(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041713
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】ウェアラブル装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0245 20060101AFI20230316BHJP
A61B 5/021 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
A61B5/0245 100A
A61B5/021
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003741
(22)【出願日】2023-01-13
(62)【分割の表示】P 2018551788の分割
【原出願日】2017-03-29
(31)【優先権主張番号】62/314,474
(32)【優先日】2016-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】チュアン シナ
(72)【発明者】
【氏名】バオ ゼナン
(72)【発明者】
【氏名】グエン アマンダ
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA07
4C017AA08
4C017AA09
4C017AA11
4C017AB02
4C017AC16
4C017BC08
4C017BC14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】様々な実施の形態は、近接センサを用いる装置及び方法を含む。
【解決手段】装置の一例は、電極を備えるセンサ回路、を備えるトランスデューサ回路と、電気信号感知回路と、トランスデューサ回路及び電気信号感知回路を支持し、少なくとも部分的に包囲する基板と、通信回路とを備える。トランスデューサ回路は、キャパシタンスの変化を電気信号に変換し、キャパシタンスの変化は電極によって搬送され、血流力学的あるいはパルス波事象に起因する圧及び/または電界変調に対して反応する。電気信号感知回路は、トランスデューサ回路からの電気信号に応じて事象を感知する。基板は、ユーザの一部に適合し、センサ回路を、血流力学的あるいはパルス波事象を電気的に感知するためにユーザの皮膚に十分に近接させる。通信回路は、血流力学的モニタリングを示すデータを送信することで、電気信号感知回路に応答する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量式センサであるセンサ回路を複数有し、キャパシタンスの変化を電気信号に変換するトランスデューサ回路と、
前記トランスデューサ回路からの前記電気信号に応じて、前記キャパシタンスの変化をモニタする前記電気信号感知回路と、
前記トランスデューサ回路及び前記電気信号感知回路を少なくとも部分的に包囲するように、前記トランスデューサ回路及び前記電気信号感知回路を支持する基板と、
電気信号感知回路からのデータを送信する通信回路と、
を備え、
複数の前記センサ回路の各々は、単一の電極と当該電極の一部又は周囲に追加される誘電体層を備えて、前記キャパシタンスの変化を感知し、
前記キャパシタンスの変化は、血流力学的あるいは波形を血圧に相関することができるパルス波上の事象に起因する圧によるユーザの皮膚と前記単一の電極との間の距離の変化及び/または電界変調に対して反応したものであり、
血流力学的あるいは波形を血圧に相関することができるパルス波上の前記事象は、主要なピークから離れたパルス波の形状的特徴に対応し、
前記電気信号感知回路は、1キロパスカル(kPa)オーダーの圧力未満の圧の差による前記ユーザの皮膚と前記単一の電極との間の距離の変化及び/または15ピコファラッド(pF)オーダーかつ前記キャパシタンスの変化の最大オフセットが100pF以下の範囲の前記キャパシタンスの変化をモニタし、前記トランスデューサ回路からの前記電気信号に応じて、前記血流力学的あるいはパルス波上の前記事象を感知し、
前記基板は、血流学的モニタリングのために血管を有するユーザの一部に適合し、前記血流力学的あるいはパルス波事象を電気信号を介して電気的に感知するために、血管を有するユーザの皮膚に前記単一の電極を十分に近接させるように配置される、
ウェアラブル装置。
【請求項2】
前記複数のセンサ回路は、前記複数のセンサ回路の1つ以上が、前記複数のセンサ回路の他とは機械的に分離されるようにアレイに配置される、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項3】
前記複数のセンサ回路は、前記複数のセンサ回路の各前記電極が、前記ウェアラブル装置の異なる位置にあるように配置されて位置精度を向上させる、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項4】
前記複数のセンサ回路は、前記複数のセンサ回路の各前記電極が、前記ウェアラブル装置の異なる位置にあるように配置されて異なる分析のための複数の参照信号を提供する、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項5】
前記複数のセンサ回路は、前記ウェアラブル装置のユーザの1つ以上の心拍数に関連付けされる1つ以上のトリガ事象の前のデータの保存ではなく前記1つ以上のトリガ事象に応じて、前記ウェアラブル装置から保存されたデータをバースト伝送することにより及び前記1つ以上のトリガ事象を含むデータを保存することにより、前記ウェアラブル装置による電力消費量が5マイクロワットから3ミリワットの間の範囲の閾値量を越えない節電モードで動作する、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項6】
前記複数のセンサ回路は、前記ウェアラブル装置のユーザの1つ以上の心拍数に関連付けされる1つ以上のトリガ事象に対応するデータを取得し、前記1つ以上のトリガ事象の前のデータの保存ではなく前記1つ以上のトリガ事象に応じて前記1つ以上のトリガ事象を含むデータを保存することにより電力消費を抑えることにより動作し、
前記1つ以上のトリガ事象は、閾値より上であると検出された心拍数、及び問題を示す事象として検出された特定の心拍数関連事象の1つ以上の対応する、
請求項1に記載ウェアラブル装置。
【請求項7】
前記単一の電極は、前記電極によって搬送される前記キャパシタンス変化を介して血流力学的あるいはパルス波事象を電気的に感知するために前記ユーザの皮膚に十分に近接している、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項8】
前記単一の電極は、前記電極によって搬送される前記キャパシタンス変化を介して血流力学的あるいはパルス波事象を電気的に感知可能な距離まで前記ユーザの皮膚に近接しており、
前記距離は、前記皮膚から0~1ミリメートル(mm)離れた範囲にある、又は前記皮膚と接触している範囲である、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項9】
前記単一の電極は、物理的に変形するものとは異なる前記ユーザの前記皮膚の近接感知によってキャパシタンス変化を搬送し、
前記単一の電極に隣接する動脈圧変化は、前記皮膚の変位を引き起こし、キャパシタンスの変化として測定される前記電極と前記皮膚との間の距離の変化を引き起こす、
請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項10】
前記複数のセンサ回路は、前記複数のセンサ回路の少なくとも1つが近接回路として機能し、物理的変形への応答とは異なる前記ユーザの前記皮膚の近接感知を介してキャパシタンス変化を搬送するために前記単一の電極が前記複数のセンサ回路の前記少なくとも1つのそれぞれに関連付けされるようにアレイに配置される、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項11】
前記複数のセンサ回路のそれぞれについて、前記単一の電極がキャパシタンス変化を介して動脈パルス波を測定するために動脈パルスポイントの近傍に配置される、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項12】
前記複数のセンサ回路のそれぞれについて、前記単一の電極が、前記皮膚に機械的に結合することなく、キャパシタンス変化を介して動脈パルス波を測定するために動脈パルスポイントの近傍に配置される、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項13】
前記センサ回路の少なくとも1つは、前記複数のセンサ回路センサの他とは異なる設計を有する、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項14】
前記単一の電極は、長さが0.5mmから3cmの範囲、他の2つが0.5mmから6mmの範囲及び0.5mmから1cmの範囲の寸法を有する、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
様々な実施の形態の態様は、ユーザの血流力学的変化(あるいはパルス波)を感知する近接センサ回路及びその関連感知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明において、非限定の例示的な実施の形態によって本開示についての理解のため、様々な実施例及び用途を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の例示的な実施の形態において、本開示の態様は、ユーザの血流力学的変化(あるいはパルス波)を感知するように構成並びに配置された1以上のセンサ回路であって、測定部位あるいはその近傍に配置された単一の電極を用いてユーザの生理学的変化をモニタするように構成されたセンサ回路を含む。これら及び他の態様は、以下に説明する1以上の実施の形態及び/または機構と一致する、血流力学的変化を感知するように構成されたセンサ回路を採用する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
より具体的かつ例示的な実施の形態は、少なくとも1のセンサ回路を備える装置に関し、このセンサ回路は、電極と、電気信号感知回路とを備える。装置は、1以上の血流力学的パラメータを、無侵襲かつリアルタイムにモニタすることに用いることができる。例えば、電気信号感知回路は、皮膚の近傍またはその上に配置され、キャパシタンスの変化をモニタすることでパルス波事象を感知することができる。電極によって搬送されるキャパシタンス変化は、パルス波事象あるいは血管内の圧や血流(例えば、生理学的な)の変化に起因する圧及び/または電界変調に対する反応である。電極は、当該電極とユーザの皮膚との間のキャパシタンス変化を決定することに用いることができる。電極を含むセンサ回路は、キャパシタンス及び/または圧の変化を示す電気信号を電気信号感知回路に供給することに用いるトランスデューサ回路とともに配置することができる。パルス波事象により、ユーザの皮膚と電極との間の距離が変化し、及び/または、血管の周囲の電界分布が変化し、それにより、センサ回路を用いて測定するキャパシタンスが相対的に変化する。経時的なキャパシタンスの変化は、電気信号感知回路を用いて処理可能であり、パルス波を生成及び/または判別することに用いることができる。様々な実施の形態において、パルス波は、様々な血流力学的パラメータに相関する。具体的な例としては、パルス波は、心拍数、血圧、動脈壁の硬さ、及び/または血液量を判別するために処理される。
【0005】
電極は、ユーザの皮膚及び/またはその近傍と接触することができる。ある態様においては、電極は、(接触しているか否かによらず)機械的な拘束具(例えば、リストバンド、弾性的な適合バンドあるいは衣服の一部)及び/または接着剤によってユーザに拘束される。電極は、血管の近傍に位置し、好ましくは、これらに限定されないが、橈骨、上腕、頸動脈、脛骨、及び側頭のパルスポイント等の触診可能なパルスポイントの近傍に配置される。
【0006】
他の具体的な態様においては、装置は、複数の電極を備える。例えば、装置は、複数のセンサ回路を備え、各センサ回路は、複数の電極のうちの一つを備える。複数の電極は、トランスデューサ回路の一部として設けられる。トランスデューサ回路は、ユーザの皮膚と電極との間の距離、圧及びまたは電界の変調であって、血流力学的あるいはパルス波事象に起因する変調に対する反応であるキャパシタンス変化を示す電気信号(例えば、デジタル)を電気信号感知回路に供給することに用いることができる。様々な関連する態様においては、複数のセンサ回路は、機械的に分離され、及び/またはアレイ状に(例えば、センサアレイ)配置される。各センサ回路は、以下でさらに説明される他の構成において、例えば、異なる形状、誘電体層、位置、感度を有するように、異なるように構成されていても良い。
【0007】
様々な態様は、上記の装置を用いる方法に関する。この方法は、装置の少なくとも1つの電極をユーザの皮膚の近傍あるいはその上に配置し、パルス波事象を感知することを含む。このパルス波事象は、少なくとも1つの電極がユーザの皮膚の近傍あるいはその上に配置されている状態で、装置の電気信号感知回路を用いて血流力学的あるいはパルス波事象に起因する圧及び/または電界変調に対する反応であるキャパシタンス変化をモニタすることで、感知される。パルス波事象は、パルス波を生成及び/または様々な血流力学的パラメータの判別に用いることができる。例えば、当該方法は、パルス波事象を用いて、拡張期血圧、収縮期血圧、動脈壁の硬さ、及び/または血液量を判別することを含む。
【0008】
具体的な方法は、ウェアラブル装置のフレキシブルあるいは折り曲げ可能な基板を用いて、少なくとも1のセンサ回路を備えるトランスデューサ回路を固定することを含む。基板は、トランスデューサ回路及び電気信号感知回路を支持及び少なくとも部分的に包囲する。基板は、さらに、血管を含むユーザの一部に適合し、キャパシタンス変化を介した血流力学的あるいはパルス波事象を電気的に感知するように、少なくとも1の電極をユーザの皮膚に十分に近接させる。キャパシタンスの変化は、血流力学的あるいはパルス波事象に起因する圧及び/または電界変調に対する反応である。トランスデューサ回路は、キャパシタンスの変化を、電気信号に変換する。この方法は、さらに、電気信号感知回路を介してトランスデューサ回路からの電気信号に応じて血流力学的あるいはパルス波事象を感知すること、およびウェアラブル装置内あるいは外において、血流力学的モニタデータを外部回路に送信することにより電気信号感知回路に応答するために通信回路を用いることを含む。
【0009】
他の態様は、ウェアラブル機器の一部として装置を用いることに関し、当該ウェアラブル機器は、フレキシブルあるいは折り曲げ可能な基板であって、トランスデューサ回路及び電気信号感知回路を支持及び少なくとも部分的に包囲するように、そして血流力学的モニタリングのために血管を含むユーザの一部に適合させるように構成並びに配置される基板によって特徴づけられる。上記のように、この装置は、少なくとも1のセンサ回路であって電極を有するセンサ回路を備えるトランスデューサ回路と、電気信号感知回路と、通信回路と、を備える。
【0010】
上記の説明/要約は、本開示の各実施の形態あるいは全ての実施例を説明することを意図したものではない。以下の図面及び詳細な説明は、様々な実施の形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付の図面とともに、以下の詳細な説明を考慮することで、様々な例示的な実施の形態について、より理解が得られる。
【0012】
【0013】
【
図2】本開示に係る、装置の一例及びユーザの皮膚との相互作用の結果を示す。
【0014】
【
図3】本開示に係る、装置からの電子機器及び/または信号フローの具現化の一例を例示するブロック図である。
【0015】
【0016】
【0017】
【
図7】様々な実施の形態に係る、例えば
図6(b)及び(c)の装置を用いて取得したデータの例を示す。
【0018】
【
図8】本開示に係る、装置を用いて取得したデータの例を示す。
【0019】
【
図9】
図9A及び9Bは、本開示に係る、複数のチャンネルを有する装置の例と、装置を用いて取得したデータとを示す。
【0020】
【
図10】本開示に係る、装置を用いて取得したデータの例を示す。
【0021】
【
図11】本開示に係る、平面接触の電極を有する装置を用いて取得したデータの例を示す。
【0022】
【
図12】本開示に係る、装置を用いて取得したデータの例を示す。
【0023】
【
図13】本開示に係る、装置を用いて取得したデータの例を示す。
【0024】
【
図14】本開示に係る、装置を用いて取得したデータの例を示す。
【0025】
【
図15】本開示に係る、装置の例と、装置を用いて取得したデータとを示す。
【0026】
【
図16】本開示に係る、装置を用いて収集したデータの例を示す。
【0027】
【
図17】様々な実施例に係る、装置を用いて収集したデータの例と、動脈ラインを用いて収集したデータとを示す。
【0028】
【
図18】様々な実施例に係る、装置を用いて収集され、かつ動脈ラインを用いて収集されたデータの例を示す。
【0029】
【
図19】様々な実施例に係る、装置を用いて収集され、かつ動脈ラインを用いて収集された心拍数及び血圧の変化の例を示す。
【0030】
【
図20】様々な実施例に係る、装置を用いて収集した呼吸数の例を示す。
【0031】
【
図21】様々な実施例に係る、複数の電極を備える装置を用いて収集したデータの例を示す。
【0032】
【
図22】様々な実施例に係る、異なる部位に位置する複数の電極を備える装置を用いて収集したデータの例を示す。
【0033】
【
図23】様々な実施例に係る、複数の電極を備える装置を用いて収集したデータの例を示す。
【0034】
【
図24】様々な実施の形態に係る、ウェアラブル装置、動脈経路、及び光学センサを用いて生成したパルス波の例を示す。
【0035】
本明細書において説明する様々な実施の形態は、応用及び変更が可能であり、その態様を、例として図に示すとともに詳細に説明する。しかしながら、説明の実施の形態に本開示を限定することを意図するものではない。他方で、特許請求の範囲に画定された態様を含む本開示の技術的範囲内の全ての応用、均等、及び代替を含むことを意図するものである。また、本出願で用いる用語「例」は、あくまでも説明のためであり、限定のためではない。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の態様は、ユーザが着用するセンサ回路であってユーザのパルス波事象態様、状態、及び/または特性を感知するように構成並びに配置されたセンサ回路を含む様々な異なるタイプの装置及びそれを用いる方法に適用可能であると考えられる。具体的な実施例においては、本開示の態様は、手首に位置あるいは手首に巻き付けられるストラップとして用いた場合に有益であることが示されたが、本開示は必ずしもそのような場合に限定されるものではないことは明らかである。様々な態様が、例示的な状況に応じた非限定的な例についての以下の説明から明らかとなる。
【0037】
従って、以下の説明においては、様々な具体的な詳細が、本開示の具体的な例を示すために記載されている。しかしながら、1以上の他の例及び/またはその変更が、以下に示す具体的な詳細なくとも実施可能である点、当業者にとって明らかである。例えば、公知の特徴については、ここでの例についての説明を明確にするため、以下に詳細に説明しない。説明の便宜のため、異なる図面において用いられる同一の参照番号は、同一の構成要素、あるいは同一の構成要素の追加的な例を示すことができる。また、態様及び特徴については、場合によっては個別の図面に示されるが、1の図面あるいは実施の形態からの特徴については、他の図面あるいは実施の形態の特徴と組み合わせが可能であり、当該組み合わせについては、明確に示さず、あるいは、明確に説明しない。
【0038】
本開示の様々な実施の形態は、電極を有する少なくとも一つのセンサ回路と、電気信号感知回路とを備える装置に関する。この装置は、無侵襲的かつリアルタイムに1以上の血流力学的パラメータ及びパルス波事象をモニタすることに用いることができる。驚くべきことに、共通の浮動接地と、ユーザの皮膚に接触を要しない信号電極とが、パルス波事象を測定することに用いることができることが見いだされた。様々な実施の形態において、パルス波事象は、ハンズフリーで、環境ノイズ(例えば、人間の声や他のバックグラウンドノイズ、電気的干渉及び環境光)から干渉を受けることなくモニタ可能である。電極(あるいは電極アレイ)は、電力消費が比較的低い(例えば、5マイクロワットと3ミリワットとの間。しかしながら、実施の形態はこれに限定されない)。ある特定の実施の形態においては、電力消費は、トリガ事象(例えば、閾値を超えた心拍数、問題を示唆する事象等の特定の心臓に関する事象の発生)の後にデータを保存、及び/または保存されたデータをバースト伝送することのみによって、さらに低減可能である。電気信号感知回路は、少なくとも1の電極が皮膚の近傍あるいはその上に配置されている間、パルス波事象に起因する圧の差、あるいはパルス派事象に起因するキャパシタンス変化をモニタすることによって、パルス波事象を感知することができる。電極は、電極とユーザの皮膚との間のキャパシタンス変化を判別することに用いることができる。パルス波事象により、ユーザの皮膚と電極との間の距離が変化し、その結果、トランスデューサ回路及び電気信号感知回路によって測定されるキャパシタンス及び/または信号振幅及び品質に相対的な変化が生じる。時間の経過に伴うキャパシタンスの変化は、電気信号感知回路によって処理され、パルス波を生成及び/または判別することに用いられる。様々な実施の形態においては、パルス波は、様々な血流力学的パラメータと相関する。具体例として、パルス波は、心拍数、血圧、動脈壁の硬さ、及び/または血液量を判別するために処理される。電極は、ユーザの皮膚に接触及び/または近傍に配置される。ある例においては、電極は、電極(あるいは複数の電極)によって搬送されるキャパシタンス変化を介して血流力学的あるいはパルス波事象を電気的に感知するためにユーザの皮膚の十分近くに配置される。この例において、「十分近く」とは、血管壁を含む部位に対して、近接距離を意味し、最も遠くて皮膚から1ミリメータ(mm)で、最も近くてゼロ、または皮膚に接触する範囲にある。ある態様においては、センサ回路(例えば、電極)は、(接触しているか否かによらず)機械的な拘束具(例えば、リストバンド、靴下、手袋、スリーブもしくはウェアラブル機器または衣服の他の部分等のフレキシブルあるいは折り曲げ可能な基板)及び/または接着剤を用いることでユーザ上に拘束される。
【0039】
電極及び各センサ回路によって搬送されるキャパシタンス変化は、血流力学的またはパルス波事象に起因する圧及び/または電界変調に対する反応である。より具体的には、センサ回路及び電極は、ユーザの皮膚の近接感知によってキャパシタンス変化を取得(または感知)可能であり(既存のキャパシタンスセンサ等の機器では、物理的な変形を要する)、これによって近接センサとして機能する、または近接センサとなる。近接感知及び/またはキャパシタンス変化は、ユーザの皮膚と、センサ回路及び/または変調フリンジ領域線との間の距離の変調に対する反応である。
【0040】
他の具体的な実施の形態においては、装置は、複数の電極を備える。複数の電極は、トランスデューサ回路の一部として配置され、これは、キャパシタンス及び/または圧の変化を示す信号を、電気信号感知回路に供給することに用いられる。例えば、トランスデューサ回路は、複数のセンサ回路を備え、各センサ回路は、複数の電極のうちのいずれかを備える。電気信号感知回路は、トランスデューサ回路と共に配置されて1kPa未満の圧の差、例えば、0.3キロパスカル(kPa)から1kPaの間をモニタする。異なる電極は、異なる形状、感度及び/または配置位置を有することができる。トランスデューサ回路は、キャパシタンス変化を電気信号(例えば、デジタル信号)に変換可能である。本明細書で開示するように、トランスデューサ回路及び電気信号感知回路は、基板に支持されるとともに少なくとも部分的に包囲される。
【0041】
上述のように、本開示の具体的な実施の形態は、装置を用いる方法に関する。この方法は、装置の少なくとも1つの電極をユーザの皮膚の近傍あるいはその上に配置し、パルス波事象を感知することを含む。パルス波事象は、少なくとも1つの電極が、ユーザの皮膚の近傍あるいはその上に配置されている間に、装置の電気信号感知回路を用いて、パルス波事象に起因する圧の差をモニタする、及び/又はパルス波事象に起因するキャパシタンス変化(あるいは相対的なキャパシタンス変化)をモニタすることで感知される。パルス波事象は、パルス波を生成、及び/または様々な物理的及び/または血流力学的パラメータを判別することに用いることができる。例えば、当該方法は、拡張期血圧、収縮期血圧、動脈壁の硬さ及び/または血液量を、パルス波事象を用いて判別することを含む。
【0042】
いくぶん驚くべきことに、パルス波事象は、動脈パルスポイント上あるいは近傍に配置された1以上の電極を用いることでモニタすることができる。例えば、パルス派事象に応じて、各電極はパルス波事象を示す信号を供給する。電極(あるいは複数の電極)は、トランスデューサ回路等の回路に接続される。より具体的には、各電極(例えば、電気伝導体)は、電極からパルス波事象(例えば、キャパシタンス値及び/またはキャパシタンス変化)を示す信号を測定または検出することに用いられる各センサ回路に接続され、信号をトランスデューサ回路に供給する。トランスデューサ回路は、パルス波事象を示す信号を電気信号に変換し、電気信号感知回路に供給する。パルス波事象は、血流力学的反応及び/または心臓の鼓動によって引き起こされる及びまたは心臓の鼓動を示す特性(例えば、心臓筋の収縮)(例えば、心臓の鼓動あるいは心音、血液のパルス)を含むまたは示す。電気信号感知回路(及び/またはトランスデューサ回路)は、静電容量式タッチスクリーン用の商業的に利用可能な、あるいは専用設計された回路を備え、中央演算装置(CPU)と無線あるいは有線通信可能である。さらに、トランスデューサ回路及び/またはセンサ回路は、浮動接地を有してもよい。電極を用いて測定した信号は、電極においてフリンジ領域を変調させる、小さな圧の差及び/または皮膚の移動によるものであり、結果としてキャパシタンス変化が計測可能となる。電極は、接着剤(例えば、テープ)を用いるか、時計バンド、ブレスレットあるいはリストバンド等のストラップを機械的に用いるかして、ユーザ(あるいは他の動物や生物)の皮膚に取り付け可能である。
【0043】
具体的な実施の形態において、電極は、誘電体層(例えば、封止体)によって包囲される。複数の電極が用いられる場合、複数の電極のそれぞれの誘電体層は、異なる構造的特徴を有してよく、各電極の信号感度を調節できる。当該特徴の例は、とりわけ、誘電体層の厚さ、用いた誘電材料の組成、構造、及び抵抗値を含むことができる。複数の電極のそれぞれは、少なくとも1つの電極形状及び電極に用いた誘電体層に基づく異なる特徴と関連付けられる。異なる電極は、モニタしたパルス波事象に対する反応である信号を出力することに用いられる。異なる電極からの信号は、温度変化やユーザの動作(例えば、ノイズ)など電極間で共通する可能性のある信号を除去するために、また、パルス波圧差などより感度が高い電極によって測定され得る信号あるいはパルス波事象を増強するために、差動モードで使用されてもよい。関連する具体的な実施の形態においては、複数の電極のうちの1以上が、電気的にシールドされるか互いに絶縁される。また、少なくとも1つのセンサ回路及び/または電極と、ユーザの皮膚との間の距離を調整あるいは設定するためにスペーサを用いてもよい。
【0044】
電極によって供給された信号は、様々な血流力学的パラメータを判別することに用いられてもよい。例えば、パルス波事象に応じて、キャパシタンス変化を示す1以上の信号が、電気信号感知回路に供給される。上記のように、少なくとも1の電極によって搬送されるキャパシタンス変化は、血流力学的あるいはパルス波事象に起因する圧及び/または電界変調に対する反応である。電気信号感知回路は、心拍数、拡張期血圧、収縮期血圧、及び/または動脈壁の硬さを判別するために1以上の信号を用いる。信号は、1以上のバンドパスフィルタまたは他の信号処理技術によって処理されてよい。例えば、信号は、デジタルで、あるいは圧の変化や呼吸、腕の運動等の動き、及び外的振動等の要因による不自然な成分を最小化する回路設計によってフィルタリングされてもよい。
【0045】
これら驚くべき知見は、特に、血圧あるいは他の血流力学的パラメータを無侵襲及び/または継続的にモニタすることに有用である。具体的な実施例においては、装置は、パルス波事象によって生じた圧の差及び/またはキャパシタンス変化に対する感度を提供するために用いられてもよい。また、装置及び/または装置の一部(例えば、電極)は、静電容量式センサと比較して、より組み立てが容易であり、これは、設計部品及び材料がより少ないためであり、目的の装置をよりロバストにすることが可能となる。
【0046】
関連する具体的な実施例においては、装置は、心拍数、及び他の血流力学的効果、例えば、拡張期血圧、収縮期血圧、動脈壁の硬さを継続してモニタすることが可能なポータブル/ウェアラブル機器及び/または装置を含み、あるいはその一部である。一例として、スマートバンデージは、動脈パルスポイント上に適用でき、リアルタイムでデータを受信機に送信する。別の例は、リアルタイムな読み出し、データを記憶及び/または送信するスマートウォッチバンドを備える。他の実施例は、電極でのフリンジ領域を変調する小さな表面移動あるいは圧の差に関連するものである。
【0047】
次に、図面を参照し、
図1(a)-(b)は、本開示に係る装置の例を示す。
図1(a)-(b)に示すように、各装置は、電極を備えるセンサ回路と、電気信号感知回路とを備える。装置は、パルス波事象に起因する圧の差及び/またはキャパシタンス変化をモニタ可能であり、モニタした圧の差及び/またはキャパシタンス変化を1以上の血流力学的パラメータの判別に用いる。パルス波事象は、ユーザあるいは動物のパルスに対する応答あるいはパルスを示す波形あるいは波形の一部(例えば、心拍の触診を示す)を生成することに用いることができる。パルス波事象は、信号として取得可能であり、心拍数、拡張期血圧、収縮期血圧、及び/または動脈壁の硬さ等の血流力学的パラメータの判別に用いることができる。
【0048】
図1(a)は、電極102を備えるセンサ回路103と、電気信号感知回路106とを備える装置の一例を示す。電極102は、ユーザ(あるいは他の動物)の皮膚の近傍あるいはその上に配置される。電気信号感知回路106は、電極102がユーザの皮膚の近傍あるいは皮膚の上に配置されている状態でパルス波事象を感知する近接電気信号感知回路を備えることができる。ある実施の形態においては、以下にさらに示すように、電極102は、皮膚に直接接触、あるいは、例えば空気もしくは誘電材料によって電気的又は機械的に皮膚から隔離されてもよい。電極102は、パルス波事象に起因する圧及び/またはキャパシタンス変化を感知し、感知した圧あるいはキャパシタンス変化を示す信号を、センサ回路103及び通信経路104を介して電気信号感知回路106に出力する(例えば、電極はキャパシタンス値を示す信号を取得及び出力するセンサ回路103に接続され、あるいはプラグインされる)ことに用いられる。電気信号感知回路106は、パルス波事象に起因する圧あるいはキャパシタンス(相対キャパシタンス変化)の変化をモニタし、モニタ結果から心拍数等の血流力学的パラメータを判別する。圧及び/またはキャパシタンスの変化は、電極102とユーザの皮膚との間の距離の変化及び/または血管の周囲の電界の変化によって生じ得るキャパシタンスの相対変化に基づいて測定される。
【0049】
具体的な実施の形態におけるセンサ回路103及び/または電極102(あるいは複数の電極)は、リストバンドや衣服の一部等によって皮膚あるいは他の身体部位に機械的に拘束される。当該機械的な制約は、弾性的、フレキシブルあるいは折り曲げ可能なバンド、及び/または、センサ回路103及び/または電極102を皮膚もしくは身体に取り付ける接着剤によってなされてよい。接着剤は、センサ回路103の外周に塗布されてよい(また必ずしも電極102と皮膚あるいは他の身体部位との間でなくてよい)。他の実施の形態においては、電極102は、例えば、スペーサや以下に示すものを介して、皮膚に物理的に接触しない。対象のキャパシタンス変化は、相対値であり、絶対値ではない。電極102のベースキャパシタンスは、電極102及び/またはセンサ回路103設計のそれぞれの形状や範囲に依拠する。例示的な実施例においては、電気信号感知回路106は、プラスマイナス15ピコファラッド(pF)の入力範囲(例えば、キャパシタンス変化)を最大100pFオフセットさせて測定可能である。ベースキャャパシタンスは、5-75pFオーダーで、その結果の(パルス波事象からの)パルス波形信号は、0.1-1pFオーダーの最大振幅を有する。しかしながら、実施の形態はこれに限定されず、それらの値はセンサ及び電極デザインによる異なる用途においては変更され得る。
【0050】
時間の経過に伴うキャパシタンスの相対変化は、パルス波形信号を生成、及び/または、別の方法で出力することに用いることができる。パルス波形信号は、血流力学的パラメータを示すことができ、及び/または動脈のパルス波(あるいは「動脈圧波」とも呼ばれる)を含むことができる。パルス波事象に起因するキャパシタンスの変化は、様々な血流力学的パラメータ等の血流力学的パラメータを判別することに用いることができる。当業者により理解されるように、動脈パルス波形は、心臓が収縮し、動脈樹の動脈壁に沿って波が移動する際に、心臓によって生成される波形である。一般に、この波には2つの主要な成分がある。つまり、前進波と反射波とである。前進波は、心臓(心室)が収縮期に収縮することで生成される。この波は、心臓から大動脈を進み、分岐点あるいは大動脈の「交差点」で2つの腸骨血管へと反射される。健常者の場合、反射波は、大動脈弁が閉じた後に拡張期に戻ることができる。戻された波は、ノッチを有し、冠状血管を介して血液を押し出すので、心臓のかん流の一助となる。反射波が戻る速度は、非常に重要である。動脈が硬いほど、速く戻るからである。これは、次に収縮期に入り、最終的な血圧の測定値を増加させる。動脈パルス波は、排出される血液よりも速く移動する。
【0051】
図1(a)(及び
図1(b))に示す装置の一例は、
図1(b)に示すように様々な応用が可能である。一の例示的な応用は、電極102をユーザの皮膚から電気的に絶縁するように変更することを含む。電極102は、電極102の一部及び/または周囲(例えば、包囲)に誘電体層を追加することで絶縁される。ある具体的な実施の形態においては、電極102は、リストバンドに含まれる回路(例えば、回路基板やチップ等のセンサ回路)に接続される。電極102は、フレキシブルであってもよい。例えば、電極102は、ユーザが着用の際に折り曲げられ、リストバンド内に隠されても良い。別の実施の形態、及び/または、追加的に、電極102は、リストバンドと一体化及び/または埋め込まれてよい。誘電体層は、様々な異なる誘電(あるいは絶縁)材料から形成され、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン、フルオロポリマー、ポリイミド、ポリビニルクロライド、セルロース、紙、布、及び/または他の絶縁材料から形成され得る。また、誘電体層は、異なる厚みを有してよく、例えば、5-250ミクロンオーダーの厚みである。実施の形態はこれに限定されず、誘電体層は、ユーザが装置を着用する際の強度及び/または快適度に応じて、またはセンサ回路103の感度を調整するために、厚くあるいは薄くしてよい。
【0052】
パルス波の形状は、ユーザ毎、及び/または計測位置に基づいて異なる。例えば、幅広なパルス圧は、大動脈弁逆流(拡張期において、動脈圧は低下して逆流している大動脈弁を介して左心室を血液で満たす)を示唆あるいは示す。幅狭なパルス圧は、心タンポナーデあるいは他の低出力状態(例えば、深刻な心原性ショック、広範肺塞栓症、あるいは緊張性気胸)を示す。また、パルス波の形状は、計測が大動脈(例えば、上腕動脈、橈骨動脈、大腿動脈及び足背動脈)から離れているなど、計測の位置に応じて調整可能である。しかしながら、波形の形状の変化とともに、平均動脈圧(MAP)は変化せず、及び/または閾値範囲内で変化する。これは、大動脈から橈骨動脈へ、フローに対する抵抗がほとんど変化しないためである。MAPは、位置が細動脈へ移動されると変化を始める。大動脈位置から足背動脈への形状の変化は、収縮期ピーク、収縮期ピークからさらに離れた重複隆起、より低い拡張末期血圧(例えば、幅広なパルス圧)及びパルスのその後の到達(例えば、大動脈から橈骨動脈へ60秒の遅延)における増加を含む。収縮期ピークがより急勾配で動脈樹のさらに下にあるとき、結果として生じる形状は、しばしば末端の遠位収縮期パルス増幅と呼ばれる。
【0053】
本開示に係る実施の形態は、パルス波を出力し、様々な血流力学的パラメータを、無侵襲性のセンサ回路を備えるウェアラブル装置を含む装置を用いて判別することに用いられる。装置は、心拍数、拡張期血圧、収縮期血圧、動脈壁の硬さ、血液量、及び他のパラメータをモニタすることに用いることができる。これまでの侵襲性の装置、例えば、動脈ラインは、ユーザに医学的に挿入されるが、痛みを伴うもので患者の動きを制約し、ユーザを感染症及び他の合併症のリスクにさらす。例えば、動脈ラインは、ユーザの動脈に挿入される薄いカテーテルである。カテーテルは、しばしば、手首の橈骨動脈に挿入されるが、肘の上腕動脈、鼠径部の大腿動脈、足の足背動脈、及び/または手首の尺骨動脈にも挿入される。動脈ラインは、集中治療及び麻酔において用いられ、直接かつリアルタイムで血圧をモニタできる。挿入は痛みを伴うため、麻酔(例えば、リドカイン)が用いて挿入をより許容しやすくし、血管けいれんを防止することを助ける。動脈ラインからの合併症は、組織へのダメージ、および切断さえ引き起こす可能性がある。本開示に係る装置は、リアルタイムで無侵襲的に血圧をモニタすることに用いることができる。装置は、侵襲性の機器によって生じるリスク、例えば、大動脈の一時的な閉塞、仮性動脈瘤、針を刺した位置での血腫の形成あるいは流血、膿瘍、蜂巣炎、正中神経のまひ、化膿性の血栓動脈炎、空気塞栓症、コンパートメント症候群、及び手根管症候群、神経へのダメージ等を回避及び/または緩和することができる。
【0054】
図1(b)に示すように、様々な特性が、装置の感度の調整及び/または電極によって得られる信号を改善するために変更されてもよい。
図1(b)は、複数の電極102-1、102-2及び102-3を備える装置の一例を示す。各電極102-1、102-2及び102-3は、上記のようにパルス波事象(例えば、電極と皮膚表面との間の距離の変化によって生じる)に起因する圧あるいはキャパシタンス変化を感知することに用いられる。電極102-1、102-2及び102-3は、1以上の信号を電気信号感知回路106に供給するトランスデューサ回路110の一部であり、あるいは当該回路を形成する。電極102-1、102-2及び102-3は、装置の異なる位置に配置することができ、位置精度を改善し、及び/または異なる分析のための1以上の参照信号を供給する。ある実施の形態においては、各電極102-1、102-2及び102-3は、電気信号感知回路106に、(パルス波事象に起因する)圧あるいはキャパシタンス変化を示す信号を供給する。具体的な実施の形態においては、トランスデューサ回路110は、浮動接地を有することができる。他の具体的な実施の形態においては、少なくとも1のセンサ回路が、浮動接地を有する(例えば、2つのセンサ回路のそれぞれが浮動接地を有し、全センサ回路が、それぞれ浮動接地を有する)。また、トランスデューサ回路110及び少なくとも1つのセンサ回路は、ともに、一の浮動接地を有することもできる。
【0055】
図1(b)(他の図示も同様だが、
図2(a)、(b)及び(d)を含むが、これらに限定されない)は、電極に接続されたセンサ回路及び/または複数の電極のそれぞれに接続されたセンサ回路を図示していないが、様々な実施の形態において、上記のように各電極がセンサ回路に接続される点、当業者にとって明らかである。このように、
図1(b)の図示は、他の図示も同様に、明瞭化のためにセンサ回路の図示を省略しているが、これは、限定を意図するものではない。
【0056】
様々な実施の形態において、装置(例えば、電気信号感知回路106)は、さらに、無線通信回路を備えることができる。無線通信回路は、電気信号感知回路106から装置の外の回路に無線でデータを通信する。通信回路は、血流力学的パルス波事象に起因する、取得した変化を外部の処理回路に通信するように構成並びに配置される。通信回路は、ウェアラブル機器及び/または装置の内部あるいは外部に配置され、血流力学的モニタリングデータを外部回路に送信することで電気信号感知回路に応答してもよい。また、装置は、以下にさらに説明するように、電源回路112を備えることができる。
【0057】
ある実施の形態においては、複数の電極102-1、102-2及び102-3うちの1つ以上は、ユーザの皮膚から電気的に絶縁されてもよい。上記のように、電極102-1、102-2及び102-3は、誘電体層108-1、108-2及び108-3を、複数の電極102-1、102-2及び102-3のうちのいくつかあるいは全てに付加することで絶縁される。誘電体層108-1、108-2及び108-3は、各電極102-1、102-2及び102-3及び/または各センサ回路を包囲する。しかしながら、本開示の実施の形態はこの場合に限定されず、ユーザの皮膚に接触するよう配置された電極の一部及び/または領域に配置され、及び/または各電極あるいはセンサ回路を少なくとも部分的に包囲する誘電体層を含んでもよい。
【0058】
図1(b)に示すように、トランスデューサ回路110は、不自然な成分を取り除く差動モードを提供するために用いることができる。不自然な成分は、ユーザの移動、例えば、四肢運動、呼吸及び/または身体温度の変化等に起因する、基準をシフトするものである。様々な実施の形態において、トランスデューサ回路110の異なる電極102-1、102-2及び102-3は、異なる構成上の性質及び/または特性を有し、これは、電極を備える各センサ回路の感度を変調することに用いられる。例えば、電極102-1、102-2及び102-3は、異なる形状(例えば、幾何学形状)を有し、ユーザ及び/または装置に対して異なる位置に配置され、また異なる材料から形成されることができる。他の実施の形態においては、異なる構成上の性質及び/または特性は、異なる組成、構成要素、質感及び/または電極を電気的に分離する封止体の厚みを含む。例えば、各電極102-1、102-2及び102-3の誘電体層は、異なる組成、構成、及び/または厚みの誘電材料から形成されることができ、感度及び/または電極を分離するために用いられるシールドの特性を変更する。従って、複数の電極は、複数の電極のそれぞれの感度を設定するよう構成並びに配置された封止体を備えてよい。
【0059】
様々な実施の形態において、装置はさらに電源回路112を備える。電源回路112は、電力を少なくとも電気信号感知回路106に供給する。ある特定の実施例においては、電源回路112は、受動的あるいは誘導的な電源回路であり、例えば、誘導回路である。電源回路の例は、バッテリ、太陽光電力変換器、電気機械式システム、壁のプラグイン(例えば、電気の幹線)、その他の電力源を含む。
【0060】
図2(a)は、皮膚218と相互作用する電極214を備えるセンサ回路を備える装置の一例を示す。上記のように、センサ回路及び電極は、ユーザの皮膚の近接感知(キャパシタンスセンサとして物理的に変形するものと異なる)によってキャパシタンス変化を搬送し、それによって近接センサとして機能し、あるいは近接センサとなる。動脈パルスポイント(例えば、動脈216)の近傍に配置された単一の電極214を有する(近接)センサ回路は、キャパシタンス変化を介して動脈パルス波を測定することに用いることができる。心拍数及び他の血流力学的パラメータは、この波形から取り出される。電極214は、皮膚218に直接接触し、あるいは、皮膚218から電気的に絶縁もしくは分離される。機械的に皮膚218に結合される必要はない。電気的絶縁の組成、構成、及び厚さは、センサの感度を調節するように選択される。スペーサ構造は、電極と皮膚との間の距離を制御するために用いることができる。回路は、浮動接地を有する(例えば、センサ回路及び/またはトランスデューサ回路は、一の浮動接地を有することができる)。
【0061】
電極のアレイは、位置精度を向上させ、及び/または異なる分析のための参照信号を提供することに用いることができる。また、信号は、フリンジ領域分布を最適化する電極デザインによって改善させることができる。例えば、ある実施の形態においては、アナログ反応がセンサ回路のアレイによって感知され、各センサ回路は、単一の電極を有する。アレイにおける2以上の電極は、異なる感度を有し、アレイにおける2以上のセンサ回路によって感知されたアナログ反応は、異なる感知に適用できる。
【0062】
図2(b)は、
図2(a)の装置を用いて感知したパルス波209の一例を示す。図示するように、パルス波209の周期性は、心周期を反映し、ユーザの心拍数を判別することに用いることができる。
【0063】
図2(c)は、パルス波事象をモニタする装置についてのメカニズムの一例を示す。
図2(c)に示すように、ユーザの皮膚218は、メカニズムに対する接地面として機能する。特定のセオリーに制限されることなく、本開示に係る1以上の実施の形態の態様におけるメカニズムは、次のとおりである。(i)皮膚218は接地面として機能し、動脈圧変化は、皮膚218の表面の変位を引き起こし、この変化が、電極214と皮膚218との間の距離を変化させ、これがキャパシタンスの変化として測定される。(ii)動脈216内の血液(及びその上の皮膚)の電位は、心拍とともに変化し、これが、インピーダンスの変化として反映されるフリンジ領域線を変化させる。そして、(iii)上記のメカニズムのそれぞれの組み合わせ(寄与)が含まれる。
【0064】
図2(d)は、
図2(c)に示す装置の一例を示し、センサ回路の少なくとも一部(例えば、電極214)と皮膚218との間の距離(例えば、最小距離)を設定する1以上のスペーサをさらに備える。スペーサ217は、一の材料から形成される複数の構造を有し、長さ(例えば、電極から皮膚表面までの距離)がセンサ回路の少なくとも一部/電極と皮膚との間の距離を設定する。当該長さは、0.1ミリメータ(mm)から1.0mmの範囲であるが、実施の形態はこれに限定されない。
図2(d)に示す実施の形態は、四角形の一のスペーサを示すが、実施の形態はこれに限定されず、2以上のスペーサおよび異なる形状のスペーサを含むことがき、例えば、平板でない及び/または構造的な形状の材料から形成された層であってもよい。
【0065】
図3は、本開示に係る、ユーザの皮膚の近傍に配置された装置(例えば、センサ回路324、トランスデューサ回路326、電気信号感知回路327及び通信回路330を備える)から、遠隔/無線通信可能な送受信機及びCPU334(例えば、アンテナ336を介して受信する)への、電子機器及び/または信号フローを実施する手法の一例を示すブロック図である。CPU334及び/または電気信号感知回路327は、次のような処理を実行するようにプログラミングされるが、これに限定されない。特定の血流力学的信号の存在を示す生データを処理し、生データから波形を展開し、及び/または血流力学的信号及び/または波形の整合性、質及び関連性を評価し、ユーザの血流力学的状態あるいは健康に関する特定の用途(ユーザの心拍数あるいは他の血流力学的インディケータあるいはパラメータ、例えば、拡張期血圧、収縮期血圧、動脈壁の硬さ、血液量、及び/または1以上のインディケータあるいはパラメータの変化を示す)に用いる。
【0066】
センサ回路324の電極は、パルス波事象に対する反応であるキャパシタンス変化を取得し、キャパシタンス変化をトランスデューサ回路326に供給する。ある実施の形態においては、トランスデューサ回路324は、キャパシタンス-デジタル変換器であり、あるいは当該変換器を備える。キャパシタンス-デジタル変換器は、キャパシタンス値(例えば、相対変化)をデジタル信号に変換し、デジタル信号を電気信号感知回路327に出力し、当該回路はマイクロコントローラあるいは他の処理回路を備えるか、あるいはそれらであってもよい。電源328から電力を用いる電気信号感知回路327は、動脈パルス波を測定及び/または記録し、任意で信号を調整し、データの質を評価し、及び/または1以上の血流力学的パラメータを判別する。電気信号感知回路327は、波形及び他の任意のデータをCPU334に通信回路330(例えば、一体型トランシーバ)及びアンテナ332を介して出力する。
【0067】
感知装置は、ここで説明するように、ハンズフリーで環境ノイズ(例えば、人の声及び他のバックグラウンドノイズ、電気的干渉、及び/または周囲光)の干渉を受けることなくパルス波事象をモニタすることに用いることができる。また、電気信号感知回路は、トランスデューサ回路からの電気信号に応答して血流力学的あるいはパルス波事象を感知することができる。電極(あるいは電極のアレイ)は、比較的電力消費量が低い(例えば、5マイクロワット(あるいはそれ未満)から3ミリワットの間)。ある具体的な実施の形態においては、電力消費は、トリガ事象の後にデータを保存及び/または保存したデータをバースト伝送で送信するだけで、さらに低減することができる。トリガ事象は、問題、例えば、閾値量を超えるあるいは未満の心拍数、及び/または特定の波形特性を示す特定の心臓事象を含むことができる。
【0068】
図4(a)-
図5(b)は、本開示に係るセンサのアレイを有する装置の様々な例を示す。例えば、
図4(a)-(b)は、ユーザの皮膚と相互作用するように構成された4つの電極を有する装置の一例を示す。
【0069】
図4(a)は、4つの電極447、449、451及び453を備える4つのセンサ回路を備えるセンサアレイを備える装置の上面(あるいは鳥観)図である。ライン幅及び間隔は、パルスモニタリング用に0.1mmから20mmオーダーである。図示するように、センサアレイは、任意の接地接続440、458及び任意のアクティブシールド接続442、448、450及び456を備える。センサのアレイは、さらに、センサ接続444、446、452及び454と、絶縁層460及び443とを備える。
【0070】
図4(b)は、
図4(a)に示す装置の側面図である。図示するように、層は、絶縁層460と、4つの電極445(例えば、
図4(a)に示す電極447、449、451及び453)と、他の絶縁層443とを備える。装置は、ユーザあるいは他の対象の皮膚の近傍に配置あるいは接触するよう構成されたアクティブ部(あるいは領域)455を備える。アクティブ部455の長さは、パルスモニタリング用に、0.1mmから20mmオーダーもしくはそれ以上である。また、アクティブ部455は、皮膚に接触し、あるいは、接触せずに皮膚から最大で1mmの距離で離間する。様々な具体的な実施の形態において、当該距離は、典型的には皮膚から100ミクロン未満であり、これは、心拍数及び/または血圧を取得するのに十分に低い信号-ノイズ値となる信号を取得するのに十分な距離である。具体的な実施の形態においては、電極445は、感度の目的で平面でないあるいは波状であり、皮膚との接触を低減する。アクティブ領域が小さいほど、感度は高くなるが、正確に位置決めするのが難しくなる。
【0071】
様々な実施の形態において、装置は、ユーザの皮膚と相互作用するように構成された(4つの)電極445を備える、パッケージングされたセンサアレイを備える。センサアレイ(例えば、電極)は、絶縁材料(例えば、誘電材料)によってパッケージングされてよく、これによって環境的な安定性及び耐湿性が提供される。絶縁材料は、ポリエステル、ポリオレフィン、フルオロポリマー、ポリイミド、ポリビニルクロライド、セルロース、紙、布、その他の材料を含む。パッケージングの厚さは、5から250ミクロンオーダーあるいはそれ以上であってよい。同様に、任意の接着剤及び導体層の厚さは、数十ミクロンオーダー、典型的には、接着剤の場合は70ミクロン未満、導体層の場合は5ミクロン未満である。導体層は、任意であるがパッシブシールド層であり、及び/または制御機器に接続されてアクティブシールディングを提供する。
【0072】
具体的な実施の形態において、
図5(a)-(b)を参照してさらに説明するように、層は、任意のシールド及び接着剤コーティングされた絶縁層、絶縁層、1以上の電極、他の絶縁層、及び任意のシールド及び接着剤コーティングされた他の絶縁層を含む。
【0073】
ある実施の形態において、センサアレイ(例えば、電極)は、絶縁材料(例えば、誘電材料)内にパッケージされ、更なる環境的な安定性及び耐湿性が提供される。1以上の絶縁層は、1以上の位置においてスリットが形成されてよく、これによって機械的に個別のセンサ回路を分離し、下にある基板に対するパッケージングされたセンサの適合性が向上する。
【0074】
更なる具体的な実施の形態においては、パッケージングされたセンサアレイは、(4つの)電極445及びスペーサ層を備える。スペーサ層は、
図2(d)ですでに示したように、皮膚表面からのセンサ回路及び/または電極(少なくともその一部)の距離を設定あるいは調整することのできる1以上のスペーサを備える。スペーサ層は、非活性(非感知)領域からの浮遊キャパシタンスを最小化あるいは緩和することができる。スペーサ層の厚さは、0.1mmから5mmオーダーあるいは距離がセンサ感度に影響しない限りにおいてそれ以上である。センサアレイ(例えば、電極)は、絶縁材料(例えば、誘電材料)内にパッケージングされてよく、環境的な安定性及び耐湿性が提供される。パッケージングの厚さは、5から250ミクロンオーダーあるいはそれ以上である。同様に、任意の接着剤及び導体層の厚さは、数十ミクロンオーダーであり、典型的には、接着剤の場合は70ミクロン未満、導体層の場合は5ミクロン未満である。
【0075】
パッケージングされたセンサアレイは、さらに、シールド層を備える。以下に更に説明するように、1以上の絶縁層は、その内面に接着剤コーティングを備え、一の層が他の層に接着され、例えば、絶縁層が他の絶縁層に接着される。絶縁層は、ユーザの皮膚に接触するその外面に導体層を備える。導体層は、2つの絶縁層の間で交互に挟まれるように配置されてよい。導電材料は、例えば、被導電性の基板(例えば、PETまたはポリイミド基板)にプリント、蒸着、スパッタ、あるいはめっきされたアルミニウム、金、カーボン、あるいは銅である。絶縁層は、1以上の位置においてスリットが形成されてよく、機械的に個別のセンサ回路が分離され、下にある基板に対するパッケージングされたセンサ回路の適合性が向上する。従って、基板は、ユーザの手首、肢、あるいは他の身体部位に適合するユーザアクセサリとして構成並びに配置される。
【0076】
特定の実施例においては、絶縁層443、460及び電極445は、フレキシブルな平ケーブル(FFC/FPC)(例えば、市販のMolex15168-0147)から形成され、接着剤コーティングを有する絶縁層460は、接着剤(例えば、市販のAvery15660)を有するポリエチレンテレフタレート(PET)から形成され、導体層を有する絶縁層443は、略2光学密度あるいはそれ以上の光学密度の蒸着アルミニウム(例えば、市販のCelplast Cel-Met 48g)を有する12ミクロンのPETから形成され、スペーサ層は、発泡テープの層(例えば、市販のNexcare731)から形成される。個別の電極は、0.625mm幅でそれらの間のスペースも0.625mmである。
【0077】
異なる電極445は、異なるキャパシタンス感度を有してよい。装置は、いくつかのセンサのアクティブ部を覆うスペーサ層を備えるが、全てのセンサを覆うものではない。センサ回路においては、共通の回路を介するクロストークを防止あるいは緩和するため、読み出し用の機器が分離されてもよい。
【0078】
本開示で示す(例えば、
図1(a)-(b)、
図2(a)、(c)-(d)、
図4(a)-(b)、
図5(a)-(b)、
図6(b)及び
図16(a)を含む)センサ回路のフレキシビリティあるいは折り曲げ度は、圧あるいはキャパシタンスの変化(例えば、キャパシタンス値の変化)を取得するのに十分なものである。より具体的には、センサの剛性は、センサ回路の厚さ及び/または長さに反比例する(例えば、電極が厚いあるいは長いほど、剛性が高い)。フレキシビリティと厚さ(及び/または長さ)は、0.3キロパスカル(kPa)から1kPaの圧変化及び/またはセンサ回路の基準キャパシタンスからプラスマイナス15ピコファラッド(pF)の範囲のキャパシタンス変化に対する感度を提供するのに十分に互いに関連するよう構成されてもよい。より具体的な実施の形態においては、フレキシビリティ及び厚さ及び/または長さは、0.5kPaから1kPaの圧変化に対する感度を提供するのに十分に互いに関連するよう構成されてもよい。さらに、本明細書で説明するように、キャパシタンス変化を示す圧の変化の測定は、センサ回路が皮膚あるいは他の表面にタッチしている際に感知される。感知されたキャパシタンス変化は、電極がユーザの皮膚あるいは他の表面から非接触(ただし1mmまでの離間)の際に取得される。
【0079】
図5(a)-(b)は、異なるキャパシタンス感度を有する複数(例えば、4つ)の電極を備えるパッケージングされたセンサアレイを備える装置の一例を示す。装置は、いくつかのセンサ回路のアクティブ部(例えば、電極547及び548)を覆うスペーサ層545を備えるが、全てのセンサ回路を覆うものではない(例えば、電極549及び550を除く)。代替的及び/または追加で、センサ回路のいくつか(例えば、電極549及び550)と絶縁層541、543の一部は、他のセンサ(例えば、電極547、548)よりも(アクティブ部551の近傍の装置の端を基準として)長さが短い。センサ回路においては、共通の回路を介したクロストークを防止あるいは緩和するため、読み出し用の電子機器が分離されてもよい。上記のように、1以上の絶縁層530は、その内面に接着剤コーティングを備え、絶縁層530が他の層に接着され、例えば、絶縁層530が他の絶縁層541、544に接着される。他の絶縁層544は、ユーザの皮膚に接触するその外面に導体層を備える。
【0080】
図5(a)は、4つの電極547、548、549及び550を備える装置の上面(あるいは鳥観)図である。図示するように、センサアレイは、任意の接地接続531及び540と、任意のアクティブシールド接続532、535、536及び539を備える。センサアレイは、さらに、センサ接続533、534、537及び538と、絶縁層541及び543と、スペーサ層545と、任意のシールド及び接着剤コーティングを有する追加の絶縁層544及び530とを備える。絶縁層541及び543は、1以上の位置542にスリットが形成されてよく、個別のセンサ回路が機械的に分離され、下にある基材に対するパッケージングされたセンサの適合性が向上する。
【0081】
図5(b)は、
図5(a)に示す装置の側面図である。図示するように、層は、その内面(例えば、絶縁層541近傍の面)に接着剤コーティングを有する絶縁層530と、絶縁層541と、4つの電極546(例えば、
図5(a)では電極547、548、549及び550)と、他の絶縁層543と、スペーサ層545と、その外面(例えば、スペーサ層545の反対側及び/または当該層に近接しない面)に導電材料を有する他の絶縁層544とを備える。装置は、上記のようにアクティブ部551を備える。
【0082】
図6(a)-(c)は、本開示に係る装置を示す。特定の実施の形態においては、
図6(b)及び(c)に示すように、装置は、パルス波を感知するように構成並びに配置されたフレキシブルなリボン状センサアレイ602を備えることができる。フレキシブルなリボン状センサアレイ602は、
図6(c)に示すように、リストバンド604に合わせて固定され、ユーザ603の手首に巻かれる。
図6(a)のチャートは、特徴的な橈骨動脈のパルス波形601についてのキャパシタンスデータを示す。実施例においては、バンドバスフィルタ(20Hz/0.5Hz)がデータを処理するために用いられ、計測した心拍数が得られ、71bpmであった。(フィットビットチャージHR(登録商標)による)基準心拍数は、70bpmであるので、センサ信号は、心周期を反映していることを示している。この実施例では、フレキシブルなリボン状センサアレイ602は、弾性リストバンド604によって固定され、ユーザの皮膚に均一に接触する。Molex15168-0147FFCジャンパケーブルを、様々な実施の形態においてフレキシブルなリボン状センサアレイとして用いることができる。心拍数は、当該波形データからフーリエ変換によって算出することができる。フレキシブルなリボン状センサアレイ602は、ブルートゥース近接センサ回路(例えば、電気信号感知回路)に接続することができる。
【0083】
図7は、様々な実施の形態に係る、例えば
図6(b)-(c)の装置を用いて取得したデータの例を示す。特定の実施の形態においては、装置は、複数のチャンネルを、ケーブルの導体線によって供給される異なる信号経路のそれぞれに沿って、同時に(あるいは、選択的、並列的もしくは連続的に)計測可能なように実装されたリボンケーブルを備える。当該実施の形態においては、異なる電極(及び各センサ回路)は、それぞれが信号を電気信号感知回路による連続的な処理、及び/または電気信号感知回路による順次的もしくは同時的な処理のための信号を搬送する複数のチャンネル(例えば、信号経路)のうちのいずれかにおいて構成される。計測される4つのチャンネルの実施例として、
図7(a)に示すように、装置は、4つの電極を備え、4つの電極のそれぞれが、各信号経路/チャンネルに配置される。
図6(a)と同様に、バンドパスフィルタ(20Hz/0.5Hz)が用いられて(例えば、4つのチャンネルからのフィルタ処理していないデータ705、707、709、711から)データが抽出される。この実施例においては、計測された心拍数は71bpmで、(フィットビットチャージHR(登録商標)による)基準心拍数は70bpmである。この実施例では、フレキシブルなリボン状センサアレイは、弾性リストバンドによって固定されてユーザの皮膚に均一に接触する。Molex15168-0147FFCジャンパケーブルを、様々な実施の形態においてフレキシブルなリボン状センサアレイとして用いることができる。心拍数は、当該波形データから、フーリエ変換によって測定することができる。フレキシブルなリボン状電極は、ブルートゥース近接センサ回路(例えば、電気信号感知回路)に接続することができる。
【0084】
図8は、装置を用いて取得したデータの例802、804、806及び808を示す。特定の実施の形態においては、装置は、追加の誘電体絶縁層(テープ)を信号対ノイズに対する反応を変更するために備えることができる。上の2つのチャート(例えば、データ802、804)は、誘電体絶縁層を備えない電極の反応を示す。下の2つのチャート(例えば、データ806及び808)は、1の誘電体絶縁層を有し、信号の振幅における低下を示す電極の反応を示す。
【0085】
図9A-9Bは、様々な実施の形態に係る、複数のチャンネルを備える装置の例と、装置を用いて取得したデータを示す。1以上のチャンネルは、信号強度を低下させることのできる誘電体層を備えあるいは関連付けられる。
図9Aは、4つのチャンネル(例えば、電極が構成されて各信号を搬送する信号経路)を備える装置を用いて取得したデータの例を示す。信号の振幅は、1または2の誘電体層(例えば、1または2のテープ)によって、直接接触の場合と比較して低減することができる。図示するように、波形914は、誘電体層を備えない電極を用いて取得したデータであり、波形915は、1の誘電体層を備える電極を用いて取得したデータであり、波形916は、2の誘電体層を有する電極を用いて取得したデータであり、波形917は、誘電体層を備えない電極を用いて取得したデータである。図示するデータを収集するために用いた装置は、センサストリップを備え、ユーザの皮膚に機械的、例えばリストバンドを介して接続される。
【0086】
特定の実施の形態において、誘電体層は、パルス波の振幅を変調するが、動きあるいは呼吸による不自然な成分によるベースラインシフトの観測を妨げるものではない。
図9Bは、ユーザの手の6インチ幅の上下動によって生じた信号変化に応じた、上記の装置を用いて取得したデータを示す。図示するように、各チャンネルは、ユーザの動きによるベースラインシフトの観測を取得することに用いることができ、これは、それぞれ、波形918、919、920及び921として示される。パルス波形信号に対する低い感度を有するセンサ回路(例えば、誘電材料の1また2の層を有するセンサ回路)は、差動モードにおいてユーザの動きによるベースラインシフトを除去する基準として役立つ。
【0087】
図10は、様様な実施の形態に係る、装置を用いて取得したデータの例を示す。特定の実施の形態は、様々な位置、例えば、手首の前、後及び/または側面に配置された1以上の電極(例えば、センサ)を具体化するものである。異なる位置における電極の位置は、差動モードにおける動きによる不自然な成分の総計の基準として役立つ。当該位置は、パルス点で観測される動きによる不自然な成分を模倣するように選択される。
図10は、手首の周囲の異なる位置に配置された4つのセンサ回路を備える装置の各電極(例えば、チャンネルとして構成される)を用いて取得した異なるデータを示す。取得したデータは、波形1003、1005、1007及び1009として示される。センサ回路は、リストバンドを介してユーザに機械的に結合される。
【0088】
特定の実施の形態における装置は、異なる種類の電極によって実施される。例えば、
図11-
図15(b)は、異なる種類の電極を用いて取得したデータを示す。
【0089】
図11は、平面状の接触点を有する単一の細長い一片の電極を備える装置を用いて取得したデータの一例を示す。
図11に示すデータ1129は、フィルタ処理されていない。バンドパスフィルタ(20Hz/0.5Hz)がデータを抽出するために用いられる。実施例において、算出されたHRは63bpmであり、(フィットビットチャージHR(登録商標)による)基準HRは63bpmである。この実施例では、銅テープ電極は幅が6mmで、長さが3センチメートル(cm)であり、ユーザの皮膚に対して平面状の銅接触点を有し、弾性のリストバンドによってユーザの皮膚に均一に接触するが、本開示はこの実施例に限定されない。電極は、様々な寸法であり、例えば、幅が0.5mmから6mmの範囲、幅が0.5mmから1cmの範囲、また長さが0.5mmから3cmの範囲である。
【0090】
図12は、様々な実施の形態に係る、装置を用いて取得したデータの例を示す。上記のように、装置は、1つの電極を備える少なくとも1つのセンサ回路を備え、電極の角は、ユーザの皮膚の近傍に配置される。角接触は、皮膚の近傍であるがユーザの皮膚にタッチするものではない。角接触が皮膚に近くなるほど、結果である信号は強度が上がる。
図12は、上記の装置を用いて取得したパルス波1238の例を示す。パルス波1238は、センサ回路からの信号を示し、データ1234、1236及び1239は、センサ回路が接続されていない空きの信号チャンネルからの信号を示す。この例では、センサ回路は、角接触を有する6mm幅の銅テープ電極を備える。
【0091】
図13(a)-(b)は、様々な実施の形態に係る、装置を用いて取得したデータの例を示す。装置は、導電性の布から形成された単一の電極を備える。例えば、布電極は、幅が2mmで、長さが2cmである。
図13(a)は、布電極を用いて取得したパルス波1350の一例を示す。電極は、ユーザの皮膚上にフラットに横たえることができ、リストバンドによって皮膚上に保持される。ユーザの腕は、手を上げて折り曲げることができ、データは、ユーザが足踏みをした後に取得される。
図13(b)は、時間に伴って変化する心拍数1354のグラフの例であり、
図13(a)のデータを用いて生成される。バンドパスフィルタ(20Hz/0.5Hz)がパルス波形データを処理するために用いられ、心拍数は、パルス波のフーリエ変換から算出され、心拍数値は、期間(例えば、15秒)で平均化される。この例の基準データ1353は、平均化の期間の違いに起因する期間(例えば、30秒)だけ、実験データを遅らせている。
【0092】
図14は、様々な実施の形態に係る、装置を用いて取得したデータの例を示す。この装置は、単一の(網状の)ワイヤ電極を備える。図示するように、取得したデータは、パルス波1457を含む。心拍数を判別するため、バンドパスフィルタ(1Hz/2Hz)が心拍数データを抽出するために用いられる。実施例において、算出された心拍数は71bpmであり、(フィットビットチャージHR(登録商標)による)基準心拍数は72bpmである。電極は、鋼鉄(例えば、鋼鉄ピクチャワイヤ)から形成され、弾性のリストバンドによって固定される。
【0093】
図15(a)-(b)は、様々な実施の形態に係る、装置の一例及び装置を用いて取得したデータを示す。
図15(a)に示すように、電極1559は、より複雑な幾何学形状、例えば、ユーザの皮膚にフラットに配置された星形銅箔電極を備え、リストバンドによって皮膚に固定される。
図15(b)は、
図15(a)の装置を用いて取得した、フィルタ処理された及びフィルタ処理されていないパルス波の例(例えば、フィルタ処理されていない波形1561及びフィルタ処理された波形1562)を示す。バンドパスフィルタ(20Hz/0.5Hz)がデータを抽出するために用いられる。実施例において、算出された心拍数は71bpmであり、(フィットビットチャージHR(登録商標)による)基準心拍数は71bpmである。
【0094】
図3のブロック図を参照すると、身体に装着されたトランスデューサからの信号フローは、デジタル処理(マイクロコントローラによって行われる)のために信号変換がなされ、リモートユーザインターフェイスへ無線(及び/または有線)通信される。特定の実施の形態においては、関連する信号は、センサ回路によって取得され、トランスデューサ及び/またはセンサ回路が当初からユーザの皮膚にタッチするように構成されているか否か(電気伝導のみに依拠する導電トランスデューサの場合)、及び/または、ユーザの皮膚とトランスデューサとの間に特定の種類のインターフェイスとは無関係に、トランスデューサ(例えば、キャパシタンス-デジタル変換器)及び電気信号感知回路(例えば、マイクロコントローラ)によって処理及び検出/測定される。上記のような考えられる機構に応じて、既存のセンサアプローチとは異なり、当該実施の形態は、ユーザの皮膚への初期接触量及び/またはインターフェイスの種類(当該既存のセンサアプローチは、フリンジ領域の変化及び/または電極と皮膚との間の距離の小さな変化に対して無反応である)に依拠しない。様々な実施の形態において、電極によって搬送される信号は、例えば、光電脈波(PPG)センサと同様に、血流力学的あるいはパルス波事象に起因する輝度変化の影響を受けず、また変化しない。
【0095】
様々な実施の形態に係る、単一の電極を備えるセンサ回路は、近接感知に用いられる。上記のように、キャパシタンスの変化は、電極と各センサ回路を介して搬送され、血流力学的またはパルス波事象に起因する圧及び/または電界変調に対して反応する。キャパシタンス変化は、血管の圧、幾何学的形状、あるいは電界分布の変化によるものであるが、これらのパラメータが直接計測される訳ではない。センサ回路及び電極は、ユーザの皮膚の近接感知を介してキャパシタンス変化を取得(あるいは感知)し(これは、キャパシタンスセンサとして物理的に装置を変形させる場合と異なる)、これによって近接センサとして機能し、あるいは近接センサとなる。近接センサ及び/またはキャパシタンス変化は、ユーザの皮膚とセンサ回路との間の距離の変化、及び/または、フリンジ領域線の変化に対して反応する。
【0096】
以上の、そして以下にさらに説明する詳細な/実施例としての実施の形態において説明される様々な実施の形態は、ユーザと、ユーザの皮膚あるいは身体に適合する各ウェアラブル装置とに言及する。ユーザは、人間に限定されない点、当業者にとって明らかである。具体的な実施の形態においては、ユーザは、生命体あるいは動物(人間以外)を含み、例えば、馬、犬、牛、鳥、は虫類や、動物園においてモニタされる様々な動物や他の種の生命体もしくは動物(例えば、シマウマ、象、パンダ等)や、野生下においてモニタされる生命体あるいは動物、その他の生命体を含む。ユーザ(例えば、動物)の皮膚は、毛で覆われている場合があり、上記のウェアラブル装置は、ユーザ(例えば、動物)の身体に適合あるいは機械的に拘束される。
【0097】
2019年3月29日になされた、発明の名称「近接センサ及び関連する感知方法」という基礎の仮出願(出願番号62/314,474)のスライド17及び18は、特定の具体的な実施の形態に関して、当該センサ回路がどのように具体化されるかの一例を詳細に図示し、その全体を、教示の目的で本明細書に取り込む。
【0098】
(より具体的な実施例)
本開示の実施の形態は、装置の使用を含み、当該装置は、電気信号感知回路と、電極を備える少なくとも1つのセンサ回路とを備え、各電極とユーザの皮膚との間の距離の変化、及び/または、パルス波事象によって生じた動脈パルスポイント近傍の電界変化に対する反応であるキャパシタンス変化及び/または相対キャパシタンス変化をモニタする。キャパシタンスの変化を用いて、パルス波及び/または圧の差異が判別される。パルス波は、様々な血流力学的パラメータ及び/またはパラメータの変化、例えば、心拍数、拡張期血圧、収縮期血圧、動脈壁の硬さ、及び血液量を無侵襲で判別することに用いられる。
【0099】
図16は、様々な実施の形態に係る、装置を用いて収集したデータの例を示す。このデータは、本開示の装置を用いて取得することのできる異なる形状のパルス波1664、1665、1666、1667、1668、1669、1670、1671、1672、1673、1674、1675、1676及び1677(以下、参照の容易化のため、これらを概して「パルス波」と称する)の範囲を含む。図示するパルス波は、キャパシタンスの相対変化を測定することで取得され、キャパシタンスの絶対値を基準とするものではない。しかしながら、本開示の実施の形態は、これに限定されない。
【0100】
図17(a)-(c)は、様々な実施例に係る、装置を用いて取得したデータの例と、動脈ラインを用いて収集したデータとを示す。(ユーザの左の橈骨動脈パルス点の近傍に配置された)装置を用いて取得したデータは、右の橈骨動脈に埋め込まれた動脈ラインを用いて取得したデータをたどる及び/または模倣する。
図17(a)は、様々な実施の形態に係る装置によって取得されたデータ1773が、動脈ラインで取得されたデータ1772を模倣していることを示す。
図17(b)は、データ1773(例えば、波形)を示し、
図17(c)は、データ1772を示すが、これらは、更なる図示のために別々になっている。
【0101】
図18(a)-(c)は、様々な実施例に係る、装置を用いて、また動脈ラインを用いて収集したパルス波の例を示す。(ユーザの左の橈骨動脈パルス点の近傍に配置された)装置を用いて取得したデータは、右の橈骨動脈に埋め込まれた動脈ラインを用いて取得したデータをたどる及び/または模倣する。心拍数は、パルスの長さを計測することによる心拍毎の分析によって判別することができる。心拍数の変化は、個別の心拍数値の分布から得られる。
図18(a)は、装置によって取得されたパルス波形データ1877が動脈ラインを用いて取得したパルス波形データ1875を模倣していることを示す。
図18(b)は、パルス波形データ1877(例えば、波形)を示し、
図18(c)はパルス波形データ1875を示し、これらは、更なる図示のために別々になっている。
【0102】
図19(a)-(c)は、様々な実施例に係る、装置を用いて、また動脈ラインを用いて収集した心拍数の変化及び血圧の変化の例を示す。心拍数及び血圧のパターン及び異常は、様々な実施の形態においてたどられる、及び/またはモニタされる。当該パターン及び/または異常は、様々な健康状態、例えば、細動、高血圧、末梢血管疾患、大動脈弁逆流、大動脈弁狭窄症、及び/または左心室障害、その他の状態を示す。(ユーザの左のパルス点の近傍に配置された)装置を用いて取得したデータは、右の橈骨動脈に埋め込まれた動脈ラインを用いて取得したデータをたどる、及び/または模倣する。
図19(a)は、様々な実施の形態に係る装置を用いて取得したデータ1981が、動脈ラインを用いて取得したデータ1979を模倣していることを示す。
図19(b)は、データ1981(例えば、波形)を示し、
図19(c)はデータ1979を示し、これらは、更なる図示のために別々になっている。
【0103】
図20は、様々な実施例に係る、装置を用いて収集した呼吸数の例を示す。この装置は、呼吸モードから呼吸数を測定及び/またはモニタすることに用いることができる。例えば、
図20は、4つの異なるチャンネルを用いて取得したデータ2087、2088、2089及び2090を示し、ユーザの呼吸動作に関連する特徴的周期とともに周期的なベースラインシフトを示す。
【0104】
図21は、様々な実施例に係る、異なる位置に配置された複数の電極を備える装置を用いて収集したデータの例を示す。上記のように、電極は、それぞれが電気信号感知回路による処理のための信号を搬送する複数のチャンネルを有するように配置される。チャンネル間での取得(同時に取得可能)したデータの質や振幅は、各電極の位置に応じて異なり得る。
図21は、フィルタ処理したデータ2115、2116、2117及び2118(例えば、4つのチャンネルを用いて取得した、フィルタ処理した生データ)を示す。
【0105】
図22は、様々な実施例に係る、異なる位置に配置された複数の電極を備える装置を用いて収集したデータの例を示す。
図21とともに先に説明したように、電極の位置は、取得したデータの質に影響する。追加的及び/または代替的に、電極の位置は、(それぞれ)規定の位置とその逆の位置との混合であってもよい。
図22は、上記のように4つの電極を用いて取得したフィルタ処理したデータ2221、2222、2223及び2224を示す。
【0106】
図23は、様々な実施例に係る、複数の電極を備える装置を用いて収集したデータの例を示す。様々な実施の形態において、電極を用いて取得したデータは、バンドパスフィルタを用いてベースラインドリフト及び信号ノイズを低減するように処理することができる。例えば、
図23は、同一の(例えば、0.1から20Hzのバンドパスフィルタを用いてフィルタ処理された)4つのチャンネルを用いて取得した、フィルタ処理したデータ2345、2346、2347及び2348を示す。
【0107】
図示及び上記のように、パルス波は、様々な血流力学的パラメータを判別することに用いることができる。例えば、パルス波の形状及び他の特徴は、血圧に相関する。他の実施の形態において、心拍数及び心拍変動は、各パルスのタイミングを判別することで取得できる。さらに、血圧の変化は、初めてデータを校正(例えば、膨張可能なカフに対して動脈ラインを校正)することでモニタされ得る。
【0108】
パルス波を分析し、及び/または様々な血流力学的パラメータを判別することに、特徴分析や計算流体力学を含む様々な技術を適用可能である。例えば、血流力学的現象に起因する特徴は、血圧、動脈壁の硬さ、他の血流力学的パラメータと相関する。血流力学的現象に起因する特徴のより一般的で具体的な情報については、JRSM心血管疾患1.4(2012):cvd.2012.012016、PMC、Web、2017年1月31日のCecelia、Marina及びPhil Chowienczykによる「心血管疾患における動脈壁の硬さの役割」、2014年6月1日刊行の応用生理学ジャーナルのVol116、no.11、1396-1404の、David A. Donleyらによる「エアロビックエクササイズトレーニングがメタボリックシンドロームにおける動脈壁の硬さを低減」、バイオメディカルエンジニアリングオンライン13.1(2014):96のBaruch、Martin Cらによる「中心動脈血圧を用いたパルス分解分析アルゴリズムの検証」、及びハイパーテンション51.1(2008):112-118のMunir、Shahzadらによる「末梢脈波増大インデックスが中央のパルス圧と末梢のパルス圧との関係を定義」を参照されたい。これらを全体として本明細書に取り込む。他の例として、増大インデックス(AI)、(末梢第2収縮期血圧(pSBP
2)-拡張期血圧(DBP))/末梢収縮期血圧(pSBP)-DBP)が、動脈壁の硬さのマーカとして利用でき、末梢及び中心ピーク血圧(pPP及びcPP)の両方と相関し得る。AIは、正規化されたパラメータで、絶対校正なしで分析できる。計算流体力学は、パルス波速度及び/または波形等の算出されたパラメータに対し、血管系をインダクタキャパシタ抵抗(LCR)回路及び/または弾性パイプのネットワークとしてモデリングすることを含む。血流力学的パラメータの判別に適用される計算流体力学に関するより一般的及び具体的な情報については、韓国循環器ジャーナル41.8(2011):423-430のLee、Byoung-kwonによる「心血管疾患における計算流体」、及びBiomed.Opt.Express7、3007-3020(2016)のXiaoman Xing及びMingshan Sunによる「光電式容積脈波記録法及びFFTベースの神経ネットワークを用いた光学血圧推定」を参照されたい。これらを全体として本明細書に取り込む。パルス波(PPGによって取得される)と血圧との関係を得る一のモデルは、次の式を含み、gは血管壁の係数Eによって定義されるものである。
E=E
0e
γP
例えば、正規化された波形は、以下により与えられる。
【0109】
パルス波を血圧値に相関させる様々な技術が適用される。パルス波を血圧値に相関させるのに関連する技術についてより一般的及び具体的な情報は、Biomedical Optical Express7.8(2016):3007-3020のXing、Xiaoman及びMingshan Sunによる「光電式容積脈波記録法及びFFTベースの神経ネットワークを用いた光学血圧推定」、並びにhttp://cs229.stanford.edu/proj2014/Sharath%20Ananth,Blood%20Pressure%20Detection%20from%20PPG.pdfを参照されたい。これらを全体として本明細書に取り込む。
【0110】
図24(a)-(b)は、様々な実施の形態に係る、ウェアラブル装置、動脈ライン、及び光学センサを用いて生成したパルス波の例を示す。ウェアラブル装置は、上記のように、電極を備えたセンサ回路を備える。
【0111】
図24(a)に示すように、ウェアラブル装置を用いて生成したパルス波2455は、特に、第2の特徴が大きく、主要なピークから離間している時、第2の特徴を捕らえていた。また、パルス波2455は、動脈ラインを用いて生成したパルス波2457及び光学センサ(例えば、光電脈波(PPG))を用いて生成したパルス波2459に類似する。
【0112】
図24(b)は、電気信号感知装置の、波形を血圧に相関させることができるパルス波2460の微小な特徴を取得する能力を示す。当該特徴は、パルス波2460、2462及び2464の一部を円で囲んで強調するように、PPGを用いて取得したパルス波2464に示されるように、PPGセンサによって取り除くことができる。
【0113】
配向及び方向を示す用語、例えば、上側/下側、左/右、最上部/底部、上/下、上方/下方、垂直、水平、及び直交は、図面における構成要素の相対的な位置を説明するためにここで用いられる。同様に、加熱及び冷却は、技術分野における相対的な用語で、加熱源及び冷却源は、望ましい温度変化に応じて、温度変化の方向性を制御可能であるという点を考慮した同義語である。専門用語は、表記の便宜のみを目的として用いられるものであり、実際の使用においては、開示の構成は図示と異なる配向の場合もある。従って、用語については限定を意図するものと理解されるべきではない。
【0114】
また、以下の用語の背景/意味を正しく理解することが有用である。「電極」の用語は、導電体を指し、あるいは含む。「センサ回路」の用語は、電極とトランスデューサ回路への接続(例えば、トランスデューサ回路にプラグインあるいはその他の接続をするための電極用センサコネクタを備える)とを備える回路であって、電極を介してキャパシタンス値及び/またはキャパシタンス変化を検出あるいは測定し、それをトランスデューサ回路に出力する回路を指し、あるいは含み、センサ回路は、追加的に、様々な構成要素、例えば、
図4(a)-(b)及び
図5(a)-(b)に示すものを備え、例えば、センサ回路は、電極と様々な誘電体及び導体層とを備える複数層構成を備えてもよい。「トランスデューサ回路」の用語は、物理的品質の変化、例えば、センサ回路によって供給されたキャパシタンス変化を電気信号に変換する回路を指し、あるいは含み、例えば、トランスデューサ回路は、キャパシタンス-デジタルコンバータを備えることができる。「パルス波事象」の用語は、心臓の鼓動(例えば、心筋の収縮)によって生じる、及び/または示唆する血流力学的反応及び/または起因(例えば、心臓の鼓動あるいは心音、血圧あるいは血流速度の変化)を指し、あるいは含み、「パルス波」の用語は、パルス波事象によって生成された信号あるいは波形を指し、あるいは含み、パルス波の例は、動脈のパルス波、例えば、心臓が収縮し、波が動脈樹の動脈壁に沿って移動した際に心臓によって生成される波形である。「電気信号感知回路」の用語は、トランスデューサ回路からの電気信号を用いて血流力学的あるいはパルス波事象を感知することに用いる回路を指し、あるいは含み、電気信号感知回路の一例は、マイクロコントローラあるいは他の処理回路を含み、トランスデューサ回路の一例は、キャパシタンス-デジタルコンバータを含むが、実施の形態はこれに限定されない。「通信回路」の用語は、データを他の外部回路に出力する回路を指し、あるいは含み、これは、無線あるいは有線通信を含む。通信回路の一例は、トランシーバを含むが、実施の形態はこれに限定されない。「血流力学」あるいは「血流力学的パラメータ」の用語は、身体の器官、血管、及び組織内を流れる血液に関連したパラメータを指し、あるいは含み、血流力学あるいは血流力学的パラメータの一例は、拡張期血圧、収縮期血圧、動脈壁の硬さ、血液量その他のパラメータを含んでよい。
【0115】
様々な実施の形態が、2016年3月29日になされた、発明の名称「近接センサ及び関連する感知方法」という基礎の仮出願(出願番号62/314474)において具体化されており、この出願による利益を主張し、参照として全体的に本明細書に取り込む。例えば、本明細書及び/または仮出願(そこでのスライドを含む)における実施の形態は、様々に組み合わせ可能である(全てを組み合わせることも含む)。実験による教示や、基礎の仮出願並びに当該仮出願の一部を構成するスライドにおける基礎の示唆を参照することもできる。スライドにおいて示された実施の形態は、特に明記しない限り、本開示技術全体、あるいは特許請求の範囲に記載の発明のいかなる部分に対しても、限定を意図するものでは決してない。
【0116】
本明細書に記載された及び/または図面に示した1以上の作用や動作を行うため、様々なブロック、モジュールあるいは他の回路が具体化され得る。例えば、加熱、エッチング、堆積等の処理は、様々な回路及び関連する機器を用いて自動的に行われてもよい。このような背景において、様々な説明した機能が、1以上のこれらの、あるいは関連する作用/動作を行う回路を用いて実施される。様々な実施の形態において、配線で接続された制御ブロックが、限定的なフレキシビリティで十分な場合に、当該実施のためのエリアを最小化するために用いられてもよい。代替的及び/または追加的に、特定の上記の実施の形態においては、1以上のモジュールは、ディスクリート形の論理回路あるいはプログラミング可能な論理回路であり、それらの作用/動作を具体化するように構成並びに配置される。
【0117】
例えば、本明細書は、特許請求の範囲に記載の本開示を実施するのに有益な態様を、ブロック、モジュール、機器、システム及び/または他の回路形式の表現として例示されてもよい様々な回路あるいは回路構成を手段として、あるいはこれらの用語を用いて、説明及び/または例示した。当該回路及び回路構成は、他の構成要素(リストバンド、外部処理回路等)とともに用いられ、特定の実施の形態が、構成、ステップ、機能、作用、動作等の態様でどのように実施されるのかを例示した。例えば、特定の上記の実施の形態において、このような背景で、1以上の例示した要素が、回路(例えば、ディスクリート形の論理回路あるいは(半)プログラミング可能な回路)を表し、当該回路は、スライドで示したアプローチにおいてそうであるように、これらの作用/動作を実施するように構成並びに配置される。特定の実施の形態において、当該例示の要素は、1以上のコンピュータ回路(例えば、マイクロコンピュータあるいは他のCPU)を表し、当該コンピュータ回路は、基本アルゴリズムを実行し(例えば、パルス波事象に起因する圧の差及び/またはキャパシタンス変化をモニタリングする)、及び/または血流力学的パラメータを判別することを含み、及び/またはより複雑な処理/アルゴリズムを実行するため、コード(命令のセット/複数のセットとして実行されるプログラム)を記憶する記憶回路を備えると理解される。このことは、当該特定のパラメータ感知について記載のある公知から理解される。当該処理/アルゴリズムは、特定の用途において好適なように、関連するステップ、機能、作用及び動作を行うために具体的に実施される。本明細書は、また、構成の寄与を暗示しない形容詞(第1の[構成の種類]及び第2の[構成の種類])に言及するが、この場合、当該形容詞は、1の類似の名称の構成を、他の類似の名称の構成から区別するため、英語の先行詞としてのみ用いられる(例えば、「第1の電極~」は、「電極」と解釈される)。
【0118】
以上の説明及び図示に基づいて、様々な応用及び変更を、本明細書で開示及び図示した例示的な実施の形態及び用途に厳密に従うことなく、様々な実施の形態に行うことが可能な点、当業者にとって明らかである。例えば、図面において例示した方法は、様々な順序で行われるステップを含むものであるが、実施の形態の1以上の態様においては、そのまま、あるいはより少ないもしくはより多いステップを含んでもよい。当該応用は、特許請求の範囲に記載した態様を含む、本開示の様々な態様の本旨や範囲から逸脱するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電容量式センサであるセンサ回路を複数有し、キャパシタンスの変化を電気信号に変換するトランスデューサ回路と、
前記トランスデューサ回路からの前記電気信号に応じて、前記キャパシタンスの変化をモニタする前記電気信号感知回路と、
前記トランスデューサ回路及び前記電気信号感知回路を少なくとも部分的に包囲するように、前記トランスデューサ回路及び前記電気信号感知回路を支持する基板と、
電気信号感知回路からのデータを送信する通信回路と、
を備え、
前記複数のセンサ回路の各々は、単一の電極と当該電極の一部又は周囲に追加される誘電体層を備えて、前記キャパシタンスの変化を感知し、
前記複数のセンサ回路の少なくとも1つは、血流力学的あるいは波形を血圧に相関することができるパルス波上の事象に起因する圧によるユーザの皮膚と前記単一の電極との間の距離の変化及び/または電界変調に対して反応する前記キャパシタンスの変化を感知し、
血流力学的あるいは波形を血圧に相関することができるパルス波上の前記事象は、主要なピークから離れたパルス波の形状的特徴に対応し、
前記電気信号感知回路は、1キロパスカル(kPa)オーダーの圧力未満の圧の差による前記ユーザの皮膚と前記単一の電極との間の距離の変化及び/または15ピコファラッド(pF)オーダーかつ前記キャパシタンスの変化の最大オフセットが100pF以下の範囲の前記キャパシタンスの変化をモニタし、前記トランスデューサ回路からの前記電気信号に応じて、前記血流力学的あるいはパルス波上の前記事象を感知し、
前記基板は、血流学的モニタリングのために血管を有するユーザの一部に適合し、前記血流力学的あるいはパルス波事象を電気信号を介して電気的に感知するために、血管を有するユーザの皮膚に前記単一の電極を十分に近接させるように配置される、
ウェアラブル装置。
【請求項2】
前記複数のセンサ回路は、前記複数のセンサ回路の1つ以上が、前記複数のセンサ回路の他とは機械的に分離されるようにアレイに配置される、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項3】
前記複数のセンサ回路は、前記複数のセンサ回路の各前記電極が、前記ウェアラブル装置の異なる位置にあるように配置されて位置精度を向上させる、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項4】
前記複数のセンサ回路は、前記複数のセンサ回路の各前記電極が、前記ウェアラブル装置の異なる位置にあるように配置されて異なる分析のための複数の参照信号を提供する、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項5】
前記複数のセンサ回路は、前記ウェアラブル装置のユーザの1つ以上の心拍数に関連付けされる1つ以上のトリガ事象の前のデータの保存ではなく前記1つ以上のトリガ事象に応じて、前記ウェアラブル装置から保存されたデータをバースト伝送することにより及び前記1つ以上のトリガ事象を含むデータを保存することにより、前記ウェアラブル装置による電力消費量が5マイクロワットから3ミリワットの間の範囲の閾値量を越えない節電モードで動作する、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項6】
前記複数のセンサ回路は、前記ウェアラブル装置のユーザの1つ以上の心拍数に関連付けされる1つ以上のトリガ事象に対応するデータを取得し、前記1つ以上のトリガ事象の前のデータの保存ではなく前記1つ以上のトリガ事象に応じて前記1つ以上のトリガ事象を含むデータを保存することにより電力消費を抑えることにより動作し、
前記1つ以上のトリガ事象は、閾値より上であると検出された心拍数、及び問題を示す事象として検出された特定の心拍数関連事象の1つ以上の対応する、
請求項1に記載ウェアラブル装置。
【請求項7】
前記単一の電極は、前記電極によって搬送される前記キャパシタンス変化を介して血流力学的あるいはパルス波事象を電気的に感知するために前記ユーザの皮膚に十分に近接している、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項8】
前記単一の電極は、前記電極によって搬送される前記キャパシタンス変化を介して血流力学的あるいはパルス波事象を電気的に感知可能な距離まで前記ユーザの皮膚に近接しており、
前記距離は、前記皮膚から0~1ミリメートル(mm)離れた範囲にある、又は前記皮膚と接触している範囲である、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項9】
動作において、前記単一の電極は、物理的に変形するものとは異なる前記ユーザの前記皮膚の近接感知によってキャパシタンス変化を搬送し、
前記単一の電極に隣接する動脈圧変化は、前記皮膚の変位を引き起こし、キャパシタンスの変化として測定される前記電極と前記皮膚との間の距離の変化を引き起こす、
請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項10】
前記複数のセンサ回路は、前記複数のセンサ回路の少なくとも1つが近接回路として機能し、物理的変形への応答とは異なる前記ユーザの前記皮膚の近接感知を介してキャパシタンス変化を搬送するために前記単一の電極が前記複数のセンサ回路の前記少なくとも1つのそれぞれに関連付けされるようにアレイに配置される、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項11】
前記複数のセンサ回路のそれぞれについて、前記単一の電極が、キャパシタンス変化を介して動脈パルス波を測定するために動脈パルスポイントの近傍に配置される、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項12】
前記複数のセンサ回路のそれぞれについて、前記単一の電極が、前記皮膚に機械的に結合することなく、キャパシタンス変化を介して動脈パルス波を測定するために動脈パルスポイントの近傍に配置される、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項13】
前記センサ回路の少なくとも1つは、前記複数のセンサ回路センサの他の少なくとも1つとは異なる設計を有する、請求項1に記載のウェアラブル装置。
【請求項14】
前記単一の電極は、長さが0.5mmから3cmの範囲、他の2つが0.5mmから6mmの範囲及び0.5mmから1cmの範囲の寸法を有する、請求項1に記載のウェアラブル装置。