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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041709
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20230316BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20230316BHJP
   G06Q 10/08 20230101ALI20230316BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/123 A
G06Q10/08
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002925
(22)【出願日】2023-01-12
(62)【分割の表示】P 2021064033の分割
【原出願日】2016-09-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】嶋崎 大樹
(72)【発明者】
【氏名】森 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】谷田部 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】亀本 佳孝
(57)【要約】
【課題】各配送車両の状態等に関する情報が一覧表示されている場合においても、配送車両個々における問題の発生等を迅速且つ個別に認識し、且つ当該問題に対処する方法をも迅速に認識することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】サーバ装置SVの処理部10は、立寄地をそれぞれに含んだ複数の配送車両ごとの予定コースにおける配送車両ごとの移動の進捗を、配送車両が到着していない未着地と共に検出し、当該各進捗と共に、検出された未着地を識別可能にディスプレイDに表示させる。このとき表示制御部2は、未着地を指定する操作に基づき、未着地の位置を含む地図を表示させ、且つ当該地図の範囲内にあるいずれかの配送車両の位置を地図と共にディスプレイDに表示させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立寄地をそれぞれに含んだ複数の移動体ごとの予定コースにおける前記移動体ごとの移動の進捗を、前記移動体が到着していない前記立寄地である未着地と共に検出する検出手段と、
検出された各前記進捗と共に、前記検出された未着地を識別可能に表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記未着地の指定操作に基づき、当該未着地の位置を含む地図を表示させ、且つ当該地図の範囲内にあるいずれかの前記移動体の位置を当該地図と共に表示させることを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、情報処理装置及び情報処理方法の技術分野に属する。より詳細には、移動体に関連する諸情報及び移動体に関連する地図の表示を行う情報処理装置及び情報処理方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、業務用の配送車両を用いた荷物等の配送が広く一般化している。このとき、当該配送車両を擁する配送業者としては、各配送車両の状態(移動状態等)を記録等することで、各配送車両及びその運転者等の業務管理や労務管理をする必要がある。また、配送すべき荷物等が緊急に発生した場合、近くを移動している配送車両にその荷物等を取りに行かせる必要も生じる。これらの必要性のため、配送業者としては、移動している配送車両の状態を逐一且つリアルタイムに把握する必要がある。なおこのときの「配送車両の状態」とは、より具体的には、例えば各配送車両が駐車又は停車しているか否かの状態等が該当する。
【0003】
そして、このような要請に対応した技術を開示した先行技術文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。この特許文献1に記載されている技術に係る管理システムでは、ホームページを開設して車両の移動の進捗の情報(各貨物の到着予測時刻や遅延等)を取得し、そのホームページを介してそれらを例えば配送車両自体や管理センタ等に通知する構成とされている。また上記配送車両の状態は、複数の配送車両について一覧表示する構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-16573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような構成を備える特許文献1記載の技術では、複数の配送車両の状態等に関する多くの情報が一度に一覧表示されるがゆえに、例えば、本来経由されるべき立寄地に何らかの理由で配送車両が到着しないといった配送車両個々の問題の発生を迅速且つ個別に認識すると共に、それに対処する方法を迅速に認識することができないという問題点があった。
【0006】
そこで本願は、上記の問題点に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、複数の配送車両の状態等に関する情報が一覧表示されている場合においても、配送車両個々における問題の発生等を迅速且つ個別に認識し、且つ当該問題に対処する方法をも迅速に認識することが可能な情報処理装置及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、立寄地をそれぞれに含んだ複数の移動体ごとの予定コースにおける前記移動体ごとの移動の進捗を、前記移動体が到着していない前記立寄地である未着地と共に検出する検出手段と、検出された各前記進捗と共に、前記検出された未着地を識別可能に表示手段に表示させる表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記未着地の指定操作に基づき、当該未着地の位置を含む地図を表示させ、且つ当該地図の範囲内にあるいずれかの前記移動体の位置を当該地図と共に表示させるように構成される。
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項10に記載の発明は、表示手段に接続された情報処理装置において実行される情報処理方法であって、立寄地をそれぞれに含んだ複数の移動体ごとの予定コースにおける前記移動体ごとの移動の進捗を、前記移動体が到着していない前記立寄地である未着地と共に検出する検出工程と、検出された各前記進捗と共に、前記検出された未着地を識別可能に前記表示手段に表示させる表示制御工程と、を含み、前記表示制御工程においては、前記未着地の指定操作に基づき、当該未着地の位置を含む地図を表示させ、且つ当該地図の範囲内にあるいずれかの前記移動体の位置を当該地図と共に表示させるように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る情報処理装置の概要構成を示すブロック図である。
図2】実施例に係る配送管理システムの概要構成を示すブロック図である。
図3】実施例に係る配送管理システムの細部構成を示すブロック図であり、(a)は実施例に係る端末装置の概要構成を示すブロック図であり、(b)は実施例に係るサーバ装置の概要構成を示すブロック図である。
図4】実施例に係るデータベースの内容を例示する図であり、(a)は実施例に係る状態情報データベースを例示する図であり、(b)は実施例に係る配送車両データベースを例示する図である。
図5】実施例に係る表示制御処理を示すフローチャートである。
図6】実施例に係る表示例を示す図(I)である。
図7】実施例に係る表示例を示す図(II)である。
図8】実施例に係る表示例を示す図(III)である。
図9】実施例に係る地図の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本願を実施するための形態について、図1を用いて説明する。なお図1は、実施形態に係る情報処理装置の概要構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る情報処理装置Sは、検出手段1と、表示手段Dに接続された表示制御手段2と、を備えて構成されている。
【0012】
この構成において検出手段1は、立寄地をそれぞれに含んだ複数の移動体ごとの予定コースにおける当該移動体ごとの移動の進捗を、移動体が到着していない立寄地である未着地と共に検出する。そして表示制御手段2は、検出手段1により検出された各進捗と共に、検出手段1により検出された未着地を識別可能に表示手段Dに表示させる。
【0013】
このとき表示制御手段2は、未着地の指定操作に基づき、当該未着地の位置を含む地図を表示させ、且つ当該地図の範囲内にあるいずれかの移動体の位置を当該地図と共に表示させる。
【0014】
以上説明したように、実施形態に係る情報処理装置Sの動作によれば、立寄地を含んだ複数の移動体ごとの既定の予定コースにおける移動体ごとの移動の進捗を、移動体が到着していない未着地と共に検出し、その移動の進捗と共に、検出された未着地を識別可能に表示させる。そして、その未着地の指定操作に基づいて、未着地の位置を含む地図を表示させ、且つその地図の範囲内にあるいずれかの移動体の位置を地図と共に表示させる。よって、各移動体の移動の進捗を纏めて認識できると共に、未着地まで移動し得る移動体の存在を迅速に把握できることで、未着地の発生に対処するために効率的に各移動体を移動させることができる。
【実施例0015】
次に、上述した実施形態に対応する具体的な実施例について、図2乃至図9を用いて説明する。なお、図2は実施例に係る配送管理システムの概要構成を示すブロック図であり、図3は当該配送管理システムの細部構成を示すブロック図である。また、図4は実施例に係るデータベースの内容を例示する図であり、図5は実施例に係る表示制御処理を示すフローチャートであり、図6乃至図8は実施例に係る表示例をそれぞれ示す図であり、図9は実施例に係る地図の表示例を示す図である。このとき図3では、図1に示した実施形態に係る情報処理装置Sにおける各構成部材に対応する実施例の構成部材それぞれについて、当該情報処理装置Sにおける各構成部材と同一の部材番号を用いている。
【0016】
以下に説明する実施例は、各配送車両それぞれに搭載された端末装置と、サーバ装置と、が、インターネット等のネットワークを介して接続されてなる配送管理システムにおいて、各配送車両の状態をサーバ装置において表示する際の表示制御に実施形態を適用した場合の実施例である。ここで当該配送車両の状態とは、各配送車両における、例えば走行中、駐車中、休憩中、荷卸中、荷積中、帰社等の状態をいう。
【0017】
このとき「駐車中」の状態とは、各配送車両が駐車中であることが、当該配送車両の運転者又は同乗者の入力操作により示されている状態をいう。なお以下の説明において、配送車両の運転者又は同乗者を、単に配送車両の「搭乗者」と称する。また「休憩中」の状態とは、各配送車両の搭乗者が例えば昼食等の、予定された休憩中であることにより当該配送車両が停車状態にあることが、当該搭乗者の入力操作により示されている状態をいう。また「荷卸中」の状態とは、各配送車両の搭乗者が予定された荷卸し作業中であることにより当該配送車両が停車状態にあることが、当該搭乗者の入力操作により示されている状態をいう。更に「荷積中」の状態とは、各配送車両の搭乗者が予定された荷積中であることにより当該配送車両が停車状態にあることが、当該搭乗者の入力操作により示されている状態をいう。最後に「帰社」の状態とは、各配送車両についてその日に予定されている配送業務が終了して当該配送車両が帰社していることが、当該搭乗者の入力操作により示されている状態をいう。
【0018】
図2に示すように、実施例に係る配送管理システムSSは、端末装置T1、端末装置T2、…、端末装置Tn(nは自然数)と、サーバ装置SVと、サーバ装置SVと端末装置T1、端末装置T2、…、端末装置Tnとを無線又は有線により接続するインターネット等のネットワークNWと、により構成されている。なお以下の説明において、端末装置T1、端末装置T2、…、端末装置Tnに共通の事項を説明する場合、これらを纏めて適宜「端末装置T」と称する。以上の構成において、サーバ装置SVは、例えば配送管理システムSSを管理する管理者等の元に固定設置されている。これに対して各端末装置Tは、それぞれが各配送車両に搭載されている。また各端末装置Tは、それぞれが搭載されている配送車両の位置、移動方向及び速度を例えばGPS(Global Positioning System)等のセンサを用いて検出し、その移動を案内する。このため各端末装置Tには後述するように、種々の渋滞情報を取得するためのインターフェースや、案内ルートを探索するための案内処理部等が備えられている。また各端末装置Tは、予め設定された時間間隔で、各配送車両の位置を示す位置データと、当該位置データにより示される位置が検出された日付及び時刻をそれぞれ示す日付データ及び時刻データと、当該時刻に端末装置Tにおいて検出された速度を示す速度データと、その配送車両の搭乗者により端末装置Tを用いて入力された当該配送車両が上記いずれの状態であるかを示す状態データと、を含む状態情報を、インターフェース及びネットワークNWを介して、各配送車両を識別するための車両IDに関連付けて送信する。ここで上記時間間隔は例えば1秒であるが、この時間間隔は上記管理者等が任意に設定し得る。
【0019】
次に図3(a)に示すように、実施例に係る各端末装置Tはそれぞれ、インターフェース15と、CPU、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等からなり且つ図示しない上記各センサを含む案内処理部16と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイ19と、タッチパネル、操作ボタン又はリモコン等からなる操作部17と、HDD(Hard Disc Drive)又はSSD(Solid State Drive)等からなる記録部18と、により構成されている。
【0020】
この端末装置Tの構成においてインターフェース15は、案内処理部16の制御の下、種々の上記渋滞情報を取得すると共に、上記位置データ、上記日付データ及び時刻データ、並びに上記速度データ及び上記状態データを含む上記状態情報を、上記車両IDに関連付けてネットワークNWを介してサーバ装置SVに送信する。一方記録部18は、上記位置データ等を一時的に記憶すると共に、上記案内用の地図データや道路データ等を不揮発性に記録し、また、案内処理部16において実行される上記案内ルートの探索等のためのプログラム等を予め不揮発性に記録している。また操作部17は、上記配送車両の状態を示す上記状態データを入力するための操作や上記案内ルートの探索のための設定操作等が上記搭乗者により当該操作部17において実行されると、当該実行された操作を示す操作信号を生成して案内処理部16に出力する。そして案内処理部16は、上記操作信号に基づいて、上記地図データ等を用いた上記案内ルートの探索等を行ってその結果をディスプレイ19に表示すると共に、上記インターフェース15を介した上記状態情報の送信を行う。
【0021】
一方図3(b)に示すように、実施例に係るサーバ装置SVは、インターフェース3と、キーボード及びマウス等からなる操作部4と、実施例に係る状態情報データベースDB1、配送車両データベースDB2及び地図データベースMDBを不揮発性に記録するHDD又はSSD等からなる記録部5と、CPU、RAM及びROM等からなる処理部10と、液晶ディスプレイ等からなるディスプレイDと、により構成されている。また処理部10は、検出部1と、表示制御部2と、により構成されている。このとき、処理部10を構成する検出部1及び表示制御部2は、処理部10のCPU等に含まれるロジック回路によりハードウェア的に実現されるものであってもよいし、後述する実施例に係る表示制御処理を示すフローチャートに相当するプログラムを処理部10のCPUが読み出して実行することにより、ソフトウェア的に実現されるものであってもよい。
【0022】
また、上記ディスプレイDが実施形態に係る表示手段Dの一例に、検出部1が実施形態に係る検出手段1の一例に、表示制御部2が実施形態に係る表示制御手段2の一例に、それぞれ相当する。更に、操作部4が本願に係る「選択手段」の一例に相当する。更にまた図3(b)において破線で示すように、上記検出部1及び表示制御部2により、実施形態に係る情報処理装置Sの一例が構成されている。
【0023】
このサーバ装置SVの構成においてインターフェース3は、処理部10の制御の下、ネットワークNWを介した上記状態情報の、各端末装置Tとの間の授受を制御する。一方記録部5は、上記状態情報データベースDB1、上記配送車両データベースDB2及び上記地図データベースMDBを、それぞれ不揮発性に記録する。
【0024】
このとき上記状態情報データベースDB1は、各端末装置Tから取得(受信)した上記状態情報に含まれる上記車両ID等を、当該状態情報のサーバ装置SVにおける受信時刻を示す受信時刻データと共に且つ配送車両ごとに記録したデータベースである。また上記配送車両データベースDB2は、各端末装置Tが搭載されている配送車両と、それが属する組織と、各配送車両について日ごとに計画される予定コースと、を関連付けたデータベースである。このとき各配送車両についての予定コースとは、それが対応する各配送車両がその日に運行されるべき(即ち移動すべき)予定コースである。この予定コースには、それに対応する配送車両の当該予定コース上の到達すべき目的地の位置やその名称等を示す目的地情報が、当該目的地ごとの到着順序を示す順序情報及び当該目的地ごとの到着すべき到着指定時刻を示す指定時刻情報と共に含まれている。この目的地が、本願に係る「立寄地」の一例に相当する。なお一の予定コースには、通常その配送車両が到達すべき一又は複数の目的地が当該到達の順序に沿って含まれており、対応する配送車両が一の目的地に到達した後は、上記到達の順序において次に到達すべき目的地が、その配送車両の案内処理におけるその時点での新たな目的地となる。更に上記地図データベースMDBは、各端末装置Tが搭載されている各配送車両の移動範囲を含む地図をディスプレイDに表示するための地図データを記録したデータベースである。なお地図データベースMDBに記録されている地図データのデータ構造は、基本的には従来の地図データと同様のものである。
【0025】
一方操作部4は、上記管理者等により必要な指示操作が当該操作部4において実行されると、当該指示操作に対応する操作信号を処理部10に出力する。これにより処理部10は、上記管理者等に提示すべき情報をディスプレイDに表示等しつつ、状態情報データベースDB1内の記録内容、配送車両データベースDB2内の記録内容及び地図データベースMDBの記録内容並びに上記操作信号に基づいて、実施例に係る表示制御処理を含むサーバ装置SVとしての管理処理を実行する。このとき実施例に係る表示制御処理には、各予定コースについての実施例に係る配送車両の移動の進捗の一覧をディスプレイDに表示する処理と、各配送車両の移動範囲を含む上記地図をディスプレイDに表示する処理と、が含まれる。
【0026】
次に、上記状態情報データベースDB1の内容について、図4(a)に例示しつつ説明する。
【0027】
図4(a)に例示するように、記録部5に記録される状態情報データベースDB1には、各端末装置Tから状態情報としてネットワークNWを介して送信されてくる上記日付データ、時刻データ、位置データ及び速度データ並びに状態データが、当該端末装置Tが搭載されている車両を識別するための車両IDに関連付けられて、時刻データにより示される時刻の順に且つ車両IDごと(即ち端末装置Tごと)に記録されている。また当該日付データ等には、それらを含む状態情報のサーバ装置SVにおける受信時刻を示す上記受信時刻データが対応付けられて記録されている。このとき上記位置データとしては、図4(a)に例示するように地図に対応付けて予め設定された座標面内の座標により示されるデータであってもよいし、単なる緯度/経度データであってもよい。そして図4(a)に例示する場合は、車両ID「1号車」の配送車両についての位置データ等として、その配送車両が座標(x1,y1)で示される位置から徐々に減速しつつ移動し、座標(x4,y4)で示される位置で停止している(即ちその速度が0となっている)ことが示されている。また、車両ID「1号車」の配送車両の移動に対応して当該配送車両の端末装置Tにおいて時刻10時00分04秒にその搭乗者により入力された状態データの内容が「休憩中」であることが判る。なお図4(a)に例示する場合において、時刻10時00分04秒に停止するまでの状態データが「走行中」とされているが、これは、車両ID「1号車」の配送車両の端末装置Tにおいてその搭乗者が「走行中」であると入力したものではなく、速度データが「0」ではない(即ち有意である)ことを検出したサーバ装置SVの処理部10により「走行中」として状態情報データベースDB1に記録されたものである。
【0028】
次に、上記配送車両データベースDB2の内容について、図4(b)に例示しつつ説明する。
【0029】
図4(b)に例示するように、記録部5に記録される配送車両データベースDB2には、日ごとに各配送車両に割り当てられている上記予定コースの名称のデータ、その予定コースに含まれる各目的地のリストである目的地リストのデータ及び当該予定コースが適用される日付を示す日付データが、上記車両ID(即ち端末装置T)に関連付けられて、当該車両IDの順に記録されている。このとき各目的地リストは、それが対応する予定コースについての上記目的地情報及び上記順序情報並びに上記指定時刻情報をそれぞれに含む目的地リストである。なお図4(b)には示されていないが、上記車両IDには、当該車両IDに関連付けられる配送車両の車番及びその日の運転者名を含む車両情報が関連付けられている(図6乃至図8参照)。このとき、上記「車番」とは、その配送車両の自動車登録番号又は車両番号をいう。
【0030】
また配送車両データベースDB2には、各配送車両が属する組織の名称(図4(b)に例示する場合は「第1営業部」)を示すデータも合わせて記録されている。この場合の組織が、本願に係る「管理単位」の一例に相当する。更に、予定コースが設定されておらず目的地リストのみが記録されている配送車両(図4(a)に例示する場合は、車両ID「3号車」の配送車両及び車両ID「4号車」の配送車両)は、その日は一の目的地のみ(図4(b)に例示する場合は「文京区〇〇町」)に移動する予定であることを意味している。更にまた、予定コース及び目的地リストが共に記録されていない配送車両(図4(a)に例示する場合は、車両ID「1号車」の配送車両及び車両ID「2号車」の配送車両)は、その日は予め設定されたコース又は目的地に向けて移動することがないことを意味している。なお、予め設定されたコース又は目的地に向けて移動することがない配送車両でも、種々の目的により移動(運行)されること自体はあり得ることは注意を要する。
【0031】
次に、サーバ装置SVの処理部10を中心として実行される実施例に係る表示制御処理について、具体的に図5乃至図9を用いて説明する。なお、実施例に係る表示制御処理は、サーバ装置SVとしての上記管理処理の一環として常時実行されている処理である。
【0032】
実施例に係る表示制御処理に対応するフローチャートを図5に示す。実施例に係る表示制御処理として先ず処理部10は、各配送車両の端末装置Tから送信された上記状態情報を配送車両ごとにインターフェース3を介して受信し(ステップS1)、当該受信の度に、送信元の配送車両に係る移動の進捗として状態情報データベースDB1に記録する(ステップS2。図4(a)参照)。このとき当該状態情報は、例えば1秒おきに各端末装置Tから送信されてくる。そして処理部10は、当該受信した状態情報に含まれる上記日付データ等を、それに対応する上記受信時刻データと共に状態情報データベースDB1に記録する。
【0033】
次に処理部10の検出部1は、直前に受信された状態情報に含まれていた上記状態データにより示される配送車両の状態と、その状態に対応して予め設定されている閾値時間以上状態情報が受信されていないか否かと、を、状態情報データベースDB1内の受信時刻データに基づいて配送車両ごとに確認する(ステップS3)。
【0034】
ステップS3の判定において各状態に対応した閾値時間以上状態情報を受信していない配送車両がある場合(ステップS3:YES)、表示制御部2は、その配送車両が通信異常である旨の表示を含んだ状態で、各配送車両の移動の進捗のディスプレイDにおける一覧表示を、新たな状態情報に基づいて更新する(ステップS4)。このときの一覧表示及び上記配送車両が通信異常である旨の表示については、後ほど図6乃至図8を用いて詳述する。
【0035】
ここで上記閾値時間とは、配送車両が通信異常を起こしていないかを判定するために上記配送車両の状態ごとに予め設定されている閾値時間である。即ち例えば、配送車両がトンネルを走行中には一時的に通信が途絶える場合や、搭乗者の休憩や作業等のために配送車両のエンジンが停止される場合には、それらよりも長い時間に亘って通信が途絶える場合が考えられる。よって、通信が途絶えてから通信異常と判定するまでの閾値時間は、配送車両の状態ごとに設定しておくのが好ましい。そして、当該状態にあるはずの配送車両からその状態に対応する閾値時間以上状態情報が受信されていない場合に、処理部10の表示制御部2は、当該受信されていない旨を、他の配送車両と識別可能にディスプレイD上に表示する。ここで、より具体的に上記閾値時間は、直前に受信された状態情報に含まれていた上記速度データが有意であって配送車両の状態が走行中であるとされる場合には、例えば5分とされる。また、直前に受信された状態情報に含まれていた上記状態データにより配送車両の状態が駐車中であるとことが示されている場合の上記閾値時間は、例えば30分とされる。更に、直前に受信された状態情報に含まれていた上記状態データにより搭乗者が休憩中であることにより配送車両が停止中であることが示されている場合の上記閾値時間は、例えば1時間とされる。更にまた、直前に受信された状態情報に含まれていた上記状態データにより搭乗者が荷卸中又は荷積中であることにより配送車両が停止中であることが示されている場合の上記閾値時間は、例えば2時間とされる。最後に、直前に受信された状態情報に含まれていた上記状態データにより配送車両が帰社していることが示されている場合の上記閾値時間は、例えば24時間とされる。なおこれらの閾値時間は、例えば各配送車両の通常の移動(運行)状態等を鑑みた統計的な手法等を用いて、基本的には経験的又は実験的に予め設定される。
【0036】
一方ステップS3の判定において、各状態に対応した閾値時間以上状態情報を受信していない配送車両がない場合(ステップS3:NO)、検出部1は次に、各配送車両の端末装置Tから受信した状態情報に含まれている上記状態データにより示される当該配送車両の移動の進捗と、その配送車両にその日に割り当てられている予定コースの内容と、が相違する進捗異常が発生している配送車両の有無を確認する(ステップS5)。
【0037】
ここで上記進捗異常とは、例えば、予定コースとして含まれている目的地のいずれかに立ち寄らずに(即ちその目的地としては未到着となって)配送車両が移動している場合や、端末装置Tによる案内処理において上記指定時刻情報により示されている到着指定時刻より遅れてその目的地に到達することになっている場合等が挙げられる。
【0038】
ステップS5の判定において進捗異常が発生している配送車両がある場合(ステップS5:YES)、表示制御部2は上記ステップS4に移行し、その配送車両が進捗異常である旨の表示を含んだ状態で、上記一覧表示を新たな状態情報に基づいて更新する。このときの一覧表示及び上記進捗異常である旨の表示についても、後ほど図6乃至図8を用いて詳述する。
【0039】
他方、ステップS5の判定において進捗異常が発生している配送車両がない場合(ステップS5:NO)、表示制御部2は、配送車両が通信異常である旨(上記ステップS3参照)や配送車両が進捗異常である旨(上記ステップS5参照)の表示を含まない通常の状態で、上記一覧表示を新たな状態情報に基づいて更新する(ステップS6)。このときの通常の一覧表示についても、後ほど図6乃至図8を用いて詳述する。
【0040】
次に処理部10は、操作部4において、上記ステップS3に係る通信異常が発生している配送車両や上記ステップS5に係る進捗異常が発生している配送車両に注目してディスプレイD上の一覧表示をソートにより変更する旨の操作が行われたか否かを判定する(ステップS7)。なお以下の説明において、当該ソートにより変更する旨の操作を、単に「ソート操作」と称する。ステップS7の判定において、当該ソート操作が行われていない場合(ステップS7:NO)、処理部10は後述するステップS9の判定に移行する。一方ステップS7の判定において、当該ソート操作が行われた場合(ステップS7:YES)、表示制御部2は当該ソート操作に沿ってディスプレイD上の一覧表示を更新する(ステップS8)。このときの一覧表示の更新については、後ほど図7及び図8を用いて詳述する。
【0041】
次に処理部10は、上記進捗異常のうち必要な目的地に立ち寄らずに配送車両が移動している進捗異常が、いずれかの配送車両において発生している旨の表示がディスプレイDにおいてされている場合において(上記ステップS4参照)、当該表示の部分が操作部4における操作により選択されたか否かを確認する(ステップS9)。なお以下の説明において、配送車両が立ち寄らずに次の目的地に移動してしまっている目的地、即ち予定コース上は立ち寄られるべきであったにも拘わらず立ち寄られなかった目的地を、単に「未着地」と称する。ステップS9の確認において、未着地が発生していないか、又は未着地が発生している旨の表示がされていてもそれが選択されない場合(ステップS9:NO)、処理部10は後述するステップS14の判定に移行する。一方ステップS9の確認において、上記未着地が発生している旨の表示が操作部4における操作により選択された場合(ステップS9:YES)、表示制御部2は次に、地図データベースMDBを参照して、ディスプレイDの表示を、当該未着地を中心とした地図の表示に切り換える(ステップS10)。
【0042】
このステップS10において表示制御部2は、未着地が複数発生している場合には、いずれかの未着地を地図の中心としつつ、全ての未着地が当該地図に含まれて表示されるように、その縮尺を調整して当該地図を表示する。更に表示制御部2は、上記地図の表示に当たり、状態情報データベースDB1を参照して、いずれかの配送車両の現在位置がその範囲に含まれるように当該地図を表示する。このとき、複数の配送車両の現在位置がその範囲に含まれるように当該地図が表示されるのが好ましい。これらに加えて表示制御部2は、配送車両データベースDB2を参照して、現在移動中である配送車両の車両情報(当該配送車両の車番及びその日の運転者名を含む車両情報)を上記地図と合わせてディスプレイDに表示する。更に表示制御部2は、表示されている地図の範囲にその現在位置が含まれている配送車両について、当該現在位置を当該地図上に表示する。このとき表示制御部2は、例えば、現在位置を表示する各配送車両の上記状態を示すマークを、地図上における当該現在位置に相当する位置に表示することで、当該現在位置を表示する。このマークは、上記ステップS4又は上記ステップS6において表示されている一覧表示において各配送車両について用いられたマークと同じものであるが、詳細については後ほど図6乃至図9を用いて説明する。
【0043】
上記ステップS10により配送車両の現在位置及び未着地を含む地図並びに上記車両情報をディスプレイDに表示した後、次に処理部10は、表示されている配送車両のいずれかが、操作部4における操作により選択されたか否かを判定する(ステップS11)。このステップS11としての選択操作は、例えば地図上に表示されている配送車両のマークのいずれかを操作部4を構成するマウス等により直接選択して未着地の位置に移動させる操作(いわゆるドラッグアンドドロップ操作)であってもよいし、上記車両情報として表示されている配送車両のいずれかを当該マウス等により選択する操作であってもよい。
【0044】
ステップS11においていずれかの配送車両が選択された場合(ステップS11:YES)、処理部10は、例えば「指定された未着地に移動すること可能か?」なる旨の未着地関連メッセージを、ステップS11の選択操作で選択された配送車両に対して、インターフェース3及びネットワークNWを介して送信する(ステップS12)。その後処理部10は、後述するステップS14の判定に移行する。このステップS12により、当該未着地関連メッセージを受信した配送車両(換言すれば、上記ステップS11の選択操作で選択された配送車両)は、それが可能であれば、地図の中心に現在表示されている未着地に移動することになる。一方ステップS11において、いずれかの配送車両も選択されない場合(ステップS11:NO)、処理部10は、地図上に表示されている未着地に関連してステップS12の送信処理以外に予め設定されている処理を実行する(ステップS13)。ここで、ステップS13で実行される処理としては、例えば、上記ステップS9の選択操作で選択された必要な目的地に立ち寄っていない(即ち、未着地が発生している)配送車両の搭乗者に対して自動的に電話をかける処理や、その未着地に対して未着である旨の情報を送信する等、当該未着であることを早期に解消するための処理が挙げられる。その後処理部10は、後述するステップS14の判定に移行する。
【0045】
上記ステップS12又はステップS13の後に処理部10は、例えばサーバ装置SVとしての電源がオフとされる等により、実施例に係る表示制御処理を終了させるか否かを判定し(ステップS14)、終了させる場合は(ステップS14:YES)、そのまま当該表示制御処理を終了させる。一方ステップS14の判定において、引き続き実施例に係る表示制御処理を継続する場合(ステップS14:NO)、処理部10は上記ステップS1に戻って実施例に係る表示制御処理を繰り返す。この実施例に係る表示制御処理の繰り返しにより、実施例に係る進捗の一覧表示の更新及び上記ソート指示に基づいた当該一覧表示の更新が、各端末装置Tから新たに受信した状態情報(ステップS1参照)に基づいてリアルタイムに繰り返されることになる。
【0046】
次に、図5を用いて説明した実施例に係る表示制御処理が行われた結果としてディスプレイDに表示される、実施例に係る各配送車両の移動の進捗の表示例、及び上記ソート指示に基づいた当該一覧表示の更新例について、図6乃至図8を用いて説明する。更に上記ステップS9乃至ステップS13による地図の表示及び配送車両の選択について図9を用いて例示しつつする。
【0047】
先ず表示制御部2は、上記ステップS6として説明した通常状態における当該進捗の表示として、図6に示すように、配送車両ごとに、その日の予定コースに沿った移動の進捗を表示する。図6に例示する場合は、第1営業部に属し且つ車両ID「1号車」乃至車両ID「11号車」の各配送車両について、移動の進捗が一覧表示されている。この一覧表示において表示制御部2は、横一行を一台の配送車両に対応させて表示する。そして一台の配送車両については、それが属する組織、車両ID、車番及び運転者名を含む上記車両情報、その配送車両からの状態情報の最新の受信時刻、その配送車両の状態であるステータス表示、その配送車両に割り当てられている予定コースの名称、その配送車両の現在位置、及びその配送車両の移動の目的地の順序に沿った進捗が、それぞれ表示される。
【0048】
このとき表示制御部2は、視認性の向上等のために、一覧表示における一行ごとに背景の塗り潰しを交互に入れ換えるように表示する。次に表示制御部2は、一覧表示における各配送車両について、それが属する組織、その車両情報及びそれに割り当てられている予定コースの名称について、配送車両データベースDB2から対応するデータを読み出して一覧表示に反映させる。また上記最新の受信時刻は、状態情報データベースDB1に各配送車両について記録されている上記受信時刻データにより示される受信時刻である。
【0049】
更に表示制御部2は、状態情報データベースDB1に各配送車両について記録されている上記状態データにより示される各配送車両の状態を、図6に例示するような矢印又はマークにより、認識し易く表示する。図6に例示する場合、車両ID「1号車」の配送車両が帰社状態であることが「×」マークと「帰社」の文字を含むマークで表示されている。また、車両ID「2号車」の配送車両、車両ID「3号車」の配送車両、車両ID「6号車」の配送車両、車両ID「7号車」の配送車両、車両ID「9号車」乃至車両ID「11号車」の各配送車両が走行中であることが矢印マークで表示されている。このとき表示制御部2は、各矢印マークに対応する位置(具体的には矢印マークの下方)に、状態情報データベースDB1に各配送車両について記録されている上記速度データにより示される各配送車両の速度を表示する。なお上記各マークは、上記ステップS10の地図表示においても用いられる。
【0050】
一方図6に例示する場合、その搭乗者が荷卸中であることにより車両ID「4号車」の配送車両が停車中であることが図6に例示するマークで表示されており、その搭乗者が休憩中であることにより車両ID「8号車」の配送車両が停車中であることが図6に例示するマークで表示されている。更に、車両ID「5号車」の配送車両が駐車中であることが図6に例示するマークで表示されている。
【0051】
なお図6に例示するように、各マークにより示される配送車両の状態(即ち「荷卸中」の状態、「休憩中」の状態又は「駐車中」の状態等)を具体的に示す文字を、それぞれのマークと共に表示するように構成してもよい。
【0052】
他方表示制御部6は、状態情報データベースDB1に各配送車両について記録されている上記位置データにより示される各配送車両の位置を、配送車両ごとに「現在地」として表示する。
【0053】
更に表示制御部6は、配送車両データベースDB2に記録されている予定コースの目的地リストに基づき、その日の各目的地についての移動の進捗を、配送車両ごとに且つ目的地ごとに表示する。例えば図6に示す車両ID「5号車」の配送車両の場合、2016年5月11日は、本社→MD事業所→KF事業所→K1事業所→K2事業所→K3事業所、の順で移動すべきことが予定コースとして予定されており、目的地ごとの上記指定時刻情報により指定されている到着指定時刻が、目的地ごとに合わせて表示される。この場合に車両ID「5号車」の配送車両の端末装置Tでは、目的地ごとに当該到着時刻が入力され、目的地ごとに当該到着時刻に到着するようにその案内処理部16による案内処理が実行される。この点は、各配送車両において同様である。そして表示制御部2は、現在の目的地を、他の目的地とは異なる態様で表示する。即ち図6に例示する場合、その時点での目的地(例えば車両ID「5号車」の配送車両は「本社」)がクロスハッチングにより、「目的地」の文字及びそれを示すマークと共に、配送車両ごとに示されている。
【0054】
また表示制御部2は、例えば状態情報データベースDB1に各配送車両について記録されている上記位置データに基づき、各配送車両について、到着済みの目的地と未到着の目的地とを識別可能に表示する。より具体的に表示制御部2は、未到着の目的地については、一覧表示におけるその行としての背景色のまま、「未到着」の文字と共に表示し、一方到着済みの目的地については、当該背景色よりも濃い背景色を用いて、「到着」の文字と共に表示する。なお、各目的地についての到着済み/未到着の識別は、上述した位置データを用いる他に、その配送車両の搭乗者の入力操作に基づく上記状態データとして示される到着済み/未到着のデータを用いてもよい。
【0055】
次に上述した通常の一覧表示において表示制御部2は、図5ステップS3に関連する通信異常が発生している配送車両(図5ステップS3:YES参照)については、その旨を、当該通信異常が発生していない配送車両から識別可能に表示する(図5ステップS4参照)。例えば図6に示す車両ID「4号車」の配送車両の場合、配送車両の状態が「荷卸中」であり、その状態に対応する上記閾値時間は2時間であるが、一覧表示全体の更新時刻である13時に対して2時間以上状態情報が受信されていない(図5ステップS3:YES参照)。よって表示制御部2は、この配送車両について上記通信異常が生じていることを、例えば図6に示すハッチングにより表示する(図5ステップS4参照)。また図6に示す車両ID「5号車」の配送車両の場合、配送車両の状態が「駐車中」であり、その状態に対応する上記閾値時間は30分であるが、上記13時に対して30分以上状態情報が受信されていない(図5ステップS3:YES参照)。よって表示制御部2は、この配送車両について上記通信異常が生じていることを、例えば図6に示すハッチングにより表示する(図5ステップS4参照)。更に図6に示す車両ID「8号車」の配送車両の場合、配送車両の状態が「休憩中」であり、その状態に対応する上記閾値時間は1時間であるが、上記13時に対して1時間以上状態情報が受信されていない(図5ステップS3:YES参照)。よって表示制御部2は、この配送車両について上記通信異常が生じていることを、例えば図6に示すハッチングにより表示する(図5ステップS4参照)。最後に図6に示す車両ID「11号車」の配送車両の場合、配送車両の状態が「走行中」であり、その状態に対応する上記閾値時間は5分であるが、上記13時に対して5分以上状態情報が受信されていない(図5ステップS3:YES参照)。よって表示制御部2は、この配送車両について上記通信異常が生じていることを、例えば図6に示すハッチングにより表示する(図5ステップS4参照)。
【0056】
更に上述した通常の一覧表示において、表示制御部2は、図5ステップS5に関連する進捗異常が発生している配送車両(図5ステップS5:YES参照)については、その旨を、当該進捗異常が発生していない配送車両から識別可能に表示する(図5ステップS4参照)。例えば図6に示す車両ID「10号車」の配送車両の場合、現在の目的地「K1事業所」についての上記到着指定時刻に対して案内処理上の到着予想時刻が30分遅れる進捗異常が発生している(図5ステップS5:YES参照)。よって表示制御部2は、この配送車両について上記通信異常が生じていることを、例えば図6に示す破線の囲み表示F2により表示する(図5ステップS4参照)。また図6に示す車両ID「9号車」の配送車両の場合、目的地「MK事業所」が未到着となって次の目的地「KF事業所」が到着となっている進捗異常が発生している(図5ステップS5:YES参照)。よって表示制御部2は、車両ID「9号車」の配送車両について上記進捗異常が生じていることを、例えば図6に示す実線の囲み表示F1により、車両ID「9号車」の配送車両の搭乗者名「東京花子」に対応させて表示する(図5ステップS4参照)。更に図6に示す車両ID「11号車」の配送車両の場合、目的地「MD事業所」が未到着となって次の目的地「KF事業所」が到着となっている進捗異常が発生している(図5ステップS5:YES参照)。よって表示制御部2は、車両ID「11号車」の配送車両についても上記進捗異常が生じていることを、例えば図6に示す実線の囲み表示F1により、車両ID「11号車」の配送車両の搭乗者名「東京美子」に対応させて表示する(図5ステップS4参照)。
【0057】
このとき、車両ID「10号車」の配送車両と車両ID「9号車」の配送車両又は車両ID「11号車」の配送車両とでは、進捗異常の具体的内容が異なっている。そして、配送車両の管理としては、本来到着すべき目的地に到着せずに次の目的地に到着することの方が、目的地への到着が遅れるよりも深刻な進捗異常であると言える。そこで表示制御部2は、車両ID「9号車」の配送車両又は車両ID「11号車」の配送車両についての進捗異常の表示(囲み表示F1)の方を、車両ID「10号車」の配送車両についての進捗異常の表示(囲み表示F2)よりも、より目立つように表示する。なお表示制御部2は、実施例に係る上記囲み表示F1及び囲み表示F2の表示色を、より管理者の注意を引き易い例えば赤色として当該囲み表示F1及び囲み表示F2を表示してもよい。
【0058】
一方、車両ID「9号車」の配送車両の未着地「MK事業所」への到着指定時刻と車両ID「11号車」の配送車両の未着地「MD事業所」への到着指定時刻とを比較すると、車両ID「9号車」の配送車両の方が、未着地への到着指定時刻からの経過時間が長いことが判る。よって、車両ID「9号車」の配送車両の方が、車両ID「11号車」の配送車両よりも、進捗異常としてより深刻であることが、各配送車両の搭乗者名(運転者名)に対応させて表示されている。
【0059】
なお図6に例示する一覧表示において、その右上の「戻る」ボタンの左側に横に並んで例示されているような選択ボタンを用いて、ディスプレイDにおける一覧表示を他の態様の表示に変更するように構成してもよい。また図6に例示する一覧表示においては、移動の進捗が車両IDごとに並べられているが、「並べかえ」のプルダウンメニューとして、車両IDの他に、例えば「車両番号(自動車登録番号)」、「搭乗者名(運転者名)」、「状態情報の最新受信時刻」又は「予定コース」を予め設定しておき、これらにより、一覧表示としての並べかえの順序を変更して表示するように構成してもよい。
【0060】
他方表示制御部2は、図5ステップS7に係るソート操作が行われた場合、表示制御部2は、例えば上記通信異常が発生している配送車両を優先するソート操作の場合は、図6に例示した一覧表示を、例えば図7に例示する一覧表示に変更する(図5ステップS8参照)。この図7に例示する一覧表示の場合、他の表示態様を変更することなく、通信異常が発生している配送車両(車両IDが「4号車」、「5号車」、「8号車」及び「11号車」である各配送車両)が上位に表示されている。
【0061】
また表示制御部2は、例えば上記進捗異常が発生している配送車両を優先するソート操作の場合は、図6に例示した一覧表示を、例えば図8に例示する一覧表示に変更する(図5ステップS8参照)。この図8に例示する一覧表示の場合、他の表示態様を変更することなく、進捗異常が発生している配送車両(車両IDが「9号車」、「11号車」及び「10号車」である各配送車両)が上位に表示されている。このとき表示制御部2は、配送車両の管理として最も深刻な進捗異常が発生している配送車両(図8に例示する場合、車両ID「9号車」の配送車両)を最も上位に並べ替えて表示し、次に深刻な進捗異常が発生している配送車両(図8に例示する場合、車両IDが「11号車」の配送車両)を次位に並べ替えて表示し、更に進捗異常の深刻度が相対的に低い配送車両(図8に例示する場合、車両IDが「10号車」の配送車両)を更に次位に並べ替えて表示する。
【0062】
なお、図6乃至図8の表示例において、車両ID「3号車」の配送車両及び車両ID「4号車」の配送車両については、その日は一の目的地のみに移動する予定コースであるので、複数の目的地を含む上記予定コースの名称としては設定されておらず、他の目的地についての表示もされていない。また、車両ID「2号車」の配送車両については、その日については予め設定されたコース又は目的地に向けて移動することがないため、単に走行中であることのみが、対応するマーク及び速度の表示により示されている。
【0063】
次に表示制御部2は、未着地(図6乃至図8参照)を含む地図の上記ステップS10による表示として、例えば図9に例示するように、二つの未着地「MK事業所」及び「MD事業所」を含み、且つ未着地「MK事業所」がその中心となるように縮尺が調整された地図をディスプレイDに表示する。このとき表示制御部2は、地図の左側の領域に、図6乃至図8を用いて説明した車両情報を一覧表示する。このとき当該車両情報の一覧表示は、地図の右側の領域であってもよいし、地図の上側又は下側の領域であってもよいし、地図内であって未着地の位置又は後述する配送車両の現在位置それぞれの表示の妨げとならない領域であってもよい。また表示制御部2は、各未着地を含む地図の範囲に現在位置がある配送車両を、状態情報データベースDB1内の位置データを参照して、当該現在位置を地図上に表示する。図9に例示する場合は、車両ID「2号車」の配送車両、車両ID「4号車」の配送車両、車両ID「8号車」の配送車両及び車両ID「10号車」の配送車両の現在位置が、それぞれ当該地図内であることが表示されている。このとき表示制御部2は、現在管理下にある全ての配送車両の現在位置を地図上に表示できるように、当該地図の縮尺を調整するように構成してもよい。また表示制御部2は、現在位置を表示する各配送車両の現在の状態を示すマークM2、マークM4、マークM8及びマークM10を用いて、それらの現在位置を表示する(図6乃至図8参照)。なお移動中の配送車両(図9に例示する場合は、車両ID「2号車」の配送車両及び車両ID「10号車」の配送車両)については、その移動の向きに合わせて、対応するマークM2及びマークM10を回転させて表示する。更に表示制御部2は、未着地であることを示す未着地マークR1及び未着地マークR2を用いて、現在の未着地である「MK事業所」及び「MD事業所」の地図上の位置を表示する。なお図9に例示するように、各未着地の名称及び各配送車両の車両IDを、いわゆる吹き出し形式の指標を用いて表示制御部2により地図上に表示するよう
に構成するのが好ましい。
【0064】
そして、図9に例示する地図が表示されている状態において、未着地に移動させる配送車両の選択を促すメッセージMGに基づき、上記管理者が操作部4を用いて未着地に移動させる配送車両を選択する(図5ステップS11参照)。この場合の選択操作としては上述したように、図9の地図上に表示されているマークM2、マークM4、マークM8又はマークM10のいずれかを選択して未着地の位置に移動させるドラッグアンドドロップ操作であってもよいし、車両情報として表示されている配送車両のうち、未着地に移動させる配送車両を選択する操作であってもよい。この選択操作により、例えば搭乗者が休憩中であることにより停車中である車両ID「8号車」の配送車両を、図9に例示する未着地「MK事業所」に対して移動させる場合(図5ステップS11:YES)、処理部10は、「未着地『MK事業所』に移動すること可能か?」なる旨の上記未着地関連メッセージを、車両ID「8号車」の配送車両に対して送信する(図5ステップS12参照)。
【0065】
なお表示制御部2は、未着地「MD事業所」が選択された場合には、当該未着地「MD事業所」の位置を中心とした地図の表示に切り換える(図5ステップS10参照)。これにより、当該未着地「MD事業所」への配送車両の選択(図5ステップS11参照)及び移動指示(図5ステップS12参照)が可能となる。
【0066】
以上それぞれ説明したように、実施例に係る表示制御処理によれば、立寄地としての目的地を含んだ複数の配送車両ごとの既定の予定コースにおける、配送車両ごとの移動の進捗を、配送車両が到着していない未着地と共に検出し、その移動の進捗と共に、検出された未着地を識別可能に表示させる(図5ステップS6参照)。そして、その未着地を指定する操作(図5ステップS9参照)に基づいて、未着地の位置を含む地図を表示させ、且つその地図の範囲内にあるいずれかの配送車両の現在位置を当該地図と共に表示させる(図5ステップS10参照)。よって、各配送車両の移動の進捗を纏めて認識できると共に、未着地まで移動し得る配送車両の存在を迅速に把握できることで、未着地の発生に対処するために効率的に各配送車両を移動させることができる。
【0067】
また、予定コース内の目的地のうち、当該目的地ごとに既定の到着指定時刻に配送車両が到着していない目的地を未着地として検出するので、未着地の発生に対処可能な配送車両の存在を迅速に把握することができる。
【0068】
更に、未着地が複数検出された場合において、各未着地の位置の全てを含む地図を表示させるので(図9参照)、全ての未着地まで移動し得る配送車両の存在を迅速に把握できることで、複数の未着地であってもその発生に対処するために効率的に各配送車両を移動させることができる。
【0069】
更にまた、地図の範囲内の配送車両の状態を示すマークM2等(図9参照)を用いて配送車両の現在位置を地図と共に表示させるので、どのような状態にある配送車両を未着地に移動させ得るかを、直感的に且つ迅速に認識することができる。
【0070】
また、表示されている地図の範囲内の配送車両の中から未着地に移動させる配送車両が選択可能とされるので(図5ステップS10、ステップS11参照)、未着地へ移動される配送車両を迅速に選ぶことができる。
【0071】
更に、未着地に移動させる配送車両の、地図の範囲内の位置を直接指定することにより、未着地に移動させる配送車両が選択されるので、直感的な操作で未着地に移動させる配送車両を選択することができる。
【0072】
更にまた、各配送車両と、各配送車両の搭乗者(運転者)と、それらを管理する組織と、を関連付ける配送車両データベースDB2に基づき、当該組織により管理される各配送車両に対応する移動の進捗を、当該組織ごとに且つ搭乗者と共に表示させるので、各配送車両についての移動の進捗を組織ごとに表示しつつ、未着地の発生に対処するために効率的に各配送車両を移動させることができる。
【0073】
また、未着地に到着すべきであった配送車両の搭乗者(運転者)を、他の配送車両の搭乗者(運転者)から識別可能に表示させるので(図6乃至図8参照)、未着地を発生させた搭乗者を迅速に認識することができる。
【0074】
更に、未着地が複数ある場合に、未着地となった目的地ごとに既定されている到着指定時刻からの経過時間に応じて、各未着地に到着すべきであった配送車両の搭乗者(運転者)を並べて表示させるので(図8参照)、未着地となってからの経過時間が長い搭乗者(運転者)を迅速に認識することができる。
【0075】
なお上述した実施例では、進捗異常の状態にある配送車両を囲み表示F1又は囲み表示F2の表示により報知し、通信異常の状態にある配送車両をハッチング表示により報知した。しかしながらこれら以外に、例えばサーバ装置SVの図示しないスピーカによる警告音の放音により当該各報知を行ってもよい。更には、当該囲み表示F1等の表示又はハッチング表示と、上記警告音の放音と、を並行して行ってもよい。
【0076】
また上述した実施例では、各配送車両とそれらが管理される組織とを関連付けた配送車両データベースDB2を用いたが、これ以外に、各配送車両の搭乗者(運転者)と彼らが管理される組織とを関連付けた搭乗者データベースを用いてもよい。この場合の搭乗者データベースは、実施例に係る配送車両データベースDB2と同様に、各端末装置Tが搭載された配送車両の搭乗者(運転者)と、彼らが属する組織と、各搭乗者(運転者)について日ごとに計画される予定コースと、を関連付けたデータベースであればよい。
【0077】
更にまた上述した実施例では、移動体としての車両の移動の進捗等の表示制御に実施形態を適用したが、これ以外に、移動体としての二輪車、自転車又は人の移動の進捗等の表示制御に実施形態を適用してもよい。
【0078】
また、図5に示したフローチャートに相当するプログラムを、光ディスク又はハードディスク等の記録媒体に記録しておき、或いはインターネット等のネットワークを介して取得しておき、これを汎用のマイクロコンピュータ等に読み出して実行することにより、当該マイクロコンピュータ等を実施例に係る処理部10として機能させることも可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 検出手段(検出部)
2 表示制御手段(表示制御部)
5 記録部
10 処理部
T1、T2、Tn 端末装置
SV サーバ装置
NW ネットワーク
DB1 状態情報データベース
DB2 配送車両データベース
S 情報処理装置
SS 配送管理システム
D ディスプレイ
F1、F2 囲み表示
M2、M4、M8、M10 マーク
R1、R2 未着地マーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9