(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041569
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】遠心力を応用した推進装置
(51)【国際特許分類】
F03G 3/00 20060101AFI20230316BHJP
F03G 3/08 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
F03G3/00 D
F03G3/08 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021167730
(22)【出願日】2021-09-13
(71)【出願人】
【識別番号】521449289
【氏名又は名称】岡部 時彦
(72)【発明者】
【氏名】岡部 時彦
(57)【要約】
【課題】車輪やスクリュー・プロペラ等の回転力を推進力に変える推進装置においては、必ずその外界にそれぞれに対応した作用の対象物が存在していなければならなかった。従って、作用の対象物が存在していない宇宙空間の真空中では、この種の推進装置では推進力を得る事が出来なかった。本発明は、この種の推進装置の持つ欠点を除き、その外界における制約を受けずに推進力を得る事を目的とした推進装置である。
【解決手段】回転運動をしている物体に生じる遠心力を特定の方向に大きく作用するように機械構造を有し、この遠心力の差を利用して推進力を得るようにしたものである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転運動をしている重金属ブロック(5)に生じる遠心力が、特定の方向に大きく作用するように機械構造を有し、それぞれに回転力を与えるモーター(8)を同一直線上に配し、それぞれのモーター(8)の固定子側にはギャボックス(9)が固定され、同モーター(8)の回転軸と一体的に同方向に回転するようにされており、その遠心力の働く方向の大きさの差により、推進力が生じるようにした、遠心力を応用した推進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転力を推進力に変える推進装置に関するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
従来、この種の推進装置においては、次に説明するように、その外界に作用の対象物が存在していない場所では推進力を得ることが出来ない欠点があった。例えば、鉄道車両や自動車等の車輪においては、レールや路面等が存在していない場所では作用・反作用の関係が成り立たず、推進力を得ることができなかった。船舶や航空機等のスクリューやプロペラ等においても、その周囲に水や空気等が存在していない場所では同様であった。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、回転運動をしている物体に生じる遠心力を特定の方向に大きく加わるように機械構造を有し、その方向に推進力を生じさせるようにしたものである。
【発明の効果】
【0004】
このように、この種の推進装置においては、その外界における条件下でなければ推進力を得ることができなかった。従って作用の対象物が存在していない宇宙空間の真空中ではロケット・エンジン以外では推進力を得ることができなかった。本発明は、この種の推進装置の持つ欠点をなくし、宇宙空間の真空中でも推進力を得ることができるようにしたもので、きわめて利用範囲の広い推進装置である。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1・
図2で示されているように、モーター8の固定子に取り付けられているカップリングに固定されている回転軸と、同固定子の反対側に固定されているギャボックス9の回転軸が固定板1の軸受によって支えられている。両回転軸にはそれぞれ回転板3が固定されており、各回転板3ごとに二ヶ所に方形状の金枠6が取り付けられており、この枠内に重金属ブロック5の片側に固定してその末端にローラー7を取り付けてある回転板4がはめ込まれており、この枠内をスムーズにスライドできるようになっている。
次に、
図3に従ってモーター8の固定子に固定して取り付けられているギャボックス9について説明する。モーター8の回転子の回転軸は軸受Fによって支えられており、歯車Aは、この回転軸に固定されている。次に、歯車Bは歯車Aに噛み合うように回転軸に固定されており、軸受Fによって支えられている。次に歯車Cと歯車Dは同じ回転軸に固定されており、軸受Fに代って支えられている。次に歯車Dと歯車Eは噛み合うように歯車Eは回転軸に固定されており、軸受Fによって支えられている。このように、歯車Aがモーター8の回転子により右回りに矢印の回転力を与えられると、その反作用によって、モーター8の固定子に取り付けられているカップリングに固定されている回転軸は左回りに矢印の出力を得る。また、歯車Aに噛み合っている歯車Bは、左回りに矢印の回転力を与えられ、その歯車Bと噛み合っている歯車Cと同回転軸に固定されている歯車Dは右回りに矢印の回転力を与えられ、その歯車Dと噛み合っている歯車Eは、固定されている回転軸の軸受によって支えられており、左回りに矢印の出力を得る。
次に、
図4は
図1・
図2で示されている図を視覚的に理解し易いように、位置を90度右回りにずらして、固定板1に設けてあるそれぞれの内壁2の形状を抜粋して、両端間の位置を縮小したものである。直線上のO点を中心に、半径20mmのoaの円が示されている。このO点を中心に、a点から右回りに180度のb点まで、1度について0.1mmの割合で半径が大きくなっており、同様に、b点からO点を中心に右回りに180度のa点までは逆に、1度について0.1mmの割合で半径が小さくなっている曲線が示されている。この曲線が内壁2の形状を示す曲線である。なお、図中に示されている半径oaの円は説明をわかり易くするための物である。また、左側の内壁2の形状を示す曲線は右側の図形と対称であるので、符号と説明は省略してある。なお、最初にoa間の大きさをどの程度にするか、また、O点を中心に、a点からの右回りに180度のb点までの1度についての半径の変化の大きさをどの割合にするかの事は、単位時間に何回転するかの角速度にもよるのでこの事は本発明の製作者側の裁量に委ねる事にする。
次に、
図5について説明する。
図1・
図2・
図3・
図4で説明されているように、モーター8に電気を流してモーター8を回転させると、固定子に取り付けられているカップリングに固定されている回転軸に固定されている回転板3内にはめ込まれている重金属ブロック5に遠心力が生じ、ローラー7を介して内壁2に作用する。これに対する負荷が、固定子の反対側に固定されているギャボックス9に取り付けられている回転軸に固定されている回転板3内にはめ込まれている重金属ブロック5に遠心力が生じ、ローラー7を介して内壁2に作用し、これに対する負荷が同じ様に反対側に作用し、相互に作用・反作用を及ぼし合い、一体的に同方向に回転する。この重金属ブロック5が生じる遠心力がローラーを介して内壁2に作用する事について
図5と
図4を併用して説明する。
図5の上図に示されている、円形の板状の一方の細長い板に、金属ブロックがはめ込まれており、一方の端にロープが取り付けられている、このロープを板状の人物が指を丸めて指から外れない様にしている。この時、円形の板に、或る一定の回転力を与えると、金属ブロックに遠心力が生じ、a点から右回りに、加速度的に半径が大きくなり、
180度のB点まで移動したとする。これに要した時間をt秒とする。この場合、この人物は、ロープを握り締めてはいないので金属ブロックからの張力は零である。次に、b点の位置が下図の同じ位置に示してある。今度は、b点から右回りに180度の上図と同じa点までは、この人物は、ロープを握り締めて、同じt秒間に、1度について同じ割合で、b点から右回りにa点まで、ロープを手操っていく。そうすると、この人物には上向きの遠心力が張力として作用する。以上、これと同じサイクルを、
図4で示した左右両端の内壁で行う事によって、横軸は対象であるので、同じ大きさの力が互いに逆方向に作用するので、その総和は等しく零である。縦軸方向は上記の通りである。なお、
図5において半径の変化の割合が加速度的になっているが、この事については、説明をわかり易くするための一例である。本発明では、半径の変化の割合は、
図4で示したものである。なお、
図5の説明とは少々異なるが、ほぼ同じような現象が生ずる。
次に
図6は、本発明の推進装置が、F記号で示した矢印の方向に推進力が生ずる図である。
最後に、モーター8の固定子の外側には絶縁を施し、その上部にスリップ-リングを取り付け、それに電流を送るブラシ等が取り付けてあるが、これを図示すると、図面が複雑になり、説明も複雑になるため省略してある。他の細部等についても一部省略してある。
【符号の説明】
【0007】
1 固定板。
2 内壁。
3 モーターの回転軸に固定してある回転板
4 重金属ブロックの片側に固定してその末端にローラーを取り付けてある回転板。
5 重金属ブロック。
6 回転板(3)に固定して取り付けてある方形状の金枠。
7 回転板(4)に固定して取り付けてあるローラー。
8 モーター。
9 ギャボックス。