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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023004180
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/24 20060101AFI20230110BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20230110BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20230110BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
E02F9/24 B
E02F9/26 B
E02F9/20 M
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105726
(22)【出願日】2021-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】邱 進軍
(72)【発明者】
【氏名】藤原 翔
(72)【発明者】
【氏名】細 幸広
(72)【発明者】
【氏名】宗正 佳樹
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
5C054
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003AC06
2D003BA07
2D003BB05
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
2D015GA03
2D015GB06
2D015GB07
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
5C054CA04
5C054CC02
5C054FD03
5C054FE09
5C054FE14
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】監視対象物を監視する範囲を、適切な範囲に設定する。
【解決手段】監視システム1は、自動運転される作業機械10と、作業計画設定部31と、監視範囲設定部41と、監視対象物検出部43と、侵入判定部45と、を備える。作業計画設定部31は、作業機械10の作業計画を設定する。監視範囲設定部41は、作業計画に基づいて作業機械10の周囲に第1監視範囲A1を設定する。監視対象物検出部43は、作業機械10の周囲の監視対象物Oを検出する。侵入判定部45は、監視対象物Oが第1監視範囲A1に侵入したか否かを判定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転される作業機械と、
前記作業機械の作業計画を設定する作業計画設定部と、
前記作業計画に基づいて前記作業機械の周囲に第1監視範囲を設定する監視範囲設定部と、
前記作業機械の周囲の監視対象物を検出する監視対象物検出部と、
前記監視対象物が前記第1監視範囲に侵入したか否かを判定する侵入判定部と、
を備える、
監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の監視システムであって、
前記作業機械の位置を検出する作業機械位置検出部を備え、
前記監視範囲設定部は、前記作業機械位置検出部に検出された前記作業機械の位置および前記作業計画に基づいて前記第1監視範囲を設定する、
監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載の監視システムであって、
前記作業機械位置検出部は、前記作業機械の外部に配置される、
監視システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の監視システムであって、
前記監視範囲設定部は、前記作業機械の作業の進行に応じて前記第1監視範囲を変える、
監視システム。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の監視システムであって、
前記作業計画設定部は、前記作業計画に含まれる複数の作業フェーズを設定し、
前記監視範囲設定部は、前記作業フェーズに応じて前記第1監視範囲を変える、
監視システム。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の監視システムであって、
前記監視範囲設定部は、前記作業計画に従って前記作業機械が作業を行う場合に前記作業機械が配置されることが想定される範囲である作業範囲と、前記作業範囲よりも外側に前記作業範囲から連続する拡大範囲と、を合わせた範囲を前記第1監視範囲として設定する、
監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載の監視システムであって、
前記監視範囲設定部は、前記作業機械の少なくとも一部の作動速度、前記作業機械の少なくとも一部の質量、および、前記作業機械が捕捉している作業対象物の質量、の少なくともいずれかに基づいて、前記拡大範囲の広さを算出する、
監視システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の監視システムであって、
警告を出力する警告部と、
前記作業機械の作動を停止させる停止部と、
を備え、
前記監視範囲設定部は、前記第1監視範囲である停止範囲と、前記停止範囲よりも広い警告範囲と、を設定し、
前記警告部は、前記監視対象物が前記警告範囲に侵入したと前記侵入判定部が判定した場合に警告を出力し、
前記停止部は、前記監視対象物が前記停止範囲に侵入したと前記侵入判定部が判定した場合に前記作業機械の作動を停止させる、
監視システム。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の監視システムであって、
前記第1監視範囲と、前記作業機械と、前記作業機械の周囲と、を重畳させて表示する表示部を備える、
監視システム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の監視システムであって、
前記監視範囲設定部は、前記作業機械が走行することなく動作可能な範囲に基づいて第2監視範囲を設定し、
前記侵入判定部は、前記監視対象物が前記第2監視範囲に侵入したか否かを判定する、
監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の周囲を監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に、自動運転される作業機械を撮像装置で撮影する技術が記載されている。同文献には、作業機械の作業を監視することが記載されている([0041])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-293708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、同文献に記載の技術では、作業機械の周囲に監視対象物が侵入したことを検出することはできない。また、監視対象物を監視する範囲を適切に設定できることが望まれる。
【0005】
そこで、本発明は、監視対象物を監視する範囲を、適切な範囲に設定することができる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
監視システムは、自動運転される作業機械と、作業計画設定部と、監視範囲設定部と、監視対象物検出部と、侵入判定部と、を備える。前記作業計画設定部は、前記作業機械の作業計画を設定する。前記監視範囲設定部は、前記作業計画に基づいて前記作業機械の周囲に第1監視範囲を設定する。前記監視対象物検出部は、前記作業機械の周囲の監視対象物を検出する。前記侵入判定部は、前記監視対象物が前記第1監視範囲に侵入したか否かを判定する。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、監視対象物を監視する範囲を、適切な範囲に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】監視システム1の作業機械10などを横から見た図である。
図2図1に示す監視システム1のブロック図である。
図3図1に示す作業機械10などを上から見た図であり、作業範囲A1aを示す図である。
図4図3に示す作業機械10などを上から見た図であり、作業範囲A1aおよび拡大範囲A1bを示す図である。
図5図4相当図であり、第1監視範囲A1および第2監視範囲A2を示す図である。
図6図2に示す表示部50の表示内容を示す図である。
図7図5に示す目標捕捉範囲P1などが変更されたときの第1監視範囲A1を示す図5相当図である。
図8図5に示す作業機械10が解放フェーズのときの第1監視範囲A1を示す図5相当図である。
図9図5に示す作業機械10が捕捉フェーズのときの第1監視範囲A1を示す図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1図9を参照して、監視システム1について説明する。
【0010】
監視システム1は、図1に示す作業機械10の周囲(作業現場)に、監視範囲A(図6参照)を自動的に設定するシステムである。監視システム1は、作業機械10と、図2に示す作業機械位置検出部23と、姿勢検出部21と、撮像装置25と、作業機械コントローラ30と、監視コントローラ40と、表示部50と、を備える。
【0011】
作業機械10は、図1に示すように、作業を行う機械であり、例えば建設作業を行う建設機械である。作業機械10は、自動運転される自動運転作業機械である。作業機械10は、例えばショベルでもよく、クレーンでもよい。以下では、主に、作業機械10がショベル(自動運転ショベル)である場合について説明する。作業機械10は、下部走行体11と、上部旋回体13と、アタッチメント15と、駆動制御部17(図2参照)と、を備える。
【0012】
下部走行体11は、作業機械10を走行させる。下部走行体11は、例えばクローラを備える。上部旋回体13は、下部走行体11に旋回可能に搭載される。上部旋回体13は、下部走行体11に対して旋回中心13a(図3参照)を中心として旋回可能である。
【0013】
アタッチメント15は、作業対象物Sに対して作業を行う部分であり、例えば、ブーム15aと、アーム15bと、先端アタッチメント15cと、を備える。ブーム15aは、上部旋回体13に起伏可能(上下方向に回転可能)に取り付けられる。アーム15bは、ブーム15aに対して回転可能に取り付けられる。先端アタッチメント15cは、アタッチメント15の先端部に設けられ、アーム15bに回転可能に取り付けられる。先端アタッチメント15cは、例えば土砂などをすくうバケットでもよく、物を挟む装置(グラップルなど)でもよく、破砕や掘削などを行う装置(ブレーカなど)でもよい。アタッチメント15の作業の対象である作業対象物Sは、土砂でもよく、石でもよく、コンクリートなどの構造物でもよく、廃棄物でもよい。アタッチメント15の特定の部位(例えば先端アタッチメント15cの先端部など)を、特定部位15tとする。
【0014】
駆動制御部17(図2参照)は、作業機械10を駆動させるアクチュエータを制御する。例えば、駆動制御部17は、下部走行体11に対して上部旋回体13を旋回させるモータ(図示なし)を制御する。駆動制御部17は、上部旋回体13に対してブーム15aを起伏させるシリンダ(図示なし)を制御する。駆動制御部17は、ブーム15aに対してアーム15bを回転させるシリンダ(図示なし)を制御する。駆動制御部17は、アーム15bに対して先端アタッチメント15cを回転させるシリンダ(図示なし)を制御する。
【0015】
姿勢検出部21(図2参照)は、作業機械10の姿勢を検出する。姿勢検出部21は、作業機械10に搭載されてもよく、作業機械10の外部に配置されてもよい(作業機械位置検出部23、撮像装置25、作業機械コントローラ30、監視コントローラ40、および表示部50も同様)。姿勢検出部21は、下部走行体11に対する上部旋回体13の、旋回角度や旋回角速度などを検出してもよい。姿勢検出部21は、上部旋回体13に対するブーム15aの、回転角度(起伏角度)や回転角速度などを検出してもよい。姿勢検出部21は、ブーム15aに対するアーム15bの回転角度や回転角速度などを検出してもよい。姿勢検出部21は、アーム15bに対する先端アタッチメント15cの回転角度や回転角速度などを検出してもよい。姿勢検出部21は、角度を検出するセンサ(例えばロータリエンコーダなど)を備えてもよく、水平面に対する傾斜を検出するセンサを備えてもよく、アタッチメント15を駆動するシリンダ(図示なし)のストロークを検出するセンサを備えてもよい。姿勢検出部21は、二次元画像または距離画像に基づいて作業機械10の姿勢を検出してもよい。この場合、二次元画像または距離画像は、撮像装置25により撮像されてもよい。
【0016】
作業機械位置検出部23(図2参照)は、作業機械10の位置を検出する。例えば、作業機械位置検出部23は、作業機械10の基準となる部位の、作業現場に対する位置および向きを検出する。作業機械10の基準となる部位は、例えば上部旋回体13または下部走行体11の特定の部位でもよく、例えば上部旋回体13へのブーム15aの取付部(ブームフット)などでもよい。作業機械位置検出部23は、位置測位システム(例えば衛星測位システムなど)により検出を行うものでもよい。位置測位システムは、衛星測位システムでもよく、例えばGNSS(global navigation satellite system)でもよい。位置測位システムは、トータルステーションを用いたものでもよい。作業機械位置検出部23は、撮像装置25と兼用されてもよい。
【0017】
撮像装置25は、撮像対象物の三次元情報(例えば、位置、形状)を検出する。例えば、撮像装置25の撮像対象物は、監視対象物O(図3参照)である。撮像装置25が作業機械位置検出部23と兼用される場合は、撮像装置25の撮像対象物は、作業機械10を含んでもよい。撮像装置25は、距離の情報(奥行きの情報)を有する画像(距離画像)を取得する。撮像装置25は、距離画像と二次元画像とに基づいて、撮像対象物の三次元情報を検出してもよい。撮像装置25は、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。撮像装置25は、作業機械10に搭載されてもよく、作業機械10の外部に配置されてもよい。撮像装置25は、レーザー光を用いて三次元の情報を検出する装置を備えてもよく、例えばLIDAR(Light Detection and Ranging)を備えてもよく、例えばTOF(Time Of Flight)センサを備えてもよい。撮像装置25は、電波を用いて三次元の情報を検出する装置(例えばミリ波レーダなど)を備えてもよい。撮像装置25は、ステレオカメラを備えてもよい。撮像装置25が三次元の情報と二次元の情報とに基づいて撮像対象物の三次元情報を検出する場合などには、撮像装置25は、二次元の画像を検出可能なカメラ(単眼カメラ)を備えてもよい。
【0018】
作業機械コントローラ30は、図2に示すように、信号の入出力、演算(処理)、情報の記憶などを行うコンピュータである(監視コントローラ40も同様)。例えば、作業機械コントローラ30の機能は、作業機械コントローラ30の記憶部に記憶されたプログラムが演算部で実行されることにより実現される(監視コントローラ40も同様)。作業機械コントローラ30は、作業機械10(図1参照)の自動運転の制御を行う。
【0019】
この作業機械コントローラ30は、監視コントローラ40に情報を送信する。例えば、作業機械コントローラ30は、作業機械10(図1参照)の機体情報を監視コントローラ40に送信してもよい。作業機械10の機体情報は、図1に示す作業機械10の構成要素(例えば上部旋回体13、ブーム15a、アーム15b、先端アタッチメント15cの少なくともいずれか)の寸法の情報を含んでもよく、形状の情報を含んでもよく、質量の情報を含んでもよい。例えば、図2に示す作業機械コントローラ30は、作業機械10(図1参照)が自動運転により作動しているときに、どの作業フェーズ(後述)で作業機械10が作動しているかを監視コントローラ40に送信してもよい。例えば、作業機械コントローラ30は、姿勢検出部21に検出された作業機械10の姿勢の情報を監視コントローラ40に送信してもよい。作業機械コントローラ30は、図3に示す目標範囲(目標捕捉範囲P1、目標解放範囲P3)や目標軌跡(目標持ち上げ旋回軌跡P2、目標復帰旋回軌跡P4)のうち、どの位置に特定部位15tが配置されているかを、監視コントローラ40に送信してもよい。図2に示すように、作業機械コントローラ30は、作業計画設定部31を備える。
【0020】
作業計画設定部31は、作業機械10(図3参照)の作業計画を設定する。作業計画は、作業機械10の作業の目標に関する情報である。作業計画は、作業機械10の走行の目標軌跡(目標ルート)の情報を含んでもよい。作業計画は、図3に示す特定部位15tが作業を行う目標範囲(目標捕捉範囲P1、目標解放範囲P3)の情報を含んでもよい。作業計画は、特定部位15tの目標軌跡(目標持ち上げ旋回軌跡P2、目標復帰旋回軌跡P4)の情報を含んでもよい。作業計画は、上部旋回体13の旋回角度の情報を含んでもよく、旋回中心13aから特定部位15tまでの半径の情報を含んでもよく、作業機械10の底面から特定部位15tまでの高さの情報を含んでもよい。
【0021】
この作業計画設定部31(図2参照)は、作業計画に含まれる複数の作業フェーズ(作業の内容)を設定する。具体的には例えば、作業フェーズには、捕捉フェーズと、持ち上げ旋回フェーズと、解放フェーズと、復帰旋回フェーズと、がある。捕捉フェーズは、先端アタッチメント15cが、目標捕捉範囲P1で作業対象物Sを捕捉する(例えば土砂を掘削する)フェーズである。例えば、目標捕捉範囲P1は、作業対象物Sが集められた場所(例えば土砂山など)に設定される。持ち上げ旋回フェーズは、先端アタッチメント15c(さらに詳しくは特定部位15t)が、作業対象物Sを捕捉した状態で、目標捕捉範囲P1から目標解放範囲P3に向かって、目標持ち上げ旋回軌跡P2に沿って移動するフェーズである。解放フェーズは、先端アタッチメント15cが、目標解放範囲P3で作業対象物Sを解放する(例えば排土する)フェーズである。目標解放範囲P3は、例えば輸送車両の荷台の上の範囲などに設定される。復帰旋回フェーズは、先端アタッチメント15c(さらに詳しくは特定部位15t)が、目標解放範囲P3から目標捕捉範囲P1に向かって、目標復帰旋回軌跡P4に沿って移動するフェーズである。例えば、捕捉フェーズと、持ち上げ旋回フェーズと、解放フェーズと、復帰旋回フェーズと、の一連の作業フェーズが、繰り返し行われる。
【0022】
作業計画は、ティーチングにより作業計画設定部31(図2参照)に設定されてもよく、ティーチング以外の方法(例えば数値入力など)により作業計画設定部31に設定されてもよい。ティーチングは、次のように行われる。作業者(オペレータ)が作業機械10に搭乗して作業機械10を操作する、または、作業者が作業機械10を遠隔操作する。例えば、作業者は、作業機械10を操作することで、目標範囲(目標捕捉範囲P1や目標解放範囲P3)として設定したい範囲の特定の位置(例えば目標捕捉範囲P1の角となる位置など)に特定部位15tを配置する。そして、作業計画設定部31(図2参照)は、特定部位15tが配置された位置に基づいて、目標範囲を設定する。また、例えば、作業者は、作業機械10を操作することで、目標軌跡(目標持ち上げ旋回軌跡P2や目標復帰旋回軌跡P4)として設定したい軌跡に沿うように特定部位15tを移動させる。そして、作業計画設定部31(図2参照)は、特定部位15tが移動した軌跡を、目標軌跡として設定する。
【0023】
監視コントローラ40(図2参照)は、監視範囲Aの設定を行う。監視コントローラ40は、監視対象物Oが監視範囲Aに侵入したか否かの判定などを行う。なお、図2に示す監視コントローラ40と作業機械コントローラ30とは、兼用されてもよく、別々に設けられてもよい。監視コントローラ40は、監視範囲設定部41と、監視対象物検出部43と、侵入判定部45と、警告部47と、停止部49と、を備える。
【0024】
監視範囲設定部41は、監視範囲A(図3参照)を設定する。監視範囲設定部41は、自動的に監視範囲Aを設定(算出)する。図3に示すように、監視範囲Aは、監視システム1が監視を行う範囲である。監視範囲Aは、作業機械10が存在する位置、および作業機械10の周囲に設定される。監視範囲Aは、様々に設定可能である。監視範囲Aは、図3に示すように1段階(例えば第1監視範囲A1)のみ設定されてもよく、図5に示すように複数段階(例えば第1監視範囲A1および第2監視範囲A2)設定されてもよい。
【0025】
この監視範囲設定部41(図2参照)は、所定の条件に基づいて監視範囲Aを設定する。例えば、監視範囲設定部41は、作業機械位置検出部23(図2参照)に検出された作業機械10の位置に基づいて監視範囲Aを設定してもよい。例えば、作業現場における作業機械10の位置が固定されている場合などには、監視範囲設定部41は、作業機械10の位置に基づくことなく監視範囲Aを設定してもよい。監視範囲Aには、第1監視範囲A1と、第2監視範囲A2と、がある。また、監視範囲Aには、停止範囲A5と、警告範囲A7と、がある。
【0026】
第1監視範囲A1は、作業計画に基づいて設定される。図3に示すように、第1監視範囲A1は、作業範囲A1aに基づいて設定される。第1監視範囲A1は、作業範囲A1aと等しくてもよい。図4に示すように、第1監視範囲A1は、作業範囲A1aと、拡大範囲A1bと、を合わせた範囲でもよい。第1監視範囲A1は、1段階のみ設定されてもよく、複数段階設定されてもよい。
【0027】
作業範囲A1aは、図3に示すように、作業計画に従って作業機械10が作業を行う場合に、作業機械10が配置されることが想定される範囲である。さらに詳しくは、作業範囲A1aは、作業計画に従って作業機械10が作業を行う場合に、作業機械10の少なくとも一部が配置される(例えば動きながら通る、停止して配置される)ことが想定される範囲である。この「作業機械10の少なくとも一部」は、アタッチメント15を含んでもよく、上部旋回体13を含んでもよく、作業機械10の全体でもよい。
【0028】
この作業範囲A1aは、作業計画に基づいて作業機械10が作業を行う場合の作業半径に基づいて設定されてもよい。作業半径とは、作業機械10のうち旋回中心13aから最も遠い部分から、旋回中心13aまでの距離である。この場合、上から見たときに、作業範囲A1aの内と外との境界の少なくとも一部は、旋回中心13aを中心とするとともに作業範囲半径Raの半径を有する円弧または略円弧に設定される。作業範囲半径Raは、上部旋回体13の旋回角度の変化に伴って変化してもよい。なお、作業機械10のうち旋回中心13aから最も遠い部分は、アタッチメント15の姿勢によって異なる。上記「最も遠い部分」は、例えば図1において二点鎖線で示すアタッチメント15のように、先端アタッチメント15cの先端部になる場合がある。上記「最も遠い部分」は、例えば図1において実線で示すアタッチメント15のように、アーム15bの基端部(ブーム15aとの接続部)の近傍になる場合もある。例えば、作業計画が、ティーチングにより設定された場合、図3に示す作業範囲半径Raは、ティーチング時の最大の作業半径(例えばアタッチメント15の最大の伸び長)に基づいて設定されてもよい。
【0029】
この作業範囲A1aは、作業計画に基づいて作業機械10が作業を行う場合の、旋回角度の範囲に基づいて設定されてもよい(図3に示す旋回角度範囲θmax~θminを参照)。作業範囲A1aは、作業計画に基づいて作業機械10が作業を行う場合の、アタッチメント15の高さの範囲(例えば下部走行体11の底面からアタッチメント15の上端までの高さの範囲など)に基づいて設定されてもよい。
【0030】
拡大範囲A1b(緩和範囲)は、図4に示すように、作業範囲A1aから連続して、作業範囲A1aよりも外側に設定される。拡大範囲A1bが設定される理由は次の通りである。作業範囲A1aは、作業計画に従って作業機械10が正確に作動した場合に、作業機械10が配置されると想定される範囲である。しかし、実際は、作業機械10の位置は、作業計画からずれる場合がある。このずれは、例えば、作業機械10が配置されている地面の傾斜の影響や、アタッチメント15や上部旋回体13の慣性力の影響(質量、速度の影響)などにより生じる。そこで、監視範囲設定部41(図2参照)は、作業範囲A1aに拡大範囲A1bを加えた範囲(作業範囲A1aよりも広い範囲)を、第1監視範囲A1とする。
【0031】
この拡大範囲A1bは、例えば次のように設定される。上から見たときに、拡大範囲A1bの内と外との境界の少なくとも一部が、旋回中心13aを中心とするとともに拡大範囲半径Rbの半径を有する円弧(または略円弧)に設定されるとする。このとき、拡大範囲半径Rbは、作業範囲半径Raよりも大きく設定されてもよい。
【0032】
この拡大範囲A1bの旋回角度の範囲は、作業範囲A1aの旋回角度の範囲(図4に示す旋回角度範囲θmax~θminを参照)よりも広く設定されてもよい。例えば、作業範囲A1aについては旋回角度の範囲が限定されている場合に、拡大範囲A1bについて旋回角度の範囲が限定されなくてもよい。拡大範囲A1bの高さの範囲は、作業範囲A1aの高さの範囲よりも広くてもよい(図示なし)。
【0033】
この拡大範囲A1bの広さは、様々に設定可能である。例えば、拡大範囲A1bの広さを示す値は、作業範囲A1aの広さを示す値に対して、一定距離だけ大きくてもよい。例えば、拡大範囲半径Rbは、作業範囲半径Raに対して、一定距離だけ大きくてもよい。図5に示すように、拡大範囲A1bの旋回角度の範囲は、作業範囲A1aの旋回角度の範囲に対して一定角度だけ広くてもよい。拡大範囲A1bの高さの範囲は、作業範囲A1aの高さの範囲に対して一定距離だけ高くてもよい(図示なし)。
【0034】
この拡大範囲A1bの広さは、何らかの条件に応じて算出されてもよい。例えば、拡大範囲A1bの広さは、作業機械10の少なくとも一部の作動速度、および作業機械10の少なくとも一部の質量の少なくともいずれかに基づいて算出されてもよい。拡大範囲A1bの広さは、作業機械10が(先端アタッチメント15c(図1参照)が)捕捉している作業対象物S(図1参照)の質量に基づいて算出されてもよい。拡大範囲A1bの広さは、作業機械10の少なくとも一部の慣性モーメントに基づいて算出されてもよく、作業機械10が捕捉している作業対象物Sの慣性モーメントに基づいて算出されてもよく、これらの両方に基づいて算出されてもよい。この「作業機械10の少なくとも一部」は、アタッチメント15を含んでもよく、上部旋回体13を含んでもよく、作業機械10全体でもよい。
【0035】
この拡大範囲A1bの広さが、作業機械10の少なくとも一部の作動速度に基づいて算出される場合、この作動速度は、予測されてもよく、検出されてもよい。例えば、この作動速度は、作業計画および機体情報から予測(算出)されてもよい。この作動速度は、姿勢検出部21(図2参照)に検出された速度でもよい。例えば、上記「作業機械10の少なくとも一部の作動速度」は、アタッチメント15の移動速度でもよく、上部旋回体13の旋回速度でもよく、作業機械10の走行速度でもよい。
【0036】
この拡大範囲A1bの広さが、作業機械10の少なくとも一部の質量に基づいて算出される場合、この質量は、作業機械コントローラ30(図2参照)に設定された機体情報に含まれてもよい。例えば、上記「作業機械10の少なくとも一部の質量」は、アタッチメント15の質量でもよく、上部旋回体13とアタッチメント15との質量の和でもよく、作業機械10全体の質量でもよい。
【0037】
この拡大範囲A1bの広さが、作業機械10が捕捉している作業対象物S(図1参照)の質量に基づいて算出される場合、この質量は、予測されてもよく、検出されてもよい。例えば、この作業対象物Sの質量は、図1に示す先端アタッチメント15cの大きさ、および作業対象物Sの種類(土、砂利など)の少なくともいずれかに基づいて予測されてもよい。この作業対象物Sの質量は、撮像装置25に撮像された作業対象物Sの三次元情報(大きさ、形状など)と、作業対象物Sの種類と、の少なくともいずれかに基づいて算出されてもよい。この作業対象物Sの質量は、先端アタッチメント15cを駆動するシリンダに作用する力(例えば油圧など)から検出されてもよい。
【0038】
図4に示す例では、第1監視範囲A1は、作業範囲A1aに拡大範囲A1bを加えた範囲である(図5に示す例も同様)。この例では、作業範囲A1aは、作業計画に従って作業機械10が作動したときのアタッチメント15が配置されると想定される範囲を含み、上部旋回体13が配置されると想定される範囲は含まれない。この例では、拡大範囲半径Rbは、作業範囲半径Raよりも大きい(図5に示す例も同様)。この例では、拡大範囲A1bの旋回角度の範囲は、作業範囲A1aの旋回角度の範囲よりも広い。さらに具体的には、作業範囲A1aの旋回角度はある範囲に限定されている(旋回角度範囲θmax~θminを参照)が、拡大範囲A1bの旋回角度は限定されない。この例では、第1監視範囲A1は、円柱状または略円柱状である。
【0039】
図5に示す例では、作業範囲A1aは、作業計画に従って作業機械10が作動したときの、アタッチメント15が配置されると想定される範囲と、上部旋回体13が配置されると想定される範囲と、を含む。この例では、拡大範囲A1bの旋回角度の範囲は、限定されているとともに、作業範囲A1aの旋回角度の範囲よりも広い。
【0040】
第2監視範囲A2は、作業計画に基づくことなく設定される。監視範囲設定部41(図2参照)は、少なくとも第1監視範囲A1を設定する。監視範囲設定部41は、第2監視範囲A2を設定してもしなくてもよい。第1監視範囲A1を設定する監視範囲設定部41と、第2監視範囲A2を設定する監視範囲設定部41と、が別々に設けられてもよい。第2監視範囲A2は、1段階のみ設定されてもよく、複数段階設定されてもよい。第2監視範囲A2は、様々に設定可能である。
【0041】
この第2監視範囲A2は、作業機械10が走行することなく動作可能な範囲に基づいて設定される。例えば、第2監視範囲A2は、作業機械10が取り得る作業半径の最大値(最大作業半径、フルリーチ)に基づいて設定されてもよい。最大作業半径の情報は、例えば作業機械コントローラ30(図2参照)に設定されてもよく、作業機械コントローラ30に設定された情報に基づいて算出されてもよい。例えば、上から見たときに、第2監視範囲A2の内と外との境界の少なくとも一部は、旋回中心13aを中心とするとともに第2監視範囲半径Rcの半径を有する円弧(または略円弧)に設定される。第2監視範囲半径Rcは、最大作業半径でもよく、最大作業半径よりも大きい値でもよい。第2監視範囲半径Rcが最大作業半径よりも大きい場合、第2監視範囲半径Rcから最大作業半径を引いた値は、固定値でもよく、固定値でなくてもよい。例えば、第2監視範囲半径Rcから最大作業半径を引いた値は、作業機械10の少なくとも一部の作動速度や質量に基づいて算出されてもよい(拡大範囲A1bと同様)。
【0042】
この第2監視範囲A2の高さは、作業機械10が取り得る高さの最大値に基づいて設定されてもよい。例えば、第2監視範囲A2の高さは、作業機械10が取り得る高さの最大値でもよく、作業機械10が取り得る高さの最大値よりも高くてもよい(第2監視範囲半径Rcと同様)。
【0043】
停止範囲A5は、監視対象物Oが停止範囲A5に侵入したときに作業機械10を停止させるための範囲である(停止については停止部49の説明も参照)。例えば、停止範囲A5は、第1監視範囲A1(すなわち作業計画に基づいて設定された範囲)である。停止範囲A5は、第2監視範囲A2でもよい。
【0044】
警告範囲A7は、監視対象物Oが警告範囲A7に侵入したときに警告を出力するための範囲である(警告については警告部47の説明も参照)。警告範囲A7は、停止範囲A5よりも広い。警告範囲A7は、停止範囲A5よりも広い第1監視範囲A1(図示なし)でもよく、停止範囲A5よりも広い第2監視範囲A2でもよい。警告範囲A7は、複数段階設定されてもよい。
【0045】
監視対象物検出部43(図2参照)は、作業機械10の周囲の監視対象物Oを検出する。監視対象物Oは、作業現場に存在する物であり、例えば作業現場に存在する移動可能な物である。監視対象物Oは、人(作業者)でもよく、作業機械10とは別の機械(建設機械、車両など)でもよい。例えば、作業機械10が作業対象物S(図1参照)の解放を行う対象物(例えば輸送車両)は、監視対象物Oに含まれなくてもよい。例えば、図2に示す撮像装置25が監視対象物O(図5参照)を撮像し、監視対象物検出部43が、撮像装置25に撮像された情報に基づいて、監視対象物Oを認識してもよい。監視対象物検出部43は、監視対象物Oの位置の情報(三次元座標)を算出する。なお、監視コントローラ40は、監視範囲A(図5参照)の座標系と監視対象物Oの座標系とが異なる場合は、いずれかの座標系を変換し、これらの座標系を統一する。例えば、監視範囲Aが作業機械10を基準とした座標系であり、監視対象物Oの座標系が作業現場を基準とした座標系(現場座標系)である場合、監視コントローラ40は、監視範囲Aの座標系を現場座標系に変換する。
【0046】
侵入判定部45は、監視対象物Oが監視範囲A(図5参照)に侵入したか否かを判定(判断)する。具体的には、侵入判定部45は、監視対象物Oの位置の情報(三次元位置)が、監視範囲Aの範囲の情報(三次元範囲)に含まれるか否かを判定する。
【0047】
警告部47は、監視対象物O(図5参照)が警告範囲A7(図5参照)に侵入したと侵入判定部45が判定した場合に、警告を出力する。警告部47が出力する警告は、例えば、音、光、表示(モニタなど)、および振動の少なくともいずれかでもよい。例えば、警告部47は、表示部50に警告を出力してもよい。警告部47が出力する警告は、作業機械10の作動を制限する指令でもよく、例えば作業機械10を減速させる指令などでもよい。警告部47が作業機械10の作動を制限する場合、警告部47は、作業機械コントローラ30に作動を制限する指令を出力する。警告範囲A7(図5参照)が複数段階設定される場合は、警告部47は、監視対象物O(図5参照)が進入した警告範囲A7の段階に応じて、警告の内容を変化させてもよい。例えば、警告部47は、監視対象物Oの位置が作業機械10に近い警告範囲A7であるほど、警告の度合いを強くしてもよく、作業機械10の作動の制限をより厳しく(例えばより減速)してもよい。
【0048】
停止部49は、監視対象物O(図5参照)が停止範囲A5(図5参照)に侵入したと侵入判定部45が判定した場合に作業機械10の作動を停止させる。停止部49は、作業機械コントローラ30に、作業機械10を停止させる指令を出力する。
【0049】
表示部50は、図6に示すように、監視範囲Aと、作業機械10と、作業機械10の周囲と、を重畳させて表示する。表示部50は、監視対象物Oを表示してもよい。図6に示す例では、表示部50は、監視コントローラ40(図2参照)が認識中の監視対象物Oを枠で囲う表示を行う。表示部50は、監視範囲Aを可視化し、作業者に示す。監視範囲Aが複数段階設定されている場合、表示部50は、全ての段階の監視範囲Aを表示してもよく、一部の段階の監視範囲Aのみを表示してもよい。具体的には例えば、表示部50は、停止範囲A5のみを表示してもよく、警告範囲A7のみを表示してもよく、停止範囲A5および警告範囲A7を表示してもよい。表示部50は、監視範囲Aを平面的に(監視範囲Aのうち地面と重なる部分だけを)表示してもよい。表示部50は、監視範囲Aを立体的に表示してもよい(図6において二点鎖線で示す)。
【0050】
(監視範囲Aの変更)
監視範囲設定部41(図2参照)は、図5に示す作業機械10が移動したときに、作業機械10の位置に基づいて監視範囲Aを移動(追従、更新)させてもよい。
【0051】
監視範囲設定部41(図2参照)は、作業機械10の作業の進行に応じて、監視範囲Aを変えてもよい。具体的には、監視範囲設定部41は、作業時間に応じて監視範囲Aを変えてもよく、時刻に応じて監視範囲Aを変えてもよい。
【0052】
具体的には、例えば図5に示す、ある位置P1aの目標捕捉範囲P1での捕捉フェーズの作業が行われるとする(このときの第1監視範囲A1を、「変更前の第1監視範囲A1-1」とする)。その後、位置P1aでの捕捉フェーズの作業が完了し、位置P1aとは異なる位置、例えば図7に示す位置P1bでの捕捉フェーズの作業が行われるとする。このとき、作業計画設定部31(図2参照)は、作業計画の内容を変更する。このとき、監視範囲設定部41(図2参照)は、変更後の作業計画に応じて、監視範囲Aを変更する(変更後の第1監視範囲A1を、「変更後の第1監視範囲A1-2」とする)。具体的には例えば、監視範囲設定部41(図2参照)は、図5に示す位置P1aでの作業開始から所定時間(例えば1時間など)経過するまでは、変更前の第1監視範囲A1-1を設定する。そして、監視範囲設定部41は、位置P1aでの作業開始から所定時間経過後に、図7に示す変更後の第1監視範囲A1-2を設定してもよい。また、例えば、監視範囲設定部41は、ある時刻まで(例えば12時までなど)は変更前の第1監視範囲A1-1(図5参照)を設定し、上記「ある時刻」より後の時刻(例えば12時~14時など)は変更後の第1監視範囲A1-2を設定してもよい。
【0053】
監視範囲設定部41(図2参照)は、作業フェーズに応じて監視範囲Aを変えてもよい。さらに詳しくは、監視範囲設定部41は、作業フェーズごとの作業範囲A1aに基づいて、第1監視範囲A1を設定してもよい。
【0054】
具体的には例えば、持ち上げ旋回および復帰旋回のそれぞれの動作フェーズでは、図3に示すアタッチメント15は、目標捕捉範囲P1と目標解放範囲P3との間で旋回中心13aを中心に回転移動する。そのため、持ち上げ旋回および復帰旋回のそれぞれの動作フェーズでは、作業範囲A1aは、例えば上から見て扇状や略扇状(図5参照)などに設定される。一方、図8に示すように、捕捉フェーズでは、アタッチメント15(特に特定部位15t)は、目標捕捉範囲P1の近傍に配置される。このとき、監視対象物Oが目標解放範囲P3近傍に侵入しても問題が生じない場合がある。この場合、目標解放範囲P3およびその周辺は、作業範囲A1aに含まれなくてもよい。また、捕捉フェーズのとき、捕捉フェーズの直前の復帰旋回フェーズの目標復帰旋回軌跡P4(図3参照)およびその周辺は、作業範囲A1aに含まれなくてもよく、含まれてもよい。また、捕捉フェーズのとき、捕捉フェーズの次の持ち上げ旋回フェーズの目標持ち上げ旋回軌跡P2(図3参照)およびその周辺は、作業範囲A1aに含まれても含まれなくてもよい。同様に、図9に示すように、解放フェーズのとき、アタッチメント15は、目標解放範囲P3の近傍に配置されるので、目標捕捉範囲P1およびその周辺は作業範囲A1aに含まれなくてもよい。また、解放フェーズのとき、目標持ち上げ旋回軌跡P2(図3参照)およびその周辺が作業範囲A1aに含まれてもよく、含まれなくてもよい。解放フェーズのとき、目標復帰旋回軌跡P4(図3参照)およびその周辺が作業範囲A1aに含まれてもよく、含まれなくてもよい。
【0055】
(第1の発明の効果)
図2に示す監視システム1による効果は次の通りである。監視システム1は、自動運転される作業機械10(図1参照)と、作業計画設定部31と、監視範囲設定部41と、監視対象物検出部43と、侵入判定部45と、を備える。作業計画設定部31は、作業機械10の作業計画を設定する。
【0056】
[構成1]監視範囲設定部41は、図5に示すように、作業計画に基づいて作業機械10の周囲に第1監視範囲A1を設定する。監視対象物検出部43(図2参照)は、作業機械10の周囲の監視対象物Oを検出する。侵入判定部45(図2参照)は、監視対象物Oが第1監視範囲A1に侵入したか否かを判定する。
【0057】
上記[構成1]では、作業機械10の作業計画に基づいて、第1監視範囲A1が設定される。よって、作業機械10の作業計画に基づくことなく監視対象物Oを監視する範囲が設定される場合に比べ、監視対象物Oを監視する範囲(第1監視範囲A1)を、適切な範囲に設定することができる。その結果、第1監視範囲A1を広くしすぎることや、狭くしすぎることを抑制することができる。
【0058】
(第2の発明の効果)
[構成2]図2に示すように、監視システム1は、作業機械10の位置を検出する作業機械位置検出部23を備える。監視範囲設定部41は、作業機械位置検出部23に検出された作業機械10の位置および作業計画に基づいて、図5に示す第1監視範囲A1を設定する。
【0059】
上記[構成2]では、作業機械10の位置に基づいて第1監視範囲A1が設定される。よって、作業機械10が移動した場合でも、監視範囲設定部41(図2参照)は、第1監視範囲A1を適切に設定することができる。
【0060】
(第3の発明の効果)
[構成3]図1に示すように、作業機械位置検出部23は、作業機械10の外部に配置される。
【0061】
上記[構成3]により、次の効果が得られる。例えば、作業機械位置検出部23が作業機械10に搭載されている場合に、作業機械10に不具合が生じた結果、作業機械10の位置を適切に検出できなくなる場合が想定される。この場合に、第1監視範囲A1(図5参照)を適切に設定できなくなる場合がある。一方、上記[構成3]では、作業機械位置検出部23は、作業機械10の外部に配置される。よって、作業機械10の不具合とは関係なく、作業機械10の位置を検出することができる。その結果、第1監視範囲A1を適切に設定することができる。
【0062】
(第4の発明の効果)
[構成4]監視範囲設定部41(図2参照)は、図5に示す作業機械10の作業の進行に応じて第1監視範囲A1を変える(図5および図7参照)。
【0063】
上記[構成4]により、作業機械10の作業が進行し、作業計画の内容が変化した場合でも、第1監視範囲A1を適切に設定することができる。
【0064】
(第5の発明の効果)
[構成5]作業計画設定部31(図2参照)は、作業計画に含まれる複数の作業フェーズを設定する。監視範囲設定部41(図2参照)は、作業フェーズに応じて第1監視範囲A1を変える(図5図8、および図9参照)。
【0065】
上記[構成5]により、作業フェーズに応じた適切な第1監視範囲A1を設定することができる。
【0066】
(第6の発明の効果)
[構成6]監視範囲設定部41(図2参照)は、図5に示すように、作業範囲A1aと、拡大範囲A1bと、を合わせた範囲を第1監視範囲A1として設定する。作業範囲A1aは、作業計画に従って作業機械10が作業を行う場合に作業機械10が配置されることが想定される範囲である。拡大範囲A1bは、作業範囲A1aよりも外側に作業範囲A1aから連続する範囲である。
【0067】
上記[構成6]により、次の効果が得られる。作業範囲A1aは、作業計画に従って作業機械10が作業を行う場合に作業機械10が配置されることが想定される範囲である。一方、実際の作業機械10の作業(動作)は、作業計画に対してずれる場合がある。そこで、監視範囲設定部41(図2参照)は、作業範囲A1aと、拡大範囲A1bと、を合わせた範囲を第1監視範囲A1として設定する。よって、作業範囲A1aのみが第1監視範囲A1として設定される場合に比べ、より広い範囲を第1監視範囲A1として設定することができる。
【0068】
(第7の発明の効果)
[構成7]監視範囲設定部41(図2参照)は、作業機械10の少なくとも一部の作動速度、作業機械10の少なくとも一部の質量、および、作業機械10が捕捉している作業対象物S(図1参照)の質量、の少なくともいずれかに基づいて、拡大範囲A1bの広さを算出する。
【0069】
上記[構成7]により、次の効果が得られる。作業計画に対する、実際の作業機械10の作業(動作)のずれの大きさは、作業機械10の作動速度、質量、および、作業機械10が捕捉している作業対象物S(図1参照)の質量によって変わる。上記[構成7]により、より適切に第1監視範囲A1を設定することができる。
【0070】
(第8の発明の効果)
[構成8]図2に示すように、監視システム1は、警告部47と、停止部49と、を備える。警告部47は、警告を出力する。停止部49は、作業機械10(図3参照)の作動を停止させる。監視範囲設定部41は、図5に示すように、第1監視範囲A1である停止範囲A5と、停止範囲A5よりも広い警告範囲A7と、を設定する。警告部47(図2参照)は、監視対象物Oが警告範囲A7に侵入したと侵入判定部45(図2参照)が判定した場合に警告を出力する。停止部49(図2参照)は、監視対象物Oが停止範囲A5に侵入したと侵入判定部45(図2参照)が判定した場合に作業機械10の作動を停止させる。
【0071】
上記[構成8]では、監視対象物Oが停止範囲A5よりも外から停止範囲A5に近づいたときに、停止部49(図2参照)により作業機械10の作動が停止する前に、警告部47(図2参照)により警告が出力される。警告部47(図2参照)よる警告に応じて、例えば監視対象物Oを監視範囲外に移動させるなどの処置をとることができる。その結果、作業機械10を停止させる頻度を減らすことができる。その結果、作業機械10による作業の作業性を向上させることができる。また、例えば監視対象物Oを監視範囲外に移動させるなどの処置をとることで、監視対象物Oと作業機械10との接触を抑制することができる。
【0072】
(第9の発明の効果)
[構成9]監視システム1は、図6に示す表示部50を備える。表示部50は、第1監視範囲A1と、作業機械10と、作業機械10の周囲と、を重畳させて表示する。
【0073】
上記[構成9]により、作業者(人)に、作業機械10と第1監視範囲A1との相対位置を視覚的に示すことができる。
【0074】
(第10の発明の効果)
[構成10]監視範囲設定部41(図2参照)は、図5に示すように、作業機械10が走行することなく動作可能な範囲に基づいて第2監視範囲A2を設定する。侵入判定部45は、監視対象物Oが第2監視範囲A2に侵入したか否かを判定する。
【0075】
上記[構成10]により、次の効果が得られる。作業機械10が走行することなく動作したときに、作業機械10の少なくとも一部(例えば先端アタッチメント15c(図1参照))は、第2監視範囲A2内のどこかに配置される。そのため、監視対象物Oが第1監視範囲A1に侵入しなくても、監視対象物Oが第2監視範囲A2に侵入した場合、作業機械10の少なくとも一部と監視対象物Oとが接近する可能性がある。上記[構成10]では、監視対象物Oが第2監視範囲A2に侵入したことを判定することができる。
【0076】
(変形例)
上記実施形態は様々に変形されてもよい。例えば、上記実施形態の構成要素の配置や形状が変更されてもよい。具体的には例えば、図2に示す監視コントローラ40に含まれる各構成要素(例えば監視範囲設定部41など)が、作業機械コントローラ30に設けられてもよく、作業機械コントローラ30および監視コントローラ40以外の場所に設けられてもよい。例えば、図2に示す構成要素の接続は変更されてもよい。例えば、構成要素の数が変更されてもよく、構成要素の一部が設けられなくてもよい。例えば、互いに異なる複数の部材や部分として説明したものが、一つの部材や部分とされてもよい。例えば、一つの部材や部分として説明したものが、互いに異なる複数の部材や部分に分けて設けられてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 監視システム
10 作業機械
21 作業機械位置検出部
31 作業計画設定部
41 監視範囲設定部
43 監視対象物検出部
45 侵入判定部
47 警告部
49 停止部
50 表示部
A 監視範囲
A1 第1監視範囲
A1a 作業範囲
A1b 拡大範囲
A2 第2監視範囲
A5 停止範囲
A7 警告範囲
O 監視対象物
S 作業対象物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9