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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041644
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】剥離流体添加剤
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20230316BHJP
   C08K 5/1545 20060101ALI20230316BHJP
   C08L 83/08 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
G03G15/20 520
C08K5/1545
C08L83/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022141799
(22)【出願日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】17/472,833
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス、エー.、ガットバレット
(72)【発明者】
【氏名】エリウド、ロブルス、フローレス
(72)【発明者】
【氏名】ポール、エフ.、サヴィッキ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルン、サンビー
【テーマコード(参考)】
2H033
4J002
【Fターム(参考)】
2H033AA39
2H033BA42
2H033BA43
2H033BB02
2H033BB05
2H033BB12
4J002CP03X
4J002CP09W
4J002EL096
4J002FD076
4J002GF00
4J002GT00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】静電複写機の定着ロールの長寿命を可能にする剥離流体を提供する。
【解決手段】定着ロール120は、基材と、前記基材を覆う外層と、前記外層を剥離流体でコーティングし、定着ロール120からトナーパッチを綺麗に剥離できるようにする。前記外層上の剥離コーティングするための剥離流体は、特定のアミノ官能性シリコーン流体、非官能性シリコーン流体、及びビタミンEを含む。ビタミンEは酸化防止剤として、定着ロールの上層はたは剥離流体の酸化分解を低減し、定着ロール寿命を大幅に改善する可能性がある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ官能性シリコーン流体と、
非官能性シリコーン流体と、
ビタミンEと、
を含む、剥離流体。
【請求項2】
前記アミノ官能性シリコーン流体が、
【化1】
(式中、Qは-R-Xを表し、Rは約1個~約10個の炭素を有するアルキル基を表し、Xは-NH又は-NHRNHを表し、RはRと同じ内容を表し、nは1~50の整数であり、mは10~5,000の整数であり、T及びTは、それぞれ独立して、メチル(-CH3)及びヒドロキシル(-OH)から選択される)
で表される、請求項1に記載の剥離流体。
【請求項3】
前記Xが、アミノプロピルアミン官能基を表す、請求項2に記載の剥離流体。
【請求項4】
前記非官能性シリコーン流体が、
【化2】
(式中、rは10~5,000の整数であり、T及びTは、それぞれ独立して、メチル(-CH3)及びヒドロキシル(-OH)から選択される)
で表される、請求項1に記載の剥離流体。
【請求項5】
ビタミンEが、
【化3】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、CH及び水素から選択される)
で表される、請求項1に記載の剥離流体。
【請求項6】
前記剥離流体中のビタミンE量が、前記剥離流体の重量に基づいて約0.5重量パーセント~約10.0重量パーセントである、請求項1に記載の剥離流体。
【請求項7】
前記剥離流体の粘度が、約50センチポアズ~約1500センチポアズである、請求項1に記載の剥離流体。
【請求項8】
基材と、前記基材を覆う外層と、前記外層をコーティングするための剥離流体を含む前記外層上の剥離コーティングと、を含む定着部材であって、前記剥離流体は、構造:
【化4】
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立して、CH及び水素から選択される)
を有する酸化防止剤を更に含む、定着部材。
【請求項9】
前記定着部材基材が、ベルト又はローラの形態である、請求項8に記載の定着部材。
【請求項10】
前記基材と前記外層との間に配設された中間層を更に含む、請求項8に記載の定着部材。
【請求項11】
前記中間層が、シリコーンゴムを含む、請求項10に記載の定着部材。
【請求項12】
ビタミンE量が、前記剥離流体の重量に基づいて約0.5重量パーセント~約10.0重量パーセントである、請求項8に記載の定着部材。
【請求項13】
前記剥離流体の粘度が、約50センチポアズ~約1500センチポアズである、請求項8に記載の定着部材。
【請求項14】
画像形成装置であって、
感光性層を有する感光体と、前記感光体を帯電させる帯電装置と、前記帯電した感光体を露光し、それによって、前記感光体の表面上に静電潜像を形成する露光装置と、
前記感光体の表面上にトナー画像を現像するための現像ステーションと、
前記トナー画像を記録媒体に転写するための少なくとも1つの転写装置と、
前記記録媒体を加熱することにより、前記記録媒体に転写された前記トナー画像を前記記録媒体上に固定して、前記記録媒体上に定着画像を形成する定着ステーションと、
を備え、
前記定着ステーションは、定着部材と、圧力部材と、前記定着部材と組み合わせた剥離流体と、を含み、前記剥離流体は、アミノ官能性流体と、非官能性シリコーン流体と、構造:
【化5】
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立して、CH及び水素から選択される)
を有する酸化防止剤と、を含む、
画像形成装置。
【請求項15】
前記アミノシリコーン官能性流体が、
【化6】
(式中、Qは-R-Xを表し、Rは約1個~約10個の炭素を有するアルキル基を表し、Xは-NH又は-NHRNHを表し、RはRと同じ内容を表し、nは1~50の整数であり、mは10~5,000の整数である)
で表され、
前記非官能性シリコーン流体が、
【化7】
(式中、rは10~5,000の整数であり、T及びTは、それぞれ独立して、メチル(-CH3)及びヒドロキシル(-OH)から選択される)
で表される、
請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
Xが、アミノプロピルアミン官能基を表す、請求項15に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記定着部材が、基材と、前記基材を覆う外層と、前記外層上の前記剥離流体と、を含む、請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項18】
前記外層が、シリコーンエラストマー、フルオロシリコーンエラストマー、フルオロエラストマー、フッ素化炭化水素ポリマー、フッ素化炭化水素とシリコーンとのポリマーブレンド、シリコーンコポリマー、及びフッ素化炭化水素コポリマーとシリコーンコポリマーとの架橋ブレンドからなる群から選択される、請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項19】
前記基材と前記外層との間に配設された中間層を更に含む、請求項17に記載の画像形成装置。
【請求項20】
前記剥離流体の粘度が、約50センチポアズ~約1500センチポアズである、請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項21】
前記定着ステーションが、ベルト又はローラの形態の基材を含む、請求項14に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の分野
本明細書の開示は、トナーベースの技術における剥離コーティングに有用な剥離流体又は剥離剤に関する。
【0002】
デジタル、多重画像、及び接触静電印刷装置を含む、静電複写再生装置では、複写される原稿の光画像は、典型的には、感光性部材上に静電潜像の形態で記録され、潜像は、続いて、検電熱可塑性樹脂粒子及び顔料粒子、又はトナーの塗布によって可視化される。残留トナー画像は、感光性部材上に直接固定されるか、又はその後の固定又は定着によって、部材から別の支持体、例えば、普通紙のシートに転写され得る。
【0003】
トナーを、加熱によって支持部材上に恒久的に固定又は定着させるためには、トナーの温度を、トナーの構成成分が合体し粘着性になる温度まで上昇させる必要がある。この加熱作用によって、トナーが、支持部材の繊維又は細孔内にある程度流れ込む。その後、トナーが冷却されると、トナーの固化によって、トナーが支持部材に強固に結合される。
【0004】
典型的には、一般にトナーと呼ばれる熱可塑性樹脂粒子は、トナーに使用される特定の樹脂の軟化範囲に応じて約90℃~約200℃以上の温度に加熱することによって、基材に定着される。しかしながら、特に基材が紙である場合、基材の温度を実質的に約250℃超に上昇させることは、そのような高温では基材が変色するか、焦げるか、又は発火するおそれがあるため、望ましくない場合がある。
【0005】
定着ロールは交換部品である。定着ロールの交換は、静電複写機のランニングコストを大幅に増加させる。
【0006】
劣化を防止又は緩和するために、いくつかの酸化防止剤を剥離流体に添加することができ、例えば、典型的なモータ油は、油の安定性及びエンジン部品の酸化/腐食を改善するためにいくつかの酸化防止剤を含有する。しかしながら、これらの添加剤の大部分は毒性であり、人間と接触する可能性のある印刷物への使用を許可されていない。BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)及びビタミンCなどの一般的な食品承認添加物のいくつかは、シリコーン油に可溶性ではなく、定着温度で安定ではない固体である。
【0007】
静電複写機の交換部品に長寿命を提供する剥離流体を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0008】
様々な実施形態によれば、アミノ官能性シリコーン流体と、非官能性シリコーン流体と、ビタミンEと、を含む剥離流体が提供される。
【0009】
本明細書に記載の更なる態様は、基材と、基材を覆う外層と、外層上の剥離コーティングと、を含む定着部材である。剥離コーティングは、外層をコーティングするための剥離流体を含み、剥離流体は、構造:
【0010】
【化1】
(式中、R、R及びRは、CH、又は水素である)を有する酸化防止剤を更に含む。
【0011】
本明細書に記載の更なる態様は、画像形成装置である。画像形成装置は、感光性層を有する感光体と、感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した感光体を露光し、それによって、感光体の表面上に静電潜像を形成する露光装置と、を含む。画像形成装置は、感光体の表面上にトナー画像を現像するための現像ステーションと、トナー画像を記録媒体に転写するための少なくとも1つの転写装置と、を含む。画像形成装置は、記録媒体を加熱することにより、記録媒体に転写されたトナー画像を記録媒体上に固定して、記録媒体上に定着画像を形成する定着ステーションを含む。定着ステーションは、定着部材と、圧力部材と、定着部材と組み合わせた剥離流体と、を含み、剥離流体は、アミノ官能性シリコーン流体と、非官能性シリコーン流体と、構造:
【0012】
【化2】
(式中、R、R及びRは、CH、又は水素である)を有する酸化防止剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本教示のいくつかの実施形態を示し、記述と共に、本教示の原理を説明する役割を果たす。
図1】本開示による画像装置の概略図である。
図2】本開示による、基材、中間層、外層、及び剥離コーティング層を有する定着部材を示す、定着部材の一実施形態の拡大側面図である。
図3】本開示による定着部材に剥離流体を供給するための剥離流体装置の概略図である。
【0014】
これらの図のいくつかの詳細は簡略化されており、厳密な構造精度、詳細、及び縮尺は維持されるものではなく、実施形態の理解を容易にするように描かれていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本教示の実施形態を詳細に参照し、それらの実施例は、添付図面に示される。可能な限り、同一又は同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。
【0016】
以下の説明では、その一部をなし、本教示を実践することができる特定の例示的な実施形態を実例として示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本教示を実施することを可能にするために十分に詳細に説明されており、他の実施形態が利用され得ること、及び本教示の範囲から逸脱することなく変更が行われ得ることが理解される。したがって、以下の記述は、単なる例示に過ぎない。
【0017】
例示された実施例に対して、添付の「特許請求の範囲」の趣旨及び範囲から逸脱することなく、1つ以上の実装に関しての例示、改変及び/又は修正を行うことができる。加えて、特定の特徴がいくつかの実装のうちの1つのみに関して開示されていることがあり得るが、そのような特徴は、任意の所与の機能又は特定の機能のために所望されかつ有利であり得るものとして、他の実装の1つ以上の他の特徴と組み合わされてもよい。更に、用語「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、又はこれらの変形が「発明を実施するための形態」及び「特許請求の範囲」のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、用語「含む(comprising)」と同様の方法での包含であることが意図される。用語「~のうちの少なくとも1つ」は、列挙された項目のうちの1つ以上を選択することができることを意味するために使用される。
【0018】
実施形態の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるが、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、それぞれの試験測定において見られる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。更に、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に含まれる任意及び全てのサブ範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、ゼロの最小値と10の最大値との間(境界値を含む)の任意の及び全てのサブ範囲、すなわち、ゼロ以上の最小値と10以下の最大値とを有する任意の及び全てのサブ範囲、例えば、1~5を含むことができる。場合によっては、パラメータについて記載された数値は、負の値をとることができる。この場合、「10未満」と記載された範囲の例示的な値は、負の値、例えば、-1、-2、-3、-10、-20、-30などを想定することができる。
【0019】
本明細書の開示の実施形態は、この点に関して限定されるものではないが、本明細書で使用する時、「複数(plurality)」及び「複数(a plurality)」という用語は、例えば、「多数の(multiple)」又は「2つ以上の(two or more)」を含み得る。「複数(plurality)」又は「複数(a plurality)」という用語は、2つ以上の構成要素、デバイス、要素、ユニット、パラメータなどを説明するために、本明細書全体を通して使用され得る。例えば、「複数の抵抗器」は、2つ以上の抵抗器を含み得る。
【0020】
図1を参照すると、典型的な静電再生装置では、複写される原稿の光画像は、感光性部材上に静電潜像の形態で記録され、潜像は、続いて、通常トナーと称される検電熱可塑性樹脂粒子の適用によって可視化される。具体的には、感光体110は、電圧が電源111から供給された帯電装置112によって、その表面上で帯電する。感光体110は、次いで、光学システム、又はレーザ及び発光ダイオードなどの画像入力装置113からの光に画像露光されて、感光体110上に静電潜像を形成する。一般に、静電潜像は、現像ステーション114からの現像剤混合物を静電潜像に接触させることによって現像される。現像は、磁気ブラシ、粉末クラウド、又は他の既知の現像プロセスの使用によって実行され得る。乾燥現像剤混合物は、通常、それに摩擦電気的に付着するトナー粒子を有するキャリア顆粒を含む。トナー粒子は、キャリア顆粒から潜像に引き付けられ、トナー粉末画像を形成する。あるいは、その中に分散されたトナー粒子を有する液体キャリアを含む、液体現像剤材料が用いられ得る。液体現像剤材料は、静電潜像と接触するように進み、その上にトナー粒子が、画像構成で堆積する。
【0021】
トナー粒子が、光伝導性表面上に堆積した後、画像構成では、トナー粒子は、転写装置115によってコピーシート116に転写され、これは、圧力転写又は静電転写によって実施され得る。あるいは、現像された画像は、中間転写部材又はバイアス転写部材に転写されて、続いて、コピーシート116に転写され得る。コピー基材の例としては、紙、ポリエステル、ポリカーボネートなどの透明材料、布、木材、又は完成画像が配置される任意の他の所望の材料が挙げられる。
【0022】
現像された画像の転写が完了した後、コピーシート116は、図1に示される定着ロール120及ぶ圧力ロール121(圧力ロールと接触する定着ベルト、圧力ベルトと接触する定着ロールなどの任意の他の定着部材構成要素は、本装置での使用に好適であるが)としての定着ステーション119へと進み、現像された画像は、コピーシート116を、定着部材と圧力部材との間に通過させることによって、コピーシート116に定着し、それによって、恒久画像を形成する。あるいは、転写及び定着は、トランスフィックス用途によって実行され得る。感光体110は、転写後、洗浄ステーション117に進み、そこで、感光体110上に残った任意のトナーが、ブレード122(図1に示されるような)、ブラシ、又は他の洗浄装置の使用によって、感光体から洗浄される。あるいは、転写及び定着は、トランスフィックス用途によって実行され得る。
【0023】
定着装置の主な故障状態の1つは、定着ロールへのトナー汚れの蓄積である。定着ロールトップコートは、低表面エネルギーの粘着防止フルオロポリマーであるVitonであってもよい。剥離剤管理(release agent management:RAM)システムは、計量された量の剥離流体を定着ロールに塗布して、定着ロールからトナーパッチを綺麗に剥離できるように支援する。定着条件は、非常に侵略的な高温及び高圧、環境からの酸素、紙に含まれる水分からの蒸気、環境湿度又はトナーからの侵略的な化学物質である。これらの因子は全て、Vitonポリマーに著しい酸化分解ストレスを与える。Viton表面の酸化分解により、低表面エネルギーの粘着防止性が高表面エネルギーの高密着性になる。更に、RAM中のシリコーン油は、それ自体が酸化分解を起こしやすく、時間の経過と共に劣化して、剥離特性を低下させる可能性がある。Viton表面又は剥離流体が酸化分解すると、トナーがロール表面に粘着し、汚れが蓄積して、印刷欠陥や定着ロールの破損を生じさせるおそれがある。したがって、Viton又は剥離流体の酸化分解を遅らせることができる任意の機構は、定着ロール寿命を大幅に改善する可能性がある。酸化防止剤は、剥離流体及び定着ロールのVitonトップコートの酸化を防止する。
【0024】
ビタミンE酸化防止剤を含有する剥離流体配合物を本明細書に開示する。
【0025】
ビタミンE酸化防止剤は、定着装置の剥離流体及び定着ロールのVitonトップコートの酸化分解を低減する。本開示の剥離流体は、修正を加えることなく既存の剥離流体送達システムで使用することができる。
【0026】
剥離流体は、3つの成分を含む。以下により詳細に記載されるビタミンE、アミノ官能性シリコーン油、及び非官能性シリコーン油。
【0027】
剥離流体の成分1は、ビタミンEを含む。ビタミンEは、4つのトコフェロール及び4つのトコトリエノールを含む8つの脂溶性化合物の群である。ビタミンEは、4つのトコフェロール及び4つのトコトリエノールの8つの異なる形態で存在する。これらは全て、水素原子を供与してフリーラジカルを還元することができるヒドロキシル基と、生体膜への浸透を可能にする疎水性側鎖とを有するクロマン環を特徴とする。
【0028】
トコトリエノールの一般的な構造を以下に示す。
【0029】
【化3】
(式中、R、R及びRは、CH、又は水素である(式I(a)))。
【0030】
トコフェロールの一般的な構造を以下に示す。
【0031】
【化4】
(式中、R、R及びRは、CH、又は水素である(式I(b)))。
【0032】
活性に寄与する分子は、それぞれの4つの基が接頭辞アルファ-(α-)、ベータ-(β-)、ガンマ-(γ-)、及びデルタ-(δ-)によって識別される、4つのトコフェロール及び4つのトコトリエノールである。アルファ(α)-トコフェロールについては、3つの「R」部位の各々にメチル基(CH)が結合されている。ベータ(β)-トコフェロールについては、R=メチル基、R=H、R=メチル基である。ガンマ(γ)-トコフェロールについては、R=H、R=メチル基、R=メチル基である。デルタ(δ)-トコフェロールについては、R=H、R=H、R=メチル基である。トコトリエノールについては、トコフェロールは飽和側鎖を有するのに対して、トコトリエノールの疎水性側鎖が3つの炭素-炭素二重結合を有する点を除いて、同じ構成が存在する。
【0033】
本明細書に記載のビタミンEは、当業者に公知の1つ以上のトコフェロールとトコトリエノールとの混合物であってもよい。本明細書に記載のビタミンEは、天然物由来であってもよいし、人工物由来であってもよい。
【0034】
剥離流体の劣化を改善するために、いくつかの酸化防止剤を剥離流体に添加することができ、例えば、典型的なモータ油は、油の安定性及びエンジン部品の酸化/腐食を改善するためにいくつかの酸化防止剤を含有する。しかしながら、これらの添加剤の大部分は毒性であり、人間と接触する可能性のある印刷物への使用を許可されていない。BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)及びビタミンCなどの一般的な食品承認添加物のいくつかは、シリコーン油に可溶性ではなく、定着温度で安定ではない固体である。
【0035】
ポリジメチルシリコーン(PDMS)流体中の抗酸化添加剤としてビタミンEを使用する別の利点は、その安全性である。ビタミンEは、人間と接触する用途向けに非常に安全であり、環境への有害な影響は知られていない。このことは、本明細書に記載の定着システムを使用して作成されたトナー印刷物が典型的にはシリコーン剥離流体の薄層で終端し、人間と接触するため、特に重要である。
【0036】
ビタミンEは、分解温度が500℃であり、約160~200℃の定着温度で安定であると予想される。したがって、ビタミンE添加剤を含む剥離流体は、その寿命にわたって機械内で安定であると予想される。
【0037】
好適なアミノ官能性シリコーン流体(成分2)の例としては、式IIで表される以下の構造:
【0038】
【化5】
(式中、Qは-R-Xを表し、Rは約1個~約10個の炭素を有するアルキル基を表す。Xは-NH又は-NHRNHを表し、RはRと同じ内容を表す)を有するものなど、ペンダントアミノ基を有するものが挙げられる。式IIにおいて、nは1~50の整数であり、mは10~5,000の整数である。T及びTは、メチル(-CH)基又はヒドロキシル(-OH)基である。式IIの構造は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであり得る。式IIの実施形態では、nは、約1~約50、又は約1~約25、又は約1~約10である。mは、約10~約5,000、又は50~1000、又は100~1000である。いくつかの実施形態では、nは、約1~約10であり、モノ-アミノ、ジ-アミノ、トリ-アミノ、テトラ-アミノ、ペンタ-アミノ、ヘキサ-アミノ、ヘプタ-アミノ、オクタ-アミノ、ノナノ-アミノ、デカ-アミノなどのペンダント基を提供する。剥離流体中のアミノ官能性シリコーン流体の量は、剥離流体の重量に基づいて約1.0重量パーセント~約20.0重量パーセントである。いくつかの実施形態では、Xは-NHを表し、他の実施形態では、Rはプロピルである。いくつかの実施形態では、Xは-NHRNHを表し、他の実施形態では、Rはプロピルである。
【0039】
いくつかの実施形態では、式IIは、約1,000~約100,000ダルトン、又は約1,000~約10,000ダルトンの分子量(Mw)、及び約10~約1,500センチポアズ、又は約50~約1,000センチポアズの粘度を有する。
【0040】
好適な非官能性シリコーン剥離流体(成分3)の例としては、以下の式III:
【0041】
【化6】
を有するものが挙げられる。式IIIにおいて、rは10~5,000の整数である。T及びTは、メチル(-CH3)又はヒドロキシル(-OH)である。式IIの構造は、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであり得る。
【0042】
式IIIの実施形態において、rは、約10~約5,000、又は50~1000、又は100~1000である。
【0043】
いくつかの実施形態では、式IIIは、約1,000~約100,000ダルトン、又は約1,000~約10,000ダルトンの分子量(Mw)、及び約10~約1,500センチポアズ、又は約50~約1,000センチポアズの粘度を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、ブレンドされた剥離流体は、ビタミンEを含む。剥離流体ブレンド中のいずれか(式I(a)又は式I(b))のビタミンE(成分1)の量は、ブレンドされた剥離流体の重量の0.5重量パーセント~約10.0重量パーセントである。いくつかの実施形態では、式II(成分2)の量は、ブレンドされた剥離流体の重量の1重量パーセント~20重量パーセントである。いくつかの実施形態では、式III(成分3)の量は、剥離流体ブレンドの重量の69.5重量パーセント~98.5重量パーセントである。
【0045】
いくつかの実施形態では、式I(a)又は式I(b)及び式II及び式IIIの剥離流体ブレンドは、約50~約1500センチポアズ、又は約60~約500センチポアズ、又は約70~約400センチポアズの粘度を有する。シリコーン剥離流体は、シリコーン剥離流体の合成中に末端シラノールSi-OH基を有することができる。
【0046】
図2は、様々な可能な層を示す、定着部材の一実施形態の拡大概略図である。図2に示すように、基材201は、任意の中間層202を含む。中間層202は、例えば、シリコーンゴム又は他の好適なゴム材料などのゴムであってもよい。中間層202上に外層203が配置されている。外層203上に、以下でより詳細に説明する最も外側の剥離流体又は剥離剤204が配置されている。
【0047】
外層203は、シリコーンエラストマー、フルオロシリコーンエラストマー、フルオロエラストマー、フッ素化炭化水素ポリマー、フッ素化炭化水素とシリコーンとのポリマーブレンド、シリコーンコポリマー、及びフッ素化炭化水素コポリマーとシリコーンコポリマーとの架橋ブレンドからなる群から選択され得る。定着システム部材200の外層203の例としては、フルオロエラストマー又はハイドロフルオロエラストマーが挙げられる。
【0048】
具体的には、好適なフルオロエラストマーは、米国特許第4,257,699号、同第5,017,432号及び同第5,061,965号に加えて、米国特許第5,166,031号、同第5,281,506号、同第5,366,772号、及び同第5,370,931号に詳細に記載されており、それらの開示はそれぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるように、これらのエラストマーは、1)フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、2)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、及びテトラフルオロエチレンのターポリマー、及び3)フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、及び硬化部位モノマーのテトラポリマーのクラスから選択され、VITON(登録商標)、VITON B(登録商標)、VITON E(登録商標)、VITON E 60C(登録商標)、VITON E430(登録商標)、VITON 910(登録商標)、VITON GH(登録商標)、VITON GF(登録商標)、及びVITON ETP(登録商標)として市販されている。VITON(登録商標)という呼称は、E.I.DuPont de Nemours,Inc.の商標である。硬化部位モノマーは、4-ブロモペルフルオロブテン-1,1,1-ジヒドロ-4-ブロモ-ペルフルオロブテン-1,3-ブロモペルフルオロ-プロペン-1,1,1-ジヒドロ-3-ブロモペルフルオロ-プロペン-1、又はDuPontから市販されている任意の他の好適な既知の硬化部位モノマーであり得る。他の市販のフルオロポリマーとしては、FLUOREL 2170(登録商標)、FLUOREL 2174(登録商標)、FLUOREL 2176(登録商標)、FLUOREL 2177(登録商標)、及びFLUOREL LVS 76(登録商標)が挙げられ、FLUOREL(登録商標)は、3M Companyの商標である。更なる市販の材料としては、双方共に3M Companyから入手可能な、ポリ(プロピレンテトラ-フルオロエチレン)であるAFLAS(登録商標)、及びポリ(プロピレン-テトラフルオロエチレン-ビニリデンフルオリド)であるFluorel II(登録商標)(LII900)、並びにMontedison Specialty Chemical Companyから入手可能な、FOR-60KIR(登録商標)、FOR-LHF(登録商標)、NM(登録商標)FOR-THF(登録商標)、FOR-TFS(登録商標)、TH(登録商標)、及びTN505(登録商標)として識別されるTecnoflonが挙げられる。
【0049】
フルオロエラストマーであるViton GH(登録商標)及びViton GF(登録商標)は、比較的少量のフッ化ビニリデンを有する。VITON GF(登録商標)及びViton GH(登録商標)は、約35重量パーセントのフッ化ビニリデン、約34重量パーセントのヘキサフルオロプロピレン、及び約2重量パーセントの硬化部位モノマーを有する約29重量パーセントのテトラフルオロエチレンを有する。
【0050】
外層溶液中のフルオロエラストマー化合物の量は、総固形分中の約10~約25重量パーセント、又は約16~約22重量パーセントである。本明細書で使用される総固形分は、フルオロエラストマー、脱フッ化水素化剤、及び金属酸化物充填剤を含む任意のアジュバント及び充填剤の量を含む。フルオロエラストマーに加えて、外層は、上記のフルオロエラストマーとブレンドされたフルオロポリマー又は他のフルオロエラストマーを含んでもよい。好適なポリマーブレンドの例としては、ポリテトラフルオロエチレン及びペルフルオロアルコキシからなる群から選択されるフルオロポリマーとブレンドされた上記のフルオロエラストマーが挙げられる。フルオロエラストマーは、非フッ素化エチレン又は非フッ素化プロピレンとブレンドされてもよい。
【0051】
定着剤の官能基のための結合部位を設けるために、無機粒子状充填剤を外層と組み合わせて使用してもよい。好適な充填剤の例としては、シリカなどの無機充填剤、あるいは金属、金属合金、金属酸化物、金属塩、又は他の金属化合物などの金属含有充填剤が挙げられる。使用することができる金属の一般的なクラスには、周期表の第1b族、第2a族、第2b族、第3a族、第3b族、第4a族、第4b族、第5a族、第5b族、第6b族、第7b族、第8族の金属及び希土類元素が含まれる。例えば、充填剤は、アルミニウム、銅、スズ、亜鉛、鉛、鉄、白金、金、銀、アンチモン、ビスマス、亜鉛、イリジウム、ルテニウム、タングステン、マンガン、カドミウム、水銀、バナジウム、クロム、マグネシウム、ニッケル、及びそれらの合金の酸化物であり得る。他の具体的な例としては、シリカに加えて、酸化アルミニウム、酸化第二銅、補強性及び非補強性の焼成アルミナ及び板状アルミナの無機粒子状充填剤がそれぞれ挙げられる。他の充填剤としては、カーボンナノチューブ、グラフェン、又は他の形態の炭素などの様々な形態の炭素、並びにアンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズなどのドープ金属酸化物が挙げられる。充填剤は、充填剤を1つだけ含んでも、又は複数の充填剤の混合物を含んでもよい。
【0052】
本明細書における定着部材200の外層203の厚さは、約10~約250マイクロメートル、又は約5~約100マイクロメートル、又は約1~約50マイクロメートルである。
【0053】
本明細書の実施形態の所望の特性及び性能の目的を達成するために、任意の中間接着剤層並びに/あるいは中間ポリマー又はエラストマー層202を塗布することができる。中間層202は、基材201と層203との間に存在してもよい。好適な中間層の例としては、室温加硫(room temperature vulcanization:RTV)シリコーンゴム、高温加硫(high temperature vulcanization:HTV)シリコーンゴム及び低温加硫(low temperature vulcanization:LTV)シリコーンゴムなどのシリコーンゴムが挙げられる。これらのゴムは、例えば、いずれもDow Corning製のSILASTIC(登録商標)735 black RTV及びSILASTIC(登録商標)732 RTV、並びにいずれもGeneral Electric製の106 RTV Silicone Rubber及び90 RTV Silicone Rubberなど、公知であり、市場において容易に入手可能である。他の好適なシリコーン材料としては、シロキサン(例えばポリジメチルシロキサン)などが挙げられる。別の具体的な例は、Dow Corning Sylgard 182である。接着剤中間層は、例えば、エポキシ樹脂及びポリシロキサンから選択され得る。
【0054】
基材201と中間層202との間に接着剤層を設けてもよい。中間層と外層との間に接着剤層が存在してもよい。中間層がない場合、外層は、接着剤層を介して基材に結合されてもよい。中間層の厚さは、約0.5~約20mm、又は約1~約10mm、又は約3~約5mmである。
【0055】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の剥離流体は、送達ロールなどの送達機構を介して、定着部材の外層上に供給される。送達ロールは、剥離流体又は剥離剤を収容するサンプに部分的に浸漬される。
【0056】
剥離流体又は剥離剤は、剥離流体又は剥離剤が保持サンプに収容され、必要に応じて任意選択的に、約0.1~約20mg/コピー、又は約1~約12mg/コピーの量で剥離流体ドナーロールによって定着ロールに供給されるという点で更新可能である。定着装置の剥離流体が保持サンプと任意選択的にドナーロールとを介して定着ロールに供給されるシステムは、公知である。剥離流体は、定着部材表面上に連続相で存在しても、半連続相で存在してもよい。フィルムの形態の剥離流体は連続相であり、定着部材を連続的に覆う。
【0057】
図3は、剥離流体を送達するための可変速度計(variable speed meter:VSM)の一実施形態を示す。図3は、駆動モータ310が計量ロール330を回転させるように、ベルト320によって計量ロール330に取り付けられた駆動モータ310を示す。制御装置390が駆動モータ310を制御する。計量ロール330は、剥離流体パン370から剥離流体380をピックアップする。剥離流体380は、計量ロール330の表面に付着し、計量ブレード360によって所望の厚さの層に広がり、次いでドナーロール340に転写される。次いで、剥離流体380は、ドナーロール340から定着ロール(又はベルト)350に転写される。定着ロール350は、印刷シート上の未定着トナーと接触するロールである、図1に示す定着ステーション119の上部ロール120に対応してもよい。その結果、図3に示す装置は、定着ロール表面へのトナーの接着を低減するために、定着ロールに剥離流体又は剥離剤の均一な層を塗布する。
【0058】
「駆動部」又は「駆動モータ」という用語は、所望の回転速度を提供することができる任意の電気機械的構成に適用することができ、例えば、付随する伝達機構の有無にかかわらず、ブラシ付きモータ、ブラシレスモータ、又はステッピングモータなどの単なる電気モータを含むことができる。また、定着ロール、ドナーロール、又は計量ロールを含む任意のロールは、代替の実施形態では、2つ以上のローラの周りに巻き付けられたベルトの形態であってもよい。
【0059】
従来の剥離剤管理システム(RAM)は、印刷ジョブが実行されていない時はアイドル剥離流体速度(又は剥離流体なし)で、印刷ジョブが実行されている時は定常状態実行剥離流体速度で、定着ロールに剥離流体を塗布する。これらのシステムは、印刷ジョブが開始されると、アイドル剥離流体速度から定常状態実行油速度に変化する。
【0060】
本明細書に記載のブレンド剥離流体は、ビタミンE(式I(a)又は式I(b))と、アミノ官能性シリコーン流体(式II)と、非官能性シリコーン流体(式III)とのブレンドを含む。
【0061】
以下に、具体的な実施形態を詳細に説明する。これらの実施例は、例示的であることが意図されており、これらの実施形態に記載される材料、条件、又はプロセスパラメータに限定されない。全てのパートは、特に指示がない限り、固体重量による百分率である。
【実施例0062】
剥離流体を以下のように作製した。1000gの非官能性シリコーン剥離流体(式III)及び250gのアミン官能性シリコーン剥離流体(式II)を、オーバーヘッドスターラを使用してビーカ内で混合した。50gのビタミンE(Sigma Aldrichから入手したα-トコフェロール、製品番号258024)を、撹拌しながらビーカ内のシリコーン流体混合物にゆっくりと添加した。
【0063】
上記に開示したもの並びに他の特徴及び機能の変形、又はそれらの代替物が、他の異なるシステム又は用途に組み合わされてもよいことが理解されるであろう。現在予想されていないか又は予測されていないそこでの様々な代替物、修正物、変形物、又は改善物は、以後に当業者によって作製されてもよく、これらはまた、以下の特許請求の範囲によって包含される。
図1
図2
図3