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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023041798
(43)【公開日】2023-03-24
(54)【発明の名称】医療器具の穿刺警告装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20230316BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20230316BHJP
   A61B 1/267 20060101ALI20230316BHJP
   A61B 34/10 20160101ALI20230316BHJP
【FI】
A61B1/00 552
A61B1/018 515
A61B1/267
A61B34/10
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023012695
(22)【出願日】2023-01-31
(62)【分割の表示】P 2018097636の分割
【原出願日】2018-05-22
(31)【優先権主張番号】15/602,818
(32)【優先日】2017-05-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ツビ・デケル
(72)【発明者】
【氏名】アクラム・ゾアビ
(72)【発明者】
【氏名】ヤニブ・ベン・ズリヘム
(57)【要約】
【課題】 可撓性導管を有し、この導管を通して医療処置を実施する、医療機器のための導管穿刺警告方法及び装置を提供すること。
【解決手段】 一実施形態では、可撓性導管は被検者に挿入される。被検者内の導管の最大湾曲度が検知される。その後、選択した器具による導管の穿刺を避けながら導管を通して挿入される選択した器具の許容可能な最大湾曲を反映した所定限度を超える湾曲が検知されると、警告信号が提供される。例えば、この方法は、気管支鏡処置時に気管支鏡に対して実施することができ、そこでは針器具が使用され、針器具に関して決定された所定限度を超える導管の湾曲が検知されると、その器具に対して警告が与えられる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器システムにおいて、
複数の器具であって、針器具、生検鉗子器具、及びブラシ器具を含み、前記針器具が針と前記針の支持具とを含む、複数の器具と、
導管であって、前記導管を通して医療処置が実施され、前記導管は、被検者に挿入されるように選択的に湾曲され得るように可撓性であり、前記複数の器具が選択的に前記導管の中に挿入され、前記導管の遠位端から延在し得るように構成されている、導管と、
前記被検者内の前記導管の湾曲を検知するように構成されているコントローラと、
周辺機器と、を有し、
前記コントローラが、前記周辺機器を制御して、前記複数の器具から選択された器具による前記導管の穿刺を避けながら前記導管を通して挿入される前記選択された器具のための許容可能な最大湾曲を反映した所定限度を超える湾曲が検知されると、前記選択された器具に関する警告信号を提供するように構成され、
前記選択された器具が、前記針器具であり、
前記針器具のための前記許容可能な最大湾曲を決定するのに考慮されるパラメータが、前記針の長さ、前記導管の直径、および前記支持具の弾性を含む、医療機器システム。
【請求項2】
前記複数の器具のそれぞれが、前記器具による前記導管の穿刺を避けながら前記導管を通して挿入される前記器具のための許容可能なそれぞれの最大湾曲度を反映したそれぞれの所定限度を有し、
前記コントローラが、前記周辺機器を制御して、前記それぞれの所定限度を超える湾曲が検知されると、前記複数の器具のそれぞれに関する警告信号を提供するように構成されている、請求項1に記載の医療機器システム。
【請求項3】
前記導管が気管支鏡の一部として構成されている、請求項1に記載の医療機器システム。
【請求項4】
前記複数の器具が複数の前記針器具を含み、各前記針器具が、前記針器具による前記導管の穿刺を避けながら前記導管を通して挿入されるそれぞれの前記針器具のための許容可能なそれぞれの最大湾曲度を反映した異なる所定限度を有し、
前記コントローラが、前記周辺機器を制御して、それぞれの前記針器具の所定限度を超える湾曲が検知されると、複数の前記針器具のそれぞれに関する警告信号を提供する、請求項3に記載の医療機器システム。
【請求項5】
前記周辺機器は、それぞれの前記針器具の所定限度を超える湾曲が検知されるとき、それぞれの前記針器具に関する視覚的警告を提供するために、前記コントローラを備えて構成されているディスプレイを含む、請求項4に記載の医療機器システム。
【請求項6】
前記周辺機器が、警告灯、視覚的警告表示、可聴警告、又はそれらの組み合わせとして前記警告信号を提供するように構成されている、請求項4に記載の医療機器システム。
【請求項7】
前記周辺機器は、前記針器具の所定限度を超える湾曲が検知されるとき、前記針器具に関する視覚的警告を提供するために、前記コントローラを備えて構成されているディスプレイを含む、請求項3に記載の医療機器システム。
【請求項8】
前記周辺機器が、警告灯、視覚的警告表示、可聴警告、又はそれらの組み合わせとして前記警告信号を提供するように構成されている、請求項3に記載の医療機器システム。
【請求項9】
前記周辺機器は、前記所定限度を超える湾曲が検知されるとき、前記選択された器具に関する視覚的警告を提供するために、前記コントローラを備えて構成されているディスプレイを含む、請求項1に記載の医療機器システム。
【請求項10】
前記周辺機器が、警告灯、視覚的警告表示、可聴警告、又はそれらの組み合わせとして前記警告信号を提供するように構成されている、請求項1に記載の医療機器システム。
【請求項11】
前記所定限度は物理的試験によって決定され、前記物理的試験は、
前記導管のサンプルを、弓状の湾曲配向が徐々に増すように配置することと、
前記サンプルを穿刺し始めるまで、前記針器具を前記サンプルに挿入することと、
前記サンプル内の穿刺点での湾曲度を使用して、前記針器具の前記所定限度を設定すること、を含む、請求項1に記載の医療機器システム。
【請求項12】
前記導管は、気管支鏡の可撓性導管であり、前記可撓性導管は、前記被検者の肺の気道内で誘導に対応するように曲がることができるよう構成されている、請求項1に記載の医療機器システム。
【請求項13】
請求項1に記載の医療機器システムにおける前記所定限度を決定する方法であって、
前記導管のサンプルを、弓状の湾曲配向が徐々に増すように配置することと、
前記サンプルを穿刺し始めるまで、前記針器具を前記サンプルに挿入することと、
前記サンプル内の穿刺点での湾曲度を使用して、前記針器具の前記所定限度を設定すること、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
可撓性導管を有し、この導管を通して医療処置を実施する、医療機器のための導管穿刺警告方法及び装置を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一実施形態では、可撓性導管は被検者に挿入される。被検者内の導管の最大湾曲度が検知される。その後、選択した器具による導管の穿刺を避けながら導管を通して挿入される選択した器具の許容可能な最大湾曲を反映した所定限度を超える湾曲が検知されると、警告信号が提供される。例えば、この方法は、気管支鏡処置時に気管支鏡に対して実施することができ、そこでは針器具が使用され、針器具に関して決定された所定限度を超える導管の湾曲が検知されると、その器具に対して警告が与えられる。
【0003】
器具による導管の穿刺を避けながら導管を通して挿入される複数の器具の許容可能なそれぞれの最大湾曲度を反映した所定限度が提供され得る。このような場合、警告信号は、それぞれの所定限度を超える湾曲が検知されると、複数の器具のそれぞれに対して提供され得る。警告信号は、それぞれの器具の所定限度を超える湾曲が検知されるときのそれぞれの器具に対する視覚的警告を含み得る。
【0004】
警告信号としては、警告灯、視覚的警告表示、可聴警告、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。導管穿刺警告方法は、1つ又は2つ以上の選択した器具について所定限度を決定することを更に含み得る。
【0005】
別の実施形態では、導管を有し、この導管を通して医療処置を実施する、医療機器を提供する。導管は、被検者に挿入されるように選択的に構成される。コントローラは、被検者内の導管の湾曲を検知するように構成される。コントローラは、周辺機器を制御するように構成され、選択した器具による導管の穿刺を避けながら導管を通して挿入される選択した器具の許容可能な最大湾曲を反映した所定限度を超える湾曲が検知されると、警告信号を提供する。
【0006】
医療機器で使用可能な複数の器具が存在し得る。各器具は、器具による導管の穿刺を避けながら導管を通して挿入される器具の許容可能なそれぞれの最大湾曲度を反映したそれぞれの所定限度を有し得る。コントローラは、周辺機器を制御するように構成され、それぞれの所定限度を超える湾曲が検知されると、複数の器具のそれぞれに対して警告信号を提供し得る。
【0007】
医療機器は、気管支鏡として構成されてよい。このような場合、気管支鏡で使用可能な複数の針器具が存在してよく、それぞれの針器具は、針器具による導管の穿刺を避けながら導管を通して挿入されるそれぞれの針器具の許容可能なそれぞれの最大湾曲度を反映した異なる所定限度を有する。その後、コントローラは、周辺機器を制御するように構成され、それぞれの所定限度を超える湾曲が検知されると、複数の針器具のそれぞれに対して警告信号を提供し得る。周辺機器は、それぞれの針器具の所定限度を超える湾曲が検知されるとき、それぞれの針器具に対して視覚的警告を提供するために、コントローラを備えて構成されたディスプレイを含み得る。周辺機器は、警告灯、視覚的警告表示、可聴警告、又はそれらの組み合わせとして警告信号を提供するように構成され得る。
【0008】
本発明の他の目的及び利点は、当業者には図面及び以下の詳細な説明から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の教示による警告システムを使用した気管支鏡処置時の気管支鏡及び関連部品の概略図である。
図2(A)】図1の気管支鏡で使用可能な実施例の器具の図である。
図2(B)】図1の気管支鏡で使用可能な実施例の器具の図である。
図2(C)】図1の気管支鏡で使用可能な実施例の器具の図である。
図3図1の気管支鏡に関する分割画面表示の概略図である。
図4図1の気管支鏡で使用する器具の湾曲の所定限度を決定する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、例えば、気管支鏡処置時に気管支鏡の可撓性導管に中空針を挿入するなどの、器具の挿入による医療機器の可撓性導管での穿刺を防止することに関する。
【0011】
非侵襲診断及び手術のために様々な医療機器が開発されており、これらは被検者への可撓性導管の挿入を用いて、可撓性導管を通してカメラ、器具、又は他の道具を挿入し、被検者内の所望の位置に選択的に配置した導管の遠位端で操作することができる。多くの種類の医療機器がこのような方法で作動し、これには例えば、気管支鏡、内視鏡、直腸鏡、S字結腸鏡、鼻喉頭鏡、及び喉頭鏡が挙げられる。
【0012】
医療機器の可撓性導管の挿入制御における進歩により、医師は被検者の内部構造及び異常を視覚的に診察し、非逃避的に曖昧さを最小限に抑えることができる。最新の医療機器では、機器の可撓性導管の遠位端は、血管及び気道などの被検者の体の自然構造を進むことにより、例えば、腫瘍に隣接して挿入され得る。医師は、導管の遠位端からビデオを中継するカメラによりこのように腫瘍又は他の対象物を見ることができるだけでなく、導管を通して器具を導入することにより医療処置を行うこともできる。例えば、選択した器具を遠隔操作して、医療機器の導管の選択的に配置された遠位端で組織試料を採取することができる。一般に入手可能な器具の例としては、中空針、可撓性杯形生検鉗子、及びナイロンブラシが挙げられる。
【0013】
経気管支的針吸引(TBNA)は、針を気管支鏡用の器具として使用する方法の一例である。TBNAは、縦隔又は抹消の病変、気管分岐部及び傍気管支の結節及び実質の異常などの、気管支疾患の診断及び病期分類のために使用される。標準的なTBNA技術は、例えば、可撓性気管支ビデオスコープと連結した21ゲージ細胞診断針又は19ゲージ組織診断針を共に使用し得る。
【0014】
呼吸器科医が被検者にTBNA又は別の気管支鏡処置を行うとき、気管支鏡の可撓性導管は、肺の気道内を誘導して異常を見るために使用される。肺内の誘導に対応するために、気管支鏡の可撓性導管は、かなり大きな湾曲度の導管を導入できるように湾曲する。
【0015】
光ファイバ、磁気、及びいずれか他の形状検知技術は、導管の挿入を支援するために、及び被検者に挿入されている導管の部分の位置を示す実時間記録及び表示を提供するために使用されている。例えば、米国特許出願公開第20060013523号、Principles of Electroanatomic Mapping,Deepak Bhakta,MD and John M Miller,Indian Pacing Electrophysiol J.2008 Jan-Mar;8(1):32~50、及び国際公開第2016/028858号を参照されたい。これらの技術により、医療処置時に現位置での導管の経路及び湾曲の精密計算が容易に行われる。
【0016】
発明者は、例えば、呼吸器科医が器具を要する気管支鏡処置を行うときに、医師が器具を挿入すると、器具が可撓性導管のシース構造を穿刺する恐れがあるように気管支鏡の可撓性導管が湾曲状態になり得ることを認識している。気管支鏡の可撓性導管のシース部分が損傷すると、修理は非常に高くつくことがあり、機器が医師により廃棄される場合さえある。したがって、発明者は、針、鉗子、又はブラシなどの器具が機器の可撓性導管を穿刺しそうになると警告する、改良された気管支鏡及び同様の医療機器が必要であることを認識している。
【0017】
図1に関して、本発明を適用可能な可撓性導管を使用する医療機器の種類の例として、気管支鏡100を示す。実施例の気管支鏡100は、カメラ及び付随発光体が配置された遠位端104を有する可撓性導管102を含む。
【0018】
実施例の気管支鏡100は、医師又は他の操作者が可撓性導管102の遠位端104を被検者の肺122の気道120内の所望の位置に選択的かつ正確に挿入することができる、ロボットハンドル106及び付随コントローラ108並びにビデオディスプレイ110を含む。例えば、図1は、可撓性導管102の遠位端104を腫瘍124に隣接して配置するように可撓性導管102を挿入した結果を示す。
【0019】
ディスプレイは、好ましくは、遠位端104のカメラからの映像を表示するように構成され、医師がロボットハンドル106を使用して所望の位置に到達するように可撓性導管102を挿入しながら気道120を通して誘導するのを支援する。ロボットハンドル106は、医師が指示する挿入の動きを達成するようにコントローラ108により制御される。
【0020】
可撓性導管102は、好ましくは、遠位端104のカメラ又は発光体のための信号伝達部品の一部であり得る光ファイバを含む。コントローラ108は、好ましくは、光ファイバ検知を備えて構成され、光ファイバによりデータを生成し、可撓性導管の制御を支援し、また使用中にディスプレイ110に表示される画像の一部として被検者の気道内の導管の位置を示すディスプレイの制御を支援する。コントローラ108により実施される光ファイバ検知は、気管支鏡処置時に原位置での導管の経路及び湾曲の精密計算を提供する。
【0021】
選択した気管支鏡処置において可撓性導管を通して使用するために、様々な形状及び寸法の多様な器具が提供され得る。例えば、図2(A)は、可撓性導管102に配置された中空針器具200を示し、器具の針202が遠位端104から延びている。図2(B)は、可撓性導管102に配置された生検鉗子器具204を示し、器具の鉗子206が遠位端104から延びている。図2(C)は、可撓性導管102に配置されたブラシ器具208を示し、器具のブラシ210が遠位端104から延びている。図2(A)~(C)に示すような導管102の遠位端104から器具が延びる程度は、表示のためだけに拡大されており、気管支鏡処置時のそれらの実際の使用を反映しておらず、通常は器具の操作端のみを可撓性導管102の遠位端104から延ばす。
【0022】
図1に示すように、実施例の気管支鏡100の可撓性導管102は、被検者の肺122の気道120内で誘導に対応するように曲がることができる。その結果、気管支鏡は、可撓性導管102の位置130に示すような、器具の挿入により可撓性導管102が穿刺されるか又は別の方法では損傷するであろう湾曲領域を有し得る。気管支鏡100の可撓性導管102が穿刺されるか又は別の方法では損傷すると、修理は非常に高くつくことがある。穿刺又は損傷の結果、機器の廃棄につながることがある。
【0023】
医療処置時に器具の挿入による可撓性導管102への穿刺又は他の損傷を防ぐために、コントローラ108は、処置時に原位置での導管102の経路及び湾曲の光検知データを使用するように構成される。好ましくは、コントローラ108と一体であり得る、記憶装置140が提供され、それぞれの器具による導管の穿刺を避けながら導管102を通して挿入されるそれぞれの器具の許容可能な最大湾曲を反映した所定限度に関するデータが保存される。限度データは、医療処置で気管支鏡を使用する際に使用可能なすべての器具に関して、又は1つ又は2つ以上の選択した器具についてのみ、例えば、最も穿刺を生じやすい針器具について、保存され得る。
【0024】
好ましくは、コントローラは、可撓性導管102のいずれかの部分で感知した最大湾曲度を保存された所定限度と比較する。このような比較により可撓性導管102の検知した湾曲が1つ又は2つ以上の所定限度を超えているとき、コントローラ108は警告信号を起動する。これは、好ましくは、可撓性導管102の挿入中に継続的に行われる。しかしながら、コントローラは、挿入動作を停止したときだけ、このような比較を実施するように構成されてもよい。
【0025】
コントローラ108により起動される警告信号は、照明又はオーディオ装置などの補助装置150に対するものであってよく、及び/又はディスプレイ100に表示されてもよい。図3に関して、コントローラ108がディスプレイ110を制御して分割画面モードで表示するように構成された例を提供する。そこでは、例えば、画面部分302は、被検者内の遠位端カメラにより生成された画像を表示するように使用され、画面部分304は、被検者内に現在配置されるように可撓性導管の図解を表示するように使用され、画面部分306は、被検者の現在の生体データを表示するように使用され、画面部分308は、挿入警告データを表示するように使用される。
【0026】
図3の例では、警告データは、図1に示すように被検者の肺122内に配置されたときの可撓性導管102の湾曲に関して、3つの異なるサイズの針器具に対してディスプレイ110で画面部分308に図式的に表示される。コントローラ108は、光検知により生成された検知データを使用し、可撓性導管102の最大湾曲度が位置130にあることを判断し、また検知した導管の最大湾曲度が、画面の画像310及び312として示した2つの大きい針器具に関する所定限度を超えるが、画面の画像314として示した小さい針器具に関する所定限度は超えていないことを判断している。このような例では、コントローラ108は、例えば、赤色背景として示した警告(陰影で示す)と共に画像310及び312を表示させるが、画像314に関しては、例えば、緑色背景のままであり、それによってより小さい針器具は図1に示すように配置された気管支鏡100を損傷することなく使用できることを示す。
【0027】
導管102を通して挿入されるそれぞれの器具の許容可能な最大湾曲を反映した所定限度は、それぞれの器具の操作端の正確な寸法を用いて導管の内径寸法と比較して計算され得る。例えば、針器具の最大限に許容可能な湾曲を決定する際に考慮されるパラメータとしては、以下のものが挙げられる。
1.針の長さ、
2.気管支鏡内の作業チャネルの直径、
3.移動ウィンドウ内の針の長さを有する区画での気管支鏡の最大湾曲-例えば、針が5mmの場合、気管支鏡の連続した5mm長の部分のすべての可能性を考慮する、
4.針を支持する器具の弾性。
【0028】
このような理論計算を行う場合、所与の導管である実施例の可撓性導管に器具を挿入することにより、結果を試験することが好ましい。
【0029】
ただし、以下による物理的試験により、限度を決定してもよい。
所与の寸法の実施例の導管を、弓状の湾曲配向が徐々に増すように配置する、
器具が試料導管を穿刺するか又は別の方法では損傷し始めるまで、器具を挿入する、
導管内の穿刺点での湾曲度を使用して、その器具の限度を設定する。
【0030】
これは、例えば、図4に示され、試料導管400が徐々に湾曲を増す配向で提供される。導管400を穿刺し始めるまで、針器具410を試料導管に挿入する。導管400の穿刺点において、湾曲を記録し、好ましくは針器具410に関してその湾曲量から所望の安全域を引いて限度を決定する。
【0031】
本発明は、上記の実施例の気管支鏡に関して説明しているが、医療処置時に可撓性導管を使用し、可撓性導管を通して器具が挿入される、いずれの種類の医療機器にも適用可能である。
【0032】
〔実施の態様〕
(1) 可撓性導管を有し、前記導管を通して医療処置を実施する、医療機器のための導管穿刺警告方法であって、
前記導管を被検者に挿入し、
前記被検者内の前記導管の最大湾曲度を検知し、
選択した器具による前記導管の穿刺を避けながら前記導管を通して挿入される前記選択した器具の許容可能な最大湾曲を反映した所定限度を超える湾曲が検知されると、警告信号を提供する、導管穿刺警告方法。
(2) 前記医療機器で使用可能な複数の器具が存在し、それぞれの器具が、前記器具による前記導管の穿刺を避けながら前記導管を通して挿入される前記器具の許容可能なそれぞれの最大湾曲度を反映したそれぞれの所定限度を有し、
前記それぞれの所定限度を超える湾曲が検知されると、前記複数の器具のそれぞれに対して警告信号が提供される、実施態様1に記載の導管穿刺警告方法。
(3) 前記医療機器が気管支鏡であり、前記選択した器具が針器具であり、前記方法が気管支鏡処置時に実施される、実施態様1に記載の導管穿刺警告方法。
(4) 前記気管支鏡で使用可能な複数の異なる寸法の針器具が存在し、それぞれの針器具が、前記針器具による前記導管の穿刺を避けながら前記導管を通して挿入される前記それぞれの針器具の許容可能なそれぞれの最大湾曲度を反映した異なる所定限度を有し、
前記それぞれの所定限度を超える湾曲が検知されると、前記複数の針器具のそれぞれに対して警告信号が提供される、実施態様3に記載の導管穿刺警告方法。
(5) 前記警告信号が、前記それぞれの針器具の所定限度を超える湾曲が検知されるときのそれぞれの針器具に対する視覚的警告を含む表示を含む、実施態様4に記載の導管穿刺警告方法。
【0033】
(6) 前記警告信号が、警告灯、視覚的警告表示、可聴警告、又はそれらの組み合わせを含む、実施態様4に記載の導管穿刺警告方法。
(7) それぞれの針器具について前記それぞれの所定限度を決定することを更に含む、実施態様4に記載の導管穿刺警告方法。
(8) 前記警告信号が、前記器具の所定限度を超える湾曲が検知されるときの視覚的警告を含む表示を含む、実施態様1に記載の導管穿刺警告方法。
(9) 前記警告信号が、警告灯、視覚的警告表示、可聴警告、又はそれらの組み合わせを含む、実施態様1に記載の導管穿刺警告方法。
(10) 前記選択した器具について前記所定限度を決定することを更に含む、実施態様1に記載の導管穿刺警告方法。
【0034】
(11) 導管を有し、前記導管を通して医療処置を実施する、医療機器であって、
被検者に挿入されるように選択的に構成されている前記導管と、
前記被検者内の前記導管の湾曲を検知するように構成されているコントローラと、
周辺機器と、を有し、
前記コントローラが、前記周辺機器を制御するように構成され、選択した器具による前記導管の穿刺を避けながら前記導管を通して挿入される前記選択した器具の許容可能な最大湾曲を反映した所定限度を超える湾曲が検知されると、警告信号を提供する、医療機器。
(12) 前記医療機器で使用可能な複数の器具が存在し、それぞれの器具が、前記器具による前記導管の穿刺を避けながら前記導管を通して挿入される前記器具の許容可能なそれぞれの最大湾曲度を反映したそれぞれの所定限度を有し、
前記コントローラが、前記周辺機器を制御するように構成され、前記それぞれの所定限度を超える湾曲が検知されると、前記複数の器具のそれぞれに対して警告信号を提供する、実施態様11に記載の医療機器。
(13) 気管支鏡として構成され、前記選択した器具が針器具である、実施態様11に記載の医療機器。
(14) 前記気管支鏡で使用可能な複数の針器具が存在し、それぞれの針器具が、前記針器具による前記導管の穿刺を避けながら前記導管を通して挿入される前記それぞれの針器具の許容可能なそれぞれの最大湾曲度を反映した異なる所定限度を有し、
前記コントローラが、前記周辺機器を制御するように構成され、前記それぞれの所定限度を超える湾曲が検知されると、前記複数の針器具のそれぞれに対して警告信号を提供する、実施態様13に記載の医療機器。
(15) 前記周辺機器は、前記それぞれの針器具の所定限度を超える湾曲が検知されるとき、それぞれの針器具に対して視覚的警告を提供するために、前記コントローラを備えて構成されているディスプレイを含む、実施態様14に記載の医療機器。
【0035】
(16) 前記周辺機器が、警告灯、視覚的警告表示、可聴警告、又はそれらの組み合わせとして前記警告信号を提供するように構成されている、実施態様14に記載の医療機器。
(17) 前記周辺機器は、前記針器具の所定限度を超える湾曲が検知されるとき、前記針器具に対して視覚的警告を提供するために、前記コントローラを備えて構成されているディスプレイを含む、実施態様13に記載の医療機器。
(18) 前記周辺機器が、警告灯、視覚的警告表示、可聴警告、又はそれらの組み合わせとして前記警告信号を提供するように構成されている、実施態様13に記載の医療機器。
(19) 前記周辺機器は、前記所定限度を超える湾曲が検知されるとき、前記選択した器具に対して視覚的警告を提供するために、前記コントローラを備えて構成されているディスプレイを含む、実施態様11に記載の医療機器。
(20) 前記周辺機器が、警告灯、視覚的警告表示、可聴警告、又はそれらの組み合わせとして前記警告信号を提供するように構成されている、実施態様11に記載の医療機器。
図1
図2(A)】
図2(B)】
図2(C)】
図3
図4
【外国語明細書】