐ突出部37が形成されているが、本発明に係るブラシ台は、突出部37が形成されたものに限定されず、突出部37が形成されたものでなくてもよい。
【0063】
本実施形態のブラシ台31は、ブラシ台31の内面31bの、挿入孔35が臨む開口(リード線38,39の挿入方向の出口側の開口)に、凹んだ凹部36が形成されているが、本発明に係るブラシ台は、凹部36が形成されたものに限定されず、凹部36が形成されたものでなくてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 ステータ組立体
20 ロータ組立体
30 ブラシ台組立体
31 ブラシ台
31a 外面
31b 内面
33 大径部
34 小径部
35 挿入孔
38,39 リード線
100 ブラシ付モータ
C1,C2 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7