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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004164
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】カウンタークリアランス測定装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20230110BHJP
   B66B 5/12 20060101ALI20230110BHJP
   B66B 7/12 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B66B5/00 D
B66B5/12 A
B66B7/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105702
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島本 裕太
【テーマコード(参考)】
3F304
3F305
【Fターム(参考)】
3F304BA02
3F304BA11
3F304EA22
3F305BB02
3F305DA18
3F305DA21
(57)【要約】
【課題】高速エレベータまたは高層階用エレベータにおいても、カウンタークリアランスを正確に測定することを容易にするカウンタークリアランス測定装置を提供する。
【解決手段】カウンタークリアランス測定装置20は、目盛り28が形成されている棒21と、棒21に固定されている固定ゲージ30と、棒21をスライド可能な可動ゲージ40とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目盛りが形成されている棒と、
前記棒に固定されている固定ゲージと、
前記棒をスライド可能な可動ゲージとを備える、カウンタークリアランス測定装置。
【請求項2】
前記固定ゲージは、第1着脱部材を含み、
前記可動ゲージは、前記第1着脱部材に着脱可能な第2着脱部材を含む、請求項1に記載のカウンタークリアランス測定装置。
【請求項3】
前記固定ゲージは、磁石を含み、
前記磁石によって、前記固定ゲージは、カウンターウエイトまたは前記カウンターウエイトに取り付けられているスペーサにくっつき得る、請求項1または請求項2に記載のカウンタークリアランス測定装置。
【請求項4】
前記棒は、第1棒部材と、前記第1棒部材に着脱可能な第2棒部材とを含み、
前記固定ゲージは、前記第1棒部材に固定されており、
前記可動ゲージは、前記第1棒部材をスライド可能である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカウンタークリアランス測定装置。
【請求項5】
前記棒は、伸縮可能である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のカウンタークリアランス測定装置。
【請求項6】
前記棒をスライド可能な筒部材と、
前記筒部材に接続されている操作紐とをさらに備え、
前記可動ゲージは前記筒部材に固定されており、
前記操作紐を引っ張ることによって、前記筒部材は前記棒をスライドする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のカウンタークリアランス測定装置。
【請求項7】
前記棒をスライド可能な筒部材と、
前記筒部材に接続されている操作紐とをさらに備え、
前記可動ゲージは前記筒部材に固定されており、
前記操作紐を引っ張ることによって、前記筒部材は前記棒をスライドし、
前記目盛りは、前記可動ゲージが前記固定ゲージに接触しているときに前記筒部材の下端以下にある前記棒の部分に設けられている、請求項2に記載のカウンタークリアランス測定装置。
【請求項8】
前記操作紐を引っ張らないとき、前記筒部材は前記棒に対してスライドしない、請求項6または請求項7に記載のカウンタークリアランス測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カウンタークリアランス測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平11-92056号公報(特許文献1)は、エレベータのカウンタークリアランス測定装置を開示している。具体的には、ピット側壁にスケールステッカーが設けられている。スケールステッカーのゼロ目盛りは、バッファの上面に一致している。保守作業員は、ピット床に立ち、カウンターの下端に対応するスケールステッカーの目盛りを読む。こうして、カウンタークリアランスが測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-92056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、高速エレベータまたは高層階用エレベータでは、バッファの高さが高くなるとともに、ピットの深さが深くなる。そのため、ピット床に立つ保守作業員がカウンターの下端に対応するスケールステッカーの目盛りを読むことは、困難になる。その結果、カウンタークリアランスを正確に測定することが困難になる。本開示は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、高速エレベータまたは高層階用エレベータにおいても、カウンタークリアランスを正確に測定することを容易にするカウンタークリアランス測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のカウンタークリアランス測定装置は、目盛りが形成されている棒と、棒に固定されている固定ゲージと、棒をスライド可能な可動ゲージとを備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示のカウンタークリアランス測定装置は、高速エレベータまたは高層階用エレベータにおいても、カウンタークリアランスを正確に測定することを容易にし得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態のカウンタークリアランス測定装置が使用されるエレベータの全体構成を示す概略図である。
図2】実施の形態のカウンタークリアランス測定装置の概略斜視図である。
図3】実施の形態のカウンタークリアランス測定装置を用いた実施の形態のカウンタークリアランスの測定方法を示す概略図である。
図4】実施の形態のカウンタークリアランス測定装置を用いた実施の形態のカウンタークリアランスの測定方法を示す概略図である。
図5】実施の形態の第1変形例のカウンタークリアランス測定装置の概略斜視図である。
図6】実施の形態の第1変形例のカウンタークリアランス測定装置の概略斜視図である。
図7】実施の形態の第2変形例のカウンタークリアランス測定装置の概略斜視図である。
図8】実施の形態の第2変形例のカウンタークリアランス測定装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2から図4に示される実施の形態のカウンタークリアランス測定装置20は、図1に示されるエレベータのカウンタークリアランスCLを測定するための装置である。
【0009】
図1を参照して、高層階建築物のような建築物1に、エレベータの昇降路2と、最下階乗り場6と最上階乗り場7とを含む複数の乗り場と、機械室8とが設けられている。ピット3は、昇降路2のうち最下階乗り場6より下方の部分である。ピット床4は、昇降路2の底面である。高速エレベータまたは高層階用エレベータでは、最下階乗り場6からのピット床4の深さは、例えば、約3m以上である。
【0010】
機械室8は、昇降路2の上方に設けられている。機械室8には、巻上機16と、そらせ車17とが配置されている。ワイヤーロープ15の一端は、かご10に接続されている。ワイヤーロープ15の他端は、カウンターウエイト12に接続されている。巻上機16が回転することによって、ワイヤーロープ15は移動する。かご10は、昇降路2を昇降する。カウンターウエイト12は、かご10と反対方向に昇降路2を昇降する。カウンターウエイト12の下端に、少なくとも一つのスペーサ13が取り付けられてもよい。カウンターウエイト12及びスペーサ13は、例えば、鉄鋼で形成されている。
【0011】
ピット床4上に、バッファ18が設置されている。バッファ18は、カウンターウエイト12の下方に配置されている。ワイヤーロープ15が破断してカウンターウエイト12が自由落下した場合に、カウンターウエイト12がピット床4に衝突する際の衝撃を、バッファ18は緩和し得る。バッファ18の頂部は、最下階乗り場6より下方にある。高速エレベータまたは高層階用エレベータでは、ピット床4からのバッファ18の高さは、例えば、約2.5m以上である。カウンターウエイト12の下端にスペーサ13が取り付けられている場合、カウンタークリアランスCLは、スペーサ13とバッファ18との間の間隔である。カウンターウエイト12の下端にスペーサ13が取り付けられていない場合、カウンタークリアランスCLは、カウンターウエイト12とバッファ18との間の間隔である。
【0012】
ワイヤーロープ15は、カウンターウエイト12によって、常に引っ張られている。そのため、エレベータを使用し続けている間に、ワイヤーロープ15は次第に伸びて、カウンタークリアランスCLは次第に減少する。保守作業員50(図3及び図4を参照)は、エレベータの点検の際に、カウンタークリアランス測定装置20(図2から図4を参照)を用いてカウンタークリアランスCLを測定する。カウンタークリアランスCLが基準クリアランス未満となると、保守作業員50は、ワイヤーロープ15を短くする、または、スペーサ13を一部または全部をカウンターウエイト12から取り外す。こうして、カウンタークリアランスCLが基準クリアランス以上になるように、カウンタークリアランスCLは調整される。
【0013】
図2から図4を参照して、カウンタークリアランス測定装置20を説明する。カウンタークリアランス測定装置20は、棒21と、固定ゲージ30と、可動ゲージ40とを主に備える。カウンタークリアランス測定装置20は、筒部材36と、操作紐46と、ストッパ48とをさらに備えてもよい。
【0014】
棒21は、上端22と、上端22とは反対側の下端23とを含む。棒21は、第1棒部材24と、第2棒部材25とを含む。第1棒部材24は、上端22を含む。第2棒部材25は、下端23を含む。第2棒部材25は、第1棒部材24に着脱可能である。例えば、めねじ部が、第1棒部材24に形成されている。雄ねじ部が、第2棒部材25に形成されている。第2棒部材25の雄ねじ部が第1棒部材24の雌ねじ部に螺合されることによって、第2棒部材25は第1棒部材24に組み付けられる。
【0015】
カウンタークリアランス測定装置20を用いてカウンタークリアランスCLを測定するときには、第2棒部材25は第1棒部材24に組み付けられる。カウンタークリアランス測定装置20を、例えばピット3と機械室8との間で運搬する間、及び、カウンタークリアランス測定装置20を例えば機械室8に保管する間、第2棒部材25は第1棒部材24から取り外されている。そのため、カウンタークリアランス測定装置20の運搬が容易になる。カウンタークリアランス測定装置20は、より小さなスペースに保管され得る。
【0016】
棒21には、目盛り28が形成されている。具体的には、目盛り28は、第1棒部材24に形成されている。目盛り28の基準(例えば、可動ゲージ40の厚さ(可動ゲージ40の上面42と下面41との間の距離)に相当する目盛り)は、例えば、固定ゲージ30の上面32に一致している。
【0017】
棒21は、把持部26を含む。把持部26は、例えば、第2棒部材25に設けられている。把持部26は、例えば、棒21の下端23に設けられている。図3及び図4に示されるように、保守作業員50は、把持部26を把持して、カウンタークリアランス測定装置20を用いてカウンタークリアランスCLを測定する。
【0018】
固定ゲージ30は、棒21に固定されている。具体的には、固定ゲージ30は、第1棒部材24に固定されている。固定ゲージ30は、例えば、棒21の上端22に固定されている。固定ゲージ30は、下面31と、下面31とは反対側の上面32とを含む。図3及び図4に示されるように、カウンタークリアランス測定装置20を用いてカウンタークリアランスCLを測定する際、固定ゲージ30の上面32は、スペーサ13の下端(スペーサ13が無いときは、カウンターウエイト12の下端)に接触する。
【0019】
固定ゲージ30は、第1着脱部材33を含む。第1着脱部材33は、例えば、面ファスナー(例えば、マジックテープ(登録商標))または磁石である。第1着脱部材33は、例えば、固定ゲージ30の下面31上に設けられている。
【0020】
固定ゲージ30は、磁石34を含む。磁石34の表面は、固定ゲージ30の上面32に面一である。磁石34によって、固定ゲージ30は、スペーサ13の下端(スペーサ13が無いときは、カウンターウエイト12の下端)にくっつき得る。磁石34は、固定ゲージ30がスペーサ13の下端(スペーサ13が無いときは、カウンターウエイト12の下端)に安定的に接触することを可能にする。
【0021】
可動ゲージ40は、棒21をスライド可能である。具体的には、可動ゲージ40は、第1棒部材24をスライド可能である。棒21の長手方向に沿う力を可動ゲージ40に印加することによって、可動ゲージ40は、棒21をスライドする。棒21の長手方向に沿う力を可動ゲージ40に印加しないときには、可動ゲージ40と棒21との間の摩擦力のために、可動ゲージ40は、棒21に対して移動しない。
【0022】
可動ゲージ40は、下面41と、下面41とは反対側の上面42とを含む。可動ゲージ40の上面42は、固定ゲージ30の下面31に面している。図3及び図4に示されるように、カウンタークリアランス測定装置20を用いてカウンタークリアランスCLを測定する際、可動ゲージ40の下面41は、バッファ18の上端に接触する。
【0023】
可動ゲージ40は、第1着脱部材33に着脱可能な第2着脱部材43を含む。第2着脱部材43は、例えば、面ファスナー(例えば、マジックテープ(登録商標))または磁石である。第2着脱部材43は、例えば、可動ゲージ40の上面42上に設けられている。
【0024】
筒部材36は、例えば、棒21の長手方向に沿って細長い形状を有している。筒部材36は、上端36aと、上端36aとは反対側の下端36bとを含む。可動ゲージ40は、筒部材36(例えば、上端36a)に固定されている。可動ゲージ40と筒部材36とは、単一の部材として形成されてもよい。筒部材36は、突起37を含んでもよい。操作紐46の一端は、筒部材36(例えば、突起37)に接続されている。操作紐46の他端に、取っ手47が設けられている。保守作業員50は、取っ手47を把持して、操作紐46を引っ張る。
【0025】
筒部材36は、棒21をスライド可能である。具体的には、筒部材36は、第1棒部材24をスライド可能である。棒21の長手方向に沿う力を筒部材36に印加することによって、筒部材36は、棒21をスライドする。棒21の長手方向に沿う力を筒部材36に印加しないときには、筒部材36と棒21との間の摩擦力のために、筒部材36は棒21に対して移動せず、筒部材36も棒21に対して移動しない。より具体的には、保守作業員50が操作紐46を引っ張ることによって、筒部材36は棒21をスライドする。可動ゲージ40は、筒部材36とともに、棒21をスライドする。これに対して、保守作業員50が操作紐46を引っ張らないとき、筒部材36は棒21に対して移動せず、可動ゲージ40も棒21に対して移動しない。
【0026】
ストッパ48は、棒21に設けられている。ストッパ48は、例えば、第1棒部材24に設けられている。ストッパ48は、筒部材36の下方に配置されている。ストッパ48は、筒部材36及び可動ゲージ40が棒21(例えば、第1棒部材24)から抜け出すことを防止する。
【0027】
図1図3及び図4を参照して、カウンタークリアランス測定装置20を用いたカウンタークリアランスCLの測定方法を説明する。
【0028】
保守作業員50は、機械室8に保管されているカウンタークリアランス測定装置20を、ピット3に運搬する。カウンタークリアランス測定装置20を機械室8に保管する間、及び、カウンタークリアランス測定装置20を機械室8からピット3に運搬する間、第2棒部材25は第1棒部材24から取り外されている。そのため、カウンタークリアランス測定装置20は、より小さなスペースに保管され得る。カウンタークリアランス測定装置20の運搬が容易になる。保守作業員50がピット3に到着すると、保守作業員50は、筒部材36及び可動ゲージ40を棒21の上端22に向けて移動させて、可動ゲージ40の第2着脱部材43を固定ゲージ30の第1着脱部材33にくっつける。保守作業員50は、第2棒部材25を第1棒部材24に組み付ける。
【0029】
図3を参照して、保守作業員50は、ピット床4に立つ。保守作業員50は、把持部26を把持する。保守作業員50は、固定ゲージ30の上面32をスペーサ13の下端(スペーサ13が無いときは、カウンターウエイト12の下端)に接触させる。固定ゲージ30は磁石34を含むため、固定ゲージ30は、スペーサ13の下端(スペーサ13が無いときは、カウンターウエイト12の下端)に安定的に接触する。
【0030】
図4を参照して、保守作業員50は、固定ゲージ30の上面32をスペーサ13の下端(スペーサ13が無いときは、カウンターウエイト12の下端)に接触させたまま、取っ手47を把持して、操作紐46を引っ張る。可動ゲージ40の第2着脱部材43は、固定ゲージ30の第1着脱部材33から外れる。筒部材36及び可動ゲージ40は、把持部26に向けて棒21をスライドする。可動ゲージ40の下面41がバッファ18の上端に接触すると、筒部材36及び可動ゲージ40は停止する。
【0031】
保守作業員50は、カウンタークリアランス測定装置20を、スペーサ13(スペーサ13が無いときは、カウンターウエイト12)及びバッファ18から離す。保守作業員50は、棒21のうち目盛り28が形成されている部分を保守作業員50に近づけて、目盛り28のうち、可動ゲージ40の上面42に対応する目盛り28を読む。保守作業員50が目盛り28を読む前に、保守作業員50は、第2棒部材25を第1棒部材24から取り外してもよい。第2棒部材25を第1棒部材24から取り外すことによって、保守作業員50は、より狭いピット4内で、目盛り28を読むことができる。可動ゲージ40の下面41がバッファ18の上端に接触してから、保守作業員50が目盛り28を読むまでの間、筒部材36及び可動ゲージ40は、筒部材36と棒21との間の摩擦力及び可動ゲージ40と棒21との間の摩擦力のため、スライドしないで、停止し続けている。こうして、カウンタークリアランス測定装置20を用いて、カウンタークリアランスCLが測定され得る。
【0032】
保守作業員50は、カウンタークリアランスCLを測定し終えると、カウンタークリアランス測定装置20をピット3から機械室8に運搬する。カウンタークリアランス測定装置20は、機械室8に保管される。カウンタークリアランス測定装置20をピット3から機械室8に運搬する間、及び、カウンタークリアランス測定装置20を機械室8に保管する間、第2棒部材25は第1棒部材24から取り外されている。そのため、カウンタークリアランス測定装置20の運搬が容易になる。カウンタークリアランス測定装置20は、より小さなスペースに保管され得る。
【0033】
図5及び図6を参照して、本実施の形態の第1変形例のカウンタークリアランス測定装置20bを説明する。カウンタークリアランス測定装置20bは、カウンタークリアランス測定装置20と同様に構成されているが、以下の点で主に異なっている。カウンタークリアランス測定装置20bは、棒21に代えて、伸縮可能な棒21bを備えている。棒21bは、例えば、テレスコープ構造を有している。
【0034】
図5に示されるように、カウンタークリアランス測定装置20bを使用するときには、棒21bは、伸びている。これに対し、図6に示されるように、カウンタークリアランス測定装置20を運搬する間、及び、カウンタークリアランス測定装置20を例えば機械室8に保管する間、棒21bは、縮んでいる。そのため、カウンタークリアランス測定装置20bの運搬が容易になる。カウンタークリアランス測定装置20bは、より小さなスペースに保管され得る。
【0035】
図7及び図8を参照して、本実施の形態の第2変形例のカウンタークリアランス測定装置20cを説明する。カウンタークリアランス測定装置20cは、カウンタークリアランス測定装置20と同様に構成されているが、以下の点で主に異なっている。
【0036】
カウンタークリアランス測定装置20cでは、目盛り28は、可動ゲージ40が固定ゲージ30に接触しているときに筒部材36の下端36b以下にある棒21の部分に設けられている。目盛り28の基準(例えば、固定ゲージ30の厚さ(固定ゲージ30の上面32と下面31との間の距離)と可動ゲージ40の厚さ(可動ゲージ40の上面42と下面41との間の距離)との和に相当する目盛り)は、例えば、可動ゲージ40が固定ゲージ30に接触しているときの筒部材36の下端36bに一致している。なお、カウンタークリアランス測定装置20cは、棒21に代えて、棒21bを備えてもよい。
【0037】
図7及び図8に示されるカウンタークリアランス測定装置20cを用いたカウンタークリアランスCLの測定方法は、図3及び図4に示されるカウンタークリアランス測定装置20を用いたカウンタークリアランスCLの測定方法と同様である。
【0038】
具体的には、図7を参照して、保守作業員50は、固定ゲージ30の上面32をスペーサ13の下端(スペーサ13が無いときは、カウンターウエイト12の下端)に接触させる。図8を参照して、保守作業員50は、固定ゲージ30の上面32をスペーサ13の下端(スペーサ13が無いときは、カウンターウエイト12の下端)に接触させたまま、操作紐46を引っ張る。可動ゲージ40の第2着脱部材43は、固定ゲージ30の第1着脱部材33から外れる。筒部材36及び可動ゲージ40は、把持部26に向けて棒21をスライドする。可動ゲージ40の下面41がバッファ18の上端に接触すると、筒部材36及び可動ゲージ40は停止する。
【0039】
保守作業員50は、目盛り28のうち、可動ゲージ40の下面41がバッファ18の上端に接触したときの、筒部材36の下端36bに対応する目盛り28を読む。カウンタークリアランス測定装置20cの目盛り28は、カウンタークリアランス測定装置20の目盛り28より下方にある。そのため、保守作業員50は、第2棒部材25を第1棒部材24から取り外すことなく、目盛り28を容易に読むことができる。こうして、カウンタークリアランス測定装置20cを用いて、カウンタークリアランスCLが測定され得る。複数のエレベータの複数のカウンタークリアランスCLを測定する際に、第2棒部材25を第1棒部材24に取り付けたまま、複数のカウンタークリアランスCLを測定することができる。複数のカウンタークリアランスCLの測定作業の効率が向上する。
【0040】
本実施の形態のカウンタークリアランス測定装置20,20b,20cの効果を説明する。
【0041】
本実施の形態のカウンタークリアランス測定装置20,20b,20cは、目盛り28が形成されている棒21,21bと、棒21,21bに固定されている固定ゲージ30と、棒21,21bをスライド可能な可動ゲージ40とを備える。
【0042】
固定ゲージ30及び可動ゲージ40が、棒21,21bに設けられている。そのため、高速エレベータまたは高層階用エレベータのように、より高いバッファ18及びより深いピット3においても、カウンタークリアランス測定装置20,20b,20cは、カウンタークリアランスCLを正確に測定することを容易にし得る。
【0043】
本実施の形態のカウンタークリアランス測定装置20,20b,20cでは、固定ゲージ30は、第1着脱部材33を含む。可動ゲージ40は、第1着脱部材33に着脱可能な第2着脱部材43を含む。
【0044】
カウンタークリアランスCLの測定開始時に、第2着脱部材43を第1着脱部材33にくっつけることによって、可動ゲージ40がバッファ18に機械的に干渉することが防止され得る。カウンタークリアランス測定装置20,20b,20cは、カウンタークリアランスCLを正確に測定することを容易にし得る。
【0045】
本実施の形態のカウンタークリアランス測定装置20,20b,20cでは、固定ゲージ30は、磁石34を含む。磁石34によって、固定ゲージ30は、カウンターウエイト12またはカウンターウエイト12に取り付けられているスペーサ13にくっつき得る。
【0046】
磁石34は、カウンタークリアランスCLの測定中に、固定ゲージ30がカウンターウエイト12(カウンターウエイト12にスペーサ13が取り付けられていないとき)またはスペーサ13から離れることを防止し得る。カウンタークリアランス測定装置20,20b,20cは、カウンタークリアランスCLを正確に測定することを容易にし得る。
【0047】
本実施の形態のカウンタークリアランス測定装置20,20cでは、棒21は、第1棒部材24と、第1棒部材24に着脱可能な第2棒部材25とを含む。固定ゲージ30は、第1棒部材24に固定されている。可動ゲージ40は、第1棒部材24をスライド可能である。
【0048】
第2棒部材25を第1棒部材24に組み付けることによって、カウンタークリアランス測定装置20,20cを用いて、カウンタークリアランスCLを測定することができる。第2棒部材25を第1棒部材24から取り外すことによって、カウンタークリアランス測定装置20,20cの保管及び運搬が容易になる。第2棒部材25を第1棒部材24から取り外すことによって、保守作業員50は、保守作業員50のより近くでまたはより狭いピット4内で、目盛り28を読むことができる。カウンタークリアランス測定装置20,20cは、カウンタークリアランスCLを正確に測定することを容易にし得る。
【0049】
本実施の形態のカウンタークリアランス測定装置20bでは、棒21bは、伸縮可能である。
【0050】
棒21bを伸ばすことによって、カウンタークリアランス測定装置20bを用いて、カウンタークリアランスCLを測定することができる。棒21bを縮めることによって、カウンタークリアランス測定装置20bの保管及び運搬が容易になる。棒21bを縮めることによって、保守作業員50は、保守作業員50のより近くでまたはより狭いピット4内で、目盛り28を読むことができる。カウンタークリアランス測定装置20bは、カウンタークリアランスCLを正確に測定することを容易にし得る。
【0051】
本実施の形態のカウンタークリアランス測定装置20,20b,20cは、棒21,21bをスライド可能な筒部材36と、筒部材36に接続されている操作紐46とをさらに備える。可動ゲージ40は、筒部材36に固定されている。操作紐46を引っ張ることによって、筒部材36は棒21,21bをスライドする。
【0052】
そのため、保守作業員50は、可動ゲージ40を容易にスライドさせることができる。カウンタークリアランス測定装置20,20b,20cは、カウンタークリアランスCLを正確に測定することを容易にし得る。操作紐46は折り畳まれ得るため、カウンタークリアランス測定装置20,20b,20cの保管及び運搬が容易になる。
【0053】
本実施の形態のカウンタークリアランス測定装置20cは、棒21,21bをスライド可能な筒部材36と、筒部材36に接続されている操作紐46とをさらに備える。可動ゲージ40は、筒部材36に固定されている。操作紐46を引っ張ることによって、筒部材36は棒21,21bをスライドする。目盛り28は、可動ゲージ40が固定ゲージ30に接触しているときに筒部材36の下端36b以下にある棒21,21bの部分に設けられている。
【0054】
そのため、保守作業員50は、可動ゲージ40を容易にスライドさせることができる。また、第2棒部材25を第1棒部材24に組み付けたままの状態で、または、棒21bを伸ばしたままの状態で、保守作業員50は容易に目盛り28を読むことができる。カウンタークリアランス測定装置20cは、カウンタークリアランスCLを正確に測定することを容易にし得る。複数のカウンタークリアランスCLの測定作業の効率が向上する。操作紐46は折り畳まれ得るため、カウンタークリアランス測定装置20cの保管及び運搬が容易になる。
【0055】
本実施の形態のカウンタークリアランス測定装置20,20b,20cでは、操作紐46を引っ張らないとき、筒部材36は棒21,21bに対してスライドしない。
【0056】
そのため、保守作業員50が、可動ゲージ40をバッファ18に接触させてから、目盛り28を読むまでの間、可動ゲージ40及び筒部材36は、スライドしないで、停止し続ける。カウンタークリアランス測定装置20,20b,20cは、カウンタークリアランスCLを正確に測定することを容易にし得る。
【0057】
今回開示された実施の形態及びその変形例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0058】
1 建築物、2 昇降路、3 ピット、4 ピット床、6 最下階乗り場、7 最上階乗り場、8 機械室、10 かご、12 カウンターウエイト、13 スペーサ、15 ワイヤーロープ、16 巻上機、17 そらせ車、18 バッファ、20,20b,20c カウンタークリアランス測定装置、21,21b 棒、22,36a 上端、23,36b 下端、24 第1棒部材、25 第2棒部材、26 把持部、28 目盛り、30 固定ゲージ、31 下面、32 上面、33 第1着脱部材、34 磁石、36 筒部材、37 突起、40 可動ゲージ、41 下面、42 上面、43 第2着脱部材、46 操作紐、47 取っ手、48 ストッパ、50 保守作業員、CL カウンタークリアランス。
図1
図2
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図5
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図7
図8