(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041782
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】加熱調理システム、加熱調理器及びアプリケーションプログラム
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20230316BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20230316BHJP
H05B 6/12 20060101ALI20230316BHJP
F24C 7/04 20210101ALI20230316BHJP
【FI】
F24C7/02 301J
F24C3/12 G
F24C3/12 L
H05B6/12 335
F24C7/04 301A
F24C7/04 301Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023011231
(22)【出願日】2023-01-27
(62)【分割の表示】P 2018134702の分割
【原出願日】2018-07-18
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】松井 良和
(72)【発明者】
【氏名】山口 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】紙谷 政憲
(57)【要約】
【課題】調理支援情報が精度よく報知されることにより、ネットワーク上に保存されているメニューの調理を再現性よく行うことが可能になる加熱調理システムを提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る加熱調理システムは、加熱部と、加熱部によって加熱される調理器具の温度を検知する温度検知部とを有する加熱調理器と、温度検知部によって検知された温度の時間変化と外部に保存された第1料理メニューに関するヒートパターン情報とに基づき、第1料理メニューに関する第1調理支援情報を報知する報知部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱部と、前記加熱部によって加熱される調理器具の温度を検知する温度検知部と、前記温度検知部によって検知された第1料理メニューに関する温度の時間変化をヒートパターン情報として外部へと送信する通信部とを有する加熱調理器とを備え、
前記通信部から送信された前記第1料理メニューに関する前記ヒートパターン情報は、外部に保存され、
外部に保存された前記第1料理メニューに関する前記ヒートパターン情報に基づき、前記第1料理メニューに関する第1調理支援情報を報知する報知部をさらに備える、加熱調理システム。
【請求項2】
前記第1調理支援情報は、調理器具に投入される具材の投入タイミングに関する情報を含む、請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項3】
前記第1調理支援情報は、前記加熱部の火力の変更タイミングに関する情報を含む、請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項4】
前記第1調理支援情報は、調理器具に投入されている具材の裏返しタイミングに関する情報を含む、請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項5】
前記第1調理支援情報は、付随情報を含む、請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項6】
前記報知部は、前記第1調理支援情報を報知するまでの時間が所定以上である場合に、第2料理メニューに関する第2調理支援情報を報知する、請求項1に記載の加熱調理システム。
【請求項7】
前記第2調理支援情報は、前記第2料理メニューの下準備に関する情報を含む、請求項6に記載の加熱調理システム。
【請求項8】
ネットワークを介して通信を行う通信部と、調理支援情報を報知する報知部とを備える携帯情報端末に含まれるプロセッサにより実行されるアプリケーションプログラムであって、
前記プロセッサに対し、
前記ネットワークに接続されているサーバから料理メニューに関するヒートパターン情報を取得するように前記通信部を制御する工程と、
前記ヒートパターン情報に基づき、前記調理支援情報を報知させるように前記報知部を制御する工程とを実行させ、
前記ヒートパターン情報は、加熱調理器の温度検知部により検知された前記料理メニューに関する調理器具の温度変化であり、前記加熱調理器から送信されて前記サーバに保存されている、アプリケーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理システム、加熱調理器及びアプリケーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、特開2014-163539号公報(特許文献1)に記載の加熱調理システムが知られている。特許文献1に記載の加熱調理システムは、加熱調理システムと、携帯情報端末とを有している。携帯情報端末は、ワイヤレス通信網を介して加熱調理器と通信可能である。
【0003】
加熱調理器は、加熱部と、操作情報取得部と、調理器操作部と、調理器制御部と、運転状態情報生成部と、調理器側報知部と、調理器側報知制御部とを有する。加熱部は、鍋やフライパン等の被加熱物を加熱する。操作情報取得部は、加熱部に対する操作情報を取得する。調理器操作部には、ユーザからの操作情報が入力される。調理器制御部は、ユーザが入力した操作情報に基づいて加熱部の制御を行う。運転状態情報生成部は、加熱調理器の運転状態を示す運転状態情報を生成する。調理器側報知制御部は、ユーザが入力した操作情報及び運転状態情報生成部が生成した運転状態情報に基づいて、調理器側報知部を介して、加熱調理器の状態を報知する。
【0004】
携帯情報端末は、端末側表示部と、標章生成部と、端末側報知制御部と、遠隔操作情報生成部と、端末側通信制御部とを備える。標章生成部は、調理器操作部に対応する操作標章を生成する。端末側報知制御部は、操作標章を含む表示画像を生成して端末側表示部に表示させる。遠隔操作情報生成部は、操作標章に対するユーザの操作指示に基づいて、加熱調理器に対する遠隔操作情報を生成する。端末側通信制御部は、遠隔操作情報を、ワイヤレス通信網を介して加熱調理器へ送信する。
【0005】
操作情報取得部は、遠隔操作情報をユーザが調理器操作部で入力した操作情報と擬制して加熱部の操作を実行可能に構成されている。端末側報知制御部は、操作情報と擬制された遠隔操作情報に基づいた表示内容に対応させて表示画像を生成する。この表示画像は、操作部の操作キーに対応する画像を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の加熱調理システムによると、携帯情報端末を用いて加熱調理器の操作を行う場合であっても、加熱調理器を直接操作する場合の操作性と同様の操作性が実現可能である。しかしながら、特許文献1に記載の加熱調理システムは、ユーザに対する調理支援情報の提供に関して、特段の言及はない。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、調理支援情報が精度よく報知されることにより、外部に保存されている料理メニューの調理を、再現性よく行うことが可能な加熱調理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る加熱調理システムは、加熱部と、加熱部によって加熱される調理器具の温度を検知する温度検知部とを有する加熱調理器と、温度検知部によって検知された温度の時間変化と外部に保存された第1料理メニューに関するヒートパターン情報とに基づき、第1料理メニューに関する第1調理支援情報を報知する報知部とを備える。
【0010】
上記の加熱調理システムでは、調理支援情報の報知が、温度検知部によって検知された温度とヒートパターン情報とに基づいて行われる。そのため、上記の加熱調理システムによると、調理支援情報が精度よく報知されることにより、外部に保存されている料理メニューの調理を再現性よく行うことが可能になる。
【0011】
上記の加熱調理システムにおいて、第1調理支援情報は調理器具に投入される具材の投入タイミングに関する情報を含んでいてもよい。
【0012】
上記の加熱調理システムにおいて、第1調理支援情報は前記加熱部の火力の変更タイミングに関する情報を含んでいてもよい。
【0013】
上記の加熱調理システムにおいて、第1調理支援情報は調理器具に投入されている具材の裏返しタイミングに関する情報を含んでいてもよい。
【0014】
上記の加熱調理システムにおいて、第1調理支援情報は付随情報を含んでいてもよい。ここで、「付随情報」とは、調理を進める上で必須ではないが、調理をしているユーザにとって調理を進める上で有益な情報をいう。例えば、必須ではないお好みで追加できる具材の情報や調理のコツに関する情報は、「付随情報」に含まれる。
【0015】
上記の加熱調理システムにおいて、報知部は、第1調理支援情報を報知するまでの時間が所定以上である場合に、第1料理メニューとは異なる第2料理メニューに関する第2調理支援情報を報知してもよい。
【0016】
実際の調理環境においては、複数の料理メニューを同時並行的に準備する必要がある。この場合には、第1料理メニューに関してユーザが次に行う必要のある作業までの時間がある際に第2料理メニューに関する調理支援情報を報知することにより、使用者は、複数の料理メニューの準備を同時並行的に進めることができる。
【0017】
上記の加熱調理システムにおいて、第2調理支援情報は、第2料理メニューの下準備に関する情報を含んでいてもよい。
【0018】
本発明の一態様に係る加熱調理器は、加熱部と、加熱部によって加熱される調理器具の温度を検知する温度検知部と、温度検知部によって検知された温度の時間変化を外部へと送信する通信部とを備える。
【0019】
この場合、ユーザは、自ら調理を行った際のヒートパターン情報を外部に出力することで、第三者に対して自ら調理したメニューを再現よく調理させるための支援を行うことができる。
【0020】
本発明の一態様に係るアプリケーションプログラムは、ネットワークを介して通信を行う通信部と、調理支援情報を報知する報知部とを備える携帯情報端末に含まれるプロセッサにより実行されるアプリケーションプログラムである。本発明の一態様に係るアプリケーションプログラムは、プロセッサに対し、ネットワークに接続されているサーバから料理メニューに関するヒートパターン情報を取得するように通信部を制御する工程と、加熱部と、加熱部によって加熱される調理器具の温度を検知する温度検知部とを有する加熱調理器から、温度検知部によって検知された温度の時間変化を取得するように通信部を制御する工程と、温度検知部によって検知された温度の時間変化とヒートパターン情報とに基づき、調理支援情報を報知させるように報知部を制御する工程とを実行させる。
【0021】
上記のアプリケーションプログラムにおいては、調理支援情報の報知が温度検知部によって検知された温度とヒートパターン情報とに基づいて行われる。そのため、上記のアプリケーションプログラムによると、調理支援情報を精度よく報知することにより、ネットワーク上のサーバに保存されている料理メニューの調理を再現性よく行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様に係る加熱調理システムによると、調理支援情報が精度よく報知することにより、ネットワーク上に保存されている料理メニューの調理を再現性よく行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】実施形態に係る加熱調理システムを示す模式図である。
【
図2】実施形態に係る加熱調理システムにおける加熱調理器1の斜視図である。
【
図3】実施形態に係る加熱調理システムにおける加熱調理器1の機能ブロック図である。
【
図5】実施形態に係る加熱調理システムにおける携帯情報端末2の正面図である。
【
図6】実施形態に係る加熱調理システムにおける携帯情報端末2の機能ブロック図である。
【
図7】実施形態に係る加熱調理システムにおけるアプリケーションプログラムAPの工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0025】
(実施形態に係る加熱調理システムの構成)
以下に、実施形態に係る加熱調理システムの構成を説明する。
【0026】
図1に示されるように、実施形態に係る加熱調理システムは、加熱調理器1と、携帯情報端末2とを有している。加熱調理器1及び携帯情報端末2は、ネットワーク3を介してサーバ4に接続されている。ネットワーク3は、例えばインターネットである。加熱調理器1と携帯情報端末2とは、例えば、ルータ5を介して互いに接続されている。加熱調理器1と携帯情報端末2とは、無線LAN(Local Area Network)で互いに直接接続されていてもよい。
【0027】
加熱調理器1は、例えば、ガスコンロである。但し、加熱調理器1は、これに限られるものではない。加熱調理器1は、例えばIH(Induction Heating)クッキングヒータであってもよい。携帯情報端末2は、例えばスマートフォンである。但し、携帯情報端末2はこれに限られるものではない。携帯情報端末2は、例えばタブレット端末であってもよい。
【0028】
図2及び
図3に示されるように、加熱調理器1は、加熱部11と、温度検知部12と、入力部13と、通信部14と、制御部15を有している。
【0029】
加熱部11は、例えば、ブンゼン式のガスバーナである。但し、加熱部11は、ブンゼン式以外のガスバーナであってもよい。加熱部11上には、フライパン、鍋等の調理器具(図示せず)が載置される。調理器具は、加熱部11により加熱される。
【0030】
温度検知部12は、加熱部11によって加熱される調理器具の温度を検知する。より具体的には、温度検知部12は、加熱部11上に載置された調理器具の底部に接することにより、調理器具の底部の温度を検知する。温度検知部12は、例えばサーミスタで構成されている。温度検知部12で検知された調理器具の温度は、制御部15に出力される。
【0031】
入力部13は、操作スイッチを含んでいる。より具体的には、入力部13は、加熱部11の点火、加熱部11の消火及び加熱部11の火力調整に関する操作スイッチが設けられている。入力部13は、制御部15に対して、これらの操作スイッチの操作状態に応じた信号を出力する。
【0032】
通信部14は、外部との通信を行う。通信部14は、例えば無線LANモジュールで構成されている。
【0033】
制御部15は、温度検知部12からの入力に基づいて、調理状態情報を生成する。調理状態情報は、温度検知部12で検知された調理器具の温度の時間変化を示している。制御部15は、入力部13からの入力に基づいて、加熱部11に対して火力調整、消火、点火等の制御を行う。制御部15は、調理状態情報を携帯情報端末2又はサーバ4へと送信するように、通信部14を制御する。制御部15は、例えばマイクロコントローラで構成されている。
【0034】
サーバ4には、料理メニューのリストが保存されている。また、サーバ4には、調理情報が保存されている。この調理情報と料理メニューのリストにある各々の料理メニューとは、互いに関連付けられている。サーバ4は、ネットワーク3に接続されている。調理情報には、ヒートパターン情報と、手順情報とが含まれている。
【0035】
ヒートパターン情報は、料理メニューを調理する際の調理器具の温度の時間変化を示す情報である。すなわち、ヒートパターン情報は、時刻に関する情報と、時刻に関する情報に関連付けられた調理器具の温度に関する情報とで構成されている。
図4には、ヒートパターン情報の一例が示されている。なお、
図4に示されるヒートパターン情報は、肉じゃがを調理する際のヒートパターン情報である。
【0036】
調理器具の温度の時間変化から、調理器具における調理状態を推定することができる。例えば、調理器具の温度が平衡状態になっている(調理器具の温度の時間変化が極めて小さい)場合、調理器具内にある水分が沸騰していると推定することができる(
図4中の区間A参照)。調理器具の温度が急激に減少した場合(
図4中の点B及び点C参照)、調理器具内に具材が投入されたと推定することができる。なお、調理器具の温度が急激に減少した場合、調理器具内にある具材の裏返しが行われたことも推定することができる。調理器具の温度が一定時間平衡状態を保った後に急激に上昇した場合(
図4中の点D参照)、調理器具内の具材に焦げ付きが生じていると推定することができる。そのため、ヒートパターン情報から、調理器具へと具材を投入するタイミング、加熱部11の火力を変更するタイミング、調理器具に投入されている具材を裏返すタイミング等を特定することができる。
【0037】
手順情報とは、料理メニューの調理の内容を示す情報である。手順情報は、調理の内容を示すテキストデータを含んでいる。手順情報は、調理工程の内容を示す画像データをさらに含んでいてもよい。手順情報は、調理工程毎に複数に区分されていてもよい。調理工程毎に区分された各々の手順情報は、ヒートパターン情報と関連付けられていてもよい。
【0038】
調理情報には、付随情報がさらに含まれていてもよい。付随情報は、調理を進める上で必須ではないが、調理を進める上でユーザにとって有益な情報である。例えば、必須ではないお好みで追加できる具材に関する情報、調理のコツに関する情報は、付随情報に含まれる。付随情報は、ヒートパターン情報上の特定の時刻と関連付けられていてもよい。
【0039】
図5及び
図6に示されるように、携帯情報端末2は、入力部21と、表示部22と、通信部23と、記憶部24と、制御部25とを有している。携帯情報端末2は、音声出力部26と、音声入力部27とをさらに有していてもよい。なお、以下においては、表示部22及び音声出力部26をあわせて報知部28とすることがある。
【0040】
入力部21及び表示部22は、例えば、タッチパネル式の液晶表示装置で構成されている。実施形態に係る加熱調理システムの使用者は、入力部21を介して、各種の操作情報を入力する。入力部21は、使用者からの操作内容に応じた信号を、制御部25に出力する。
【0041】
通信部23は、外部との通信を行う。通信部23は、例えば無線LANモジュールで構成されている。記憶部24には、アプリケーションプログラムAPが保存されている。記憶部24は、例えば、フラッシュメモリで構成されている。制御部25は、アプリケーションプログラムAPに基づいて、表示部22、通信部23及び音声出力部26の制御を行う。制御部25は、例えばアプリケーションプロセッサで構成されている。音声出力部26は、例えばスピーカで構成されている。音声入力部27は、例えばマイクで構成されている。
【0042】
(実施形態に係る加熱調理システムの動作)
以下に、実施形態に係る加熱調理システムの動作を説明する。
【0043】
<実施形態に係る加熱調理システムを用いた調理>
実施形態に係る加熱調理システムの使用者は、入力部21を操作することで、記憶部24に保存されたアプリケーションプログラムAPを起動する。アプリケーションプログラムAPが起動されると、
図7に示されるように、アプリケーションプログラムAPは、制御部25に対して、メニュー表示工程S1と、調理情報取得工程S2と、手順情報表示工程S3と、調理支援情報報知工程S4とを実行させる。
【0044】
メニュー表示工程S1において、制御部25は、ネットワーク3を介してサーバ4に保存された料理メニューのリストを取得するように、通信部23の制御を行う。制御部25は、取得した料理メニューのリストを表示するように、表示部22の制御を行う。
【0045】
実施形態に係る加熱調理システムの使用者は、入力部21を操作することにより、表示部22に表示された料理メニューのリストから、調理しようとする料理メニューを選択する。なお、この際に、ハンバーグとソース、ハンバーグとサラダといった複数の料理メニューが選択されてもよい。
【0046】
調理情報取得工程S2において、制御部25は、サーバ4から選択された料理メニューに対応する調理情報を取得するように、通信部23の制御を行う。手順情報表示工程S3において、制御部25は、取得された調理情報のうち、手順情報を表示するように表示部22の制御を行う。なお、手順情報は調理工程毎に区分されている場合、制御部25は、加熱調理器1から取得された調理状態情報と調理情報に含まれるヒートパターン情報とに基づいて、各々の手順情報を順次表示させてもよい。
【0047】
なお、上記においては、料理メニューのリスト及び各々の料理メニューの調理情報を、随時、ネットワーク3を介してサーバ4から取得するものとしたが、料理メニューのリスト及び各々の料理メニューの調理情報をあらかじめネットワーク3を介して取得し、それらを記憶部24に保存しておいてもよい。
【0048】
実施形態に係る加熱調理システムの使用者は、表示部22に表示された手順情報にしたがい、料理メニューの調理を開始する。
【0049】
加熱調理が開始されると、温度検知部12は、加熱部11によって加熱されている調理器具の温度の検知を行い、検知された温度を制御部15へと出力する。制御部15は、温度検知部12で検知された温度に基づき、調理状態情報(温度検知部12で検知された調理器具の温度の時間変化)を生成する。制御部15は、生成した調理状態情報を携帯情報端末2へと送信するように、通信部14を制御する。
【0050】
調理支援情報報知工程S4において、制御部25は、加熱調理器1から取得された調理状態情報とサーバ4から取得された調理情報に含まれるヒートパターン情報とに基づいて調理支援情報を報知するように、報知部28を制御する。すなわち、制御部25は、調理支援情報を表示するように表示部22を制御すること及び調理支援情報を音声出力するように音声出力部26を制御することの少なくとも1つを実行する。
【0051】
調理支援情報は、料理メニューの調理を支援するための情報である。調理支援情報は、例えば、調理器具へと具材を投入するタイミングに関する情報、加熱部11の火力を変更するタイミングに関する情報、調理器具に投入されている具材を裏返すタイミングに関する情報である。
【0052】
なお、制御部25は、加熱部11の火力を変更するタイミングに関する情報を報知するように報知部28を制御することに代えて、加熱部11の火力を変更するための信号を加熱調理器1へと送信するように、通信部23を制御してもよい。この信号を受け取った加熱調理器1において、制御部15は、加熱部11の火力の変更を自動で制御する。
【0053】
制御部25は、調理支援情報の報知が行われた後に、ネットワーク3を介して取得された調理状態情報と調理情報に含まれるヒートパターン情報とを再び比較することにより、調理支援情報の報知を終了させるように報知部28を制御してもよい。
【0054】
次の調理支援情報の報知までの間に所定以上の時間があり、かつ複数の料理メニューが選択されている場合、制御部25は、調理支援情報として、現在調理中の料理メニュー以外の料理メニューに関する下準備の情報を報知してもよい。制御部25は、調理支援情報として、付随情報を報知してもよい。制御部25は、音声入力部27から入力された音声に対する音声認識を行い、それに基づいて調理支援情報の報知を行うように報知部28を制御してもよい。
【0055】
<実施形態に係る加熱調理システムにおける調理情報のサーバへの保存)
加熱調理が開始されると、温度検知部12は、加熱部11によって加熱されている調理器具の温度の検知を行い、検知された温度を制御部15へと出力する。制御部15は、温度検知部12で検知された温度に基づき、調理状態情報(温度検知部12で検知された調理器具の温度の時間変化)を生成する。制御部15は、ネットワーク3を介して生成した調理状態情報をサーバ4へと出力するように、通信部14を制御する。
【0056】
サーバ4は、この調理状態情報を保存し、ヒートパターン情報として保存する。使用者は、例えば携帯情報端末を利用してサーバ4にアクセスすることにより、適宜の方法で手順情報、付随情報、料理メニュー名等を入力する。
【0057】
(実施形態に係る加熱調理システムの効果)
以下に、実施形態に係る加熱調理システムの効果を説明する。
【0058】
実施形態に係る加熱調理システムにおいては、サーバ4に保存されている調理情報が、ヒートパターン情報を含んでいる。また、上記の実施形態に係る加熱調理システムにおいては、調理支援情報の報知が、温度検知部12によって検知された調理器具の温度に基づく調理状態情報(温度検知部12によって検知された調理器具の温度の時間変化)及びヒートパターン情報に基づいて行われる。そのため、実施形態に係る加熱調理システムによると、調理支援情報が精度よく報知されることにより、サーバ4に保存されている料理メニューの調理を再現性よく行うことが可能になる。
【0059】
上記のとおり、実施形態に係る加熱調理システムにおいて、報知部28は、次の調理支援情報を報知するまでに所定以上の時間があれば、調理中の料理メニュー以外の別の料理メニューの下準備に関する情報を調理支援情報として報知してもよい。実際の調理環境においては、複数のメニューを同時並行的に準備する必要がある。この場合には、現在調理中の料理メニューに関してユーザが次に行う必要のある作業までの時間がある際に別の料理メニューに関する調理支援情報を報知することにより、ユーザは、複数の料理メニューの調理を同時並行的に進めることができる。
【0060】
実施形態に係る加熱調理システムにおいて、加熱調理器1が、温度検知部12によって検知された調理器具の温度の時間変化を、ネットワーク3を介してサーバ4へと出力する場合、使用者は、自ら調理を行った際のヒートパターン情報に基づいた調理支援情報(具材投入タイミング、火力変更タイミング、具材を裏返すタイミング等)をサーバ4に保存することにより、加熱調理器6(
図1参照)を使用する第三者に対して自ら調理した料理メニューを再現よく調理させるための支援を行うことができる。
【0061】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0062】
上記の実施形態は、加熱調理システムに特に有利に適用される。
【符号の説明】
【0063】
1 加熱調理器、2 携帯情報端末、3 ネットワーク、4 サーバ、5 ルータ、6 加熱調理器、11 加熱部、12 温度検知部、13 入力部、14 通信部、15 制御部、21 入力部、22 表示部、23 通信部、24 記憶部、25 制御部、26 音声出力部、27 音声入力部、28 報知部、S1 メニュー表示工程、S2 調理情報取得工程、S3 手順情報表示工程、S4 調理支援情報報知工程、AP アプリケーションプログラム。