(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004156
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】ネガ型感光性ポリマー
(51)【国際特許分類】
G03F 7/038 20060101AFI20230110BHJP
C08G 73/16 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G03F7/038 504
C08G73/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105685
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】今井 啓太
【テーマコード(参考)】
2H225
4J043
【Fターム(参考)】
2H225AC70
2H225AN32P
2H225AN54P
2H225AN63P
2H225AP01P
2H225BA02P
2H225CA12
2H225CB05
2H225CC01
2H225CC13
4J043PA04
4J043QB26
4J043RA35
4J043SA06
4J043SA46
4J043SA47
4J043SA71
4J043SB03
4J043TA32
4J043TA71
4J043TB01
4J043UA131
4J043UA152
4J043UA231
4J043UB011
4J043UB021
4J043UB172
4J043UB402
4J043VA021
4J043VA022
4J043VA041
4J043VA051
4J043VA061
4J043VA062
4J043VA081
4J043ZA11
4J043ZB22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】有機溶剤への溶解性に優れるとともに、加水分解が抑制されており機械的強度に優れたフィルム等の硬化物を得ることができるネガ型感光性ポリマーを提供する。
【解決手段】ネガ型感光性ポリマーは、イミド構造単位、芳香族縮合構造単位及び(メタ)アクリロイル基を有するビフェニル構造単位からなるものである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(a1)で表される構造単位(a1)と、
下記一般式(a2)で表される構造単位(a2)と、
下記一般式(a3)で表される構造単位(a3)と、
を含む、ネガ型感光性ポリマー。
【化1】
【化2】
【化3】
(一般式(a1)中、Yは2価の有機基である。
一般式(a2)中、R
1、R
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基または炭素数1~3のアルコキシ基を示す。複数存在するR
1同士、複数存在するR
2同士は同一でも異なっていてもよい。
一般式(a3)中、Qは、2価~4価の炭素数1~10の有機基を示し、複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示す。
m1およびm2は、それぞれ独立して1~3の整数を示す。
Xは単結合、-SO
2-、-C(=O)-、炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキレン基、または炭素数1~5の直鎖または分岐のフルオロアルキレン基を示し、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。)
【請求項2】
前記一般式(a1)中のYは、下記一般式(a1-1)、下記一般式(a1-2)および下記一般式(a1-3)から選択される2価の有機基である、請求項1に記載のネガ型感光性ポリマー。
【化4】
(一般式(a1-1)中、R
7およびR
8は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示し、複数存在するR
7同士、複数存在するR
8同士は同一でも異なっていてもよい。R
9は、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示し、複数存在するR
9同士は同一でも異なっていてもよい。*は結合手を示す。
一般式(a1-2)中、R
10およびR
11は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示し、複数存在するR
10同士、複数存在するR
11同士は同一でも異なっていてもよい。*は結合手を示す。
一般式(a1-3)中、Zは炭素数1~5のアルキレン基、2価の芳香族基を示す。
*は結合手を示す。)
【請求項3】
両末端の少なくとも一方が(メタ)アクリレート基である、請求項2に記載のネガ型感光性ポリマー。
【請求項4】
下記一般式(1)および下記一般式(2)で表される構造単位を含む、請求項2または3に記載のネガ型感光性ポリマー。
【化5】
(一般式(1)中、R
1、R
2は一般式(a2)と同義であり、Yは一般式(a1)と同義である。)
【化6】
(一般式(2)中、Q、R
5、R
6、m1、m2、およびXは一般式(a3)と同義であり、Yは一般式(a1)と同義である。)
【請求項5】
以下の条件で測定された重量平均分子量の減少率が15%以下である、請求項2~4のいずれかに記載のネガ型感光性ポリマー。
(条件)
前記ネガ型感光性ポリマー100質量部に、γ-ブチロラクトン400質量部、4-メチルテトラヒドロピラン200質量部、および水50質量部を加え、100℃で6時間攪拌した場合において、下記式で算出する。
式:[(試験前の重量平均分子量-試験後の重量平均分子量)/試験前の重量平均分子量]×100
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型感光性ポリマーに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド樹脂は、高い機械的強度、耐熱性、絶縁性、耐溶剤性を有しているため、液晶表示素子や半導体における保護材料、絶縁材料、カラーフィルタ等の電子材料用薄膜として広く用いられている。
【0003】
特許文献1には、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸ならびに該ポリアミック酸を脱水閉環してなるポリイミドよりなる群から選択される少なくとも一種の重合体を含有する液晶配向剤が開示されている。当該文献には、ジアミンとして、1-(4-アミノフェニル)-2,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-1H-インデン-5-アミン(以下、TMDAとも記載される)が挙げられている。
【0004】
特許文献2には、ジアミン、テトラカルボン酸二無水物、および所定の官能基を有する化合物の反応生成物を含む、ポリイミドポリマーが開示されている。当該文献には、ジアミンとしてTMDAが挙げられている。
【0005】
特許文献3には、キャリア基板、及び完全イミド化ポリイミドポリマーを含む感光性ポリマー層を含むドライフィルム構造体が開示されている。当該文献には、完全イミド化ポリイミドポリマーを構成するジアミンとしてTMDAが挙げられている。
【0006】
特許文献4には、完全イミド化ポリイミドポリマーと、溶解度スイッチング化合物と、光開始剤と、溶剤を含み、所定の溶解速度を示すフィルムを形成することができる、感光性組成物が開示されている。当該文献には、完全イミド化ポリイミドポリマーを構成するジアミンとしてTMDAが挙げられている。
【0007】
特許文献5には、所定の構造を有し、重量平均分子量が70,000以下であるポリイミド樹脂を含む、感光性樹脂組成物が開示されている。当該文献には、ポリイミド樹脂の末端の少なくとも一方は(メタ)アクリレート基を含有する基であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011-257736号公報
【特許文献2】特開2017-513959号公報
【特許文献3】特開2018-517168号公報
【特許文献4】特開2018-517169号公報
【特許文献5】国際公開第2020/246349号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1~5に記載の従来の技術においては、感光性樹脂組成物から得られたポリイミドを含むフィルムに機械的強度に改善の余地があった。
【0010】
従来から、有機溶剤に対するポリイミドの溶解性を改善するために当該ポリイミドの骨格にフッ素原子を導入することが行われているが、本発明者らは、フッ素原子を含むジアミン化合物を用いてポリイミドを合成した場合、フッ素原子の強い電子吸引性によりイミド環の電子に影響を及ぼすことにより得られたポリイミドが加水分解を受けやすくなり、それによって機械的強度が低下することを見出した。
すなわち、従来のポリイミドは有機溶剤への溶解性と機械的強度とのバランスの点で改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、特定の構造を備えるポリイミドであれば上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
【0012】
本発明によれば、
下記一般式(a1)で表される構造単位(a1)と、
下記一般式(a2)で表される構造単位(a2)と、
下記一般式(a3)で表される構造単位(a3)と、
を含む、ネガ型感光性ポリマーが提供される。
【化1】
【化2】
【化3】
(一般式(a1)中、Yは2価の有機基である。
一般式(a2)中、R
1、R
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基または炭素数1~3のアルコキシ基を示す。複数存在するR
1同士、複数存在するR
2同士は同一でも異なっていてもよい。
一般式(a3)中、Qは、2価~4価の炭素数1~10の有機基を示し、複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。
R
5およびR
6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示す。
m1およびm2は、それぞれ独立して1~3の整数を示す。
Xは単結合、-SO
2-、-C(=O)-、炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキレン基、または炭素数1~5の直鎖または分岐のフルオロアルキレン基を示し、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。)
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、有機溶剤への溶解性に優れるとともに、加水分解が抑制されており機械的強度に優れたフィルム等の硬化物が得られるネガ型感光性ポリマーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態の半導体装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、「A~B」は特に断りがなければ「A以上」から「B以下」を表す。
【0016】
本実施形態のネガ型感光性ポリマーは、下記一般式(a1)で表される構造単位(a1)と、下記一般式(a2)で表される構造単位(a2)と、下記一般式(a3)で表される構造単位(a3)とを含む。
【0017】
【0018】
一般式(a1)中、Yは2価の有機基である。
2価の有機基としては、本発明の効果を奏する範囲で公知の有機基を用いることができるが、本発明の効果の観点から、下記一般式(a1-1)、下記一般式(a1-2)および下記一般式(a1-3)から選択される2価の有機基であることが好ましい。
【0019】
【0020】
一般式(a1-1)中、R7およびR8は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示し、複数存在するR7同士、複数存在するR8同士は同一でも異なっていてもよい。
R7およびR8は、本発明の効果の観点から、好ましくは水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましく水素原子である。
R9は、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示し、複数存在するR9同士は同一でも異なっていてもよい。
R9は、本発明の効果の観点から、好ましくは水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましく水素原子である。
*は結合手を示す。
【0021】
一般式(a1-2)中、R10およびR11は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示し、複数存在するR10同士、複数存在するR11同士は同一でも異なっていてもよい。
【0022】
R10およびR11は、本発明の効果の観点から、好ましくは水素原子または炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはR10の少なくとも1つおよびR11の少なくとも1つは炭素数1~3のアルキル基であり、さらに好ましくは3つのR10が炭素数1~3のアルキル基であり1つのR10が水素原子であり、かつ3つのR11が炭素数1~3のアルキル基であり1つのR11が水素原子であり、特に好ましくは3つのR10がメチル基であり1つのR10が水素原子であり、かつ3つのR11がメチル基であり1つのR11が水素原子である。
*は結合手を示す。
【0023】
一般式(a1-3)中、Zは炭素数1~5のアルキレン基、2価の芳香族基を示す。
*は結合手を示す。
【0024】
【0025】
一般式(a2)中、R1、R2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基または炭素数1~3のアルコキシ基を示す。複数存在するR1同士、複数存在するR2同士は同一でも異なっていてもよい。
R1、R2は、本発明の効果の観点から、水素原子、炭素数1~3のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0026】
本実施形態のポリイミド(A)が、一般式(a2)で表される構造単位を含むことにより、イミド環の電子への影響が抑制され当該ポリイミドの加水分解が抑制され、機械的強度に優れるとともに、有機溶剤への溶解性にも優れる。言い換えれば、本実施形態のポリイミド(A)およびポリイミド(A)を含むネガ型感光性樹脂組成物はこれらの特性のバランスに優れる。
【0027】
【0028】
一般式(a3)中、Qは、2価~4価の炭素数1~10の有機基を示し、複数存在するQは同一でも異なっていてもよい。
【0029】
2価~4価の炭素数1~10の有機基としては、エステル基、2価~4価の炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、2価~4価の炭素数3~10の脂環式炭化水素基等が挙げられ、これらの炭化水素基は、酸素、窒素、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてもよく、エステル結合、チオエステル結合、ウレタン結合、チオウレタン結合等を構造中に有していてもよい。
R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基を示す。
m1およびm2は、それぞれ独立して1~3の整数を示す。
【0030】
Xは単結合、-SO2-、-C(=O)-、炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキレン基、または炭素数1~5の直鎖または分岐のフルオロアルキレン基を示し、複数存在するXは同一でも異なっていてもよい。
【0031】
Xは、本発明の効果の観点から、炭素数1~5の直鎖または分岐のアルキレン基、または炭素数1~5の直鎖または分岐のフルオロアルキレン基であることが好ましい。
本実施形態のポリイミド(A)は、具体的には、下記一般式(1)で表される構造単位を含むことができる。
【0032】
【0033】
一般式(1)中、R1、R2は一般式(a2)と同義であり、Yは一般式(a1)と同義である。
本実施形態のポリイミド(A)は、具体的には、上記一般式(1)で表される構造単位とともに、下記一般式(2)で表される構造単位を含むことができる。
【0034】
【0035】
一般式(2)中、Q、R5、R6、m1、m2、およびXは一般式(a3)と同義であり、Yは一般式(a1)と同義である。
本実施形態のポリイミド(A)は、具体的には、上記一般式(3)で表される構造単位を含むことができる。
【0036】
【0037】
一般式(3)中、Q、R5、R6、m1、m2、およびXは一般式(a3)と同義であり、Yは一般式(a1)と同義であり、R1、R2は一般式(a2)と同義である。
本実施形態のポリイミド(A)は、前記構造単位を含み、さらに一部に以下の構造単位を含んでいてもよい。
【0038】
【0039】
本実施形態において、ポリイミド(A)は両末端の少なくとも一方が(メタ)アクリレート基であることが好ましい。当該基を含むことにより、加水分解が抑制されており機械的強度により優れる。
本実施形態のポリイミド(A)の重量平均分子量は、5,000~200,000であり、好ましくは10,000~100,000である。
【0040】
本実施形態のポリイミド(A)(ネガ型感光性ポリマー)は、耐加水分解性に優れており、以下の条件で測定された重量平均分子量の減少率が15%以下、好ましくは12%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。
(条件)
前記ネガ型感光性ポリマー100質量部に、γ-ブチロラクトン400質量部、4-メチルテトラヒドロピラン200質量部、および水50質量部を加え、100℃で6時間攪拌した場合において、下記式で算出する。
式:[(試験前の重量平均分子量-試験後の重量平均分子量)/試験前の重量平均分子量]×100
【0041】
本実施形態のネガ型感光性ポリマーは、重量平均分子量の減少率が上記範囲にあることにより、伸び等の機械的強度に優れたフィルム等の硬化物を得ることができる。
【0042】
また、本実施形態のポリイミド(A)は、溶剤への溶解性に優れており前駆体の状態でワニスとする必要がないことから、ポリイミド(A)を含むワニスを調製することができ、当該ワニスからフィルム等の硬化物を得ることができる。
【0043】
<ポリイミド(A)の製造方法>
本実施形態の一般式(1)で表される構造単位および一般式(2)で表される構造単位を有するポリイミド(A)(ネガ型感光性ポリマー)、または一般式(3)で表される構造単位を有するポリイミド(A)(ネガ型感光性ポリマー)の製造方法は、
【0044】
下記一般式(a1')で表される酸無水物(a1')と、下記一般式(a2')で表されるジアミン(a2')と、下記一般式(a3')で表されるビスアミノフェノール(a3')とを、100℃以上250℃以下の温度下でイミド化する工程1と、
【0045】
工程1で得られた重合体の前記一般式(a3')のビスアミノフェノール(a3')由来の構造単位の水酸基に(メタ)アクリレート基を備える化合物を反応させて、(メタ)アクリレート基を含む基を導入する工程2と、
を含む。
本実施形態によれば、有機溶剤に対する溶解性に優れたポリイミド(A)を簡便な方法で合成することができる。
【0046】
【0047】
一般式(a1')中、Yは前記一般式(a1-1)、(a1-2)または(a1-3)で表される基から選択される。
【0048】
【0049】
一般式(a2')中、R1、R2は一般式(a2)と同義である。
【0050】
【0051】
一般式(a3')中、Xは一般式(a3)と同義である。
得られるポリヒドロキシイミドの分子量を制御するために、エンドキャップ剤として少量の酸無水物や芳香族アミンを添加して反応を行うことも可能である。
【0052】
エンドキャップ剤である酸無水物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸等が、芳香族アミンとしては、p-メチルアニリン、p-メトキシアニリン、p-フェノキシアニリン等が挙げられる。これらエンドキャップ剤である酸無水物、又は芳香族アミンの添加量は5モル%以下であることが好ましい。5モル%を越えると、得られるポリヒドロキシイミドの分子量が著しく低下し、耐熱性や機械的特性に問題を生じる。
【0053】
工程1のイミド化反応における酸無水物(a1')とジアミン(a2')とビスアミノフェノール(a3')との当量比は、得られる重合体の分子量を決定する重要な因子である。一般に、ポリマーの分子量と機械的性質の間に相関があることは良く知られており、分子量が大きいほど機械的性質が優れている。従って、実用的に優れた強度の重合体を得るためには、ある程度高分子量であることが必要である。本発明では、使用する酸無水物(a1')とジアミン(a2')とビスアミノフェノール(a3')との当量比は特に制限されないが、酸無水物(a1')に対する、ジアミン(a2')およびビスアミノフェノール(a3')の当量比が0.70~1.3の範囲にあることが好ましい。当該当量比が上記範囲内にあれば、機械的強度に優れ、製造安定性に優れる。
【0054】
なお、機械特性を改善する観点からは、酸無水物(a1')に対する、ジアミン(a2')およびビスアミノフェノール(a3')の当量比が上記範囲を外れる場合であっても、樹脂を側鎖架橋させることで見かけの分子量を上げることもできる。
工程1(イミド化反応工程)は、有機溶媒中で、公知の方法で行うことができる。
【0055】
有機溶媒としては、γ-ブチルラクトン(GBL)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、シクロヘキサノン、1,4-ジオキサン等の非プロトン性極性溶媒類が挙げられ、1種類又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。この時、上記非プロトン性極性溶媒と相溶性がある非極性溶媒を混合して使用しても良い。非極性溶媒としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類やシクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。混合溶媒における非極性溶媒の割合については、溶媒の溶解度が低下し、反応して得られるポリアミド酸樹脂が析出しない範囲であれば、攪拌装置能力や溶液粘度等の樹脂性状に応じて任意に設定することができる。
【0056】
反応温度は、0℃以上100℃以下、好ましくは20℃以上80℃以下で30分~2時間程度反応させた後、100℃以上250℃以下、好ましくは120℃以上200℃以下で1~5時間程度反応させる。
【0057】
工程1により、下記一般式(1)で表される構造単位および下記一般式(2')で表される構造単位を有するポリヒドロキシイミド、または下記一般式(3')で表される構造単位を有する構成単位を含むポリヒドロキシイミドを得ることができる。なお、工程1においては、ポリヒドロキシイミドを公知の方法で精製することができるが、重合での脱水効率を向上させ、得られたポリヒドロキシイミドを精製することなく工程1および工程2を連続的に行うことができる。
【0058】
【0059】
工程2は、工程1で得られたポリヒドロキシイミドの水酸基に(メタ)アクリレート基を備える化合物を反応させて、(メタ)アクリレート基を含む架橋基を導入する。
ポリイミド(A)に導入された架橋基が、露光工程において後述する架橋剤(B)と反応し、露光部が有機溶媒に不溶となる。
【0060】
(メタ)アクリレート基を備える化合物としては、2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、2-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチルオキシ)エチルイソシアナート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、メタクリル酸グリシジル、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0061】
ポリヒドロキシイミドに(メタ)アクリレート基を含む架橋基を導入するには、有機溶媒中に、ポリヒドロキシイミドと、(メタ)アクリレート基を備える化合物とを混合しながら、60℃~150℃で2~10時間程度反応させる。反応は、特に限定されないが常圧で行うことができる。
【0062】
(メタ)アクリレート基を備える化合物は、ポリヒドロキシイミドに対する架橋基の導入量に合わせて適宜選択することができるが、例えば、ポリヒドロキシイミドの水酸基モル量に対して0.8~3.0モル倍となるように添加することができ、2.0~3.0モル倍であることが好ましい。なお、ポリヒドロキシイミドが架橋基を導入することができる基を有している場合には、その基をモル量に加えることができる。
【0063】
有機溶媒としては、γ-ブチルラクトン(GBL)、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、シクロヘキサノン、1,4-ジオキサン等の非プロトン性極性溶媒類が挙げられ、1種類又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。この時、上記非プロトン性極性溶媒と相溶性がある非極性溶媒を混合して使用しても良い。非極性溶媒としては、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、メシチレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。
反応に際しては、トリエチルアミン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジンなどの塩基を加えることもできる。
【0064】
工程2により、一般式(1)で表される構造単位および一般式(2)で表される構造単位を有するポリイミド(A)、または一般式(3)で表される構造単位を有するポリイミド(A)を得ることができる。
【0065】
工程2においては、工程1で得られたポリヒドロキシイミドを含む反応溶液を、再沈殿等により精製し、得られたポリヒドロキシイミドを用いることもできるが、工程1の反応溶液をそのまま工程2に用いることができる。
【0066】
以上の本実施形態の製造方法により、本実施形態のポリイミド(A)(ネガ型感光性ポリマー)を含む反応溶液を得ることができ、さらに必要に応じて有機溶媒等で希釈し、ポリマー溶液(塗布用ワニス)として使用することができる。有機溶剤としては、反応工程において例示したものを用いることができ、反応工程と同じ有機溶剤であってもよく、異なる有機溶剤であってもよい。
【0067】
また、この反応溶液を貧溶媒中に投入してポリイミド(A)樹脂を再沈殿析出させて未反応モノマーを除去し、乾燥固化させたもの再び有機溶剤に溶解し精製品として用いることもできる。特に不純物や異物が問題になる用途では、再び有機溶剤に溶解して濾過精製ワニスとすることが好ましい。
【0068】
<ネガ型感光性樹脂組成物>
本実施形態においては、ネガ型感光性樹脂組成物は上述のネガ型感光性ポリマーを含むことができる。本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、ネガ型感光性ポリマーを含み、ネガ型感光性であれば特に限定されないが、例えば、ネガ型感光性ポリマー(ポリイミド(A))と、多官能(メタ)アクリレートを含む架橋剤(B)と、光重合開始剤(C)と、を含むことが好ましい。
【0069】
[架橋剤(B)]
架橋剤(B)は、多官能(メタ)アクリレートを含む。
前記多官能(メタ)アクリレートは、2つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、本発明の効果を発揮することができれば、従来公知の化合物を用いることができる。なお、本実施形態において、(メタ)アクリル基とは、アクリル基、またはメタクリル基を示す。
【0070】
具体的な多官能(メタ)アクリレートとしては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール#400ジ(メタ)アクリレート等の二官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート等の三官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の四官能(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の六官能(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート等の八官能(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート等の十官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらのうち、1種または2種以上を使用してもよい。
【0071】
ポリイミド(A)100質量部に対する、架橋剤(B)の量は、本発明の効果の観点から、1質量部以上30質量部以下、好ましくは2質量部以上20質量部以下、好ましくは3質量部以上15質量部以下とすることができる。当該範囲であることにより、伸びがより改善される。
【0072】
[光重合開始剤(C)]
光重合開始剤(C)としては、例えば光ラジカル発生剤を用いることができる。光ラジカル発生剤としては、紫外線等の活性光線の照射によりラジカルを発生して、上述したポリイミド(A)の光重合開始剤として機能する光ラジカル発生剤を含有する。
【0073】
前記光ラジカル発生剤としては、アルキルフェノン型の開始剤、オキシムエステル型の開始剤、アシルフォスフィンオキサイド型の開始剤等が挙げられる。例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モリフォリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム))、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、2-(ジメチルアミノ)-1-(4-(4-モルホリノ)フェニル)-2-(フェニルメチル)-1-ブタノン、Irgacure Oxe01(BASFジャパン株式会社)、Irgacure Oxe02(BASFジャパン株式会社)、Irgacure Oxe03(BASFジャパン株式会社)、Irgacure Oxe04(BASFジャパン株式会社)、N-1919T(株式会社ADEKA)、NCI-730(株式会社ADEKA)、NCI-831E(株式会社ADEKA)、NCI-930(株式会社ADEKA)等を挙げることができる。これらのうちいずれか1種以上を使用できる。
これらの中でも、本発明の効果の観点、さらにより露光感度の優れた感光性樹脂組成物で構成される樹脂膜を作製する観点から、オキシムエステル型の開始剤が好ましい。
【0074】
重合開始剤(C)の添加量は、特に限定されないが、ネガ型感光性樹脂組成物の溶剤を除く不揮発成分100質量%の0.3~20質量%程度であるのが好ましく、0.5~15質量%程度であるのがより好ましく、1~10質量%程度であるのがさらに好ましい。重合開始剤(C)の添加量を前記範囲内に設定することにより、ネガ型感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層のパターニング性を高めるとともに、ネガ型感光性樹脂組成物の長期保管性を向上させることができる。
【0075】
(溶媒)
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、溶剤を含むことができる。これにより、各種の基板表面に均一な感光性樹脂膜を形成することができる。
【0076】
溶剤としては有機溶剤が好ましく用いられる。具体的には、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ラクトン系溶剤、カーボネート系溶剤などのうち1種または2種以上を用いることができる。
【0077】
溶剤の例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、乳酸エチル、メチルイソブチルカルビノール(MIBC)、ガンマブチロラクトン(GBL)、N-メチルピロリドン(NMP)、メチル-n-アミルケトン(MAK)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、シクロヘキサノン、又は、これらの混合物を挙げることができる。
溶剤の使用量は特に限定されない。例えば、不揮発成分の濃度が例えば10~70質量%、好ましくは15~60質量%となるような量で使用される。
【0078】
(界面活性剤)
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、界面活性剤をさらに含んでいてもよい。
界面活性剤としては、限定されず、具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアリールエーテル類;ポリオキシエチレンジラウレート、ポリオキシエチレンジステアレートなどのポリオキシエチレンジアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤;エフトップEF301、エフトップEF303、エフトップEF352(新秋田化成社製)、メガファックF171、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF177、メガファックF444、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF475、メガファックF482、メガファックF477(DIC社製)、フロラードFC-430、フロラードFC-431、ノベックFC4430、ノベックFC4432(スリーエムジャパン社製)、サーフロンS-381、サーフロンS-382、サーフロンS-383、サーフロンS-393、サーフロンSC-101、サーフロンSC-102、サーフロンSC-103、サーフロンSC-104、サーフロンSC-105、サーフロンSC-106、(AGCセイミケミカル社製)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤;オルガノシロキサン共重合体KP341(信越化学工業社製);(メタ)アクリル酸系共重合体ポリフローNo.57、95(共栄社化学社製)などが挙げられる。
【0079】
これらのなかでも、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。パーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤としては、上記具体例のうち、メガファックF171、メガファックF173、メガファックF444、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF475、メガファックF482、メガファックF477(DIC社製)、サーフロンS-381、サーフロンS-383、サーフロンS-393(AGCセイミケミカル社製)、ノベックFC4430及びノベックFC4432(スリーエムジャパン社製)から選択される1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0080】
また、界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤(例えばポリエーテル変性ジメチルシロキサンなど)も好ましく用いることができる。シリコーン系界面活性剤として具体的には、東レダウコーニング社のSHシリーズ、SDシリーズおよびSTシリーズ、ビックケミー・ジャパン社のBYKシリーズ、信越化学工業株式会社のKPシリーズ、日油株式会社のディスフォーム(登録商標)シリーズ、東芝シリコーン社のTSFシリーズなどを挙げることができる。
【0081】
ネガ型感光性樹脂組成物中の界面活性剤の含有量の上限値は、ネガ型感光性樹脂組成物の全体(溶媒を含む)に対して1質量%(10000ppm)以下であることが好ましく、0.5質量%(5000ppm)以下であることであることがより好ましく、0.1質量%(1000ppm)以下であることが更に好ましい。
【0082】
また、ネガ型感光性樹脂組成物中の界面活性剤の含有量の下限値は、特には無いが、界面活性剤による効果を十分に得る観点からは、例えば、ネガ型感光性樹脂組成物の全体(溶媒を含む)に対して0.001質量%(10ppm)以上である。
界面活性剤の量を適当に調整することで、他の性能を維持しつつ、塗布性や塗膜の均一性などを向上させることができる。
【0083】
(酸化防止剤)
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、酸化防止剤をさらに含んでもよい。酸化防止剤としては、フェノ-ル系酸化防止剤、リン系酸化防止剤およびチオエ-テル系酸化防止剤から選択される1種以上を使用できる。酸化防止剤は、ネガ型感光性樹脂組成物により形成される樹脂膜の酸化を抑制できる。
【0084】
フェノ-ル系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9-ビス{2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1-ジメチルエチル}2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジフェニル-4-オクタデシロキシフェノール、ステアリル(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジステアリル(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ホスホネート、チオジエチレングリコールビス〔(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、4,4'-チオビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、2-オクチルチオ-4,6-ジ(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-s-トリアジン、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチル-6-ブチルフェノール)、2,-2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ビス〔3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕グリコールエステル、4,4'-ブチリデンビス(6-t-ブチル-m-クレゾール)、2,2'-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェノール)、2,2'-エチリデンビス(4-s-ブチル-6-t-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、ビス〔2-t-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル〕テレフタレート、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,3,5-トリス〔(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル〕イソシアヌレート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、2-t-ブチル-4-メチル-6-(2-アクリロイルオキシ-3-t-ブチル-5-メチルベンジル)フェノール、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4-8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン-ビス〔β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコ-ルビス〔β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕、1,1'-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2'-メチレンビス(6-(1-メチルシクロヘキシル)-4-メチルフェノール)、4,4'-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス(2-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニルプロピオニロキシ)1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、4,4'-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4'-ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)サルファイド、4,4'-チオビス(6-t-ブチル-2-メチルフェノール)、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-t-アミルヒドロキノン、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2,4-ジメチル-6-(1-メチルシクロヘキシル、スチレネイティッドフェノール、2,4-ビス((オクチルチオ)メチル)-5-メチルフェノール、などが挙げられる。
【0085】
リン系酸化防止剤としては、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニルホスファイト)、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メチルフェニル)-4,4'-ビフェニレンジホスホナイト、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート-ジエチルエステル、ビス-(2,6-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ミックスドモノandジ-ノニルフェニルホスファイト)、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシカルボニルエチル-フェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-オクタデシルオキシカルボニルエチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
【0086】
チオエ-テル系酸化防止剤としては、ジラウリル-3,3'-チオジプロピオネート、ビス(2-メチル-4-(3-n-ドデシル)チオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル)スルフィド、ジステアリル-3,3'-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-ラウリル)チオプロピオネートなどが挙げられる。
【0087】
(密着助剤)
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、密着助剤をさらに含んでもよい。
密着助剤としては、例えば、アミノシラン、エポキシシラン、(メタ)アクリルシラン、メルカプトシラン、ビニルシラン、ウレイドシラン、酸無水物官能型シラン、スルフィドシラン等のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、エポキシシラン(すなわち、1分子中に、エポキシ部位と、加水分解によりシラノール基を発生する基の両方を含む化合物)または酸無水物官能型シラン(すなわち、1分子中に、酸無水物基と、加水分解によりシラノール基を発生する基の両方を含む化合物)が好ましい。
【0088】
アミノシランとしては、例えば、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、またはN-フェニル-γ-アミノ-プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0089】
エポキシシランとしては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、またはβ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシジルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0090】
アクリルシランとしては、例えば、γ-(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ-(メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、またはγ-(メタクリロキシプロピル)メチルジエトキシシラン等が挙げられる。
メルカプトシランとしては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0091】
ビニルシランとしては、例えば、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、またはビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ウレイドシランとしては、例えば、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0092】
酸無水物官能型シランをとしては、例えば、信越化学工業社製の、商品名X-12-967C(化合物名:3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物)等が挙げられる。
【0093】
スルフィドシランとしては、例えば、ビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、またはビス(3-(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド等が挙げられる。
密着助剤の添加量は、特に限定されないが、ネガ型感光性樹脂組成物の固形分全体の0.1~5質量%、好ましくは0.5~3質量%である。
【0094】
(ネガ型感光性樹脂組成物の調製)
本実施形態におけるネガ型感光性樹脂組成物を調製する方法は限定されず、ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる成分に応じて、公知の方法を用いることができる。
例えば、上記各成分を、溶媒に混合して溶解することにより調製することができる。
【0095】
(ネガ型感光性樹脂組成物)
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、該ネガ型感光性樹脂組成物をAl、Cuといった金属を備える面に対して塗工し、次いで、プリベークすることで乾燥させ樹脂膜を形成し、次いで、露光及び現像することで所望の形状に樹脂膜をパターニングし、次いで、樹脂膜を熱処理することで硬化させ硬化膜を形成することで使用される。
【0096】
なお、上記永久膜を作製する場合、プリベークの条件としては、例えば、温度90℃以上130℃以下で、30秒間以上1時間以下の熱処理とすることができる。また、熱処理の条件としては、例えば、温度150℃以上250℃以下で、30分間以上10時間以下の熱処理とすることができ、好ましくは170℃程度で1~6時間熱処理することができる。
【0097】
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物から得られるフィルムは、テンシロン試験機による引張試験により測定された伸び率が、最大値15~200%、好ましくは20~150%であり、平均値10~150%、好ましくは15~120%である。
また、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、耐加水分解性に優れたポリイミド(A)(ネガ型感光性ポリマー)を含むことから、温度130℃、相対湿度85%RHの条件で、96時間、HAST試験(不飽和加圧蒸気試験)を行った後においても、下記式で表される伸び率(最大値、平均値)の低下率が20%以下、好ましくは15%以下、さらに好ましくは12%以下である。
[(試験前の伸び率-試験後の伸び率)/試験前の伸び率)]×100
【0098】
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は低温硬化性に優れる。
例えば、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を170℃で4時間硬化させて得られた硬化物は、ガラス転移温度(Tg)が200℃以上、好ましくは210℃以上、さらに好ましくは220℃以上とすることができる。
【0099】
さらに、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を170℃で4時間硬化させて得られた硬化物は、30℃における貯蔵弾性率E’が2.0GPa以上、好ましくは2.5GPa以上、さらに好ましくは3.0GPa以上とすることができる。さらに、200℃における貯蔵弾性率E’が0.5GPa以上、好ましくは0.7GPa以上、さらに好ましくは0.8GPa以上とすることができる。
【0100】
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物の粘度は、所望の樹脂膜の厚みに応じて適宜設定することができる。ネガ型感光性樹脂組成物の粘度の調整は、溶媒を添加することでできる。
【0101】
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物から得られるフィルム等の硬化物は耐薬品性に優れる。
具体的には、フィルムをジメチルスルホキシド99質量%未満と水酸化テトラメチルアンモニウム2質量%未満との溶液に40℃で10分間浸漬し、その後イソプロピルアルコールで十分洗浄後風乾し、処理後の膜厚を測定する。処理後の膜厚と処理前の膜厚の膜厚変化率を下記式より算出し、フィルムの減少率として評価する。
式:フィルムの減少率(%){(浸漬後の膜厚-浸漬前の膜厚)/浸漬前の膜厚×100(%)}
【0102】
膜厚変化率は、40%以下であるのが好ましく、30%以下であるのがより好ましい。これにより、硬化膜がジメチルスルホキシドに浸される工程に供された場合でも、膜厚がほとんど減少しない。このため、かかる工程に供された後でも機能を維持し得る硬化膜が得られる。
【0103】
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は硬化収縮が抑制されており、シリコンウェハ表面に乾燥後の膜厚が10μmになるようにスピンコートし、120℃3分間のプリベーク後、高圧水銀灯にて600mJ/cm2の露光を行い、その後、窒素雰囲気下で170℃120分間熱処理を行ってフィルムを調製した場合において、前記プリベーク後のフィルム膜厚を膜厚A、前記熱処理後のフィルム膜厚を膜厚Bとし、下記式から算出される硬化収縮率を好ましくは12%以下、より好ましくは10%以下とすることができる。
式:硬化収縮率[%]={(膜厚A-膜厚B)/膜厚A}x100
【0104】
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は耐熱性が高く、得られるフィルムは、熱重量示差熱同時測定により測定した重量減少温度(Td5)が、200℃以上、好ましくは300℃以上とすることができる。
【0105】
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物からなるフィルムは、硬化収縮が抑制されており、線熱膨張率(CTE)は200ppm/℃以下、好ましくは100ppm/℃以下とすることができる。
【0106】
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物からなるフィルムは、機械的強度に優れており、25℃での弾性率は、1.0~5.0GPa、好ましくは1.5~3.0GPaとすることができる。
【0107】
(用途)
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、永久膜、レジストなどの半導体装置用の樹脂膜を形成するために用いられる。これらの中でも、プリベーク後のネガ型感光性樹脂組成物及びAlパッドの密着性向上と、現像時のネガ型感光性樹脂組成物の残渣の発生の抑制とをバランスよく発現する観点、熱処理後のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜と、金属との密着性を向上する観点、加えて、熱処理後のネガ型感光性樹脂組成物の耐薬品性を向上する観点から、永久膜を用いる用途に用いられることが好ましい。
【0108】
なお、本実施形態において、樹脂膜は、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を含む。すなわち、本実施形態にかかる樹脂膜とは、ネガ型感光性樹脂組成物を硬化させてなるものである。
【0109】
上記永久膜は、ネガ型感光性樹脂組成物に対してプリベーク、露光及び現像を行い、所望の形状にパターニングした後、熱処理することによって硬化させることにより得られた樹脂膜で構成される。永久膜は、半導体装置の保護膜、層間膜、ダム材などに用いることができる。
【0110】
上記レジストは、例えば、ネガ型感光性樹脂組成物をスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の方法で、レジストにとってマスクされる対象に塗工し、ネガ型感光性樹脂組成物から溶媒を除去することにより得られた樹脂膜で構成される。
【0111】
本実施形態に係る半導体装置の一例を
図1に示す。
本実施形態に係る半導体装置100は、上記樹脂膜を備える半導体装置とすることができる。具体的には、半導体装置100のうち、パッシベーション膜32、絶縁層42および絶縁層44からなる群の1つ以上を、本実施形態の硬化物を含む樹脂膜とすることができる。ここで、樹脂膜は、上述した永久膜であることが好ましい。
【0112】
半導体装置100は、たとえば半導体チップである。この場合、たとえば半導体装置100を、バンプ52を介して配線基板上に搭載することにより半導体パッケージが得られる。
【0113】
半導体装置100は、トランジスタ等の半導体素子が設けられた半導体基板と、半導体基板上に設けられた多層配線層(図示せず。)と、を備えている。多層配線層のうち最上層には、層間絶縁膜30と、層間絶縁膜30上に設けられた最上層配線34が設けられている。最上層配線34は、たとえば、アルミニウムAlにより構成される。また、層間絶縁膜30上および最上層配線34上には、パッシベーション膜32が設けられている。パッシベーション膜32の一部には、最上層配線34が露出する開口が設けられている。
【0114】
パッシベーション膜32上には、再配線層40が設けられている。再配線層40は、パッシベーション膜32上に設けられた絶縁層42と、絶縁層42上に設けられた再配線46と、絶縁層42上および再配線46上に設けられた絶縁層44と、を有する。絶縁層42には、最上層配線34に接続する開口が形成されている。再配線46は、絶縁層42上および絶縁層42に設けられた開口内に形成され、最上層配線34に接続されている。絶縁層44には、再配線46に接続する開口が設けられている。
【0115】
絶縁層44に設けられた開口内には、たとえばUBM(Under Bump Metallurgy)層50を介してバンプ52が形成される。半導体装置100は、たとえばバンプ52を介して配線基板等に接続される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
【実施例0116】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例においては以下の化合物を用いた。
【0117】
下記式で示される、1-(4-アミノフェニル)-2,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-1H-インデン-5-アミン(以下、TMDAとも示す)
【化16】
【0118】
下記式で示される、4,4'-ジアミノ-2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(以下、TFMBとも示す)
【化17】
【0119】
下記式で示される、4,4'-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビス[(4-アミノフェノキシ)ベンゼン](以下、HFBAPPとも示す)
【化18】
【0120】
下記式で示される、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BAPAとも示す)
【化19】
【0121】
下記式で示される、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(以下、BAFAとも示す)
【化20】
【0122】
下記式で示される、4-[4-(1,3-ジオキソイソベンゾフラン-5-イルカルボニロキシ)-2,3,5-トリメチルフェニル]-2,3,6-トリメチルフェニル 1,3-ジオキソイソベンゾフラン-5-カルボキシレート(以下、TMPBP-TMEとも示す)
【化21】
【0123】
[実施例1]
はじめに、撹拌機および冷却管を備えた適切なサイズの反応容器に、TMDA 3.54g(13.7mmol)と、BAPA 3.65g(13.7mmol)と、TMPBP-TME 20.17g(32.6mmol)とを入れた。その後、反応容器に、さらにGBL 73.87gを加えた。
窒素を10分間通気した後、撹拌しつつ温度60℃まで上げ、1.5時間反応させた。その後、さらに180℃で3時間反応させることで、ビスアミノフェノールと酸無水物を重合させ、重合溶液を作製した。
ポリマーをGPC測定したところ、重量平均分子量Mwは15,800、多分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は1.73であった。
次いで、得られたポリイミド溶液全量(水酸基換算27.4mmol)に、2-イソシアナトエチルアクリレート(以下AOIとも示す、昭和電工社製)7.73g(54.8mmol)と、γ-ブチルラクトン(GBL)23.49gを入れた。その後、撹拌しつつ温度120℃まで上げ、6時間反応させた。
得られた反応溶液を、テトラヒドロフランで希釈して希釈液を作製し、次いで、希釈液をメタノールに滴下することで、白色固体を析出させた。得られた白色固体を回収し、温度40℃で真空乾燥することにより、ポリマー23.29gを得た。
ポリマーをGPC測定したところ、重量平均分子量Mwは17,200、多分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は1.78であった。
また、1H-NMR測定を行ったところ、芳香族領域(6.8ppm~8.9ppm)にプロトン数に対応した面積比でピークを確認した。
また、芳香族領域(6.8ppm~8.9ppm)と、アルケン領域(5.8ppm~6.5ppm)の面積比から、架橋基の導入率は100%であった。
得られたポリマーは、その一部に下記式で表される繰り返し単位が含まれていた。
【0124】
【0125】
[比較例1~2]
比較例1~2について、表1中に記載の条件以外は、実施例1と同様の手法で合成を行った。得られたMw,Mw/Mn,架橋基導入率については表中に記載した。
【0126】
[有機溶媒に対する溶解性]
実施例1、比較例1,2で得られたネガ型感光性ポリマーのγ-ブチルラクトン(GBL)に対する溶解性を以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
(溶解性の評価基準)
○:ポリマーが5質量%以上溶解
△:ポリマーが1~5質量%溶解
×:ポリマー溶解が1質量%未満
【0127】
[耐加水分解性]
以下の条件で、実施例および比較例で得られたネガ型感光性ポリマーの重量平均分子量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
(条件(トリエチルアミン無添加))
【0128】
ネガ型感光性ポリマー100質量部に、γ-ブチロラクトン400質量部、4-メチルテトラヒドロピラン200質量部、および水50質量部を加え、100℃で6時間攪拌した場合において、下記式で算出した。
式:[(試験前の重量平均分子量-試験後の重量平均分子量)/試験前の重量平均分子量]×100
(条件(トリエチルアミン添加))
【0129】
ネガ型感光性ポリマー100質量部に、トリエチルアミン10質量部、γ-ブチロラクトン400質量部、4-メチルテトラヒドロピラン200質量部、および水50質量部を加え、100℃で6時間攪拌した場合において、下記式で算出した。
式:[(試験前の重量平均分子量-試験後の重量平均分子量)/試験前の重量平均分子量]×100
【0130】
【0131】
表1に示すように、実施例で得られた本発明のネガ型感光性ポリマーは有機溶剤への溶解性に優れ、加水分解が抑制されていることから伸び率の低下が少なく機械的強度の低下が抑制されていると推察された。