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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041653
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】クランプ装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 17/00 20060101AFI20230316BHJP
   B23Q 3/06 20060101ALI20230316BHJP
   B23B 31/02 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
B23Q17/00 B
B23Q3/06 303G
B23B31/02 601Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022144574
(22)【出願日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】21196223
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596007164
【氏名又は名称】エスエムヴェー アウトブローク シュパンジステーメ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SMW-Autoblok Spannsysteme GmbH
【住所又は居所原語表記】Wiesentalstrasse 28, D-88074 Meckenbeuren, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エッカート マウラー
【テーマコード(参考)】
3C016
3C029
3C032
【Fターム(参考)】
3C016CA03
3C016CA07
3C016CB07
3C016CC01
3C016CE03
3C029EE06
3C032GG01
3C032GG27
3C032GG34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ワークを保持するためのクランプ装置において、全加工プロセス前かつプロセス中にワークと載置面および/またはクランプジョーとの間の間隔の確実かつ検査可能な監視を行うことが出来るクランプ装置の提供。
【解決手段】ハウジング4に自由空間11が加工されており、自由空間の対称軸線が載置面6’に対して垂直に延在しており、自由空間は開放した端面側でもって挟持されたワーク3に面しており、かつ/またはクランプジョー7,8,9のうちの1つのクランプジョーに少なくとも1つの自由空間が加工されており、各々の自由空間内に近接センサ12が挿入されており、この近接センサによって、載置面とワークとの間に監視領域が形成されており、この監視領域は、ワークの存在に関して評価ユニット14によって監視されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械(2)により加工すべきワーク(3)を保持するためのクランプ装置(1)であって、チャック、バイスまたはゼロポイントクランプシステムとして使用されていて、
ハウジング(4)と、
載置要素(6)であって、前記ハウジング(4)の構成部分であるかまたは前記ハウジング(4)に固定されていて、載置面(6’)を形成しており、該載置面(6’)に加工プロセス中に各々の前記ワーク(3)が載置されている、載置要素(6)と、
前記ワーク(3)を前記載置面(6’)の領域で挟持する、前記ハウジング(4)に軸線方向可動に支持された少なくとも1つのクランプジョー(7)および前記ハウジング(4)により形成された少なくとも1つの対応ストッパまたは軸線方向可動の少なくとも1つのクランプジョー(8)、または前記ワーク(3)を前記載置面(6’)の領域で挟持する、前記ハウジング(4)に軸線方向可動に支持された少なくとも3つのクランプジョー(7,8,9)と
から成っており、
前記ハウジング(4)に少なくとも1つの自由空間(11)が加工されており、前記自由空間(11)の対称軸線が、前記載置面(6’)に対して垂直に延在しており、前記自由空間(11)は、開放した端面側でもって、挟持された前記ワーク(3)に面しており、かつ/または前記クランプジョー(7,8,9)のうちの1つのクランプジョーに少なくとも1つの自由空間(11)が加工されており、該自由空間(11)は、前記クランプジョー(7,8,9)の各々のクランプ面(7’,8’,9’)に開口しており、
各々の前記自由空間(11)内に近接センサ(12)が挿入されており、
前記近接センサ(12)によって、前記載置面(6’)と前記ワーク(3)との間に監視領域(13)が形成されており、該監視領域(13)は、前記ワーク(3)の存在に関して評価ユニット(14)によって監視されている、
クランプ装置(1)において、
前記ハウジング(4)の中心点(21)に対する前記自由空間(11)の間隔が、加工すべき前記ワーク(3)の直径に応じて可変に調整可能であることを特徴とする、クランプ装置(1)。
【請求項2】
前記載置面(6’)に互いに120°のピッチ角で3つの自由空間(11)が配置されていることを特徴とする、請求項1記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記自由空間(11)は、前記載置面(6’)において、前記ハウジング(4)の中心点(21)を中心として延在する円軌道(20)上に配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記載置面(6’)において互いに隣り合った2つの自由空間(11)の間に前記クランプジョーのうちの1つのクランプジョー(7;8;9)が配置されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載のクランプ装置。
【請求項5】
動作のために必要となるエネルギーおよび/または通信のために必要な電気的な信号が、各々の前記近接センサ(12)と前記評価ユニット(14)との間で、前記ハウジング(4)内または前記ハウジング(4)の外部に配置された誘導動作型のインタフェース(16)によって伝送されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のクランプ装置。
【請求項6】
前記自由空間(11)内に挿入された前記近接センサ(12)の各々は、電気的な線路(15)または誘導性のインタフェース(16)によって前記評価ユニット(14)に接続されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のクランプ装置。
【請求項7】
前記評価ユニット(14)は、前記自由空間(11)の前記対称軸線(21’)上に配置されており、各々の前記近接センサ(12)の前記電気的な線路(15)は、束ねられて前記評価ユニット(14)に案内されていて、該評価ユニット(14)から束ねられて外向きに案内されていることを特徴とする、請求項6記載のクランプ装置。
【請求項8】
前記近接センサ(12)の各々は、0.02mm~3mmの監視領域(13)を形成しており、該監視領域(13)は、前記載置面(6’)から垂直に突出した範囲として形成されており、該範囲内に、挟持すべき前記ワーク(3)が装着されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載のクランプ装置。
【請求項9】
各々の前記近接センサ(12)は、誘導動作型、容量動作型であるか、または光波が、それぞれ距離特定のために発せられていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載のクランプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載の、工作機械により加工すべきワークを保持するためのクランプ装置であって、特にチャック、バイスまたはゼロポイントクランプシステムとして使用されているクランプ装置に関する。
【0002】
このようなクランプ装置は、独国特許出願公開第102007048121号明細書に基づきすでに公知である。さらに、米国特許第6257077号明細書、独国特許出願公開第102008052809号明細書、欧州特許出願公開第3391991号明細書、欧州特許出願公開第3578294号明細書、欧州特許出願公開第3266546号明細書、独国特許出願公開第102017213400号明細書および独国実用新案第202010001139号明細書についても言及しておく。
【0003】
このようなクランプ装置は、1つのクランプジョーまたはワークを加工プロセス中に位置不変に挟持する互いに接近可能ひいては可動に支持された2つのクランプジョーを備えたバイスとして形成されていてよい。しかしながら、このようなクランプ装置は、ワークを取り付けかつ工作機械の加工プロセス中に位置規定して保持するために、半径方向に送り可能な少なくとも3つのクランプジョーを備えたチャックとして形成されていてもよい。
【0004】
このようなクランプ装置は、いわゆるマシニングセンタに配置されていて、ゼロポイントクランプシステムと一緒にパレットまたは工具テーブルにおいて使用されることが多い。ゼロポイントクランプシステムによって、クランプ装置を交換時にワークと一緒に、予め設定された同一の位置に正確に組み付けることができることが達成されている。このことは、ワークが挟持されているクランプ装置の交換時に再度の位置較正が不要となることを意味している。
【0005】
パレットまたは工具テーブルは、加工プロセス中に回転させられている。したがって、加工プロセス中には著しい遠心力が、回転しているワークおよびクランプ装置に作用している。
【0006】
したがって、クランプ装置へのワークの組付け時だけでなく、全加工プロセス中にも、クランプ装置に対するワークの正確な位置を監視することが必要となる。
【0007】
数年来、このような監視過程を媒体、特に空気またはガスによって実施することが知られている。この場合、媒体が、静止した状態から、回転しているクランプ装置内に案内されていることが必要となる。したがって、媒体の不動の蓄え装置と、回転しているクランプ装置との間の移行領域に、クランプ装置の回転運動を補償する連結ユニットまたはアダプタが設けられなければならない。さらに、媒体は、クランプ装置のハウジングに加工された各々の孔内に一定の圧力で流入させられなければならない。なぜならば、圧縮空気を載置面で、つまり、クランプ装置のハウジング上面と、それぞれ挟持されているワークとの間で流出させることが求められるからである。
【0008】
したがって、クランプ装置の載置面と、ワークの、クランプ装置のハウジングに面した下面との間の空隙が、そこに生じている圧力に対する尺度を成している。つまり、載置面とワークとの間の間隔が公差範囲内、例えば0.02mmにある場合には、ワークとハウジングとの間の間隔が適正であるかもしくは公差範囲内にあることを知ることができる既知の圧力状態が生じている。異物粒子、例えばチップまたはその他の不純物によって、またはクランプジョーの所要のクランプ力の減少によって、加工プロセス前または加工プロセス中にワークの位置変化が生じると、ワークとクランプ装置の載置面との間に、増大させられた空隙が生じ、この空隙を通って媒体が流出してしまう。これによって、載置面とワークとの間の移行の領域で減圧が生じる。この圧力降下は測定可能であり、したがって、ワークの位置がもはや適正にないことを推測させる。
【0009】
クランプ装置用のこの知られている監視装置では、媒体を不変の環境からクランプ装置の回転している環境に、特に載置面とワークとの間の移行領域に搬送するために、かなりの構造上の手間をかけなければならないことが不利であると判った。この場合、媒体が加工プロセスの全期間にわたって均一に提供され、所望の流出箇所、つまり、載置面とワークとの間に一定の圧力状態で圧入されていて、そこで、予め設定された圧力でもって流出することが技術的に極めて重要となる。このような技術的に制約された設定は、必然的にかなりの構造上の手間およびコスト増に繋がってしまう。
【0010】
さらに、このような機械的に動作させられる監視手段は、測定値を外部の評価装置に伝送しなければならないという欠点を有している。圧力降下は、確かに、ワークとクランプ装置の載置面との間の移行領域でじかに生じるが、測定値は、まず、圧力状態として検出されなければならず、相応の電気的な構成ユニットによって初めてデジタルの切換信号に変換することができる。したがって、ワークと載置面との間の間隔変化が相応に好ましくない場合には、例えば工作機械を即座にオフにするために、許容範囲の逸脱を別の電気的な機器に即座に伝送することができない。
【0011】
したがって、本発明の課題は、冒頭に記載した形態のクランプ装置を改良して、全加工プロセス前かつ全加工プロセス中に、ワークとクランプ装置の載置面および/またはクランプジョーとの間の間隔の確実かつ検査可能な監視が、このために大規模な構造上の手段を必要とすることなしに行われるようにすることである。同時に、ワークとクランプ装置の載置面との間の間隔に関して求められる測定結果がデジタルに形成され、したがって、即座に評価可能であり、ひいては、切換信号として使用可能となることが求められている。
【0012】
ハウジングに少なくとも1つの自由空間が加工されており、自由空間の対称軸線が、載置面に対して垂直に延在しており、自由空間は、開放した端面側でもって、挟持されたワークに面しており、かつ/またはクランプジョーのうちの1つのクランプジョーに少なくとも1つの自由空間が加工されており、この自由空間は、クランプジョーの各々のクランプ面に開口しており、各々の自由空間内に近接センサが挿入されており、この近接センサによって、載置面とワークとの間に監視領域が形成されており、この監視領域は、ワークの存在に関して評価ユニットによって監視されていることによって、装着時、クランプ動作時および工作機械の全加工プロセス中にワークの位置が監視されており、基準平面としての載置面に対するワークの間隔が、予め設定された公差範囲外に変化させられると、このことを評価ユニットが即座に確認して、電気的なもしくはデジタルの切換信号を発生させ、この切換信号によって、工作機械を時間的な遅れなしに停止させることができる。
【0013】
さらに、特に有利には、媒体が、クランプ装置の回転しているハウジング内に搬送される必要がない。したがって、不動の圧力形成手段とクランプ装置の回転するハウジングとの間の全ての連結アダプタが不要となる。これによって、1つには、工作機械に自由空間が提供されており、もう1つには、このような媒体を完全に不要にすることができる。これによって、製造コストが大幅に削減される。
【0014】
誘導動作型の近接センサを動作させるために必要となるエネルギーは、電気的な線路を介して提供することができる。同時に、この電気的な線路によって、データまたは信号を評価ユニットに伝送し、この評価ユニットから工作機械またはその他の電気的な制御機器に伝送することができる。
【0015】
電気的な線路を誘導動作型のインタフェースに置き換えることが難なく可能であり、これによって、評価ユニットをクランプ装置のハウジングの内部にも外部にも配置することができる。
【0016】
図面には、クランプ技術において種々異なる用途に用いられる3つのクランプ装置が示してあり、これら3つのクランプ装置を以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ワークを保持するための載置要素が組み付けられたハウジングと、このハウジングに軸線方向可動に支持されていて、ワークを挟持することができる3つのクランプジョーとを備えたチャックとしてのクランプ装置の斜視図である。
図2】ワークが最適に挟持されている図1に示したクランプ装置の断面図である。
図3】ワークが誤って装着されている図1に示したクランプ装置を示す図である。
図4a】ワークを保持するための環状の載置面が形成されたハウジングと、このハウジングに軸線方向可動に支持されていて、ワークを挟持してセンタリングすることができる3つのクランプジョーとを備えたゼロポイントクランプシステムとしてのクランプ装置の斜視図である。
図4b】ワークを保持するための環状の載置面が形成されたハウジングと、このハウジングに軸線方向可動に支持されていて、ワークを挟持してセンタリングすることができる3つのクランプジョーとを備えたゼロポイントクランプシステムとしてのクランプ装置の斜視図である。
図5】互いに向かい合って位置する2つのクランプジョーが、ワークを保持するために軸線方向可動に配置されていて、相互間に、加工すべきワークが保持されているハウジングを備えたバイスとしてのクランプ装置を示す図である。
【0018】
図1図2ならびに図3から、工作機械2の領域に配置されたクランプ装置1を認めることができる。このクランプ装置1によって、工作機械2により加工すべきワーク3が位置規定されて保持されるようになっており、これによって、相応の加工動作を工作機械2により実施することができる。この工作機械2の個々の加工ステップは可能な限り少ない誤差で実施されることが求められているので、挟持されるワーク3の位置が、クランプ装置1への装着時にも、工作機械2の全加工プロセス中にも、監視されなければならない。
【0019】
クランプ装置1は、工作機械2の加工プロセス中に通常回転させられているハウジング4から成っている。このハウジング4には、3つのガイド溝5が加工されている。これら3つのガイド溝5は半径方向に延在しており、つまり、ハウジング4の中心点21の方向に向けられている。
【0020】
各々のガイド溝5内には、3つのクランプジョーのうちの1つのクランプジョー7;8;9が、軸線方向可動に支持されて挿入されている。クランプジョー7,8,9は、ハウジング4の内部に配置された相応の駆動手段(図示せず)によって液圧的、電気的または機械的に駆動することができる。したがって、ワーク3の取外し時には、クランプジョー7,8,9が同期して外向きに運動させられ、新たに加工すべきワーク3がクランプ装置1に装着されると、3つのクランプジョー7,8,9が同期してワーク3の外周面の方向に送られ、その後、クランプジョー7,8,9がワーク3に作用接触して、予め設定された相応の保持力をワーク3に加える。
【0021】
さらに、ハウジング4には、載置要素6が固定されている。この載置要素6は、中心点21から突出した3つのアームを有している。これら3つのアームによって、各々のワーク3が載置される載置面6’が形成されている。したがって、この載置面6’は、ワーク3を一方向に支持している。3つのクランプジョー7,8,9は、ワーク3をセンタリングしかつ載置面6’により形成された基準平面に対して平行にクランプする。したがって、クランプジョー7,8,9が送られると、ワーク3は空間内でセンタリングされて保持されている。
【0022】
載置面6’に対するワーク3の位置を監視するために、ハウジング4には、まず、互いにずらされて配置された3つの孔11が加工されている。これら3つの孔11は、載置面6’に対して垂直に延在していて、挟持すべきワーク3の方向に開放している。
【0023】
各々の孔11内には、誘導動作型の近接センサ12が挿入されており、この近接センサ12により形成された外側輪郭は、載置面6’よりも若干下方に延在している。したがって、挟持すべきワーク3と各々の近接センサ12との間には、例えば0.02mmの空隙が存在している。ワーク3が全面で載置面6’に載置されている場合でさえ、予め設定された空隙が、近接センサ12とワーク3との間に存在している。
【0024】
さらに、図1から明らかであるように、3つのクランプジョー7,8,9は120°のピッチ角で配置されており、3つの孔11は、互いに隣り合った2つのクランプジョー7;8;9の間に延在している。したがって、孔11も120°のピッチ角で配置されており、これによって、ワーク3の位置が、装着時および全加工プロセス中に、孔11内に挿入された近接センサ12によって監視されている。
【0025】
図2から認めることができるように、ワーク3は、載置面6’に誤差なく載置されていて、クランプジョー7,8,9によって均等に拘止されている。したがって、ワーク3の下面と載置面6’の上面との間の間隔は、載置面6’の平面全体にわたって等しい。各々の近接センサ12によって、概略的に記入した監視領域13が形成されている。この監視領域13は、0.02mm~3mmの距離にわたって延在している。したがって、監視領域13の距離は、ワーク3と載置面6’との間の所望の間隔を近接センサ12によって確認するのに十分である。この場合、監視領域13は、ワーク3の下面にぶつかっている概略的に記入した力線13’によって形成されている。したがって、各々の近接センサ12は、この近接センサ12と、挟持されたワーク3との間の間隔を持続的に監視することができる。
【0026】
図3では、載置面6’とワーク3との間に、ワーク3の位置を誤って変化させてしまうチップ30が存在している。
【0027】
孔11は、キャリッジまたは可動に支持されたその他の構成部材に加工されていてよく、これによって、ハウジング4の中心点21に対する孔11の位置を変化させることができる。つまり、加工すべきワーク3の直径は拡径または縮径されるので、近接センサ12ひいては孔11をワーク3の直径に適合させることができる。
【0028】
各々の近接センサ12は、電気的な線路15によって評価ユニット14に接続されている。したがって、各々の近接センサ12により求められたワーク3の存在に関する測定データは、電気的な線路15を通って評価ユニット14に電気的に伝送されている。この評価ユニット14は、別の電気的な線路15を介して工作機械2またはその制御装置に接続されている。したがって、各々の近接センサ12とワーク3との間の間隔の変化を即座に評価ユニット14に伝送し、この評価ユニット14から工作機械2に伝送して、この工作機械2を緊急停止させることができる。この状態は、例えば図3に示してある。それというのも、図3では、ワーク3が傾いた状態で装着されており、これによって、このワーク3と図示の近接センサ12との間の空隙または間隔が、予め設定された公差範囲によって許容されている量よりも大きいからである。つまり、ワーク3と載置面6’との間の間隔が0.02mmよりも多く増加させられると、ワーク3は、予め設定された公差範囲外に位置している。さらに、加工プロセス中の間隔の変化によって、発生させられた回転力によりワーク3がクランプジョー7,8,9同士の間の確実な保持位置から変位させられていることが判る。しかしながら、ワーク3のこのような変位は、ワーク3がクランプ装置1の拘止から完全に解除されることを招くことがある。したがって、安全上の理由から、工作機械2を即座にオフにして、加工動作を終了させることができる。
【0029】
電気的な線路15は、ハウジング4の、中心点21に対して整合して延在する対称軸線21’の領域で束ねられている。線路15は、誘導動作型のインタフェース16によって置き換えられていてよく、これによって、近接センサ12と評価ユニット14との間の通信が誘導式に動作させられている。評価ユニット14は、ハウジング4の内部にまたは外部、つまり、不変の環境に難なく配置されていてよい。
【0030】
記載および図示した実施例では、本発明に係るクランプ装置1として、3つのクランプジョー7,8,9を備えたチャックが選択されている。当然ながら、このようなクランプ装置1では、より多くのクランプジョー7,8,9が使用されていてもよく、幾つかの孔11が、載置面6’にわたって図示の円軌道20を取り囲むように配置されていてよい。この円軌道20は、予め設定された半径を有しており、円軌道20の中心点はハウジング4の中心点21である。当然ながら、任意の個数の孔11が、中心点21に対してそれぞれ異なる間隔を置いて設けられていてよい。
【0031】
既存のクランプ装置1に本発明による近接センサ12を後付けすることは難なく可能である。なぜならば、必要となる各々の孔11を後からハウジング4に加工することもできるからである。この場合には、近接センサ12の挿入と、電気的な線路15を介した近接センサ12と評価ユニット14との動作とが後付け可能である。
【0032】
図4aおよび図4bでは、クランプ装置1が、いわゆるゼロポイントクランプシステムとして形成されていて、使用されている。基本的には、ゼロポイントクランプシステム1は、このゼロポイントクランプシステム1によって、ワーク3を固定するかまたはワーク3を直接センタリングするクランプピンが空間内に保持されている点で優れている。つまり、知られているゼロポイントクランプシステムによって、ワーク3が、同形のワーク3の加工プロセス中に工作機械2のパレットまたは工具テーブルに繰返し精密に配置されるようになっている。したがって、ゼロポイントクランプシステム1は、工作機械2の実施すべき加工動作に対する正確な基準を設定している。なぜならば、交換される各々のワーク3が、同一構造のワーク3の先行位置に可能な限り正確に対応するようになっているからである。
【0033】
1つには、ワークを支持するクランプピン23またはワーク3は、ハウジング4に軸線方向可動に支持された3つのクランプジョー7,8,9によってハウジング4の内部に引っ張られ、もう1つには、同期して互いに接近可能な3つのクランプジョー7,8,9は、ワーク3の位置が、同一構造のワーク3の先行位置もしくは後続位置に可能な限り極端に少ない誤差で対応するように、ワーク3をセンタリングして拘止する。したがって、載置面6’は、周方向に延在する環状面として形成されていて、ハウジング4の対称軸線21’に対して傾きを有している。したがって、クランプジョー7,8,9のクランプ面7’,8’,9’同士の間の相応の構造的な手段によって、ワーク3をハウジング4の内部に引き込む所要の引張り作用が生じ、また、環状の載置面6’は、予め設定された傾きに基づき、ワーク3を取り付けるピン用またはワーク3用のストッパを直接形成している。載置面6’は、ハウジング4の直接的な構成部分である。
【0034】
孔11が、載置面6’および/またはクランプスライダと呼ばれる3つのクランプジョー7,8,9のクランプ面7’,8’,9’に加工されていて、それぞれ孔11内に挿入された近接センサ12が、各々のワーク3に面しているため、それぞれ使用される近接センサ12によって、載置面6’もしくはクランプジョー7,8,9への孔11の配置に関して、近接センサ12とワーク3との間の間隔が監視されていて、測定されている。
【0035】
図5に示したクランプ装置1は、互いに向かい合って位置する2つのクランプジョー7,8を備えたバイスとして形成されていて、使用可能になっている。クランプジョー7,8は、ハウジング4に軸線方向可動に支持されていて、ワーク3を解放または挟持するために、互いに離れる方向にまたは互いに近づく方向に選択的に運動させられていてよい。通常、両方のクランプジョー7,8は同期して運動させられ、これによって、ワーク3は、ハウジング4の予め設定されたセンタリング軸線に対してアライメントされていて、保持されている。しかしながら、一方のクランプジョー8が、位置不変の対応ストッパとして形成されていて、したがって、位置規定されてハウジング4に設けられていることも可能である。したがって、一方のクランプジョー8に向かい合って位置するクランプジョー7だけが運動させられ、挟持すべきワーク3が、クランプジョー7と対応ストッパ8との間に保持されている。
【0036】
また、バイス1に、ハウジング4により形成もしくは提供された載置面6’が割り当てられており、これによって、挟持すべきワーク3が載置面6’に載置されることも可能である。クランプジョー7,8は、バイス1に設けられた載置面6’に対して平行にかつ離間させられて運動させられ、これによって、ワーク3は、載置面6’上にかつクランプジョー7,8同士の間に位置固定されている。
【0037】
ワーク3と各々の近接センサ12との間の適正な間隔を検査するために、孔11は、載置面6’および/またはクランプ面7’,8’もしくは対応ストッパ8に加工されていて、それぞれ保持すべきワーク3に向けられている。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
【外国語明細書】