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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041779
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】標的化併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 41/00 20200101AFI20230316BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20230316BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20230316BHJP
   A61K 31/409 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230316BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230316BHJP
   C07K 14/01 20060101ALN20230316BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20230316BHJP
【FI】
A61K41/00
A61K47/62
A61K39/395 N
A61K38/16
A61K31/409
A61P35/00
A61P43/00 121
C07K14/01
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023010896
(22)【出願日】2023-01-27
(62)【分割の表示】P 2019555879の分割
【原出願日】2018-04-11
(31)【優先権主張番号】62/484,693
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516081308
【氏名又は名称】オーラ バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】508285606
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ, アズ リプレゼンテッド バイ ザ セクレタリー, デパートメント オブ ヘルス アンド ヒューマン サービシーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エリザベット デ ロス ピノス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン トッド シラー
(72)【発明者】
【氏名】ロンダ シー. キンズ
(57)【要約】
【課題】腫瘍細胞を選択的に標的化および殺滅すると同時に、腫瘍抗原を免疫系に提示し、抗腫瘍免疫を相乗効果的に生成し、それによって、がんの処置および防止のための併用療法を提供するための方法および組成物を提供すること。
【解決手段】本開示のいくつかの実施形態は、免疫治療剤およびウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された抗がん分子を含む腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物の組み合わせを使用する、腫瘍の処置のための方法および組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
この出願は、米国特許法§119(e)の下、2017年4月12日に出願された米国仮出願第62/484,693号(これは、その全体が参考として本明細書に援用される)の利益を主張する。
【0002】
背景
がんに関して多くの処置が利用可能であるが、がんの多くの形態は、不治、処置不能のままであるか、または標準治療に抵抗性になる。旧来のがん処置法は頻繁に、抗がん薬物によって正常/健康な細胞において引き起こされる細胞傷害に起因して、重篤な副作用が付随する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
本開示は、腫瘍細胞を選択的に標的化および殺滅すると同時に、腫瘍抗原を免疫系に提示し、抗腫瘍免疫を相乗効果的に生成し、それによって、がんの処置および防止のための併用療法を提供するための方法および組成物を提供する。予測外なことに、実験データから、腫瘍標的化感光性分子(これは、レーザー活性化の際に細胞傷害性になる)は腫瘍抗原特異的免疫応答を誘発することが示された。がん細胞に対するこの免疫応答をブーストするために、免疫チェックポイントインヒビターは、上記腫瘍標的化感光性分子と同時に(または順次に)投与され得る。
【0004】
従って、いくつかの実施形態において、(a)腫瘍を有する被験体に、腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を含む組成物を投与する工程であって、上記構築物は、上記構築物のウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む工程;および(b)上記腫瘍を有する被験体に、免疫チェックポイントインヒビターを含む組成物を投与する工程を包含する方法が、本明細書で提供される。
【0005】
いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントインヒビターは、腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物での処置を受けている最中である腫瘍を有する被験体に投与され、上記構築物は、上記構築物のウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む。
【0006】
免疫チェックポイントインヒビターおよび腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を含む組成物がまた、本明細書で提供され、上記構築物は、上記構築物のウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む。
【0007】
上記の要旨は、本明細書で開示される技術の実施形態、利点、特徴および使用のうちのいくつかを、非限定的な様式で例証することが意味される。本明細書で開示される技術の他の実施形態、利点、特徴および使用は、詳細な説明、図面、実施例、および特許請求の範囲から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示のVLP結合体の作用機構を示す模式図である。上記VLP結合体は、上記VLPの表面において一級アミンに結合体化された感光性分子(IRDye(登録商標)700DX)を有する腫瘍標的化ウイルス様粒子(VLP)を含む。上記VLP結合体は、照射がなければ不活性である。VLP結合体は、腫瘍細胞を優先的に標的化する。689nmでの赤外線照射は、上記VLP結合体を活性化する。ウイルスキャプシドのL1タンパク質は、多価様式で腫瘍表面上のヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)に特異的に結合する。次いで、その活性化した薬物は、その腫瘍細胞膜を破壊し、免疫原性促進性の腫瘍細胞損傷および壊死をもたらす。
【0009】
図2図2は、TC-1モデルにおいてマウスの生存曲線を示すグラフである。約50mmの腫瘍が形成された(0日目)後、そのマウスに、上記VLP結合体またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)を注射し、次いで、12時間後および24時間後に、光で処置した。そのプロトコルを、3日目に反復した。
【0010】
図3図3は、TC-1モデルにおいてマウスの生存曲線を示すグラフである。約100~300mmの腫瘍が形成された(0日目)後、そのマウスに、上記VLP結合体またはPBSを注射し、次いで、12時間後に光で処置した。そのプロトコルを、3日目に反復した。0日目および17日目に採血して、腫瘍特異的T細胞応答を測定した。
【0011】
図4図4は、17日目に実験用マウスの血液中で検出された腫瘍抗原特異的CD8 T細胞を示す。腫瘍容積、HPV16 E7テトラマー CD8ゲーティング、およびHPV16 E7ペプチド再刺激-IFN-γ、CD8ゲーティングを示す。
【0012】
図5図5は、光処置単独では、腫瘍抗原特異的CD8 T細胞が生じないことを図示する。腫瘍容積、HPV16 E7 テトラマー CD8ゲーティング、およびHPV16 E7ペプチド再刺激-IFN-γ、CD8ゲーティングを示す。
【0013】
図6図6は、腫瘍増殖および再発を防止するための、NIRで活性化した腫瘍標的化薬物結合体、およびチェックポイントインヒビターの組み合わせを図示する模式図である。
【0014】
図7図7は、実施例4で行われる実験の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
詳細な説明
がん/腫瘍処置薬物を腫瘍に特異的に送達するために、ある種のウイルスキャプシドタンパク質は、それらの腫瘍標的化能力または構造安定性を失うことなく、治療用分子を運ぶためにアセンブリされ得るおよび/または化学的に改変され得る。これらの「ウイルスキャプシドタンパク質構築物」は、腫瘍細胞表面に、例えば、腫瘍細胞表面上のヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)への結合を介して、選択的に結合し得、その腫瘍細胞に入り、そこでその治療用分子(例えば、感光性分子)は、標的化された細胞傷害性効果および/または抗腫瘍免疫を生成し得、腫瘍細胞死滅および腫瘍再発の防止をもたらし得る。がんの処置におけるこのようなウイルス様粒子および構築物の使用は、例えば、PCT出願公開WO2015042325(2014年9月18日出願(その全体は本明細書に参考として援用される))に記載されている。
【0016】
本開示のいくつかの局面は、少なくとも一部分は、腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を介して腫瘍細胞へと送達される感光性分子が抗腫瘍免疫を生成するということを示す予測外の結果に基づく。免疫原性促進性の細胞死を受ける腫瘍細胞は、抗原提示細胞(APC)が腫瘍抗原を取り込むように刺激して、それらをプロセシングし、その腫瘍に対する腫瘍抗原特異的T細胞免疫応答を誘導する免疫原性因子を放出する。このような腫瘍抗原特異的T細胞応答は、処置の壊死効果と合わさって、正常細胞に影響を及ぼすことなく腫瘍細胞を選択的かつ有効に破壊し、抗腫瘍免疫を生成し、腫瘍再発を防止するための限りない可能性を示す。
【0017】
腫瘍細胞は頻繁に、自己攻撃を防止するために免疫系が採用する機構を利用する。がん免疫治療剤は、腫瘍細胞が免疫系による攻撃を巧みにかわす能力を低減または排除するために開発されてきた。がんを処置するためのこのような免疫治療剤の使用は、例えば、米国特許出願公開US20160024469、同US20130202645、同US20100189641、米国特許第5478556号、同第5290551号、および同第5126129号(これらの全体は、本明細書に参考として援用される)に記載されている。いくつかの実施形態において、その免疫治療剤は、免疫チェックポイントインヒビターである。従って、本開示は、腫瘍細胞において細胞傷害性感光性分子を標的化および活性化し、そして免疫チェックポイントインヒビター(または他の免疫治療剤)を同時にまたは順次に投与することによって生成される予測外の相乗効果を利用する、がん/腫瘍の併用療法のための組成物および方法を包含する。このような組成物および方法は、旧来の化学療法および腫瘍免疫療法ストラテジーと比較した場合に、腫瘍増殖を制御する、抗腫瘍免疫を誘導する、および腫瘍再発を防止するにあたって、より有効である。
【0018】
よって、本開示のいくつかの局面は、腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を含む組成物であって、その構築物がその構築物のウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む組成物を提供する。
【0019】
「ウイルスキャプシドタンパク質構築物(viral capsid protein assemblage)」とは、ウイルスキャプシドタンパク質から形成される任意の粒子または集合体である。ウイルスキャプシドタンパク質構築物の例としては、カプソマーおよびウイルス様ナノ粒子、ならびに他のウイルス性偽ウイルス(pseudovirus)およびウイルス性ナノ粒子が挙げられるが、これらに限定されない。ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、「腫瘍標的化(tumor targeting)」するとみなされる。なぜならそれは、非腫瘍(例えば、非がん性、そうでなければ、正常な、健康な)細胞を結合することなく、腫瘍(例えば、がん性)細胞を結合するからである。いくつかの実施形態において、腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、72カプソマー構造(例えば、L1またはL1/L2ウイルスキャプシドタンパク質を含む)を有するウイルス様粒子(VLP)である。
【0020】
いくつかの実施形態において、ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、ヒトパピローマウイルス(HPV)ウイルスキャプシドタンパク質構築物(例えば、タイプ16、タイプ31、またはタイプ16に由来するアミノ酸およびタイプ31に由来するアミノ酸を含む改変されたタイプからの)である。いくつかの実施形態において、ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、非ヒトパピローマウイルス(HPV)ウイルスキャプシドタンパク質構築物である。非ヒトパピローマウイルスのウイルスキャプシドタンパク質構築物の例としては、ウシパピローマウイルス、ワタオウサギ(cotton-rabbit)パピローマウイルス、マカクパピローマウイルスおよびマウスパピローマウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、ウイルスキャプシドタンパク質を含む。「キャプシドタンパク質」とは、タンパク質モノマーである。キャプシドタンパク質は、一緒にアセンブリして、カプソマー(例えば、キャプシドタンパク質のペンタマー)を形成し得る。「カプソマー」とは、ウイルスキャプシドのサブユニットであり、それは、ウイルス(例えば、ヒトパピローマウイルス(HPV)のような)の遺伝物質を保護するタンパク質の外側の覆いである。しかし、本開示の状況におけるカプソマーは、キャプシドとは独立して、送達ビヒクル(腫瘍標的化送達ビヒクル)として使用され得ることは理解されるべきである。本開示のキャプシドタンパク質は、パピローマウイルスL1キャプシドタンパク質、パピローマウイルスL2キャプシドタンパク質、およびこれらの改変体(例えば、感染阻害抗体を誘導する、低減または改変された能力を有する改変体)を含む。いくつかの実施形態において、ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、L1キャプシドタンパク質のみを含む一方で、他の実施形態では、ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、L1およびL2キャプシドタンパク質の組み合わせを含む。「外側キャプシドタンパク質(external capsid protein)」とは、本明細書で使用される場合、VLPの表面上で露出されるキャプシドタンパク質をいう。
【0022】
ウイルス様粒子、またはVLPは、本明細書で使用される場合、L1、またはL1およびL2の自己アセンブリする秩序だったアレイを含む組織化されたキャプシド様構造(例えば、形状がおよそ球形または円筒状)、カプソマーをいい、ウイルスゲノムを含まない。いくつかの実施形態において、そのウイルス様粒子は、真正ビリオン(authentic virion)に形態的にかつ抗原的に類似であるが、それらはウイルスの遺伝物質(例えば、ウイルス核酸)を欠き、その粒子を非感染性にする。
【0023】
腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、いくつかの実施形態において、その粒子自体に対する免疫原性を低減する、すなわち、その構築物に対する中和抗体の誘導を低減するように改変され得る。そのウイルスキャプシドタンパク質構築物は、例えば、改変された免疫原性を有する改変体キャプシドタンパク質を有するカプソマーからアセンブリされ得る。「改変された免疫原性」を有する改変体キャプシドタンパク質は、既存の(例えば、内因性)ウイルス血清型特異的抗体によるキャプシドタンパク質の認識を低減または防止するために、アミノ酸において天然にまたは合成的に改変される(例えば、変異される、置換される、欠失される、PEG化されるまたは挿入される)ものである。改変体キャプシドタンパク質は、ヒトパピローマウイルス(HPV)L1改変体、非ヒトパピローマウイルスL1改変体、または異なるHPV血清型に由来するアミノ酸の組み合わせに基づくパピローマウイルスL1改変体であり得る。例えば、改変された免疫原性を有するL1改変体は、組換えタンパク質であり得、これは、国際公開番号WO2010120266(2009年7月24日出願(その全体は、本明細書に参考として援用される))に記載される。いくつかの実施形態において、そのウイルスキャプシドタンパク質構築物は、改変された免疫原性を有するL1改変体(改変体HPV16/31 L1キャプシドタンパク質)を含む。
【0024】
本開示の腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、がん細胞を特異的に標的化し得、このような特異性は、少なくとも部分的に、その腫瘍細胞表面上のヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)への、ウイルスキャプシドタンパク質構築物におけるL1タンパク質の結合によって媒介される。このプロセスは、その宿主細胞に付着し、感染するウイルスのプロセスに類似である。その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、無傷の上皮細胞に結合も偽標的化(pseudo-target)もしないので、健康なまたは正常な細胞に影響を及ぼすことなく、抗がん薬物を腫瘍に特異的に送達するための優れたツールである。
【0025】
本開示の腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、抗がん活性を有する分子(本明細書で「抗がん分子(anti-cancer molecule)」といわれる)に結合体化されたキャプシドタンパク質を含む。このような抗がん分子は、腫瘍細胞に対して標的化された細胞傷害性効果を生じ得るおよび/または場合によっては、その腫瘍細胞に対して免疫応答を誘導し得る。本開示の分子の非限定的な例としては、以下が挙げられる:ボルテゾミブ、イマチニブ、セリシクリブ、アファチニブ(Gilotrif)、アレクチニブ(Alecensa)、アキシチニブ(Inlyta)、ベリノスタット(Beleodaq)、ボルテゾミブ(Velcade)、ボスチニブ(Bosulif)、カボザンチニブ(Cometriq)、カルフィルゾミブ(Kyprolis)、セリチニブ(Zykadia)、コビメチニブ(Cotellic)、クリゾチニブ(Xalkori)、ダブラフェニブ(Tafinlar)、ダサチニブ(Sprycel)、エルロチニブ(Tarceva)、エベロリムス(Afinitor)、ゲフィチニブ(Iressa)、イブルチニブ(Imbruvica)、イデラリシブ(Zydelig)、イマチニブ(Gleevec)、イキサゾミブ(Ninlaro)、ラパチニブ(Tykerb)、レンバチニブ(Lenvima)、ニロチニブ(Tasigna)、オラパリブ(Lynparza)、オシメルチニブ(Tagrisso)、パルボシクリブ(Ibrance)、パノビノスタット(Farydak)、パゾパニブ(Votrient)、ポナチニブ(Iclusig)、レゴラフェニブ(Stivarga)、ルキソリチニブ(Jakafi)、シプリューセル-T(Provenge)、ソニデジブ(Odomzo)、ソラフェニブ(Nexavar)、テムシロリムス(Torisel)、トファシチニブ(Xeljanz)、トラメチニブ(Mekinist)、バンデタニブ(Caprelsa)、ベムラフェニブ(Zelboraf)、ビスモデギブ(Erivedge)、およびボリノスタット(Zolinza)。当該分野で公知の任意の抗がん分子は、本開示に従って使用され得る。
【0026】
いくつかの実施形態において、その抗がん分子は、感光性分子、または光増感剤である。「感光性分子」または「光増感剤」とは、光を吸収すると励起状態へと促進され得る化合物である。この種は、これが遭遇する任意の有機化合物を迅速に攻撃し、従って、非常に細胞傷害性である。いくつかの実施形態において、活性化された感光性分子は、光励起されると光を再放出する(例えば、フルオロフォア)。いくつかの実施形態において、活性化された感光性分子は、光励起されると、毒性になり得るか、または毒性分子を生じ得る。例えば、感光性分子のあるクラスは、光を吸収すると励起状態へと促進され得、酸素との項間交差を受けて、一重項酸素を生じ得る。
【0027】
驚くべきことに、ウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物が、NIR光でいったん活性化されたら、腫瘍壊死を誘導したのみならず、その腫瘍の免疫原性促進性の細胞死を誘導し、その腫瘍に対して長時間持続性の腫瘍抗原特異的T細胞応答をも活性化した。よって、免疫系は、その腫瘍を攻撃するように活性化され、局所の(局部的な)および遠隔的な処置有効性を増強する。予測外なことに、この作用機構は、既存の腫瘍のサイズを低減した、すなわち、腫瘍増殖を阻害したのみならず、マウスにおいてチャレンジした際に、あらたな腫瘍が形成するのをも防止した、すなわち、腫瘍再発をも防止した。
【0028】
本開示に従う使用のための感光性分子の例としては、蛍光色素、赤外吸収色素(infrared dye)、近赤外吸収色素、ポルフィリン分子およびクロロフィル分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本開示に従う使用のための蛍光色素の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:アクリジンオレンジ、アクリジンイエロー、Alexa Fluor、7-アミノアクチノマイシンD、8-アニリノナフタレン-1-スルホン酸、ATTO色素、オーラミン-ローダミン染料、ベンズアントロン、ビマン、9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、5,12-ビス(フェニルエチニル)ナフタセン、ビスベンズイミド、ブラックライト塗料(blacklight paint)、カルセイン、カルボキシフルオレセイン、カルボキシフルオレセインジアセテートスクシンイミジルエステル、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル、1-クロロ-9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、2-クロロ-9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、2-クロロ-9,10-ジフェニルアントラセン、クマリン、DAPI、ダーククエンチャー(dark quencher)、DiOC6、DyLight Fluor、Fluo-3、Fluo-4、FluoProbes、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、蛍光画像ガイド下手術(fluorescence image-guided surgery)、fluoro-jade染料、fura-2、fura-2-アセトキシメチルエステル、GelGreen、GelRed、緑色蛍光タンパク質、ヘプタメチン色素、インディアンイエロー、Indo-1、ルシファーイエロー、ルシフェリン、MCherry、メロシアニン、ナイルブルー、ナイルレッド、光学的光沢剤、ペリレン、フロキシン、フィコビリン、フィコエリトリン、フィコエリスロビリン、ヨウ化プロピジウム、ピラニン、ローダミン、ローダミン123、ローダミン6G、RiboGreen、RoGFP、ローズベンガル、ルブレン、(E)-スチルベン、(Z)-スチルベン、スルホローダミン101、スルホローダミンB、SYBR Green I、synapto-pHluorin、テトラフェニルブタジエン、トリス(バソフェナントロリンジスルホネート)ルテニウム(II)四ナトリウム、テキサスレッド、Titan yellow、TSQ、ウンベリフェロン、黄色蛍光タンパク質およびYOYO-1。
【0030】
本開示に従う使用のための感光色素の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:HpD,ポルフィマーナトリウム(Photofrin(登録商標)、Photogem(登録商標)、Photosan Hemporfin(登録商標))、m-THPC、テモポルフィン(Foscan(登録商標))、ベルテポルフィン(Visudyne(登録商標))、HPPH(Photochlor(登録商標))、パラジウム細菌フェオフォルビド(Palladium-bacteria-pheophorbide)(Tookad(登録商標))、5-ALA、5 アミノレブリン酸(Levulan(登録商標))、5-ALAメチルエステル(Metvix(登録商標))、5-ALAベンジルエステル(Benzvix(登録商標))、5-ALAヘキシルエステル(Hexvix(登録商標))、ルテチウム(III)-テキサフィリンもしくはモテキサフィン-ルテチウム(Lutex(登録商標)、Lutrin(登録商標)、Angrin(登録商標)、Optrin(登録商標))、SnET2、エチルエチオプルプリンスズ(IV)(Tin (IV) ethyl etiopurpurin)(Purlytin(登録商標)、Photrex(登録商標))、NPe6、モノ-L-アスパルチル塩素e6、タラポルフィンナトリウム(Talporfin(登録商標)、Laserphyrin(登録商標))、BOPP、ボロン酸プロトポルフィリン(boronated protoporphyrin)(BOPP(登録商標))、亜鉛フタロシアニン(CGP55847(登録商標))、ケイ素フタロシアニン(Pc4(登録商標))、スルホン化アルミニウムフタロシアニン誘導体の混合物(Photosens(登録商標))、ATMPn、アセトキシ-テトラキス(β-メトキシエチル-)ポルフィセン)、TH9402およびジブロモローダミンメチルエステル。
【0031】
本開示に従う使用のための感光分子の例としては、以下が挙げられる:蛍光画像化において使用され得るもの(例えば、近赤外線(NIR)吸収蛍光色素)、例えば、ポルフィリン、クロロフィル、クロリン、フタロシアニン、バクテリオクロリン、テキサフィリン、Photofrin(登録商標)(ポルフィマーナトリウム)、Visudyne(登録商標)(ベルテポルフィン)、Laserphyrin(登録商標)/NPe6(テモポルフィン)、Foscan(タラポルフィン)、メチレンブルー(Urolene Blue(登録商標)、Swiss Blue、Basic Blue 9、Chromosmon、メチルチオニニウムクロリド(Methylthionium Chloride))、ならびにアミノレブリン酸の種々の誘導体(ALA、Metvix(登録商標)、HexvixTM/Cysview(登録商標))、またはこれらの組み合わせ。いくつかの実施形態において、本開示のウイルスキャプシドタンパク質構築物に結合体化された感光分子は、近赤外吸収色素である。いくつかの実施形態において、その近赤外吸収色素は、IRDye(登録商標)700DXである。
【0032】
本開示の種々の局面によれば、その抗がん分子(例えば、IRDye(登録商標)700DX)は、そのウイルスキャプシドタンパク質構築物のキャプシドタンパク質(例えば、パピローマウイルスL1および/またはL2キャプシドタンパク質)に結合体化され得る。いくつかの実施形態において、その抗がん分子は、そのウイルスキャプシドタンパク質構築物のキャプシドタンパク質に共有結合的に結合体化される。いくつかの実施形態において、その抗がん低分子は、そのウイルスキャプシドタンパク質構築物のキャプシドタンパク質のリジン残基に共有結合的に結合体化される。そのキャプシドタンパク質への抗がん分子の結合体化は、腫瘍細胞の表面へのそのウイルスキャプシドタンパク質構築物の結合を損ねないか、または腫瘍細胞の表面上のHSPGへのウイルスキャプシドタンパク質構築物の結合を損ねない。その抗がん分子に結合体化されるウイルスキャプシドタンパク質構築物は、「結合体(conjugate)」と本明細書でいわれ得る。
【0033】
パピローマウイルスのL1タンパク質は、化学的結合体化にアクセス可能な多数のリジンを含む。従って、多数の感光性分子(または他の抗がん分子)が、本開示の1つの腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物に結合体化され得る、すなわち、抗がん分子
対 ウイルスキャプシドタンパク質構築物の比は変動し得る。いくつかの実施形態において、ウイルスキャプシドタンパク質構築物:感光性分子の比は、約1:10~約1:1000、または約1:50~約1:1000である。すなわち、いくつかの実施形態において、ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、約10~約1000の感光性分子を含み得る。いくつかの実施形態において、ウイルスキャプシドタンパク質構築物:感光性分子の比は、1:10、1:15、1:20、1:25、1:50、1:75、1:100、1:150、1:200、1:250、1:500、1:750または1:1000である。いくつかの実施形態において、そのウイルスキャプシドタンパク質構築物は、10、15、20、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、または1000の感光性分子を含み得る。例えば、そのウイルスキャプシドタンパク質構築物は、10~1000、10~500、100~1000、200~1000、300~1000、400~1000、500~1000、100~500、200~500、300~500、400~500、100~400、200~400、300~400、100~300、または200~300の感光性分子を含み得る。いくつかの実施形態において、そのウイルスキャプシドタンパク質構築物は、1000より多くの感光性分子または10未満の抗がん分子を含み得る。そのウイルスキャプシドタンパク質構築物のL1タンパク質への感光性分子の結合体化は、構造的完全性またはその構築物の腫瘍標的化能力、すなわち、その腫瘍細胞の表面上のHSPGを選択的に結合するその能力を含まない。従って、本開示の腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物の別の利点は、多量の治療剤を、その分子の非常に低濃度においてすら腫瘍に特異的に送達するそれらの能力である。
【0034】
いくつかの実施形態において、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、そのウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む。いくつかの実施形態において、その感光性分子は、IRDye(登録商標)700DXである。いくつかの実施形態において、そのウイルス粒子結合体は、ウイルス様粒子、例えば、改変体または改変HPV 16/31 L1キャプシドタンパク質および野生型HPV L2キャプシドタンパク質からアセンブリされ、赤外線活性化分子、例えば、IRDye(登録商標)700DXに結合体化された72カプソマーを含むウイルス様粒子を含む。この結合体は、がん細胞に選択的に結合することが示され、レーザーで活性化されると、その結合体は、がん細胞の膜を選択的に破壊し、隣り合う正常細胞を損傷することなく、そのがん細胞を殺滅する。
【0035】
本開示の組成物は、がんの処置のための免疫治療剤をさらに含む。「免疫治療剤」とは、本明細書で使用される場合、がんを処置するために免疫系の使用を促進する薬剤をいう。このような免疫治療剤は、代表的には、がん細胞がしばしば、それらの表面上に、免疫系によって検出され得る分子を有するという事実を利用する。いくつかの実施形態において、その免疫治療剤は、腫瘍細胞に付着するように免疫系に能動的に誘導する。いくつかの実施形態において、その免疫治療剤は、既存の抗腫瘍応答(例えば、モノクローナル抗体、リンパ球、およびサイトカイン)を増強する。いくつかの実施形態において、その免疫治療剤分子は、免疫チェックポイントの活性を調節する。
【0036】
「免疫チェックポイント」とは、免疫応答シグナルを増強するか(共刺激分子)または免疫応答シグナルを低減するかのいずれかである免疫系のタンパク質である。多くのがんは、阻害性免疫チェックポイントタンパク質を利用して、T細胞シグナルを阻害することによって、それら自身を免疫系から保護する。このような阻害性チェックポイントタンパク質としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、プログラム細胞死1レセプター(PD-1)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン(T-cell Immunoglobulin domain and Mucin domain)3(TIM3)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)、V-setドメイン含有T細胞活性化インヒビター1(VTVN1またはB7-H4)、表面抗原分類276(CD276またはB7-H3)、BおよびTリンパ球減弱因子(B and T Lymphocyte Attenuator)(BTLA)、ガレクチン-9(GAL9)、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)、アデノシンA2Aレセプター(A2aR)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン様レセプター(KIR)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)およびT細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)。
【0037】
これらの免疫チェックポイントタンパク質のうちのいくつかは、それらの免疫阻害活性のために、それらの同族結合パートナー、またはリガンドを要する。例えば、A2ARは、アデノシンA2Aのレセプターであり、A2ARへのA2Aの結合は、負の免疫フィードバックループを活性化する。別の例として、PD-1は、その2つのリガンドであるPD-L1およびPD-L2と会合して、T細胞の活性化を防止することによって免疫系をダウンレギュレートする。PD-1は、リンパ節における抗原特異的T細胞のプログラムされた細胞死を促進し、同時に、サプレッサーT細胞のプログラムされた細胞死を低減するので、その免疫阻害性機能を達成する。さらに別の例として、CTLA4は、T細胞の表面上に存在し、抗原提示細胞(APC)の表面上のその結合パートナーであるCD80またはCD86に結合される場合に、それは、T細胞へと阻害性シグナルを伝達し、それによって、その免疫応答を低減する。
【0038】
がん細胞は、免疫チェックポイントタンパク質を利用して、免疫系によって攻撃されることから逃れることが公知である。従って、がんに対する免疫応答を増強し、従ってがんを処置するために免疫チェックポイントインヒビターを使用することは、記載されてきた。本開示の組成物における免疫治療剤はまた、免疫チェックポイントインヒビターであり得る。いくつかの実施形態において、その免疫チェックポイントは、以下のうちのいずれか1またはこれより多くを阻害する:細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、プログラム細胞死1レセプター(PD-1)、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン3(TIM3)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)、V-setドメイン含有T細胞活性化インヒビター1(VTVN1またはB7-H4)、表面抗原分類276(CD276またはB7-H3)、BおよびTリンパ球減弱因子(BTLA)、ガレクチン-9(GAL9)、チェックポイントキナーゼ1(Chk1)、アデノシンA2Aレセプター(A2aR)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、キラー細胞免疫グロブリン様レセプター(KIR)、リンパ球活性化遺伝子-3(LAG3)およびT細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)。
【0039】
いくつかの実施形態において、「阻害する」とは、免疫チェックポイントタンパク質の、その同族結合パートナー(例えば、PD-1、CTLA-4、またはA2aR)への結合を防止するかまたは弱めることを意味する。いくつかの実施形態において、その免疫チェックポイントインヒビターは抗体である。いくつかの実施形態において、その抗体は、抗CTLA-4、抗PD-1、抗PD-L1、抗TIM3、抗LAG3、抗B7-H3、抗B7-H4、抗BTLA、抗GAL9、抗Chk、抗A2aR、抗IDO、抗KIR、抗LAG3、抗VISTA抗体、または前述の抗体のうちのいずれか2もしくはこれより多くの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、その免疫チェックポイントインヒビターは、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、その免疫チェックポイントインヒビターは、抗PD1、抗PD-L1、抗CTLA-4、または前述の抗体のうちのいずれか2もしくはこれより多くの組み合わせを含む。例えば、その抗PD-1抗体は、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))またはニボルマブ(Opdivo(登録商標))であり、その抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))である。従って、いくつかの実施形態において、その免疫チェックポイントインヒビターは、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、イピリムマブ、または前述の抗体のうちの2もしくはこれより多くの任意の組み合わせを含む。本明細書で記載される実施例が、限定していることを意味されず、当該分野で公知の任意の免疫チェックポイントインヒビターおよびこれらの任意の組み合わせが本開示に従って使用され得ることは、理解されるべきである。
【0040】
本明細書で開示される、腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物および免疫治療剤を含む組成物は、がんの処置に適している。従って、本開示はまた、腫瘍を有する被験体にこのような組成物を投与して、腫瘍を処置するための方法を包含する。その組成物は、腫瘍増殖を低減するおよび/または腫瘍の再発を防止するために有効な量において上記被験体に投与される。
【0041】
「投与すること」または「投与」または「投与する」とは、薬理学的に有用である様式で被験体に物質を提供することを意味する。医療分野の当業者に公知の従来法は、処置されるべきがんのタイプまたはがんの部位に依存して、その治療剤または組成物をその被験体に投与するために使用され得る。この組成物はまた、他の従来の経路を介して投与され得る(例えば、経口的に、非経口的に、吸入スプレーによって、局所的に、直腸に、鼻に、口内に、膣に、または埋め込まれたレザバを介して、投与され得る)。用語「非経口的(parenteral)」とは、本明細書で使用される場合、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、膀胱内、滑液包内、胸骨内、髄腔内、病変内、および頭蓋内注射または注入の技術を含む。さらに、それは、注射用デポー投与経路を介して(例えば、1ヶ月、3ヶ月、または6ヶ月のデポー注射用または生分解性の物質および方法を使用して)被験体に投与され得る。いくつかの実施形態において、その組成物は、全身に、例えば、静脈内に、投与され得る。いくつかの実施形態において、その組成物は、局所的に投与される。いくつかの実施形態において、その組成物は、埋め込みによって投与される。
【0042】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物は、腫瘍増殖が存在する標的部位に注射され得る。本開示に従って使用され得る注射方法としては、静脈内注射、病変内注射、皮下注射、硝子体内注射、脈絡膜上注射、腹腔内注射、動脈内注射、肝内注射および膀胱内注射が挙げられるが、これらに限定されない。注射が使用される場合には、注射の領域に依存して、中空の針、コーティングされた針、ミニニードルまたはマイクロニードルが使用される。
【0043】
いくつかの実施形態において、本開示のがん処置方法は、腫瘍を有する被験体に、腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を含み、ウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む組成物、および免疫治療剤を含む組成物を投与する工程を包含する。
【0044】
いくつかの実施形態において、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物およびその免疫治療剤は、同時に投与される。「同時に(concurrently)」とは、2またはこれより多くの物質/薬剤(例えば、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物およびその免疫治療剤)を、被験体に同時に投与することを意味する。例えば、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物またはその免疫治療剤を含む組成物は、投与前に、合わされ得る/混合され得る。
【0045】
いくつかの実施形態において、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物およびその免疫治療剤は、順次に投与される。「順次に(sequentially)」とは、1つの薬剤を投与することおよび別の薬剤を投与することに、時間的に(2つの別の工程として)隔たりがあることを意味する。いくつかの実施形態において、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、第1に投与され、その免疫治療剤(例えば、チェックポイントインヒビター)は、第2に投与される。いくつかの実施形態において、その免疫治療剤は、第1に投与され、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、第2に投与される。投与する工程のその2工程の間の時間は、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間、少なくとも1日間、少なくとも1週間、またはさらに少なくとも1ヶ月間であり得る。その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物およびその免疫治療剤が順次に投与される場合、それらはまた、異なる経路を介してまたは異なる位置に投与され得る。例えば、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、その露出された腫瘍病変へと病変内に、またはその被験体の皮膚へと皮下に投与され得る一方で、その免疫治療剤は、全身に、例えば、静脈内に、投与され得る。
【0046】
いくつかの実施形態において、本開示のがん処置方法は、ウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された分子(例えば、感光性分子)を含む腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物での処置を受けている最中である腫瘍を有する被験体に、免疫治療剤を投与する工程を包含する。
【0047】
本開示の感光性分子は、分子のタイプに依存して、赤外線、近赤外線、または紫外線によって活性化され得る。例えば、赤外レーザーまたは近赤外レーザーまたは紫外レーザーは、いくつかの実施形態において、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物の感光性分子を活性化するために使用され得る。そのレーザーによって送達されるエネルギーは、5ジュール(J)~約150J、または8J~36Jの範囲に及び得る。いくつかの実施形態において、そのレーザーによって送達されるエネルギーは、5J、6J、7J、8J、9J、10J、12J、14J、16J、18J、20J、22J、24J、26J、28J、30J、32J、34J、36J、38J、40J、50J、60J、70J、80J、90J、100J、110J、120J、130J、140J、または150Jである。
【0048】
光またはレーザーは、その感光性分子(またはその腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物)に約5秒間~約5分間適用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、その光またはレーザーは、その感光性分子に、その分子を活性化するために5秒間、10秒間、15秒間、20秒間、25秒間、30秒間、35秒間、40秒間、45秒間、50秒間、または55秒間適用される。いくつかの実施形態において、そのレーザーは、その感光性分子に、1分間、1.5分間、2分間、2.5分間、3分間、3.5分間、4分間、4.5分間または5分間、適用される。
【0049】
光またはレーザーは、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を投与してから約30分間~約48時間後に、その感光性分子(またはその腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物)に適用され得る。例えば、いくつかの実施形態において、その光またはレーザーは、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を投与してから30分間、35分間、40分間、45分間、50分間または55分間後に、その感光性分子に適用される。いくつかの実施形態において、その光またはレーザーは、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を投与してから1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間後に、その感光性分子に適用される。いくつかの実施形態において、その光またはレーザーは、その腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を投与してから36時間または48時間後に、その感光性分子に適用される。
【0050】
その光またはレーザーは、例えば、その腫瘍の部位に直接適用され得る。
【0051】
本開示のがん処置方法によれば、感光性分子に結合体化されたウイルスキャプシドタンパク質構築物での処置を受けている最中である腫瘍を有する被験体は、免疫治療剤(例えば、免疫チェックポイントインヒビター)をさらに投与され得る。本明細書で記載される任意の免疫治療剤は、その被験体への投与に適している。処置されるべき腫瘍のタイプに依存して、種々の免疫治療剤が投与され得ることは、理解されるべきである。当業者は、適切な免疫治療剤を同定し得る。いくつかの実施形態において、免疫チェックポイントインヒビター(例えば、抗PD-1、抗PD-L1、および/または抗CTLA-4抗体)が投与される。
【0052】
本開示の組成物および方法を使用して処置され得る腫瘍のタイプとしては、前悪性新生物(premalignant neoplasm)、悪性腫瘍、転移、またはがん性または前がん性とみなされるように制御されない細胞増殖によって特徴づけられる任意の疾患もしくは障害が挙げられるが、これらに限定されない。そのがんは、原発性または転移性のがんであり得る。がんとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:眼のがん、胆管がん、膀胱がん、胸膜がん、胃がん、卵巣がん、髄膜がん、腎臓がん、脳のがん(膠芽腫および髄芽腫が挙げられる)、乳がん、子宮頚がん、絨毛癌、結腸がん、子宮内膜がん、食道がん、胃がん、血液新生物(急性リンパ性白血病および骨髄性白血病が挙げられる)、多発性骨髄腫、AIDS関連白血病および成人T細胞白血病リンパ腫、上皮内新生物(ボーエン病およびパジェット病が挙げられる)、肝臓がん、肺がん、リンパ腫(ホジキン病およびリンパ球性リンパ腫が挙げられる)、神経芽腫、口腔がん(扁平上皮癌が挙げられる)、卵巣がん(上皮細胞、間質細胞、生殖細胞および間葉系細胞から生じるものが挙げられる)、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、肉腫(平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫、および骨肉腫が挙げられる)、皮膚がん(黒色腫、カポジ肉腫、基底細胞がん、および扁平上皮がんが挙げられる)、精巣がん(精上皮腫、非精上皮腫、奇形腫、絨毛癌、間質腫瘍および胚細胞腫瘍(germ cell tumor)のような胚腫瘍(germinal tumor)が挙げられる)、甲状腺がん(甲状腺の腺癌(thyroid adenocarcinoma)および髄様癌が挙げられる)、および腎がん(腺癌およびウィルムス腫瘍が挙げられる)。一般に遭遇するがんとしては、乳がん、前立腺がん、肺がん、卵巣がん、結腸直腸がん、および脳のがんが挙げられる。いくつかの実施形態において、その腫瘍は、黒色腫、癌腫、肉腫、またはリンパ腫である。
【0053】
いくつかの実施形態において、その腫瘍は転移しており、皮膚または表面に露出した腫瘍病変(例えば、メルケル細胞癌、頭頚部扁平上皮癌、基底細胞癌、乳癌および転移性の乳癌、皮膚T細胞リンパ腫(セザリー症候群)ならびに肉腫)を有する。いくつかの実施形態において、その腫瘍は、外科的な介入なしにアクセス可能である(例えば、頭部、頸部、子宮頸部、喉頭または皮膚に位置する腫瘍)。いくつかの実施形態において、その腫瘍は、がん性または悪性である。いくつかの実施形態において、その腫瘍は、外科的なまたは内視鏡による介入によってアクセス可能にされる(光/レーザーにアクセス可能にされる)。いくつかの実施形態において、その腫瘍は転移性である。いくつかの実施形態において、その腫瘍は、原発性腫瘍であり、転移している。いくつかの実施形態において、その転移性のがんは、皮膚または表面に露出した腫瘍病変を有する。いくつかの実施形態において、その腫瘍は、赤外レーザーでの処置にアクセス可能な病変を有する。いくつかの実施形態において、その転移性のがんは、眼の中に腫瘍病変または転移を有する。いくつかの実施形態において、その腫瘍は、眼の腫瘍であり、肝臓に転移している。その腫瘍が眼の腫瘍であるか、または眼に転移している場合、その眼の腫瘍は、硝子体、脈絡膜外腔(choroidal space)、虹彩、毛様体、強膜、中心窩、網膜、視神経乳頭、または視神経に位置する。
【0054】
腫瘍を有する被験体は、いくつかの実施形態において、哺乳動物(例えば、ヒト)である。
【0055】
本開示の組成物および/または治療剤は、がん増殖を低減または防止するために有効な量でその被験体に投与される。「有効(な)量」とは、本明細書で使用される場合、単独で、または1もしくはこれより多くの他の薬剤との組み合わせてのいずれかで、その被験体に対して治療効果を付与するために必要とされる各薬剤の量をいう。有効量は、当業者によって認識されるように、処置されている特定の状態、その状態の重篤度、個々の被験体のパラメーター(年齢、健康状態、サイズ、性別および体重が挙げられる)、処置の継続時間、同時治療(あるとすれば)の性質、特定の投与経路ならびに医療関係者(health practitioner)の知識および見解の範囲内の類似の要因に依存して、変動する。これらの要因は、当業者に周知であり、慣用的に過ぎない実験で対処され得る。個々の構成要素またはその組み合わせの最大用量、すなわち、妥当な医学的判断に従うその最高の安全な用量が使用されることは、概して好ましい。しかし、被験体が、医学的理由、心理的理由から、または実質的には任意の他の理由から、より低い用量または耐用量に固執し得ることは、当業者によって理解される。
【0056】
経験的考慮事項(例えば、半減期)は一般に、その投与量の決定に寄与する。例えば、ヒト免疫系と適合性である薬剤(例えば、ヒト化抗体または完全ヒト抗体に由来する領域を含む薬剤)は、その化合物の半減期を長期化する、およびその化合物がその宿主の免疫系によって攻撃されるのを防止するために、使用され得る。投与頻度は、治療の過程にわたって決定および調節され得、概して、疾患の処置および/または抑制および/または好転および/または遅延に基づくが、必ずしもそうではない。あるいは、化合物の持続性の連続放出製剤が適切であり得る。徐放を達成するための種々の製剤およびデバイスは、当該分野で公知である。
【0057】
いくつかの実施形態において、投与量は、毎日、2日ごと、3日ごと、4日ごと、5日ごと、または6日ごとである。いくつかの実施形態において、投与頻度は、毎週、2週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、7週間ごと、8週間ごと、9週間ごと、または10週間ごとに1回;または毎月、2ヶ月ごと、もしくは3ヶ月ごと、またはより長い期間ごとに1回である。この治療の進捗は、従来の技術およびアッセイによって容易にモニターされる。その投与レジメン(使用される化合物を含む)は、時間を経て変動し得る。
【0058】
いくつかの実施形態において、通常の体重の成体被験体は、約0.01~1000mg/kgの範囲におよぶ用量が投与され得る。いくつかの実施形態において、その用量は、1~200mgの間である。その特定の投与量レジメン、すなわち、用量、タイミングおよび反復は、その特定の被験体およびその被験体の病歴、ならびに薬剤の特性(例えば、その薬剤の半減期および当該分野で周知の他の考慮事項)に依存する。
【0059】
本開示の目的のために、本明細書で記載されるとおりの治療剤の適切な投与量は、使用されるその特定の薬剤(またはその組成物)、製剤および投与経路、その疾患のタイプおよび重篤度、その化合物が防止目的で投与されるのかまたは治療目的で投与されるのか、以前の治療、その被験体の臨床歴およびアンタゴニストへの応答、ならびに主治医の判断に依存する。代表的には、臨床医は、所望の結果を達成する投与量に達するまで、薬剤を投与する。1またはこれより多くの薬剤の投与は、例えば、そのレシピエントの健康状態、投与目的が治療できであるのかまたは予防的であるのか、および当業者に公知の他の要因に依存して、連続的または間欠的であり得る。薬剤の投与は、事前に選択された期間にわたって本質的に連続的であってもよいし、例えば、疾患を発生させる前、その間、またはその後のいずれかに、一連の間隔を空けた用量にあってもよい。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「処置すること」とは、薬剤またはその薬剤を含む組成物を、疾患、その疾患の症状、またはその疾患に対する素因を有する被験体に、その疾患、その疾患の症状、またはその疾患に対する素因を治癒する、回復させる、軽減する、緩和する、変化させる、治す、好転させる(ameliorate)、改善する、または影響を及ぼす目的をもって、適用または投与することをいう。
【0061】
疾患を軽減することは、その疾患の発生もしくは進行を遅延させること、または疾患の重篤度を低減することを包含する。その疾患を軽減することは、必ずしも治癒的な結果を要しない。そこで使用される場合、疾患の発生を「遅延させる」とは、その疾患の進行を先送りする、妨げる、減速する、遅らせる、安定化する、および/または延期することを意味する。この遅延は、病歴および/または処置されている個体に依存して、種々の時間の長さであり得る。疾患の発生を「遅延させる」もしくは軽減するか、またはその疾患の始まりを遅延させる方法は、その方法を使用しない場合と比較して、所定の時間枠の中でその疾患の1もしくはこれより多くの症状を発生させる確率を低減するおよび/または所定の時間枠の中でその症状の程度を低減する方法である。このような比較は、代表的には、統計的に有意な結果を与えるために十分な被験体数を使用する臨床研究に基づく。
【0062】
疾患の「発生」または「進行」とは、その疾患の最初の発現および/またはその疾患の後に起こる進行を意味する。その疾患の発生は、当該分野で周知のとおりの標準的な臨床技術を使用して検出可能かつ評価され得る。しかし、発生とは、検出不能であり得る進行にも言及する。この開示の目的のために、発生または進行とは、その症状の生物学的経過に言及する。「発生」は、出現、再発、および始まりを包含する。本明細書で使用される場合、疾患の「始まり(onset)」または「出現(occurrence)」とは、最初の始まりおよび/または再発を包含する。
【0063】
本開示はまた、以下に挙げられる段落を包含する:
1.以下:
(a)腫瘍を有する被験体に、腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を含む組成物を投与する工程であって、上記構築物は、上記構築物のウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む、工程;および
(b)腫瘍を有する上記被験体に、免疫チェックポイントインヒビターを含む組成物を投与する工程、
を包含する、方法。
【0064】
2.上記ウイルスキャプシドタンパク質は、ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質である、段落1に記載の方法。
【0065】
3.上記ウイルスキャプシドタンパク質は、非ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質である、段落1に記載の方法。
【0066】
4.上記非ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質は、ウシパピローマウイルスキャプシドタンパク質またはワタオウサギパピローマウイルス(cottontail papillomavirus)タンパク質である、段落3に記載の方法。
【0067】
5.上記ウイルスキャプシドタンパク質は、パピローマウイルスL1キャプシドタンパク質、またはパピローマウイルスL1キャプシドタンパク質およびパピローマウイルスL2キャプシドタンパク質の組み合わせを含む、段落1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
6.上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、カプソマーまたはウイルス様粒子である、段落1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
7.上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、10~1000の感光性分子を含み、必要に応じて、上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、200~500の感光性分子を含む、段落1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0070】
8.上記感光性分子は、蛍光色素、赤外吸収(IR)色素、近赤外吸収(NIR)色素、ポルフィリン、クロロフィル、クロリン、フタロシアニン、バクテリオクロリン、テキサフィリン、ポルフィマーナトリウム、ベルテポルフィン、テモポルフィン、タラポルフィン、メチレンブルー、アミノレブリン酸、またはこれらの組み合わせを含む、段落1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0071】
9.上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、改変体または改変されたHPV 16/31 L1キャプシドタンパク質および野生型HPV L2キャプシドタンパク質からアセンブリされる72カプソマーを含むウイルス様粒子であり、上記感光性分子は、IRdye 700DXを含む、段落1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
10.上記免疫チェックポイントインヒビターは、CTLA-4、PD-1、PD-L1、TIM3、LAG3、B7-H3、B7-H4、BTLA、GAL9、Chk1またはA2aRの、同族結合パートナーへの結合を阻害する、段落1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0073】
11.上記免疫チェックポイントインヒビターは抗体である、段落10に記載の方法。
【0074】
12.上記抗体は、モノクローナル抗体である、段落11に記載の方法。
【0075】
13.上記抗体は、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4抗体、抗BTLA抗体、抗GAL9抗体、抗Chk1抗体、抗A2aR抗体、および前述の抗体のうちのいずれか2またはこれより多くの組み合わせから選択される、段落1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
14.上記抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、イピリムマブおよび前述の抗体のうちの2またはこれより多くの任意の組み合わせから選択される、段落13に記載の方法。
【0077】
15.上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物および上記免疫チェックポイントインヒビターは、同時に投与される、段落1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
16.上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物および上記免疫チェックポイントインヒビターは、順次に投与される、段落1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
17.上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、上記免疫チェックポイントインヒビターが上記被験体に投与される前に上記被験体に投与される、段落16に記載の方法。
【0080】
18.上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、腫瘍または腫瘍病変へと局所的に投与され、上記免疫チェックポイントインヒビターは、全身に投与される、段落16および17に記載の方法。
【0081】
19.上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物および/または上記免疫チェックポイントインヒビターは、注射によって、局所的に、または埋め込みによって投与される、段落1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
20.上記注射は、病変内注射、皮下注射、硝子体内注射、脈絡膜上注射、腹腔内注射、動脈内注射、肝内注射、膀胱内注射、またはこれらの任意の組み合わせである、段落19に記載の方法。
【0083】
21.上記感光性分子を、赤外レーザー、近赤外レーザー、または紫外レーザーを使用して活性化する工程をさらに包含する、段落1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
22.上記腫瘍は、がん性である、段落1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0085】
23.上記腫瘍は、転移性である、段落23に記載の方法。
【0086】
24.上記腫瘍は、黒色腫、癌腫、肉腫またはリンパ腫である、段落1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0087】
25.上記腫瘍は、赤外レーザーでの処置にアクセス可能な病変を有する、段落1~24のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
26.上記腫瘍は、メルケル細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、転移性乳癌、皮膚T細胞リンパ腫または肉腫である、段落25に記載の方法。
【0089】
27.上記腫瘍は、原発性腫瘍であり、転移している、段落1~25のいずれか1つに記載の方法。
【0090】
28.上記腫瘍は、肝臓、膀胱、眼、頭部、頸部、子宮頸部、喉頭、皮膚、肺、胸膜、膵臓、胃、食道、結腸、胸部、卵巣、前立腺、精巣、脳、髄膜、腎臓に位置するおよび/またはそれらに転移している、段落1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
29.上記被験体はヒトである、段落1~27のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
30.腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物での処置を受けている最中である腫瘍を有する被験体に、免疫チェックポイントインヒビターを投与する工程を包含する方法であって、上記構築物は、上記構築物のウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む、方法。
【0093】
31.免疫チェックポイントインヒビターおよび腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を含む組成物であって、上記構築物は、上記構築物のウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む、組成物。
【0094】
32.上記ウイルスキャプシドタンパク質は、ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質である、段落31に記載の組成物。
【0095】
33.上記ウイルスキャプシドタンパク質は、非ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質である、段落31に記載の組成物。
【0096】
34.上記非ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質は、ウシパピローマウイルスキャプシドタンパク質またはワタオウサギパピローマウイルスタンパク質である、段落33に記載の組成物。
【0097】
35.上記ウイルスキャプシドタンパク質は、パピローマウイルスL1キャプシドタンパク質、またはパピローマウイルスL1キャプシドタンパク質およびパピローマウイルスL2キャプシドタンパク質の組み合わせを含む、段落31~34のいずれか1つに記載の組成物。
【0098】
36.上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、カプソマーまたはウイルス様粒子である、段落31~35のいずれか1つに記載の組成物。
【0099】
37.上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、10~1000の感光性分子を含む、段落31~36のいずれか1つに記載の組成物。
【0100】
38.上記感光性分子は、蛍光色素、赤外吸収(IR)色素、近赤外吸収(NIR)色素、ポルフィリン、クロロフィル、クロリン、フタロシアニン、バクテリオクロリン、テキサフィリン、ポルフィマーナトリウム、ベルテポルフィン、テモポルフィン、タラポルフィン、メチレンブルー、アミノレブリン酸、またはこれらの組み合わせを含む、段落31~37のいずれか1つに記載の組成物。
【0101】
39.上記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、改変体または改変されたHPV 16/31 L1キャプシドタンパク質および野生型HPV L2キャプシドタンパク質からアセンブリされた72カプソマーを含むウイルス様粒子であり、上記感光性分子は、IRdye 700DXを含む、段落31~38のいずれか1つに記載の組成物。
【0102】
40.上記免疫チェックポイントインヒビターは、CTLA-4、PD-1、PD-L1、TIM3、LAG3、B7-H3、B7-H4、BTLA、GAL9、Chk1またはA2aRの、同族結合パートナーへの結合を阻害する、段落31~39のいずれか1つに記載の組成物。
【0103】
41.上記免疫チェックポイントインヒビターは、抗体である、段落40に記載の組成物。
【0104】
42.上記抗体は、モノクローナル抗体である、段落41に記載の組成物。
【0105】
43.上記抗体は、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4 抗体、抗BTLA抗体、抗GAL9抗体、抗Chk1抗体、抗A2aR抗体、および前述の抗体のうちのいずれか2またはこれより多くの組み合わせから選択される、段落31~42のいずれか1つに記載の組成物。
【0106】
44.上記抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、イピリムマブおよび前述の抗体のうちの2またはこれより多くの任意の組み合わせから選択される、段落43に記載の組成物。
【0107】
本開示は、以下の実施例によってさらに例証され、その実施例は、さらなる限定として決して解釈されるべきではない。
【実施例0108】
実施例1:静脈内投与したVLP結合体を使用する抗腫瘍免疫応答の有効性および誘導
方法. アルビノC57Bl/6マウスに、肺がんモデルの一部として5×10個のTC-1細胞を皮下注射した。腫瘍が約100~300mmに達したときに(0日目とした)、その動物に、25μg VLP結合体(IRDye(登録商標)700DXに結合体化した腫瘍標的化VLP)またはPBSを、静脈内注射を介して投与し、続いて、12時間後に腫瘍標的化近IR光処置(50J/cm;690nm)を行った。このプロトコルを3日目に反復した。腫瘍特異的T細胞応答を測定するために、0日目および17日目に採血した。腫瘍のサイズが>1500mmに達したときに、動物を安楽死させた。
【0109】
結果. PBS処置動物と比較して、VLP結合体/光処置した動物では、生存が全体的に有意に増大した。全てのコントロール動物は、21日目に安楽死させ、メジアン生存は、11日であった。VLP結合体/光処置した動物は、24日間のメジアンで生存し、2匹の動物は、完全な腫瘍退縮を示した(図3および表2)。腫瘍特異的CD8+ T細胞(E7テトラマー陽性およびE7ペプチド刺激後のIFNγ分泌)を、これらの同じ2匹の動物において検出した。これは、VLP結合体がネオ腫瘍抗原に対する抗腫瘍免疫を誘発し得ることを示した(図4)。より小さな腫瘍を有する動物は、腫瘍増殖を制御し、E7特異的免疫応答が17日目に検出された。処置の時に、その腫瘍負荷は、代表的な実験におけるよりも高く、その2匹の応答している動物はまた、処置の開始時に最小の腫瘍を有した。これは、処置閾値が存在し得ることを示した。光処置単独では、無効であることが示された(図5)。従って、攻撃的な肺がんの動物モデル(免疫適格)において、その組み合わされた処置は、良好な有効性(2つの完全奏功)を示した。テトラマー染色およびE7ペプチドでの刺激に応じたサイトカイン分泌は、抗腫瘍免疫の開始を示した。
【表1】
【0110】
実施例2:新たな製剤緩衝液中でIV投与したVLP結合体を使用する抗腫瘍免疫応答の有効性および誘導
方法. アルビノC57Bl/6マウスに、肺がんモデルの一部として5×10個のTC-1細胞を皮下注射した。腫瘍が約50mmに達したときに(0日目とした)、その動物に、100μg VLP結合体またはPBSを、静脈内注射を介して投与し、続いて、12時間後および24時間後に腫瘍指向性近IR光処置(50J/cm;690nm)を行った。2つのさらなるアームを含めた(処置なしおよび光なしのVLP結合体)。このプロトコルを、3日目に反復した。腫瘍特異的T細胞応答を測定するために、0日目および17日目に採血した。腫瘍のサイズが>1500mmに達したときに、動物を安楽死させた。
【0111】
ナイーブマウスおよび腫瘍退縮を示すマウスを、それらの対側の側腹部に5×10個のTC-1細胞を皮下でチャレンジし、腫瘍負荷を1ヶ月間測定した。TC-1細胞で再チャレンジした動物は、再チャレンジ後に腫瘍増殖を示さなかった一方で、再チャレンジした全てのコントロール動物は、腫瘍増殖を有した。
【0112】
結果. 攻撃的な肺がんの動物モデル(免疫適格)において全ての他のアームと比較して、VLP結合体/光群において生存は、全体的に有意に増大した(図2および表2)。非処置群における1匹の動物が、自然発生的な退縮を示した。2匹のVLP結合体/光マウスは、完全な退縮を示し、1匹のマウスは、その腫瘍のサイズが縮小し、増殖も消えもしないという点で、制御された増殖を示した。従って、その組み合わされた処置は、良好な有効性を示した。その生成される抗腫瘍応答は、チャレンジの際に、新たな腫瘍増殖(tumor outgrowth)を防止できた。
【0113】
E7テトラマー染色およびIFNγ分泌を、2匹の動物において検出できた。しかし、そのバックグラウンド染色は高かったので、低い陽性値がマスクされた可能性があった。4匹の残りのマウスにその後、3匹のナイーブマウスと並行して、TC-1腫瘍をチャレンジした。そのナイーブマウスを腫瘍負荷に起因して安楽死させなければならなかった時までに、チャレンジしたマウスの3/4は、腫瘍なしのままであった。腫瘍チャレンジに生き残らなかった唯一の動物は、腫瘍制御(増殖なし)を示したマウスであった。そのチャレンジ腫瘍が増殖しなかった;しかし、その原発性腫瘍は、もはや制御されず、再び増殖し始めた。これらのデータは、免疫学的応答がなされ、原発性腫瘍を除去できたのみならず、後の腫瘍の発生をも防止できたことを示す。VLP結合体緩衝液中での変化は、IV注射後の低下した安定性をもたらすこともあり、より少ない応答者をもたらし得る。
【表2】
【0114】
実施例3:腫瘍特異的T細胞の生成を増強する、VLP結合体と既存のがん治療との組み合わせ
背景. がん治療のいくつかのクラスは、腫瘍細胞を、宿主免疫応答によってしばしば無視される、アポトーシス死に向かって駆り立てる。さらに、多くの腫瘍は、宿主による免疫認識から巧みに逃げるように進化している。これに鑑みて、新世代の免疫モジュレーター/チェックポイントインヒビターが導入されている。すなわち、T細胞および腫瘍細胞表面抗原に対する抗体は、細胞間を通る阻害性シグナルをブロックする(例えば、PD-1、PD-L1、CTLA-4)(Melero, 2015)。データは、VLP結合体が、急性の壊死におそらく起因して、抗腫瘍免疫を誘導し得ることを示す。その結合体と、T細胞/腫瘍相互作用を増強する処置モダリティーとを合わせると、原発性腫瘍に対するその有効性が有意に増大し、全身性の抗腫瘍免疫がもたらされるので、同定されていない遠隔の転移が潜在的に標的化され、疾患の再発が防止される。
【0115】
方法. そのTC-1腫瘍モデルを使用して、VLP結合体/光処置を、抗PD-1、抗PD-L1および/または抗CTLA-4(または適切である場合には他の分子)と組み合わせる。コントロールアームは、これらの抗体またはVLP結合体単独を受ける動物を含む。VLP結合体/光処置は、処置直後に、腫瘍微小環境に対して高度に破壊的である。これは、腫瘍特異的T細胞応答を生成するために推定2週間かかるという知識と組み合わせれば、腫瘍応答に対する相乗効果を評価するために、免疫チェックポイントインヒビターがVLP結合体/光処置の前および/または後に適用されることを意味する。処置後1週間に2回の間隔で生存および循環中の腫瘍特異的T細胞の測定が読み取られる。VLP結合体 + チェックポイントインヒビター処置は、単一の処置として、その同じチェックポイントインヒビターまたはそのVLP結合体を比較した場合、腫瘍増殖を制御し、抗腫瘍免疫を誘導するにおいてより有効である(図6)。
【0116】
実施例4: 皮下モデル
マウスに、TC-1(肺)またはMB49(膀胱)がん細胞(1~5×10個)のいずれかを移植する。腫瘍が約50mmに達したとき(およそ10日間)、それらに、i.p.の100μg 抗体(αCTLA-4、αPD-L1またはαPD-1およびその対応するアイソタイプコントロール)、i.v.の100~200μg VLPの表面における一級アミンに結合体化された感光性分子(IRDye(登録商標)700DX)を有する腫瘍標的化ウイルス様粒子(VLP)(薬物)、12時間後に、690nm 光(50J/cm)を与える(図7)。
【0117】
抗体を、2日間の間隔をあけて2回より多く投与する。
【0118】
薬物および690nm 光曝露を、24時間後に反復する。
【0119】
薬物/光および抗体処置の第2回を、1週間後に投与し得る。
【0120】
抗体 - 100μgをi.p.で送達;BioXCellから入手
αCTLA-4 - クローン9D9
αPD-L1 - クローン10F.9G2
αPD-1 - クローンRMP1-14
アイソタイプコントロール
【0121】
参考文献
Feltkamp MC, Smits HL, Vierboom MP, Minnaar RP, de Jongh BM, Drijfhout JW, ter Schegget J, Melief CJ, Kast WM. Vaccination with cytotoxic T lymphocyte epitope-containing peptide protects against a tumor induced by human papillomavirus type 16-transformed cells. Eur J Immunol. 1993 Sep;23(9):2242-9.
Lin KY, Guarnieri FG, Staveley-O’Carroll
KF, Levitsky HI, August JT, Pardoll DM, Wu TC. Treatment of established tumors with a novel vaccine that enhances major
histocompatibility class II presentation of tumor antigen. Cancer Res. 1996 Jan
1;56(1):21-6.
Melero I, Berman DM, Aznar MA, Korman AJ, Perez Gracia JL, Haanen J. Evolving sy
nergistic combinations of targeted immunotherapies to combat cancer. Nat Rev Cancer. 2015 Aug;15(8):457-72.
【0122】
本明細書で開示される全ての参考文献、特許および特許出願は、各々が引用され、場合によっては、その文書の全体を包含し得るその主題に関して参考として援用される。
【0123】
不定冠詞「1つの、ある(a)」および「1つの、ある(an)」とは、本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、明らかにそうでないことが示されなければ、「少なくとも1(at least one)」を意味することが理解されるべきである。用語「または(or)」は一般に、状況が明らかに別のことを示さなければ、その意味において、「および/または(and/or)」を含めて使用される。
【0124】
明らかにそうでないことが示されなければ、1より多くの工程または行為を含む、本明細書で特許請求される任意の方法において、その方法の工程または行為の順序が、その方法の工程または行為が記載される順序に必ずしも限定されないことは、理解されるべきである。
【0125】
特許請求の範囲、および上記の明細書において、全ての移行句(例えば、「包含する、含む(comprising)」、「含む、包含する(including)」、「有する(carrying)」、「有する(having)」、「含む、含有する(containing)」、「包含する、関わる(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」など)は、開放系である(が挙げられるが、これらに限定されない)と理解されるべきである。移行句「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」のみが、それぞれ、米国特許商標庁の特許審査基準、セクション2111.03に示されるとおり、閉鎖系または半閉鎖系の移行句であるものとする。全ての開放系の移行句が、閉鎖系または半閉鎖系の移行句で置き換えられ得ることはまた、理解されるべきである。従って、用語「含む、包含する」は、「からなる」または「から本質的になる」で置き換えられ得る。
特定の実施形態では、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
以下:
(a)腫瘍を有する被験体に、腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を含む組成物を投与する工程であって、前記構築物は、前記構築物のウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む、工程;および
(b)腫瘍を有する前記被験体に、免疫チェックポイントインヒビターを含む組成物を投与する工程、
を包含する、方法。
(項目2)
前記ウイルスキャプシドタンパク質は、ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記ウイルスキャプシドタンパク質は、非ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質である、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記非ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質は、ウシパピローマウイルスキャプシドタンパク質またはワタオウサギパピローマウイルスタンパク質である、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記ウイルスキャプシドタンパク質は、パピローマウイルスL1キャプシドタンパク質またはパピローマウイルスL1キャプシドタンパク質およびパピローマウイルスL2キャプシドタンパク質の組み合わせを含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、カプソマーまたはウイルス様粒子である、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、10~1000の感光性分子を含み、必要に応じて、前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、200~500の感光性分子を含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記感光性分子は、蛍光色素、赤外吸収(IR)色素、近赤外吸収(NIR)色素、ポルフィリン、クロロフィル、クロリン、フタロシアニン、バクテリオクロリン、テキサフィリン、ポルフィマーナトリウム、ベルテポルフィン、テモポルフィン、タラポルフィン、メチレンブルー、アミノレブリン酸、またはこれらの組み合わせを含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、改変体または改変されたHPV 16/31 L1キャプシドタンパク質および野生型HPV L2キャプシドタンパク質からアセンブリされた72カプソマーを含むウイルス様粒子であり、前記感光性分子は、IRdye 700DXを含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記免疫チェックポイントインヒビターは、CTLA-4、PD-1、PD-L1、TIM3、LAG3、B7-H3、B7-H4、BTLA、GAL9、Chk1またはA2aRの、同族結合パートナーへの結合を阻害する、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記免疫チェックポイントインヒビターは抗体である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記抗体は、モノクローナル抗体である、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記抗体は、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4抗体、抗BTLA抗体、抗GAL9抗体、抗Chk1抗体、抗A2aR抗体、および前述の抗体のうちのいずれか2またはこれより多くの組み合わせから選択される、項目1に記載の方法。
(項目14)
前記抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、イピリムマブおよび前述の抗体のうちの2またはこれより多くの任意の組み合わせから選択される、項目13に記載の方法。
(項目15)
前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物および前記免疫チェックポイントインヒビターは、同時に投与される、項目1に記載の方法。
(項目16)
前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物および前記免疫チェックポイントインヒビターは、順次に投与される、項目1に記載の方法。
(項目17)
前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、前記免疫チェックポイントインヒビターが前記被験体に投与される前に、前記被験体に投与される、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、腫瘍または腫瘍病変に局所投与され、前記免疫チェックポイントインヒビターは全身投与される、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物および/または前記免疫チェックポイントインヒビターは、注射によって、局所的に、または埋め込みによって、投与される、項目1に記載の方法。
(項目20)
前記注射は、病変内注射、皮下注射、硝子体内注射、脈絡膜上注射、腹腔内注射、動脈内注射、肝内注射、膀胱内注射、またはこれらの任意の組み合わせである、項目19に記載の方法。
(項目21)
前記感光性分子を、赤外レーザー、近赤外レーザー、または紫外レーザーを使用して活性化する工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目22)
前記腫瘍はがん性である、項目1に記載の方法。
(項目23)
前記腫瘍は転移性である、項目23に記載の方法。
(項目24)
前記腫瘍は、黒色腫、癌腫、肉腫またはリンパ腫である、項目1に記載の方法。
(項目25)
前記腫瘍は、赤外レーザーでの処置にアクセス可能な病変を有する、項目1に記載の方法。
(項目26)
前記腫瘍は、メルケル細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、転移性乳癌、皮膚T細胞リンパ腫または肉腫である、項目25に記載の方法。
(項目27)
前記腫瘍は、原発性腫瘍であり、転移している、項目1に記載の方法。
(項目28)
前記腫瘍は、肝臓、膀胱、眼、頭部、頸部、子宮頸部、喉頭、皮膚、肺、胸膜、膵臓、胃、食道、結腸、胸部、卵巣、前立腺、精巣、脳、髄膜、腎臓に位置するおよび/またはそれらに転移している、項目1に記載の方法。
(項目29)
前記被験体はヒトである、項目1に記載の方法。
(項目30)
腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物での処置を受けている最中である腫瘍を有する被験体に、免疫チェックポイントインヒビターを投与する工程を包含する方法であって、前記構築物は、前記構築物のウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む、方法。
(項目31)
免疫チェックポイントインヒビターおよび腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物を含む組成物であって、前記構築物は、前記構築物のウイルスキャプシドタンパク質に結合体化された感光性分子を含む、組成物。
(項目32)
前記ウイルスキャプシドタンパク質は、ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質である、項目31に記載の組成物。
(項目33)
前記ウイルスキャプシドタンパク質は、非ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質である、項目31に記載の組成物。
(項目34)
前記非ヒトパピローマウイルスキャプシドタンパク質は、ウシパピローマウイルスキャプシドタンパク質またはワタオウサギパピローマウイルスタンパク質である、項目33に記載の組成物。
(項目35)
前記ウイルスキャプシドタンパク質は、パピローマウイルスL1キャプシドタンパク質またはパピローマウイルスL1キャプシドタンパク質およびパピローマウイルスL2キャプシドタンパク質の組み合わせを含む、項目31に記載の組成物。
(項目36)
前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、カプソマーまたはウイルス様粒子である、項目31に記載の組成物。
(項目37)
前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、10~1000の感光性分子を含む、項目31に記載の組成物。
(項目38)
前記感光性分子は、蛍光色素、赤外吸収(IR)色素、近赤外吸収(NIR)色素、ポルフィリン、クロロフィル、クロリン、フタロシアニン、バクテリオクロリン、テキサフィリン、ポルフィマーナトリウム、ベルテポルフィン、テモポルフィン、タラポルフィン、メチレンブルー、アミノレブリン酸、またはこれらの組み合わせを含む、項目31に記載の組成物。
(項目39)
前記腫瘍標的化ウイルスキャプシドタンパク質構築物は、改変体または改変されたHPV 16/31 L1キャプシドタンパク質および野生型HPV L2キャプシドタンパク質からアセンブリされた72カプソマーを含むウイルス様粒子であり、前記感光性分子は、IRdye 700DXを含む、項目31に記載の組成物。
(項目40)
前記免疫チェックポイントインヒビターは、CTLA-4、PD-1、PD-L1、TIM3、LAG3、B7-H3、B7-H4、BTLA、GAL9、Chk1またはA2aRの、同族結合パートナーへの結合を阻害する、項目31に記載の組成物。
(項目41)
前記免疫チェックポイントインヒビターは、抗体である、項目40に記載の組成物。
(項目42)
前記抗体は、モノクローナル抗体である、項目41に記載の組成物。
(項目43)
前記抗体は、抗CTLA-4抗体、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIM3抗体、抗LAG3抗体、抗B7-H3抗体、抗B7-H4 抗体、抗BTLA抗体、抗GAL9抗体、抗Chk1抗体、抗A2aR抗体、および前述の抗体のうちのいずれか2またはこれより多くの組み合わせから選択される、項目31に記載の組成物。
(項目44)
前記抗体は、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、イピリムマブおよび前述の抗体のうちの2またはこれより多くの任意の組み合わせから選択される、項目43に記載の組成物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】