(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041602
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】量子ドット複合材、光学フィルム及びバックライトモジュール
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20230316BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20230316BHJP
F21V 9/38 20180101ALI20230316BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20230316BHJP
C09K 11/02 20060101ALI20230316BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20230316BHJP
C09K 11/54 20060101ALI20230316BHJP
C08F 220/20 20060101ALI20230316BHJP
C08F 220/12 20060101ALI20230316BHJP
C08F 222/26 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
G02B5/20
F21S2/00 431
F21V9/38
F21V9/32
C09K11/02 Z
C09K11/08 G
C09K11/54
C09K11/08 J
C08F220/20
C08F220/12
C08F222/26
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022078816
(22)【出願日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】110133946
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501296612
【氏名又は名称】南亞塑膠工業股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NAN YA PLASTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.201,TUNG HWA N.RD.,TAIPEI,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廖▲徳▼超
(72)【発明者】
【氏名】曹俊哲
(72)【発明者】
【氏名】廖仁▲ユウ▼
(72)【発明者】
【氏名】何國淵
【テーマコード(参考)】
2H148
3K244
4H001
4J100
【Fターム(参考)】
2H148AA05
2H148AA07
2H148AA19
3K244AA01
3K244BA01
3K244BA48
3K244CA03
3K244EA03
3K244EA12
3K244GA01
3K244GA04
3K244LA06
4H001CA01
4H001CA02
4H001CA05
4H001CC13
4H001XA48
4J100AG64R
4J100AG70R
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4J100AH06R
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4J100AL08Q
4J100AL08R
4J100AL63P
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4J100BA03P
4J100BA06P
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4J100BC07Q
4J100BC43R
4J100BC52R
4J100FA03
4J100JA43
(57)【要約】
【課題】本発明は、量子ドット複合材、光学フィルム及びバックライトモジュールを提供する。
【解決手段】量子ドット複合材は、硬化性ポリマー及び硬化性ポリマーに分散する量子ドット粒子を含む。量子ドット粒子の粒子径は、8~30nmである。量子ドット複合材の総重量を100重量%として、硬化性ポリマーは、多官能アクリルモノマー10~30重量%と、チオール化合物8~60重量%と、光開始剤1~5重量%と、を含む。チオール化合物は、量子ドット粒子の表面に自己組織化する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性ポリマー及び前記硬化性ポリマーに分散する量子ドット粒子を含む量子ドット複合材であって、
前記量子ドット粒子の粒子径は、8~30nmであり、
前記量子ドット複合材の総重量を100重量%として、前記硬化性ポリマーは、
多官能アクリルモノマー10~30重量%と、
前記量子ドット粒子の表面に自己組織化するチオール化合物8~60重量%と、
光開始剤1~5重量%と、を含むことを特徴とする量子ドット複合材。
【請求項2】
前記量子ドット粒子のそれぞれは、コア層及びシェア層を有し、前記シェア層の厚みは、2.5~12nmである、請求項1に記載の量子ドット複合材。
【請求項3】
前記シェア層は、カドミウム金属を含む、請求項2に記載の量子ドット複合材。
【請求項4】
前記量子ドット粒子のそれぞれは、前記コア層と前記シェア層との間にある合金層を更に有し、請求項2に記載の量子ドット複合材。
【請求項5】
前記量子ドット粒子は、サイズが8~20nmである赤色量子ドットと、サイズが11~30nmである緑色量子ドットとを含む、請求項1に記載の量子ドット複合材。
【請求項6】
前記量子ドット粒子は、赤色量子ドットと、緑色量子ドットとを含み、前記緑色量子ドットの添加重量は、前記赤色量子ドットの添加重量の4~10倍である、請求項1に記載の量子ドット複合材。
【請求項7】
前記量子ドット粒子の前記量子ドット複合材での含有量は、4~15重量%である、請求項1に記載の量子ドット複合材。
【請求項8】
前記チオール化合物は、3-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸プロピル、3-メルカプトプロピオン酸エチル、3-メルカプトプロピオン酸ブチル、3-メルカプトプロピオニトリル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の量子ドット複合材。
【請求項9】
前記多官能アクリルモノマーは、ペンタエリスリトールテトラアクリル酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の量子ドット複合材。
【請求項10】
単官能アクリルモノマーを更に含み、前記単官能アクリルモノマーの前記量子ドット複合材での総含有量は、2.5~65重量%であり、前記単官能アクリルモノマーは、イソボロニルアクリレート、アクリロイルモルホリン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の量子ドット複合材。
【請求項11】
アリルモノマーを更に含み、前記アリルモノマーの前記量子ドット複合材での総含有量は、5~20重量%であり、
前記アリルモノマーは、テレフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、炭酸ジアリル、シュウ酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の量子ドット複合材。
【請求項12】
散乱粒子を更に含み、前記散乱粒子の前記量子ドット複合材での含有量は、2~10重量%である、請求項1に記載の量子ドット複合材。
【請求項13】
量子ドット複合材を硬化して形成された量子ドット層と、第1ベース層と、第2ベース層と、を備え、前記量子ドット層が前記第1ベース層と前記第2ベース層との間にある、光学フィルムであって、
前記量子ドット複合材は、硬化性ポリマー及び前記硬化性ポリマーに分散する量子ドット粒子を含み、前記量子ドット粒子の粒子径は、8~30nmであり、
前記量子ドット複合材の総重量を100重量%として、前記硬化性ポリマーは、
多官能アクリルモノマー10~30重量%と、
前記量子ドット粒子の表面に自己組織化するチオール化合物8~45重量%と、
光開始剤1~5重量%と、を含むことを特徴とする光学フィルム。
【請求項14】
前記第1ベース層及び前記第2ベース層は、ポリエチレンテレフタレートで形成されると共に、前記第1ベース層及び前記第2ベース層の厚みはいずれも、20~125μmである、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項15】
前記量子ドット層の厚みは、20~350μmである、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項16】
前記第1ベース層及び前記第2ベース層のそれぞれに設置された保護層を更に備える、請求項13に記載の光学フィルム。
【請求項17】
光学フィルムと、光学フィルムに投射される光束を生成するための前記光学フィルムに隣接する発光ユニットと、第1ライトガイドユニットと、第2ライトガイドユニットと、を備える、バックライトモジュールであって、
前記光学フィルムは、量子ドット複合材を硬化して形成され且つ第1表面及び第2表面を有する量子ドット層と、前記量子ドット層の前記第1表面に接する第1ベース層と、前記量子ドット層の前記第2表面に接する第2ベース層と、を備え、
前記量子ドット複合材は、硬化性ポリマー及び前記硬化性ポリマーに分散する量子ドット粒子を含み、
量子ドット粒子の粒子径は、8~30nmであり、
前記量子ドット複合材の総重量を100重量%として、前記硬化性ポリマーは、多官能アクリルモノマー10~30重量%と、前記量子ドット粒子の表面に自己組織化するチオール化合物8~45重量%と、光開始剤1~5重量%と、を含み、
前記光束の輝度値は、10000cd/m2以上であり、
前記第1ライトガイドユニットは、前記光学フィルムの前記第1ベース層に接し、
前記第2ライトガイドユニットは、前記光学フィルムの前記第2ベース層に接する、ことを特徴等するバックライトモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、量子ドット複合材、光学フィルム及びバックライトモジュールに関し、特に、青色光の変換に用いるディスプレイに用いられる、量子ドット複合材、光学フィルム及びバックライトモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイの表示品質の要求が高まるにつれ、高彩度と低厚みの両方を備えたディスプレイの開発が徐々に主流となっている。有機発光ダイオード(OLED)と比較して、量子ドットは発光効率が比較的に高く、色域が広く、色純度が高いため、関連する技術の分野において、視聴者により良い視聴体験を提供するために、技術者は、量子ドット材料を用いて光学フィルムを製造し、且つ光学フィルムをディスプレイバックライトとして用いる研究を行っている。
【0003】
光学フィルムがバックライトモジュールに応用した後に、バックライトからの光束は、光学フィルムにおける量子ドットを励起して、所望の色を有する光束が生じる。しかしながら、バックライトモジュールのエネルギーが強すぎると、量子ドットが過度に励起され、オージェ効果(Auger effect)によって量子ドットの飽和クエンチング(saturated quench)を起こす。最終的に、バックライトモジュールで生じた単光がだんだんずらす。例えば、バックライトとして青色光を用いると、量子ドットが飽和クエンチングした後に、バックライトモジュールで生じた単光はだんだん青くなる。
【0004】
従いまして、従来の量子ドットを用いたバックライトモジュールにおいて、輝度値(luminance)が3000ニット(cd/m2)であるバックライトを用いることが多く、それによって、蛍光粉末の光脱色(photoblenching)を回避することで、バックライトモジュールの耐用年数を維持する。
【0005】
量子ドットのクエンチングを回避するために、従来の技術において、量子ドットがフォトニック結晶(optical structure)に分散する技術を有し、フォトニック結晶は、一部の波長をバリアして、バックライトモジュールの耐候性を向上する。このように、光学フィルムを高強度の青色光のバックライトモジュールに応用することが可能となる。
【0006】
しかしながら、量子ドットをフォトニック結晶に分散させる技術は、高い生産コストを有して、大量生産にとって不利である。故に、成分の配合を改良することによって、量子ドット材料の耐候性を向上して、上記の欠点を克服することは、この業界にとって解決しようとする重要な課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする技術の課題は、従来技術の不足に対し、量子ドット複合材、光学フィルム及びバックライトモジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、量子ドット複合材を提供することである。量子ドット複合材は、硬化性ポリマー及び硬化性ポリマーに分散する量子ドット粒子を含む。量子ドット粒子の粒子径は、8~30nmである。量子ドット複合材の総重量を100重量%として、硬化性ポリマーは、多官能アクリルモノマー10~30重量%と、チオール化合物8~60重量%と、光開始剤1~5重量%と、を含む。チオール化合物は、量子ドット粒子の表面に自己組織化する。
【0009】
一つの実施形態において、量子ドット粒子のそれぞれは、コア層及びシェア層を有し、シェア層の厚みは、2.5~12nmである。
【0010】
一つの実施形態において、シェア層は、カドミウム金属を含む。
【0011】
一つの実施形態において、量子ドット粒子のそれぞれは、コア層とシェア層との間にある合金層を更に有する。
【0012】
一つの実施形態において、量子ドット粒子は、サイズが8~20nmである赤色量子ドットと、サイズが11~30nmである緑色量子ドットとを含む。
【0013】
一つの実施形態において、前記量子ドット粒子は、赤色量子ドットと、緑色量子ドットとを含み、緑色量子ドットの添加重量は、赤色量子ドットの添加重量の4~10倍である。
【0014】
一つ実施形態において、量子ドット粒子の量子ドット複合材での含有量は、4~15重量%である。
【0015】
一つの実施形態において、チオール化合物は、3-メルカプトプロピオン酸(3-mercaptopropionic acid)、3-メルカプトプロピオン酸プロピル(propyl 3-mercaptopropanoate)、3-メルカプトプロピオン酸エチル(ethyl 3-mercaptopropionate)、3-メルカプトプロピオン酸ブチル(butyl 3-mercaptopropanoate)、3-メルカプトプロピオニトリル(3-mercaptopropanenitrile)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0016】
一つの実施形態において、多官能アクリルモノマーは、ペンタエリスリトールテトラアクリル酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0017】
一つの実施形態において、量子ドット複合材は、単官能アクリルモノマーを更に含み、単官能アクリルモノマーの量子ドット複合材での総含有量は、2.5~65重量%であり、単官能アクリルモノマーは、イソボロニルアクリレート(isobornyl acrylate,IBOA)、アクリロイルモルホリン(acryloyl morpholine,ACMO)及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0018】
一つの実施形態において、量子ドット複合材は、アリルモノマーを更に含み、アリルモノマーの量子ドット複合材での総含有量は、5~20重量%であり、アリルモノマーは、テレフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、炭酸ジアリル、シュウ酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0019】
一つの実施形態において、量子ドット複合材は、散乱粒子を更に含み、散乱粒子の量子ドット複合材での含有量は、2~10重量%である。
【0020】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、量子ドット複合材を硬化して形成された量子ドット層と、第1ベース層と、第2ベース層と、を備え、量子ドット層が第1ベース層と第2ベース層との間にある、光学フィルムを提供する。量子ドット複合材は、硬化性ポリマー及び硬化性ポリマーに分散する量子ドット粒子を含む。量子ドット複合材は、硬化性ポリマー及び硬化性ポリマーに分散する量子ドット粒子を含む。量子ドット粒子の粒子径は、8~30nmである。量子ドット複合材の総重量を100重量%として、硬化性ポリマーは、多官能アクリルモノマー10~30重量%と、チオール化合物8~45重量%と、光開始剤1~5重量%と、を含む。チオール化合物は、量子ドット粒子の表面に自己組織化する。
【0021】
一つの実施形態において、第1ベース層及び第2ベース層は、ポリエチレンテレフタレートで形成されると共に、第1ベース層及び第2ベース層の厚みはいずれも、20~125μmである。
【0022】
一つの実施形態において、量子ドット層の厚みは、20~350μmである。
【0023】
一つの実施形態において、第1ベース層と第2ベース層との間に設置された光学フィルムは、保護層を更に備える。
【0024】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用するもう一つの技術的手段は、光学フィルムと、光学フィルムに投射される光束を生成するための光学フィルムに隣接する発光ユニットと、第1ライトガイドユニットと、第2ライトガイドユニットと、を備える、バックライトモジュールを提供する。光学フィルムは、量子ドット複合材を硬化して形成され且つ第1表面及び第2表面を有する量子ドット層と、量子ドット層の第1表面に接する第1ベース層と、量子ドット層の第2表面に接する第2ベース層と、を備える。量子ドット複合材は、硬化性ポリマー及び硬化性ポリマーに分散する量子ドット粒子を含む。量子ドット粒子の粒子径は、8~30nmである。量子ドット複合材の総重量を100重量%として、硬化性ポリマーは、多官能アクリルモノマー10~30重量%と、チオール化合物8~45重量%と、光開始剤1~5重量%と、を含む。チオール化合物は、量子ドット粒子の表面に自己組織化する。光束の輝度値は、10000cd/m2以上である。第1ライトガイドユニットは、光学フィルムの第1ベース層に接し、第2ライトガイドユニットは、光学フィルムの第2ベース層に接する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の有利な効果として、本発明に係る量子ドット複合材、光学フィルム及びバックライトモジュールは、「量子ドット粒子の粒子径は、8~30nmである」、「チオール化合物は、量子ドット粒子の表面に自己組織化する」といった技術特徴により、量子ドット複合材の耐候性を向上すると共に、青色光の変換に用いるディスプレイに用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一つの実施形態に係る量子ドット複合材の部分断面図である。
【
図2】本発明の一つの実施形態に係る量子ドットの部分断面図である。
【
図3】本発明の一つの実施形態に係る光学フィルムの部分断面図である。
【
図4】本発明のもう一つの実施形態に係る光学フィルムの部分断面図である。
【
図5】本発明に係るバックライトモジュールの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照されたい。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0028】
以下、所定の具体的な実施態様によって「量子ドット複合材、光学フィルム及びバックライトモジュール」を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施態様によって実行または適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。また、事前に説明するように、本発明の添付図面は、簡単な模式的説明であり、実際のサイズに基づいて描かれたものではない。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容によって本発明の保護範囲を制限することはない。また、本明細書において使用される「または」という用語は、実際の状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つまたは複数の組み合わせを含むことがある。
【0029】
本発明に係る量子ドット複合材は、光学フィルム及び光学フィルムを含むバックライトモジュールの製造に用いられ、特に、青色光の変換に用いるディスプレイに応用することは好適である。本発明に係るバックライトモジュールは、良好な耐候性を有し、高強度の青色光(10000cd/m2)で量子ドットを励起しても、過度に励起して量子ドットの飽和クエンチングを起こすことはない。
【0030】
[第一実施形態]
図1に示すように、本発明に係る量子ドット複合材1は、硬化性ポリマー10及び硬化性ポリマー10に分散する量子ドット粒子11を含む。量子ドット粒子11のサイズは、8~30nmである。量子ドット粒子11は、一部の青色光をバリアして、実際に吸収された青色光を低減させることで、耐候性を向上させることができる。
【0031】
量子ドット粒子11は、一部の青色光しか吸収しないため、量子ドット粒子11の添加量を増加することにより、所望の出光効果を達成できる。具体的に説明すると、量子ドット複合材1において、量子ドット粒子11の含有量は、4~15重量%(wt%)であってもよい。一つの実施形態において、量子ドット粒子11の含有量は、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%又は14重量%であってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0032】
量子ドット粒子11は、赤色量子ドット、緑色量子ドット、青色量子ドット及びそれらの任意の組み合わせを含む。一つの具体的な実施例において、量子ドット粒子11は、赤色量子ドットと、緑色量子ドットとを含み、且つ緑色量子ドットの添加重量は、赤色量子ドットの添加重量より多い。具体的に説明すると、緑色量子ドットの添加重量は、赤色量子ドットの添加重量の4~10倍である。
【0033】
一つの具体的な実施例において、赤色量子ドット粒子のサイズは、8~20nmであり、10~18nmであることは好ましい。緑色量子ドット粒子のサイズは、11~30nmであり、13~26nmであることは好ましい。
【0034】
量子ドット粒子11は、単層構造の量子ドット、又はコアシェル構造の量子ドットであってもよい。一つの具体的な実施例において、量子ドット粒子11はコアシェル構造を有する。
図2に示すように、量子ドット粒子11は、コア層111及びコア層111を覆うシェア層112を有する。コア層111は、青色光を吸収すると共に、青色光を他の波長を有する単光に転換することができる。コア層111の直径は例えば、2~5nmである。シェア112は、一部の青色光をバリアすると共に、青色光を吸収する機能を有しない。シェア層112の厚みは例えば、2.5~12nmであり、厚いシェア層112は、量子ドットの耐候性を向上することができる。他の実施形態において、シェア層112の厚みは、2.5~12nmの間の任意の正整数であってもよく、例えば、シェア層112の厚みは、3nm、5nm、7nm、9nm又は11nmであってもよい。
【0035】
一つの具体的な実施例において、赤色量子ドット粒子のシェア層112の厚みは、2~8nmであり、2.8~6nmであることは好ましい。緑色量子ドット粒子のシェア層112の厚みは、3~12nmであり、3.5~10nmであることは好ましい。
【0036】
また、量子ドット粒子11は、合金層113を更に含んでもよい。合金層113は、コア層111とシェア層112との間に形成されると共に、コア層111とシェア層112との間にあるバッファ層として用いられる。合金層113における金属成分の半径方向に沿って外層への変化については、コア層111に含まれた金属成分からシェル層112に含まれた金属成分に変化する。合金層113の厚みは、1~3nmである。以下の説明は、量子ドット粒子11の種類が挙げられるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0037】
量子ドット粒子11のコア層111及びシェル層112はいずれも、II-VI族(Group II-VI)、II-V族(Group II-V)、III-VI族(Group III-VI)、III-V族(Group III-V)、IV-VI族(Group IV-VI)、II-IV-VI族(Group II-IV-VI)又はII-IV-V族(Group II-IV-V)複合材料であってもよい。なかでも、「族」との用語とは、周期表における族である。
【0038】
例えば、量子ドット粒子11のコア/シェルの材料として、セレン化カドミウム(CdSe)/硫化亜鉛(ZnS)、リン化インジウム(InP)/硫化亜鉛(ZnS)、セレン化鉛(PbSe)/硫化鉛(PbS)、セレン化カドミウム(CdSe)/硫化カドミウム(CdS)、テルル化カドミウム(CdTe)/硫化カドミウム(CdS)又はテルル化カドミウム(CdTe)/硫化亜鉛(ZnS)を含んでもよい。一つの好ましい実施例において、量子ドット粒子11のシェア層112は、カドミウム金属元素を含むが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0039】
一つの実施形態において、量子ドット粒子11の間の安定性を維持するために、量子ドット粒子11の表面に配位基を形成する。具体的に、配位基は、オレイン酸、アルキルホスフィン、アルキルホスフィンオキシド、アルキルアミン、アルキルカルボン酸、アルキルチオール及びアルキルホスホン酸からなる群から選択されるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0040】
量子ドット粒子11の含有量が比較的に高いため、量子ドット粒子11の硬化性ポリマー10での分散性が重要とみなされる。本発明において、硬化性ポリマー10の組成及び配合比を制御することによって、量子ドット粒子11の分散性を向上させる。
【0041】
詳しく説明すると、硬化性ポリマー10は、多官能アクリルモノマー10~30重量%と、チオール化合物8~60重量%と、単官能アクリルモノマー2.5~65重量%と、アリルモノマー5~20と、光開始剤1~5重量%と、散乱粒子2~10重量%と、を含んでもよい。
【0042】
多官能アクリルモノマーの添加により、硬化した硬化性ポリマー10の密度を向上させることができる。具体的に説明すると、多官能アクリルモノマーは、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリル酸、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びエトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートからなる群から選択される。好ましくは、多官能アクリルモノマーは、ペンタエリスリトールテトラアクリル酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はそれらの組み合わせであるが、本発明はこれに制限されるものではない。一つの実施形態において、多官能アクリルモノマーの含有量は、15wt%、20wt%又は25wt%であってもよい。
【0043】
チオール化合物の添加により、量子ドット粒子11と硬化性ポリマーとの間の相容性を向上させることができる。具体的に説明すると、チオール化合物と量子ドット粒子11とを混合した後に、チオール化合物が量子ドット粒子11の表面に付着することで、自己組織化構造を形成する。このように、量子ドット11は、より均一に硬化性ポリマー10に分散することができる。よって、チオール化合物の添加により、量子ドット粒子11の硬化性ポリマー10での分散性を向上する。
【0044】
量子ドット粒子11のシェア層112にカドミウム金属元素を含む時に、チオール化合物におけるチオール基が量子ドット粒子11と良好な結合を形成して、量子ドット粒子11の硬化性ポリマー10での分散性を向上する。一つの実施形態において、チオール化合物の含有量は、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%又は55wt%であってもよい。
【0045】
単官能アクリルモノマーの添加により、量子ドット粒子11の硬化性ポリマー10での分散性を向上することができると共に、単官能アクリルモノマーのコストは、チオール化合物のコストより低い。このように、チオール化合物及び単官能アクリルモノマーの添加量を調整することによって、材料のコストと量子ドット粒子11の分散性との間にバランスを取れる。一つの具体的な実施例において、チオール化合物及び単官能アクリルモノマーの総添加量は、45~75重量%である。
【0046】
単官能アクリルモノマーは、ジシクロペンタジエニルメタクリレート、トリエチレングリコールエチルエーテルメタクリレート、アルコキシル化アクリル酸ラウリル、イソボロニルメタクリレート、メタクリル酸ラウリル、ステアリルメタクリレート、アクリル酸ラウリル、イソボロニルアクリレート、テレフタル酸ジアリル、アクリロイルモルホリン、アクリル酸トリデシル、カプロラクトンアクリレート、アクリル酸オクチルフェノール及びアルコキシル化アクリレートからなる群から選択される。好ましくは、単官能アクリルモノマーは、イソボロニルアクリレート、アクリロイルモルホリン又はそれらの組み合わせであるが、本発明はこれに制限されるものではない。一つの実施形態において、単官能アクリルモノマーの含有量は、2.5wt%、5wt%、10wt%、15wt%、20wt%、25wt%、30wt%、35wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%又は60wt%であってもよい。
【0047】
アリルモノマーの添加により、硬化性ポリマー10の熱安定性を向上して、量子ドット粒子11が一部の青色光転換の熱エネルギーを吸収することで、硬化性ポリマー10の劣化によってフリーラジカルが生じて、量子ドットの耐候性に影響することを回避する。例えば、アリルモノマーは、テレフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、炭酸ジアリル、シュウ酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、アリルモノマーは、テレフタル酸ジアリルであるが、本発明はこれに制限されるものではない。一つの実施形態において、アリルモノマーの含有量は、10~15wt%であってもよい。
【0048】
光開始剤は、光エネルギー(例えば、紫外線)を吸収して励起されて、フリーラジカル、カチオン又はアニオンが生成されて、重合反応を起こす、という役割を果たせる。一つの実施形態において、光開始剤は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(1-hydroxycyclohexyl phenyl ketone)、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(2-hydroxy-2-methylpropiophenone)、ベンゾイルイソプロパノール(benzoyl isopropanol)、トリブロモメチルフェニルスルホン(tribromomethyl phenyl sulfone)、及びジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(diphenyl(2,4,6-trimethylbenzoyl)phosphine oxide)からなる群から選択される。好ましくは、光開始剤は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン又はそれらの組み合わせであるが、本発明はこれに制限されるものではない。一つの実施形態において、光開始剤の含有量は、2wt%、3wt%又は4wt%であってもよい。
【0049】
散乱粒子の添加により、量子ドットで生成された光線を散乱させることができ、それによって、量子ドット複合材1を光学フィルムの製造に応用する時に、光学フィルムは、均一な光線を生成することができる。説明すべきことは、散乱粒子の含有量が2重量%未満であると、量子ドット複合材1のヘイズ値が足りなくなる。散乱粒子の含有量が10重量%を超えると、量子ドット粒子11の分散性に悪影響を与える。
【0050】
散乱粒子は、サイズが0.5~20μmの微粒子であってもよいと共に、微粒子の材料は、アクリル、二酸化ケイ素、二酸化ゲルマニウム、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム(III)及びポリスチレンからなる群から選択されてもよい。
【0051】
説明すべきことは、硬化性ポリマー10は、抑制剤を更に含んでもよい。抑制剤の添加により、量子ドット複合材1の硬化時間を調整することができるため、操作性が向上する。抑制剤を添加しない場合、硬化性ポリマー10が量子ドット粒子と均一に混合する前に硬化して、品質が良好な量子ドット材料を得られないことがある。抑制剤の硬化性ポリマー10での含有量は、0.05~2重量%である。
【0052】
図3に示すように、本発明に係る光学フィルムm1は、量子ドット層1'と、第1ベース層2と、第2ベース層3と、を備える。本実施形態において、光学フィルムm1は、量子ドット層1'と、第1ベース層2と、第2ベース層3と、を備えると共に、量子ドット層1'は、第1ベース層2と第2ベース層3との間にある。換言すると、量子ドット層1'は、第1表面1a及び反対側である第2表面1bを有する。第1ベース層2は、第1表面1aに接し、第2ベース層3は、第2表面1bに接する。
【0053】
量子ドット層1'は、前記量子ドット複合材1を硬化して形成されてもよい。量子ドット複合材1の詳細な成分については、ここで重複に説明しない。詳しく説明すると、第1ベース層2に量子ドット複合材1を形成し、次に、量子ドット複合材1を第2ベース層3で覆うことにより、積層構造を形成する。一つの実施形態において、量子ドット層1'の厚みは、20~350μmである。
【0054】
次に、硬化工程を行うことにより、積層構造における量子ドット複合材1を硬化させて量子ドット層1'を形成し、量子ドット複合材1は、光硬化又は熱硬化で量子ドット層1'を形成することができる。更に説明すると、硬化工程において、積層構造に紫外光を直接に照射して、量子ドット複合材1を量子ドット層1'になるように硬化させることができる。それによって、量子ドット層1'は、硬化性ポリマー10を硬化して得たポリマー10'及びポリマー10'に分散する量子ドット粒子11を含む。
【0055】
第1ベース層2及び第2ベース層3の材料はポリエステルであってもよい。ポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリカーボネート(PC)及びポリアリレートを含み、好ましくはポリエチレンテレフタレートである。また、第1ベース層2及び第2ベース層3の厚みはそれぞれ、20~125μmである。
【0056】
図4に示すように、本発明に係るもう1つの光学フィルムm1は、量子ドット層1'と、第1ベース層2と、第2ベース層3と、第1保護層4と、第2保護層5と、を備える。量子ドット層1'は、第1ベース層2と第2ベース層3との間にある。第1保護層4は、第1ベース層2に形成される。第2保護層5は、第2ベース層3に形成される。
【0057】
量子ドット層1'、第1ベース層2及び第2ベース層3の成分及び構造は、前述と類似するため、ここでその説明を省略する。第1保護層4及び第2保護層5の設置により、光学フィルムm1の製造又は搬送による磨耗またはスクラッチを防止することができる。第1保護層4及び第2保護層5のそれぞれは、複合材で形成されてもよい。第1保護層4及び第2保護層5の厚みは、3~10μmである。
【0058】
一つに具体例において、複合材は、プロパンジオール、酢酸エチル、トルエン、ポリウレタンアクリレート、アクリロイルモルホリン、チオール化合物、レベリング剤、光開始剤及び二酸化ケイ素粉末を含む。なかでも、レベリング剤は、テトラアクリル官能基ポリジメチルシロキサン又はトリプロピレングリコールジアクリレートであってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0059】
図5に示すように、バックライトモジュールMを提供する。バックライトモジュールMは、光学フィルムm1、ライトガイドユニットm2、第1ライトガイドユニットm3、反射ユニットm4及び第2ライトガイドユニットm5を含む。
【0060】
光学フィルムm1は、
図3に示した、量子ドット層1'と、第1ベース層2と、第2ベース層3とを備え、且つ量子ドット層1'が第1ベース層2と第2ベース層3との間にある、光学フィルムm1を使用することができる。量子ドット層1'、第1ベース層2及び第2ベース層3の材料については、上記の説明と同様であるので、ここでその説明を省略する。
【0061】
光学フィルムm1に投射される光束Lを生成するための光ユニットm2は、光学フィルムm1の近くに設置されていると共に、光束Lの輝度値は、10000cd/m2以上である。光束Lは、光学フィルムm1に入射した後に、一部の光束Lは、量子ドット層1'における量子ドット粒子11を励起させて、波長が光束Lと異なる励起ビームが生成される。即ち、発光ユニットm2で生成された光束Lが量子ドット層1'を通過した後に、混合光束(光束及び励起ビームを含む)が生成される。
【0062】
第1ライトガイドユニットm3は、光学フィルムm1の第1ベース層2に接する。一つの実施形態において、第1ライトガイドユニットm3は、光学接着剤層を介して、光学フィルムm1に固定される。一つの具体的な実施例において、第1ライトガイドユニットm3は、直角台形(right trapezoid)であると共に、第1ライトガイドユニットm3における2つの直角を有する辺(leg)が光学フィルムm1に接すると共に、長い方の底辺(base)が発光ユニットm2に接する。よって、発光ユニットm2で生成された光束Lは、まず第1ライトガイドユニットm3を通過した後に、光学フィルムm1に入射する。
【0063】
反射ユニットm4は、第1ライトガイドユニットm3に接すると共に、第1ライトガイドユニットm3の他辺(leg)に接する。反射ユニットm4は、光束Lを光学フィルムm1に投射させるものである。
【0064】
第2ライトガイドユニットm5が光学フィルムm1の第2ベース層3に接することによって、混合光束を収束または散乱させる効果を達成することができる。一つの実施形態において、第2ライトガイドユニットm5は、光学接着剤層を介して、光学フィルムm1に固定される。
【0065】
説明すべきことは、前記構造はあくまでも、本発明に係る一つの実施形態のバックライトモジュールであり、第1ライトガイドユニットm3、反射ユニットm4及び第2ライトガイドユニットm5の相対的な設置関係は、上記の内容に制限されるものではない。また、第1ライトガイドユニットm3、反射ユニットm4及び第2ライトガイドユニットm5の中の一つ又は2つを選択的に省略することができる。
【0066】
本発明の量子ドット複合材1、光学フィルムm1及びバックライトモジュールMの利点を証明するために、実施例1~5及び比較例1の量子ドット複合材を配合する。表1における量子ドット複合材1、PET基材及び表2の複合材を用いて、
図3に示すような光学フィルムm1を製造した。光学フィルムm1の総透過率及びヘイズ値、量子ドット層1'及びベース層(第1ベース層2及び第2ベース層3)の厚みを、表3に示す。
【0067】
図5に示すバックライトモジュールMによると、光学フィルムm1と、発光ユニットm2と、第1ライトガイドユニットm3と、反射ユニットm4と、第2ライトガイドユニットm5と、を組み立てた後に、バックライトモジュールMに輝度値及び水と酸素の耐候性の測定を行う。測定の結果について、表4に示すとおりである。
【0068】
表1において、実施例1、2、5及び比較例1で使用された量子ドット粒子は、サイズが11nmである赤色量子ドット(コア層の直径は4nmであり、合金層の厚みは1nmであり、シェア層の厚みは2.5nmである)、及びサイズが15nmである緑色量子ドット(コア層の直径は3nmであり、合金層の厚みは2nmであり、シェア層の厚みは4nmである)を含む。実施例3及び実施例4で使用された量子ドット粒子は、サイズが17nmである赤色量子ドット(コア層の直径は4nmであり、合金層の厚みは1nmであり、シェア層の厚みは5.5nmである)、及びサイズが25nmである緑色量子ドット(コア層の直径は3nmであり、合金層の厚みは2nmであり、シェア層の厚みは9nmである)を含む。
【0069】
表4において、輝度は、輝度計(品番:SR-3ARである分光光度計)を用いて12Wのブルー光源、色座標(x=0.155,y=0.026)、主波長450nm、及び半値全幅20nmの条件で励起・生成された混合光束の輝度を測定される。耐候性テストは、バックライトモジュールが10000cd/m2のブルー光源で連続的に1000時間連続照射した後の色座標の変化を測定する。色座標x及びyの変化は、0.01未満である場合、「パス」を示す。色座標x及びyの変化は、0.01以上である場合、「パスなし」を示す。
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
表3の結果によると、本発明の光学フィルムの厚みは、100~520μmであり、光学フィルムの総透過率は、50~90%であり、光学フィルムのヘイズ値45~99%未満である。光学フィルムの厚みが100~150μmである場合、光学フィルムの総透過率は、85~90%であり、光学フィルムのヘイズ値40~60%未満である。光学フィルムの厚みが150~520μmである場合、光学フィルムの総透過率は、55~85%であり、光学フィルムのヘイズ値60~99%未満である。必要に応じて、光学フィルムの総透過率及びヘイズ値は、量子ドット層及びベース層の厚みによって調整することができる。
【0075】
表4の結果によると、本発明のバックライトモジュールは、輝度値が2000~3800cd/m2である光束を生成することができる。本発明のバックライトモジュールは、高輝度(10000cd/m2以上)ブルーライトバックライトを用いられると共に、良好な耐候性を有する。
【0076】
[実施形態による有利な効果]
本発明の有利な効果として、本発明に係る量子ドット複合材、光学フィルム及びバックライトモジュールは、「量子ドット粒子の粒子径は、8~30nmである」、「チオール化合物は、量子ドット粒子の表面に自己組織化する」といった技術特徴により、量子ドット複合材の耐候性を向上すると共に、青色光の変換に用いるディスプレイに用いられる。
【0077】
更に説明すると、本発明に係る量子ドット複合材、光学フィルム及びバックライトモジュールは、「量子ドット粒子の量子ドット複合材での含有量は、4~15重量%である」といった技術特徴により、光学フィルムの組み立てで生成された光束の輝度を向上させることができる。
【0078】
更に説明すると、本発明に係る量子ドット複合材、光学フィルム及びバックライトモジュールは、「量子ドット複合材は、単官能アクリルモノマーを更に含む」といった技術特徴により、量子ドットの量子ドット複合材での分散性を向上させることができる。
【0079】
更に説明すると、本発明に係る量子ドット複合材、光学フィルム及びバックライトモジュールは、「量子ドット粒子は、コア層及びシェア層を有し、シェア層の厚みは、2.5~12nmである」といった技術特徴により、量子ドット粒子の青色光に対する耐性を向上させることができる。
【0080】
以上に開示された内容は、ただ本発明の好ましい実行可能な実施態様であり、本発明の請求の範囲はこれに制限されない。そのため、本発明の明細書及び図面内容を利用して成される全ての等価な技術変更は、いずれも本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0081】
M…バックライトモジュール
m1…光学フィルム
1…量子ドット複合材
10…硬化性ポリマー
11…量子ドット粒子
111…コア層
112…シェア層
113…合金層
1'…量子ドット層
1a…第1表面
1b…第2表面
10'…ポリマー
2…第1ベース層
3…第2ベース層
4…第1保護層
5…第2保護層
m2…発光ユニット
m3…反射ユニット
m4…第1ライトガイドユニット
m5…第2ライトガイドユニット
L…光束