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  • 特開-垂直軸型風車の回転軸下端支持構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041577
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】垂直軸型風車の回転軸下端支持構造
(51)【国際特許分類】
   F03D 13/20 20160101AFI20230316BHJP
   F03D 80/70 20160101ALI20230316BHJP
   F16C 33/06 20060101ALI20230316BHJP
   F16C 33/74 20060101ALI20230316BHJP
   F16J 15/16 20060101ALI20230316BHJP
   F16C 32/00 20060101ALI20230316BHJP
   F16C 21/00 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
F03D13/20
F03D80/70
F16C33/06
F16C33/74 Z
F16J15/16 B
F16C32/00 C
F16C21/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189299
(22)【出願日】2021-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2021148405
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390013033
【氏名又は名称】三鷹光器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝重
【テーマコード(参考)】
3H178
3J043
3J102
3J216
【Fターム(参考)】
3H178AA16
3H178AA22
3H178AA43
3H178BB31
3H178BB73
3H178CC22
3H178DD67Z
3J043AA16
3J043CA20
3J102AA07
3J102AA10
3J102BA03
3J102BA17
3J102BA18
3J102CA05
3J102CA09
3J102CA40
3J102FA03
3J102GA13
3J102GA20
3J216AA05
3J216AA13
3J216AB17
3J216AB30
3J216AB48
3J216BA01
3J216CA01
3J216CA05
3J216CC70
(57)【要約】
【課題】プロペラを設けずにスラスト軸受に代えてラジアル軸受で垂直回転軸の下端を支持できる構造を提供する。
【解決手段】垂直回転軸3の下端3bに高剛性のボール10を取付け、そのボール10を架台2の下部2bに設けられた高剛性の受部9に当接させているため、垂直回転軸3の下端3bと受部9との当接が点接触となり回転抵抗が大幅に低減する。そのため垂直回転軸3の下端3bにはラジアル軸受11を設けるだけで済み、空気抵抗となるプロペラや、大きな回転抵抗となるスラスト軸受を用いる必要がなくなる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直回転軸の上下端を架台の上部及び下部に対して回転自在に支持し、該垂直回転軸の周囲に揚力ブレードを取付けた構造で、
前記垂直回転軸の下端に高剛性のボールを取付け、架台の下部に該ボールと当接自在な表面を有する高剛性の受部を設け、垂直回転軸の下端がラジアル軸受で架台に対して支持されていることを特徴とする垂直軸型風車の回転軸下端支持構造。
【請求項2】
架台の下部に凹部を有するブロックが設けられ、該凹部の底面に受部が設けられ、該凹部の上側がラジアル軸受により閉塞されていることを特徴とする請求項1記載の垂直軸型風車の回転軸下端支持構造。
【請求項3】
ボールが垂直回転軸の下端と一体形成され、下端全体が高剛性金属により形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の垂直軸型風車の回転軸下端支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は垂直軸型風車の回転軸下端支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電用の風車の形式としては、揚力式の垂直軸風車としてダリウス型風車やジャイロミル型風車などがある。垂直回転軸の周囲に揚力ブレードを取付けた構造で、垂直回転軸の上端と下端をそれぞれベアリングを介して回転自在に支持している。そして揚力ブレードが起動に必要な風力を受けた際に、その揚力ブレードに働く揚力の回転方向成分を回転力として回転を継続する。垂直軸型風車は揚力ブレード部分が風速を超えるスピードで高回転するため、エネルギー変換効率が良いという利点がある。
【0003】
垂直軸型風車は全ての重量が垂直回転軸の下端に加わるため、垂直回転軸の下端にはその荷重を受け止めるためにスラスト軸受が用いられる。
【0004】
但しスラスト軸受は回転抵抗が大きいため、スラスト軸受を省略し、その代わりに、垂直回転軸の上端に垂直回転軸と一体的に回転するプロペラを設けた例が知られている。プロペラの回転により上向きの揚力を発生させ、その上向きの揚力で全体の重量を軽減させ、回転抵抗の小さいラジアル軸受で垂直回転軸の下端を支持する構造である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-37804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような関連技術にあっては、風車の全体荷重を軽減するために垂直回転軸の上端にプロペラを設けているため、荷重軽減は図れるものの、プロペラによる空気抵抗が増すため、風車としての本来の回転数が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、プロペラを設けずにスラスト軸受に代えてラジアル軸受で垂直回転軸の下端を支持できる構造の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の技術的側面によれば、垂直回転軸の上下端を架台の上部及び下部に対して回転自在に支持し、該垂直回転軸の周囲に揚力ブレードを取付けた構造で、前記垂直回転軸の下端に高剛性のボールを取付け、架台の下部に該ボールと当接自在な表面を有する高剛性の受部を設け、垂直回転軸の下端がラジアル軸受で架台に対して支持されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の技術的側面によれば、架台の下部に凹部を有するブロックが設けられ、該凹部の底面に受部が設けられ、該凹部の上側がラジアル軸受により閉塞されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の技術的側面によれば、ボールが垂直回転軸の下端と一体形成され、下端全体が高剛性金属により形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の技術的側面によれば、垂直回転軸の下端に高剛性のボールを取付け、そのボールを架台の下部に設けられた高剛性の受部に当接させているため、垂直回転軸の下端と受部との当接が点接触となり回転抵抗が大幅に低減する。そのため垂直回転軸の下端にはラジアル軸受を設けるだけで済み、空気抵抗となるプロペラや、大きな回転抵抗となるスラスト軸受を用いる必要がなくなる。
【0012】
本発明の第2の技術的側面によれば、垂直回転軸の下端のボールと受部との当接部が、架台の下部に設けられたブロックの凹部内に位置し、その凹部がラジアル軸受により閉塞されるため、ボールと受部との当接部に埃や汚れなどが侵入するおそれがない。そのためボール及び受部の耐久性が向上する。
【0013】
本発明の第3の技術的側面によれば、ボールが垂直回転軸の下端と一体形成され、下端全体が高剛性金属により形成されているため、ボールも含めて下端全体の剛性が向上し、垂直回転軸の支持がより確実になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態の架台に収納された垂直軸型風車の全体図。
図2】垂直軸型風車の全体図。
図3】垂直軸型風車の平面図。
図4図3中矢示SA-SA線に沿う断面図。
図5】垂直回転軸下端の拡大断面図。
図6】垂直回転軸下端の拡大斜視図。
図7】第2実施形態の垂直回転軸下端を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1図6は本発明の第1実施形態を示す図である。
【0016】
本実施形態では、垂直軸型風車としてジャイロミル型風車1を例にして説明する。ジャイロミル型風車1は長方形をした架台2の内部に収納されている。ジャイロミル型風車1は中心に垂直回転軸3を有し、その上端3aと下端3bが架台2の上部2aと下部2bに回転自在に支持されている。垂直回転軸3の上端3a付近には回転力を取り出して図示せぬ発電機に伝えるためのプーリー4が設けられている。
【0017】
垂直回転軸3の上下には、垂直回転軸3を中心に垂直回転軸3と一体的に回転する回転フレーム5が固定されている。上下回転フレーム5間の等角度間隔位置には4枚の揚力ブレード6が取付けられている。揚力ブレード6は風車効率を最大にする最適なピッチ角(回転方向接線に対する角度)で固定されている。揚力ブレード6に風Fを受けることにより、揚力の回転方向成分が生じ、この揚力の回転方向成分により回転フレーム5はR方向へ回転を継続するようになっている。
【0018】
次に垂直回転軸3の上端3aと下端3bの架台2に対する支持構造を説明する。垂直回転軸3の上端3aには全体の荷重が加わらないため、その上端3aは回転姿勢を維持するためのラジアル軸受7で支持されている。
【0019】
架台2の下部2bにおける垂直回転軸3の下端3bに対応する部位には金属製のブロック12が固定されている。このブロック12の中央には水平断面円形の凹部8が形成されている。そして凹部8の底面には円板状の受部9が設置されている。受部9は高剛性の高炭素クロム軸受鋼により形成されており、その上面は平坦である。
【0020】
そしてこのブロック12の凹部8内に垂直回転軸3の下端3bが位置する。下端3bの下面には半球状の凹みが設けられ、その中にボール10が固定されている。従ってボール10はその半分だけが下端3bから突出した状態となっている。このボール10も受部9と同じ高剛性の金属で形成されている。
【0021】
垂直回転軸3の下端3bはラジアル軸受11を通過し、そのボール10を受部9に当接させている。凹部8はラジアル軸受11により上側が塞がれた状態となり、ボール10と受部9はその閉塞された凹部8に位置する。ボール10と受部9との当接により、ジャイロミル型風車1の荷重が支えられた状態となる。
【0022】
この実施形態によれば、垂直回転軸3の下端3bに高剛性のボール10を設け、そのボール10をブロック12内の受部9に当接させているため、ジャイロミル型風車1の荷重を垂直回転軸3の下端3bで受け止める構造でありながら、ボール10と受部9との当接が点接触となり、回転抵抗が大幅に低減する。そのため垂直回転軸3の下端3bにはラジアル軸受11を設けるだけで済み、大きな回転抵抗となるスラスト軸受を用いる必要がなくなる。また従来のように垂直回転軸3に上向きの揚力を発生させるプロペラのようなものを設ける必要もない。
【0023】
更に、垂直回転軸3の下端3bのボール10と受部9との当接部が、ブロック12の凹部8内に位置し、その凹部8がラジアル軸受11により閉塞されるため、ボール10と受部9との当接部に埃や汚れなどが侵入するおそれがない。そのためボール10及び受部9の耐久性が向上する。
【0024】
図7は、本発明の第2実施形態を示す図である。本実施形態は、前記第1実施形態と同様の構成要素を備えている。よって、それらと同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0025】
この実施形態では、粉末冶金法により、ボール13が垂直回転軸14の下端14bと一体形成され、下端14b全体が超硬合金により形成されている。受部15も同様に超硬合金により形成されている。
【0026】
この実施形態によれば、ボール13が垂直回転軸14の下端14bと一体形成され、下端14b全体が超硬合金により形成されているため、ボール13も含めて下端14b全体の剛性が向上し、垂直回転軸14の支持がより確実になる。
【符号の説明】
【0027】
1 ジャイロミル型風車
2 架台
2a 上部
3b 下部
3、14 垂直回転軸
3a 上端
3b、14b 下端
6 揚力ブレード
8 凹部
9、15 受部
10、13 ボール
11 ラジアル軸受
12 ブロック
F 風
R 回転方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7